723 : VIPにかわりましてGEPPERがお送りします[sage] - 2010/10/10 23:34:34.63 A9gDQUwo 239/325早く後日談で風邪をひいた上条さんを看病するナース服の美琴を書く作業に戻るんだ!
~カミジョールーム~
上条「…………」ゴホゴホ
美琴「……はぁ、アンタって奴は」
上条「めんぼくない……」ゴホゴホ
美琴「まったく、インデックスが連絡してこなかったらどうするつもりだったのよ?」
上条「それは……」
禁書「多分、何も考えてなかったんだよ。っていうか美琴が看病するまでうんうん言ってたから無理もないかも」
上条「ホント、めんぼくない……」ゴホゴホ
美琴「ほーら、無理に喋んなくていいから。お粥、もうすぐ出来るから待っててね。それ食べたらしっかり寝るのよ」
上条「ホント、サンキュな美琴」ゴホゴホ
美琴「私だけじゃなくインデックスにも感謝しなさいよ」
上条「うん。ありがとな、インデックス」ゴホゴホ
禁書「とうまのためならお安い御用なんだよ!」エヘン
上条「zzz……」
美琴「…………」←こっそり寝顔覗いてる
禁書「…………」←そんな美琴を眺めてる
美琴(寝顔かわいい……)ポォー
禁書(バカップル乙)ハァー
美琴「な、なんか手持ち無沙汰になっちゃったわね」アセアセ
禁書「うーん、とはいえ寝てるとうまの周りで騒ぐ訳にも行かないんだよ」
美琴「換気がてらの部屋の掃除は済んじゃったし……ちょっと散歩にでも行く?」
禁書「でも、とうまが……」
美琴「あ、そっか……どうしよ」
禁書「交代で出かけるとかにすればいいかも?」
美琴「お、なるほど。頭いいわねアンタ」
禁書「禁書目録は伊達じゃないんだよ!」エッヘン
美琴「んじゃ発案者のインデックスから行っていいわよ。1時間交代くらいでいい?」
禁書「構わないんだよ!」
美琴「あ、それと……はい」ポン
禁書「一万円札?」キョトン
美琴「どうせアンタの事だからお腹減ったーとか言ってなんか食べたくなるでしょ? だから、お小遣い」
禁書「でも一万円はちょっと多いかも……」
美琴「……遠慮するとかアンタにしては珍しいわね」
禁書「それはちょっと失礼かも!」ムー
美琴「あはは、冗談よ。買い食いついでにプリンとかのデザート類買ってきてくれる? 私と、あと当麻の分も」
禁書「なるほどなんだよ! お安い御用かも!」
美琴「じゃあ、お願いね。買い物がある分、ゆっくりめでも大丈夫だからね」
禁書「うん、じゃあ行って来るんだよ! おいで、スフィンクス!」
パタパタ ガチャン トテテテ…
美琴「…………」
美琴「…………さて、と」イソイソ
上条「zzz……」
上条「…………ん」パチクリ
ナース美琴「あ、や、やほー」モジモジ
上条「」
ナース美琴「あ、あの……どう、かな……」テレテレ
上条「ふ」
ナース美琴「ふ?」
ビースト上条「フオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」ガバー
ナース美琴「きゃあああああああああああああ!?!」
ブル上条「ブモーッ! ブモモーッ!!!」フゴフゴ
ナース美琴「こ、こらっ! やめなさ、きゃんっ!」ジタバタ
タイガー上条「ガオーッ! グオガオーッ!!」フゴフゴ
ナース美琴「や、やだってば! やんっ! そ、そこは……///」ジタバタ
ケダモノ上条「フーッ! フゴーッ!! フゴ……」パタリ
ナース美琴「だめ、当、麻……って、あれ?」
ゾンビ上条「」シーン
ナース美琴「…………」
ナース美琴「きゃーっ! ととと当麻大丈夫!?」ジタバタ
ナース美琴「って、のしかかられて動けないんですけど……」
ゾンビ上条「」シーン
ナース美琴「……と、とりあえず布団かけて……んしょ、んしょ」
ナース美琴「ふぅ、これで風邪が悪化する事は無いでしょう」イイシゴトシタ
ナース美琴「…………」
ナース美琴「って、この状況でインデックスが帰ってきたら不味いのでは!?」ガビーン
ナース美琴「うわーん! どいてよー! 離してよー!!」ジタバタ
ジタバタジタバタジタバタ
ジタバタジタ…バタ…ジタ……
禁書「ただいまー、なんだよ!」ガチャ
禁書「みことー、プリンとゼリーとヨーグルトとケーキとシュークリームとエクレア買ってきたかも!」パタパタ
禁書「って、ん?」
ナース美琴「zzz……」←力尽きて寝た
上条「zzz……」←容態が落ち着いて熟睡
禁書「」
~おわり~
~ミコト&クロコルーム~
美琴「…………」ゴホゴホ
上条「…………で、こうなるわけね」
美琴「ごめん……」シュン
上条「いや、っていうか俺が伝染したようなもんだし、謝る事はないんじゃないか?」アセアセ
美琴「うう、でも……」ゴホゴホ
上条「いいから、ゆっくり休んで早く良くなれ、な?」ポン
美琴「うん、ありがと……」ポォー
上条(うぐっ! か、可愛い……!)
美琴「……?」ゴホゴホ
上条「し、しっかし流石美琴だよな! お見舞い品がこんなにいっぱい!」ドッサリ
上条「しかもどれもこれも相当な高級品だ……上条さんはこんな高級菓子とかテレビでしか見たこと無いですよ」ウラヤマシイ
美琴「クス。食べたいなら好きなのつまんでいいのよ?」ゴホゴホ
上条「駄目駄目、これは美琴へのお見舞い品だから、手をつけません!」
美琴「アンタって、そういうとこ無駄に頑固よねー……」ゴホゴホ
上条「はは、性分なんでな……」
美琴「…………」ポォー
上条「…………」
美琴「…………」トロン
上条「…………」
上条(やばい、気まずい上に美琴の弱々しい顔可愛すぎる……)ダラダラ
黒子「ただいま戻りましたの」ガチャ
上条「お、お帰り白井!」ホッ
黒子「な、なんですのその反応?」
上条「い、いや、ちょっともう少しで理性が……」
黒子「? 何か言いました?」
上条「な、なんでもありません事よ?」オホホ
黒子「おかしな上条さんですわね……」
黒子「だいぶ顔色が良くなって来ましたわね、お姉様」
美琴「ん。黒子と当麻が看病してくれたおかげ、かな」ゴホ
黒子「体温も……37.5℃。微熱程度ですわね。お薬が効いてるようですわ」pi
上条「この分なら長引く事も無さそうだな。良かった……」ホッ
黒子「……元はといえば上条さんのせいですものね」ボソ
上条「はぅっ!」グサッ
美琴「……どうしたの?」ゴホ
上条「な、なんでもないぞ……」ハハハ…
黒子「上条さんがお姉様を押し倒さなければ」ボソ
上条「ぐふぅっ! な、なぜそれを……」ダラダラ
黒子「知りませんの」ツーン
美琴「…………?」ゴホゴホ
ピンポーン
黒子「おや、来客ですの。ちょっと待っててくださいましね」
上条「お、おう……」
美琴「いってらっしゃいー」ゴホ
上条「…………」
美琴「…………」ゴホゴホ
上条「あ、喉とか渇いてないか?」
美琴「あ、ちょっと渇いてる、かも……」ゴホ
上条「そうか、んじゃこれ……」スッ
美琴「ん、あんがと……あむっ」ハムッ ←病人用のストロー付き水差しみたいのがあると思ってくださいな
上条(……やば、首だけ動かしてストローくわえる美琴かわいい)キュン
美琴「んく、んく……ぷぁっ」
上条「あ、もういいのか?」
美琴「うん……ありがと」
上条「あ、ああ……」ナンカ キマズイ
美琴「……?」キョトン
上条「…………」
美琴「…………」ゴホゴホ
上条「あ、あの美琴」
美琴「な、なに?」ゴホ
上条「その……俺のせいでごm
初春「御坂さん、風邪で倒れたって本当ですか!?」ドタドタ
佐天「御坂さーん、お見舞いに来ましたよー! ってあれ?」
上条「」
美琴「あ、初春さん、に佐天、さん……」ゴホゴホ
初春「ああーっ、顔真っ赤! 大丈夫ですか御坂さん!」
佐天「あ、ねえ初春……」チョイチョイ
初春「ほらリポC買ってきましたよリポC! これ飲んで元気になって下さい!」ガチャガチャ
佐天「初春ってば……はぁ」
佐天「なんかすいません、お邪魔しちゃったみたいで」
上条「い、いや邪魔だなんてとんでもない! みk、御坂も友達が来てくれて嬉しいだろうし」
佐天「……上条さん、別にいつもどおり”美琴”って呼んでもいいんですよ?」
上条「え? い、いや、あはは……何のことだか」
佐天「何今更トボけて……ま、いいんですけどね」
初春「御坂さん、ほらぐいっと! 一気にぐぐぐいっと!」
美琴「い、いや今喉渇いてないから後でいいわ……」ゴホ
上条「なんだか一気に賑やかになったなぁ」
黒子「あら、上条さん。お姉様の近くにいらっしゃらなくていいんですの?」
上条「ああ、美琴の友人が来てるんだし、邪魔しちゃ悪いだろ」
黒子「……多分、お姉様は上条さんと一番一緒にいたいと思いますのよ?」
上条「でも、他でもない美琴の友達が来てるんだぜ? 少しくらいは……」
黒子「それが、少しで済めばいいですけどね」
上条「はは、しばらくして落ち着いたら俺も戻ればいいんだろ?」
黒子「そう簡単に落ち着くとは思えませんの」
上条「え? 彼女達ってそんな感じなの?」
黒子「いいえ、初春達は多分すぐに落ち着くと思いますわ。問題は……」
上条「?」
ピンポーン
黒子「初春達だけで済まない事ですわね……」
上条「……え?」
春上「御坂さん、お見舞いに来たの!」
レッサー「やっほー美琴、元気に病人やってますかー!」
婚后「御坂さん、この婚后光子がお見舞いに来たからにはー!」
湾内「婚后さん、確か留学していらしたのでは……?」
泡浮「なんでも、イギリスの方々が「もう勘弁してくれ」とかおっしゃったとかで……」
御坂妹「お姉様、お見舞いに来ました、とミサカは大量のお見舞いの品から勝手にメロンを食べながら告げます」
10395号「お姉様、風邪の時は小まめに汗を拭くのが大事ですよハァハァ、とミサカはおもむろに服を脱がせに掛かります」ハァハァ
打ち止め「お姉様大丈夫? ってミサカはミサカは心配してみるっ!」
一方「チッ、誤解すンじゃねェぞ。俺はこのクソガキの付き添いで……」
番外個体「うわ、もやしのツンデレとかキモいだけだからやめてくれる?」
土御門「上やんの嫁が風邪と聞いて来たにゃー」
青ピ「なあ、キスで風邪伝染したって本当なん? だとしたら上やん十発くらいぶん殴らせてやー!」
小萌「こらー、貴方達病人の部屋で騒ぐんじゃありません!」
ステイル「やれやれ、これは日を改めて来た方が良さそうだね……」
削板「ふはははっ、風邪をひくとは根性が足りんなっ! 俺は生まれてこの方風邪などひいたことは無いっ!」
垣根「馬鹿は風邪をひかないってな本当なんだな……。そうだ、俺の未元物質でウイルスを駆除出来るかも知れねぇぞ」
心理定規「どんな副作用が出るか分からないからやめなさいクソ馬鹿」
海原「…………」コソコソ
結標(お見舞いに来る時くらいストーカー化解けばいいのに……)
麦野「やっほー御坂、唸ってるアンタを笑いに来たわよー」
絹旗「その言い草は超どうかと思いますよ、麦野。まあ私も御坂の弱った姿は超興味津々ですけど」
フレンダ「結局、御坂も風邪をひくとか、まだまだ甘い訳よ」
浜面「お前ら、お見舞いに来たのか馬鹿にしに来たのかどっちだよ……」
滝壺「大丈夫、私はそんなみさかを応援してる」
ローラ「ほほー、これが学園都市の女子寮というものなりけるか。よし、私もここに住みたるのよ!」
五和「ろ、ローラさん、ここ常盤台中学専用の寮ですから……」
黒子「と、まあこれだけお見舞いの申し出があったのですが」
上条「」
~おわり~
800 : ◆MDOfmX8bYE[saga] - 2010/11/14 00:17:01.65 wNmH2CAo 255/325「美琴と倒錯娘のドキドキでーと♪」編、投下しまァす
~第七学区のどっか~
美琴「ぬかった……最近チェックをサボってたばかりに……」
美琴「まさかマ○ドならぬファー○トキッ○ンでゲコ太グッズが当たるキャンペーンをやっていたとは!」※注:実在のファーストフード店とは関係ありません
美琴「慌てて入手に来たけど、結局目の前で品切れ……うぅ」
美琴「セットの名前はハッピーなのに私はアンハッピー。不幸だわ……」ドヨーン
10395号「おや、そこにいるのはお姉様。と、ミサカは偶然を装い声を掛けます」
美琴「ああ、アンタか……。ごめん、今はちょっと一人になりたいの……」ドヨーン
10395号「そんなご無体な。と、ミサカは折角お姉様に愛に……違った、会いに来たのに冷たく突き放されて落ち込みます。折角お姉様の為に限定ゲコ太グッズを持ってきたのに」
美琴「ごめん、今私ちょっと酷く凹んで……え?」
10395号「バイト先でやってたゲコ太キャンペーン『ハンバーガー屋さんでバイトゲコ太』グッズコンプリートセットと、応募でしか当たらない激レアの『店長ゲコ太』フィギュアを持ってきたのですが。と、ミサカは心底落ち込みながらこの場を立ち去r」
美琴「うおおおおおおおおおお!! それだああァァァァァァァァァァッ!! それが欲しかったのよぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」ガシィッ!
10395号「うひゃあっ!? おおおおおおお姉様お気を確かに!? と、ミサカはいきなり抱き着かれて一瞬イキそうになりました」ビクゥ!
美琴「ありがとうありがとう本当にありがとうっ! やっぱ持つべきは出来た妹ね!!」スリスリスリスリスリスリ
10395号「ひゃうっ! お、お姉様っ! そ、そんな所っ! らめぇぇっ!!」ビクンビクン
美琴「うわぁ、店長ゲコ太かわいい……見習いゲコ太もトレーナーゲコ太も厨房ゲコ太もバックヤードで居眠りゲコ太もトイレ掃除当番でやる気ゼロゲコ太も冷凍庫で冬眠ゲコ太も下水に間違えて足突っ込んでブルーゲコ太もゴキブリ駆除時に巣を発見して失神ゲコ太もかわいいいいいいいいい!」キラキラキラキラ
10395号「……このグッズをデザインした輩は一体何を考えてるんでしょうか。と、ミサカは正直理解に苦しみます」
美琴「本当にありがとうね10395号! お礼に私一つだけなら貴方の言う事なんでも聞くわ!」
10395号「え、マジで?」
美琴「うん、マジマジ!」
10395号「じゃ、じゃあ……!」
10395号「そんなわけで、お姉様にデートを申し込んだミサカなのでした」
10395号「お姉様には既に想い人がいるというのに……ミサカ、いけない子!」
10395号「まあ、迷う素振りも見せずに『そんなんでいいの? 分かったわ、お姉さんにまっかせなさい!』とかいう反応を見るに、女の子同士の遊び程度にしか捉えて貰ってないと思いますけどね。と、ミサカは自嘲と共に溜め息を吐きます」
美琴「あ、いたいた! ごめ~ん待った~?」タタタタ
10395号「」ブシュー
美琴「うわっ! アンタ何いきなり鼻血出してんのよ!? 大丈夫?」アワアワ
10395号「お気になさらず。ただお姉様の生どる~んを見れて感極まっただけです。と、ミサカは素早く鼻血を処理します」
美琴「そ、そう……良く分からないけど大丈夫ならいいわ。それよりアンタ、随分めかし込んで来たわねぇ」
10395号「ミサカ達はお姉様と全く同じ容姿ですから。カモフラージュの意味も込めて工夫をして来ました。と、ミサカは気合が入り過ぎただけなのをもっともらしく言い訳してみました」
美琴「そんな気を使わせて悪いわね……。でも、左右で短いお下げみたいにしてるの、似合ってて可愛いわよ。……って、これじゃ自分を褒めてるみたいでなんか嫌味よね……」
10395号「そんな事ありません、お姉様は最高に可愛いです! ミサカは他の誰でもないお姉様のクローンとして生まれることが出来て、本当に嬉しく思ってます!」
美琴「わ、わわっ! あ、アンタこんな街中でクローンとか大声で!」
10395号「あ……す、すいませんつい。と、ミサカは自らの失態にしょんぼりします」ショボーン
美琴「あ、ちょっと落ち込まないでよ……。そ、その……私なんかのクローンで嬉しいって言ってくれる事自体は、嬉しかったから、ね……?」ゴニョゴニョ
10395号「あ、そ、その……はい。ありがとうございます、とミサカは感動のあまりちょっぴり涙が出そうなのを堪えます」
美琴「あー、もう! 折角のアンタとのデートなのにしんみりしちゃ駄目よね。とりあえず行きましょ?」
10395号「は、はい!」ドキドキ
~がくえん動物園 ズートニア~
10395号「着きましたよ、お姉様」
美琴「へー、ここが噂の学園都市直営の動物園なのね……」
10395号「規模は動物園としては中の上程度、と言った所ですが、学園都市の最先端技術があちこちで使用されているそうです、とミサカはパンフレットの記載をそのまま読んだ程度の知識を披露します」
美琴「でも、動物園……よね。私やアンタが入っても大丈夫なのかしら? AIM拡散力場的な意味で」
10395号「その点はご安心を。一部動物達が拒否反応を示すであろう力場は、受付でのチェックにより対応した抑制装置をタダで貸し出して貰えるようになっています。むしろそのサービスがあるからこそここを選んだのです、とミサカは自らのリサーチの優秀さに無い胸を張ってみます」エッヘン
美琴「無い胸は余計よ、無い胸は……。でも、ありがとね」ニコッ
10395号「(ドキッ)お、お姉様の為ならお安い御用です。それより早く入りましょう、とミサカは動揺を隠しつつ急かします」グイグイ
美琴「あ、ちょっとそんなに引っ張らなくても着いてくってば、ねえ!」アセアセ
10395号(うう、お姉様可愛過ぎます……)ポォー
美琴「ちょっと聞いてるの? もう……」
~一方その頃、二人の後方では~
黒子「くう、朝から何やらウキウキしてるから怪しいと思い後を付けてみれば……上条さんかと思いきや私以外の女性とデートだなんて! 黒子は、黒子はぁああああ!!」ギリギリギリギリ
上条「……あれ、そこにいるのは、白井か?」
黒子「!! か、上条さんですの!? どどどうしてここに!!」
上条「え、いやー……その、別にただ目的もなくぶらーっと、だね?」
黒子「……まさか、上条さんもお姉様を付け回してますの?」
上条「えっ!? い、いやいやいやかかか上条さんがそんな事するわけ……!」
黒子「あるんですのね?」
上条「……ハイ」
黒子「……どう言った事情ですの?」
上条「それが……その」
――――――――
――――
――
黒子「ほほぉーう、珍しく上条さん側からデートに誘ったら、これまた珍しく断られて、理由はお姉様の妹様とのデートだってのは聞いて一旦は納得したけど、やっぱり納得できなくて気になって仕方なくなって気が付いたら後を付けていた、と」
上条「上条さんは自分が情けなくて仕方ありません……」シュン
黒子「はぁ……そんな事ではお姉様を任せてなど置けませんのよ?」
上条「面目ない……」
黒子「まあ、それはそれとして。折角だから一緒に行きますわよ?」ガシッ
上条「え? こ、ここは流石にそろそろ潔く諦めて帰ろうと思ってたんだけど……」
黒子「ここで会ったのも何かの縁ですの。最後まで付き合ってもらいますわよ?」
上条「で、でも……」
黒子「い・い・で・す・わ・よ・ね?」
上条「はい……」
黒子「ふふ、では行きますわよ。それに、黒子はあの妹様に不穏な物を感じてますの」
上条「え? 何のことだ?」
黒子「分かりませんが……何か私と同じ臭いを感じるといいますか……」
上条「へ???」
黒子「いえ、何でもありませんの。黒子の気のせいだと思いますわ……多分」
~更に後方~
海原(エツァリ)「…………」
17600号「師匠、どうしました。と、ミサカはダンボールをそっと持ち上げて伺います」
海原(エツァリ)「いえ、何でもありませんよ。それより私たちも追いますよ」
17600号「了解です、とミサカはダンボールに身を隠します」
~園内~
スマトラトラ「zzz……」
美琴「うわぁ~、ぐっすり寝てる……なんかトラって怖いイメージだったけどこうしてみると可愛いわね」ウキウキ
10395号「所詮猛獣とはいえ猫ですからね。10032号が飼っているいぬと大して変わりません」
美琴「いや、流石にあの子猫とは変わるでしょ……。まあでも似てるのは確かねぇ」
10395号「しかし奴は寝たまま動きませんね。少しは客に対するサービス精神というものは無いのでしょうか」
美琴「学園都市の技術を使って最大限自然の中にいるのと同様の環境をって謳い文句だし、それだけあの子もリラックスしてるって事なんじゃない?」
10395号「それにしても見てる方としてはつまりません。入り口傍に居たインドゾウもこちらにケツを向けたまま微動だにしませんでしたし」
美琴「アハハ、まあその代わりサルの子達はアクティブだったじゃない。こっち側の檻をするする登って、興味深げにこっちを見てたわ。檻の囲み方を変えたら逆にこっちが見物される側になってたわね」
10395号「ボウシテナガザル、でしたっけ。あの猿、よりによってこちらに向けて大股開きで股間をボリボリ掻いてやがりましたね」
美琴「お、女の子がそんな事言っちゃ駄目!///」カァァ
10395号「おっと失礼。しかしこの程度で真っ赤になる初心なお姉様可愛い……」
美琴「か、からかわないの! ほら次行くわよ!」
~インドライオンのコーナー~
黒子「上条さん、ライオンですの! しかも三姉妹ですのよ!」
上条「いや、見りゃ分かるよ……でも、オスはいないのなここ」
黒子「オスなんて無粋ですの! 仲睦まじい姉妹というのが重要ですの!」
上条「いや、ライオンっつったらタテガミついたオスがメインじゃないのか?」
黒子「馬鹿言ってんじゃないんですの! オスなんて狩りもロクにしないで寝っ転がってるだけで実際の狩りはメスが行ってるんですのよ! オスなんてただの飾りです、偉い人にはそれが分からないんですの!」
上条「あー、ハイハイソウデスネー」
黒子「真剣に聞いてくださいまし!」ムキー
上条「そんな事より見失うぞ、行こうぜ」
黒子「わ、分かってますの!」
~園内レストラン オージープレイン~
美琴「んー、意外とイケるじゃない、ここ」
10395号「そう言って頂けて安心しました、とミサカはほっと胸を撫で下ろします。胸は大して無いけどね」
美琴「胸の話は止めなさいね、頼むから……。まあ、こう言った場所のレストランって大抵割高でしょぼかったりするけど、普通の値段で味も悪くなかったわ。まあ、多少不味くても行楽地補正でどうでも良くなるもんだけどね」
10395号「そういうものなのですね、とミサカはまた一つ有意義な知識を得てホクホクします」
美琴「とはいえ、私が食べたのって、所詮は味にそこまで差の出ないナポリタンだけどね」
10395号「その程度の量で大丈夫なのですか? 園内が思ったよりも広くて結構歩くことになると思うのですが」
美琴「へーきへーき。私燃費は結構いい方だし、それに他の料理ってなんか肉料理ばっかりじゃない。こういう場でそういうの食べるのはなんていうか……ね」
10395号「言われてみれば……ミサカは思い切り豚生姜定食を食べてしまいました。と、自らのチョイスに少し後悔します」
美琴「ま、まあ園内に豚がいるわけじゃないから大丈夫でしょ……」
10395号「そ、そうですね、とミサカは気を取り直します。では食後の休憩も充分取れましたしそろそろ行きましょうか」
~アカカワイノシシのコーナー~
10395号「豚は居なかったけど丸々太ったイノシシがいました……」ドヨーン
美琴「い、いや流石にあのイノシシは食用にはしてないから! 大丈夫よ! ね?」アワアワ
10395号「でも、病気で亡くなった個体とかをこっそり食材に混ぜたりとかしてるかもしれません」ドヨーン
美琴「そんな危険なもん客に出すような店ならとっくに潰れてるわよ!」
~そのちょっと前 同オージープレインにて~
黒子「ふむ、ここのカレーは思い切りレトルトですのね。恐らくメーカーはハウスですの」
上条「マジかよ、そんなのにン百円も払わされてるかと思うと上条さん的には色々と納得できませんよ」
黒子「たかだかその程度の値段にケチケチするんじゃないんですの。その貧乏臭さはお姉様に伝染させないで下さいましね」
上条「うるせえよ! その程度の値段っていうなら俺に奢らせないで自分で払えよ!」
黒子「あらあら、上条さんったらレディの扱いがちっともなってませんの。先が思いやられますわね……」ヤレヤレ
上条「上条さんの懐事情からすればこれでも充分痛手なんです! っていうか美琴相手なら借金してでも奢る気充分だから心配すんな!」
黒子「ムカつく事を言いますのね……! まあお姉様に免じてここは収めておいてやりますの」
上条「へいへい、ありがとよ。それより置いてかれないように行くぞ」
黒子「はいですの」
海原(エツァリ)「よっしゃ御坂さんの使用済みフォークゲットォ!」
17600号「…………」ジー
海原(エツァリ)「ち、違いますよこれは御坂さんの唾液からDNAマップを採取しようという悪意ある輩が出ないかのチェックであって……!」
~アカカンガルー・エミューのコーナー~
アカカンガルー「」グデー
美琴「また寝っ転がってる動物のコーナーね」クスッ
10395号「こいつらには勤労意欲ってもんがないんですか、とミサカは憤慨します」
美琴「働くっていうか、なんか休日に家でごろごろしてるお父さんって感じね。もしくはワイドショー見ながら寝っ転がってる主婦とか」クスクス
10395号「お姉様のご両親もあんな感じなのですか?」
美琴「あー、私のはちょっち違うわねー。うちの父はいつも世界中飛び回ってて家に居るのは滅多に見たことないし、母は母でアクティブ過ぎて動き回ってるイメージが強いわ。たまに酒飲んでソファーでグースカいびきかいてる事はあるけど」
10395号「なるほど……」
美琴「まあ、言ってみればDNA的にはアンタ達の親でもあるんだけどね。本当はアンタ達の事、紹介したいんだけど……」
10395号「気に病む事はないですよお姉様。いずれそういう時が来ると今は信じていましょう」
美琴「うん、そうだね。きっと、その内……」
10395号(実は、既に幾つかの別個体はお父様と面識があるのですが……その事はまだ伏せるよう言われてますから、言えませんね……)
美琴「さ、辛気臭い事はいいから、今日はめいっぱい楽しもうね!」ニコッ
10395号「はい! とミサカは満面の笑みをお姉様に返します」ニコッ
美琴「ふふふ、ありがとね。何だか今日は私の方が元気付けられてばっかりだなぁ」
黒子「くっ、なんか妙に仲がいいんですのね……黒子、正直じぇらしーですの!」
上条「へー、こいつカンガルーって名前付いてるのに全然似てねぇんだな」
黒子「それはカンガルーに近い種ですが属が違うキノボリカンガルーですわね。樹上生活を選んだ為別の進化系統を辿ったと言われてますの」
上条「へぇ~、詳しいんだな白井って」
黒子「黒子はどうぶつ奇●天外や天才志●どうぶつ園のDVDを持ってる位には動物好きですの!」エッヘン
上条「ほほう、じゃあ隣の檻にいる猿はなんだ?」
黒子「それはチベットモンキーと言いまして……」
――――――――
――――
――
黒子「しまった、お姉様達を見失ってしまいましたの……!」
上条「え、あ。マジだ」
黒子「元はといえば上条さんがよそ見するからいけないんですの!」ムキー
上条「わ、悪い! でも何度か呼びかけても嬉々として動物の解説を止めなかった白井だって……!」
ワーワー ギャーギャー
美琴「何か騒がしいわね……?」
10395号「バカップルの痴話ゲンカでしょう。それよりお姉様、こっちに猿山が――」
海原(エツァリ)「ふ、これだから尾行の素人は……と、御坂さんの飲んだヤシの実サイダーの空き缶ゲットォ!」
17600号「この人本当に何しに来たんだろう、とミサカはちょっぴり遠い目をします」
~ヤマアラシのコーナー~
美琴「なんかおっきな鼠って感じで可愛い……」
10395号「ツンツンしたトゲがお姉様の想い人みたいですね」
美琴「なっ、そ、そんな事……ある、かも///」カァァ
10395号(ちょっぴりジェラシいですがお姉様可愛いハァハァ)
~フンボルトペンギンのコーナー~
美琴「ペンギンって水族館ってイメージだけど、動物園にもいるものなのねぇ……うう、可愛いぃ~」
10395号「某北海道の旭●動物園の名物もペンギンの行進だった筈です。動物園でも定番のようですね。そしてペンギンに悶えるお姉様も可愛いです愛してますハァハァ」
美琴「ん? なんか言った?」ペンギンニムチュウ
10395号「なんでもありません声に出てたやべぇ、とミサカは自重の意識を強くします」
~シロフクロウのコーナー~
美琴「んー、木の上の方に止まったまま動かないわねー。やっぱフクロウって夜行性だからかしら?」
10395号「この個体、人間で言えば結構な年齢らしく、普段からあまり動かないようです。と、ミサカは公式webサイトからの情報を引き出しました」
美琴「そっかぁ、残念。しかし全身真っ白ってなんか心のどっかに引っ掛かる物があるわね……なんでかしら?」
10395号(恐らくあの白モヤシの事を思い浮かべているのでしょうか、とミサカは勝手に推測をめぐらせます)
~オカピのコーナー~
美琴「オカピって確か世界四大珍獣の一つよね? 確か日本にもここにしか居ないって話をどっかで聞いたわ」
10395号「ジャイアントパンダやコビトカバ、ボンゴが他の四大珍獣ですね。他の珍獣は日本国内で見れる箇所が複数存在するみたいで、オカピは未だに生態が謎のままの為中々招致する動物園も現れず、ここの動物園が日本初の公開となったようです」
美琴「へー、それもミサカネットワークでの知識って奴?」
10395号「いえ、これは事前の調査で集めた簡単な情報です。しかし情報で見るよりこうして直に見る方が感動もひとしおですね」
美琴「まあねー、なんだかんだで生の感動に勝る物はないわ。……って、あ!」
オカピ「」ブリブリ、ボトッ
10395号「……排泄行為まで生で見てしまいましたね」
美琴「ちょっと遠いから流石に臭いとかは来ないけど、あんまし進んで見たい光景じゃないわね……ぷぷっ」
10395号「場合によっては不快な光景の筈なのに、何故か愉快に思えてくるから不思議ですね……ぷぷっ」
美琴「ほんと、不思議よねー」クスクス
海原(エツァリ)「あのオカピ殺す……! このトラ(ry)の槍でバラバラに……!」
17600号「いいから落ち着け! とミサカは師匠の頭をハリセンではたきます」スパーン!
――――――――
――――
――
美琴「んー、結構回ったと思ったけどなんかあっという間だったわねー」
10395号「一つ一つのスペースが広めに取ってありますからね。飼育できる動物の数に限りが出てくるのでしょう」
美琴「でもお土産コーナーは目移りするほどの充実度だったわねー。いっぱい買いたいのあったけど置く場所がないから泣く泣く諦めたのがほとんどだわ……」
10395号「ミサカの分まで買って頂きありがとうございました、とミサカはもふもふのオカピ人形をぎゅっと抱きしめます」モフモフ
美琴「私はペンギンとシロクマ、それとヤマアラシのぬいぐるみ……後は黒子達のお土産にお菓子と、記念Tシャツを2枚……これだけでも大荷物ねぇ」
10395号(ヤマアラシとTシャツの2枚目は恐らくあの人が関係してるんでしょうね……)
美琴「さてと、この後どうする?」
10395号「出来ればこの後も……と言いたい所ですが、ミサカはこの辺で失礼しようと思います」
美琴「え、なんで? まだまだ時間あるわよ?」
10395号「……そろそろ姿を現して下さいませんか、お二人とも」
美琴「…………え?」
黒子「……妹様にはバレてましたのね」ガサガサ
上条「……そうみたいだな」ガサガサ
美琴「黒子と、当麻! な、何してんのよアンタ達こんな所で!」
黒子「そ、それは……その……」
上条「……、美琴が他の奴とデートって聞いて、気になって後をつけてたんだよ」
黒子「か、上条さん!?」
上条「誤魔化したってしょうがないだろ。事実なんだからよ」
美琴「あ、アンタ、そんな事で……」
黒子「す、すいませんお姉さm――」
上条「そんな事なんかじゃねえよ、か、彼女が他の奴とデートなんかするっつったら気になるだろ!」
美琴「! で、でも……デートって言っても、男の人じゃなくて女だし……私の妹の一人なのよ?」
10395号「……、……」
美琴「この子だって、ただ遊びたかっただけで……」
10395号「…………ッ」ズキッ
美琴「だから、別に私じゃなくても良かったのよ、ね!」
10395号「…………! おねえ、さま……」
美琴「……あ、え? ど、どうしたの?」
10395号「なん、でも……ありません。それより、お姉様。後はそちらの上条さんと、仲良く、して……」ポロ
上条「……! あ、お、オイ……!」
10395号「邪魔、ものは……立ち去るのみ、です。今日、は、ありがとう、ございまし、た……!」ダッ
美琴「あ……ねえ、ちょっと!?」
上条「……、……」
美琴「……あの子、泣いてた……なん、で?」
黒子「本当に、分かりませんの?」
美琴「え?」
黒子「お姉様は、上条さんと一緒に過ごすようになって、その鈍感も伝染したんですのね」
上条「お、俺のせいかよ……。いや、でも、俺のせい、か……」
黒子「…………」
美琴「え? な、なんのこと?」
上条「……ごめんな。俺がこんな事気にしてつけ回したりしたから、アイツに気を遣わせて、傷付ける原因を作っちまった。器の小さい彼氏でホントごめん」
美琴「え……」
上条「だから、俺が言えたタマじゃないこと自覚して言うけど……アイツの事、追いかけてやってくれ」
美琴「……当麻」
上条「アイツは、多分他でもないお前とデートしたかったんだよ。姉とか、性別とか抜きに、美琴とデートしたかったんだ」
美琴「…………私、と?」
黒子「…………黒子も、そう思いますの」
美琴「……、……」
美琴「……そっか。そう、だったんだ……。それなのに、私……」
黒子「お姉様……」
美琴「私……あの子達の事、傷付けたく無かったのに、また……。謝らなきゃ、あの子に……!」
上条「……そうじゃないだろ?」
美琴「……え?」
上条「アイツは……アイツ等は、美琴と楽しい時間を過ごしたかったんだよ」
美琴「……あ」
上条「だから、お前がアイツに言う言葉は、謝罪なんかじゃなくって――」
美琴「……そっか、そうね。うん、ありがと」
美琴「黒子も、ありがとね。私、行くわ」
黒子「ええ、お姉様。ご迷惑をおかけしましたわ」
美琴「ふふ、気にしないで。今度は黒子ともデートしてあげるからね」
黒子「…………!」
美琴「それじゃ、二人とも。またね!」ダッ
黒子「お姉様……!」
上条「…………」
――――――――
――――
――
上条「…………行っちまったな」
黒子「…………ええ」
上条「……なあ、これからどうする?」
黒子「……どうしましょうね」
上条「あー、うん。上条さんは時間が余ってますから、幾らでも付き合いますよ?」
黒子「馬鹿ですの? そうやってお姉様以外に粉かけたりしてるから、お姉様が他のお方に現を抜かしますのよ?」
上条「ぐっ、べ、別に粉かけてなんかねえよ……!」
黒子「やれやれ、似た物カップルとは言いますが……自覚がないところまでそっくりですの」
上条「くそ、なんだか良く分からないがボロクソ言われてる……あーあー分かりましたよ上条さんは大人しく一人で帰りますよ!」
黒子「それが身の為ですの。それでは私も失礼させていただきますわ」
上条「へいへい。ったく、落ち込んでるかと思って気を遣ってやったらこれだし……」トボトボ
黒子「…………」
黒子「ホント、そっくりなカップルですこと」
黒子「去り際に余計な事を言ってく所まで、そっくりですの……」
黒子「でも……」
黒子「少し、嬉しかったのは、秘密ですのよ? お二人とも」クスッ
――――――――
――――
――
10395号「…………」ポロポロ
10395号(分かってます。ミサカがお姉様を好きでも、それは決して許される事ではない、と……)
10395号(ミサカは、多くを望み過ぎただけです。こうして遊んでもらえるだけでも充分なのに……)
10395号(それでもミサカは、ミサ、カは……)
美琴「いたいたいたいた! やっと見つけたわよこのワガママ妹っ!」
10395号「!? お、ねえさま……!」
美琴「あー、思ったより待たせちゃったわね。ちょっとAIM抑制リング外すのに手間取っちゃって……」ハァハァ
10395号「…………」グシグシ
美琴「あー、可愛い顔がぐしゃぐしゃね。こんなに泣かせちゃって……駄目なお姉さんね、私」
10395号「そんな、事……」
美琴「うん、いいのよ。酷い事言って傷付けたのは私。それは間違いないから。そんな事よりアンタに言いたい事があるのよ」
10395号「! な、何を……ですか?」
美琴「うん、えっとね……今日のデートだけど」
10395号「! は、はい……!」
美琴「楽しかったわ、ありがとね!」ニコッ
10395号「!!!」
美琴「私の為に、めかし込んで来て」
美琴「私の為に、調べて来てくれて」
美琴「私の為に、一緒に回ってくれて」
美琴「とっても楽しかった。アンタのおかげで、すっごい楽しいデートだった!」
10395号「お姉様……!」
美琴「だからね、ありがと! また、デートしようね!」
10395号「!! はい、ミサカも……ミサカも、楽しかった……です!」
美琴「そう? それなら良かったわ」
10395号「うぐ、ふぐ……うぅ~」ポロポロポロ
美琴「ああ、もうまた泣いちゃって……仕方ないわね」ギュッ
10395号「ひゃっ、おおおおお姉様!?」ドキッ
美琴「ほら、お姉さんが胸貸してやるから、思いっきり泣きなさい?」
10395号「う、あ……ううう、うわああああああんっ! お姉様あああああっ!!」
美琴「よしよし、ほんと泣き虫な妹ね……」
美琴「って、泣かせたのは私か……アハハ」ナデナデ
海原(エツァリ)「よっし、御坂さんが使ってたAIM抑制機ゲットォ!」
17600号「コイツ本当に何しに来たんだよ、とミサカは(ry」
~おわり~
昼下がりのカフェテラス。
一般の学生にはちょっと財布に厳しい、けれど高級過ぎもしない。
少し気合入れたデートか、喧騒を避けてゆったりしたい時に重宝されるそんな店の一角に、二人の超能力者(レベル5)が向かい合って座っていた。
「で、麦野さんは一人さびしく何をしていたわけ?」
女性の片割れ、常盤台のエースこと御坂美琴が尋ねる。
「さびしくとか言うな。まあ事実だけどさ……。そういうアンタはどうなのよ、彼氏とは一緒じゃないの?」
女性のもう片割れ、暗部組織『アイテム』のリーダーこと麦野沈利が返す。
「しっ、質問を質問で返すんじゃないわよ! そ、それにアイツは別に、その、彼氏なんかじゃ……」
「え、違うの? じゃあ私が貰っちゃおうかにゃーん」
「だっ、だだだ駄目っ!」
仲睦まじくじゃれあってるように見える姿からは想像もつかないが、かつての二人の関係は敵同士から始まった。
学園都市の闇を打ち砕こうとする少女と、その異分子を排除する為に雇われた少女。
そんな闇の奥深くで出会った二人が、今じゃお洒落なカフェの店先で、方や顔を真っ赤にし、もう片方はそれをニヤニヤしながらからかっている。
今日びの学園都市は平和である証左だろうか。
「なんで? 彼氏じゃないなら御坂にそんな事言う権利ないじゃない」
「そ、それは……その」
「んー? 何かお姉さんに隠してるのならさっさと白状した方が身の為よ?」
「だ、誰がお姉さんよ! 私はアンタの妹になった覚えなんかないわ!」
「おやー? そうやって話を摩り替えたりとかしちゃって、怪しいわねぇ~?」
「も、もう! ……分かったわよ、認めりゃいいんでしょ!」
「ふーん、ところでアイツって誰?」
「ぐっ……! か、上条当麻よ、上条当麻……!」
「うんうん、正直な子はお姉さん大好きよ」
「くそっ、なんだか腹立つわね……」
ともあれ、もう争う事は無いとは言え、普段それほど接点の無い二人が何故差し向かいで紅茶を飲みつつガールズトーク(?)に花を咲かせているかというと。
単に二人とも暇だったからである。
美琴「ていうか、結局麦野さんが何をしてたのかまだ答えてもらってないんだけど?」
麦野「そういうこっちはまだアイツさんが御坂の何なのかを答えてもらってないんだけど」
美琴「う、うるさいわね! い、一応彼氏よ彼氏! 皆にはまだ、秘密にしてるんだけどさ……」
麦野「あらーん? なんで秘密にしてるのかにゃーん?」
美琴「だ、だって、アイツの事好きな奴はいっぱいいて……その、なんか言い出しにくくって」
麦野「とかいってミコトちゃんとしては単に恥ずかしいだけよね」
美琴「う、ううううるさいわねっ! それもあるけどなんかタイミング外しちゃって余計言いづらくなったのよ、悪い?」
麦野「その事の良し悪しは別に知ったこっちゃないけどねー。こっちとしちゃ見てて面白いし」ニヤニヤ
美琴「うう……麦野さんのいじわる」ウル
麦野「……そういうのやめてよね。アンタの本性知ってる身としては寒気しかしないわ」
美琴「ほ、本性とか言うな! アレは……私じゃないとは言わないけど、アレを本性と言われるのは心外だわ」
麦野「まあ、あっちの御坂もこっちの御坂も両方本性って言えば本性でしょうねぇ。単にインパクト強い方の一面とか、普段とギャップある方を本性呼ばわりしてるだけで、本当の意味での本性なんて自分でも分からない物だしね」
美琴「……なんだか物分りいい麦野さんも気味悪いわね」
麦野「よっぽどブチ殺されたいらしいな御坂さんよぉ?」
美琴「冗談よ、冗談。こっちだって言われっぱなしじゃやってらんないからね」
麦野「……アンタもたいがいいい性格よね。嫌いじゃないけど、そういうの」
美琴「ありゃ、嬉しい事言ってくれるじゃない。麦野さんにもデレ期があったのね」
麦野「デレ期ってなんだよ、デレ期って。よっぽどブチ殺されたいのか?」
美琴「で、話を戻すけど、麦野さんは一人で何してたの?」
麦野「……それに答えたくないから話題逸らしまくってたのに」ボソ
美琴「え、なに?」
麦野「なんでもない。暇だったから一人でぶらぶらしてただけよ」
美琴「いつも一緒の子達は?」
麦野「いつも一緒ってワケじゃないけど……滝壺は馬鹿面とデート、絹旗とフレンダはくだらない映画見に行ってる。映画には私も誘われたんだけど、前に行って物凄く苦痛だったから断ったのよ」
美琴「……映画苦手なの?」
麦野「うんにゃ、映画観る事自体は好きな方だけど。絹旗の奴が見たがる映画ってワケ分かんないのばかりなのよ。なんて説明すりゃいいのか分かんないけど……アンタも一度誘われて行ってみれば多分分かるよ」
美琴「へ、へー。じゃあ今度機会があれば一緒させてもらおうかなー……」
その後、映画版ゲコ太談義で二人が意気投合する事になるのだが、それはまた別のお話。
美琴「……また先の事考えても居ないのに適当な事書いてるわね」
麦野「何の話よ。それはともかく、御坂こそ一人で何やってたのよ。彼氏の上条当麻クンはどうしたの?」
美琴「かっ、彼氏って大声で言わないでよね。えっと、アイツはその、補習……」
麦野「は? 補習?」
美琴「アイツって、色んないざこざに巻き込まれたり、首突っ込んだりしてで、外国行ったり入院してたりしてた日数がやたら多いのよね。だから出席日数とか試験の点数とか色々足りて無くてさ……」
麦野「ははぁ、それでこんな年末も近い時期であっても学校に通わなきゃならない、と。苦労してるわねアンタも」
美琴「う、うん……。でも、その一部は私のせいでもあるわけで……仕方ないかな、って」
麦野「のろけやがってムカつくね。ま、幸せそうで羨ましいわね」
美琴「し、幸せだなんて、そんな……まあ、幸せだけどさ」
麦野「かえろっかな……」ガタッ
美琴「ま、待ってよ! お願いだから一人にしないで!」ガシッ
麦野「寂しんぼだね美琴ちゃんは……。まあ私も暇だから付き合うけどさ」
美琴「ご、ごめん。ありがとね」
麦野「別にこんな事で礼言われてもね……。ま、ウザくない程度にのろけ話でも聞かせて貰いましょうかね」
美琴「の、のろけ話って言っても……別に大した事は」ゴニョゴニョ
麦野「ご馳走様、あーお腹いっぱいになったわぁー」ガタッ
美琴「だあああっ! だから一人にしないでよっ!」ガシッ
麦野「冗談だっつの。そんな必死になんないでよ」
美琴「だ、だって……」
麦野「まあ似た者カップルだし、仲良くやってるであろう事は今ので充分伝わってきたけどね」
美琴「似た者? 私とアイツが?」
麦野「そうよ。馬鹿みたいにお人好しだったり、天然フラグメーカーだったり」
美琴「あ、アイツは確かにそうだけど、私はそんな事ちっとも無いわよっ!」
麦野「自覚が無い所までそっくりでムカつくくらいね」
美琴「何の話よ、何の……」
麦野「はぁ……ホントお似合いよアンタ達。っと、紅茶が切れたわね……追加注文するけど、アンタは?」
美琴「あ、じゃあ私も麦野さんと同じの」
麦野「はいはい。あ、すいませーん」
美琴「はぁ……美味し」
麦野「値段の割りにいい葉使ってるわね。それに、淹れ方も丁寧。初めて来た店だけど気に入ったわ」
美琴「良かった、麦野さんに気に入って貰えて」
麦野「ま、常盤台のお嬢様たるアンタのお勧めの店だし、そうそう外れはないでしょうけどね」
美琴「そんな事無いわよ……私、常盤台つっても、とてもお嬢様なんて人種じゃないし。麦野さんの方がよっぽどそれっぽいと思うんだけど」
麦野「アンタ、なんか私に妙な幻想抱いてない? 私は骨の髄までどっぷりと薄汚い汚泥に浸かりきった女よ?」
美琴「境遇はそうだったかも知れないけどさ……。前にも言ったけど、麦野さんって動き一つ取ってもどことなく上品さを感じるのよね。しかも取ってつけた感じじゃなくって、重みとか威厳を感じさせるような」
麦野「あん? 誰がババアだって?」
美琴「そっ、そんな事言ってないでしょ!? 確かに麦野さんは大人っぽいけど、それは飽く迄魅力的な意味であって……ガキっぽいって良く言われる私からすりゃ羨ましいとしか思えないわよ……」
麦野「ふぅ~ん……あ!」ピーン
美琴「な、何よ」ドキッ
麦野「……ひょっとして美琴ちゃん、愛しい彼氏に手を出して貰えなくて落ち込んでたりする?」
美琴「なっ! ば、そ、そんな……!///」
麦野「図星か……。まあアンタのスタイルは決して悪くないけど、出るところはイマイチ物足りないかもねぇ」
美琴「ほ、ほっといてよ! 私だって、もうちょっとおっきくしたいけど、なんともなんないんだもん……」
麦野「彼氏に揉んで貰えばいいじゃない」
美琴「も、揉んでッ!? な、なんでよ!」
麦野「そりゃー、愛するオトコに揉んで貰う事で胸って大きくなるらしいしー? あ、私はそんな事して貰わなくても勝手に大きくなったけどねーん?」ウリウリ
美琴「く、こ、このっ! 嫌味ったらしく胸を突き出すなぁっ!」ガー
麦野「ギャハハハ! まあ貧相なのは貧相なので一部マニアには垂涎モノよ? 彼氏がそっち方面に目覚めてさえくれりゃ、アンタのそのお子様体型も愛して貰えるでしょ」
美琴「め、目覚めるって、どうすりゃいいの?」
麦野「カーンタンだよ。アンタが彼氏をメロメロにしちゃえばいいのさ。高一の男子なんて一番オンナのカラダに興味津々なお年頃だろ? 大胆に攻めれば狼になって襲ってくるだろうよ」
美琴「お、襲って……///」
麦野「あ、避妊はきっちりしとけよ? もっとも、ガキこさえて逃げ場まで奪うってのもオトす手かもしれないけどね」
美琴「ガk……ッ! こ、子供は……流石に、まだ早いと……で、でもアイツが望むなら……///」プシュー
麦野「……やっべぇな。御坂みたいな普段強気なのがこう弱々しくなってるのって、思ったよりクるもんだね」
美琴「な、何よ……からかわないでよ……もう///」
麦野「悪い悪い、でも美琴ちゃんが可愛いのがいけないのよー?」ナデナデ
美琴「かわ、可愛いとかいうなっ! あーもう……///」
麦野「あ、それとも背伸びしたいお年頃の美琴ちゃんは『綺麗だよ』って言われた方が嬉しくなっちゃうクチかしら?」
美琴「ッ! そんなの、私よりよっぽど綺麗で美人な麦野さんに言われても嫌味に聞こえるわよっ!」
麦野「…………はぁ?」
美琴「何よっ! 事実でしょっ!」
麦野「いや、御坂さ。それ立派な口説き文句だって分かって言ってるの?」
美琴「? 何のこと?」
麦野「やっぱアンタ、彼氏とお揃いで天然のタラシだね」
美琴「な、なにがよっ! 元はといえば麦野さんが可愛いとか言い出すからいけないんじゃないのっ!」
麦野「だってぇ、可愛いもんは可愛いんだから仕方ないじゃない」
美琴「う、うー! また可愛いって……///」
麦野「その魅力で彼氏もメロメロに出来ると思えばいい事でしょ?」
美琴「そう、かな……?/// でも、アイツはちっとも私に手を出そうとはしてくれないし……」シュン
麦野「だからアピールだってば、アピール。エロい格好とかエロい台詞でおねだりとか、もっとストレートに行けばいいのよ」
美琴「むう……麦野さん、そういうの得意そうだもんね……」
麦野「え? あ、ああ、別にそうでも、ないけど……?」
美琴「謙遜だなんて余裕だなぁ……。ねえ、折角だからその、恋愛のセンパイの麦野さんに、実際の体験談とか聞かせて欲しいな」
麦野「れ、恋愛のセンパイ?」
美琴「うん、麦野さんそういう経験豊富そうだし、男の人をあっさりメロメロにするの慣れてそう。ね、教えて!」
麦野「そ、それは……その、ね……」
麦野(って、実は口ばっかりでまともに恋愛経験なんて無いなんて言えねぇえええっ!!)
美琴「どうしたの? いきなり頭抱えて」
麦野「な、なんでもない! ていうか、私の話なんかアンタの参考になるとはとても思えないんだけど……」
美琴「お願い! お礼になんか奢ってもいいから! この通り!」
麦野「い、いやその、えっと……」
美琴「ダメ……かな?」ウルッ
麦野「うっ! そ、そこまで言うなら仕方ないわね……」
美琴「ほんとっ!? やったぁ!」パァァ
麦野「ア、アハハ……ま、まあその、本当に役立つとは限らないから、ね?」
麦野(私の馬鹿ーっ! 見栄張って大人の余裕っぽく振舞ったりするからこうなるのよーっ!)ウガーッ
美琴「よーし、じっくり聞かせて貰って、アイツの事ぎゃふんと言わせてやるんだから……!」メラメラメラ
麦野「あ、アハハ……」ダラダラ
麦野(さりとて何を語ればいいやら……ええいこうなったら――)
麦野「うーんと、そうねぇ……」
美琴「わくわくどきどき……」
麦野(――初心なコイツを煙に巻いて誤魔化すしかないッ!)
麦野「えーっと、何人目かの彼の時だったかな……確か、エロい格好して誘惑したらイチコロだったわねぇ」
美琴「え、えええええエロい格好?///」ボンッ
麦野(お、上手いこと反応してくれたわね)
麦野「例えばー、ば、バニーさん、とか……///」
美琴「ば、ばにー?」
麦野「う、うん。そ、その時の彼がバニーフェチでねぇ。奴の携帯にその手の動画があるのを偶然知ってね」
美琴「そ、その手の動画……!」ゴクリ
麦野「で、その、ソイツに秘密でこっそりバニーさんの服を買って……その、それを着て……」
美琴「……/// で、そ、その彼氏さんの反応、は?」ドキドキ
麦野「も、もちろんソイツは一発でメロメロでさぁ! 獣のように襲い掛かって来たから、ささっとかわして、言ってやったのよ」
美琴「…………!」
麦野「『だぁめ、お願いしてくれなきゃ、オ・ア・ズ・ケ♪』ってね。もうそれで彼もイチコロってもんよ、ギャハハハハ!!」
美琴「さ、さっすが麦野さん! お、大人のオンナって感じ……! カッコイイ……!///」ドキドキドキドキ
麦野「ま、まーねまーね! ギャハハハハハハハ!!! …………ハァ」
美琴「…………ん?」ナゼタメイキ?
麦野(……っていう計画練るだけ練って、結局実行に移せず、バニー服はクローゼットの奥で眠ってるのよねぇ……)トオイメ
美琴(そ、そっか……昔の彼氏との思い出を思い起こして、ちょっぴりセンチメンタルなのね……麦野さん、大人だなぁ……)
美琴「で、で、他には他には?」
麦野「え、ほ、他? そ、そうねー、えーと……」
美琴「」ワクワクテカテカ
麦野(何よその全身から放たれる期待のオーラはぁーっ!? 無理無理無理ッ! 無理だからそんな経験なんて無いんだからァーッ!!)
麦野「そうね、彼氏が部屋に来た時不意打ちでネグリジェのまま入れてやったら鼻血噴いたわ」キリッ
麦野(だから何またハッタリかましちゃってるのよ私ーッ!!?)ズガーン
美琴「う、わ……だ、大胆……///」ドキドキドキドキ
麦野「ま、まあね……。初心な奴でも顔真っ赤にしつつあからさまにチラチラこっち見てくるから、からかいがいがあって楽しかったにゃーん」ニヤニヤ
美琴「……な、なるほど……」ゴクリ
麦野(実際は滝壺だと思って寝ぼけて対応したら浜面に見られちゃってこっちが赤面しちゃったっつの! 余裕のフリしてからかうつもりが地雷踏みまくって逆にこっちが倒れそうになったっつの!!!)グヌヌ…!
美琴(麦野さん、辛そうな顔してる……今思い出しても心が痛むような、本気の恋愛だったのかな……)
美琴「麦野さん、ごめん。なんか思い出させたく無い事思い出させちゃった……かな」シュン
麦野「うえ? い、いやそんな事ないよ、気にしないで。っていうか、なんで?」
美琴「うん……でも、今麦野さん、ちょっと辛そうな顔してたからさ」
麦野「ばっか、お子様がそんなつまんない気回さないの。そんな顔してると、彼氏が愛想つかせちゃうよ?」
美琴「そ、それは嫌!」
麦野「でしょ? だからアンタは笑ってなさいな。変な手段講じるより、その可愛いスマイル見せてる方がよっぽど彼氏の心をドキドキさせちゃうと思うけどにゃーん?」
美琴「そ、そうかな……」
麦野「絶対そうだって。だから難しい事考えずに、御坂は元気に笑ったり怒ったりしてりゃいいんだよ、な?」
美琴「そっか……そうだよね。ありがと、麦野さん」ニコッ
麦野「そうそう、その笑顔その笑顔」ナデナデ
美琴「え、えへへ……」
麦野(よっしゃーっ! どうにか乗り切ったッ! もう恋愛モード真っ盛りの奴にヘタなネタ振りはしなようにしようッ!! ていうか心臓に悪いわコレ!!)
美琴「そうよね……第一、えっちな衣装で誘惑とか、また前みたいに乱暴に襲われたら困るもんね」アハハ
麦野「え? ケモノ?」
美琴「う、うん。前にアイツが熱出して倒れた時にね、その……たまたま持ってたナース服を着て……そしたら、熱で倒れてるのに、アイツってばいきなり襲い掛かってきて……わ、私の胸、とか、脇とか、腿のトコとかいっぱい触られたり、舐められたりして……///」ゴニョゴニョ
麦野「…………」
美琴「しょ、正直怖くなっちゃって、その……そ、そりゃちょっとは嬉しかったり、気持ち良かったりしたけど、さ……その、ら、乱暴にされるのも、なんだか、ドキドキしちゃったけど、なんか、やっぱり、その……///」ドキドキドキドキ
麦野「へ、へー。よ、良かった、じゃない。か、彼氏も、アンタのカラダに、とっくにメロメロだったって、事でしょ?」
美琴「え、あ、うん……な、なんか恥ずかしいから、この話題やめようね?///」
麦野「あ、ああ……そうね」
麦野(くそっ、アンタの方がよっぽど経験してるじゃねぇかあああああああッ!!?)ガビーン!
美琴「…………?」キョトン
~つづく~
――――――――
――――
――
麦野(で、まあ相変わらずこのお洒落なカフェでコイツと二人きりなワケだが)
美琴「えへ、えへへへ。そ、そっかぁ……実は既にメロメロだったのかぁ……」
麦野「なんかトリップを始めてしまわれました。帰りたい」
美琴「やぁ……駄目だよ、と、とうまぁ……私まだ、中学生、だよ……? なんちゃってなんちゃって!」イヤンイヤン
麦野「帰りたいのに何故かこの第三位、人の服の裾ギュッと握って離そうとしやがりません」
美琴「うそ……当麻、その女の人、誰なの……。やだ、言い訳なんて聞きたくない……」グスン
麦野「なんで妄想の中で修羅場なんだよ!? もうちょっと幸せ一辺倒の妄想をしろよ!!」
美琴「なん……だと? 当麻、その仮面……一体当麻の身体に何が……それと、その霊圧……!」
麦野「オサレ!? オサレバトル漫画展開なの!?」ガビーン!
美琴「やめろ黒子ーッ! おめえは一度死んでるんだぞーッ!!」
麦野「えっ、あの子自爆出来たの!? デュアルスキルじゃない凄いわね!!」ガビーン! ←混乱中
――――――――
――――
――
美琴「あ、ごめん麦野さん。何の話だったっけ?」
麦野「え、ああうん。何だったっけ、全然覚えてないわ」
美琴「そ、そう。なら大した話じゃなかったのね、多分」
麦野「まあ、多分そうね。……っていうかアンタ妄想力だけなら学園都市第一位を名乗っていいと思う」
美琴「な、なによっ、そんな事無いわよっ!」
~その頃の学園都市第二位~
垣根「ふっ、無様だな一方通行。這いつくばってないでさっさと立てよ」
垣根「テメェ、第二位。何しに来やがったンだァ」
垣根「決まっている、肩書き上だけでも俺より上の第一位サマが無様に負け姿を晒されると、こっちにとっても迷惑だ。癪だが今回ばかりは力を貸してやるよ」
垣根「チッ、しょうがねェ。このままだと俺だけの力じゃァ勝てそうもないしなァ。その代わり、足引っ張ったらタダじゃおかねェぞ」
垣根「こっちの台詞だ白モヤシ。ゴタゴタ言ってねぇでさっさと終わらせるぞ!」
垣根「おォ。クカカ、俺とお前が組めばかなう敵なンざいねェってなァ!!」
垣根「ビシュン、ドガーン! ぐあああああっ! ば、ばかなー!」
垣根「なんだあっけねぇな。もうちっと楽しませてくれりゃあいい物を」
垣根「あァ。だが仕方ねェな。俺達が強過ぎるンだ」
垣根「抜かせ、お前一人の時は負けそうになってたくせに」
垣根「……そうだなァ。もう、この俺に第一位の称号は相応しくねェかもしれねェ……」
垣根「は? 何言ってやがるこのモヤシ?」
垣根「正直助かった。そして俺の完敗だァ。今日から学園都市第一位は垣根、お前に譲るぜ」
垣根「はっ、お前のお下がりみたいな形は不満だな……」
垣根「垣根、だが俺はァ……」
垣根「だが、お前のその真剣な目。無視するわけには行かねぇ。分かったよ、その申し出、甘んじて受けよう」
垣根「そうかァ。これで俺も安心、して、この街と住人を、任せて行ける……」
垣根「……? おい、一方通行? お前、まさか! おいコラ、逝くなよ! 逝くな一方通行ァァァァァァッ!!」
心理定規「うるさいわよ!!! 妄想一人芝居やるのは勝手だけど近所迷惑ってもんを考えなさいッ!!」バチコーン!
垣根「痛ッ! 何するんだお前この学園都市の新しい第一位に向かってっ!?」
心理定規「あァん?」ギロッ
垣根「あ、そ、その……。調子に乗って、すいませんでした……」ガクブル
心理定規「ふん、ほんとこれだから馬鹿の世話は大変なのよね……大体私がなんでこんな奴の面倒を見なきゃ……」ブツブツブツ
垣根「…………」ブルブルオドオド
~その頃の第一位さン~
一方「……でェ、ピンチになった打ち止めが大声で助けを呼ンでだなァ……」
打ち止め「キャーッ! 助けてアクレラレーマーン!! ってミサカはミサカは私だけのヒーローを呼んでみたり!」
一方「はァッ! 無垢なる少女の純粋なる悲鳴が夜空に響く時ィ! 颯爽と現れるは闇に紛れしダークヒーロォー!!」
一方「その名も絶対能力戦士ィ、アクセラ・レーマン!!!」ビッシィ! ビカビカァ!!
打ち止め「キャー、あなたかっこいいーっ! ってミサカはミサカは興奮のあまり飛び跳ねてみるっ!」ピョンピョン
一方「クカカ、そうだろォそうだろォ! そンでその後だなァ……こォなってあァなって」ミブリテブリ
打ち止め「ふんふん、なるほどー! キャー、それもcoolでミサカ興奮しちゃう! ってミサカはミサカはウキウキ気分!」
一方「そンで、不利を悟った敵の女幹部アワキン・ショタフリークが苦肉の策で手に持った軍用ライトを怪人に照射するンだ。そうすると……でも対抗してアクセラレーマンも腕の通信機でアクセラカーやアクセラタンクを呼び寄せ――」
打ち止め「合体変形ーッ!? すごーい、ミサカもあなたと合体したいーっ、ってミサカはミサカはおねだり攻撃っ!」
一方「しょ、しょォがねェなァ。じゃあ2クール目からはラストオーダージェットが追加配備されてアクセラロボは更なる進化形へと――」
打ち止め「わーい、ミサカがあなたと合体して熱くなっちゃうーっ! ってミサカはミサカは――」
芳川「ねぇ。止めなくていいのこの子達」
黄泉川「何を止めるじゃん? あ、それより一方通行、司令部で皆に指示を出す美人司令官、アイホ・ハデスリバーってキャラが必要だと思うけど、ど、どうじゃん?」
芳川「…………同レベルなのね」ハァ
~再びカフェテリア~
麦野「……なんか学園都市の未来が不安になってきたんだけど、なんだろこの感覚」
美琴「? さっきから何を言ってるの麦野さん?」
麦野「ああ、なんでもないよ。それより御坂は時間とか大丈夫?」
美琴「あ、うん。まだしばらくは暇のままよ。麦野さんの方は?」
麦野「右に同じく。でもちょっと紅茶はお腹いっぱいだし、別のとこ行く?」
美琴「うーん、同感ね。あ、でもその前に、ちょっとお手洗い行かせて」
麦野「ションベンか。それとも大の方?」
美琴「ちょっ、だからそういうのやめてよね! ……その、小の方だからすぐ終わるわよ」ボソッ
麦野「はいはい、行ってらっしゃい」ヒラヒラ
美琴「……ったく、もう」パタパタ
――――――――
――――
――
麦野「で、どこ行くの?」
美琴「うーん、妥当な所で買い物か、カラオケとか……」
麦野「……流石に私とアンタでカラオケは気まずいでしょ」
美琴「アハハ、確かに何歌えばいいか分からないわね」アハハ
麦野「まあ無難に買い物か。なんか買いたい物あったっけな……」ウーン
美鈴「あれ? 美琴ちゃん?」
美琴「うえ? あ、ママ?」
麦野「え? ”ママ”?」
美琴「え? うあ、そ、その……」
美鈴「やっほー、奇遇ねぇ」
美琴「な、なななんでこんな所にいるのよっ!」アタフタ
美鈴「んー、ちょっと個人的に見たいものがあってね。上条さんと遊びに来てたのよ」
詩菜「うふふ、美琴さんお久しぶりです」
美琴「あ、ああはい、その、お世話になって、ます」キンチョウギミ
美鈴「ん? お世話?」
美琴「あ゙ッ! そそその、なんでもない、です」アセアセ
詩菜「……あらあら、当麻さんってばおイタでもしたのかしら?」
美琴「ちっ! ちちちちち違いますそういう意味じゃなくって!」ズボシ
美鈴「はっはーん……なるほどねぇ」ニヤァ
美琴「あぅ……///」カァァ
麦野「……完全に置いてけぼりだわ私」
美琴「む、麦野さぁん……」ヘルプ
麦野「いや待て、なんでここで私に助けを求める?」
美鈴「あら、美琴ちゃんってばこんな美人さんといつの間にお友達に? あ、はじめまして御坂美鈴です!」
麦野「あ、どうも麦野沈利と申します。みさ……美琴さんとは仲良くさせて貰ってます(御坂のお姉さん? いやまてさっき”ママ”つってたよな……)」
詩菜「はじめまして、私は上条詩菜と申します」ペコ
麦野「あ、どうもはじめまして。えと、上条というと、上条当麻さん、の?」
詩菜「あ、当麻さんをご存知ですか? はい、上条当麻の母です」ニコッ
麦野「へー、母……………………って、母!?」
詩菜「はい、母です」ニコニコ
麦野「あ、その、すいません変な声出しちゃって……。ねぇちょっと御坂、なんなのあんた等の親御さん達は? 老化防止(アンチエイジング)レベル3とか4の能力者なの?」ボソボソ
美琴「いや、別にそんな事無いわよ! 確かに、マ……母はともかく、詩菜さんは異様に若々しいけど、さ」コソコソ
麦野「いやいやいやいや、アレがナチュラルとかありえないでしょ! あと恥ずかしがらないでママって呼んでもいいんだよ美琴ちゃん」
美琴「美琴ちゃんって言うな! あと、別に恥ずかしがって母って呼んでるんじゃないもん!」
美鈴「んー、随分と仲がいいのねー。母さん、なんだか妬けちゃうわ」
麦野「……あ」
美琴「す、すいません……」アセアセ
詩菜「あらあら、微笑ましいですねぇ」ニコニコ
美琴「そ、それはともかく! 一体どうしてこんな所にいるのよ、母!」
美鈴「えー、ママって呼んでくれなきゃやだー」ブー
美琴「うっさいうっさい! いいからさっさと説明しなさいよ!」
美鈴「あは、大した事じゃないわよ~。ちょっと、美琴ちゃんと当麻くんの、式場と新居見学に来たのよん♪」
美琴「私と当麻の……え、何?」
美鈴「だからぁ、式場と、新居見学」
美琴「式場と、しんky……」
美琴「…………」
美琴「ッ!!!!? えふおhfsごそい@いぐ0(#&(7t!!!!?!?!?!///」ボンッ
美鈴「あらぁ~、美琴ちゃんどうしたのー?」
美琴「えええええええぇぇぇぇぇっ!? いや、あう、その、なななななんでそんなその、いやえっと、ええええ……???///」プシュルルルル
美鈴「ありゃー、こりゃ重症ねぇ」ケラケラ
美琴「む、むむむむ麦野さんっ、へるぷ、へるぷっ!」アウアウアウ
麦野「ほほう、乳液は○○……と。あと、他に気をつけてる事とかあります? 例えば……その、食生活とか!」キラキラキラ
詩菜「あらあら、そうですねぇ……」
美琴「麦野さぁぁぁぁんッ!!?」
――――――――
――――
――
美琴「……で、実際の所どうなのよ」ムスー
美鈴「え? だから結婚式場と二人の愛の巣の」
美琴「それはもういいっ! いい加減に本題に入れっ!」ウガー
美鈴「はいはい、本当の所はアレよ、私たちも明日のアレ、招待されてるのよ」ウン
美琴「明日の、アレ?」
麦野「ああ、それだったら私らの所にも招待状来てるわね」
美琴「え? 麦野さん達のとこに?」
麦野「そ、えっと……イギリス清教、だっけ? の教会主宰の、クリスマスパーティ」
美琴「あ、そういえばインデックス達が……」
詩菜「はい、それで前日から泊り込みにしてついでにちょっと学園都市観光をしようって美鈴さんに誘われたんです」ニコニコ
美琴「なるほど……って、だったら先に教えておいてよ!」
美鈴「ごめんねー、美琴ちゃんの邪魔をしたくなかったから私達だけで楽しもうって事で意見が一致したのよ。と言っても想定では当麻くんといちゃいちゃしてるのかとばかり思ってたんだけどねぇ」
美琴「い、いちゃいちゃなんかしてない!!」
麦野「いや、してます」
美琴「麦野さんっ!?」ズガーン
美鈴「あらー? やっぱりそうなのー?」ニヤァ
美琴「ひ、ひどいっ! 裏切ったわね麦野さん!!」ウガー
麦野「別に最初っから味方するなんて言った覚えないんだけどにゃーん?」ニヤニヤ
美琴「うう、ほんとに酷いよぅ……」グス
麦野「~~ッ!! やべ、今凄いキュンと来たわ」ゾクゾク
美鈴「麦野さん、だっけ? 貴方中々見込みあるわねぇ」ニヤニヤ
麦野「何の事です?」シレッ
美鈴「ふふ、何でも無い、って事にしておきましょうかねぇ」
詩菜「あらあら」ウフフ
美琴「なんだか私……四面楚歌かしら?」ブルッ
美鈴「で、美琴ちゃんと麦野さんはこれからどうする予定だったの?」
美琴「んー、いや特に予定は無いけど、二人とも時間空いちゃってたんで」
麦野「さっきまで喫茶店で時間潰してたんですけどね。次はショッピングでもしようかって話をしてたんですよ」
詩菜「あらあら、私たちもこれからショッピングでも楽しみましょうって話してたんですよ」
美鈴「そうね、折角だし一緒する? そっちが嫌じゃなけりゃ、だけど」
美琴「うーん、麦野さんどうする?」
麦野「私は構わないわよ。折角だしさっき詩菜さんに教えてもらった化粧水とか買いたいし」
美琴「母さん達はどういう所行く予定だったの?」
詩菜「一応、ここの近くにあるって言う総合デパートに行こうって話してたのですけれど」
麦野「そこなら専門店もいっぱい入ってるし、大体の買い物が出来ますね。私は問題ないと思うわ」
美鈴「じゃ、決定ね。美琴ちゃん、案内よろしくね」
美琴「う、うん。仕方ないわね……」
美鈴「当麻くんへのプレゼントとかも買えちゃうかもよ?」
美琴「か、買わないわよそんなの!」
麦野「多分、手作りの何かとか用意してるんでしょ」ニヤニヤ
美琴「う、うるさいっ! さっさと行くわよ!///」
美鈴「おや、図星みたいねぇ」ニヤニヤ
詩菜「あらあら、当麻さんも幸せ者ですねぇ」ニコニコ
美琴(だから何なのよこの空気ーっ!?)
~つづく~
美琴「あーもう! なんでこう毎回アンタは待ち合わせに遅刻するのよっ!」
上条「け、結構これでも、俺にしては、頑張った方、じゃないかな……!」ゼェゼェ
美琴「まあ……そんだけボロボロになってるのを見れば、分からないでもないけどさ……」
美琴「仕方ないわね。今回は30分の遅刻だし……10分に付きひとつ、私の言う事聞いてもらうからね!」
上条「て、てめえ! タダでさえ満身創痍の俺に更なる追い討ちする気か!? この鬼、悪魔!!」
美琴「お、鬼? アンタね、自分の可愛い彼女に対して何たる言い草よ! もうこうなったら容赦しないわよ!」
上条「面倒な事になってきやがった……不幸だ」
美琴「デートの時にその台詞禁止って言ったでしょ! 全く、こんな可愛い彼女つれて不幸とか失礼しちゃうわ」
上条「と、そうだったな。悪い、美琴。お前みたいな可愛くて面倒見のいい彼女持って、上条さんは幸せ絶頂ですよ?」
美琴「う、うん……そ、それでいいのよ、それで。って、もうこんな時間! 見ようと思ってた映画、もう始まっちゃってるー!?」
上条「ごめん、俺が遅刻したせいだな……」
美琴「残念だけど……ううん、大丈夫。今日は映画はやめて、当麻の部屋でのんびりしよっか」
上条「いいのか……? 前から楽しみにしてたんだろ、今日見ようとしてた奴」
美琴「ま、映画なんて日を改めて来れば見れるしね。そんな事よりアンタがそんな顔してる方が嫌なのよ、私は」
上条「すみません、不甲斐ない彼氏で……うう」
美琴「コラ、だからそんな顔すんなって言ってんでしょ! それより、ほら。手、出しなさい!」
上条「突然なんだよ? はっ、もしかしてこの万年貧乏無能力者たる上条当麻からなけなしの金をむしりとって餓死させるつもりでは……!?」
美琴「しょーもない妄想してんじゃないわよ。こういう時は言われなくても……か、彼女の手、握ってリード、するもんでしょ? それとも……私なんかの手じゃ、握りたくない、の?」
上条「もちろん握らせていただきますとも! 不肖上条当麻、全身全霊を持って美琴センセーのエスコートをさせて頂きます!」ガシッ
美琴「よ、よーし、言ったからには私が満足するまでエスコートしなさいよ? そういうのは、口で言うだけじゃ駄目なんだからね!」
上条「論より証拠、今から俺の彼氏力を見せてやるぜ! しっかり付いて来いよ、美琴!」
美琴「しっかりも何も、私はアンタに二度と置いてかれるもんですかって誓ったのよ。何が何でも付いてくんだからね!」
上条「くそぅっ、こんな出来た彼女を持って上条さんは本当に幸せ者ですよ……! 美琴、愛してるぞぉっ!!!」
美琴「!! あ、ああああ、愛し……! あ、そ、その……私も、愛してる……///」ゴニョゴニョ
2011年1月1日 今年が美琴にとって幸せな一年でありますように
~ショッピングモール セブンスヘヴン内 婦人服コーナー~
詩菜「とまあ、このように着る服の選択一つで若さを演出する事も可能ですよ。気分も若くなれば実際に若返るなんて事もあるそうですし」
麦野「ほほう……デザインを大幅に変えなくても、色合い一つで随分と違ってくるもんなんですねぇ」フムフム
美琴「あの二人、すっかり打ち解けちゃったわね……」
美鈴「あら? 愛しのセンパイ奪われちゃって美琴ちゃんさみしい?」
美琴「そんなんじゃないわよ。ただ、あんなに人の言う事を素直に聞いてる麦野さんって初めて見たから、新鮮っていうか、ね」
美鈴「ふぅ~ん、そうなんだぁ~」ニヤニヤ
美琴「な、何よ、その邪悪な笑顔は……」
美鈴「べっつにぃ~? あ、それより美琴ちゃんも何か服買いなよ。彼氏に大人っぽく見てもらえるようなダ・イ・タ・ン♪ な奴とか」
美琴「あーはいはい。うちは校則で私服での外出不可だから買うだけ無駄よ、無駄」
美鈴「あっははー、何言ってんの美琴ちゃん! 買うのは私服じゃなくって、下着よシ・タ・ギ♪」ピローン
美琴「な゙っ! なななな何よそのヘンなトコに穴空いちゃってるの! それ下着としての用をなしてないじゃない!」
美鈴「んー? これも立派な下着よー? これなら履いたまま彼氏ともイタす事が出来ちゃう手間要らず♪ 子供扱いされがちな美琴ちゃんもオンナとして見て貰えるかもよ?」
美琴「じょっ、冗談じゃないわよ! だ、第一そんなした、下着、お、おしっことかする時、どうすんのよ!」
美鈴「え、美琴ちゃんてば普段からこんな下着履いたまま出歩きたいの? 露出狂?」
美琴「~~~~ッ!!///」プシュー
美鈴「しっかし、このド直球なまでにエロな下着なんて誰が履くのかしらね……正直美鈴さん想像つかn」
詩菜「あら、この下着この前刀夜さんにプレゼントしてもらった奴と同じですねー」
美琴美鈴「「ここにいたーッ!!?」」ガビーン!
麦野「うわ、エロい下着ねぇ……。詩菜さんこんなの履いてるんですか?」ドキドキ
詩菜「うふふ、こういうドキドキを意識する事も若返る秘訣かもですね。いつでも新鮮な気持ちでいられますもの」
麦野「な、なるほど……常にドキドキ、と……」フムフム
詩菜「この下着、ヒップアップにも効果があるんですよ。美鈴さんもこういうの使ってらっしゃるんですね、流石です」
美鈴「え? うえ? あ、あはは! そうそう、こういうの結構お気に入りでさー!」アハハハ…
美琴「すっごく嘘くさいわ」
美鈴「み、美琴ちゃんは黙ってて!」
詩菜「そうそう、美容効果といえばこっちのブラもお勧めですよ? あ、美鈴さんには今更かもしれませんけど」
美琴「え、それブラジャー……なの? なんかただのリボンっていうか紐っていうか……ねえ?」
美鈴「わ、私に振らないでよ……私だってこんなん初めて見たんだから……」ボソボソ
詩菜「ああ、これはですね美琴さん。こうやってカップの回りを通して支えるように……こう、着ける物なんですよ」スルスル
美琴「ひゃわっ!? こ、ここここんなの! む、むむむむ胸、ま、丸出しじゃないですかっ!!///」カァァ
美鈴「……こ、これは……流石に///」カァァ
詩菜「ん? 美鈴さんはこういうのお好きでないですか?」キョトン
美鈴「い、いいいいえ! その、む、昔は良く使ったんですけどねー! 今はもう飽きちゃって、その、別のを、ハハ」ダラダラ
詩菜「へぇぇ、流石美鈴さんですね。じゃあ、こういうのとか?」ピラッ
美鈴「うっふぇええええ!? そ、そそそそうですね、そ、そういうのですれふえふ」アウアウ
美琴「……///」キュー バタン
麦野「あ、美琴がダウンした」ペチペチ
詩菜「なるほど~。じゃ、似た系統でこういうのもオススメですよ~」ピラッ
美鈴「どぅっふぇえええええ!! あ、あら、ここここれはなかなかなかなかね、あはははは」アウアウ
麦野「なんかセミみたいになってるよこの人。こっから鬼隠しとかでも起きるのかね」
詩菜「じゃあじゃあ、美鈴さんの体型だとこんなのも……」ピラッ
美鈴「ぐぅっふぇえええええええ!! そ、そそそそうれふね――」アウアウ
~ショッピングモール セブンスヘヴン内 ス○ーバックスコーヒー~
麦野「で、結局また喫茶店なのね」
美琴「…………」メルメル
麦野「美琴ちゃんは愛しの当麻くんにラブメールかしらぁん?」ポン
美琴「にゃうっ!? ちょ、いいいきなりなによ! って、あ……」ピロリーン
麦野「あら、メール途中送信しちゃった?」ドレドレ
美琴「あ、ちょっと! 覗かないでよ!」アセッ
麦野「いーじゃないの、減るもんじゃなしに……って」
――――――――――――――――――
To : とうま(ハァト
Sub : Re:補習やっと終わった!!
――――――――――――――――――
> 麦野さんと美鈴さんと母さん?
> 一体どんな経緯でそんなメンツになっ
> たんだよw
>
> セブンスヘヴンかー、こっからだと3
> 0分は掛かると思うけど平気か?
ママと詩菜さんは観光に来たんだってw
麦野さんは昼に道端でばったり会って、
そのまませkk
――――――――――――――――――
麦野「ぶほぉっ!」
美琴「え、な、なに!?」ビクッ
麦野「”そのまませkk”てwwwwもうその後絶対”usu”しか浮かばないしwwwwww」ゲラゲラ
美琴「え? ”usu”?」
麦野「私にそんな趣味ねぇよwwwwフレンダじゃあるまいしwwwwww」ヒーヒー
美琴「…………」ノウナイ アテハメ
美琴「ッッッ!!!?///」ボンッ
麦野「ウwケwるwwwwwwwwwww」ゲタゲタ
美琴「えええええええ! ちょ、む、麦野さんがいきなり肩叩くからヘンなメール送っちゃったじゃないっ!///」カァァ
麦野「あっはwwwwwご、ごめんw あー、腹筋つるわぁ……」ヒクヒク
美琴「も、もう……。で、でも流石のアイツも、そんなえっちな想像はしな」
マッテロイマスグユークカラー スグニオイツクカラー♪
麦野「お、返信もう来た? なんて?」
美琴「え、ちょ、ちょっと待――」
――――――――――――――――――
From : とうま(ハァト
Sub : Re:Re:補習やっと終わった!!
――――――――――――――――――
> 麦野さんは昼に道端でばったり会って
> 、そのまませkk
え?え?
み、御坂センセーは両刀ともイケるクチ
だったんですか!?
待ってろ超速モードで5分でそっち行く
からな!!
――――――――――――――――――
美琴「」
麦野「――ッ!! ――ッ!!!」バンバン
美琴「こうなった張本人が呼吸困難なまでに馬鹿ウケしてんじゃないわよ!!」ビリビリ
麦野「ごめ……ッ! でも、これ無理……ッ!!」ゼェゼェ
※ちなみに「せkk」は「折角だから一緒してる」と書こうとした途中です。
良い子のみんなは当然分かってたよな!
麦野「……ぷはぁっ、し、死ぬかと思った……」ハァ…
美琴「あ、アンタねぇ……」
麦野「いやいや悪かったよ美琴ちゃん。まあ即座にフォローの返信したら誤解が解けたしいいじゃない」
美琴「そういう問題じゃ……」
美鈴「よっ、お待たせ二人ともー」
麦野「お、待ってましたー」
詩菜「流石の賑わいで時間掛かっちゃってすいません」
麦野「いえいえ、退屈はしてなかったので問題ないですよ。っと、これ私の分ですね」ヒョイ
美琴「……何その色々乗っかってるの」
麦野「ん? ベンティアドショットヘーゼルナッツアーモンドキャラメルモカキャラメルソースチョコレートソースチョコレートチップバニラクリームフラペチーノよ」
美琴「へ? ベンティ……何?」
麦野「だから、ベンティアドショットヘーゼルナッツアーモンドキャラメルモカキャラメルソースチョコレートソースチョコレートチップバニラクリームフラペチーノよ」
美琴「…………」
麦野「本来なら先人に倣いベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソースモカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノをやりたいんだけど、ス○バってカスタムの内容更新されちゃってて再現出来ないのよね。なので妥協して今日はこれにしたの」
美琴「いや、聞いてないってば」
詩菜「あらあら、でもそんなに糖分過多な飲み物飲んじゃったら美容にも健康にも良くないですよ?」
麦野「クソッ!!! なんで私はノリとウケ狙いだけでこんなリスキーな物頼んじまったんだッ!!!!」ガターン!
美琴「呆れて物も言えないわね……」
麦野「御坂ァッ! これアンタのホットカフェオレととっかえてくれない!?」
美琴「要らないわよそんな甘さを通り越して嫌がらせにしかなってない謎飲料なんて!!」
美鈴「あははは! 美琴ちゃん、面白いセンパイじゃない!」アハハハハ!
麦野「くそぅ、こうなったら浜面呼び出して代わりに飲ませ……ってどうしてこういう時に限って通じないのよ!」ムキー
絹旗「浜面! 映画鑑賞の時は超携帯の電源を切るべきです! 超最低限のマナーですよ!」
浜面「そういうお前の大声の方がマナー違反じゃねぇの!? って今切る、切るから窒素で口塞ぐのやめて死ぬ!」
滝壺「大丈夫、そんな青い顔で死に掛けてるはまづらを私は応援してる」
フレンダ「結局、別々に遊んでた筈なのになんで一緒になってる訳よ?」
滝壺「私は、はまづらに映画デートに誘われて、ここに来ただけだよ?」
フレンダ「私は絹旗にいつもの通り映画鑑賞に誘われて、「今日はこれを観たい気分です!」って言われてここに来たら浜面と滝壺がいた訳だけど」
絹旗「は、浜面が滝壺さんとの超デートに超映画なんか選ぶから悪いんですよ!」
浜面「そ、そりゃそうだけどよ! この映画、前に誘った時「そんなありきたりなハリウッド映画を観るだなんて超お子様ですね! 見る目が超まったくありません!」って言ってたよな!?」
絹旗「そ、それは……た、たまには超お子様向け映画でも超観たくなる時があるんです! 超ほっといて下さい!」
フレンダ「結局、絹旗が超素直じゃないだけなのよ……」
滝壺「大丈夫、そんな可愛いきぬはたを、私は……複雑な気分だけど応援してる」
※いちおう補足:浜面がとある映画を観たくなり、映画なら映画好きの絹旗を誘おうとしたけど断られる。しょんぼりしてたら滝壺が一緒に行こうか? って言ってくれて今日に至る、みたいな経緯です。
美鈴「さて、落ち着いたところで……」
詩菜「そうですね、そろそろはっきりさせたい所ですね」
美琴「? 何の事?」
美鈴「そりゃーもちろん……当麻くんとの関係について、に決まってるじゃない!」
美琴「ぶふーっ! げへごほげほごへ!!」
麦野「お、それについては私も詳しく知りたい所だねぇ」ニヤニヤ
美琴「ちょ、ごほっ、な、何ワケ分からないこと言ってるのよ! 私と、とと、当麻が何の関係があるtt」
美鈴「お、もう名前を呼んじゃう仲なのね。前は「アイツ」とか「あんな奴」みたいな呼び方しかしてなかったのに」
詩菜「あらあら、当麻さんったら」
美琴「い、いやいやいや! だ、だって詩菜さんの前でそんな失礼な呼び方とかでで出来ないじゃない!」
美鈴「え? でも大覇星祭の時は上条さん夫婦の前で結構失礼な態度や言動してたと思うけど?」
美琴「え、うえっ!? あ、あああれはなんていうか、そんな余裕が無かったって言うか、その……」ゴニョゴニョ
詩菜「私は別に構いませんよ? 多分悪いのは当麻さんの方でsy――」
美琴「そっ、そんな事ないですっ!!!」バン!!
詩菜「え?」ビクッ
美琴「わ、私だってちょっとの事でイライラしちゃったり、全っ然素直じゃ無かったり、八つ当たりしちゃったりで……」
美琴「そりゃ、当麻も当麻だと思うけど……私の方がもっともっと悪いんです!!」
美琴「だから、当麻の事、責めないであげてください、お願いします!!」
美鈴「…………」ポカーン
麦野「…………」ポカーン
詩菜「あらあら」
美琴「…………」
美琴「…………ハッ!」ワレニカエル
美鈴「いやいや、ご馳走様というかなんというか……」ニヤニヤ
麦野「美琴ちゃーん、気持ちは分かるけど周りの迷惑考えなさいねー?」ニヤニヤ
詩菜「うふふ、美琴さんにここまで言ってもらえるなんて、当麻さんも幸せ者ですねぇ」ニコニコ
美琴「あ、ああああああううううう、そ、その、えっと、ご、ごごごめんなさいというかなんというか……///」プシュルルル
美鈴「やー、こんな可愛い美琴ちゃん見れるとはねぇ。何だか感慨深くて母は涙が出てきちゃいますよ」ヨヨヨ
麦野「眼福と言うべきか上条当麻もげろと言うべきか……。公衆の面前で彼氏を大音量で庇っちゃうなんてダ・イ・タ・ン♪ だね美琴ちゃん?」ニヤニヤ
詩菜「あらあら、後で当麻さんにはきっちりお話を聞かないとですねぇ。美琴さんにここまで言わせちゃうだなんて、一体こんな若い女の子にどんな事をしでかしたのかしら」ニコニコ
美琴「うにゃああああああっ! もうやめて言わないで私をそんな目で見ないでええええええっ!!!///」ブンブンブン
上条「どうした美琴、何があったんだ!」
美琴「あ、当麻っ! ふにゃああああああああ!!」ダキツキ
上条「お、おいっ、美琴?」ダキトメ
美琴「ふにゃー! ふにゃふにゃああ、ふにゃー!」ジタバタ
上条「お、おちつけ美琴! 何言ってるか全然分からん!」
美鈴麦野「「…………」」
詩菜「……あらあら」
美琴「ふにゃにゃにゃ! ふにゃ、ふにゃ! ふにゃああああ!!」ブンブン
上条「え、えっと、やっぱよく分からんが、よしよし……」ナデナデ
美琴「ふにゃ……」トロン
美鈴「…………ねぇ、美琴ちゃん」
美琴「ふny……な、なに?」トロン
美鈴「さっきの今で言うのもなんだけどさ、その……」
美琴「え? だから何よ?」キョトン
詩菜「あらあら」ニコニコ
美鈴「ダメだこりゃ……」ハァ
美琴「???」
麦野「……なあ、美琴さんよ。幸せそうな所なんだけど、公衆の面前で彼氏にぎゅっと抱き着くとか、ホント大胆だよね」
美琴「え? な、なにが……て、アレ?」ワタシガ ダキツイテルノハ ダレ?
上条「よ、よう……///」オッス
美琴「」
美鈴「ほっほーう、最早本能で抱き着いちゃうレベルなのねぇ……」ニヤニヤ
麦野「美琴、今度からお前の二つ名、『超骨抜砲(デレデレールガン)』にした方がいいんじゃねぇの?」ニヤニヤ
詩菜「当麻さんったら、あの凛々しい美琴さんをどうやってここまでタラし込んだのかしらねぇ」ニコニコ
上条「え? あれ? なんかひょっとして非常にマズいタイミングで登場しちゃいましたかワタクシ?」ダラダラ
美琴「ふ、ふ、ふ……」
美琴「ふにゃあああああああああああああああああっ!!!」ダダダダダダ
上条「ちょ、腕痛っ! 人の腕ホールドしたまま全力疾走すんないてててててててて!!!」ズザザザザザザ
美鈴麦野詩菜「「「…………」」」
美鈴麦野詩菜「「「ご馳走様でした」」」ハァ…
~おわれ~
分かったからこそ
通行止めメインでかこう
打ち止め連れさらわれるメインでかこう
打ち止めお姉ちゃん大好き番外個体でかこう
待ってるよ