第6話 杏子「やり直したい過去か…」??「約束する、俺が最後の希望だ!」
モモタロス「誰だお前!?」
<デンライナー車内>
デンライナーを呼び出せはしたものの、出てくるのはイスルギ、レッコウ、イカズチのみで
肝心のゴウカは呼び出せずにいた。
そんなイカズチの車内には現在杏子とゆま、それに実体化出来たモモタロスたちイマジンが乗車中である。
杏子「これがデンライナーか、改めて見ると本当に電車なんだな…」
ゆま「うわぁ!モモちゃん鬼さんみたい!」
モモタロス「鬼じゃねえ、モモタロスさまだ!
まあ何にせよ、やっと実体化出来たのはよかったな。砂のままじゃ気分悪かったぜ!」
ウラタロス「やっぱり自分の身体が一番だね。
まぁ…女の子の身体のままというのも魅力的だったけどね♪」
モモタロスたちイマジンは実体化時の姿を取り戻し、車内でようやく落ち着きを取り戻していた。
キンタロス「しっかし、良太郎たちはどうなったんやろうなぁ?」
ウラタロス「そうだね、一刻も早く良太郎たちと合流するためにデンライナーを動かそうとしているんだけど…
ダメだね、どうも僕たちがワルプルギスの夜と戦っていた1ヶ月後の時代には戻れなくなっているみたいなんだ。」
リュウタロス「それってつまりどういう事なの?」
ウラタロス「簡単に説明すると、過去には行けるけど未来には行けないって事になるね。」
モモタロス「おいおい嘘だろ!
このままじゃ俺たち良太郎と会えず仕舞いかよ!?」
杏子「話に付いてけねえな、アタシはここでおさらばだ。
後はお前らで勝手にやっててくれよ…」
モモタロス「おい待てよ!まだ…」
杏子「元々お前の仲間が見つかるまでの条件付きだったろ、それとゆまの世話もよろしく。
アタシはまた元の一匹狼に戻るだけさ、じゃあな!」
杏子はそのままデンライナーから降りていった、しかし杏子は先ほどの会話を耳にしてある事を思い悩んでいた。
杏子「過去に行けるのか…」
その頃まどかたちは…
~見滝原中学~
ほむらもリュウタロスの憑依状態からやっと解放されて、まどかたちと授業中の最中であった。
早乙女「暁美さんたらまたもや正解よ!
休学してたのにみんなと同じレベル…いえ…それ以上に勉強が出来るなんてスゴいわ!!」
ほむら「そんな大した事じゃないので…」
その様子を傍から見つめるまどかとさやかは…
さやか「まったく転校生のヤツ、病気で休学してておまけにここ数日はリュウタに憑依されて
ろくに勉強できる状態じゃなかったってのに何であんな勉強出来ちゃうわけ?
やっぱあいつ怪しくない?」
まどか「けど…私にはほむらちゃんが悪い子だとは思えないんだけどな…
それよりもさやかちゃん…」
さやか「うん…わかってるよ…」
まどかの指摘に視線を移すさやか、その視線の先には…
仁美「まったく…私という恋人がいながら暁美さんにまでアプローチするだなんて!
私…浮気は許しませんの!」
さやか「仁美…もう勘弁してくださいよ…」
先日のウラタロスの一件で半ば強引に恋人状態になってしまった仁美がさやかと
隣の席になっていた…
そんな授業が終わり昼休み、屋上でマミも加えて4人で話をする事になった。
マミ「それで暁美さん、あなたは一体何者なのかしら?」
さやか「そうだよ!
QBが言うにはアンタはQBと契約せずに魔法少女になったって言うじゃないの!
おまけに最初はQBの事を襲おうとしたし!」
ほむら「あなたたちには関係の無い事よ、無闇に首を突っ込めば危険なだけ…」
そう言ってほむらはマミたちの詰問を交わしていた、しかしまどかがある事を言うと
その態度は明らかに変わった。
まどか「ひょっとしてほむらちゃんって…1ヶ月後の未来から来たんじゃないの?」
ほむら「どうしてその事を!?」
それからまどかはウラタロスとキンタロスから聞いた話を整理して、ほむらに伝えた。
ほむらは1ヶ月後にワルプルギスの夜と戦うが何らかの理由で1ヶ月前のこの時代にこなければならなかったのではないかと…
マミ「けどこの仮説を立てるとなると、暁美さん…あなたの能力は…」
ほむら「そうよ、私の能力は時間操作。時を止めたり、または時間移動が出来るのよ。」
さやか(U)「へぇ、そいつはスゴい力だね!
ライダーでもそんな事が出来るのは中々いないよ。」
ほむらとの会話の最中に突如ウラタロスがさやかに憑依した状態で会話に入ってきた。
さやか(ちょっとウラタロス!勝手に憑依しないでよ!)
さやか(U)「ゴメンね、けど僕もどうしても聞きたい事があってね。」
何やら聞きたい事があるというウラタロス、だがそんなウラタロスを前にほむらは警戒する。
ほむら「その前に…私に憑りついていたイマジン…
リュウタロスはいないでしょうね、あいつの所為で散々な目に合ったのよ!」
さやか(U)「その点に関しては大丈夫、とりあえず仲間内で僕がキミと交渉する事になったから。」
ほむら「確かにあなたなら多少は冷静なやり取りが出来るでしょうね。
いいわ、教えてあげる。
私は本来この時間軸の人間ではない、未来の世界から来たのよ。」
まどか「未来の世界から!?」
さやか(U)「やっぱり、そうなるわけだね。」
マミ「け…けどどうして未来の世界から過去に来る必要があるの?」
さやか(U)「未来の世界の人間が過去の来る理由はいつだってひとつしかないよ。
それは勿論…」
ほむら「私は…どうしてもある事をやり直さなければならないの。
そのためにはどんな犠牲を払ってでも…」
まどか「ほむらちゃんがやり直さなきゃいけない事って何なの?」
ほむら「そ…それは…」
思わずまどかから目を背けるほむら、そんなやり取りの最中にもう一人の珍客が現れる。
QB「暁美ほむらは1ヶ月後にやってくるワルプルギスの夜を倒すために何度も繰り返しているからじゃないかな?」
マミ「QB!?
あなた最近姿を見せなかったけどどうしてたのよ?」
QB「姿を見せなかったとは言ってもたかが数日の事だろ、マミは大袈裟だな。」
まどか「そ…それよりもQB、さっきの話はどういう事なの?」
QB「言った通りだよ、暁美ほむらは時間移動を繰り返してこの1ヶ月間を何度も繰り返しているんだよ。
その目的は唯一つ、これから出現するワルプルギスの夜を倒すためにあるんだ。」
ほむらの目的がワルプルギスの夜の打倒と知り驚くまどかたち。
しかしここでマミにある疑問が浮かんだ。
マミ「ちょっと待って、暁美さんがワルプルギスの夜を倒すために時間移動をしているのは
わかったけど…それなら何で私や佐倉さんに応援を頼まないの?
一人じゃ無理なのだから繰り返すのなら協力して戦えば…」
マミのもっともな疑問、しかしその疑問に対してほむらは思わず感情を荒げてこう答えてしまった。
ほむら「無駄だからよ!あなたたちに…話しても誰も信じてくれないから!!」
思わず出てしまったほむらの本音、しかしウラタロスはこの言葉にある真意が隠されている事に薄々勘付いていた。
同じ頃…
<見滝原市の路地裏>
デンライナーから降りて一人魔女探索をしていた杏子は、
後を付けてくる気配に気づきその正体を突き止めようとしていた。
杏子「いい加減に…正体を現せ!」
ブンッ
魔法少女に変身して槍を振り回す杏子、その槍の先には杏子と同じ魔法少女たちがいた。
沙々「初めまして、佐倉杏子さん。
私は優木沙々、あなたと同じ魔法少女ですよ~♪
それと…付き人の織莉子とキリカです、あ…この二人は覚えなくてもいいですから!」
織莉子「…」
キリカ「…」
いきなり杏子の前に現れた優木沙々、彼女の狙いは杏子自身ではなく、杏子が関わっているモノであった。
杏子「同業者か、つまりグリーフシードがお目当てでアタシが邪魔って訳かい!
わかりやすいねぇ!」
武器を持ち構える杏子、しかし沙々に戦闘意志は無かった。
沙々「あの…早とちりしているようなので先に言っておきますけど…
私…戦いに来たわけじゃないんですよ、あなたにある助言をしたくて来たんです!」
杏子「助言だと?」
予想せぬ展開に思わず槍を下げ話を聞く杏子、だがその話というのはかつて杏子が犯した罪についてであった。
沙々「佐倉杏子さん、調べましたけどあなたはかつて…家族を亡くされましたよね。
それもあなたの願い事の所為で…」
杏子「それが何だってんだ!
テメェみてえな赤の他人には知ったこっちゃねえだろ!!」
思わず声を荒げる杏子、しかし沙々の言葉は単なる挑発ではなかった。
それはむしろ…
沙々「誤解なさらず、私はあなたに助言をしたいと言っているじゃないですか!
それに今のあなたにはやり直す手段がありますもんね♪」
杏子「やり直す手段……まさか…」
杏子は沙々の言いたい事がこの時点でなんとなくわかっていたが…
しかしその行いが本当に正しいのか恐くて言い出せずにいた…
沙々「そう、デンライナーですよ!
あなたのお友達が乗っている時間を行き来できる電車に乗って過去の世界に行けば家族を救う事が可能なんですよ!
それなのに何を迷う必要があるんですか?」
思わず悪戯な素振りで杏子に質問をする沙々、確かに自分も同じ事を考えてはいた。
だが杏子はかつて自分の願いの所為で家族を不幸にした過去があり、
また同じ事を繰り返すのではないかと恐くて…誰にも言えずにいた。
そんな杏子の心中を沙々は見抜いていた、そして…
沙々「大丈夫ですよ、今度こそあなたは家族を救えるはずです。
何といっても一度は失敗した過去をやり直せるんですからね、どうやったって失敗する訳がありませんよ!」
杏子「そ…そうか…
あの電車に乗って過去の世界に行けば…家族を…親父や母さん…それにモモを救う事が出来るはずだよな!
サンキュー!アタシ…やってみるよ!」
そう言い残し杏子は急ぎデンライナーの下へと向かった。
しかし…
???(お前も悪い女だな…)
沙々「あら、私は新設に助言をしただけですよ?
お馬鹿な子ほど可愛いと言いますけど本当ですね!
いいえ…可愛さ通り越して憐みすら感じるほどに…真実を知ればそれ以上の絶望が待ち受けてるとも知らないで…」
不気味な言葉を吐く沙々、映し出される彼女の影は…人間のモノではなくまるで畏敬の存在そのものであった…
<デンライナー車内>
そろ~り…そろ~り…
イカズチの状態で時の砂漠に停車中のデンライナー、そこに杏子は誰にも気づかれずに入ろうとしていた。
が…
ゆま「あ、杏子だ~!」
リュウタロス「本当だ、何してんの?」
ゆまとリュウタは車内で遊んでいるところであった。
杏子「あ…あぁ…ちょっと忘れ物を取りにな…
ところでモモタロスたちはどこに行ったんだよ?」
リュウタロス「二人とも寝ちゃってるよ、カメちゃんはお出かけだよ。」
リュウタロスが言う様にモモタロスとキンタロスは車内でごろ寝していた。
モモタロス「zzz」
キンタロス「zzz」
杏子「あぁ…変なヤツら、まあ丁度いいや。
ところでさぁリュウタ…アンタにちょっと聞きたい事があるんだけど…」
<時の砂漠>
同じ頃ウラタロスはまどか、マミ、さやか、ほむらをデンライナーへ招待しようとしていた。
ほむら「よくわかったわ。
あなたたちはデンライナーのオーナーという人に私の行動を制限するように言われてたわけね。」
ウラタロス「簡単に言うとそういう事、でもキミの事情を知ってようやく理解出来たよ。
オーナーは時の運行にうるさい人だからね、時の流れを乱すキミを止めるために僕たちに頼んだわけだね。」
さやか「よくわかんないな、転校生はワルプルギスの夜を倒すために過去を変えてんでしょ?
それなのに何で止めようとしちゃうの?」
さやかのもっともな疑問に対し、ウラタロスも少し自信の無い返事で答える。
ウラタロス「僕はオーナーじゃないからその辺はよくわからないんだけど…
『オーナー曰く過去の改変は如何なる理由があっても変えてはならない』だってさ。
それがたとえ良い行いだとしても…」
さやか「わっかんないな~、良い行いなら変えても良いに決まってるじゃん!
悪い行いをするよりよっぽどマシだと思うし!」
まどか「さやかちゃん…けどオーナーさんの言う事もわかる気がする…
きっと自分勝手にルールを変えちゃダメって事なんだよね。」
ほむら「…」
そんなやり取りが行われてる中、マミはふと自らの過去を振り返っていた。
マミ「やり直したい過去…もし本当にやり直せるなら…私も少し心当たりがあるのよね…」
まどか「マミさん…それってもしかして…」
マミの言う事に心当たりのあるまどか、それはかつて話してくれたマミの忌まわしい過去についてであった…
マミ「えぇ、事故で亡くした私の両親…
あの時願い事を『両親を助けて!』と祈っていれば今でも私のパパとママは…」
まどか「マミさん…」
気不味くなる雰囲気になった、さやかはそんなマミを見かねてウラタロスにこう頼んだ。
さやか「ね…ねぇウラタロス!
アンタたちのデンライナーで過去の時間に行ってひとっ走りしてマミさんの両親助けるわけにはいかないの?」
ウラタロス「…悪いけどそれは…」
ほむら「やめておきなさい、美樹さやか。
もしそんな事をしたらあなたとまどかは死ぬ事になってしまうわ。」
二人の会話に思わず口を挟むほむら、しかしさやかは何故自分が死なねばならないのかという疑問をほむらにぶつける。
さやか「ちょっと転校生!
何でマミさんの両親を助けちゃうと私とまどかが死ぬ事になっちゃうのよ!?」
ほむら「思い出してみなさい、あなたたちと巴マミの出会いを…
あなたたちは命辛々巴マミに救われた、もしQB以外の者が巴マミとその両親を救えば…」
まどか「あ、そうか!
マミさんは魔法少女にならずにすむけど…代わりに魔女の結界に入った私とさやかちゃんは…」
時の改変を簡単には行えない事にようやく気付くさやか、しかしそれでもさやかは諦めきれなかった。
さやか「け…けど…それじゃマミさんが…」
マミ「もういいわ美樹さん、両親の事は残念だけど私は魔法少女になれた事を後悔なんかしてない。
それどころか感謝しているわ、こうしてあなたたちと出会えたんだしね!」
まどか、さやか「「マミさん…」」
マミのその半ば強がりの混じる発言に居た堪れない気持ちになるまどかとさやか。
そんな時マミはふと思い出す、もう一人過去の改変をしたがる者の事を…
マミ「けど時の改変を行いたいのは私だけでなくむしろ佐倉さんでしょうね。
彼女も家族を失ったから…」
さやか「佐倉さんってモモタロスに憑依されてた子ですよね、あの子も何か事情があるんですか?」
マミ「ゴメンなさい、事情は言えないの…さすがに…簡単に話せる事じゃないから…」
ウラタロス「なんだか魔法少女って不幸な子ばっかりな気がするね…」
ほむら「そうね、強ち間違いではないわ。」
そんな会話をしながらデンライナー(イカズチ)に入ろうとした時であった、突如動き始めたのだ。
ガコンッ
ガッシャン ガッシャン
ウラタロス「なっ!デンライナーが動くだなんて!?
ちゃんと先輩たちに停車しておくように伝えたのにどうして!」
ほむら「そんな事心配してる暇は無いわ、さっさと飛び乗らないと電車に追いつけないわよ!」
ほむらとマミはすぐに魔法少女に変身して低速のうちにデンライナーに飛び乗ろうとしたが乗車口から誰かが追い出されてしまった。
ポイッ ポイッ ポイッ
まどか「誰かデンライナーから落ちてきたよ!」
リュウタロス「うわっ!?」
ゆま「きゃっ!」
キンタロス「zzz」
マミ「キンタロスさん!それにリュウタくんにゆまちゃん…一体どうしたの!?」
突如デンライナーから追い出されたリュウタロスたちから事情を訊ねるマミ。
だがその返答はとんでもないものだった。
リュウタロス「そ…それが…杏子にデンライナーの動かし方を教えた後、急にボコボコにされて…」
ゆま「ゆまたち…何もしてないのに追い出されちゃったの…うえ~ん杏子!?」
ほむら「そんなまさか…佐倉杏子が何故?」
マミ「佐倉さん出て来なさい!あなた何をしようとしているの!?」
マミの問いかけに杏子は乗車口から姿を現した。
杏子「悪いなみんな、けどこれさえあればアタシは過去の過ちを償う事が出来るんだ!
だから誰にもアタシの邪魔はさせない!」
そう力強く唱える杏子、その言葉を聞きマミは杏子の事を止める事は出来なかった。
しかし…
さやか「なんかよくわからないけど…ウラタロス行くよ!」
ウラタロス「OKさやかちゃん!」
ウラタロスはさやかに憑依してデンライナーに飛び乗り、杏子に挑んだ。
さやか(アンタ何でこんな事すんのよ!?)
杏子「うっせえ!部外者は引っ込んでいろ!!
アタシは今度こそ…家族を助けたいんだ!!」
槍を振り回し、何やら事情がある事を叫ぶ杏子。
しかしそんな事でデンライナーを奪う事はさやかが許すはずもなかった。
さやか(アンタにも何か事情ある事はわかったよ、けど…それなら何でデンライナーを奪うような真似をするんだよ!
ちゃんと話せば…)
杏子「ハッ、こいつらアタシがやろうとする事を話したら時の運行がどうとか言って止めようとしたんだ!
確かさやかとか言ったな、悪いがこればかりは誰にも邪魔はさせない!」
槍を握り刃先をさやかに向けて威嚇をした、しかしさやかは…
さやか(アンタの言いたい事はわかった、けどね…こんな方法は乱暴なやり方はやっぱり間違ってるんだよ!)
杏子「言って聞かせてわからねえ…殴ってもわからねえ馬鹿なら…後はもう…」
ジリッ ジリッ
お互い距離を図り牽制していた、そして…
杏子「後はもう…殺すしかないよな!」
さやか(U)「くっ!」
さやかに槍を向け突進を仕掛ける杏子、だがその行為は無駄に終わった。
カチッ
ほむら「…」
杏子「な…何をしやがった!?」
ほむらは瞬時に時を止め、杏子の背後を取り銃を突きつけ動きを封じる。
さすがの杏子も後ろを取られたとあっては太刀打ち出来ず、降伏をするしかなかった。
ほむら「諦めなさい佐倉杏子、これ以上続けるとなれば私も容赦はしない!」
杏子「くっ!?」
さすがにこの場にいる全員を相手にするのは歴戦の経験がある杏子とはいえつらいものである。
ドガァァァァァン!
キンタロス「zz…な…なんや!敵か!?」
マミ「キンタロスさん…まだ寝ていたのね…」
突然の爆音に驚く一同、何かと思い爆発のあった方向を見るとそこにいたのは…
沙々「フフ、初めましてみなさん。
私は優木沙々と言います、佐倉杏子さん…こんな事だろうかと思って助太刀に来ましたよ♪」
突如現れる優木沙々、そして沙々に付き従う織莉子とキリカ、それにベベ。
彼女たちはすぐにデンライナーに飛び乗って来た。
さやか(U)「女の子が大勢来てくれるのは大歓迎だけどさ、出来ればアポを取ってくれるとありがたいね。」
沙々「あらあら、そ~んな減らず口を叩ける余裕がありますか?
やってしまいなさい!織莉子、キリカ!!」
沙々は織莉子とキリカにさやか(U)とほむらを襲わせた。
さやかたち4人はデンライナーから降りて時の砂漠で戦い始める事になった。
ほむら「美国織莉子、呉キリカ、かつて違う時間軸で私と敵対した二人…
その二人が何故あの優木沙々という魔法少女に従っているの?」
思わずそんな疑問がほむらの頭を過らせるがそんな疑問に構っている余裕はなかった。
何故なら彼女たちはさやか(U)とほむらに激しい猛攻で押し寄せてくるからだ。
ほむら「くっ…これじゃ…」
さやか(U)「こうなったら…変身!」
『Rod Form』
さやか(U)は電王(ロッドF)に変身して迫りくる織莉子とキリカを迎え撃つ!
<コクピット>
??(ここだ、この部屋がデンライナーを操縦することが出来るコクピットだ。)
その頃デンライナーでは謎の声に導かれ杏子と沙々、それとベベがある部屋にやって来ていた。
ここはデンライナーのコクピット、その中心にはデンライナーの独立連動システムのバイク型コントローラーが置かれていて
このデンバードにライダーパスを装填する事でデンライナーは時間移動する事が可能である。
杏子「とうとう…やっちまったか…」
今まで子供一人生きていくために万引き、ATM破壊と多少の犯罪を重ねてきた杏子…
それは人知れず行っている魔女退治の当然な報酬だと自分に言い聞かせてきた。
しかし今回は違う、短い付き合いではあるが信じ合える者を裏切った行為が杏子に罪悪感を感じさせていた。
沙々「な~にしょげてるんですか?
あなたは今までこの程度の悪事を簡単にやってきたじゃないですか、今回だっていつも通りです。
所謂必要悪ですよ☆」
ベベ「ササノイウトオリ!ササノイウトオリ!」
杏子「必要…悪ね…」
確かに今更だと思う杏子、だがそんな杏子の前にマミが現れた。
マミ「佐倉さん!」
ベベ『マミ!マミ!』
沙々「うげっ!巴マミ!?
あのバカコンビ…肝心の巴マミを押さえ込めてないじゃないですか!使えないですねぇ…」
杏子「マミ…アタシは…」
思わず自分を止めに来たのだろうと身構える杏子、だがそうではなかった。
マミ「正直私には何が正しいのかわからない、あの日…別れ際に佐倉さんをちゃんと止められていれば
あなたはこんな事にはならなかったかもしれないのに…」
あの日とは…かつて巴マミと佐倉杏子は師弟関係にあった。
しかし『ある事』がきっかけで二人は決別してしまう、その心の傷は両者に深く残る形になってしまった…
杏子「あれはマミの所為なんかじゃないよ、けど悪いけどアタシは…」
マミ「行きなさい、行って今度こそあなたの家族を助けなさい。
私は今度こそあなたに幸せになってほしいから…」
そう言ってマミはデンライナーから降りてしまった、最後に頬から零れた一筋の涙を残して…
沙々「ハァ…助かりました…
正直この見滝原で一番手強い魔法少女の巴マミをまともに相手なんて出来ませんからね…
さぁ行きましょう佐倉さん。今度こそあなたの家族を助けにね…」
杏子「あぁ、アタシは絶対に家族を助けるんだ!」
そして沙々はチケットを杏子の頭にかざし、チケットからある日付が現れる。
その日付は2012年12月24日、奇しくもその日は去年のクリスマスイブであった…
そして杏子は沙々から渡されたチケットを持っていたライダーパスに挿入して、デンバードのキーボックスに差し込み
過去へ旅立つ準備が出来た。
すると過去へと繋がるワームホールが開き始め、デンライナーはその穴に向かい入って行く。
プァァァァァァン
杏子は今度こそ家族を助けるために過去の世界へと旅立って行った。
<時の砂漠>
一方こちらでは先ほど降りた電王(ロッドF)とほむら、それに織莉子とキリカが戦闘を始めていた。
電王(ロッドF)「正直女の子に暴力を振るうのは僕のスタイルじゃないんだけどな。」
ほむら「油断しないで、あの二人は魔法少女でもかなりの強さを誇るのよ。
油断するとあなたでも…」
ほむらの忠告通り織莉子はオラクルレイを出してほむらを、
そしてキリカも鍵爪を出して電王(ロッドF)に接近戦を挑んできた。
だが…
ガキィンッ
ほむら「おかしい…以前手合わせした時はこの二人…もっと強かったはず…
なのに以前とは比べものにならない程精度が落ちているわ。」
電王(ロッドF)「本当だね、この子たちやる気あるのかな?」
一気に畳み込もうと接近戦を持ち込んだその時…
キリカ「デネビックバスター…」
織莉子「マチェーテディ…」
ジャキィンッ
彼女たちは突如ウラタロスたちが見知った武器を取り出し攻撃を仕掛けてきた。
ほむら「この武器は何!以前の二人はこんな物持っていなかったわよ?」
キンタロス「おいカメの字大丈夫か…ってあれは…!」
電王(ロッドF)「あぁ、間違いないよ。おデブちゃんと…それにテンちゃんだね!」
本来なら仮面ライダーゼロノス(ゼロフォーム)と仮面ライダーNEW電王の専用装備である
デネビックバスター、マチェーテディであるが何故か持ち主は不在で代わりに武器だけがこの世界に来たのが現状が把握できなかった。
そんな時誰かが呼ぶ声が聞こえてきた。
デネブ(お~い、助けてくれ!)
テディ(頼む!私たちは身動きが取れないのだ。)
キンタロス「お前ら一体何があったんや!?」
デネブ(うぅ…こっちの世界に来てからこの状態のままになってしまって…)
テディ(そんな私たちを彼女たちが拾ってくれたのだ!)
どうも二人はこの世界に来てから元の姿には戻れず、その間織莉子たちと一緒にいたようであった。
そして彼らは涙ながらこう訴える。
デネブ(二人ともいい子なんだ、それなのにこんな悪い事をするのは…)
テディ(あの沙々という少女に操られてしまっているのだ!)
ほむら「つまり操られている所為で能力が出し切れていないのね。」
電王(ロッドF)「なら話は簡単だ、この子たちを解放してあげればいいって事だね。僕にお任せ♪」
そう言うと電王(ロッドF)はデンガッシャーを振り回し、織莉子たちの動きを牽制する。
そして動きを抑えようとしたその時…
ほむら「待ちなさいウラタロス!この二人を正気に戻すわけにはいかない!」
ほむらが何故か電王(ロッドF)の邪魔に入ってきた。
もしも織莉子たちが正気に戻れば今度はまどかの身が危ないと考えていたのだ。
電王(ロッドF)「ちょっと…今はそんな事気にしている場合じゃ…」
ほむら「黙りなさい、私にはまどかの安全が第一よ!」
しかしこれが隙になってしまい、二人の反撃を許してしまう。
織莉子「…」
キリカ「…」
ドオオオン
ほむら「ぐふっ!?」
電王(ロッドF)「ほら…言った通りじゃないか…」
リュウタロス「カメちゃん!」
ゆま「それにお姉ちゃん!」
思わず地に伏してしまうほむらと電王(ロッドF)、にじり寄る織莉子とキリカを前に
さすがにこれまでかと覚悟するが…
マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」
シュルシュルシュルシュル
織莉子「!」
キリカ「?」
マミの得意とするリボンの拘束魔法、これにより二人の動きは完全に拘束することが出来た。
ほむら「助かったわ、巴マミ。けどデンライナーは?」
マミ「ゴメンなさい、私には止められなかった…」
申し訳なさそうに言うマミ、そもそも自分には最初から杏子を止める資格など無いのだと…
まどか「そんな…マミさんの所為じゃないですよ!」
マミ「いいえ、私があの子の事をもっとわかってあげていればあんな事には…」
さやか(あんな事って…マミさんと杏子に昔何があったんですか?)
マミと杏子の過去について何があったのか訊ねるさやか、だがウラタロスはそれよりもまず…
課帰結すべき問題を指摘する。
電王(ロッドF)「あのさぁ、まずはこの子たちの洗脳を解かなきゃダメだと思うんだけど…」
デネブ(頼む、早く洗脳を解いてあげてくれ!)
テディ(私からも…お願いする!)
ほむら「そう言われても…洗脳の解き方なんて知らないわよ。」
マミ「私も…そんな精神操作なんて私には…」
マミもほむらも魔法少女とはいえ、精神操作はまったくの専門外であった。
キンタロス「だったら…俺に任しとき!」
ゴツンッ ゴツンッ
織莉子「痛っ!?」
キリカ「ごへっ!?…あれ?私たち今まで何を?」
まどか「げ…ゲンコツ!」
マミ「痛そうだわ…」
キンタロス「正気を戻すのはこれが一番や、古いTVだってそうやろ!」
電王(ロッドF)「キンちゃん…女の子にはもっと優しくね…」
ゲンコツという古風な荒療治で正気を取り戻した織莉子とキリカ。
二人に何でこんな事をしたのかと聞いてみると…
織莉子「え~と確か…
私とキリカはテディとデネブの力を借りてあの優木沙々という魔法少女を追い詰めたんです。」
キリカ「そして…あいつが『ある事』を聞いて…絶望した瞬間…あいつに何かが憑りついたんだ!
そしてヤツの力は増大して…私たちはあいつに操られてしまったわけさ…」
織莉子とキリカから沙々との経緯を聞き、事態を理解するほむら。
しかしほむらはそんな彼女たちに敢えて銃口を向けた。
ジャキッ
まどか「ほ…ほむらちゃん!?」
マミ「暁美さんやめなさい!」
キリカ「お前!織莉子に何をする!?」
ほむら「黙って、美国織莉子。
私はあなたが未来予知の能力を得ているのは知っているわ。
ならば当然ここにいる鹿目まどかがどうなるのかあなたは予知しているはずよね。
つまりあなたは…まどかを…」
ほむらからの唐突な質問、その真意は未来を知る二人にしかわからない事であった。
織莉子は顔を俯き、重苦しい表情になるがそれでもほむらの目を見てこう答えた。
織莉子「恐らく…以前の私ならあなたが危惧していた通りの事を実行していたかもしれませんね。
汚名を着せられた父の所為で暗いどん底の想いをする日々…そんな私だったら…」
ほむら「なら…!」
織莉子「けれど…キリカと出会い、そしてテディやデネブとも触れ合い…
私は今まで父を通して知り合った人々とは違った出会いをした、そんな今の私なら…
そこにいる鹿目まどかさんを殺すような真似は絶対にしないとあなたに誓ってみせます!」
テディ(そうだ、私からもお願いする!
織莉子は異世界からやってきた私たちの事を助けてくれたんだ!)
デネブ(織莉子もキリカもこの世界では武器のままだからろくに移動も出来ない俺たちを助けてくれたんだ!
二人はいい子なんだ!そんな二人をどうか信じてやってくれ!!)
キリカ「え~と…え~と…私からもお願いだ!」
かつてはまどかの命を真っ向から狙ってきた織莉子とキリカ。
しかしそんな彼女たちがイマジンのデネブとテディと触れ合い、命の重さを知ったのであろう…
ほむらが思わず拍子抜けするような変貌ぶりであった。
ほむら「出会いか、私もまどかと出会えたから変われたのかも…
いいわ、あなたたちの事を信じてあげる。その代わりもし裏切ったら…」
織莉子「その時はあなたの自由になされて構わないわ。」
ほむらにとっては悪い条件ではない、織莉子たちと過去に戦闘した経験のあるほむらにとって
敵であれば確かに手強いが味方になればこれほど頼もしい存在はいないだろう。
あのワルプルギスの夜相手ならば戦力があるに越した事はないのだから…
こうしてこの場での戦闘は一旦回避され、この場は落ち着きを取り戻す。
ウラタロスも変身を解きさやかと分離するがそのさやかがまだ解決していない問題を指摘する。
さやか「それでさ…杏子に関してはどうするつもりなんですか!
あいつ過去の世界に行っちゃったみたいだし…」
確かに杏子はデンライナーを乗っ取り過去の世界へと行ってしまった。
しかしマミはそんな杏子を責める事は出来なかった…
マミ「確かに佐倉さんは過去の改変を行おうとしているわ、けどそれには理由があるの…」
そしてマミは語り始める、杏子が何故このような強行手段に出てまで過去の改変を行うのかを…
マミ「佐倉さんの家は隣町にある風見野の教会よ。
彼女のお父様は信仰深い人でいつも人の不幸を嘆き悲しんでいたわ。
そんなある日、佐倉さんのお父さんが教会の信仰とは違う教えを広めようとしたの…
当然教会側は彼を糾弾し、破門されてしまった。
その所為で当時の佐倉さんは食べる物にも困るほど貧しかったと聞くわ…」
まどか「隣町の教会…確か一時期ニュースで聞いた事があります!
いきなり現れた新興宗教が隣町で評判だって噂を…けど確かその教会って…」
マミ「えぇ、その後佐倉さんはQBと契約して教会を盛り立てる事には成功したわ。
けど…ある日そのカラクリが佐倉さんのお父さんにバレてしまった…
その所為でお父さんは酒浸りになって…最後は…」
同じ頃デンライナー内では…
モモタロス「zzz…プリンプリン…ムニャムニャ…うん?」
実は誰にも気づかれる事も無く車内で熟睡していたモモタロス。
ふと気づくとデンライナーが過去の世界に急行している事に驚き、急いでコクピットの方へとやって来た。
<コクピットルーム>
モモタロス「誰だ!勝手にデンライナー動かしてるヤツは!?」
モモタロスがコクピットに駆けつけるとそこには杏子と沙々、それとベベがいた。
杏子「モモタロス、何だ起きちまったのか…
すっかり熟睡してたし連れて行っても問題ないとは思ってたが…もう発進しちまったよ。
悪いがアタシの用事が済むまで大人しくしててくれないか?」
杏子はモモタロスの前に連鎖結界を張り巡らせ、自分たちに近付かないようにした。
モモタロス「バッカヤロー!何でこんな事しやがるんだ!?」
杏子「うるっせえ!今度こそ…アタシは家族を助けるんだ!!
アタシがバカな願いを頼んだ所為で…親父は…絶望しちまって…そして…
あれは去年のクリスマスの夜だった、魔女退治を終えて家に帰ってくるとそこに在ったのは…
親父に殺されて血塗れになった妹と母さん…それに首吊って死んでる親父がいたんだよ!!」
モモタロス「!?」
杏子「アタシがあんなバカな願いを頼んだ所為で親父はアタシを残して一家心中しちまった…
その過去をどうしても変えたいんだ!!」
同じ頃、ウラタロスたちもデンライナー・イスルギを召喚してイカズチの後を追っていた。
マミ「…と言う訳よ…」
マミから杏子の事情を聞き重苦しい雰囲気に包まれる全員、杏子が何故こんな事をしてまで
時間改変を行うのか、その理由がようやくわかった…
さやか「そんな事情があったなんて…」
まどか「酷い…こんなのってあんまりだよ!?」
思わず杏子の境遇に同情してしまうまどかとさやか、しかしそれでもイマジンたちは…
キンタロス「確かに悲しい話や…けどそれでも時間改変はやってはあかんのや!」
ウラタロス「キンちゃんの言う通りだよ、どんな事があっても時間改変は行っちゃいけないんだ…」
デネブ(あぁ、悠斗も言ってるよ。何があっても時間改変はやってはいけないって…)
さやか「何でだよ…何でそんな事言うんだよ…
杏子は家族を亡くしたんだよ!誰だってそんな過去変えたいはずじゃない!?」
涙ながらに訴えるさやか、ウラタロスたちもそんなさやかの気持ちがわからないわけではなかった。
そして同じくイカズチでも…
杏子「そういう事さ、わかったら黙って見ていろ!」
モモタロス「なるほど、お前が必死なのはわかった。だがな…それでも俺は止めるぜ!」
杏子「お前…まだ…」
一触即発寸前の杏子とモモタロス、だがその光景を見ていた沙々は思わず高笑いをしてしまう。
沙々「フフ、ププ…アーハハハハハハ!!
笑えますねぇ、失った家族のためにですか…正直…滑稽ですねぇ!」
モモタロス「滑稽だとぉ?」
沙々「まぁ…面白ついでですからちょっと早いですけどネタ晴らししちゃいましょうかね♪」
杏子「ネタ晴らしって…お前何を言って…」
沙々の発言に思わず困惑する杏子とモモタロス、それと同じくその場にもうひとつ不穏な声が響き渡った。
???(おい待て、まだ早い!)
沙々「大丈夫ですよ、どうせここまで来ればすぐですしね…」
モモタロス「何だ?この声どっかで聞き覚えが…」
沙々「コホン、それでは何故私が馬鹿笑いしたのかネタ晴らししちゃいますね~☆」
一方イスルギに隠れて乗車していた者が要らないお節介でその理由を説明する。
QB「そもそも時間改変なんて無意味なのさ。」
マミ「QB!?」
ほむら「お前…いつの間に…」
QB「キミたちの跡を付けてきてだけだよ、しかし人間の科学力も侮れないね。
まさか時間移動の手段を行う科学力があるとは…」
デンライナーの技術に率直に称賛を称えるQB、その皮肉にしか聞こえない発言を聞き流し
さやかは先ほどQBが言った言葉に対して疑問を投げかけた。
さやか「アンタ…さっきの話はどういう事よ!何で杏子のやる事に意味が無いんだよ!?」
マミ「美樹さん落ち着いて!」
まどか「そうだよ…QBの首絞めたら死んじゃうよ!?」
ほむら「安心しなさいまどか、そいつは殺しても代わりがすぐに現れるわ。」
織莉子「えぇ、私たちも以前殺したけどすぐに代わりが出てきたわ。」
キリカ「まったく…こいつはゴキブリだね。」
QB「暁美ほむら、キミというヤツはどこまで事情通なんだか…
さて、先ほど僕が言った事だけどそもそも時間改変をしたところで改変前の時間軸にはまったく影響なんかでやしない。」
QBの口から出た回答、一体それはどういう事なのかと訊ねるが…
QB「そもそも時間改変なんてそんなに都合のいいモノじゃない。
もしも時間改変を行った場合、それ以前の時間軸とは別の時間軸となり分岐してしまう。
つまりパラレルワールドになるんだよ。」
まどか「パラレルワールド?」
ほむら「!?」
さやか「それって…何?」
織莉子「簡単に説明するとifの世界という事です。
例えば美樹さん、あなたはこの世界では魔法少女になっていませんが他の世界では魔法少女になって
魔女と戦っていたかもしれない世界があると…そういう訳です。」
キリカ「さすが織莉子、博識だね!」
さやか「な…なるほど…けどそれと杏子がやろうとしてる事がどうして無駄になるわけ?」
QB「ふぅ、つまり説明するとこのまま杏子が時間改変を行えば…
杏子が家族を救った時間軸と救わなかった時間軸に別れるだけなんだ。
無論そうなったところで今の時間軸には何の影響も起こる事はない、つまり…」
QBが最後に言う言葉が…同じくイカズチで杏子に説明をしている沙々と同じ言葉であった。
沙々「まったくの無駄なんですよ☆」
杏子「な…なんだと?」
モモタロス「テメェ…」
杏子「ハ…ハハ…結局アタシは…家族を救えないってのかよ…」
沙々の言葉を聞いた杏子の心はまるで暗闇に閉ざされたみたく深い絶望に包まれた。
パリィンッ
その時、モモタロスの前に張られていた連鎖結界が突如解除される。
急いで杏子の下へ駆けつけてみるとソウルジェムに明らかな異変が起きていた。
モモタロス「何だこりゃ…黒く濁りまくってやがる!」
杏子「どうなってやがる…ソウルジェムの濁りがこんなに濃くなるだなんて…」
沙々「それはそうでしょうね、唯一の希望が絶たれてしまったのですから。
あなたはいい手駒でしたよ、私をこのデンライナーへと導いてくれたのですから。
お礼にひとつ、QBが言わなかった『大事な事』を教えてあげましょう…」
沙々が杏子にその事を教えようとすると同じくイカズチはワームホールを抜け、過去の世界にやって来た。
そこは2012年12月24日、かつて杏子の父親が一家心中を行った時間であった。
その証拠にデンライナーの窓からは、かつての杏子の父が営んでいた廃墟になる前の教会が見えていた。
杏子「こ…この時間軸に親父たちが…
けどダメだ…まるで力が入らねえ…どうなってんだよおい!?」
ソウルジェムの濁りがますます激しくなる、そしてその濁りが頂点を迎えた時…
ある現象が起きた。
ブァァ
モモタロス「何っ!こいつは確か…グリーフシード!?」
杏子「な…何でソウルジェムがグリーフシードになるんだよ!?」
二人の当然の疑問が沸き立つ、しかしそんな杏子たちの疑問を沙々は冷酷な目で見つめながら答えた。
沙々「それはそうでしょう、魔法少女は…」
そしてイスルギでも…
さやか「けど…あの沙々っていう子は何で杏子にそんな事をやらせようとしたんだろ?」
QB「その疑問について僕にある考えがあるんだ。
もし杏子が真実を知った時、彼女は深い絶望に包まれる。そうなれば…」
この時、ほむらと織莉子はQBが言い終わる前に事の真相がわかった。
そしてこの場にいるみんなには聞かせるわけにはいかなかいと思い、すぐにQBの口を封じようとしたが遅かった…
QB、沙々「「絶望に包まれた瞬間、魔法少女は魔女と化す。」」
その言葉を聞いた瞬間、杏子は絶望に包まれ…
杏子「うわぁぁぁぁぁぁ!?」
イカズチから一筋の光が降り立った。
その光はやがて禍々しい邪気に包まれ、辺りは魔女の結界に包まれる。
モモタロス「おい…杏子!しっかりしやがれ!」
モモタロスは既に抜け殻となった杏子の身体に向かい何度も呼びかけるが返事は返ってこなかった。
沙々「無駄ですわ、魔法少女にとって本体は肉体ではなく魂を物質化したこのソウルジェムが本体なんですから。
そのソウルジェムが絶望に包まれグリーフシードに変換した。
こうなれば後に現れるのは…」
モモタロス「なんだと!」
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
辺りが魔女の結界に包まれた、その結界から一匹の魔女が現れる。
その魔女こそ佐倉杏子の成れの果て…
武旦の魔女:オフィーリア
その姿は頭は蝋燭になっており中華風の着物を着込んでいて、騎馬兵のような勇猛さを感じさせる魔女であった。
手には杏子が得物とする槍を武器として、それが杏子の魂の成れの果てであると証明しているかのように…
モモタロス「ふざけんなよ…杏子…こんなの俺は認めねえぞ!!」
モモタロスは抜け殻になった杏子に憑依して魔女オフィーリアに立ち向かって行った。
同じ頃、この時間軸にて一台のバイクが立ち止まり邪悪な気配を感じていた。
キッキッ
??「この邪悪な気配は何だ?あの教会から感じるぞ!」
ブロロンッ
青年は再びバイクを動かし、邪悪な気配のする教会に向かって行った…
プアァァァァァン
イスルギもようやくイカズチが降りた時代の2012年12月24日にやってきた。
しかし車内では杏子のデンライナー強奪以上の事態が発生していた。
ダンッ ベチャッ
車内に銃声が響く、撃った張本人はあの巴マミ。撃たれたのはQBであった。
次に彼女が向けた銃口の先には同じ仲間である魔法少女たちがいた…
キリカ「おい…巴マミ!何で発砲する!?」
まどか「そうですよ!マミさん落ち着いて!」
ほむら「無駄よまどか、こうなった巴マミはもう…」
ほむらは幾つもの時間軸で今の状況と似たような経験をしていた。
魔法少女の真実は巴マミに耐えられるものではない事を…
マミ「魔法少女が魔女になるなら…みんな死ぬしかないじゃない!?」
ジャキッ
織莉子「このままじゃ…全員巴マミに殺されてしまうわ…」
さやか「マミさん正気になって!?」
ゆま「マミお姉ちゃん!」
彼女たちの叫びなど最早耳には届きはしない、誰もが死を覚悟した。
キンタロス「待つんやマミ!」
シュィンッ
キンタロスは咄嗟にマミに憑依してこの場を治める事に成功する、だがこれで解決という訳ではなかった。
マミ(キンタロスさん!何で邪魔するのよ!私は!私はぁぁぁぁ!?)
マミの精神は発狂状態であった、キンタロスが憑依していなければあっという間にソウルジェムが
グリーフシードと化していたかもしれないのだから…
マミ(K)「暫く大人しくしとるんや!」
マミ(…)
キンタロスに抑えられマミの精神は眠りのような状態に陥りとりあえずこの場は治まった。
ウラタロス「ふぅ、とりあえずこれで当面の問題はどうになかったわけだけど…」
そこでウラタロスはほむら、織莉子、キリカの三人に注目する。
三人も同じ魔法少女だというのに何故冷静なのか少し疑問に感じていたからだ。
ウラタロス「ところで…キミたちも同じ魔法少女だというのに驚かないんだね。
普通は自分が化け物になるだなんて事実を知ったらマミちゃんみたく発狂寸前になるかと思うんだけど?」
ほむら「でしょうね、けど私は前もって知っていたから…
だからこそまどかたちに幾度に渡って警告していたのよ。」
まどか「あ…出会った時のあの時の話はそういう事だったんだ…」
まどかの言う話とは、ほむらが転校初日にまどかに告げた言葉…
『今とは違う自分になろうだなんて絶対に思わない事ね、さもなければ全てを失う事になる…』
今にして思えばあれは魔法少女になるなという警告であったのだ…
まどか「ほむらちゃん…あの時私を心配してくれて…」
ウラタロス「それで…織莉子ちゃんたちも知ってたわけかい?」
織莉子「えぇ、私には予知能力があるからそれでQBの企みがわかりましたから…」
キリカ「私も織莉子に聞かされた時は多少ショックではあったけど…
織莉子と一緒に居られる事に変わりは無い訳だし魂の在処なんて正直どうでもいいさ。」
さやか「ハハ…逞しい回答だよね、私だったらマミさんほどじゃないけど周りに当たり散らしてたかも…」
ほむら、織莉子「「えぇ、その通りよ。」」
さやか「へ?」
ほむら「もしあなたが魔法少女になっていたら高確率で魔女化になっていたわ。
今回は…イマジンたちのおかげで助かったけど…正直あなたが魔法少女に関わると碌な結果にならないのよ。」
織莉子「私の予知でもあなたの魔女化は確率が高かったわ、今回はそうならなくて良かったですね…」
さやか「なんか…バカにされてるようで素直に喜べないんだけど…」
ほむらと織莉子にボロクソに言われるさやか。
そんな事はさて置いてリュウタロスがまだ解決してない問題をどうするかと告げてきた。
リュウタロス「でさ、結局これからどうするわけ?」
さやか「どうするって決まってんじゃん!杏子の後を追うんだよ!」
まどか「そうだね、杏子ちゃんがどうなったか心配だし…」
ゆま「早く杏子を探さないと!」
確かに杏子たちを追わなければならないのだが、しかしウラタロスはここである提案を持ちかける。
ウラタロス「ねぇ、とりあえず杏子ちゃんの事は先輩に任せておこうよ。
それよりも僕たちは根本的な問題を解決したいと思うんだけど…」
さやか「根本的な問題?」
ウラタロスの言う根本的な問題、この時点では誰もがウラタロスの言葉の真意を理解出来なかった。
それとは別にウラタロスにはもうひとつ気になる事があった。
ウラタロス「ところであの沙々って子はどうやってデンライナーに入ってこれたんだろ?
もし僕たちの後を尾行してたらさすがに気配で気付いたはずなのに…」
マミ(K)「せやな、デンライナーに入るにはパスが必要なんやけど…」
二人が疑問に思う中、織莉子がその事に関してある発言をする。
織莉子「あの…その事なんですけど…実は…」
ウラタロス「えぇっ!?」
マミ(K)「あいつ生きとったんかい!?」
リュウタロス「そういえば僕…あいつにボコボコにされたままだ、今度こそ絶対倒すよ!!」
織莉子から告げられた出た敵の正体、それはかつて電王たちが戦った因縁のある相手の名であった。
<魔女の結界>
杏子(M)「杏子ー!しっかりしやがれ!!」
魔女オフィーリアの力により発生した魔女結界。
そこではモモタロスが必死に杏子の魂の成れの果てであるオフィーリアへ呼びかけているが…
ドガッ
杏子(M)「ぐふっ!?」
オフィーリアはその叫びに応える事は無かった、それどころか攻撃を仕掛けてばかりで
さすがに防戦だけではきつい状態が続いていた。
そこへイカズチから降りてきた沙々が声を掛けてきた。
沙々「バカですねぇ、あなたがいくら叫んでもこの魔女は絶対に応えないのに…」
???「その通りだ、モモタロス…お前の愚かな行動は相変わらずだな。」
沙々とは違う声が聞こえてきた、その声の主にモモタロスは聞き覚えがあった。
杏子(M)「テメェ…どっかで聞いた事ある声してんな…一体誰だ!?」
沙々の身体から突如砂の形をしたモノが出てきた、それこそ先ほどからの謎の声の正体である。
その姿はまるでモモタロスと酷似したような姿をしていた。
ネガタロス(久しぶりだな、俺様だよ!ネガタロスさまだ!!)
杏子(M)「お…お前!死んだはずじゃ!?」
なんと沙々に憑りついていたのはかつて電王たちとの戦いで敗れたネガタロスであった。
何故ここにネガタロスがいるのか、それは…
沙々「私が美国織莉子たちとの戦いで敗れそうになった時、彼に助けてもらいましたの!」
ネガタロス「沙々はこの俺の新しい契約者だ!
もう俺はかつてのヘマはしねえ、今度こそ完璧な悪の組織を作ってやるんだ!」
そう告げるとネガタロスは再び沙々の身体に入り、ライダーパスとデンオウベルトを取り出す。
沙々「変身♪」
『Nega Form』
沙々が変身した姿、それは一見電王(ソードF)と瓜二つの姿だがネガタロスのオーラを反映させていて
特徴として装甲に赤紫の特徴があった。
ネガ電王「この姿になるのも久しぶりだな、さて…そこにいる魔女とこの俺…
今お前は絶体絶命の危機に立たされている、だが降参して俺さまの軍門に下るというなら…
お前の身の安全は保障してやらなくもない、かつてはこの俺さまを敗ったお前だ。
これでも高く買っているんだぜ!」
オフィーリア『…』
杏子(M)「チィッ!誰がテメェらなんぞの軍門に下るかクソッタレ!!
それに杏子は俺が必ず救い出してやる!!」
ネガ電王「ふぅ、仕方ないな…」
ネガ電王はデンガッシャーソードモードを振り降ろそうとする、だが…
ダンッ!ダンッ!ダンッ!
オフィーリア『!?』
ネガ電王「ぐわぁっ!?」
沙々(な…何ですの!)
突然ネガ電王とオフィーリアに当てられた銃弾、一体何が起きたのかわからずにいた。
??「か弱い(?)女の子を相手に化け物たちが寄って集って攻撃するなんて感心しないな。」
魔女の結界内に一人の青年が現れた、青年は先ほど撃った銃をしまい次に指輪を出した。
沙々「ゆ…指輪?そんな物で何をする気ですか!?」
晴人「俺は操真晴人、指輪の魔法使いだからさ。」
晴人は腰のチェーンから赤い指輪を一つ取り出し左手の中指にはめる。
『ドライバーオン!プリーズ!』
『シャバドゥビタッチヘンシーン!』
『シャバドゥビタッチヘンシーン!』
晴人「変身!!」
『フレイム』
『ヒィーヒー!ヒーヒーヒー!!』
指輪から魔法陣が発せられ晴人はその魔法陣を潜り抜ける。
変身した晴人は黒い魔法衣・ウィザードローブを羽織り、赤い仮面の畏敬の姿と化していた。
沙々「仮面ライダー?」
ネガ電王「まさかこいつもだとは…」
杏子(M)「お前は…確か…ウィザード!?」
ウィザード「そう、俺はウィザード。仮面ライダーウィザードだ!」
仮面ライダーウィザード、彼は謎の儀式サバトによって生み出されたファントムを倒す事を
使命としている仮面ライダーだ。
ファントムたちからは『指輪の魔法使い』と恐れられ、歴代仮面ライダーで唯一の魔法使いでもある。
※ちなみにこの時間軸は去年の日付なのでウィザードはファントムとの戦いの真っ最中である。
そしてウィザードはネガ電王とオフィーリアを相手にこう宣言した。
ウィザード「さあ、ショータイムだ!」
ウィザーソードガンを取り出し、ウィザードは魔女オフィーリアとネガ電王相手に戦闘開始する。
ガキンッ バシッ
ウィザードはネガ電王と一対一の対決をするものの、やはり魔女オフィーリアがそれを阻もうとしてくる。
ウィザード「それならば…これだ!」
『コピー!』
ウィザードはコピーの魔法を発動させ複数の分身を作る。
その分身たちはそれぞれオフィーリア、ネガ電王をかく乱させ一気に押し倒そうとするが…
オフィーリアへの攻撃をモモタロスは身体を張って止めようとした。
ウィザード「おい、危ないぞ!」
杏子(M)「待ってくれ!こいつは…杏子なんだ…俺はこいつを元に戻すと約束したんだ!
だから…頼む!」
モモタロスの必死の叫びにウィザードも頷いた。
ウィザード「なるほど、つまりゲートってわけか。なら…このリングを使おう!」
ウィザードはエンゲージリングを取り出し、それを倒れ伏している魔女オフィーリアに付けさせた。
ウィザード「さてと、これを付けてと…」
オフィーリア「??」
状況を察することが出来ないオフィーリア、しかしそんな事はお構い無しに
ウィザードはオフィーリアのアンダーワールドへの魔法陣を開いた。
ウィザード「これでこのゲートのアンダーワールドへ行く事が出来る。
だから後は俺に任せてキミは…」
一人単独でアンダーワールドへ向かおうとするウィザードだがそうはさせまいと
杏子(M)もくっ付きそのままアンダーワールドへと入って行った。
ウィザード「お…おい!何で付いてきた!?」
杏子(M)「うっせぇ!いいからこのまま行くぞ、待ってろよ杏子!」
ネガ電王「くっ、ヤツら…俺の事は無視して突然いなくなりやがって!」
沙々(けど…あの二人…どうやらこの魔女の心の中に入って行ったようですね。
なら…この魔女を倒せば二人は永遠に閉じ込められたままになりますわ!)
ネガ電王「なるほどそいつはいい!」
ネガ電王は沙々の意見を聞き、さっそく倒れ伏している魔女オフィーリアへ止めを刺そうとする。
だが…
??「待て待て!そいつへの攻撃はこの俺が許さねえ!」
突然謎の男が沙々たちの邪魔をしてきた。
沙々(今度は何ですの!?)
さすがに怒る沙々であるが男はマイペースな態度を取っていた。
??「まぁまぁ、みなまで言うな。さっきあの二人はアンダーワールドへ入って行ったんだろ。
なら解決するまで待ってやればいいじゃねえか。」
沙々(何やら事情通のようですけど…私たちにそんな義理はありませんねぇ!!)
ネガ電王「そうだ、お前が何者か知らんが…ここで死ね!」
ブンッ
ネガ電王は怒りのままデンガッシャーを振り降ろすが、男は余裕で躱しながら先ほどの晴人と同じくリングを取り出していた。
沙々(それはさっきの男が持っていたリング?まさかあなたも!?)
仁籐「そうだ、俺の名は仁藤攻介!またの名を…」
そう言うと仁藤はビーストウィザードリングをセットしてビーストドライバーを発動させる。
『ドライバーオン!』
ベルトから発せられる音声コールと共に仁籐は変身する。
仁籐「変~身ッ!!」
『セット!オープン!L・I・O・Nライオーン!!』
ベルトからの音声コールと共に魔法陣が発動し彼はまるでライオンの顔を模した仮面の戦士へと変身を遂げる。
ビースト「これが仮面ライダービーストだ!さぁ来いよ、ランチタイムだ!!」
ネガ電王「ランチタイムだぁ?今は昼飯時じゃないだろ!!」
ビーストは自身の武器であるダイスサーベルを取り出しネガ電王に戦いを仕掛ける。
ガシッ バシッ
ビースト「うらっ!おらっ!」
ネガ電王「くっ!?」
ビーストとネガ電王の鍔迫り合い、だが突如現れたビーストの方が力が上のようで次第に押されていった。
ネガ電王「このままじゃ…」
ビースト「一気に行くぜ!」
そう言うとビーストウィザードリングを再度セットしビーストは必殺技の態勢を取った。
『キック!ストライク!』
ビースト「行くぜ!ストライクビースト!!」
放たれるビーストの必殺技、しかし幸いな事にその技はネガ電王の急所を外しており
変身を解除されはしたものの憑依者の沙々が大怪我を負う事は無かった。
ネガタロス(くっ、貴様…手加減したな!)
ビースト「さすがに女の子相手に本気出すほど大人げない真似はしねえよ。
見逃してやるからさっさと行きな!」
沙々「まあいいですわ、私たちの当面の目的は果たせましたし…今日の所はこれで引き上げますけどね!」
沙々は奪ったデンライナーイカズチでそのまま逃走を図った。
敵がいなくなった事でビーストもこの場を去ろうとするが…
ビースト「指輪の魔法使いか、縁があったらまた会う事になるかもな。」
そう言い残しビーストもこの場を去って行った。
この少し後に仁籐は晴人と出会い、一緒にファントム退治をする事になるのだが
それはまだ先の話である…
<アンダーワールド>
一方魔女オフィーリアのアンダーワールドでは…
杏子(M)「変な空間だぜ、こいつは一体何だってんだ?」
ウィザード「気を付けろ、ここはアンダーワールドだ。
ゲートが過去に経験した記憶のうち、最も心に深く刻まれた心象風景を再現している空間だ。」
ウィザードがそう言うと二人の前に教会が建っていた。
扉を開けて中に入るとそこには杏子がいた、しかし杏子はその身を鎖で縛られて…
その姿はまるで聖女が自らの罪を懺悔するためにその身を縛り付けているような光景である。
杏子(M)「待ってろよ、今助けだして…」
ウィザード「待て!危ない!」
ウィザードが咄嗟に止めに入った、周囲に張り巡らされている鎖が二人を襲ってきたからだ。
杏子(M)「何だこりゃ…」
ウィザード「理由はわからないが彼女は誰もこの空間に立ち入ってほしくはないようだ。
参ったな、これじゃ助けようがない…」
ジャラジャラ ジャラジャラ
無数の鎖が展開し始めた、このままでは囚われている杏子の下へ辿り着く事さえ出来ないほどに…
杏子(M)「クソッ!これじゃ杏子の下へ近づけねえよ!」
ウィザード「ならば…この魔法だ!」
『ビッグ!』
ウィザードはビッグのリングで自らの手を大きくして鎖を封じて、杏子の下へ辿り着ける道を作った。
ウィザード「これであの子の下へ行けるな。
だが俺はこの鎖を封じなければならないのでここを離れる事は出来ない…
悪いが一人であの子の説得をしてくれないか?」
杏子(M)「あぁ、それで充分だ!ありがとな!」
ウィザード「さぁ行け!あの子を助けるんだ!」
ウィザードの作った道を辿り、鎖に囚われた杏子の下へと駆けつけるモモタロス。
だが…
杏子(M)「おい…聞こえるか杏子!こんなとこに居ちゃいけねえ!みんなのとこへ帰るぞ!!」
杏子(モモタロス…?こんな所に来てくれたのか…けどもういい…
アタシはここで死ぬよ…家族を不幸にしたアタシにはお似合いな最期だ…)
杏子の心に触れるモモタロスは杏子の嘆きの声を聴いた。
その嘆きの声はかつてモモタロスが最初に魔女を倒した際に拾ったグリーフシードから
聴こえてきた声と同じモノだった。
あの声は元の魔法少女たちの嘆きだった事をモモタロスはこの場にてようやく気付いた。
杏子(M)「なんてこった、正義の味方のこの俺が…こんな声にも気づかなかったなんてな…
まったく情けねえぜ…」
しかしそれで諦めるモモタロスではなかった、モモタロスはたとえ拒絶されても
諦めず…何度も杏子の心に語りかけてきた。
杏子(M)「そんなとこでいじけてるから暗い事考えちまうんだよ!
こっちへ来い、俺たちと一緒にここを抜け出すんだ!!」
杏子(もういい、アタシを放っといてくれ…これがアタシが出来る唯一の罪の償い何だから…)
そんな杏子の言葉と同時にウィザードのビッグの魔法が解けてしまった。
鎖の猛攻に耐えきれなく、魔法が解除されてしまったのだ。
ウィザード「しまった!このままじゃ…」
バシッ ドシュッ
杏子(M)「ぐはっ!?」
杏子(M)の身体に鎖が襲い掛かってきて地面に伏してしまった。
しかしそれでもモモタロスは立ち上がり…再び杏子の心に呼びかけた。
杏子(何でだよ…何でそんなボロボロになってまでアタシを助ける…
お前と…アタシは…赤の他人なんだぞ…それなのに!?)
杏子(M)「バカヤロウ、仲間が苦しんでる姿を見て助けねえで…正義のヒーローが名乗れるかってんだよ!
前にも言ったろ、苦しんでる事があったら一人で考えずに…誰かに頼ってみせろってな!」
ピシッ ピシッ
その瞬間、杏子の心を覆っていた鎖に亀裂が入った、その亀裂は次第に広がって行き…
ついには鎖全体に広がって行った。
ウィザード「これは…もしかして!」
杏子(M)「さぁ、こんな辛気臭え場所…とっととおさらばしようぜ!」
杏子「あぁ…ありがとう…モモタロス…」
バリィンッ
鎖から解き放たれた杏子の心、それと同時に杏子(M)はベルトを取り出し変身をした。
杏子(M)「変身ッ!」
『Sword Form』
電王(ソードF)「俺(アタシ)、参上!」
二人が意思を重ねた初めての変身、その姿にウィザードも驚きを隠せなかった。
ウィザード「何だ?アンタたちも仮面ライダーなのか!?」
電王(ソードF)「応よ!仮面ライダー電王、これでもお前の先輩だぜ!」
ウィザード「まぁいいや、ここから脱出するぞ!」
それからすぐにアンダーワールドを脱出する電王とウィザード。
アンダーワールドから出ると、そこには既に消滅間近の魔女オフィーリアがいた。
杏子(あいつ…アタシと分離しちまった事で弱っているんだな。倒すなら今だぜ!)
電王(ソードF)「わかってらぁ、今がクライマックスだぁ!!」
杏子の呼びかけと同時に二人のライダーは必殺技の態勢に入る。
その必殺技は勿論…
ウィザード「フィナーレだ!」
ウィザードはそう言うとキックストライクウィザードリングをかざす。
『キック!ストライク!』
そして電王(ソードF)もライダーパスをかざした。
『Full Charge』
電王(ソードF)「俺の超必殺技…」
電王&ウィザード「「ライダーダブルキック!!」」
ドガァァァァァァン
オフィーリア『ギャァァァァァァァ!?』
二人の仮面ライダーの必殺技を喰らい魔女オフィーリアは爆散した。
それと同時に結界も解かれ、辺りは杏子の教会に戻った。
変身を解いた杏子は消滅しかかっている魔女オフィーリアの残骸を見つめて…祈るようにそっと抱きしめた。
杏子「お前は…アタシの分身…安らかに眠ってくれ…」
そして魔女オフィーリアはまるで天国へ召される様に消滅した。
ウィザード「それじゃ俺もこの辺で失礼するよ。
またどこかでファントムが悪巧みしてるかもしれなからな!」
モモタロス(今回は助かったぜウィザード、ありがとな!)
杏子「あぁ、アンタがいなかったらやばかったよ。」
ウィザード「また困った事があったらいつでも呼んでくれ。俺が、最後の希望だ!」
そう言い残し、ウィザードはマシンウィンガーに乗り込みこの場を後にした。
彼との共闘の証として杏子の指にはエンゲージのリングがはめ込まれていた。
杏子「さてと、帰るか。」
モモタロス(その前に…ちょっと待て、誰か来るぞ!)
モモ「ねえ…誰かいるの?」
そこに現れたのは杏子の妹であるモモだった。
モモは先ほどの異変を感じてこの場にやって来ていた。
杏子「モモ!?」
モモ(え?俺の事??)
モモ「お姉ちゃんどうしたの?確か今日は帰りが遅くなるんじゃ…」
杏子「い…いや…アタシは…」
モモ「でも早く帰って来てくれてよかった、今日はクリスマスだよ!
ママがご馳走作ってくれるからい~っぱい食べようね♪」
杏子「あ…あぁ…そうだな…」
モモ「それじゃあモモはママのお手伝いをするから行くね!
今夜はご馳走だから、パパも今日は早く帰ってくるって言ったから絶対忘れないでよ!」
そう言ってモモは母親の下へと行ってしまった。
そのモモの立ち去る姿を杏子は黙って見送る事しか出来なかった…
モモタロス(おい…妹なんだろ!もっと話しかけてもよかったんじゃないのか?)
杏子「やめてくれ、別れがつらくなるだけだ。
アタシはこうしてモモともう一度会えただけで十分だよ、さぁ早く元の時代へ帰ろうぜ…」
杏子は強がりながら大粒涙を零していたがモモタロスに掛ける言葉は無かった。
今夜…この教会で杏子以外の佐倉一家は全員死んでしまい…モモがクリスマスを祝う事は永遠にありえないのだから…
そしてモモタロスもこの未来を変える事は出来ない事をわかっていた。
時を守る戦士である仮面ライダー電王としてそれは絶対に許されない事だからだ…
モモタロス(けど…帰ると言ってもなぁ、デンライナーはヤツらに奪われちまったわけだし…)
確かに沙々とネガタロスによりデンライナーイカズチは奪われ、モモタロスのゴウカも呼び出せない。
正直元の時代に帰る手段がないと頭を悩ませていた。
その時、突如上空にワームホールが発生した。ワームホールから現れたのは…
杏子「でけぇ、デンライナーよりも一回り以上大きいぜ!?」
モモタロス(ありゃ…ターミナルだ!て事はもしかして…)
ワームホールから現れたのは未来への分岐点の管理を目的に出現する巨大な新幹線型の時の列車、
キングライナーであった。
キングライナーは杏子たちの下へ停車してそこから一人の人物が降りてきた。
モモタロス(あんたは…駅長!?)
杏子「駅長だと?」
駅長「ハ~イ、お久しぶりですねぇモモタロスくん♪」
現れた人物はこのキングライナーを管理する駅長であった。
彼はデンライナーのオーナーと瓜二つの顔をしていてオーナーよりもテンションが多少高めのどう見ても変なおじさんである。
駅長「積もる話は後にしてまずはさっさと元の時代へ戻りましょう。」
モモタロス(ちょっと待て、まだデンライナーが奪われたままなんだぞ!)
駅長「ご心配には及びません、二人は既に我々が捕まえていますので♪」
杏子&モモタロス「「なんだと!?」」
二人がターミナルの中に入るとそこには格納されたイカズチと…
沙々とネガタロスがかつて電王たちと関わった黒崎レイジ率いる時間警察に捕えられている光景があった。
レイジ「お前たちは時間法に違反した罪で逮捕する、連れて行け!」
沙々「ちょっと…未成年に手錠なんて少年法で許されてませんよ!」
ネガタロス「おのれ…覚えてろよ!?」
ベベ『ハッ!?ココドコ?ベベシラナイ?』
こうして二人は時間警察に連行されていった。
ベベも沙々の洗脳から解放されモモタロスと杏子は駅長の計らいで元の時代へ戻って来れた。
2013年10月某日
<風見野の教会跡地>
元の時代に戻った杏子とモモタロスは家族との思い出がある教会へ来ていた。
杏子「すまねえなモモタロス、今回は迷惑かけちまってよ。」
モモタロス(気にすんなよ、俺だってお前と同じ立場だったら同じ事してたかもしれねえしな…
ところで何でここに来たんだ?)
杏子「あんな事があったからな、ちょっと家族の墓参りをしたくなっちまったんだよ…」
そして杏子は自分が建てた家族の墓の前で祈りを込めていた。
この墓の下には家族の死体など無い、杏子が死体を見つけた直後教会は火事を起こしてしまい
廃墟の中は瓦礫と人間の死体が区別できないほど酷い有様だったという話だったという…
杏子「親父…母さん…モモ…アタシのバカな願いの所為で死んでしまったみんな…
過去も変えられないアタシにはもう祈る事しか出来ない…アタシはたぶん地獄行きだけど…
みんなは天国で幸せになってくれ…」
そんな少女のささやかな祈りが墓石に込められた。
モモタロス(まったく…俺は結局何も出来なかったのかよ…チクショウ…)
自分の無力さに悔しさを感じるモモタロス、そんな時だった。
モモタロスの前に三人の家族連れが現れた。
父と母、それに娘の三人の家族だ。
父親はまるで神父のような恰好をして、母親と娘はどことなく杏子と同じ面影をしていた。
モモタロス(何だこの家族は?
杏子が祈ってる最中に現れやがって邪魔だからどっか行って…)
モモタロスがこの家族を邪険に扱おうとしたが、娘の顔にどこか見覚えがあるような気がした。
その娘の顔をよーく見るとその娘は…
モモタロス「「あぁー!?」」
思わず大声を上げてしまうモモタロス、その声に驚き杏子も思わず祈りを中断してしまった。
杏子「うるせえぞバカモモ!アタシが祈ってる最中に大声上げてるんじゃええ!?」
モモタロス「そ…それよりも…いいか!落ち着いて見るんだぞ、あの…連中を見ろ!」
モモタロスが指し示す方向には先ほどの三人の家族がいた。
その家族を見た杏子は一瞬その家族を幽霊かと疑った、何故ならその家族は…
杏子「親父…母さん…それに…それに…モモ!?」
そこには二度と会えないはずの杏子の家族がいたのだ。
モモ「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
杏子に抱き着く妹のモモ、人肌の感じる温もり、幽霊などではない…間違いなく生きている人間であった。
杏子父「杏子、随分待たせてしまったようですまなかったね。」
杏子母「あぁ、杏子。今まで一人っきりにさせてしまってゴメンなさい…」
それから妹のモモに続き、杏子を抱く父と母、二人も間違いなく生きている人間であった。
モモタロス「こいつぁ一体どういう事なんだ?杏子の家族は死んじまったはずじゃ!?」
納得のいかないモモタロス。
そんなモモタロスの前に先ほどイカズチを追って過去へ向かったイスルギが戻ってきて、
驚くモモタロスの前にウラタロスたちが降りてきた。
ウラタロス(やぁ先輩、やっぱり無事だったね。)
さやか「杏子のヤツ、ちゃんと家族に会えたみたいだね!」
ゆま「杏子嬉しそうな顔してる、あんな顔した杏子見るの初めてだよ!」
キンタロス(これで一件落着やのう、よかったよかった!)
モモタロス(お前ら…何か知ってるようだな…一体過去で何があったんだ?)
ウラタロス(あぁ、ちょっと細工をチョチョィとね♪)
果たしてウラタロスたちは過去で一体何をしてきたのか?
続く
第7話 さやか「幸せな未来を…」マミ「叶えてあげたい!」
??「宇宙キター!!」ウラ、キン「だから…誰(や)!?」
2012年12月24日
イスルギ車内
ウラタロスたちが乗ったイスルギも、杏子たちイカズチの後を追い、
同じくこの日付の時間軸にやって来ていた。
だがその目的はモモタロスと同じく杏子を追う事ではなかった。
それはウラタロスから告げられたある提案の所為であった。
さやか「杏子の家族を助ける!?」
ウラタロス「そういう事♪」
まどか「でもそれって…」
織莉子「えぇ、そんな事をしたら…」
キリカ「パラレルワールドになるから意味が無いんだろ?」
ゆま「うん、ゆまもそこはわかってるよ!」
ウラタロス「だから…そうならないように救うんだよ!」
ほむら「訳がわからないわ、ちゃんと説明しなさい。」
ウラタロス「さっきのマミちゃんの話だけどさ、ひとつだけ肝心な部分が足りてなかったんだよね。
何だと思う?」
マミ(K)「肝心な部分って何やそれ?」
ウラタロス「杏子ちゃんは家族が死んだ場面をちゃんと目撃していない。
そこにチャンスがあると思うんだよ!」
さやか「ハァ?」
キリカ「意味がよくわからないな、このカメが何を言ってるのか織莉子にはわかるかい?」
織莉子「さぁ、私にも何がなんだか…」
ウラタロス「まあ見てなって、嘘ついて誤魔化してこその人生なんだからさ!」
ウラタロスの意見に首を傾げる全員、そうこうしている内にイスルギは風見野の街の中へと降り立った。
<風見野>
風見野の街に降りたさやかたちは裏通りを歩きながらそこである人物を探していた。
そこで通りかかった居酒屋である酔っ払いが喧嘩に巻き込まれている光景を目撃する。
店主「この酔っ払いが、昼間から飲んだくれているくせに金がねえだとふざけんな!」
??「ぐふっ!?」
どうもこの酔っ払い、お金が無いのに店で飲んでいたらしく店主が怒り酔っ払いをボコボコにしていた。
さやか「うわぁ、酷い…」
ほむら「当然ね、お金が無いのに飲もうとするからよ。」
マミ(K)「さすがにアレは…金もないのに飲んだ方が悪いわ…
本人のためにも暫くお灸を据えたった方がええで!」
まどか「けどあれはやり過ぎだよ、あの酔っ払いの人足腰が立てないくらいやられてるよ!」
そんな時、まどかたちの前にリーゼントの髪型をして短ランの学生服を着た高校生の少年が現れ
この場を治めるようとした。
???「おっさんたち、もうそこまでにしておけよ!これ以上はさすがにやり過ぎだぜ!」
店主「ふざけるな、こいつはなぁ…変な新興宗教やってるイカれた男だ!
そんなヤツがタダ酒かっ喰らってんだ、許せるわけが…」
???「頼む、この通りだ!!」
少年はその見ず知らずの酔っ払いのために土下座をしてまで許しをもらおうとした。
その姿に店主も思わず居た堪れなくなり…
店主「わかったよ、兄ちゃんに免じて今回だけは許してやる。
だから二度とこの店には来ないでくれ…」
そう言って店主は店に戻って行った。
少年は再び酔っ払いに声を掛けるが酔っ払いは目が虚ろな状態で正気ではない事だけは確かであった。
弦太朗「おっさん大丈夫だったか?俺は如月弦太朗、酔っ払いとも友達になる男だ!
家まで送るけど…場所どこか教えてくれねえか?」
弦太朗は酔っ払いを家に帰そうとするが家の場所を聞いた途端、酔っ払いの態度に変化が起きた。
??「家…ダメだ…家は…あそこには魔女が…魔女がいるんだ!」
急に曇った表情を見せる酔っ払い、そして彼はいきなり取り乱すように震え始めた。
??「私が…私に…力が無かった所為で…娘が魔女になってしまったんだ…
あぁ神よ…何故私たち家族にこのような罰を与えるのですか?」
正直支離滅裂な発言であった、初対面の人間なら誰もが正気の沙汰とは思えない発言だと思うだろう。
しかしその話を聞いたほむらにはこの人物が誰なのか心当たりがあった。
ほむら「娘が魔女?この男もしかして…キンタロス、お願いがあるんだけど…」
ほむらはキンタロスにある事を頼んだ、それは…
キンタロス(マミ…マミ…気分はどうや?落ち着いたか?)
マミ(うん…ちょっとだけ…)
キンタロスは先ほどまで発狂して心の中で眠らせていたマミを呼び起こしていた。
その理由はマミにある事を確認してほしかったからだ。
キンタロス(実はのぅ、ちょっと変な酔っ払いを見てほしいんやけど…)
キンタロスの言う通りマミはその酔っ払いを見てみた、その酔っ払いを見た瞬間マミは驚く。
何故ならこの酔っ払いの正体は…
マミ「嘘よ、何でこの人が…」
まどか「マミさん、この人の事知っているんですか?」
マミ「えぇ…だってこの人は佐倉さんのお父さんよ!」
さやか「えぇっ!?」
ほむら「やっぱり…」
さやかたちが見つけた酔っ払いの正体は杏子の父であった。
何故彼が昼間からお金も持たずに居酒屋で酔っ払っていたのか、その訳を聞いてみた…
杏子父「何故私が酔っ払っているかって?それはこの世の中に絶望したからさ…」
さやか「絶望?」
そして彼は語る、かつてはこの風見野の教会でとある宗教の宗教者であった。
しかし日々、新聞を読んではそこで報道される出来事に心を痛め涙を流し、
新しい時代には新しい教えが必要と考えるようになる。
そう考えた彼は教会の教義に無い事を信者に説きだした。
すると当然…信者の足はぱったり途絶え、本部からも破門されてしまった。
ウラタロス(当然だね、端から見れば胡散臭い新興宗教だよ。)
リュウタロス(うん…僕もそう思う…)
キンタロス(このおっちゃん、現実をもっとしっかり見つめなあかんで!)
さやか「ちょっとアンタたち言い過ぎだってば!」
ほむら「けど間違った事は言ってないわ。」
まどか「ほむらちゃんも少し黙ってて…」
そんな様子を遠くから眺める二人の男女がいた。
それは…
ユウゴ「ヤツが次の狙いか。」
ミサ「えぇ、あの男なら良い絶望の花を咲かせるでしょうね。」
彼らはファントム、謎の儀式サバトにより『絶望』により死亡したゲートから生まれた怪人である。
ファントムたちは人間を『絶望』させて新たなファントムを増やす事を目的としている。
どうやら次の目標を杏子父に絞っているようだ。
ユウゴ「さて…どうやら指輪の魔法使いは俺たちに気付いてはいないようだな。」
ミサ「やるなら今ね、この前妙な男から面白い玩具も手に入ったしさっそく使わせてもらおうかしら…」
それからミサは懐から何やら奇妙な小道具を取り出す。
それはゾディアーツスイッチ、今は亡き天ノ川学園の理事長我望光明が開発した
人間をゾディアーツに変身させるアストロスイッチである。
我望光明の死でゾディアーツを率いていたホロスコープスは滅び、ゾディアーツスイッチも無くなったかと思われていたが…
ユウゴ「さぁ、行って来い!」
ユウゴはグールを召喚させ、杏子父を更なる絶望に陥れようとしていた。
そしてミサはスイッチをグールに持たせ、杏子父を襲うよう命じた。
杏子父「…何でこんな事に…グスッ」
杏子父は泣きじゃくりその場に伏していた、そんな姿を見たマミは…
マミ「こんな人のために佐倉さんは…」
まどか「マ…マミさん?」
マミは杏子父の胸ぐらを掴み詰め寄った。
マミ「佐倉さんが魔女?あの子はあなたたち家族の幸せのために願ったのよ!
その願いを…何でわかってあげないのよ!?」
杏子父「私は否定されたんだぞ!
私の言う事が世迷言だと…自分の子供に…私に世間を救う力など無いと…
そうだ…これは悪魔だ…悪魔の仕業なんだ…」
自分の娘を悪魔とまで言い出す始末…その言葉に…マミがキレた!
マミ「いい加減に…して!!」
ドゴッ
杏子父「ぐふっ!?」
まどか「マ…マミさん!?」
さやか「あのマミさんが…ぶん殴るなんて…」
ほむら「それもグーよ…」
マミ「ハァ…ハァ…私ったらなんて事を…もう嫌!?」
キンタロス(待つんやマミ!俺も行くで)
弦太郎「こりゃ放っとけないな、俺も行くぜ!」
そう言ってマミはキンタロスと共に何処かへいなくなってしまった。
弦太郎もいなくなり残ったまどかたちは引き続き杏子父を説得しようとするが…
杏子父「もう放っといてくれ…誰の話も聞きたくもない…」
さやか「ダメだ、私らの話なんか聞く耳持っちゃくれないよ…」
ウラタロス(ちょっと待った、何だろこの気配?)
リュウタロス(何か…来る!?)
ドゴーンッ!!
謎の気配を察知するウラタロスとリュウタロス、それは先ほどファントムたちの手により放たれた
無数のグールどもであった。
ユウゴ「さぁ殺れ!ただし…ゲートは傷つけるなよ!」
グール’s『グガァァァァ!!』
さやか「何よこいつら!?」
まどか「これって使い魔…それとも魔女なの!?」
ほむら「魔力は感じるけど…魔女とは違うわ、とにかく倒した方が良いわね!」
さやか「よっしゃ、行くよウラタロス!」
ウラタロス(OKさやか!)
リュウタロス(僕も戦う!行くよほむら!)
ほむら「悔しいけど変身した方が戦闘力は高いわ、代わりにすぐに仕留めなさいよ!」
さやか(U)「変身!」
ほむら(R)「変身!」
『Rod Form』 『Gun Form』
さやかとほむらは変身し杏子父に纏わりつこうとするグールを一気に退治する。
その頃…
<イスルギ>
現在イスルギは風見野市に停車中である。
そのイスルギの車内では織莉子、キリカ、ゆまの三人がデンライナーイスルギでお留守番をしていた。
キリカ「バクバク、ムシャムシャ…うん、さっきの『はんぐり〜』とかいうドーナツ屋の
プレーンシュガー美味しいや、店長はオネエ系で変な人だったけど…」
デネブ(コラキリカ、そんなにお菓子ばかり食べてちゃダメだ!虫歯になっちゃうぞ!)
キリカ「うるさいな、デネブは私のママじゃないだろ…」
織莉子「ズズー、この電車に置いてあるコーヒーだけど…
正直あまり美味しくはないわね、こんなのを美味しそうに飲める人いるのかしら?」
テディ(では今度、私がいい豆を仕入れておこう。…と言ってもこの武器の形態のままじゃ出掛けられないが…)
ゆま「zzz」
この時間に移動した後、ゆまが眠ってしまったため二人はまどかにお留守番を頼むよう言われていた。
そんな時…こちらでも何やら奇妙な気配があった…
キリカ「ところで…いい加減出てきたらどうだい?」
織莉子「隠れているのはわかっているのですよ。」
???「フフフ、勘の鋭いお嬢さんたちだ!」
???「拙者たちはそこで寝ている小娘に用があるだけでござる。
そなたらには関係はない、邪魔立てすると容赦はせんがな…」
???「グフフ♪」
現れたのは3人組の怪人、彼らの手元には4人の少年少女が捕えられていてゆまも同じく捕えようとしているらしい。
キリカ「誰がお前らなんかに…」
織莉子「私たちは鹿目さんたちにこの子の事を頼まれているので渡すわけにはいきません。
ですのでお引き取り願いますか?」
???「交渉決裂か…」
カッ
織莉子とキリカは魔法少女に変身して眠っているゆまをイスルギに置いて3人の怪人を車内から引き離し外に出た。
???「やるじゃねえかお前ら、俺たちの仲間に入らねえか?歓迎するぜ!」
リーダー格の男が織莉子とキリカをスカウトするが…
キリカ「仲間?冗談じゃない、私には織莉子がいてくれれば充分だ!」
織莉子「そうね、私たちは…うっ…」
その時、織莉子に予知のビジョンが脳裏に映り出される。その光景は…
キリカ「織莉子!大丈夫かい?」
織莉子「アクマイザー?あなたたちは悪魔なの!?」
サタン「ほう?俺たちの事を知っている人間がいるとは驚いた!
そうだ、俺たちは魔界に封じられた種族アクマイザー、俺はこいつらのリーダー格のサタン!」
イール「同じくイール!」
ガーラ「ガーラなんだな!」
アクマイザーと名乗る3人組、織莉子はこの3人の目的も予知で知った。
織莉子「あなたたちの目的は自分たちを地底に封じ込めた人類への人復讐と地上征服…
それに…無限モンスタープラント?」
イール「バカな!?何故拙者たちの計画をそこまで知っているのだ!?」
サタン「貴様…予知能力を持っているな!
そうか貴様ら魔法少女か、インキュベーターに唆された哀れな娘たちめ。
いいだろう、いずれ貴様らは魔女になる運命…その前に地獄へ送ってやるのがせめてもの情けだ!」
キリカ「そんな情け…」
織莉子「いりません!テディ!デネブ!」
テディ「あぁ!」
デネブ「うむ!」
織莉子とキリカはデネビックバスター、マチェーテディを携えアクマイザーたちとの戦いに挑む!
同じ頃マミは…
まどかたちから離れた場所で涙を流していた。
マミ「うっうぅ…」
キンタロス(泣いててもしょうがないで、みんなのとこに戻るんや。)
マミ「けど…私佐倉さんのお父さんを殴っちゃったし…それに…」
QBの言葉が耳に残る、自分はやがて魔女となりこの世に絶望を撒き散らす運命。
これまで自分が狩ってきた魔女が、すべて同じ魔法少女だった。
つまり自分はQBの手により道化を演じていたのに等しい事を思い知らされたからだ。
ならば…
ジャキッ
マミはある決断を下す、魔女になるくらいならその前に自分で命を断とうと!
キンタロス(マミ!やめるんや!?)
マミ「いずれ魔女になるくらいならその前に死ぬしかないじゃない!?」
弦太郎「待て待て!待ちやがれ!自殺なんてやめろー!」
キンタロスと後から駆け付けた弦太郎によりマミの自殺はなんとか阻止された。
弦太郎はマミに何故自殺なんて真似をするのか聞いた。
そして彼は知る事になる。
魔法少女、魔女、QB、そして魔法少女が魔女になるカラクリ…
魔女になる前に死ぬしかない事を…
弦太郎「ふざけんじゃねえ!命をなんだと思ってんだ!?」
マミ「だ…だって…私は魔女になっちゃうのよ…それなら死ぬしか…」
弦太郎「バカ言うな、お前が死ぬ必要なんてどこにある?
もし魔女になるとしても…それまで精一杯生きてみせろ!
お前が死ぬなんてダチや家族は望んじゃいねえはずだ!!」
マミ「ダチ?それって友達の事?」
弦太郎「そうだ…さっきお前があの酔っ払いのおっさん殴ったのは、ダチを悪く言われたからだろ!
お前には大切なダチがいるはずだ、そいつらは絶対お前らが死ぬ事なんか望んじゃいねえ!」
キンタロス(せやでマミ!お前が死んだらみんな悲しむんやで、命を大切にせなあかん!)
マミ「友達、私の大切な友達…」
一度は発狂し銃を突きつけた、それにも関わらずまどかたちはマミに接してくれた。
そんな自分が許されるのだろうか、マミにそんな不安が過った。
マミ「けど私は…」
弦太郎「心配すんな、まずはみんなの前で謝ればいい!そこからまた始めて行けばいいんだ。
心配なら俺が付いててやる、俺もお前のダチだからな!」
そして弦太郎はマミに握手と共に互いの拳を数回打ち合わせた。
それは弦太郎が互いにダチと認めた際に交わす「友情のシルシ」であった。
弦太郎「これで俺たちはダチだ!!」
マミ「まったく…弦太郎さんの所為で悩んでたのがバカみたくなっちゃった…」
キンタロス(兄ちゃん中々言うのぅ、俺ともダチになってくれや!)
弦太郎「あぁ、俺はイマジンとだってダチになってやるぜ!」
彼らが熱い友情を交わした時であった、突如大爆発が起きた!
ドゴォォォォォン
弦太郎「この爆発は何だ!?」
マミ「あの爆発…鹿目さんたちがいたところからだわ!」
キンタロス(なんやて!?)
そう、爆発が起きたのはまどかたちがいる方角からであった。
マミは急いでまどかたちのところへ駆けつけようとする。
マミ「待っててみんな、今行くわ!」
マミは魔法少女に変身してまどかたちの下へ行こうとするが…
弦太郎「待ちな、そういう事なら俺も付きあうぜ!」
マミ「弦太郎さん…気持ちはありがたいけど…」
キンタロス(素人にはきついで、ここは俺たちに任せとき!)
忠告を促すマミとキンタロス、だが弦太郎は素人などではなかった。
何故なら彼は…
弦太郎「舐めんなよ、俺は仮面ライダーだ!」
そして弦太郎は変身ベルト、フォーゼドライバーを取り出す。
4つのアストロスイッチを装填して変身カウントの電子音が響く。
『3』
『2』
『1』
弦太郎「変身!!」
カッ
変身の掛け声と共に弦太郎は右側部の操縦桿を模したレバー・エンターレバーを引く。
するとコズミックエナジーが発せられ、次の瞬間まるでスペースシャトルをモチーフとした白い仮面の戦士が現れる。
マミ「げ…弦太郎さんなの?」
キンタロス(その姿…お前もしかして…)
???「さぁ行くぜ、ダチが待っているんだからな!」
そして白い仮面の戦士はオレンジのスイッチを押した。
『Rocket On』
電子音と共に右手からロケットが出てきてマミを抱いて白い仮面の戦士は空を飛ぶ。
マミ「一体何なの!?」
そんなマミの疑問を余所に彼らはまどかたちの下へと向かった。
その頃まどかたちは…
電王(ロッドF)「うわぁっ!?」
電王(ガンF)「ぎゃぁっ!?」
まどか「二人とも大丈夫!」
最初はグール相手に優勢であったが、形勢不利になったグールがミサから託された
ゾディアーツスイッチを押してしまい…
グールゾディアーツとなってしまったため形勢を逆転されてしまった。
グールゾディアーツ『グルルルル!』
フェニックス「ハッハッハ!実験は成功のようだぜ!」
メデューサ「そのようね、使える玩具だったなんて意外ね。
さぁ、そこにいる男を渡しなさい。ゲートを傷つけるわけにはいかないのよ。」
杏子父「あわわ…これはどういう事なのですか…神よ…」
蹲り怯える杏子父、怯えながらも顔を上げると上空から何かが落下してきた。
フュルフュル~
ドッカーン
さやか(今度は何!)
ほむら(まさか…新手!?)
思わず警戒するが、それは敵ではない味方であった。
落下した場所から白い仮面の戦士が現れ名乗りを上げる。
フォーゼ「宇宙キター!!
天高仮面ライダー部所属、仮面ライダーフォーゼ!タイマン張らせてもらうぜ!!」
マミ「宇宙?」
キンタロス(キター?)
さやか(何よあいつ?仮面ライダーって事は味方なの?)
電王(ロッドF)「フォーゼ…思い出した!この前のヒーロー大戦で会った事あるよね!」
フォーゼ「あぁ電王先輩、あの時は世話になったな。借りを返しに来たぜ!」
フェニックス「何だ?指輪も魔法使いじゃないみたいだが…」
メデューサ「厄介そうなヤツね、でもまとめて倒せば問題ないでしょうね。」
グールゾディアーツ『ガァァァ!』
フェニックスたちファントムは、フォーゼの登場により一層警戒心を強める。
フォーゼ「お前らの事は聞いてるぜ、確かファントムだよな!
お前らにこのおっさんは渡さねえ、行くぜ!」
そして電王、フォーゼ、魔法少女VSファントムの混戦が開始された。
そして織莉子たちの方にも…
織莉子「クッ…」
キリカ「こいつら強い!」
悪魔の名は伊達ではなかった、アクイマイザーたちの戦闘力は織莉子とキリカを圧倒的に上回っていた。
サタン「魔法少女よ、これが最後のチャンスだ。
俺たちの仲間になるか、それともここで死ぬかだ!」
織莉子「人間を捨てるくらいなら…死んだ方がマシです!」
キリカ「織莉子がそう言うなら…私も付き合うよ!」
サタン「そうか、ならば…死ね!」
アクマイザーたちは3人のジャンプ突進攻撃で、凄まじい威力を誇る合体必殺技『悪魔陣アタック』を放った。
アクマイザー「「悪魔陣アタック!!」」
アクマイザーが放った悪魔陣アタック、織莉子とキリカは死を覚悟するが…
??「ホワチャー!」
そこに一人の少年が現れアクマイザーたちの悪魔陣アタックの軌道を逸らした。
サタン「何だと!」
イール「貴様…何者だ!?」
織莉子「彼は…まさか!?」
キリカ「織莉子知ってるの?」
織莉子「えぇ、予知で知ったわ。彼は…」
流星「俺か?俺は…朔田流星、そしてまたの名を…」
流星は変身ベルト、メテオドライバーを取り出す。
『Meteor READY?』
電子音と同時に宇宙に存在する人工衛星M-BUSが起動する。
流星「変身!」
レバーを押してドライブユニットが発光・回転し、M-BUSから照射されたコズミックエナジーを受けた。
すると蒼い球体が発光して、蒼い仮面の戦士が現れる。
メテオ「仮面ライダーメテオ、お前の運命は俺が決める!」
仮面ライダーメテオ、弦太郎と同じく天高仮面ライダー部の部員である。
メテオ「ある男を追っていたらまさか悪魔と戦う事になるとはな!
時間が無いから一気に決めさせてもらう!」
織莉子「仮面ライダーが現れるなんて…」
キリカ「まったく頼りになる援軍だよ。」
メテオ「俺はリーダー格の男をやる、他の二人は任せてもいいか?」
キリカ「誰に言ってるんだい?私たちなら余裕さ!デネブ行くよ!」
デネブ(あぁ、キリカ行くぞ!)
織莉子「テディ、行きますよ!」
テディ(了解した。)
サタン「舐めた真似を、返り討ちにしてくれる!」
メテオ「一気に決めると言ったろ、行くぞ!」
『リミットブレイク』
電子音声が鳴ると同時にメテオドライバーにメテオスイッチを装填。
そして必殺キックの態勢へと持ち込んだ。
メテオ「メテオストライク!」
そして織莉子とキリカも…
二人はさやかやマミたちとは違い、ライダーパスを所持していないので
その代わり魔法力をそれぞれの武器に込めていた。
『Full Charge』
織莉子「カウンタースラッシュ!」
キリカ「バスターノヴァ!」
アクマイザー「「ぐわぁぁぁぁぁ!?」」
三人の必殺技が炸裂し、吹っ飛ばされるアクマイザーたち。
だが簡単に倒されるような彼らではなかった。
サタン「フンッ、やるな!」
イール「拙者たちをここまで追い込むとは…」
ガーラ「すごいんだな!」
メテオ「まさかまだヤラれていないとは…」
織莉子「さすがは悪魔というべきかしら。」
キリカ「こうなったらもう一度…」
キリカがもう一度仕掛けようとしたその時であった。
サタンが何かの反応に気付く、彼が目にしたのはなんと…
サタン「この反応は…ヤツだ!」
アクマイザーたちは偶然その場にいた『はんぐり~』の店長を人質にした。
店長「ちょっと…あなたたち…何をするの!
まさか私が可愛いから誘拐を!?キャー助けて!!」
イール「おいサタン、人質にするならもっと可愛い子を…」
ガーラ「こいつオカマなんだな…」
サタン「うるさい!俺だって好きでこんなのを人質にしてるわけじゃない!
こいつはゲートだ、それも飛びっきりの魔力を宿している。
最初に目を付けたガキとは比べ物にならない程のな、こいつを使えば…ククク!」
店長「私に手を出したらウィザードがタダじゃおかないんだから、私はウィザードの彼女なのよ!」
サタン「フフフ、では貴様らウィザートとやらに伝えておけ!
お前の女は預かった、返してほしければ俺たちのアジトに来いとな!」
そんな言付けを残しアクマイザーたちは店長と子供たちを連れ去って行った。
そしてフォーゼたちも…
フォーゼ「うおおおお!」
グールゾディアーツ『グルォォォォ!』
電王(ガンF)「ダァァッ!」
フェニックス「このっ!ちょこまかと動きやがって…」
電王(ロッドF)「女の子に暴力を振るうのは趣味じゃないんだけどな。」
メデューサ「何をゴチャゴチャと!」
フォーゼVSグールゾディアーツ、電王(ガンF)VSフェニックス、電王(ロッドF)VSメデューサの混戦で
辺りは騒然としていた。
そんな中、杏子父はこの戦いを見て隅で怯えている事しか出来なかった。
杏子父「あわわ…このままじゃ…神よ…我を守りたまえ!」
その時、彼の前でまどかが爆風に巻き込まれそうになる。
まどか「キャァァァァ!?」
マミ「鹿目さん危ない!アイギスの鏡!」
マミは魔法でバリアを張り、まどかと杏子父の周りを守った。
マミ「鹿目さん大丈夫だった?」
まどか「マミさん…ありがとう!」
そんなマミに対して杏子父はある事を問いかけてきた。
杏子父「き…キミは恐くないのか?
あんな得体の知れない化け物だぞ、神に背く悪魔を相手に何故キミたちは戦えるんだ!?」
そんな問いかけに対しマミは…
マミ「それが魔法少女の使命だから…なんてカッコいい事じゃない…
本当は怖いし恐ろしいわ、逃げ出したい時もある…けど大切な人がいてその人たちを守るために…
私たちは戦うの!
行くわよ、キンタロスさん!変身!!」
『Axe Form』
電王(アックスF)に変身するマミ、フォーゼとグールゾディアーツの戦いに加勢する。
そしてそれぞれの戦いに決着がつく、まずは電王(ガンF)VSフェニックス。
カスタロフの剣で電王(ガンF)の銃弾を弾くフェニックス。
フェニックス「何度攻撃してきても無駄だ、俺は不死身だからな!」
電王(ガンF)「あ、そう。けど倒すけどいいよね、答えは聞いてない!」
ギュルルルルル!
フェニックス「ぐはぁっ!?」
電王(ガンF)はブレイクダンスをしながら銃弾を乱射、これにはさすがのフェニックスも耐えられなかった。
続いて電王(ロッドF)VSメデューサ。
電王(ロッドF)「出来ればキミとは戦いたくはないんだけどな。
それよりもこんな戦い終らせて僕とお茶でも飲みに行かない?奢るからさ♪」
さやか(ちょっとエロタロス!真面目に戦いなさいよ!)
メデューサ「そういう事は私に勝ってからにしなさいね!」
メデューサはアロガントと呼ばれる自らの杖を武器に電王(ロッドF)に挑む。
だが電王(ロッドF)もデンガッシャー・ロッドモードで応戦、互角かと思われた戦いだったが…
電王(ロッドF)「でやぁっ!」
ガキィンッ
メデューサ「クッ…」
歴戦の経験の差か、少し前まで女子高生だったメデューサで電王(ロッドF)を相手にするには力不足であった。
電王(ロッドF)「悪い事は言わない、今日は見逃してあげるよ♪」
メデューサ「うぅ…フェニックス、引き上げるわよ!」
フェニックス「クソッ!覚えてやがれ!」
ファントムたちは捨て台詞を残しその場から逃げていった。
電王(ガンF)「『覚えてやがれ!』って言う人本当にいるんだ、僕初めて聞いたよ…」
ほむら(奇遇ね、私もよ。)
さやか(それじゃあとはあいつだけだね!)
フォーゼVSグールゾディアーツ、そしてそこに電王(アックスF)も加勢する。
マミ(弦太郎さん、こっちも止めよ!)
フォーゼ「おう、行くぜ!…って何だ!?」
電王(アックスF)は身体のコントロールをキンタロスからマミに切り替え、
ティロ・フィナーレ用の巨大な銃を召喚する。
そしてその銃の中にフォーゼを詰め込んだ!
マミ(弦太郎さん、行きますよ!)
フォーゼ「よっしゃー!頼むぜマミ!」
フォーゼ&マミ「「ライダーティロ・フィナーレキィィィィィィィック!!!!」」
グールゾディアーツ『ウギャァァァァァ!?』
ドッカァァァァァン
フォーゼとマミの合体技にさすがのグールゾディアーツも耐えきれず爆散してしまった。
戦いが終わり変身を解く弦太郎と少女たち、それに先ほど別の場所で戦っていた流星たちも
合流してきた。
弦太郎「よう流星、例の天高からゾディアーツスイッチを持ち出した男はどうなった?」
流星「すまん、まだ見つかっていない。まったく何処へ行ったのやら…」
どうやら二人は天高からゾディアーツスイッチを持ち出した人物を追って風見野まで来たようであった。
そんな二人の事情はさて置いて、マミはみんなの前で先ほどの事を謝罪した。
マミ「みんなごめんなさい、私ったら一番年上なのに…あんな取り乱しちゃって…」
まどか「そんな…マミさんが悪い訳じゃ…」
さやか「仕方ないっすよマミさん、いきなりあんな事言われて冷静でいろって方がおかしいんだし…」
ほむら「悪いのは全部インキュベーターの所為よ、あいつらが黒幕なんだから。」
キリカ「まぁ…私は織莉子が無事ならそれでいいわけだし…」
織莉子「あなたが道を踏み外さなくて良かった、それだけで充分ですよ。」
マミ「みんな…ありがとう…」
そんなやり取りを見守るイマジンたち。
キンタロス(どうやらこっちは解決したようやのう。)
ウラタロス(じゃあ残る問題はこっちだね。)
リュウタロス(ねぇおじさん、大丈夫だった?)
そう、残る問題は杏子父である。彼は先ほどの戦いを目撃して思うところがあった。
杏子父「マミさん…私の娘も…いつもこんな危険な事をしているのかい?」
マミ「そうです、佐倉さんはあなたの願いを叶えるためにいつも命懸けの戦いをしています。
あの子はあなたの望みを叶えていたんです、そんなあの子の事を魔女だとか悪魔だなんて言わないであげて!」
さやか「そうだよおじさん、アンタが落ち込んでたら杏子が報われないじゃん!」
まどか「お願いだから…杏子ちゃんの事…認めてあげてください!」
杏子父「ハハ…私なんかよりもあの子の方がよほど善行をしてたとは…
私はなんと愚かな事をしていたのだ…許してくれ杏子!」
杏子父は誰の目も気にせず泣き出した。
実の娘は血みどろになりながらも自分の願いのために戦ってくれていた事を…
それに対して自分は八つ当たりを起こし、酒に逃げていただけではないか。
こんな自分が許されるのならなんでもすると神に誓うとすら言い出した。
ウラタロス(何でもする、その言葉に嘘はないね?)
杏子父「あぁ、私は杏子に償わなければならない。
そのためならば…」
ウラタロス(ならちょっと死んでもらえないかな?)
!?
いきなりのウラタロスの発言にその場にいた全員が驚いた。
弦太郎「おいおい!こんないい雰囲気の中でお前何言ってんだ!?
少しは空気を読みやがれ!」
さやか「そうだよ、私たちは杏子の家族を救うために来たのに何で死ねとかいうんだよ!?」
全員がウラタロスに喰ってかかるがその発言には別の意味があった。
ウラタロス(みんな落ち着いて、何も本当に死ねと言ってるわけじゃない。
死んだと偽ってもらうんだよ!)
キンタロス(それはどういうこっちゃ?)
ほむら「ちゃんと説明しなさい。」
それからウラタロスは説明を続ける。
このまま佐倉一家が死なないままだと単なるパラレルワールドが発生して、元の時代には繋がらない。
だが…その死を偽装して最初から佐倉一家が死んだ事が嘘だとすればパラレルワールドは発生せず
元の時代に繋がるはずだとウラタロスは告げた。
そして1年後の現在に杏子と家族を再会させようという魂胆であった。
マミ「確かに佐倉さんは家族の死んだ場面を直接見た訳ではないわ。
なんとかなるかもしれない!」
さやか「けど…なんか回りくどいんじゃ…
このまま杏子の家族を未来に連れて行っちゃえばいいんじゃないの?」
ウラタロス(それだと時間にどんな悪影響が及ぼされるかわからないからね。
悪いけど出来る限り危険は避けたいんだ。)
ほむら「問題は死亡をどう認めさせるかね、杏子には死体は誰かが変装してれば誤魔化せるけど
警察の目は簡単には誤魔化しが効かないわ、どうすれば…」
ウラタロス(それには問題はないよ、ライダーにも警察官が何人かいるから!)
流星「だったら照井さんと後藤さんに頼もう、実はあの二人もこの街に来ていて
俺と一緒にゾディアーツスイッチを持ち出した男を追っていたんだ。」
弦太郎「さすがは先輩、頼りになるぜ!」
まどか「でも家族のみんなはどうすればいいの?
どこかへ行くにも仕事先とか見つけなきゃいけないし…」
弦太郎「だったらウチに来いよ!
爺ちゃんが住み込みで働いてくれる人を募集してたからなんとかなるぜ!」
それから夜まで大変だった。
まず佐倉一家を弦太郎の家まで急遽住み込みで引越しさせて、教会を無人にさせた。
その後、杏子の妹と背格好の似ているゆまや織莉子を母親役に、さやかを父親役にさせて
杏子が帰ってきたと同時に死体の仮装をして杏子を騙すといった計画であった。
さやか(く…苦しいんだけど!?)ボソボソ
ゆま(さやか姉ちゃん…我慢して…)ボソボソ
織莉子(この後すぐに教会に火を点けるて火事にするからそれまで耐えて)ボソボソ
キリカ(上でピアノ線で引っ張ってるんだから我慢しろ、ていうか役でも織莉子と夫婦になりやがって…
羨ましいヤツだ!)ボソボソ
さやか(そんなぁ…)ボソボソ
そして裏で待機しているまどか、マミ、ほむらが教会に火を付けた。
ボッ
まどか「思うんだけど火までつける事ないんじゃ…」
ほむら「仕方ないわ、過去を忠実に再現しないとパラレルワールドになるのだから…」
マミ「けど放火ってちょっとスリルがあるからドキドキするわね!」
そして教会は放火、歴史通りの事態が起きて杏子は絶望する訳だが…
マミ「佐倉さん、やっぱり落ち込んでるわね。佐倉さんのためなのに…つらいわ…」
ほむら「しょうがないわ、歴史通りにやらなきゃいけないんだから…」
ウラタロス(そういう事、家族には1年後の僕たちがこの時代に向かった日に
杏子ちゃんを迎えに来てくれって言ってあるし、これで万全なはずだけど…)
キリカ「そういえば朔田はどこに行ったんだろ?」
織莉子「確か先輩を探しに行くとか言ってたけど…」
その頃同じく風見野に来ていた刑事の照井と後藤だが…
照井「番場影人!もう逃げ場は無いぞ!」
後藤「観念しろ、お前が天ノ川学園の研究施設からゾディアーツスイッチを持ち出したのはわかっているんだぞ!」
彼らは天ノ川学園からゾディアーツスイッチを持ち出した番場影人という男を追っていた。
ちなみにメデューサにゾディアーツスイッチを渡したのも彼である。
番場「フフフ、私を逮捕する気か?無駄だ、何故なら私は…」
追い込まれたかと思われた矢先、彼はゾディアーツスイッチを押してヘラクレス・ゾディアーツに変身する。
その力はホロスコープスの十二使徒と同等の力を誇った。
ドォォォン
ヘラクレス・ゾディアーツ「どうだ、お前たちでは太刀打ちできないだろう!」
照井「何?俺に質問するな!」
後藤「俺たちを舐めるなよ!」
そう言うと二人はベルトを取り出した。
まずは照井竜、彼はアクセルドライバーと同時にアクセルメモリーを出した。
『アクセル!』
照井「変…身!」
その電子音とともにベルトにアクセルメモリーを装填ドライバーに接続してある
アクセルを回しバイクをモチーフにした赤い仮面の戦士、仮面ライダーアクセルへと変身する。
アクセル「仮面ライダーアクセル!さぁ、振り切るぜ!!」
続いて後藤慎太郎、彼もバースドライバーと一緒にセルメダルを一枚取り出した。
後藤「変身!」
パカッ
バースロットにセルメダルを投入し、グラップアクセラレーターを回転させてリアクターを守る
カプセル状のトランサーシールドを展開する事で仮面ライダーバースへと変身を遂げた。
バース「仮面ライダーバース!」
二人の仮面ライダーがヘラクレス・ゾディアーツに戦いを挑んだ。
バース「バースバスター!」
アクセル「エンジンブレード!」
ヘラクレス・ゾディアーツ「ぐわぁぁぁぁっ!?」
2大ライダーの武器が炸裂してさすがのヘラクレス・ゾディアーツも不利の状況に追い込まれてしまう。
バース「これまでだな。」
アクセル「スイッチは俺たちが回収する、お前がこれを何のために使うつもりだったのかは
知らんがそんな事は最早どうでもいい!」
窮地に追いやられるヘラクレス・ゾディアーツ、だがそんな彼に味方が現れた。
イール「とぁっ!」
アクセル「何だ!貴様こいつの仲間か!?」
ヘラクレス・ゾディアーツ「お前は何だ?」
イール「お前…面白い力を持っているな、我らと共に来い!
これから面白い事になるぞ!」
現れたのはアクマイザーの一味、イールであった。
イールはアクセルとバースに襲われているヘラクレス・ゾディアーツを助けるとそのまま夜の闇へと消えていった。
アクセル「取り逃がしてしまったか…」
バース「ヤツの目的は一体…」
この後二人は流星と合流してまどかたちの頼みを聞く事になる。
ちなみに今回取り逃がしたヘラクレス・ゾディアーツこと番場影人であるが…
これより5年後、『怪人同盟』を組織して超能力者たちを支援し彼らを『超人類』として利用して
旧人類に代わって世界を支配しようと企む。
またアクマイザーたちもそんな番場を利用して地上侵略を目論む訳だが…
彼らとの戦いは別の物語であり、ここでは語らないでおこう。
そして現在…
教会跡地にて杏子は家族と再会を果たしていた。
杏子「これって何だよ…夢なのか?」
杏子父「夢じゃない…本当だよ…私たちは生きているんだ!」
杏子母「1年も待たせてゴメンね杏子、お父さんが急にあなただけ置いていなくならなきゃいけないって言うから…」
モモ「お姉ちゃん、会えなくて寂しかったよ!」
杏子が家族と再会してる最中、そこに佐倉一家と一緒に教会に来ていた弦太郎が現れる。
弦太郎「よ、みんな!久しぶりだな!」
モモタロス(あん?誰だお前?)
マミ「彼は如月弦太郎さん、今回の事で一役買ってくれた私たちの恩人よ!」
弦太郎「恩人なんて堅苦しい事は無しだ、それよりもこれで上手くいった様だな!」
ウラタロス(今回ばかりは礼を言うよフォーゼ。
キミがいなかったら今回の計画はうまくいかなかったかもしれないしね。)
弦太郎「なぁに、困った時は助け合うのがダチだ!
それじゃ俺はこの辺で失礼するぜ、また何かあったら呼んでくれ!じゃあな!」
弦太郎はマシンマッシグラーに乗り、この場を去って行った。
そして杏子は1年遅れの…神様…ではなく友達がくれたクリスマスプレゼントに…
涙を流していた…
まどか「これでよかったんだね。」
ほむら「えぇ、万事解決という事ね。」
レイジ「いいや、まだ終わっていない!」
いきなり現れた黒崎レイジ、彼はすぐにほむらを拘束して魔法を使えなくした。
ほむら「な…何なの!?」
レイジ「時間犯罪者、暁美ほむらお前を逮捕する!」
まどか「ま…待って、何でほむらちゃんが…」
レイジ「それとキミもだ、鹿目まどか!」
そう言うとレイジはまどかも一緒に捕縛して二人を時間警察本部へと連行していってしまった。
モモタロス(おいおい…どうなってんだ一体!?)
いきなりの事態に困惑するモモタロスたち、一体どういう事なのか!?
続く
第8話 ほむら「私は繰り返す、何度でも!」??「そこに救いの手を差し伸べ…」??「その前にアイスだ!」
リュウタロス「あ、久しぶり!」まどか「え~と誰ですか?」
<時間警察本部>
いきなりまどかとほむらを連行した時間警察。
そこにモモタロスたちが乗り込み、事情の説明を求めた。
モモタロス「おい!何でまどかとほむらと捕まえた、説明しやがれ!!」
キンタロス「せや、いくらなんでも横暴やで!!」
さやか「早くまどかを返しなさいよ!!」
杏子「このままじゃすまさねえぞテメェら!!」
ゆま「ほむらお姉ちゃん返してー!」
既に喧嘩腰のモモタロスたち、そんな彼らをウラタロスたちが抑えていた。
ウラタロス「まあまあ、みんな落ち着いて。」
マミ「そうよ、向こうは一応警察なんだから!」
織莉子「騒いで釈放されるわけでもないし…」
キリカ「こういう時は冷静になるべきだよ、物事はクールに見つめなきゃね。」
そんな彼らの前に駅長とレイジが現れ、今回ほむらが逮捕された理由を説明する。
駅長「わかりました、それでは説明しましょう。」
レイジ「強ちお前たちも無関係という訳ではないからな。
既に知っているかもしれないが、暁美ほむらが何度も時間軸を移動して過去の時間を改ざんを行っている。」
さやか「そ…それは…まどかを助けるために仕方なくやっている事だから…」
マミ「暁美さんだって好きでやっている訳じゃないわ!」
レイジ「時の改ざんは絶対に行われてはいけない、それはそこにいるイマジンたちもわかっているはずだが?」
モモタロス「うぅ…」
ウラタロス「それを言われると…痛いね…」
ほむらが逮捕された容疑はこれまでのワルプルギスの夜を幾度となく撃退させるために
行われた過去の時間軸への移動と改ざんの容疑であった。
しかしそこで彼らにはある疑問が浮かんだ。
ウラタロス「ほむらちゃんが逮捕された理由は最初からわかってたよ。
けどわからないのはまどかちゃんだ、何故彼女まで連れてかれなければいけないんだい?」
さやか「そうだよ、何でまどかまで…」
その理由に関して織莉子にはある心当たりがあった。
織莉子「鹿目さんが連行された理由ですけど、それってもしかして『救済の魔女』が関係しているんじゃ…」
その発言にさすがの駅長とレイジも驚いた。
駅長「驚きましたな、まさか救済の魔女をご存じだとは…」
レイジ「お前…何故その事を?」
キリカ「フフフ、織莉子はスッゴいんだからね♪」
織莉子「私には予知能力がありますから、やはり鹿目さんを捕えた理由は彼女の魔女化が理由ですね。」
まどかの魔女化、その一言にさやかたちも…それにモモタロスたちイマジンも驚きを隠せなかった。
モモタロス「ちょっと待て、まどかはまだ魔法少女ですらないだろ!」
さやか「そ…そうだよ…まどかが契約しただなんて…もしそうなら一番の大親友である
さやかちゃんが知ってないとおかしいじゃん!」
確かに…まどかはQBとの契約を行っていない、その話には矛盾があるのは事実である。
しかしレイジは…
レイジ「我々時間警察は彼女は第一級指定の危険人物と認定している。
もし鹿目まどかが契約し魔法少女となれば最強の魔法少女になれると聞いた事があるだろう。」
マミ「そういえばQBがそんな事を言ってたわね、私も鹿目さんの只ならぬ素質を感じてはいるけど…」
かつてQBが言っていた言葉、鹿目まどかは魔法少女としては途方もない素質を持っており
間違いなく最強の魔法少女になれるはずだと…
レイジ「そんな鹿目まどかが魔女化すればどうなると思う?
彼女は救済の魔女と化して見滝原の街なんてわずか数秒で滅ぶぞ!」
ウラタロス「そうか…これでようやく合点がいったよ、僕たちが元の時間軸で目撃したあの強大な魔女…
あれこそが救済の魔女、クリームヒルトグレートヒェンだったんだね!」
モモタロス「じゃあ何か!
まどかがそのクリームなんたらになっちまう訳か!?」
レイジ「そうだ、今の鹿目まどかはいつ爆発するかわからない強力な『爆弾』だと言ってもいい。
もし彼女が契約して…魔女にでもなればその時は…この時間軸は消滅する…」
さすがのレイジの言葉に、先ほどまで反発してたモモタロスたちもさすがに反論は出来なかった。
しかしここでまた一つの疑問が浮かんでくる。
ウラタロス「けど不思議だよね、何でまどかちゃんにそんな素質があるんだろ?
あの子どう見ても普通の子だしね。」
さやか「そうだよ、幼馴染の私が言うのもアレだけど…
今までまどかにそんな素質があったなんて全然心当たりが無いんだけど!」
杏子「アタシもあまりまどかと面識がないからとやかく言えないけど…
魔法少女の資質以外は至って普通のヤツにしか見えなかったな、何か理由があるのか?」
全員が感じるまどかの多大なる魔法少女の素質に関する疑問。
その事について恐らく詳しいであろう者をレイジは連行してきた。
レイジ「入れ、囚人インキュベーター!」
QB「やあみんな、まどかとほむら以外は全員揃っているようだね。」
マミ「QB!?」
杏子「お前…何で檻の中に入ってるんだ?」
レイジ「こうでもしなければこいつは鹿目まどかと契約するかもしれないからな。
そのための処置だ。」
実はQB、まどかとほむらが逮捕される直前にレイジたち時間警察に捕縛されており
それからというもの24時間の監視体制で監禁されていた。
ゆま「QB可哀想…」
杏子「バカ…こんなヤツに同情なんかすんな、今までこいつの仕出かした事を考えれば
これだけじゃ足りねえっての!」
さやか「だよねぇ…」
QB「まったく…ひどい扱いだね…
出合い頭にいきなり監禁だなんて未開の蛮族のする事だよ。」
レイジ「そんな事はどうでもいい、鹿目まどかについての事だ。
お前ならおおよその事情は察しがついているんだろう。」
QB「あぁ、鹿目まどかにあんな膨大な魔法少女の素質があるとすれば理由は唯一つ、
それは暁美ほむらの所為だ。」
さやか「転校生の所為?」
マミ「暁美さんは時間移動を繰り返していただけなのでしょう?
何で鹿目さんの素質が暁美さんの所為になるの?」
QB「ではよく考えてほしい、暁美ほむらが時間を繰り返す理由について…
それは鹿目まどかの救済、まどかを軸に時間が繰り返されている。
つまりその所為で鹿目まどかに因果が集中してしまったのさ。」
モモタロス「つまり何だってんだ?」
QB「暁美ほむらが時間移動を繰り返すたびにまどかの因果が強くなりあのような途方もない
魔法少女としての資質を兼ね備えてしまったわけさ。」
さやか「それってつまり…転校生の所為?」
QB「そういう事になるね。」
キンタロス「何がそういう事や!元凶は全部お前の所為やろ!」
マミ「あの…重要な話だけど…
もし…鹿目さんが魔女化した場合…被害はどの程度の規模になるのかしら?」
マミのその質問に対して、モモタロスたちは不安げな顔をしてこう応える。
モモタロス「俺たちも一度だけしか見なかったがヤツはデカかった…
以前戦ったキングダークってヤツと同じか…いやそれ以上かもしれねえな…」
キンタロス「顔面大将軍っちゅうのよりも巨大やったで…」
ウラタロス「それを言うなら岩石大首領ね。
けど救済の魔女は雲を突き抜けるような巨大な魔女だった…
もしあんなのが暴れ出したら見滝原の街なんかあっという間に吹き飛ぶ事だけは保障するよ。」
モモタロスたちですら慄く救済の魔女、マミと杏子も時空警察の判断に納得がいった。
マミ「ワルプルギスの夜よりも強力な魔女…その出現を止めるのならば…」
杏子「まどかとほむらには悪いがこれも仕方ねえな…」
さやか「ちょっと二人とも…納得するの早いって!」
織莉子「けど救済の魔女が出現すれば私たちの力じゃ太刀打ちできませんよ…」
キリカ「そうだよ、鹿目たちにはここで暫く大人しくしてもらった方が良いね。」
さやか「そんな…」
杏子「まあそんなしょげるなよ、ここならまどかたちに危険はないだろうし…
とりあえずは様子見といこうぜ。」
結局さやか以外の魔法少女たちはとりあえず現状の維持に納得をした。
モモタロス「そういえば姿が見えねえが小僧は何処行きやがった?」
キンタロス「なんや静かと思ったらリュウタがおらんかったんか、気付かんかったわ…zzz」
ウラタロス「まさか…」
その頃まどかとほむらは…
<独房>
時間警察により囚われたまどかとほむら、二人は一緒の独房に入れられていた。
ちなみにこの独房は特別性で魔法の力は一切受け付けない構造になっている。
つまりほむらはこの房にいる限り、時を止める事も時間移動も出来ないのだ。
そして二人の独房の隣には…
沙々「出しなさ~い!私だけをここから出しなさ~い!!」
ネガタロス「いいや、俺様を出せ!!」
同じく時間警察に逮捕された沙々とネガタロスが隣の房に収監されていた。
ほむら「いい加減黙りなさい、そんなに叫んだところで無駄よ。」
まどか「そうだよ沙々ちゃん、大人しくしてた方が良いんじゃ…」
いつの間にか仲が良くなった(?)まどかと沙々、しかし沙々は諦めきれなかった。
沙々「あのねぇ…まどか!
既にご存じだと思いますけど…私たち魔法少女はいずれ魔女になるんですよ!
こんなところにいればソウルジェムの濁りが増す、そうなる前に脱出しなきゃいけないんですよ!」
ほむら「無駄に騒ぐから濁るのよ、大人しくしていれば少しはソウルジェムの濁りも落ち着くはずよ。」
ネガタロス「まったく冗談じゃねえ、時間警察のヤツら…
俺さまをこんなとこに閉じ込めやがって、絶対後悔させてやるぜ!」
まどか「あはは…」
ほむら「けど私にしてみればこの状況は決して悪いものじゃないわ。
まどか、あなたはワルプルギスの夜が現れてもここにいれば安全よ。」
確かにこの独房に居れば魔女に襲われる心配も無いしQBによる魔法少女への勧誘も無い。
ほむらとしては最適な空間…とまではいかないにせよ、都合の良い展開ではあった。
だがそんな彼女たちに対して沙々が異を唱える。
沙々「そんなに守られてばかりでいいんですかね?」
まどか「沙々ちゃん?」
ほむら「優木沙々、余計な事は言わないで!」
沙々「そんな守られてばかりで…自分では何もしない可愛いお人形…
それが今のあなたですわ、鹿目まどか!
正直今のあなたは自分の足で立ってすらいませんの、おわかり?」
ほむら「これ以上言うのなら…」
沙々「フンッ、こんな独房に入れられてれば嫌味の一つくらい言いたくもなりますわ!」
それからほむらと沙々は口論となり誰にも口出しできない状況になった。
まどかに至っては沙々から言われた何気ない嫌味を気にする始末…
だがそれは以前からまどかが感じていた劣等感でもあった。
今まで何も出来ない自分を変えるために魔法少女になろうと一度は決断をした。
しかしその危険な戦いの様を見て、何度も戦う事について思い悩んでいた。
まどか「私はどうしたら…」
そんな時…まどかの悩みに独房の隅にあったある物が反応する。
(その欲望…解放してみないか?)
まどか「え?だ…誰!?」
まどかは声のする方を見る、そこにあったのは緑色の6枚のメダル。
そのメダルがやがて人の形を形成した。
そして一人の男が現れる、趣味の悪い緑色のライダージャケットにオールバックの髪型の青年。
思わず驚くまどかであるが…
ウヴァ「俺の名はウヴァ、さぁ…お前の欲望を解放しろ!」
ウヴァ、彼はグリードという種で800年前の錬金術師たちにより生み出された人工生命体である。
かつては彼の他にも4人も仲間がいたが…戦いの末生き残ったグリードはウヴァ一人になってしまった。
まどかの前に現れたウヴァは一枚の銀色のメダルをまどかの額に投げる。
そのメダルはセルメダル、人間の欲望を糧にして、人間の欲望をヤミーに変える力を持つ。
チャリーン
そしてまどかから一匹の異形のが現れる…
一方モモタロスたちであるが、駅長にまだ聞いてない肝心の事があった。
モモタロス「それで良太郎は!良太郎はどこに行ったんだ!?」
キンタロス「色々と探したけど見つからんかったで!」
ウラタロス「良太郎たちがどこに行ったのか駅長なら知っているよね?」
駅長「勿論知っています、そもそも良太郎くんたちは時間移動なんかしていません。
まだ元の時間軸で救済の魔女と戦っていますよ。」
モモタロス「まだ戦ってるだと!?」
ウラタロス「あの救済の魔女と?」
駅長「その通り、時間移動をしたのはキミたちイマジンだけです。
良太郎くんたちは今もあの時間軸で救済の魔女を相手に戦っています。
ちなみにですが…今のところかなり劣勢を強いられていますね。
もし彼らが敗れでもしたら、救済の魔女は次にこの時間軸を襲ってくるでしょう。」
ウラタロス「ちょ…ちょっとまった!襲ってくるってどういう意味?」
駅長「実は…当初は救済の魔女を相手に良太郎くんたちも優勢だったのですが…」
レイジ「その後、救済の魔女は…
他の時間軸からの同一体を召喚、そして力を吸収し始めてその力は強大化してしまった。
最早彼らだけの力では対処するのは困難だろう…」
駅長「ですのでキミたちにはすぐに元の時間軸へ戻ってもらい、
良太郎くんたちの支援をしてほしいのです。」
レイジ「ちなみに言っておくがもし彼らが負けた場合…
救済の魔女の猛威はこの時間軸にも押し寄せてくる、そうなれば…」
駅長「全ての時間軸は消滅してしまい…未来へ続く歴史は崩壊してしまいます…」
事態はあまりにも深刻であった。
ほむらの時間移動の影響でまどかの魔女化、それによる救済の魔女の猛威、
さらにはその影響が全ての時間軸にまで及ぼし、最悪の場合…全ての時間軸が消滅するというのだから…
モモタロス「こうしちゃいられねえ、さっさと良太郎たちのところへ帰らねえと!」
ウラタロス「待った先輩!まだ聞いてないけどもし僕たちがこのまま帰ればこの時間軸はどうなるのかな?」
ウラタロスの質問に対してレイジは淡々と答える。
レイジ「既に時間犯罪者暁美ほむらと第一級危険人物鹿目まどかは確保した。
とりあえずこれで全ての時間軸が消滅するような危険は無くなったはずだ。」
その言葉を聞き、とりあえずは全員安堵するが…
レイジ「まぁ…ワルプルギスの夜についてだが…
我々は基本あらゆる時間軸に関与する事は出来ない、よってこの時間軸にいるキミたちに対処してもらうしかない。」
杏子「ちょっと待て、それってつまりは…」
さやか「え?何?どういう事?」
織莉子「私たちに丸投げという事ですね。」
キリカ「なっ!?」
マミ「そんな…私たちだけでなんて…」
マミが不安がるのも無理は無い、相手はあのワルプルギスの夜である。
暁美ほむらが幾度となく時間軸を繰り返して戦い続けている相手、そんな魔女に勝ち目があるのか怪しいものであった…
さやか「マミさん…率直に聞きますけど電王抜きで私たちに勝ち目ってありますか?」
マミ「それは…」
さやかからの質問に答えを渋るマミ、代わりに織莉子が答えた。
織莉子「ありませんね、歴史上最強の魔女と謳われているワルプルギスの夜ですよ。
魔法少女が数人徒党を組んで立ち向かったところで結果は…」
キリカ「なるほど、織莉子が言うんだから間違いないね!」
さやか「そんな事言ってる場合じゃ…私たちの街が危ないんだよ!?」
不安を感じるさやかたちを前にモモタロスたちは再度駅長に訊ねてみた。
モモタロス「なぁ…せめてワンコロの夜ってのを倒してから向かうってのはダメなのか?」
駅長「それは…」
レイジ「ダメだ、この時間軸での出来事は彼女たちの問題だ。
お前たちはこの時間軸の者たちではない、これ以上深入りするというなら時間保護法に基づいて逮捕するぞ!」
モモタロス「何だとこのケチ野郎!?」
ウラタロス「先輩、そんな事言っちゃダメだって!」
レイジ「まぁ…お前たちは過去に何度も前例があるからな。
何かあってからでは遅いので、お前たちの身柄も拘束する!」
そしていつの間にか手錠を付けられるモモタロスたち…
この手錠は特殊性で手錠されている間イマジンたちは変身する事も出来なくなってしまう。
ウラタロス「何だよこの手錠、抜けられないじゃん!?」
キンタロス「ほれ!モモの字が余計な事を言うからパス取られてもうたがな!」
モモタロス「俺の所為じゃねぇー!?」
その時だった!
ドッゴォォォォォン
独房から大きな爆発音が響く、急遽駆け付けてみるとそこにいたのは…
???『キャハハハ!』
杏子「あの暴れているヤツ…まさか…」
マミ「魔法少女…なの?」
杏子とマミが指摘するように暴れている存在は、まるで魔法少女のようなフリルのドレスを着ているが
顔は昆虫のような顔をしていて全身がまるで心の闇を現すような真っ黒に染まっていた。
そして全員がこの魔法少女に驚く中、独房から出てくる影があった。
まどか「ゲホッ、ゲホッ…」
ほむら「まどか…大丈夫?」
まどかとほむら、どうやらこの機に乗じて独房から抜け出したようだ。
レイジ「お前たち…そうかこの騒動はお前たちの仕業か!?」
まどかとほむらに銃を向けるレイジ、しかしこの騒動の発端は彼女たちではなかった。
まどかたちの後ろからウヴァが現れ、彼は人間態から昆虫系の怪人に変化した。
ウヴァ「フフフ、お前たちが時間警察か?
俺の名はウヴァ!かつての戦いで次元の彼方へ追いやられてしまったがこの牢獄に辿り着き
欲望を求める者をずっと待っていたんだ!!」
レイジ「ふざけた事を…まずはお前から排除する!変身!!」
レイジが変身する仮面ライダーG電王、それはかつて海東大樹と名乗る泥棒を捕えるために
人工イマジンイヴの力を宿して戦うレイジの姿。
しかし以前、イヴの力が暴走してしまい…それ以来は自らの力で変身し戦う様になった。
G電王「時間保護法に法り、貴様を逮捕する!」
ウヴァ「やれるものならやってみろ!」
G電王VSウヴァの戦いが始まった。
最初は互角かと思われた戦いであるが、レイジはこれでも時間警察の優秀な捜査官。
一度はあの仮面ライダーディエンドを逮捕した実力者である。
対してウヴァは自身を構成しているコアメダルを3枚失っているため完全態ではなく…
本来の実力を出し切れずにいた。
G電王「デンガッシャー十手モード!」
ドガッ
ウヴァ「クソッ、こんなヤツ…完全態の力を取り戻せていれば足元にも俺の及ばないはずなのに!」
G電王による接近戦のラッシュ、さすがに復活直後のウヴァでは力が整っておらず
戦うには不利な状況であった。
G電王「さぁ止めだ、ワールドエンド!」
ウヴァ「クッ!?」
デンガッシャー十手モードから放たれるG電王の必殺技ワールドエンド、当たれば一溜りもない技だが…
ガキィンッ
G電王「何!受け止めただと!?」
???『ティヒヒヒ!』
G電王の必殺技は先ほどから暴れている魔法少女の格好をした者にいとも簡単に受け止められてしまう。
G電王は自分の攻撃を軽々と受け流した存在に攻撃を仕掛けるが…
G電王「ぐわぁぁぁぁぁ!?」
あっさりと倒されてしまった。
ウラタロス「嘘でしょ!あの黒崎レイジが!?」
モモタロス「簡単にやられやがったぜ…」
マミ「あの魔法少女は一体何者なの!?」
全員が驚く中、ウヴァはこの黒い魔法少女を従えていた。
ウヴァ「フフフ、こいつはヤミーと言って人間の欲望から生み出された存在だ。
そしてこいつはそこにいるまどかという娘が生み出したヤミーだ!!」
まどか「そんな…私が!?」
ヤミーは本来人間の欲望から生み出される存在、そしてまどかの欲望は魔法少女になりたい事である。
この二つが重なり、ヤミーと魔法少女の融合体、魔法少女ヤミーが誕生してしまったのだ。
魔法少女ヤミー『ティヒヒヒ!』
ウヴァ「ハハハ!これも俺の実力だ、お前たち全員俺にひれ伏せ!!」
ウヴァ(だが何か様子がおかしい、いくらヤミーでも不完全態の俺よりも強いヤミーなんて
今まで生まれた事は無かったはずだが…)
ウヴァが疑問に思う中、G電王はこの魔法少女ヤミーの異常なまでの強さに対して
ある疑惑があった。
G電王「この強さ…それに宿主が鹿目まどか…
そうか、このヤミーは鹿目まどかの強大な因果が影響されている!
だからこんな異常なまでの強さを誇っているのか!?」
まどか「そんな…私の所為で…」
ほむら「まどか!あなたの所為ではないわ、それよりもここは危険よ!
早く安全な場所へ移動しましょう!」
ほむらは盾を回して時間停止を行おうとするが…
G電王「行かせん!」
G電王はデンガッシャーをガンモードに切り替え、ほむらを狙った。
ほむらも攻撃を防ぐべく盾で身を守ろうとするが…
G電王「ワールドバニッシュ!」
ドキュゥゥゥゥゥン!!
G電王はバリアに包まれた状態になり赤と青の光線ワールドバニッシュがほむらに直撃する。
ほむら「キャァァァァ!?」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫!?よかった、無事だった!けど…」
まどかがすぐにほむらの下へと駆けつけるが確かにほむらは無事だった。
しかしG電王の攻撃を防ぐために盾が激しい損傷を受けてしまい…
その所為で時間停止と時間移動の機能が失われてしまったのだ。
ほむら「そんな…これじゃあ…やり直す事が出来ない!?」
G電王「これでいい、これで時の運行を辛うじて守る事が…ぐはっ!?」
魔法少女ヤミー『ウェヒヒヒ!』
魔法少女ヤミーは弓矢を出して、時間警察本部を崩壊させようとしていた。
そしてそれに乗じて今まで時間警察により捕らえられていた囚人たちが暴れ出して
この騒ぎに乗じて脱走しようとしていた。
モモタロス「クソッ!こうなりゃ俺たちも変身だ!」
ウラタロス「ダメだよ、僕たちは手錠されてしまったから力が出せないんだよ!?」
キンタロス「こんなヤツ…手錠が無ければ一撃でやってもうたのにのぅ…」
モモタロスたちは先ほどレイジに掛けられた手錠の所為で本来の力を発揮できずにいた。
また杏子たち魔法少女も…
モールイマジン「ガアア!」
杏子「近付いてくんな!」
マミ「このっ!ダメね、こっちも脱獄してくる囚人が暴れ出して襲ってくるから対応できないわ…」
テディ(すまん、我々も…)
デネブ(手に負えない…)
キリカ「この…デネビックバスター!」
織莉子「マチューテディ!ダメ、こう数が多くては対処できないわ…」
圧倒的な数に苦戦を強いられる一同、そんな時ほむらの脳裏にある声が響いた。
リュウタロス(アハハ、僕の出番だよね!)
ほむら「リュウタロス!あなたどうして…」
ウラタロス「そっか、リュウタだけほむらちゃんに憑りついてて難を逃れてたんだね!」
モモタロス「でかした小僧!さっさとやっちまえ!」
ほむら「とにかく行くわよ、変身!!」
『Gun Form』
電王(ガンF)「一気に行くよ、いいよね?」
そう言うと電王(ガンF)はデンライナーイカヅチを呼び出しバトルモードに変形させる。
杏子「おいおい…何であいつデンライナーなんか呼び出してんだよ?」
さやか「ね…ねぇ…なんかやばい事するんじゃないの!」
何やら嫌な予感を感じる杏子とさやか、その予感は的中する。
織莉子「ハッ、予知でわかりました!リュウタくんはこれから…」
杏子「予知しなくたってわかるよ!全員伏せろー!!」
電王(ガンF)「「行っくよー!!」」
バトルモードに変形したイカヅチは口からフリーエネルギーの光線を吐き出し
暴れている囚人連中を一掃した。
バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
モモタロス「小僧!俺たちがいる事を忘れるなー!?」
ウラタロス「無駄だよ先輩、たぶん聞こえてないから…」
まどか「キャァッ!?」
爆発に巻き込まれそうになるまどか、その時地面に2枚の赤いメダルが落ちている事に気付いた。
まどか「赤い…メダル?」
さやか「まどか!こっちこっち!」
マミ「鹿目さん、結界を張るから早くこっちに来て!」
まどか「さやかちゃん!マミさん!わかりました!」
まどかは二枚のメダルをポケットに入れて急いでマミのところへ急いだ。
ドーン! ドッカーン!
崩壊する時間警察本部。
一方その頃、沙々はネガ電王に変身して時間警察の最重要人物が閉じ込められている独房に囚われている者たちを出した。
??「ここはどこだ?」
??「何故俺たちは囚われている?」
??「ここから出せ!」
??「そうだ…俺たちはまだ…暴れたりないんだ!」
そこにいる4人の囚人たち、ネガ電王は彼らを解放した。
沙々(ちょっとネガタロス…この連中は一体何なんですか?見るからに物騒な連中なんですけど!?)
ネガ電王「こいつらは過去の戦いで敗れ…無念に散った連中だ。
時間警察に囚われたのは俺様にとっては好都合だった、今こそ俺様は最強の悪の組織を結成してやるぜ!!」
爆炎の響く中、ネガ電王はこの連中を率いて時間警察本部から脱出した。
シュゥゥゥゥゥ
イカヅチによる攻撃も終わり、時間警察本部は半壊するものの脱走しようとした囚人たちは阻止する事が出来た。
電王(ガンF)「へっへ~ん、やったね!」
モモタロス「『やったね!』じゃねえ!こっちもやばかったんだぞ!!」
杏子「少しは手加減しやがれ!」
ほむら(けどまどかは無事のようだし、これで…)
これでやっと一段落する、誰もがそう思った時であった。
ドシュッ
電王(ガンF)「うわぁっ!?」
黒い矢が電王(ガンF)の背中に刺さり爆発した。
何かと思い辺りを見回すとそこにはイカズチの攻撃を回避したウヴァと、それに魔法少女ヤミーがいた。
モモタロス「あいつら…生きてやがったのか!?」
ウヴァ「当然だ、この俺が簡単にやられてたまるか!」
魔法少女ヤミー『ティヒヒヒ!』
魔法少女ヤミーは電王(ガンF)に突進を仕掛けた、両者はそのまま時間警察本部を抜け出して、
時の砂漠へと転げ落ちていった。
ウヴァ「ほう、ヤツらここから落ちていったか。では俺も…」
そう言うとウヴァは魔法少女ヤミーの宿主であるまどかを掻っ攫って後を追い掛けようとする。
さやか「ちょっとアンタ!まどかを返せ!」
ウヴァ「黙れ虫けらが!お前たちはそこでジッと見ているんだな!」
そしてウヴァもまどかを連れて電王(ガンF)と魔法少女ヤミーの後を追って行った。
杏子「クソッ、早く追いかけねえと…」
だがその時であった、時間警察本部が今までの攻撃に耐えきれなくなりとうとう崩壊してしまった。
G電王「いかん!このままでは建物が崩れる!」
駅長「みなさ~ん、ターミナルに急いでください。発進しますよ!」
モモタロス「よっしゃ!みんな乗り込め!」
全員がキングライナーに乗車して脱出、建物の崩壊に巻き込まれずにすんだ。
そして電王(ガンF)と魔法少女ヤミーは時の砂漠を抜けて元の現実世界へと戻ってきていた。
電王(ガンF)「だぁぁっ!」
魔法少女ヤミー『ウェヒヒ、ホムラチャン。ワタシトタタカエルノ?』
ほむら(こいつ…喋れるの?)
ほむらが魔法少女ヤミーに疑問を持つ中、そこへウヴァと攫われたまどかが現れた。
ウヴァ「そうだ、俺の作るヤミーには知能がある。
そして宿主であるこの娘のある想いでヤミーは強さを増すのだ!」
まどか「私の想い?」
魔法少女ヤミー『ワタシネ、ズットイママデノジブンガイヤダッタンダ。
ナニモデキナクテオクビョウダッタジブンガ…ダカラツヨクナレタラドンナニイイカ…
ホムラチャンナラワカルヨネ?』
ヤミーの語る想いはまどかが抱いていた悩みと同じであった。
自分も魔法少女となって力を得たい、そして弱い自分を変えたいと…そんな想いを叶えたいと…
ウヴァ「力を求める事は悪い事じゃない、お前が求める力はすぐ目の前にあるんだぞ!」
まどか「あれが…私の求める力…」
まどかはフラフラと魔法少女ヤミーの下へと近づく、あれこそが自分が求めていた力そのものだと…
ほむら(まどか…ダメ…行かないで!?)
ほむらは必死に叫ぶがまどかの耳には入らなかった、そして魔法少女ヤミーがまどかに手を差し伸べる。
その邪悪に満ちた力をまどかに献上するかのように…
まどか「私に力をくれるの?」
魔法少女ヤミーはコクンと頷く、そしてその差し伸べた手を受け取ろうとするが…
ダンッ
そこに一発の銃声が響く、弾丸が当たったのは魔法少女ヤミーの手である。
そして当てたのは…
電王(ガンF)「…」
ほむら(リュウタ?)
なんと電王(ガンF)がまどかの行動を阻止したのだ。
まどか「リュウタくん…何で邪魔するの?私も戦う力が欲しいんだよ!」
何故こんな事をするのかと、自分も戦う力を得たいと訴えるまどか。
しかしリュウタロスは…
電王(ガンF)「そんなの…間違ってる…
そんな悪いヤツからもらった…力を得たって何も残らないよ…」
まどか「あなたに…力を持ってるあなたにはわからないよ!
私だって戦いたいの…ほむらちゃんやマミさん…それにさやかちゃんたちに守ってもらってばかりの私じゃない!
自分の力で戦える私になりたいの!!」
ほむら「まどか…」
まどかの悲痛な叫び、その想いがわからないほむらではなかった。
ほむらはこれまで幾多のループを繰り返し、その度にまどかを見てきた。
彼女は守られたいわけではない、自分が誰かを守りたい、そんな優しい子だと知っているからだ。
電王(ガンF)「ねぇまどか…
僕も以前はやりたい放題だったんだ、みんなには迷惑かけて…困らせて…
そんな僕を仲間だと思ってくれたのが良太郎だった。」
『良太郎』、まどかとほむらはこの名前を何度か耳にしていた。
モモタロスたちが慕っている彼らの契約者の名前である。
彼らイマジンたちが事ある事に彼の名前を出しているので恐らく相当の実力者なのだろうとまどかたちは思っていた。
だが実際はそうではなかった…
電王(ガンF)「良太郎って本当は信じられないくらい弱くて…
僕も最初は良太郎を殺すために悪いヤツに送り込まれたんだけど…
いつの間にか仲良くなって…結局その悪いヤツを裏切っちゃったんだねよ。
だから僕思うんだ、本当の強さってもしかしたらそんな悪いヤツからもらえる力なんかじゃなくて…
良太郎みたくどんな悪いヤツにも立ち向かえる強い心が力になるんだって!!」
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
魔法少女ヤミーに電王(ガンF)の連射が決まる、さすがに耐えきれなくなり倒れ伏す魔法少女ヤミー。
倒れた際に数枚のセルメダルが体内から吐き出され、それが先ほど赤いメダルを拾った
まどかのポケットに入っていった。
まどか「私…私は…」
ウヴァ「何を迷っている!ただの人間のお前がやっと手に入れる事の出来る力だぞ!
拒む理由がどこにある!?さぁ、力を受け取るんだ!!」
まどかはこの時迷った、自分が手にすべき力はこんなもので良いのかと…
ウヴァ「迷うな!お前の求めるモノはすぐそこにあるんだぞ!
完全無敵の力だぞ、黙って受け取ればいいだろ!!」
まどかの行動にじれったさを感じたウヴァは半ば強制的にまどかに力を受け入れるように言うが
それが逆にまどかの反発を買ってしまった。
まどか「やっぱりこんなのおかしい…
キンさんたちが言ってた、『世の中強い人なんかいくらでもいる、もっと上を目指せ』って!
私は…そんな押し付けられる力なんて…あなたたちから差し出された手なんか受け取らない…
強さは私自身が身に付けなくちゃいけないものなんだってわかったから!!」
ウヴァ「このガキ…生意気な…」
ほむら(まどか…危ない!?)
その時まどかのポケットに入っていた赤いメダルが反応して光り輝いた。
光が静まった瞬間、まどかは自分の右手を見た、なんとそこにあったのは…
アンク「クソッ!復活できたのは右手だけか…忌々しいぜまったく…」
まどか「私の右手が…変な事になってるー!?」
ウヴァ「お前はアンク!死んだはずじゃなかったのか!?」
電王(ガンF)「あれ?あの右手どこかで見たような?」
リュウタロスがどこかで見覚えのある右手を疑問に思う中、ある棒切れに一枚のトランクスのパンツを
掲げた男が現れた。
??「あれは…ちょっとこれ持ってて!」
ほむら(あなた誰?…何これ…パンツ?)
男はほむらにパンツの棒切れを渡すと颯爽とまどかの救出に成功する。
アンク「映司!久しぶりだな!」
映司「アンク?お前どうして…タカメダルはあの時…」
アンク「あの時咄嗟に本体を無傷なクジャクとコンドルのメダルに移しておいたんだ。
だから助かった!」
映司「そっか、よかったなアンク!」
映司と名乗る青年はまどかの右腕にくっ付いているアンクに抱きついた。
その光景を見たほむらは思わずまどかと映司を引き離そうとする。
ほむら(ちょっとあなた!いきなり出てきて訳も分からずまどかに触れないで頂戴!
大体何者なの!?)
映司「何者って言われると困るけど…とりあえず俺の名は火野映司。
正直俺にはキミたちの事情はよく知らない、けど困っているキミたちに手を差し伸べたくてここに来たんだよ!」
そして映司はオーズドライバーを腰に装着する。
アンク「映司、メダルだ!」
アンクが映司にメダルを渡す。赤(タカメダル)、黄(トラメダル)、緑(バッタメダル)の3つのメダルだ。
ウヴァ「あれは…俺の!やはりお前が持っていたのか!?」
メダルを渡された映司はベルトにメダルをセットし右腰にマウントされているオースキャナーで
3枚のコアメダルを横一線にスキャンしてこう叫んだ。
映司「変身!!」
その瞬間、ベルトから赤、黄、緑のオーラが光りベルトからある歌が聞こえてきた。
『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ♪タトバ♪タ・ト・バ♪』
まどか「タカ?トラ?バッタ?」
ほむら「タトバ?」
火野映司が変身した姿、それは上下三色の色に別れた戦士であった。
オーズ「俺はオーズ、仮面ライダーオーズだ!」
電王(ガンF)「あー、やっぱりオーズだ!久しぶりー♪」
再会を喜ぶリュウタロスとオーズだがそんな中、オーズが現れた事でウヴァは怒りを露わにしていた。
ウヴァ「オーズ…やはり俺のコアメダルはお前が持っているのか!
コアメダルは俺の物だ、さっさと返せ!!」
オーズ「悪いけど悪用されると知ってて返すつもりはないよ。
そっちこそ、大人しく封印されてくれ!」
ウヴァ「ふざけるな、誰が二度と封印なんかされるか!!」
オーズはメダジャリバーを取り出し、ウヴァとの戦いに挑む!
ガキンッ
ドガッ バシッ
最初は互角かと思われていたが魔法少女ヤミーも加勢し、オーズも思わず苦戦してしまう。
オーズ「おい、二対一は卑怯じゃなかったのか?」
ウヴァ「そんな昔の事…とっくに忘れたに決まってるだろ!」
形勢が不利なオーズに一気に仕掛けるウヴァ、だが上手くはいかなかった。
ドンッ!ドンッ!
背後から響く銃声、後ろには電王(ガンF)がデンガッシャー・ガンモードを構えていたからだ。
ほむら(これで二対二よ、フェアな戦いが出来そうね!)
電王(ガンF)「お前、倒すけどいいよね?答えは聞いてない!」
オーズ&電王(ガンF)VSウヴァ&魔法少女ヤミーのタッグ戦が行われた。
魔法少女ヤミー『ティヒヒヒ!』
オーズ「こいつ…強い…ウヴァ以上だ!」
魔法少女ヤミーを相手にするオーズ、元々がまどかの因果を具現化した存在なので
さすがのオーズも苦戦を強いられていた。
アンク「映司、このメダルを使え!」
オーズ「これは…ゾウメダル!」
『タカ!トラ!ゾウ!タカトラゾ!』
オーズ「テイヤー!」
ゾウメダルに交換する事により、バッタメダル時では出来ない重量感のあるキックをぶつける事が出来る。
オーズ「けど…これだと逆にスピードが出ないから動きについていけない…」
アンク「なら次はこのメダルだ!」
アンクが次に渡したメダルはウナギメダルとチーターメダル、急ぎウナギメダルとチーターメダルをスキャンするオーズ。
『タカ!ウナギ!チーター!タカウーター!』
オーズ「ハッ!」
オーズはウナギメダルの特性である電気ウナギウィップを巧みに使い魔法少女ヤミーを縛り付ける事に成功する。
オーズ「今だ、ボルタームウィップ!」
魔法少女ヤミー『ギャァァァァ!?』
そして電気ウナギウィップから流れる強力な電撃攻撃で魔法少女ヤミーに多大なダメージを与えた。
ウヴァ「チッ、使えないヤツめ…」
電王(ガンF)「よそ見…してる場合じゃないと思うけど?」
背後に銃を突きつける電王(ガンF)、慌てて体勢を立て直すウヴァだが一手遅れてしまった。
『Full Charge』
電王(ガンF)「こっちも行くよ、ワイルドショット!」
ウヴァ「グハァァァァァ!?」
電王(ガンF)の必殺技を受け吹っ飛ばされるウヴァ、だが完全にやられた訳ではなかった。
ウヴァ「チッ、ここは引くしかないか…だが憶えておけ!このままではすまさん!」
そんな捨て台詞を吐いてウヴァはこの場から逃げて行った。
そして残った魔法少女ヤミーにもう一度ワイルドショットを撃とうとするが…
ズキッ
電王(ガンF)の…いや…憑依体であるほむらの右腕に痛みがあった。
それは先ほどG電王から受けたワールドバニッシュのダメージが盾で辛うじて防いでいたと思われていたが
実は右腕にかなり響いていたのだ。
ほむら(この腕でもう一度あの技を撃つのは正直つらい、けどここで倒さなければ…)
ほむらは痛みを堪えてなんとかもう一度態勢を取るがその痛みの続く腕をアンクの右腕をしたまどかが優しく握ってきた。
ほむら(ま…まどか?)
まどか「今の私にはほむらちゃんを守る力はないかもしれない…
けど…あなたに手を伸ばして支えてあげる事くらいは私にだって出来るから!」
まどかに支えられ再び必殺技を撃つ態勢を取るほむら、それと同時にアンクがオーズに再びメダルを渡す。
アンク「映司、こんなヤツを相手に一々時間を掛けるな!コンボで決めるぞ!」
そしてオーズに渡されるメダル、それは…
『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガータ♪ガタガタキリバ♪ガタキリバ♪』
仮面ライダーオーズガタキリバフォーム、昆虫系コンボを使用したフォームで大きな特徴は全身が緑である事である。
アンク「おい紫のお前、上空に向かってさっきの銃を撃て!」
電王(ガンF)「わかった、ワイルドショット!」
『スキャニングチャージ!』
オーズも上空にジャンプし、先ほど上空に放たれたワイルドショットをバッタレッグに吸収した。
そしてその瞬間、オーズはガタキシバ最大の固有能力である分身生成を発揮する。
オーズ「ハッ!」
まどか「す…スゴイ!分身が一、二、三…と…とにかく数え切れないほど出てきた!」
ほむら「一体どこまで増える気なの?」
アンク「ガタキリバの力でなら最大50体の分裂が可能だ、今だ映司!!」
電王(ガンF)のワイルドショットの力を得たオーズは分身50体とともにキックの態勢を取った。
オーズ「セイヤー!!」
その掛け声とともにガタキリバキックが放たれた、分身×50のガタキリバキックに加えて
ワイルドショットのエネルギーも上乗せ、最早魔法少女ヤミーに逃げ場は無かった。
魔法少女ヤミー『ギャァァァァァァ!?』
ガタキリバコンボの特性をフルに使い魔法少女ヤミーは爆散してしまった。
後に残ったのは残骸から出てくる大量のセルメダルだけだった。
アンク「ハハハ、メダルだ!メダルだ!」
大量のセルメダルを見て大はしゃぎするアンク、その一方で映司はまどかとほむらから礼を言われていた。
まどか「あの…さっきは助けてもらってありがとうございました。」
ほむら「まったく…随分とチートな技を使うのね。
幻惑魔法を得意とする佐倉杏子だってあんなに分身は生み出せないわよ…」
映司「アハハ、久しぶりの変身だけどうまくいってよかったよ。
それじゃ俺たちは逃げたウヴァを追うね、また何かあったら呼んでくれ。
俺はもう助けを求める手を掴み損ねたくはないんだ、それじゃ!行くぞアンク!」
アンク「ま…待て映司、まだメダルを全部吸収してないんだぞおい!?」
こうして嫌がるアンクを無理やり引っ張り火野映司は何処かへと消えて行った。
その頃、キングライナーで崩壊する時間警察本部を脱出した一同は現実世界へと戻ってきていた。
さやか「まったく…散々な目に合った…」
杏子「本当だぜ、結局まどかたちは大丈夫だったのかな?」
マミ「心配だわ、すぐに探しに行きましょう。」
心配するマミたちであるがその場にすぐにまどかとほむらが現れた。
まどか「みんなごめんなさい、大丈夫だった?」
ほむら「この様子だと全員無事のようね。」
ゆま「お姉ちゃんたち無事だったんだね!」
さやか「いやー、よかったよかった!」
しかしぬか喜びしているのはそこまでだった、すぐにその場で異常な事態が起き始めたからだ!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
空が急に曇り出し、まるで台風が急接近でもしたのかと思うような異常気象が見滝原全域に発生した。
この異常事態に対してほむらはある心当たりがあった。
ほむら「この現象…まさか…ワルプルギスの夜!?」
マミ「そんなまさか!」
織莉子「あり得ません…予知ではアレが来るのは確かあと数週間は先のはずでは!?」
キリカ「そうだ!織莉子の予知が外れるわけが…」
確かに織莉子の予知が外れる事はこれまであり得なかった。
しかしある邪悪な意志が織莉子の予知を凌駕したとしたらどうであろうか?
⑤
④
③
②
①
そして現れる舞台装置の魔女:ワルプルギスの夜!
現れたワルプルギスの夜は魔女結界を必要としておらずその姿を視認する事が可能だった。
杏子「あいつがワルプルギスの夜…でけぇ…300mはあるんじゃねえのか!?」
マミ「歴史上最強にして超弩級の魔女…噂に違えない巨大さだわ…」
全員がワルプルギスの夜に圧倒されている中、さやかはあるモノを発見する、それは…
さやか「ねぇ、あのワルプルギスの夜のところに人がいるんだけど…
あれってもしかして優木沙々じゃない?」
まどか「本当だ、沙々ちゃんだ!?」
そう…先ほど時間警察を脱走した優木沙々がワルプルギスの夜を従えていたのだ。
ほむら「バカな…どうして!?」
QB「それは僕から説明しよう。」
さやか「QB…いたんだ…しかも檻から出てるし…」
QB「さっきの騒動でドサクサ紛れで逃げ出せたんだ。
それよりも優木沙々、彼女は魔女の洗脳を得意とする魔法少女だ。
だからこそ…ワルプルギスの夜を従えさせられたかもしれないが…」
織莉子「何かおかしい事でもあるのですか?」
QB「優木沙々の能力は確かに特殊ではある。
だが…彼女の魔法力であのワルプルギスの夜を従わせるのは不可能だ!
誰か相当な実力を持つ協力者がいるはずだよ!」
沙々「ウフフ、確かに私一人じゃワルプルギスの夜の制御は無理でしたけど…
彼らがいてくれましたからね!」
沙々の後ろに現れる男たち、モモタロスたちは彼らに見覚えがあった。
モモタロス(あいつらは…)
ウラタロス(嘘でしょ…)
キンタロス(なんちゅうこっちゃ、偉い事やで!)
リュウタロス(あいつら生きてたんだ!)
それはかつて過去に電王に敗れた悪の仮面ライダーたち…
仮面ライダー牙王、仮面ライダー幽汽、仮面ライダーゴルドラ、シルバラ、4人のライダーが集結していた。
沙々「そして…私も…変身♪」
ネガ電王「この俺、仮面ライダーネガ電王が揃い5人の仮面ライダーにワルプルギスの夜だ。
お前たちに俺の悪の組織(真)を倒せるかな?」
モモタロス(ふざけやがって!何が(真)だ!絶対ぶっ潰してやる!!)
キンタロス(せやな、もう一度コテンパンに倒してやらなあかん!)
モモタロスたちがネガ電王たちに攻めようとキングライナーから降りようとしたその時であった。
突然キングライナーが動き出してしまった。
杏子「お…おい…モモタロス!?」
さやか「あのでっかい電車が動き出した!」
マミ「ど…どうしたっていうの!?」
突然の出来事に驚く杏子たち、だがそれはイマジンたちも一緒であった。
リュウタロス(な…何で動いてるの!?)
駅長「タイムリミットです、もう我々は元の時間に戻らなければいけません。」
レイジ「そうだ、もう暁美ほむらの盾は使えなくしておいたからこれで時間移動は出来ない。
それにこんなところでグズグズしていたら野上良太郎たちが救済の魔女にやられるかもしれないからな。
急いで戻らなければならん。」
モモタロス(おい待てよ…そのために杏子たちを犠牲にするってのか!?
俺は許さねえぞ!戻せ、戻してくれぇぇぇぇぇ!?)
モモタロスの悲痛な叫びも虚しく、キングライナーはワームホールを抜けこの時間軸から去って行った。
続く
第5話 織莉子「何でここで5話?」キリカ「過去編だからさ!」
??「さぁ、お前の罪を数えろ!」デネブ「見知らぬ人、お茶でもどうぞ。」
<美国邸>
杏子たちがほむらを追って沢芽市に行っていた頃、魔法少女の契約を果たしたばかりの美国織莉子はある事で悩んでいた。
織莉子「救済の魔女…私たち魔法少女が束になっても敵わない相手とどう戦えば…」
QBと契約した彼女は未来の出来事を知る事が出来る予知能力を得た。
初めて魔法少女となった彼女が見た予知は、絶望の光景に包まれていた…
荒廃する見滝原の地、そこに現れるワルプルギスの夜。
そして桃色の魔法少女が現れワルプルギスの夜を颯爽と退治するが…
ワルプルギスの夜を退治すると同時に、その魔法少女は力を使い果たしソウルジェムはあっという間に濁り出現する
救済の魔女:クリームヒルトグレートヒェン。
そこで予知は終わっていた、その後の光景なんて想像するだけで鬱になるだろう。
織莉子は考える、もしこの救済の魔女を倒せる可能性があるとしたらそれは…
織莉子「救済の魔女と化す前の魔法少女を殺しさえすればいい。
彼女はまだ魔法少女の契約すらしていないはず、殺すのは容易い…けど…」
織莉子は迷っていた、確かに大勢の人間を助けるためならたった一人の人間の命を
犠牲にするのは仕方の無い事ではないか…しかしそれが本当に正しいのか、それに…
ガッシャーン
そんな物思いに耽っていた彼女の家に石が投げ込まれた、その石には紙が包まれていてその内容は…
『この悪徳政治家の娘め!お前も地獄に堕ちろ!!』
…という内容であった、今彼女は迷っていた。
果たして自分をこんな目に合わせる人間たちを救う価値などあるのかと…
――――――
そんな事を思い悩んでいた時、誰かが織莉子のそばに近付いてきた。
QB「やぁ美国織莉子、キミはまだ魔法少女としての活動を始めていないね。
キミが全然動かないからこうしてキミの動向を見に来たよ。」
織莉子「QB…」
織莉子が魔法少女としての活動をしない理由はある。
それは予知で未来を見た時に、救済の魔女の出現と同時に
魔法少女が魔女になるという重大なカラクリに気付いてしまったからだ。
もしこの先魔法少女としての使命を果たすのであれば…それは間違いなく…
同族殺し、そして…やがては自分も魔女となる運命になるはずだから…
QB「キミが何を考えているのかは僕にはわからない。
だが与えられた使命だけはしっかりと果してもらいたいな、それが契約なんだから。」
織莉子「えぇ、わかっているわ。この嘘吐き…」
立ち去るQBに皮肉を漏らす織莉子、その時であった。
ピンポ~ン
その時、玄関のチャイムが鳴り響いた。
自分を訪ねる人間なんているはずがない、そう思い恐る恐るインターホンを見るとそこにいたのは
自分と同い年くらいの黒いショートヘアの一人の少女であった。
織莉子「誰…かしら?白女にあんな子はいなかったはずだけど?」
玄関までやって来るとそこに立つ少女は何やら緊張しているようで焦りながらもこう話した。
キリカ「あ…あの…私は呉キリカという者です、そ…その美国織莉子さんですよね?
わ…私は呉キリカという者で…あの…その…」
織莉子「え~と何を仰りたいのかしら?」
キリカ「だから…その…つまり…」
キリカが何か言おうとした、だが…
ドッカーン
美国邸の庭にやたらと響く音がした、二人は気になってその場に行ってみるとそこにあったのは…
デネブ(ここはどこだ?助けてくれ~!)
テディ(すまない、我々は動けないのだ!?)
そこにあったのはデネビックバスター、それにマチューテディの状態のまま動けないでいるデネブとテディの姿があった。
織莉子はテディを、キリカがデネブを持つと彼らはここぞとばかり礼を言ってきた。
デネブ(ありがとう!二人のおかげで助かった、礼を言う!)
テディ(すまない、我々は本来の姿に戻れないのだ…どうか元の世界に還れる手段を
見つけ出すまで傍に居させてくれ!)
突然の申し出に対して織莉子とキリカは驚くがそんな事を気にしている場合ではなかった。
住人A「おい、今の衝撃は何だったんだ?」
住人B「あの美国の家からだぞ!」
なんと先ほどのデネブたちの轟音を聞きつけて美国邸に近所の住民たちが押し掛けてきたのだ。
キリカ「何だこいつら?」
織莉子「彼らは…近所の人たちよ…あなたたち早く逃げなさい!」
織莉子はそう言うとキリカにデネブたちを押し付けて家から出そうとする。
そこへ近所の住人達が織莉子の下へと押し掛けてきた。
住人A「今の音だがアンタのところから聞こえてきたぞ!どういう事だ!?」
住人B「この悪徳政治家の娘が!やはり悪人の子は悪人だな!」
住人C「まったく…いい加減にしてくれ!
アンタら美国の家の所為で近隣の我々まで悪人扱いされるかもしれないんだぞ!?」
そこへある二人の男の影があった。
一人は帽子を被りまるで探偵のような風貌の青年。
もう一人は長袖のボーダーにノースリロングパーカーの少年が美国邸へと近付いていた。
??「ここが美国さんの屋敷か。」
??「あぁ、それにしても酷い有様だね。壁のいたるところに落書きの跡がある。」
二人の男たちが美国邸の状況を嘆いている間に手前勝手な理由で織莉子を責め立てる近隣の住人達、
その光景を見たキリカがキレた!
キリカ「ねえアンタたち、さっきから子供相手に大人気ないな!
その子が何か悪い事をしたわけじゃないだろ?」
確かに織莉子自身に非がある訳ではなかった、だが…
住人D「何も知らないガキは引っ込んでろ!
こいつはな…この前首吊り自殺をした汚職議員美国久臣の娘なんだよ!!」
織莉子「…」
美国久臣、彼は織莉子の父親であり幼い頃に母親を亡くした織莉子にとっては唯一の肉親であった。
そんなたった二人の親子に何があったのかというと…
遡る事数週間前、織莉子が自宅に帰宅すると父親が首を吊っている光景を目撃してしまった。
それからすぐに蘇生措置が施されたがその甲斐虚しく、父親は死亡。
その後どこからかの情報で明るみとなった父親が行ったとされる様々な不正疑惑、その行いが世の人々の反感を買い…
彼女は悲劇の娘ではなく悪徳政治家の娘として扱われていた。
これまで親しく付き合ってきた学校の友人、それに知り合い等の関係者すべてが掌を返したが如く彼女を煙たがった。
織莉子「だから私には関わらないで、あなたまで巻き込まれるわよ…」
キリカに忠告を促す織莉子、しかしそんな忠告を聞き入れるようなキリカではなかった。
キリカ「それってつまり織莉子の父親が悪い訳で…織莉子自身が悪い訳じゃないよね?
それなのにキミたちはこんな幼気で可憐な彼女を寄って集ってイジメているわけかい?
それってみっともないよね?」
住人E「この…余所者のガキが黙っていろ!」
織莉子「危ない!?」
デネブ(くぅっ!こんな状態でなければ…)
テディ(守ってあげられるのに!)
キリカは住人達の反発を買ってしまい殴られそうになってしまう。
??「こいつは放っておけねえな、待ちな!」
そこへ先ほどの探偵の風貌をした青年がキリカを助けようと近付くが…
ガシッ
???「いい加減にしなさい、あなたたち!」
織莉子「え?」
キリカ「だ…誰?」
殴られそうになるキリカをある男が守ったのだ、だが守ったのは先ほどの青年ではなかった。
凰蓮「ワテクシは凰蓮・ピエール・アルフォンゾ、どんな理由かは存じませんが…
大の男が寄って集ってレディに暴力を振るうのは…許しませんわ!!」
ドカッ バキッ ボカッ
住人’s「チクショウ!覚えてやがれ!!」
凰蓮「adieu、ダサ男くんたち♪」
先ほどまで集まっていた住人たちはいっせいにいなくなってしまい、
その場に残ったのは織莉子とキリカ、それに凰蓮と青年たちだけだった。
凰蓮「織莉子大丈夫だった?怪我は無い?」
織莉子「えぇ、どうもありがとうございますパティシエ。」
キリカ「パティシエ?このおじさんケーキ屋の店長なの?」
キリカを助けたのは洋菓子店「シャルモン」の店長凰蓮・ピエール・アルフォンゾ(本名は凰蓮厳之介)
スキンヘッドの頭に厳つい肉体で一見パティシエには見えないのだがそれもそのはず。
彼は以前傭兵部隊に所属していたのだから。
ちなみに織莉子はシャルモンの常連で個人的に彼と付き合いがあった。
凰蓮「ちょっと…小娘?アンタさっきワテクシの事を何と呼びましたの?」
キリカ「何って…店長って…」
凰蓮「店長ではない、パティシエよ!!」
キリカ「ハ…ハイ…パティシエ…」
デネブ(うぅ…キャラの濃そうな人だ…)
テディ(我々の影がドンドン薄くなる…)
??「なんじゃこりゃー!?ここは普通俺が活躍する場面だろ!!」
??「キミは相変わらずハーフボイルドだからね。」
そんなやり取りの最中、織莉子の事を心配してくれる人間がやってきた。
町内会長「織莉子ちゃん大丈夫だったかい?」
織莉子「町内会長さん!」
織莉子の事を心配して駆けつけた近所の町内会長が織莉子の事を労わった。
彼は昔から美国の家と深い関係があり、織莉子の父の自殺後もこの近隣で唯一織莉子と関わりを持ってくれていた人物でもある。
町内会長「まったくあいつらめ、加減というものを知らんのか!」
織莉子「仕方ありません…父はそれだけの事をしてしまったのだから…」
そんな織莉子の前にようやく二人の男たちが自己紹介をしようと歩み寄ってきた。
??「え~とあんたが美国織莉子さんかい?
さっきは俺が颯爽と助けに行きたかったんだがそこのオカマのおっさんに邪魔されてな。」
凰蓮「誰がオカマのおっさんよ!パティシエ、もしくはレディとお呼び!このダサ男!」
??「いやどう見てもおっさんだろ!ていうか誰がダサ男だ!?こんなに活かした格好してるだろうが!?」
凰蓮「フン、どう見てもアンタ形から入るタイプでしょ!アンタから半人前臭がプンプン臭って不快なのよ!!」
フィリップ「当たらずも遠からず、意外と的を得た意見だ。
さてそんな事はさて置いて織莉子さん、僕はフィリップ、それとこっちは左翔太郎、二人とも風都という街の探偵だ。
僕たちの事はお父さんから聞いた事はあるかい?」
織莉子「風都?確か…何年か前に騒動があったっていう街の名前じゃ?」
凰蓮「そうよ、確か何年か前に『NEVER』というプロの傭兵集団が占拠した事があるって話よ!?
そんな物騒な街からアンタたち何しに来たのよ!?」
翔太郎「コラ!俺たちの街を物騒とかいうんじゃねえ!
そりゃ…ちょっとは変わったヤツもいるけどいい街なんだぞ!!
そういえばNEVERといえばアンタみたいなオネエ系のキャラの濃いヤツがいたな…」
織莉子「あの…こんなところで話も失礼ですので…みなさん我が家に上がってみては…」
そして全員が織莉子の家に上がりお茶の持て成しを受けていた。
キリカ「いやぁ!この紅茶美味しいね!でもまあキミの淹れるものは何だって美味しいけどね♡」
織莉子「え…えぇ…ありがとう…」
織莉子(結局この子誰なのかしら?)
凰蓮「探偵ねぇ、随分と胡散臭そうだけどそんなアンタたちが織莉子に何の用なのかしら?」
フィリップ「僕たちは美国久臣氏が生前時に依頼を受けていたんだ。
彼はもし自分の身に何かあったら娘に何か危害が及ぶかもしれないと言っててね。
それで僕たちが今日ここに来たわけなんだけど…」
翔太郎「それにしても酷い有様だぜ、玄関や塀には悪質な落書き、おまけに窓は割れ放題、
ここまでやられて何で警察に通報しないんだ?」
翔太郎のもっともな質問に対して織莉子は俯きながらこう答えた。
織莉子「だって…仕方ないじゃないですか…父があんな不正なんかして…
悪い事をしたのは父なのですし…だから…」
翔太郎「だから娘のアンタが父親に代わってその咎を受けるだと?
それとこれとは話が別だろおい!」
織莉子「うぅ…」
ダダッ
キリカ「織莉子!待って!」
翔太郎の言葉に思わず涙を流し自分の部屋に行ってしまう織莉子、その後をキリカが追って行った。
凰蓮「信じられない!なんてデリカシーの無い男なのかしら!?本当ダサ男だわ!!」
翔太郎「いや…俺は別に…」
フィリップ「まったく…キミというヤツは相変わらず女心のわからない人間だね。」
翔太郎「お前に言われたくねー!」
町内会長「ハァ…まったく織莉子ちゃんも可哀想に…
彼女のお父さんがあんな遺書さえ残さなければこんな事にはならなかったのに…」
凰蓮「遺書って何の事よ?」
町内会長「実は美国氏は自殺する時に遺書を残していたんですよ。
その遺書があったから彼の汚職が世間に明るみとなったのです。」
翔太郎「…」
フィリップ「…」
一方織莉子はというと部屋に閉じこもってしまった、そんな彼女をキリカは慰めているのだが…
織莉子「…」
キリカ「ほら…元気出しなよ…お父さんが亡くなってつらいのはわかるけど…」
キリカは織莉子が父を亡くしたから泣いているのかと思ったが織莉子が嘆く理由は他にもあった。
織莉子「違う…お父様の事だけじゃない…私は…いえ…魔法少女は…」
デネブ(一体何の話をしているんだろうか?)
テディ(さぁ?)
その間に居間では織莉子たちがいないのを見計らい翔太郎とフィリップがある話をしていた。
翔太郎「なぁ町内会長さん、アンタさっき美国さんの遺書だとか言ってたがどうしてそんな事知ってんだい?」
町内会長「それは勿論…美国さんの死体のそばにあったんだろ?
報道でやってたからねぇ。」
フィリップ「確かに美国議員の死体の周囲には遺書が残してあった、しかし…実はそれは…」
翔太郎「遺書については警察がマスコミに知らせていない情報だったんだよ!
そんな事を知っているとしたらそいつは…美国議員を殺した犯人だけなんだよ!!」
町内会長「何!?」
凰蓮「どういう事?説明しなさい!」
フィリップ「どうやら墓穴を掘ったらしいね、それでは検索を始めよう。」
翔太郎「フィリップ!キーワードは『町内会長』、『美国議員』、『汚職』、それに『遺書』だ!!」
フィリップは自身の特殊能力の一つである脳内にある“地球の本棚”という膨大なる知識へのアクセスを開始する。
すると恐ろしき真実が見えてきた。
フィリップ「検索は完了した、なるほどそういう事か。
今現在世間で騒がれている美国議員の汚職問題は全てそこにいる町内会長の仕組んだ事だった。
彼は以前から美国議員に賄賂を持ちかけていたがそれを全て美国議員は拒否していた。
そんな状況を嘆いた町内会長は美国議員を殺害、その後死体の周囲に遺書を残したというのが事件の真相だ。」
翔太郎「なるほどな、後は善人面してりゃこの町内でアンタを疑う人間は一人もいないって事か!
ハッ、よく考えたもんだぜ!」
町内会長「フフフ、まさかこんな何処の輩ともわからん連中に真相を知られるとはな…
胸糞が悪いよまったく!」
凰蓮「まぁ…まぁ…トレビア~ン♪
坊やたちの事見直したわ、お姉さんお詫びに熱いキッスしてあげるわよ!(チュッ)♡」
翔太郎「いるか!
それにしてもわからねえな、事件は終わったのに何故一人娘の織莉子にあそこまで付きっきりになる?
何か理由でもあるのか?」
町内会長「フフ、理由はある。それは…」
そう言うと町内会長は懐からあるモノを出す、それは翔太郎たちがよく知る忌まわしいモノであった。
フィリップ「あれはガイアメモリ!?」
翔太郎「やっぱり…お前が財団Xと絡んでいるっていう情報は正しかったようだな!」
町内会長「まったくどこでそんな話を聞きつけてきたのやら…
私が今もなお美国の家とお付き合いしているのには理由がある、それは財団Xからの指令だからだ!」
そして彼は首筋にある生体コネクタに財団Xより渡された『D』の刻印が刻まれたガイアメモリを刺す。
『DEATH』
ガイアメモリから発せられる不気味な電子音と共に町内会長はデス・ドーパントへと変化する。
凰蓮「何よこいつ!死神みたいな格好をしているわ、不気味よー!?」
翔太郎「デス・ドーパントだと!?だがあれは…」
フィリップ「そうだ、僕たちがかつて出会ったデス・ドーパントは偽物だった。
しかしこいつは本物だ、という事はやはり本物は存在していたという事か!」
デス・ドーパント:かつて風都の街で『死人返り』の事件が発生。
その時に事件を陰で操っていたのがこのデス・ドーパントであった。
しかし翔太郎たちが過去に出会ったデス・ドーパントは同じくガイアメモリに『D』の刻印が刻まれた
ダミー・ドーパントの仕業であった。
だが今度は違う、今回出現したデス・ドーパントは紛れもない『本物』だったのだ。
そんな居間での騒ぎを織莉子とキリカもさすがに気になっていた。
キリカ「さっきから居間が騒がしいな、あの連中織莉子の家で何を騒いでいるんだ?」
デネブ(なんだか嫌な予感がする…)
テディ(同じく…)
この騒ぎに悪寒を感じるイマジンたち、だがその悪寒は的中する。
翔太郎、フィリップ、凰蓮の三人が居間から吹っ飛ばされてしまった。
ドーン
キリカ「な…何だ!?」
翔太郎「おい…織莉子ちゃんを連れてすぐに逃げろ!ヤツが追ってくるぞ!」
キリカ「何だって!織莉子が!?」
そして部屋に閉じこもっていた織莉子の下に先ほどのデス・ドーパントが現れる。
織莉子「あなた…そう…町内会長さんなのね…けど何故あなたが…」
デス・ドーパント「ほぅ私の事がわかるのか?
魔法少女の能力というのは確かに優れているようだ。」
織莉子「魔法少女の事を知っているの?けど何故!?」
デス・ドーパント「私は財団Xから魔法少女の生体サンプルを奪取せよとの命令を受けているのだ!
まさか利用価値の無くなった美国の娘であるお前が魔法少女の契約を結ぶとはこれも運命か!」
織莉子に迫るデス・ドーパント、だが部屋の扉からデス・ドーパントに誰かが立ち向かって行った。
織莉子「あれは…」
キリカ「でやあーっ!」
ガキィンッ
キリカは魔法少女に変身して自身の武器である鍵爪を使いデス・ドーパントの鍔迫り合いとなった。
織莉子「あなた…魔法少女なの?そう…だから私に接触してきたのね…」
キリカ「違う!私は…キミと…」
キリカが織莉子に自分がここに来た本来の理由を告げる前にデス・ドーパントがその会話を遮った。
デス・ドーパント「まさか魔法少女がもう一人いるとは…
やはり私は運に恵まれている、織莉子…お前の父親は不運に見舞われたがな!」
織莉子「お前…!」
その言葉に怒りを感じた織莉子も魔法少女に変身してデス・ドーパントに攻撃を仕掛ける。
織莉子「ハッ!」
デス・ドーパント「無駄だ、お前たち程度の攻撃など私には効かん!」
二人の魔法少女の攻撃を余裕で対処するデス・ドーパント、そこへ居間で吹っ飛ばされた翔太郎たちが駆けつけてくる。
翔太郎「おい二人とも大丈夫か…って何だそこ格好は!?」
フィリップ「奇妙な衣装だ、興味深いね。」
凰蓮「トレビア~ン、ワテクシもあんな可愛い格好をしてみたいわぁ♪」
キリカ「気味の悪い事を言うなよ、それよりもだ…」
デス・ドーパントの力は確かに絶大であった、魔法少女二人を簡単に圧倒できる能力。
だがそれだけでは飽き足らずデス・ドーパントは懐からある物を取り出してきた。
キリカ「あいつ…何かを取り出してるぞ?」
織莉子「あれは…グリーフシード!?」
翔太郎「グリーフシード?何だ?」
フィリップ「…」
デス・ドーパント「これはお前たちも知っての通り魔女の卵であるグリーフシードだ。
そして既に…孵化寸前!」
デス・ドーパントは孵化寸前のグリーフシードを解放する、すると辺りはいきなり魔女の結界に包まれてしまった。
翔太郎「何だここは!俺たちは美国邸にいたはずだろ!?」
キリカ「黙ってろ一般人!これは魔女の結界…そして…出てくるぞ!」
キリカの言う通りこの結界の主である魔女が出現する、その魔女の正体は…
ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド
影の魔女:エルザマリア
その姿はまさに影そのもの、またこの魔女に近付いた者たちも全て影に包まれてしまう。
キリカ「まったく次から次へと出てきて…面倒なんだよ!」
キリカはエルザマリアを倒すために接近しようとするがそれを織莉子に阻まれてしまう。
織莉子「ダメ!魔女を攻撃しないで!」
キリカ「何でさ!あれを倒さなきゃいけないのが私たちの使命のはずじゃ!?」
織莉子「魔女たちは元は魔法少女なの…そしていずれ私たちも…
私たち魔法少女はみんなQBに騙されていたのよ!」
キリカ「な…なんだって!?」
翔太郎「魔法少女?魔女?QB?おいフィリップ、あの子たちが何を言ってるかわかるか?」
フィリップ「検索してみよう、『魔法少女』、『魔女』、『QB』、……何だコレは!?
酷い話だ、QBというのは正体が地球外生命体インキュベーターだ。
ヤツらの目的は、特定の条件を満たした少女と契約を交わしてこの地球上に住む、
第二次成長期の少女の感情エネルギーを回収するのが目的だなんて…」
翔太郎「何だと!何でその宇宙人はわざわざ宇宙からそんな性質の悪い事をしに来るんだ!?」
フィリップ「インキュベーターには感情が無い、だからこそ感情を持つ人類を利用しようたしたんだ!
それに…彼らの目的は宇宙の寿命を延ばす事だと?」
翔太郎「冗談じゃねえ!そんな訳のわかんねえ事に人間さまの命を使わせてたまるか!?」
しかし翔太郎たちは魔女エルザマリアの触手に拘束されてしまい動く事が出来なかった。
そんな最中、デス・ドーパントは織莉子にある話を持ちかけてくる。
デス・ドーパント「織莉子、私とキミの仲だ。財団Xの生体サンプルに喜んでなるというのなら
私はキミの無き父と母に会わせてあげようじゃないか。」
織莉子「そんな事が出来る訳が…父と母は死んだのよ!?」
確かに織莉子の父は自殺し、母親も織莉子が幼い頃に死んでしまった。
だがデス・ドーパントの力はその死を覆す力があるとしたら…
デス・ドーパント「死者よ、甦れ!」
シュワァァァァ
デス・ドーパントは何処からともなく棺桶を召喚し、そこから二人の人間が現れる。
それは今は亡き織莉子の父と母の姿であった。
織莉子「あ…あぁ…お父さまにお母さま…そんな…どうして?」
デス・ドーパント「私の力で死者を蘇生したんだ、だがこのままでは不完全のままだ。
キミがこのまま大人しく私と一緒に来るのなら彼らを完全に蘇生させてやろう。」
確かにデス・ドーパントの言う通り織莉子の両親は蘇生はされたものの苦しんでいた。
久臣「織莉子…助けてくれ…」
織莉子母「ダメ…苦しいの…」
織莉子「お父さま!お母さま!?」
デス・ドーパント「わかったかな、このままではお前の両親は本当に死んでしまうぞ。」
織莉子「えぇ…わかったわ!私を連れて行きなさい。
どうせ私はただ独り…誰も心配する人間はいないわ…」
デス・ドーパント「フフフ、やはりお前は賢く聞き分けのいい子だな。では…」
翔太郎「待てやめろ!」
フィリップ「行ってはダメだ!これは罠だぞ!?」
凰蓮「この…乙女のピンチなのよ!離しなさい!」
翔太郎たちはなんとか織莉子を助けようとエルザマリアの触手から脱しようともがいていた。
だがエルザマリアの触手は意外と頑丈で人間の腕力でどうにか出来るものではなかった。
しかしそんな中、ただ一人だけそんな織莉子を救う者がいた。
キリカ「ステッピングファング!!」
ドシュッドシュッ
デス・ドーパント「グフッ!小娘…何故邪魔をする!?」
織莉子「あなた…そうよ!何で邪魔をするの?私はお父さまとお母さまを助けなきゃいけないの…
それに世界はもうじき崩壊する、だからその前に…せめて父と母だけは…」
涙を流す織莉子、自分の両親をこのまま放っておく事などできない。
そうキリカに訴える、しかしキリカは…
キリカ「正直…私にはキミの両親がどこの誰なのか知った事じゃない。
私が今日ここに来たのは…織莉子!キミと…そのつまりはアレだ…お友達になりにきたんだよ!」
織莉子「え?私と…お友達?」
織莉子は当初キリカが魔法少女の縄張り争いのために来たのではかと思っていた。
だがまさか友達になるために遥々自分を訪ねに来るとは…学校の同級生ですら父親の一件以来煙たがっているというのに…
織莉子「わ…私とお友達って何故?私はあなたの事を知りもしないのよ!?」
キリカ「やっぱり…覚えてないよね…出会いは些細で…他人からすれば下らないものだった。
今から少し前、私はコンビニで小銭を落っことしてしまった。
周りは見知らぬふりをして早く拾えと呟く始末、そんな時にキミが私と一緒になって小銭を拾ってくれた。
正直キミには印象も残らなかったろうが…けど…私にはそれが嬉しかった。
だから思ったんだ、こんな周りを馬鹿にする嘘吐きな自分を捨てて…織莉子…キミと仲良くなるんだって!!
織莉子、私は今日…キミと仲良くなるためにここへ来たんだよ!!」
デス・ドーパント「な…何を訳のわからん事を!?」
織莉子「私とお友達に?けど…この世界は…あと1ヶ月後にには無くなってしまうのよ!
そしたらもう…お友達になんてなれる訳が…」
キリカ「それはキミが…一人で戦おうとするからだよ!私も協力する!
そしてこの世界を救って織莉子と友達になるんだぁぁぁぁぁ!!」
織莉子「!?」
その言葉を聞いた織莉子は再び両親を見る、その姿は両親とは似つかぬ程のただのミイラであった。
織莉子「こんなモノを…私は両親だと…」
ミイラ『あ゛ぁぁぁ…』
ミイラ『う゛ぅぅぅ…』
織莉子「消えなさい!オラクルレイ!!」
ドシュッ
デス・ドーパント「お…お前…自分の両親を…わかっているのか!
お前は自分の親を殺したんだぞ!それがどれだけ罪深い事かわかっているのか!?」
織莉子「あれが私の両親?
あんな得体の知れないミイラが両親だなんてとんだ侮辱です。
それに…今は私の事を想ってくれる人がいてくれる…私に新しい生きる意味をくれた人と共に生きます!」
それと同時にどこからともなく一体の小さい白い機械の獣ファングが現れて翔太郎たちを解放した。
ファング『ガォォ!』
フィリップ「ありがとうファング。」
翔太郎「ハッ、当てが外れたな!
人間は決して一人なんかじゃねえ、いつだって支えてそして支えられる存在がいる!
それが…」
フィリップ「友達…それか…相棒…というらしい!」
デス・ドーパント「おのれ…お前たちは一体何者なんだ!?」
翔太郎「俺たちは風都の探偵!」
フィリップ「そして二人で一人の…」
そして二人は変身用ベルトWドライバーとデス・ドーパントが変化する際に使用したのと同じガイアメモリを取り出す。
そのガイアメモリにはそれぞれ『C』と『J』の刻印が刻まれている。
『CYCLONE!』 『JOKER!』
翔太郎&フィリップ「「仮面ライダーだ!変身ッ!!」」
二人はWドライバーにガイアメモリを装填、その瞬間フィリップは意識を失い倒れ込み、
左翔太郎は右が緑と左が黒の二色の異形の戦士へと変身を遂げる。
キリカ「何だあれ?半分こ怪人?」
織莉子「仮面ライダーって以前に都市伝説で聞いたような…」
凰蓮「あれが…仮面ライダー…」
W「俺たちは風都の街を守る仮面ライダーW!さぁ、お前の罪を数えろ!!」
デス・ドーパント「仮面ライダーだと?ふ…ざけけた事を!?
だがお前たちが財団Xに仇名す者ならばここで討ち取り私の手柄に出来る!」
W「舐めるんなよ、俺たちはこれまで幾多の財団Xの刺客と戦って来たんだ。
お前みたいな小悪党一人倒すのなんざ朝飯前なんだ!」
Wがデス・ドーパントと戦おうとした時、魔女エルザマリアが再び暴れ始めた。
エルザマリア『ア゛ァァァァァ!!』
W「チィッ!こいつ…邪魔をするな!?」
思わず舌打ちをするW、だが魔女の相手をWがする事は無かった。
織莉子「この魔女の相手は…」
キリカ「私たちに任せな、アンタらはそこにいる死神野郎を頼むよ!」
W「任せて…大丈夫なんだな?」
織莉子「えぇ、魔女退治は私たち魔法少女の使命ですから。それに…キリカは私の…
お友達で…相棒ですから!」
キリカ「織莉子~!」
テディ(私たちも戦おう!)
デネブ(俺たちは二人の武器になれる、一緒に戦わせてくれ!)
織莉子「それじゃ私はこの剣、テディを使います。」
テディ(任せてくれ織莉子!)
キリカ「私はこっちの銃を使おう、よろしくおデブ!」
デネブ(あぁ、よろしく!)
W「それじゃぁ、改めて決め台詞を言うか。」
そして全員が再度の戦闘準備を完了し改めてあの決め台詞を宣言する。
W、織莉子&キリカ、デネブ、テディ「「「「「さぁ、お前の罪を数えろ!!」」」」」
デス・ドーパント「何が罪だー!?そんなモノ権力の前ではどうとでもできるわ!」
エルザマリア『…』
まずは仮面ライダーW(サイクロン・ジョーカー)VSデス・ドーパントの戦いだ。
デス・ドーパントは自分の鎌を使いWに攻撃を仕掛けてきた。
デス・ドーパント「喰らえ!」
W「やるじゃねえか、ならこっちも!」
フィリップ『ヤツに対してはこのメモリが有効だ。』
『CYCLONE!』 『METAL!』
W「得物ならこっちにもあるんだよ!ハッ!うりゃー!」
デス・ドーパント「フン、この程度なら余裕で防げる!」
Wはメタルメモリの特性である鋼鉄さに加えて専用の棒術武器・メタルシャフトでデス・ドーパントの鎌と対峙する。
W「一気に行くぜ、メモリブレイクだ!」
『METAL!MAXIMUM-DRIVE!』
ベルトから発せられる電子音と共にメタルシャフトにサイクロンの力が纏われる。
W「メタルツイスター!」
緑色の竜巻を発生させる様に回転しながらデス・ドーパントを連打した。
デス・ドーパント「ぐはぁっ!?」
W「まだまだこれからだ、次はこいつだ!」
『HEAT!』 『TRIGGER!』
Wはヒート・トリガーになると武器をメタルシャフトからトリガーマグナムに切り替え
銃弾をデス・ドーパントへお見舞いする。
ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!ダンッ!
デス・ドーパント「うぐぅぅぅ!?」
『TRIGGER!MAXIMUM-DRIVE!』
W「こいつはちょっと痛いぜ!トリガーエクスプロージョン!!」
デス・ドーパント「うぐわぁぁぁぁ!?」
トリガーエクスプロージョンを喰らい既に瀕死の状態に陥るデス・ドーパント。
だがそれでもWの猛攻は止まらなかった。
フィリップ『さて…たまにはこれを使わないとね。』
『LUNA!』 『JOKER!』
ルナ・ジョーカーとなったWはジョーカーメモリの特性である徒手空拳の格闘戦で
消耗しきったデス・ドーパントを追い詰めて行った。
デス・ドーパント「うぅ…」
『JOKER!MAXIMUM-DRIVE!』
W「さあ止めと行くか!ジョーカーストレンジ!!」
デス・ドーパント「ゲフッ!?」
デス・ドーパントはジョーカーストレンジを喰らいその場に倒れ込んでしまった。
そして織莉子とキリカの方も…
織莉子「マチューテディ!」
キリカ「デネビックバスター!」
エルザマリア『キャァァァ!?』
さっそくデネブたちの武器を試す織莉子たち、その威力は効果抜群であった。
キリカ「こいつはスゴい、私の弱点である遠距離戦をカバーできるよ!」
織莉子「私も…不得意な近距離戦をこれで対処出来るわ!」
テディ(お褒めに頂き光栄だ。)
デネブ(だが二対一というのは卑怯な気がするが…)
キリカ「固い事言うなよ、これは私と織莉子の記念すべき初のデビュー戦だよ。
茶々を言われたくはないね!」
織莉子「それに早く彼女を解放してあげないと!」
テディ(キミたちにはライダーパスが無い、その代わりキミたちの魔力を私たちに分けてくれれば
必殺技を繰り出す力となるだろう!)
『Full Charge』
織莉子とキリカはそれぞれの武器に魔法力を込めて必殺技を放つ!
織莉子「カウンタースラッシュ!」
キリカ「バスターノヴァ!」
エルザマリア『ギャァァァァァ!?』
断末魔の悲鳴を上げるエルザマリア、それにデス・ドーパント。
だが二体はここで最後の足掻きを見せた。
デス・ドーパント「このまま負けてたまるか…私にはまだ運が残っているんだ!!」
エルザマリア『!?』
デス・ドーパントは最後の力を振り絞り魔女エルザマリアを吸収してしまい巨大化してしまった。
デス・エルザ・ドーパント「「ハーッハハハ!!この力があれば…私は無敵だ!
財団Xももう必要ない、私はこの力で世界をこの手に出来るぞ!!」」
デス・エルザ・ドーパントはその猛威を振るい織莉子とキリカに激しい攻撃を仕掛けてきた。
織莉子「キャァッ!?」
キリカ「うわっ!」
W「どうなってんだこりゃ?」
フィリップ『ヤツは魔女と同化してしまった、こうなると生半可な一撃では駄目だ。
強力な一撃を入れないとヤツには通用しない!』
織莉子「けど私たちの力も残りわずか…」
キリカ「やるなら一発勝負しかない。」
W「よし、話は決まった!二人とも俺に最後の力を送り込んでくれ、それで全てを終わらせてやる!!」
キリカ「わかった、頼むよ!」
織莉子「お父さまの無念を…晴らしてください!」
W「あぁ…これで決めてやる!」
織莉子とキリカはWに最後の魔法力を込める、その力を受けたWは上空高くジャンプして最後の必殺技を放つ!
『JOKER!MAXIMUM-DRIVE!』
W「行くぜ!ジョーカー・マギカ・エクストリーム!!」
ドゴォォォォォン
デス・エルザ・ドーパント「「うぎゃぁぁぁぁぁ!?」」
仮面ライダーWと魔法少女たちの合体技『ジョーカー・マギカ・エクストリーム』を喰らい
デス・エルザ・ドーパントは爆散した。
キリカ「やったね!」
織莉子「お父さま、あなたの無念は晴らせました。どうか安らかに眠ってください。」
織莉子たちが勝利を喜んでいる一方でそこから逃げ出そうとしている影が…
町内会長「まだだ…まだ俺は終わってはいない…
財団Xに頼んでまたメモリを支給してもらって今度こそ魔法少女の生体サンプルを得てやるんだ!」
まだ自分には再起の道があると思っている町内会長、だがそうは問屋が卸さなかった。
凰蓮「そうはさせなくってよ!」
町内会長「へ?」
凰蓮「アン!」
町内会長「ぐへっ!」
凰蓮「ドゥ!」
町内会長「ごへっ!」
凰蓮「トロワッ!!」
町内会長「げひぃぃぃぃ!?」
最後は凰蓮に締め上げられ警察に御用となった町内会長、これにて事件は幕を閉じる。
織莉子の父も汚名返上を果たしすべては一件落着となった。
織莉子「ありがとうございました、これで父の汚名も晴らせて成仏できたはずです。」
キリカ「へへっ、私からも礼を言うよ探偵。」
翔太郎「なあに、これが探偵として仕事…それに仮面ライダーとしての使命だ。」
フィリップ「それよりも1ヶ月後にこの世界が滅ぶかもという話だけど…それはどうする気だい?」
織莉子「それについては…私は最初その元凶になる子を殺そうかと思っていました。
けど…キリカやあなたたちと出会って人の絆の大切さを知り、改めて思い直したのです。
キリカや仲間のテディやデネブたちがいればどんな困難も乗り越えられるはずだって!
だから…これからもよろしくね、キリカ♪」
キリカ「あぁ!よろしく織莉子!」
翔太郎「いざとなったら俺たちを呼んでくれ、力になるぜ!」
凰蓮「フフ、これで一件落着ね。」
翔太郎「結局最後はアンタに見せ場を取られた気がするんだけどな…」
凰蓮「それにしても…仮面ライダー、気に入ったわ!ワテクシも仮面ライダーになる!
確かワテクシの住んでいる沢芽市であなたたちと同じ格好をした戦士が戦っているの!
こうなれば誰かのベルトを奪ってでもライダーになってみせるわよ~♪」
翔太郎「おいおいマジかよ、こんなオカマのおっさんが俺たちの後輩になるわけか…」
フィリップ「まったくキャラの濃いライダーは勘弁してほしいね。」
そんな織莉子たちを覗く一つの影が…
沙々「あれがこの街の魔法少女ですか、ちょっと手強そうですね。
それに…私よりも家柄も才能もあって…ぶっちゃけムカつくんですよね!
近いうちに潰しちゃいましょうか♪」
こうして本人たちの知らぬところで織莉子とキリカも、魔法少女の戦いの運命に巻き込まれていくのであった。
続く
【後編】に続きます。


