佐天(でも学園都市にパトカーあったっけ……?)
初春「そういえば佐天さん、学園都市でも警備員がパトカーを使うようになったみたいですよ」
佐天「えっ? 本当に? それは丁度良かったー」
初春「丁度良かった? あっ、ほら、あそこにパトカーが」
佐天(……よし、早速やってみるか)
佐天「……波ッ!」
初春「さ、佐天さん? 急に変な声出してどうし――ッ!?」
佐天(おっ、反応アリ……?)
初春「か、体が勝手に……」
元スレ
佐天「初春がパトカーに中指を立てる能力かぁ……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347376046/
佐天「やった! 成功したよ初春!」
初春「成功!? そ、それよりこれを何とかしないと……」
佐天「あれ……? そういえばどうやって戻すんだろこれ……」
初春「戻すって……これ、佐天さんの仕業ですか!?」
佐天「ほら、見つかる前に逃げよう。こっちこっち」
初春「――つまり、佐天さんが能力を使うと私が」
佐天「中指をビシッ! っとやる訳だね。戻るには時間が経てば良いみたい」
初春「何ですかその能力!? ふざけるのもいい加減にしてくださいよ!」
佐天「……ふざけてる? あたしが本当にふざけてると思ってんの!?」
初春「ひえっ……? さ、佐天さん……そんなに怒らなくても……」
佐天「あたしがやっと能力を使えるようになったのに……その言い方は酷いよ!」
初春「で、でも実際私は迷惑してる訳で……」
佐天「初春……あたしの事が迷惑だったんだね。ごめん、今まで気づかなかった……」
初春「そ、そういう意味では……」
佐天「……いいんだ、もう放っておいてよ」
初春「佐天さん……その」
佐天「うっ……ぐすっ……やっと無能力者から卒業だと思ったのに……」
初春「さ、佐天さん……ごめんなさい、私が悪かったです」
佐天「ぐすっ……ひぐっ……じゃあ、能力使ってもいい?」
初春「うーん、それは……」
佐天「やっぱりあたしはいつまでも無能力者なんだね……ぐすっ……」
初春「わ、分かりました! どうぞ使ってください、だからもう泣かないでください……」
佐天「本当に……? ありがとう、初春!」
佐天(初春……やっぱチョロイわ)
佐天「初春、そろそろ帰ろうか。、急がないと……あっ」
初春「パトカー……ですね」
佐天「……初春」
初春「さ、佐天さん! ほら、急がないと!」
佐天「――波ッ!」
初春「うぐうっ……!?か、体が……そして指がぁ……!?」
佐天「いやー、綺麗な中指立てだね」
初春「そんな事言ってる場合じゃないですよ!?」
佐天「おー、そうだね。気付かれる前にさっさと逃げないと」
初春「ばれたら大変な事に……」
黄泉川「おーい、そこの女子生徒ー! それは何のマネじゃん!?」
佐天「げっ、見つかっちゃったね……逃げないと」
初春「佐天さんのせいですからね!? もう嫌ー!」
三日後
佐天「おーい、ういはるー!」
初春「げっ……佐天さん」
佐天「なにそのリアクション。初春、あたしの事避けてない?」
初春「そ、そんな事はないですよ?」
佐天「いーや、明らかに避けてるね。もう中指立てるのは嫌なんでしょ」
初春「それは……その通りですけど」
佐天「分かったよ。もう初春が『片方の中指だけを立てる』、なんて事は起きないようにするからさ」
初春「……本当ですか? それなら良いんですけど」
佐天「本当だって! ほら、一緒に帰ろうよ」
初春「わ、分かりましたから手を引っ張らないでくださいよ!」
初春「――それで白井さんが御坂さんにビリビリって」
佐天「相変わらずだね……おっ」
初春「パトカー、ですね……」
佐天「……初春」
初春「佐天さん……約束しましたよね? もうしないって約束したんですからね?」
佐天「そうだね、確かに約束したよ。でも……」
佐天「――両方の中指を立てる、それに関しては約束していないよね?」
初春「……っ!?」
佐天「波ッ!」
初春「し、しまったぁ……! 体がぁぁあああ……!!」
佐天「やった! レベルが上がると両方の手に作用する……本当だったんだ!」
初春「さ、佐天さん! 卑怯ですよ!」
佐天「初春、そんな事言ってる場合じゃないよ……ほら」
黄泉川「おーい! そこの女子生徒! いい度胸してんじゃん?」
初春「ひいっ!? さ、佐天さん!?」
佐天「逃げよう! 早く早く!」
三日後
佐天「ういはるー、初春ってばー!」
初春「……何の用ですか、佐天さん?」
佐天「もしかして……怒ってる?」
初春「……あんな事何度もされたら誰だって怒りますよ!?」
佐天「あはは、だよねー。でも大丈夫! もうあんな事にはならないから」
初春「……本当ですか? そうやってまた騙そうと」
佐天「大丈夫大丈夫! もう『パトカーに向かって中指立てる』ってのは無いからさ」
初春「……はあ、仕方ないですね。分かりました、一緒に帰りましょう」
佐天「そうこなくっちゃ。どっか寄ってこ?」
初春「アイス、奢りですからね」
佐天「んー、仕方ないなー」
街中
初春「――それでまた白井さんが……あっ」
黄泉川「おっ」
佐天「あちゃー、これはマズイ事になりそうだね……」
黄泉川「えっと、最近中指立てて挑発してる生徒は君じゃん?」
初春「ち、違います! その、何かの間違いです!」
黄泉川「うーん、見間違いか……それなら別にいいじゃんよ」
初春「絶対見間違いです! 私を信じてください!」
佐天(……ごめんね初春、せっかくレベルが上がったんだもの。能力、使うね)
佐天「――波ッ!」
初春(さ、佐天さん!? また能力を……でも今はパトカーが無いから大じょ――ッ!?)
初春「か、体がぁ……また、勝手にぃ……おのれぇ……!」
初春「くわっ!」ビシッ AA略
黄泉川「なっ!? やっぱり君、馬鹿にしてるみたいじゃんよ?」
初春「ひいっ!? ち、違うんです! 体が勝手に……しかも戻らなくて……」
黄泉川「手、動いてるじゃん?」
初春「そんなはずが……あれえ? 手が動きますねぇ……」
黄泉川「ふーん、やっぱり自分の意志ってみたいじゃん?」
初春「ち、違います! 佐天さ――いない!?」
黄泉川「よし、ちょっと一緒に来てもらうじゃん」
初春「そんなぁ……」
佐天(ごめんね初春……「初春が何にでも中指を立てる能力」になったんだ)
佐天(ありがとう、あたしのために……先、帰ってるね)
三日後
佐天「ういはる、ういはるー」
初春「……話しかけないでください」
佐天「……怒ってる?」
初春「…………」スタスタ
佐天「ごめん、本当にごめん! もうしないから!」
初春「はいはい、またレベルが上がったんですか? それでまた私が酷い目に遭うんですね」
佐天「ち、違うって! もう初春にはしないよ!」
初春「私、『には』?」
佐天「そう、またレベルが上がってね。実は……」
初春「――ええっ!? それはつまり……」
佐天「初春、あたし……白井さんと御坂さんに会いに行こうと思うんだけど」
初春「佐天さん……まさか!」
佐天「どうなるか、気にならない?」
初春「……私、気になります。やってやりましょう、佐天さん!」
佐天「おお! それでこそ初春だよ! 早速会いに行こう!」
初春「もちろんです! 急ぎましょう!」
佐天「メールだとこの辺にいるみたいだけど……」
初春「あっ、居ましたよ!」
佐天「静かに……ばれないようにやらないと」
美琴「初春さんと佐天さんが来るって?」
黒子「ええ、そうみたいですわよ。ここに居るとは連絡しておきましたの」
佐天「さーて……距離をもう少し詰めないと。ばれないように近づくよ……」
初春「ラジャーです!」
黒子「それでまた寮監にこう、コキッと……」
美琴「アンタも懲りないわね……」
初春(距離は五メートル……楽しそうにお喋りしているのが聞こえますね)
佐天(……初春、どうなると思う?)
初春(……楽しそうな事になりそうですね)
佐天(ワクワクする?)
初春(ええ、とっても)
佐天(よっしゃ、いっくよー! 対象は白井さん……!)
佐天「――波ッ!」
黒子「それにしてもあの二人、遅いですわね…………あら?」
美琴「確かに。何かあったのかしら……」
黒子(か、体が……勝手に!?)
黒子「お、お姉様……わたくし、何だか……」
美琴「ん? どうしたの黒子?」
黒子「ぬ、ぬうっ!? ……ふんっ!」ビシッ
美琴「……へっ?」
黒子「な、何ですのこれ!?」
佐天(やった! 成功したよ!)
初春(佐天さん、ナイス!)
美琴「……黒子? アンタ、どういうつもり?」
黒子「ち、違いますの! これはわたくしの意志では……」
美琴「へー……手、動いてるけど?」
黒子「あら、本当ですわね……」
美琴「黒子、私に言いたいことがあるなら言いなさい」
黒子「いえ、別にそんな事は……はあうっ!?」ビシッ
美琴「なっ……! 黒子!? どういう事!?」
黒子「ま、またですの!? 違いますのお姉様! 黒子の話を……ほおっ!?」ビシッ
美琴「くぅろぉこぉ……!」
黒子「ひ、ひいっ!? 誤解ですのー!」シュンッ
美琴「あっ! こら、逃げるな!」
初春「……佐天さん」
佐天「……初春」
初春「グッジョブ! グッジョブですよ佐天さん!」
佐天「いやいや、そんなに褒めなくて良いよー。でも、初春ずいぶん嬉しそうだね」
初春「最近白井さんが私に仕事を押し付けることが多くて……」
佐天「色々溜まってた訳か」
初春「ええ……でもスッキリしましたよ! やりますね佐天さん」
佐天「レベルが上がると対象が誰でもよくなる……いやー、自分の能力が怖いね」
初春「でも、あの二人にはばれないようにしないと……」
佐天「そうだね、黙っておかないと」
「へー、そういう事だったのね」 「納得ですの」
佐天・初春「……!?」
初春「み、御坂さんに白井さん!? いつの間に……」
美琴「佐天さん。その能力、精神系でしょ」
佐天「へっ? そ、そうみたいですけど……」
美琴「私、そういうの敏感なのよ。自分の能力のおかげでね」
初春「超能力者ってそんな事までできるんですか……」
黒子「で、わたくしもお姉様も怪しいと思い、この辺を調べていましたの」
美琴「そしたら、すぐに見つかったって訳。……で、佐天さん?」
佐天「な、何ですか……?」
美琴「詳しく話、聞かせてもらうわよ?」
初春「ひ、ひいっ!? 佐天さん、どうするんですか!?」
佐天「……初春。こうなったらもう、やるしかない!」
初春「佐天さん!? まさか、対抗できる方法が……!?」
佐天「あたしにできる事、それは――」
初春「そ、それは……?」