【 前編 】 の続きです。
377 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/15 02:28:34.59 aOGpPBKt0 90/169

中休み_________

「………」ペラ

女子3「…………」ペラ

「………」

女子3「……ねー妹ちゃん」

「……?」

女子3「昼休み、クラスで縄跳びだってさ~」

「……みたい、だね……」

女子3「運動は得意なの?」

「……苦手……ではない……」ペラ

女子3「え?そーなの?てっきり全然できないと思ってたー」ペラ

(……む……ちょっとバカにされた気分…)

女子3「それじゃー……何が苦手?」

「………マラソン…」ペラ

女子3「あー、確かに……しんどいんだよね~」ペラ

「………うん」

女子3「………」

「………」

ウォオオオオオオオオオオオオオ!

「……?」チラ

男子2「スーパーアグレッシヴアイアンギガメタルダイヤモンド雑巾クラッシュスパークリーングッ!!!!」ズシャー

ガシャーン

「………」

女子3「おおう……あれ、よくやってるんだよね……」

「……なに、あれ?」

女子3「人間ボーリングだってさー。お腹に雑巾当てて…今みたいに滑ってってたくさん散らかしたら勝ち……らしいよ」

「………」

「……男子は、みんなやるの?……」

女子3「ううん、男子2君だけしかやらないよ~。怒られるし、ケガするしね」

「……へー……」

(……勝ち、って……誰と戦ってるの……男子2君……)

女子3「今日の昼休みはクラスで使っちゃうけどさ、今度の昼休みとか、一緒に図書室行かない?」

「………」

「………別に……いい、けど」

女子3「ふふ、やったね!こういう面白い本いっぱい教えてもらおーっと」ペラ

(………約束……しちゃった……)

女子3「よーっし、妹ちゃんと約束もできた事だし、授業も始まる時間だからボク席に戻るねーっ」フリフリ

「………」コク

(……?……なんか……違和感……)

担任「さー、皆さん席についてー、ってうわぁぁあああ!何コレ!?男子2さん!!あの遊びはやめなさいって何回言ったら分かるんですか!!」

380 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/15 04:00:47.39 aOGpPBKt0 91/169

「………」カリカリ

担任「……ということで、そこで登場したのがこの人物です」カッカッカ

「………」

(……兄、今お仕事で…何してるんだろう……)

(…そういえば……週末、私のお家に……荷物取りに行く、って……)

(……いろいろ……持っていきたい物……)

(……買ってもらった物は……大事だから……ちゃんとして……)

(……兄の、お母さん……怖かったな……)



『はぁーあ……なんで私が………ほら、準備できたらさっさと行くよ』

『………』アセアセ

『そんなたくさんいらねーだろ、早くしな。……ったく……面倒臭い……』

『……………』グス


「…………」

(……うん、あの時……置いてきた物……ちゃんと持っていこう……)

ツンツン

「?…………」

男子5「………」ケシゴムオチタヨー

「……あ………」

男子5「…………」ハイドーゾ

「………」

「……あり、がと……」ニコ

男子5「」

(……うん………やっぱり、優しいひとも……いるんだ……)

担任「そしてー、このようにしてうまい具合に発展していきました」

女子6「?????」

男子3「…だからー、ここがこうだろ?そこで……おう、そうそう」コソコソ

女子6「べ、別に……最初から分かってたしっ」コソコソ

男子2「せんせぇえええ!!!せんせぇええええ!!!!」ハイハーイ

担任「はいはい、どこからわからないんですかー?」

男子2「んんん!?おお!?全部分からん!!!」

担任「………うん、後で先生と一緒に勉強しましょうね」

「…………」カリカリ

(……すっきり、したから……かな……意外と、悪くないかもしれない……)



女子8「……なんかーやっぱ感じ悪ーい……」

女子1「最初喋った時、ヒドかったもんね」

女子4「つか、無愛想過ぎっしょ」

女子8「女子3にも無視しとけっつったのに……あたし無理、ホント無理」

女子4「せっかく仲良くしてあげようと思ったのにホントないわー」

389 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/16 01:02:19.15 y9LrraeO0 92/169

「………」カタカタカタカタ

「………」

「………」カチャン

(っだあああああああああああああああああ!!!!)

(……どれだけ早く終わらせようと、女さんとの約束があるんじゃあどうしようもねー)

「………」ムムムム

「………」

「……………やるか、必殺技……」

(…俺、もともと嘘つきですし……例えどう思われようが……うん、仕方のない犠牲だ)

「………よし」カタン



「女さん、ちょっといいですか?」

「っはい!どうしました?も……もしかして……」

(こ、こんな所で愛の告白!?禁断のオフィスラブ?オフィスラブなの!?私の頑張りがようやく甘い果実を実らせたの!?)

「今夜の事なんですが……」

「なーんだ今夜の事かー……っといけないいけない……ふふん!今日という今日は逃がしませんからね!」ビシッ

(飲みに誘うも『今夜は用事が…』とか『あー、その日は予定が既に……』でのらりくらりと躱されてきたけど、実は普通に家に帰って寝てた…とか……今回ばかりは騙されないぞ!)

「何を言っても私は騙されないよー、私は日々成長してるのだよ」

「あー、そっすか……ま、とりあえず飲みに付き合うってことで、場所なんですが……駅前のいいとこ、予約しといたんで」

(予約はしてないけど、駅前の居酒屋さんはいいとこですよ…女さん)

「そ、そそ、そうなんだー、えへへーなんか悪いなー」テレテレ

「それで、男さんとか眼鏡さんに見つかるのが嫌といいますか……待ち合わせ、という形を取りたいというか……」

(ま、待ち合わせ!!!)

(ごめん、待たせちゃった?……『いえ、今来たとこばかりですから』……『それでは、行きましょうか、女』……なーんてな!なーんてな!!!)

「うん、うんうん!いいよいいよー!!そうだよね、兄くんは恥ずかしがりやさんだもんね!」

(ごめんなさい、女さん)

「では、時間は仕事が終わった後で……あ、私は一度早めに上がるんで、そのタイミングで……」

「うん!まっかせときなさーい!」

「ありがとうございます、それでは……また……」

(来週の朝にお会いしましょう、さようならっ!!)

(『それでは、また今夜お会いしましょう』キリッ……くーっカッコいい!!!しびれるー!!!)キャーキャー



「男さん、私の知り合いが可愛い子紹介してくれて、駅前で待ち合わせしてるんですが……もしよろしければ、男さん行きませんか?」

「え?俺?……お前なー、そういう出会いは大切にしなきゃダメだぜ」

「今夜は女さんからお誘いをうけたので……ちょっと難しいんです」

「そう?そうなの?俺、行っちゃってもいいんかなー?」

「そうですね……名残惜しいですが、男さん、コレも何かの縁ですよ、きっと」

(多分、おそらくね……陰謀が裏にはびこりまくりですが)

「そっかー、仕方ねーなー、仕方無しだぜー、先輩がちょろっとひと脱ぎしてやるよー。……むふ、まあヌギヌギするのは俺じゃないんですけど、むしろひと脱ぎじゃすまないんですけど……ほほほ」

(勝った)

407 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/17 00:19:50.86 OYbIDCq+0 93/169

女子3「準備できたー?」

「…うん……あと少し………」

女子8「それでさー…」

女子4「えーほんとー?」

女子8「なんかー隣のクラスの子がそう言ってたてさ」

女子1「へー」

「………」

「…準備、できた……」

女子3「それじゃ行こっかー」

「………うん」

「………」トテトテトテ

女子3「~♪」テクテクテク

「……あの……」

女子3「ん~?」

「……他の、女の子と……一緒に行かなくても、よかったの?」

女子3「そーだねー……別にいいかな~」

「……私なんか、より……友達の方が、大事……でしょ?…」

「……普通は…そうだよ。まったく知らない子……よりも、そっちの方が……」

女子3「うーん……誰と一緒にいたって、他の人には関係のないことですなー」

女子3「自分の好きなようにしてるだけだからね~」

「………」

女子3「気を遣ってばかりの、手の抜けない関係で本当に友達なんて言えないよ」

女子3「程よく手が抜けるからこそ、友達なんだぞっ……ってとーさん言ってた。にひ」

「…だけど…私、友達でも……ないでしょ…?……」

女子3「え、そーなの!?」

「え……違った…の?」

女子3「いやー、てっきり友達になってるもんだと思ってたよー……友達は、勝手になってるもんで頑張って作るもんじゃあないっ…ってこれもとーさんから聞いてたからねー」

「………」

(……そう、だ……頑張れ……私……)

「……じゃ…じゃあ…私と……友達になって、くれる……?」

女子3「ううん」

「…………」

「…そう……そう、だよ…ね」シュン

女子3「勝手になってるもんなんだから。改める必要はないんだよー」キュ

「………そ…っか…そうなんだ…」キュ

女子3「ふふっ、さっさと行かないと遅れちゃうぞー」

「……うん……」

(……友達……できました、よ……兄……)

「………にへへ……」

(女子3)(守りたい、この笑顔……やっぱし妹ちゃん可愛いよ~……そう、これからはボクが妹ちゃんを守るのだ)キュンキュン

411 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/17 14:41:46.89 OYbIDCq+0 94/169

「………」

担任「はい、みなさん揃いましたねー」

男子2「うおぉおおおおおおおおおお!!捕まったぁあああああああああ!!!!はなせぇええええええっ」バタバタ

男子3「コラ、縄跳びの縄勝手に使うなよ……」

男子2「こんな事して俺をどうするんだぁあああああ!!!……あ、なるほどー。くぅう!!どれだけ拷問しようと俺は口を開かんぞぉおおおおおおおお!!!!!」

男子3「あ?開いてんじゃねーか。閉じてていいから騒ぐなよ、うっせー」

男子2「しまったぁあ!!!こうなったらお前らもろとも道連れにしてやらぁあああああああ!!!!!」バタバタ

男子2「………」

男子2「せんせー、縄ほどけんよーになった」

担任「え?ああ!!もー……どうやったらこんなんにがんじがらめになれるんですか……」

男子2「今俺ガンジーなん?ガラメーなん?あ、ちょっと痛い、助けたってせんせー」

担任「ガンジでガラメですよ男子2さん……皆さん、ちょっと保健室に行ってきますから縄跳び始めてて下さい」

「はーい」

『ガンジでガラメ!!!!つまり俺仮面ライダーWなんですな!?うぉおおおおおおおおおおお!!!さぁ!!!!お前のつみを数えろぉおおおおおおお!!!!!』

『暴れないでください男子2さん!!』

男子3「……じゃー、今日は大縄するから、回すヤツ決めよーぜー」

ワイワイワイワイ

「………」

「先生も大変だねー」

「……うん……」

「妹ちゃんは回す役やりたい?」

「……ううん……小さいし…力ない、から……」

「そっか、引っかからないように頑張ろーね」

「……うん」


「いーち、にー、さーん……しー、ごー…ろーく、しーち………」

「妹ちゃんお先にー」ピョン

(……縄跳びで…よかった。鬼ごっことかだと……つかれる…)ピョン

女子1「……」ピョン

______

女子8『女子1さー、飛ぶ時ちょっとだけでいいからアイツの服引っ張ってよ」

女子1『え……私?』

女子8『大丈夫大丈夫、多分ちょっと引っ掛かるだけだよ』

女子4『そーそー、少しアイツがはずかしい思いするだけだからさっ』

女子1『でも……』

女子8『え?…やらないの?』

女子1『う、ううん、やる。……ちょっとだけだからね?』
______

女子1(……私は…言われただけだし、別に……)

「よっ」ヒョイ

「……」ピョン


415 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/19 01:11:34.57 3k6jN0N/0 95/169

女子1「……」チラ

女子8「ほらどんどん進んでこー!」ニ

女子4「はいはーい」ニヤ

女子1(……次、次に回ってきたら)

「んっ」ピョン

「………」ス

女子1「っ…」ギュ

「……っ?…」グンッ

(…え…あ……ダメ……)ヨロ ピョン

(……足、絡ま……っ……!)ヨタ 

バシンッ

「っ…………」ドサ

男子3「お、おい…大丈夫か?」

「妹ちゃん!!」タタタ

『おい、顔に縄当たったぞ』

『あーあ、いい回数行ってたのに』

『ばっかそういう問題じゃないっしょ』

『大丈夫かなぁ』

女子6「私先生呼んでくる!」ダッ

「ちょ…ちょっと見せて?」

「……っ……ごめん……」グス

「……当たった所、目じゃない?」

「……うん……少し、上……大丈夫、だから」

「大丈夫じゃないよ……腫れてきてる……」

男子3「うわ、膝も擦りむいてんじゃん」

「えっ?……あ……」

女子1「………」

女子1(え…?そんな、おかしいでしょ…ちょっと、引っ張っただけじゃん……)

女子1(なんでこんなことになってるの?……ちがう、私じゃない)

女子8「まー、大変な事になったね」ポン

女子1「違うっ……私じゃない」

女子4「まーまー、私たちも黙ってるし。いい気味だよ」コソコソ

女子8「そうそう、気にしないでいいって」コソコソ

男子5「………」


「……」ギリ

担任「だっ!!大丈夫ですか!!」タッタッタ

男子2「俺!!さんじょう!!!!!!!」シャキーン

担任「……すぐに保健室に連れて行きましょう。妹さん、ちょっと立てる?先生がおぶって行くから」

「一緒に行きます!…妹ちゃん、ボクが支えるから……」

「……ご、めんね……少し、バランス崩しただけ…だから…」グス

423 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/20 18:07:17.17 F3YrewqT0 96/169

「………」

(縄当たったところ…ジンジンする……)

担任「とりあえず、と言ったところですかね……」

保険医「そうですね、後は任せていただいて、担任さんはクラスの方見に行ってあげて下さい」

担任「わかりました、ありがとうございます」

ガラガラガラ 

「………ふぅ…酷くなくてよかったー……」

保険医「縄だから大丈夫だとは思うけど、一応当たったのが頭だからね、少し休んでいきなさい」

「……」コク

「………」サスサス

「…痛い?」

「……ちょびっと……でも、大丈夫」

「……そっか…」

「…私が…ちょっと、ドジだった……それだけだから」

「………」

(……飛ぼうとした時…後ろから、服引っ張られた…って思うけど……言わなくていいや…)

「……ちょっとこっち来て?」

「……」コク

「手、離してみて?」

「………?」パ

「……ごめんね、これからは絶対に妹ちゃんをケガさせないように…ボクが守るからね」サスサス

(顔、近い……近い近い……)

「あ、ごめんねー……痛かった?」

「…痛くは…ない、けど……」

(……不思議と照れる…からやめて欲しい……)

「…それと……ボクってなに?…」

「んー、強くなれるおまじない、かなー」

「……へー」

「あー、なんかバカにしてる顔だ」

「……そんなことは、ない……はず」

「妹ちゃんが貸してくれた本の主人公がカッコ良かったから、真似してみただけ。どう?カッコいい?」

「…………」

(カッコいい……のかな……わかんない……)

(ああ……ジッと見つめられると照れるー…というか……ああ)

(……運動、苦手じゃないって言ってた妹ちゃんがドジでこけたりするのかなー…?)

(絶対に、何かあるっぽいんだよねー……それに、ケガさせちゃったのが悔しい)

「……カッコいい、より……優しそう……かな…」

「……も、もっとカッコよくなれるように頑張るから!」

「……そ、そう……」

426 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/21 05:32:03.59 14vKDkJc0 97/169

「……」カタカタ

ブーッブーッブーッ

(なーんすか、こんな時に……)カタカタカタカタ

(………俺の携帯電話にかけてくるヤツなんて誰がいんだ……?)カタタタタタタタタタ

(……)チラ

眼鏡「――――――」

「――――――」

(…仕事中はプライベートの電話あんまし使いたくねーんだけど………って知らねー番号だし)

「…………」

「……はい」ピ

「……はい、兄っすけど……」

「……え?……え?……あ、あー…そ、っすか……」

「…いえ……わざわざ、ありがとうございます……」

「………」

「…………」

(……妹が……ケガした……ですと……?)

「…………」

眼鏡「?…おーい、何ボーッとしてるんですか?」

「あっ…いえ……」

(……頭の中真っ白だ……手が進まん………妹がケガしたぐれーだろ、俺)

(子供の時全くケガなんてせずに生きてきたヤツの方が少ねーんだ、何を動揺する事があるってんだよ…)

眼鏡「ん?」

「これぐらいなら、大丈夫っす…すぐ片付けます……」

「………………」

眼鏡「………本当にどうした?最近ちょっとおかしいんじゃあないですか?」

「……」

眼鏡「……まぁ何が、とは言わないですが………大丈夫かい?」

「………すみません…」

眼鏡「……ふー……」

「…………」

眼鏡「抱え込むのは結構ですが、兄は社会人です。働いてる以上あんまり迷惑かけないように」

「……はい」

眼鏡「…まったく……悩みがあるならいつでも来なさい、部下の話を聞くのも仕事のうちですから」

眼鏡「人間みんな器用じゃあないんだ。言わなきゃ何にも分からないし、誤解する事だってあります」

眼鏡「はい、パソコン閉じて、休憩行ってきなさーい」パタン

「……あ…」

眼鏡「なんだかよく分からないですが、頭冷やしとけよ」

「……はい…」カタン トボトボ

眼鏡「…………」

眼鏡「いらないおせっかいでしたかねー……」

431 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/23 10:02:37.90 uSwEOc7u0 98/169


「……すみません」

眼鏡「ん?……おお、もう大丈夫なんですか?」

「はい、言われた通り、頭冷やしてきました。だいぶ落ち着きました」

眼鏡「そうか、それはよかったです」

「それで……今後、何度こういう事があるか分からないので、眼鏡さんには少し話をしておきたいと思います」

眼鏡「はは、こういう事が何度もあるとこちらとしてもだいぶ痛手なんだですけどね……どうぞー」

「ありがとうございます……実は今、私には妹がいます」

眼鏡「…妹?……あれ?一人っ子だったって聞いていたんですが……」

「…その辺りがすごく複雑で…まぁ、なんと言うか……」

眼鏡「ああ、いいですいいです言わなくても、複雑な事情なんですから」

「…はい、すみません」

「……妹を保護して、育てられる大人が自分しかいない状況で…私は…独身ですし。そういう事に関わった事が全くないです」

眼鏡「ふんふん……」

「いきなり、育てろって言われて…何にも分からないまま、不安ばっかりで……でも、自分にできた初めてまともに信頼できる家族ができたみたいで、安心する反面……小さいから心配で自分が色々助けてやらなきゃって時に……さっきも、妹がケガしたって電話で聞いて、自分……どうしていいか分からなくなって……」

眼鏡「兄、兄……ちょっとストップ…ちょっと自分の中でまとめる時間をください」

「あ……はい、すみません……」

眼鏡「………」

「……」

眼鏡「ふーん………」

「……………」

眼鏡「よし、兄……僕なりに話をまとめて、考えた事がある。少し黙って聞いていてください」

「はい…」

眼鏡「兄、お前会社やめろ」

「……え………」

眼鏡「家庭を持つ、新しい事と知らない事ばかりで困惑するのも分かりますが、身内がどうのこうので社会は止まってくれません。仕事に影響が出過ぎる事を僕は看過できません」

「でっ…ですが…」

眼鏡「黙ってろ、と言ったはずです」

「う…………」

眼鏡「……私にだって家庭はあります。正直毎日不安な事がないわけではありません。しかし、そういったことにいちいち影響されていては困るんです」

眼鏡「家庭の事で頭がいっぱいいっぱいで、仕事に手がつかないようなら、キミはもう会社を辞めて、別の優しい会社を探すべきです」

眼鏡「つまるところ……邪魔ならどちらか捨てろ、という意味です。どうですか?」

「………」

眼鏡「…………」

「…私は……妹を……」

眼鏡「………」

「こんなわけのわからねー状態で、妹を放っていくなんてできませんよ………金銭面でも、そんな…不自由になんてさせたら…アイツが可哀想じゃあねーっすか……」

眼鏡「………ま、これは会社の人間からした言葉です、強いて言うならね。……僕の本心からすると、気の済むまで家族を大事にして上げなさい。かな」

「は?」

眼鏡「おいおい、入社したての時みたいにその返事は生意気ですよー。…僕には、人間関係が良好ではなかった兄が少しずつ変わっていってるのが興味深いんです。家族が心配なら、心配だーってどんどん表に出してもいいんですよ」

眼鏡「安心して下さい、仕事も家族もしっかり守れればいいんです。どうすればいいかじゃあなく、こうしたい、と言って下されば僕は力になりますよ、兄」

436 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/30 15:29:03.28 szoBtdOb0 99/169

「………」

(妹をだしに使って休んだり早く帰ったりする事で、会社に影響がある事が嫌で黙ってたんだが……こうして話すと、だいぶ楽になるもんなんだな……)

(俺の中だけで、妹を支えるなんてできる事じゃあなかったみたいだ)

(眼鏡さんの考慮で俺はとりあえず部署変更の審査に入る事になった)

(もし仮に異動ができなかったとしても、ある程度は眼鏡さんが融通をきかせてくれるらしい……)

(金銭面では厳しくなるだろうが、まぁ、金がかかりすぎる趣味を持ってなかったって事が幸いしたかな)

(一応、貯金はしてあった。ただなんに使おうか悩むだけで増えてく通帳見てもなんにも面白くねー)

(今日は眼鏡さんと話をした後、重要な作業だけ手早く終えて、残りは持ち帰る事に成功した)

(………と、いうことで…一応妹の小学校に来たのはいいが……こういう時って学校の中に入っていいもんなんだろうか……)

(うーん……いっぺん職員室に行く……として、電話とか事前にしておいた方がよかったりするんかねー)

(早く妹の姿を見て、安心したい……。しかし、ケガの状態によっちゃあ………)

(ああ、なんか貧血になりそうだ……)フラ

「………」

(行くか)



「………」

ワイワイワイワイ

女子4「あれー?妹ちゃんじゃーん。怪我大丈夫だったー?」

「………そうだね……一応…」

女子4「あ、顔のところかぁ、うわー、痛そー」ツン

「………触らないで……くれるかな……痛い」カオシカメ

女子4「あは、ごめんねー」グリ

「やめなよ、ケガのところ触ると痛いんだよ」ガシ

女子4「あっ、ごっめーん痛かったんだ」

女子4「それじゃ、お大事にー」チッ

「……」ガルルルルル

『どーだった?』コソコソ

『ダメ、あんまし面白くない』コソコソ

『ほれ、菌』コソコソ

『ちょっ、やめてよー』コソコソ

「大丈夫だった?」

「……うん、別に……悪気があった、わけじゃあ……ないと思うし…」

「……そっか」

女子6「妹ちゃん大丈夫だった?ごめんね!私が縄回してたから、止めればよかったのに……」

「……ううん……大丈夫…」

男子3「馬鹿力」ボソ

女子6「ああ?」

「はいはい、喧嘩はもっと遠い所でやってくださーい」

440 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/12/31 16:58:18.75 5wtnGjtr0 100/169

「………」

男子5「………」

「」ビクッ

「………なに?……」

男子5「………」ス

「………」

(………誰にでもできる応急処置~vol.4~………?)

男子5「………」ビシィ

男子5「…………」スタスタスタ

「………」ペラ

(……ケガに、気をつけて……ってことで…いいのかな……?)

ガラララララ

担任「…ふー……あ、妹さーん、ちょっといいですかー?」

「………」コク

「………」トテトテトテ

担任「さっきね、妹さんがケガしたって家族の方に連絡したらね、迎えにきちゃったんですよ」

「……兄…が?……」

担任「そう、その…兄さん?が。妹さん頭も打ってるみたいだし、大事をとって帰りの準備してくださーい」

「…………」コク

「………」トテトテトテ

「……私、今日は…帰る、ね…」

「はーい、何かあったらすぐにボクの事呼んでよね、すぐ行くから!」

「……ありがと……」カチャ カチャ

「………」

(…教科書と、筆箱と……)

女子1「……帰るんだ」

「………」コク

女子1「………」

「………」

女子1「……あ、あのねっ」

女子8「あれ~、妹ちゃん帰るんだ~……」

「……」コク

女子8「キモ」

「…………」ピク

(………意味が…分からない……)

女子8「行くよ、女子1」キッ

女子1「え、あ、あの」ワタワタ

「……」プイ

「…………」トテトテトテ

ガララララララ

448 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/02 14:59:14.40 5Z9aSs1B0 101/169

「………お……」

「………」ムスー

「大丈夫か?妹」

「……大丈夫……」

「ん、そうか」

(顔にちょっとしたケガ、膝も擦りむいてる……だいぶ痛々しいな……)

「……」ウプ

(……はー……妹が少し不機嫌なのも気になるところだが、ケガを見るとどうも気分が悪くなる……)

(アレが関係してるんだろうが、本当に勘弁して欲しいぜー……)

「……」

「とりあえず帰るかー」

「………」コク

「手は?」

「………いい」トテトテトテ

「ん」テクテクテク


「あんまし遠くはねーけど、歩いて帰るよりはマシだろうと思ってな、バイクで来た」

「………」

「ほい、メット」ヒョイ

「……うん…」カポ

「………」

「……兄…」

「はいよー」カチ シュ

「……首のやつ……お願い、します……」

「へーい」シュ キュ

「ほい、苦しくねーか?」

「……」コク

「それじゃあ行きますかなー、っと」ヒョイ

「……」チョコン

「よし、と」カチ キュイーン

「……しっかり掴まっとけよ?」

「……うん」ギュ

「……おーけーおーけー、それじゃあ行くぜー」ブロン ブゥン

「………」

(今日は、よくわからないこと……言われたりしたけど……)

(なんだか、負けたみたいで……もやもやする…)オオオオオオォォォォォォオン

「………」オオオォォン

(……絶対に……次は……あんな事…言わせない)ギュ

「痛い痛い痛い痛い、お腹お腹つまむのやめて」ビュオオオオ

(うん……頑張ろう……)ギュウウウウ

(あかん、風とバイクの音で聞こえてない、痛い)

451 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/05 03:17:50.87 Y0GsiIVU0 102/169

「さーて、早く帰宅できたのはいいとして………今日はどうしようかなー、飯」

「………私が…作る?」

「あん?ケガ人は引っ込んでろ」

「…む……ケガしてても…手とかじゃ、ないし…」

「はいはい、その時は菓子やるから部屋で待ってな。兄ちゃんが美味しい飯作ってやるから」

「……ご飯前に……お菓子は、ダメ」

「………そうでしたね…。じゃあ勉強だな」

「………ずるい…」ムス

「へへ、大人の特権ってやつかなー」

「……まぁ…でも、ごはんの前には……終わる、から……」

「………風呂」

「……入るのには…はやい……」

「テレビ」

「………みなくてもいい……」

「本読んでろ」

「…いつでも、読めるから…」

「………」

「…………」

「へーへー、折れましたよ。手伝いたきゃ勝手にしろ」

「………」グッ

(小さくガッツポーズすんのやめろ、やたら可愛いから)

(………だからそうじゃないでしょうが、俺………)ズーン

「……あ……」

「どーしたー?」

「…ばんそうこう、はがれそう……」

「おーけーおーけー、ちょっとちいせーもんな、その絆創膏。もうちょっとデケーのがあるからそっち貼ろうなー」

「……うん………」コク

(バイクに乗ってると、ヘマってそれなりのケガする時があるからなー……そういった救急道具はバッチリ、っていうね)

(足滑らせて立ちゴケとか恥ずかしくて死ねる……雨の日のマンホールはマリオカートのバナナ)

「………だっこ…」

「あ?」

「………」

(手を広げてだっこー、とか普通誰もやんねーだろこのヤロー……ズリーぞその顔やめろ、やんなきゃダメって無言の圧力もすんな)

「…ったく」ヒョイ

(はい、甘いです)

「ケガしてるからするだけだからな?ケガしてなかったらぜってーにしねーからな?」

「………え……?……」

「………………くそ……いつでもしてやりゃいいんだろタコ」

「……にへへっ…………」ギュ

(あーもー……学校じゃあ甘えらんねーからってタガ外れたみてーに甘えやがって……昨日の気まずさどこいった、帰ってこーい。………あ、やっぱいいわ、このままで)

463 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/06 19:53:31.44 BMue79Xl0 103/169

「えーと、絆創膏はー、っと……」ゴソゴソ

「…………」

「お、あったあった」

(…消毒液………)

「………しみる……?」

「染みる、ムッチャクチャ染みる。多分泣き叫ぶぐらいだぜー」

「………ぅぅ……」モゾ

(あのね、そんな妹いじめるような真似するわけねーじゃあないっすか。そりゃあ言葉ではなんか分かんねーけどマトモな事言えねーけどよー、俺自身痛いのは嫌っすから染みない消毒液なんですよねー……誰がガキだ)

(もちろん染みない消毒液って容器には書いてあるからガッチリ握って妹からは見えないように……ちゃっかりね、すみません)

「………痛かったら……怒り、ます……」ジ

「怒られるのはちょっとキツいかなー」

「……だったら…やさしく……して、ね……?」

「ん……おう」

(くおおおぉ………被弾した、不覚にも……ググっと胸の辺りがバリッと……オーノゥ…)

「……………」

「んじゃ、絆創膏剥がすかんなー」

「………」コク

「………」ペリ リ

「……っ………ふ………」

「剥がれかけだからだいぶマシな方だぜー、妹よー。はい我慢がまーん」ピピピ

「んんん………」

「ほいほい、もうすぐ――――」ペリ

「――――――――――――」

(……ぐ………おえ………うっ…ぷ……)

「……どう、したの?……顔色…悪い………けど…」

「…ちょっ…ちょっとタンマ……なんか……しんどい…」

「……え、えと……な、なにか………」アタフタ

「……な、なんつってー……」

「………え……?…」

「どう?この迫真の演技?ビビった?ビビった?」

「……………」

「…………………」

「……………………」

「………へ…へへー…」タラー

「………っバカ…!……」

(半分も歳いってない小学生に罵倒される社会人です)

「わりーわりー、ほれ、そうこうしてるうちに剥がしたし、な?あんまり痛そうにするもんだからよー……」

「…………」ムスー

(…拒絶反応、みたいなもんかね……こみ上げてくる吐き気で口ん中変な味になって唾液が変に湧いたんすけど………)

(ここまでダメになるもんなんですか?トラウマさーん………)

470 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/08 02:42:50.66 KyetRY0/0 104/169

「……よし、とりあえず風呂までこれで大丈夫かねー」

「………」クイ クイ

「………うん…ありがと…」

「さーて、と……何か飲むか?俺はコーヒーだけど」

「……ココア……」

「はいよー」

「とりあえずテレビ、適当に面白そうなの点けといてくれ」テクテクテク

「…はーい……」

「………」カチ ポチ ポチ


「ふーふふんふーふーん……」カチャカチャ

(俺は、このままじゃあダメだよな……)サラサラ

(変わるつもりなんてなかった、どうせすぐにでもくたばると思ってたから)カチ ボッ

(昔の事は、ズタズタに穴が空きっぱなしで、埋めようと触れるたびに自分が傷つくから…埋めようとも考えなかった)

(だけども、妹がここに来てから、色々な事にぶつからなきゃいけないと思った)

(穴が空きっぱなしの弱い人間なんかじゃあ、妹と一緒に過ごすなんてできない)

(人間、嘘をつきっぱなしで生きていくなんてできない)

(強くならねーと……自分の心ばっかり守ってビビってばかりの俺を叩きのめして、妹に心から頼られるように)ピー

「…………」カチャン

「……………………」コポコポコポ

「よし、と……」カチャ

「………」テクテクテク

「できたぜー、妹ー」

「………」ジー

「…?……」

(テレビ、そんなに妹が夢中になるようなもんでもやってたのか?)チラ

TV「好きです…心から……あなたを愛しています……」

「ぶっ」

「…!……で、できたん…だ……」ポチ

TV「ワハハハハハ!」

「おー、ほれ、あちーから火傷すんなよ?」

(…恋愛系…そうかー、こういう年頃ぐれーからそういうのって気になるもんなんすかねー)コト

「…ありがと…ございます…」

「んー」ドス

「…………」トテトテ

「おいおい、あぶねーから持って歩きまわんな」

「……ごめ、なさい……」チョコン

「…でも、ここが……いい…から………」

「へー」

(またあぐらかいてる俺の足の上ですか……)

「………」チビ

473 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/08 21:47:55.62 KyetRY0/0 105/169

________________________

「………」ズズ

「…………」

ンナーーーー!ハハハハハ!!

「………」フー

「………」チビ

(…結局家にいると特にすることもねーから毎度のようにこんな風に過ごすしかねーなー)

(ま、俺はいいけど。コイツはどう思ってんだ?)

(最近の…っていうか、どんなヤツでも時間がある時どっかに買い物行ったり遊んだり映画みたり……っていうのがあるんじゃあないのかねー)

(俺は小躍りしちまうような喜びも、ズッタズッタに傷ついちまうよーな苦しみも悲しみも、人間らしい喜怒哀楽なんて感じなくていい)

(俺の中にあるのは、ひたすら平和に、落ち着いた時間を過ごしたいだけ……)

(いままで悲しみやらやるせなさで生きていくのなんて嫌だったが、今は安らぎがある。だから安らぎを得ながら……俺は平和に生きたい)

(だが、コイツは……俺の、今の安らぎになっていて、何かしてやらなくちゃいけないのかって頭を悩ませるようなコイツは、それでいいんだろうか)

「……………」ムーン

「………………」ジー

「ん?」

「……むずかしい顔……してた……」

「あん?今のテレビのギャグがどういう意味かで頭悩ませてたんだよ」

「………」

「なんすか」

「…今、CMと……喋ってるだけで……誰もギャグなんて言ってないよ?……」

「はっはっは、面白いなそのギャグ」

「……………」ムー

「…なーんてな。妹、俺といて楽しいか?」

「……………」

「………わかんない」

(わかんねーってことは、つまらないって事だよなー、やっぱし)

「…………」

「……でも……でもね……」

「…あー?」

「……………」コト

「………」クルリ

「な、なんだよ……」

(んだよ、マジで、改めて向き直られるとなんか…その、照れるじゃあねーっすか)

「……兄……私…へん、なのかな……?」

(あ……この目…よく見る………年齢に合わねーような、全部見えてるような目……)

「……」コテン

「……すごく、楽しいってわけじゃあ…ないけど……すごく……落ち着くの……」

「…………兄………私………へん?………」

「……まー、変じゃあないでしょ……俺も好きだし……落ち着くの、うん」ポリポリ

474 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/09 23:58:40.65 PpChp6vZ0 106/169

「…………」

「……一つ……思うことが…ある……」

「あん?まだなんかあんのかよ」

「……私………ね……その……」モジモジ

「…………」

(…あ…………)

「……少しの……間、だけど……」

(嫌な予感しかしねー……俺にとって、それは違う)

「…兄と……一緒にいて…………一つ……感じてた……」

(俺はただ、家族として、兄妹として一緒にいることがいいのであって、お前が感じてる感情じゃあねー)

「……兄のこと……考えると……ここが、苦しくなるような……気持ちに、なる…………」

(やめろ………気づかなかったわけじゃあねーが、そうじゃあねーだろ)

(俺はそんな人間じゃあねーぞコラ、好意を受けるような……そんなまっとうな血は流れてねー……)ギリ

「本でも……読んだの……これは、こういうのは………」

(考えろ、俺。妹が真っ当な人間であり、それを守る方法を……違うでしょうが、俺は……)

『おい、言ったよな、帰ってくるまでに綺麗にしとけって』ゴッ

(……そうだ、落ち着け……確かに安らぎは欲しいが、何も全部妹を巻き込んでいいわけじゃあない)

(妹は妹の幸せを手に入れるまでの、それだけの時間を支えればいいだけで、それだけの時間を過ごせれば俺は満足してくたばれる、そうだろ?)

(大人の対応、あえて受けて、流す。クズの俺がいつものようにしてた事だ、そうだろ?)

「…わ、私っ……す………すき…なの…………兄のこと……」カァア

(い、いっちゃった……とうとう……まだ、兄のこと……全部知ってるわけじゃない、けど)

(……これから……きっと、兄は……私の事………見てくれるんだ……)

「へー、そうか。俺も好きっすよー、割と」

「よーしよし、可愛い妹ちゃんですもんねー。うん」ナデナデ

「………………」

「ふはは、照れてやんのー、兄ちゃん好かれてるってわかったから嬉しーぜー」ケラケラ

(……ちがう…まだだ……兄は、私のことを……みてくれてない………)

(く、口ん中カラカラだ……どうだ?通ったか?つか、これで終わってくれ………!)

「……ちがう………私の……すきは………こ、こういう、こと………」ズイ

(あ……これはマズい………それ以上俺に近づくな……顔を寄せるな、コラ……!)

「………」ドキドキ

ピーンポーン

『いーもうーとちゃーん!来たよー!』

「お、今朝の子じゃあねーか?」スク

「……ま…まっ…て……」

「はいはーい」スタスタスタ

「兄っ……」スカッ

「……………」

(ううう…………うううううううううう!)

(…頑張った…のに…!………こんなのって……もう…ちがうのにぃ……)

476 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/10 03:35:02.25 LNL0GWl30 107/169

「あ、おにーさん、こんにちはー」ペコリ

「どーも」

「妹ちゃん、早退しちゃったのでプリント持ってきましたー」ヒラヒラ

「わざわざすんません。妹、中にいるからよー、よかったらどうぞー」

「あ、いえ…それは妹ちゃんにちょっと悪いかなーって、えへへ」

「………」トテトテトテ

「あ、妹ちゃん…大丈夫なの?」

「…うん、ありがと……心配してきてくれて………」

「ほれ、せっかく来てくれたんだ。テキトーになんか話でもしとけよ」ポン

「…………」コク

(た……助かった………おそらく一時的なものだろうが……)

(あ、ちょうどいいや。話してる間に飯作っちまおう。そうすれば妹が手伝わなくてもいいだろ……ごめんな、妹の友人よ)

(手早く美味しく愛情込めて……よし、やりますかー)テクテクテク

「なんか、怒ってる?」

「………怒ってない、けど……ちょっと……くやしい……」

「なにかあったの?ケンカとか、しちゃった?」

「……ううん………ただ……失敗……」

「よ、よかったら…聞くけど…」

「…………うーん……」


(オラオラオラオラオラオラオラオラオオォォォォォラァアアアアッ!!)カンカンカンカン

「……結局自己満足の一人暮らし貧乏飯か……俺に作れるのは……」

(気のせいじゃあなかったな……妹の、あの気持ちは)

「はぁーあ………」

「悪いが、応える気は一切ねーぜー」ジュー

(俺は守っていく。キッチリと)

(俺のは恋愛感情じゃあねー。どっちかって言うと、気にかけ続けるような、そんなような感情だ)

(yesロリコンnoタッチの精神だよマジで……あれ?)

(それはそれでいかんやないかーい)ビシ

(さっむ)

(ま、妹と気持ちが違う事は確かだ。守りたい、一緒にいたい…ただそれだけの感情よ)

(………これはどういった感情なんですかね、親父よー)

(――本当は、キスしたい抱きしめたい俺の傍にだけいてほしい――)ズキンズキン

(なんとかして意識を外に向けてやらねーとなー……普通に優しくて一緒にいて妹が楽しめるような、そんな立派なヤツがきっといるはずだ)

(俺だけの笑顔、優しさ、安らぎ――)

(きっとモテるだろうなー妹。おっと、兄バカ発揮しちまった、へへ)

(ずっと一緒に、俺だけの…誰にも渡すつもりなんてないくせに――)

「…ふんっ!!」ゴンッ

「アホか」ジンジンジン

「俺は兄ちゃんなんだぞドあほ」ゴツ

(あんなガキの感情に惑わされるな。ただ好きを勘違いしてるだけだ。しっかりしろ、兄よ)

479 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/11 02:05:35.56 j57aKs020 108/169

「…………」カチャカチャ

「こんなもんか…」

「そろそろ呼びにいくか……」テクテクテク

(にしても、随分と話し込んでるみてーだな。口数少ねーし、そんなにコミュニケーションがとれる子が友達になってくれたみたいで嬉しーぜ)

「妹ー、飯できたぞー」

「……っ!!?」
「のわっ!!?」

「なんすか、突然出てきたらそんなにビビられるような人間っすか、俺は」

「い、いえっ……そんな事ないです!」

「……夕食作るの……手伝うって、言ったのに……」

「わりーわりー、それはまた今度な。そこの嬢ちゃんも飯食ってくか?」

「あ、大丈夫です。おねーちゃんが家で待ってるので」

「そか、またこうやって妹と仲良くしてやってくれよな。コイツ不器用だから」

「おにーさんがそれを言いますか……」ボソ

「…………」

(どうして二人とも黙りになるんすか)

「大丈夫です!妹ちゃんのことはボクに任せてくださいっ!」

「おお、ありがとな嬢ちゃん」

「それではここら辺で帰らせていただきますねー。今日はありがとうございましたー」ペコリ

「………うん…ありがと……」

「……妹、お前ちょっと留守番できるな?ちょっと遅くなってるし、送りにいくわ」

「…………」コク

「ええ?いいですよそんなのー」

「妹の友達だからな、一応だ一応」

「まぁ、では、よろしくお願いします」

「………友ちゃん……」チョイチョイ

「はいはーい」

「…兄に……さっきの事……言わないでね……」コソコソ

「うん、わかってるよー」コソコソ

「…兄にはちゃんと……伝えたい、から………私の口で……」コソコソ

「うんっ、頑張ってね妹ちゃん!」コソコソ

(女の子というのはどうしてここまで内緒話が好きなのでしょうか)ポケー

「それじゃ妹ちゃん!また今度ねー」フリフリ

「………うん」フリフリ

「腹へったら先に食っちまってもいいからな」

「……ううん……待ってる……」

「腹へって文句言われても聞かねーかんな」ワシワシ

「…大丈、夫………」

(ああ、仲いいんだなー……学校ではあんなに口元緩んでないよー、妹ちゃん)

(ああ、アレが素の妹ちゃん……可愛い……可愛いよぉ……」ハァハァ

(なんかよく分からんが大丈夫かこの子は)

483 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/11 16:58:47.41 j57aKs020 109/169

「悪いな、男物しかまともな防寒具なくて」テクテク

「いえいえ、いいですよー。あったかいですから」テクテク

「そうか」

「にしても、妹ちゃん可愛いですよねー」

「…まぁ、そうだな」

「実は、知ってるんです、私」

「何をっすかー?」

「今日の妹ちゃんのケガの原因です」

「そりゃあ、縄跳びだろ?俺も担任の先生から聞いてそれぐらい知ってる」

「なんでも足がもつれて出るのに失敗したーってな。妹運動できなさそうだもんなー」

「いえ……妹ちゃん、運動はできる方です。むしろ得意です」

「へー、想像つかねー」

(かなり万能じゃあないっすか、妹。ハイスペック過ぎんだろ)

「原因はクラスメイトの子の仕業なんです」

「クラスメイト?」

「はい、クラスの子は誰も知らないんですが、一人だけその瞬間……妹ちゃんの服を引っ張ってバランスを崩させたって所を見た子がいるんです」

________

『犯人……って、え?』

男子5『………』ユビサシ

『女子1ちゃん……8のグループの子……』

男子5『………』

『…あいつら~っ……!』ダッ

男子5『………』ガシ

『ちょっと!はーなーせー!あいつらギタギタにしてやるんだ!妹ちゃんの仇だぁー!』ジタバタ

男子5『…………』ズルズル

『ぬ、お…おお……』ズルズル

男子5『まだダメ』

『……しゃ、しゃべった……』

男子5『………』シマッタ

『っていうか、今行かなかったら妹ちゃんがもっと酷い目にあうかもしれないんだよ?』

男子5『…………』フルフル

『首振るんじゃなくて!言わなきゃ分かんないよ!』

男子5『…………』

『なにか考えでもあるの?』

男子5『………』コク
__________

「そうか……クラスメイトか……」

(クソガキども挽肉にしてやろうかしらん)ピキピキ

「この事、妹ちゃんには言ってないんです……妹ちゃん、ツンツンしてるから勘違いされちゃうかもしれないけど、優しいし、友達つくろうと頑張ってるから……こんな事、言えないです」

「まだそっちの方がありがたい。……はぁ……まったく……」

(妹には、きたねー他人がいることをあまり知られたくねー。綺麗なまま純粋に……俺みたいにねじ曲がって欲しくねー)

484 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/11 18:02:22.26 j57aKs020 110/169

「とりあえず、ありがとな、教えてくれて」

「いえいえ」

「そこで頼みなんだが……妹のこと、守ってやってくれねーか?」

「本当なら俺が守りたい所だが、あいにく俺は学校にいるわけじゃあねー。今後何があるか分かったもんじゃあねーし……妹にできた初めての友達でもある嬢ちゃんにお願いしたい」

「ボクはもうそのつもりですよ、おにーさん」グッ

「そうか、妹のこと、頼むな」

「了解です!」ビシッ

「………ふー」

「ところで、おにーさんは妹ちゃんの事、どう思ってますか?」

(ごめんね、妹ちゃん)

「あ?そりゃあ、大事な……たった一人の家族だ」

「妹ちゃんがおにーさんの事、どう思ってるか知ってますか?」

(ごめんね、妹ちゃん。おにーさん程色々考えてるような人が、妹ちゃんにあそこまでされて、気づいてないなんて思えないんだ……本当の気持ちに)

「………」

「おう、知ってるぞ。好きって言われるぐらいだ、”家族として”ここまで好かれてると俺も嬉しいもんだぜ、まったく」

「すごいですね、おにーさん」

「だろ?ちょっと話しただけで泣かれてたのが嘘みてーだ」

「本当の気持ちを分かっていながら、そこまで知らない振りをするなんて」

「え?もしかして嫌われてたり?」

「ふぅ、おにーさんも強情ですねー。妹ちゃんは――」

「あれ?家ここら辺じゃあねーか?」

「はぐらかそうったってそうはいきませんっ」

「………」

「いいですか?妹ちゃんは――」

「やめてくれ」

「………それだけは、知らないままでいい」

「でも!妹ちゃんは、おにーさんの事が好きなんですよ?知っててそっぽ向いてるなんてひどいです」

「……子供にはわかんねーよ。勘違いだ、気のせいだ、思い込みだ」

「年齢は関係ないと思いまーす」

「はぁ、俺が突然出てきて驚いてたのはこの話が原因か……あの様子だと妹に口止めされてたんじゃあねーのか?」

「う……でも、妹ちゃんは本当に!」

「いいか?妹の気持ちを知ってやったところで、俺はそんな感情を妹に抱いちゃあいねー。そしたら妹は傷つくだろうな……関係もギクシャクしちまうだろう、妹は頭が良いから色々考えるだろうからな」

「………」

「そこの辺りを、よく考えてやってくれ。妹のためだ」

「おにーさんは、妹ちゃんの事、そんな風に見れないんですか?」

「見れない」ズク

「じゃあ、ボクが奪っちゃいますよ?おにーさんの手の中から、妹ちゃんを!」

「ははは、そうだなー、それもいいかもしれない。せめて嬢ちゃんみたいないい子が男だったらなー」ズク ズク

(むむむ、思ったより強敵だ……私のプランでは『俺は妹が大っ好きだぁああ!!俺は妹と!添い遂げる!!!!』ぐらいの予定だったんだけど………ここは一時撤退しておねーちゃんに攻略法を聞くしかない…)

(こんなみみっちい子供なんかにどうしてここまで揺さぶられなきゃあならんのだ……はぁ、帰っても妹からは逃れられねーし……頑張って上手くスルーできる方法を考えなきゃあな………妹を傷つけさせねー最良の選択……)

485 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/11 19:11:24.65 j57aKs020 111/169

「私の家、ここですのでー」

「そうか、今日はわざわざ悪かったな」

「いえいえ、好きでしてる事なんで」

「じゃ、これからも妹のこと、頼むな」

「はいっ。おにーさん、妹ちゃんの事……考えてあげてくださいね」

「……悪い。それでは」テクテクテク

「くー……堅いなー……」ガチャ

「たっだいまー」

「おねーちゃんおねーちゃーん」ドタドタ ガチャ

友姉「………んひ…うひひ……」カチカチカチカチ

「はぁ、またゲームしてる……」

「おねーちゃーん?」ユサユサ

友姉「っ!!!と、友……か。び、びっくりさせないでよね」

「ヘッドホンしてゲームするのやめたら?」

友姉「うひ、それは、できない相談だね。そ、それでどうかしたのかね?」

「うん、最近友達になった妹ちゃんって、話したじゃない?」

友姉「ああ、あの……むふ、想像するだけで、お、お腹も頭もいっぱいです、ごちそうさま」

友姉「ああ、我が妹とその妹ちゃんが絡み合う想像をするだけで、ぬひ……鼻血でそ……」

友姉「この前のNL枠の男子3君と女子6ちゃんの妄想だけでもウチ、三時間はぶっ続けたのに……うひ……うひひ……」ポワポワ

「あのー、おねーちゃん?話続けてもいいかなー?」

友姉「ふひひ……小学生最高!!!!!」

「ダメだこれ」

友姉「して、友よ、妹ちゃんがどうかしたのかね?」キリッ

「………」

「あのね……」




友姉「……」ビクンビクン

「会話が進まない……」

友姉「だめ、考えただけでも……うひ……いいねいいね、ギュンギュンくるね!」ハァハァ

「でさ、どう思う?」

友姉「禁じられた兄妹愛!たぎる思いを我慢できないまま幼い身体を蹂躙しまくるツンデレ兄!ああ!ああもうウチダメですぅ……」

「………」

友姉「……ふむ……ここはウチがある程度考えを用意しておこう。心配するな、こう見えても一日5本はゲームを消費してきた」キリリ

(その才能をもっと活かす場所があるんじゃあないのかな……)

友姉「はぁ、で、でもなー……GL枠なくなるのかー、あ、新しいの、探さなくちゃ……」

友姉「!!!!三!角!!間!!!系!!!!!!」バッ

「もういいや………任せたよ、おねーちゃん」

487 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/12 06:52:31.91 hC8qpWwy0 112/169

「………」

(兄の、お箸……私の……お箸……)

(お茶碗に、コップ……いろんな食器……)

「………」

(全部全部、一緒………)

「私にも……兄にも……」

(同じ、パパの血が流れてるんだって………兄のお母さんが言ってた……)

「………」

「……どうして……」

「…どうして……こんなに一緒、なのに……」ポロ

「…う……ううう……ひぐ……」ポロポロ

(…どうして……こんなにも…違ってるの……?)

「……うええ……グス……」

(…ひとりは………嫌……私を……ひとりに、しないで……)

「……」フラ

「………ぐす……」ガチャ

「………」

(…兄の……服……ベッド……)ボス

「………ひぐ…ズズ……」モゾモゾ

(……早く…帰ってきて……兄……)

「………」

「……痛いよぉ……兄………」



『はぁ……ムカつく……』

『なんだってアタシが……』

『……ぐす…』

『ッチ、こんなんじゃあアイツの代わりにもなりゃしない。』

『半分はアイツかぁ……羨ましいけど、不純物が入ってる時点でお前もウチのと同じだ。所詮思い込んでも、違うんだ……』

『……ちょうどいいや、完全廃棄物の所に連れてってやる。アレも暇してるだろうし』

『完全な…アタシを捨てたアイツとの……はもう叶わないか……あーあー、ホントムカつく』ガンッ

『…っ……』ビク

『おっと失礼~、大丈夫……アンタには何もしないよ………ふふ…』



『ほら、きな』

『……ここ……どこ……?』

『アタシの出来損ないの家……かなー』

『……っ…なんだよ、突然……』

『……』

『何?これ?』

『あんたの妹、腹違いだけどね』クク

490 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/13 23:39:15.19 ER4vlUNd0 113/169

「………んだよ、待ちくたびれて寝ちまってやがる」

「……スー…スー……」

「………見れば見るほど、ホント可愛いもんだよな……」ナデナデ

(泣いたり笑ったり、いじけたり怒ったり……はじめこそ無表情もいいとこだったが、今じゃあしっかりと感情表現もする)

(コイツがいると、俺の中で捨てちまった感情も拾い出せる。純粋に生きたいだなんて、考えた事は少なかった)

「本当の気持ちねぇ……」

「あんなガキに言われなくても、分かってんよ」

(感情なんて、自分自身が身を持って知ってんだ)

(ああ、この痛みが恋愛感情なんだ、と分かるさ。あれこれ考えてそれらしい言い訳を作るたび、言葉に出すたび、紛れもなくこの感情は本物なんだと痛みが強くなる)

(向き合ってるから、こんなに辛いんだよ。向き合ってるからこそ、俺は心に応えちゃいけないんだよ)

(兄妹であり、アイツの子であり、捻じ曲っちまってるクズであり……そんな俺が、光のようなこの存在を遮るような真似はできない)

「……スー……スー……」

(……だが…今、今だけは……俺を許してくれ。これで、俺の感情に、抑えられないぐらいに大きくなっちまった感情にケリをつける。最初で、最後の過ちだ)スッ

「……スー……スー……」

(妹の事を好きでいる俺は、ここで退場。永遠にさようならだ)

「幸せになってくれよ、妹」チュ

「……ん……スー……」

(ホント、最低だぜー……)

(名残惜しいけども、これ以上はダメだ。ぶっ壊れそう)ス

「……スー……スー……」

「……おいコラ、起きろ。飯も食わねー風呂も入らねーままで寝ちまってんじゃあねーぞー」ユサユサ

「…ん……んぅ……」パチ

「……あ……」

「待たせたな。ほれ、飯にすんぞ」

「……兄……兄ぃ……」ギュ

「んだよオメーは、ほいさっさと起きーる」

「……おかえり……」

「はいはい、ただいまー」

「………♪……」

「ぶら下がんな、重てー」

「……むぅ………」

「……まったく……行きまーすよー」ヒョイ

「………」

「……」ガチャ

「温め直すから待ってろよなー」トスン

「……うん」

「………」

(……私……決めた、もん……ずっと、ずっと兄といるんだ……)

(……兄妹だからとか…どうでもいい……私は、兄がいい……)

(…今は違っても……いつか同じになるんだ……別に…変じゃ、ないし……)

491 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/14 04:09:46.88 yXsAzAmC0 114/169

_____

「うっし……妹ー、準備できたかー?」ゴソゴソ

「……うん…」

「それじゃ向かいますかねー………っと、随分デカい鞄選んだな。そんなに物あんのか?」

「……うん……いっぱい。……ダメ…?」

「別にいいけどよー、一人じゃ持てないって言っても手伝わねーぞ」

「………いじわる…」

「まあな」

「………」

「…でもまぁ、手が空いてたら手伝ってやんよ」

「……ふふっ……じゃ、行こ……」

「ほいほーい」

(今日は妹の家に、妹の持ち物を取りに行く。アイツに連れられて必要最低限の物しか持ってなかったから、いろいろ役に立つもんもあるでしょ)

(大荷物になるみてーだから今回はバイクはお休み。仕方がねーからレンタカーで向かうんだが……)

「うっわー、車とか全然乗らねーからこえーわ」ガチャ 

「……?……」

「バイクと自動車は結構違うんだよ…こう、なんつーかこの丸いハンドルってのが気に食わねー、全体的にボテッとしてるし…」バタン

「……へた?…」バタン

「下手じゃあねーとは思うけどよー……」

「…じゃあ……安全…運転で、ね」

「安全に乗らん車って普通はねーもんよ、映画の中ぐらいだよ危ねーのは」ブルン

「……回ったり…?」

「そっそ、飛んだりな」ガチャガチャ

「……気をつけてね……」

「ん、かなりビビりながら運転する」

「……がんばって………兄…」

「おーう、妹ちゃんの声援がありゃあバッチリよ。……おいコラ、シートベルトしろ、安全は保証できんぞ」カチ

「…はーい……」ス カチ

「ふー……よし、行くぞ、アクセル踏むぞ、進むぞコラ」ガッチガッチ

(……車になると…兄はすごく、臆病になる……みたい)



「生きた心地がしなかった……」ゲッソリ

「……上手……」パチパチ

「おー、サンクス。しかし明日以降二度と自動車には乗りたくねーもんだぜ……」

「……私も…バイクがいい、かな……」

(兄と…ギュッて……くっつけるから……なーんてな……)

「確かに、妹が後ろにぴったりくっついてくれてた方が安心できますしねー、なんて……はっはっは」

「………」カァ

「何故そこで赤くなる」

「……………しらない……いこ……」プイ

503 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/15 22:48:16.67 079gBYai0 115/169

「………ふーん…」

「……」パタパタ

(結構綺麗じゃあねーか……俺んちは、あんまり綺麗にされてなかったかんなー……)

「…………」ゴソゴソ

「………ま、ここは妹に任せて俺はのんびりしてますかねーっと」

「…………♪」




「………」テクテクテク

(…ここは……)ガチャ

(…作業部屋……?……ああ、そういえば……俺も親父に憧れてわざわざ作業部屋作ったんだっけ……)

(………やっぱし几帳面だな、おぼろげだけども物の配置なんてまったく一緒にしてる)カチャ

「…お…パソコン………」チ フィィイン

(一度も触らせてくれなかったパソコン。そういやー、手書きがクッソ下手だったからいつもこれ使って文章送ってきたっけ)

(それでも、いっちょまえに最後の署名だけは手書きでやんの、締まらねーっつの)カチ カチ

「…………」

(私の子供………くっせーフォルダ作ってんじゃねーよタコ……)カチカチ

PC「」パパパパパパパパ

「」

「……………あんた本当にバカだよ……」

「……いつまでも大切そうに俺の写真なんか………」カチ カチ

「…………」カチ カチ

「………」カチ カチ

「……………っ」ドンッ!!!

「………なんで、可愛い娘は放ったらかしなんだよ、アンタは……!」

(……いつまでも捨てたガキにちまちまつきまとってる暇があったら、寂しい思いしてる妹に何かしてやれなかったのかよ)

「…………あーあー、忌々しいぜーまったく」

「…………?……」カチ

『◯月△日 とうとう初めての子供が生まれた。僕の子だ。これを機に兄の成長記録をかねた日記を書こうと思う』

『△月△日 兄が立った、そして歩いた、これは感動モノだ。歳に似合わず大はしゃぎしてしまった自分が恥ずかしい』

「……………」

(……こんなものまで………つか日記って言うわりにはスッカスカじゃあないっすか……やる気ねーのな……)ハァ

「……………」ボー 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

「…………」カチ カチ

『――――――――――』

「………ふぁ………」カチ

『どうやら妻は浮気をしているようだ。それも結構長いらしい。正直キーボードを打つ手が震えているrrrrr』

『僕以外見ていないんじゃあなかったんですか……どいうことだよ。……もっと嫉妬して欲しかった?そんなに僕はキミに寂しい思いをさせていたのか……?』

『”親権は俺にある、妻と別れて子供も渡せ”と言い出す男が現れた。なんだコイツは……ああ、浮気相手ね、分かってるよ。しかし残念だったな!兄は僕の子だ!手出しはさせない!』

『嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ………』

506 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 00:09:06.99 szfrYKfk0 116/169

『僕は信じない、僕は信じない。兄は僕の子だ。誰にも渡さない』

『どうやっても兄との関係は切らなきゃいけないらしい……僕は、どうしたらいい?』

「………』

『あの楽しかった日々は、僕だけのものだ。誰にも、兄を育てるのは邪魔させない』

『兄を援助する方法を見つけた』

『――――――――――』

「……なんだよコレ……」

『心苦しいが、僕は兄と妻と別れることになった。しかし、僕も浮気をしたということで罰せられるべき立場になった。だが、大丈夫だ。別れる事になっても僕は決して離れたりしない。』

『――――――――――――――――』

『……最低だ』

『やっぱりアイツらに引き渡すんじゃあなかった…!兄があんな酷い目にあっているなんて……』

『僕は最低だ……』

(アイツには親父を嫉妬させるための男がいて、その男に親権があったらしい。……つまり……はは………)

(親父は俺に他人の手が掛かるのを嫌がり、俺との関係を切らないように工作を練った)

(親父も浮気をしたという事で養育費等は全て親父が負担する事に………どーゆー話し合いをしたらこんなんになるんだよボケ)

(間男は…アイツが親父の気を引くための道具であったらしく、親父との離婚後アイツと一緒に過ごす事はなく、俺とアイツは二人で暮らす事に………)

(親父と別れる原因となった俺を、アイツは腫れ物のように扱う毎日。自分でやったことなのに)

『僕に本当の子供が出来た』

「……………」

「……はは…本当になんだよコレ……狂ってる……狂ってるよコイツら」

「”本当の”……ねぇ……くく………頭おかしいだろ………」

「何が自慢の息子だ、赤の他人じゃあねーか……」

『前の妻が依りを戻そうと提案してきた。兄とまた過ごせるのかと心が踊ったが、コイツは信用ならない。悪いが断らせてもらった、僕にはもう新しい妻も、子もいる』

『ヤツから兄の写真が送られてきた。酷くボロボロだ……すまない…僕は最低だ』

『強くあれ、兄。頑張れ。後少しで、また僕と暮らせるよ』

「…………」

「なるほど、こりゃ親類から縁も切られるわ……」

「狂ってる。………この一言に限る」

「………やっぱクズの間にできた子供か……俺は。……こんな所、来るんじゃあなかった」

(つまり、望まれない存在である俺のせいで妹は犠牲になった、と)

(ああ、もはや妹でもねーか………………しにてー)

(…………となると……アイツ、分かってて腹違いの子だとか抜かしやがったってーワケですか………)

「……俺の存在は………一体なんだったんだ……」

「………」ギシ

(ダメだ、ワケの分からねー関係過ぎて頭回んねーや)

(妹母+親父=妹、アイツ+間男A=俺)

「………………」

「…………」

「…………奇妙な関係じゃあないっすか……どこでどう間違ったら、こんな関係になるんすかねー………」

(お前は知り過ぎた、ここで消えてもらおう。バーン………では終わらないか……終わってくれ……終わらないよなぁ……)

511 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 01:28:03.38 szfrYKfk0 117/169

「………………」

ガチャ

「……兄…準備、できた……」

「………」

「……兄…?」トテトテトテ

「ん?あ……おう、どうした?」カチ カチ

「……準備…できた……」

「そうか、じゃあパパッと荷物積んじまうとしますかなーっと」ギシ

「……うんっ……」タッタッタ

「…………」

「………」 バタン

(俺は……どうするつもりだ……)スタスタ

「………」

(このままの関係を続けるべきなんすかねー……)

「……ん……しょ………」ズルズル

「あーあー、引きずってちゃダメじゃあねーか」ヒョイ

「……あ…」

「ほれいくぞー」

「………うん……」

(このまま、ズルズル引きずっていったら……きっともう二度と、本当の事なんて言えなくなるんだろうな)

「おら、車のドア開けんかーい」

「……はーい…」ガチャ

(……俺は………)ドサ

「ちょっといいですか?」

「……はい?」

「……?……」

「あなた……もしかして……ここの子?」

「……」サッ

「おいおい、隠れてんじゃあねーよ…ったく……」

「妹ちゃん?」

「……」ピク

「…………」コク

「やっぱり……私ね、あなたのパパの妹……つまり叔母ってことになるんだけど………そちらは?」

「………俺は……」

「コイツの保護者です。兄、と言います」

叔母「あら?……保護者って……あなた、私の兄とどういう関係?」

「……………息子…ですが………」

(嘘になりますけどねー)

叔母「ああ、あなたがあの忌々しい女の………妹ちゃん!今すぐコイツから離れなさい!!」

「…っ……」ビク

512 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 02:03:15.98 szfrYKfk0 118/169

「…急に怒鳴らねーでもらえますか?妹、ビビってんじゃあないっすか」

「………」ギュウウ

叔母「そいつはね、妹ちゃんとは何にも関係ない赤の他人なんだよ?いいからこっちに来なさい!」ガシ

「…や……やだっ……」グイイ

「……あ、兄……たすけ……」

「…………っ…」

「………!?…」パッ

叔母「この子の両親が死んだって聞いてからずっと探してたんだよ」

(ああ……………)

「やだっ……離して…兄っ!」ジタバタ

「…………」

叔母「この子を育てるのは私たちの仕事です、さ…行きましょう妹ちゃん」

(そうか……これはこれで、ちょうどいいのかもしれない)

「……っ、やだ!兄といる!!!」バタバタ

叔母「コイツはアンタの兄でもなんでもないんだよ!」

(神様が、こんなチャンスを恵んでくれたのかもしれない。ズルズル行こうとしてた俺に)

「でもっ……同じ…パパの子供だって……」ジワ

叔母「そんなワケないでしょ!?コイツの母親はっ……」

「……泣かせちゃダメじゃあないですか……事情は、俺が説明しますので……」

(まずその汚らしい手を妹から放せ)ギロ

叔母「…っ…ふん、ちゃんと説明してくださいね?こっちが迷惑なんですから」

「………妹」

「……兄ぃ…うええ……グス」ギュ

「…俺の話を聞け、いいな」ナデナデ

「その前に……アンタ、妹と関係があるって言う書類、持ってんすか?」

叔母「ふん、あるに決まってるだろ。ちゃんと、ここにね!」カサ

「……確かに……妹、いいか?」

「…っぅ…っぐ……」

「俺と、お前は――――」



「――――」

叔母「ほら、ちゃんとこっちに来なさい」

「――――」

「伝えましたよ、しっかり、理解できるように」

叔母「後日、この子の荷物は取りに行きますので……ま、あなたと二度と会う事はないでしょう」

「……そうっすね」

「――――――」

叔母「ほら!行くよ!しっかり歩きな!」グイ

「――――――」ズルズル

(俺と、妹の関係は、あっけなく……音を立てる間もなく崩れていった。なーんてな……はは……遠い………遠いよ)

513 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 02:39:13.91 szfrYKfk0 119/169

「……」チラ

(なんすか)

「――――」パクパク

「………」ズル ズル

「………くくっ…嘘つきって……何にも約束なんざしてねーよっはは」

「……はは…」

「…………」

(うん、これでよかったのさ。安らぎがどうとか、俺に決める権利なんてねーんだ)

(これで、俺も何の心置きもなく…くたばれるってもんだぜー)

(アイツの言うように、生まれてきちゃいけない存在だったんだよ。俺っていう生き物は)

「さようなら、妹」

「………」スタスタスタ

「…っ………」

「…ぅ……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

「うわぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

「……ふう………」

「………」ヴーッヴーッ

「…………」

「何の用っすか?」

『そういえばー、遺産がたんまり手に入るっていうから、そのうち取りに行こうと思って』

「遺産?」

『あら、言わない方がよかったか、”親類みんなから縁を切られてる”んだもの。遺産は全部あの子にいって当然でしょ』

「…………ああ…そうか……」

『じゃ……逃げても、無駄だから覚悟しときな』

「勝手に持ってけ、取れるもんならな」

『…………』ブツ ツーツー

「…………」

「ま、知ったこっちゃあねーよ」

(俺には、もう関係ない)

(妹がどうなろうと……もう何も………)

『このゴミがぁ!』ゴ

『邪魔だねぇ……さっさと消えてくんないかなー』ビキ

「…………縁を切られてるヤツの子供を引き取るんだ。金目的以外何があるってんだ……」

(少なくとも………赤の他人よりはマシだろ)

「………………」ズキン ズキン ズキン ズキン

(そう、間違いを犯す前に………何事もなく終わったんだ。別になんだっていい)

(さて……久々に煙草でも………)ポンポン

「………クソ……買ってねーよタコ」ガンッ

『……にへへ』 『ありがと……兄』 『いただき、まーす…』 『…手……』 『……一緒…』 『……』グス 『ばかっ』 『……すき…なの…』
『やだっ!兄といる!!』 『うそつき』 

「…………」

514 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 03:09:53.99 szfrYKfk0 120/169

「……………」

ゴォオオオオオオオオオ

「ありがとう、いい夢見させてもらったぜ………」

「今度会えたら、今度は本当の兄妹だったらいいな」

ゴォオオオオオオオ

「………」

「…………………」

(このまま、線路に飛び込んだらきっと楽になれる……)

(ホント、いい夢だった)

「…………」

「…………」フワ






ガシッ

「~~~っ!!なことできるかコンチクショォォォオオオオ!!!!!!」

「俺はっ!我が侭で自己中で面倒くさがりで口が悪い!!!碌にコミュニケーションもとれねーようなクズだけどよ!!!」

ネェナニアレ アブナイヒトダヨ ツウホウシトクカ

(寸前まできたら怖いもんなんてあるかチクショウが!!)ダッ



叔母「……ふふ…これで私たちもだいぶ楽ができる……」

「――――――――」ズルズル

叔母「いつまでもチンタラしてんじゃないよっ!!」バシ

「……ひっ……」

叔母「アンタはね!ゴミ同然なんだよ!割ったら価値のない貯金箱なんだよ!」バシ

「…っひぐ!……」

叔母「ほら分かったらさっさと歩くんだよ!」

「……うああああああああああああっ」ポロポロ

叔母「泣くんじゃない!!」ヒュッ

「泣かせちゃあダメじゃあないっすか」

叔母「っ…!」

「…コヒュっ…ぜー……ぜー…おえっ………」

叔母「あ、あんた……」

「俺でも…妹に手を上げるなんて……してなかったっすからねー……」ゼーゼー

「暴力ババアが笑ってる世界ほどムカつくもんはねーと思うんすよね……」ゴフ

叔母「…警察呼ぶよ!!いいのかい!?」

「あん?あの世へのお迎えの方がよっぽどこえーよドあほが、足ガクガクし過ぎで笑ったわタコ」

「…………兄ぃ………」ポロポロ

「おう、嘘つき兄ちゃん登場だぜー」

516 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 03:26:43.27 szfrYKfk0 121/169

「すー………はー………」

叔母「……い、行くよ!」グイ

「……やだっ…」バッ

「俺はっ!我が侭で自己中で面倒くさがりで口が悪い!!!碌にコミュニケーションもとれねーようなクズだけどよ!!!」

「妹の事を誰よりも分かってるつもりだし!!誰よりも俺が一番幸せにしてやれる!!!」

「遺産がどうした!!血縁がどうした!!!親がなんだってんだ!!!!面白くねー!!!!!」

「……あー、もう、んで………それで……」

「だーっ!!!!気の利いたセリフなんて言えるか!!!」



「妹ぉおおおお!!!!!!好きだぁああああああああああっ!!!!!!!!!」

「俺と一緒にこい!一緒に暮らせ!俺以外のヤツん所に行くな!!以上!!!」



叔母「な、何言ってんだ……妹ちゃん!行くよ!」

「や!」ベシ

叔母「ブッ」

「……兄っ!!」タタタタッ

ギュッ

「……うっし、帰るぞ」

「……ばか……」

「おー、悪い…兄ちゃんバカだから」

「……ばか………ほんと、に………」ギュウウ

「へーへー」ギュ

「…うあああああああああああああん……」

「あんまし耳元で泣かんといてー、兄ちゃんの耳壊れそうー」ポンポン


517 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 03:49:07.79 szfrYKfk0 122/169

_____________________

「………」

「………」ムスー

「おーい、足痛いんすけど……」

「…兄……嘘ついてた……」

「…まぁ、そりゃ…俺、嘘つきだし……」

「……私……兄に頼りに…されてないと思って……寂し、かった……」

「………」

「…もう、嘘……つかないで…」

「そりゃ結構難しいっすよー…人間誰しも嘘つかなきゃ生きられねーっつうかね……」

「……じゃ、じゃあ……私が…すきっていうのも…嘘?」

「あ、それはホント」

「………」カァ

「兄ちゃんに説教しようとしても、赤くなってちゃ話になんねーぞ」

「……う、るさいっ……」

(おお、ここまで反抗的な妹見るの、なんか新鮮でいいっすなー)ニヨニヨ

(それに上目遣いもたまらなかったね、小首かしげて質問すんのやめろあざといぞ)

「…………」ムー

「へへ……」

「………正座………終わり………」

「お、ありがとうござやーす」ゴソ

「……………」ポス

「……おいコラ、足しびれてるから乗るのやめろ」

「……嘘…」

「……っく……はいはい勝手にどうぞー」

「………な、なでて……」

(プルプル震えながら首筋まで赤くしてお願いする妹可愛い……)

「………」ナデナデ

「………」スー ハー

(よかった……と思うぜー、俺の選択はよー……世間的に間違ってるかもしんねーけど)

「………」クル

「…う……またこれかよ…………」

「………」

(な、なんなんすか、マジで)




「……」

「なんすか」

「……私を…幸せに……してください、ね……兄…」ニコ

「…うっせ、言われなくてもそのつもりだっつーの」プイ

―  ―

520 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/16 04:21:00.47 szfrYKfk0 123/169

「………」

「…さみーわ……いい加減エアコンだけじゃあやってけねー」

「………そう、かな…」

「俺ぐれーの歳になると寒いのは無理なんすよ」

「……まだ…24……」

「………さみーもんはさみーんだよ」

「……ストーブ?……」

「こたつだ」

「………こたつ…」

「そっそ、そこの机の上の物どけといてくれ。布団とコンセント持ってくる」スタスタスタ

「…はーい……」セッセ セッセ


「…と、布団はーっと……おいしょー」ズルズル

「よしよし、こりゃたまらんぜー……待ってろ理想郷!」


「……ふぅ……」

(兄……遅いな……)チラ

布団「」

「」

(なに……あれ……)

布団「」モゾモゾ

「……」ビク

(ち……近づいて、くる……)

布団「」モゾモゾ

「……き、気持ち悪い…」

布団「」ガバァッ

「……きゃ……」ボフン

「……だーれが気持ち悪いだ」モフモフ

「…………」モフモフ

「……あ、兄……」モフモフ

「どうよ?結構大きいだろこの布団」

「……うん……モフモフ…してる……」

「だろー?これがこたつと合わさって最高の世界ができるってわけよー」

「……もふもふだ……」

「……ふっふっふ……どうだ、一度この魔物に食われると二度とは出られないのだ……」

「………気持ち、いい……ね」

「……お、おう…」

「………もう、寝ちゃおう…か…?」

「あ?でもこたt」

「……寝るったら……ねる……」ギュ

「んん、まぁ別にいいんすけど……」ギュ

538 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/17 01:36:48.44 u4BxkV8D0 124/169

「買い物?別にいいっすけど……なんか欲しいもんでもあったか?」

「……ううん……ただ……友ちゃんが……」

「ほうほう」

「……お買い物……したい……って……」

「…………」

「それ俺いるのか?」

「……みたい……」

「みたい、って……友が言ってきたってわけっすかー」

「……うん……」

「ま、構わねーよ」

(ただ傍から見たら完璧に俺子供連れ回す危ない人じゃあないっすかーやーだー)

「…………」



「…………」ポツン

(いやね、こうなるとは思ってたわけですよ。友達同士遊びに来てんのに年代の違う人間が来ちまうとぜってーボッチにされるって)

『二時間後ぐらいにまた戻ってくるので!待ってて下さいねー』フリフリ

『………え……?…』

『はいしゅっぱーつっ』

『…??………』

「………」

(二時間て、アホですやん)

「ったくよー………」

(一人でブラブラすんのは苦手な方じゃあねーしな、今までも結構そういう事してたし)テクテクテク

「……雑貨屋か…」

(…コレは別に妹の為に何か買ってやろうとかそういうんじゃあない。ただ単に知的好奇心を満たすためだけだ)テクテク

「…………」

(リボン妹、カチューシャ妹、シュシュ妹………正直リボンポニテ妹も見たい所だが、シュシュサイドテ妹も……普通にカチューシャつけてもらうのも可愛くてアリなんじゃあ………ゲフンゲフン)

(俺はアホか)ゲンナリ

「……………」ス

「………」ハッピャクエンデースネー アーザース

「………」テクテクテク

(あ、俺アホだったわ)

「………どうしたもんか……」

友姉「…お、おおお困りのようですな、うひ」ヒョコ

「………」チラ

「…………」スタスタスタ

友姉「…その冷たさ、キュインと打ち貫かれるようです……だ、だけども、ここで終わるウチじゃあない、ふひひ……お名前聞いてもよろしくて?…そういう時は自分から名乗るもんだぜ(キリ)…失礼した…我は現世翔る稲妻、悪夢の雷とも呼ばれていたかな…なにッ!?ならば貴様が…そうだ、我が友姉だ…うひ、厨二臭いのって背筋がゾクゾクするよね、恥ずかしさと後ろめたさと格好良さで…くふふふふふふ」ブツブツ

「……………」

(なんか変なヤツに絡まれてしまった)


539 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/17 04:44:27.91 u4BxkV8D0 125/169

(こういう時には完全スルーに限る。少しでも反応を見せるともっと酷くなるだろうしねー)

友姉「ふ、ふひ……だ、大丈夫大丈夫、無視には慣れてる……」コキコキ

友姉「…ねぇー、お兄さん、結構カッコいいし、私といい事しませんかぁ?」

「………」スタスタスタ

友姉「もぅ……冷たいんだからぁ、でもそんな事しても、動揺してるってのはお見通しだゾ☆えいっ」ギュ

「っ!?」バッ

友姉「あーん、もう、また捕まえなきゃならなくなっちゃったぁ」テヘペロー

(キチガイだ……コイツ…)

友姉「うふふ、うふ…ひひ……わ、私から初めて男の方に接するというのは、やっぱり恐ろしかったです、はい。ver.ビッチじゃなかったら、し、死んでましたゴフぅ」

友姉「……さて、キミは突然の事に恐怖を抱いているだろう。キミと少し話をしようと思って接触したのだ」キリ

「…………」スタスタ

友姉「shit!!完全スルーだぜ!こりゃ参った!」

友姉「キミの妹君は私の配下が身柄を拘束している。大人しくするのだな」

「……んだと?」ピク

友姉「あ、反応をし、示した模様……うひ、なるほどなるほど……コレはなかなかに妄想がスパーキンする……えへ、えへへへ」

「あんた、妹がどうしたって?」ギロ

友姉「ひっ…あ、あああんまり、に、睨まないで欲しいな…ウチちびりそう」ガタガタ

「……はぁ……なんなんすか、本当に…」



「…………なるほどねー」

友姉「……っす…サーセンした」

「まぁ別にいいっすよ。友が連れて来ただけだって分かったから」

「でもなんでアイツらについていかなかったんすか?それが分からん」

友姉「あ、いや…うひ…お兄さん、私服センス、あ、あんまりやる気ないなと思いまして」

友姉「こここんなでも、一応センスはあるんで、ふっふ」

「悪かったすね、センスなくて」

友姉「…い、一応、ウチの妹の依頼なんで…バチッと、コーディネートさせていただきやすぜ、うへへへ」

「……はぁ……」チラ

「まぁ時間ありますし、構わねーっすよ」

(多少着飾れた方が、妹もいいでしょうし。いくらなんでも隣にダッセェオッサンは、嫌がるでしょうし…将来的に)

友姉「で、では、決まりという事で……しゃあオラ!ワレこっち来んかいな!!」

「………」

(病気かなんかか、この人は)

540 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/17 07:32:39.09 u4BxkV8D0 126/169

「…………」

友姉「ふふ…ひっひひ…うひひひ」

「まぁ、最初よりはマシなんじゃあねーっすか」

友姉「ぶふっ」

「お、おいどうした?急にうずくまりやがって」

友姉「溢れ出るダンディズムにやられました……は、鼻血はでてないですが、立ち眩みが……」

「ダンディズムって……そんな老けて見えんのか、俺は」

友姉「ごふ…き、気品と言いますか、洗練された美しさと言うか……」

「褒めていただきありがとうございまーす。そろそろ時間だし、元の場所にいてやんねーと……」

友姉「うひひ……期待しているといいであろう」

「ああ、そっすね。妹が褒めてくれる事を期待するよ」

友姉「そっちじゃないんですけどね……ぼそりと意味深に呟いてみたり…ふひ」ボソ

友姉「そそ、それでは……ウチはここらでドロン致します」

「一緒に来なくていいのか?」

友姉「ちょ、直接、視認すると甘ったるくて死んでしまいそうなので……うひひひひ」

(つかみ所がねー人だな、こいつ……)

友姉「で、では……」コソコソ

「………」

「戻るか……」


「………アイツらはまだみてーだな……」

(こういう時の時間つぶしに煙草かなんかありゃあ良かったんだけどなー……まったく)ボー

「…………」

(何か視線を感じる……)

「………」チラ

「…………」

(おーけー、気のせいだ。つか、待ってるだけなのになんでこんなにソワソワしちまうんすかねー)

(やっぱ、妹にカッコいい所を見て欲しいだとか、何か言われるのかを期待しちまってるのか……)

ツンツン

「………ん」

「お待たせしました、おにーさん」

「お、来たか……と、妹は?」

「あははー、恥ずかしがって出てこないんですよー」

「あん?恥ずかしがって?」

「いやー、おにーさんも随分と良くなりましたねー。流石ボクのおねーちゃんだ」ウンウン

「………」

「おっと、ではお披露目と行きましょう!」タタタタ

「………」

「いーもうーとちゃん。ほら、見せなきゃ」

「……で、でも……これ、普通じゃ…ないよ………」

「だからいいんじゃない。妹ちゃんだからそれだけ似合ってるんだから、自信を持つのだ!……ま、これも流石おねーちゃんと言ったところかな」

541 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/17 13:32:05.35 pnrDx5zzO 127/169

「……うう……」

「ほら、おにーさんもすぐそこにいるんだし、勇気出して。絶対大丈夫だって」

「………」ヒョコ パッ

「……」

「……無理…無理だよ……」

(一瞬顔だけ覗かせたものの、目が合うやいなやすぐ引っ込めやがった……どんな格好させられてんすかね……)

「………」クイクイ

「あ?」

「こうなったらおにーさんから行くしかありません、ちゃんと見て上げて下さいねっ」ボソボソ

「へいへーい……」テクテク

「……!…あ、兄……ちょっと……ダメ……」

「諦めろ妹、俺も随分な格好させられてんだ。しかもそのうち出なきゃならねーんだし……」テクテク

「…う……兄は…かっこ良かったけど……私……これ、可愛いっていうより……おかしいし……」コソコソ

「大丈夫だっつの、妹ならどんな服でも大体似合いそうだし」

「……兄は……普通の、服だから……そういうこと、言えるだけ……」

「…………」

(目の前でちいさなラブラブ空間が出来上がっているんだけど、これどうしたらいいんだろ)

(おねーちゃんの作戦ではここでボクも退散する事になってるし、後は二人でお楽しみくださーい)ススス

「…………………」

「……………」モジモジ

「…………巫女……?」

「……だ……だから……嫌だって……」

「…か………」

(最高に可愛いんじゃあないっすかね…これ)

(純真無垢かつ可憐で儚さがある妹の清らかさが映えているとでも言ったらいいのか?……細くてさらさらな黒髪で、整った顔立ちしてるから本気で幻想的な雰囲気が………)

「……か?………」

「………可愛い、って言おうとしたんだよ……くそ」

(いつの間にか友も消えてやがる……)

「……ほ、ほんと…?……かわいい?」

「俺が嘘つくとお……んん、まぁ嘘つく方っすけど……本気で、可愛いと思う」

「………」

「……兄も…いつもよりも……カッコいい、です……」

「……おう…」

「……にへへ……なんか……照れる…」

「俺だって恥ずかしさで顔熱くなってんだよバカたれ」

「………エスコートしましょうかー、お嬢さん」

「………」コク

「じゃあほら、行くぞ」パ

「…………うん……」キュ

(アンバランスすぎるがまぁ、たまには……本当にたまにでいいっす、別に可愛いからこの格好家でもして欲しいなんて思ってないっす、うす)

545 : 以下、2013年にかわりまして2... - 2014/01/17 17:16:55.00 u4BxkV8D0 128/169

「…………」

「………………」

「…綺麗だよな、それ」

「……え……あ……うん……きれい……」

「…………」

(っだぁああああ!クソしまった……いつもだったらあんまし必要ねー事は喋らなくてもいいから黙ってんのに、妙に意識しちまうから……)

「…………」

(顔赤くしてうつむいてんじゃあねーよ!ちょっとうなじが綺麗で甘い誘惑が………じゃあなく!ああ、もう……ペースが乱れてるぞ、俺!)

(……なんか、いつも……だらしない格好してたり、してるのに……いや……たしかに、スーツとかはしっかりしててカッコいいけど………今の兄、いつもよりも……じゃなくて!……ううう……)

「……」

「……」

(気まずい…)
(…気まずい)

「ちょっと休憩だ、結構歩いた」

「………」コク

(自動販売機で何か適当に買って、ひとまず落ち着こう……じゃないと、なんか……)チラ

「…………」

(俺の精神が色々と持ちこたえそうにありません)

(……うわ…なんか……手の汗、すごい……コレ……兄から……変に思われてない、かな……)

「……何がいい?」

「……?……」

(な、なにが……?急に、どうしたの……?え、えと……なにがいいって………んと……)

「……だ、だっこ……して、なでてくれたり……が………」チラ

「だ……!?」

「…っ!?……じゅ、ジュースだった…ね!………ごめんなさい………私、イチゴオレ…!」ピ ガタン

「」

(あの、妹さん?……一体なにを言い出したんすか、今?)ピ ガタン

(…しまった……なにがいいって……ジュース………うつむいて、なければ……間違えなかったのに……どうしよ……)カァア

(手元狂ってワケの分からん栄養ジュース買っちまった………)

「ん、じゃあそこ座って飲む、か」

「………」コク

「………」カシュ

「……………」カチ カチ

「………ん」ゴクゴク

「………」カチ カチ

「………開けてやるからかしなー」ヒョイ

「………あ、うん……」

「こっちの手、繋いでなかったから冷てーのな」ギュ

「……うっ……うん……そだね………」

「あ、わり…」パ カシュ

「……あ、りがと……兄……」

547 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/17 18:15:03.23 u4BxkV8D0 129/169

「………」ゴクゴク クシャ

(なんだってあの姉妹はこんな、ワケのわからん格好をさせるんだ……おかげでマトモにジュースの味も分からんかった……)

「……」チビ

(……なんか、さっきから……ドキドキしすぎて……あたま、クラクラしてきた……)

(大体よー、コイツがこんなに可愛くなけりゃあ、俺だってこんなバカみてーに意識しなくてすむのによー……あ、これは兄バカが入ってるから?知るかタコ)チラ

(兄……もう、飲み終わっちゃったし……急がなきゃ……ダメだよ、ね)チラ

「……っ…」

「…あ……」

(な、なんすか…………一体……目が、離せないといいますか)ドッドッ

(……う……ど、どこか……視線、逸らしたい……)ドクドク

(あ、ダメだこれ……なんか切れた………)ドッドッ

(え、えと……これ、って……そういうこと……だよね……)ドクドク

(今ならまだ!今ならまだ耐えられる!!切れたと思ったけど!!なんとかなる!!!)ドッドッ

(…本……たしか…………こういうとき……目を、つむって……)ドクドク

「………………」

「………………」

「…………」

「……んん………」

「……っ…………」ス

「……ぷは………」

(なんつーか、その、あー…………柔らかくて…甘かった……イチゴオレの味……)

(………しちゃっ、た……とうとう……兄と…)ポー

「……ファース、ト………」

「…………」

「………すき……」

「……っせー……ファーストどころか全部俺んだバーカ」

「………そう、だよね…にへへ……」

「……俺も、好きだし……いいんだろ?俺で」

「…うん………兄、だから………」

「……次」ギュ

「………うん……もっと……してみたい……」ギュウ

「……」ス

「……ん…ちゅ……」チュ

「……ん……」

「…ふ……あ……れろ……」

「………く…」

「…………っはぁ……」ツ

「……っぷぁ……はっ…………はっ………」トロン

(口元から、微妙に伝ってる唾液と……上気したみたいなトロ顔の妹が色気あり過ぎてヤバい)

(……いま……ちょっと…ふわって、した………へ、へんな……かんじ……口の中、兄のが……まだ…動いてるみたいに…ぴりぴりしてる………)

557 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/18 00:52:39.49 N+BghmbD0 130/169

「その後はどうかなー?妹ちゃん」

「………なにが?…」

「やだなー、買い物した後の話だよー」

「………普通……」

「ふ、普通って……随分といい雰囲気だったよね?公園のベンチに座ってさ」

「……なんで…公園、行ったって……知ってるの、かな……?」ジ

「…え?あ、あはー……」

「……………」ジト

「…ご、ごめんね。どうしてもおねーちゃんが見たいって…」

「……言い訳は、ダメ……」

「ごめんなさいっ」シュバ

「…………」ムー

ガチャ

友姉「う、うひひひひ…ども、いらっしゃい……いいい妹ちゃん」

「…………」ジ

友姉「あ、あんまり歓迎されてないようです、妹ちゃんの、視線…穴があきそう、うひひ」カチャカチャ

「おねーちゃん、おねーちゃんも謝ってよー……」

友姉「ううん?」チラ 

友姉「…お、おおお…これは…しくじりおったな友!」

「おねーちゃんがいろいろと捗るから見ようって言ったんじゃん!もー」

友姉「じ、実際激甘でウチ、ビショビショでした、ふひ…イケないカミングアウト…」

「…………」プッチン


友姉「本当にサーセンした姉御ッ!!」

「ごめんなさい妹ちゃん!」

「………反省……」

友姉「ういっす……」

「頭あがりません」

「…………」フゥ

友姉「まま、まぁこの話はここまでにしていただき……妹ちゃんに、み、見せたいものがあるのだよ」

「………?…」

友姉「オペレーションコード:55e-001……とでもしておこうか、ふひ」

「ああ、またおかしな事言い出した……」

友姉「…あの、お堅いお兄さんも、きっと、陥落させられるよ……うひひひ、ぐふ……」ビクンビクン

「………」



「……っ……」カオマッカ

友姉「ふひひ、いいね…は、反応が、初で……うひ…はうつー……いい子にはみせちゃいけなーいんだ」コキコキ スチャ

(赤眼鏡だ……)

友姉「……さぁて、今日は怪しいお姉様が、手取り足取り妹ちゃんに夜の家庭教師、し・て・あ・げ・る」

友姉「おっと、しかし実技は行わないのでごあーんしんを……なお、試験会場は……うひひひひひ、ぶふッ、アカン、鼻水…」

582 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/20 23:30:30.52 L3PYhxOf0 131/169

「……」

「い、妹ちゃん大丈夫?」

「………」

「うっわー……顔真っ赤にして固まっちゃってるよ……おねーちゃん!!」

友姉「う、ひひ……流石にちょっと刺激が強すぎたかな」

「もー……妹ちゃん?しっかりしろー!」ユサユサ

「……あ……」

「ふぅ、よかったー。おねーちゃんこんな事してどうするつもり?」

友姉「ウチの理想の実現……禁断の恋!うひひ、こんなの見ちゃったら意識するしかないよね」

「最低だコイツ…」

「…………」

「……兄は……」

友姉「んんん?」

「……私が…頑張ったら……喜んでくれる、かな……」

友姉「うひひ、喜ばない方がおかしいよ。だ、だって男なんだぜ?けだものけだもの、じゅる」

「ボクは、やめておいた方がいいと思うなー……」

友姉「ええー」

「………」

友姉「こ、この前の口づけで、だいぶ流れ変わってるんだし…い、今なら確実」

友姉「……で、でも…妹ちゃんかぁ……」ジー

「……?…」

友姉(よくよく考えたら入るのか?という不安が)

友姉(流石に酷い事はしないよねー…け、けど、別にお兄さんは妹ちゃんとの関係を望んでないわけじゃあなさそうだし!)

友姉(ふふふふう……妹ちゃんがおっきなモノを咥え込む…はっはふ…想像しただけでも!!……少々の罪悪感といっぱいの扇情!!こここれが背徳的というやつですか)ハァッハァッハァッ



「……ただいま…」ガチャ

シーン

「………」

「………」トテトテ

ゴソゴソ シュ シュ

「……………」カタ カタ

(…帰ってくる前に……お夕飯…作らなきゃ…)ジャー ゴシゴシ

「………」トン サク サク

「……」カチ

「…………」

「……早く…帰ってこない、かなー……」トントントン

(…兄……きっと……びっくりする……)

「……ちょっと……さむい……」ブル

(……それに、やっぱり……ドキドキする……)トントントン

583 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/21 00:36:19.40 ov+urNcp0 132/169

「っだー……さみ……妹ー、帰ったぞー」ガチャ

シーン

「……ん……また寝ちまってんのか?」チラ

(まーだ時間は寝るような時間じゃあねーが友と遊ぶって言ってたしな……疲れたんだろ)テクテクテク

ガチャ

「………」

「………」

「……なーにしてんだテメーは」

「……お…お帰りなさい……」モジ

(”ませ、ご主人様”が抜けてんぞー)

「………」ポリポリ

「……また友の姉か」

「…え…えっと……ご飯、お風呂……それとも……私…?」

「いつも通りでいいわー、腹減ったし」

「……」

「なんすか」

「……おかしい…な……」

「おかしいのは妹……じゃあねーか、ったくよー」

「………」

「可愛いよ、似合ってる。だけど俺は巫女の方が好き」

「……!」パァ

(何を言ってるんだ俺は……)

「……あ……お、お帰りなさいの……ちゅー…」カァア

「……頭痛くなってきた」

「…………ご飯……食べよっか…」シュン

「おー、まぁでも……」ス

「……あ……」

「ほい、ガイコクジン風の頭にキスだ。満足だろ?満足しろ。じゃあねーと色々としんどい」

(ヒュー!!いつか会ったら説教してやるぜー、あんド腐れ野郎)

「……ご飯、今日……頑張った……」

「ん、いい匂いだ。どんどん腹へってくるぜー」

「…それじゃ……食べよ…」

「おうよー」



TV「」パーパーパーパッパパー

「………」ハハハハハ!

「………」ウマソー

「またこれか……」

「……?…」

「いんやー、なんでもあーりませんよー」ナデナデ

587 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/21 12:13:21.73 6KZynpdBO 133/169

「……風呂入ってくるっすー」

「…………」

「いや、あのー妹?どいてくんねーかな」

「……一緒に……入る……」

「…どーせ嫌だつっても折れるまでどかねーんっすよねー、頑固だから」

「……頑固なのは…兄も、同じ……」スク

「んっじゃいくわよぉー」

「………」トテトテトテ

「……そこ笑うとこやねん…」スタスタ

ガチャ

(なんか妹と風呂入るのもあんまり抵抗なくなってきたなー……コレはマズい傾向なのでしょうか)

「………」ゴソゴソ

(へー、メイド服ってこういう構造なんすかー……じゃあねーよ!!何妹が着替える場面をマジマジと見てんすか俺は!)

(んーまぁ、お互い想い合っている、という点では構わねーんでしょうけどー、流石にな……)

「…………」ゴソ シュ パサ

「」

「…な………な……」パクパク

(ど、動揺している……この俺が……!目の前の光景に言葉が出てこねー)

「…………ふー……」

(中に結構透けるタイプの服着てるんすねー、ってだけだったらまだ大丈夫だ)

「…………これは……結構……恥ずかしい……」

(なんでパンツ履いてねーんすかお前は!!!!そしてなんだそのガーターベルト!!)

「一体何がしてーんすかお前は……」

「………ゆ…ゆうわく……」モジ

「十年早いわマセガキが」

「………」シュ パサ

「……今、じゃ……まだ早い……?」ギュ

「っば!……っ……バカな事してねーで、さみーからさっさと入れタコ」

「………む…」カチ カチャン 

「………………っぶねー…」

(俺の鋼の……と自負してる理性が……フリーズさせられてからのインパクト……これはいかんでしょう)

(ズボン脱いでなくてよかったぜー……生身に密着されたら間違いなくやられてた)

「………」ヌギヌギ ガチャ

「……あんましよー、ああいう事しねー方がいいぞ」

「…………?……」

「なんつーか、俺も男だし……男は狼だってよく言うじゃあねーっすか。危ねーぞ」

「……兄が…オオカミ、なら……私は……ヤギ……」

「そうそう、そういう事だ」

「………わ、私は………兄になら……食べられちゃっても……いい、かも……」

「残念だったな、俺は”嵐の夜に”に出てくるような狼だから食わねー。はい終了」

593 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/21 17:52:20.25 ov+urNcp0 134/169

「………」

「………」

「…………」

「…………」

チャポーン

(……おかしい……)

(……友姉さんから……聞いた話では……これでよかった、のに……)

「……………」

「………兄…」

「あー?」

「………私……ダメなの……?」

「知らねー。ただ俺はそういう関係じゃあないと思う」

「……………」

「そもそも、妹はそれをどういう風に捉えてる?その場のノリか?してみたいと思ったか?」

「……でも……好きな人同士なら……することだって……」

(いっぺん本気で拳骨くれてやらなきゃあならねーな……あの脳内お花畑野郎)

「実際、した所で何か変わるわけじゃあねー。何も変わらねーんだぜ、しようがしまいが」

「………」

「…やっぱり…私は……わかんない……そういう、の……」

「……別に……しなくてもいい、なら……いいや……」チャプ

「そういうもんだよ、普通。わけもわからずやった所で理解できてなきゃあそれは爛れた関係だわー」

「…………」

(ガキ相手になんか本気で語っちまったじゃあねーか……しかもシモ……このまま溺れたい……)ブクブクブク

「…………」ブクブクブク

「……真似すんなよ」

「……ふふ……兄の真似は……好き……」

「あーそー」

(こんなガキにそういう感情が理解できるわけねーじゃあないっすか。好きか嫌いかも上手く表現できねーような子供だぞ?……ないない)

(ただ……成長したら変な虫が寄りまくりそうで怖い。渡すつもりは毛頭ないっすけどー)

(とりあえず、今ついてる害虫一匹は退治する)ゴゴゴゴゴゴゴゴ




_________________
すみません、やっぱ無理でした。
だいぶ考えてみたんですが、どうしてもビジョンがわかなかったです……。

期待してた皆さんには生殺し状態で申し訳ないですが、この二人は今まで通りのんびり生活させてもらいます。

とりあえず、また別のものを書こうと思った時に挑戦したいと思います。多分先輩後輩ですかねー。


今回は本当にごめんなさい、自分には無理です。


608 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/22 19:37:59.75 gl13DgVI0 135/169

「これやるよ。……なんかちげーな。ほい。……いや、コレ何?って聞かれたら、恥ずかしいじゃあねーか」

(どうするべきか、妹へのプレゼント……)

(この前買ったはいいけど、巫女の衝撃で渡すタイミングなくなっちまったし、なんとか渡しておきたい………が)

(いざ渡そうとするとどうやったらいいもんか分からなくなるもんなんすね……)

(俺から誰かに物を渡すってした事ねーし、しかしどうもプレゼントってのはキザ過ぎて性に合わん)

(似合うと、思ったから……ヒュー!寒すぎて背中がウズウズすんぜこんちくしょー)

(やはりベストに、髪留めるもん持ってなさそうだし、使えば?が一番か)

「………兄……?…」トテトテトテ

「はっ!」スバッ

「……何……してるの……?」

「ちょっとイカした戦隊っぽく返事をする練習だ」

(あ、危ねー……こんな女の子女の子したラッピングのもん見られたらたまったもんじゃあねー)

「……変……」

「なーにを今さらー。で?なんか用でもあったか?」

「……これ……」ス

「あーはいはい、よく頑張りましたーみたいなチェックがいるヤツね」カキカキ

「……うん……それで、今日の勉強……おしまい……」

「ん、さっすがだぜー」

「………」ゴソ

「……なぁ妹、うちのこたつは四角いんだぜ」

「……?…」

「当たり前だろ、みたいな顔すんじゃあねーよ……俺が言いてーのは何故隣にきたのかって事っす」

「…………近くが……いいから…」

「向かい合うのでも十分近いと思うっす、うす」

「…じゃあ……こっちの方が……あったかいから……」ス

「そうっすかー、上半身もくっつきゃあったかいもんねー、へー」

「……いや…?…」

(あざとい!意識してやってないのがムカつく!可愛い!!)

「茶、飲むか?」

(…はぐらかされた……)コク

(嫌じゃあないっすよー、心地良いってのはお互い分かりますもんねー)コポコポコポ

(スペースの有効活用はするつもりはないようですねー、私たち)

「…ありがと……」チビ

「んー」

(さて…さっきなんとか隠したのはいいが……コイツをどのタイミングで渡すのか……)

「………」

「………」

(……平穏…)

「………」チビ

(ふえー……ますます渡すタイミングが見えてこなくなってきたですぅ。……はい)

609 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/22 23:12:58.01 gl13DgVI0 136/169

(どうしたら………いや、どうしたらもクソもねーんだろうけど、いざ渡すとなるとやっぱり難しいんすよ)

「…い、妹ってよー、髪綺麗だよな」

(あれ?コレはコレで結構キザったらしいぞ?)

「……そう、かな……」

「おー、なんつーか……うん」

(細くてしっとりとした黒い髪で、流れるような柔らかさが目を惹くといいますか……いやん、なんか全部CMっぽい)

(ここまできたら覚悟を決めてスパンと渡すべきだよなー俺!)

「あ、あのよー」

「…?……」

「ん、んんん……………」

「……………」

(おい大人、ガキへのプレゼントに何を手間取っておるのだ)

「……こ、これよ………多分、俺のセンスだから気に入らねーと思うけど…」オズオズ

「………?……」

「開けて、どうぞ。………つか、妹がもらって嬉しいもんなのか、わかんねーし……まぁ、つけたら結構いいんじゃないの、とか思ったヤツだし」

「…………」カサカサ

「…………ヘアピン……」

「……………」

(うわああああああああああああああああああああああああああああああああ)

「………嬉しい、よ……兄……」ギュ

「あ、そうか…そりゃーよかった」

「……いままで……買ってもらったこと……なかったから……」

「……それに……兄が……くれたのが、嬉しい……」ニコ

「っ……おー……兄ちゃんこれぐらいちょちょいのぱっぱだし、うん」

(フーー!!妹の天使スマーイルいただきましたァん!!)

「………大事に……するから……」

「そんな大層なもんじゃないっすよー」

「……ううん……大事……」

「ほー……」

「……………」ス

「……どう…かな………?」

「………サイコーです」

「…………」

「…………」

「……兄……」

「へい」

「………大好き……です、よー……」ギュ

「………………お」

(うっわぁ……顔あっつ………ヤバい、しんどいよコレ)

615 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/23 09:46:34.12 SKj6jy3KO 137/169

「…………」

(”この手紙を読んでくれてありがとう。ぼくの気持ちをどうか受けとってください。妹さんのかわいく、笑った顔を見てから好きになりました。もし良かったら、ぼくとお付き合いをしてもらえませんか?今日学校が終わったら、ちょくせつ言いにいきます。”……)

「…………」

(……どうしよ……)

(……言いにこられても……こまる……)

(…うーん…名前…書いてない……)

(……もうしわけない…けど、ことわらなきゃ……)

「妹ちゃんどうかしたー?」

「………ううん……大丈夫……教室、行こ……」



ガラ

「………」ペコ

「おはよー」

女子6「おっはよー」

男子3「おう」

「いやー今日もアツいねー、お二方」

男子3「ぶっ飛ばすぞ、暑苦しいのはコイツだけだ」

女子6「ああ?」

「よし」グッ

「……」

「あの二人の夫婦漫才にもだいぶ慣れてきたでしょ?」

「………」コク

女子8『あたしの彼氏がー』

女子4『うっそ、それホントうらやましー!』

女子1『…あ、あはは…』

(飽きないねー、あのグループも)

「………」

男子2「くくく……やかましい人間達め……む、ヤツらから通信?」

男子2「俺だ……ああ…大丈夫、手はず通りだ………ふっ、よせよ」

男子2「くくくくく、時期にこのまちもいそがしくなる。ああ、その時は任せておけ」

「……あの子、だいぶ…静かになったね………」

「あー……」

「……成長……したんだ、ね……」

「……どっちかっていうと、退化してるような……あははー…」

男子2「…世界は我らの手に……ボンゴレビアンコ……」

「……シェフにでもなるつもりなのかなー」

「……さぁ………」


618 : ◆dINyckyVoNyT[s... - 2014/01/23 12:26:19.13 SKj6jy3KO 138/169

キーンコーンカーンコーン

「…………」

(…今日も…兄はお仕事、だから……帰ったら…お夕飯作らなきゃ……)

(今日は、何作ろう……兄は……男の人なのに……野菜が好きらしい、し……)

(……兄式野菜炒め………はちょっとダメ、かなー……)

担任「はーい、帰りの会を始めますよー、後少しですから席についててくださいねー」

「………」

担任「えーと、ちょっと皆さんに気をつけてもらいたい事がありましてー……最近夜に公園で暴れている男性二人が警察に捕まったようです。もう外が暗くなるのはあっと言う間ですので、早く家に帰るようにしましょう。危ない人にはきちんと注意注意して――――――」

(あ……手紙……忘れてた……)

(……早くすめば……いいんだけどな……)

担任「――と、先生からの連絡は以上でーす。次にクラスでよかった事、悪かった事を見つけた人は発表してくださーい」

男子2「」バッ

担任「男子2さんどうぞー」

男子2「ここは瘴気に満ちている……かなり危険な状況だが、俺がいるから心配はいらない」キリ

担任「…………はい、男子2さんありがとうございました。後で先生とお話をしましょう」

「……………」

(しょうき、って……なんだろ……)

担任「ふー……今日も一日ありがとうございましたー。では帰りの挨拶をしましょう」

男子3「きりーつ、れーい」サヨーナラー


「いーもうーとちゃんっ」ダキ

「………痛い……」

「ふっふふーん、今日もボクと一緒に帰るんだよー」

「………無理……」

「」ガーン

「」ナンデ ドーシテ エ? ボク?  

「……ちょこっと……用事……」

「」

「………友、ちゃん……おーい……」

「」

「…………」ブンブン

「」

「………」ビシ

「ほふぅ……」

「………起きてる……?」

「あまりのショックに絶望してた」

「……………おおげさ……」

「だって…ボクは妹ちゃんの事好きなんだよ!?」

「……うん…わかった、から……とりあえず……下駄箱で……待っててくれる?」

「はーい、わっかりましたー!」

「………………」

628 : ◆dINyckyVoNyT[s... - 2014/01/24 19:07:34.55 1fmfi7xxO 139/169

「………」

(……みんな、帰ってく……)

(……うーん…早く……しないと……友ちゃん、あんまり待たせると……悪いし…)

「…あと……4人ぐらい…か…)

「…………」ペラ

男子5「…………」

「…………」ペラ

男子5「…………」

「……………」ペラ

男子5「………」オロオロ

「……」ペラ

男子5「………っ……」

「…………」ペラ

男子5「………」イクカ

「…………」

男子5「…………」イケナイ

「…………」ペラ

男子5「…………」アトイッポ

「…………」

男子5「…………………」フミダス ユウキガナイ

「…………」チラ

男子5「……………」イヤ シカシ

「……男子5君………だったんだ……あれ……」

男子5「………」

男子5「……………」ペコ

男子5「一……時から……きに………」ボソボソ

「………」

(……何言ってるのか……さっぱり……)

男子5「……ませんか!……」ボソッ

「……あの……何、言ってるのか……聞こえなかった……」

男子5「…………………」

「…えと……手紙の……返事だけ、すると………ごめんなさい……」

男子5「…………」ボーゼン

「……私……好きな人……というか………」

「………ずっと、一緒にいる人、が……いるから……」

男子5「…………」

男子5「僕じゃ、ダメですか?」

「…………」

男子5「その人より、好きであり続けて、キミを守って、一緒にいれて……」

「…………」

636 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/25 07:17:32.24 S5Vt0liS0 140/169

「………くぁ……」

(……クッソねみー……)

「いやー、毎日がサイコーだよなぁ兄よー」バンバン

「……はは…そっすかー」

「んだよー、そんな仏頂面してばっかだと女なんてできねーぞっ」

「割とどうでもいいっす」

「すみませーん、お茶お持ちしましたー」カチャ

「ありがとうございまーす」

「ぅ女っちゃーん!」

「ちょ、こぼれるこぼれるっ」

「………」

「昨日雰囲気良さげな店見つけたからさー、今夜にでもどうよ?」

「えー、本当に昨日見つけたの?また前の子と行った事あるお店だったら怒るよ?」

「大丈夫大丈夫、俺は一途で誠実な男だからな!」

「その辺りは驚きだよ、遊び人だったからねー」

「…………」カタカタカタカタ

「遊び人じゃないやい。ただ付き合っても長続きしねーのはすべて女ちゃんの為だった……と思うわけよー」

「うわ、調子いい……まぁでも、そういうとこはだらしなくないって分かったし……」

(ケガの巧妙、と言いますか…雨降って地固まる、と言いますか…)カタカタカタカタ

「はっはっは、可愛いなこんやろー」

「別に、可愛くはないでしょ」

「そう言いながらも照れちゃってまぁ」

「照れてないよ!」

「そうやって冷たい反応してくれるのも好感度高いよ!愛してる!」

「…く……」カァ

(………どこでどうしてこうなった……)カタカタカタカタ

眼鏡「いつまで馬鹿やってるんですかあなた達は、仕事増やして給料引きますよ?」

「うわぁ、ブラックだ……」

眼鏡「甘ったるいのでこれ以上の加糖は必要ないです。ほらほら、イチャつくのは他所でやってください」

「イチャついてなんかないですって!」

眼鏡「はいはい、仕事終わりませんよー」

「むむ……」

「………」カタカタカタ

(…まー、面倒なのがなくなったし……妹との時間も取れるから別にいいやー)カタカタカタカタ

眼鏡「……ふぅ、まったくもう……」

「……」カタカタ

眼鏡「兄くん、今日はあと2つぐらいですが、帰るんだったらしっかり終えて下さいね」

「わかってますよ、その辺りは」

眼鏡「早く帰って少しでも一緒にいてあげないと、ですからねー」

「うす、頑張ります」カタカタカタ

638 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/26 13:05:39.99 S3pMHKPk0 141/169

「…………」

(…つかれた……)

「……おまたせ…」

「おー、ようやくかー」

「…………いこ……」トテトテトテ

「りょーかいでーす」テクテク

「…………」チラ

(可哀想に……絶対無理だからって言ったのにー)

(良いヤツなんだけどなー)

「…………」

「ふんふふふーん」

「…………友ちゃん…」

「どーかしたー?」

「……好きか……嫌いか……聞かれたら…」

(うわーお)

「……どっちか……だよね……?」

「うん、二択だもんねー」

「………どっちでも……ない時……って……困る、ね…」

(バカだなーアイツー)

「はっ!もしかして誰かから告白でもされた……?」

「…………」

(……しまった……)

(あからさまにしまったって顔する妹ちゃんかーわいいー)ウキウキ

「……言わない……よ…」

「む、いけずー」

(ま、知ってるし別にいーんだけどなーん)

「で?で?どう答えたの?どっちでもありませんって?」

「………二択……だった、から…それはズルい…」

「ま、まさか……」

「……仕方がなく……だと…言い訳、なんだけど……」

(あのヤロー、妹ちゃんの口から好きって聞けるなんてなんて羨ま……)

「……嫌い…です……ってしっかり……言った…」

「」

(お前の事は忘れないよ………よく散った…)

「あ、ははー…だいぶズバッといったね…」

「………だって……好きなのは………兄だけ、だし……」

「…好きじゃない、のに……はっきりしないのは……ダメ……」

「……じゃあさじゃあさっ、ボクのことは?好きか嫌いで!」

「……………………ごめんね…ホントは嫌いじゃ…ないんだけど………嫌い……」

(うわーい)


640 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/27 09:28:13.31 ihOa90SvO 142/169

_________________

「ういーす、ただいまっすー」ガチャ

トテトテトテ

「……おかえり…なさい……兄…」

「おう、今日は……みそ汁、じゃあねーなこりゃ」クンクン

「……今日……ね、ダイコンと……鳥肉……なの……」トテトテ

「ほー……随分と冷え込んできたしいいんじゃあねーっすかー、煮物だろ?」スタスタ

「…………」コク

(日々差をつけられていっている気がするのは、俺の思い過ごしでしょうか…)

「……準備……してくるね………」

「俺も手伝いますよー」

「……大丈夫……兄は…待ってて……」タッタッタ

「はーい」

(なんかどんどん新婚みてーになってるじゃあないっすかー……つか、別に妹と結婚するとかそういう意味じゃないぞ俺!結局決めるのは妹ですしー、俺がどう思っていようが関係ないわけですしー!)

(オーノー……緩む口元……)

(さて、バカな考えは他所に置いとーいてー、妹ちゃんの連絡帳の確認でもしますかなー)

(帰ってすぐ確認しとかねーと、買わなきゃいけねーもんがあった時結構困るんすよねー……ま、妹しっかりしてるから基本言ってくれるけど)

(ちょっとくたびれだしてるランドセル……物持ちいいなーコイツ……俺なんて三年ぐらいで肩の所ぶっ壊れたぞ……)ゴソゴソ

(えーとー………あったあった)ヒョイ カサ

「………?…」

(手紙………学校からかー?随分とご丁寧によー……なんかの請求書とかか?)ペリ カサカサ

「……」ピク

「………………………………」

「………」シマイ

「………………」



「……おまたせ……」ヨタヨタ

「危ねーぞ」

「………なんとか……大丈夫……んしょ…」コト

「…………」

「…………」セッセ

「……兄は……ご飯、これぐらい……だよね……」

「……ああ」

「……うん……それじゃあ………」テチ

「いただきます」

「……兄……?……」

「……ん?」

「……がっしょー……しないの……?」

「……む……すまん、忘れてた」パチ

「…………?……」

643 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/27 15:53:22.00 ihOa90SvO 143/169

「……………」

「………」

(……兄…なんか……へん………帰ってきた時は…普通、だったのに………)

(まさかこんなに早くこんな状況が訪れるとは思わなかったぜ……最近のガキってのはこんなに進んでるもんなんすか?)

「………」パク

「………兄……」

「おー」

「……なにか…あった……?」

「いや、なんもねー」

(むしろ何かあったのは妹さんの法なんじゃあないっすかねー……っけー)

「…………」ジワ

「ぐ……なんで泣くんすか…!」

「……な…ないて……ない……」グシグシ

「目ーあんまこすんねー方がいいって……」

「……」ズズ

「……ただ、私の……お料理…おいしく……なかった、かな……って……」

「バカヤロー、こんな美味しくて愛情ばっかりこもってる飯が美味しくねーわけねーだろ」パク

「ん、うまい」モグモグ

「……………」

「…………」ポリポリ

「……まぁ、なんだ……連絡帳探してたらよー……手紙、出てきたから」

「……てがみ……?……」

「勝手に読んじまってわりーけど…やっぱ、そういうヤツ出てくんだなーって……」

「……あ………」

(やっぱ、ガキ相手だけどもそういうヤツに少しでも妹と関わられるのがちょっとしんどい…)

(妹……やっぱ可愛いし、フツーに魅力的だと思うし……)

(……うわぁ、何考えてんだタコ)

「………しっと…?…」

「…うっせ、なんだよワリーかよ……俺には…しかいねーし」モゴモゴ

(く……恥ずかしくてマトモに言えねー……妹しかいないってのは分かってるけども)

「……………」ギュ

(俺にはそうだけどよー……妹には、俺じゃあなくても良いわけだし……俺より良いヤツが、妹狙ってきたら…多分負ける)

「……私、には……兄だけ……だから…」

「いや、そうとも限ら……」

「……ううん……兄より……私を、見てくれる人は……絶対に、いない……」

「……好きとか……嫌いじゃなくて………そばに、いてくれるのは……」

「…きっと……兄しか……いないもん……」

「俺はそんな妹のためになんもしてやれねーよ……。まぁ、それだから…妹がいなくなるのが怖い…つーか…」

(妹の気持ちは信用してるんだが、どこでどう心移りしちまうか不安だ……)



655 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/29 07:14:02.80 CNR0m2ys0 144/169

(寂しい人間っすなー……目に見えて分かる繋がりっつーもんがなけりゃあ、不安になっちまうなんてよー……)

「………兄は……いつも、そう……」

「……何がっすか?」

「……私は……心のなか…全部…兄にみせてる……けど……」

「……兄は……ちっとも……みせてくれない、の……」

「………」

「……兄は隠し事…してて……うそつき……」

「聞き捨てらんねーっすねー、嘘つきはともかく隠し事してるだと?」

「………」ビク

「……だ、だって……」

「……あ………すまん……」

「…………」

「…………」

(こんなだから、いつも妹を不安にさせちまうから……ダメなんすよね……)

「………うなされ、て……泣いてた……こと……あった、よね…」

「…………泣いてねーし、うなされた事もねー」

「…………ほら……また……」

「………」

「……そんな……だから……!!……」ポロ

「……………これは、俺の中で、俺がくたばるまで背負うもんなんだ」

「妹に、人のきたねーとこは見て欲しくねー。綺麗なままであるのが理想なんだ」

「……私は……そんな理想いらない………」

「………」

「……全部、兄と……同じものを見る、の……全部全部……まとめて……兄と…私、なの……」

「………私は……兄と、生きたい……」

「……………」

「………」

(……いつか、話さなきゃあいけねー時がくるとは思ってたがよー……)

(…クズの烙印を押されてる、みたいな…本当の事を伝えると幻滅されて、離れていきそうで、たまらなく怖い)

(黙ったままいけると思ったんだけどな……)

「………」

「包丁は料理に使う」

「…………?……」

「針やはさみは裁縫だ」

「ドライバーやペンチなんて工具は物を直したりする時」

「栓抜きなんて酒飲む時ぐらいにしか使えねー」

「アイロンは?カミソリは?人の手は?……そういうもの全部にはちゃんとした使い方がある」

「…………」

「…………」

「………人には、自分が思ってるよりはるかに醜いヤツがいる………これは…俺が、妹に聞かせたくなかった話だ」

659 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/30 11:43:27.67 tnRTO5JVO 145/169

「初めて一緒に風呂入った時ぐれーかな、これ見ただろ?」クビモトフクヒッパリ

「……子供の、ときの……アレルギー……?」

「俺はなんのアレルギーも持っちゃいねーよ。ガキの頃できたっつーのは嘘じゃあないっすけど」

「…………?」

「これは、俺がガキの時に……アイツ……俺の母親につけられたもんだ」

「…………」

「虐待、っていうんだけどよ、妹にゃあわかんねーか」

「……ぎゃく……たい……」

「つまりー、ケガさせられたり、ボコボコにされたり、罵声浴びたり……みたいなもんよ」

「…………兄の……お母さん、は……どうしてそんな……こと……」

「腹いせ、だろうねー」

「……兄……何か…悪い事…したの…?」

「………強いて言えば、生まれてきちまった。としかいえねー」

「………わかんない……」

「………なんで……………」

「妹は痛いのは嫌いだろ?」

「………」コク

「俺は毎日毎日、アイツから痛い思いをするような事をされ続けてきた」

「分かるか?毎日だ。気を失うまで毎日のようにあれこれ手を変え
ては俺を暇つぶしに使うんだ」

「…え………暇……って……」

「俺はそういう風に、暇をすぶすクソ野郎の道具として使われてたんだよ」

「……暇……って、だけで…………こんな…ひどい……」

「……人にはそれが平気なヤツがいる」

「…………」

「見ろ、これが人のできる事だ」ジョウハンシンヌギ

「……………ひ………」

「改めて、人が手を加えたもんだって分かった上で見ると怖いだろ?」

「見ろよ、ここ、中の肉が抉れてるからヘコんでんだぜー」

「ここなんて焼けてちょっと爛れたから斑模様みてーになってるし、産毛も生えねー」

「…………やめ……」

「ここのうっすら格子みたいな痕は包丁だし、点々は煙草だし……」

「盛り上がってる所は刺されたトコ、それと、触ってもあんまし感覚がねー場所とか……」

「………」ダキ

「………俺は、そんな事されるようなオモチャでさ…こんな事ができる人間の子供なんだぜー」

「………もう…いい……」

「だから不安なんだ……。俺は、妹が好きだが、こんな人を人と思わねーような人間から生まれてきた俺を妹が……愛してくれんのか、不安なんだよ」

「………………」

「わりーが、これが俺なんだ」

「全部全部空っぽで、ズタズタのきったねー印だけつけられてるゴミが…………俺なんです」

「………それが分かった時に、妹が離れていくのが怖いんすよ。今みてーに……」

664 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/01/30 22:16:49.04 900rdx5n0 146/169

「…………」

「震えてんぞー」

(そう、こうなっちまうし…人見知りする妹が、さらに相手に対して警戒しちまうのが嫌だったんだ)

(ああ、クソ……どうしてこうなんすかねー)

「………兄は……兄、だよ……オモチャでも……ゴミでもない……」

「いいさいいさ、気にすんなよ。自分がどんな人間かだなんてよーく分かってる」

「……空っぽなんか…でもない……」

「色々と言ってくれるのはありがてーけどよー……」

「…………」ギュ

「……」

「…何言っても……ダメ、なら……こうしてる……」

「……うまく言えない……けど……もう、大丈夫……だから、ね……」ナデナデ

「…撫でんじゃあねー」

「…………」

「…やめろ、ってんだろ………」

「…………」

「なんでだよぉ……優しくすんじゃあねーよボケが……」ポタ

「……ちいさい……けど……ちゃんと、背負える……から……」

「…っ……ぐ………」ゴシゴシ

「……疲れたら……よりかかって…?」

「……荷物は……半分こ…」

「………」ポタ ポタ

「……空っぽじゃ、ない……私が…いる」

「……もう……いいんだ、よ……兄…」

「……ぅ………く……」

「……」ナデナデ






673 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/01 13:41:47.94 lCfsZhARO 147/169

「はー……」

(なんつーか、ホントみっともねーぜー……)

(いい歳して泣きつく……しかも十以上も離れたガキに、さらに妹っつーね)

(ああ、でもまぁ……なんつーか、前よりもだいぶ楽になった気がする)

(気分だけじゃあねー、もっと深い所のつっかえてたもんや、ガリガリと俺の中を削り続けていた何かが消えたみてーだ)

(どこかで遠慮していたとこ……妹が好きだが、自分と共に同じ道を歩かせまいと気を張っていたとこ……それを妹に全部吐き出す事で、俺は救われたのかもしれない)

「……スー……スー…」

「…………」

(そう、妹を親類の手に渡す事もなく、誰の手に渡す事もなく……自分と一緒にいさせる事ができたことに……この世で一人きりのような……)

(打ち捨てられた腐った人形で、海に漂ってただけの俺が……たどり着いた砂浜、この環境)

(そこで、そのまま朽ち果てるだけと思ってたが、拾ってもらえた)

(人形を拾った少女は、人形の湿った身体を乾かしていき、ボロボロの身体を抱きしめてくれた……中身を新しく詰め直してくれた)

(ようやく……居場所ができた)

(俺が、俺で生きていくための………ああ、なんでこんなに泣きそうなんだ、俺は)

(満ち足りて、満ち足りて……どんどん溢れてきやがる……)

「……スー……んん……」

(血もつながってねー赤の他人、だったんだが……兄妹として、過ごした間違いの日々が…正しい生き方に導いてくれた気がする)

(へたれで泣き虫で嘘つきの兄ちゃんですがー、ありがとうございました)ナデナデ

(これからは、俺はお前だけの男として、守り続けようと思いますよー)

(……婚姻届どうすりゃーいいんだろ……とりあえず五年待つだろ?、そこで……どうプロポーズしようかね)

(……あれ?プロポーズまがいのセリフ結構言ってる気がする……OhNo……)

「…………」

(……指輪買ってきて無言で渡そう。そうだ、それがいい)

(今度は”…へたれ……!”って怒られそうだなー……へへ…)

「……スー……スー…」

(どうなるんだろうな……ぜってー美人になるじゃんね、この感じ)

(……成長が楽しみだぜゲヘヘヘヘヘ……なーんてな…アホか俺は)

「…………」

(うわああああああああああああああああ!!恥ずかしい事考え過ぎてんだ俺!!!!)バタバタ

(く……)

(だいたい!コイツが可愛すぎるのがワリーわけで!……別に、俺が悪いわけじゃあ……)

(…兄バカ)

(まぁ、ですからー……できるだけ、生きようと思えました)





_________________

とりあえずここで少年の告白、兄の告白編は終了です。

あと残りは二編ぐらいになりました。
毎度のごとくトロくさい更新ですが、お付き合いお願い申し上げます。

686 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/03 01:12:50.33 IK1tImdXO 148/169

女子8「何?あんまり出しゃばんないでくれる転校生さーん」

「………」

女子4「マジさー、そういうのうっとおしいワケよー」

女子1「…っえぐ…ひっ…」

「………泣いてる…」

女子8「だから何?泣いてるも何も全部女子1が悪いし」

女子1「……っぐ……ぐす…」

女子4「うるさいんですけどー」

「妹ちゃん、やめときなって…関わるだけ無駄だよ…」コソ

「……いや」

(これはテコでも動かないってやつですなー…)

女子8「あたし達の決まり事守れなかったんだし、人としてどうなのって話」

女子4「泣けばいいってもんじゃないっしょ」

「………くだらない…ことばかりで……責め続けるのも……人として…おかしい……」

女子8「うっざ、キモい」

女子4「私らの友達の証をくだらないってムカつくんですけど」

男子3「くだらねー……なー?」ヒソヒソ

男子5「………」

女子8「あ?なんか文句あるの男子?」

男子3「いーえー、なんにもー」

女子6「へたれ」

男子3「あ?」

女子6「なんだコラへたれ」

「………」

女子8「……あんまりでしゃばるとあたしの彼氏にボコボコにしてもらうよ?ブス」

男子5「………」ギリ

「……別に……ただ、女子1ちゃんが…かわいそう……」

女子4「ビビってるー、きゃはは」

女子8「ま、いいや。女子1!もうあたし達に関わんないでよね」スタスタ

女子1「…っふ……えぐ……」

「…………」

「……はー……なんでこうなんだろーね、女の子って」

「………」

女子1「…っご…えぐ…ご、めんね……ヒック……妹ちゃん…」

「………おかしい、と……思っただけ、だから……」

(触らぬ神に祟りなしっていうもんなんだけどなー……妹ちゃん、こういうの許せないタイプみたいだし…)

(ほんと、たかがゴム忘れたぐらいでこれだもんねー)

「………」

女子1「……わ…わたし……ふぇ…妹ちゃんに……わたしっ……うわぁぁぁああああああん」

(……お人好し、だよねー…妹ちゃん………ボクはあの時の事知ってるから……同情はできないよ、女子1ちゃん)

692 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/03 17:30:15.76 xYWUuiF9O 149/169

「…………」

女子1「ありがとう、妹ちゃん」

「…別に………」

「さて、落ち着いたかなー?」

女子1「うん…だいぶ」

「じゃ、さっさとどこか行きなよー」

女子1「…え…」

「……友ちゃん…?…」

「ボクは、妹ちゃんを傷つける人を近くに寄らせるつもりはないから」

「……何も……してない…よ……?」

女子1「………」

「…いい?女子1ちゃん。ボクは、知ってるから」

女子1「…っ……」

「……女子1ちゃん……友ちゃんに、何かしたなら……謝っておいたほうが……いいよ…」

「……そしたら……きっと、大丈夫…だから……」

女子1「……ぅ……」

「別にボクは何もされてないけどねー」

「……む…それだったら……友ちゃんが、だめ……」

「ふー、やれやれー……」

「………」

女子1「……ごめんなさい」

女子1「…っ…」ダッ

「……あ…」

「あの子が手を出したのはボクじゃなくて妹ちゃんなんだよ。妹ちゃんは多分気づいてないけどねー」

「……………」

「……心当たり…ない……」

(ボクが一番許せないのは、妹ちゃんが優しくしてくれたりしてるのにそれを返すそぶりもないところだよ)

(自分だけが悲劇の主人公で、自分が痛めつけた相手の優しさだけを受けようなんておこがましいよ)

「…………」ムー




女子8「はぁ…」

女子4「どーかした?」

女子8「あたしにあそこまで突っかかってくるヤツいないから疲れたの」

女子4「ああー、もう彼氏君に頼んで文句言えないようにしてやればいいじゃん」

女子8「やっぱそーしようかなー、スゴいメンドくさい」

女子4「早い方がいいんじゃね?今日の放課後にでも頼んじゃえー」

女子8「そうだね、彼氏も暇してるだろうしー」

男子5「……………」

男子2「不穏な空気を感じ取り……我、参上す」

男子5「………」シー

697 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/05 17:56:39.47 493fgpvHO 150/169

「っだー……しんどかったー……」

(今日はだいぶ立て込んでたかんなー……他の社員の皆様、お先に失礼しまーす)ナムナム

「………」ブロン

(夜飯は魚とかにしてみるかなー…サラダでも添えてよー)

ビチビチビチビチビチビチビチビチビチベベッベベベベベ

(あ?)

半ヘル男「~♪」ビチビチビチビチ

(うわぁ)

(いるんだよなー……排気量ばっかり多くして吸気とのバランスとらねーから下痢便みたいな音出してるバイク乗り……)

(音がどうこうは少し置いといて、チューンするなら純粋にパワーアップ考えりゃあいいのに……)

(近所迷惑だし、遅いし、恥ずかしいわ……)

ンベベベベベベベベッ

(…………なんかことごとく進む方向が一緒だなー……俺はできるだけ静かに走りてーのによー…気分ワリーぜーまったく……)

(しかもやたらトロくせぇ……混んでんだからもうちょっとテキパキ抜かしてってくれよ……)

キキー パパパパー!!!

(うわぁ……本日二度目のうわぁですよ。他の交通ほぼ無視でどんどん突っ切ってやがる……ああ、事故ればいいのに、ああいう我が侭なヤツは)

「………ん?」

(このままこの道進んでったら、妹の学校の近くだよな……げー、こんなヤツがいるとか怖いわー)

(さっさと帰って妹ちゃんの為に美味しい飯…見栄えは相変わらずだが、作ってやんねーとなー)



女子8「遅ーい」

8彼「ゴメンな8、道混んでてさ」

女子8「もー、こっちは結構急ぎだし」

8彼「で?どんな用だって?」

女子8「ちょっとねー、ムカつくヤツがいるからあたしに文句言えないようにして欲しいの」

8彼「ふーん、俺の可愛い彼女に手を出すとはいい度胸してんじゃん。
どんなヤツだよ?」

女子8「うーんとねー女の子なんだけどー、ちっちゃくてあんまし喋んないような根暗でー……」

8彼「ふーん、そんなヤツに舐められちゃっててムカついてるんだ」

女子8「そうなの、ねぇ、とりあえずヤっちゃっていいよ」

8彼「やだねー」ベー

女子8「えっ?」

8彼「だって俺には8だけだしー、他の女に手を出すとかありえないからさ」

女子8「もう……バカぁ。じゃあどうするの?」

8彼「丁度そういうのに飢えてるヤツがいるからそいつに頼むよ。で、俺らは俺らで……今日も家来るだろ?」

女子8「聞かなくても分かってるんでしょー。ありがと、8彼っ」チュ

8彼(けけけ、サイッコー!俺らの間でその小さい子輪して調教してやろーっと)

8彼(やっぱビッチのガキっていいなー、こうやっていい具合に協力してくれるし、気持ちいいし……ホント最高)

8彼「それじゃあ、連絡しておくよ。8の邪魔者はしっかりお仕置きできるから」


「……今日は……兄が、お夕飯………作ってくれてる、から……帰るん…だけど……」

「あ、ボクもおねーちゃんと買い物行く用事があるんだー。このまま直接行っちゃうから……それじゃあまた明日ねーっ」

703 : ◆dINyckyVoNyT[s... - 2014/02/05 20:49:30.47 ROMFGRk3O 151/169

>>699
イメージは2011年モデルの隼ですねー。


708 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/05 21:49:15.53 ROMFGRk3O 152/169

「………」トテトテトテ

「………」

ボボンボブンボブブボボボ

「………」

(……うるさ…い……)ムカ

ゴッ

「」トサ

「コイツでしょ?」

女子8「うん」

8彼「んじゃ、あと頼む」

「ありがと。キッチリ仕込んどくから」ヒョイ


「……ん……」

「……い……たぁ………」シカメツラ

イケメン「はいおはよー」REC

「……っ…」ビクッ

(…な……何……?…これ……私……え…?)

イケメン「◯◯小学校5年生妹ちゃんでーす。これからこの幼い果実をおいしーくいただいちゃおうと思いまーす」REC

「…っひ……や……だれ…?……私……なんで…こんなっ……」

イケメン「まずは皮むきー、という事で…服を剥いでいきたいと思いまーす」REC

「………やぁっ……いや……ああ……兄……!」

イケメン「兄って誰でしょうかね。きっと家族の誰かでしょうね」REC

イケメン「ランドセル背負わせたままだと服が脱がせないのでー、服をバッサリ縦に切っちゃいましょー」ジョキ ビリビリビリ

「……う…あ……」

「…いやぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!…カヒュッ……」

イケメン「うるさい子はお仕置きですよね。白くて柔らかくて、こんなになめらかなお腹を殴るのは心が痛かったです。でも、殴られた時の声は随分と可愛いです」REC

「…けふっ……けほ……はっ………う……」ガタガタガタ

イケメン「ブラジャーしていました。これは可愛いです。まな板もいい所ですが薄いピンクと白の水玉の可愛いブラです。これも切りましょう」ジョキ

「……はっ……はっ……はっ………う…ええ………ひぐ……」

イケメン「おお、どうでしょうこの白い胸、ちゃーんと頂上には……んー、まだ発達してないみたいですが可愛い乳首がありますねー」REC

「……ひっく……ぉ…ぇ………兄……兄ぃ……!…」

イケメン「まずはお腹から胸にかけてゆーっくりマッサージしていきましょう」サワ スリ スリ

「…う………う…ぷ………ひく……えぐ……」

(やだ……やだ…やだ、やだ………やだやだやだやだやだやだやだやだ…)

イケメン「どう?気持ちよくなってきたでしょ?変な感じでしょ?」REC

「…やだ……やだ……やだ………やだ…やだ……」

イケメン「…ッチ…では次は後ろから触ってあげましょう。このように、ランドセルを持ってーゴロリと反転~」REC プチッ

「……や……兄……たすけ……兄………兄……」ズリズリ

イケメン「ショーツもどうやらブラとセットのようですね、とても可愛らしいです。この薄くて可愛いお尻は触り心地がいいです」スリ サワサワ

イケメン「きっとこの大事な所も、ぴっちり閉じてて甘酸っぱいんでしょう。こんなにプニプにしてます」REC プヨ プヨ


738 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/06 15:36:09.57 klH0LigEO 153/169

イヤァアアアアアアアアアアアアアアア!

男子2「おなごの嘆く声のなんと悲しいことか…悔しさで心が張り裂けそうである…」

男子5「…………」ザッ

男子2「えっ、本当に行くん?大人相手に?」

男子5「…………」コク

男子2「そういうん違うと思うなー、俺。危ない事したらダメですって先生言ってたし…けーさつ……」

男子5「………間に合わない。時間稼ぐ」カラン

男子2「ううう」

ガチャ

男子2「!!!」ササ

男子5「……」コソ

イケメン「今撮影中なんすけどー……なんの用ですか?」

イケメン「……え?バイトのシフト?」

イケメン「今日じゃないっすよ。ちょっと急いでるんでー、はい……」ザッザッザッ

男子5「……」

男子2「……行ってしまったのである…幸い木々に囲まれている故…いい隠れ蓑になろう…」

男子5「………」ダッ

男子2「あーん、待ってーなぁー」タタタ



ガチャ

男子5「………」キョロキョロ

「……ひっ………ひっ……く……うぇえ……」

男子2「ミッション開始だぜ…」

男子5「………」

男子2「とりあえず俺のジャージ貸してやればいいんよなぁ?」

男子5「…………」コク

「……っぐ……ぐす……えう……兄………」

男子2「パーッジ!!!」ヌギ

男子5「………」ゴッ

男子2「…イタいのね……静かにね、しずかーに」パサ

男子5「……こっちはいいよ」

男子2「立てる?」

「………ふぇ……ぐ……うう……」ヨタヨタ

男子5「…ランドセル持ってよ」

男子2「…くく…人遣いの荒いヤツだ……」ガショ

男子5「…………行こう」コソコソ

男子2「ニンニンっ」コソコソ

「…………兄……あに……」ヨタ ヨタ



イケメン「あーっくそ!!萎えた、クソ!!……………あ……ああああああああ!!!いねぇ!!どこ行きやがったチクショウ!!!」ガンッ

754 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/07 00:04:21.47 ZIIduEmqO 154/169

男子5「………」ピク

男子2「どうした、黒魔術師よ……」

「……っ……ヒク……」

男子5「………気づかれた」

アアアアアアアアアアアアア!!

男子2「…くくく…愚かな野獣が遠吠えを始めよったわ……」ガタガタ

男子5「………………」ポンポン

男子2「……くくくく……俺のこのスリールクノケがあれば怖いものなどない!」

男子5(…………金属バットね…)

「…………」

ガサガサガサガサ

男子5「……………こっち」タタ

男子2「ついてくるのだ、プリン……プリ………姫!」タタタ

「………っ……ふ………」タ タ



男子2「………むむむ…こっちは瘴気が薄いぞ」タタタ

男子5「………なんとか逃げる」

「………」

バキバキバキガササ

イケメン「あは!見つけたぁ!!」

男子2「ひっ」

男子5「………ふんっ!」ゴンッ

イケメン「………………」タラー

男子2「…やったか!?」

イケメン「」ブチィッ

イケメン「このクソガキがぁ!!!!!!」バキッ

男子2「ブへっ!」ドサ

イケメン「ぐらぁあ!!!」ドガッ

男子5「っ」ズシャア

イケメン「くは…あっはあはははははは!!!!逃げれると思ったかよ妹ちゃぁーん!!めんどくせぇ!!この場でぐちゃぐちゃにしてやんよ!」

イケメン「お友達のガキ共にもたっぷり見せつけてやらぁ!!」ガシッ

「…………っ!」ガブ

イケメン「っぐぅ……んだらぁ!!!」バシッ

「………きゃ………」ドシャ

イケメン「あー、もういいわ……今スッグぶち抜いてやるよコラァ!おらケツ向けろ!!」

「…………ま…けない……」プルプル

「………友達………きずつける……人に……なんか……!…」ガタガタ

イケメン「えへへぇへ…震えてるよぉー?」ジリジリ

「……………」コキーン

イケメン「ひょ!」

768 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/08 10:55:59.20 6q2Lk2ZdO 155/169

「……ふーっ……ふーっ………」

イケメン「ん…ぐぅおおおお…………」ピクピク

男子2「すげー…」

男子5「……………」

イケメン「このクソがぁ……」

「………」タッ

男子5「………」タタ

男子2「くくく……哀れな豚がぁッ!」

イケメン「ヒャは!」ガシッ

男子2「え?………カ…………く…」ギリギリ

イケメン「おいおいおいガキ共よぉ!大事なお友達放って行くんですかぁー!?」

「……」ピタ

男子5「…………」

男子2「ーーっ………」バンバン

イケメン「よしよし…それでいいんだよ。さぁ妹ちゃん、始めようか」

「………」ビク

男子5「…………」

男子5「………うわあああああああああ!!!逃げろ!!妹ちゃん!!」ダッ

イケメン「このガキ……!」ギリギリ

男子2「――!!――――っ」

男子5「くらえ変態!!」ブン

イケメン「アブねっ!くそ!」サッ

男子2「ーーーっぶは!!……はー……はー……」

男子5「………」

イケメン「バット持ってようがガキになんか負けねーんだよゴミが!」

「そりゃあ体格も体力も全然違うっすもんねー」

イケメン「!!!!」バッ

「………」

「………兄……!」

イケメン「な、な………」

「もうやめとけよ、通報もしましたし、車のナンバーも顔も割れてんだからよー」

イケメン「フッザケンな!!!ぶっ[ピーーー]ぞテメー1!どうせ捕まるってんなら殺してやるからなテメー!!」

「番犬様々だぜー全く……妹…帰るぞ。………お前らも、こっち来い、もう大丈夫だ」

「…………」ギュッ

男子2「うわあああああああん!!」ビービー

男子5「……」フラフラ

イケメン「無視してんじゃねーぞコラ!!こっちにはナイフだって…!!」

「………何したってんだよ…俺たちが……」

「ただゆっくり平和に過ごしていたいだけなのに、なんでお前らみたいなクズは邪魔すんだよ。お前の心を傷つけたりしたのか?トラウマでも植え付けたのか?……ただの暇潰しとか、自分の満足感得るためにどうして他人を巻き込むんだよ」

「………妹に手を出した時点で、こっちだって殺してやりてー気分なんだ。これ以上関わるのなら俺はもう止まらねーぞ」

775 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/08 20:15:02.20 6q2Lk2ZdO 156/169

イケメン「うわああああああああ!殺してヤルゥウうううう!!!!」ダッ

「…………!」

「……そういう答えでいいんすか……へー、あっそー」

ドスッ

「……………」

イケメン「へ…へへへ……やった、ほら見ろ……」

「アホか」

イケメン「へ?」パチクリ

「……」ゴガ

イケメン「ぴ」ドサ

「正義の鉄槌、ヘルメットフレイル!……なーんてなー……」

「…あ……兄!……兄…!今……刺され、て……!」ガバ

「ガチのジャケット舐めんじゃあねーよ。あんな安物ナイフちょーっと動けば引っかかっちまうよ………うわ!穴空いた!!」パッパッ

「……ふ…うぇ………ふえぇぇぇえええん!!!」

「…ま……なんとか無事みたいでよかった」

(あとは警察に処理してもらうとして……)

(車の中に、妹の服の切れ端が落ちてた…襲われたのは確かだが……この男子達が助けてくれたみてーだな…)

(もし、コイツらが助けてくれなかったら今頃…………)

(………きっと殺してただろうなぁ…このクズ男を)

「………」グスグス



_________________


(あの一件の後、ある高校生4人が捕まった。どんな事をしていたのかはお察しの通り……十を超える事案の容疑者としてきっついきっついお仕置きを国からされるそうだ)

(別に裁かれたからって嬉しいわけじゃあない。どれだけ償おうが謝ろうが、そう言う誠意を見せたとしても一度壊れたものは元のようには戻ったりしない。)

(どれだけスカッと気分が良くなった所で、歪む。変形した歪な考え方は拭えないままだ。)

(元に戻った、立ち直ったと思った所で……俺も、妹も、あの男子二人も、事件を聞いた友も友姉も、確かに傷が残ってる)

(ゆっくり、のんびり、せめて平和に。そうじゃあなけりゃあ生きてなんていけないもんなんすよねー)

「はぁ………」

「……どう…した、の?」

「今日もお仕事疲れたなー、と思いましてー」

(妹は、自分のクラスメイトが唆して自分が狙われたのを知ったらしい。理由は彼氏が捕まったあるクラスメイトがいじめられ始めたのが原因だ)

(そのクラスメイトは不登校になって、近いうちに転校する事になったらしいが……ま、知ったこっちゃねー)

「………兄……今日は……学校で、ね……」

(歪んでるよなぁ…………。だからこそ、癒しが欲しい)

「……友ちゃん、ね……すごいんだよ……マラソンで……男子……どんどん抜かして……」

(今日も、隅っこで寄り添いながら確かな幸せを感じています)

(俺の周りの人間が、せめて幸せな二人だと思ってくれれば救われるよな、俺も妹も)

(不幸な二人だと、かわいそうな二人だと思われちゃあたまんねーからなー、へへ)ギュ

「………あったかい……ね………」ギュウ

「なー」

785 : ◆dINyckyVoNyT[s... - 2014/02/09 00:21:55.83 xYDacID0O 157/169

「だーかーらー卒業するまでおとなしくしてろっつの」

「…………いや……」

「…………いやいやいや!逆に聞くけどなんで今日なわけよ?」

「……秋は……衣替えの…季節……」

「そんなの知らねーし…」

「………待ってた……の……ずっと……高校生に……なってから……ずっと……」

「うっせ、まだ中学生みたいなチビのクセしてよー」

「……心外……私は……クラスでも……結構…背……高い……」

(…確かに……チビと言えるのは俺が大きいからですね、はい)

(しかもね…なんだかんだ言ってガキの頃から結構大人びてたから、その……色気が……本気で来始めてる)

(その……胸だって……ツルペタから随分と………)

「……別に……これ以上…待つ意味も、ないし……」

(清楚な印象はそのまま、今では大和撫子と言ってもいいぐれーの淑やかさが……)

「………む……聞いて…ない、でしょ……」ズイ

「聞いてます聞いてますー」

「私も……兄としか……結婚するつもり……ないし……」

「よくそんな事恥ずかしげもなく言えんなオイ」

「………だって………」

(兄も私と結婚するつもりしかないもん)

「…兄も…私と……結婚するつもりしか……ないもん、ね……」

「やかましい」

「…………」ムー

(はいはい、そうですよ。妹と添い遂げるつもりしかねーのは俺自身でも分かってるし、妹がこの時期にこういう……結婚の事を言い出す理由も分かってる)

「……兄………いつか………なら……今でも…変わらない、でしょ……」

(まぁ、だからー、その………一応結婚指輪……用意してるんすけどね……)

(緊張から物がなかなか渡せないのはあの時から相変わらず……しかも兄妹だけども親代わりみてーな関係だったから、そういうのを渡すのは……なんつーか改まり過ぎてバクバクなわけでして)

「…………散々………したくせに……」

「何をだよ」

「……私の……口から……言わせる、気?……」

「………………………………」

「………………それでも…結婚………しないの…?」

(そして、最後の攻め文句にはこれがくるんだが……)

「……この間……だって……あんな……激しくて………」カァア

(たかがキスだけでどうしてこんな初な反応ができるんすかテメーは………そりゃあ、確かに…この間はー………近くの公園に散歩に行って、落ち葉が道いっぱいに広がってるのがすっげー綺麗だった……そこでベンチに座ってあったけー缶ジュース飲んでたらコイツが寄りかかってくるもんだから……)

(”重てーぞ”って顔見たら……なんか……そういう雰囲気になっちまって……しちゃったんだよなぁ………)

「………いい加減……責任、とるべき……私が……小学生のときも……」

「……」

「なんすか」

「………き……キスした………くせに……」ゴニョゴニョ

(はい)

793 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/09 21:42:18.22 xYDacID0O 158/169

「…………ま、この話はやめだ。飯も風呂も済ませたことだし、さっさと寝る」

「…………」

(……友の……言って、た……最終手段…かぁ……)



『ん?何って?』

『……だ、だから……兄が……結婚……してくれない…の…』

『』

『………あれ…?……おー、い……』

『なんなんだよー!ホントに!毎日毎日のろけちゃってさー1』

『……う……』タジ

『この一週間…いや、小学生のときからおにーさんの話ばかり!結婚でもなんでもしちまえー!!』

『……友……声…大きい………』カァ

『ボクからしたら顔赤くするのはそこじゃないんだけど……』ジト

『……でも……私……兄しか……いない…から……』

(聞こえますか?周りの男子が崩れ落ちていく悲しみの音が……)

『だったらねー、もう押し倒して妹から襲っちゃえば?どうせおにーさんもまんざらでもないんだし』

『……襲う……?……』

『いつかボクのおねーちゃんが見せた……その……エッチ、な……』カァ

『……なんでボクの口からそんな事言わせるんだー!変態!妹の変態!』

『………なる、ほど…』


「…………」

(兄妹…というよりも、親子というよりも……同棲状態のカップルに近いからなー。既に結婚生活を満喫していると言っても過言ではない)

(一緒のベッドで未だに寝てるし、風呂だって湯船には一緒に入れねーぐらい成長したけど、背中流すぐらいはしちまってるし……よっ、流石鋼の理性だぜー……)

「……………」

「くぁ……ねみー……」

「…………とう……」ドン

「は?」ドサ

「…………」ヨジヨジ

「え?なに?え…?は?」

「…………えと………なんだ、っけ……」

(え?押し倒されて?俺の上に乗っかってー…………おいコラ、首かしげんのやめろ可愛いんだよタコ)

(そうじゃない!!)

「あ……今日は………寝かさないん……だから、ね……」ニコ

「ば、バッカヤロー、テメーみたいなガキにゃまだ早いんだよ!」

「……遅かれ…早かれ……こうなるの…なら……早くても……いいの……でーす…」ダキ

(髪の毛いい匂いする……柔らかい胸が押し付けられて俺の身体にうまい具合に形を変え………そうじゃない!!)

「………ちゅー………しましょー………」

「………アホだ…」

(太もも柔ら……落ち着け、おれ……妹の顔が近づいてくるがこれは夢だ。仕事疲れで変な夢を見てるに違いない。…………ごめんなさい積極的なアプローチで我慢限界です)

「…………ん………」チュ

796 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/09 23:11:44.37 xYDacID0O 159/169

「……ばっ……むっ!……」

「……ちゅ……れろ………んん……」

「んんんー……!……」

(こ…こいつ舌まで突っ込み………!)

「………は……む………」

「……………っ…」

「…んちゅ……ん…………ぷぁ………」ツ

「…………」

「……はぁ……ふぅ………」

「…オメーよー………」

「……ぇ……?」ポワポワ

(こ……コイツ…ちょっとセカイ入っちまってんじゃあねーか……)

「…もう知らねー。大好きだ、妹」ギュ

「………あ…」

「髪……だいぶ伸びたな……もともと長かったけど、さらさらだし、綺麗だ……」ナデナデ

「………ふふ……」

「お前は何よりも綺麗だ。ずっと一緒に、いて下さい」

「………うん……」

「……」チュ

「……んむ…………」

「…ん……」

(……舌……絡まって………なに、これ……さっきと…違う……)

「…………は……」

「……ぁ……ふぁ………」

(……知らない……よ…こんな………口の中…なぞらない、で……)

「……………ん」

「ぁ…ぃ……ぃ………まっ…………」

「………………」ス

「……はぁっ……ぁ……はぁ………」トロ

「妹が誘ってきたんだから我慢しな……っても……俺も随分我慢してきたから、ゴメンな、止まらない」チュ

「……ょ……これ……ひ、じょう……は……んん……」

「………ダメとか言わせねー………」

「………んっ……ぷぁっ……ちゅ……ぇろ……」

(……口……トロトロ……だ……頭も…ぴりぴり……する………)ジワ

「…………」ムニ

「……っ……ん…!……だ、め……!いま……そこ…は…」

「押し付けられてると、どーしても意識しちまうし……何より主張が……」タユタユ

「……ひ…ぁ……ほん…と………だめ……なの……ぉっ…!……」ヒクッ

「……見ねーようにすんのも、だいぶ……キツかったし………つか、パジャマ越しでこれかよ……」クニクニ

「…ぁ…兄が……っ……や………先……そこ……んんっ……ん……ちゅ、……んぷ…ぁ……」ジンジン

801 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/10 02:04:44.42 5nBwkEb10 160/169

「……前外すぞ」

「……………」コク

「正直、俺の中で妹はチビのまんまで、いつまでもガキだと思ってた」プチ プチ

「………ガキ……って……言われるの……嫌い、だった……」

「俺もお前に頼り切りなガキだったから、ちょっと見栄はりたかったんだよ」

「……そっか……兄も……なんだ………」ハラリ

「……いい胸してんな」ジー

「…っあ……あんまり……見ないで……その…恥ずかしい…し……」

「って言うわりには隠さないのな」

「………それでも…一応……兄、には……全部…見て欲しい、から……」

(ボタンだけ外したパジャマ妹は最高です、可愛さぶっ飛んで女神!手に余るぐらいの程よい大きさ、白くてハリがありながらも柔らかさは最高、薄い桃色の乳首と程よい大きさの乳輪……ワンダフル……)

(俺はおっさんか!!)

(………オッサンだったわ……)

「……兄も……上……脱いで……」

「了解、ちょっとどけ」


「…………」ヌギ

「………………」ダキッ

「……悪いな、こっちは相変わらず汚くて」

「……ううん……ずっと……こうして……触れ合い、たかった……」

(胸が……直の胸がヤバい………柔らかさの中のツンとした固さが…何とも言えん……)

「……ん……ちゅ……はぷ………」

「……ちょっ……」

「………舐めたら……ちょっとは……楽に、なる……?」レロレロ

「…傷っ……てか……!舐められるのは……へんな感じだ」

(兄が…見せてくれた……傷痕……こうして、そう……私が……癒すの……)チュ 

「………なぞって……あげる、ね……兄が…もう……痛く…ない、ように……」ッツー

「……………」ナデナデ

(優しい……うずくような、引き攣るような……痛みを全部拭ってくれてるみたいで……)

「……ん………」チューチュー

「……何、してんの?」

「………ぷは……兄の……傷の上に………私の…印……を……」テレ

(キスマークですか……)

「そしたら全身妹の印だらけだなー」

「……当たり、前……兄は……私だけの………兄……」

「……へへ、サンキュー」ナデナデ

「………にへへ……」

「………」チュ

「……あっ……ん……兄……?…」

「一応、俺も印つけとこうと思いまして」

(うん、鎖骨のくぼみに綺麗に赤ーくついたな。……うわ、急に恥ずかしくなってきたし……)パ

811 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/10 20:05:53.98 XNJXN6JLO 161/169

「……変……だね……二人して……身体ばっかり…」

「そうでもねーよ」カプ

「…っん…………首……こそばゆい……」

「…………」

「……あっ……ぁっ……耳……変……だから、ぁ……」ピクッ

(白い首筋を伝って耳まで、ゆっくりと唇を這わす……妹の体温がじんわりと伝わってくる……妹の耳元の石けんの匂いやらなんやらで……さらに変になりそう……)

「……ふぁ………兄、ぃ……」スリスリ

「……んー?」

「……き、もちい……の……んっ………服……兄の足……こすると……ビクって…する……」

「気持ちいい?」

「……う…ん…………ふ……は、ぁ………」コシコシ

「………」ス

「……ぁ……ひゃっ……ぁん……」ビクッ 

(パジャマと下着の間に手を突っ込んでみたが……じんわりと群れたような湿り気が……)

(何より手を圧迫する妹の身体の、クニクニとした柔らかい肉圧と、下着の肌触りがヤバい……)

「……く……ひ………っ……ぁ…兄の……いい…っ……ふあ……ん…っ……」ヌリュ クチ

「…お、おい……腰動き過ぎ……」

「……はっ……っは……ん…あっ……ひっ……ぅあっ、ん……」ジュチ ヌチュ

(手が……手がスゴい事に……)

「…あっ……ふぁっ……あ…あ…っっっ……ん……ーーっ!!……っは……ひっ……ひぁ…あ…………」ショワワ

「…っ……っ……ふぁ、あ……」クテン

「…………ズボンも、布団も、びちゃびちゃなんすけど……」

「……はー…っ……は……すご…い……これ………」カクカク

(まだ腰が小刻みに震えてる……聞こえてねーし……なんかもう出来上がっちゃってるし)

「………」ガバ

「………ん……」

「はい交代。下、脱がすぞ?」スルスル

「……あ……ごめ……私……で……でちゃっ…た………」カァァア

「多分小便じゃあねーから安心しとけ。うわー、こんなにズボンびちゃびちゃにしちまって……」ジットリ

「………ぅう……」モジ

「……はい次」スル

「………ぁ……」

(こっちも他の肌と同じように……いや、一際白くテラテラと艶かしい………閉じてる……けど、動いてるな…)

「……や……見ない…で………」カクシ

「……あの…手で隠されると余計に、その……エロさ際立っちゃう、みたいなー………」

「………うぅううう…………」モジモジ

「…………?……」ピト

「……太もも……これ……」ニギ

「っ…………!」

「…わ………これ…………こんな……に……なるんだ…………固、い……」サスサス

851 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/13 07:08:14.53 OGOD7ZIf0 162/169

(……いままで……こんなに…なってたの……見た事………ない……)サワ

(…ズボン……張ってる……)

(……すっげーぎこちねーんだが、集中しちまってるみてーだし、俺も俺で触るかな)ヌル

「………」ビク

(…あ……忘れて…た……私……裸で……)スリ スリ

(意外と…てか、元々か……こっちが触ってんのに手を止めないのはなかなかこっちも興奮する)クニュ 

「…ん……んん……はぁ……」ブル

(…うう……周りだけ……触られると………足りない…もっと……欲しい……)コスコス

(なんか、手のスピード早くなった…?ん……うわ、内側触ってなくて焦らし状態だからかトロトロ出て来てる……ま、しかし…もう少し柔らかいここを堪能します)プニュ ヌリ

「…は……あ……んふ………」シュ シュ ニギ

(もっと……もっと……中……そこじゃ……なくて………切ない……よぉ……)ジワ

「……腰、動いてるって。……エロいんだな、妹」ヌリュ ツー

「……ぁ、は……違う……もん…兄が……いつまでも…待たせる……からぁ……っ…」ニギニギ

(おねだり妹可愛い……ここから、ヘソ、太ももの付け根をゆっくりと………)スリ ヌリヌリ

「…うぁ……っふ………も……う……いじわる……こっち……だって……」スル

「……っ……」

(……ちょ、直接……触ったら……兄も…我慢………できない…はず………あ、熱い……手……スゴい……)ニギ 

「このヤロ……」チュ

「…あっ…!………おっぱい……吸っちゃ………んきゅ……」ビクビク

「……ん……ふむ………」チュ レロ

(…最っ高に柔らかくて、心無しか甘い気が……気のせいか……でもこれは、なんつうか癖になりそう……もちろん手は止めない)クニ 

「…ひ…ぅく………あっ……!」

(……兄…ずるい……っ……私は……ここしか…触る所……ないのに……)ゴシ

「……ふ……妹ー、手が動かなくなってきたぞー」ヌリュヌリュ

「…うあ…あうぅ………んん……はぁ………も……無理……」ヘタ

(反撃不可になるまで力入らなくなったみてーだな……いや、実を言うと俺も我慢汁が染み出してきてパンツが少しヌルヌルしだしたっていうね……本気で責められたら危なかった…)クチ

「…!!……ひゃあっ…ん……こ……これ……入って、る……?……指……入ってるっ?……」ビクン

「んー、まだ入り口かなー」チュク ヌチ

「……ま、まだ……なんだ、ね……にへへ………んっ……あっ……」ギュウウ

「あんまし抱きつかれると手ー動かしにくい」ニュルニュル

「…だっ…て……ふぁ……ん……力……入れない、とっ………きちゃう…の………」ヒクヒク

「…了解、俺も脱ぐからちょっとお預けな」ス

「……は……ふぅ……ふぅ……っ…」トロトロ

(いくらなんでも感度良すぎやしないですかね、妹さん……。まぁ、それはそれで俺結構嬉しいけど)ヌギ

「……ん、大丈夫だ」

「…………わ………私……こんなの……触って……」ゾクゾク

(………た…たしか……友の家で見た……DVD……だと……)オソルオソル 

「…え…?あ、おい……流石にそこまではしなくてもいいんだぞ」

「…………はむ………ん……ちぅ………あぷ…」

(…上目遣いとぎこちなさの背徳感が…っ……うわ、無茶苦茶ドキドキきてるよ俺………奥まで突っ込むのは怖いんだろうが、ちろちろと先をいじくる舌の感覚がたまらないんですけど……)ゾクリ

854 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/13 10:06:36.57 qB4J26h8O 163/169

「……んぷ……ちゅ………んむ……」ズル ズル

「…っ……ふ………」

「……ぷは………気持ち……いい……かな…?…」タラ

「ああ……すげーいい…」ドキ

(妹の口から俺のに細く伸びて伝ってる唾液がエロすぎる……ぷっつり切れたと思ったらだらしなく口元を汚してんのに、気にせず俺の事を気にする妹………天使すぎる……本当に)ドキドキ

「……やった……じゃあ……もう少し……頑張る……から、ね……はむ…」

(……こうして……兄の顔、見ると……いろんな顔、する………私が……その理由だって……分かるのが、嬉しい……)チウ ペロペロ

(……先っぽ……ツルツルしてて……ちょびっと、しょっぱい………けど……兄の、ヌルヌルが……じんわり……私の中に……)プチュ 

(だ……どんどん上手くなってねーか…?いや……こいつ俺の顔観察しながらうまい具合にしてる?……確かに、結構鋭いけど………)ビク

「……んむぅ……ちゅる……はぷ……ふ……」

「……ん……ぷふぅ……はむ……れる……」チュルチュル

(咥えてたのを離して、今度は横を、か……太ももに時折当たる妹の頬と髪がくすぐったい、体液で妹の頬に張り付く髪がなんとも言えねー……)ビク ビク

「…ん…だよ……急に、一方的に責めだしやがって……くそ……」

「……ふふ……さっきは……いじめられた…から……仕返し……♪……」カプ チュ

「…楽しそうにしてんじゃあねーよ……」

(……もうちょっと……奥まで……いける、かな?……)パク

「……ん……んん……ぐ………」ズル ズルル

「……っ……う…お………」ゾクゾクゾクゾク

(急に、奥まで!?)

「……ず……んく……っ……ぷぇっ……けほ……っ」

「む、無理してんじゃねー……」ビク ビク

「……にへへ……兄の……今……スゴく、ビクって……した……あむ…」

「……ちょ、ホントに!……それ以上は、キツいって……!」

「……んぐぅ……じゅ………あふぁ……ひ…………ひもひ………ひ?……」ヌリュ 

「…もう十分!気持ちいいからっ……マジで離れろって……やばい…!」ビクッ

「……♪………じゅ………ぷ……ん……くむ………」ジュプジュプ

「……こ、の………っ……もう……限界…だって……」ガシ

「……んん……!?………んぐっ?……」ジュ ジュ

「……はっ、はっぁ……く…あ……妹……妹っ……」カクカク

「……ふっ……ぶぁ……ぷ……くふ……ぅん…!…」ガプッ ジュプ

「…っぐ……あ………あ……出る………っく……ぐ……」ギュ

「……~!!!……こふ……!?………」

「…っ………」ビュク ビュルル

「………んんんんん!?………ぐ……くぷっ………」ビク

「……っ…っ……は…ぁ……」ズル

「……けほ……うぁ………こえ……何…?……くひ、の中……変……」ドロ

(口から、俺の精子をドロリと零しながら、涙目で不安げに見つめる妹……うわ……俺変態じゃん……こんな、なのに…すげー興奮してる……)

「……わ、悪い…一応……うん……これが、赤ちゃん出来る……基、みたいな……うん」

「……ぅえ……これ……?………うー、ん………………ん、く…こく……」モニュ クチュ

(え……え?え!?……口元から溢れたヤツを口に入れて咀嚼……って…レベル高すぎるだろ……いや、そんな姿で息子がまたフルボルテージなんですけども)

857 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/13 15:56:38.24 KUBHEqMgO 164/169


「……」

「…ど、どうした?」

「…………慣れたら……多分……癖になっちゃう……かな……」

「は?」

「……う……その……兄の……だし……私……嫌じゃ、なかった……から…………その」シドロモドロ

(コイツが女神か………)

「……まずい……けど…………」

「…………そうか」

「………じゃ、じゃあ………今度は………」クチュ

「……………ん…」

「……ここ……だよ、ね……」

「さっきよりもなんか……」

「……うる、さい…………」ダキ

(……気持ちよくて……ゾクゾクして……頭が…ぽーっとして………なんて……言えない……)

「はいはい」グチュ

「…んっ……あふ……」

「……散々攻撃してきたかんなー…俺も止めねーぞ」グチ ニュチ

「……っひ……くぅ……ふあ………」

「………」ピト

「…………ぁ…………」ピク

「いくぞ」

「………うん………」

「………」グ ヌプ

「………っ……っき……あ……あぅ……」ギュウウウウウウウ

(きっつ……結構グチャグチャだったんだが、これはまだ………)

「…はい……った………?」ジンジン

「いや、まだだ…無理そうか?」

「………痛い………」ジワ

「な、泣くほどいてーならちょっとずつだな……」

「……や………今……なの………」ブチ グズ

(なんだこれ…みっちりした肉圧と……熱くて、溶けそうな……絡みつき……)ズヌヌ

「……痛いぃ…………」ポロポロ

「…よく頑張った……な?だからここまでに………」

「……い、や…!……しっかり、兄と………繋がって……たい……」グチチ 

(俺が限界なんです!)

「………う……ぇええ……まだ…ぁ…?………」プルプル

「…………三分の一ぐらい……入ってない」ヌチチ

「……も……お腹…いっぱい…………入らない、ぃ………」ツー

(確かにつっかえてる感じはするけども……このままだとなんか、物足りない…つーか……もっと奥まで……妹を責めたいといいますか……)グチ グチュ

「…ふぁ……ふぐ………せー………の……で……お願い………これ以上……無理……」ギュウ

870 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/14 18:18:05.25 RcQsBIqK0 165/169

「いや、せーのって……」

「……い、きます………せ……せーの……」

「え、ちょ……」

「……ひ……ん………ぐぅっぅ…………」ブチブチ

「っ…」ヌヂ

「……っ……ぅ……全部……入った………ぁ…」ビクビク

「……無理すんなよマジで……」

(……全部入ってない……なんて言えない……)

「……ちょ…っと………このまま…………」ギュ

「…はいはい」ナデナデ

「………はぁ………変な……感じ………お腹……いっぱいいっぱい……」

「そうか」

(突っ込みたい…全部全部突っ込んで、グチャグチャにしたい……)ウズウズ

「……ビク…って……してるのが……分かるし……熱い……」

「それ言わなきゃダメか?」

「……確認…してるの……兄の……形……とか……」

「……なんか照れるからやめろ」

「……ふふ……私……動いたら……兄……ダメそう………余裕が、ない……」ヌ

「もう、大丈夫なのかよ……」ズヌ

「……少し……痛いけど……ちょっと、なら……」ズチュ

「妹は…余裕あんのか?」グッチュ

「……兄、より……は……」

「…じゃ、大丈夫そうだな」

「……にへへ……私の………耐えられる……?」ヌチュヌチュ

「……ん…」ズン

「…っふ……!?……うあ…っ……」ビク

「……俺も、我慢できないんで。攻める」ズップグチュ

「……く…きゃぅ……そ、んな……ひ……はげし……」

「余裕、見せてくれよー」パチュパチュ

「…ん……なぁ………無理……っ……こんな……」プシ

「…ほれほれ、さっきの…余裕はどうした?」グッチグッチ

「…ぉおく……ぅぅ……!……チカチカ……きちゃう……からぁ…」ゾクゾク

「ん、もう少し……奥まで、やってやろうか?」ズチグチグチャ

「そ……じゃ……なくて……ぇ……ふぁああ…っ……」キュンキュン

(ぬお、締め付けえぐい……だけども…ここでっ…)ズギュ

「…ひゃ…ーーっ……かひッ………」ビクビクビクッ

「…っふ…く……キツい……な……ちょっとイった?」ズプズプ

「…はひ…っ……あ……ぁ…んんん……あた…ひ………い、ま……」ダラリ

(聞いちゃいないよ……)バチュン グチュ

872 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/14 19:36:32.18 RcQsBIqK0 166/169

「………ひぅ……はっ……はっ……」ピク

「それじゃ次はー……」グチュ

「…ひぁん………兄……この格好………」

「まぁ、気にすんな。ただちょっと……」ギュチュ

「……あっ……は……んっ…」

「奥までしっかり、できるってぐらい…かねー」パンパン

「……ひゅ……あ……っ……これ……だめ……っ……」ジュン

「………ん?」

「……奥……ほんと、に………奥まで………響く……から…」ビクン

「そうやって、振り返って、涙目見せられると……興奮する……」パチュン

「……こんな……四つん這い………お腹に…と……おっぱい…に……垂れてきて……」

「垂らしてんのは、お前の身体だからな?…こんなに……いろいろ出やすい体質なんだな」ズチュ

「……しらっ……ない…よ………そんな…………」クタ

「…ほれ、手ー貸して」ガシ

「…ふぇ……あふ………っ……ひぁ………!」ガクガク

「どうよ?」

「…ひゃひぃ…ん……きゅ……や………さっきよりも……だめ…ぇ……っ」


「綺麗な背中だ……それに、これなら胸も、触れるし…」ムニュ

「……舐めない…でぇ……ひんっ……あ…あっ……だ、え……また、また……」ガクガクガク

「イクところ、しっかり見てるから……ほら、よ……」グチャパチュ

「……くぁあっ…ん……きゃう………いや……わたし……兄の……顔見て……たい……よ…ぉ……」クタ

「……可愛いヤツだな……ホント」グチ

「……ひっ…く……ふ……あふ………」

「……ほら、一緒だ……最後はしっかり……な」ギュ

「……うん………きて………兄…」

「……ふっ……くぅ……」ズッチュズッチュ

「……ひゃう!……あっ……ひゃ………はっ……あ……あっ……」ギュウウウウウ

「……俺は、妹と……一生……添い遂げる、つもりだからよ……いいか…?」グチュグチュグチュグチュ

「……きて……いっぱい……私も………兄と……いたい………」ガシ

「……はっ……はは………ほら、いけ…っ」パチュパチュグジゥ

「……あッ…ふぁ……あ…ああ……ん……も……わた…ひ…」ビクビク

「…俺、も……っ…」グチャンズプズンッ

「…――――ーっ!!!…うあぁああああんっ………」ガクンガクン

「……っ……」ビュク ルルル

「……ーーーーーーー……ひっ………ふぁ……あ……あった……かい………」ジワ

「……っ…は……ぁ…………」

「……………ふぁ……このまま……で……お願い……」ギュ

(抜かないままで、いいんすか……流石妹……」ナデナデ

「……赤ちゃん………できちゃう…ね………」チュ

「……だな…」

873 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/14 19:56:41.10 RcQsBIqK0 167/169

____________

「………く………腰が………」

「………にへへ……」サスサス

(あの後4回戦ぐらい……こってり絞られてしまった……若いって恐ろしい……結構攻めてたのに、最後はなんだかんだ襲われてたに近い)ゲッソリ

「………ね………兄………また、しよー………ね」ツヤツヤ

「…一応、付き合いますよ………」

(体力持つか知らんけどねー)

「……」ギュ

「……んだよ…」

「……高校……途中で……辞め…なきゃ、ね……」

「……あー……そういう知識はしっかりしてんのね」

「……あたり、前……それで…………今日は……学校、休んで………お出かけ……」

「あん?これからどこ行こうってのさー」

(正直腰痛い……俺も歳なのか……」

「……もちろん……役所………結婚………するんでしょ……?」

「恐ろしいほど行動力満々だなおい……」

「……にへへ………」ダキ

「…ベタベタすんな、暑苦しい」

「……秋……だから……丁度……いい……」

「…まぁ、そうなんすけども……」ポリポリ

「……私……子供に……なんて…名前……つけようかな……」

「今考えなくてもいいんじゃあないっすかねー……」

「……む……じゃあ……服を………」

「それも、まだいいって」

「………………」ムー

「…なんつーか…幸せに、暮らせるように……いろいろ考えたい……」

「…………」

「…その、改めて…なんつーか……夫婦、として」ソッポムキ

「……そう…だねっ……」

「お前にも、不自由はさせねーよ。妻として……俺を、こんなですが…支えて欲しいっす」

「……うん……」

「…健やかなるトキもー、病めるトキもー…えいえーんのー、愛を誓いマースカー?」

「………変なの…………」クス

「うっせ……自分で言っててもアホらしいと思ったわボケ」

「……わざわざ……外人さんの……真似……しなくても……いいのに………」

「テレビでしかそんなの見た事ねーしよ、しかも胡散クセーやつ」

「……………兄」

「……ん?」



874 : ◆dINyckyVoNyT[] - 2014/02/14 20:01:08.55 RcQsBIqK0 168/169

「……」

「なんすか?」

「…………誓います……」

「……ああ、そういう事…」

「……兄………」

「…はいはい誓いますよ」

「…む………いいかげん……は……だめ」

「……誓います」

「……にへへ……」

「……あー、恥ずかし…何やってんだか……ホント」

「………」チュ

「………」

「……誓いの、キス…………」

「……しっかりしてるねー」

「………幸せに……してね……兄……」

「はいよ、任せなさい」



____________
「……」「なんすか?」

おわり

875 : ◆dINyckyVoNyT[s... - 2014/02/14 20:09:33.43 RcQsBIqK0 169/169

どうもありがとうございました。
これで終了とさせていただきます。

番外編書ききる前にこのスレ終わってしまうでしょうし……。

なにより慣れないエロなんて書くもんじゃないと思いました。
色々湧いちゃうし、この二人にそんなエロの需要もなかったような気がしました……

というわけで、昨年から続けて読んで下さった方、途中から追いついて読んで下さった方、ありがとうございました。

次はおそらく”後輩「咲きましたねー」先輩「そうだな」”でチマチマと書くと思います。

もっと上手く書けるように頑張っていきたいと思います。
どうもでした。

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