黒子「くっふっふっふっふ……ついに出来ましたわ……これで、私とお姉様は……!」
黒子「あとはコレを未開封の缶ジュースに転送、っと。超能力で便利ですわね」
黒子「そして、これをお姉様に飲ませれば……ぐへっへっへっへ……」
美琴「何やってんのかしら?」
黒子「私とお姉様の愛を深める為のお薬を少々……ってお姉様!?」
美琴「非常に面白そうな話を聞かせてもらったわね。どれ、見せてみなさい?」
黒子「お、お断りしますの……」
美琴「そう。早く出せやゴルァァ!」
ビリビリ
黒子「だ、出しますわ……! ひゃぁっ……あ、んっ……!」
美琴「缶ジュースにしこむとは……まったく。これは私が没収するわよ」
元スレ
一方通行「はァ? 温泉旅行だァ?」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1261999134/
美琴「それじゃあ、私出かけてくるから」
黒子「お姉様、何処へ? まさか、またあの殿方と……」
美琴「違うわよ。コンビニに行くだけ。アイツなんかに会ったりしないって」
黒子「そうですの。それは何よりで。行ってらっしゃいませ」
黒子(あの薬は二つで一つ……! 風紀委員の支部に片方が置いてあるとは夢にも思いませんでしょうね……)
黒子(証拠隠滅のために作成資料は消去してしまいましたが……片方あればもう片方も作れますわ……甘いですわね)
黒子(そうしたらお姉様と……ぐへっへっへっへ……)
美琴「……よく考えたら先週、合併号じゃない……」
美琴「あーあ。次のは……来週か。無駄足だったわね……帰りましょうか」
上条「よぉ、ビリビリ。常盤台のお嬢様がコンビニで立ち読みか?」
美琴「な、アンタ!? ……はぁ。何でここにいるのよ」
上条「何でって……ATM使いに来たんだ。ちょっと金欠でさ」
美琴「あらそう。あ、ジュースおごってあげようか? どうせ暇でしょう?」
上条「いいのですか? 御坂せんせー!? ありがとうございます!」
美琴「いいって。温泉旅行の件でアンタには迷惑かけたし。遠慮しない」
いつもの公園
美琴「ああ、この自販機ね……さ、行くわよ」
上条「行くわよ、ってまさか……!?」
美琴「こうやって、せいやァッ!」
ガランガランガランゴロン 大量のジュースが出てくる。
美琴「っと……あ、きゃあっ」
バランスを崩して美琴が盛大に転んで荷物が地面にぶちまけられた。
上条「大丈夫か? ビリビリ?」
美琴「ビリビリ言うな。さ、好きなのどうぞ」
上条「……んじゃあ、コレで。ありがとな」
美琴「ん。じゃあね。また今度」
上条「じゃあなー!」
風紀委員第一七七支部
固法「あー、仕事疲れたわね……えっと、冷蔵庫に飲み物ないかしら」
ガチャ
固法「えっと、コーラ……誰のかしら。まあ、後で買ってくればいいわね」
固法「誰のかわかりませんが、頂きますっと」
ぷしゅ。ごくごくごく。
固法「ぷはー。何かちょっと変な味するような気がするけど……気のせいよね」
固法「さて、仕事に戻りましょうか」
上条「コーラか、ビリビリにしてはマトモな物出してくれたな」
上条「いつも訳分からないのばかりで……どの層に需要があるんだか」
上条「家帰ったらインデックスに飲まれるからな……ここで飲んじまうか」
ぷしゅ。ごくごくごく。
上条「ぷはーっ。……最近、変な物しか飲んでないからか……コーラの味がおかしく感じる……」
上条「気のせいか、帰るか。シスターさんがお腹すかして待ってるし」
風紀委員第一七七支部
黒子「こんにちはー」
固法「あら、白井さん。どうしたの? 今日は仕事じゃないわよ」
黒子「いや、少し用がありまして」
固法「そう。しばらくの間、ここにいるかしら?」
黒子「ええ」
固法「わかったわ。私、パトロールに行ってくるわね。留守番よろしく」
黒子「わかりましたわ。では、お気をつけて」
黒子「確か、もう片方は冷蔵庫に……」
がさごそ。がさごそ。
黒子「……あれ? おかしいですわね……ありませんの。間違えましたの?」
黒子「アレが無いと、もう片方も作れませんのに……困りましたわ」
黒子「……? もしかして…………」
がさごそ。がさごそ。
黒子「な、何でゴミ箱に薬品を入れたはずの空き缶が……!? それにこの柄……!」
黒子「重大なミスを犯しましたの……こっちがお姉さまに飲ませる分ですわ……」
黒子「いやいや、そんな事ではなく……誰かが飲んでしまったようですわね」
黒子「もしかして……固法先輩!? 非常にまずい様な気がしますの……!」
美琴『あれ、どーしたの? 黒子』
黒子「お姉様、先ほど、私から没収した缶ジュースはお持ちですわよね?」
美琴『ああ、山葵サイダーの缶だっけ? ちゃんと持ってるわよ』
黒子「え?」
美琴『え?』
黒子「えーっと、何の缶、と仰いましたか?」
美琴『だから山葵サイダーだって。あんた、何言ってるの?』
黒子「ちなみにお姉様、缶ジュースを誰かに渡した、なんてことは―――」
美琴『あら、よくわかったわね。ストーキングでもしてるの? アイツに一つ自販機のジュースを……』
黒子「アイツというのは……まさか、上条当麻のことですの!?」
美琴『ええ。そうよ。何か問題でも?』
黒子「大有りですの! 今からそちらに向かいますので待っていて下さいまし!」
美琴「黒子、それ、どこらへんまで本当?」
黒子「私が自家製媚薬を作って、それが誤って無関係の人物の手に渡った、というところまでですわ」
黒子「まず、この自家製媚薬。AとBの二種類がありますの。効果としてはAの薬品を飲んだ方の発するフェロモンにBの薬品を飲んだ方が反応する、というものですわ」
黒子「なので、まず私がAの薬品を飲んで、お姉様がBの薬品を飲めば、二人は仲良くベットイン……という訳でしたの」
黒子「しかし、完成した後、大きなミスが発覚しましたの。私がAだと思い、風紀委員支部においていた薬品は実はBでして」
黒子「逆にBだと思って、寮に置いておいたのが実はAの薬品でして。……ここは私のミスですわ」
黒子「このままでは私のお姉様に対する愛が増幅するだけ。まあ、既に限界突破しているのですが」
美琴「……つまり、あんたが発端なのね?」
黒子「そうなりますわ」
黒子「で、問題はここからです」
黒子「どうやら、その薬品は既に飲まれてしまっている、ということですわ」
黒子「話によればA、つまり惚れられ薬が上条当麻に。B、惚れ薬が固法先輩に」
美琴「……つまり?」
黒子「固法先輩が上条当麻に発情して、あはーん、うふーん、いやーん、な事を迷いも無く行いますわ」
黒子「とても強い媚薬にしましたので……肉体関係も十二分に……」
美琴「……とめる方法は?」
黒子「証拠隠滅の為、資料は全て消去してありませんの。もちろん解毒剤も」
黒子「AかBのどちらかがあれば作れたのですが……飲まれていなければの話ですわ」
美琴「あ、アンタって奴は……何やってんだゴルァァァァァァ!!」
ビリビリ
黒子「効力が発揮されるのはBの薬を飲んだ固法先輩が、フェロモンを出している上条当麻に接触した時からですわ」
黒子「接触したが最後。固法先輩はそれはもう。口では表せないレベルの行動に出ますわね」
黒子「本人の意思も少なからず影響はいたしますが……あの薬の前では、あっても無くても同じですわね」
美琴「つまりは……アイツと固法先輩が接触する前に、どちらかを止めればいいんでしょう?」
黒子「ええ。固法先輩はおそらく、フェロモンを出している相手を探し回ってるはずですの」
美琴「わかったわ……二人じゃ厳しいわね……少しアレだけど、他の人にも協力を要請しましょう」
初春「固法先輩が……! い、嫌ですよ! そんなの!」
黒子「私も嫌ですのよ。だから捕まえるしかないのですわ」
黒子「初春。あなたは上条当麻が現れる可能性の高い第七学区の監視カメラを片っ端から調べてくださいまし」
黒子「私と佐天さんは、初春の指令を受けて動きましょう」
佐天「はーい! 任せてください!」
黒子「お姉様は上条当麻の家に向かいましたので、もし運がよければその時点でつかまりますのよ」
黒子「行きますのよ。絶対に、固法先輩(の純情)を守り抜きますの」
美琴「黒子のやつ……厄介な事を……そりゃあ、私にも責任はあるけど……」
美琴「第一、何でよりによってアイツなのよ……このままじゃアイツが……」
美琴「違う、違う! そうよ、固法先輩の為よ。好きでもない男に……固法先輩が可愛そうなんだから……!」
美琴「べ、別にアイツなんてどうなってもいいんだから……!」
禁書「とーま? とーまならいないよ。とーまに何の用なのかな」
美琴「いない!? う、嘘……な、何でもないわ。ありがとう」
上条「インデックス、さっきの誰だ?」
禁書「新聞の勧誘だって。断っておいたよ」
上条「おう、助かるな。ありがとう。さ、飯にするか」
禁書「やったー(甘いんだよ。とーまは渡さないんだから)」
禁書(全く。あの女狐は何だかんだ理由をつけてとーまに会いすぎなんだよ)
禁書(同じ手が何度も上手くいくと思っている時点で負けてるんだから)
禁書(そうだ……! あの女狐が二度ととーまに近寄らないように止めを刺さなきゃ……)
禁書「ねえ、とーま。お昼終わったら、一緒に散歩行こうよ!」
上条「散歩? ああ、かまわないぜ」
固法「はぁ……何か体の調子が悪いわね……何か変な物でも食べたかしら」
禁書「ごちそーさま!」
上条「さ、何処行くか? 行きたい所あるか?」
禁書「(あの女狐がいそうな場所……)学舎の園って所の近くがいーんだよ!」
黒子「自宅にはいませんでしたの。わかりましたわ。初春、まだ見つからないですの?」
初春「は、はい……何処の監視カメラにも写ってなくて……何処にいるんだろう……?」
禁書「スフィンクス、おいで!」
スフィンクス「にゃー」
上条「ったく。アイツも平和だよな……何も起きない、っていうのが一番の平和、か」
初春『上条さん発見しました! 学舎の園付近の公園にいます!』
初春『!? 固法先輩も発見! まずいです! 二人の距離が100mもありません!』
初春『急いでください! このままじゃ、固法先輩が……!』
禁書(あの女狐がいないんだよ。なんかつまらないな)
禁書(まあ、いいか。とーまと仲良くするのは私だけで十分なんだから)
上条「あー。平和だ。……ん。あそこにいるのは……固法さん?」
固法「あそこで座ってるの……上条さん、だよね……ん?」
固法(な、なんか体が急に火照って……あ、か、上条さんが……いる)
佐天『こちら佐天涙子。ターゲットA、上条さんを発見! 確保します!』
初春『お願いします。接触してしまったら大変です!』
固法(体が……熱い。なんていうか……切ないよ……収めてください……上条さん)
上条「こんにちは。固法さん(何か様子が変だな……顔も赤いし、汗かいてる……)」
上条(それに……なんだ、このとろんとした目つき……なんつーか、エロい)
固法「こんにちは……上条さん」
佐天『う、初春! 固法さんと上条さんが話してる!』
初春『接触してしまいましたか!? とりあえず固法さんを取り押さえて! すぐに白井さんが向かいます!』
佐天『了解ッ!』
佐天「待ってください! 固法さん!」
上条「佐天さん? どうかしたのか―――固法「何をしているんですか?」
佐天「え……?(何、この眼……こんな表情の固法さん……初めて)」
固法「私の、邪魔をするんですか? 佐天涙子さん」
佐天「ひっ……え、その……」
固法「違うんですか? なら目的はなんですか? もしかして、上条さん、じゃあありませんよね?」
佐天「い、いや……あ、ち、ちが……」
固法「何ですか? はっきりしてくださいよ。どうなんですか?」
黒子「眼を覚ましてですの。固法先輩」
固法「あら、白井さんまで。あなたは何ですか? 私の邪魔、ですか?」
黒子「ええ。もちろんですわ。先輩の為を思ってですの」
固法「私の為……? 言っておきますけど、上条さんから離れる気はありませんよ?」
黒子「ならば力づくで。佐天さん。下がっていてください」
黒子「行きますわよ……!」 シュンッ
固法の真後ろにテレポートして蹴りを放つ
固法「……その程度で私を止めるんですか。相変わらず、詰めが甘いですね」
黒子の蹴りは固法の腕に払われて、黒子はバランスを崩し落下する。
その黒子に対して、固法は思いっきり蹴りをいれた。
黒子「がっ……は……」
固法「あなたが私に勝てると思ったんですか? さあ、上条さん。行きましょう」
上条「え、ちょ……白井が……!」
固法「行きましょう」
上条「は、はい……」
禁書「とーまを連れて行っちゃダメなんだよ!」
固法「何か、いいましたか?」
禁書「ひっ……(この人……悪魔か何かなのかな……!?)」
数分後
美琴「く、黒子……!? どうしたの……!?」
黒子「こ……固法先輩に……まさか、あそこまで効力があるとは……」
美琴「効力って……!?」
黒子「実は……あの媚薬の効果が発揮されると、身体能力などが急上昇するのですわ」
黒子「お姉様に私を少々、乱暴に扱ってもらおうと思った結果がこ……れ、です……わ」 バタン
白井黒子リタイア
美琴「く、黒子ォォォォォォォォォォォォォォォォ……!」
佐天「私、忘れません。白井さんの勇気を……絶対に固法さんを止めてみせます」
禁書「聖人でも、あそこまでの恐怖を一瞬で人に植え付けるのは難しいんだよ……」
スフィンクス「にゃ……にゃー(一瞬、化け物かと思ったぞ)」
美琴「とにかく、固法さんを止めましょう。……妹達にも協力を要請するわ」
美琴「初春さんは引き続き監視カメラのチェックを。佐天さんと私で探し回るわ」
美琴「それと、黒子がやられた相手だから迂闊に手を出さないで」
佐天「はい。行きましょう、御坂さん!」
御坂妹「わかりました。とミサカは事態を理解します」
御坂妹「それでは、これから学園都市に残る妹達全員による上条当麻及び固法美偉の捜索確保作戦を実行します」
美琴「頼んだわよ……このままだとアイツ、じゃなくて固法さんが大変なことに……!」
御坂妹「了解です。私たちも全力を尽くします。とミサカは決意を表明します」
上条「こ、固法さん……!? 何か様子が変ですよ~」
固法「か、上条さんのせいですから……体が熱いんです……早く、鎮めてください……」
固法「ほら、胸だって幾らでも触っていいんですよ?」
上条「えあ……いや、ちょっと……」
固法「遠慮しなくていいですから。ほら、あ、脱いだ方がいいですかね?」
妹A(便宜上、御坂妹を除きA~Jまで)『上条当麻と固法美偉を発見しました、とミサカは報告をします』
初春『一人で立ち向かうのは危険なのでやめてください。仲間の到着を待って、仕掛けましょう』
妹A『わかりました、とミサカは他の妹達の到着を待ちます』
妹F『現場に到着しました、とミサカは報告を行います』
妹A『最低三名は必要でしょうか。とミサカは質問をします』
初春『先ほどの様子だと、固法さんは相当な強敵ですので四名は必要かと』
妹A『わかりました』
上条「ちょ、こんな路地裏で脱がないで下さい……!」
固法「……上条さん、ほら、ご自由にどうぞ。私、上条さんになら何されてもいいですから」
上条「そういうことじゃなくって……!」
固法「……!?(誰かの気配……あの建物を透視……!)」
固法(あれは……御坂さんの妹……二人は厄介ね)
固法「上条さん。場所を移しましょう」
上条「やっとわかってくれましたか。こんな所で脱いだら変態扱いですよ」
固法「早くしてください……!」
上条「は、はい!」
妹A『目標が逃走開始。追跡します』
初春『路地で追い詰めましょう。ナビゲートします。佐天さんもお願いします』
佐天『おっし、任された! 行くよ~!』
固法「ここでいいでしょう……ほら、上条さん。素直になって下さい……」
上条「なっ、何のことだか、イマイチわかりませんな……」
固法「とぼけなくていいですよ……ほら、私のココ、こんなんになってるんです」
固法「上条さんが欲しいんです……。大好きです。世界中の誰よりもあなたを愛してます……!」
上条「え……いきなり、そ、そんな事言われても……!」
妹A「なんという会話ですか、とミサカは半ばあきれてため息をつきます」
妹F「これは録画してミサカネットワークによる全世界配信決定ですね。とミサカは多少のイラつきを覚えながらつぶやきます」
御坂妹『待たせましたね、とミサカは妹達に到着を知らせます』
佐天『私も付きましたよー(み、御坂さんが三人……何か怖い)』
妹A『あと一人、現場にもっとも近いのは……お姉様ですか』
妹F『学園都市第三位のレベル5なら大丈夫でしょう、とミサカは少なからず安心をおぼえます』
美琴「待たせたわね。さあ、行くわよ」
美琴「……! アンタ、固法さんから離れなさい!」
上条「び、ビリビリ……!? それに妹達に佐天さんまで……!」
美琴(悪いけど、スタンガンで気絶してもらうわよ)
固法「ひっ……」
ビリビリ
上条「オイ、お前、何やってんだ?」
美琴(防がれた……! やっぱりコイツに超能力は……!)
上条「固法さんに手を出すな……! これ以上、やるってんなら俺も容赦しないぞ」
美琴「こ、これには訳があって……」
上条「どんな理由を並べようが、それで固法さんが傷ついていい事にはならねェだろォが!」
固法(上条さん……私の為に……そんなに……)
上条「さあ、固法さん。逃げましょう」
固法の手をとって走り出す。
佐天「あ、ま、待ちなさいってば!」
美琴「そんな……私が……何も……してないのに……何で……うっ、くっ、ひぐっ……」
御坂妹「お姉様……」
打ち止め「……!」
一方通行「あァ? いきなり立ち上がってどうした?」
打ち止め「お姉様の危機かも、ってミサカはミサカは使命感をおぼえてみたり」
一方通行「はァ?」
打ち止め「あなたも一緒についてきて、ってミサカはミサカはあなたの手をとってみたり」
一方通行「何いってンだァ? っと、引っ張ンじゃねェ! てめェで歩けらァ!」
一方通行「おィ、御坂美琴ォ!」
美琴「あ、一方……通行……? どうして……」
一方通行「はァ!? どうして?じゃねェよォ! てめェのせいで打ち止めに駆り出されたんだよォ!」
一方通行「ンな所で泣いてねェで、とっとと状況説明しやがれェ!」
美琴「……手伝って、くれる……の?」
一方通行「あァ。手伝わねェと、打ち止めがうるせェからなァ……」
一方通行「学園都市最強の一方通行様の力を借りれるンだぜェ? もっと嬉しそうにしやがれェ!」
一方通行「……なるほど。つまりは上条当麻を捕まえればいいンだな?」
美琴「……うん」
一方通行「わかったぜェ……やってやらァ!」
一方通行「ッ……何処行きやがった、上条当麻……!」
一方通行「打ち止めァ! 妹達の電波でアイツを捕らえらンねェのかァ!?」
打ち止め「彼、上条当麻には異能の力を無効化する幻想殺しがあるから……電波での補足は難しいかも」
一方通行「面倒な能力持ちやがって……クソッ!
」
一方通行『おィ、花女ァ! 監視カメラの映像はまだかァ!?』
初春『はっ、はいぃ。う、上手くカメラを避けているようで……(何、この人も怖いですよぉ)』
一方通行「チッ……結局はてめェで探すしかねェのか……!」
一方通行「ンなら……(絶対座標からの物体の位置関係補足……これも無理かッ……!)」
妹J『上条当麻と固法美偉を発見。セブンズミスト三階男子トイレ奥から二つ目の個室です』
初春『と、トイレの個室ですか……!? ま、まずいです! あ、一方通行さん、早急に向かってください!』
一方通行『あァ! 能力ON。飛ばすぜェ!』
一方通行『おィ、花女。その媚薬の解毒剤ってのはあるンだろうなァ?』
初春『い、いえ……実はまだ……製作者の人が気絶していて』
一方通行『ンなもン、さっさと叩き起こせェ!』
初春『む、無理ですって……一応、けが人ですし……』
一方通行『……ンならアレを頼れ。第七学区の病院にいる……』
初春『もしかして、カエルに似たあのお医者さんですか?』
一方通行『(カエル……? まあ、似てるっちゃ似てるが……)ソイツだ。ソイツなら解毒剤ぐらい作れるだろ」
初春『わかりました。至急、連絡をします』
セブンスミスト三階男子トイレ
一方通行「おィィ! 上条当麻ァ! 出てきやがれェ!」
上条「なッ……一方通行!? お前まで……!」
一方通行「てめェは何やってンだァ!?」
上条「それはこっちの台詞だ! 固法さんを追い回して、何がしたいんだ!?」
一方通行「少しは人の話を聞きやがれェ! ソイツはなァ……」
上条「黙れ! 理由があろうが無かろうが関係ねェ……! 固法さんに手を出すな!」
一方通行「……どうやら口で言っても無駄らしィなァ……。いいぜ。やってやろじゃねェか……!」
上条「お前が来るってンなら、俺は全身全霊を掛けてお前を叩き潰す」
一方通行「やってみろォ!」
カエル医者「それが、例の媚薬の解毒剤だ」
カエル医者「缶ジュースに付着していた少量の液体から成分を分析して作り上げた」
カエル医者「とにかくそれを、彼女に飲ませれば大丈夫だ。さあ、行きなさい」
打ち止め「ありがとう、ってミサカはミサカはお礼の言葉を述べて現場に向かって猛ダッシュ!」
打ち止め『解毒剤手に入れたよ、ってミサカはミサカは自慢してみる!』
初春『ナイスです! アホ毛ちゃん! 早速、それを届けてください』
打ち止め『解毒剤手に入れたよ、ってミサカはミサカは自慢してみる!』
一方通行(よし、解毒剤は手にはいった。後はコイツをどうにかするだけか……!)
上条「どうした? かかって来いよ!? ……来ないんだったら、こっちから行かせてもらうぜ!」
一方通行「そう何度も……この俺がてめェ如きに負ける訳ねェだろォがァ!」
上条の振り下ろした拳は宙を裂き、上条はバランスを崩す。
そこに一方通行の放った渾身の蹴りが炸裂し、上条が大きく吹きとんだ。
上条「が……くっ……や、やるな……!」
固法「上条さん……!」
一方通行「ハッ! テメェの右手に触れさえしなければな、負けることなンざありゃしねェんだよォ!」
一方通行「どうしたァ!? おィ……てめェの力はそンな物かよォ!?」
一方通行「てめェはなァ……学園都市最強のこの俺、一方通行を倒したんだぞォ!?」
一方通行「そンなら、この程度の攻撃でぶっ倒れてンじゃねェぞォ!」
上条「ごちゃごちゃと……うるせぇんだよ……!」
一方通行「なっ……!(足を捕まれた……! 能力が無効化されて……ッ!)」
上条「おらァァァッ!」 どかッ
一方通行「ぐっ……!」
一方通行「てめェ……おらァッ!」
上条「……う、ぐ……」
一方通行「いい加減、眠ってろ……」 ガッ
上条「こ、この……」 バタン
一方通行「……すっきりしねェなァ……オイ……」
固法「か、上条さん……大丈夫ですか……か、上条さん……」
打ち止め「解毒剤持ってきたよ!ってミサカはミサカは颯爽と登場!」
一方通行「…………。」
打ち止め「…………。ごめんなさい」
一方通行「分かれば……いいンだ」
一方通行「さァ、固法美偉、だっけか。これを飲みやがれェ」
固法「あ、アナタは……な、何……!?」
一方通行「さっさとしやがれェ!」
一方通行「……てめェに一通り教えてやるよ。まず、てめェが上条当麻に抱いてる感情は薬によって作られた偽者だ」
固法「ニセモノ……? そんな……」
一方通行「本当のお前がコイツをどう想ってるかなンつーのは知ったこっちゃねェが、テメェをこのままにしてく訳にもいかねェ」
固法「嘘……だって、私は……彼のことが……大好きなのに……うっ、く、ひぐっ……」
一方通行「甘ったれンじゃねェぞ! ふざけンのも大概にしやがれ!」
一方通行「今のてめェがなァ、幾らコイツのことを好いてようが、そンな物は所詮、虚像だ」
一方通行「虚像の愛を受け取って、それでコイツが少しでも嬉しい気持ちになるとでも想ってンのかァ!?」
一方通行「ンな事はありゃしねェし、これからだって起きる訳がねェ!」
一方通行「それに、お前自身はどうなんだァ!? ニセモノの自分が他人に好きという。この事実に耐えられんのかァ!?」
一方通行「それでもテメェが幻想を持ち続けるってンなら上等だ」
一方通行「まずはそのふざけた幻想を打ち砕いてやらァ!」
一方通行「……っ(これじゃあまるで上条当麻じゃねェか……)」
固法「わ、わかりました……」
固法「その、解毒剤というのを……」
固法「やっぱり、ダメですよね。こんなニセモノの自分に頼ってちゃ」
固法「薄々、わかってはいたんです。でも……感情がとまらなくて……」
一方通行「本当にコイツが好きなら、それは悪い事でも何でもねェ。人間っつーのは好きなモノの為なら何だって出来るンだ」
固法「……ありがとうございます。えっと、たぶん、この記憶ってなくなるんですよね?」
一方通行「俺は製作者じゃねェからわかんねェが、錯乱状態みてェなもんだろうからな。しっかりと覚えちゃいねェよ」
固法「よかったです。本物の私に迷惑掛けずにすみますので」
固法「……それじゃあ、ありがとうございました」
一方通行「あァ……クソ」
一方通行「慣れねェ事はするもンじゃねェなァ……」
打ち止め「でもアナタは結構カッコよかったよ?ってミサカはミサカは励ましてみたり」
一方通行「ありがとよォ……そろそろアイツが起きる頃かァ……行ってやるか」
打ち止め「あ、待ってよー、ってミサカはミサカはどこかへ行くアナタを追いかけてみたり」
第七学区カエル医者の病院
上条「ん……ここは……?」
一方通行「起きやがったか」
上条「……な!? あ、一方通行!? 何でここに……!」
一方通行「テメェの為に来てやったンだ。感謝しやがれ。それと、今回の件についての説明、だなァ」
…………。
上条「そんな事が……」
一方通行「テメェは特に悪かねェが……被害者みてェな立場か」
上条「それで、俺を止めてくれたんだな。ありがとな、一方通行」
一方通行「ふざけてンじゃねェぞォ! 俺がやりたくてやった訳じゃねェからなァ!」
上条「……それにしても、あとでビリビリに謝らなきゃだな」
一方通行「ハッ……精々、超電磁砲で貫かれねェように気をつけろよ。じゃあな」
上条「御坂……本当にゴメン……!」
美琴「……べ、別に許してあげてもいいけど……何か無いの?」
上条「……何かって……そうだ、今度、一緒に映画でも見に行こうぜ。もちろん、俺の奢りで」
美琴(そ、それって……で、デートの誘い……!)
上条(今回ばかりはビリビリに悪い事しちまったからな……)
美琴「い、いいわよ。その代わり、面白くなければ怒るからね」
上条「ああ。なるべく面白い映画を探してくるから、楽しみに待っていてくれ」
美琴「それじゃ、楽しみにしてあげるわ。……べ、別に映画が見たいだけだからね!」
固法「…………」
黒子「どうしたんですの? 固法先輩」
初春「最近、心ここに在らず、って感じですよ」
固法「……いや、別に。……上条当麻さん、か」
上条「はァ……散々だったぜ……」
禁書「とーまが連れ去られて凄く心配したんだからね!」
禁書「気づいたらとーまがまた入院してるし! 無茶しすぎだよ!」
禁書「とーまはもう少し、人を頼って、人の話を聞いたほうがいいんだよ」
後日...
上条「あ……固法さん、こんにちは(あの時のことがあるからなぁ……変な目で見られないといいが)」
固法「上条さん。こんにちは。……この前は本当に迷惑掛けて……私、風紀委員なのに」
上条「お互い様ですって。俺にも少なからず非はあった訳だし」
固法「私……変になっちゃって……私のこと、嫌いになりましたか……?」
上条「嫌いになるなんてとんでもない。固法さんみたいな素敵な女性、周りにいませんよ」
上条「でも……俺は今のおとなしい固法さんの方がいいと想いますよ」
固法「かっ……上条さん……」
固法「なんとなく分かったような気がするわ」
美琴「へ? 何がですか?」
固法「あなたが彼を好きになった理由」
美琴「わ、私は別に……ただ、アイツが付き合ってくれっていうんなら付き合ってあげてもいいかな、ぐらいで……!」
固法「無理しなくていいわよ。人を好きになるっていうのは恥ずかしい事じゃないと思うから」
美琴「……もしかして、固法さん……」
固法「ええ。私も彼の事が好きになったみたいね」
上条「ぶへっくしょい」
禁書「どーしたの? とーま、もしかしていんふるえんざ?」
上条「ふ、不幸だぁぁぁぁ」
おしまい