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………
…
…夜の貨物港
幼馴染「今、ぎょぎょライトが揺れませんでしたか?」
男「…あのカドの無い揺れは、たぶん波のせいです」
幼友「気になるんなら、見に行ってみれば?」
幼馴染「…いいです、きっと波です」
男「実に怠け者の釣り方ですが、冬場の夜はこうしてチョイ投げしておいて車内待機というのが最高です」
幼友「ヒーターが効いてればもっといいんですけどね」
男「お財布のためにも環境のためにも、エンジン掛けっぱなしはダメですので」
幼馴染「寒い中で毛布に包まるのも幸せです」
元スレ
男「釣りロマンを求めて」幼馴染「仕方ないから付き合います」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1378509317/
幼友「…そろそろBGMが一曲終わりますね」
男「じゃん」
幼馴染「けん」
幼友「とーう」
幼馴染「…負けた」
男「ちょうど一曲終わりました、行ってらっしゃい」
幼友「寒いからドアは素早く閉めてね」
幼馴染「くっ…行ってきます」ガチャッ……バタン
幼友「左の竿は…まだエサ、あったみたいですね」
…テーイ!
男「真ん中の竿…ああ、あれはつけ替えないと」
…エサ カエナキャ…テガツメタイデス…
…テーイ!
男「…右は…大丈夫みたいです」
…テーイ!
ガチャッ…
幼馴染「寒いっ!死ぬーっ!」…バタン
幼友「ご苦労さまー、はい…魔法瓶のコーヒー注いどいたよ」
幼馴染「あああああああったかいいいいい…」カタカタカタカタ
男「では、BGMチェンジします。…これが終わったらまた上げてみましょう」
幼馴染「次は負けてなるものか…」
幼友「ふっふっふ…ここんとこ五回連続で負けてないぞー」
幼馴染「ん?…今度こそ左の竿がアタッたような」
男「今のは間違いないです」
幼友「行かなくていいの?」
男「左の竿はサンマの切り身をつけたアナゴ専用なので、少し食い込ませた方がいいです。待ち過ぎると仕掛けが滅茶苦茶になりますが」
幼友「左の竿担当は…」
幼馴染「私…です」
男「お、また揺れました。順調に食い込んでいるようです。そろそろ行って、次にまた竿先が揺れたら手応えだけ確認してアワセて下さい」
幼友「行ってらー」
幼馴染「また冷え冷えになってきます…」ガチャッ……バタン
アッ…アタッタ…
ソーット、ソーット…
男「さて、ノるでしょうか…」
幼友「どうかなー?」
…テーイ!
幼友「アワセたー!」
男「BGM、チェーンジ!」ピッ
《ダンスッ!…ブーギー ワンダァラーンッ…ハッ…ハッ…ダンスッ!》
幼友「釣り番組みたーい」ケラケラ
《…ブーギー ワンダァラアアアアァァァァンッ!》
男「うーん…ちょっと選曲、違ったかもしれません…」
ウンショッ、ヨイショッ…
…ツレター!アナゴデスー!
男「おお、まあまあの太さです」
幼友「ちゃんと外せるのかなー」
イヤー!テニマキツイター!
ギャー!カマレター!
イタイー!キモチワルイー!
幼友「…行ってあげた方がいいんじゃないですか」
男「修行です」
テガヌルヌルシマス…
アラワナキャ…ツメタイ ダロウナァ…
……ヒイイイィィィィッ!ユビガシヌーッ!
幼友「冷たいぞー、あれ。…ああ、コーヒー美味い」ヌクヌク
男「修行です。…毛布ぬくい」ホカホカ
幼馴染「また一曲、終わりそうです」
男「ではでは、じゃん」
幼友「けん」
幼馴染「てーい」
男「くっ…負けました」ガクッ
幼友「あれ?…タイミング良くアタッてませんか?右の竿…」
幼馴染「右の竿はそもそも男が担当だったはずです。一度で済んでよかったと思って下さい」
男「よし、行ってきます」ガチャッ……バタン
幼馴染「右の竿は普通にイソメをつけています」
幼友「さーて、何が釣れますかねー」
…アタッテル、アタッテルー
イキマース…
…ヨイショーッ!
幼馴染「けっこう引きが強いようです」
幼友「お、上げたよ…なんだろう、あの魚」
幼馴染「うーん、見たことはあるような気がします」
…オッケーイ、ナイス フィーッシュ!
ツギモ ツレテコイヨ…
テーイ!
ホカノモ テーイ!テーイ!
幼友「さすが、魚外すのもエサつけるのも早いねー」
…ギャアアアァァァ!
テヲ アラウノガホントニ ツメタイイイィィィ!
ガチャッ…
男「た、ただいまーっ!エンジン&ヒーターONっ!」バタムッ、ズキュキュッ…ブロロォンッ
幼馴染「あ、ずるい!エコじゃないです!」
男「だまらっしゃい!」
幼友「今の、何の魚だったの?」
男「アイナメでした、色が黒っぽかったのでクジメかと思いましたが」
幼馴染「相舐め…」キャッ
幼友「クジメっていうのは?」
男「アイナメのそっくりさんですが、味やサイズは劣ります」
幼馴染「マハゼとウロハゼのようなものですか」
男「アイナメは尾鰭に切れ込みが入る事が多いのですが、クジメは扇形になっている個体が多いです」
幼友「多い…って事は、そうとは限らないの?」
男「その点や色味だけで見極めようとすると、どっちとも言いにくい微妙な個体がいます。確実に見分けるポイントは側線です」
幼馴染「そくせん?」
男「魚にとって重要な感覚器官で、多くの魚の身体側面に走るラインです。これがアイナメは5本あります」
幼友「あー、あのアジの稜鱗に続くところですか」
男「5本…といっても、一本を除いては退化して機能は失われているらしいのですが。見分けのポイントとしては確実です」
幼馴染「どうして色んな魚で、そっくりさんは味が劣るのでしょう」
男「それは単に一番美味しい魚を本物扱いしているだけだと思います。先ほどのマハゼとウロハゼ、マサバとゴマサバ、マイワシとカタクチイワシなど、どれも人間が勝手に『真』などという文字をあてているのでしょうから」
幼友「うーん、偽物扱いされてる種類がちょっと可哀想だなー」
男「中にはマガレイとマコガレイのように、そっくりさんでも甲乙つけ難く扱われているものや、ホンベラとキュウセンのように『本』がつく方が美味しくないものもいます」
幼馴染「ベラについては偽物以上に可哀想な気がします」
男「なかなか釣りに挑める魚ではありませんが、マカジキよりもクロカジキの方が大型化すると言われ、カジキの王様とも呼ばれます」
幼馴染「青カジキは?」
男「青カジキ…?」
幼馴染「マツカタが釣っていました」
男「ああ…ブルーマーリンですか、それがクロカジキです」
幼友「黒か青かハッキリしやがれ!」
男「生きている間は青っぽいのですが、死ぬと黒くなるそうです。許してあげましょう」
幼友「じゃん」
幼馴染「けん」
男「ぐー!」チョキー
幼友「なあぁぁっ!?グーって言ったじゃないですかー!」パー
男「別に最初はグーでチョキを出したわけじゃないでしょう」
幼馴染「一人じゃないだけマシです、潔く負けを認めましょう…」パー
男「行ってらっしゃい」フリフリフリ
幼馴染「行ってきます」
幼友「納得いかないけど、行ってきますよーだ」ガチャッ……バタン
男(さてさて、竿先にアタリは出ていませんでしたが)
ヨイショ、ヨイショ…
アレ…?ナントナク ツンツン スルヨウナ…
男(おや?…小さいのが掛かった…?)
キノセイダッテバ!カンチガイ シナイデヨネッ!
ソノ ネタ ツカイスギデス…
男(幼友ちゃんの竿に何かついているようです…)
アッ、カサゴダー!
チッチャクテ カワイイデス!
男(……ん…!?)ガチャッ!
男「触るなっ!二人とも!」
幼友「えっ!?」
幼馴染「びっくりした…男のこの焦りようはゴンズイの時と同じです」
男「夜釣りだと小さなカサゴと間違いやすいですが、それはハオコゼ。触ると洒落にならないくらい痛いです」
幼友「ひええぇぇ…」
幼馴染「男は触った事が?」
男「気付かずに触った事が二度、気をつけて外そうとしていて一度…見事にやられました」
幼友「見た目はちょっとキモ可愛い感じなのにー」
男「これも波止の釣りでは仕方なく釣れてしまう税金のようなもの。決して触らずにポイです」ポイッ
男「じゃん」
幼馴染「けん」
幼友「とととーう!」チョキー
男「フェイントだめです」チョキー
幼馴染「また負けたー!?」パー
幼友「行ってこーい」
男「ハオコゼには気をつけて」
幼馴染「…行ってきます」ハァ
ガチャッ……バタン
幼友「ふっふっふ、これも修行ぢゃ」
男「今のところ何もアタッてはいませんでしたが」
アタリナーシ!エサヨーシ!
…テーイ!
幼友「右と真ん中はエサ、大丈夫だったみたいですね」
男「左のアナゴ用は切り身エサなのでハオコゼが来る事は無いでしょう。心配なのが来るとしたら…」
ナーンカ チョット オモイ ヨウナ…
デモ アバレナイカラ キノセイデス
幼友「…ん?何かついてません?」
アレ…ナンデショウ?コレ…
男「うわー、本当に釣れてしまいましたか。あれも触るとヤバイです」
幼友「え…!?じゃあ、早く教えないと!」
男「いや、焦らなくても…」
…ヒギャアアアァァァ!!
ウニウニシテマス!キモチワルイー!
タスケテエエェェェ!!
男「…見た目からして、絶対触ろうとは思わないはずですので」ヤレヤレ
男「触らないと思うけど、触らないで下さい。それも刺します」
幼馴染「誰が触るかあああぁぁぁ!」ガタガタ
幼友「これは凄まじい見た目だねー」
男「ウミケムシという生き物で、こうして投げっぱなしにしていると度々釣れる厄介なヤツです」
幼馴染「度々…勘弁してほしいです」
男「ちなみに今夜は冬にしては珍しく夜光虫がよく出ているようなので、針を外すためにこれをペンチで押さえたりすると…」ギュッ
虫「オエッ」ブシャッ
男「…このように光る液体を撒き散らす、まさにクリーチャーと呼ぶに相応しい状態になります」
幼馴染&幼友「ぎゃああああぁぁぁぁ!!!」
※ちなみにこれです
ttp://blog-imgs-59.fc2.com/g/a/r/garakutasyobunjo/20131225123046e64.jpg
788 : ◆M7hSLIKnTI[sag... - 2013/12/25 13:32:27 cAgi54c6 17/29多毛類なのでゴカイの仲間というのは正解
ちなみに10センチくらいある
こればっかりが大漁の時は、まじで心が折れそうになるよ
幼友「それにしても…クリスマス以降、また年内に会うとは思わなかったなぁ」
男「急に誘ってすみません」
幼友「そんなのいいんです、予定は無かったから。ただ、ちょっと二人の邪魔をしすぎかな…って」
幼馴染「自覚はあるのですか」
幼友「てめえ」
男「俺と幼馴染は本当にごく近所なので、釣り以外でもしょっちゅう会っています」
幼友「例えば?」
男「幼馴染がスーパーに牛乳買いにいくから着いてこいとか」
幼馴染「男がファミチキ買いにいくから着いてこいとか」
男「親父の車にガソリン入れに行くから横に乗れと言ってみたり」
幼馴染「そのままブラブラして、せっかく給油したガソリンをまた消費したり」
幼友「てゆーか、普通のデートとかしないんですか?」
男「……あぁ」
幼馴染「……おぉ」
幼友「何、その『そういえば』っていうリアクション」
男「確かにそれらしい事をする機会はあまり設けていませんでした」
幼馴染「最後に映画を見に行ったのが二年前です」
男「そもそも町に出る事自体、ほとんどありません」
幼馴染「逆に海とか山とかばかり好んで訪れています」
幼友「あらあら…そんなだとマンネリ化しちゃって、早々に冷えちゃうんじゃないのかなー?」
幼馴染「なっ…!そ、そんな事には…なりま…せん……?」
男「俺はなりません」
幼友「でも、幼馴染ちゃんはどうなのかな?本当は釣り以外のデートとかもして欲しいんじゃないの?」
幼馴染「……まあ、否定はしません」チラッ
幼友「ちょっとはお洒落な店に食事に行ったり」
男「ほほう」
幼友「何を買うでもなく腕組んでモールを歩いたり」
幼馴染「………」キラキラ
幼友「この時期だからイルミネーションの歩道で、肩寄せながら寒さを凌いで」
男「ふむふむ」
幼友「それで男さんが『今夜はホテルに部屋をとってるんだ』…って」
幼馴染「………」ウットリ
幼友「たまにはそんなのも、必要なんじゃない?」
男「なるほど…わかりました」
幼馴染「え…」ドキッ
幼友「おっ」
男「じゃあ今度、駅前に買い物に出て」
幼馴染「お、男…」ドキドキ
男「イタリアンでも食べて」
幼友「うんうん」
男「宿泊はしなくても、ホテルの展望バーから夜景でも楽しみましょう」
幼馴染「…はい」ニヘラ
幼友「いいじゃん、やったね」
男「…三人で」
幼馴染「てーい」スパーン
幼友「とーう」スパパーン
男「はぅあ」
幼友「今、何時ですかー?」
男「もう11時半を回ったところです」
幼馴染「今年もあと僅かです」
幼友「こんな風に年を越すのは初めてだなぁ」
男「あ、そうでした…ちょっと待ってて下さい」ガチャッ…バタンッ
幼馴染「はい?」
幼友「なんかトランクの方でゴソゴソやってるよ?」
幼馴染「あ…真ん中の竿がアタリました」
幼友「ここは私達でなんとかするしかないね!いくよ、幼馴染ちゃん!」
幼馴染「行ってらっしゃい!」
幼友「とーう!貴様も来いっ!」
幼友「そーっと……おぉ、いるいる…ぴくんぴくんしてるよ」
幼馴染「なんかエロい」
幼友「いくぞー、せーの……とーう!」ビシィッ
幼馴染「けっこう竿が曲がっています、重いのでしょうか」
幼友「うん、なかなかいい手応え…!」
幼馴染「浮いてきました……確かに大きそうです。抜き上げられますか?」
幼友「うん……どうせタモは届かないし、一気に上げてみる!」
幼馴染「ぐっどらっく!」
幼友「…とーうっ!」バシャアッ…ビチビチッ
幼馴染「釣れたー!男、釣れました!カサゴのお化けです!」
男「カサゴのお化け…?」
幼友「なんか虫刺されみたいな模様がいっぱいあって、ちょっと気持ち悪いなぁ…」
男「ああ、たぶんアコウです。いいものを釣りましたね」
幼馴染「いいものなのですか」
男「正しくはキジハタと言い、高級魚ハタの仲間の中では最も身近ではありますが、味は素晴らしい魚です」
幼友「ひゃっほーい」
男「関東ではアコウと言えばアコウダイの事らしいのですが、ここらへんではソイツの事を指します。鍋物に抜群ですので、またお酒が捗りそうです」
幼友「お付き合いしまーす」
男「いえっさー」
幼馴染「ところで男はさっきから何をしているのでしょう」
男「あ、ちょうど五分経ちました……どうぞ」
幼友「おー、どん兵衛のお蕎麦だ」
幼馴染「年越し蕎麦代わりですか」
男「普段は美味しいものでなくとも、寒い夜の海際ですするカップ麺は格別の味です」
幼友「なるほど、じゃあ…問題は」
幼馴染「これがどん兵衛の、お蕎麦だという事です」
男「……それが何か?」
幼友「うどんは五分だけど」
幼馴染「蕎麦は三分です」
男「動揺を隠し切れません」
幼馴染「車内で食べるどん兵衛、美味しいです」ズーッ
幼友「ちょっとのび気味だけどね」ズズーッ
男「でも正直、今のストレート麺より前の縮れ麺の頃の方が好きでした」ズルズル
幼友「それ、すごく解る」
幼馴染「日付が変わるまで、あと五分です」
男「色んな事があった年でした」
幼友「ほんと、釣りに目覚めたわー」
幼馴染「目覚めさせられたという方が正しい気がします」
男「狙 い 通 り」フフン
男「あ、左の竿がアタッています」
幼馴染「このタイミングで……やむを得ません、行ってきます」ガチャッ
幼友「行ってらー」
…バタンッ
男「アナゴか…それともまたウミケムシか」
幼友「…でも、もう幼馴染ちゃんの腕前だったら、ちょい投げ釣り位なら安心して見てられるんじゃないですか?」
男「そうですね、もちろん幼友ちゃんでも…ですが」
幼友「あはは、本当ですかぁ?」
男「はい、二人とも自慢の弟子です」
幼友「……そういう点では、同じラインに立ててるんですね」
男「はい……?」
幼友「男さん…あのね」
男「………」
幼友「私…ね…?」
男「………」
幼友「何が、どうなるとも…思って無いですよ?」
男「………」
幼友「むしろ、どうもならない方がいいんです」
男「…幼友…ちゃん」
幼友「今まで通り、ずっと三人で仲良くしたいの」
男「………」
幼友「だからね……だけどね」
男「………」
幼友「私は…ね、──」
幼馴染「寒いーーっ!アナゴgetしましたー!」ガチャッ…バタンッ
男「お疲れ様でした」
幼友「日付、変わるよ?…5、4、3、2、……」
幼馴染「明けましてーい!」
幼友「おめでとーう!」
幼馴染「今年もよろしくお願いしますと私は私はよく知りもせず誰かの真似をしてみます」
男「……幼友ちゃん」
幼友「はい?……去年の事なんか、もう言っちゃだめですよ?」
幼馴染「……?」
男「…そうですね、今年もよろしくお願いします」
幼友「はい、よろしくですよー」
幼馴染「……?」

