【第3話・前編】 の続きです。
8月24日 午前1時42分 米花総合病院 608号室
音はなく、(魔力の負担は大きいが)光も発することなく、転移の魔術を使った召喚者は、病室に出現した。
すぐに腰を落とし、病室入り口から見て、ベッドを挟んだ向こう側に回り込む。
ここに来た目的からして、看護師に見つかるのは禁忌。万一のことを考えたら、入り口のドアに背を向けて『作業』を行うことはあり得なかった。
召喚者「……」
召喚者が仮面越しに見つめる視線の先、首つり自殺を図った少女、江川 沙希の寝顔がある。
召喚者「(よくもまあ、こちらに都合の良い状況がそろったものね……)」
この少女について、ずっと魔術で監視していたから、どういう経緯を辿っているのかは把握している。
日付が変わったからきのうになるが、……きのう23日にICUからこの個室に移り、1日色々な検査を行い、身体には異常ないとの診断を受けた。
とはいえ、身体に問題が無くとも、精神は別物というもので、精神科への通院は決まった。
だが、退院の相談をする中で、親が『もう一晩居させてくれ』と懇願したので、まだここに入院中、という状態。
身体が拘束されているわけではなく、着ている服も普通のパジャマ。――召喚者にとって本当に都合の良い状況だと言って間違いなかった。
まず、元太を誘拐するのに使ったのと同じ、昏睡の魔術を込めたネックレスを沙希の首にかけた。(※作者註 >>281参照)
……これから行う『作業』の途中で、この子が目覚めたら困る。
魔術が掛かったのを確認した上で、布団をめくり上げ、パジャマのズボンを脱がす。
脱がしたズボンを伸ばし、片足を頭部側のベッドの柵に結び付け、もう片方の足を『工夫して結ぶ』。
――人は、工夫すれば、寝たままでも首回りに衣類を結びつけて窒息死できる。
数分後。
沙希が失禁し始めるのを見てから、召喚者は、転移の魔術を発動する。
ベッドの上には、転移に巻き込まれて大部分がちぎれたズボンと、糞尿まみれの寝具類が残された。
399 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/05 21:06:32 XXgtUeXo 350/754また遅くなり大変申し訳ありません。
↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病室』『警視庁』『召喚者の屋敷』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。
400 : 以下、名... - 2014/01/05 22:16:39 3ufbUZDE 351/754病室
午前3時34分 米花総合病院 廊下
看護師K「……今の何!?」
病室の見回りのため廊下を歩いていた看護師は、視界の端に一瞬の光を見、同時にガラスが割れるような鋭い音を聞いた。
光源は看護師の先にある部屋、608号室。音源も同じ方向からだ。
今は夜中、ここは、眠る患者と、看護師と医者しかいないような病棟だ。一体何があったというのか。
彼女は小走りに608号室に向かい、扉を開き、部屋の電気をつけ、……部屋の全貌を見て息を飲んだ。
看護師K「なにこれ……」
ベッドの周辺、広範囲が砂まみれだった。ベッドの柵には見慣れない布が巻きつけてあった。
シーツと布団には漏らした跡があった。シーツの上には見慣れない紙があった。
何より重大な問題として。
入院しているはずの患者が、どこにも居なかった。
午前3時35分 米花総合病院 608号室
彼女はベッドに駆け寄り、シーツの上の紙を取る。
女性らしい字の、文章が記されていた。
『この遺体は私達が行いたい事のために頂きました。詳しい事情は警察に聞いてください。
サキュバスと召喚者より』
看護師K「え……? 遺体!?」
訳が分からないが、一大事なのは分かる。警察を呼ぶべきだということも、分かる。
彼女は、ナースステーションに向けて走り出した。
403 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/06 21:58:12 Rlq1szXQ 354/754今日はここまでです。
↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の居るところ』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。
404 : 以下、名... - 2014/01/06 21:59:03 m7XmZGQw 355/754アガサ宅
午後2時45分 阿笠博士の家
哀「工藤君、……何かあったの?」
コナン「おっちゃんのところに、事件についての情報が来た。
予想通り、『本人』が動いたらしい。
どこの病院なのかは知らねえけど、都内の病院から10代の女の子が消えたそうだ」
哀「そう。……警察は、毛利探偵には情報を教えてくれたのね」
コナン「ああ」
阿笠「病院から盗まれたのが、どんな女の子の遺体なのか、警察は教えてくれたのか?」
コナン「あ、……そうか、『本人』のこれまでの宣言から考えたら、遺体が盗まれたと思うよなぁ」
哀「え? 生きてる子が連れた去られたの?」
コナン「病院の個室で入院していた子、だったそうだ。
今日の午前3時半くらいに、病室から居なくなってることに、見回りの看護師が気付いたらしい。
詳しくは教えてもらってねえけど、ベッドの上で誰にも気づかれずに亡くなった女の子を、『本人』達が連れ去ったんじゃないのかと、
……推測できなくもない痕跡があった、そうだ」
阿笠「……どんな痕跡なんじゃ、それは?」
コナン「さぁ……?」
哀「ベッドの上に、その子の血液や吐瀉物が残されていたのかもしれないわね。
それにしても、……誰にも気づかれずに死ぬなんて、どんな病院で入院していた子なのか、少し気になるわ」
407 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/07 21:42:39 yl7n.7Oc 358/754↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の居るところ』のどれかから選んで下さい。
408 : 以下、名... - 2014/01/07 22:13:10 SVPu.R2E 359/754召喚者の居るところ
午後3時12分 都内 あるウィークリーマンションの一室
馴れた転移の魔術で、召喚者は部屋の中へ出現する。
魔術陣の目の前、ずっと昔から自分に使えている執事が、頭を下げて出迎えてくれた。
召喚者「お疲れ様、……頼んだことは、ちゃんとやってくれたのね」
執事「ええ。これくらいの事、手抜きなどしませんとも。
……たかだか符を部屋に貼る程度の事で」
召喚者「……それも、そうね」
偽造した身分証明書で借りた、この部屋。
執事は命じられた仕事を忠実に行っていて、全ての窓と壁に、視線妨害と防臭の魔術符が貼り付けまくられていた。
さて、召喚者は床の上に視線を落とす。
かなり大きいレジャー用のゴムプールが置いてあり、その中には時折白い光を発する、灰色に濁った水が湛えてあって、
更にその水の中には、布を身体に巻いた少女の遺体が沈んでいて……
執事「なにごとか、お考えなのですか?」
召喚者「……床、と、天井にも符を貼るべきかもしれないわね。
視線妨害はいらないでしょうけど、防臭の符は貼っておいた方が良いでしょう」
執事「ああ! 確かに」
召喚者「これから更に符を作ることになるけど……、気付いたからには貼るべきでしょうね」
執事「……あの」
召喚者「何?」
執事「無理なさぬなとは申せません。
これからどれほど苦しかろうとも、貴女様は突き進むほかないのでしょう、あの『サキュバス』の令嬢のために。
……これからも、苦しいのならば、遠慮なく御頼り下さい。そのために僕(しもべ)は居るのです。
わたしくめは、……どこまでも貴女の僕(しもべ)で居たいのですよ、紅子さま」
召喚者「……ありがとう。私、貴方みたいな執事が居て本当に幸せよ」
411 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/08 22:17:31 3zvFbY5E 362/754↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『召喚者の屋敷』のどれかから選んで下さい。
412 : 以下、名... - 2014/01/08 22:33:51 5tAMIdKA 363/754召喚者の屋敷
午後3時15分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室
元太「ふぁぁ…… 眠ぃ……」
蘭?「流石に、いつも夜9時には寝る子が、突然夜中の12時過ぎまで起きてたら、
……次の日は眠くなるんだねぇ。起きた時間はいつもと変わらないんだもの」
元太「おう…… 今すぐ寝たくなるくらい眠ぃ」
蘭?「いくら眠くても、今はもうお昼寝は止めてたほうが良いと思うよ。
もう3時過ぎてるから。今寝たら、本当に、夜まで寝ちゃいそうで、……それで、肝心の夜に眠れなくなるの」
元太「それは、……怖いな。
『姉ちゃん』は、俺よりも遅くまで起きてたんだよなぁ? いつまで起きてたんだ?」
蘭?「夜中の3時過ぎくらいまで起きてたよ。君が寝た後に、やらなきゃいけないことが色々あったからね」
元太「『姉ちゃん』は眠くならないのかぁ?」
蘭?「実はちょっときついかな。平気な風に見えるかもしれないけど。
それにしても、君は本当に辛そうだね。……夜中の3時まで付きあわせなくて良かった」
元太「そんなの、できるわけねーよ。12時まで起きただけで、本当に寝そうだったんだぞ」
蘭?「ハハハ……
君、寝ぼけて、電気ウナギの水槽に落ちた思い出話を、……何っ回も繰り返してたものね。最後らへん」
保育園時代のエピソードだという、いかにも元太らしいその話を、昨晩、彼女は本当に耳にタコができるほど聞いていた。
416 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/09 21:51:27 ya8juWGY 366/754↓1 次はどこのシーンにしますか? 『病院』『警視庁』『その他(要記載)』のどれかから選んで下さい。
8月24日のエピソードはこれが最後になります。これまで選ばれた『阿笠宅』『召喚者の居る所』『召喚者の屋敷』は除外します。
417 : 以下、名... - 2014/01/10 03:07:49 6W1Aomvs 367/754警視庁で
午後3時20分 警視庁 拘置所被告殺人事件 特別捜査本部
刑事L「ご協力ありがとうございました。わざわざ大変な時にすいません……」
江川 一(以下、一)「……娘が戻ってくるためですから。
事情を聞かれて捜査の手掛かりになるのなら、……手掛かりになるかもしれないのなら、ご協力しますよ」
刑事L「ありがとうございます。捜査には、全力を尽くしますので……」
桜子「あの、刑事さん。娘は、沙希は、本当に戻ってくるんでしょうか?
娘がどこに居るのかも、誘拐された別の子がどこに居るのかも、……今は捜査中なんですよね?」
一「おい、桜子」
刑事L「警察も、できる限りのことはします。
ただ、人命を第一に動きますから、……子どもが誘拐されている件に関しては、くれぐれも口外はしないで頂けると……」
桜子「分かっています! 私達がしゃべったせいで、その子が危なくなるのはイヤですから」
刑事L「……お辛いところ、本当にすいません」
桜子「警察も、生きてるかもしれない別の子の方が大事なんでしょうからね。誰かの遺体が盗まれるよりは」
一「……おい! 沙希は死んでるって決まった訳じゃないんだぞ!」
桜子「本当に、死んでないと良いんでしょうね。
……『サキュバス』達が捜しているのは、生贄に都合のいい素材なんでしょう?」
一「おい!」
刑事L「まあ、まあ落ち着きましょうか……!
(娘が死体になって戻ってくる、……想像はしてるんだろうな。今は、心が受け入れられないだけで……)」
422 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/11 23:33:00 MB72jSQc 370/754今日の投稿は以上です。解説はさんで更に作中日付を先に進めます。
↓1 日付が先に進んだ最初のシーンで誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。
423 : 以下、名... - 2014/01/12 00:12:03 Qnyjvy1k 371/754元太
午後6時 警視庁 小田切刑事部長の部屋
小田切「『サキュバス』の事件は、難しそうか。
米花総合病院で入院患者の少女が消えた件からは、……手掛かりは見つけられたのか?」
警部N「今のところ、残念ながら、……見つかっておりません」
小田切「誘拐として捜査しているのだったな? 殺人や窃盗ではなく」
警部N「はい。その子の死を、誰も確認していませんから」
小田切「……それが無難、か」
仮にあてはめた罪名が何であれ、現実として、その少女が死んでいる可能性は高いと思われた。
元々、自宅で首つり自殺を図って、入院中だった少女なのだ。
病院のベッドの上で、ズボンを首に巻いて本当に自殺し、その遺体が窃盗の被害に遭った、――としても説明は付くし、
仮に『サキュバス』達にズボンで首を絞められ、連れ出されていた、――としても、結局は坂田や沼淵のような使い方が目的だとしか思えない。
小田切「これからも、当たり前の話だが、誘拐された小嶋元太君の生命を優先して捜査するほかないだろう。
かなり捜査に制約が掛かるだろうが」
警部N「はい」
小田切「上も、そうすることは了承している。士気の維持は難しいだろうが、……努力するほかないだろうな」
警部N「はい……。
話は変わりますが、刑事部長。今日になって急に捜査本部に似たような協力申込みが複数入りまして」
小田切「申込み?」
警部N「……自称魔力持ちだの、デビルサマナーだの、ゴーストスイーパーだの。
要は、『自分はサキュバスに対抗できるチカラがあるから警察に協力させてくれ』っていう話です」
小田切「ああ、そういう話か。……こちらの対応は?」
警部N「言っちゃあなんですが、……ただの妄想なのか本当なのか、こちらでは判断が付きかねるので、
住所と名前と連絡先を聞き出した後で、『必要ならば警察から連絡します』で済ませてます」
小田切「それが良いだろう。
仮に、……百歩譲って、仮に申込みが本当だとしても、その協力者の実力が『サキュバス』を超えるのかどうかも不明瞭だ」
坂田が拘置所から誘拐され殺された時点で、警察の面子というより、司法そのものの面子が散々傷つけられていた。
『サキュバス』がやらかしたことは、間違いなく逮捕されるべき重大な犯罪だが、
警察は(少なくともこの件に関わっている人間は)上層部から末端まで、『サキュバス』のチカラを止められないことを悟っている。
ならば、逮捕できないなら、『サキュバス』を止められないのなら。
せめて、これ以上警察の面子を余計に損なわないように、ただ『人命を第一に動いた』と言えるだけの捜査であれ、と。
コナンが推測した通り、警察はそんな保身含みで動いていた。
――そして、それから更に3日が過ぎる。
427 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/13 00:24:33 jwY.dUGA 375/754
以上、解説でした。次回、元太のシーンです。
8月27日 午前7時30分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室
ジリリリリリリ……
蘭?「おはよー、げーんたくん。……ふぁぁ」
元太「……おはよう、『姉ちゃん』」
毎朝、いつも同じ時間に目覚まし時計が鳴り、『姉ちゃん』が起き、元太は先に起きた『姉ちゃん』に揺り起こされる。
起きて少ししたら、仮面を着けたあるじが部屋に来て、朝ご飯を持って来て……
誘拐以来、朝はそんなパターンが確立していたのだったが、今日この日は少し違った。
蘭?「起きぬけ早々に申し訳ないけど、悲しいお知らせでーす。
今日は朝ご飯が遅れます」
元太「……えっ!?(ガバッ」
蘭?「ハハハ……、やっぱり、予想通り君は飛び起きるねぇ。
ちょっと色々あって徹夜してね、君以外はみんな疲れててね。申し訳ないけど今から眠ることにしたんだ。
9時になったら、君が起こしてくれないかな? ラジオはつけていいから」
元太「お、おう。……9時に起こすんだな?」
蘭?「そう。9時過ぎてしばらくしたら朝ご飯が出るはずだから。絶対起こしてね。
それじゃー、おやすみなさーい」
元太「おやすみなさい、……『姉ちゃん』」
元太の目の前、『姉ちゃん』は本当に眠そうな様子で、もう一つのベッドに潜り込んだ。
430 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/13 21:02:46 jwY.dUGA 378/754↓次のシーンは誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。 また『元太』は除外します。
431 : 以下、名... - 2014/01/13 21:56:00 aSw.e0zA 379/754佐藤刑事
午前7時32分 都内 某マンション 佐藤刑事の実家
佐藤(母)「美和子ー」
佐藤「どうしたの?」
自分の家で朝食を食べていた佐藤刑事は、新聞を取りに行った母の声を聞き、朝食を食べる手を止めた。
佐藤(母)「……うちの郵便受けに、あなた宛ての変なお手紙が入ってたんだけど」
佐藤「手紙?」
佐藤(母)「ええ、新聞に挟まってたわ。
宛先があなたの名前で、……『中の紙は素手で触らないでください』って注意書きがあって、
差出人が、『毛利 蘭』って名前で、それから後ろに……」
佐藤「!! ちょっと、その手紙見せて!!」
佐藤(母)「え?」
佐藤「差出人の名前! 事件に関係する人なのかもしれないの!!」
佐藤(母)「……えっと、素手で触っていいの? 私は、もう触ったから仕方ないけど……」
佐藤「そうね。手袋は……」
佐藤(母)「台所に、使い捨てのゴム手袋があるから。そこの炊飯器の下の引き出し」
佐藤「……ありがとう」
言われた通りに手袋をはめ、改めて母から手紙を受け取る。
白い封筒だった。
宛先が『佐藤 美和子様』。
その横に小さな朱書きで『中の紙は素手で触らないでください』とあり、更に左、差出人の名として『毛利 蘭』の名前がある。
そして封筒の裏面には、注意書きらしい文面があった。
『先日のハニーロードの件で、デリケートなお話があります。
あなたの身体に関して、わたしが視たことについてです』
佐藤「(これは確かに『変な手紙』だわ。母さんは事情を知らないから、そう感じるでしょうね。
……この手紙、開ける前に本庁に連絡したほうが良いかしら……?)」
434 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/14 21:57:36 xdIFKeU6 382/754↓1 佐藤刑事はどうしたでしょうか?
『手紙を開けずに捜査本部に連絡』『手紙を開けずに高木に連絡』『手紙を開けずに目暮に連絡』『誰にも連絡せずに手紙を開けた』
上記四つから選択をお願いします
435 : 以下、名... - 2014/01/14 21:58:21 UfHvESrc 383/754高木に連絡
436 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/15 12:28:42 679cv9GA 384/754↓1 もうひとつ安価です。手紙の内容は?
『恥ずかしい内容』『おめでたい内容』の二択から選択をお願いします
437 : 以下、名... - 2014/01/15 15:34:16 Ib5a200M 385/754恥ずかしい内容。
午前7時36分 美和子の私室
佐藤「(本庁に電話するよりも、その前に、高木君に電話しましょう。
『ハニーロード』での記憶を覗かれたのは、私だけじゃないし……)」
RRRR RRRR……
高木「……もしもし、高木です」
佐藤「(この声、……寝起きね)
佐藤です。朝早くにごめんなさい。今、ちょっとお話し出来る?」
高木「はい……」
佐藤「さっき母が気付いたんだけど、……私の家の郵便受けに、差出人が『蘭ちゃん』の名前の、手紙が入っていたの」
高木「……え!? 『蘭ちゃん』って、毛利探偵のところの!? 今、行方不明の『蘭ちゃん』ですか?」
佐藤「ええ。その『蘭ちゃん』よ
真っ白い封筒で、宛先が私の名前で、裏表両方に注意書きがあってね。
表は『中の紙は素手で触らないでください』、それで裏が……」
高木「裏、は?」
佐藤「……『先日のハニーロードの件で、デリケートなお話があります。
あなたの身体に関して、わたしが視たことについてです』」
高木「それは、……中身はどんな内容なんですか?」
佐藤「分からない。まだ、開けてないの。
……ねえ、高木くん。今から開けるから、読み上げるから、一緒に聞いてくれる?」
高木「……良いんですか? 僕が一緒に聞いて」
佐藤「お願い。一緒に聞いて」
高木「分かりました」
彼女は、手紙の封を切った。
佐藤美和子様
私が病院から居なくなった後の、インターネットの召喚者からの書き込みを読まれた前提で、この手紙を書いています。
あの魔術で視えるのは、性行為の日時や場所や、記憶だけではありません。
その性行為で妊娠できたかどうか、病気に感染してないかも、判別はできます。
ただ、妊娠の有無はともかく、病気の感染については、それこそ性行為の直後でない限り確証は持てません。
性行為の記憶よりももっと早いスピードで、情報が劣化し、魔術で見ても分かりづらくなっていくからです。
だから、確証は持てなかったので、病院では誰にも言わなかったし、ネットでも書きませんでしたが、
私には、高木さんと佐藤さんが、ハニーロードで、肝炎をうつし合ったように見えました。
442 : 以下、名... - 2014/01/16 01:30:39 ILvKcE8I 389/754もし『おめでたい内容』になってたら妊娠発覚だったのかな
少し残念な気もするけど安価だししょうがないよな
443 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/16 21:09:25 aocicQ32 390/754>>442
まさしく、その通りです。その安価だと妊娠発覚するはずでした。
今日の分は21時半までに投稿します。
私が見た構図は、高木さんと佐藤さんの両方が、元々肝炎ウィルスに感染していて、
ハニーロードで、互いに互いのウィルスをうつし合っている、という状態です。
どちらかが一方的に感染させるならまだしも、これはちょっと不思議な構図だったので、余計に私は確信が持てません。
ハニーロードでの、お二人の行為が7月28日。
私が、あの病院で、佐藤さんと高木さんの記憶を見たのが、8月の14日です。
病気の感染についての情報は、14日時点でかなり分かりづらくなっており、
例えるなら、半分以上文字がかすれたり消えたりした文章を、どうにか読み取るような状態でした。
ですから、この病気の感染の構図が、正しいとは限らないことは、重ねて申し上げたいと思います。
ところで、この便箋に使った紙は、素手で触ると灰になって崩れていくようになっています。
この紙を誰にも見せずに灰にして消していくか、それとも警視庁の人にお見せするかは佐藤さんにお任せします。
ただ、警視庁の人に見せた場合、高木さんか佐藤さんに、余計な仕事が割り振られるかもしれません。
今日の夜中、私達は、一気に3人ほど遺体を盗みました。
盗んだ現場のうちひとつに手紙を残したのですが、その手紙と、この手紙の情報を付き合わせたら、
高木さんか佐藤さんに、捜査本部から仕事が降ってくるようになっています。
私は、自分が見た情報が正しいのかどうか、気になっているのです。
敬意をこめて
午前7時45分 美和子の私室
佐藤「――手紙は、以上よ」
高木「……デリケートな内容ですね、確かに……」
佐藤「…………
この手紙の事、本庁に報告すべきだと思う?」
高木「え? えーっと、……佐藤さんはどうされたいんですか?」
佐藤「私、は……」
447 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/16 21:39:24 aocicQ32 394/754今日の投稿はここまで。続きは明日です。
↓1~2を混ぜます 佐藤はどう答えたでしょうか?
448 : 以下、名... - 2014/01/16 21:52:29 YyICfl2s 395/754報告すべきでない
449 : 以下、名... - 2014/01/16 22:08:01 n4dXWk.M 396/754報告すべき
450 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/16 22:48:59 Az45x4kI 397/754↓明日午後8時まで募集・多数決 佐藤はどう答えたでしょうか?
『報告すべき』『報告すべきでない』、どちらにしても理由を付記してください
451 : 以下、名... - 2014/01/17 12:37:02 IiG62QOw 398/754報告すべき
今上司に隠しても、後でバレたら余計に上司の心証が悪化する
452 : 以下、名... - 2014/01/17 19:54:23 Wt11FBuI 399/754報告すべき
秘密にしたら、サキュバスから「バラされたくないなら○○を…」と脅されるかも
佐藤「すごく、……すごく迷うけど、……報告したくない気持ちは強いけど、……報告したほうが良いと思うの」
高木「……そう、ですか」
佐藤「今隠しても、後でサキュバスが警視庁の人にバラすかもしれないし、それに……」
高木「……それに?」
佐藤「こんなこと秘密にしたら、サキュバスが私達を脅しに来るかもしれない」
高木「脅し、ですか?」
佐藤「……『バラされたくなければ○○よこせ』とか、そんな、弱味につけこまれるような余地、無くはないでしょ?」
高木「あ!!」
佐藤「もし、もしそんな風になってから、この手紙のことが職場の皆にバレたら、……私達、どう思われるかしら?」
高木「あまり想像したくないですね、……それ」
佐藤「だから、だから、報告はしたほうが良いと思うの」
高木「分かりました。目暮警部に報告されますか?」
佐藤「ええ。今からそうするわ」
午前8時30分 警視庁 小田切刑事部長の部屋
小田切「今度は遺体が一気に三体盗まれた、だと?」
警部N「はい。
きのうの夜から朝にかけて、相次いで『サキュバス』に盗まれたようです。
三体目が盗まれた現場には、『サキュバス』からの手紙が残されていました」
小田切「(手紙……?)
まず、誰の遺体が、どこから盗まれたのかを説明してくれ」
警部N「最初に通報があったのは、杯戸中央病院からです。病室に安置していた遺体が盗まれたそうです。
盗まれたのは、大山 助太郎(おおやま すけたろう)さん、享年48歳の男性の遺体です」
小田切「他は?」
警部N「2件目は、東都警察病院からでした。遺体安置室の遺体が盗まれました。
野田 富士(のだ ふじ)さん、享年91歳の女性の遺体だったそうです。
……3件目は、監察医務院からでした。解剖直前の遺体が消えたそうです。
葛野 一二三(くずの ひふみ)さん、享年32歳の男性でした」
小田切「今言ったのは、こちらが通報を受けた順番か?」
警部N「はい。……亡くなった順も、盗まれた順も、同じだと思われます」
小田切「ほぉ……?」
警部N「1件目の大山さんは、入院中の方でした。
昨夜に体調が急変して、21時18分に医師が死亡を確認しています。
病院側は家族を呼んだものの看取りが間に合わず、……21時25分に家族が病室に入ったら、遺体が消えていたそうです」
小田切「ということは、死亡確認後、看護師や医師が病室から目を離していたのか?」
警部N「はい。目を離した一瞬の隙をついて盗まれたと思われます。残りの2件も似たような状況でした。
2件目の野田さんは、今日の1時13分に死亡確認、遺体安置室に運ばれたのが1時50分頃、盗まれたと発覚したのが2時5分頃。
3件目の葛野さんは、今日の4時頃に監察医務院に搬送され、監察医が遺体を最後に見たのが4時40分頃、
盗まれたと発覚したのが4時50分頃です」
小田切「おおよそ、10分程度の隙を突かれたか」
警部N「はい」
小田切「現場に残された痕跡は?」
警部N「いずれの現場も、これまでと似たような感じです。
現場は砂だらけで、周囲の人間はガラスが割れたような音や光を目撃しています」
小田切「そして、……三件目の葛野さんの遺体が盗まれた現場に、手紙が残されていた、のか。
手紙の内容は?」
警部N「……こちらが、手紙の写真になります」
小田切「ふむ」
警察の方へ
今日、相性が良い遺体を三体盗ませていただきました。
これだけあれば、こちらが行いたい術の完成の目途が立ち、元太君を生きて返す見込みが立ったと言えるでしょう。
これから何もかも順調に進めば9月の下旬頃、何かトラブルがあった場合でも2学期中には、元太君を返せそうです。
今後遺体を追加で盗むことはあるかもしれませんが、日程自体はさほど変わらないと思われます。
元太君の生命は、警察の皆さんが、こちらの魔術を妨害しない事を保証する、私達が握るカードだと認識しています。
だから、魔術の目途が立っただけでは、元太君は返せません。
返すとするならば、魔術が完成した後でなければ無理です。
こちらからお願いです。
8月31日に、これから必要になる分の元太くんの勉強道具一式を、こちらに引き渡して頂けないでしょうか?
小学1年生の分の勉強であれば、まあこちらでも教えられないことはないと思います。
こちらが希望する受け渡しの方法は、以下の通りです。
462 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/18 23:54:40 d0RdEeV6 405/754今日の投稿は以上です。次回は手紙の続きからです。
↓1 社会的信用度の高そうな職業をひとつ挙げてください
463 : 以下、名... - 2014/01/19 00:12:37 SZvTQQlY 406/754大学教授
・勉強道具一式をビニール袋に入れた上で、そのビニール袋をリュックサックの中に入れること
・受け渡し日時は、8月31日の正午以降、日没までの間。場所は、蘭が14日まで入院していた病室のトイレの中
・警察の職員の誰かが、ひとりでリュックサックを抱えて、トイレの中でドアに背を向けて立っておくこと
・なお、トイレの中に立つ方は、他人に取られたら困る物は身に着けないことを強くお勧めします
こちらとしては、当日リュックを受け渡す警察の方について、○○さんか○○さんにしてほしい、という希望があります。
今、この手紙とは別に、その方宛てに別の手紙を書いています。
その手紙と、この手紙の情報を付き合わせたら、誰と誰がこちらの希望なのか分かると思います。
別の手紙の事を、捜査本部が把握されるかは分かりません。
内容があまりにもデリケートなので、受け取った本人が、捜査本部に見せずに、手紙を処分する可能性は十分にあると考えています。
だから、別の手紙を捜査本部が把握しきれていないのなら、その時は、31日にトイレに立つ方はどなたでも構いません。
ただ、手紙の内容を把握しているのに、こちらの希望に沿わない人を立たせる、というのは止めて頂きたいと思います。
別の手紙を把握した後、トイレに誰も立たない、リュックも渡さないというならまだ受け入れられますが、人を変えるのはNGです。
敬意をこめて
追伸
この紙は素手で触ると灰になって消えてしまいます。コピー機に掛けた場合も同様です。お気を付け下さい。
やったことはないですが、おそらく、文面を写真にとるのは大丈夫だと思います。
小田切「(……なるほど、この追伸の内容で、わざわざ手紙をコピーする奴は居ないだろうな)
別の手紙が誰に届いたのかは、捜査本部は把握しているのか?」
警部N「はい。朝になって、一課の三係から連絡がありました。三係の刑事に手紙が届いたようです。
……届いた手紙がこちらになります(※作者註 手紙の内容は>>440,>>444->>445)」
小田切「(…………何という内容だ)
確かに、……これは、……デリケートだな」
警部N「……はい」
小田切「『サキュバス』が受け渡しを希望する相手は、高木と、……佐藤か。
どうするのかは、……31日までに決めるのだな?」
警部N「はい、……そうなります」
小田切「(刑事が肝炎をうつし合ったのを見られたかもしれない、か……)
とんでもない能力だな、『サキュバス』は」
警部N「それから、きのうまでの捜査についてです。
こちらに来た協力申込みの件なんですが……」
小田切「ああ、自称魔力持ちだか何だか、という件か(※作者註 >>425参照)」
警部N「はい。一応念には念をということで、申し込んだ人間の身元を全て洗っています。
案の定、……いろんな人間が居たんですが、その中に、元法学部の教授で現在弁護士という人も居まして」
小田切「そうなのか?」
警部N「妄想関係の病気を発症している可能性もありますし、刑事部長がおっしゃったように見極めは困難ですが、
……もしかしたら、もしかしたらですが、本当に、……役立つかもしれませんね」
469 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/19 21:14:43 SVWS5Sus 411/754今日の投稿は以上です
↓1 次のシーンは誰を出しますか? これまで登場した人を選んで下さい。
作中で出てない人・死んだ人は出せませんのでご了承ください。 また『元太』『佐藤刑事』『高木刑事』『小田切刑事部長』は除外します。
470 : 以下、名... - 2014/01/19 22:24:02 ixkdT1Vo 412/754召喚者
472 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/20 18:37:05 LxgS6MQI 413/754今日は、投稿は難しいかもしれません。
あと、場合によっては範囲外の安価も拾うことがありますが、難しい時はそうしない場合もあるということで、御理解願います。
↓1 もうひとつ安価です。次のシーンの場面はどこ?
『召喚者の屋敷』『ウィークリーマンション』のどちらかから選んで下さい
473 : 以下、名... - 2014/01/20 18:39:59 y5fnIIQI 414/754ウィークリーマンション
午前8時45分 あるウィークリーマンションの一室
召喚者「――“彼女を喚んだ者として、かの地を統べる竜神に、私は願います
彼女の身体が、誰かに殺されませんように
彼女の身体が、意に反して閉じ込められませんように”」
壁や窓が魔術符だらけのこの部屋、今日になってその片隅に横たえられた遺体が3つある。
その遺体から抜き出された、生贄用の内臓も、ゴムプールの周囲に展開された魔術陣の上に置いてあり、魔力的な加工を受けていた。
召喚者「――“彼女に向けられる言葉が、謝罪の求めでありませんように
……何より、彼女に対して、『誓うこと』が強制されませんように”」
昨夜から今日にかけて、相性の良い遺体が次々に見つかった。
『サキュバス』と召喚者と執事は、夜通しかけて遺体を盗み、内臓を取り出し、(並行して刑事の自宅に手紙を送りつけたりしつつ)
内臓を加工する作業を行っていたことになる。
今は作業の終盤、必要なのは呪文を唱え、魔力を振るうだけの作業。
召喚者にしかできないことであるから、召喚者は、『サキュバス』と執事を、自分の屋敷に帰らせ、先に休ませた。
何度も何度も同じ呪文を繰り返すことで、望ましい形で生贄の内臓から生命力を取り出していく。
取り出した生命力が向かう先は、魔術陣の中央のゴムプールに眠る、これまた生贄の少女の身体だ。
召喚者「――“ひとつ目の願いは、私が何より、彼女が天寿を全うする形で生きることを願うからです
ふたつ目の願いは、私が、彼女の身体の自由を願うからです”」
呪文は、できる限り正確に唱えることが望ましい。
言い間違えたら即失敗という訳ではないが、今後の作業の成功度には差し支える。
召喚者「――“みっつ目の願いは、謝罪を求められることが、彼女の身体を壊すと知っているからです
最後の願いは、彼女の『誓い』は、竜神か契約者にのみ捧げられるものだと知っているからです
竜神よ、どうか我が願いと魔力を受け入れたまえ”――」
作業は残りわずか。
向こうの世界のやり方での呪文の反復詠唱は、朝9時までには終わると思われた。
477 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/21 21:51:25 GUtwz8uQ 417/754今日の投稿は以上です。
↓1 作中の8月27日のイベントは終わりました。日を進めますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
『翌日に進む』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。 (キャラの制限はありません)
478 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/21 21:52:14 GUtwz8uQ 418/754間違えました。
↓1 作中の8月27日のイベントは終わりました。日を進めますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
『日を進める』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。 (キャラの制限はありません)
479 : 以下、名... - 2014/01/21 22:00:49 16zirbNI 419/754キャラ描写,コナン
午後5時 毛利探偵事務所
服部「一気に動いたのぉ、『サキュバス』は。
一晩にいろんなトコから3人も遺体を盗み出しおって」
コナン「ああ。警察から連絡があった時は驚いた。
慎重に、ひとりずつ盗んでいくと、……勝手に思い込んでいたからな」
服部「せやな。滅多に相性の良い遺体が見つからんもんやと、思い込んどった」
コナン「ああ」
服部「……なぁ工藤」
コナン「ん?」
服部「『犯人』が言うような、相性が良い遺体がそんなにポンポン見つかるんなら、
初っ端の、坂田はんや沼淵が殺された事件も、……結局、生きてる人間拘置所から連れ出して殺すより、
今やってるように、相性の良い遺体を盗み出す方法でも、『犯人』が使いたい魔術、使えたんやないやろか?」
コナン「……そのころの『サキュバス』は、時間が無くて焦っていたんだろう?
魔術の知識が俺達にある訳じゃないけど、……『直に生贄を殺すこと』が、本当に、手間を大幅に省ける方法だったのかもしれないな」
服部「かも、しれへんな。
そういや話戻るけど、今日の遺体の窃盗、最後の3体目が盗まれた現場に『犯人』が手紙置いてた、って話、聞いたか?」
コナン「あ、それは聞いた。……手紙の内容までは教えてもらえなかったけど。
お前は、内容知ってるのか?」
服部「いや、俺も、……内容までは聞き出せへんかった」
コナン「……そうか」
服部「何ぞ、手紙に面倒なこと書いとるのかもしれへんな。
……ところで、お前んとこのおっちゃん夫婦、今はどんな感じなんや?」
コナン「あー、……相変わらずだよ、あの夫婦。
妃弁護士がここに来ることは増えたけど、おっちゃんも、妃弁護士も、……仲がかなりギスギスしたままだ」
484 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/22 21:47:12 AFf3R6qU 422/754今日の投稿はここまで。次回は作中時間が8月31日に進みます。
↓1 次のシーンは『警察サイド』『召喚者サイド』の、どっちで話を進めますか?
↓2 警察は、元太の勉強道具を用意したのでしょうか? 『用意した』『用意しなかった』のどっちかで選んで下さい。
↓3 ↑が『用意した』の場合、トイレの中に立ったのは誰? 『高木』『佐藤』『その他の刑事』『人は立たせずリュックだけ置いた』のどれかから選んで下さい。
485 : 以下、名... - 2014/01/22 22:47:40 9BL3eJRo 423/754警察サイド
486 : 以下、名... - 2014/01/22 23:16:02 2kwlW6X6 424/754用意した
487 : 以下、名... - 2014/01/22 23:42:29 /WpAYvbw 425/754佐藤
8月31日 午前11時40分 東都警察病院 703号室
14日の夜に、入院中の『本人』が消えて、えらい騒ぎになって鑑識が押しかけてきた部屋に、(※作者註 >>147)
ここ2~3日、またしても警察関係者が多数やってくることになった。
小学生の少年を誘拐した『犯人』が、この部屋のトイレを物品の受け渡しの場所に指定したのだから、当たり前の事である。
刑事J「佐藤さん、準備は良いですか?」
佐藤「……はい」
『犯人』が指定した通りに、勉強道具一式入りのリュックを持ってトイレの中に立つことになったのは、佐藤刑事であった。
『犯人』が手紙の中で希望していたのは、高木か佐藤のどちらかだった。
警察が手紙を把握した後、2人のうちの片方が入院したから、必然的に、残ったもう1人の方に仕事が割り振られることになる。
佐藤「(最悪、リュックを持って日没まで立ちっ放しか……)」
犯人がいつ現れるか分からないから、最悪日没まで、トイレには行けない。
トイレの中で立ちっ放しの仕事だから変な言い方になるが、盗聴器やらカメラやらが多数の個室内で用を足せるほど、佐藤の神経は図太くなかった。
刑事J「もうそろそろ、良いですか?」
佐藤「はい」
まだ正午20分前だが、この手の事件では、早め早めの行動は損にはならない。
佐藤自身が身に着けているマイク等のチェックも、念入りに行わねばならないのだ。
彼女は勉強道具入りのリュックを抱え、個室の中へと入っていく。
490 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/23 21:43:34 P6A.WJjQ 428/754今日の投稿はここまで。次回はトイレの個室で続きからです。
↓1 周りに人がいなさそうな、陸上の地形・場所を書いてください。例:『山』、『森』、『廃屋の中』……
491 : 以下、名... - 2014/01/24 00:17:13 YgC8o4Jk 429/754山奥の廃校
午後12時10分 東都警察病院 703号室 トイレの中
個室そのものは、特に広いとも狭いとも言えないものであった。
入り口から見て左側に手すりがあり、右側にトイレットペーパーのホルダーがあり、正面に洋式の便座があり、奥の壁にタンクがある。
病院のトイレだから清潔度はもともと高く、トイレ独特の臭いは無い。
ただ、右側の壁の一部が、大きな円を描く形で、シミのような灰色に染まっていた。
14日に『彼女』がここから消えた時、『彼女』が残していった、おそらくは召喚の陣の跡らしい。
佐藤「(『あの子』が消えた時、壁だけじゃなく、床も砂まみれだった……)」
刑事J『……12時10分になりました。変わりありませんか?』
佐藤「今のところ問題ありません」
イヤホン越しの定時連絡の声に、襟元のマイクから答える。
個室のいたるところにマイクやカメラが置いてあるが、それには頼り切らず、一応マイクでの連絡もすることになっていた。
今、この個室の中には佐藤しかおらず、703号室の中にもマイクやカメラはあるが、人間は誰もいない。
隣の705号室には多数の刑事が待機していて、何かあればここに駆けつけてくるように決まっている。
佐藤「(分かっていたけど、……時間が長いわね)」
抱えているリュックを握り直し、小さくため息1つ。
今日の日没は午後6時10分だから、あと6時間。残りの時間は長い……
バチッ!!
佐藤「(……!?)」
不意打ちだった。突然変な音がして、直後に襟元にわずかな熱さを感じる。
イヤホン越しに『えっ?』という声を聞いた気がして、しかし確証は持てず、何が何だか分からない内に佐藤の視界が暗くなり、意識が落ちる。
午後12時11分、佐藤美和子刑事は、抱えていた荷物ごとトイレから消えた。
警察がトイレに据え付けていたマイクやカメラは、彼女が消える直前に一斉に壊れていた。
隣の部屋から駆けつけた刑事達は、誰も居ない個室を見、そして個室の床の上にぶちまけるように積もった砂を、呆然と見つめる羽目となった。
497 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/24 22:34:07 ZQdI/nUs 433/754↓1 関東地方の都県の名前をどれか一つ書いてください。45分までにレスがあったら、23時までに更に投稿します。
498 : 以下、名... - 2014/01/24 22:53:30 snvUr6e6 434/754横須賀
499 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/24 23:00:07 ZQdI/nUs 435/754>>498
都県の名前でお願いします。神奈川県でいいですか?
あと、45分過ぎてたので続きは明日です。
500 : 以下、名... - 2014/01/25 00:11:00 QeCGocYA 436/754おぅミスった…
神奈川で宜しく!
午後12時20分 神奈川県 某所
かすかな意識の中、誰かが後ろから自身を抱え込む感覚だけは感じた。
その時『それ』が誰なのか判断は付かず、仮に不審に思う判断力は有ったとしても抗う力は無かっただろう。
後から振り返ってみると、顔を布の袋で覆われたはずなのだが、覆われた時の記憶がないのだ。
佐藤「う、……」
どれだけ経ったのか分からなかったのだが、意識を取り戻しうめいた時、顔を覆う袋は取り払われ、彼女の視界は光を捉える。
目の前、黒い仮面を着けた顔が、彼女の顎を抱えて見つめており――
佐藤「ぁ……!!」
良く考えないまま驚いて退こうとして、その時ようやく自身の身体の自由が奪われている状況に気付く。
佐藤「ここは、……あなたは、」
それだけ言うと、顎を掴む手が離された。そのままその手は佐藤の軽く頭を押さえ、頭を下げるよう促す。
記憶がよみがえり、佐藤は状況を把握する。
あのトイレとは大きく違う、埃っぽい木の床の上。自分はうつ伏せに横たえられている。
腕は布らしきもので後ろに縛られており、足首には金属の、おそらく足枷らしいものが着けてあるらしい。
目の前50センチほどの床の上、パソコンのモニタが置いてあり、その画面には
『この文字が読めたら声を出して』
とあった。
佐藤「(え、っと…… これってパソコンに標準で付いてるメモ帳の画面よね?
左上に『新しいテキスト ドキュメント.txt - メモ帳』って出ているし)」
モニタから出ているケーブルを辿ると、2mほど向こうに黒い小さなモバイルノートのパソコンがあり、
例の仮面の人物が床の上に膝をついて、そのモバイルノートの画面に向かい合おうとしているところだ。
パソコンの更に奥は壁で、黒板がある。
どうやら教室らしい場所に自分は拉致されたらしい。床の上の埃からすると、今は使われていない廃校舎だろうか?
佐藤「……あなたが見ているそのノートパソコンの画面と、全く同じ画像が、このモニタに映っている、と、……考えて良いのかしら。
あなたの、お名前は?」
仮面の誰かは、キーボードに手を動かす。同時に、『この文字が読めたら声を出して』の下に、文字が追加された。
モニタ『考えの通り、こちらのノートの画面とそちらのモニタの画面は全く同じ
わたしは、召喚者』
佐藤「(……こいつ、声を出す気はない?)
そう……」
(モニタ改め)召喚者『最初に言っておく
このノートとモニタは、事件が解決したら元の持ち主に返してほしい
この場所を管轄している役所からの盗品だ』
佐藤「……そうなの。それが本当なら、確かに、解決したら役所に戻るでしょうね。
あなたは、ひとりで、私をここに連れて来たの? あなたの魔術で?」
召喚者『そうだ』
506 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/25 17:38:48 OSVZxtnQ 440/754↓1~3 佐藤から召喚者に話しかけた内容をどうぞ。1レスに複数内容可です、
507 : 以下、名... - 2014/01/25 18:25:39 UUMIjxpc 441/754あなたのつけている仮面は石仮面?
508 : 以下、名... - 2014/01/25 21:47:06 aMb1/pl. 442/754元太の現在
509 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/25 22:49:49 OSVZxtnQ 443/754今日はもう寝ることにしたので、安価範囲拡張します
↓1~3 佐藤から召喚者に話しかけた内容をどうぞ。1レスに複数内容可です。
510 : 以下、名... - 2014/01/26 00:21:40 EfpYKF.M 444/754高木と佐藤の肝炎検査の結果について
511 : 以下、名... - 2014/01/26 10:18:42 fhJxjzxc 445/754ここは何県のどこなのか
リュックサックの中身を説明するので、中の物を出してほしい
512 : 以下、名... - 2014/01/26 11:46:15 bxnr21lU 446/754顔や声を隠している=佐藤が警察に戻ってもどこの誰か手掛かりが掴めない
佐藤は後で解放される考えで良いか?
召喚者の年齢
佐藤は、パソコンの前に座る召喚者の姿を見つめた。
体格は、大人と同等と言って良いだろう。
灰色のフード付きのローブを着込んでおり、その下に黒い仮面を着けているから、表情どころか髪型も耳の形も全く伺い知れない。
召喚者『あまりジロジロ見ないで』
佐藤「ああ、ごめんなさい。
あなたが顔に着けている仮面は、石仮面?」
召喚者『石ではない
どんな材質なのか言うつもりは無いが』
佐藤「そう。
話は変わるけど、……顔も声も出していないということは、私は後で解放されるという考えでいいのかしら?」
召喚者『どういう論理で、そういう結論になる?』
佐藤「私が今の状態で警察に戻って報告しても、この状況だと、あなたがどこの誰か全く分からないでしょう?
顔も声も全く分からないなら、身元を掴む手掛かりが全く無いもの」
召喚者『つまり、仮に最初から殺す気なら、見られたら困る事を全く考える必要が無いから、姿を露出していたはずだ、と?』
佐藤「そういうこと」
召喚者『正解だ
ちなみに同じ態度は元太にも取っていて、見られたら困るものはあの子には見せていない
後で警察に根掘り葉掘り事情聴取されると分かりきっている子に、そんなもの見せられるものか』
佐藤「(これは、……後で事情聴取する警察への、牽制?)
元太君は今どうしているの?」
召喚者『生きてる。衣食住には問題ない状況には置いている』
佐藤「……体調はどうなの!?」
召喚者『今のところ元気だ
病気も怪我もしていない』
佐藤「そう、……ありがとう」
召喚者『こちらからも質問だ
あなた達の肝炎検査の結果はどうなった?』
佐藤「それ、は……」
召喚者『このことはサキュバスが気にしていた
自分の能力のことだから』
佐藤「その件ね、……結果から言えば、高木くんも私も、B型肝炎のウィルスを持ってたの。
手紙が届いた次の日、28日に高木くんは体調を崩して、肝炎で入院しなきゃいけなくなって、……まだ退院してない」
召喚者『あなたのほうの体調は?』
佐藤「私は、今のところ問題ないみたい。
ウィルス保有者ではあるから、定期的に病院で診察受けなきゃいけないけど」
召喚者『そう』
佐藤「一応言っておくけど、……このことは警察の人は把握してるんだからね?
恩を着せたり、脅し取ろうとしたりしても全く無駄よ?」
召喚者『それは分かっている
そもそもあの手紙は、そんな目的では無かったから』
佐藤「そう? じゃあ、肝炎の事を書いたのは、単純な善意?」
召喚者『根本には善意が来るが、サキュバスの能力の確認を兼ねている。
あの手紙を見たら絶対に病院に検査に行くだろうし、こういう風に連れ去れば、検査結果を確認出来ると踏んでたから』
佐藤「……そうだった、の。
あ! 肝心なことを忘れてた。
リュックサックの中身を説明するから、ちょっと中の物を出してもらえないかしら?」
召喚者『構わないが、そのことに関してはこちらからも言いたいことがある』
召喚者は立ち上がる。
初めて気づいたが、これまでずっと、佐藤の横の床の上にリュックが置きっ放しになっていたようだ。
召喚者は、改めて佐藤と召喚者の間にリュックを置き直してから、モバイルノートに戻る。
召喚者『このリュックは誰のだ?』
佐藤「元太くんのよ、あの子の家から借りてきた」
召喚者『中に盗聴器と発信機、いくつも仕込んでたな?
転移の前にそういう機器が壊れるよう術を使ったら、案の定発熱しながら全部壊れてリュックの表面が焦げたぞ』
佐藤「え!?」
言われて見てみると、確かにリュックの表面のポケットに少なくとも2か所、焦げたような跡があった。
召喚者『あなたが襟元に着けていたマイクも、ブラの谷間に仕込んでた発信機も同様だ
あなたが火傷しなかったのは幸いだと思うが
ともあれ警察は、発信機を辿っては来ないだろう 』
佐藤「そうなの……」
召喚者『それで、リュックの中身を説明するのだったな?』
佐藤が無言で頷くと、召喚者はリュックを抱き寄せてフタを開けた。
中からビニール袋を左手で掴み上げ示し、右手でキーを打ち込んで見せる。
召喚者『これは?』
佐藤「国語と算数のドリルと、教科書と、ノートと、文房具。
とりあえずこの二教科教えてもらえれば、後の科目は小学校でリカバリーできるから、って」
召喚者『そう』
勉強道具一式の入ったビニールを一旦床に置き、別のビニールをリュックから出す。
召喚者『こちらには予想外のもののようだが、……これは?』
佐藤「横笛と、手紙。……『サキュバス』宛てだって。
誰がどういう経緯でリュックの中に入れるって決めたのかは、私は聞いてない」
召喚者『何だそれは?』
佐藤「たぶん上層部の人は知ってると思うけど、……ごめんなさい、本当に詳細を聞いてないの」
召喚者はビニールに手を突っ込み、手紙を出して広げた。
519 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/26 17:25:13 HRMQW4ZU 453/754↓1 手紙を読んだ召喚者の反応・言葉は?
↓2 リュックに入っていたもの、残りひとつは何?
20時までに両方レスがついたら、今日中にもう一回投稿します。
520 : 以下、名... - 2014/01/26 19:04:59 2JUOR5l2 454/754目を通してから『これは本人に渡すしか無さそうだ』
521 : 以下、名... - 2014/01/26 19:42:44 S8q16tOg 455/754オレンジジュース
黒い手袋を付けた手が手紙を持ち、仮面の下の目が文面を辿ること、数十秒。
召喚者は手紙をビニールに入れ直し、勉強道具一式と同様に床に置いた。
召喚者『これは本人に渡すしかなさそうだ』
佐藤「……そう」
続いて、3つ目のビニール。
召喚者『これが最後だ』
佐藤「それ、オレンジジュースの粉末よ。
事情を知った元太君のお父さんが、『入れてくれ』って強く要望したって聞いてる」
召喚者『じゃあ、元太の好物か? 元太のおやつにでも使えばいい?』
佐藤「ええ、お願い」
召喚者は全てのビニールを、まとめてリュックに入れ直す。
召喚者『こちらとしては、聞きたいことは把握できた。他に質問は?』
佐藤「あ、あの、すごく根本的なことだけど、ここがどこなのか教えてはくれないの?」
召喚者『神奈川
もともと公立小学校だった場所だと聞いている』
佐藤「っていうことは、今は小学校としては使われてなくて、……ここは廃校?」
召喚者『そういうことだ』
佐藤「それから、……あなたの年齢とか」
召喚者『そんなもの詳しく教えるわけないだろう?
元太よりは年上だとは言える、見れば分かるだろうが』
佐藤「……そうよねぇ」
524 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/26 20:42:29 HRMQW4ZU 458/754
今日の投稿は以上です。
この土日、微妙に風邪引いて外に出れませんでした。(風邪引いたのはこの冬二度目)
一日集中して書く作業ができたのは、この微妙な体調のせいですw
明日以降は、いつものようにおおむね1日1回、午後9時台の投稿になるかと思います。
↓1 会話を続けますか? 切り上げますか?
↓2 ↑続ける場合、どちらがどんな発言したのかをどうぞ。
525 : 以下、名... - 2014/01/27 12:20:21 ZwFsxkZE 459/754佐藤刑事と召喚者の会話でいいの?
なら続けるで
526 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/27 12:47:02 /15f1VxE 460/754>>525
説明不足すいません。ご指摘の通りです
↓1 佐藤と召喚者、どちらが発言したでしょうか?
↓2 ↑の発言の内容は?
527 : 以下、名... - 2014/01/27 19:16:47 2XLE5WUg 461/754この時期の風邪はこじらせたらインフルとかになるからしっかり休まないとね~
安価は召喚者
528 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/27 21:27:20 hUtFsnlg 462/754>>527
どうもありがとうございます。帰宅が遅れて書けそうにないので今日はお休みします。
↓1 召喚者の発言の内容は?
『肝炎について』『佐藤の恋愛について』『元太について』『サキュバスについて』『召喚者自身について』『その他(要記載)』でお願いします。
529 : 以下、名... - 2014/01/28 02:50:29 wvySX3KI 463/754元太について
召喚者『そう言えば言い忘れていた、元太のことについてだが』
佐藤「何?」
召喚者『今後、あの子の体調に万が一のことがあった時、あるいは、体調に関係なく欲しいものが出来た時、
薬だの物品だの、必要になる時があるかもしれない
その時の対応を決めておきたい』
佐藤「……体調崩した時って、元太くんは解放してくれないの?」
召喚者『よほど悪化したならば、解放を検討するだろう
監禁致死にまで至るのは不本意だ』
佐藤「そう……」
召喚者『毛利家の自宅の中、蘭の部屋があったはずだ
必要なものが出来た場合は、その部屋の蘭の机の上にメモを魔術で出現させる
警察はこちらが要求する品を、警察病院のあの個室のトイレに置いてほしい
こちらが指定する日時に、魔術で物品を回収する』
佐藤「毛利さんちは分かるけど、警察病院の個室って、……今日私が立った、703号室?」
召喚者『そうだ』
佐藤「それ、やるとしたら、警察が、四六時中蘭ちゃんの部屋を監視することになるわよ?」
召喚者『承知している
蘭の親も、事情を話せば了承すると思うが?』
佐藤「そりゃあ、……そうでしょうけど」
召喚者『警察が誰に何をどこまで話すかは、警察自身が決めることだろうが、
私たち自身は、小嶋家と毛利家がある程度事情を知ってても構わないと考えている』
佐藤「えっと、……つまり、警察が伏せてて、報道に出てない事柄を、この2つの御家庭には話しても良い、と?」
召喚者『少なくとも、子供の命が掛かっている限り、両方とも親の口は固いだろう?
こっちは、死体を盗んで、魔術を駆使して、サキュバスを生かすようにできればそれで良い
仮にこれから追加で死体を盗むとき、死体窃盗の話が広まって、盗みづらくなっていたら困る、ということだ』
佐藤「……そう」
召喚者『これで話は終わりだ
あなたに付けた足枷の鍵は、この教室の真後ろのロッカーの下に置いている
自力で外して、歩いて助けを求めると良い
一応ここから歩いて10分のところに民家はあるから』
目の前、モニタの画面が動いた。
メモ帳が『新しいテキスト ドキュメント.txt』の名のままデスクトップに保存され、
更にそれがUSBメモリにコピーされたあと、USBメモリがパソコンから外される。
佐藤「これで、お話は終わり?」
召喚者はただ頷き、荷物をまとめて立ち上がった。
本当に何も言わず、教室の出入口に向かう。
佐藤「(このまま、こいつはここから消える……!!)」
気付けば佐藤は、灰色のローブを纏った背中に、言葉を投げていた。
533 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/28 22:09:44 DBssBUc2 467/754↓1 佐藤が、召喚者に投げた言葉の内容は?
534 : 以下、名... - 2014/01/28 22:55:02 Qjzwy7Zs 468/754目的
535 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/28 23:23:47 kzCut0eI 469/754>>534
「あなたに、他に目的はあるの?」で良いですか?
536 : 以下、名... - 2014/01/29 00:16:58 s0nxJbQ. 470/754言葉足らずでごめん…>>535で宜しく
佐藤「あなたに、他に目的はあるの!?」
召喚者は、足を止めて振り返った。
床の上の佐藤を見つめ、視線がぶつかること数十秒。
先に動いたのは召喚者の側だった。
黒いブーツを履いた足の歩みは強く、ローブを勢いよく翻しながら目の前の黒板に向かう。
激情のままに白いチョークで黒板に記していく、その崩れた字体の文章は、佐藤の答えにはなっていなかった。
召喚者『なぜ今それを言う? わたしがこえを出すと思っていたのか!?』
バン、と、黒板に叩きつけた手の音が響く。
佐藤「……ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて!!」
明らかに佐藤は召喚者を怒らせていた。
ご丁寧に黒板消しでチョークの文字を消してから、荷物をまとめた召喚者は、歩調の強いまま、今度こそ教室の外へと出ていく。
そして、二度とこの教室へは戻ってこなかった。
538 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/29 21:46:31 SM36Ll6E 472/754今日の投稿は以上です。
↓1 次のシーンは誰目線で書きますか? 『警察目線』『召喚者目線』のどちらかでお願いします。
539 : 以下、名... - 2014/01/29 22:04:03 1lfN61rw 473/754警察
午後12時56分 神奈川県 某所
確かに、召喚者が言った通りの場所に足枷の鍵はあった。
佐藤は相当苦労しながら腕を縛っていた布を外し、ついで足枷も外して立ち上がった。
佐藤「(……私が居なくなった後に、召喚者が戻ってきてこのモバイルノートを回収したりすること、……有り得なくはないわよね?)」
デスクトップに保存されたメモ帳は、今後の捜査における重要な証拠だ。
足枷をポケットに無理やり突っ込み、召喚者が置いて行ったモバイルノートのケーブルを外し、電源を落とし、布越しに手で抱えてから教室を出る。
教室のドアの上、クラス表示は『6-2』とあった。
佐藤「(6年2組、……アイツが言った通り、小学校か。それも相当山奥の……)」
教室に戻り、窓の外を見る。
見える光景を判断するに、今は空が明るい時間帯で(太陽の高度からしておそらく昼間)、
この辺りは、あまり開発されていない場所だということが分かる。
勝手なイメージだが、過疎化で廃校になった小学校、という感じなのだろうか?
佐藤「(民家、あるはずよね……)」
やみくもに動き回るより、一応は目的地の目星を付けて、学校を出ようと思った。
召喚者が大嘘をついていなければ、どこかに民家があるはずだ。
佐藤「あ、あそこかしら?」
思わず声が漏れる。
校門から曲がりくねった道になっているのが分かるが、その先の山越しに、チラリと屋根が見えた。
午後1時4分、神奈川県警は現地の住民から通報を受けた。
スーツ姿で埃まみれの女性が、枷とパソコンを持って助けを求めてきた、のだという。
――自称警視庁の刑事さんが、仕事中に拉致られて、小学校に監禁されて、逃げてきて、ウチに助けを求めてきた
刑事さんの名前は、サトウ ミワコ
通報を受けた神奈川県警は、現地に捜査員を大至急派遣させると共に、警視庁にも一報を入れた。
『サキュバス事件』の捜査中、警視庁の刑事が行方不明になったことは、この時点で神奈川県警にも知らされていたのだ。
542 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/01/30 21:45:04 1XAsCVVo 476/754今日は以上です。明日は警察サイドの話が続きます。
↓1 佐藤刑事以外に出してほしい警察の人を、ひとりどうぞ。
543 : 以下、名... - 2014/01/30 22:23:27 Q2Erq77U 477/754白鳥警部!
午後7時15分 神奈川県 某病院
分かりきっていることではあったが、その後、佐藤刑事は根掘り葉掘り調べられる羽目になった。
事情聴取を受けるというだけでなく、身体を調べられるという点でも、だ。
県内の病院に搬送され、怪我の有無を調べられ、怪我は無いというのに入院が決まり、そこで徹底的な事情聴取があり、
その事情聴取が済んだと思ったら、職場の捜査一課から見舞いが来た。
目暮「失礼する」
白鳥「失礼します」
佐藤「!! ……わざわざありがとうございます。
目暮警部も、白鳥君も……」
白鳥「拉致されたと聞いて驚きましたよ……!! 本当に……」
目暮「体調は大丈夫なのかね? 最低でも2晩入院すると聞いたが……」
佐藤「今のところ、体調は問題ないんです。
拉致された経緯が経緯だから、私にどんな影響が出たのか分からないから、その検査を徹底的にするというだけで」
目暮「……それはそれで、大変そうだ」
佐藤「……被疑者側の魔術を受けて、今、こうやって生きて検査を受けた人は、私だけですから。
どんな影響が出るか分からない以上、徹底的に調べてもらった方が、かえって安心できますし……
タダで人間ドック受けられたんだと、……そう思うことにします」
目暮「そうか……」
白鳥「ところで、一課の皆さんにはどこまで説明しましょうか?
……『ハニーロード』の書き込みの件は皆さんに知られてしまいましたけど、
誘拐が絡んでから、捜査本部と、我々のような例外を除くと、誰が誘拐されたのかまでは御存じない方も多いですよね?
佐藤さんの家が現場に手紙が残っていたことも秘密で、でも、貴女が誘拐されたことは知られてしまってるんですが……」
佐藤「え? 私の誘拐って、秘密ではなくなってるんですか?」
目暮「……
佐藤君が消えた時点で、極秘だが大々的に指令が回っておるんだよ。
――『サキュバス』絡みの事件で、きみが警察病院から誘拐された、……とな。
おまけに神奈川県の山奥の民家で保護された一報も、当然全庁に回している」
佐藤「……それ、転移の魔術を受けたと分かったも同然じゃないですか……」
白鳥「ええ……」
佐藤「『単に捜査に協力したら拉致された。
詳しいことは話せないけれど、身体への影響が分からないから検査入院する羽目になった』
で、よろしいのでは?」
目暮「そうだな、肝炎がどうこう、ということまでは、捜査に無関係の人間にまで話すことでも無いだろう」
白鳥「……そうですね。そう思います」
549 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/01 00:58:37 0Jbe2c4Q 481/754今晩はこれで終わりです。警察視点の解説はさんで次のシーンに移ります。
↓1 解説の後、次のシーンは誰目線にしますか? 『探偵目線』『召喚者目線』のどちらかでお願いします。
(どっちかを書いたら8月31日は終わりです。また作中の日程が飛びます)
550 : 以下、名... - 2014/02/01 02:13:45 H4IL.rNQ 482/754召喚者目線でお願いします
午後7時20分 警視庁 小田切刑事部長の部屋
警部N「こちらの資料が、……パソコンに残っていた文章と、佐藤刑事とのやり取りの推定内容になります(※作者註 >>504->>537)」
小田切「(…………最後に、召喚者を呼びとめて質問したら、黒板にチョークの字でキレられた、か)
召喚者は、徹底的に声を一切出さなかったのだな」
警部N「そのようですね」
小田切「パソコンとモニターの出元は、書かれた通りだったのか?」
警部N「モバイルノートの方は、地元の町役場の備品でした。
電算管理部署が、他の部署に貸し出す用に備えていたパソコンのようです。
少なくとも1週間前から無くなっていて、『他の部署が勝手に借りていったのかと思っていた』と」
小田切「モニターの方は?」
警部N「それは、まだ。
役場の倉庫に古いモニターがわんさか置いてあって、ひとつだけ無くなっても誰も気づかない状況らしく……」
小田切「(いい加減な管理体制だな……)
現場の痕跡の情報は? 神奈川県警は、パソコンだけでなく、教室全体も調べたのだろう?」
警部N「佐藤刑事が、召喚者と会話を交わしたのが6年2組で、隣の6年1組に、砂が大量に残っていたそうですが……
今のところ、どちらかの教室からも特段の手掛かりは見つかってないようです」
小田切「……鑑識でも何もわからないのは、これまでと同じだな。
毛利の家の、あの娘(こ)の部屋に、観測機器を設置する許可は取ったか? 毛利夫妻にはどこまで話した?」
警部N「はい、あのご夫妻には、捜査員が拉致されて召喚者とパソコンのモニタ越しにやり取りができたことと、
召喚者が希望した今後のやり取りについて説明しました。
『被疑者達からの手紙が、蘭ちゃんの部屋に出現するかもしれない』となると、お二人とも快く部屋の監視を許可して下さいました」
小田切「カメラやマイクが効かない恐れは、非常に強いが、……だからと言って何もしないわけにはいかないからな」
警部N「……はい」
小田切「ところで、捜査本部の人員の士気は大丈夫か?
元太君が監禁されてる現場なり、召喚者の身元を現行犯で抑えるなりしないと、この件は非常に厳しいだろうが……
相手の能力は、距離を超えるぞ」
警部N「……それ、は」
小田切「(……あまり、よろしくないのだろうな)
分かった、何も言わんでいい」
554 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/01 23:55:16 0Jbe2c4Q 485/754すいません安価の誤変換を訂正します。
↓1 >>517->>522で出てきた『本人』宛ての手紙の外見・紙質等、特徴をどうぞ
↓2 ↑の手紙の言語は? 『日本語』『異世界語』『日本語と異世界語の混合』の3択でどうぞ
555 : 以下、名... - 2014/02/02 08:54:57 DnHkJaG2 486/754上質な和紙に筆で書いてある
556 : 以下、名... - 2014/02/02 10:33:26 Nxplo5yE 487/754日本語と異世界語の混合
午後7時30分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室
元太の勉強道具一式を、召喚者が受け取ったのは昼の12時台だったが、それらは即座に元太の元に届いたわけでは無かった。
召喚者は、廃校から屋敷に戻るのではなく、一旦別の場所に転移した。
文具や書籍に不審な点が無いか細かく確認し、発信機や盗聴器を破壊する魔術を念入りに掛け、半日の作業の末ようやく屋敷に帰還したのだ。
召喚者「今日の昼間に大人の人からもらって来たの。
……もう夏休みが終わるからね、これ、これからのあなたの勉強道具よ。」
元太「ぇえー? 勉強道具ー? ……面倒くせぇ」
まあ小学生の男の子らしい言葉だが、それを聞いた『彼女』が突然吠えた。
蘭?「……!! わがまま言っちゃダメ!
世の中、勉強したくても勉強できない人いっぱいいるんだからー!!」
元太「(ビクッ!!) ……ぅ、……ごめん、『姉ちゃん』、……、ぅえ……ヒッ」
召喚者「……言いたいことは分かるけれど、落ち着きましょうか。
泣かすほど怒ることは無いでしょう?」
蘭?「……そう、ですね。
元太くん、言い過ぎた。大丈夫かな?」
元太「う、ヒッーク ……あ、ヒッーク ヒーッ ヒーッ」
召喚者「しゃくり上げて、息がキツくなってるわね。
横になって、ジッとしていれば良いでしょう。無理に治そうとはしないで、動かずボーッとしておくこと。
そうすれば、呼吸は普通に戻るはずよ」
元太は自らベッドの上に横になった。その上に毛布を被せ、召喚者は優しく話しかける。
召喚者「今勉強しなかったら、元の暮らしに戻った時、同級生のクラスの子に追いつかなきゃいけなくなる。
その時は、たぶんすごいスピードで内容を詰め込むことになるわね。
……そうなるよりは、ここで、今他の子がやってることを、ゆっくり教えてもらったほうが良いでしょう、ねぇ?」
過呼吸でしゃべれない状態の元太は、その言葉に黙って頷いた。
召喚者「それと、……あなたにも渡したい物があるの。ちょっと良いかしら」
蘭?「? はい」
午後7時34分 召喚者の屋敷 地下室
召喚者「“さっきの剣幕には驚いたわよ。突然怒鳴ったんだから……”」
蘭?「“……自分の経験から、怒りの記憶を掘り起こされまして”」
召喚者「“そうよね、……貴女の記憶からすると、あの子の態度は有り得ないほどうらやましく見えるんでしょうね”」
召喚者は、『サキュバス』が、出身地でどんな目に遭ったかを知っている。
学ぶ意識が貪欲にありながら、理不尽に学びから遠ざけられた経験があることを、召喚者は知っている。
蘭?「“ええ”」
召喚者「“ところで、……私が見せたかった物なんだけど”」
蘭?「“何ですか? それ”」
召喚者「“手紙と横笛、貴女宛てですって。
手紙、こっちの言葉と、貴女の出身地の言葉が書いてあった”」
蘭?「“えっ!?”」
『彼女』は慌ててビニールを受け取り、中の手紙を取り出した。
560 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/02 21:35:19 orRFFp.c 491/754今日の投稿は以上です。
次回、オートで手紙の内容に進みます。
562 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/03 21:35:36 TjP6Bt.E 492/754一応安価だけとっておきますね。
↓1 手紙を読んだら、作中の8月31日のイベントは終わります。それから日を進めますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
『日を進める』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。 (キャラの制限はありません)
563 : 以下、名... - 2014/02/03 22:09:24 5.Jl66fo 493/754日を進める
サキュバスのお嬢さんへ
初めてのお手紙になります。
私は、この世界とは違う世界で、生きた記憶を持つ者です。
私がこの世界に来たのは、今から40年以上前の事です。
(おそらく貴女とは違う種族の)軍所属の女性神官だった私は、戦乱の中、事故のような形で異世界に弾き飛ばされ、
弾き飛ばされた先、つまりこの世界で、山の中で遭難死寸前で倒れている女子学生に出逢いました。
貴女が以前インターネットに書いたように、この世界は、本来、異世界の者にとって非常に厳しい環境です。
世界にいじめられ壊れていく身体を必死に保持しつつ、無我夢中で学生の手を取ったのを覚えています。
気が付いた時、私は学生の身体で倒れていて、救助隊に囲まれていました。
元々身に着けていた神官の装束も、異種族の身体も、発動した魔術の贄になって消えていったのだと思います。
異世界を渡った痕跡は跡形も無くなり、ただ学生の身体に記憶がふたつ宿ることになりました。
以上の経緯が嘘か真か、誰にも判断は付きません。
警察にも、私自身にも、判断は出来ません。
ただ確実であることは、私はもはや何も魔力らしき力を持っていないこと、ひとつの職場を定年退職するまで勤め上げたこと、
そして、ここでない言葉の記憶を持っていることです。
その言葉は、もう40年以上話していない言葉ですが、どうか貴女に通じる物であることを祈ります。
もし通じる物であれば、こちら宛てにコンタクトを下さい。
ひとりの元法学者より
召喚者「“貴女、それ読めるでしょう?”」
蘭?「“……は、はい”」
高そうな便箋を持つ手が震えた。
『ひとりの元法学者より』の下、間違いなく彼女が読める文章があった。
筆で書いているのが不似合に見える、一文だけの、その内容は――
蘭?「――“貴女のような種族は、私の世界では、イルンクス と呼ばれていた”」
この世界に来て一度も名乗ったことがない、懐かしい現地の種族名だった。
567 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/04 22:08:30 JLV66CMQ 497/754今日の投稿は以上です。
作中8月31日のイベントは終わりました。日を先に進めます。
↓1 次のシーンにはどのキャラを出しますか? これまで出たキャラから自由に指定してください。
なお、キャラによっては明日、追加安価を取ります。
568 : 以下、名... - 2014/02/04 22:17:07 oKmjMYF. 498/754コナン
9月3日 午後4時 毛利探偵事務所
夏休みが終わり、2学期が始まって3日目。
俺は帰宅するなり、探偵事務所の三階に駆け上がる。
コナン「ただいまー」
英理「おかえりなさい」
刑事L「お邪魔してます、坊や」
コナン「……刑事さん達また来たんだね! 『蘭姉ちゃん』のお部屋に手紙が出たの?」
手紙が『出る』。
召喚者が刑事を誘拐し、その刑事に『魔術で、蘭の部屋に手紙を出現させる』と言ったらしい。
誘拐があったその日、夏休み最後の日から、蘭の部屋は警察の監視機器だらけになっていた。
刑事L「……えっと」
英理「お部屋の監視カメラの様子がおかしいから、見に来たんですって」
コナン「またぁ? 昨日も一昨日も、同じ時間にそう言って来たよね?」
571 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/06 00:21:36 5E5FdK8c 500/754↓1~しばらく募集 蘭の部屋の監視機器が、毎日、何故おかしくなるのか推理してみてください。
572 : 以下、名... - 2014/02/06 12:29:21 mUHLHY32 501/754安価の難易度高すぎィ!
刑事L「……そうだね」
コナン「おかしいよね? カメラは交換したの?」
刑事L「きのう二日連続で壊れた時点で、カメラは新品に交換したし、チェックも念入りにしてるんだよ。
カメラだけじゃなく、部屋の中もかなり細かく調べさせてもらったんだけどね……
……念のため聞くけど、坊や、『お姉ちゃんの部屋の様子が変だ』って思ったことは無かった?」
コナン「あるわけないよ!
もしも、あの部屋が変になったら、僕、誰かに聞かれる前に、真っ先に刑事さんか毛利のおじさんに伝えてる!」
刑事L「それもそうだね」
召喚者や『本人』に、必要な物や欲しい物が出来た時、その内容を書いた手紙を、魔術で蘭の部屋の机の上に出現させる、と、
召喚者は、8月31日に刑事にそう言ったらしい。(※作者註 >>530)
万が一、元太が体調を崩した場合、医薬品が必要になるケースが念頭にあったようだ、――というのが警察の見方で、
それを聞いた俺は、その日以来蘭の部屋に立ち入らず(立ち入りはおっちゃんに禁止されたし、監視機器まみれの部屋に入る気はない)、
しかし、暇さえあれば外からドアを見張る状態になっていた。
コナン「不思議だね。
特定の位置に置いたカメラが、3時45分になるとブラックアウトして壊れるんでしょう?
部屋のど真ん中のカメラが」
刑事L「……うん」
三脚の上に置かれ、蘭の机を見つめていたカメラだという。
9月1日に壊れた時はただの故障だと思われても、2日にまた壊れた時は、警察は何かの作為を感じただろう。
そして今日、またカメラが壊れた。
コナン「3日連続ってことは、絶対何かあるよね」
刑事L「そうだね」
コナン「誰かが、魔術が何かをしているのかもね?」
英理「……」
刑事L「……そう、かもしれないね」
コナン「今日、部屋の前に張り込んだりしなかったの?」
刑事L「今日はしてない。これからはするかもしれないね」
576 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/06 22:21:14 SGhTOOFA 504/754↓1 9月3日時点の元太の体調は? 『問題ない』『問題がある』の二択でお願いします
577 : 以下、名... - 2014/02/06 22:33:49 T6t9kzUw 505/754問題ない
578 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/07 12:45:47 RUqtnLyQ 506/754追加で安価です
↓1 『迷っている』『決めている』の二択から、どちらかを選んで下さい
579 : 以下、名... - 2014/02/07 14:52:33 JJ90QxCI 507/754決めている
午後4時30分 召喚者の屋敷 もうひとつの地下室
♪~♪♪ ♪♪~ ♪~♪♪ ♪♪~ ♪~~♪ ♪……
『彼女』が横笛で一曲吹き終わり、小さく礼をすると、元太は拍手をしてくれた。
パチパチパチパチ……
元太「ありがとう、『姉ちゃん』。いっつも思うんだけど、笛吹くの上手いんだな」
蘭?「どういたしまして。
好きこそ物の上手なれ、って言うからね。笛吹くの、嫌いじゃないから練習したんだよ」
元太「そうなのか……」
蘭?「うん」
コンコン……
蘭?「(ノック? あるじかな?)
どうぞー」
ドアを開けて入ってきたのは、案の定あるじだった。
いつも同じ、目だけ出した黒い仮面に、暗色系の無地のローブ(今日は濃紺色だ)姿の、あるじ。
召喚者「笛、吹いてたのね。ドアの外から聞こえてきていたわ」
蘭?「ええ。笛を貰ってから、この子に曲をねだられることが多くて」
召喚者「あら、そうなの。 もともと暇だったのに、聞いて熱中できる娯楽、あげちゃったかしら?」
蘭?「そういうことになるんでしょうね」
元太「……だってよ、ラジオ聞きながら勉強するくらいしかないんだぞぉ?
やること、他に何があるんだよ」
召喚者「とりあえず、ラジオ聞けてお勉強できて、この『姉ちゃん』が笛吹くくらいで、こっちは精一杯よ。
……ラジオ聞けるんだったら暇は潰せるでしょうから、それで我慢してちょうだい?」
元太「……はーい」
召喚者「不満そうね……、もう少し考えるから、しばらく辛抱してて。
ところで、私にも、笛で一曲、お願いできる?」
蘭?「はい」
先日『彼女』がもらった横笛は、七穴で、見た目は故郷の笛そっくりで、独特の音階が、ほぼ正確に出せるシロモノだ。
素材はこの世界の竹だから、この世界で、誰かがあの世界の曲用に、わざわざ作った物だ。
あの自称元法学者が書いた手紙(※作者註 >>564->>565)の内容が真であるならば、その元法学者の知識に基づき作られた笛なのだろう。
あの世界の神官は、神話音楽の知識が無いと不味い。教養として、笛の作りを知っていたとしても不思議ではなかった。
さて、『彼女』が今、吹ける曲は、あの世界で日常的に触れていた、酒場で歌われるような、若干崩した神話音楽だ。
そんな酒場で、魔力を込めて客を癒すのは、笛でなくあくまで歌声。
笛には魔力は求められず、ただ歌声に添えるものとして、旋律を導く事が求められていた。
――わたしは誰のために力を振るうべきでしょうか? 何に誓いを立てるべきでしょうか?
愛しいと思ったのは笛吹きの彼です。許されるならば、彼に支えられることを願ったでしょう。
ですが、彼はもう居ません。誤解の果てにその命は貴方に捧げられました。
夜明けの地の竜よ、私に答えは見えないのです――
冒険譚であり、悲恋であり、創世譚でもある、あの世界であまりにも有名だった神話だ。
様々な記憶を呼び起こしながら、感情を込めながら、しかし魔力は込めずに『彼女』は吹いた。
午後4時45分 召喚者の屋敷 地下室
元太に聞かれたら困る話は、隣の部屋に移り、ふたりきりで、かつ言葉を変えて話すことになっている。
あるじが何の用件で来たのか分かっていたから、一曲吹いた後、疑問を持たずに『彼女』は部屋を移った。
移動した後、あるじは、真っ先に用件に切り込むのではなく、まず一言、曲を聞いた感想を告げたが。
召喚者「“貴女、本当に笛が上手いのね”」
蘭?「“種族として、たしなみでしたから。
種族の名前の由来が、『笛 の 民(イル ン クス)』ですから、一通りは使いこなせます。
……まあ、笛(イル)より、歌に重点を置いた稽古でしたけど”」
召喚者「“そう?
ところで、……あなたに手紙を書いた女性への対応なのだけど”」
『彼女』が予想した通りの話題だった。今日までに考えをまとめるようあるじに言われていたから、当たり前なことだ。
蘭?「“その人に接触するべきかどうか、私の考える通りに、……できるだけ動いてくれるんでしたよね”」
召喚者「“ええ”」
蘭?「“色々考えたんですが、迷ったんですが、……決めました”」
召喚者「“……そう。聞かせて?”」
蘭?「“相手が、ある程度私の世界の事を知っているのは間違いないでしょう。
『笛の民(イルンクス)』相手に、この笛(イル)を贈ったり、……そもそもあの手紙の文章、私の故郷の物ですから。
あの手紙に書いてあったことは、半分以上信じています。本当に確証は持てませんけど。”」
召喚者「“そうね”」
蘭?「“少なくとも、そんな知識を持った存在が、警察の傍に居るのも事実で……、だから、早々には接触は出来ません。
最低限、自分の身体の問題が解決しない限りは、直に会うこともできません。
だから……”」
召喚者「“だから?”」
蘭?「“手紙に書いてあったことの確証を得るために、直に会わずに、相手が発言するように狙います。
これから、……二回ほど、あるじに、掲示板(BBS)への書き込みをお願いすることになりますけど。
今発生している私の部屋の問題と絡めて、相手に伝えたいことを、書き込んでもらいたいんです”」
召喚者「“二回ならば私の魔力も問題なさそうね。……それで、どんなことを書くの?”」
蘭?「“それは、ですね……”」
ttp://hide14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/************/
【被疑者】拘置所被告殺人・考察&まとめスレ138【誘拐中?】
817:◆MsSuccubus [sage]:20XX/09/03(火) 21:31:42:21 ID:LLLLLLLLL
こんばんは。召喚者です。例の如く他人の端末から書き込んでいます。
サキュバスから伝言です。伝えたい内容は以下の通りです。
=============
・警察の皆さんへ
どこの話か言わなくても分かると思いますが、定期的にカメラが故障している場所があるはず。
カメラで監視すること自体は止めはしないけど、三脚を壁際に寄せてもらえると助かります。
毎日、こちら側で魔力を流し、こっちが仕込んだ仕掛けの作動試験をしているんだけど、
カメラの位置が悪く、魔力の集中するポイントがジャストヒットして、毎日試す度に機械が壊れてるから。
これでは、必要なときに手紙を転移できても、紙が燃え上がってしまいそうで、怖くて送れない。
818:◆MsSuccubus [sage]:20XX/09/03(火) 21:31:42:24 ID:LLLLLLLLL
・召喚者が警察と接触したときに、警察経由で私宛に手紙をくれた、自称元法学者さんへ
手紙は読みました。添えられた笛は贈り物でしょうか? それならば、ありがとうございます。
末尾の文章も読めました。懐かしい私の世界の文章です。
意味は『貴女のような種族は、私の世界では、○○(※種族名) と呼ばれていた』ですね?
手紙に書かれた貴女の話は、半分以上信じています。
末尾の文章の書き方も、貴女の身の上話とは矛盾しない書き方です。
昔の方は(特に貴女のような職業の方は今も)、種族名や個人名を書くとき、その名の後に広めに空白を置いていたと聞いていますから。
ただ、半分以上信じてはいますが、書かれた内容が本当に真なのか、私には確証が持てません。
もっと詳しい経緯を書いた、あちらの世界での身の上話を、当時の情勢や地理を交えて、こちらに書き込んで頂けないでしょうか?
その時は、他人のなりすましを防ぐために、私に贈った手紙の日本語部分のみ、トリップ付きで、改めてこちらに書き込みをお願いします。
それ以降の同一のトリップの書き込みは、元法学者さんの書き込みと見なします。
貴女の話が本当に真実であるのかは、詳細な身の上話の内容を見て判断します。
820:◆MsSuccubus [sage]:20XX/09/03(火) 21:32:03:27 ID:LLLLLLLLL
なお、書き込みの時は、種族の名も、個々の名も、地理も、できる限り固有名詞を出すのは避けて下さい。
(単に目指していただけの職業ですが)職業柄、固有名詞を現地とは違う文字で書かれるのはまだギリギリ許容しますけど、
書かれたその結果、全く違う発音で読まれるのは大っ嫌いで、すごく気に障るんです。
貴女の身の上話が真実だと判断すれば、またここに書き込みます。
その時は、将来私の身体の問題が解決したとき、私がどこに自首したいのか、その場所を、貴女には分かる形でここに書き込みます。
あえて、この世界では『サキュバス』と名乗った女より
591 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/09 00:15:19 PzC4ATAk 516/754
遅くなりました。今夜の投稿は以上です。
↓1 次のシーンは誰を出しますか? 但し、>>569以降で出たキャラは除きます(=『コナン』『英理』『召喚者』『サキュバス』『元太』)
それ以外のキャラで、これまでの話で名前が出たキャラを自由に選んでください。
↓2~4 ファンタジー世界っぽい身の上話を考えてください。これまでの設定とは矛盾しないようにお願いします。
(※これまでの設定=軍所属の女性神官として、戦乱に参加中、事故のような形で異世界に弾き飛ばされた)
592 : 以下、名... - 2014/02/09 00:43:46 5BqOQclM 517/754目暮警部
593 : 以下、名... - 2014/02/09 10:21:17 AjwiM6uc 518/754帝国の南端で直轄領の大きな港町の生まれで、実家はそこの代官の下っ端
午後9時40分 警視庁 捜査一課
佐藤「(……よっし、これで書類作成は終了ー)
警部、今日はお先に失礼します」
目暮「いやぁ、すまないね佐藤くん。
退院早々に、あまり残業はさせたくなかったんだが」
佐藤「いえ、体調崩して入院したわけではありませんし、
……それに、高木くんがまだ出勤できない状況では、居る人でフォローするのが当然ですから」
目暮「ああ、……そうだろうな」
松本「……ぉお、佐藤はまだ残ってたのか!?」
佐藤「!! 今、帰るところでした!! 管理官も残られていたんですね!?
……私に何か御用ですか?」
松本「いや、特に用事という訳ではないんだが、……『サキュバス』の件で、先ほどまた掲示板に書き込みがあったそうだ。
念のため確認したいことが有って、な。
この紙が、書き込みの内容なんだが……」
佐藤「…………
本当に、召喚者が書き込み代行したのか判別は付きませんが、……間違いなく、犯人側の書き込みだと思います」
松本「……秘密の暴露が、書き込みの中に有るのか」
佐藤「はい。えっと、……書き込みを見ればわかることですけど、笛と、手紙、
……私が神奈川の廃校まで連れ出された時、犯人側に渡した荷物の中に入っていたんです。
召喚者が荷物の中の物を全て検分して、私も何が入ってるのか解説しましたから。
手紙も笛も、捜査本部の方から荷物に入っていることは教えられてましたけど、私は、手紙の文面までは知らされてませんでした」
目暮「手紙と笛か、……そんな物を、渡していたのか」
佐藤「……はい。目暮警部は御存じなかったんですね?」
松本「知らなかったのはワシも同じだ。
おそらく、捜査本部の中で秘密にしていたんだろう。
こんな内容の書き込みを見れば、おおよそ何が書いてあったのか判断がつくがな。なあ、目暮?」
目暮「『サキュバス』と同じ世界の知識を持つ、元法学者、……『貴女』という文字からおそらく女性の方と、捜査本部が協力していて、
……手紙の中では、少なくとも、その女性の異世界での職業を含む身の上話と、『サキュバス』の世界の文字が書いてあった……」
佐藤「……そんな知識がある方と、捜査本部が、協力できていたんですね」
597 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/09 21:30:36 7zYdtLVg 521/754内容が薄くてすいません。今日の投稿は以上です。
明日の投稿は遅れます。警察サイドの話が続きます。
↓1 ファンタジーっぽい世界で、神官になった経緯を考えてください
↓2 ファンタジーっぽい世界で、戦乱が発生した経緯を考えてください
598 : 以下、名... - 2014/02/10 12:39:56 1.4Xt.tw 522/7549歳の時に父が仕事をクビになり、口減らしを兼ねて神殿に預けられた
叔母が神殿勤務だったから頼ったかたち
599 : 以下、名... - 2014/02/10 15:33:50 499i/g.A 523/754きのこ派かたけのこ派か
600 : 以下、名... - 2014/02/10 18:51:14 twlsb/X. 524/754封印していた魔物達が復活した
目暮「では、前半の、警察宛ての書き込みについては……」
佐藤「(……『手紙が転移できない云々』ってことは、おそらく蘭ちゃんのお部屋での話、でしょうね。
そこに設置した警察のカメラが、場所が悪くて定期的に壊れてる……)
申し訳ありません、警部。
どこの話題なのか想像は付くんですけど、……どこが舞台になった話題なのか、
公になっていない事柄は、上司の方でも口外しないよう、捜査本部に言われているんです」
目暮「!! 申し訳無い、それもそうだな」
松本「……佐藤」
佐藤「はい」
松本「一応確認しておきたいんだが、……本当に、こちらが犯人側に渡した手紙の内容は、知らないんだな?」
佐藤「はい。手紙は読まずに渡すように、言われていましたから」
松本「ならば、手紙の文面を書き込むことも出来ないはずだな?
……念のための確認だが、独断で、そんな捜査妨害じみた事、出来るわけが無いし、するはずが無いな?」
佐藤「当たり前ですよ管理官……!! そんな事、私、しませんよ!」
松本「スマン、……確認だけはしておきたかったんだ」
午後9時45分 警視庁 拘置所被告殺人事件 特別捜査本部
RRRR RRRR ……ガチャッ
刑事L「夜分遅くに申し訳ありません。
警視庁の者ですが、粟倉(あわくら)先生のご自宅でしょうか?」
他の捜査員に見つめられながらの通話だった。
刑事が会話する相手は、落ち着いた声の、年配女性。
粟倉「お電話、お待ちしておりました。……『サキュバス』の事件の、捜査本部の方ですね?」
刑事L「はい」
粟倉「書き込みの件ですね? 先ほど、9時半頃にいつもの掲示板にあった、犯人の……」
刑事L「はい。内容ご覧になったのですか?」
粟倉「今、読み終わったところでした。
……こちらから、そちらに電話しようかとも思っていたところでした」
刑事L「そうでしたか。……今、お時間は大丈夫ですか?」
粟倉「ええ、どうぞ」
刑事L「有り難うございます、あの、掲示板の返信についての相談なのですが」
粟倉「警察にとっては、……私が勝手に返信するのは困るんでしょうね」
刑事L「え!? 先生、まさかひとりで内容考えて書き込むつもりなんですか!?」
粟倉「独断で、そんなことする気はないですよ?
この件では、貴方方警察には、協力出来たら良いと思っていますから」
刑事L「そうですよね!? イヤ、ビックリしました……」
彼女は、少し笑った。
粟倉「フフフ、……私が若ければ、『今からでもそちらに伺って一緒に相談しましょう』と、なるんでしょうけど……
流石にこの年齢になると、夜のこの時間に、今からじっくり話し合って書き込み内容を決める、というのは難しいですね」
刑事L「では、明日。警視庁にて、ご相談頂くことはできますか?」
粟倉「……少なくとも、『私の了解なしに、警察が返信を勝手に書き込まない事』を、お約束して頂けるなら」
刑事L「それは、最初からそのつもりです。明日、先生の御都合の良い時間に合わせますが……」
粟倉「一日予定が開いていますから、朝以降ならいつでもどうぞ」
刑事L「では、こちらから迎えをよこします。午前10時頃にそちらに伺いますので」
粟倉「午前10時ですね、ではお待ちしております」
刑事L「ご協力、ありがとうございます。……あの、今の段階で教えて頂きたいことが有るのですが」
粟倉「……何でしょう?」
刑事L「『サキュバス』が目指そうとした職業、粟倉先生は何だと思われますか?」
粟倉「……『彼女』は、発音に、特に固有名詞の発音にかなり気を使ってますよね?
私が思いつくのは、職業魔術師さんですね。それも、詠唱か、歌で、術を編み上げていく形式の」
刑事L「職業魔術師、ですか?」
粟倉「詳しくは明日、お話しましょう。細かく説明しようとすると、たぶんいつまで経っても話が終わりませんから。
それにしても、……こんな形で自分の記憶の裏付けが取れるとは思いませんでした。
ずっと、19歳のあの日から、……自分のもうひとつの記憶の、真偽を疑っていたんです」
刑事L「……そうだったんですか」
粟倉 葉(あわくら よう)。62歳。女性。某国立大学法学部の元教授で、現在は弁護士。
40年以上、人知れず異世界の記憶を抱え込み続けた彼女の苦悩は、確かに、誰にも理解できない類のことであっただろう。
606 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/11 00:38:16 a64P.3BM 529/754失礼しました。誤植訂正。
↓1 作中の9月3日のイベントは終わりました。日を進めますか? それとも他のキャラの描写を挟みますか?
『日を進める』『キャラ描写を入れる』の2択で選んで下さい。後者の場合はキャラを指定してください。 (キャラの制限はありません)
なお、9月4日の最初のシーンは、オートで警視庁の特別捜査本部になります。
607 : 以下、名... - 2014/02/11 00:57:34 Lul3zRdw 530/754日を進める
午前10時22分 警視庁 拘置所被告殺人事件 特別捜査本部 会議室
刑事に案内された粟倉弁護士が会議室に入ってくると、挨拶もそこそこに協議が始まった。
テーマはもちろん、あのインターネットの掲示板に、どう書き込むか、ということだ。
粟倉「……昨晩、電話で確認しましたが、『私の承諾を得ていないことは書き込まない』という事で良いでしょうか?
先日手紙をお渡ししたときは、内容は全て私が考えて、その後で警察のかたのチェックが有りましたけど」
警部N「はい。実際に書き込むのは我々になりますが、今回、書き込みの内容は先生に御納得頂けた物を、と、考えています。
(こっちが独断で書き込んで、不信を抱かれて、……協力してもらえなくなると不味いからな)」
粟倉「分かりました」
刑事O「取り合えず、……『あちらの世界』での生い立ちを、改めて、思い出せる限りお話しして頂けませんか?
どんな風に書き込みの内容を纏めるかは、その後で可能でしょうから」
粟倉「そうですね。……あちらの世界での生まれ故郷は、南の港町でした。
トップに皇帝が居て、領主が存在するような地域で、……そういう帝政国家の南の端の、帝の直轄領の大きな港町で。
……名目は直轄領ですけど、実際は代官が統治する町で、父は、その町で役人をしていました。
まぁ、そこまで偉い立場でも無かったんです。……父はそこの代官の下の、末端の役人でした、……私が9歳までは」
警部N「では、……9歳になって以降は?」
粟倉「詳しい事情は知らないんですけど、その年に父は役人をクビになったんです。
それで、口減らしを兼ねて、私は神殿に預けられました。母方の叔母が神殿勤務だったので、それに頼った形です。
……家を離れるのは嫌でしたけど、神殿に預けられたこと自体には不満は無かったですよ。
一家離散で売り飛ばされて悲惨な目に遭う話とか、そういう話を聞いたことがある位には、貧しい世の中でしたから」
刑事L「それで、神殿に預けられてからは、どうなりました?」
粟倉「……幸か不幸か、神殿から追い出されない位には才覚を認められまして。
『破壊』や『呪詛』の魔術が得意だったので、……21歳の時に戦乱が発生して、軍に派遣されることになりましたけど」
刑事O「……どんな戦乱だったか、覚えておられますか?」
粟倉「戦乱の発端になったのは、私が育った町でなく、それより北東の方にある大きな町です。
明らかな禁術ですが、『何者かが、森の生き物に魔物の意思を大規模に埋め込んだのが原因だ』と、言われています。
キノコやらタケノコやら、草、木、花、……とにかくそういう森の中の生命が肥大化して、意思を持って互いに争い始めて、
おまけに町を蹂躙することに関しては互いに協力するらしく、……いろんな町が攻められて壊滅した、と。
……魔術とは縁遠いこの世界では、あり得ない話でしょうけどね」
警部N「それは、……そうですね」
粟倉「軍の上層部は、『相手を止めるには、最終手段を使うほかない』という結論に至ったようでした。
かなり酷な話ですが、関係無い者を巻き込むのを承知で、時空を弄って一気に植物の軍団を消滅させることを決めて、
……でも、その魔術も起動に失敗して暴発。私は、術式の暴発に巻き込まれて、この世界に弾き飛ばされたんです。
私以外の軍人も、周りにたくさん居ましたから、この件ではかなり犠牲が出ていると思います。
論理上、異世界に弾き飛ばされる者よりは、身体が一瞬で消えた者の方が多いはずですから」
刑事L「貴女のように生き延びた事例は、珍しいと、考えたほうが良いでしょうか?」
粟倉「そうでしょうね。ここは、異世界の者にはかなり厳しい世界ですから。
私は、飛ばされた先で、目の前に瀕死の子が居たから助かりましたが、……そんな状況に恵まれない確率の方が高いでしょう。
生き残ったのが自分一名だけであったとしても、不思議ではないです」
警部N「では、粟倉先生。
きのう電話でお話しした話題だと思いますが、……『サキュバス』は、どんな職業を目指していたと思われますか?」
粟倉「自分が思い付くのは、職業魔術師さんですね。詠唱か、歌を使う流派の魔術師さんが思い浮かびます。
犯人の子の種族、歌を使う方の女性の魔術師さんが有名でしたね」
刑事O「あの、詳しくは分からないのですが、貴女は神官でも魔術を使えたわけですよね? 魔術師と神官は違うんですか?」
粟倉「職業として、明確に別です。
神官は、神殿に所属します。また、神官だからと言って、必ずしも魔術の使い手だとは限りません。
もっとも、魔術を上手く使えない者も、教養として魔術の知識は学びますが。
ちなみに、私のように魔術の使える神官が軍に派遣されたのは、歴史上でも相当なレアケースです」
刑事L「では、魔術師は?」
粟倉「文字通り、魔術を使う方々です。魔術の使い手で、それ一本で身を立てている方を、特に職業魔術師と言います。
魔術には様々な流派が有って、それぞれの流派によって得意不得意が有るので、適性に合わせて流派を選ぶようですね」
刑事O「先生の流派は、どうなるんでしょう?」
粟倉「……そうですね。言うなれば『神殿の流派の魔術』の使い手、でしょうか。詠唱しか使わない流派でした。
『破壊』も『呪詛』もそこまで重点は置いていない流派なのに、私、得意なのがその2種類だけ、っていう変わり種だったんですよ」
警部N「『サキュバス』の子が使う魔術は、どんなものか想像は付きますか?」
粟倉「まず間違いなく、『解析』は使えるはずですね。
他人の、……その、不倫だのラブホテルだのどうこう、と、見抜いた書き込みがありましたから。
種族的な一般論ですが、それ以外で良くあるのが、『心理操作』『記憶投影』『治癒』『過去視』、それからたまに『結界』『転移』。
物事を解析したり見抜いたりするのが得意な種族で、攻撃したり破壊したりというのは不得意なはずです」
警部N「……そうですか、そんな事が得意な種族なのですね。
話を戻しますが、……実際にこちらがネットに書き込む場合、戦乱の経緯は絶対に必要になるでしょう」
粟倉「そうですね。……森の中の植物が肥大化してどうこう、というのは、知らない者には分からない話ですから」
警部N「……それで、粟倉先生が、こちらの世界に弾き飛ばされた日の日付、覚えてらっしゃいますか?
暦の知識が犯人側と一致すれば、犯人側の判断の決め手になると思うのですが」
粟倉「!! それもそうですね!! えっと……」
615 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/11 21:13:04 a64P.3BM 537/754
今日の投稿は以上です。
投稿ミス失礼しました。>>611は読み飛ばして頂けると幸いです。
↓1 異世界の術式暴走事故が起きた年月日はいつ? (異世界の暦を適当に考えて日付を創作してみてください)
↓2~明日の午後8時まで募集 その他、刑事達の粟倉弁護士への質問は? (無い場合は話がオートで進みます)
616 : 以下、名... - 2014/02/12 18:51:51 3FCz6uzY 538/754帝政開始から318年目の2番目の月の第1週の3日目
粟倉「あちらの暦は、最初の帝の統治が始まってからの通算年数で年を数えてたんですが……
その暦で、帝政318年目の、2番目の月の第1週、……確か3日目でした」
警部N「ちなみに、生年月日はいつになります?」
粟倉「296年目の12番目の月の、第2週の4日目です。
317年目の、私の誕生日の次の日に、軍への派遣が決まったのを覚えています。
それで、即席の訓練を受けながら年を越して、戦地に派遣されて……」
刑事O「細かい日付はともかく、その年の、……318年目の最初の辺りなのは間違い無い、でしょうか?」
粟倉「その年の、2番目の月になって事故に遭った、……ことまでは、自信を持って言えます。
一緒に派遣された後輩が、その月の最初の日の生まれで、お祝いの言葉を言った記憶がありますから」
刑事N「そもそも、1年は何日だったんです?」
粟倉「1年間の日数そのものは、こちらと変わらないはずです。
1週が6日間で、1か月は第1週から第5週までの30日間、それが12か月で、360日。
12番目の月の後、5日間か6日間の、月にはカウントされない祭日の週があって、一年間は365日か366日になります」
警部N「なるほど。そういった暦の情報は、やはり、こちらの書き込みの中に入れたほうが良いでしょうね。
少なくとも事故に遭った日の、年と月までは」
粟倉「そうでしょうね」
警部N「ところで、……その、これからこちらが行う書き込みの内容なのですが、
『8月31日に渡した手紙の内容を丸ごと書き込む』のは、まず確定です。それが証明として求められていますから。(※作者註 >>589)
それから、『貴女が生まれた年月日』『生まれた町のこと』『神官になった経緯』、
そして、『戦乱の原因』『世界を渡る羽目になった事故の原因』と『事故が発生した年と月』、そこまでは書き込むことが決まりですね」
粟倉「そうなりますね」
警部N「そこから更に、これは書き込んだほうが良い、という事は有りますか?
例えば、『サキュバスが目指していた職業についての推測』や、『サキュバスの種族の特徴』は、書き込んだほうが良いでしょうか?」
粟倉「あの子の種族、……私、おそらく偏見込みの一般論しか知らないですよ?
……あの種族の知り合いが居なかったわけではないですが、あの種族とは、そこまで深い交流は無かったんです。
私の知識が実態に合わない可能性は、否定できないですからね?」
刑事O「詳しく知らないけど、という前提を書いた上で、あえて『自分が知っている種族の特徴』を書くのは、有りかも知れませんよ」
粟倉「そう、でしょうか?」
警部N「とにかく、メリットとデメリットをよく考えて検討しましょうか?」
619 : ◆oJG7c/xJmM - 2014/02/12 21:58:51 xp0VLQPI 541/754今日の投稿は以上です
↓1 『サキュバスが目指していた職業についての推測』は、書くべきでしょうか? 『書くべきだ』『書くべきでない』の2択でどうぞ。
↓2 『サキュバスの種族の特徴』は、書くべきでしょうか? 『書くべきだ』『書くべきでない』の2択でどうぞ。
↓3 次のシーンは誰目線にしますか? これまで出た人なら誰でも可です。
620 : 以下、名... - 2014/02/12 23:38:30 jJvoXJvs 542/754書かなくてよい
621 : 以下、名... - 2014/02/13 18:16:13 Y8FZYg6Y 543/754書くべき
622 : 以下、名... - 2014/02/13 18:38:33 QPBV2EFs 544/754哀
第3話 【 後編 】 へ続く。