1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 18:50:38.68 vyKHgp9X0 1/39

上条「いいぜ! やってやるよ! っらぁ!」 ドカッ!

インデックス「うぐっ!?」 ガクッ

インデックス「う、ぐ……う……っ」 ぱさっ

上条「うわっ! 服がばらばらに! み、見てません! 見てませんよ!」 あたふた

インデックス「うえっ! おえぇ!」 ゴボッ ビチャッ

上条「あ、さっき食わせた焼きそばパン」

インデックス「おえっ。うえぇ……」 ビチャッ ビチャッ

上条「えっと拭く物を……この服だった布、使わせてもらうぞ」 フキフキ

インデックス「げほっ。げほっ。っ……な、何で……?」

上条「何でって、何が?」

インデックス「何でおなっ、げほっ。お腹、殴ったの?」

上条「え? だって、お前が壊してみろって……」

インデックス「触るだけで……ぐ……よかったんじゃ……」

上条「ああ、まあ。ちょうどいい位置にあったから、つい」

インデックス「うぅ……」

元スレ
インデックス「右手の力が本当なら、この歩く教会を壊してみせなよ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343555438/

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 18:53:35.62 vyKHgp9X0 2/39

インデックス「――じゃあ、私行くね……」 よろよろ



上条(――ふらふらだったけど大丈夫かな……。フード忘れてったから、また家に取りに来るかな?)

小萌先生「か、上条ちゃん。補習は真面目に受けてほしいのです……」 びくびく

上条「は、はいっ!」 ドカッ!

小萌先生「はうっ!」

上条「あ、小萌先生!? す、すいません。考えごとしてたからびっくりしちゃって、つい手が……」

小萌先生「だ、大丈夫……。平気、なのです……」 がくがく

小萌先生「先生、保健室、行ってくるです……。皆さんは帰っていいです……」 よろよろ

上条「付き添いますよ」

小萌先生「ひっ!? い、いいのです。一人で大丈夫です」 びくびく

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 18:56:34.75 vyKHgp9X0 3/39

美琴「――あっ」

上条「ん? げっ、ビリビリ中学生!」 ダッ! ドカッ!

美琴「ぐえっ!」 ドサッ

美琴「げほっ! ……ちょっ、待っ――」

上条「……」 ドゴッ!

美琴「ぎゃっ! や、やめ――」

上条「……」 バキッ! ドカッ!

美琴「――! ――」 ガクッ

上条「……ふぅ、間一髪だった。勝負だーとか言って攻撃してくる危険人物だからな。先手取って防がないと」

美琴「……も……私の負けでいいって……前から……何度も……」 ぴくぴく

上条「まだ息があったか!」 ドゴッ!

美琴「びゅっ!」

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:01:09.53 vyKHgp9X0 4/39




上条(ん? 部屋の前にインデックスが寝て――!? 血!?) ダッ

インデックス「――」

上条(背中に大きな傷が……ま、まさか死……!?)

上条「インデックス! 返事をしてくれ!」

インデックス「――」

上条「返事しろってば!」 ドカッ!

インデックス「うぐふっ!」 ビクンッ

インデックス「ごほっ! げほっ! ……っ……」

上条「生きてる……。よかったぁ」 ほっ

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:05:38.41 vyKHgp9X0 5/39

上条「それにしても、誰がこんな酷いことを……」

ステイル「……半分くらいは、君じゃないかな」

上条「誰だ!?」

ステイル「ステイル=マグヌス。魔術師さ。その子の持つ10万3000冊の魔道書を回収しに来たんだ」

上条「本なんてどこにもないじゃねえか」

ステイル「あるさ。その子の頭の中に」

上条「何!? この頭にか!?」 ガシッ! グイッ

インデックス「う……」

ステイル「あ、あの、もうちょっと優しく扱ってくれないか? 女の子なんだし」

上条「その女の子を傷つけたお前に言われたくねえよ!」

22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:08:49.56 vyKHgp9X0 6/39

自動書記「腹部の損傷により、自動書記で目覚めます」

上条「うわぁ!?」 ゴッ!

自動書記「ぶっ!」

ステイル「ああっ! 顔面から床に!」

上条「きゅ、急に喋るんじゃねえよ! びっくりするじゃねえか!」 どきどき

自動書記「……が、がれのあづがうまじゅづは、ルーンのごぐいんによるものでず……」

上条「え? ごめん。何て言ったんだ?」

自動書記「……まじゅづをぞじずるだめにば、ルーンをばがいずるびづようがありまず……」

上条「え? ごめん。え?」

ステイル「僕の魔術にはルーンが不可欠だと言ってるんだよぉっ! もぉぉ!」

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:13:36.16 vyKHgp9X0 7/39




上条(自分の弱点をぺらぺら喋るやつで助かったぜ。何とか撃退できた)

インデックス「――」

上条「インデックス、寝るな! 死ぬぞ!」 べしっ! べしっ!

インデックス「はぶっ! へぶっ!」

上条「お前の持ってる魔道書に回復魔術とかはないのか?」

インデックス「あ、あるけど……能力者には無理……」

上条「そ、そんな……。くそっ! こんな右手じゃなかったら……!」 グググ…!

インデックス「ぐっ、ぐび、じまっで、る。やめ……」 ぶくぶく

上条「……! そうだ。小萌先生だったら……」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:18:38.97 vyKHgp9X0 8/39




上条「おらぁ!」 バキィッ!

小萌先生「ひぃぃぃぃぃっ!? 対上条ちゃん用に強化したドアがー!?」 びくーん!

上条「せいっ」 ドスッ!

小萌先生「あぐっ!」

上条「すいません、先生! 今は何も言わないでください! 一刻を争うんです!」

小萌先生「あう……。おうぅ……」 ぷるぷる

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:24:12.75 vyKHgp9X0 9/39

インデックス「――」

小萌先生「……! す、すごい重症です」

上条「ええ。悪いやつに背中を切られたんです」

小萌先生「いえ、どちらかと言うと、血まみれの顔面とか首の痣とかの方が痛々しいです……」

上条「インデックス。何か俺にできることはあるか?」

自動書記「ありません。その右手で魔術が妨害される恐れがありますのでこの場から去ってください。
       できればそのまま帰ってください」

上条「くそっ!」 ドンッ!

自動書記「あぶっ!」

上条「またこの右手のせいかよ……!」

自動書記「……や、やり場のない怒りをぶつけるなら、床や壁にしていただけると幸いです」 ぷるぷる

上条「先生、この子の言うことを聞いてあげてください」 ダッ

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:28:25.71 vyKHgp9X0 10/39

小萌先生「……きゅ、救急車とか呼ばなくていいです?」

自動書記「その救急車と言うものは、短時間の内に私の背の傷を塞げるものですか?」

小萌先生「そ、それは……」

自動書記「内臓の損傷と腹部皮下の内出血、顔面の裂傷と鼻の骨折、折れた歯を治せるものですか?」

小萌先生「……」

自動書記「これより魔術によって肉体を修復します」

小萌先生「せ、先生のお腹も治してもらえるです? さっきから気分が……」

自動書記「思い浮かべなさい、天使の姿を」

小萌先生「スルーです!?」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:32:44.46 vyKHgp9X0 11/39




自動書記「生命の危機の回避を確認。自動書記を休眠します」

インデックス「ふぅ……。よかった。あのまま死んだらあの人を殺人者にしちゃってたからね」

小萌先生「上条ちゃんのために……。あなた、まさか上条ちゃんのことが……?」

インデックス「それはないけど。それはないけど。それはないけど、一応悪気はないみたいだし……」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:37:32.17 vyKHgp9X0 12/39




上条「もう平気そうだな。よかった。……聞かせてもらうぞ、お前の事情」

インデックス「え……。でも……」

上条「聞かせろよ」 ギロリ

インデックス「は、はい……」



インデックス「――と言う訳なんだよ……」

上条「テメェ! そんな大事なこと何で黙ってやがった!」

インデックス「ひっ……! だ、だって、怖がらせたくなかったし、殴られるかと思って……」

上条「人を勝手に値踏みしてんじゃねえ!」 ベチーン!

インデックス「ふぇ……ふえええええええええええん!」

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:42:56.03 vyKHgp9X0 13/39




上条(インデックスが元気になったのでいっしょに銭湯に行くことになった訳だが……)

インデックス「……」 びくびく

上条「そんな離れてたら、はぐれちまうぞ」

インデックス「だ、大丈夫だよ」 びくびく

上条(何だか避けられてるような……。おかしい。あれだけのことがあったんだから、
    「とうま♪ とうま♪」って懐かれるならまだしも……) じー…

インデックス「な、何かな?」 びくびく

上条(ま、いいか。感謝してほしい訳じゃない。こいつが元気ならそれでいいんだ) にこっ

インデックス「っ……!?」 ぞぞぞっ

インデックス「わ、私、先に行ってるね」 たっ

上条「あ……」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:46:34.54 vyKHgp9X0 14/39




上条「ん……?」

上条(何だ? 雰囲気が……)

神裂「人払いのルーンですよ」

上条「おりゃあ!」 ブンッ!

神裂「うおおっ!?」 サッ

上条(かわされた!? 速い……!)

神裂「ちょっ、いきなり殴りかからないでください! 口上の途中ですよ!?」

上条「敵っぽいやつの話なんて待つか! まず殴る! 話し合いはその後だ!」 ダッ!

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:50:59.80 vyKHgp9X0 15/39

神裂「な、七閃!」 ズガガガガガガガッ!

上条「うわー!」 ドサッ

神裂「躊躇いなく攻撃する姿勢は、確かに見習うべきかもしれませんね。ですが、
    それだけでは無用な争いを生むだけですよ。私の名は神裂火織と申します」

上条「テ、テメェ……!」

神裂「何ですか? ……ああ、なるほど。今の攻撃で気づきましたか。そうですよ。あの子の背中を斬ったのは私です」

上条「その腹は何だ!」

神裂「は?」

上条「そんな腹丸出しの格好しやがって……! お腹が冷えるだろうが! 女なら自分の腹は大切にしろ!」

神裂「こ、この格好は魔術を使うのに都合が良いのです」

上条「知るか! お腹隠しなさい!」

神裂「ですから――」

上条「しなしゃいっ!」 クワッ!

神裂「……わかりましたよ。隠せばいいんでしょう、隠せば」 ぱさっ

神裂「それでは、話を続けましょう」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 19:56:58.10 vyKHgp9X0 16/39




上条「……お前らがインデックスの仲間で、記憶を消してきただって……?」

神裂「はい」

上条「それが本当なら、何でだよ……。何で、あいつを傷つけるんだよ!?」

神裂「……」

上条「仲間のあいつを傷つけて……心は痛まねえのかよ!?」

神裂「……」 イラッ

上条「仲間なら、そんな酷いことはできねえはずだろ!? そうだろ!」

神裂「七閃」 ズガガガガガガガッ!

上条「うわー!」 ドサッ

神裂「……そうしなければ、彼女が死んでしまうからですよ」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:01:02.12 vyKHgp9X0 17/39




上条「完全記憶能力で頭がパンクだと……!?」

神裂「後三日でそうなってしまいます。それを防ぐために記憶を消す必要があるのです」

上条「それなら全部説明してやればいいじゃねえか! 敵になる必要はねえだろ!」

神裂「……仲間としてあの子の笑顔を見ることに、私たちはもう耐えられません」

上条「ふざけんな……! そんなのテメェらの都合だろうが! インデックスのことを考えてねえじゃねえか!」

神裂「……他にどんな道があったと言うのです」

上条「テメェらがもう少し強ければ……! 一年の記憶を失うのが怖かったら、
    次の一年にもっと幸せな記憶を与えてやれば!」

――上条「いいぜ! やってやるよ! っらぁ!」 ドカッ!

――インデックス「うぐっ!?」 ガクッ

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:05:49.11 vyKHgp9X0 18/39

上条「記憶を失うのが怖くないぐらい幸せが待ってるってわかっていれば……!」

――上条「そ、そんな……。くそっ! こんな右手じゃなかったら……!」 グググ…!

――インデックス「ぐっ、ぐび、じまっで、る。やめ……」 ぶくぶく

――上条「人を勝手に値踏みしてんじゃねえ!」 ベチーン!

――インデックス「ふぇ……ふえええええええええええん!」

上条「そうすれば、もう誰も逃げ出す必要なんざねえんだから! たったそれだけの――」

神裂「七閃」 ズガガガガガガガッ!

上条「うわー!」 ドサッ

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:08:50.90 vyKHgp9X0 19/39

上条「う……」 ガクッ

ステイル「もういいのかい?」

神裂「しばらく動けないほど痛めつけました。これだけやればインデックスを傷つけることもないでしょう。
    彼にはインデックスを足止めする足枷になってもらいます」

ステイル「足枷に……なるかな?」

神裂「……」

ステイル「なるかな……?」

神裂「あ、あの子は優しいですから、たぶん……」

ステイル「うん……」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:14:25.98 vyKHgp9X0 20/39




上条「――」

インデックス「とうま……こんなにボロボロになって……。……チャンスなんだよ」 ギラッ

小萌先生「シスターちゃん?」

インデックス「今までの恨み、その無防備なお腹を踏んづけて晴らさせてもらうんだよ!」 ブンッ!

上条「――」 ゴロン

スカッ

インデックス「あ、あれ?」

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:19:11.18 vyKHgp9X0 21/39

上条「――」 ガシッ

インデックス「え?」

インデックス(足、つかまれ――)

メキメキメキ…!

インデックス「あっ、あぎゃああああああああああ!? 足がー! 足がー!」 ゴロゴロ…

インデックス「っ……と、とうま、起きてる……?」

上条「――」

小萌先生「完全に寝てますよ。上条ちゃんはいつもこうなんです。
       居眠りを注意しようとした先生方が何人犠牲になったか……」 がくがくぶるぶる

67 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:24:59.49 vyKHgp9X0 22/39




上条「う……」

インデックス「あ、お、起きた……」

上条「……一日寝ちまってたのか」

インデックス「ううん。三日」

上条「み、三日!?」

上条(制限時間……)

上条「何で起こしてくれなかったんだよ!」 ベチーン!

インデックス「ふぇ……。何度も起こそうとしたもん……。その度にカウンター取られて……ふええええええええええん!」

73 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:31:51.29 vyKHgp9X0 23/39

小萌先生「か、上条ちゃーん。お客様です」

ステイル「……」

神裂「……」

上条「お前ら……」

ステイル「……よかったね。足枷になったよ」

神裂「ええ……」

上条「! そ、そうか。インデックスは俺を守るためにここに残るしかないから、俺を痛めつけて……」

インデックス「違うもん……。足の骨が逝ってて逃げられなかったんだもん……」 しくしく

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:37:40.33 vyKHgp9X0 24/39




インデックス「――」

上条(インデックスは気を失ってしまった。もう脳が限界なんだろう。ちなみに小萌先生は病院へ行った)

ジリリリリン!

上条「!」

上条(電話……誰から……?)

上条「はい」

『私です』

上条「……神裂……」

『今夜0時にそちらに向かいます』

78 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:42:15.00 vyKHgp9X0 25/39

上条「……お前ら、本当にインデックスを救う努力をしたのかよ。記憶を消す魔術とかないのか?」

『魔術ではどうにもできませんよ』

上条「だったら、物理なら?」

『え? 物理?』

上条「インデックスの頭に衝撃を与えて記憶を吹っ飛ばすとか」

『やめっ! やめてください! 仮にも科学側の人間なら、そんな原始的な方法考えないでください!』

上条「斜め45度の角度で叩けば何とかなるかも……」

『薬品とか手術とか他にもあるでしょう!? いえ、そんな非道は許しませんが、せめて脳科学について調べるとか……』

上条「……その手があったか」 ガチャン

81 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:49:33.05 vyKHgp9X0 26/39

上条(幸い、ここは小萌先生の部屋だ。何か参考になる本は……) ガサガサ…ドサッ

上条(ん? 雑誌……) ぱら

「完全記憶能力者の脳が記憶で圧迫されることはありえない。記憶を消す必要はない」

上条「な、何だって!?」

上条(……ということは、魔術師たちの上司が嘘をついてたのか。
    インデックスを苦しめてたのはそいつらがしかけた魔術だ! それを破壊すれば……)

インデックス「――」

上条(しらみつぶしだ! 全身を隈なく叩く!) ベシッ!

インデックス「ぶっ」

上条(次) ベチッ!

インデックス「あうっ」

上条(次) バシッ!

インデックス「ぎゃんっ」

88 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 20:54:11.06 vyKHgp9X0 27/39




インデックス「……」 ぴくぴく

上条(全身叩いたのに……念のためもう一周やったのに、どうして……。! そうか、体の内側!
    きっと手の届くどこかだ。……考えられる場所は一つ!)

上条「鼻!」 ズボッ!

インデックス「ぴぎぃ!?」

上条「……」 グググ…

インデックス「ぷぎっ、ぷぎー!」 じたばた

上条(何も変わらない!? そんな……) ズポッ

インデックス「はにゃぢ……。はにゃがぁ……」 ダラダラ…

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:01:22.15 vyKHgp9X0 28/39

上条「……耳、か?」

インデックス「!?」 びくっ

自動書記「せ、生命の危機を感知。自動書記で目覚めます。口です、口」

上条「なるほど」 ズボッ! バキン!

上条「うわっ!」

自動書記「警告。侵入者を迎撃します。聖ジョージの聖域を発動。竜王の殺息」 ビーム!

上条「くっ……!」 バチチチチ…!

98 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:07:24.81 vyKHgp9X0 29/39

ザッ!

ステイル「ど、どういうことだ、これは!」

神裂「どうしてインデックスが魔術を……」

上条「じれってえ野郎だな、んなの見りゃ分かんだろ! インデックスはこうして魔術を使ってる、それなら『インデックスは

魔術を使えない』なんて言ってた教会が嘘ぶっこいてたってだけだろうが! ああそうだよ、『インデックスは一年置きに記

憶を消さなきゃ助からない』ってのも大嘘だ! コイツの頭は教会の魔術に圧迫されてただけなんだ、つまりソイツを打ち

消しちまえばもうインデックスの記憶を消す必要なんかどこにもなくなっちまうんだよ!! 冷静になれよ、冷静に考えて

みろ! 禁書目録なんて残酷なシステム作りやがった連中が、テメェら下っ端に心優しく真実を全部話すとか思ってんの

か! 目の前にある現実を見ろ、何ならインデックス本人に聞いてみりゃ良いだろうが!!」

自動書記「死ね。死ね。死ね。死ね」 ダラダラ…

ステイル(何で鼻血を……)

101 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:13:29.83 vyKHgp9X0 30/39

上条「とりあえず、だぁ?」

ステイル「え?」

上条「ふざけやがって、そんなつまんねえ事はどうでも良い! 理屈も理論もいらねえ、たった一つだけ答えろ魔術師!

! テメェは、インデックスを助けたくないのかよ? テメェら、ずっと待ってたんだろ? インデックスの記憶を奪わなくて

済む、インデックスの敵に回らなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な幸福な結末ってヤツを! 

ずっと、待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を! 英雄がやってくるまでの場つなぎじゃねえ! 主人公が登場するまでの

104 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:15:20.24 vyKHgp9X0 31/39

時間稼ぎじゃねえ! 他の何者でもなく他の何物でもなく! テメェのその手で、たった一人の女の子を助けてみせるって

誓ったんじゃねえのかよ!? ずっとずっと主人公になりたかったんだろ! 絵本みてえに映画みてえに、命を賭けてた

った一人の女の子を守る、そんな魔術師になりたかったんだろ! だったらそれは全然終わってねえ!! 始まってすら

いねえ!! ちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!! 手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、

魔術師!」

ステイル「あ、うん。Fortis931」

神裂「Salvare000。七閃!」 ズガガガガガガガッ!

上条「うわー!」 ドサッ

神裂「い、今のはインデックスの足元を狙っただけですよ!?」

上条「あ、ごめん。つい」

107 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:20:53.63 vyKHgp9X0 32/39

自動書記「……」 ぐらっ

バキバキ…! フワッ…

上条「羽……?」

自動書記「……」 ブンッ

ステイル「魔女狩りの王!」 ゴォッ!

バチチチチチチ…!

ステイル「行け、能力者! いいか? 腹じゃないぞ? 頭に優しく触れるだけだぞ?」

上条「ああ!」 ダッ!

自動書記「ひっ……」 びくっ

113 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:28:02.06 vyKHgp9X0 33/39

上条(神様、この残酷な物語がアンタの作った通りに動いてるなら……。インデックスが傷ついたのも、苦しんだのも、
    泣いたのも、俺に懐かないのもアンタのせいなら!)

上条「まずは、その幻想をぶち殺す!」 ドゴッ!

自動書記「あぼぉっ!」

ステイル「何で腹を殴る!? 何で!? 『ああ!』って言ったのに何で!?」

上条「あ、そうだった」 ズムッ!

自動書記「んむぶっ!」

ステイル「だから触るだけでいいんだよぉ! きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

神裂「ステイル……」 ほろり…

115 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:33:49.57 vyKHgp9X0 34/39

フワッ… ピトッ

上条「!」 ガクン!

神裂「光の羽が頭に!」

ステイル「っしゃあ!」 サッ

神裂「へーい!」 パン!

126 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:40:33.74 vyKHgp9X0 35/39

その時、上条当麻の頭の上に、一枚の光の羽が舞い降りた。

金槌で頭を殴られたように、全身の、指先一本に至るまで、たった一撃で全ての力を失った。

上条は未だ床の上に倒れているインデックスに覆い被さるように倒れ込んだ。

上条の頭がインデックスの腹を打った。インデックスは海老のように体を反らせた。

粉雪が降り積もるように、何十枚という光の羽が上条の全身へと舞い降りた。

上条当麻は、それでも笑っていた。

笑いながら、インデックスの指先はぴくりとも動かなかった。

この夜。

上条当麻は『死んだ』。

131 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:45:56.31 vyKHgp9X0 36/39




ステイル「上は何をとち狂ったのか、現状保留でインデックスを君に預けることにした。
       インデックスの危険が危ないので、僕たちは準備が整い次第奪還に行く。首と腹を洗って待ってるように」



インデックス「とうま……」

上条「あの……あなた、病室を間違えてませんか?」

インデックス「本当に何も覚えてないの……?」

上条「……あの、ひょっとして俺たちって知り合いなのか?」

インデックス「ううん!」 にこー

インデックス「あなたの言う通り、病室を間違えたんだよ!
         私とあなたは全然知り合いなんかじゃないんだよ!」 にこにこ

135 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:51:23.12 vyKHgp9X0 37/39

上条「……」

インデックス「もう出会うことは一生ないかも! お大事に!」

上条「……」 ドカッ!

インデックス「えぼっ!?」

上条「はーはっはっは! ひっかかったー!」

インデックス「っうえ……。と、とうま……?」

上条「光の羽が頭にダメージを与える前に右手で打ち消してたんですー!」

インデックス「う、嘘。そんな……」

上条「……お前のことは何一つ忘れてないから、安心しろ」 にこっ

インデックス「ふぇ……ふええええええええええん!」

143 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 21:56:58.56 vyKHgp9X0 38/39




インデックス「……」 しくしく…

小萌先生「シスターちゃんも病院のお世話になることになったですか」

美琴「新入り? よろしくね」

インデックス「……」 しくしく…

小萌先生「不安にならなくて大丈夫ですよ。ここのお医者さんは優秀ですから、きっとすぐ退院できるです」

美琴「すぐって……私、今回はもう一週間もここにいるんですけど」

小萌先生「普通なら全治2ヶ月の大怪我だったんですから、贅沢言っちゃだめですよー」

インデックス「……」 しくしく…

美琴「……アンタとは長い付き合いになりそうな気がするわ。お互い頑張りましょうね」

インデックス「ふ、不幸なんだよぉ……」 しくしくしくしく…

147 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/29(日) 22:02:52.74 vyKHgp9X0 39/39




カエル顔の医者「……君の思い出は脳細胞ごと死んでいるはずだけどね?」

上条「……」

カエル顔の医者「君、本当は何も覚えていないんだろう?」

上条「……俺、気づいたらあの子を殴ってたんです。殴りたいとか、殴ろうとか思ってないのに、自然と。
    案外、俺はまだ覚えてるのかもしれないですね」

カエル顔の医者「いや、それは条件反射だね? 自転車の乗り方を忘れないように、
           体に染みついた動きだからじゃないからかな?」



上条「――――心に、じゃないですか?」



カエル顔の医者「いやそんなこと聞いてないんだけどね?」



おしまい

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