1 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 12:57:48 mKIhMkFw 1/13


「あー寒っ。なんでこんな日に入試があるんだよ。もっと暖かい時期にやってくれ」

「手がかじかんでマークしにくいったらありゃしない」

「しかし今日は全くと言っていいほどできなかったな。明日に切り替えよう」

「...おっ、あそこに雪だるまが作られてる。中々クオリティ高いな」

雪だるま「...」

「懐かしいなあ。俺も昔はよく作ったもんだ」

「寒い中元気にはしゃいでたあの頃に戻りてぇ...」

「ん?こいつ目にまつげらしきものが生えてる。ってことは女の子なのかな」

雪だるま「...」

「まあどっちでもいいんだけどさ。女の子だとしたら頭むき出しってのは可哀想だろ。バケツぐらい被せとけよな」

「んー、しゃあねえ。俺のニット帽でも被せとくか。明日取りに来れば大丈夫だろ」

雪だるま「...!」

「これで良しっと。それじゃ、またな」

雪だるま「...」

元スレ
雪だるま女
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1384747068/

2 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 12:59:46 mKIhMkFw 2/13


翌日

「あー、今日も出来た気がしねぇ...私立すら受からなかったらマジで浪人じゃん...洒落にならん」

「心も身体も寒い。さっさと家に帰って寝よう」

「あれ?なんか忘れてるような」

「あ、そうだニット帽取りに行かんと。すっかり忘れてた」

「確かこの先右に曲がったところだったよな。雪だるまの場所」

「取られてないといいんだけど。あれ結構高かったし」

「...あれ...ない...?というか雪だるまもないじゃん...」

「もしかして帽子盗って証拠隠滅のために消された...?」

「うわ...最悪じゃん...」

「はぁ、帰ろ...」トボトボ

少女「...」テクテク

(あれ...?今すれ違った子の帽子って...)

3 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:02:26 mKIhMkFw 3/13


「ねぇ」

少女「なに?」

「その帽子と同じような帽子見なかったかな?」

(というかあれ俺のだよな。明らかサイズでかいし)

少女「...貰った」

「貰った?」

少女「この帽子」

「誰から?」

少女「...」ジー

「?」

少女「貰った」

4 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:03:14 mKIhMkFw 4/13


「そ、そうか。まあいいや。僕これと同じような帽子なくしちゃってね。見つけたら教えてくれないかな?」

少女「分かった」

「それじゃ」

少女「また明日」

「おう」

(明日...?)

5 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:04:35 mKIhMkFw 5/13


翌日

「今日でこの大学の入試は終わり。後は国公立一本勝負だ」

「正直私立の勝ち目は五分もないだろうな。国公立にかけるしかないか...」

「あー浪人したくないなー。この際何処でもいいから大学生になりてー」

少女「ねえ」ツンツン

「うわっ!びっくりした!」

「あぁ、昨日の君か。そういや昨日もこの辺で会ったね。どうかしたの?」

少女「遊ぼ」

「遊ぶ...?...俺と...?」

少女「...」コクリ

「うーん...確かに後は帰るだけだけど...何かしたいの?」

少女「雪だるま」

「雪だるま作りたいの?まあそれぐらいなら...」

少女「...!」

6 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:05:53 mKIhMkFw 6/13


「じゃあ僕は下半身を作るから君は上半身を作ってくれないかな」

少女「分かった」

「よし、胴体はこれで完成。後は木の枝で手を作ってっと」

「完成!中々上手く作れたね」

少女「...弟」

「弟?この雪だるまが」

少女「...」コクリ

(姉弟が欲しいのかな...?)

少女「ありがとう」

「いやいや、どうい致しまして。それじゃ僕はこれで帰るね」

少女「また明日」

「明日はここに来れないかなー。また暫く家にこもって勉強漬けさ」

7 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:06:37 mKIhMkFw 7/13


少女「勉強?」

「そう、僕は受験生だからね。君もいずれ経験するだろうけど辛いぞー」

少女「そう...」

「だからね、すまないがここには当分来れないんだ」

少女「待ってる」

「...え?」

少女「弟と、ここで」

「...そうか。分かった。また必ずここに戻って来るよ」

少女「ありがとう」

「それじゃまた今度」

少女「ばいばい」

8 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:07:41 mKIhMkFw 8/13


数週間後

「終わった...いろんな意味で...」

「センターコケてるのにこれじゃ厳しい...気がする...」

「私立は全落ち...詰んだな...」

「あぁー、浪人か。まあ仕方ないか。やれることはやったさ」

「宅浪にしよう...予備校に行く金もないし」

「あー、悔しい!やりきれない...」

「...」グスッ

「そうだ...あの子に会わないと...」

「多分いないだろうけど...」

「行こう!」

9 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:08:35 mKIhMkFw 9/13


(確かこの辺りだったはず...)

「いた!」

少女「待ってた」

「久しぶりだね。待っててくれてありがとう」

少女「弟が」

「もう二月も終わりだからね。仕方ないさ」

少女「そう」

「君大丈夫?明らかに体調悪そうだけど」

少女「平気、問題ない」

「そう、それならいいんだけど」

10 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:09:26 mKIhMkFw 10/13


少女「ねえ」

「なんだい?」

少女「手、握って」

「手を?べつにいいけど...って冷たっ!本当に大丈夫?」

少女「平気、これでもう大丈夫」

「そうか、でも今日は早く帰って寝た方がいいよ。無理はしちゃいけない」

少女「分かった。ありがとう」

少女「それじゃ、またいつか」

「うん、またね」

11 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:10:54 mKIhMkFw 11/13


数週間後

(合格通知来てるかな、ポスト見に行こう...)

「あれ、ポストにニット帽がかかってる」

「これ俺のだ。でもなんでこんなところに?」

「ってそんなことより合格通知だ」

「うわっ!なんだこれ!ポストの中が雪まみれだ!」

「あった。合格通知だ」

「...」ペリッ

「!!!」

「受かってる...だと...?」

「やったーー!!!第一志望通った!!!」

12 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:12:00 mKIhMkFw 12/13


「信じられない...けど信じていいんだよな...」

「あれ?もう一枚紙がある。なんだこれびしょびしょだ」

(女の子の字かな?ありがとうって...)

(もしかして...)

(これで大丈夫ってそういうことだったのか...)

「....」

「ありがとう」

13 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2013/11/18 13:13:07 mKIhMkFw 13/13

以上です。まだ時期的に少し早いですが受験生の方々は頑張ってください
ありがとうございました

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