佐天「なにこの能力?」
初春「さあ?」
元スレ
佐天「あらゆる穴をゆるくする能力かあ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1311400389/
佐天「使い道に困るんだけど…」
初春「そんなの私に言われても…」
佐天「百歩ゆずって『あらゆる穴』ってとこまでは良いわ」
初春「いいんですか?」
佐天「『あらゆる』って響きが好きだから」
初春「そうですか」
佐天「でも『ゆるくする』ってなに、『ゆるくする』って」
初春「さあ?」
佐天「いくら、超能力はなんでもありだからってこれはひどいと思う」
初春「佐天さんだけの現実が『穴をゆるくする』だなんて」
佐天「……ねえ、初春」
初春「なんですか、佐天さん」
佐天「せっかくあたしも能力手に入れたしここは一つ…」
初春「わたしの穴は貸しませんよ?」
佐天「っち」
初春「やっぱりわたしの穴をゆるくするつもりだったんですね?」
佐天「あたし達、友達じゃん」
初春「友達でもやって良い事と悪い事があります」
佐天「穴をゆるくするのは悪い事なの?」
初春「少なくても良い事ではないでしょう」
佐天「っち」
初春「舌打ちしないでください」
佐天「っち」
初春「怒りますよ?」
佐天「っち」
初春「あ、もう怒りました。プッツンです」
初春「わたし佐天さんとはもう友達じゃないです。近寄らないでください」
佐天「初春それ本気で言ってんの?」
初春「本気です。本気と書いてマゾと読みます」
佐天「くそう」
初春「分かったらどっか行ってください。間違ってもどっかに逝かないでくださいよ?」
佐天「初春のくせに」
初春「なんですか、そのたいど」
初春「これ以上プッツンさせるつもりですか?」
佐天「ふーんだ、友達じゃない初春なんて、いくらプッツンさせてもいいんだもん」
初春「なんですか、その理屈は」
初春「人に迷惑かけるのなら、ジャッジメントとして拘束しますよ?」
佐天「あ、あたしを捕まえる気なんだ」
初春「必要とあれば、いくら佐天さんでも」
佐天「ふ~ん、なら仕方ないわね」
初春「え?」
佐天「初春にそういう態度をとられちゃあ仕方ない」
佐天「あたしもあたしを守るために戦わざるを得ないわね」
初春「え?ええ?」
佐天「逝くよ!初春!」
初春「さ、佐天さん!字が!」
佐天「問答無用!え~~~い!!!」
初春「きゃああああああああああああああああ!?」プシャー
佐天「ふっ、またつまらぬものを逝かせてしまった」フキフキ
初春「ひ、ひどいですよう佐天さん」バタッ
佐天「ははははははは、この能力に目覚めてしまったあたしに敵うやつなんざいないのよ!」
初春「佐天さん、なにげに気に入ってるんじゃないですか、その能力」
佐天「!」
佐天「初春、まだ息があったのね?」
初春「そりゃおもらししただけで、別に怪我したワケじゃないですから」ムクリ
佐天「くっ!?」
初春「にしても危険な能力ですね」ポタポタ
初春「安易に能力を使わさせないためにも、ここはお仕置きが必要です」ボタボタ
佐天「くそう」
佐天「こうなったら…」
ここで佐天は思わぬ行動に出る。
まず手始めに先程と同様、初春の膀胱、および尿道をゆるくした。
ちなみに佐天はこの時はまだ気付いていないが、この能力、実はただ穴をゆるくする
能力ではなく、穴があいていれば例えホースのような長い管状のものでも金属などの
硬いものでも、関係なくゆるくさせる事が出来るのだ。
これは非常に戦略を考えるにおいて大きいと言える。
なにせ、穴さえあいていればゆるく出来るのだから。
さて、佐天が膀胱と尿道をゆるくした瞬間、初春の動きが若干鈍った。
そのわずかな動作の遅れを今の佐天は見逃さない。
ほんの数瞬、佐天は自分のたくらみが成功したと確信し、すぐに次の行動
に出た。
佐天「ここよ!」
間髪いれずに佐天がとった行動、それは……。
初春「きゃ、きゃああああああああああああ!?」
人間を一個の穴の開いた器としてとらえ、ゆるくしたのだった。
すなわち……初春自身をゆるくしたのだ。
初春「こんな、バカな…」
初春にはなにがなんだか分からない。
ただ、自身がゆるくなったとしか認識できていない。
佐天「ごめんね、初春。あんたにはあたしを捕まえられない」
佐天が放った台詞に他意はない。
なぜなら佐天自身がそう感じているからだ。
あたしはだれにも捕まらない……と。
確かに先程の佐天の能力を見れば多くの人が納得するだろう。
いくら口から肛門まで一本通った穴があるからといって、まさか人体そのもの
をゆるくするなんて。
佐天「じゃあ、あたし逝くよ」
そうかつての友に言い残し、佐天は一人陽炎の中に消えていった。
初春「あ、あうぅ、あぁ」
そんな佐天の後ろ姿を見ながら、初春の意識は薄れ、まどろんでいく。
自分じゃ、友達を止められない。
そんな悲しみと苦しみを抱きながら。
初春「はっ!?」
初春「知らない……天井」
美琴「あっ、初春さん。目が覚めた?」
初春「ココは…」
黒子「病院ですの」
初春「白井さん…」
初春「そうですか……って!」
初春「佐天さんは!?」ガバッ
美琴「あっ動いちゃ!」
初春「へ?」グニャン
初春「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁ」
黒子「だめですわ、初春。あなたゆるくなってるんですから。急に起き上がっちゃあ」
初春「夢じゃ……なかったんですね」
黒子「…」
美琴「……ええ」
美琴「一応、あたしの電気で初春さんの身体の電気信号にアクセスして
元には戻そうとしたんだけど」
黒子「想像以上にゆるくなりすぎていて、まだ頭の部分までしか固定出来ていませんの」
初春「そうだったんですか」
美琴「で、でも心配しないで!ここのゲコ太に似たお医者さんは凄腕らしいから
きっと治るよ!」
初春「……」
黒子「……初春、こんな状態になったあなたに聞くのも酷だとは思いますが」
黒子「いったい何があったんですの?」
初春「それは……」
初春は言葉に詰まった。
どう説明すればいいのか分からなかったからだ。
「友達が能力に目覚めて、ゆるくさせられてしまった」と一言で片づけられそうな
ものだが、いくらゆるくさせられてしまったとはいえ、友達をこんなにもあっさり
売っていいのか?
初春の良心がさい悩む。
初春「わたし、わたし……」
黒子「つらいかもしれませんが、初春。わたくしたちはジャッジメントですの」
黒子「学園都市の平穏を脅かすものは排除しなければいけません」
黒子「あなたも分かっているでしょう?」
初春「……」
黒子が何気なく放った「排除」という単語。
それが初春に重くのしかかる。
初春(佐天さんが……排除される?)
初春(あんなにいっぱい苦労して、あんなにいっぱい落ち込んで、あんなにいっぱい
泣き崩れていた佐天さんが……やっとの思いで穴をゆるくするという能力を
手に入れた佐天さんが、排除される?)
初春の脳裏に過去の佐天との記憶が甦る。
初春(佐天さん佐天さん佐天さん!)
初春の頭は佐天の事でいっぱいだ。
黒子「……」
美琴「ねえ、黒子」
黒子「分かってますわ、お姉さま」
黒子「初春、わたくしたちは一旦支部に戻ります」
美琴「またお見舞い来るからね」
初春(佐天さん佐天さん佐天さん…)
美琴「聞こえてないわね」
黒子「ですの」
美琴「やれやれ」
~~~支部~~~
黒子「さて、初春のあの表情からも分かったように」
美琴「犯人は佐天さんね?」
黒子「ええ、そもそも初春の親友の佐天さんがお見舞いに来ていない事からも
おかしいとは思っていましたが」
美琴「初春さんの様子みちゃったら、やっぱそうなのよね」
美琴「まさか、この間までレベル0だった佐天さんがねえ」
黒子「人はなにか大きな力を手にした時、それを使ってみたいと思うものですから
仕方ないと言えば仕方ないですけど」
美琴「でもあれはやりすぎよ」
黒子「ええ、わたくしもそう思います」
美琴「で、どうするの?」
黒子「言わずもがなですわ、お姉さま」
美琴「じゃあやっぱり…」
黒子「はい。佐天さんには、捕まえてお説教してさしあげる必要がありますの」
美琴「そうね」
黒子「お姉さまはどうするおつもりですか?」
美琴「そんなの決まってんじゃん」
美琴「もし佐天さんが間違った道進もうとしたら、連れ戻してあげるってのが、本当の友達よ」
美琴「たとえそれが、力づくでもね」
黒子「ですね」
黒子「そうと決まれば!」
美琴「行くわよ!決選のバトルフィールド!!!」
そこには、一人の少女が佇んでいた。
足元に転がるのは、無数の人の形に似たナニか。
否。
無数の人の形を保てない、人、だった。
「ふふっ」
少女は笑う。まるで愛玩物を愛でている小さな女の子のような表情で。
「うふふふ」
少女は笑う。まるでこの世界が自分を中心に回っているとでも言いたげな表情で。
「うふふふふふふふふふ」
少女は笑う。新しいおもちゃが二つ、自分の目の前に現れた事に対して。
美琴「佐天……さん」
黒子「随分、変わられましたね」
呟きながら、二人はすぐに臨戦態勢を取った。
目の前にいる少女は、確かに自分達の友人の佐天涙子に違いない。
……だが。
だが、この威圧感はなんだ?
美琴はこれまで数々の強敵を目の当たりにしてきたが、ここまで強いプレッシャー
を放った敵と相対するのは初めての経験だった。
当然……
黒子「ううぅ」
白井黒子も例外ではない。
いくら日常的にジャッジメントとして危険と隣合わせの生活を送っているとしても
それはあくまで、普通の風紀委員の仕事としての範疇に収まる相手だ。
こんな化物を相手にしているわけではない。
黒子「うぅ、うぅぅぅぅぅぅぅ」
美琴「黒子!しっかりしなさい!」
黒子「わ、分かってますの!」
美琴の激が黒子に飛ぶ。
佐天「ふうん、御坂さんに白井さんじゃないですか」
その激に反応するかのように、佐天が口を開く。
佐天「どうしたんですか?」ボゥッ
美琴「くぅっ!?」
黒子「あぁぁぁぁぁぁぁ」
美琴「な、なんてプレッシャー?」
黒子「こっちをにらんだだけで、砂埃が舞い上がるなんて…」
美琴と黒子は気付かない。
佐天にそこまでのプレッシャーなど無いという事に。
気合で砂煙を巻き上げる芸当なんて出来ないという事に。
佐天「ねえ、どうしたんですかって、聞いてるんですよ?」
この時の二人は気付かない。
美琴「っち」
黒子「あ、ああああ、あなたを捕まえに来ましたの!」
すでに佐天の手の中に自分達が誘いこまれているという事に。
佐天「捕まえる?あたしを?」
黒子「ええ、初春の敵!とらせていただきますの!」
佐天「ふうん、そうなんだ」
美琴「……」
佐天「じゃあ、仕方ないよね」
美琴「……」グッ
佐天「壊しちゃっても!!!」グアッ
美琴「黒子!逃げて!!!」
黒子「へ?」
美琴が叫び終える暇もなく、白井黒子はゆるくなっていた。
黒子「あ、あぁぁぁ、ああああぁぁぁ」
黒子は驚きのあまり言葉も出ない。
まあ、声を出そうにしても、口も喉もゆるくなっているので出せるものでも
ないのだが。
美琴「黒子!!!」
美琴が、きっと佐天をにらみ返す。
美琴(こいつ、今、何をしたの?)
美坂は疑問に感じていた。
黒子がこんなに早くやられるとは想像していなかったからだ。
いくら相手の能力が未知数でも、瞬間移動能力を持つ黒子ならば、不意を突かれでも
しない限り攻撃をよけれると思っていたのに、こうもあっさりやられてしまうものなのか?と。
美琴(攻撃に何のモーションもなかった)
美琴(なんなの、この能力!?)
佐天「な~んだ、レベル4って言っても大した事ないですね」
佐天は意に介さない。
佐天「レベル5の御坂さんはもうちょっと、強いですよね?」
美琴「っく!?」ダン
美琴は戦慄からか、距離を取る。
結果、これが功を制す。
佐天「えい☆」
美琴「なっ!?」
グニャンと、地面が音を立ててゆるくなった。
佐天「あっ、失敗しちった」
美琴「ゆ、ゆるくなった!?地面が!?」
佐天「あ~あ、かわされちゃった」
そう、美琴と黒子が先程まで立っていた箇所、それは佐天によって穴を
掘られていた個所だったのだ。
穴さえあれば、ゆるくできる。
初春の戦闘でそれを理解した佐天は応用した。
つまり、穴がなければ、作ればいいじゃん!とう発想で。
結果、見事にこれは白井黒子を封殺するのに一役買う。
地面に穴を掘っておき、そのゆるさを自身でコントロールする事によって、
白井黒子の座標軸の転換にわずかなブレを造り出し、瞬間移動する暇も与えずに
彼女をゆるくしたのだ。
さきほど、砂埃を舞い上げたのは二人が穴の上に立っているのを確認する為の
所作である。
美琴「これが、あなたの能力!」
対象をゆるくする能力だとは分かっていた美琴だが、これには驚きを隠せない。
地面までゆるくできるとは想像だにしていなかったからだ。
美琴「地面までゆるくするなんて、お構いなしね!」
佐天「そんなに褒めないでくださいよう、照れるじゃないですか」
だが、この時の美琴はまだ気付かない。
佐天が対象に触れる事によって、はじめてゆるく出来るという事実に。
佐天の能力は確かに強大だが、大きな能力ゆえに、制約もまた存在するという事に。
美琴(どうしよう?ノーモーションでゆるく出来るなんて、効果範囲は?どこまで?半径なんメートル?)
佐天「どうしたんですか、御坂さん!?そんなに離れてないで、近くでお喋りしましょうよぅ」
美琴「いやよ!ゆるくされるなんて死んでも御免だわ!」
佐天「まさか~、ゆるくなるってのも、意外といいもんですよ?」
美琴「冗談は、休み休み言ってよ!」ブアッ
美琴によって作りだされた砂鉄の槍が、佐天めがけて飛来する。
佐天「効きませんよ、こんなの」
グニャンと、佐天の身体に当たったと思われた瞬間、砂鉄の槍は無残にも霧散する。
美琴「そ、そんな?」
次に美琴は電撃を放つ。
普通の闘いでは決して使わないであろうレベルの電撃を。
しかし、
佐天「だから無駄ですって」
やはり電撃も砂鉄同様、霧散して消えてしまう。
佐天「分かってないみたいですね、御坂さん」
佐天「あたしの能力は穴さえあれば、どんなものでもゆるく出来るんですよ?」
佐天「こんな穴だらけの武器なんか、あたしには効きません」
美琴「あ、穴をゆるく?」
佐天「そーですよぅ!こんな風に、ね☆」
佐天は先程まで佇んでいたビルに手をついた。
美琴「ま、まさか!?」
佐天「そのまさかですよ、御坂さん」
ビルは、音を立てて、ゆるくなった。
美琴「そんな、こんなのって?」
20階はありそうなビルがゆるくなりながら、御坂めがけて降ってくる。
美琴「くぅ!?」
美琴は砂鉄と電撃をビルに放つ。
だが……
ゆるくなったビルに多少のダメージは与えたものの、完全には破壊しきれない。
美琴「なんなのよ、もう!」
美琴は、対象を破壊しきるのはムリだと悟り、その場を離れる。
佐天「あれ~良いんですか。御坂さん?友達をほったらかしにして」
美琴「!?」
美琴はハッと自分がさっきまでいた位置に目をやる。
そこには、ゆるくなっている白井黒子が横たわっている。
美琴「黒子ぉぉぉおぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」
美琴は叫んだ。
佐天「えいっ☆」
ゆるくなったビルは一転、美琴から黒子へとターゲットを変える。
美琴「あぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!!」
懸命に、人類のスピードを能力によってはるかに超えるであろうスピードで
美琴は黒子に駆け寄った。
美琴「あたしのスピード!なめんじゃないわよ!!!!」
これがいけなかった。
佐天「かかりましたね、御坂さん!!!」
美琴はギョッとする。
なぜなら、そこには。
そこには、今まで見た事もないくらい大きな性器が、口を開けて待ち構えていたからだ。
美琴「な、ナニこれ?なんなのいったい!?」
佐天「見て分かりませんか?マンコですよ、あたしの」
佐天「ゆるくなってますけど」
美琴「きゃああああああああああああああああああ!?」
佐天のユルマンは、まるで自分の意志でも持っているかのように、美琴と黒子
を飲み込んだ。
佐天「ふふふふふふ、あっけなかったですね、レベル5も」
佐天はうれしそうにほくそ笑む。
実験の成果は上々だ。
美琴は気付くべきだったのだ。
佐天がビルをゆるくした時、少なくとも気付ける要素は揃っていた。
佐天はビルをゆるくするのに手をついていた。
つまり、美琴が最初に危惧したとおりモーションは存在したのである。
にも関わらず、黒子をゆるくした時にそのモーションは確認されていなかった。
この点にあのとき気付いていれば、少なくとも今のような結果にはならなかっただろう。
ふたを開けてみれば単純なもので、佐天は自分の性器を極限までゆるくしていた。
ただそれだけである。
ちなみに性器は佐天から切り離されてはいない。
あくまで繋がっている。
美琴と黒子が気付かなかったのは地面の下に佐天が隠していただけだ。
そもそも、佐天が戦闘の最中において、まったく立ち上がらずに
佇んでいる状態のままというのにも、二人はもっと気を配るべきだった。
とにもかくにも。
今となっては、もう遅い。
佐天「さーてと、どうなったかな?」
ゆるくなった性器からグポォという卑猥な音をかきたてて二人を吐きだす。
美琴「」
黒子「」
二人は、佐天の足元に転がっていた他の人間ともなんともつかないモノと
大差ない『モノ』になっていた。
佐天「本当は白井さんといっしょに美琴さんもやろうと思えばやれたんですけど」
佐天「レベル5がどんなもんか気になってたんで戦いましたが、こんなもんなんですね」
美琴「」
美琴は口をきけない。ゆるくなっているから当然だ。
佐天「さて、と」
佐天は自分の性器のゆるさを元に戻しながら呟く。
佐天「次は、ナニしようかなあ?」
佐天「あらゆる穴をゆるくする能力かあ」 完