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≪あらすじ≫
「童貞くん、君の肉親を私ぁどんどんおみまいしてくぞぉ。実家か? それとも共和国か? スポンジが腐らないうちにいくぞ私ぁ」
元スレ
女騎士「ありがたく思え。絶滅タイムだ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387555249/
ハデス「相変わらずこの辺りは寒いわ乾燥してるわで困ってしまうなぁー、ハナも唇もカラカラよー」
敵兵「(怖い怖い怖い怖い)」
ブラウニー「(私ら短期間のうちに重役と顔合わせすぎでしょ)」
ピクシー「(全部あのティタニア様のせいです、本当にありがとうございました)」
オルトルス「なあなあハデスのおっちゃん、あんちゃんどうして死んでしまったのん?」
ハデス「さあなー、まだわからんなー。猟師に撃たれて鍋にでもされてしまったんじゃろかなー」
敵兵「(幻獣族怖すぎィ!! パッと見じゃ近寄れません!! 無理です!!)」
オルトルス「あんちゃん……ケルあんちゃん……」
ハデス「これこれボーイ君。これ以上はぶらぶら出歩きたくないでなー、さっさと部屋ぁ戻ってゆっくりしたいんよー」
敵兵「は、は……!」
ハデス「訃報の直後にムズカシー話並べられてもようわからんってーの。喪中じゃなー喪中。
こういうのはいっちゃん偉いゼウスの兄貴が顔出しに来るんがスジだろうに、なあ?」
敵兵「(ゼウスの……アニキ……)」
ハデス「しかし理事会のメンツもシミったれたツラしとったなあー。何かね、そんなにおたくら逼迫しとんのかね」
敵兵「は……先のネキ……災害支援活動とも相まって、手数が慢性的に足りない状況が続いておりますので」
ハデス「構わん構わん、言葉ぁ選ばんでもおおよそ把握しとるから。オレらぁ、そこまでオベロンやティタニアの姉貴と仲は悪くない。
虎の子のアジ=ダハーカといたちごっこしてるんだろぉ、知っとる知っとる。えっらい大変だったみたいでなあ」
敵兵「(大変なんてもんじゃなかったんですがそれは)」
ハデス「もっとも、気持ちはわからんでもないなあ。オレ達が今までシマにしてた土地、
帝国なり北部なりの人間が統治しとったんだけどなあ。十数年で入れ代わり立ち代わり、年がら年中戦争しとってん。
元々独立に協力してくれただとかで、国内で帝国側に肩入れしてるようなのは少なくない……けれどもなぁ」
敵兵「……」
ハデス「まっとうな頭してたらぁ、あのウルスラグナのマスターにカチ切れんヤツはおらんだろなぁ。
それに、アジ=ダハーカが血縁……きちんと帝国貴族だなんて事に裏付けがとれりゃあ……」
敵兵「(ですよねー……信じてくれてるかはともかく……)」
ハデス「……ボーイ君、キミがティタニアの姉貴らや拝火とつるんでアジ=ダハーカを狙っているというのは本当かね」
敵兵「つ、つるんでいると言いますか、私にできる事をしているだけと言いますか」
ハデス「もし、今言った裏付けができていて、オレ達の側に確信があったのなら……ボーイ君、オレ達を迎え入れてくれるかね?」
敵兵「はい……?」
ハデス「独立戦争後、三派に分かれて無政府状態にあった我々の土地を治めたのは、他ならぬ帝国の血縁。
オレ達幻獣の権威が半ば形骸化していたとて、それだけは事実……その帝国の血が今回の事態を引き起こしたのなら……」
敵兵「……」
ハデス「アジ=ダハーカを討つ理由が我々にないとは言い切れない。死んだウチのワン公、拝火のガキが下手こいたとはいえな、
寛容にもの考えりゃあ、遠因はその騎士の女にある……オレ本人も、感情で納得するには程遠いんだがなー」
敵兵「(あかん、あかんまともな人やった。人かどうかわからんけど)」
ハデス「こんな事ぉ申し出るのはオレくらいなもんじゃよー、ワン公の恨みだとかもないわけじゃあないがなー。
まあ、アホのポセイドン兄貴と違って思うところがあるって事じゃよー。オレの下から何かを奪おうとする愚か者には天罰をやろうと思ってなー」
敵兵「(ヤバい……泣きそうだよ……魔王軍のコエー人が俺にまともな対応をしてくれているッッ)」
ハデス「君の方からティタニア姉貴には伝えておいてくれな、おっちゃんを贔屓にしてやれって」
敵兵「そ、それはもう……それより、裏付けっていうのは一体……?」
ハデス「んー……んー?」
敵兵「(魔王軍がもたついて後手後手になっている理由のひとつは、この氏族制度そのもの……
帝国という体をとっておきながら個々を尊重する拝火の姿勢、だからこそ柔軟な活動が困難になっている……!)」
ハデス「んまあ、簡単に言えばじゃなー。尻尾掴んで命からがら逃げてきた娘っ子がおるでな、そっから推察と調査を重ねただけの事よ」
敵兵「娘っ子……?」
ハデス「アラクネーっちゅう……節足人種でもケンタウリでもない、オレ達側の魔族の娘っ子。
長い事、オレ達の土地から離れて働いてたんだけどなー。あろう事か、北西までクロかもしれないって事まで引っ張ってきて」
敵兵「そ、そんな事実までッ!?」
ハデス「臆病もんの癖に余計なもん持ってきよった。帝国の皇女殿下がカスメとられたあの時じゃて、
あの騒動……クーデター勢力に肩入れするエルフのドラグーンを呼び込んだのも、北西側の自作自演だとかな」
敵兵「(あの筋肉女……まだそんな事やってやがったのか……!!)」
ハデス「懇意にしてもらってた情報部の娘とは、そこで離れ離れになったらしい。あんのクモ娘、正規の手順も使わずに、
えっちらおっちらオレの所まで戻ってきよって……生真面目なんだかバカなんだかわからなんだ」
敵兵「アラクネー……」
ハデス「敵はアジ=ダハーカだけじゃあないぞぉ。下手すりゃ北西は円卓にケンカ売る事になるかもしれんでなぁ……」
フレイ「では、先の騒動でのワルキューレの被害は……言うなれば、接触の為の芝居だったという事ですか?」
女騎士「その通りでございます、ユングヴィ閣下……どこの馬の骨が、畏れ多くも北部神族の皆々様に泥をかけるような事をしましょうか!」
レギンレイヴ「何と言っても、魔王軍の一派から拘束を受けていた私めを救出してくれたのもエルフ達でございます!!
彼女達が北部神族の仇ですと!? とんでもない、彼女達は6年も前から反連合の礎となるべく行動してきたのですよ!!」
フレイ「……武装中立のエルフが、仮にも魔王軍常任氏族の我々に肩入れする気ですか?」
女騎士「肩入れなどとんでもない……パワーバランスの調整に少しばかり奔走しているだけにすぎません。
我々は、恒久的な国際平和の為に活動しているのです」
フレイ「先の戦乱の片棒を担いだと噂されるエルフが?」
女騎士「根も葉もないうわさに過ぎません……我々の活動を疎んじる、哀れな羊たちのいななきです。
皇女殿下を求めての蜂起につきましては、事前に目的を表明しているはずですが?」
フレイ「正統なる帝国皇室・帝国民族の存続の為の正義を貫く……?
よくやりますね、あれだけ大国がぴりぴりしている中で行動を起こし、自らアンタッチャブルとしての立場を築き上げた……」
女騎士「人聞きの悪い! それも単なる言いがかりに過ぎません、我々はただ……教皇領とも連携して、
東西の諍いを解消できればと思っているだけなのです。アンタッチャブルだなんてそんな……何事も話し合いで融和をしようと考えておりますのに」
フレイ「……」
女騎士「しかし信用できないのは勇者と魔王どもです! 奴らはただ聖剣や勇者の血筋のチカラを楽しんでいる!!
この大陸に戦乱をもたらす事で、自分達のチカラを試しているのです!!」
レギンレイヴ「」
女騎士「常任理事のオーディン閣下とて、疑いを持っていないわけでもないでしょう!?」
フレイ「巨人……グレンデル王殺しですか? あの件に関しては、我々はもう言及していない筈ですが……拝火が、まさか……」
女騎士「惑わされないでくださいまし……!! 連中は口が上手くコス狡い……勇者と魔王軍、奴らは人間の敵であり、魔族の敵です!!」
レギンレイヴ「な、なんだって!! それは本当ですか!?」
女騎士「さっすがヴァイキングのお山の大将どもだ、頭ちょろくて涙が出るね。田舎の田ゴ作がふんぞりかえってやがって」
騎士ほ「6年前より右翼政党……反連合政策への出資を行っていた事が幸運でしたわ」
秘書「……ちょっと前から、拝火による連合や東帝側への擦り寄りが共同体内の魔族の間で反発を産んでいたみたいです。
加えて、領地を一部共有する巨人族に起こった不幸……魔王軍側は、どうやら一枚岩じゃあないみたいですね」
騎士ほ「重役が我々との謁見を行うという時点で、あちら側はかなりガタがきていると考えてよいでしょう。
案外、本当にグレンデル王を殺したのは勇者のガキかもしれませんわね……フクク……」
女騎士「あークッソさみぃ、共和国なんか比にならんくらいさみぃ。これだから共同体の土地はイヤなんだよ……
昨日の夕飯はしょっぱいものばっかだし、大体さっき買ったあの飴はなんだ!? くせーしまじいしオカシイだろ!!」
騎士ほ「もう少しだけ我慢してくださいまし……北西諸島に渡れれば、多少はマシには……」
女騎士「ヤダよぉー、だって北西って年がら年中雨降ってたり霧が出てたりするんだろぉー?」
騎士ほ「……」
女騎士「その上!! メシが!! まずい!! こればっかりは譲れないよ私ゃ、おいしいごはんがないと生理周期乱れちゃうよ」
秘書「り、料理人はアルヴライヒから随伴させておりますのでご安心を……」
女騎士「北西のドラフェチってあれやろ? 最高の食材をうすらまずいゴミに仕立て上げてありがたそうにむしゃぶるゲスどもなんやろ?
まさか食通・ザ・食通の私がそんな未開のクソ蛮族の島に足を踏み入れる事になるなんて……おお、くさいくさい」
秘書「(その割には凄い色のお菓子いっぱい食べてるよね)」
女騎士「ああクソさみい……湯たんぽ妹、カモン!!」
娘「はあい、お母様。ぬくぬく」
女騎士「……とりあえずおやつだおやつ!! どっかうまいレストランはないのか!!」
秘書「(一日五食が基本なのに、なぜ私だけ太るのでしょう。解せぬ)」
エルフ三男「では、改めてこれからの行動指針をおさらいいたします。よろしいですか」
女騎士「分かりやすく短くしろよ童貞」
エルフ三男「」
女騎士「あんだけお膳立てしてやったのに勃たねえとかふざけんじゃねぇぞ童貞」
エルフ騎兵「えっ」
エルフ近衛兵「ウソだろ」
エルフ三男「やめてください!! 本っ当!! やめて!! おねがい!!」
女騎士「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
エルフ騎兵「インポチェリーかよ……」
エルフ近衛兵「500年で腐っちゃったんだ……」
女騎士「お前の童貞期限切れーwwwwwwwwwwwwwwwww」
エルフ三男「緊張しただけだから!! 病気じゃないから!! ほんとだから!!」
騎士ほ「大将閣下が責務を放棄してホテル自室にお戻りになられたので、不肖この私が指針の確認をいたします」
女騎士「おいーす」
騎士ほ「まず、北部神族……および共同体の協力を正式の取り付けた後、共同体海軍施設にて艦を受領。
海路から直接エルダー統治領域を目指します」
ポニテ「海路……北西の有する海軍戦力とぶつかる事は避けたいですね。いち分遣隊とでもはち合わせしたら、勝ち目はありません」
騎士ほ「もちろん、世界最強と謳われる北西海軍と真っ向からケンカする気はございません。
あくまで穏便に……商船を装って領海に侵入、着岸さえしてしまえばこちらのもの。何といっても、こちらには二本の聖剣があるのですから」
女騎士「おいーす」
ポニテ「商船型……それをここ共同体で受け取ると」
騎士ほ「正確には……外装を偽装した商船改造軽航空母艦と言いましょうか」
ポニテ「航空…母艦?」
騎士ほ「ドラグーンの実用化に伴い、北西で提唱された竜騎兵航続距離増強プランに基づいて建造された艦種です。
実動の記録はまだないけれど、現在でも各工廠で建造が進められています。次々と海軍の航空機動艦隊へ編入される事でしょう」
ポニテ「その母艦の一種だと?」
騎士ほ「いかにも。バルフォア級航空母艦、ドラグーン16騎を搭載可能な軽空母です。こちらを二隻受領し、商船団にまぎれて行動します」
女騎士「ディナダンとかいうババアからの餞別ってか?」
騎士ほ「恐らくは。我々に手を汚させたくて仕方がないようですわ」
女騎士「この私を利用してるってか? なめやがって。単に利害が一致してるだけだ。
一刻も早く魔王軍に土下座させて首をハネてやらにゃあならんのに……」
騎士ほ「(エルダーの古島……私とてこのポストに就いてから、渡島する事を許されていない禁断の島……
何だ? 何があるというのだ? エルダーという高等竜のほかに、まだ何か隠されているというのか?)」
モルドレッド「ヴォーパル鋼を用いた冶金技術によって、ドラゴンを自在に駆ることができるようになった……魔王軍もなかなか粋な事をする」
ラーンスロット「……」
モルドレッド「では、エルダーの神々相手にはどうかな? いいや、ちょっとした好奇心です」
ガウェイン「おいオメェー、何を言ってやがる……」
モルドレッド「そもそもエルダーとは何だ? 建国神話に登場する、唯一神ならざる神格? マビノギオンの旧神?」
ラーンスロット「やめろ、モルドレッド!! 女王の御前だ、慎め」
ユーウェイン「ちょ、ちょっとぉ。モル公ったらどうしちゃってってぇのぉ」
モルドレッド「なぜこの国は、王室ぐるみで竜にご執心なのか……ぼくはいつも不思議だった。
5つの頃までは、そりゃあぼくだって竜騎兵に憧れたし……エルダーにお仕えできれば、それ以上の事はないと思っていた」
ガレス「おッ、おいッ……バカヤロ、シャレじゃ済まされねえぞ!!」
パーシヴァル「えひゃひゃwwwwwモル公やっるぅーwwwww」
モルドレッド「猿人の20ぽっちとはいえ……陛下やラーンスロット卿の情事をまざまざと見せつけられては、スれもします」
ラーンスロット「モルドレッドッ!! いくら貴様とて……!」
モルドレッド「相手がメスなら何だって構わねえあんたが、いっちょまえに何言ってんだよお。くせえ口でぎゃあぎゃあ騒ぐな変態」
ラーンスロット「貴様……!!」
モルドレッド「聞こえておいででしょう、陛下ァ!! お察しのとおり、このクソ男のだらしの無さは噂だけではございません!!
でもお互いさまでございましょう!! 陛下も陛下で、所詮は数百年を無為にダラダラ過ごし続けるアバズレですものね!!」
トリスタン「アバ……ズレ?」
モルドレッド「ククク……どうしました、ラーンスロット卿。怖い顔をしないで……その顔、今は僕に向けるべきじゃあないでしょ」
ラーンスロット「……」
ディナダン「北部諸島沖より入電。二隻の不審船が領海に侵入、空軍と近衛軍が緊急出撃いたしましたわ……」
モルドレッド「……さあ、どうぞ行ってください。『ウサギの巣穴』とやら、どうか命を賭してお守りくださいな」
ラーンスロット「……」
ベティヴィエール「ね、ねえねえ、何なの? イミわかんないんだけど……」
ガレス「モル公てめえ、何様のつもりだあ? おいッ、なんとか言いやがれッ!!」
モルドレッド「ぼくとやる気か? この日が来るまで、ぼくの謀反に気づかず日々を怠惰に過ごしてきたお前達がか?」
パーシヴァル「ぐぬぬ、毎日お菓子食べてお茶して寝てお菓子食べてお茶するどこが怠惰なのだというのかね」
ガラハッド「お、親父ィ……こいつ放っとくのかよォ、おいィ……」
ラーンスロット「……飛行隊を編成する。ガラハッド、お前は先行して不審船の警戒に当たれ」
ガラハッド「ウソだろォ……ディナダンのババア、おめえもグルだってえのか!?」
ディナダン「やだわあ、おばあちゃん相手にそう凄まないで頂戴」
パラメデス「ご老体だとて油断したわ……!」
ガラハッド「クッソババァ……!! 許さねえぞッ、一足先に墓穴に叩き込んでやらあ!!」
ラーンスロット「やめろ、ガラハッド!! やめろッ!!」
ディナダン「はいぃ? 一足お先に? 何ですってえ? 墓穴でお待ちしております、ですって?」
ガラハッド「」
ディナダン「何も、円卓の騎士だからといって……武器が聖剣だけなわけがありますまい……」
モルドレッド「あーあ……陛下の御前をこんなに血で汚してしまって。親子そろってとんでもない不孝者です」
ユーウェイン「ひゃああああああああああああああああああ」
パーシヴァル「こ、こッ、殺しだ……警察ッ、おまわりさんッ、119番!!」
トリスタン「ばっ、バカかオメェー!!」
モルドレッド「さ、皆さんおわかりでしょ。クーデターです。僕らが勝てば革命ですが……
月並みでございますが、『陛下の命が惜しければいう通りにしろ』ってやつです」
モルドレッド「さ、これでいつもの静かな謁見の間に戻りました……貴女には色々聞きたい事がありまして」
女王「……」
モルドレッド「と、その前に。ぼくの事は御存知ですか、アリス=リデル9世」
女王「勿論ですよ、サー=モルドレッド……」
モルドレッド「それなら、ぼくの目的はお分かりですか」
女王「……」
モルドレッド「ねえ、お母様。だんまりは良くないな、不愉快だ。ぶち殺すぞ」
女王「私の事を……恨んでいるのですね……」
モルドレッド「ああ、そうか……キャリバーンか……あれのせいで、殺したくても殺せない……つくづく人間やめちゃってますね、あなた」
女王「……」
モルドレッド「母親だからこそ、他のどんな他人よりも憎ったらしいんだよ、わかるか? わかるか?」
女王「許してもらえるとは、思っていません……しかし、民を……無用な戦乱を広げるというのなら……」
モルドレッド「なら、何だって言うんです。こちらこそ、お母様に許してもらう気なんぞございません。
お母様が守り続けたエルダーの地……ウサギの巣穴をメッタクソにして差し上げたいだけなのです」
女王「……」
モルドレッド「どうしました。抜かないのですか? 聖人アリス陛下? 抜いて、狼藉者を斬ってくださいましよ。
それとも何ですか? ジョワユーズを前にしたら、もう抵抗する気も起きないというのですか?」
女王「ジョワユーズッ!?」
ディナダン「(やはり、過敏な反応を示した……やはり女王……アリス=リデルとエルダーはジョワユーズ……
『原罪の蛇』とやらとの間に、浅からぬ因縁を持っている……恐らく、それが閉ざされてきたエルダー統治領域の秘密に直結する……)
女王「ジョワユーズが……人の手に!? そんな、そんな報告は聞いておりません、ガリア=ベルギガ遠征は失敗に終わったと」
モルドレッド「報告してねぇ事を知ってるわけねぇーよなぁーーーーーお母様よぉぉぉーーー!? はははははは、ざまぁあぁぁー!!」
女騎士「……」
ポニテ「何だか、ものすごく穏やかな航海で終わってしまいましたね……」
女騎士「おもっきし海戦が始まるのかと思ったけどなぁ。あー、潮風はいやだねー。肌がかぶれっちまう」
騎士ほ「伝承によれば……エルダー、もといダーナ神族の住まう土地……『不可視の国土』を有しているとの事ですが」
ポニテ「霧の領海ティルナノグ……商船や軍艦が多数遭難している海域と聞きます」
女騎士「不可視も何もなぁ……おもくそ島がクッキリ見えてるしなぁ……」
騎士ほ「どうします、先制攻撃でもぶちかましますか」
女騎士「それ採用」
秘書「えっ」
女騎士「せっかく共同体だの北部神族だのからご声援を頂いてるんだからさあー。艦砲射撃で沿岸部サラ地にしてやろーぜ。
崖だの浅瀬だので侵入が難しそうってわけでもなさそうだしなあ……さーっと橋頭堡置いて、パッパと確保。おーばー」
騎士ほ「御意に」
秘書「あ、あの……お話し合いでケリを付けるって、フレイさんと」
女騎士「なにお前、言葉の通じないパッパラパア相手に丸腰でお話しできるの? スゴイ勇気だな、普通の人間じゃ無理だわ」
秘書「」
女騎士「さぁーーー景気良くぶっぱなそうかぁーーーーwwwwwwドラゴンどもをひき肉にしたったれーwwwwwwwwwwwwwww
聞こえてますかぁぁー旦那さまぁーwwwwwww同胞の悲鳴を聞かせてやりたいが為に2騎ぶんのスペースを空けてやったんですのよぉぉーwwwwww」
秘書「えっ、あの、あのリンドヴルムさんいらっしゃるんですか!?」
女騎士「あたぼぉぉよ!! 二度と私に刃向えねえようにだ!! 口答えしたら41㎝のマトにされちまうって脳にスリ込んでやらねぇとなぁー!!」
秘書「」
女騎士「ん……んー……」
騎士ほ「わかります……わかりますわ……」
エルフ三男「皆まで言わずともわかります…・…迎撃に現れたのも現地飛行隊のしょっぱい戦力程度……」
騎士ほ「本当にここがティルナノーグ……? エルダーの土地……なんですの?」
女騎士「転がってる死体ひとつ見ても、どうにもそれっぽくねぇーな……軍人じゃねぇだろこれ」
エルフ三男「先ほどの迎撃隊は、この沿岸区域から出撃して来たわけではないようでしたし……」
女騎士「何だろうな……古くせぇカッコした一般庶民だな。それにしちゃ枯れ枝みてえにガリガリってわけでもねえし」
騎士ほ「何ですの、この違和感……」
女騎士「肝心要のエルダーとやらを探すしかねえわけだが……ドラグーンで飛んでみるしかないな」
エルフ三男「当面は北西……ディナダン卿からの依頼をこなすべきでしょう。
エルダーとの交渉……もとい制圧。そして、虎の子である槍を押さえねば」
女騎士「槍ったってなぁ……一口に言われてもわけわかんねーべや。聖剣だとかとおんなじ類なん?」
騎士ほ「あのディナダン卿がわざわざ我々を向かわせるところを見ると、そう考えていいかと。
ただ、卿本人も槍……『ブリューナク』について、詳細を掴んでいるわけではないようでした」
エルフ三男「また伝承の武器か……」
騎士ほ「(聖剣を有する我々に、単なる牽制目的でドラグーン隊維持を賭けたおつかいをさせるとは考え辛い……
まだ何か他に真意があると考えていいだろう……ババアめ、余計な手間をかけさせやがって……!!)」
おじさん「だ、誰だいあんたたち……見かけないカッコだなあ」
女「××××××」
少女「ここはエリンの島だよ、お姉さんたちどこから来たの?」
女「×××××」
少女「え、なあに……がいこくご?」
女「××××××」
おじさん「あぁ、もしかして旅の方かな? さては転生者の噂でも嗅ぎ付けてきたんだろうが……
生憎と、ここ数か月は現れちゃあいないんだ。残念だったねえ」
女「××××」
おじさん「まあ、そう気を落とすもんじゃあないよ。これも何かの縁だ、宿でもとってうまいものでも食っていきな」
女「…………」
女騎士「何だここは!! もう帰りたいぞ!!」
エルフ三男「トイレが水洗じゃない!! 水道が通ってない!! 時代遅れでは片づけられませんよ!!」
ポニテ「(上流階級二人がダダをこねていますね……)」
女騎士「周りの農民どもは何喋ってっかわかんねぇしよぉー!! バカにしてやがんのか!」
騎士ほ「申し訳ありません……北西本国の言語ならともかく、ここまで特殊なコミュニティのものでは……」
女騎士「イミがわからねぇ!! 火でも点けて回ってやろうか!!」
騎士ほ「おやめくださいまし! 何人死のうが構いませんが、ブリューナクまで焼却するわけにはいきませんわ!!」
女騎士「メシまじぃイナカくせぇつまらねぇの三拍子だ!! 島ごと沈んじまえ!!」
ポニテ「上空から諸島全体を調査した結果……この親島、エリンという名称らしいのですが……」
エルフ三男「北西本国からは、驚くほど近い位置に存在している……やはり、マユツバの魔法とやらで隠蔽されていたのか」
女騎士「ザルな魔法もあったもんだわ。ぬるりと潜り込めたじゃあないか」
騎士ほ「きっと、聖剣のご加護によるものですわね……ふむ、聖滅のジョワユーズが働いたとするならば……」
女騎士「いよいよ、北西が国家ぐるみで隠してる何かがあるって事かね」
エルフ三男「円卓……ディナダン卿が求めているものか……」
女騎士「にしてもよぉー、何なんだここは。ここだけ三世紀四世紀余裕で文化レベル遅れてねぇかぁー?」
ポニテ「産業革命から取り残された地域……北西本国と隣接していながらこの有様とは、信じられません……」
女騎士「ブリューナクとやらを確保すりゃあ、何かがわかったりするんだろうが……帰りたい!! 早く帰りたい!!」
エルフ三男「神殿なりなんなり、それっぽいものはないのか!! 僕もこんなシミったれた場所から離れたいのだ!!」
女騎士「そうだぞ!! 卒業寸前でやらかしたせいでまだチェリーだってバカにされるんだこいつは!! 戻って続きをやらせてやれ!」
エルフ三男「あぺぺぺ」
女騎士「やめろ気持ち悪い!! 妙な事はやめろ!!」
秘書「な、何ですかっ、そのぬいぐるみは」
女騎士「プレゼント交換で当たった、この私モデルのぬいぐるみだっ! 玩具メーカーが悪乗りしてコイツとペアのぬいぐるみを売り出しやがったんだ!」
騎士ほ「さっさと帰りましょうお姉様!! 売り切れてしまっては事です、急がねば!!」
女騎士「よろしい、皆の気持ちが一つになったところで調査再開だ! きびきび働け!!」
モルドレッド「アルバスドラゴン……それが、現エリンの守護に携わっていると?」
女王「ええ……彼が、太古から……それこそ叡智の教義以前からジャバウォッキーを見守り続けている」
モルドレッド「また新しい単語だ。どれだけの事をぼくらに隠していたんだ? とんでもない女王がいたものだよ」
女王「……」
ディナダン「……ジャバウォッキー、とは?」
女王「すがたの定まらぬもの……理解の及ばぬ真なる魔……こことは異なる世界から訪れるもの……」
モルドレッド「量子力学でも齧ったんですか。王室の人間は浪漫があっていいですね」
女王「……これが夢であるなら、どんなに良い事か。あなたを捨てた事までもが夢になるなら」
モルドレッド「バイタが母親ヅラしてんじゃあねーぞ、余計な事言ってねえで続けろ。ジャバウォッキーってのは何なんだよ」
女王「普通の人間……だった人間の事。つまり、この私や……国教会の勇者の事」
ディナダン「……なに?」
モルドレッド「普通の人間……だった? 過去形なのか? 一体どういう事だ、何を言ってる?」
女王「言葉通りです。この私、アリス=リデルを始め、勇者と呼ばれる存在は……ジャバウォッキーと呼ばれる真なる魔、妄想の大母」
ディナダン「陛下や勇者が……異なる世界から来たものだと。そうおっしゃるのですか?」
モルドレッド「正気か? 本気で……言っているのか、そんな……そんな戯言を!!」
女王「ジャバウォッキーの血脈を、これ以上蔓延させない為に……私はガリアから離れ、この連合王国とエリンを作り上げました。
全ては、彼のような悲惨な末路を迎える若者を増やさない為に……そして、この世界に転生するジャバウォッキーが絶望に打ちひしがれない為に」
モルドレッド「彼……とは、誰の事だ」
女王「……」
ディナダン「初代勇者……ですか。代替わりを演じ、数世紀をその身一つで生き長らえる貴女なら、伝説の勇者と面識があってもおかしくはない」
女王「その、通りです。彼がロンギヌスを通し、叡智の教義という名の呪いを振りまくのをこの目で見た……恐らくは、唯一の生存する人間でしょうね」
女王「その『槍』は、当初はガリア=ベルギガという辺境の地にありました。彼岸と此岸を結ぶ地、現世と幽世の境界という聖地……」
ディナダン「先ほどエリンに存在すると仰った、ブリューナクがそれに該当するのでしょうか」
女王「そう、今はブリューナク……その名で『槍』は呼ばれていますね」
モルドレッド「今は、だなんて、まどろっこしい事をつらつらと。簡潔にものを話せないのか」
女王「ごめんなさい……現在のブリューナク、かつてはそれこそがロンギヌスと呼ばれていた、超高純度ヴォーパルなのです」
モルドレッド「……それで、その『槍』とやらは……どんな魔法をぼく達に見せてくれるというんです?」
女王「……先に言った通り、ジャバウォッキーの出生を促す効果を持ちます。もしくは、そのままの姿での降臨を」
モルドレッド「降臨ときた!! 人一人が何もない虚空から降臨!! はっは、お笑いだ、ふざけるな。ふざけるなよ……!!」
ディナダン「聖剣でありながら、聖人や聖遺物の破壊に特化した能力を持つという、存在そのものが矛盾しているジョワユーズ……
これに関しても、陛下は何か御存知なのでしょう。ガリア=ベルギガに安置されていたという、聖滅の剣を」
女王「今も尚、あれを手にする事のできる人が残っていた事が信じられません。
『槍』がロンギヌスだった時の憎悪と悪意、懺悔が込められたあの剣……原罪の蛇の加護の下にある聖遺物……」
モルドレッド「貴女がそれほどまでに気に掛ける剣とは。よほどご都合が悪いようで何より」
女王「……6年前より耳にするアジ=ダハーカという名。その名を冠する者が、ジョワユーズのマスターという事ですか」
モルドレッド「嫌に察しの良い事で」
女王「マスターに相応しい人間は聖剣と呼応し、惹かれ合う。災厄をもたらす蛇……なるほど、これ以上にない逸材というわけですね」
モルドレッド「その切先は今や魔王軍ではなく、貴女に向けられているという事だ。どんな気分だね、母上」
女王「……」
女騎士「クックク……やけに殊勝じゃあねえか、おとなしくしてな」
アルバス「……」
女騎士「しかしなぁ……よくこんな古くせえ神殿なんかがマジに残ってたもんだ。あんたが掃除してたん?」
アルバス「否……」
女騎士「おいおいおい、喋れんじゃねーかよおー。さすがは高等竜種様、下民どもとは違いますってか?」
息子「お、お母様、あぶないです」
娘「こんなくっさいドラゴンの前に手を出しては、噛まれてしまいます」
アルバス「……」
ポニテ「(なぜ騎士様はあんなにも神格にほど近い竜にあそこまでフランクなのでしょう)」
秘書「(そりゃ……初めてのお相手が神格にほど近い竜だからじゃないですか?)」
ポニテ「(こわくて近寄れません)」
秘書「(わたしもです)」
アルバス「汝……何を求め……エリンへ……降り立った……」
女騎士「何をって……おつかいだよ、おつかい。岸部を穴だらけにしたのは悪かったが謝らんぞ」
アルバス「使い……アリスの使いの者には……見えん……」
女騎士「アリス? アリスって何だよ」
アルバス「ジャバウォッキー……汝と……その子らからも……同じ匂いを感じるな……」
女騎士「じゃば? イミがわからん、ポエム語りはじめたらたたッ斬るからな、覚悟しとけ田舎モンがよぉー」
秘書「(意外と会話が弾んでますねえ)」
ポニテ「(さすがは騎士様です)」
アルバス「我は……アリス達との盟約のもと……この地に住まい……ジャバウォッキー達を守護している……」
女騎士「じゃばおっきってのが、ここの民族の名前か? どうでもいいな」
アルバス「聖滅を抱く……ジャバウォッキー……アリスの使いでないなら……汝は……何を……求めてきたのだ……」
女騎士「んーと、んーとな、ちょっと聞くぞ。エルダーってのはあんたの事を言うのか?」
アルバス「然り……アリス達は……便宜的に……ワイバーンと我らを区別する為……そう呼んでいる……」
女騎士「そのあんたらをブッ殺しに来たんだよ」
アルバス「」
ポニテ「(直球!!)」
秘書「(デッドボールですよあれ!!)」
女騎士「と、当初は思ってたんだが……答えようによっちゃあ考えてやらんでもない」
アルバス「……」
女騎士「円卓のババアの言う事をそこまで律儀に聞いてやる事もねぇしさぁー、私もお前らみたいなくっせぇドラゴン大っ嫌いだけど、
役に立つんだったら使ってやらん事も無い。刃向うなら、お前らがだいだい大好きなこのジョワ公のサビになってもらいます」
アルバス「円卓……アリスの配下が……我らに汝らを差し向けた……のか……?」
女騎士「……そう、そうだ!! 円卓の連中に言われたんだよ、エルダーのお前らをぶち殺せって。
そうしたら……なんだ、アリス様のご加護に預かれるって言われたんだよ。話を聞いてるとなんだぁ、アリスってのはとんでもねえ奴だなぁ!!」
秘書「(とんでもない事を言ってますねぇ騎士様は)」
アルバス「馬鹿……な……アリスが……? 我らを……エリンと……ジャバウォッキーを……!?」
女騎士「あーでもわからんなー。アリス様、もしかしたら円卓の連中にそそのかされてるのかもしれんなー。
あいつら表じゃずーっと連合や魔王軍相手に戦争ばっかやってるドクズどもだもん、欲の皮が突っ張って顔のパーツ見えないくらいよ」
アルバス「……」
女騎士「ウソだって言いたいのか? その気持ちは分かるけどよぉー、でもぜぇんぶホントの事なんだぜえ?
ジョワ公みたいなマジモンの聖剣を持った私を差し向けられる人間っつったら、それこそアンタの言うアリス様くらいしかいないだろ?」
アルバス「アリス……リデル……」
女騎士「あー、可哀想だなー……ここでエルダーは皆殺し、ブリューナクもわるい円卓のゴミどもに掻っ攫われてジエンドだぜ」
アルバス「……」
女騎士「……悔しいなー、信じてた連合王国だったのに……これ悔しいわぁ。でもな、その争いの火種を作ったのは連合と魔王軍なんだ。
わかるか? あいつら他人を誑かす事に関しちゃ超一流のエキスパートだ。ある事ない事でっち挙げて、きっと円卓もそいつらに騙されてるのさ」
秘書「(よくあそこまでデタラメで頭が回りますねえ……)」
騎士ほ「あの白い古竜の証言をまとめると斯く斯く云々……ここエリンは、ジャバウォッキーの為に誂えられた島という事らしいですわね」
女騎士「ジャバウォッキーねぇ……そんな妙な連中がポコポコやってくるのか」
ドルイド「……」
女騎士「……おい、何とか言えよ。お目付け役だろ」
ドルイド「×××××」
女騎士「何言ってんのかわかんねーよ黙れ」
ドルイド「……」
エルフ三男「ここだけで広まっているマレビト信仰というわけでもありませんね、勇者信仰のルーツと言っても過言ではない……
北西がこんな事実を隠蔽していると大陸に知れ渡れば、教皇領はどんな顔をするでしょうか」
騎士ほ「案外……あそことはグルだったりするかもしれませんわね……」
エルフ三男「……考えられなくはないですね」
騎士ほ「言うなれば、勇者になりうる人材を飼殺しておく為の牧場……それを、北西王室だけの権力で行っていた?
教皇領側からの働きかけがなければ、島一つまるごと隠蔽する事は難しいでしょう、それこそ聖剣でも持っていなければ……」
エルフ三男「ではやはり、五柱の勇者の聖剣は北西にあると考えて良いのでしょうか」
騎士ほ「というより、ほぼ確定ですわね……これ見よがしにレプリカの聖剣を用意しているところを見れば……」
エルフ三男「ふむ……ところで、騎士様は? どちらに」
秘書「えっ、あ、あの……ついさっき、お坊さんかなぁ……一緒にさっきの神殿まで行っちゃったみたいですけど」
騎士ほ「……まあ、上空には中尉達の見張りを付けていますし……危険はないでしょうね……」
ドルイド「×××××」
女騎士「ふぁぁ、ハンモックでも持ってくりゃあ良かった……眠っむ……」
娘「良いお天気ー」
息子「お散歩日和ですねー」
ドルイド「××××××」
女騎士「で、そのブリューナクがブッ刺さってるってのはどの辺りなんだよ。さっきの神殿なんだろ」
ドルイド「××××××××」
女騎士「……もういい、わかった喋んな」
娘「わ、わ、わ、わ、わあー、大っきぃー!!」
息子「すごい……綺麗だ……これが槍……ブリューナク!!」
女騎士「でっけ……スッゲ……チャチな宝石なんかじゃないよなこれ……」
息子「本当に槍みたいな形をしてるんだ……共和国の聖堂と同じくらい大きい!!」
ドルイド「×××××××××」
娘「つるつるのぴかぴか……つめたいのかなあ」
息子「だっ、ダメだよ!! 閣下が言ってたでしょ、僕たちはヴォーパル鋼には……」
娘「あ……そ、そっか」
女騎士「相場いくらくらいかなー、高ェのかなそもそもコレ……高ェよな、市場に流通してねえだろうし……」
ドルイド「××××××××」
女騎士「つるつるのすべすべだよなー、どうやって研磨したんだコレ……」
ピトッ
『つり革や手すり等にお掴まり下さい』
『次は、新宿~、新宿~……お降りのお客様は、お忘れ物の無いように』
『おじいちゃんが中にまだいるの!! 助けてあげて!!』
『すごーい、魔法みたい!! 火の玉が飛んだわあ!!』
『うんっ、私も……私も大好きよ!』
『今……私、すごく幸せ……あなたに会えて……』
『ここはエリンの島だよ』
『まもののむれがあらわれた!』
『死にっ、死にたくない!! 嫌、たすけ、嫌なのぉぉ!!』
『勉強したかですってぇ? あたしがそんな事するわけないじゃん、万年最底辺ですんで』
『この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りいたしました』
『ころして わたし ころ』
『遅かったじゃない! 魔物が出たらどうするの、これからどんどん日が短くなるんだから!』
『この番号は、現在使われておりません』
『お願い何でもいう事聞くから許してお願い』
『カレシができただぁ? 抜け駆けしやがってぇ、こいつう』
『ピーッという発信音の後にメッセージをどうぞ』
『決めたの、私……お国の為に頑張る!』
『だいまおうがあらわれた!』
『熱ぃぃぃぃぃあぁぁぁあっ、ひいいゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
『おへんじ ください まってます』
『あの子と付き合ってるんだ。お似合いじゃない、良かったわね!』
『えげゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、いぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
『攣り皮や手磨り塔に男捕まり管さい』
『本日は、JR本線をご利用いただき誠にありがとうございました。次は、終点』
『嫌嫌嫌嫌嫌ころさないで嫌嫌嫌嫌死にたくない嫌嫌嫌嫌嫌許許ゆるゆううううううう終点大魔王マモノ学校男の子』
『おっ、おはよう! 今朝は早いのね』
『ここは皇帝の街さ』
『ヤキモチなんて妬くわけないじゃないの!』
『またあんたって奴は! これでもくらいなさーい!』
『ご臨終です』
『えげ』
『だいまおうがあらわれない』
『裂けっ、裂けぢゃう、無理ぃ、無理無理無理無理ぃぃぃぃ』
『あなたの赤ちゃんなのに』
『産まれぇぇ、産まれぢゃうう、痛ぃ、痛痛痛』
『警視庁捜査一課の者です』
『死ぬしかないじゃない』
『いっしょになろ^^』
『死の^^』
『し、幸せにしなさいよねっ、ばかっ!』
『私は……私は既に女である事を捨てたのだ!! この身がどうなろうと、我が矜持は尽きぬ!!』
『渋谷公会堂にて』
『隣で音立てんな聞こえてんだよやめろやめろうるせぇやめろ』
『騎士の誇りというものだ』
『いやだ、死にたくない』
女騎士「がふっ、げええっ、げっ!!」
息子「お母様っ……かあさま!?」
女騎士「気持ち悪……ごっほ……何……だよ……」
娘「お、お、おかあさま……大変っ!!」
女騎士「何だ……頭に……流れ込んできた……げぇえっ!!」
息子「動かすな!! 医療班を連れて来てくれっ、早く!!」
女騎士「手、手が……あ、あ、あたしに触んな、手ぇ、手ぇ、伸ばしてくるんじゃあねえッ、ざけんなあ!!」
息子「母様、お母様っ!!」
第9部窮 野沢菜編
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