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同日 16:50
-第七学区・とあるファミレス-
フレンダ「――つまり、結局そういう展開になってしまうって訳よ!」
絹旗「そうなんでしょうか? 私は別にそうなるとは超思いませんけど」
滝壺「まあ可能性で考えるとそうなるよね」
麦野「どうでもいいっつーの……あっ、飲み物なくなった。浜面ー持ってきてー」すっ
絹旗「私のも超お願いします!」
フレンダ「私のもおねがーい!」
浜面「ってお前らいつまでここに居座るつもりなんだよ!!」
滝壺「?」キョトン
麦野「あん? 何いきなりキレだしてんだお前?」
絹旗「あれじゃないですか? 最近の超キレやすい若者ですよ。時代の流れに超流されてますねー」
浜面「そういうのじゃねえよ! 大体ここに来て何時間経ってるってんだ! 他にすることねーのかよ!」
フレンダ「別にいいじゃん。誰にも迷惑かけてないわけだし」
浜面「どう見ても店側に迷惑だろうが! 今のところ売上ドリンクバーのみだぞ!?」
麦野「つーかお前いつの間にそんな優等生ちゃんになったんだ? 元スキルアウト現アイテムの下っ端のヤツとは思えねえ良い子ぶりよ?」
浜面「周りからの視線が何か痛いんだよ! ほらっ、またあそこにいる女子高生たちに変な目で見られた!」
滝壺「……別に気にならないけど?」
絹旗「そうですよ。超気にし過ぎなんですよ浜面は」
フレンダ「ていうか、浜面がそんな目で見られてるのはいつものことじゃん」
浜面「どういう意味だそれ! てか俺はお前らみたいにメンタル強くないの! ノミの心臓なの! ガラスのハートなの!」
麦野「似合わねえこと言ってんじゃねえよ。ったく、だったらそんなに言うならここ出るか? ドリンクバーの飲み物にも飽きてきた頃だし」
滝壺「そうだね。もう何回飲み物を汲みに行ったのかわからないくらい飲んだね」
浜面「それ汲みに行ったのは全部俺だけどな」
フレンダ「次からはクーラーボックスにいろいろ飲み物入れてからくればいいんじゃないかな? そうすれば飽きたりしないでしょ?」
浜面「お前はファミレスを何だと思ってやがんだコラ」
絹旗「ではこれから超どうします? 私的にはこれからみんなで映画の方にでも――」
麦野「却下」
浜面「別にこれで解散とかでもいいんじゃねえか? 無理に一緒いることもないだろうし」
麦野「あん? 何お前平然と逃げようとしてんだ? 今日一日奴隷なんだから帰らせるわけねーだろ」
浜面「べ、別に逃げようとか思ってねえよ!」
フレンダ「じゃあじゃあ、カラオケとか行かない? すぐ近くにあるしさ!」
麦野「カラオケェ? あー、そういやしばらく行ってねかったなーそういうとこ」
浜面「前行ったのはアイテムで忘年会したときの二次会だっけか?」
フレンダ「それに適当に食べ物頼めば今日の晩ご飯代わりにもなるし! まさしく一石二鳥な訳よ!」
麦野「ふーん、アンタにしては考えてるじゃない」
フレンダ「でしょでしょー」
滝壺「うん、私はいいと思うよ」
絹旗「個人的には映画館のほうがいいですが……まあこちらも異論はないですよ」
麦野「……それじゃあこれからの行き先はカラオケに決定っつーことで、おい運転手。さっさと準備してこい」
浜面「お、おう……ってここの支払いは?」
麦野「たかがドリンクバー五人分の支払いぐらい私が出してあげるわよ。いちいち割り勘とかすんの面倒だし」
フレンダ「さっすが麦野ー! ゴチになりまーす!」
滝壺「ありがとうむぎの」
絹旗「では私たちは先に車のほうへ超行っておきましょう! さあ、早く行って車の鍵を開けてください浜面!」
浜面「わ、わかったよ。じゃ、サンキューな麦野」タッタッタ
ワイワイガヤガヤ
麦野「……さーてどうやって遊んであげようかなー? ふふっ」
―――
――
―
同日 17:00
-黄泉川家・リビング-
ガララッ
一方通行「帰ったぞ」ガチャリガチャリ
結標(……け、結局渡せなかった。チャンスは結構あったのに……どうしてこうなった)
結標(なぜだかこっちが行こうとしたら向こうが話しかけてくるんだもん。間が悪いにもほどがあるわよ!)
一方通行「あァ? シケたツラしてどォした?」
結標「…………何でもない」ムスッ
一方通行「何勝手にムカついてンだか……」
打ち止め「あっ、もう帰ってたんだおかえりなさい! ってミサカはミサカは満面の笑みで二人を迎えてみたり」トテチテ
結標「打ち止めちゃん。帰ってたのね、ただいま」
一方通行「オマエまだ芳川が帰ってきてねェだろォが。木原ンとこいろよ」
打ち止め「ええっー大丈夫だよー! だって今はあなたがいるでしょ? ってミサカはミサカは至極当然のことを言ってみる」
一方通行「チッ、俺らが帰ってくる前にカスどもに襲われたらどォする気だよクソガキが」
円周「だいじょーぶだよー、打ち止めちゃんにはこの私が付いてるから」
一方通行「……木原円周か」
円周「お邪魔しちゃってるよーアクセラお兄ちゃんに淡希お姉ちゃん!」
結標「ああうんいらっしゃい円周ちゃん。珍しいわね貴女がこっちに来るなんて」
円周「うん。今日は二人に用が会って来たからね」
一方通行「あァン? 俺らに用だと?」
円周「そうそう。今日はバレンタインデーだからね。いつもお世話になってるって言うほどお世話になってないけどプレゼントを贈ろうと思ってねー」
一方通行「どォしてそォいう発想になってンのかまったくわかンねェンだが」
円周「細かいことは気にしないほうがいいよー。じゃあハイ二人とも」スッ
結標「あ、ありがとね円周ちゃ――」スッ
一方通行「待て」
結標「? どうしたの?」
一方通行「オイ、このチョコレートに何を入れやがった?」
円周「えっ? 別にーおかしなものは入れてないよー」
一方通行「嘘ついてンじゃねェぞクソガキ。俺の目にはハッキリ映ってンだよそのチョコレートから出てくる悪意を」
円周「…………」
結標「悪意? 何言ってんのよ、円周ちゃんがそんなことするはずないでしょ?」
打ち止め「そうだよ。さすがにそんな何度も同じネタをするほどエンシュウも馬鹿じゃないよ、ってミサカはミサカは呆れながら養護してみたり」
結標「前科があるの!?」
一方通行「いーや、そりゃ残念ながら間違いだ。コイツは一応は『木原』だ。逆に仕掛けてねェなンてことはありえねェンだよ」
結標「……ま、まさか本当なの円周ちゃん?」
円周「……ふふふ」
円周「あはははははははっ!! さすがアクセラお兄ちゃん! よく見抜いたねー! 実はこのチョコレートには『TUR4R3-T4K4R4』という化学物質が入ってるのだ!」
一方通行「何だそりゃ?」
結標「さあ? 聞いたこともないわね」
打ち止め「ってエンシュウ!? それってさっきランスウって人が使ってたアレだよね! ってミサカはミサカは唇の痛みを思い出しながら指摘してみる」ジワジワ
結標「何なの『TUR4R3-T4K4R4』って?」
打ち止め「そのときミサカは意識がなかったから詳しく知らないけど、『甘い』という味覚を『辛い』に換える薬らしいよ、ってミサカはミサカは簡単に説明してみたり」
一方通行「クソくだらねェ。しかもクソガキの言葉から察するに二番煎じかよ」
円周「『木原』は使えるものは何でも使うのだ、って感じでお願いしまーす」
一方通行(やっぱりそォいういところは『木原』の成り損ない、か……)
結標「……つまりそれ食べたら甘いチョコレートじゃなくてものすごく辛いチョコレートを味わうってことよね?」
円周「そだねー。さぁグイッとどうぞー」
結標「普通に嫌よ!?」
一方通行「つゥわけで帰れクソガキ。愛しの数多おじちゃンが部屋で待ってるだろォぜ」
円周「うーん、そんなことはないと思うけど、ここは潔く負けを認めて帰るとするよ。じゃねー!」テクテク
打ち止め「う、うんじゃあまたねーエンシュウ! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ
一方通行「何しに来たンだあのガキは?」
結標「さ、さあ?」
打ち止め「……まあというわけで、次はミサカのターンだぜ! ってミサカはミサカは意気込んでみる」フンッ
一方通行「今度はオマエか……」ギロッ
打ち止め「そ、そんな怖い目で睨んでこなくてもいいのに、ってミサカはミサカは怖気づきながらも懐から例のブツを取り出してみたり!」スッ
結標「あら? 随分と可愛い包装ね」
打ち止め「うんゲコ太だよゲコ太! 可愛いでしょ! ってミサカはミサカは見せびらかしてみる」
一方通行「そォだな。超電磁砲にあげりゃあハシャギ回りながら喜ぶだろォよ」
結標(あれ? 超電磁砲ってミサカさんのお姉さんのことよね? ってことは中学生なのよね? でも喜ぶって……あれ?)
打ち止め「さぁさぁどうぞ受け取ってみてよ二人とも! そしてできればここで食べてもらって感想とか聞きたいな、ってミサカはミサカはチョコを差し出しつつお願いしてみる」
結標「あ、うんありがとね、打ち止めちゃん」ニコ
一方通行「チッ、しょうがねェからもらっといてやるよ」
結標「相変わらず素直じゃないわね」
一方通行「あァ? 残念ながらこればかりは真面目にいらねェよ。地雷だってわかってっからな」
結標「本人がいる前でよくもそう平然とそんなこと言えるわね……」
一方通行「どォでもイイ」
打ち止め「うんうん、まああなたのツンデレはもうわかってることだからね。それより早く食べてほしいなー、ってミサカはミサカはにこやかスマイルでお願いしてみたり」ニコリ
一方通行「イイ加減人のことを勝手にツンデレ判定すンのやめろクソガキが!」
結標「もはや形式美ね」
一方通行「形式美言うな!」
結標「……じゃあ、とりあえずいただくわね打ち止めちゃん」スッ
打ち止め「どーぞどーぞー」
一方通行「無視してンじゃねェよコラ」
結標「…………!」モグモグ
結標「お、美味しいわ! ちょっと甘すぎるところがあるかもだけど十分食べれるわよ!」
打ち止め「おおっ! アワキお姉ちゃんならそう言ってくれると思ってたよ、ってミサカはミサカはやっぱり嬉しいので素直に喜んでみたり!」
結標「……しかし、打ち止めちゃんでもこんなものを作れるなんて……いよいよ私って一体何なのかわからなくなってくるわね……」ボソッ
打ち止め「うん? 何か言ったアワキお姉ちゃん?」
結標「あ、あはは、何でもないわよ何でも……」アセッ
打ち止め「?」
一方通行「…………」
結標「……じゃ、そろそろ貴方も食べてみたら? 結構美味しいわよ?」
一方通行「断る。さっき言っただろォが、地雷だってわかってるってな。見えてる地雷を踏む馬鹿はいねェだろ?」
結標「何言ってるのよ? 食べてみたらもしかしたら美味しいかもしれないじゃない」
一方通行「そンなわずかな可能性にかけるほど俺は博打打ちじゃねェよ。諦めろ」
打ち止め「…………ぐすん」
一方通行「あ?」
打ち止め「ごめんね、やっぱりあなたの好みのものを作れなかったミサカが悪いよね? ってミサカはミサカは自己嫌悪に陥ってみる」
一方通行「や、別にそォいうわけじゃ……」
打ち止め「別に無理しなくてもいいよ。そんな大甘チョコレートやだよね? それそこら辺に置いといて、ミサカが処分しとくから」
一方通行「だからそォじゃ……」
結標「わー一方通行が打ち止めちゃん泣かせたー」
一方通行「うるせェぞ外野ァ! 俺ァそォいうつもりで言ったわけじゃなくてなァ……」
打ち止め「ごめんなさい。全部ミサカが、全部ミサカが悪いんだよ、ってミサカはミサカは反覆法を使って強調してみる」グスン
一方通行「こンのクソガキが……」ギリリ
打ち止め「…………」
一方通行「…………わかった」
打ち止め「えっ?」
一方通行「わかった食ってやるよクソったれが!! ガキの下手くそ創作料理ビビる第一位じゃねェンだよ俺ァ!!」ガサガサ
打ち止め「ほ、ほんとに……?」
一方通行(ぐっ、何だァこのチョコレートはァ? 俺を不愉快にさせる臭いが何種類も混ざり合ってやがる……!)
一方通行「……クソが」ゴクリ
結標「おっ、何か第一位様が怖気付いてるー」
一方通行「ふ、ふざけンな! 怖気付いてなンかねェよ!」
結標「だったら早く食べなさいよ。というか汗がすごいわよ?」
一方通行「ぐっ、ぐぐぐっ、ぐぐぐぐぐっ」
打ち止め「…………」ゴクリ
一方通行「す、スクラップの時間だッ!! クッソ野郎がァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
ガブリ
一方通行「…………」モグモグ
打ち止め「ど、どうかな? ってミサカはミサカは恐る恐る尋ねてみたり」
一方通行「……打ち止め」
打ち止め「な、何?」
一方通行「学園都市最強の座はオマエに譲って俺はもォ引退したほうがイイかもなァ」
打ち止め「……つまりどういうことなの? ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
一方通行「つまり……オマエは最高だ、っつゥことだ。ラストオ――」ガクリ
結標「あ、一方通行!? ちょっとしっかりしなさいよ!」
打ち止め「ぎゃあああああっ! やっぱりあなたには甘すぎたんだね! キハラの予想を遥かに超えるリアクションだよ、ってミサカはミサカは目薬を隠しつつ人命救助にあたってみたり!」
結標「やっぱり嘘泣きだったのね、わかってたけど。というかコイツ部屋に運んどいたほうがいいかもね。打ち止めちゃんちょっと手伝って?」
打ち止め「ガッテン承知だぜ!」
結標「よっと、あっ軽い……ごめん打ち止めちゃんやっぱいいわ。代わりに鞄持ってきて」
打ち止め「おうふっ、女の子一人に軽く運ばれるなんて……、ってミサカはミサカはこの人の体重に絶句してみたり」
結標「絶句した、って言ったらそれは絶句してないんじゃないかしら? 別にどうでもいいけど」
打ち止め「わっ、何か鞄の中可愛い箱がいっぱい入ってる! なんじゃこりゃー!」
結標「ああ、コイツが学校でもらったバレンタインのチョコレートよ」
打ち止め「え、ええっ!? まさかこの人そんなに人気があったの知らなかった、ってミサカはミサカは衝撃の事実に驚愕してみたり!」
結標「大丈夫よ。私も今日知ったから」
打ち止め「そういえばアワキお姉ちゃんのチョコレートはどれかな? もうあげたんでしょ? ってミサカはミサカは鞄の中を漁りながら尋ねてみたり」
結標「うっ、そ、その……」
打ち止め「?」
結標(ら、打ち止めちゃんですらちゃんとチョコレートを渡せてるっていうのに私ときたら……一体何をやってるんだろほんと……)
打ち止め「ど、どうしたのアワキお姉ちゃん!? そんな絶望の淵に立たされたような顔して、ってミサカはミサカは心配になってみる」
結標「な、何でもないわよ……あははは」
―――
――
―
同日 17:10
-第七学区・街頭-
タッタッタッタッタ
上条「よっ、ほっ、このペースなら余裕だな。さすがにこの状況で遅刻なんて不幸はいくら上条さんでもないだろ」
上条「…………」
上条(しかし、今日は何というか変な日だよなー。バレンタインっつーイベントがあるせいかもしんねーけど)
上条(でもやっぱり変っちゃ変だな。いろんな人にチョコもらったり、あの吹寄がクッキーくれたし、姫神がサプライズにチョコくれたし)
上条(で、一番気になるのはやっぱ雲川先輩、だよな。何だったんだあの最後の意味深な言葉は……)
上条(……もしかして、もしかすると、もしかしちゃったりなんですか!? 上条さん期待しちゃってもよかですか!?)
上条(いや待て落ち着け上条当麻。そうやってホイホイ誘われて実は勘違いでした、とかいうオチだったらどうするつもりだ……!)
上条(『ちょ、上条クンまさか勘違いしちゃった? ゴメンねー私はキミのこといい人だと思ってるけど、別にそんな目で見たことないけど。てゆーかキモッ』みたいなことになる可能
性もあるわけだ、つーか上条さんならほぼ間違いないそうに決まってる)
上条(もしそんなことになったらしばらく部屋に引き籠もれる自信があるね。人間不信がマックスになって廃人になれる可能性だって秘めてるよ)
上条(……まあでも、向こうもバレンタインだからって厚意で渡してくれたかもしれねーから一応ホワイトデーは普通に返しとこ)
上条(つーかホワイトデーとかそーいやあったなチクショウが!! 俺どんだけお返ししなきゃいけないんだよ上条家の家計が大ピンチの予感……! というより確定!!)
上条(……はぁ、今のうちからその軍資金を積み立てといたほうがいいか? それなら削るべきはやはりインデックスの食費なわけだが……)
上条(だが削ったら削ったでアイツ機嫌悪くなるだろうし、でもかと言ってしょうもないお返しして白い目で見られるだろうしなーホワイトデーだけに)
上条(どの選択肢を選ぼうが不幸のヤツは襲い掛かってくる……ふっ、実に上条さんらしいじゃありませんか)
上条「…………不幸だ」
??「……はぁ、出会って早々不幸発言とは相変わらずのようですね、上条当麻」
上条「ん? その声は……神裂か?」クルッ
神裂「どうもお久しぶりです。と言っても一月前に会ったばかりですけど」
上条「今日はどうしたんだ? また何か魔術的な問題でも起きたのか? 例えばバレンタインにちなんだ大型術式とか……」
神裂「い、いえそういうわけではありません。別にあなたの出張るほどの問題など起きてはいませんよ」
上条「そっか、そりゃよかった」
神裂「……というか私が会いに来るたびに魔術師絡みの事件を危惧するのをやめていただけませんか?」
上条「いや、だってお前ら魔術サイドがこんなところに来るのって大抵何かあるじゃねえか。まあ最近は魔術師のまの字も見ないけど」
神裂「たしかにそうですが……何だか疫病神扱いされてるみたいで嫌なんですよ」
上条「悪りぃ悪りぃ、これからは気をつけるよ」
神裂「まったく」
上条「……ところでそういう関係じゃなかったら今日は何の用で来たんだ?」
神裂「はい。じ、実は今日、あ、あなたに会いにきたんですよ」
上条「? 俺にか?」
神裂「ま、間違えました、正確には『あなたたち』、にです!」
上条「……ああ、俺とインデックスか」
神裂「今日はバレンタインデー、ということなので親友であるインデックス、そしていろいろと多大な『借り』があるあなたへの少しでも恩返しができればと思いまして」
上条「何か俺だけものすごく重く聞こえんだけど。別にいいよ借りなんて踏み倒せば」
神裂「いえ、そう言われましても私の気が済みません! そもそも踏み倒すことが許されるようなことではないほどの『借り』があなたに……!」
上条「お前が何でそんなに俺に恩みたいなのを感じてんのか知らねーけど、俺はそんなもんにお前を縛り付けるために助けたんじゃねーと思うぞ」
神裂「えっ、思う……?」
上条「!? や、な、何でもねえよ! つまり何が言いたいかというと別に気にすんなっつーことだよ!」
神裂「……ふふっ、やはりあなたはそう言ってくれるのですね。ありがとうございます。しかし、そうは言われてもあなたに『借り』があることは事実です」
上条「まだそんなこと言ってんのかよ。気にすんなっつってんのに」
神裂「ですから、気にするなと言われてもそう簡単に割り切れないものなんです! 余計に気になってしまうものなんですよ!」
上条「はぁ、……だったらこうしようぜ? いつか俺が本当に困ってどうしようもない状況に陥ったとき、そのときはお前が俺を助けてくれ。それでチャラでいいだろ」
神裂「そんな適当な……」
上条「適当なんかじゃねえよ。これから先、何が起こるかなんて誰にもわかんねえんだ。もしかしたら俺の心とかがズッタズタのボッコボコに折れてしまうみたいなことが起こるかもしれない」
上条「もしそんなことが起こったりなんかしたらさ、そんときは俺をそれから助けてよ。どうだ? 結構重要な役割だと思うけど」
神裂「…………」
上条「ありゃ? 神裂さんなぜにそんな険しい表情をされているのですか?」
神裂「…………、わかりました。あなたがどんな絶望的な状況に立たされても、わたしが真っ先にあなたを救うことを約束しましょう!! 我が魔法名にかけて!!」
上条(何か根本的な問題は解決してねーような気がしないでもないけど……ま、いいか)
上条「つーか神裂、俺のことばっか気にかけてるみてーだけど、自分の周りのこともちゃんと見てんのか?」
神裂「はい。それについては問題ないと思いますが……」
上条「じゃあお前いい加減天草式の連中とは和解したんだろうな?」
神裂「……そ、そういえば私と一緒にいたときのあの子は」
上条「はい唐突に話を逸らさない」
神裂「い、いえその、実は……まだ……その」
上条「ったく、いい加減観念しろよ。アイツらがどんな思いで頑張ってるか知ってんだろ?」
神裂「そ、それはわかっています! ……しかし、私は皆を捨てて今を生きています。そんな私に再び一緒になる『資格』などありません!」
上条「……まあ、踏ん切りが付かないのは何となくわかる。だからこれ以上は何も言わねえよ。だけど最後にこれだけは言わせてもらうぞ」
上条「仲間が『一緒にいたい』って言ってくれてるのを受け入れるのに『資格』なんてもん必要ないんじゃねえのか?」
神裂「……そう、ですか」
上条「…………」
神裂「…………」
上条「……って何だこの空気!? 悪りぃまた俺変なこと言っちまったか?」
神裂「いえ、そんなことはありません。あなたは正しいことを言っていますよ」
上条「そうか……そ、そういや神裂、お前インデックスにも会いにきたって言ってたけどもう会ってきたのか?」
神裂「あっ、いえ会えていませんよ。先ほど学生寮の方へ寄らせていただいたのですがどうやら留守のようで……」
上条「あー、そういやアイツ今どっか出かけてるんだったっけな。ったく、勝手にどこほっつき歩いてるのやら……」
神裂「ああそうだ、これをどうぞ」ドサッ
上条「うおっ!? 何だこの紙袋は……!?」
神裂「イギリスにあるお菓子をいろいろと集めたものです。あの子と一緒にどうぞ食べてください」
上条「お、おう、ありがとう……つーか多すぎだろ!!」
神裂「えっ? そうでしょうか?」
上条「この野郎、さすがにインデックス慣れしてやがる……!」
神裂「あとこれはオルソラの分、そしてこれはアニェーゼの分」ヒョイヒョイ
上条「わっと、まだあんのかよ」
神裂「オルソラから『いつか暇な時にでもこちらへ遊びに来てくださいね。精一杯のおもてなしをさせていただきますよ』という伝言を受け取っています」
神裂「アニェーゼからは『ここは日本流に合わせて、渡した分の三倍返しは期待しちまってもいいですよね?』とのことです」
上条「ははっ、アイツらも元気にやってるようだな……って三倍返しってふざけんなコラ!」
神裂「それは私に言わずシスター・アニェーゼに直接言ってください。……では私はこれくらいで失礼します」
上条「もう帰んのか? どうせならインデックスに会ってけよ? 俺の部屋にでもいりゃたぶんすぐ帰ってくると思うし」
神裂「いえ、私にはそんなに時間を与えられてはいない。すぐにでもここと出ていかなければなりませんので」
上条「そっか」
神裂「それに……『七閃』ッ!!」
ズバババババババッ!!
上条「ッ!? 何だぁ!?」
神裂「そこにいるのはわかっています。出てきなさい土御門!」
土御門「にゃー、バレちったらしょうがない。つか、いきなり七閃飛ばしてくるとか危なすぎでしょねーちん」
上条「つ、土御門!? こんなとこで何やってんだよ?」
土御門「いやーねーちんの平謝りショーから堕天使メイドが見れると聞い――」
神裂「……少し話をしましょうか土御門。あと私はそんな破廉恥なものは決して着ることはありません、決してッ!!」
土御門「ちょ、気付いてないと思うけどねーちん、そーいうのはフラグって言うんぜい」
上条「……何だったんだ?」
上条「というかやべえもうこんな時間じゃねえか! バイト遅刻しちまう急がねえと……って神裂からもらったお菓子重っ!?」ヨタヨタ
―――
――
―
同日 17:20
-黄泉川家・一方通行の部屋-
一方通行「…………あァ? ここは……?」ムクリ
一方通行「俺の部屋、か……つゥか何で俺はこンな場所で寝てたんンだ?」
一方通行「……口の中に感じるかすかな甘み、この感じチョコレートか?」
一方通行「そォいや何かさっき食ったよォな気がすンな。……あっ、たしかクソガキの激甘チョコレート食ったンだっけか」
一方通行「あの野郎何つゥモン作ってくれやがってンだ、俺の意識を飛ばすほどの甘さなンて真っ当なモンじゃねェだろ」
一方通行「……まァイイ、真の恐怖っつゥモンが後に控えてンだ。今さらクソガキをどォこォ言ったところで何も変わンねェよ」
一方通行「…………それより」
一方通行の鞄『も、もう食べられないっスはマジで……』
一方通行「この俺の鞄の中に無理やり詰められたチョコレートどもをどォすっかが問題だな」
一方通行「つゥか何で俺ァこンなモン大量にもらってンだ? 理解がまったく追い付いてねェぞ」
一方通行「……しかもこれ、おそらく全部クソガキのヤツのほどじゃないにしろ砂糖ガンガン混ぜ込ンでるアレだろ?」
一方通行「こンなモン全部胃の中にぶち込むなンざ絶対ェ無理だろ。普通に考えてしばらくの間廃人コースが確定すンぞ?」
一方通行「……いや待て。何で俺はいちいち律儀に全部食い切るなンて馬鹿みてェなこと考えてンだ?」
一方通行「俺はそンな善人じゃねェだろォが。コイツら全て踏みにじって処分することなンざ平気でできるゴミクズのはずだろォが」
一方通行「そォだ、そォだろ、そォじゃねェか。こンなモン、こンなモン全部俺が廃棄してやりゃイイ話じゃねェか」
一方通行「さて、と。俺が本気を出せばなァ、チョコレートごときで思考することなンてねェンだよ」ガサッ
一方通行「燃えるゴミ行き確定だ、じゃあな……」
一方通行「…………」
ビリビリビリ
一方通行「…………」パクリ
一方通行「……やっぱり甘ェ」
一方通行「……ハァ、どォすっかなァこれ……」
―――
――
―
同日 17:30
-第七学区・ファミリーサイド付近のコンビニ-
芳川「……ふぅ、早く帰りたいわ」
御坂妹「唐突に何を言い出すのですか? とミサカは勤労意欲を削がれたことへの弁明を求めます」
芳川「いえね、今日はとある動画サイトで最近流行ってるドラマの最終回直前の振り替え一挙放送をしてるのよ。早くそれに参加したいわ」
御坂妹「参加? ドラマなのだから視聴するの間違いでは? とミサカは首を傾げつつ何言ってんだこいつ的な視線を送ります」
芳川「その動画サイトはコメントっていうチャットみたいなものを介してリアルにみんなの感想とかがわかるのよ。だから私も早くそれに参加して一体感みたいなものを味わいたいの」
御坂妹「……よくわかりませんがミサカネットワークと何だか似ている気がします。この前テレビを見ている時に同じ番組を見ている個体が何人かいたのですが、それについて実況し合
いました」
芳川「ネットワークっていうくらいだからそういう部分はあまり変わらないんじゃないかしら? インターネットってやつと」
御坂妹「まあ、そういうどうでもいい話は置いといて、そろそろ彼が来る時間ですね、とミサカは華麗に流れを変えてみせます」
芳川「どうでもいい話、って言われた瞬間私に遺恨が残ったんだけど。華麗でも何でもないわよ」
御坂妹「そうですか。それはすみませんでした、とミサカはもうすでにあの人のことで心ここにあらずな状態で謝罪をしてみせます」
芳川「……はぁ、おでんの具の補充でもしとこっと」ガサガサ
ウイーン
上条「だぁっ!! ギリギリ間に合ったか!?」ダッ
芳川「いらっしゃいま……うん? あら、随分とギリギリの到着ね」
上条「ぜぇ、ぜぇ、ちょ、ちょっといろいろありまして……」
御坂妹「というか何ですかその大荷物は? とミサカは大きな紙袋を指さしながら問い詰めます」
上条「ああこれか? 知り合いにもらったバレンタインのプレゼントだよ」
御坂妹「バレンタインの……プレゼント、ですと……!?」
芳川「あらあら、モテモテじゃない上条君」
御坂妹「どれだけの女を引っ掛ければそれだけのものを得られるのか非常に興味があります、とミサカは軽蔑の眼差しをあなたに向けてみます」ジトー
上条「か、勘違いすんじゃねえぞ御坂妹! これは一人からもらったもんだ! しかもこれ俺とインデックス二人分! こんなにもらってねーよ!」
御坂妹「あのシスターの分も含まれているのですかそれなら納得です、とミサカは日頃の彼女の食欲を思い浮かべます」
芳川(勝手に納得してるようだけど、それでも彼の分も含まれてるってことに気付いてないのかしらこの子? ……ん?)
芳川「上条君。その大量のお菓子の中に一際目立ってるものが二つほどあるんだけど?」
上条「…………」
御坂妹「……もしかして、とミサカは――」
上条「――こんなところでいつまでも話してる場合じゃねえ! さっさと着替えてきます!」ダッ
御坂妹「いってらっしゃいませ、とミサカは不信感を抱きながら見送ります」
芳川「……あら、いいのかしら?」
御坂妹「何がです? とミサカは聞き返します」
芳川「彼にバレンタインチョコレートをあげないのかしら? もちろん用意してきているのでしょう?」
御坂妹「はいそれはもちろんです。何ならミサカはミサカネットワーク内で開かれた『第一回上条当麻へチョコレートを渡すミサカ選抜ジャンケン大会』で勝ち上がりここへ立っていますから、とミサカは誇らしげに胸を張ります」エッヘン
芳川「よくそんな大勢の中から勝ち上がることができたわね。ざっと数えて十三、四回勝ったってことよね?」
御坂妹「何かずっとパー出してたら勝てました、とミサカは勝利のパーを見せびらかします」
芳川「だったら早く渡さなくてもいいの? チョコレート」
御坂妹「今は仕事中ですよ。真面目にやってください、とミサカは優等生アピールをしながら注意をします」
芳川「アピールするべき人がいないアピールに何か意味があるのかしら?」
上条「お待たせしましたー、上条入りまーす」ドタドタ
御坂妹「おかえりなさいませご主人様、とミサカはメイドのようなにこやかスマイルでお出迎えします」ニヤリ
上条「全然にこやかじゃねえ! あ、あとそういうのあまり公共の場で言うな、お客様が変な視線を送ってくるからさー」
<……ざわ……ざわ…… <あの二人はすでにそういうプレイをしているということかうらやまけしからん
上条「ほらっ、すげえ誤解が生まれてるっ! このままじゃ俺女子中学生をたぶらかす犯罪者扱いされちまう!」
芳川「うわー上条君そういう趣味があったんだー」
上条「そういうこと口走るのやめてもらいませんか芳川さん! つーか、棒読みすぎんだろ演技すんならもっと真面目にしろ!」
芳川「真面目にしたら本気で捕まってもおかしくなくなるわよ?」
上条「それは勘弁して欲しいっす」
芳川(うふふっ、やっぱり彼をからかうのは楽しいわね……)ニヤニヤ
御坂妹「悪い顔をしてますね、とミサカは呆れながら率直な感想を述べます」
芳川「ところで上条君? ちょっといいかしら? この子がキミに渡したいものがあるらしいのだけど」
御坂妹「ッ!?」
上条「御坂妹が? 何だよ」
御坂妹「(ちょ、ちょっといきなり何を言い出すのですか! とミサカは突然の不可解な行動に戸惑いつつも小声で問いかけます)」
芳川「(いえね、何となく優等生が壊れていって不良になっていく様って私好きなのよね)」
御坂妹「(とても教職を目指している人の言葉とは思えませんね。で、それが今の奇行と何か関係が?)」
芳川「(仕事中だから渡せない、とか言ってる間には他の娘たちに先越されちゃうわよ? 彼の口ぶりからして結構もらってそうよバレンタイチョコレート)」
御坂妹「(むむっ、それは由々しき事態ですね、とミサカは歯噛みします。と言っても普通に予想はしていましたけど)」
芳川「(だからそんな消極的な真面目君のままだったら大人しく初戦敗退を迎えることになるかもよ?)」
御坂妹「(……というか一つ言わせてもらいますが)」
芳川「(何かしら?)」
御坂妹「いずれ絶対渡すんだからそういう話は関係ねーだろ。しかもこんな場所で渡したほうが確実に初戦敗退すんだろ、とミサカは真面目にレスポンスしてあげます」
芳川「あらバレた?」
御坂妹「当たり前です、とミサカは吐き捨てます」
上条「……何だかよくわかんねえけど話は終わったのか? で、何くれんだよ御坂妹」
御坂妹「たしかにミサカにはあなたに渡すものがあります。しかし今はそのときではありません。ということでもう少し待っていただけないでしょうか? とミサカは提案します」
上条「今仕事中だしそうだよな。じゃあ楽しみにしとくよ」ニコッ
御坂妹「は、はい、とミサカは少し戸惑いながらも業務に戻ります」アセッ
芳川「あっ、そろそろ二話が終わる頃かしら? あー、早く帰りたいわ」
御坂妹「まだそんなこと言っているのですか、というかもう帰れよ、とミサカは辛辣な言葉を叩きつけます」
―――
――
―
同日 17:50
-第七学区・とあるカラオケボックス-
ピンポーン
店員「いらっしゃいませー」
黒夜「……ったく、六時ぐらいにここ集合だ? 面倒臭くて敵わねーな」
店員「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」
黒夜「今日は七回歌うよ」
店員「……マイクを二本お付けしましょうか?」
黒夜「G35HD304E07」
店員「……こちらへどうぞ」
黒夜(はぁ、……ここはいちいち合言葉なんてガキの秘密基地染みたモン言わなきゃいけないから嫌なんだよな)
黒夜(ホテルとかだったらカードキー通すだけで何の苦もなく中には入れるわけだからな)
黒夜(しかし、それより面倒だったのはこれだな……その、バレンタインのチョコレート)スッ
黒夜(何でこんなもんをあのクソ海原のためなんかに私が作らなきゃいけないんだ? 何考えてやがんだ番外個体の野郎は……?)
黒夜(アイツが言うにはこれはイタズラらしいけど、私が見た限りそうは見えないね。どっちかと言ったらそのまんま素直にバレンタインってヤツを楽しんでるように見える)
黒夜(客観的に見れば、これを作ってるときの私は『好きな男のためにせこせことチョコを手作りする健気なアホ女』って感じに見えるな。お、思い出すだけで枕に顔埋めて足バタバタしたい)
黒夜(だけど個人的にはコイツは初めて作ったかがよく出来たほうだと思うね。ましてやこの短時間でだ)
黒夜(基本的な知識はだいたいこの頭の中にインプットされてっからな。まぁ、料理なんて慣れねえことはするモンじゃねえっつーのはよくわかったよ)
黒夜(……はぁ、しかし面倒臭せェ)
店員「……こちらです」
黒夜「ああ、もう着いたか」
店員「何かお飲み物をお持ちいたしましょうか?」
黒夜「何でもいいよ。別にカラオケボックスごときに質なんて誰も求めてないし」
店員「わかりました。他に何かありますでしょうか?」
黒夜「別にない。下がっていいぞ」
店員「ではごゆっくり」ペコッ
黒夜「……さて、行くか」スッ
―――
――
―
-第七学区・とあるカラオケボックスの一室(グループの隠れ家)-
ガチャ
黒夜「おいーす」テクテク
番外個体「おっ、クロにゃんいらっしゃい!」
黒夜「……随分といろいろ料理を頼んでんじゃねえか。これからパーティーでもすんのか?」
番外個体「んーん、何か暇だったからメニューのここからここまでを頼む! ってヤツをリアルでやってみたわけよ」
黒夜「アホか。グループの予算の無駄遣いしてんじゃねーよ」
番外個体「別にいいじゃん。必要経費だよ必要経費」
黒夜「明らかに必要ないだろこれ。知ってる? 生活費で真っ先に削減されんのは大体が食費なんだとさ」
番外個体「何だミサカには関係のない話か」
黒夜「カンケーあるだろ絶対ッ!!」
番外個体「もううるさいなー、ところでクロにゃんはちゃんとポッキー持ってきたのかなー?」
黒夜「は? ポッキー? 何だそりゃ? アンタたしかメールで手作り限定とか言ってなかった?」
番外個体「うん、そうだよ」
黒夜「それで何でアンタはポッキーのほうを期待してんだよ?」
番外個体「そりゃアレだよクロにゃん。『私ぃ料理とか出来ないからチョコレート作れないのぉ! だぁかぁらぁ、ポッキーでゆ・る・し・て♪』とか媚びてくるクロにゃんに二穴責めをしてあげようかなと思って」
黒夜「何がどうなっても私は絶対そんなこと言わねえよ! そして残念だったなッ! そんなクソみたいな展開にならなくてなァ!!」
番外個体「まぁいいよ別に。ミサカが本気を出せば二穴でも三穴でも何でも余裕でできるからね」
黒夜「チッ、アンタさえいなけりゃ私が天下を取れるような気がするんだけどよぉ」
番外個体「うーん、じゃあポッキーじゃないってことは素直に手作りで持ってきたってことかな? そのイタズラグッズは」
黒夜「まーな。で、これどういう風にイタズラに使う気なんだ?」
番外個体「どういうって……別に普通に使うに決まってるじゃん。何言ってんのクロにゃん?」
黒夜「えっ? あ、ああ、そうだよな悪りぃ変なこと聞いた」
番外個体「?」
黒夜(オイオイオイ、コイツはどォいうことだ? まさか本気で海原にチョコレート渡す気なのかよ!? しかも普通に!?)
黒夜(冗談じゃねェぞ!! ってことは私も必然的にあの野郎にチョコレート渡すってことになるじゃねェか!!)
番外個体「ポテトうまー」モグモグ
黒夜(見たところ何一つ取り乱さず食いモン食ってる普通の番外個体。つまりいつもどおりってことだ)
黒夜(一体何がなンだか私にはわからねェよ番外個体ォォおおおおおおおおおおおおおおッ!!)
番外個体「……んー、そろそろかな?」
黒夜「あァ? 何がだよ?」
番外個体「何って海原が来る時間。ミサカたちの集合時間より少し遅めにして呼んどいたんだ」
黒夜「そ、そっか。だからアイツここにいなかったンだな」
番外個体「それよりどうかしたクロにゃん? 何だか顔色悪そうだよ? 何か口調もおかしいままだし」
黒夜「何でもねェよ!」
トントン
黒夜「ッ!?」ビクゥ
番外個体「どーぞー」
ガチャ
海原「どうもこんにちは番外個体さん……って何ですかこの大量の料理は? 今日はパーティーか何かでしたっけ?」
番外個体「暇だから頼んでみた」
海原「まったく、またですか番外個体さん? 前も言いましたけどグループの予算だって無限じゃないんですよ。あまりこう無駄遣いしてもらっては困ります」
番外個体「はーい」
黒夜「オイコラ番外個体ォ! 私のリアクションとはえらい違いじゃないかオイ! つ、つゥか私のこと華麗にスルーしてンじゃねェ海原がァ!」」
海原「ああ、黒夜いたのですか。すみませんまったく気が付きませんでした」
黒夜「わ、私は最初からここいたぞ! 何ならオマエの視界に真っ先に入る場所にな!」
海原「ところで今日自分はなぜ呼び出されたのでしょうか?」
黒夜「む、無視してンじゃねェ!!」
番外個体「今日は海原にミサカたちからプレゼントを渡したいと思って呼び出しましたー!」
海原「本当ですか? それは楽しみですね、一体何なんでしょうか?」
番外個体「そだねー、じゃああんまもったいぶってもあれだし……クロにゃん?」
黒夜「な、何だよ?」
番外個体「例のもの、渡しちゃいなさい」ニヤリ
黒夜(あ、アレはあの野郎がうっとおしいことをするときの顔……? ま、まさかこれって海原へのイタズラじゃなくて私への……?)
番外個体「……? どうしたのクロにゃん? 早く早くー」ニヤニヤ
黒夜「えっ、ああ、そ、そうだな」
海原「……どうしたんですか黒夜。いつもより何というか、言葉に張りがありませんよ」
黒夜「なっ、何でもねェよアホ原ァ!!」
海原「いつもに増して言葉が幼稚ですね。まぁ、歳相応ということでしょうか」
黒夜「ぐっ、うるせェ!」
番外個体「にやにや」ニヤニヤ
黒夜(クソッ、マジで殺してェ……あの後ろでほくそ笑んでるゴミクズ野郎をマジで左右真っ二つにぶった斬りてェ……!)
海原「で、黒夜。自分にプレゼントとは何でしょうか? もしオマエの頭に窒素爆槍(ボンバーランス)とかふざけたこと言いましたら、貴女の身体をズタボロにしてさしあげますよ」
黒夜「ぐっ、そ、そんなんじゃねェよ。私もそんなんのほうがよっぽどよかったよ」
番外個体「クーローにゃーん、時間が押してるよー早く早くー」
黒夜「……覚えてろよ番外個体ォ。お、オイ、海原ァ!!」
海原「何でしょうか?」
黒夜「こ、ここ、これ、コイツをくれてやるよアホっ!!」スッ
海原「……? 何ですかこれは?」
黒夜「な、何って……わたっ、私の口から言わせる気かよオマエ!!」
海原「やはり歯切れが悪いというか……いつもの黒夜とは何かが違いますね」
黒夜「うるさい!! ばーか!! ばーか!!」
海原「よくわかりませんが、とりあえずこれ開けさせていただきますよ?」
黒夜「えっ、開けんのそれ?」
海原「駄目でしょうか?」
黒夜「い、いや何つーかその……」
番外個体「いいよいいよ海原ー。どうぞ開けちゃってー」
黒夜「番外個体ォ!!」
海原「では……」ガサゴソ
黒夜「ううっ……」
海原「……これは? もしかしてバレンタインのチョコレートでしょうか?」
黒夜「……そ、そうだよクズ!! 死ね!!」
海原「? なぜ黒夜がこんなものを……? ますます変ですねー今日の貴女は」
番外個体「まあまあ、そんなことより食べちゃったら海原? クロにゃんも食べて欲しーって顔してるし」
黒夜「してねェよ!! つーか食べンなよ海原ァ!!」
海原「じゃあ、遠慮なくいただくとしましょう」パクリ
黒夜「オイ、何で食べちゃうンだよ!!」
海原「…………ふむ」モグモグ
黒夜「うう……」
海原「……うん。美味しいですよ」
黒夜「えっ、そ、そうか……」
番外個体「うん?」
海原「形は歪ですが味は悪くはないですよ。ありがとうございます黒夜」ニコッ
黒夜「よ、余計な言葉付け加えてんじゃねーよ、普通にお礼しろっつーの……ったく、相変わらずムカつく笑顔なんだよクソが」ボソッ
番外個体「…………あれ? 何かおかしくないクロにゃん?」
黒夜「は? 何がだよ」
番外個体「ちょっと耳貸して」
黒夜「お、おう」
海原「?」
番外個体「(ねえねえ、アレってクロにゃんが作ったイタズラアイテムだよね?)」
黒夜「(あ、ああ、そうだけど)」
番外個体「(じゃあじゃあ、どこがイタズラアイテムなのさ?)」
黒夜「(…………は? ちょっとアンタの質問が理解できねェ)」
番外個体「(だってさ、イタズラなのに海原困ってないじゃん戸惑ってないじゃん。イタズラじゃないじゃん)」
黒夜「(えっ、これって渡すことがイタズラとかそんなんじゃなかったのか?)」
番外個体「(……はぁ、ヌルい、生ヌルいよクロにゃん。その程度でサプライズになるのはアホなガキだけだよ)」
黒夜「(は? ちょっと何言ってるかわからない)」
番外個体「しょうがないなー、ミサカがお手本を見せてあげるよ。海原ー!」
海原「はい、何でしょうか番外個体さん」
番外個体「今度はミサカの番だね。はい、バレンタインプレゼーント」スッ
海原「ありがとうございます番外個体さん! 早速ですが食べてみても……?」
番外個体「いいよーガッツリいっちゃってー」
海原「ではいただきます――ッ!?」パクリ
海原「ごっ、がっ、ぐはっ、ごほっごほっ!! な、何ですかこれは!?」
番外個体「ミサカ特製カレールーチョコレート。カレールーをビターチョコレートでコーティングした最強のイタズラだぜ!」
海原「げほっ、げほっ、な、何てものを食べせ……うえっ」
黒夜「な、何だこりゃ……?」
番外個体「これがバレンタインのイタズラってヤツだよークロにゃん♪」
黒夜「…………こ、こォいうことだったのかクソったれェええええええええええええええええええええええッ!!」
番外個体「あっれークロにゃん。もしかして勘違いしちゃってたー? というかミサカがバレンタインデーにただチョコレートを渡して終わるなんて面白くないことするわけ無いじゃん」
黒夜「クソッ、クソッ、そォいうことかよ! こっちはどンな思いでこれを……!」
番外個体「……あれ? その左手の人差し指に巻いてある絆創膏は何かな?」
黒夜「えっ、えーとその、これを作ってるときに誤って切っちまって、中から人口血液が流れ出てうっとうしくて……」
番外個体「へー、そんな痛い思いをしながらも海原のためにチョコレートを作ってたと、へー」ニヤニヤ
黒夜「…………」
パァン!! ガシャンガシャンガシャーン!!
黒夜「ミーサーカワァァストォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」←義手フル装備
番外個体「わおっ☆ クロにゃんの下克上だー。かっわいいー♪」ビリビリ
ズガガガガガガガガガッ!! バチバチバチン!! ゴパァァァン!!
海原「…………うがっ、ちょ、ちょっとトイレに……」ユラー
―――
――
―
同日 18:00
-第七学区・ファミリーサイド付近のコンビニ-
上条「以上で一五八〇円になります。一六〇〇円をお預かりいたします。二〇円のお返しになります。ありがとうございました!」ペコッ
御坂妹「カナミン肉まんでしょうか? 申し訳ありません、それは別のコンビニにあるのではないでしょうか? とミサカはため息混じりに答えます」
芳川「えっと、駅はここを右に曲がって、郵便局を過ぎたところに駅がありますよおばあちゃん」
上条「……ふぅ、とりあえず一旦落ち着いたか」
御坂妹「しかし今は客数が多い時間帯です。またすぐにたくさんお客様が来られますよ、とミサカは注意を促します」
芳川「あっ、もう私時間だから上がるわね」
上条「お疲れ様でーす!」
御坂妹「ドラマの一挙放送、どうぞごゆっくりお楽しみください、とミサカは真顔で皮肉を述べます」
芳川「やめて素直に楽しめなくなっちゃうから。というか普通に決められた時間まで働いたのにこの言われようないんじゃないかしら?」
上条「…………」
御坂妹「…………」
上条「……そういや、これからの時間は誰が来るっけ?」
御坂妹「たしか原谷さんですよ、とミサカは瞬時に答えて記憶力あるアピールをしてみます」
上条「そうか。お客さんがたくさん来る前に早く来て欲しいぜ」
御坂妹「……そうですね、とミサカは視線を逸らしながら同意します」
上条「?」
芳川「ちょっといいかしら?」
上条「ん? 何ですか芳川さん?」
芳川「これ買いたいからレジお願いできるかしら?」
上条「これってバレンタインのチョコですね。一方通行にでもあげるんですか?」
芳川「まあね。こういうところで少しでも恩を売っておけば何か良いことあるかもしれないし」
御坂妹「まぁ、そのチョコレートじゃ逆に恩なんて売れないと思いますけどね、とミサカは撃沈した上位個体のことを思い出しながら答えます」
芳川「あら、あの子駄目だったの?」
御坂妹「チョコレートを食べてもらうまではよかったのですが、あまりに甘すぎたのでどうやら気絶してしまったようです、とミサカは簡潔に答えました」
上条(何の会話してんだ?)
芳川「それより早く会計してもらえると助かるのだけど」
上条「あっ、すみません。えっとバレンタイン用のチョコレートを二つ……ん? 二つ?」
芳川「何か?」
上条「一つは一方通行のだとしてもう一つは誰のですか? 他の同居人の人に渡すって言っても数足りてないし」
御坂妹「あの、いちいちお客様の買い物に口出しするのはコンビニ店員としてどうかと思いますよ、とミサカはデリカシーの無さに呆れながら注意します」
上条「そ、そっかごめんなさい芳川さん」
芳川「別にいいのよ。お代はたしか一五九六円よね? はい二千円」スッ
上条「えっと二千円お預かりします。四〇四円のお返しになります。ありがとうございました!」
芳川「ありがとう。じゃあこれのうち一個をそのままはい」スッ
御坂妹「ッ!?」
上条「えっ? お、俺にですか?」
芳川「そう。ハッピーバレンタイン、と言っても残念ながらただの義理だけどね。だから安心してちょうだい、ね?」チラッ
御坂妹「……こっちを見て言わないでください、とミサカは変な目を向けてくるあなたに睨みつけます」
上条「? じゃ、じゃあありがたくいただきます」
芳川「それじゃあ私は帰るわ。お疲れ様ー」
上条「お疲れ様でーす!」
御坂妹「お疲れ様です、とミサカは労いの言葉で別れの挨拶をします」
ウイーン
上条「……さて、これここにあっても邪魔だろうし、ちょっとしまってくるよ」
御坂妹「了解です」
ブーブー、ブーブー。
上条「うん? 電話か?」スッ
御坂妹「どうかなさいましたか? とミサカは問いかけます」
上条「いや、ちょっと誰からか電話が来たみてーだ。えっと……あん? ビリビリ?」
御坂妹「ビ・リ・ビ・リ……? もしかしてお姉様ですか、とミサカは恐る恐る尋ねてみます」
上条「おう、お前らのお姉様だよ。悪りぃけどしばらく頼むぞ?」ピッ
御坂妹(くっ、おのれオリジナルめ……! やはりミサカの目の前に立ちはだかりますか……! とミサカは闘争心を燃やします)ゴゴゴゴゴ
ウイーン
原谷「お疲れ様でーす……ってミサカさん!? 何か顔が怖い無表情なのに!?」
ブーブー、ブーブー
上条「ここでいいか。……もしもし」ピッ
美琴『あっ、えっ、えっと、も、もしもし!?』
上条「……もしもし? どうかしたか御坂?」
美琴『あっと、あの、い、今大丈夫かしら?』
上条「かしら……? ああ、別に大丈夫だけど」
美琴『あ、ああそう、えっとじゃあ……その……今大丈夫?』
上条「いい、つってんだろーが! ちょっと落ち着け御坂。で、何の用なんだ?」
美琴『う、うん、い、今から会えない? いつもの自販機がある公園とかで』
上条「……悪い、無理。今ちょっとバイト中だからさ」
美琴『そ、そう……それって何時くらいで終わるわけ?』
上条「えーと、今日は八時半くらいに終わる予定だけど……悪いけどその用事明日とかにできねーか? 明日ならバイトないし」
美琴『ふ、ふざけんじゃないわよ!! そ、そんなの駄目に決まってるじゃない!!』
上条「えー、だってバイト終わってそんなとこまで言ったらたぶん九時回りますよ? 完全下校時刻なんてとっくに過ぎてるし、中学生が一人で夜遊びはさすがに駄目だと思うぞ」
美琴『うっさい!! 中学生だからって子供扱いすんな!! よ、余裕よ余裕、何時まででも待ってやろうじゃない!』
上条「はぁ、本当に今日じゃないといけないのかよ?」
美琴『あ、当たり前じゃない!! 今日じゃないと駄目なことくらいさすがのアンタでもわかんでしょ!?』
上条「ん? 何が?」
美琴『……とにかく九時!! 九時にさっき言った場所に集合!! 絶対ぜぇぇったい来なさいよね!! じゃあね』
上条「あっ、おい御坂!! もしもし!? もしもーし……勝手に決めて勝手に切りやがったあの野郎……」
上条「ったく、一体何の用だってんだ? はぁ……不幸だ」
御坂妹「電話は終わりましたか、とミサカは電話から耳を離しているあなたへ確認を取ります」
上条「おう、どうかしたか?」
御坂妹「急に客足が増えてレジがパニック状態です。ミサカと原谷さんでは捌き切れないので急いで戻ってきてください、とミサカは催促します」
上条「ま、マジでか!? わかった行くぞ御坂妹!!」ダッ
御坂妹「はい、了解です。……そういえば電話の内容を聞くの忘れてました、とミサカはうっかりミスに気付きました」
―――
――
―
同日 18:10
-第七学区・とあるカラオケボックスの一室(グループの隠れ家)-
黒夜「」プスプス
海原「……では、自分はそれそろ失礼したいと思います」
番外個体「ええっー? もう帰っちゃうのーつまんないのー」
海原「グループ自体は休みでも自分にはいろいろすることがあって忙しいんですよ。ここにもわざわざ時間を作って来たわけなんですから」
番外個体「そんなつまんないもんサボってこれ食べて遊ぼうよー、ミサカのホ・ン・メ・イ・チョコレート♪」
海原「ッ……いえ、いくら貴女の頼みでもサボタージュするわけにはいきません。というかその本命中身香辛料の塊じゃないですか」
番外個体「ちぇー、じゃあもう帰りゃーいいじゃん! 海原なんて知らない!」
海原「ぐっ……し、失礼いたします」ペコリ
ガチャ
番外個体「……あーあもう帰っちゃうなんて何て薄情なおもちゃだ。こうなったら……」
黒夜「」ピクピク
番外個体「もう一つのおもちゃで遊んじゃうしかないよねー」ワキワキ
黒夜「――ハッ、殺気ッ!?」バッ
番外個体「チッ、もう起きちゃったか」
黒夜「私は一体何を……って思い出した! よくも私に恥をかかせてくれやがったな番外個体ォ!!」ゴウッ
番外個体「ハイハイごめんねークロにゃんちゃーん」ビリビリ
黒夜「ぐわっ、て、テメェまた私の上半身の支配を……!?」
番外個体「海原が帰っちゃったからすっごく暇なんだよねー。それと同時に勝手なおもちゃにイライラしてんだよねー」ビリビリ
黒夜「げっ、スゲェ嫌な予感がすンだけど……」
番外個体「よーし! 今日はオールで遊ぼうぜクロにゃーん? もちろん、アナタに決定権はあ・り・ま・せーん♪」
黒夜「い、嫌だ! 何が楽しくてアンタと夜を一緒に過ごさなきゃいけねェンだ!?」
番外個体「ほいじゃーホテル行こうぜホテルー。あそこにはクロにゃんのカスタムパーツとかいろいろあるから、それで着せ替えクロにゃんしようよ」
黒夜「勘弁してく、ぎゃあああああああああああああああああッ!! 動けねえええええええええええええええええええええッ!!」
-第七学区・とあるカラオケボックス-
店員「ではこちらの用紙にご記入ください」
浜面「えっ、ええっとー」
麦野「さっさとしろ浜面。ただでさえ移動で時間かかってたんだ、これくらいすぐに終わらせろ」
浜面「急かすんじゃねえ! たしかに道間違えたのは俺が悪いけど、これ記入するときくらいゆっくりやら――ぎゃー間違えたー!」
麦野「何やってんだテメェ!! 余計なタイムロスしてんじゃねえ!!」
浜面「す、スミマセン!! だからそんな怒らないでー!」
フレンダ「……はぁ、何やってんだか」
絹旗「おおっ! ここのカラオケにはあの映画の主題歌があるんですか! これは超歌いたいです!」
滝壺「見たことない映画だね」
絹旗「そりゃそうですよ! これはC級映画の中でも超C級、一般人でこれを知ってる人なんてまずいませんよ!」
フレンダ「それ、もはや映画にする意味ないよね。適当に広告貼り付けた動画サイトにでもアップしたほうがよっぽど儲かるって訳よ」
絹旗「わかってないですねー、こういうのは超スクリーンで見るのがいいんじゃないですか!」
フレンダ「はいはいそーですねー……ん?」
滝壺「どうかしたふれんだ?」
フレンダ「いや、何か叫び声が聞こえてきたような……」
絹旗「叫び声? もしかしてあれのことですか?」
浜面「ぎゃー!! ボールペンのインクが切れてるうううううううッ!!」
麦野「何やってんだはーまーづーらー!」
店員「も、申し訳ありませんお客様! すぐにお取替えを……!」
フレンダ「……んーん、あんなムサイ男の悲鳴じゃないよ。もっとガキ、っていうか……」
滝壺「カラオケのお客さんの歌声とか?」
フレンダ「いや、それとも違うっていうか……」
黒夜「いやぁあああああああだあああああああああああああああ!! やあああめええええてええええええええええええ!!」
フレンダ「そうそうこんな感じ……ん? 何だあれ猫耳? 変な格好って訳よ」
滝壺「普通に考えてお客さんじゃないかな? ちょっと過激な」
絹旗「……あれは」ピクッ
番外個体「ほらほらー! とりあーえずホテルまでは猫耳クロにゃんで行こうぜー。どうせなら犬耳プラス首輪でお散歩プレイとかしたかったけどさすがにここにはなかったかー」
黒夜「首輪ならとっくに付いてンだろォが!! オマエの電気っつゥクソみてェ首輪がァ!!」
番外個体「ほほう、つまりミサカのことをご主人様と認めてくれたってことだねー。クロにゃんだけど犬みたいに忠実になってくれて嬉しいよー」
黒夜「クソッ、絶対ェコロス!! オマエいつか絶対コロス!!」
番外個体「今殺せないんならクロにゃんはこれからもずーとミサカを殺すことは出来ないと思う……ん?」
フレンダ「…………あはは」アゼン
滝壺「南南西から信号が来た」ボー
絹旗「…………」
番外個体「……ありゃりゃ、こんなところに余計なギャラリーがいるなんて思わなかったよ。クロにゃんの痴態が公衆に晒されちゃったー」
黒夜「オマエがいなきゃこンなことは絶対なかった気がするけどな!」
番外個体「まいっか。ちょっとそこ通りますねー」テクテク
フレンダ「あ、はい……」サッ
絹旗「…………」
黒夜「…………」テクテク
絹旗「……相変わらず超無様ですね。劣等生の黒夜海鳥ちゃん?」ボソッ
黒夜「良い子ちゃんは黙ってろよ。いずれちゃんと私がアンタごと全部ぶっ潰してやるからよお」ボソッ
絹旗「やれるものなら超やってみろって話ですよ。着せ替え人形に成り下がってるクソ野郎に何ができンのか超見ものですね」ボソッ
黒夜「せいぜェ笑ってろ。C級映画マニアらしく血だらけでグチャグチャなスプラッターな死体にしてやるから楽しみにしてろォ」ボソッ
ピンポーン
店員「ありがとうございました! またのお越しを!」
絹旗「…………」
フレンダ「……んーと、知り合い?」
絹旗「……まあ」
滝壺「何話してたの? 随分と険しい表情してるけど」
絹旗「何でもないですよ。他愛もない世間話です」
滝壺「そう」
絹旗「…………」
フレンダ(…………見たことない二人だったけど、あの匂いはどう考えたって――)
麦野「はいはーい、面倒臭せー手続きがやっと終わったわ。さっさと中入るわよー」
フレンダ「……う、うん! 待ってました!」
絹旗「はい、今行きます」
滝壺「…………」
浜面「? どうかしたのか?」
滝壺「別に。気にすることはないよ」
浜面「そ、そうか」
―――
――
―
同日 18:30
-第七学区・スクール隠れ家-
ガチャリ
ゴーグル「ちぃーっス」
心理定規「あら、いらっしゃい。今日は早いのね」
ゴーグル「さすがに今日遅刻すんのはマズイっスからね。そりゃ早く来ますよ」
砂皿「…………」カチャカチャ
ゴーグル「……砂皿さんっていつここに来てんスか? 俺が来たときには絶対先にいますけど」
砂皿「作戦二時間前には待機し、道具の整備をしている」
ゴーグル「に、二時間? さすが殺しのプロっスね、俺には真似できねーや」
砂皿「ふん……」
ゴーグル「……相変わらず愛想が悪いっスよねー、正規の構成員じゃない雇われの身だからしょうがないとはいえ」
心理定規「別にいいじゃない。口だけは達者で何もできないやつよりは遥かにマシだよ」
ゴーグル「そうっスね。まあ、そんなやつ垣根さんがスクールに入れるわけがないっスよ」
心理定規「前例があるから垣根もそうとうムカついたみたいだしね」
ゴーグル「そういえば垣根さんはまだ来てないんスか? 見当たらないみたいですけど」
心理定規「さあ? またどこかでほっつき歩いているんじゃない?」
ゴーグル「えーそりゃないっスよー、大事な任務だって言って早く来い、って命令してきたの垣根さんじゃないですかやだー」
心理定規「まあいいじゃない。彼が遅刻してもしその大事な任務とやらに失敗したら、それは彼自身の責任。私たちには関係ないよ」
ゴーグル「そーいうもんスかねー? と言ってもまだ集合時間来てないから何の問題もないんスけどね」
心理定規「……そうだ。今のうちに渡すもの渡しとこうかしら?」
ゴーグル「渡すもの……もしかしてバレンタインのチョコレートだったりしちゃったりしちゃいますか!?」
心理定規「……す、すごいテンションの上がりようね。もしかして期待してたのかな?」
ゴーグル「いやー正直暗部にいたら出会いとか全然ないじゃないスか。だから真面目に無のバレンタインを覚悟してたんスよ」
心理定規「別に暗部にいても出会いは普通にあると思うけど。街歩いてたら馬鹿どもがよく財布になってくれるわよ?」
ゴーグル「そりゃ心理定規さんは元からスペック高いし……というかたぶんですけど能力使ってますよね財布のために」
心理定規「最近は能力なしでどこまで行けるかとか努力はしてるのよ。ま、最終的にはどの馬鹿もホテルに連れ込もうとするから結局能力便りになるわけだけど」
ゴーグル「何か俺なんかとは遥かに次元の違う話をしてるように感じるっス」
心理定規「そうかな?」
ゴーグル「そうっスよ」
心理定規「まぁ、とりあえずはい」スッ
ゴーグル「あ、ありがとうごさいます!! やった! 獲得数1!!」
心理定規「もちろん義理だから安心して食べてね」ニコッ
ゴーグル「ええっー? そこは本命でもいいのにー」
心理定規「悪いけど趣味じゃないの。ごめんね?」
ゴーグル「バッサリっスね。まあわかってましたよチクショー」
心理定規「そんなこと言ってる暇があったら外出て女の子にでも声かけてきたら? もしかしたらバレンタイン特有の雰囲気で一人くらい引っかかるかもよ?」
ゴーグル「いや、時間的に無理でしょ。これから仕事だって言うのに遊びになんて行けねースよ」
心理定規「諦めたらそこで試合終了だよ? わずかな可能性でも全てをかけなさい」
ゴーグル「名言織り交ぜて無茶言わないでくださいよ! それに完全下校時刻過ぎてるから外行ってもほとんど人いないし!」
心理定規「夜遊び男遊びが大好きな娘ぐらい結構いそうだけど」
ゴーグル「そんな人とは是非ともお近付きになりたくないっス」
砂皿「……ふん、くだらん。大事な仕事前だというのにそんな話かできんのか貴様らは」カチャカチャ
ゴーグル「そんなこと言ってるけどこっちの話はきちんと聞いてんスね」
砂皿「聞きたくて聞いているわけではない。貴様らの声が大きすぎるだけだ」
心理定規「こんなせまい部屋でそんなこと言われるなんて思わなかったわ。これからはそっちをチラチラ向きながらひそひそ声で会話して、疑心暗鬼に陥れてあげようか?」
ゴーグル「うわっ、エグっ」
砂皿「その程度で壊れるほど脆くはない」
心理定規「ふーん、それは興味深い話ね」
ゴーグル「……そ、そういえば砂皿さん! 砂皿さんはチョコ獲得数どれくらいっスか? 学園都市だったら大人の男って結構モテそうっスよね」
砂皿「興味ない」
ゴーグル「ひ、人が話を振ってあげたというのに何スかこの人……!?」
心理定規「今さら過ぎてもはやどうでもいいよ。まぁでも、一個以上は確実よね砂皿?」
ゴーグル「あっ、そっか。心理定規さんが渡してんのか」
砂皿「…………」
心理定規「で、私以外にももらってるようだけど一体誰からなのかしら?」
砂皿「……何のことだ?」
心理定規「隠しても無駄よ。今日は珍しく貴方宛の荷物が届いてたわ。武器、というにはあまりに軽くて小さい箱だったし」
ゴーグル「ええっーマジですか!? も、もしかして外に住んでる彼女さんとかそんな感じっスか!? この任務が終わったら結婚するんスか!?」
砂皿「アイツはそういうヤツではない」
心理定規「あら? そんなことを言うってことはチョコレートをもらったことは否定しないと?」
砂皿「…………」
ゴーグル「こういうときって無口キャラって便利っスよね。黙り方ってのをわかってますから」
心理定規「ほんとね。しかしステファニー・ゴージャスパレスとは一体何者なんだろうね?」
砂皿「ッ!? き、貴様なぜそれを……! 荷物は差出人不明となっていたはず……!」
ゴーグル「おおっ、無口キャラには珍しいリアクション」
心理定規「私の能力は知ってるでしょ? とりあえず貴方と一番親しい距離にある女性の名前を言ってみただけよ。あとはそっちの自爆」
砂皿「おのれ……能力者め」
ゴーグル「へー、あの無口でお堅そうな砂皿さんにもそーいう人がいるんスねー」ニヤニヤ
砂皿「アレとは貴様らが期待しているような関係ではない」
ゴーグル「どんな人なんスか!? 美人さんなんスか!?」
心理定規「ステファニー・ゴージャスパレス。砂皿と同業者で、以前は学園都市でアンチスキルをしていたようね。画像はこれよ」
ゴーグル「おっ、どれどれ……うわっ、金髪美人!! うらやましいっス!!」
砂皿「貴様ら……本気で死にたいようだな。今なら無料で頭部狙撃に加え心臓を撃ち抜くサービスをしてやろう」カチャ
ゴーグル「ちょ、そんな物騒なもんこっち向けないでくださいよ!」
心理定規「別に向けるのは構わないけど引き金を引いたりなんてしないでよね、砂皿さん?」キッ
砂皿「ッ!? き、貴様能力を……!」
ゴーグル「さすが心理定規さん! 相変わらず悪質な能力っス!」
ガチャリ
垣根「うーす、お前ら揃ってるかー?」
ゴーグル「あっ、垣根さんちぃース」
砂皿「…………」
心理定規「うふふ……」
垣根「あん? 何だこの状況?」
ゴーグル「砂皿さんの彼女の話をしてたらこうなったっス」
砂皿「だから違うと言っている……!」
垣根「ったく、何つー緊張感のねえヤツらだ。大事な大事な仕事前だってのによ」
心理定規「その大事な仕事っていうのは何なのかしら?」
垣根「ああ、別に言うほど大事でもねーけどな。ただの雑魚の殲滅だ」
ゴーグル「そ、そんないつもどおりのお仕事だというのに、俺らは早めの集合を命じられたってことっスか?」
垣根「遅刻する馬鹿が出てこねえようにする対策だよ、なあゴーグル君?」
ゴーグル「ち、遅刻じゃないっスよ、ちょっといつもギリギリくらいになるだけっスよ」
心理定規「まぁ、垣根が来たことだし早く行きましょ? あまりダラダラしててもしょうがないし」
垣根「そうだな。そんじゃー準備しろテメェら。今日の獲物は大量だ。殺した数の多い順にボーナス配当な」
ゴーグル「げっ、そんなの垣根さんトップに決まってんじゃないスかー! どうせ金持ってんだろうし、少しは手加減してくださいよ!」
垣根「あん? こちとら『未元物質(ダークマター)』の実験でそれどころじゃねえよ。誤って壊滅させちまっても謝んねーからな」
心理定規「今日は何を見せてくれるのかしら? この前はカブトムシ型の戦車みたいのを出してたみたいだけど」
垣根「んーそうだなー、今日はちょっと楽しめそうなモンができると思うぜ?」
心理定規「そう。それは楽しみね」
砂皿「…………」カチャカチャ
垣根「よーし、最近調子に乗ってる勘違いクズどもの皆殺しツアーへ出発だ」
―――
――
―
同日 19:00
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
黄泉川「ただいまー! ……あー、もう疲れたじゃん」ハァ
結標「あっ、おかえりなさい黄泉川さん」
打ち止め「どしたのー? いきなりそんな疲れた発言して、ってミサカはミサカは少し心配してみる」
黄泉川「あー、今は馬鹿がはしゃぐ時期だからな。つまりアンチスキルの私らがコキ使われる時期ってことじゃん」
結標「よくこの時間に帰ってこられましたね……」
黄泉川「お前らの晩ご飯作らないといけないから少し休憩もらってきたじゃん。またすぐ出て行かなきゃいけない」
打ち止め「大変そうだねアンチスキルはー。というかわざわざ帰ってご飯作らなくてもまた出前頼めば楽でいいんじゃないかな? ってミサカはミサカは提案してみる!」
黄泉川「そうはいかないじゃん。子どものうちから贅沢してたらろくな大人にならないからな」
打ち止め「そういう風に無理やり押さえつけたりするから反抗期で無茶苦茶する人たちが生まれると思うんだけどな、ってミサカはミサカはそろそろ時期かなと考えてみる」
結標「いや、まだ早すぎるでしょ……」
黄泉川「大丈夫大丈夫。むしろ歓迎するぞ打ち止め! そういう生意気なガキほど可愛がりたくなるものじゃん」
打ち止め「よし、これからも変わらずイイコでいよー、ってミサカはミサカは決心を固めてみたり」
結標「今までがイイコだったのか、っていう疑問はここで出すべきではないわよね」
黄泉川「そういや引きこもり二人組はどこじゃん? もう帰ってるんだろ?」
打ち止め「自分で引きこもりって言ったんだからわかってるでしょ、ってミサカはミサカは部屋のある方へ目を向けてみる」チラッ
結標「でも一方通行は部屋に引きこもるというよりはソファーに寝転んでるイメージのほうが大きいわね」
打ち止め「だねー」
黄泉川「だったら何で今日に限って部屋で引きこもってるじゃん? 別に深い理由とかないだろうけど」
結標「それは……まあ……」
打ち止め「うん、そうだよね……ってミサカはミサカは深く頷いてみたり」
黄泉川「? 何があったじゃん」
黄泉川「……ふむふむ、つまり打ち止めが作ったチョコレートがあまりに甘すぎて、それを食べた一方通行は気絶しまった、ってことか?」
打ち止め「そうそう、いやーまさかあんなことになるとは思わなかったなー、ってミサカはミサカは自作チョコを食べながら反省してみたり」モグモグ
結標「打ち止めちゃん。言っとくけど今晩ご飯前よ? というかどれだけ作ってるのよチョコレート」
黄泉川「ふーん、これが一方通行をねえ。どれどれ……んッ!? ごほっごほっ!! 甘ッ!?」
結標「えっ? そんなオーバーなリアクションするほどですか?」
黄泉川「い、いやあれだよあれ、普通のチョコレートとかの感じの味を予想してたから……ごほっ!」
打ち止め「で、ヨミカワ的にはおいしいのおいしくないの? ってミサカはミサカは率直に尋ねてみたり」
黄泉川「正直言わせてもらうと私の口には合わないじゃん。あんまり甘いもん食べないしなー」
結標「……つまり、普段の食生活によって変わるってことね。至極当たり前のことだけど」
黄泉川「たしかに普段から甘いもの食べない、ブラックコーヒーばっか飲んでるアイツからしたらこれは相当甘く感じたんだろうな」
打ち止め「ううっ、これは反省しないと駄目だね、ってミサカはミサカはしょんぼりしてみる」
結標「ま、まあ美味しいと思う人には美味しいと感じてもらえるのだからいいじゃない。それに食べてもらえるだけいいじゃない。私が作ったものなんて絶対食べてもらえないわよアイツには……」ズーン
黄泉川「そーいや淡希。お前が作ってのって一方通行に渡すやつだろ? 渡せたのか?」
結標「えっ、何でそれを!?」
黄泉川「んー何となく? というかさっきのセリフからだいたい予想できるじゃん」
打ち止め「というかアワキお姉ちゃんの交友関係からして、あの人以外考えらんないよね、ってミサカはミサカは断定してみる」
結標「ぐっ、私ってそんなにわかりやすいの……?」
打ち止め「でもあの人にチョコ渡すのは結構難関だよねー。アワキお姉ちゃんにはいろいろ前科あるし、ってミサカはミサカは数々の伝説を思い出してみたり」
黄泉川「淡希。渡すんだったら早めに渡しとけよ? 今日だから伝えられる想いってのがあるだろうし」
結標「えっ、あっ、その、は、はい……」
黄泉川「ま、でも感謝の気持ちってのは常日頃から伝えてくれると嬉しいけどなー手伝いとかで。なぁ打ち止め?」
打ち止め「えっ? なんだって? ってミサカはミサカは露骨に難聴アピールしてみる」
黄泉川「あはははっ、じゃあそろそろご飯作んないとな。時間までちょっと待ってるじゃんよ」
打ち止め「はーい!」
結標「……は、はい」
結標(……あれ? これって私がアイツが好きなのこの二人は知ってるの? 知らないのどっち? というか打ち止めちゃんって――)
打ち止め「アワキお姉ちゃん!」
結標「な、何かしら打ち止めちゃん?」
打ち止め「チョコレートおいしいって言ってもらえるといいね! ってミサカはミサカはにこやかスマイルで応援してみたり」ニコッ
結標「う、うん。ありがとね」
結標(ま、まあとにかくまずは渡さなきゃ話にもならないわね……はぁ……)
―――
――
―
同日 19:30
-常盤台中学学生寮・二〇八号室-
美琴「……よし、そろそろ行くとしますか」
黒子「もうお出かけになるのですかお姉様? たしか九時集合とか何とか言ってませんでしたか?」
美琴「早めに行って呼吸とか整えときたいのよ。いざとなってテンパッてたりしたらやだし」
黒子「にしたって早すぎませんの? 今から行っても確実に一時間以上は待たなきゃ駄目ですの」
美琴「いいのよ。それくらい時間があったほうが嬉しいわ」
黒子「……わかりました。寮監の方はわたくしがどうにかして誤魔化しますので安心してください」
美琴「頼んだわよ黒子」
黒子「ですができるだけ早く帰ってきてもらえると助かります……いろいろな意味で」
美琴「あはは、わかってるって。さすがに昔みたいに夜通し追いかけまわすなんてことはしないわよ、たぶん」
黒子「……というかお姉様? くれぐれも過ちを犯すなどということがないよう注意してくださいまし。もし朝帰りなどされたときには――」
美琴「す、するかそんなこと―ッ!! ちゃんと今日中には帰ってくるわよ!!」
黒子「本当ですか? 黒子は信じますわよその言葉」
美琴「ま、任せときなさいよ……!」スイー
黒子「なぜだかものすごく不安なのですが……?」
美琴「と、とにかく! 私はこのチョコをどかーん、と渡してずかーん、と言ってやるだけ!」
美琴「そんなやましいことをする気はさらさらないし、あっ、でもアイツがその気とかだったらその……///」カァ
黒子「……はぁ、じゃあ寮の外へ送りますわよ?」
美琴「あっ、うんお願い黒子」
黒子「ではお姉様、最後に黒子から一言。お姉様はお姉様らしくぶつかっていけばいいですの。変に取り繕う必要はまったくありません」
美琴「……うん!」
黒子「それではいってらっしゃいませ! お姉様!」
美琴「行ってくるわ!」
シュン!
黒子「…………ふぅ、今日のわたくしはどうかしてますわ、ほんと」
黒子「…………ふふっ」
黒子「頑張ってください……お姉様」
―――
――
―
同日 20:00
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「……よーし、じゃあ遠慮無く召し上がれ!」
打ち止め「いただきまーす! ってミサカはミサカは挨拶と同時にハンバーグを口に頬張ってみる」パクリ
結標「……いただきます」
一方通行「…………」ムスッ
芳川「……あら、随分と御機嫌斜めじゃない? どうかした?」
一方通行「……うるせェ。話かけンな」
結標「あはは、さっきまで部屋で寝てて、黄泉川さんに無理やり叩き起こされたから」
打ち止め「相変わらず変な時間に昼寝するよねーもしかして本眠だった? ってミサカはミサカは質問しながらも頭の中ではブロッコリーの攻略法を思案するのに夢中になってみたり」
一方通行「なら答える必要性がまったくねェな」
黄泉川「じゃ、私はこれからアンチスキルの仕事に戻るから、食べ終わった皿は水につけといてくれ。何なら洗っておいてくれると助かるじゃん?」
芳川「そうね。そのほうが愛穂も楽できるだろうし、ねえ?」
一方通行「……何だよ? やンねェぞもォ皿洗いなンざ面倒臭せェ」
結標「もう、って何よその皿洗いしたことありますよみたいな言い方。私見たことないのだけど貴方がそんなことしてるの」
一方通行「昨日やったばっかだ。まァ、あンなモン十秒で終わるけどな」
打ち止め「だったら今日はタイムアタックして十秒より早くできるようにすればいいよ、ってミサカはミサカは提案してみる」
一方通行「何秒で洗い切ろうが俺には何の特もねェよ。それに面倒臭せェ」
結標「いつもどおりの答えね」
黄泉川「あっ、そういやあれ渡すの忘れてた。はい」スッ
一方通行「あン? 何だ?」
黄泉川「バレンタインチョコレート」
一方通行「……はァ、またかよ」
黄泉川「何じゃんそのリアクション。こっちがデパート行ってわざわざ買ってきてやったってのに」
一方通行「余計なことしてンじゃねェ。俺の労力を増やすなよオイ」
芳川「あっ、私もわざわざコンビニに寄ってまで買ったバレンタインチョコレートあったの忘れてた。はい」スッ
一方通行「寄るも何もオマエそこ働いてンじゃねェか。いくら関係者だからって横領は駄目だぜ芳川クン?」
芳川「失礼な。きちんとお金出して買ったものよ」
黄泉川「というわけで一方通行。せいぜいお返しを楽しみにしてるじゃん?」
芳川「私あれがいいわ。学舎の園にあるあの店のチョコレートフルセット」
打ち止め「あっ、ミサカもそれがいい! ってミサカはミサカはセットという言葉に心惹かれてみたり!」
一方通行「うぜェよ、つゥか俺みてェな男が普通入ることができねェ学舎の園の中にあるモン要求してンじゃねェよ」
芳川「大丈夫よ。金さえアレば何でもできるわよ。そうでしょ?」
一方通行「うっとォしい野郎だなオマエ」
ワイワイガヤガヤ
結標(……やっぱり二人ともすごいな。あんなにあっさり渡せるなんて)
結標(私にもあんな思い切りがあればな……って、言ってる状況じゃなくなってきてる気がしてくる、というかなってるわ)
結標「…………はぁ」
打ち止め「どうかしたのアワキお姉ちゃん? 元気が無いね」
結標「あはは、何でもないわよ」
芳川「……ふーん、そっか」
結標「何ですかその意味深な頷きは?」
芳川「別に深い意味は無いわよ」
一方通行「…………」
黄泉川「じゃあ今度こそいってくるじゃん!」
打ち止め「いってらっしゃいヨミカワー!」
芳川「帰りがけに同僚連れて飲み屋とかに行くのはいいけど、あまり遅くならないようにね」
黄泉川「うっ、な、何のことじゃん?」
芳川「じゃあなぜ車のキーを持たずに平然と出かけようとしてるのかしらね?」
黄泉川「あはははー、いってきまーす!!」ダッ
打ち止め「あっ、逃げた」
一方通行「ったく、飲み屋行って飲み潰れンのは勝手だがそォいうのは週末だけにしとけっつゥの」
芳川「ところで一方通行。話に聞いたところたくさんプレゼントをもらったようね? どれくらいもらったのよ」
一方通行「プレゼントだァ? ただのテロの間違いだろ。大体そンなモンの数なンて数えねェよ」
芳川「じゃあそのもらったプレゼントと今キミのもってる箸が全然動いてないのとは何か関係ある?」
一方通行「……あるわけねェだろ」パクッ
打ち止め「ねえねえ、もしそのチョコレートたちが余ってたらミサカにもちょうだいな! ってミサカはミサカは乞食精神でおこぼれ頂戴を期待してみたり!」
一方通行「あンだけ甘ェモン食ってまだ食い足りねェのかよオマエは」
―――
――
―
同日 20:30
-第七学区・ファミリーサイド付近のコンビニ-
上条「こっちはオッケー、こっちも問題なし、と」カキカキ
御坂妹「…………」
上条「……よっと、検品はこんなとこかな」ドサッ
御坂妹「八時半が来ました、とミサカは本日の勤務時間終了のお知らせをします」
上条「もうそんな時間か。じゃあぼちぼち帰る準備でもすっか」
御坂妹「そうですね、とミサカは残りの仕事が無いことを確認しつつ颯爽と更衣室へ足を運びます」テクテク
原谷「あっ、二人とも帰り? お疲れー」
御坂妹「お疲れ様です、とミサカは返事をしながら会釈します」ペコリ
上条「お疲れー、夜勤頑張れよー」
原谷「って言っても深夜組が来るまでだけどな。早く帰ってゲームがしたい……」
上条「ははっ、あんま夜更かしし過ぎて学校遅刻とかすんじゃねえぞ」
原谷「それはお前が言うなって言えばいいところ?」
御坂妹「というかなぜこのコンビニにはこんなに早く帰りたい人たちが集まっているのでしょうか、とミサカはため息混じりにぼやきます」
-第七学区・街頭-
上条「あー疲れた。やっとバイトが終わったか」ハァ
御坂妹「随分とお疲れのようですね、とミサカは少し心配してみます」
上条「今日はいろんなことがあったからな。……そしてこれからもっと疲れることがあるだろうしな……」ゲンナリ
御坂妹「お姉様ですか。それはお気の毒に……とミサカはこちらにイニシアチブがあることを確信すると同時に哀れなお姉様を腹の中でこっそり笑ってみせます」ニヤ
上条「いにし……何だって?」
御坂妹「何でもありませんよ。気にしないでください」
上条「お、おう」
御坂妹「ところで疲れてるのだったら甘いモノとか食べてみたらどうですか? あいにくその手には大量の糖分が握られてることですし」
上条「肉体的な疲れにも効くのかよ糖分?」
御坂妹「さあ? とミサカは首を傾げます」
上条「適当だな……」
上条「さて、とっとと御坂の用事とやらを終わらせて家に帰るとすっかなー」
御坂妹「ちょっと待ってください、とミサカはあっさり帰ろうとするあなたを呼び止めます」
上条「何だよ?」
御坂妹「あなたに渡すものがあります、とミサカは手に汗握りながら用件を言います」
上条「ああ、そういやさっきそんなこと言ってたっけな。で、何だよ渡すもんって?」
御坂妹「今日一日でいろいろもらってるだろうに、それなのになぜあなたはそうやって首を傾げることが出来るのでしょうか? とミサカは半ば諦めながら問いかけます」
上条「えっと……何が?」
御坂妹「……はぁ、まあいいでしょう。今さらここであなたを責めたところでこれからすることに変わりはないのですから」
上条「何かひどく馬鹿にされてる気がする……あっ」チラッ
御坂妹「というわけで、ミサカのバレン――」
上条「わかった! 今日はバレンタインだから御坂妹もチョコレートをくれるつもりなんだな?」
御坂妹「――タイン……へっ?」
上条「どうだ御坂妹? さすがの上条さんでもこれくらいわかりますってんだ」
御坂妹「……はぁ、まあ、今さらわかられたところで『はい、そうですか』というリアクションしかできませんよ。というか遅すぎるでしょう、とミサカは出鼻をくじかれた腹いせに文句をたれます」
上条「あっ、何か悪りぃ」
御坂妹「それにさっきあなたは自分の手に持ってる大量のバレンタインのプレゼント見て思い出したでしょう、とミサカは鋭い観察眼を遺憾なく発揮してみせます」キッ
上条「いやー何のことやらー」スー
御坂妹「……しかし、こんなんじゃムードもへったくれもあったもんじゃないですね、とミサカはこっそりとぼやきます」
上条「何か言ったか?」
御坂妹「何でもありませんよ。ではお代官様、どうかこいつをお納めくだせえ、とミサカは最近テレビで見た時代劇の真似をしつつチョコレートを渡します」スッ
上条「さ、サンキュー。つーか何だよその渡し方、全然バレンタインって感じがしないんだけど」
御坂妹「やけくそってやつですよ。何というかこういう展開になるのは何となく目に見えていたような気がします……」
上条「……よ、よくわかんねえけど元気だせよ」
御坂妹「こんなことなら一万人弱のシスターズ全員で突撃したほうが話の展開的に面白かったのでは? とミサカはメタ的な発言をします」
上条「ふざけんな! そんなことになったら上条さん絶対死んじゃう!」
御坂妹「ふふっ、冗談ですよ冗談ですよあはは」
上条「目がマジに見えるのは俺の気のせいだよな?」
御坂妹「さあ? どうでしょうか、とミサカは不敵な笑みを浮かべます」フフッ
上条「だからやめてくれそういう意味深な仕草……」
御坂妹「ところで時間はいいのですか? お姉様とこれから会うのでは? とミサカはミサカネットワークから現在『20:50』をお知らせします」
上条「げっ、もうそんな時間!? やっべっ、急がねえと……!」
御坂妹「ここからなら走って早くて十分。運が良ければギリギリ間に合いますね、とミサカは無理難題を言ってみます」ニヤリ
上条「たしかに運が良かったらとか上条さんにとっては無理難題だな……」
御坂妹「そんなこと言っている暇があったら走ったらどうですか? とミサカはミサカネットワークから現在『20:51』をお知らせします」
上条「なっ!? よし! 今すぐ行く!! ……つか神裂の分相変わらず重っ!?」
御坂妹「その状態で走るのは相当疲れそうですね、とミサカは率直な感想を述べます」
上条「くそっ、遅れたら何されるかわかったもんじゃねえな……! じゃ、俺行くよ!」
御坂妹「いってらっしゃいませご主人様、とミサカは同じネタをこりもせず繰り返します」
上条「だからそういうのやめろって……あっ、そうだ」ガサガサ
御坂妹「えっ、いきなりミサカの渡したチョコレートを開封して何を……? とミサカは問いかけます」
上条「…………」パクリ
御坂妹「!!」
上条「……うん、うまいうまい。やっぱ疲れた時には甘いモンだな」
御坂妹「えっ、ええっと……」
上条「ありがとな御坂妹。おかげで元気出たよ、またな!」ダッ
御坂妹「あっ……」
<ぎゃあああああああっ!! 神裂さんのお菓子たちが散らばってしまったー!!
御坂妹「…………」
御坂妹「……やっぱり、どんな状況でも彼は彼ですね、とミサカはやれやれと呆れながら彼の手伝いのため足を進めつつ、この胸の中の気持ちを抑えきれず思わず微笑み浮かべてしまいます」
―――
――
―
同日 21:00
-黄泉川家・結標淡希の部屋-
吹寄『えええええええええええっ!? まだ渡せてないですってえええええええええええええええええええええっ!?』
結標「ううっ、面目ないわ……」
姫神『吹寄さん。ひとまず落ち着いて。そしてイヤホンを使ってる私に謝って欲しい』
吹寄『ご、ごめんなさい姫神さん。というか結標さん、まだ渡してないってどういうこと? たしか放課後下校中に渡すとか言ってなかったっけ?』
結標「な、何というかいざその場に立つと緊張してなかなか話を切り出せなくて……それでも勇気を出して行こうと思ったら急に別の話を向こうがしだして……」
吹寄(何というかこれって……この作戦が気付かれた?)
姫神(アクセラ君にうまいこと話を逸らされてる。相当チョコレートを受けとりたくないと見た)
結標「ど、どうしよう二人共!」オロオロ
吹寄『と、とにかく今日中には絶対に渡すこと! もし日にちが変わっちゃったらそのそのバレンタインチョコレートはただのチョコレートに変わってしまう』
姫神『例えるなら。コンビニとかで売ってる。売れ残りのバレンタインのチョコのような』
吹寄『だから無理やりにでもアクセラに渡しなさい! 何なら無言でぶん投げても構わないから!』
結標「で、でもそんなことしたらアイツ絶対怒るわ……」
吹寄『日をまたいでしまうよりマシよ。とにかく何が何でも渡しなさい!! いいわね!?』
結標「……はい」
姫神『結標さん』
結標「な、何かしら?」
姫神『大丈夫。結標さんならちゃんと渡せる。だって私でも渡せたのだから』
結標「でも私、姫神さんみたいにしっかりしてないし……!」
姫神『そういうのは関係ない。いつもどおりに彼と会話して。いつもみたいにコーヒーを手渡しするみたいに。いつもと変わらないようにただ渡すだけでいい』
吹寄『そうよ、姫神さんの言うとおりだわ。そんな深く考えなくてもいいのよ。何もこれで全部決まるわけじゃないし』
姫神『アクセラ君なら。きっと受け取ってくれるよ。だから心配しなくてもいい』
結標「…………わかったわ、ありがと二人とも。何だか渡せるような気がしてきたわ!」
吹寄『その意気よ!! 大事なのは勢いよ、怖じ気付いたらそこで負けよ!』
姫神『うん。クリスマスにあのマフラーを渡せたのだから。今回も大丈夫』
ドンドン!
一方通行『オイ、風呂上がったぞ! さっさと入っとけ!』
結標「ひゃい!? わ、わかった!」
一方通行『?』
姫神(でもやっぱり)
吹寄(不安なものは不安ね……)
―――
――
―
同日 21:10
-第七学区・とある公園-
美琴「…………遅いッ!!」
美琴「何やってるのよアイツは、もうとっくに集合時間過ぎてるじゃない!」
美琴「こちとら集合時間一時間前にはここにいるってのに、何でアイツはまだ来ないのよ!」
美琴「三十分前行動とは言わないけど十分前行動ぐらいは心得なさいよ!」
美琴「…………」
美琴「や、やっぱりあの誘い方はなかったのかな……? 最後辺りはいつもみたいについカッとなっちゃってたみたいだし」
美琴「一緒にいた佐天さんや初春さんが『やれやれ』って感じになってたぐらいだし、やっぱり失敗だったのかな?」
美琴「……ううっ、もしこのせいでアイツ来なかったらどうしよう……」
美琴「せっかく佐天さんや初春さん、それに黒子まで応援してくれたってのに……」
美琴「…………」
美琴「……最低だ、私って……」グスン
<おおーい!! 御坂ー!!
美琴「……えっ?」
上条「はぁ、はぁ、わ、悪りぃ遅――」
バチバチ!!
上条「おわっ!? おまっ、会ってそうそう電撃飛ばしてきてんじゃねえよ!」バキン
美琴「アンタ来るの遅すぎるでしょ!! 三十分前集合ぐらい心がけなさいよ!!」
上条「いや無理だろこっち三十分前までバイトだったわけだし、これでも急いできたほうだぞ!」
美琴「うるさい! こっちはどんな気でアンタのこと待ってたか……」
上条「……あれ? もしかして御坂泣いてんのか?」
美琴「泣いてないわよ!!」バチバチ
上条「だから電撃撃ってくんな!!」バキン
美琴「あっ、ご、ごめん……」
上条(み、御坂が謝っただと……!? これは何か不幸の前触れか……って何かデジャブ感じる)
美琴「……何よその顔? 言いたいことがあるなら言いなさいよ」
上条「いや、何でもない。ところで用って何だ? わざわざこんな時間に呼び出すってことはよっぽど大事なことだっつーのはわかるけど」
美琴「えっ!? え、えっとその用ってのは……」アセッ
上条「どうした? 何かすげえ汗だぞ?」
美琴「ちょ、ちょっと暑いだけよ! き、気にしないでいいから!」
上条「……今二月だぞ?」
美琴「あ、あれでしょ地球温暖化ってヤツよ!」
上条「全力疾走して汗ダラダラだからそのせいもあるんだろうけど、今すっげえ寒いんだけど?」
美琴(や、ヤバイ……何というかいつもどおりな感じになっちゃってる気がする……このままじゃ駄目……!)
美琴「ちょ、ちょっとアンタ……ん? 何よその手に持ってる紙袋?」
上条「ああこれ? えっと知り合いにもらったバレンタインプレゼント?」
美琴「」
上条「ん? どうした御坂? おーい御坂さーん」
美琴(な、何よあのプレゼントの数……? アイツがいろんな女の子と一緒なのは知ってるけど、まさかあんなにもらってるなんて……)
上条「……ありゃ? 何か黙りこくっちまったな。おーい」
美琴(も、もしかしたら私なんかが作ったチョコレートなんてもらってくれないんじゃない……? それにあんなにもらってるんだからもしかしたら、もしかしたら告白なんてされてるかもしれない……)
上条「御坂さーん! 美琴さーん! みこっちゃーん!」
美琴(もしかしたら……その告白を受け入れて、コイツと恋人同士になってる人がいるのかも……?)
上条「……って、おいどうかしたか御坂!? そんなカップ焼きそばを流しにぶち込んじまったときみてえな顔してぇ!?」
美琴「し、してないわよそんな顔! というか流したことないし!!」
上条「ええっー、やったことないの? 上条さんなら八割の確率でやっちまうね、うん不幸だ」
美琴「ったく、人がいろいろ悩んでるってのにアンタは……」
上条「なーにそんなに悩んでんだよ? また何か変な事件にでも巻き込まれてんのか?」
美琴「い、いやそんなわけないじゃない! アンタじゃあるまいし……」
上条「ははっ、そうだな」
美琴(……し、しかし私がここでチョコを渡す……あまつさえこ、告白なんてしてもいいの?)
美琴(今日という日のおかげで恋人がいるかもしれない、いやもっと前から恋人がいるかもしれないコイツの幸せを私なんかが邪魔をしてもいいの?)
上条「……で、結局何で俺はここに呼ばれたんだ?」
美琴「ッ……そ、そのっ……」
上条「……ん、待てよ。そういえばこのパターンさっきも……? ってことは!」
美琴「ッ!?」ビクッ
上条「お前アレだな! 今日はバレンタインだっつーことで俺にチョコとか渡すつもりだろ?」
美琴「いっ!? あ、と……」
上条「……ありゃ? もしかして違ったか? ぎゃー何か上条さん自意識過剰みたいでカッコ悪りいぃ!!」
美琴「へっ、え、ええっと違わない、違わないわよ!」アセッ
上条「……あー、よかった。もし違ったら俺恥ずかしさのあまり一週間は家に引きこもれる自信はあったわ」
美琴「そんなことで引きこもられても困るわよ。というか、あ、アンタがそういうことに気付くなんて珍しい、っていうか初めてじゃない?」
上条「まあ何回もこういう状況になれば自然と気がつくわけですよ、はい」
美琴「何回もあったんこんな状況が、ふーん……」
上条(ッ!? 何となくビリビリの予感ッ!?)
美琴「……じゃあさ、そんだけチョコもらってたら一回くらい告白受けてたりしてんじゃないの?」
上条「はあ?」
美琴「そんでもってアンタはそれを受け入れて、めでたくカップリング成立ってことになったりしてるわけ?」
上条「…………」
美琴(……何を言ってるんだろ私。こんなこと聞いてどうするっていうのよ。向こうはもしかしたら聞かれたくないことかもしれないのに……)
美琴(なのに私は、こうズカズカと平気に人のことを……やっぱり私って、さいて――)
上条「……ぷぷっ、あっははははははははははははははっ!!」
美琴「えっ、な、何笑ってんのよ!」
上条「ははっ、だってよ、突然深刻そうな表情で何を言い出すのかと思えばそんなこと聞いてくるんだぞ? 笑うしか無いだろ?」
美琴「やっ、そんなことってこっちは……!」
上条「大体よぉ、俺がもらったヤツ多分全部義理だぜ? イコール告白なんてそんな甘酸っぱい青春イベント上条さんにはなかったってこと……うわっ、自分で言ってて泣きたくなってきた……」
美琴「へっ、う、嘘、そんなにもらってて?」
上条「それにこの紙袋は個人からもらったもんだぜ? 他にも学校でいろいろもらってたけど大体があのときはありがとう、って感じにくれたヤツなわけ」
美琴「……そう」ホッ
上条「つーかさ、こんな不幸の塊上条さんを好き好んで告白なんてしてくれるヤツいるわけねえだろ。……あれ? 何だか目から汗が……」ブワッ
美琴「そ、そんなことないわよ!! も、ももしかしたらいるかもしれないじゃない!! い、意外とすぐ近くに……///」
上条「はあ? あはは、ねーだろさすがに」
美琴「だ、だからさ……は、はいこれ!!」
上条「ん?」
美琴「……わ、わわわ私からの……ば。バレンタインプレゼント!!///」スッ
上条「…………」
美琴「…………ううっ」プルプル
上条「……そっか、そういうことか御坂」
美琴(も、もしかして私の気持ち伝わって……!)
上条「ありがとな御坂。俺を励ましてくれてんだよな?」
美琴「……へっ?」
上条「そうだよな。そんなどうせとか言って簡単に諦めたりとかしちゃいけねえよな!」
美琴「えっと、その、あの……」
上条「何となくだけど、御坂のおかげで夢と希望が湧いてきた気がするぜ。これからお前に言われた通りちゃんと周りを見てみるとするよ」
美琴「えっ、あ、うん」
上条「じゃ、そろそろ遅くなるだろうし帰るとするよ。いろいろとありがとな御坂! じゃあな!!」ダッ
美琴「うん、またね……」
美琴「…………失敗、かな?」
美琴「あーあ、これじゃあ佐天さんたちに怒られちゃうな、あはは」
美琴「…………でも、前までよりは前進できてるよね、きっと!」
―――
――
―
同日 21:30
-第七学区・スクール隠れ家-
垣根「あーあ、クソつまんねー仕事だったぜ」
心理定規「そうかな? こっちは第三位のファイブオーバーが三機出てきたりして戦慄を覚えたわ」
垣根「あんなおもちゃでビビるなんざ情けねえ。それでもスクールかよ?」
心理定規「みんな貴方のようなチカラは持ってないのよ? おかげでゴーグル君は病院送り、砂皿は武装の八割がスクラップ。随分な戦績じゃないかしら?」
垣根「そんなヤツらのことなんてどうでもいいっつーの。ここでリタイアするようなヤツらだってんならその程度だってことだ」
心理定規「薄情ね。そんな厳しい判断基準だったら誰も残れなくなっちゃうよ?」
垣根「ケッ、何が厳しいだ。そう言いながらもお前はきちんと生き残ってここに立ってんじゃねえか」
心理定規「まあね。私だってそれなりに残れるよう努力はしてるつもりよ。この環境は結構気に入ってるつもりだし」
垣根「へー、随分と似合わねえこと言うじゃねえか。お前が努力なんてよ」
心理定規「そうかしら? 私は私のこと常日頃から鍛錬を怠らない努力家って感じに見てるのだけど」
垣根「嘘臭せェ。お前とは付き合いそれなりに長いけど見たことねえよお前のそんな姿」
心理定規「女は見えないところで努力をするのよ。湖の上で優雅に漂う白鳥が、実は水の中では足を激しく動かしてるように」
垣根「その胡散臭い言い回しを聞かされて俺はどうすりゃいいんだ? 馬鹿みたいに騙されりゃいいのか? 心の中でほくそ笑んでりゃいいのか?」
心理定規「ふふっ、信じるかどうかは貴方次第ってところかな?」
垣根「何だそれ? くっだらねえ……」
心理定規「……ところで今日は何の日か知ってる?」
垣根「あぁ? 何だ唐突に……二月十四日セントバレンタインだろ、表の馬鹿騒ぎを聞きゃいやでもわかる」
心理定規「そう。そのバレンタインについてだけど、貴方はそのバレンタインのプレゼントはいくつくらいもらったのかしら?」
垣根「……チッ、何でそんなこと聞きやがるんだお前? くだらない世間話のつもりか?」
心理定規「うん、そうくだらない世間話よ。いかにホスト崩れみたいな外見したチンピラの貴方が何人女の子引っ掛けたのか気になってね」
垣根「オイ、それは俺に喧嘩を売ってんのか? それとも自殺志願か? どっちだよ」
心理定規「別にどっちでもないわ。好奇心に敵わないのは人間の性じゃないかな?」
垣根「それを抑えるために理性っつーモンがあんだろうが。どうやらテメェのはぶっ壊れてるようだけどな」
心理定規「どうやらいろいろと話を逸らそうとしてるようだけど、結局いくつもらったの?」
垣根「……結構な数だ」
心理定規「曖昧な返答ね。でも私が聞きたいのはそういうことじゃないわ。明確な数が知りたいの」
垣根「……すごい数だ」
心理定規「私の言ってる言葉が理解できなかった? まあでもあれよね、もしかしたら数えられないくらいもらってる可能性もあるのかな?」
垣根「……ああ、そうだ。ありゃ数えることを放棄しちまうくらいもらっちまったなー」
心理定規「ふーん、まあ貴方が今年もらったバレンタインプレゼントの数は『ゼロ』だってことはよくわかったわ」
垣根「ッ!? は、ハア!? な、何言ってんだよテメェ!! 何を証拠にそんな面白くねェ答えを導き出せるってんだよ!?」
心理定規「別に。貴女の返答が全部事実であると同時に見栄を張ってるって判断したからそういう答えを出しただけよ。深い意味は無いわ」
垣根「いやいやいや、ありえないな! だって俺結構な数もらってるし!」
心理定規「結構(ヤバい)な数もらってるのね」
垣根「すげえぞ!? 実際目の当たりにしたらビビるくらいすごい数もらってんぞ!?」
心理定規「(今どきこんなもらえないヤツとかいんの? ってくらい)すごい数もらってるのね」
垣根「……いや、ただ数えることを放棄しただけで――」
心理定規「(数える必要自体ないから)数えることを放棄してしまうほどもらってのね」
垣根「…………」
心理定規「ふふふっ」ニヤリ
垣根「殺す」バサッ
心理定規「あらごめんなさい。まさか図星だなんて思わなかったわ。謝るから許してちょうだい」
垣根「チッ、大体よぉ、暗部の世界なんかにいりゃそんなバレンタインなんていうイベントに関われるわけねえだろうが!」
心理定規「やっと白状したのね。でもそれに関わることが出来ないってことはないんじゃないかな?」
垣根「毎日毎日こんな掃き溜めみてえなとこに潜って血生臭い殺し合いをしてんだ。だから俺にはカンケーねえし、無縁なものだってことだ」
心理定規「……何ていうか、貴方ゴーグル君と同レベルのこと言ってるよ。これがレベル5の中でも第二位の能力者……ぷぷっ」
垣根「笑ってんじゃねえよ! よーし、お前死刑決定な? もう何言っても許さねえから」
心理定規「ふふっ、ごめんなさいね。貴方がノーマークってことがわかって嬉しくて笑っちゃった」
垣根「ハァ? 何言ってんだテ――」
心理定規「はい、私からのバレンタインプレゼント」スッ
垣根「…………は?」
心理定規「暗部にいるから関係ないとか言ってるけど、その暗部にも私みたいな女の子はいるんだよ? だからそんな情けないこと言わないでちょうだい」
垣根「…………」
心理定規「さあ早く受け取りなさい。貴方にとって今日は初めてのバレンタインを」
垣根「お、おう、サンキュー……」
心理定規「それと、ついでに言うとね、それって実は私のほんめ――」
垣根「……はぁ、何つうかアレだな。バレンタインデーに唯一もらったモンがションベン臭いガキからなんて情けねえ話だよなー」
心理定規「い……は?」
垣根「俺的にはもう少し大人の女とかからもらいてかったなー。チッ、散々なバレンタインだぜ」
心理定規「…………」プルプル
垣根「……あん? 腕プルプル震わせて何やってんだお前?」
心理定規「……ね……すとが」ボソッ
垣根「えっ? なんだって?」
心理定規「死ねッ!! このデリカシーなしエセホストがッ!!」ガチャリ
ドガァン!!
垣根「うおっ!? いきなりグレネードブチかましてきてんじゃねえぞテメェ!! 危うく死ぬところだったじゃねえかコラ!!」
心理定規「あーあー唯一のチョコレートが私みたいなガキで悪かったわね!! てか、そんな発想してる時点でお前もガキだろうがッ!!」ガチャリ
ドガァン!! ドガァン!!
垣根「だぁクソうっとおしい! よくわかんねえどころでキレやがって、これだからガキは嫌なんだよ!!」バサッ
~その頃アジト外の廊下~
ゴーグル「あー、何とか入院は免れることができてよかったっスよ。入院費ってアレ結構馬鹿にならないっスからね」
砂皿「…………」
ゴーグル「まあでもしばらく安静って言われてたし、暗部の活動に支障が出ることには変わりないかな」
砂皿「……ふっ、役立たずと認定され捨てられることを考えたほうがいいかもしれんな」
ゴーグル「ちょ、やめてくださいよ砂皿さん!! 冗談に聞こえないっスよ!!」
砂皿「…………」
ゴーグル「ちょっとー、そこで黙らないでくださいよ……ん? 何か向こうのほうが騒がしいっスね」
砂皿「くだらない痴話喧嘩でもしてるのだろ。ふん、くだら――」
ドガァン!!
ゴーグル「!? 爆発ッ!? 一体何が!?」
砂皿「」プスプス
ゴーグル「ちょ、砂皿さぁん!?」
―――
――
―
同日 21:45
-常盤台中学学生寮・二〇八号室-
黒子「…………」
ピピピピッ!! ピピピピッ!!
黒子「! お帰りになりましたのですね、お姉様!」ガバッ
シュン! シュン!
美琴「ふぅ、ただいま黒子」
黒子「おかえりなさいませお姉様! 寒い中お疲れ様ですの! ホットチョコレートがありますのでどうぞお飲みくださいな。身も心もあたたまると思いますの」スッ
美琴「ありがと、いただくわ」ニコッ
黒子「……ところで、どうでしたの? あの、類人猿とは」
美琴「えっ、あー、うーんと、どっちかと言ったら失敗、かな?」
黒子「そう……ですか」
美琴「で、でも失敗って言ってもアレよ! 私がテンパりすぎて告白までいけなかっただけっていうか、それでも今までよりは前に進んでる方っていうか……」
黒子「…………」
美琴「まあでも、佐天さんが言うみたいな勝負を決める、ところを見ると失敗よね。あはは」
黒子「……いいんですよお姉様。もし無理にことを進めて恋人関係になったとしても、そんな無理矢理な関係はあっさりと壊れてしまいますわ」
美琴「黒子……」
黒子「だから、何ごとにも地道に努力を続けることが大事ですの。お姉様が超能力者(レベル5)になられたときのように」
美琴「……うん、わかったわ! 私頑張るわ!!」
黒子「その意気です!」
美琴「……さて、そろそろお風呂に入って温まるとしようかな……ん? あれ?」
黒子「どうかなさいましたか?」
美琴(あれ? 何か身体が動かないんだけど……あれ? 指一本動かないんだけど……!?)
黒子「……ふふふっ、どうやら薬の効果が効き始めてきたようですね」キラン
美琴「なっ、あ、アンタまさかまた怪しいモンを……!」
黒子「ぐふふふっ、待てる女はいい女、だからわたくし待ちましたの。お姉様が油断し、わたくしの差し出したホットチョコレートを飲む瞬間を……!」
美琴「ぐっ、今日だけはまともだと思ってたのに……! やっぱりアンタはアンタか……!」
黒子「さて、本日はバレンタイン。わたくしからお姉様へのプレゼントはまだでしたわね」
美琴「……まさか、アンタ!!」
黒子「そう! わたくしからの甘い甘いバレンタインプレゼントはわたくし自身!! さあ受け取ってくださいませお姉様!!」シュン
黒子「そしてお姉様からのプレゼントはお姉様を希望いたしますわ!! そして二人で甘い甘い魅惑の世界へ……!!」ガバッ
美琴「このッ、野郎ッ!!」バッ
黒子「へっ、何で動いて――!?」
美琴「スタンナッコォ!!」バッ
黒子「う゛ぇ!?」
バチチチチン!!
黒子「オォォォォウ!! いつものキタあああああああああああああああああああうッ!!」ビクンビクン
バタン!!
美琴「……ぜぇ、ぜぇ、ったく、油断も隙もあったもんじゃない」
黒子「な、なぜ……動けるの……ですか?」
美琴「ん? 能力で無理やり電気信号送れば少しくらいは動けるわよ。これくらい知らなかったっけ?」
黒子「……な、何か知ってたような気もしないこともありませんわ……がくっ」
美琴「あー、そういえばこれやってると身体が常にスタンガン状態なの忘れてた。正直死にはしないだろうけど、この状態でお風呂に入るのはやめといたほうが良さそうね」
美琴「はぁ、もう面倒だからこのまま寝ちゃおうかな」ゴロン
黒子「」ピクピク
美琴「……はぁ、じゃあおやすみ黒子」
―――
――
―
同日 22:00
-第七学区・街頭-
<ありがとうございましたー!
絹旗「いやー久しぶり超思い切り歌いましたよ!」
滝壺「あー、声がガラガラになっちゃった」
フレンダ「滝壺はだらしないなー、私はまだまだガンガンいけるって訳よ!!」
麦野「何で一番はしゃいでたアンタが一番元気なのよ?」
浜面「…………」ゲッソリ
絹旗「ん? どうしたんですか浜面? そんな超ゲッソリしちゃって、お腹でも下しましたか?」
浜面「いや、んなわけねえだろ……、お前らの横暴に付き合って疲れてんだよ」
フレンダ「えっ、そんな横暴なんてあったっけ?」
浜面「何回ドリンクバー往復させるつもりだコラ! つーかあのカラオケドリンクバー遠すぎだろ、もう階段昇り降りし過ぎて足がパンパンだぞ!」
フレンダ「別にいつもどおりじゃん。場所が変わっただけですること自体は変わってないし、今さらそんなことで文句言われても……」
絹旗「足腰を鍛えるトレーニングになって超良かったじゃないですか」
浜面「何でわざわざカラオケに来て足腰のトレーニングしなきゃならねえんだよ」
麦野「はいはーい、じゃあ今日はここまでにしてお開きとしましょう」パンパン
フレンダ「ええっー? もう終わっちゃうのー? もうちょっといいじゃん!」
麦野「フレンダ。明日の仕事の時間は何時だったっけ?」ニコリ
フレンダ「え、ええっと……朝の七時?」
麦野「そう。別に遊びたきゃ遊べばいいけど、それのせいで仕事に支障がでることになったら……わかってるわよね?」
フレンダ「は、はい……」
麦野「じゃ、浜面?」
浜面「はいはい、わかってますよ。この奴隷めがみなさんを迅速に住処へお送りますよっと」
絹旗『早くしてください浜面。これから映画の超再放送があるんですよ。早く車を出してください』←in 車
滝壺『……ぐーすかぴー……』←in 車
フレンダ『って寝るの早っ!?』←in 車
浜面「アイツら車に乗り込むの早すぎだろ! つか、どうやってカギ開けたッ!?」
麦野「浜面ー。私の家は最後に寄ってくれない?」
浜面「えっ、何で? ここからだと一番お前の家が近いだろ」
麦野「いいからいいから、これも命令だから拒否権ないわよ奴隷君?」
浜面「りょーかい、じゃあさっさと車乗れよ。アイツらも待ってるようだし」
麦野「わかったわ。それじゃあヨロシクー♪」
浜面(……一体何を企んでんだアイツ……?)
―――
――
―
同日 22:15
-とある高校男子寮・上条当麻の部屋-
ガチャ
上条「ただいまー」コソー
上条「……ってあれ? 電気点いてない? もう寝てんのかな?」
カチッ
上条「うおっ、テーブルの上汚っ!? ったく、食器くらい流しにつけとけっつーの」ブツブツ
禁書「…………すぅ……すぅ……」Zzz
上条「……はぁ、食いたいだけ食って、眠くなったらそのままベッドに寝転ぶ……。とんだわがままお姫様っぷりだなーははっ」ガチャガチャ
上条「まっ、もう慣れたから別にどうでもいいけどな……ん? 何かテーブルの上に変なもんが置いてある……」スッ
上条「えっとこれは……見た目からしてたぶんバレンタインとかのチョコレートの包装だけど、たぶん俺のじゃないよな? こんなもんもらった覚えないし」
上条「じゃあ何なんだこれは……? あっ、何か紙が挟まってる」ペラッ
上条「えーと、なになにー?」
『これはとうまにわたすぶんだから、ぜったいにたべちゃだめなんだよ!!!!』
上条「……ははっ、おいおい面白いことが書いてあんじゃねえか。コイツはあれか? インデックスから俺へのバレンタインプレゼントっつーことか?」
上条「ったく、部屋にいないからどこほっつき歩いてんだよ、とか思ってたらこんなもん用意してたのかよ」
上条「…………」
上条「せっかくだし食べてみようかな? よっと」ガサガサ
上条「うわぁ、すげえ不格好だな。まさしく手作り感満載だな」
上条「……んじゃ、いただきます」パクッ
上条「…………」モグモグ
上条「うん、おいしい。何つうか意外だな、コイツこんなもん作れたのかよ?」
上条「……まぁ、でも正直嬉しいよ。ありがとなインデ――」クルッ
禁書「~~~~///」プルプル
上条「おわっ!? おまっ、起きてたのかよ!?」ガタッ
禁書「……そ、そりゃ、電気がついてて、物音が聞こえて、ぶつぶつと独り事言ってるとうまがいるんだから起きちゃうのも当然かも」
上条「……いつから起きてやがった。つーかどこから聞いてた俺の独り言!?」
禁書「『うおっ、テーブルの上汚っ!?』の辺りから……」
上条「ほぼ最初じゃねえか!! ぎゃー!! 独り実況を聞かれるほど恥ずかしいもんはねえぞおいぃぃ!!」
禁書「そ、そんなこと言ったって! 起きちゃったのはしょうがないんだよ!」
上条「あーヤバい、何か恥ずかしくて顔の熱半端ない」
禁書「それは私だって……何か恥ずかしかったんだよ……」
上条「あん何だって? 何でお前が恥ずかしがらなきゃいけないんだよ?」
禁書「だ、だって目の前で自分が作ったチョコレートを食べられて、そのまま感想言われて、恥ずかしくないわけがないんだよ……」
上条「……つーか、お前どうやってこんなもん作ったんだよ? ウチの材料じゃ絶対無理だろうし、新たに材料買う金なんてないだろうし」
禁書「こもえにお願いしに行ったんだよ! チョコレートの作り方教えて、って」
上条「小萌先生に? つーか帰るの早くないか小萌先生? 俺たちが帰ったらソッコー帰っちゃうのか?」
禁書「違うよ。私が自らとうまの通ってるガッコーに行って頼んだんだよ!」
上条「よく道に迷わなかったなお前」
禁書「完全記憶能力保持者を舐めてもらっては困るかも」
上条「だったら、地下街で迷子になって誰かしらに助けてもらうワンパターンなイベントをいつまで立ってもひき起こすの何でだよ?」
禁書「さ、さあ……たぶん魔術師の仕業かも……」スー
上条「……しかし、お前がこんなサプライズをしてくれるなんて思いもしなかったよ」
禁書「私だってこれくらいのことは平然とやってのけることができるんだよ」
上条「平然とやってのけた結果生まれたのが、このゴツゴツ不細工チョコレートか?」
禁書「うっ、み、見た目はたしかにあれだけど、大事なのは中身なんだよ! つまりおいしければ問題なしなんだよ!」
上条「うーん、でもそう言われてみると味の方もそんなでもないような……」
禁書「えっ!? そ、そんな……」シュン
上条「…………」
禁書「…………」グスン
上条「だぁー嘘だ嘘だ! おいしいよおいしかったよ世界一おいしかったですよー!」
禁書「むぅ、今そんなふうに言われても胡散臭さしかないかも……」
上条「……はぁ、嘘じゃねえよ。大体俺の独り言聞いてたんだろ? だったらこれ以上言わなくてもわかんだろ?」
禁書「……うん! あっ、そうだとうまとうまー!」
上条「あん? 何だよまさかおなか空いたーとか抜かしやがるわけないですよねインデックスさん?」
禁書「そ、そんなんじゃないんだよ……たしかにとうまの食べてるチョコレート見てるとちょっとおなかが空いてきたような気がするけど……」ボソッ
上条「おい」
禁書「あはは、まあこの話は置いといて……とうま!」
上条「はいはい何だ?」
禁書「いつもおいしいごはん作ってくれてありがとう!」ニコッ
上条「…………」
禁書「……あれ? もしかして私何か変なこと言ったかな?」アセアセ
上条「……いや、別に何も変なこと言ってねえよ。ただあれだ、ちょっと驚いただけだ」
禁書「驚いた? 何でかな?」
上条「だってさ、まさかお前がそんなお礼なんてもん言えるようになってたなんて思いもしなかったからさ」
禁書「むっ、何だか失礼なこと言われてる気がするんだよ。私だって常日頃からお礼はちゃんと言ってるんだよ」グルルル
上条「わ、わかったから噛み付きはなし! お願いしますインデックスさん!」
禁書「……ふふん、いいよ許してあげる。私の心は寛大なんだよ!」
上条「…………」
禁書「うん? 何か言いたそうな顔してるねとうま」
上条「やっ、別に何でもねえよ……」
禁書「……さて、私はまた寝ることにするんだよ」ゴロン
上条「待て。お前さっきの俺の独り言聞いてたんだろ? だったらこれからすることがあるんじゃねえか?」
禁書「…………ぐぅ」
上条「寝たふりしてんじゃねえよ!! 食器洗うの手伝えコラー!!」
禁書「えっー、だってお皿洗うのってとうま一人でもできるよね。わざわざ私が出る幕じゃないかも」
上条「お前は皿洗いの大変さがわかってない。でもたしかに一人でできないことじゃない。だけど二人でやればもっと早く終わるんだぜ?」
禁書「た、たしかにそうだけど……」
上条「つーわけでたまには手伝えよ。ほら、来い」グイグイ
ジャバババババ!!
禁書「むー、何でこんなことに……ふあぁ」ゴシゴシ
上条「つべこべ言わず手を動かす」ゴシゴシ
禁書「…………」ゴシゴシ
上条「あっ、そうだインデックス。俺からもいい忘れてた……つーか言えなかったことが一つあったな」
禁書「なーに?」ゴシゴシ
上条「チョコレート美味しかったよ。ありがとなインデックス」ニコッ
禁書「ふぇっ!?」パリーン
上条「ちょ、おまっ何やってんだよー!」
禁書「ううっ、とうまがいきなり変なこと言うからいけないんだよ!」
上条「はあ? 俺は別に何もおかしなこと言ってねえだろ! 人のせいにしてんじゃねえ!」
禁書「ぐぬぬぬっ、とうまの馬鹿!!」ガブリ
上条「ぎゃああああああああああああッ!! 理不尽だあああああああああああああああああああッ!!
―――
――
―
同日 22:45
-第七学区・麦野宅付近の街頭-
キキィー!!
浜面「……ほら、着いたぞ麦野」
麦野「んん? あーそう。ありがとね浜面」
浜面「……はぁ、疲れた。つーか、今まで生きて一番疲れた気がする……」
麦野「随分とお疲れのようね?」
浜面「まあな。はぁ、せっかくの休みだってのにまるで休んだ気がしなかった……」
麦野「ふーん、それは一体誰のせいなのかにゃーん?」
浜面「いっ、いや何でもない聞かなかったことにしてくれ!!」
麦野「まあ、いいわ。……そうだ浜面。そんな疲れてんなら少しウチで休んでいきなさいよ」
浜面「は? 何をおっしゃってられるのですか麦野さん?」
麦野「そんな状態で車の運転して事故られてもこっちが困るだけだし、少し休憩を入れたほうがいいと思うんだけど?」
浜面「た、たしかにそうだろうけど……でもわざわざお前の家に入らなくてもこっちは休めるぞ?」
麦野「何? 私のウチに来たくないっていうつもりかしら?」
浜面「いや、そういうわけじゃないけど……」
麦野「じゃあ決まり。早く車邪魔にならないところに停めなさい。そもそもアンタに拒否権なんてはないのよわかってる奴隷君?」
浜面「……はぁ、わかったよ。お邪魔すりゃいいんだろお邪魔すりゃ」
麦野「よろしい。素直な奴隷は大好きよ」
浜面「素直な奴隷、っつーか奴隷は素直じゃないと奴隷じゃないんじゃねえの?」
麦野「じゃあ浜面は奴隷失格だね。駄目じゃないちゃんと奴隷しなきゃー、調教しちゃうわよ?」
浜面「俺にそんなドM趣味ねえからやめてくれ」
-第七学区・麦野沈利の部屋-
浜面「……すっげー、まさしく金持ちの部屋ってヤツだなー」
麦野「何キョロキョロしてんのよ。そんな物珍しい物なんてないでしょ?」
浜面「いや、綺麗な部屋だなーって思ってさ。お前のことだからもっとグチャグチャしてんのかと思ってた」
麦野「ふーん、浜面は私に喧嘩でも売ってるつもりなのかにゃーん?」
浜面「ぎゃああああああっスミマセンスミマセン許して下さーい!!」
麦野「……ふん、別に怒ってなんてないわよ。適当にベッドの上にでも座ってなさい、何か飲み物取ってくるから」
浜面「えっ、いいよ床で。汚しちまうと悪いからさ」
麦野「私がいいって言ってるのよ。いいから言うとおりにしときなさい」スタスタ
浜面「お、おう」
ガチャ
浜面「…………」
浜面「しかし、女の子の部屋に来るなんて初めてだから、何ていうか緊張するな」ドサッ
浜面「うおっ、すげえこのベッド、ものすごいフカフカする!」フカフカ
浜面「やっぱ金持ちの持ってるもんは違うなー」
浜面「…………」
浜面(……こ、これってあれだよな? いつもアイツが使ってるベッドなんだよな? そのベッドに俺は腰掛けてんだよな?)
浜面(つーかそもそも俺麦野の部屋に今いるんだよな? ヤベえただでさえ緊張してるっつーのにさらに緊張してきた!!)
浜面(わー意識すんな意識すんな! 変に意識して変なことしちまったらブチコロシ確定じゃ済まねえぞ……!?)
浜面(……何かこの部屋いい匂いするな。そう、いつも麦野から漂うあのいい香り……っておい!! 何考えてんだ俺ェ!!)
浜面(やめろォ!! 変な考えを張り巡らせるな!! 無心になれっ!! 自然と一体化しろッ!!)
浜面(そうだ! 漫画とかで素数を数えると無心になれるとか何とかっていうのを見たことがある……! よし素数を数えよう)
浜面(ええっと、1、……あれ? そもそも素数って何? そんなもん習ったこともねえよチクショォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!)ジタバタ
麦野「……何やってんのよアンタ?」
浜面「はっ、む、麦野ッ……!? 違うんだこれは、別にお前のベッドでやましいことをしようとか思ってたわけじゃないんだ! ただ素数がわからなくて……!」
麦野「へー、浜面私のベッドでそんなやましいことしようと思ってたのかーへー」ニヤニヤ
浜面「ぎゃー申し訳ありません!! そんなもん一つも考えねえよと反論しようとしたけど、思っちまったからできなかったって何言ってんだ俺はァああああああああああッ!!」
麦野「うるさいわよ浜面。コーヒーでも飲んで落ち着いてなさい」スッ
浜面「あっ、おうサンキュー」ゴクゴク
麦野「ったく、人のベッドに顔面からダイブしようが、人の下着漁って盛ったりしても構わないけど、そういうのはバレないようにするものじゃないかにゃーん?」
浜面「い、いやそんなことするわけねえだろ! さすがの俺でもそんな変態的な考えを巡らせたりしねえよ!」
麦野「そうかしら? 何だか目が血走ってるように見えるんだけど」
浜面「勘違いするな。これは眠気がすごいから目が充血してんだよ。そんなエロいこと考えて目が血走るとか漫画じゃあるまいし……」
麦野「ふーん、そう」ズズズ
浜面「うわっ、すっげえ興味なさそう……人が必死に弁明してるってのに」
麦野「だったら私が興味を持てる話をしなさい。そしたらちゃんとした言葉のキャッチボールしてあげるわよ」
浜面「何という上から目線……そうだ、お前バレンタインのチョコレートくれたじゃねえか」
麦野「うん、それがどうかした?」
浜面「あれ、遊んでる途中食べてみたけどすっげえうまかったよ。お前って料理とか得意だったんだな」
麦野「へー、そりゃよかったわね」
浜面「……おい、お前の興味のハードル高すぎだろ。俺なんかの猿頭じゃ越えられる気がしないんだけど」
麦野「別に高くなんてないわよ。アンタが思ってるよりなんかは」
浜面「?」
麦野「……はぁ、まあいいわ。ところで浜面、この状況どう思う?」
浜面「……状況? それってどういうことだ?」
麦野「すっとぼけてんじゃないわよ。この一つの部屋に男と女が二人きり、この状況をどう思ってるのかってことを聞いてんのよ」
浜面「……べ、別に何とも思ってねえよ」
麦野「ふーん、本当?」
浜面「あ、当たり前だろ。そんなたかが男女二人きりごときでそんな変なことを考えるなんて、中学生じゃあるまいし」
麦野「……そう、だったら――」スッ
ドン!
浜面「痛っ!? な、なにしや……がる……?」
麦野「ふふっ」スッ
麦野「こんな風に押し倒されたりされても、浜面はそんなことを言えるのかにゃーん?」ニヤリ
浜面「……は、はあ? お、おまっ何やってんだよ?」
麦野「何って、この状況になってすることなんてそんなこと考えなくてもわかるんじゃないかしら?」
浜面「そ、そういうことを言ってんじゃねえよ! 何でこんなことになるんだって聞いてんだよ!」
麦野「率直に言うけど、私アンタのことが好きなんだよね」
浜面「…………は? えっ、なっ、わけ、わけわかんねえよ……」
麦野「まさかこれを説明しなきゃいけないほど馬鹿じゃないわよね、さすがにアンタでも」
浜面「どうして、どうして俺なんかを……?」
麦野「……さあ?」
浜面「さあ、ってお前……!」
麦野「別にいいじゃん理由なんて。月並にベッタベタなセリフだけど、私がアンタのこと好きなのには変わりないわけだし」
浜面「…………」
麦野「……さて、余計なこと喋ってシラケちまう前にヤることヤっちまうとしようかな?」スッ
浜面「なっ!?」
麦野「アンタは何も考えなくてもいいよ。全部私に任せとけばいい」
浜面「…………やめ」ボソッ
麦野「浜面、アンタは私の奴隷なのよ。だから黙って私の言うとおりにしとけばいいわ」
浜面「……やめろ」
麦野「浜面。私のモノになりな――」
浜面「――やめてくれ麦野ッ!!」
麦野「ッ――」ピタッ
浜面「……はぁ、はぁ、もう、やめてくれ……」
麦野「…………」
浜面「……たしかに、俺は今日一日お前の奴隷だ。それはわかってる。だからムカついたら蹴ったり殴ったり……殺してくれても構わない」
浜面「だけど、これだけは言わせてくれ……」
浜面「俺には……好きなヤツがいるんだ。そいつは俺のことなんて何とも思ってないかもしれない。それでも、俺はアイツのことが好きなんだ!!」
浜面「だから……俺はお前のモノになんてなれない……悪い」
麦野「…………そう」
浜面「ははっ、奴隷が主に逆らったら即刻死刑、だろ? 煮るなり焼くなり好きにしろよご主人様」
麦野「……ふーん、じゃあそうするわよ。裏切り者のクソ奴隷君?」キュイーン
浜面「……ぐっ!?」バッ
麦野「…………」
浜面「…………って、あれ? 何も起こらない?」
麦野「――ふふっ、あはははははははははははははははははははははっ!!」
浜面「へっ?」
麦野「何マジになってんだよお前? 冗談に決まってんだろバッカじゃねえのぎゃははっ!!」
浜面「じょ、冗談……? そ、それじゃあ……」
麦野「私がテメェなんかを好きになるわけないでしょうが。全部テメェのリアクションを楽しむためのドッキリだっての」
浜面「な、何だ……よかった……」
麦野「はぁ? 何そのリアクション。正直ムカつくからその顔面焼いてもいい?」
浜面「す、スミマセン嘘ですこれがドッキリなんて何たる不幸だー!!」
麦野「……はぁ、何かシラケたわ。もう帰っていいわよ浜面」
浜面「えっ、だって俺今日お前の一日奴隷だろ? まだ明日まで時間が――」
麦野「もともとこれをするためにアンタを奴隷にしたんだっつーの。つまりもう用済みってこと、だからさっさと帰った帰った」
浜面「へっ、あ、ああ、わかったよ……」
-第七学区・麦野宅付近の街頭-
キキキキキキッ!! ブルオン!!
浜面「……まあ、何ていうかいろいろありがとな。おかげでさまで目が覚めたぜ。居眠り運転なんてしようがないくらいにな」
麦野「じゃあもし事故したら死刑な」
浜面「お、おう、気をつけるとするよ」
麦野「……しかしぷぷっ、今思い出すだけでも笑えてくるよな。アンタのあの必死な顔」
浜面「そんなもん掘り返さないでくれ。そしてできればそれは墓の中へ持っていてくださいお願いします」
麦野「何でそんなもん私の墓なんかに持っていかなきゃいけないのよ。今すぐにでも捨て去ってやろうか?」
浜面「ひでえ!!」
麦野「ま、いいや。じゃあまた明日な。遅れたら三百六十度から浴びせられるオールレンジ原子崩しな」
浜面「うげっ、そりゃ怖ェ!! 絶対に遅れるわけには行かねえな……そんじゃ、またな」
ブブブブブーン!!
麦野「…………はぁ、何というか変な感じね。別に悲しいわけでもないし怒りが収まらないわけでもない、かと言って嬉しいなんてこともないし」
麦野「……ま、でもこんな感じ、これから二度と味わうことなんてないんでしょうね……ねぇ、浜面?」
―――
――
―
同日 23:00
-黄泉川家・リビング-
結標「あ、一方通行! ちょ、ちょっと話があるんだけど……いいかしら?」
一方通行「…………ああ」
一方通行(チッ、完全に油断してた。寝る前にコーヒー飲もうとしてリビングに行ったら……クソッ)
結標(……やっぱり来ると思ってたわ一方通行。貴方は寝る前のカフェイン摂取をほぼ毎日欠かすことなく行ってる。だからここで待ち伏せさせてもらったわ)
一方通行(最後の最後で攻めてきやがったか……イイだろォ、受けて立ってやるよ格下がッ!)
結標(タイムリミットはあと一時間弱、もうあとがないわ。絶対に、絶対にここで渡してやる……!)
一方通行「……で、話って何だよ? 俺ァ今から缶コーヒーを飲ンでとっとと寝よォと思ってンだけどよォ。できる限り早く終わらせてくれよ」
結標「そ、そうだったのね。何だか悪いことしたみたいね、ごめんね。お詫びに……」
トクトクトクトク
結標「コーヒー沸かしといたわ。これでも飲みながらじっくり話しましょ?」
一方通行「オマエ人の話聞いてたか? 早く寝たいっつってンのに何でじっくりっつゥ言葉が出てくンだよ」
結標「はい、どうぞ」コトッ
一方通行「やっぱ話聞いてねェな。何ごともなかったかのよォにコーヒーカップ俺の目の前に置きやがった」
結標「あっ、そういえばお菓子とかいるかな? 黄泉川さんの食べさしのおせんべいがあるんだけど」スッ
一方通行「そンなモンまで用意して一体何時間話をするつもりだよ。つゥかアイツの食べさしとかいらねェ」
結標「あっ、私の分のコーヒー出すの忘れてた。ちょっとカップ取ってくるから待ってて」ダッ
一方通行「んなモンいらねェだろッ! 早く話を始めろコラ!」
結標「ご、ごめんなさい!!」トクトクトク
一方通行「謝りながら注いでンじゃねェよ! ……ったく」
結標「…………」トクトクトク
一方通行「…………」ズズズ
結標「……さて、準備ができたところでさっそく始めましょうか。真夜中ティータイム」
一方通行「ティータイム要素一つもねェけどな」
結標「……もう二月か。私たちが初めて出会ってから五ヶ月……だいたい半年になるのね」
一方通行「ンだァ? オマエもしかして昔話をするために俺を引き止めたのか? 最後の最後で総集編持ってきてンじゃねェよ」
結標「貴方が何を言ってるのかさっぱりわからないけど……まあようするにいろいろあったわよねって言いたいのよ」
一方通行「……まァな。たしかにいろいろあったな。クソみてェなイベントばっかだったけど」
結標「その中でもやっぱり学校に通い出したのが一番のターニングポイントかな、って思うわけよ」
一方通行「たしかにそォだ。良くも悪くも俺らの生活を一変させやがったンだからな」
結標「漫画とかで見た限りだったら、転校生ってのは何かと難しいポジションなわけじゃない」
一方通行「新しい環境で友だちたくさン出来るかな、ってヤツか。初っ端ミスしたら全部終わるシビアなポジションだな」
結標「貴方の場合初っ端からミスの連発してたじゃない」
一方通行「ハァ? ミスなンかしてねェだろ。あの完璧な自己紹介に何の不満があるってンだ」
結標「どこがよ。今でも鮮明に思い出せるわね、あのまばらな拍手と気不味い場の雰囲気」
一方通行「チッ、つゥかそンな話持ち出して一体何が言いてェンだオマエ?」
結標「……転入初日さ、職員室で貴方と同じクラスって言われたとき私そうとう怒ってたじゃない?」
一方通行「職員室だっつゥのに本気で叫ンでたしな」
結標「正直嫌だったのよ。みんなより年上だっていうのに私もその中の一員になるなんてって……」
一方通行「別にそれが普通の感覚ってヤツだな。俺だって嫌だからな、そンな年下のガキどもと仲良しこよしやるのなンてよォ」
結標「うん、私も最初はそう思ってた。でもね、一年七組というクラスのみんな、吹寄さんや姫神さん、上条君に土御門君に青髪君。みんなと出会ってからはそんな考えすぐに消え去ったわ」
結標「私がみんなより年上って知ったとき、たしかにみんな驚いてたわ。でも次の瞬間からそんなことなかったみたいにみんな私に接してくれたわ」
結標「だからこそ今思うのだけど、下手に二年生のクラスに入るよりも、この一年七組というクラスに編入できたってことのほうがよかったんじゃないかなって」
一方通行「……そォだな。真面目で優等生の集まってるクラスよりかは、今の何も考えてねェよォな馬鹿が集まったあのクラスのほうがよっぽど気楽にいられる」
結標「それに今の私があるのも、もしかしたらみんなのおかげな気がするもん」
一方通行「それは言い過ぎだろ。オマエはどこにいよォとオマエだろ」
結標「あくまで気がするだけよ。それだけ良いクラスってことよ」
一方通行「……で、オマエが一年七組信者っつゥことはよくわかったが、結局オマエは何が言いたいンだ?」
結標「信者、って嫌な言い方するわね」
一方通行「だってそォだろ? まるで怪しい通販番組の成功体験者のインタビューみてェな持ち上げ方だったじゃねェか」
結標「うっ、ま、まあ言われてみればそんな気がしてきたわ……でも思ってるの事実よ!」
一方通行「ハイハイわかったわかった。だからとっとと話ィ続けろ」
結標「そうね。じゃあ……あれ覚えてる? 十二月の半ばぐらいにあったマラソン大会」
一方通行「……あァ、そォいやあったな。そンなクソみてェなイベント」
結標「うん、いきなり開催するって聞いてみんなブーイングしてたあれ。あとから賞品があるって聞いてみんな眼の色変えてけど」
一方通行「それがどォかしたのか?」
結標「そのマラソン大会だけど、ある意味私の中だったらもうひとつのターニングポイントだと思ってるわ」
一方通行「人生の転機の安売りかよ、くだらねェ」
結標「しょうがないじゃない。たしかに貴方にとっては安売りに聞こえるかもしれないけど、私にとってはどっちも大事な出来事よ」
一方通行「チッ、で、それはどォしてそンな転機とやらになったンだ? 俺にとってはとてもじゃねェがそンなモンになりえるモンには感じなかったわけだけど」
結標「……そうね、学校への転入が新しい友達との出会い、マラソン大会は貴方のことをよく知れた気がした出来事、ってところかな?」
一方通行「ハァ? 俺を知れただァ? 何でオマエの口からそンな言葉が出るのか俺にはさっぱり理解できねェンだけどよォ?」
結標「まあ、あくまで知れた気がした、ってだけよ。そんな貴方のこと全部知ったってことじゃないからそこは勘違いしないでね」
一方通行「いや別にそンなアホみてェな勘違いしてるつもりはねェよ。ただマラソンごときで俺を知ったとか言い出すから首傾げてるだけだ」
結標「そう。まあホントにくだらないことよ」
一方通行「……気になる言い方だな。何を知ったって言うンだ言ってみろよ?」
結標「……言っていいの?」
一方通行「言え。このままじゃ気になって明日の授業中に寝られねェ」
結標「いや、そこは起きときなさいよ。……まあいいわ、貴方がそこまで言うなら言ってあげるわ」
一方通行「さっさと言え。ったく、くっだらねェ」ズズズ
結標「貴方がツンデレっていうところよ」
一方通行「ぶっ!? お、オマエェ喧嘩売ってンのかオラァ!?」
結標「別にそんなもの売ってるつもりはないのだけど」
一方通行「……チッ、オシオキはあとで取っておくとして、一体そのマラソン大会でどォやって俺がツンデレみてェな錯覚を起こしやがったってンだァ?」
結標「だって貴方私を助けてくれたじゃない。私が足を怪我してて」
一方通行「そりゃ知り合いが怪我して倒れてりゃ普通に助けンだろ。それのどこにツンデレ要素があるってンだよ」
結標「最初はスキーなんてくだらない、って言ってたくせに私を助けると同時にスキー旅行のために一位取ってくれたじゃない。これ結構ツンデレ要素あると思うけど」
一方通行「……アレはさっさとゴールに言ったほうが救護係が早く動いてくれると思ったからだ」
結標「そのためにわざわざ打ち止めちゃんに電話して能力を? 私がスキー行きたいって言ったあとに?」
一方通行「あァー、そォか、そォいうことか。よォするにオマエは俺をおちょくって遊びてェっつゥことか? ぶっ殺すぞ」
結標「…………違うわよ」
一方通行「ハァ? 何が違うってンだよ? どォみてもこの状況おちょくってるよォにしか見えねェぞ」
結標「単に私は……あのときのお礼が言いたいだけよ」
一方通行「お礼だァ? お礼のおの字もねかった気がすンだけど」
結標「さっき言ったマラソン大会ももちろんだけど、クリスマスにお正月、スキー旅行……学校行く前なら遊園地だって。この一年未満の記憶しかない私にたくさんの思い出が出来たわ」
結標「それは全部、たぶんだけど貴方がいたから出来たものだと思うのよ」
一方通行「……馬鹿言ってンじゃねェ。俺がいなくてもオマエには思い出なンていくらでもできる」
結標「そうかもしれないわ。でも貴方と過ごしてきた思い出は貴方がいたから出来たものよ」
結標「貴方が遊園地のパスを買ってきたから遊園地で一緒に遊べた。貴方がプレゼントをくれたからある意味思い出に残るクリスマスになった。貴方がいたから……トラウマを乗り越えることができた」
結標「その貴方からしかもらえないモノたくさんもらった。私はそのお礼をがしたいのよ……だから」スッ
結標「――受け取ってよ。私からのバレンタイン」
一方通行「…………」
結標「…………」
一方通行「……はァ、やっぱりそォいうことかよ」
結標「えっ、やっぱりって何よ?」
一方通行「この話の終着点はここだとあらかじめ予想してたっつゥことだよ」
結標「……えっと、それってつまり、このサプライズがバレてたってこと?」
一方通行「当たり前だ。俺を誰だと思ってやがる」
結標「じゃあ不自然に話をそらしてたのって……?」
一方通行「オマエからそれを受け取らねェためだ。劇物を自分から口にしに行く馬鹿はどこにいるってンだ」
結標「ぐっ、た、たしかにそうかもだけど……」
一方通行「まァ、俺もまだまだだっつゥことだ。結局はこォして受け取ってしまってンだからな」スッ
結標「……ねえ」
一方通行「あァ?」
結標「それ……食べてみてよ」
一方通行「俺に死ねと?」
結標「いや、そういう意味じゃないけど……というか貴方ってとことん失礼よね」
一方通行「元からそォだろ」
結標「……たしかに私は料理は下手くそかもしれないわ。それも壊滅的に……でも、私はちゃんと最後までやり切ることができたわ、二人のおかげで」
結標「不味くて不格好で市販のチョコレート食べたほうがマシみたいなモノかもしれないけど、だからこそ食べてみてよ」
結標「これが……今の私の精一杯だから……!」
一方通行「…………」
結標「……あ、あと中には怪しいものなんてひとつも入ってないから安心して! 吹寄さんと姫神さんが保証するわ!」
一方通行「……はァ、いいことまがいのことを言ったと思ったら変な予防線を張りやがって……つゥか、二人に責任なすりつけてンじゃねェ」
結標「べ、別にそんなつもりは……!」
一方通行「……わかった。そこまで言うなら食ってやるよ。オマエの精一杯とやらをよ」ガサガサ
結標「……ありがと」
一方通行「…………」
結標「…………」ゴクリ
一方通行「……よっと」パクリ
結標「!!」
一方通行「…………」モグモグ
結標「…………」ガクブル
一方通行「…………」ゴクン
結標「…………ど、どどどう?」
一方通行「……チッ、何だこりゃ? ふざけてンじゃねェぞオイ」
結標「ひっ、ご、ごめんなさい!」ビクッ
一方通行「こっちはなァ、口に入れた瞬間意識を奪われるのを覚悟して口に入れたってのによォ、本当に何なンだよこれはァ?」
結標「や、やっぱり……私のじゃ……」
一方通行「俺の舌はついにイカれちまってのかァ? ったく、何だってンだよ何で――」
一方通行「何で俺の舌は……これをうまいと感じてやがンだよ……?」
結標「…………え」
一方通行「本当どォなってやがンだよこれは……」
結標「……今、何て言ったのよ……?」
一方通行「あァ? 何がだ?」
結標「いや、だからさっきうまいって……」
一方通行「ああ、別にオマエの耳がおかしくなったとかじゃねェから安心しろ」
結標「……嘘。もしかしてこれ、私の見てる夢とかじゃないわよね……?」
一方通行「残念ながら現実だ。本当に残念ながらな」
結標「…………ううっ、よかっ、た」グスン
一方通行「チッ、何泣いてやがンだオマエは? もしかしてアレかァ? マズイ方のリアクションをお望みでしたかァ? マズくしよォと作ったのがうまく作れててショックで涙目なンですかァ?」
結標「……ちが、うわよ。うれしいのよ……貴方おいしいって言ってもらえて……苦労したかいが、あったんだって思って……」
一方通行「ケッ、面倒臭せェヤツ」
結標「……うるさい」
一方通行「しかしよく考えたな。チョコレートにコーヒーの粉まぶすなンて奇行」
結標「ああ、それ? それ、本当はココアの粉使う予定だったけどなくて、どうせだから貴方が好きなもので代用しようかなって思って」
一方通行「コーヒー粉の量が大幅に減ってると思ったらこォいうことだったわけか」
結標「……あ、あと、あとね! 材料のチョコレートも貴方が甘いの駄目って知ってたから、カカオ99%っていう甘くなさそうなの選んだのよ!」
一方通行「オマエ、そこまで俺のことを考えて……」
結標「ふふっ、ど、どうよ? 私だって頑張ればこれくらいできるのよ? 少しは料理の腕は上達したのよ」
一方通行「……まァ、そォだな。ここは素直に褒めといてやるよ。前よりはマシになってた」
結標「ぐっ、相変わらず素直じゃないヤツ……何よ、今日くらいデレてくれてもいいのに」ボソッ
一方通行「そォいうのはキッチンに置いてる茶ばンだノコギリをしまってから言えェ」
結標「な、何のことかしら……?」アセッ
一方通行「……でもアレだな。オマエは相変わらずレベル5級に危険な食いモンを作ってるよォだな」
結標「ど、どこがよ? 今回はちゃんとしてるでしょ? 貴方も普通に食べてるし……」
一方通行「いいや駄目だな。大体これは一般人が食ったら即嘔吐するよォなシロモンだろォが」
結標「うぐっ、た、たしかにそうね……今思えばこのチョコの材料買うとき二人とも目をそらしてた気がするし」
一方通行「まァ安心しろ。今は俺にだけならまともな料理が作れるっつゥことだからな」
結標「……でもそれって結構レベルアップしたってことなんじゃないかしら!?」
一方通行「自惚れてンなよ格下が。所詮、今のオマエは産廃しか作ることができねェ三下っつゥことを忘れンなよ」
結標「……いいわよ別に三下で。それでも貴方がおいしいって言ってくれるなら」
一方通行「俺を実験動物にする展開は本気でやめてくれよ?」
結標「何よ実験動物って!」
一方通行「……ふァ、そォいやこれから寝るンだった」
結標「ああ、もう結構遅いわね。それじゃこれでお開きにする? 真夜中コーヒータイム」
一方通行「コーヒータイムという名の茶番だったけどな」
結標「茶番て……もっといい言い方なかったの?」
一方通行「だってそォだろ? オマエが俺にチョコレート渡すためだけに開かれた茶番。何だよ最初のあのくだらねェ思い出話」
結標「い、いやーああやって舌を先に慣らしておいたほうがいいかなって……」
一方通行「馬鹿馬鹿しい、寝る」ガタン
結標「あっ、私が後片付けしとくから、そのままにして部屋に帰っていいわよ」
一方通行「わかった。そォする」ガチャリガチャリ
結標「そこで『俺も手伝うぜ(キリ』とか言えないの貴方は?」
一方通行「言うわけねェだろ面倒臭せェ」
結標「ま、いいけど。じゃ、おやすみなさい」
一方通行「おォ、コーヒーとチョコレートごっつォさン、アリガトよ」ガチャリガチャリ
結標「はーい」
ガラララ
結標「…………ふぅ、すっごく緊張した」
結標「もうヤバいどっと疲れが出てきた……こんな緊張するのはもう懲り懲りね……」
結標「はぁー、でもこれにて任務かんりょー! ってところかしらね」
結標「……はぁ、明日は吹寄さんたちと反省会だろうし、さっさと後片付けして寝ちゃお」カチャカチャ
結標「…………」
結標「……ふふっ、よかった」ニコッ
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」
~おわり~
955 : ◆ZS3MUpa49nlt[s... - 2013/10/20 23:26:43.24 YJThsfmGo 574/574
というわけでこのスレはこれで終了です
これまで見てくださった皆さん本当にありがとうございました
最後辺り展開が雑になっていってるような気がしますが許してください
とうかバレンタイン思ったより長くなってビビったw
そもそも無駄イベント詰め込み過ぎた
本当は春休み終了までやろうと思ってたのに……
次スレは今忙しいのでいつになるかわかりません申し訳ない
またいつか会う時まで、ではではノシ
※続編⇒【 結標「私は結標淡希。記憶喪失です」 】

