1 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 22:46:58 oroowUy10 1/28

「私のブラジャー、知りませんか?」

「なんでそんなことを俺に聞くんだ」

「お気に入りのしましまブラジャーだったんですけど……」

「ほうほう」

「兄さん、不思議なこともあるもんですね」

「謎だなぁ、ミステリーだなぁ」

「この世に謎なんてありません。あるのは論理的帰結、ただそれだけです」

「格好いいな、なんか探偵みたいで」

「その私の探偵脳が犯人は兄さんだと告げています」

「なんでだよ!」


※前スレ
妹「Q・E・D!Q・E・D!」兄「え?」


元スレ
妹「犯人は……あなたです!」兄「えっ?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330868818/

9 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 22:52:20 oroowUy10 2/28

「なんで俺が盗んだと決め付けるんだよ!」

「兄さんしか居ないんです」

「俺がお前のブラジャーを盗ってどうするというんだ」

「その、すごく言いにくいんですけど」

「聞こうか」

「パッドの部分で兄さんのいきり立ったのものを包み込み……こうして」シュッシュ

「パントマイムは止せよ、生々しいから」

「直接言ってくれれば貸してあげたのに、盗るのが興奮するんですね」

「だから、違うってば」

11 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 22:55:42 oroowUy10 3/28

「兄さん、検めさせてもらいますよ」ゴソゴソ

「こら、勝手に部屋を漁るんじゃない」

「この前掃除したと思ったのに、すぐ散らかりますね」ゴソゴソ

「いいから、そんなとこまで手を突っ込まなくても」

「あ、えっちなDVDを発見しました」

「だから止せっての!」

「これは更なる調査が必要ですね。今掃除機とってきます」

「勘弁してくれよ……」

13 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:00:31 oroowUy10 4/28

「♪」

「見つかったか?お前のブラジャー」

「今のところまだですね」

「盗ってないんだからあるわけないだろ」

「一応弁明があれば聞きますけど」

「ていうか大体、盗ったものをいつまでもそのままにしておくわけないだろ」

「ふむふむ」

「使ったら証拠隠滅するだろうな、俺だったら」

「長期にわたって複数回使用する見通しがあると思われますので、その説は弱いですね」

「決め付けは良くないぞ」

「兄さん、この雑誌の山は捨ててもいいですか?」

「うん、いいよ」

「わかりました」

14 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:04:50 oroowUy10 5/28

「うーん……見つからないです」

「だから、最初からないって言ってるじゃないか」

「そ、そんな……私の推理が」

「推理じゃなくて決め付けと思い込みじゃないか?」

「推理を修正します」

「それは良かった」

「……出ました!犯人は兄さんでQ・E・Dです」

「どうあっても俺のせいにしたいようだな」

17 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:10:47 oroowUy10 6/28

「部屋にはないし、俺は知らないって言ってるのにか」

「これは仮説ですけど、いいですか?」

「一応、聞こう」

「私は兄さんがニートを脱却しようと、無駄なあがきをしているのを知っています」

「悪いか!」

「明日アルバイトの面接、あるんですよね」

「そうそう」

「一説によると、男性の方も気合を入れるときには勝負ブラを装着する人がいるそうです」

「どんな変態だよ」

「兄さんは明日の面接のために私のブラジャーを盗み、今現在も身に着けている……これが今回の事件の真相です」

「その奇想天外な発想だけは褒めてあげてもいいな」

「さ、兄さん。服を脱いで下さい。確かめさせてもらいます!」ズルッ

「あーれー!」

21 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:19:50 oroowUy10 7/28

「あれ……」

「へ、へくしっ!寒いよー」

「おかしいですね。身につけてないなんて」

「当たり前だろ!いいから服を返せ」

「兄さん、ゴロゴロしてる割には結構引き締まった体をしてますね」

「あんま食わないからな」

「ちょっと触ってみてもいいですか?」

「だめ」

22 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:23:32 oroowUy10 8/28

「どうも本気でなくなったみたいだな」

「私は初めからそう言ってますよ?」

「だってお前が下着がないとか騒ぐときはいつも……いや何でもない」

「再び推理の修正を余儀なくされています……」

「どこで無くなったんだ?」

「干してあったのがなくなったんです」

「それは下着泥棒とかじゃないのか」

「……ですよね」チラ

「俺を見るな、俺を」

23 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:28:48 oroowUy10 9/28

「外部の人間のしわざにしては、犯行があざやか過ぎます」

「そうなの?」

「現場検証を行いましたけど、私たち家族以外の足跡はありませんでした」

「靴を脱いで侵入してきたとか」

「それに、下着泥棒ならもっとたくさん盗んでいくんじゃないかと思うんです」

「大量の下着を持って外を歩いてたらおかしいだろ。必要な分だけ持ってたんじゃないの」

「それに、もっと可愛い下着も干してあったのにそれは無事でした」

「まぁ、そのへんは主観によるんじゃないか?」

「その主観を考慮すると、尚更しまもようの下着を盗むのは兄さんしか」

「たくさんいるって、そんな人間」

27 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:33:54 oroowUy10 10/28

「風で飛んでいったとかそういうことは?今日は風が強いし」

「そこはもう計算済みです。今日の最大風速はこれくらいで」

「ふむふむ」

「ブラジャーの重さがこれくらいで、面積がこうです」ピッポッパ

「電卓?」

「これに風向き、洗濯ばさみの圧力を加えて計算すると、家の外へと飛んでいくにはこれくらいの風速が必要となります」

「ふーん……ていうかお前頭いいな」

「流体力学くらいはマスターしないと探偵としてやっていけませんから」

「なんて才能の無駄遣いなんだ」

30 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:41:15 oroowUy10 11/28

「自然説は否定されてしまった訳だな」

「そういうことになりますね」

「超自然説というのはどうだろう」

「超自然説?」

「例えば、幽霊が盗んで盗っていったとかそういう類」

「はぁ……」

「UFOがキャトル・シュミレーションで盗んでいったのかもしれないぞ」

「それはそれで面白いですけど、UFOがなぜ私のお気に入りのブラを盗むんですか?」

「地球の文化の研究かも知れん。あいつら裸族だし」

「人間の社会で起こることは、人間の手によって犯行が行われるんです。これは推理のイロハですよ」

「たまにはそういう推理小説があってもいいじゃない」

32 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:45:21 oroowUy10 12/28

「兄さんにはがっかりしました。今の発言は言い逃れのためだと解釈させていただきます」

「やれやれ」

「私だってちゃんと裏を取ってきてるんですからね?正直に言うなら今のうちです」

「ウラ?」

「そうです。聞きたいですか?」

「うむ。というか聞かないと話が終わりそうにないし」

「それでは、今から証人を召喚させていただきます」

「おおげさだなぁ」

「お母さーん!どうぞー」

「まったく、何なの?晩御飯の仕度があるのに……」

「……」

33 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:50:53 oroowUy10 13/28

「お母さん、さっき私に言ったことをもう一度お願いします」

「一体なんだというんだ」

「んー、だから、洗濯物の取り込みをお兄ちゃんにお願いしたって。ゴロゴロして暇そうだったから」

「」ギク

「……ありがとうございました。干した時には私のブラジャーは?」

「ちゃんとあったわよー」

「さぁ兄さん。どうですか?」

「ど、どうですかって言われても」

「どうして洗濯物を取り込んだことを私に内緒にしていたんですか?」

「こういう風になるのが嫌だったからじゃないか……」

「よくわからないけど、もうすぐ晩御飯だからねー」

「はーい、お母さん」

「腹が減ってきたなぁ。そろそろ行くか」

「まだです、兄さん」




36 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/04 23:59:06 oroowUy10 14/28

「それでは次の証人です。おばあちゃーんっ」

「婆ちゃんまでこんなことに巻き込んでるのか」

祖母「一体なんの騒ぎかねー」ガチャ

「おばあちゃん、さっき私に言ったことをもう一度お願いします」

祖母「えとねー、お兄ちゃんが洗濯物の取り込みを頑張ってたよーって、そう話したけどねー」

「その時、私のブラジャーはありましたか?」

祖母「さーねー、あったような気もするけど……私も手伝ったけどもねー……」

「ありがとうございました」

祖母「喧嘩はしちゃだめだからねー。よいしょっと」

「ケンカじゃないですから大丈夫です……さぁ兄さん」

「な、なんだ一体」

「本当は欲しかったんですよね?」

「違うって」

「私はただ正直に話して欲しいだけなんですよ?それを忘れないでください」

「……」

38 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:03:44 xDt9D9oa0 15/28

「ま、まだごまかすとは見上げた根性です。それでは最後の証人を」

「こんどは誰だよ」

「おとうさーん!ちょっと来てください」

「えっ」

「妹ちゃんがパパに何の用なのかなっ?嬉しくて死んじゃいそうじゃないかっ!」ガチャ

「あからさまに怪しい奴が来たぞ、おい」

「お父さん、さっき私に話したことをもう一度お願いします」

「ん?ここのごくつぶしが洗濯物をたたんでたのを見たって話をしただけだが」

「うるせーぞハゲ!」

「ハタチすぎてパパに食わしてもらってるくせになんて口の聞き方だッ!コラッ!」

「るせー!バイトするっちゅーねん!」

「け、ケンカしないでください……ありがとうございました」

39 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:07:55 xDt9D9oa0 16/28

「以上です。さぁ兄さん、反対弁論を」

「と、言われても」

「つまり、洗濯物に関わってるのは兄さんだけなんですkら、これがどういうことかわかりますか?」

「それがお前の推理の根拠という訳だな」

「そうです、正直に話してくれれば今日は一緒にお風呂に入ってあげますから」

「なんだそりゃ、お前が入りたいだけじゃないのか」

「ち、違いますっ!兄さんがそうしたいかと思いまして」

「状況証拠が俺に味方してないのはわかったけど、決定的な証拠がないとな」

「それを見つけにここへ来たのですが、あてが外れました」

41 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:13:50 xDt9D9oa0 17/28

「まぁ、決定的な証拠がないんじゃ犯人にはできなかろう。裁判でもそうだ」

「司法の場ではそうでしょうね。しかし、人民裁判ではそうはいきません」

「何か恐ろしいことを言ってるな」

「皆さーん!私の推理はどうでしたか?」

「有罪だな。持ってるならパパに寄こしなさい」ガチャ

「居たのかよ」

祖母「おやおやー」ガチャ

「婆ちゃんまで」

「有罪。あんた今日は晩ご飯抜きだからねっ!」ガチャ

「そ、そんなー!」

「さぁ兄さん、もう楽になって下さい、ね?」

「違う……違うんだぁあああっ!」

42 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:18:27 xDt9D9oa0 18/28

~深夜~

「……」グギュルルル

「うぅう、腹減ったなぁ……」

「マジで晩飯抜きとか、一種のネグレクトじゃないのか?」

「成人後にネグレクトが適用されるかは不明だが……ちくしょう」グゥルルルル

「コンビニ言って何か買うにしても、金ないしなぁ」

「今日のあの様子だと、誰も金貸してくれなそうだし」



44 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:22:52 xDt9D9oa0 19/28

「あーあもうグレちゃおうかなー!」

祖母「お兄ちゃんやー、入ってもいいかいー」コンコン

「ん……婆ちゃん?」

祖母「ほっほっほ、これを食べなー」

「お、おにぎり?た、助かったぁっ!」

祖母「たくさんあるからねー」

「う、うまいっ!生き返るぅっ!!ハフハフッ」ガツガツ

祖母「つまらせちゃいけないよー」

「ふんがとっと」

祖母「はい、お茶があるからねー」カチャ

「ありがとー!」



46 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:26:37 xDt9D9oa0 20/28

「ふぅ……満足した」

祖母「美味しかったかいー?」

「あぁ、中身も俺の好きなもんばっかだったし」

祖母「そいつは良かったよー」

「これでバイトの面接も頑張れそうだ」

祖母「お金は大丈夫かねー?」

「電車賃くらいはなんとか」

祖母「はい。少しだけどお婆ちゃんがあげるからねー」

「え?いいの?」

祖母「いいんだよー。今日は可哀相だったしねー……」

「婆ちゃんマジ天使」

48 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:30:09 xDt9D9oa0 21/28

祖母「それじゃ、そろそろ寝ようかねー」

「あぁ、お休み」

祖母「面接、頑張るんだよー」

「うん……あ、婆ちゃんちょっといい?」

祖母「ん?」

「ちょっといいづらいことなんだけどさ」

祖母「ほっほっほ、おこづかい、もう少し欲しいのかい?しかたないねー……」

「いや、婆ちゃんが今着けてる妹のブラジャーのことなんだけど」

祖母「!?」

50 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:33:41 xDt9D9oa0 22/28

祖母「ほ、ほっほほ……ナンノコトカネー」

「なんか口調が変になってるけど」

祖母「そんな事ないと思うよー」

「でもさ婆ちゃん、それバレバレだぞ。着物にブラの線が出てるし」

祖母「お、おかしいねー……っ……」

「可愛いから、ついつけてみたかったとか?」

祖母「」ギク

「やっぱりか……」

54 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:37:25 xDt9D9oa0 23/28

祖母「ど、どうして気がついたのかねー……?」

「いや、一緒に洗濯物取り込んだの婆ちゃんしかいないし」

祖母「見てたのかいー?」

「おかしなことするなぁって見てたけど」

祖母「ほっほっほ……」

「……」

祖母「ご、ごめんよー!!」ドゲザァ

「ば、婆ちゃんっ!別に怒ってないからっ」

祖母「そうなのかいー……」

「まぁ、おにぎりも作ってもらったし、お小遣いも貰ったし」



55 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:45:16 xDt9D9oa0 24/28

祖母「でも、知ってたんならどうして言わなかったのかねー」

「いや、妹がイキイキしてたからさ」

祖母「妹ちゃんがかいー?」

「うん、推理だQ・E・Dだって騒いでるときはいつも楽しそうなんだよ」

祖母「きゅーえーでーって何かね」

「ま、まぁそれはいいんだけど、あいつの推理もまだまだだな」

祖母「ほっほっほ、惜しかったんだけどねー」

「可能性をひとつにしか絞り込まなかったのがあいつの今回の失敗だな、うん」

祖母「まだまだ若いねー」

「婆ちゃんが言うなよ」

祖母「ちゃんと明日には返すからねー」

「はいはい」

57 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:48:58 xDt9D9oa0 25/28

祖母「じゃ、私は寝ようかねー」

「ほんとにこんなにお小遣いもらっていいの?」

祖母「いいんだよー」

「ドゥフフ、むしろ得したかもしれんな」

祖母「それじゃーねー」ガチャ

「うん」

祖母「おや、何かドアの前にあるよー」

「え?」

祖母「お盆におにぎりがのってるよー」

「なんかメモがあるな……『今日は私の負けです』」

祖母「妹ちゃんかねー」

「多分ね」



60 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:55:11 xDt9D9oa0 26/28

~翌朝~

「おはよう」

「あ、兄さん……」

「話聞いてたのか?ドアの向こうで」

「う、うぅ……聞いてました」

「そーいうことみたいだぞ。せっかく自分で状況を固めて犯人を絞り込んだのに」

「だ、だってお婆ちゃんが犯人だなんて絶対に思わないですっ!」

「でも、俺か婆ちゃんしか盗れる人はいなかったんだろ?お前の捜査では」

「そうだったら、兄さんだって思うじゃないですかっ!もうっ!」

「まぁ、次に起きる事件の肥やしにするがいい」

「ううー、悔しいですっ……」

「朝、いつもみたいに俺を起こしにこなかったからな。よっぽど悔しかったと見た」

「ふんっ!」

61 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 00:59:37 xDt9D9oa0 27/28

「……まぁいいです。今日のところは」

「プププ」

「ところで兄さん、私が今憂慮していることがあります」

「聞こう」

「兄さん朝弱いですから、自分ひとりじゃなかなか起きれないですよね」

「ご覧の通りだ」

「おにぎり沢山食べて、夜も寝付きにくかったでしょう」

「おかげでもうこんな時間だよ」

「アルバイトの面接はいいんですか?」

「……」

「……」

「……アッーー!!!」

62 : 以下、名無しにかわりまし... - 2012/03/05 01:01:13 xDt9D9oa0 28/28

第4話おしまい

前スレ

「Q・E・D!Q・E・D!」兄「え?」

でした。それではまた

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