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8.スキー旅行 ~一日目~
January first Friday 08:00
-第七学区・地下鉄駅前-
ワイワイガヤガヤ
一方通行「……おォ」カツンカツン
吹寄「あ、一方通行おはよっ!」
姫神「おはよう」
一方通行「……大体は揃ってるよォだな」
青ピ「カミやんは相変わらず来てへんけどなー」
土御門「だにゃー」
一方通行「何で上条のお隣さンであるオマエがここに居て、アイツは居ねェンだよ?」
土御門「いやー、それがカミやんに『ここは俺に任せて先に行け』みたいなセリフを言われたから先にここに来たにゃー」
一方通行「何だよそれ? これから死ぬのか上条?」
姫神「……本当は。例の友達とやらを迎えに行った」
一方通行「例の友達ってアレか? 別の学校の友達だっつゥヤツか?」
吹寄「そうそう。しかしいきなりだったわよねー、昨日いきなり一名追加だものね」
青ピ「そういやアクセラちゃん?」
一方通行「あァ?」
青ピ「姉さんとか他の人らぁはどしたん?」
一方通行「ああ、アイツらはこれから車に乗ってくンだろ」
土御門「ちょっと疑問だが、何でアクセラは一緒に車に乗ってこなかったんだにゃー?」
一方通行「一々アイツ等について行くより、直接ここに来た方が早ェからな」
姫神「……どういう事? 車って家の近くとかに置いてるものじゃないの?」
一方通行「アレだアレ。大人数乗れるよォにレンタカーにデカイ車借りに行ってンだよ」
姫神「あ。そっか」
一方通行「まァそろそろ来ンだろ。レンタル店もここら辺にあるからな」
プープー!!
青ピ「おお、噂をすればなんとやらやな!」
土御門「…………」
一方通行「…………」
吹寄「……何か小さくない?」
青ピ「ホンマやな。てかあの車って……」
小萌「はーいみなさーん。おはようございますー!」
一方通行「……はァ?」
土御門「はい?」
吹寄「あ、小萌先生おはようございますー!」
姫神「…………」
青ピ「何で小萌先生?」
吹寄「ああ、私が呼んでおいたのよ」
小萌「呼ばれたのですよー」
一方通行「どォしてコイツを呼ンだンだ……?」
小萌「アクセラちゃん! 先生の事をコイツとか言っちゃ駄目ですよー!」
一方通行「チッ」
小萌「舌打ちも駄目ですぅー!」
吹寄「まあまあ。先生を呼んだ理由は移動手段の確保ってところね」
土御門「移動手段なら黄泉川先生が今借りてくるんじゃなかったかにゃー? レンタカーで」
吹寄「いくらなんでもこの人数を乗せる車なんてレンタカーにないでしょ? だから戦力増強の意味で」
一方通行「その分面倒臭さも増強されたけどな」ボソ
小萌「アクセラちゃん? 今何か言いましたか?」
一方通行「言ってねェよ」
小萌「そういえば黄泉川先生達はまだなんですねー」
一方通行「レンタカーの手続きに手間取ってンだろォな」
姫神「その前に。上条君達もまだ」
青ピ「そういやカミやんはどこに行ったんかわからへんのか?」
土御門「残念ながらそこまでは知らないにゃ」
一方通行「役に立たねェお隣さンだなァオイ」
土御門「ひどい言われようだにゃー」
吹寄「まあ今回ばかりは時間もあるし、少しくらい遅れても大丈夫ね」
青ピ「何や珍しいなー。吹寄さんがそんな事言うなんてなー」
吹寄「スキー場に三日間も過ごすのだから、時間は余りに余りまくってるわ」
一方通行「つゥか誰だよ冬休み最終日までスキー旅行しよう言ったヤツ」
青ピ「誰やったかなー」
土御門「あの時はみんなテンション高かったにゃー」
一方通行「確実にオマエら二人のせいだろォけどな」
姫神「それを承諾した私たちも私たち」
青ピ「まあまあせっかくのスキー旅行なんやから心行くまで楽しまなーあかんでー」
土御門「青髪の言うとおりだぜい!」
小萌「それはそうと、皆さんはもちろん冬休みの宿題を終わらせているのですよねー?」
青ピ「……え?」
土御門「……え?」
小萌「最終日まで遊ぶという事は宿題はもう終わらせたという事でいいんです?」
吹寄「それはもちろん終わらせていますよ」
姫神「問題無い。学校に行く準備まで終わらせてある」
一方通行「マジレスすると冬休みの宿題は一日目で終わらせた」
青ピ「……なんですと!?」
土御門「これはえらいこっちゃだぜい……!」
小萌「……まさか二人とも……?」
青ピ「あ、あはははーもうセンセ、そんな怖い顔しなくてもいいですやーん? ちゃんと終わらせますってー」
一方通行「家に帰ンの夕方ぐれェじゃねかったか?」
小萌「……あなた達……」プルプル
土御門「い、今怒るのは早すぎるんじゃないかにゃー? どうせカミやんもまだ終わってないだろうし」
上条「――おーい!」タッタッタ
青ピ「おおっ! 噂をすればなんとやら」
一方通行「またそのセリフかよ」
吹寄「ボキャブラリーが足りてない証拠ね」
青ピ「じゃあ逆にこういう状況だったら何て言えばええん?」
一方通行「知るか」
吹寄「そういうのは自分で調べなさい」
青ピ「結局キミらぁも知らんのかい!」
姫神「ちなみに『なんとやら』のところには。『影』という言葉が入る」
土御門「まあ、その部分を影に変えたところであんまり変わりはないけどにゃー」
上条「……ぜぇ……ぜぇ……すまねえ。ちょっと捜すのに手間取った」
一方通行「捜すって、あの例の友達とやらか?」
吹寄「捜すって何よ? 普通待ち合わせ場所とか決めとく物じゃないの?」
上条「……いや、実は待ち合わせ場所を決めるの忘れててさ」
姫神「携帯電話とかに。連絡するという手段がまだあった」
上条「……それが連絡先まだ知らないんだよ。つーか、あいつ携帯持ってんのか?」
一方通行「オイオイまさかソイツもインデックスみてェな機械音痴じゃねェよなァ?」
上条「そんなはずはねえとは思うけど……」
禁書「――とうまー!」タッタッタ
青ピ「おおっ、どうやら例のお連れさんが来たでー」
一方通行「今度は噂っつゥ言葉は使わねェのかよ」
禁書「もう! とうまちょっと走るの早いかも!」プンスカ
上条「ご、ごめん。まあ一応待ち合わせ時間に遅れてたわけだしな」
禁書「今日はひょうかも一緒なんだから、もっとしっかりしないと駄目なんだよ!」
??「……あ、あの……別に、私は……」
吹寄「えっと、そちらが例の?」
上条「そうだ。風斬氷華って言うんだ」
風斬「……、えっと……その、風斬氷華と申します。あの……よろしくおねがいします」ペコ
吹寄「よろしくね風斬さん」
姫神「……よろしく」
青ピ「……なあカミやん」
上条「何だよ?」
土御門「ジャッジメントタイムだぜい」
上条「はっ? 何言って――?」
青ピ・土御門「「またかお前はキィィィック!!」」
ドグシャ!
上条「あぎゃぁぁぁぁぁ!!」
風斬「!? えっと……あの……」
禁書「大丈夫だよひょうか。ほっといても大丈夫だから」
風斬「……で、でも。すごい音が、……ぐしゃ、って音が」
吹寄「大丈夫よ。これくらい日常茶飯事だから」
風斬「……日常なんで、すか?」
小萌「まあ、あとは黄泉川先生たちを待つのみですねー。ところで上条ちゃん」
上条「……な、何ですか先生?」ボロ
小萌「冬休みの宿題はちゃんと終わらせたのですかー?」
上条「宿題?」
青ピ「もっちろん終わらせてへんよなカミやん?」
土御門「信じてるぜいカミやん」
上条「ああ、大丈夫ですよ先生。きちんと終わらせてましたよ全部」
青ピ「…………えっ?」
土御門「なにちょっと聞こえない」
上条「だから宿題は終わらせたっつってんだよ。もちろん補習の分もな」
青ピ「( ゚д゚)」
土御門「\(^O^)/」
吹寄「へえー、珍しいわね。貴様がまさか宿題を終わらせてるとは」
姫神「本当に珍しい。今日は雪でも降るのかも」
上条「姫神。行先はスキー場だから雪ぐらい降ってもおかしくねえぞ?」
小萌「しかしホント上条ちゃんエライですねー。今回も宿題未提出で補習を行うつもりでしたよー」
上条「ひ、ひでえ!」
青ピ「う、嘘や! カミやんが一人で宿題を終わらせられるわけがない!」
土御門「そ、そうだぜい! どうせ口から出まかせ――」
一方通行「ああ、俺が手伝ったから終わったのは本当だ」
青ピ「( ゚д゚ )」
土御門「/(^O^)\」
上条「いやー、ホント助かったぜ一方通行」
一方通行「別に構わねェよ。暇つぶし程度にはなった」
上条「それに昼飯もごちそうになっちゃって……」
禁書「焼き肉おいしかったんだよ!」
一方通行「そォか。そりゃよかったな」
青ピ「ひ、卑怯や! いろんな意味でチートやん!」
土御門「そうだぜい! 我がクラスの最終兵器アクセラを勝手に使うなんて!」
一方通行「いつから俺は許可制のクラスの所有物になったンだよ?」
小萌「まあ、とにかく青髪ちゃん! 土御門ちゃん!」
青ピ・土御門「「」」ギク
小萌「宿題きちんと出さなかったら補習ですからね♪」
青ピ「があああああああああああああああ!!」
土御門「Oh…………」
一方通行「まァ当然だろォな」
吹寄「当然ね」
姫神「当然」
青ピ「い、いや待てよ。これは補習イベントを経て小萌センセエンドを迎えるフラグなのでは……?」
上条「ゲームと現実の区別ぐらいしろよ」
上条「そういえば結標や黄泉川先生はまだなんだな」
一方通行「さすがにそろそろ来ンだろ」
禁書「とうまー。そろそろおなかが減ったかも」
風斬「……、さっき、朝ご飯食べたばかりって言って、なかった?」
吹寄「……ポッキーとかならあるけど?」
禁書「いただきます!」ガブ
上条「袋ごと食ってんじゃねえ!」
小萌「アクセラちゃん。一度黄泉川先生に連絡をとってみてはどうですか?」
一方通行「あン? 問題ねェだろ。これまでの流れからして何かしら噂をすれば――」
プップー!
青ピ「あっ、噂(ry」
一方通行「略してもボキャ貧なのは変わンねェぞ」
キキー! ガチャ!
打ち止め「みんなお待たせー! ってミサカはミサカは華麗に車から飛び降りてみる」シュタ
一方通行「華麗でも何でもねェよ」
黄泉川「いやー、ちょっと手続きに手間取ってたじゃん」
芳川「手間取るほど難易度は高くなかったように見えたけど?」
結標「みんなおはよー!」
吹寄「結標さんおはよー!」
青ピ「よっ、待ってました!」
土御門「これでやっとスキー場に出発できるぜい!」
小萌「黄泉川先生おはようございます!」
黄泉川「およ? 小萌センセも来たじゃん?」
吹寄「はい。戦力を増やすために呼びました」
黄泉川「おおっ。それは助かるじゃん! 正直レンタカーに最大八人乗りの車しかなかったからどうするか困ってたじゃん」
一方通行「あン? 八人乗りだァ?」
結標「うん。そう八人」
一方通行「……月詠。オマエの車って何人乗りだ?」
小萌「四人ですよー!」
一方通行「……席が一つ足りなくねェか?」
黄泉川「えっ?」
芳川「十一、十二、十三……たしかに一つ足りないわね」
結標「一人分ぐらい詰めれば何とか大丈夫じゃないですか?」
打ち止め「それならミサカ小さいから誰かの膝の上に乗るってのはどうかな? ってミサカはミサカはチラチラとあなたの方を見ながら提案してみたり!」
一方通行「こっち見ンな」
青ピ「はいはーい! じゃあ打ち止めちゃんはボクのひ――」
一方通行「…………」カチ
青ピ「ちょ、タンマ! 冗談やん冗談! そないな怖い顔せんでも……あぎゃあああああああああああああ!!」
吹寄「……何やってんのこの馬鹿は?」
土御門「青髪のAIM拡散力場が消えた……?」
風斬「……あの、消えて、……ませんよ……?」
上条「冗談だから気にすんな風斬」
一方通行「おォい。オマエら朗報だ。どォやら席の数は足りそうだぞ」
姫神「そう。それはよかった」
土御門「青髪。お前の死は無駄にはしないぞ」
青ピ「待って! ボク! まだ! 生きてる!」
一方通行「チッ。しぶてェ野郎だ。ゴキブリかよ」
禁書「そんな事よりそろそろ椅子に座りたいかも」
吹寄「そうね。正直今まで立ちっぱなしだったからそろそろキツイわね」
結標「席順はどうするの? 自由?」
黄泉川「運転席はそれぞれ私と小萌先生じゃんね」
小萌「はい!」
一方通行「つゥか芳川。オマエが黄泉川の車にでも乗ってくれば万事解決なンじゃねェのか?」
芳川「いやよめんどくさい」
一方通行「やっぱ元ニートには車の運手は酷だったか……」
上条「……ってあれ? 芳川さん!?」
芳川「あら。何かしら上条君?」
上条「何で芳川さんがここに……?」
芳川「私がここに居たら何かマズイのかしら?」
一方通行「この元ニートのババァはウチの居候だ」
上条「えっ、ってえええええええええええええええええええええええ!!?」
吹寄「うるさいぞ上条!!」
一方通行「つゥか、オマエ話してねかったのかよ」
芳川「話すと言っても別に話すような事でもないわ」
打ち止め「ヨシカワとカミジョウって同じコンビニで働いてたんだ……ってミサカはミサカは衝撃の事実に驚愕してみたり」
姫神「……結局。席順はどうするの?」
結標「そういえばそうね。やっぱり自――」
青ピ「そこで! こんなこともあろうかと!!」ゴソゴソ
一方通行「あン?」
打ち止め「なになにー? ってミサカはミサカは興味心身になってみたり!」
青ピ「テッテレッテテー♪ わーりばしー(裏声)」
禁書「えっ何もうごはんの時間かな?」
一方通行「割り箸だけで反応するぐれェ飢えてンのかコイツは?」
禁書「何か最近の朝ごはんがいつもより少ない気がするんだよ! とても!」
姫神「……そういえば生活費。ほとんど生活費の生け贄になった」
土御門「思い出すだけであれは不幸な出来事だったにゃー」
上条「ほっといてくれ!」
結標「で、青髪君。その割り箸にをどうするつもりなの?」
青ピ「実はこの割り箸の先端には番号が書かれてるんやで」
黄泉川「つまり、その割り箸をクジ引き代わりにするって事じゃん?」
青ピ「せやで先生!」
打ち止め「おおおおっ! すげえ! さすがアオガミ! ってミサカはミサカは褒め称えてみたり」
吹寄「しかしえらく用意がいいわね」
結標「そういえばそうね。別にスキーなのだから必要はないわよね」
芳川「これってあれでしょ? 王様ゲームに使おうなんて思って持ってきたんじゃない?」
青ピ「ギクッ」
上条「……今コイツ『ギクッ』って言わなかったか? 口で」
一方通行「まァンな事だろォとは思ったけどよ」
吹寄「ふん、どうせあれでしょ? これを利用して如何わしい事でも考えてたのじゃない?」
結標「そうなの青髪君?」
姫神「最低」
青ピ「ああっ、イイ! すごくイイ! 女の子の視線がボクに一点に集中するぅ!」
風斬「あっ……あの、……大丈夫なんですか? ……あの人」
上条「別に心配する必要はねえよ。アイツは元からあんなのだ」
小萌「王様ゲームですかー。いやー懐かしいですねー」
黄泉川「ホントじゃんねー、いやー若いっていいねえー」
芳川「愛穂……それを言ったら何だか駄目な気がするのだけど」
一方通行「イイじゃねェか。珍しくババァがババァらしい事を言っ――」
ガコン!
一方通行「痛ッてェ!? クソが、スイッチを押すのが遅かったか!」
土御門「見事なゼロフレームゲンコツだったにゃー」
上条「まあとにかく、この割り箸使えば席を決める事が出来るんだからとっとと決めようぜ」
吹寄「そうね。持ち主にはともかく、割り箸に罪はないわ」
結標「じゃあ黄泉川先生と小萌先生は運転席だから、割り箸の数は十一本ね」
一方通行「面倒臭ェから一から三が月詠の車、残りは黄泉川な」
青ピ「エラく適当やな。てかそれなら黄泉川先生の車が必然的に貧乏くじを引く事にならへんか?」
一方通行「あァ? オマエあンな小せェ車に余計な人間入れる隙間があると思ってンのか?」
姫神「面倒だから。青髪君をトランクにでも入れておけば。みんな幸せ」
青ピ「あれ!? ボクの幸せは尊重されへんの!?」
土御門「まあまあとにかくとっとと引くとしようぜい! 時間がもったいないにゃー!」
上条「っつっても時間は有り余ってるけどな」
一方通行「ホント誰だよ三日間とか言い出したヤツ」
結標「じゃあみんな割り箸を持ってー」
禁書「……あっ! とうま! とうまは左手で持って!」
上条「へっ? 何でだ?」
禁書「忘れたの? ひょうかが居るんだよ!」
上条「あっ、……す、すまねえ風斬」
風斬「……、い、いえ……いいです」
吹寄「……どういう事? いくら上条の手が不潔だからって……」
上条「ふ、不潔じゃねえよ! ちゃんと石鹸で洗ってるわ!」
青ピ「風斬ちゃんは何か能力でも使ってるんかいな?」
風斬「……、えっと……その、……」
小萌「その、風斬さんにはちょっとした事情があるのですよー」
結標「そうなんですか?」
芳川「男の人が怖いとかかしら?」
打ち止め「それなら今ここに居ないと思うけど、ってミサカはミサカは周りを見て意見してみる」
一方通行「…………」
青ピ「――よし、みんな割り箸選んだなー」
一方通行「一応確認だが、一から三番が月詠の車だ」
結標「残りが黄泉川さんの車ね」
土御門「それじゃあ引くとしようぜい!」
全員『せーの!!』
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:30
-小萌の車・車内-
一方通行「…………」
小萌「……え、えーと……」
芳川「…………」
風斬「…………、えっと……」モジモジ
一方通行(……どォしてこォなった……)
―――
――
―
―
――
―――
同日 9:00
-黄泉川の車・車内-
ワイワイガヤガヤ
上条「……ぬうー」ジー
青ピ「ニヤニヤ」
上条「……こっちだ!!」シュバッ
青ピ「残念! そっちはババでした!!」
上条「ぎゃあああ!! またババかよ!」
青ピ「ほなボクの番やな、ほい」スッ
上条「なっ、そっちは……!」
青ピ「イッエーイ!! あっがりー!!」
上条「があああああっ! また負けたあああああ!!」
土御門「はいじゃあカミやん。罰ゲームの激辛せんべい三枚重ねにゃー」スッ
上条「……お、おい冗談だろ。一枚でも悶え苦しんだってのに三枚セットとか……」
土御門「カミやーん。罰ゲームってのは相手が嫌がるゲームをするのが罰ゲームなんだぜい」グイグイ
上条「おい! ちょ、やめ、せんべい押しつけんな! っ付着してる粉だけでもすっごい辛いっ!!」
吹寄「上条ー、大人しく罰を受けなさーい」ニヤニヤ
上条「吹寄さん!? 何でそんな満面の笑み!? 見た事ねえんだけどそんな吹寄の顔!!」
青ピ「カミやんはいじられてなんぼのもんやしなー」
土御門「輝いてるぜいカミやん!」
上条「輝きたくねえよ! そんな微妙な立ち位置で!」
吹寄「……っていい加減に罰を受けなさい上条!」ガッ
上条「い、嫌だ! やめてください死んでしま――」
上条「ぎゃあああああ$Y82wp;あえがうぃえる$”あ:そfjら:!!」ガタガタ
禁書「……むう、とうまだけずるいんだよ! そんなにオセンベーばっか食べて」
結標「この光景を見て何でそんなにうらやましがれるのか私にはわからないわ」
打ち止め「うわー、すごく辛そうだね、ってミサカはミサカは悶え苦しんでるヒーローさんを見て呟いてみる」
禁書「甘いものばかりで飽きたんだよ」ボリボリ
結標「さっきからポッキーばっかり食べてるからね」
土御門「ダメだぜいインデックス。これはカミや……罰ゲーム専用のせんべいだにゃー」
姫神「さりげなく上条君専用の言おうとしたね」
禁書「ぶーぶー! 私もオセンベー食べたいんだよ!」
青ピ「自分から命を捨てに行くなんてやめとくんやで、お嬢さん」
黄泉川「……まあはしゃぐのは良いけど車は汚さないでくれよー!」
上条「おるgqh43987つfんsr;わ2うーgfdgrq”$%$&#Wh」
禁書「……しかしひょうかが心配なんだよ」
結標「ひょうか……って、ああ風斬さんの事ね」
禁書「知らない人しかいない密室にひょうかを一人にするのは本当に心配なんだよ」
打ち止め「それを言うならあの人もちょっと危ないかもだね、ってミサカはミサカは心配しながら言ってみる」
結標「……あー、たしかにあの空間はアイツにとって苦痛でしかないかもしれないわね」
姫神「そうなの?」
結標「出発前に見たんだけど、助手席に座ってたのは芳川さんだったの」
黄泉川「それなら後部座席に一方通行と風斬さんってわけじゃんね」
結標「たぶん大人二人で勝手に会話を繰り広げると思うから、一方通行は隣の風斬さんと気まずい空気を味わってるはず」
打ち止め「でもヨシカワやコモエが気を利かせて会話に混ぜるってパターンはないのかな? ってミサカはミサカは質問してみる」
黄泉川「その可能性は一応はある、けどそれもすぐに崩れると思うじゃん」
打ち止め「何で?」
黄泉川「まず桔梗は絶対にそういう事はしないじゃん」
結標「はい」
打ち止め「うん」
姫神「即答……」
黄泉川「だから最初は小萌センセが気を利かせてくれてるはず」
打ち止め「でもそれなら安心安全だね!」
黄泉川「断言しよう! 小萌先生はコミュ障と初対面の娘を巻き込んで長時間会話するスキルはない!」
打ち止め「な、何だってー!?」
禁書「ま、ますますマズイ気がするかも!」
結標「そ、それならどうなるんですか?」
黄泉川「たぶん気まずい雰囲気が続いてるか、たぶんは小萌センセが隣に居て話しやすい桔梗辺りと会話してて」
姫神「後部座席でアクセラ君と風斬さんが。沈黙のサイレントマナーモードに」
結標「姫神さん。沈黙とサイレント意味かぶって無い?」
禁書「ああー、ひょうかが真剣に心配なんだよー」
―――
――
―
―
――
―――
同日 同時
-小萌の車・車内-
小萌「へー、そうなんですかー。さすが黄泉川先生ですねー」
芳川「ああ、あと愛穂実はね――」
一方通行「…………」
風斬「…………」モジモジ
一方通行「…………」ジロ
風斬「…………!?」ビク
一方通行(何ですか何なンですかこの空気はァ!?)
一方通行(最初辺りは他三人で適当に会話してる雰囲気だったから、ゆっくり昼寝出来るよォな雰囲気だったのによォ)
一方通行(で、何か二種類の声しか聞こえねェのが気になって起きてみたらよォ)
風斬「…………、…………」ビクビク
一方通行(何だこれ!? 前のヤツら風斬の事全部俺に丸投げしてンじゃねェか!)
一方通行(しかも風斬スッゲェ俺に警戒してンじゃねェかオイ! 少しは会話しやすい状況にしてから丸投げしやがれ!)
一方通行(ふざけンじゃねェぞクソババァと小学生ェがァ! あとで絶対ェ雪の中に埋めてやるクソが!)
一方通行(……しかしどォしよォか。これは上条に初めて殴られた時以来のピンチだぜ)
一方通行(学園都市第一位の頭脳を持つ俺だが、会って間もねェ女と会話するチカラなンざ持ち合わせてねェ)
一方通行(まァ、面倒臭せェからこのまま寝てしまってもイイが……)
風斬「…………」チラ
一方通行「あン?」ギロ
風斬「ひっ!!」ビク
一方通行(ホント何だこれ!? 寝たら何か後味悪りィみてェな雰囲気じゃねェかチクショウ!)
一方通行(つゥか誰だ、席をくじ引きで決めよォなンざ言った馬鹿は!?)
一方通行(……青髪ピアスクンか。あとでアイツは音速を超える速さで世界一周旅行だな)
芳川「――それでこうだったのよー」
小萌「あはは、おもしろいですねー」
一方通行(……相変わらず前二人は俺達を放置で会話を楽しンでやがる)
一方通行(これは自分でどォにかしろとかいう事だっつゥわけだよな?)
一方通行(……仕方ねェ。ここは……)スッ
風斬「…………?」
一方通行(……逃げるか)ピッピッ
同日 同時
-黄泉川の車・車内-
上条(……お、おうふ。これはもしかしてすげえ手札なんじゃねえのか……?)
つ2・二枚 A・三枚 K・三枚・ Q・三枚 J・二枚
上条(ぐふふふ。ついに不幸の申し子上条さんに最高の幸運が舞い降りたのですねキャッホイ!)
上条(これでやっとまさかの十八連敗を止める事が出来るぜ!)
上条(さらにこの激辛せんべいをコイツらにお見舞いする事が……)
上条(……やってやる……やってやるぞ上条さんは!)
上条「……ぬふふ」ニヤニヤ
青ピ「あれー? カミやん何ニヤニヤしとん?」
吹寄「まさか大貧民になりすぎて、頭が壊れてしまったんじゃないわよね?」
上条「はあ? べ、別に壊れてねえし! 何言ってんだよ吹寄!」
青ピ「何や怪しいなぁ」
土御門「珍しく良い手札とかが来たんじゃないのかにゃー?」
上条「(ギク な、何言ってんだよ土御門。と、とりあえずさっさと始めるとしようぜー」アセ
吹寄(これは絶対良い手札ね)
青ピ(百パー良い手札やな)
土御門(やれやれ。バレバレだぜカミやん……)
上条「ええと、次は誰が最初だっけ?」
青ピ「順番的につっちーやな」
土御門「よし! ではエンターテイナーな土御門さんが面白い事をしようと思うぜい!」
吹寄「余り余計な事はするんじゃないわよ」
上条「ぐふふ。さっさと出せよ土御門」
上条(俺の最強のカード軍団が火を吹――)
土御門「はい。5×四枚で開幕革命」
上条「な、革め……がああああああああああああああああああああああッ!!」
禁書「私ね! 神経衰弱が得意なんだよ!」
結標「へえ、どうして?」
禁書「私の完全記憶能力であらかじめカードの傷一つまで覚えて、ワンターンキルするからなんだよ!」
結標「何と言うチート!」
姫神「だからインデックスが居る時には。トランプはおろかカードゲームは誰もやらない」
打ち止め「すごいねー! でもミサカだってミサカネットワークを利用すれば多少はチートできるよ! ってミサカはミサカはふふんと胸を張ってみる」フフン
結標「まあ、私もそれなりには記憶力には自信はあるけど……」
黄泉川「記憶喪失してるのにか?」
結標「ほっといてください!」
タラララーン♪
禁書「あっ。誰かのケイタイデンワーが鳴ってるよ!」
結標「この音は私のね。んっと……」ゴソゴソ
結標「……メール? 誰かしら……?」カチャ
From:一方通行
Sub :(non title)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
助けろ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
結標「…………はい?」
打ち止め「どうしたのー? 誰からー? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
結標「ああ、一方通行からメールが来たのよ」
姫神「アクセラ君から? 何て?」
結標「何か『助けろ』って書いてあるんだけど……」
禁書「それだけ?」
結標「うん」
打ち止め「まったく状況がわからない文章だね、ってミサカはミサカは溜め息を吐いてみたり」ハァ
結標「そうよね。何を助けて欲しいのかちゃんと伝えて欲しいわ」
禁書「……はっ! もしかして魔術師に襲われて――」
姫神「それはない。事実小萌の車は無事」
結標「魔術師……? 何それ? マ○ー審司みたいな人の事?」
打ち止め「それは手品師だよアワキお姉ちゃん、ってミサカはミサカは間違いを指摘してみたり」
姫神「まあ。魔術師なんてファンタジーな事は置いといて。メール返信してみたら?」
結標「そうね。現時点の情報じゃ何がなんやらさっぱりだものね」ピッピッ
打ち止め「……でも何となくだけど、何が助けて欲しいのか何となくわかる気がする、ってミサカはミサカはさっきの会話を思い出してみたり」
禁書「あ、そうか。ひょうかと気まずい雰囲気になってしまったんだね!」
黄泉川「おおー、やっぱり大人二人はスルーの方向にしたかー」
結標「じゃあ送信しますねー、と」ピッ
同日 同時
-小萌の車・車内-
ピピピッピピピッ!
風斬「……!?」ビク
一方通行(おっ、やっと返信が来やがったか。遅せェンだよ結標)ピッ
From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
何を(´・ω・`)?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一方通行「…………」
同日 同時
-黄泉川の車・車内-
タラララーン♪
結標「あっ、返って来た」カチャ
姫神「返信早いね」
From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今すぐ俺をそっちにテレポートさせろ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
結標「……あーあ、アイツ逃げる気満々ね」
禁書「あの人もしかしてひょうかの事嫌い……なのかな?」アセ
打ち止め「だいじょうぶだよ! コミュ障なだけだよ!」
禁書「コミュショウ?」
結標「とりあえず無理だと送ってみるわ」
姫神「無理なの?」
結標「こんな早く動いてる状態でのテレポートは危険だわ!」
姫神「……たしかに。違う物を転移させる可能性もある」
結標「それにこの車はとっくに定員オーバーしちゃってるし……」
姫神「それじゃあ無理だね」
結標「と、いうわけで送信!」ピッ
同日 同時
-黄泉川の車・車内-
ピピピッピピピッ!
From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
常識的に考えて無理!
人( ̄ω ̄;) スマヌ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
一方通行「…………」
風斬「…………?」
一方通行「…………」ミシミシ
風斬「ひっ」ビク
~ここからはメールのやりとりだけでお楽しみください~
From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オマエの座標移動は常識が通用しねェンだろ?
やれ
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
何そのキャッチフレーズ!?
ソースどこよ初耳だわ!!
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From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
いいから早く白
これ以上は俺の精神が保たねェ
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
誤変換とかどんだけ焦ってんのよ(*´ο`*)=3
ところで今どんな状況なの?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここまで風斬との会話なし
だから早く俺を助けろ
あと顔文字ムカつくンだよ殺すぞ
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
つまりその雰囲気が気まずいというわけね
(-_-)ウームそれなら風斬さんへ話しかければ良
いんじゃない?
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From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
は? 出来るわけねェだろボケアイツ俺と目ェ
合う度「ひっ」とか言ってビビってンだぞ顔文
字イイ加減にそろマジで殺すぞ
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
貴方の顔が怖いしねー……しょうがない
まあそれは貴方が愛想悪いからそうなるんじゃ
ないかしら?
笑顔でとまでは言わないからも話しかけてみれ
ば良いんじゃない?
(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
From:一方通行
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オイ何ださっきの顔文字絶対ェこのメールに関
係ねかったろイイ加減にしろコロスぞ
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ごめんごめん<(_ _)>
貴方があまりにも面白くてつい……
とりあえず「ご趣味は何ですか?」みたいな感
じで話しかけてみたら?
それで駄目だったらまたメールしてきて
わかった?( ´∀`)?
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From:一方通行
Sub :Re:
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了解
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From:結標淡希
Sub :Re:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
頑張ってねー($・・)/~~~
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同日 09:30
-黄泉川の車・車内-
カチャ
一方通行「……ふゥ」
一方通行(さァて、どォすっかなァ? 俺がコイツの趣味を聞いてどォなるってンだよ)
一方通行(……まァイイか。せっかく結標の野郎が作戦を提案してくれやがったンだ)
一方通行(とりあえず失敗覚悟でやってみっかなっと――)
風斬「……、……」
一方通行「……オイ」
風斬「!! は、はい!」ビクッ
一方通行「……風斬っつったか」
風斬「そ、そうです……、はい……」
一方通行「オマエの……趣味は何だァ?」
風斬「えっ……趣味、ですか……?」
一方通行「あァ……そォ、趣味」
風斬「……えと、……その……」
一方通行「…………」
風斬「……、……」
一方通行「……あン? どォした?」
風斬「……ええと、街の……」
一方通行「……街?」
風斬「街の中を……その。歩いて回るのが好きです、はい」
一方通行「……そ、そォか」
一方通行(よォするに散歩っつゥ事か……)
風斬「…………」
一方通行「…………」
芳川(……会話終了、か)ハァ
小萌(あははー、会話が終了しちゃいましたねー)タラ
一方通行「…………」
風斬「……え、えっと、あの!」
一方通行「あ、あァ。何だ?」
風斬「あ、あと、インデックスと一緒に、……その、遊ぶのも趣味です……!」
一方通行「そ、そォか。たしかオマエはアイツの連れだったっけなァ……」
一方通行「…………」
風斬「…………」
一方通行(……あン? 会話が続かねェ。どォいう事だ?)
芳川(――みたいな顔してるわね。わかりやすい子)
小萌(アクセラちゃん、会話を続けるには話を広げる事が重要なのですよー)
一方通行(……マジでどォしよォか。一旦ここは引いて結標に助け船を――)
風斬「……そ、その」
一方通行「お、おォ。何だ?」
風斬「……あ、あなたの趣味は、……その、何ですか……?」
小萌(おおっ! ナイスです風斬さん!)
芳川(会話を必死に繋ぎ止めようとしている健気さが泣けるわね)
一方通行「……趣味だァ、俺のか?」
風斬「は、はい……」
一方通行「お、おォ……」
風斬「…………」ドキドキ
一方通行「…………」
一方通行「…………」
風斬「…………?」
一方通行(……あ、アレ? 俺の趣味って何だっけか……?)
一方通行(趣味ってアレだよなァアレ。暇潰しみてェなモンだよなァ)
一方通行(俺って暇な時に何やってたっけなァ……?)
一方通行(…………)
一方通行(……暇あれば寝てンな)
一方通行(しかし今さらながら寝るっつゥのはあくまで生活リズムの中の一つだ)
一方通行(もしかしなくても趣味とは言えねェンじゃねェのか?」
一方通行(ナンテコッタイ。俺。趣味。ナクネ?)
一方通行(ならばどォ返答するべきだ? 素直に『趣味なンてねェ』と答えるべきか)
一方通行(いや待てよ、コッチから趣味を聞いたンだ。そりゃァさすがにねェだろ)
一方通行(ここはあえて『昼寝』と答えるか? 何かこォ考えると趣味っぽく見えるよォな……)
一方通行(……面倒臭せェ)
一方通行「……俺の趣味だが……」
風斬「……あっ、はい!」
一方通行「……正直に言うと趣味はねェ」
風斬「……ないんですか?」
一方通行「あァ……まァ強いていうなら寝る事だな」
風斬「寝るのがお好きなんです……か?」
一方通行「そォだな。暇ありゃ寝てる」
風斬「……寝過ぎたら、……その、寝られなくなりませんか?」
一方通行「何の問題もねェよ。俺は寝たい時に寝られる」
風斬「そ、そうですか。すごい……ですね」
一方通行「…………」
風斬「…………」
一方通行(……も、もォ限界だ。知って間もねェヤツとの会話はキツすぎる)
一方通行(今のは俺にしては頑張った方だろ。結構会話したと思えるぞ)
一方通行(まだ着かねェのか目的地にはよォ?)キョロ
一方通行(……まだ第二十学区にすら着いてねェ……)
一方通行(仕方がねェ。会話を続行させる)
一方通行(そのためにレベル5の脳みそをフル回転させるしかねェ)
一方通行(普段俺はどォやって会話してる)
一方通行(考えろ! 思い出せ! 見つけるンだこの状況の突破口ォ!!)
一方通行(……つゥか思いだそォにも風斬みてェなヤツと話した事ねェンだけど)
一方通行(前例がねェンだったら思い出しよォがねェじゃねェかクソが)
一方通行(なら他の方法を考えるしかねェ)
一方通行(…………)
一方通行(……そォいえば結標は趣味を聞けってメールに書いていた)
一方通行(今思ったが何で趣味なンだ? それが会話を繋げる事に何か関係があンのか?)
一方通行(今会話が止まってるところからして、趣味を聞く事が会話を広げる方法じゃねェ)
一方通行(……聞く?)
一方通行(…………そォか!)
一方通行(……結標の言いてェ事がやっと理解できた)
一方通行(よォするに質問して会話を繋げろっつゥ事だろ)
一方通行(初対面のヤツとの会話は質問攻めに限るとかどっかの木原クンが言ってた気がする)
一方通行(つまり、風斬に質問攻めして会話をとぎらせねェよォにするっつゥ事か)
一方通行(そォとわかりゃァ……)ジロ
風斬「……、……?」
一方通行(質問=疑問だろォからコイツを見て疑問点を探る!)ジー
一方通行「…………」ジー
風斬「……え、えっと……その……」モジモジ
一方通行「…………」ジー
風斬「…………。…………。あ、あの……」
一方通行「あァ? 何だ?」
風斬「私の顔に……その……。な、何かついて……ますか?」
一方通行「いや、別にそンなモン付いてねェけど」
風斬「そ、そうですか……ごめんなさい……」
一方通行「お、おォ……」
風斬「…………」
一方通行(……何か知らねェが謝らせちまった)
一方通行(まァイイ。とにかく観察しろ。早く見つけるンだ疑問を!)ジー
風斬(……ど、どうしてこっちを見てくるんだろ……?)オドオド
一方通行「…………なァ風斬」
風斬「……! は、はい! 何でしょう……?」
一方通行「思ったンだがよォ」
風斬「……はい?」
一方通行「オマエ何で制服着てンの?」
風斬「…………」
一方通行「…………?」
風斬「……あ、ああ。だから……ずっとこっちを見てたんですね……?」
一方通行「いや違げェけど」
風斬「……違うんですか……」
一方通行「で、何で制服着てンだ? 俺達は今から遊びに行くっつゥ予定だった気がすンだけどよォ」
風斬「……ええと、……だ、だめなんですか?」
一方通行「別に駄目とは言ってねェよ。単に疑問に思っただけだ」
風斬「そうなんですか。……そ、そのですね。別に理由は無いと思います、よ」
一方通行「そォか。意味はねェのか……」
風斬「は、はい……」
一方通行(……チッ、不味いな。このままじゃさっきと同じ状況じゃねェか)
一方通行(会話をとぎらせるわけにはいかねェ。何か質問を……!)
一方通行「……そォいやその制服って霧ヶ丘女学院のヤツだよな?」
風斬「え、ええと……はい、そうです」
一方通行「……霧ヶ丘っつゥ事はオマエも何かしら特殊な能力を持ってるっつゥ事か?」
風斬「…………、そ、その……」モジモジ
一方通行「…………」
風斬「…………」
一方通行「……あン? どォした?」
芳川「風斬さん。別に答えたくなかったら答えなくても良いわよ」
一方通行「あァン? 何勝手に会話に乱入しに来てンだ芳川ァ?」
芳川「別に。ただ私は空気を呼んだだけよ」
一方通行「空気だァ?」
小萌「アクセラちゃん。人には知られたくない秘密の一つや二つあるのですよー」
芳川「キミにもあるでしょ? 知られたくない事たくさん……」
一方通行「……そォか、わかった……」
風斬「…………。…………」
一方通行「風斬」
風斬「……は、はい……」
一方通行「この話題はもォなしだ。質問変えンぞ」
風斬「……、ご、ごめんなさい」
一方通行「別に謝る事はねェだろ。じゃあ質問だ」
風斬「…………」
一方通行「……そォだな。じゃあオマエとインデックスとの話でも聞かせろ」
風斬「……はい!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:00
-小萌の車・車内-
風斬「――というわけです」
一方通行「ヘェ。まァアイツらしいっつったらアイツらしいな」
小萌「……二人ともそろそろスキー場に着きますよー!」
風斬「……はっ、はい」
一方通行「もォそンな時間か。話してるとあっという間だったな」
風斬「……そ、そうですね」
一方通行「……そォいや話しててわかった事があンだがな」
風斬「は、はい?」
一方通行「いざ話すとオマエって結構喋るンだな」
風斬「……! い、いえ……そ、そんな事無いです」
一方通行「ま、別にイイけどよォ」
風斬「…………」
一方通行「……風斬」
風斬「……なんですか?」
一方通行「まァその何だァ、これから三日間っつゥ短けェ間だがお互い楽しむとしよォぜ」
風斬「…………は、はい!」ニコ
芳川「……へえ、一方通行にしてはやるようになったじゃない」
小萌「そうですねー。私が初めて会った時に比べても表情とかも柔らかくなったと思いますよ!」
芳川「え? それ本当に?」
小萌「? はい。そうですよ」
芳川「……性格はともかく表情はあまり変わって無い様な気がするのだけど……」
小萌「そうですか? ちゃんと変わってますよ!」ニコ
芳川(……もしかして私の心が荒んだ証拠なのかしら……泣けてくるわね……)ガク
小萌「?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:30
-第二十学区・スキー場-
青ピ「よっしゃあああ!! やっと着いたでえ!!」
土御門「同じ学園都市内とは思えないほど時間がかかってる気がするにゃー」
吹寄「旅行ってのは移動の時間も楽しむものよ!」
青ピ「楽しんだのはカミやんだけやん」
土御門「そーだにゃー、あの中で一番ハシャイでたと思うぜい」
上条「……そりゃあんだけ激辛せんべい食わされたら嫌でもはしゃぐわ……」
打ち止め「ヒーローさん。唇真っ赤だね、ってミサカはミサカは少し心配してみたり」
禁書「ひょうかー!」
風斬「……あっ、インデックス」
禁書「元気にしてたひょうかー?」
風斬「うん、私はいつでも元気だよ」
禁書「あくせられーたに変な事されなかった?」
一方通行「するかッ!!」
禁書「ひっ、わ、わかってるんだようん。あくせられーたはそんな事する人じゃないって事ぐらいうん」
一方通行「当たり前だ。大体俺がそンな事して何の得になるっつゥンだよ」
禁書「『男はケダモノですの!』ってじゃっじめんとっていう品のない女が言ってたんだよ!」
一方通行「アイツか……」
風斬「……、……え、えっと……」モジモジ
禁書「あっ、ごめんねひょうか! 今はひょうかと話しているんだったね」
一方通行「これはひどい」
風斬「……あの、その……えっとね……」
風斬「……良くしてもらったよ」
禁書「何?」
風斬「ちゃんと……優しくしてもらえよ……」
禁書「そっか! それならよかったんだよ!」
一方通行「……チッ、くっだらねェ」
結標「……あ、あ、あわわ……」ガクガク
一方通行「あン? 何間抜けな顔で突っ立ってんだオマエ?」
結標「あ、あああ貴方。一体彼女と何があったのよ?」
一方通行「ハァ? 別に何もねェよ。オマエのアドバイス通り動いて、ここまで会話繋げたンだよ」
結標「そ、そう、そうなの。よかったわね」
一方通行「良くねェよ。おかげで初日から体力底を尽きそうじゃねェか」
結標「……まだ半日も経ってないけど」
一方通行「早く寝てェ……」
黄泉川「ほいじゃ時間時間だから、宿泊所の部屋に荷物置いて昼メシとしようじゃん」
小萌「宿泊所はこっちですよー!」
打ち止め「おおおっー! こんなところにも雪が積もってるよー!? ってミサカはミサカは初めて見る雪に驚きを隠せなかったり!」
上条「この雪って本物なのか?」
芳川「違うわ。ここの雪は純度100パーの人工製よ」
一方通行「エラく汚く聞こえる純度100パーだなァオイ……っと」ザクザク
結標「……どうしたの? 何か歩くの遅くない?」
一方通行「……いや、何でもねェよ」ザクザク
姫神「もしかして。その杖じゃ雪の中歩くのは難しい?」
黄泉川「ああそっか。一方通行は杖持ちだったじゃん」
一方通行「別に構わねェよ。充分歩ける」ザクザク
吹寄「でもスキー場に入ったらもっと雪深いわよ?」
土御門「……つーかそもそも、アクセラちゃんはスキーできるのかにゃー?」
一方通行「…………」
上条「人の聞きにくい事を堂々と聞いてんじゃねえよ」
青ピ「ごめんなアクセラちゃん。つっちーも別に悪気があって言ったわけじゃないんやでー」
土御門「すまないにゃー」
一方通行「つゥか今さら過ぎンだろ障害者扱いすンの……まァそれについては問題はねェよ」
一方通行「俺にはコイツがあるから出来ねェスポーツはねェ」カッカッ
青ピ「出た! アクセラさんのチート能力やー!」
吹寄「たしかにベクトル操作があればどんなスポーツでも大抵トップクラスになれるわね……」
一方通行「スキーはやった事ねェが俺がヘマをするなんて事はねェ」
打ち止め「おおっー! じゃあジャンプして一回転なんて事もできるんだね! ってミサカはミサカは興味を示してみたり!」
一方通行「まァな。一回転どころか十回転でも百回転やってやるよ」
打ち止め「わぁー!! すごーい!! 絶対! 絶対にやってね!! ってミサカはミサカは期待の眼差しを向けてみたり!」
姫神「でもそのチートタイムも制限時間がある」
一方通行「…………」
芳川「まあいつもの事ね」
結標「……で、滑ってない時は通常モードにするとしても、その間はどうするの? ストックを杖代わりにするの?」
一方通行「まァそれが妥当だわな」
土御門「にゃー。ってことはアクセラちゃんはスキーしかできないって事かにゃー?」
一方通行「あン?」
上条「ああ、たしかに一方通行にはスノボは危ねえよな」
一方通行「……どォいう意味だ?」
芳川「単純にスノーボードはスキーみたいに杖代わりになる物を使わないからじゃないかしら?」
結標「かと言って杖を持ちながらするのもねえ……」
一方通行「……ケッ、そォいう意味か。ンなら問題ねェよ」
結標「え?」
一方通行「手筈通りなら例の物が宿泊所に届いてるはずだからな」
姫神「届いてる……何か頼んだの?」
青ピ「あっわかった! 今日発売の新作のエロg――ぎゃぁああああああああああッ!!」ドッパァァン
打ち止め「……あららー、アオガミがお星様になっちゃった、ってミサカはミサカはビシッと敬礼してみたり」ビシッ
一方通行「チッ、くだらねェ事言ってるからこォなるンだよ」カチ
黄泉川「……アイツ生きてるじゃん?」
土御門「どうせ青髪ピアスの事だから多分大丈夫だぜい」
結標「ホントひどい扱いよね、彼」
上条「で、結局何を頼んだんだ一方通行?」
一方通行「ああ、大したモンじゃねェよ気にすンな」
結標「何その言い方? ものすっごい気になるんだけど」
吹寄「そうね。いつもストレートにモノを言ってるけど、今回はやけに焦らすわね」
一方通行「あァ? いつも俺そンなストレートに言ってるか?」
姫神「うん。そういう印象ある」
一方通行「チッ、まァ本当に大したモンじゃねェから気にすンな」
結標「うわっ、余計気になるー」
青ピ「まさか同人s――どわぁああああああああああああああッ!!」グパァァン
一方通行「とにかくオマエらには関係ねェよ」カチ
土御門「青ピェ……」
結標「……まあいいわ。どうせ宿泊所に着いたらわかる事だし」
吹寄「……そうね」
禁書「……むむむ。とうま達は何か難しい話をしてるっぽいから会話に入れないんだよ」
風斬「……あはは、そうだね」
小萌「ところでお二人はスキーとかの経験はあるんですかー?」
禁書「私は無いに等しいんだよ!」フフン
小萌「何でそんな誇らしげなんですかー?」
風斬「…………、えっと……あの……」
小萌「風斬さん……いえ、風斬ちゃんはどうですかー?」
風斬「……は、はい。やっとこと……ない、です」
小萌「ほほう、そうなんですかー」
禁書「わーひょうか私と一緒なんだよ!」
小萌「じゃあ先生がきちんと二人にスキーを教えてあげますよ!」フフン
風斬「……あ、ありがとうございます」
禁書「えー、こもえがー? こもえはスキーできるのー?」
小萌「なあっ!? せ、先生はぁ大人だからスキーできるんですぅ!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:40
-第二十学区・スキー場・宿泊所-
ウィーン。
打ち止め「……おおっ! なんだかホテルのロビーみたーい! ってミサカはミサカは興奮しすぎて走り回ってみたり」トテチテ
一方通行「オマエホテル行った事ねェだろ」
結標「危ないから走っちゃ駄目よー」
青ピ「幼女がホテルって……ふぅ」
上条「また一方通行にブッ飛ばされるぞ」
土御門「そういうことは思っても口に出しちゃ駄目だぜい、生きていくためにも」
青ピ「せやな。これからは想像だけで我慢して――」
一方通行「遅せェよ」バキッ
青ピ「あァああああああああああああああッー!! 尻がぁ、尻がァああああッ!! 尻が二つに割れたー!!」
上条「尻は元から割れてんだろ」
黄泉川「じゃあ私と小萌センセは受付行ってくるから、適当にそこらで待ってるじゃんよ」
小萌「では行ってきます」
禁書「ねえねえとうまー」
上条「なんだよインデックス?」
禁書「あのじどーはんばいきに入ってるアイスクリームが食べたいんだよ」
上条「これから昼メシだぞ」
禁書「知ってる」
上条「じゃあ俺が買わない事ぐらい知ってんだろ」
禁書「でもとうまならきっと買ってくれるって信じてる」キラキラ
上条「だったらこれからは買ってくれない方を信じてくれ」
禁書「ぶーぶー」
禁書「と、いうわけでひょうか買ってー」
風斬「え、えっと……私?」
上条「買うんじゃねえぞ風斬。こいつの友達だってんならなおさらだ」
禁書「とうまは黙ってるんだよ! これは私とひょうかの話なんだよ」
風斬「……その、じゃ、じゃあ……」
吹寄「風斬さーん、こっちで一緒に雑談でもしましょー」
風斬「えっ? え、と、その……」
上条「別に行っていいぞ。インデックスの相手は俺がすっから」
風斬「……そ、あの、いいんですか?」
上条「別に行きたくないなら、それはそれで構わねえけど」
風斬「…………じゃあ行ってきます」
上条「いってらっしゃい」
上条「さぁて、こっからインデックスを説教する作業に入るわけだが……」
禁書「――わーい! ありがとうなんだよあくせられーた」
一方通行「気にすンな。その代わりこの施設の食料壊滅なンて事態を巻き起こすンじゃねェぞ」
上条「っておいぃぃぃぃ!!」
一方通行「あン? 何だよ三下」
上条「ナンデインデックスにアイス奢ってんですかねー?」
禁書「アイスうまー」
一方通行「別に構わねェだろ。アイスの一つや二つ」
上条「子供は甘やかしちゃ駄目なんですぅ!」
一方通行「知ってる。ウチのクソガキで十分身に染みてる」
上条「はぁ……まあいいや。で、お前は例のお届けモノを取りに行かなくていいのか?」
一方通行「おォ、今から行ってくるつもりだ」
上条「結局何を買ったんだ」
一方通行「もォすぐわかるってのになぜ聞いてくる」
上条「いやなんとなく」
一方通行「…………」
上条「……どうした?」
一方通行「いや、青髪の野郎ォがまた口挟ンでくると思ったからよォ」
上条「ああ、そうか」
青ピ「呼ばれて飛び出て――」
一方通行「呼ンでねェよ帰れ」
-受付-
一方通行「……あのォスンマセン」
受付「はい。何でしょう」
一方通行「俺宛の荷物が届いてるはずなンすけど」
受付「ええと……あ、あきゅすみません、アクセラレータ様でしょうか?」
一方通行「……ああそォだけど」
受付「では身分を証明できるものをお願いします」
一方通行「あァ」スッ
受付「……はい、確認しました。ではお受け取りください」スッ
一方通行「ありがとォよ」ガシ
打ち止め「ねえねえ! 先生二人は行ったけどヨシカワは行かなくてもいいの? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
芳川「私が行かなくても十分間に合ってるでしょ」
打ち止め「でもそれじゃあヨシカワは大人組にハブられてることになるよ、ってミサカはミサ痛い痛い痛い!」
芳川「どーこでそんな言葉覚えてきたのかしらねーこの子は……」グリグリ
一方通行「何やってンだこの馬鹿どもは」
打ち止め「あっ。その手に持ってるアタッシュケースはなに? ってミサカはミサカは興味心身になってみたり」
芳川「届くとか言ってたからダンボールかなにかに入ってるものかと思ってたけど……」
一方通行「あァ。これは特注品だからな」パカ
打ち止め「おおおおおっ――おおっ? なにこれ?」
芳川「何かの部品の様ね」
一方通行「……ヘェ。さすがは冥土帰し作だけあってよく出来てンなァこれ」ジー
打ち止め「なにそれ説明書? 見せて見せてー! ってミサカはミサカは頼み込んでみたり」
一方通行「別に構わねェがそンなモン見て何が面白れェンだ?」スッ
打ち止め「はい。ええっと……」ジー
芳川「何が書いてあるの?」
打ち止め「…………わかった! これは鉄砲だな、ってミサカはミサカはこの限られて情報から特定してみたり」
芳川「鉄砲? 何でキミみたいな武力の塊みたいな人が今さら銃火器?」
一方通行「違げェだろ。つゥか、どォ見てもこのパーツからそンなモン出来ねェだろォが」カチャカチャ
打ち止め「じゃあ何なの? ってミサカはミサカは再度尋ねてみる」
芳川「打ち止め。ちょっとそれ貸してちょうだいな」
芳川「…………これは……何かしら? ルンバの強化版?」
一方通行「何でそこで学園都市の外で売られてる機械の名前が出てくンだ」カチャカチャ
芳川「冗談よ。これが何かはすぐにわかったけど、先端に付いてるこれが気になってね」
打ち止め「えーなになにー? 教えてヨシカワー!」
芳川「もうそろそろ出来るだろうから、それを見れば一発解決よ」
一方通行「…………ほら完成だ」ガチャ
打ち止め「……うわぁ、なにこれー?」
―――
――
―
―
――
―――
小萌「はーいみなさーん。手続きを終えることができましたよー」
吹寄「どうやらやっと終わったようね」
結標「で、部屋割とかどうなってるんですか?」
黄泉川「せっかちじゃんね。また後で言うじゃん」
禁書「ひょうかー。一緒の部屋になれるといいねー」ペロペロ
風斬「……結局、アイス買ってもらったんだ」
上条「……不幸だ」
打ち止め「おおっー! やっと終わったかー。早く部屋に行こうよー、ってミサカはミサカは急かしてみたり」
芳川「こら、走らないって言われてるでしょ」
打ち止め「はーい!」
青ピ「……やっぱロリはええなぁ純粋で」
土御門「これで義妹+メイド服だったら完璧だにゃー」
ウィンカチャン、ウィンカチャン。
青ピ「ん、何の音これ?」
土御門「こっちの方から聞こえて来るぜい……え?」
ウィンカチャン、ウィンカチャン。
姫神「……何の音?」
吹寄「何か足が付いてるラジコンロボットを思い出す音ね」
結標「何でラジコンがこんなところに」
一方通行「ラジコンじゃねェよ」
結標「あら一方通行。どこに行って――はい?」
姫神「これは……」
風斬「ひっ」
禁書「おおっー。何だかすごく科学っぽいんだよ!」
上条「……一方通行。一応聞くけどそれ何だ?」
一方通行「何って決まってンだろ。これは――」
ウィンカチャン、ウィンカチャン。
一方通行「――杖だ」
ウィンカチャン、ウィンカチャン。
全員『(全然杖に見えない)』
ウィンカチャン、ウィンカチャン。
―――
――
―
―
――
―――
黄泉川「──じゃあ早速だけど部屋割りを発表するとしようじゃん」
吹寄「はいはーい。質問いいですか?」
小萌「なんですか吹寄ちゃん?」
吹寄「この部屋割りはどういう方法で決めたんですか? またくじ引きかなにかですか?」
黄泉川「それは流石にないじゃん。今回ばかりはくじじゃ駄目な点があるしな」
上条「男女を同じ部屋にするわけにはいかねえしな」
禁書「えっ。でも私ととうまは一緒の部屋に――」
上条「一緒には寝てねえだろうが!」
吹寄「上条……貴様というヤツは」
姫神「不潔ー」
上条「だからなんにもしてねえって! つか姫神さん事情知ってますよねえ!?」
風斬「…………、…………」
上条「ちょっと風斬さん! あなたまでそんな目で見ないでくださいお願いします!」
黄泉川「……ごほん。まあとにかく部屋は先生たちがちゃんと上手いこと決めたから安心するじゃん」
小萌「では発表するですよー。ちなみに部屋は四人部屋を四つ取ってますから」
黄泉川「じゃあまず206号室。上条、青髪ピアス、土御門、一方通行の四人じゃん」
土御門「にゃー、安易に予想できただけに残念だにゃー」
青ピ「えええっーむさ苦しい男四人なんてやだー!」
一方通行「文句言ってンじゃねェぞ。なんならオマエだけ廊下に放り捨ててやろォか」
青ピ「ちょ、アクセラちゃんそれダジャレ?」
一方通行「あン?」
青ピ「廊下に放り捨ててや“ろうか”なんて――」
ゴキッ
青ピ「」
上条「またか」
土御門「無茶しやがって……」
小萌「……ええと、じゃあ続きまして302号室です。吹寄ちゃん、姫神ちゃん、結標ちゃんの三人です」
吹寄「まあ、無難って言ったら無難ね」
姫神「問題ない」
結標「少し普通すぎるってのはあるかなー」
青ピ「だ、だったら姉さん! ここはボクを追加メンバーとして新たななか――」
グシャ
青ピ「」
一方通行「オマエの住処は廊下だろォが。イイ加減にしやがれクソ野郎が」カチ
上条「いつになったらこいつは成長するんだろうな」
土御門「青髪ピアスはこれで完全体みたいなものだぜい、もう手遅れだな」
黄泉川「次はそのお隣の303号室な。インデックス、打ち止め、風斬」
禁書「やったねひょうか! 私たち同じ部屋だよ!」
風斬「う、うん。そうだね」
打ち止め「ぶーぶー! なんかこれミサカだけハブられてる気がする、ってミサカはミサカは頬を膨らませて文句をたれたり」
結標「そういえばそうね。一緒に住んでるメンバー誰もいないし」
一方通行「たまには社会勉強して来いクソガキ」
打ち止め「そのセリフそっくりそのままあなたに返すよ!」
一方通行「ンだと潰すぞゴラ」
禁書「まあまあらすとおーだー! 私たちと一緒に頑張ろう!」
風斬「……えっと……が、がんばろ」
打ち止め「……うん! なにを頑張るのか分かんないけどガンバろ! インデックスとカザキリお姉ちゃん!」
風斬「お、お姉ちゃん……?」
禁書「ちょ、ちょっとらすとおーだー! 私もあなたより年上なんだから私もお姉さんなんだよ!」
一方通行「オイ、なんかガキがほざいてンぞ」
上条「そういう年頃なんだろ」
禁書「む、とうま。なんかそこはかとなく私の事馬鹿にしてない?」グルルル
上条「え゛っ? な、何で俺だけなんでせうか。そ、そもそも一方通行が最初に――」
禁書「問答無用なんだよ」ガブッ
上条「理不尽だァああああああああああああああああああっ!!」
小萌「ちなみに私たち教師と芳川さんは107号室にいますので、なにかあったら尋ねてみてくださいね」
黄泉川「それじゃあ、それぞれの部屋に行って荷物置いてくるじゃん」
小萌「そのあとは食堂に集合ですからねー」
打ち止め「よーし、じゃあ誰が最初に部屋に着くか競争しようよ! ってミサカはミサカはフライングロケットスタート!!」ダッ
禁書「あっ、待つんだよらすとおーだー!」ダッ
風斬「あ、あの。二人とも……走っちゃ……」オロオロ
一方通行「ガキどもなンてほっとけ。一々構ってたら面倒なだけ」ウィーンウィーン
吹寄「えっとアクセラ? その杖の音の事でちょっと良いかしら……」
一方通行「あァ? かっけェだろこれ」ウィーンウィーン
結標「いや、カッコよくはないけど」
姫神「というより。正直うるさい」
一方通行「あー、やっぱ女どもにはわかンねェかこの杖の良さが」ウィーンウィーン
土御門「残念ながら俺にも分かんないぜい」
青ピ「せやな」
上条「音に関しては前のヤツのがよかったな」
一方通行「なン……だと……?」ウィーンウィーン
黄泉川「一方通行ー。その音どうにかならないか? 寝てるときとかに横歩かれたら絶対にうるさいじゃん」
芳川「そうね。心地のいい音とは言えないわね」
小萌「え、えーと……」
一方通行「……チッ、わかったわかった。サイレントマナーにすりゃイインだろクソッたれ」カチャ
上条「携帯かよ!」
一方通行「…………」スイー
結標「すごい……本当に静かになってる」
吹寄「どういう技術なのこれ……」
芳川「さすがね冥土帰し……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:00
-スキー場・宿泊所・食堂前ロビー-
打ち止め「──というわけで今は昼食の後だよ! ってミサカはミサカは説明してみたり」
一方通行「いきなり何を言い出しやがンだこのクソガキは」
打ち止め「いやー一応説明しとこうかなーって」
一方通行「誰にだよ」
禁書「ふぅー、腹八分くらいなんだよ」
上条「バイキングで出ていた料理片っ端から食い尽くしたやつの言うことじゃねえな」
姫神「給仕の人泣いてた」
芳川「うふふ、ほんと一度だけでいいから研究させてもらえないかしらねえ、その体」
結標「まだ諦めてなかったんですね……」
青ピ「しかし、毎度毎度そのちっこい体のどこにあんな量の食いモンが入るんかほんま不思議やでー」
禁書「むー、ちっちゃくないんだよ!」
吹寄「またか青髪……」ボキボキ
青ピ「あ、あはははははジョークやんジョーク、アメリカンジョーク」
上条「どこにアメリカ要素があんだよ」
黄泉川「じゃあ、これからスキー場に行くから各々の部屋にスキーのセット置いてるから、着替えてから一時半にスキー場の入ったところに集合な」
小萌「ちゃんと部屋の鍵は閉めるんですよー」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:30
-スキー場・入口-
黄泉川「――よーし。全員集合できてるな」
一方通行「……チッ、動きづらくてうっとおしいなこの服は」
芳川「ぷっ、似合ってない……」クスクス
黄泉川「じゃあ、これからの事をはな――」
一方通行「あァクソババァが。オマエはスッゲェ似合ってるなァババァだから」
結標「何で貴方はこんなところまで来て喧嘩してるのよ」
姫神「まあ。それについては今さら感がある」
一方通行「つゥか喧嘩売ってきたのはこのババァだろ。文句ならコイツに言え」
芳川「やだー、似合ってないって誉め言葉だったのよー知らなかったのー?」
一方通行「聞いた事ねェよそンな褒め言葉。つゥかその気持ち悪りィ喋り方やめろ」
禁書「とうまー。雪ってなんだかおいしそうだね」
打ち止め「ああ、それわかるかも。それならかき氷食べ放題だね、ってミサカはミサカはベタなボケをかましてみる」
上条「言っとくけど学園都市の人工雪は化学物質のオンパレードだぞ。あんま口に入れんじゃねえぞ」
青ピ「おっ! あそこのお姉さん無茶苦茶レベル高いで土御門くん!」
土御門「うむ、やはりまずはメイド喫茶に行って態勢を整えないとな」
吹寄「なんの態勢を整えるつもりなのよ」
姫神「……吹寄さん。そのスキーのセット。なんか私たちのと違うね」
吹寄「よくぞ聞いてくれました! これはこの前通販で買った――」
黄泉川「だぁーお前ら少しは静かにするじゃん! こっちはこれからのことを話すって言ってるじゃん!」
小萌「黄泉川先生落ち付いて」アワアワ
黄泉川「お前ら風斬を見習うじゃん。こんな周りが騒がしい中ずっと黙って待ってたじゃん!」
風斬「え? え、ええと……」
一方通行「オイ黄泉川。こンなくだらねェ説教に風斬使うなよ。困ってンじゃねェか」
芳川「果てしなく今キミが言うべきセリフじゃないわよね」
禁書「ねえねえ。ひょうかもこの雪一緒に食べてみる?」
風斬「え。……その、私はいいかな」
上条「つーかさっき食うなっつったばっかなのになぜすぐに忘れるんだお前は」
黄泉川「ああー、楽しくなってきた。やっぱ悪ガキどもはいいじゃんねー」フフフ
小萌「黄泉川先生お気を確かにー」オロオロ
黄泉川「――じゃあ話を続けるじゃん」
打ち止め「続けるというかまだ始まってすらないけどね、ってミサカはミサカは――」
結標「しっ。わかってても口には出さないでね打ち止めちゃん。話が進まないから」
打ち止め「はっ。ごめんね黄泉川。どうぞ続けて続けて」
黄泉川「……これからスキーの経験者と初心者の扱いについて話すじゃん」
黄泉川「経験者は中級コースは勝手に行ってよし。上級コースは私が一緒についてくじゃん」
青ピ「ええっー上級コースは黄泉川センセがついてくるんかいな」
土御門「素直にスキーを楽しめそうにないぜい」
吹寄「だからお前らは黙ってろと言ってるだろ」
黄泉川「少しでも危ないことしたらしごくからな?」
一方通行「上級者とやらに何を求めてんだオマエは」
小萌「で、初心者の方たちは私が丁寧に教えますからねー」
上条「でも先生。普通こういうのは体育の教師である黄泉川先生が教えるんじゃないんですか?」
小萌「上級者コースで他の子を見ながら滑るなんて器用な真似、黄泉川先生にしか出来ないですからねー」
姫神「だから小萌先生が。自動的に初心者コースの担当」
一方通行「で、芳川。オマエは何の担当なンだよ?」
芳川「私? 私はゲレンデを優雅に舞う美女たんと――」
一方通行「ハイハイここでもニートですねェ分かりますゥ」
黄泉川「じゃあ各々スキーを楽しむこと! 以上、解散!!」
―――
――
―
―
――
―――
青ピ「おっしゃー! 監視の目のない中級コースに特攻やで二人とも!」
土御門「俺パス」
上条「お、俺もパス」
青ピ「何でや二人とも!?」
土御門「メイドが俺を呼んでるんだぜい? これは行くしかないにゃー」
上条「俺はちょっと初心者コースで体慣らしてから行くわ」
上条(まあ本当はスキーなんてやった記憶がないから不安なだけだけどな)
青ピ「ほんまノリ悪いで二人とも」
上条「テメェは複数で行かなきゃナンパもできねえのかよ」
青ピ「カミやーん、そこまで言うなら一人で出来るんやろうなーナンパ」
上条「しねーよ」
土御門「じゃ、俺はちょっと行って来るぜい」
上条「何でお前ら素直にスキーする気ねえんだよ」
吹寄「よし、この旅行で一生スキーしなくてもいいくらい滑るわ!」
結標「ふふ、なにそれ」
吹寄「ところで結標さんは何コースに行くつもりなの?」
結標「私はとりあえず初心者コースかな。上条君が言ってたみたいに慣らしてから中級かな」
姫神「私も。初心者コース」
吹寄「姫神さんはスキーやったことないの?」
姫神「私が前住んでたところは。なにもない田舎だったから……ふふふ」
吹寄「てことは中級者コースに行くのは私だけか」
結標「青髪君がいるじゃない」
吹寄「なにが悲しくてあんなヤツと滑らなきゃいけないのよ。こうなったら思い切って上級者コース行ってみようかしら」
姫神「青髪君かわいそす。どうでもいいけど」
吹寄「ま、二人共は精々愛しのあの人との距離を縮められるように頑張る事ね」
結標「ぶっ、な、何でここでその話題になるのよ!?」
吹寄「絶好の機会じゃない。こういう日常から少し離れたイベントは恋愛において有効に働くはずよ、たぶん」
姫神「そういえば。アクセラ君はどこのコースに行くの?」
結標「え、一方通行? ……そういえばあいつどこのコースに行くのかしらね」
吹寄「初心者のようだったし初心者コースじゃない?」
姫神「でも彼。プライド高そうだから上級者コースとかあり得るかも」
吹寄「そっか。そういえば初心者コースには――」
小萌「頑張りましょうね皆さん!」
禁書「がんばって滑られるようになるんだよ!」
打ち止め「ミサカも10777号みたいにすいすい滑られるように頑張る! ってミサカはミサカは握りこぶしを作って意気込んでみたり」
吹寄「……あの子たちがいるしね」
結標「……あはは」
姫神「……まあ。そういうのは本人に聞くのが。一番早い」
吹寄「それもそうね。……えーと、あれ? いなくない?」
結標「いつの間に消えたのかしら」
姫神「白いから。雪に擬態してる?」
吹寄「さすがにそれはないでしょ」
結標「うーんと、あっ。芳川さん!」
芳川「なにかしら淡希?」
結標「一方通行どこに行ったか知りませんか?」
芳川「さあ? 厨二病特有の孤独空間に逃げ込んだんじゃないかしら?」
吹寄「……どういうこと?」
姫神「つまり。一人が好きだから。どこかに行った。ってこと?」
結標「なんの解決にもなってない返答ね」
吹寄「まあ、結標さんは初心者コースに行くより彼を見つけに行くのが先のようね」
結標「うん、まあどうせだし白いの捜してくるわ」
姫神「私は先に。初心者コースに行ってる」
結標「うん、了解」ザクザク
姫神「…………これで上級者コースとかに。アクセラ君がいたら」
吹寄「なんてこったい、ってなるわね」
姫神「じゃあ見つけたら。連絡してあげるとしよう」
吹寄「わかったわ。じゃ、私は中級、上級と見てくるから初心者の方お願いね」
姫神「うん」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:40
-スキー場・休憩所-
一方通行「……あァ、スキーの道具邪魔クセェ。歩きにくくてしょうがねェ」ザクザク
一方通行「とっとと落ち付ける場所に行ってゆっくりしねェとな」ザクザク
一方通行「…………」ザクザク
一方通行「しかしコイツの性能はすげェモンだな、前のヤツより格段に歩きやすい」ザクザク
一方通行「今自分が雪の上を歩いてるなンて忘れてしまいそォだな」ザクザク
一方通行「…………」
一方通行「つゥか、スキーの道具重すぎンだろクソが」
―――
一方通行「……やっと落ち付ける場所に来られたか」
一方通行「とりあえずこの道具はここに置いとくか」ガチャ
一方通行「さァて、自販機で缶コーヒーでも買ってくるかなァ」スー
一方通行「……えェと、最近ハマってるコーヒーのメーカーはァと」キョロキョロ
一方通行「ああ、あったあそこか。……あン?」
一方通行「何やってンだあのガキ……?」
絹旗「……むむ、財布を忘れてくるなんて超ついてないですね」
絹旗「まさか超浜面ごときにじゃんけんで負けるとは思いもしませんでした」
絹旗「このまま飲み物を買ってこないで帰ったら、麦野に超ドヤされますね」ブル
絹旗「…………はぁ」
一方通行「……オイ」
絹旗「!? あ、はいなんですか?」ビク
一方通行「買わねェンならそこどけ」
絹旗「ああ、すみません。今すぐどきます」
一方通行「…………」スー
一方通行「…………」チャリンピッガチャン
絹旗「……………」
一方通行「……何だよ?」
絹旗「あ、いえ別に……」
一方通行「買わねェのかよ」
絹旗「財布を超忘れてしまって……」
一方通行「あァ、そォ……」スー
絹旗「超待ってください!」ガシッ
一方通行「杖を持つンじゃねェ! 歩けねェじゃねェか!」
絹旗「こんな可愛い美少女が超困ってるのにあなたは助けようとは思わないんですか!」
一方通行「自分で可愛いとか言ってンじゃねェよ、ブチ殺すぞクソガキ」
絹旗「初対面の人にブチ殺すはないんじゃないですか?」
一方通行「初対面の人にたかるのもねェよ」
絹旗「お願いしますー! 私超困ってるんですよー! 手ぶらで帰ったら怖い上司にブチコロシ確定されちゃうんですよー!」
一方通行「勝手に殺されてろ……つゥか全然右手が全然動かねェンだが」
絹旗「ふふーん。こう見えても私はレベル4の能力者なんですよ! あなたの右手を動かせなくするくらい超造作の無いことです!」
一方通行「……チッ、分かった。買えばイインだろ買えばよォ」
ピッ、ガチャン
絹旗「いやー本当にありがとうございます! あなたに会えて超良かったと思います」
一方通行「何でこンなに大量に買ってンですかねェ」
絹旗「罰ゲームでメンバー全員分のジュースを超買わなきゃならなかったですよ」
一方通行「……全部で十本っつゥことは結構大勢で来てンだな」
絹旗「いえ。来ているのは私含めて五人だけです。あまりの五本はどうせだから自分用にとっておこうと」
一方通行「人サマの金だっつゥのに何てことしやがるンだこのガキァ」
絹旗「本当に感謝してますって! ではそろそろ私は行きます」ザクザク
一方通行「おォいけいけ。そして二度と俺の目の前に現れるな」
絹旗「超ありがとうございました一方通行!」
一方通行「…………オイ待て」
絹旗「何ですか超呼びとめて。さっき自分で目の前に現れるなとか言っておきながら」
一方通行「何でオマエ俺の名前知ってンだよ?」
絹旗「あれ? 知ってちゃ超マズイ事でもあるんですか?」
一方通行「別にそんなこたァねェが、一応聞く。何で俺の名前を知ってやがる」
絹旗「そりゃあ、自分の能力向上させてくれた恩人の名前ですからね。まあ、そのせいでこんな超泥臭いことさせられてるわけですが……」
一方通行「……オマエ、『暗闇の五月計画』の被験者か」
絹旗「はい、絹旗最愛と申します。現在暗部で絶賛活躍中の超美少女ですよ!」
一方通行「……つゥことはオマエの仲間っつゥのは……」
絹旗「そうですね。あなたの考えてる通りです」
一方通行「チッ、くっだらねェ。失せろクソガキ」
絹旗「はーい! 言われなくても超撤退しますよー、と」ザッザッザ
一方通行「…………」
一方通行(何でこンな何の変哲もねェスキー場に暗部のヤツらが……)
一方通行(まさか俺を再び暗部に引き入れよォなンて考えてンじゃねェだろォな)
一方通行(その場合、俺はアイツらと……)
一方通行「…………」
一方通行「ケッ、面白ェじゃねェか。来いよクソ野郎どもが。まとめて片付けてやるよクソッたれ」
―――
――
―
―
――
―――
結標(な、なんかどうせ休憩所とかで休んでるんだろう、とか思ってここまで捜しに来たら変な場面に出くわした)←自販機の影に隠れている
結標(位置的に遠くて会話の内容までは聞こえなかったけど、何となく並ならぬ雰囲気なのは分かるわ)
結標(というかあの娘誰よ? 今まで一緒に生活してきて一度も見たこと無いんだけど)
結標(見たところ小学生か中学生ってくらいかしら……)
結標「――――」ブツブツ
少年「ママー、なんかあの人独りでぶつぶつ言ってるよー?」
母親「しっ。見ちゃいけません!」
結標「……………」
結標(……なんかアイツの周りって小さい子がヤケに集まるような気がする)
結標(うーんと……)
結標(……打ち止め、インデックス、そしてあの娘……)
結標「…………はっ!?」
結標「やはりアイツはロリコ――」
一方通行「何やってンだオマエ?」
結標「あ、一方通行ぁっ!?」
一方通行「あン?」
結標「ひ、久しぶりねほんと、一万年と二千年ぶりかしらあはははー」
一方通行「ハァ?」
結標「ところで何か用かしらー?」
一方通行「自販機の後ろに隠れて真面目に何やってンだよ変態か?」
結標「い、いや自販機の下に五百セント玉が入ったからちょっと取り出そうと……」
一方通行「五百セントの硬貨なンざあったか?」
結標「そ、そうだ一方通行。貴方ってスキーのコースどこにするの?」
一方通行「何だいきなり?」
結標「実は私それが知るために貴方を捜しにここまで来たのよね」
一方通行「何でまた」
結標「そ、その、ええと……一緒のコースを滑りたいというかなんというか……」ボソッ
一方通行「つゥか、俺は疲れたから休憩してェンだけど」
結標「なんで貴方はそういつもいつも開始早々休みたがるのかしら……?」
一方通行「面倒臭せェから」
結標「……とにかくどのコース行くの? 初心者? 中級者? それとも上級者?」
一方通行「…………じゃ、間をとって昼寝コースを――」
結標「はぁいじゃあお姉さんと一緒に初心者コース行きましょうかー」グイグイ
一方通行「オイ無理に引っ張ンじゃねェ! 雪に引っ掛かってコケンだろォが!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:00
-スキー場・初心者コース-
ワイワイガヤガヤ
結標「――お待たせー。馬鹿一人捕まえてきたわー」
一方通行「誰が馬鹿だミンチにするぞコラ」
姫神「おかえり。二人とも」
上条「おお、一方通行。お前も初心者コースか」
打ち止め「あれー? てっきりあなたは上級コースに行くと思ってたのに、ってミサカはミサカは少し驚いてみる」
一方通行「……そォいやインデックスと風斬はどこいった?」
上条「スキーがなかなかうまく出来なくて、いじけて雪遊びが出来るコーナーに行った」
一方通行「で、風斬もそれに付いて行ったと」
打ち止め「ヨシカワも疲れたって言ってあっちに行ったよ」
一方通行「開始早々疲れてンじゃねェよ。つゥかゲレンデを優雅になンたら言ってたクセに初心者コースかよ」
小萌「……というかアクセラちゃん
一方通行「あァ?」
小萌「さっきまで持ってたスキーの道具はどこへ行ったんですか?」
一方通行「…………あ」
結標「そういえば貴方持ってなかったわね」
一方通行「休憩所に置いてきちまったな」
結標「な、なんですってー!?」
一方通行「オマエが強引に引っ張ったせいだな」
上条「つーかなんでお前早々に休憩所なんかに行ってんの?」
小萌「困ったですねー、ここから休憩所までアクセラちゃんにとっては結構ありますよ?」
姫神「それに下手すれば。もう係員に回収された可能性がある」
一方通行「つまり俺はスキーをするなと言う神のお告げが――」
結標「……しょうがないわね。多少ながら私にも責任があるようだから、私が取ってくるわ」
一方通行「ハァ? なにもオマエがそこまでする必要はねェよ」
結標「いや、でも取りに行かないと貴方スキーできないじゃない」
打ち止め「そもそも道具を置きっぱなしにするの自体駄目だよね、ってミサカはミサカは正論を言ってみたり」
上条「……つーか一方通行」
一方通行「あン?」
上条「スキーの道具じゃねえけど代わりにスノボならあるぜ?」
小萌「何で初心者コースにいる上条ちゃんがスノーボードなんて持ってるんです?」
上条「いやー、わずかな希望にかけてみようと……」
姫神「大体。アクセラ君にスノーボードは。ちょっとキツイものがある」
上条「ああそっか」
一方通行「いや構わねェ。それを貸せ」
結標「ちょっと貴方。スノーボードなんて出来るの?」
一方通行「あァ? 俺を誰だと思ってやがる。スキーだろォとスノボだろォ変わンねェよ」
打ち止め「まあ、能力を使う点では変わらないね」
一方通行「それより、あンな大量の道具担ぐより板一枚の方が楽だ」
上条「じゃあほい。スノボ」スッ
一方通行「おォ」
小萌「あのーアクセラちゃん?」
一方通行「何だよ」
小萌「私はスキーは教える事出来ますけど、スノーボードは出来ませんよ?」
一方通行「問題ねェ。よォするにこれは板に乗って雪の上を滑るスポーツだろ?」カチャカチャ
上条「……何でここで装着してんだよ?」
姫神「一度ゴンドラで。上にあがってから付けないと」
一方通行「そンな面倒臭せェモン乗る必要ねェよ」カチ
結標「……まさか」
ドッフゥゥゥゥン!!
打ち止め「おおおっー!! ボードに乗ったあの人がすごい速度で坂を登っていった! ってミサカはミサカは説明口調で驚いてみたり」
上条「うわぁ、相変わらず無茶苦茶しやがるなー」
結標「というかあれってありなの?」
姫神「規則的にアウト」
小萌「あわわわー。事故とか起こらなければいいんですけどー」
上条「時速何キロ出てんだアレ?」
姫神「結標さん」
結標「……なにかしら?」
姫神「あれと一緒に。ゲレンデをランデブー出来るの?」
結標「……多分無理」
―――
――
―
―
――
―――
-スキー場・雪遊びコーナー-
禁書「――見てみてひょうかー。うさぎを作ったんだよ」
風斬「ええと……うさぎ……うさぎ?」
芳川「ただの雪の塊にしか見えないわね」
禁書「むー、うさぎって言ったらうさぎなんだよ――って、ん?」
風斬「どうしたの?」
禁書「何だか坂をすごい速度で上ってる人がいる」
風斬「それって……危ないんじゃ……?」
芳川「まったくモラルのないヤツね。一体どこの一方通行かしら」
禁書「えっ? あれあくせられーたなの?」
風斬「……たしかにそうですね」
禁書「ひょうか結構距離あるのに見えるの?」
風斬「見えるというか、なんというか……」
芳川「まあ、やっぱりこっちに避難して正解だったようね」
禁書「なんで?」
芳川「あんな時速百キロは優に超えた化け物と正面衝突したら、一般人の体なんてひとたまりもないわ」
風斬「でも……あの人も、その、ちゃんと考えてるんじゃ……」
禁書「んー、なんか百キロとか言ってたらおなか空いてきたんだよ」
芳川「何の関連性があるのか全く分からないんだけど」
禁書「そんなこと言われても困るかも」
芳川「……というか、まだ二時なんだけどおやつの時間は来てないわよ?」
禁書「一時間なんて誤差あってないようなものなんだよ!」
風斬「……じゃ、じゃあ売店とか見に行ってみる?」
禁書「うん!」
芳川「……ふむ。ツッコミ役がいないからカオスな展開が予想されるわね」
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:20
-スキー場・上級者コース-
一方通行「……あン? 気付いたらよく分かンねェ場所に来ちまった」
一方通行「見たところ初心者コースより複雑に見えるな」
一方通行「つまり中級か上級のコースっつゥことだな」
一方通行「…………」
一方通行「……しかしやっちまったなァ」
一方通行「あまりにスノボっつゥのが楽しくて、バッテリー残量を無視してハシャギ回っちまった」
一方通行「精々あと五分あるかねェか、か」
一方通行「……さァて、ここはどこなンですかねェ」
吹寄「あら。アクセラじゃない」
一方通行「……吹寄か」
吹寄「どうしたのこんなところで。というか結標さんが捜してたわよ」
一方通行「あァ知ってる。つゥかもォ会った」
吹寄「……たしか結標さんは初心者コースに行ってるはずだけど、なんであなたはここにいるの?」
一方通行「いやァ、アレだアレ。スノボで坂を上ってたらどこまで速度出せンのか試したくなってよォ」
吹寄「……あれ、スノーボードって坂を上るスポーツだったかしら……?」
一方通行「それでよォ、音速辺りの速度になったらさすがに学園都市製のボードでも悲鳴を上げてな」
吹寄「なにをどうやったらスノーボードで音速を出せるのよ」
一方通行「つゥわけでこの辺りで勘弁してやるかと思ってやめたわけだ。そォしたらよく分かンねェ場所へ辿り着いた」
吹寄「……つまりスノボで遊んでたら上級者コースに迷い込んだってこと?」
一方通行「そォなるな」
吹寄「でもあなたなら、すぐにここから脱出くらい余裕で出来るんじゃないの?」
一方通行「そォしてェけどバッテリー残量が怪しいから、あンま無駄遣い出来ねェンだよ」
吹寄「どれだけはしゃいでたのよ……」
一方通行「つゥわけで出口どこか教えてくれ」
吹寄「……まあ別にいいけど、聞くまでないと思うわよ」
一方通行「……どォいう事だ?」
吹寄「スキー場なんだから、普通に下りていけばいずれはスタート地点に辿り着くでしょ?」
一方通行「……言われてみればそォだな。聞くまでもねかった」
吹寄「でしょ」
一方通行「……つゥかここ上級コースだよな?」
吹寄「そうだけど」
一方通行「上級コースって黄泉川が監視してンだよな。アイツドコ行った?」
吹寄「ああ、黄泉川先生ならそういうのすっぽかして滑って遊びまくってるわよ」
一方通行「ナニやってンだあの馬鹿は。仕事しろよ真面目に働いてンのは月詠だけかよ」
吹寄「まあいいんじゃない。おかげでこっちものびのび出来るし」
一方通行「そォか。じゃ、俺そろそろ行くわ」
吹寄「あっ、ちょっと待って」
一方通行「あァ?」
吹寄「せっかくだしちょっと話していかない?」
一方通行「何だよいきなり」
吹寄「いや、私とアクセラって二人っきりで話すことってあんまりなかったじゃない」
一方通行「そォだったか?」
吹寄「まあいいじゃない。どうせ暇でしょ?」
一方通行「……チッ、しょうがねェな」
吹寄「そう、ありがとね」
一方通行「で、何を話そうってンだ? まさかくっだらねェ世間話とかじゃねェだろォな」
吹寄「あら、いつもと違った会話がいいの?」
一方通行「いや、別にそォいうわけじゃ──」
吹寄「じゃあアクセラって好きな人とかいるの?」
一方通行「…………は?」
吹寄「あれ、聞こえなかった? 好きな人がいるか聞いてるのよ、恋愛的な意味で」
一方通行「何でそンな話になりやがンだ?」
吹寄「あなたが望んだことじゃない」
一方通行「望ンでねェよ」
吹寄「実際のところどうなのよ? 一人くらいいるんじゃないの?」
一方通行「いるわけねェだろボケ。俺みてェなツラしたヤツが『俺、今、恋してます』とか言ったら全米が大爆笑すンぞ」
吹寄「誰も笑わないわよたぶん」
一方通行「大体オマエ、そンな質問してきたっつゥことは俺にそォいうヤツがいると思ってやがったのか?」
吹寄「いや、別に思ってないけど。他愛のない世間話よ」
一方通行「世間話だったのかよこれ」
吹寄「……まあいいんじゃない。たまにはこんな会話も」
一方通行「良くねェだろ。似合わな過ぎて虫唾が走る」
吹寄「そこまで言う事はないんじゃない?」
一方通行「そこまで言うほど似合わねェンだよ」
吹寄「ふーん、そうなの」
一方通行「チッ」
吹寄「じゃあ、私はそろそろ行くわね」
一方通行「くだらねェ世間話はもォ終わりかよ」
吹寄「もっと話したかった?」
一方通行「これで終わりだと思うと安心する」
吹寄「じゃ、結標さんと仲良くねー」サー
一方通行「オイ、何でそこでアイツの名前が出やがる」
一方通行「……チッ、行っちまいやがったか」
一方通行「…………」
一方通行「……あの野郎。一体どォいうつもりであンな会話を持ちかけてきやがったンだァ?」
一方通行「そして最後に唐突に出てきた結標の名前……」
一方通行「…………」
一方通行「……くっだらね」カチ
ドパァァァン!!
―――
――
―
―
――
―――
同日 14:50
-スキー場・初心者コース-
小萌「――ではそろそろ休憩の時間としますかねー」
結標「休憩時間はどれくらいですか?」
小萌「そうですねー。じゃあ一時間くらいでどうでしょうか?」
上条「一時間……結構長いなぁ」
小萌「上条ちゃん。スキーは危険がいっぱいなので、しっかり休むことが大事なんですよ!」
上条「初心者コースにどんな危険があるってんだ」
結標「まあいいんじゃないかしら。時間的にもおやつの時間なわけだし」
打ち止め「えっ、おやつ!? ミサカ疲れたから糖分みたいなものが欲しいー出来ればケーキ、ってミサカはミサカは要求を惜しみなく言ってみたり」
結標「ケーキかぁ……そんなものこのスキー場にあるのかしら?」
姫神「そういえば。このスキー場には美味しいケーキで有名な喫茶店があるとかなんとか」
結標「へえ、なんとも都合よくあるものねえ。じゃあそこに行く事にしましょうか打ち止めちゃん」
打ち止め「うんいいよー、ってミサカはミサカは手をあげて了承してみたり!」
上条「じゃあ俺はインデックスのやつが無茶してねえか見てくるとすっかな」
結標「芳川さんたちが付いてるから大丈夫じゃないの?」
上条「あいつが暴走するとやべえからな。親友の風斬でも押え切れるかどうか……つーかあいつには無理だ性格的に」
姫神「じゃあ私もついてく。冷静キャラは一人でも多い方が良い」
小萌「私は休憩所にいますから、何かあったら来てくださいねー」
打ち止め「じゃあじゃあアワキお姉ちゃん! 早く喫茶店に行こうよ! ってミサカはミサカは急かしてみたり!」
結標「まあまあ落ち着いて。とりあえず案内板を探して、それで場所を確認するとしましょ」
打ち止め「了解ー……ん?」ピク
結標「どうかしたの?」
打ち止め「何だかすごい音が聞こえてこない? ってミサカはミサカは耳を澄ませてみたり」
結標「すごい音? ええと……何も聞こえないけど」
打ち止め「…………あっ。段々と近づいてきた!」
ドッパァァァン!
結標「あ、ホントだ。 ……ってこの音って……」
一方通行「オラァ!!」
ドッパァァァァァン!!
打ち止め「あっ。あの人だ!」
結標「やっぱりか」
一方通行「よォオマエら。奇遇じゃねェか」カチ
結標「別に同じスキー場にいるんだから奇遇でもないでしょ」
打ち止め「どうしたの? こんなに寒いのに汗ダラダラで、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
一方通行「あァ? アレだアレ。電池の残量が危ねェから徒歩と能力使用を繰り返してここまで来たンだよ」
結標「そんな能力の無駄遣いをするから……」
一方通行「ところでオマエら何やってンだ? つゥか他のヤツらはどこに消えた」
結標「ああ、初心者コースは今から一時間くらい休憩よ」
一方通行「休憩だと?」
打ち止め「そうそう。だからミサカたちはこれからケーキを食べに行くんだー」
一方通行「平和なヤツらだなァ」
結標「そうだ。よかったら貴方も一緒にどう?」
一方通行「ハァ? オマエ知ってンだろォが、俺が甘いモン好きじゃねェことを」
結標「場所は喫茶店だからコーヒーの一つでもあるでしょ」
一方通行「……面倒臭せェ」
打ち止め「つまりオッケイってことだね、ってミサカはミサカは勝手に自己解釈してあなたの腕を引っ張ってみたり」グイグイ
一方通行「ふざけンなクソガキが。離せコラ」
打ち止め「でも口の割には大して抵抗しないんだね」
一方通行「……アレだ、俺は疲れてンだよ」
結標「疲れてるなら喫茶店で休めばいいでしょ」
打ち止め「そうだよー! 今なら美味しいケーキと飲み物がついてくるよー、ってミサカはミサカは食べ物で誘惑してみたり」
一方通行「……分かった。行けばイインだろ行けばよォ」
打ち止め「おおっ。まさか食べ物で釣れるとは思わなかった、ってミサカはミサカは少し驚いてみる」
一方通行「釣れてねェよ。面倒臭せェから付いて行くだけだ」
結標「ホントは行きたかったんじゃない?」
打ち止め「だねー」
一方通行「ぶち殺すぞクソアマ共」
―――
――
―
―
――
―――
同日 15:20
-スキー場・喫茶店-
結標「……どうやらここのようね」
打ち止め「結構来るのに時間がかかったね、ってミサカはミサカは時間を見ながら言ってみたり」
一方通行「休むためにここへ来たのに、何でこンなに疲れてンですかねェ?」
結標「しかし有名って聞いたけど、結構地味な場所にあるわね」
打ち止め「そうだねー。もっと大々的にアピールしてる感じだと思ったけど」
一方通行「つゥかさっさと入るとするぞ。こちとら急な坂とか歩いて疲れてンだ――」ガチャ
メイド「おかえりなさいませ! ご主人様!」
一方通行「……………………は?」
打ち止め「おおーメイドさんだー!」
結標「……あれ? 道間違えたかしら?」
メイド「お席はこちらになりまーす!」
一方通行「オイ。俺はこンな場所に来るつもりはさらさらねかったンだけどよォ」
結標「そりゃ私も来るつもりはなかったわよ。まさか有名な喫茶店がまさかメイド喫茶だとは思わないじゃない」
一方通行「……そォいや土御門の野郎がメイド喫茶が何とか言ってたなァ」
打ち止め「あっ、モトハルがいるよー!」
一方通行「あン?」
土御門「うにゃっはっはっはっはっ! やっぱりメイドさんはエロに限るぜい!」
結標「…………」
打ち止め「…………」
一方通行「…………」
結標「……とにかく他人のふりをしときましょ」
打ち止め「……うん、そうだね」
一方通行「あンなのに関わってたら、俺たちも変態扱いされちまうしな」
メイド「こちらの席にどうぞ」
結標「あ、ありがとうございます」
一方通行「あァ、安らぎの一時が欲しい……」
打ち止め「じゃあミサカが安らぎを与えてあげるよ!」
一方通行「安らぎと対極の位置にいるクソガキが何言ってンだ」
メイド「メニューはこちらになりまーす!」
結標「あ、どうも」
打ち止め「おおっー! 何だかすごく名前の長い食べ物がいっぱいあるぞー! ってミサカはミサカは興奮を抑えきれなかったり!」
結標「うわぁ、読むのもすごくはずかしい単語ばっかりあるわね」
一方通行「俺はなンて店に迷い込んでしまったンだ」
???「ひゃはははっ。何泣きごと言ってんだ一方通行ぁ!?」
一方通行「……この聞き覚えのある事が悔まれるうっとおしい笑い声は……」
打ち止め「あっ、キハラだ!」
木原「よぉ打ち止め。元気にしてたか?」
一方通行「何でこンな場所に出没してンだ、このオッサンはァ?」
木原「あぁん? 俺がこんな場所に居ちゃ悪いって言うのかテメェは?」
一方通行「どォ見ても場違いだろォが。顔面にタトゥー彫り込ンだ変人がメイド喫茶でティータイムとかシュール過ぎて笑えねェよ」
木原「だろうな」
結標「あのー木原さん?」
木原「おおっ、たしか結標さんっつったか。いつもこの馬鹿の面倒臭せぇ世話してくれてありがとぉよ」
結標「あ、いえ」
一方通行「誰が世話されてるってェ?」ピキピキ
木原「どう見てもお前だろクソガキ。お前の常識の無さには昔から頭抱えてたわぁ、優しさ50%の薬必須だったわぁ」
一方通行「いますぐ冥土に送ってやろォか木原クンよォ!?」
木原「何だその顔はぁ? 上手いこと言ったつもりかテメェ、全然上手くねェンだよ殺すぞ?」
打ち止め「あわわー、大変だぜアワキお姉ちゃん。このままじゃこのメイド喫茶が更地になっちゃうよ」
結標「何でこの二人って会う度こんなケンカできるの?」
???「だめだよ数多おじちゃん。お客の人に迷惑かけちゃ」
木原「あぁ? ああ、すまねえなつい」
一方通行「あァ? 数多おじちゃン?」
打ち止め「……この声はまさか……エンシュウ!?」
一方通行「エンシュウ?」
円周「ていうか数多おじちゃん。そろそろ帰った方がいいんじゃない? 会社の人たちが困ってるよ」
木原「あ? いいんだよ困らせときゃなぁ。つーかお前が無茶しねえか見張ってなきゃいけねえんだよ俺はよぉ」
一方通行「……誰だコイツ?」
結標「ああ、この子はたしか木原さんの親戚の円周ちゃんよ」
一方通行「……ああ、クソガキがいつも遊んでる友達っつゥのはコイツの事か」
打ち止め「おっすエンシュウ! ってミサカはミサカは挨拶してみたり!」
円周「あっ、打ち止めちゃんいらっしゃい。まさかこんなところで会えるとは思わなかったね」
打ち止め「ところで何でエンシュウはそんな格好してるの? ってミサカはミサカはメイド姿のエンシュウを見て聞いてみたり」
円周「バイトだよ」
打ち止め「バイト?」
円周「うん。数多おじちゃんに頼んでここで働かせてもらってるんだ!」
打ち止め「へえー、なんだかすごいねー! ってミサカはミサカは思わず感心してみたり」
一方通行「何やってンだよオマエ。ガキがバイトなンざ聞いた事ねェよ」
木原「あん? 別に構わねぇだろうが。つーか脅されたんだからやらねえわけにはいかねえしな」
結標「脅された?」
木原「ああ。あれは新年を迎えてからの話だ――」
円周『ねえねえ数多おじちゃん!』
木原『ああ? なんだ円周』
円周『私メイドになってみたい!』
木原『はぁ? 今何て言った?』
円周『だからぁ、私メイドになってみたい!』
木原『メイドってあれかぁ? おかえりなさいませご主人様、っつーあれか?』
円周『そうそう、そのメイド』
木原『だったらコスプレ用の服でも買って勝手になってろ』
円周『違うよぉ、実際に働いてみたいの』
木原『駄目だ。一応でも木原であるお前が何でそんなことする必要があるってんだ』
円周『…………』
円周『……うんうんわかってるよ数多おじさん』ピーガガガ
木原『あぁ?』
円周『ねえねえ数多おじさん』
木原『今度は何だ』
円周『じゃーん、これなんでしょう?』スッ
木原『……何かのリモコンか』
円周『そう。これ実は爆弾の起爆スイッチなの!』
木原『爆弾?』
円周『うんうん。この会社の車全部に爆弾が仕掛けてあるの』
木原『つまりあれか。要求を通さなきゃ爆破させるってか?』
円周『そうなの。これをポチっとすると大事な社員と車が爆発しちゃうよー』
木原『……チッ、分かったよ。メイド喫茶だな了解だ了解』
円周『やったー! さすが数多おじちゃん。物分かりがいいー!』
木原『ま、社会勉強っつーことで許してやるよ』
円周『うん! ちゃんと勉強するね!』
木原『まあでも、詰めが甘ぇぞ円周』
円周『?』
木原『そのリモコンのバッテリー部分を見てみろ』
円周『……あっ。バッテリーが抜かれてる』
木原『木原っつーのはもっと用意周到に残酷にすんだよ。やっぱテメェは木原が足りてねぇな』
円周『…………』
木原『それになぁ。いくら部下や車が壊されようが、別に俺は困らねぇんだぜ?』
円周『……うんわかった! 次からはこのビルの柱全てにダイナマイト仕掛けとくね』
木原『そうだな。精々頑張れや』
木原「……つーことがあったわけよ」
一方通行「オイオイ、オマエらのいざこざでウチの住処ぶっ壊すンじゃねェぞ」
結標「……何だかよく分からないけどすごく怖いわ」
木原「まあそこんところは安心してろ。一応、あのビルに壊れられたら俺だって困るしなぁ」
一方通行「つゥか木原一族っつゥのはロクなヤツが居ねェなァオイ」
木原「しょうがねぇじゃねえか木原なんだから。まぁ、でも俺はまだマシな方だろ、一所懸命汗水垂らして働いてるわけだしよぉ」
一方通行「汗水垂らしてンのはオマエの部下だけどな」
円周「ねえねえ」
一方通行「あン?」
円周「あなたが噂に聞くアクセラお兄ちゃんだね」
一方通行「俺はオマエの兄になった覚えはねェ」
円周「私もあなたの妹になったつもりはないよ?」
一方通行「……あァそォですかい」
一方通行「で、何の用だ」
円周「別に用なんてないよ。ただ初めて会ったから挨拶しとこうかなって」
一方通行「そォかよ。ハイハイ分かったからじゃあ仕事に戻れよ」
円周「そういえば私、今メイドだったね」
木原「そうだぞ円周。あんまサボってると怒られんのは俺なんだからよぉ」
一方通行「あはっぎゃはっ! こンなオッサンが怒られてビクビクしてる姿想像したら笑えてくンじゃねェか」
木原「あ? 小僧が、その貧弱な体をボコボコにしてピクピクにさせてやろうか?」
円周「じゃあ私はお仕事に戻るけど、あんまりさわいじゃ駄目だよ数多おじちゃん」
打ち止め「がんばってねーエンシュウ! ってミサカはミサカは精一杯応援してみたり!」
円周「うん! 頑張るよ!」テクテク
結標「……こう見てるだけなら普通の女の子なんだけどなぁ」
一方通行「だが残念ながらキチガイ一族の一人だ」
―――
――
―
―
――
―――
打ち止め「ケーキうまー」モグモグ
結標「――あ、もうこんな時間」
打ち止め「休憩は終わり?」ムシャムシャ
結標「そろそろスキー場に戻った方がいいくらいの時間ね」
一方通行「ならとっととこの魔境から出るとしよォぜ。つゥか全然休ンだ気になンねェンだけどよォ」
結標「そうね。たしかに私も何だか逆に疲れたわ……あはは」
木原「あん? もう帰んのかお前ら?」
一方通行「オマエみてェに暇じゃねェンだよ」
打ち止め「じゃあミサカは最後にエンシュウに挨拶してくるね、ってミサカはミサカは辺りを見渡してみたり」
一方通行「早くしろクソガキ」
打ち止め「ええっと……って、あっ! 大変だ!」
結標「どうしたの打ち止めちゃん」
打ち止め「エンシュウが変な客に絡まれてるよ! ってミサカはミサカは事態を報告してみたり!」
デブ「ぬふふ、メイドさんかわゆす」
円周「ごしゅじんさま、店内では従業員へのタッチはだめですよ」
デブ「ちょっとくらいいいじゃない、ぐへへへへ」ソー
円周「ちょ、やめ……」
一方通行「オイオイ本格的に変態野郎に襲われてンじゃねェか」
結標「あれって営業妨害とかになるんじゃないの?」
一方通行「一応、警備員とか風紀委員に通報はしてンじゃねェのか? まァ、すぐにあれに対応出来るっつゥわけじゃねェが」
木原「あひゃっ。何だあのデブ。あんな理性の飛んだ本格的な豚は初めて見たぜぇ」
打ち止め「ちょっとキハラぁ! エンシュウを助けなくてもいいの? ってミサカはミサカは袖を引っ張りながら急かしてみたり」
木原「あぁ、構わねェよ。逆に心配するべきはあの豚だからな」
打ち止め「えっ?」
デブ「ふひひひ。メイドさぁん!」
円周「…………」カチャ
一方通行「……何か携帯電話取り出したぞ」
結標「通報でもするのかしら?」
一方通行「そンな事する暇があったら逃げた方が早いだろ」
円周「……うんうん分かってるよテレスティーナおばさん」ピーガガガ
ゴッ。
デブ「メイドさ――ごふっ」バキッ
円周「木原ならこうするんだよね?」
結標「え」
一方通行「……あン?」
円周「あっはっはっはっはっはっ!! おいおい何で豚が二足歩行してんだよ、あァん!?」
デブ「え……ちょ……」
円周「オラオラ豚は豚らしく這いつくばってろ、ぶひーって言ってみろよテメェ!!」
ビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッビシッ!
デブ「ブヒッ、ぶひっ、ひっ、ぶっ、ぶぶ、ぶひっー!」
円周「ぶひぶひうるせェんだよクソ豚野郎がぁっ!!」
バシンッ!!
デブ「ぶ、ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」ビクンビクン
打ち止め「」
結標「」
一方通行「なンだありゃ?」
木原「円周はなぁ、木原が足りねえから携帯とかそういうモンで木原を補強してんだよ」
一方通行「補強っつゥか人格変わってンじゃねェか」
木原「ま、あんなんじゃとても木原だとは言えねえけどな」
一方通行「どォでもイイが確実にアイツはこの店クビだろ」
木原「Oh……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:00
-スキー場・初心者コース-
小萌「……あっ、三人ともお帰りですー!」
結標「た、ただいま戻りましたー」
一方通行「おォ……」
打ち止め「…………」
上条「……どうしたんだお前ら? すっげえ疲れたような顔してるけど」
姫神「休憩前より。疲れているように見える」
結標「あははーちょっとね」
一方通行「ゆっくり休憩できると思って入った店がモンスターハウスだったら疲れンだろ普通」
上条「?」
土御門「まあ、それならレベルアップできたんだからいいんじゃないかにゃー?」
小萌「あっ土御門ちゃん! 今までどこに行ってたんですかぁ?」
土御門「ちょっと心のオアシスに行っていたんだにゃー」
一方通行「土御門。レベルアップっつゥのはどォいうことだ?」
土御門「ようこそコッチ側(メイド萌サイド)へ」
一方通行「ソッチ側にいく気はサラサラねェよ」
土御門「またまたー。メイドに囲まれてあんなにニヤニヤぐへへへしてたくせにー」
一方通行「それはオマエだろォが殺すぞ」
結標「そういえば姫神さん。そっちはどうだったの?」
姫神「どうとは?」
結標「インデックスたちを見に行ったんじゃないの? 上条君と」
姫神「あれを見れば。聞かなくても答えは出る」
結標「……ああ、そうね」
禁書「――このゆきみだいふくってあいすすごくおいしいね!」モグモグ
風斬「あはは、そうだね……」
芳川「はたしてそれは何個目の大福かしらね?」
上条「…………不幸だ……」
一方通行「つゥか買わなきゃイイ話だろォが」
結標「そういえばそうね。買わなきゃ食べられないし」
上条「……ははっ。あれだよあれ、何つーか脅さ――」
禁書「なにか言ったかなとうま」ニコ
上条「イエナンデモナイデスインデックスサマ」
姫神「これはひどい」
一方通行「くっだらねェ」
土御門「まあカミやんだからしょうがないにゃー」
上条「しょうがなくねえだろチクショウ!」
土御門「そんなことよりアクセラちゃんのメイド萌デビューを盛大に祝おうぜい」
一方通行「誰もデビューしてねェよ」
青ピ「ほほぉ、ついにアクセラちゃんもコッチ側に来たか……」
一方通行「……いつの間に湧いてきやがったンだこの馬鹿は」
青ピ「いつと言われても今としか……」
一方通行「よし、そのまま回れ右して下の居場所に戻りやがれ」
青ピ「なんでや! ボクの居場所はここやろ!」
上条「そういや青髪。結局ナンパはどうなったんだ?」
土御門「聞くなカミやん。聞かなくてもわかる」
青ピ「ひどい言われようやな」
一方通行「ンだァ? その思わせぶりな言葉はァ?」
上条「……まさか成功したとか言うんじゃねえだろうな?」
青ピ「成功しますた」
土御門「青髪ー、エイプリルフールはまだ早いぜい?」
青ピ「成功しますた」
一方通行「…………」
上条「……は?」
土御門「おうふっ……」
一方通行「……つゥかそのナンパとやらに成功したっつゥンなら、相手はどこに行った?」
上条「そ、そういえばそうだ!」
土御門「お相手さんはどこにいったのかにゃー? 青紙クーン?」
青ピ「ああ、相手はここにはおらんよ」
上条「……つまりどういうことだ?」
一方通行「とりあえず経緯を話せ」
土御門「たしかに言ってることが曖昧すぎてわけがわからないにゃー」
青ピ「せやな。……あれは中級者コースにいたときやったな……」
青ピ「いろんな女の子に声をかけて撃沈しまくって、そろそろ諦めようかなーと思ってたんよ」
一方通行「……よく通報されなかったな」
上条「こんないかにも怪しい大男が接近してきたら、まず警戒するだろうしな」
青ピ「それでな、次のターゲットで最後にしようと思って休憩所あたりをウロウロしてみたんよ」
青ピ「そして一人の女の子を見つけたんや」
土御門「ちなみにどんな娘だったんだにゃー?」
青ピ「中学生くらいやったかなー。なんか不思議な娘やったでー。こんな寒い中ドレスなんて寒そうな格好してたし」
上条「……中学生をナンパとか真面目に捕まんじゃねえか?」
一方通行「あァやっちまったなァ。向こうはどっかの社長の令嬢で、今頃手を出したバカを狩るためにハンターが探し回ってンな」
青ピ「いやそこは大丈夫やで。別にそんなこと言ってへんかったし」
土御門「……それより話を続けてくれ青髪ピアス」
青ピ「おおっ? なんやつっちーえらく興味津々やなぁ、まあいいか続けるでえ」
土御門「…………」
一方通行「どォかしたか?」
土御門「いやなんでもないぜい。気にする必要ないにゃー」
上条「?」
青ピ「それでその娘に話しかけたら、今までと違った手応えのようなものを感じたんや」
上条「どれだけ避けられてたんだよお前……」
一方通行「そりゃ変態だしな」
青ピ「で、気付いたらジュースとかお菓子とかを奢ってて一緒にお茶したんやでー! 以上」
上条「……それだけか?」
青ピ「そりだけ」
一方通行「……つゥか何となくだが、それ飲みモン奢ってもらいたかっただけじゃねェか財布クン?」
青ピ「いやいや何言うてますのんアクセラちゃーん。ちゃんと楽しく談笑したんやでー」
上条「……でもそれだけだったらナンパ成功とは言わねえんじゃねえか?」
青ピ「大丈夫やで。なんと電話番号を聞き出すことができたんや!」
一方通行「……試しにそれ電話してみろよ」
青ピ「せやな。それこそナンパの成功を証明できる唯一の手段やしな」ピッ
プルルルルルル、ガチャ
青ピ「あっつながった」
『はいこちらゲイデリヘル”アッークエンジェル”です』
青ピ「」
上条「涙拭けよ」
一方通行「財布乙」
青ピ「(´・ω・`)」
上条「まあまだ人生は長いんだ。何かいいことあるさ、お前ならきっとな……」
一方通行「オマエが言うとスゲェ重みだなァオイ」
土御門「……ちょーとトイレ行ってくるぜい」テクテク
上条「おお」
青ピ「(´;ω;`)」
一方通行「…………」
―――
――
―
―
――
―――
同日 17:30
-スキー場・初心者コース-
小萌「――おや、暗いと思ったらもうこんな時間なのですね」
結標「さすが冬。照明がないと周りがまったく見えませんね」
一方通行「そろそろ戻らねェか? 俺の電極もォ電池ヤベェぞ、アラームなってンぞ」ピーピー
上条「……そんな機能あったっけ?」
一方通行「追加したンだよ。電池切れの時しか音がならねェのはさすがにアレだろ」
姫神「その機能があれば。電池切れ起こしにくいね」
結標「杖といい電極といいどんどん発展していくわねえ、貴方の持ち物」
土御門「ついでに頭も発展したぜい! メイド萌の方向で!」
一方通行「まだそンな戯言ほざいてやがったのか、この変態グラサン野郎ォが」
小萌「うーん、とりあえずアクセラちゃんの言うとおり一旦宿泊所に戻ったほうがいいですね」
青ピ「ええっー、ナイトスキーこそスキーの真骨頂なのにー」
一方通行「なら一生滑ってろ」
小萌「とりあえず上級コースにいる黄泉川先生と吹寄ちゃんに連絡をとるとしましょう」カチャ
上条「あと雪遊びコーナーに戻ったインデックスたちにもな」
結標「じゃあそっちは私がするわ。芳川さんが一緒のはずだし」カチャ
姫神「なら。私は吹寄さん」カチャ
一方通行「あァ……暖房のきいた部屋でゆっくり昼寝してェ」
土御門「もう昼じゃないけどにゃー」
小萌「――どうやら黄泉川先生もそのつもりだったようで、今こっちに向かっているそうですよ」ピッ
姫神「……同じく吹寄さんも」ピッ
結標「芳川さんたちもすぐ来るだって」ピッ
土御門「うーむ、やはり宿泊所に帰る前に一度メイド喫茶に戻ったほうがいいかにゃー」
上条「どんだけ行きてえんだよメイド喫茶」
土御門「メイドこそ我が人生ッ!!」
姫神「もはや病気の域」
一方通行「ンなこと端からわかってたことだろ」
結標「……というかさすがにこの時間は閉店の準備してるんじゃない?」
土御門「Oh……」
芳川「やっと部屋に引きこもれると聞いて」ザクザク
結標「あっ、芳川さんたちが来たわ」
禁書「そろそろ夕食の時間なんだよ! とっても楽しみかも」
風斬「あれ、さっきアイス食べたばっかじゃ……」
上条「テメェはさっき何個雪見だいふく食いやがったんですかねえ?」
禁書「おなか空いたんだよ!」
一方通行「もはやレベル5以上の天災だな」
姫神「お気の毒に」
小萌「ま、まあまあ夕食は安定のバイキングですから、そこまで気にする必要はないですよ上条ちゃん」
上条「先生。これはそういう問題ではないんですよ」
一方通行「つゥか、そのバイキングですらヤツは止められねェけどな」
打ち止め「…………」
青ピ「ん? どしたんこの子。最初に比べてえらく静かやん」
結標「ちょっといろいろあってね」
打ち止め「……大丈夫だよアワキお姉ちゃん。あれがメイドさんの……エンシュウのお仕事なんだよね、ってミサカはミサカは自己解決してみたり」
結標「……そうね。そういうことにしときましょう」
土御門「別にそういうわけじゃないんだけどにゃー」
一方通行「黙ってろ。これ以上ガキを混乱させンじゃねェ」
青ピ「打ち止めちゃーん、実はメイドさんってエr――」
ドッパァァァン!!
打ち止め「えっ? なに?」
一方通行「何でもねェよ」カチ
上条「学習しねえなあアイツ」
土御門「もはや狙ってやってるんじゃないかと思えるぜい」
結標「……というか残量少ないのにむやみに能力使っていいの?」
一方通行「あの馬鹿を吹き飛ばすぐれェの電池は残ってる」
土御門「ハードなツッコミだにゃー」
一方通行「何ならオマエにもツッコンでやるよ」
土御門「お断りします」
黄泉川「――うーすっ!」サー
芳川「あら愛穂じゃない。相変わらず元気そうね」
結標「吹寄さんはどうしたんですか?」
黄泉川「ああ吹寄ならそろそろ着くんじゃないか?」
吹寄「――ぜぇ、ぜぇ……よ、黄泉川先生速すぎますってー!」サー
姫神「吹寄さん。お帰りなさい」
上条「何でそんなに息切らせてんだ?」
吹寄「ものすごい速度で滑ってる黄泉川先生を追ってたのよ」ゼェゼェ
一方通行「そりゃご苦労なこった」
小萌「じゃあ皆さん揃ったところで宿泊所へ向かうとしましょう!」
風斬「えっ? ……あの、青髪ピアスさんが……」オドオド
黄泉川「そうじゃんねー。かぁー一風呂浴びてビールをぐいっといきたいねー」
芳川「……愛穂。貴女今自分が子供たちの引率者だってこと忘れていないかしら?」
一方通行「問題ねェだろ。別に今日帰るわけじゃねェンだしな」
黄泉川「おおっー一方通行ぁ。今日はやけに寛大じゃんねえ」
一方通行「オマエが勝手に酔い潰れよォが俺らァには関係ねェからな」
小萌「――って駄目ですよ黄泉川先生! こんなところでお酒なんて飲んじゃあ!」
黄泉川「あちゃー、そういや小萌センセがいたんじゃんね」
小萌「ちょっとー! まるで『私がいなかったら酒が飲めるのに』みたいな顔しないください黄泉川先生っ!」
黄泉川「いやーあははー」
風斬「……そ、その、青髪ピアスさん……」オドオド
禁書「ひょうかー。びーるっておいしいのかな?」
風斬「あおが――えっ? さ、さあ……」
吹寄「苦いとかは聞いたことあるけど」
打ち止め「うぇー苦いのはミサカやだなー、ってミサカはミサカは子供らしく苦いもの嫌いアピールをしてみたり」
姫神「あなたには。まだ十年くらい早い話だから関係ないと思う」
禁書「うーん、こもえの家にごはん食べに行ったときは、こもえはいつもおいしそうに飲んでたよ」
結標「大人にとってはおいしいんじゃないのかしら」
禁書「へー……」
上条「……飲むなよ?」
禁書「さ、さすがの私もそんな無茶はしないんだよ!」
風斬「……えっと、あお――あっ」
上条「大体未成年の飲酒は基本的に禁止されてんだから、お前なんかが飲んだ瞬間一発アウトだぞ」
一方通行「見た目でいえば月詠も普通にアウトだろ」
青ピ「あれは合法ロリやからオーケーやで」
土御門「おっ。今回は復活遅かったな青髪」
吹寄「あれ? 青髪ピアスいたの?」
青ピ「ひどいなー吹寄さん。せっかく遭難しかけたクラスメイトが帰還したっていうのに」
一方通行「十分そこらで帰ってこられンなら遭難って言わねェよ。つゥか結構な距離吹き飛ばしたつもりだったがもォ帰ってきやがったかゴキブリ野郎」
吹寄「吹き飛ばす? ああ、あの空を弾丸のように飛んでいった変なものは青髪だったのね。てっきりUFOとかだと思ったわ」
結標「吹寄さんが確認したってことは上級者コースのほうに飛んで行ったのね」
上条「こっから上級者コースって結構あるぞ」
姫神「すごい生命力」
一方通行「つゥかこれからの予定はどォすンだ?」
小萌「そうですねー。とりあえず体が冷えてきましたので入浴時間にしたいと思ってます」
黄泉川「で、そのあと晩メシ食って自由行動かなー」
吹寄「じゃあご飯食べた後にスキーしてもいいって事ですか?」
黄泉川「別にしたいなら止めないじゃん。夜もスキーの醍醐味じゃんしね」
芳川「私はもちろん部屋に引きこもるわ」
青ピ「そういえばここって地下にゲーセンがあるらしいで!」
一方通行「本当にここ研修施設かよ」
結標「それはメイド喫茶がある時点であれよね」
姫神「さらに言うなら。ここの浴場は露天風呂もある」
一方通行「どォなってやがンだこりゃ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:00
‐宿泊所・302号室‐
結標「……あー疲れたー!」ドサッ
姫神「久しぶりに。あんなに体を動かした」
吹寄「私は普段から体力作りしてるから平気だわ」
結標「へー偉いわねー。体力作りってジョギングとか?」
吹寄「そうね。いろいろ方法はあるけどやっぱりジョギングが一番楽ね」
姫神「こんな寒い中を。よく走ろうなんて思う」
吹寄「走ってるうちに暖かくなってくるからそんな苦じゃないわ。夏よりは遥かにマシね」
結標「あー、たしかに夏はきつそうよねー。外とかあんまり出たことないからよくわかんないけど」
姫神「どちらにしろ。私はコタツにこもってまったり過ごす。それは猫のごとく」
結標「コタツかー、家にはないからどんなのか一回試してみたいわね」
姫神「あれは一度入ったら出られない。冬場の罠」
結標「なにそれ怖い」
姫神「コタツの魔力に負け。そのまま夢の中に」
吹寄「それで朝起きたら風邪を引いてたなんてのがお約束ね」
結標「それは恐ろしいわねコタツ」
姫神「でも真冬の季節では。最高のパートナー」
吹寄「まあコタツもいいけど今はもっといいものがあるわよ」
結標「温泉ね。しかし一方通行も言ってたけど何で研修施設のお風呂が温泉?」
姫神「もはやご都合主義と言うしか……」
結標「?」
‐宿泊所・303号室‐
禁書「おっふろ♪ おっふろ♪ おっふっろー♪」ゴソゴソ
打ち止め「ねえねえインデックス! 露天風呂ってどんなのかな? ってミサカはミサカは尋ねてみたり!」
禁書「ええっとねー。たしかてれびに映ってたのは外に大きなお風呂があったんだよ!」
打ち止め「ほほう。ということはここには外に大きなお風呂があるのかな? ってミサカはミサカは推測してみる」
禁書「でもこんなに寒いのに外に出たら風とか引かないのかな? 裸だし」
打ち止め「どうなんだろ? ミサカ寒いのあんまり得意じゃないしなー」ウーン
風斬「……お湯が温かいから、大丈夫だよ」
打ち止め「おおっ! そういえばそうだね、ってミサカはミサカは肝心な部分を思い出してみたり」
禁書「……お湯が温かくても肩から上は外にあることにならないのかな?」
打ち止め「そうだね。頭が寒かったら本末転倒だね、ってミサカはミサカは難しそうな四文字熟語を得意気に使ってみたり」
風斬「それは……体が温まって体温が上がれば、その……自然に頭の方も温かくなるよ」
打ち止め「おおっー! 言われてみればそうだね! 湯船に入れてるわけでもないのに顔は温かいしね」
禁書「私知ってるよ! ハンシンヨクってやつと同じ効果だね!」
風斬「えっと……ちょっと違う気がするけど、大体合ってると思う」
打ち止め「へー、カザキリお姉ちゃんって物知りだねー、ってミサカはミサカは素直に感心してみたり」
禁書「そうだよね。ひょうかはすごいね!」
風斬「……その、そんなすごいことじゃないよ」
打ち止め「よし! じゃあ謎が解けたところでお風呂場に直行だー! ってミサカはミサカは勢いよくスタートを切ってみたり!」ダッ
禁書「あっまた。待ってらすとおーだー!」トテトテ
風斬「えっ、えっと、廊下は走ったら……」オロオロ
‐宿泊所・206号室‐
青ピ「よっしゃー!! 温泉回キター!!」
一方通行「……何一人ハシャイでンだこの馬鹿は?」
上条「さあ?」
青ピ「何を言っとんねん。温泉回やでサービス回やで!」
上条「そんなこと言われてもわかんねえよ」
土御門「どうせあれだろ、覗きとかベタなことやろうとか思ってるんじゃないかにゃー」
一方通行「覗き? ンなことできるほどザル警備なのかここの風呂は?」
土御門「どうだろうかにゃー? 露天風呂の部分だったら、一応可能っていえば可能な構図にはなってるぜい」
上条「なってんのかよ」
青ピ「ふふふ。みなぎってきたー!!」
一方通行「コイツ本気で覗く気かよ?」
土御門「命知らずとはこのことだにゃー」
上条「まあな。バレたら速攻処刑されるな」
土御門「クラス最高戦力の吹寄、レベル4の結標の姉さん、教師兼アンチスキルの黄泉川先生。死に様しか思い浮かばないな」
一方通行「凶暴性ならあのシスターが一番だな。上条限定だが」
上条「……おいやめとけよ青髪。もしバレたら俺まで巻き添えで頭蓋骨を噛み砕かれそうだ」
青ピ「カミやん、これは真剣勝負なんやで。避けることの出来ない戦いなんや!」
一方通行「俺がコイツを地平線の彼方へぶっ飛ばせばオールオーケーな気がしてきた」
土御門「いろいろと面倒だからやめとけ」
一方通行「チッ、まァ覗きたきゃ好きにすりゃイイじゃねェか。俺には関係ねェ」カチャカチャ
青ピ「おおっさすがアクセラちゃん! 心が広い」
土御門「単に面倒くさいだけじゃないかにゃー?」
一方通行「ご名答」カチャ
上条「……何やってんだ?」
一方通行「電極を予備のヤツと入れ替えてンだ。で、メインのやつを充電する」ガチャリ
上条「へー、それ二個あったのか、便利だな」
一方通行「こっちは能力使用時間が半減だがな……よし、コイツをコンセントに刺せば」カチャ
上条「コンセントでいいのか」
一方通行「それ以外何があンだよ」
土御門「じゃあそろそろ行くとしようぜい。あんまり混む前に行きたいからにゃー」
上条「つってももう混み始めてる時間だろ」
土御門「いいポジションを取ってゆっくりしたいってことだぜい」
一方通行「くっだらねェ。風呂なンてどこでも変わンねェだろ」
青ピ「覗くにポジションは重要やでー」
上条「死ぬなよ青髪」
土御門「鍵閉めるからさっさと出て欲しいにゃー」ガチャ
一方通行「あァ」スー
上条「おう」テクテク
青ピ「じゃあボクも……あっちょっと忘れもんしてもうた!」
一方通行「さっさと取って来いよ」
青ピ「はいはーいちょろっと待ってーなー」タッタッ
上条「そういえばシャンプーとかってあるよな?」
土御門「そういうところは問題ないと思うぜい」
一方通行「面倒臭せェから汚れだけ反射して部屋で寝てよォかなァ」
上条「うわっ便利な能力だなぁおい」
土御門「さすがチートで名高い能力だにゃー」
青ピ「ええっと……忘れ物忘れ物……」
青ピ「…………」
青ピ「……あったあった!」
青ピ「いやーさすがに同じパンツをはくわけにはいかんけーなー」
青ピ「よし、じゃあ急いで出んとな――」ダッ
ガコ
青ピ「わっほーい!?」ドシーン
青ピ「――痛たたた。なんかにつまづいてしもーたわ」
<おーい早くしろー
青ピ「おっ、了解了解!」
青ピ「……ま、ええわ」ダッ
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:10
‐宿泊所・浴場・女湯(内)‐
ワイワイガヤガヤ
打ち止め「おおおおおっー!! すっごく広いぜー!! ってミサカはミサカはハイテンション状態!!」トテチテ
結標「打ち止めちゃーん! あんまり走っちゃ危ないわよー」
黄泉川「ほかのお客さんに迷惑かけるんじゃないじゃん」
芳川「ふぅ、子供は元気ねー」
結標「なに年寄り臭いこと言ってるんですか芳川さん」
芳川「うふふふ。まだ私は二十代よ結標さん?」ニコォ
結標「は、はい……(え、笑顔はが怖い……)」
禁書「……あれ? 露天風呂なのに室内なんだよ」
姫神「外に出るんだったら。そこの扉から出れる」
結標「あっ、本当に露天風呂がある」
芳川「というかこの浴場の構造、ちょっとしたホテルのそれに近いわね」
吹寄「見た目だけじゃないってわけね」
禁書「よし、じゃあ早速外へ――」
姫神「待って」ガシ
禁書「なにかなあいさ?」
姫神「珍しいものを見て興奮しているのはわかる。けど体を洗うのが先」
禁書「そ、そうだね。わすれていたんだよ」アセ
黄泉川「まあそんなこと言っても打ち止めはとっとと露天風呂に言ったけどな」
禁書「あっらすとおーだーだけずるいんだよ!」
芳川「まあたぶんすぐに帰ってくると思うわ」
禁書「?」
テッテッテッテッテ
打ち止め「さ、ざむいー! ってミサカはミサカは体を震わせながら戦術的撤退してみたり!」トテチテ
結標「おかえり打ち止めちゃん」
打ち止め「外すっごく寒いよアワキお姉ちゃん! 思わず扉をすぐ閉めちゃった、ってミサカはミサカは今あったことを報告してみたり」
芳川「そうね。とりあえず外に行くなら一旦中で温まってからの方がいいわ」
結標「というわけで打ち止めちゃん。先に体洗っちゃおうねー」
打ち止め「はーい!」
‐宿泊所・浴場・男湯(内)‐
上条「おおっ、さすが宿泊所の風呂。デケーなぁ」
土御門「宿泊所というよりホテルって言ったほうが似合うんじゃないかにゃー」
一方通行「くっだらねェ。とっとと済まして部屋に帰る」
青ピ「何言うとんねアクセラちゃん! きっちり風呂を楽しんでからあがろーや」
一方通行「覗きなら一人で楽しンでろ」
青ピ「あれー? 誰も覗きとは言うとらんでアクセラちゃーん?」
一方通行「あァ?」
青ピ「ボクは純粋に大きいお風呂を楽しもうやって言ったんやでー? 覗きとかアクセラちゃんスッケベー!」
一方通行「……さァて問題です青髪クーン」
青ピ「はい?」
一方通行「俺はさっき部屋で充電切れ間近の電極から予備の電極へ入れ替えました」
青ピ「はい」
一方通行「能力の使用時間はたったの十五分間しかアリマセェン。さて――」スッ
上条「すっげー嫌な予感がする」ササッ
土御門「だにゃー」ササッ
一方通行「俺をおちょくった馬鹿はどォなるでしょォかァ!?」カチ
青ピ「……ふっ、やれやれやで」
ドォパァァァァン!!
上条「おい何か爽やかな笑顔で吹き飛んでいったぞアイツ」
土御門「つーかこのパターンもうマンネリ気味じゃないかにゃー」
一方通行「知るかよ。俺はムカついたから叩きのめしただけだ」
ざわ……ざわ……ざわ……
上条「てか場所わきまえろよ一方通行。俺らすっげえ目で見られてるぞ!」
土御門「俺たちを止める人がいないからしょうがないにゃー」
上条「そうだな。いつもなら先生や吹寄がいるからなー」
一方通行「それよりあの馬鹿がキチンと学習してくれるのはいつなンですかねェ」
土御門「しょうがないぜい、そういう役割なんだからな」
上条「ボケの青髪、ツッコミの一方通行」
土御門「コンビ名。ピアス&チョーカー」
一方通行「勝手にお笑いコンビにしてンじゃねェよ」
青ピ「どーもー! ピアス&チョーカーのピアスの方でーす!」
一方通行「さて体洗うか」スー
上条「おおっ! あのシャンプーはCMとかでよく見る高いヤツだすげー!」
土御門「高いヤツといっても他のより二百円くらい高いだけだけどにゃー」
青ピ「ちょ無視はやめて!! ボケは無視されるのが一番ツライんやでー!!」
‐宿泊所・浴場・女湯(外)‐
小萌「……ふぅ、露天風呂はやはりいいですねー」
黄泉川「そうじゃんねー、日本酒とかをこうぐいっといきたいじゃんねー」
小萌「そうですねー」
芳川「そこ同意するのね」
小萌「同意しただけですよー。今は飲みませんけど」
黄泉川「ちぇー少しは期待したんだけどなー」
小萌「期待しないでくださいー」
結標「しかしほんとにいいお湯ねー」
吹寄「そうねー」
姫神「…………」
吹寄「そういえば二人とも」
結標「なにー?」
姫神「……?」
吹寄「結局なにか進展あったの?」
結標「……それ今聞いちゃうの?」
吹寄「いや、ちょっと気になって」
姫神「……私は。いつもどおり」
吹寄「まあ上条が相手だしね。それにインデックスのお世話の方に目がいってるしねアイツ」
姫神「……うん」
結標「たしかに彼女、ある意味強敵ね」
吹寄「それって結標さんにも言えることじゃない?」
結標「どういうこと?」
吹寄「上条ほどじゃないけどインデックスのお世話してるでしょアクセラ」
結標「そ、そうかしら……?」
姫神「今日も。アイスとか奢ってた」
結標「い、言われてみれば……結構思い当たる節があるわ……」
吹寄「で、結標さんのほうの進展は?」
結標「残念ながら特になしよ」
吹寄「でしょうね」
結標「……でしょうねってなによ?」
吹寄「私上級コースで滑ってる時にアクセラ君と会ったのよね」
結標「アイツそんなところまで行ってたんだ……」
吹寄「まあここで朗報があるわ」
結標「朗報?」
吹寄「アクセラ君、今とくに好きな人みたいなのいないらしいわよ」
結標「あ、うん」
吹寄「……なんか反応薄いわね」
姫神「意外性がない話に。ウケはない」
結標「まあ、アイツと一緒にいたらなんとなくわかることだしね」
吹寄「ふーむ、結構いい情報を聞き出せたと思ったんけどなー」
結標「そんなことないわ吹寄さん。いないという核心が持てるようになったからいい情報よ」
姫神「もしいたらどうしたの?」
結標「それはそれで大爆笑するかもねー、そのあと落ち込むと思うけど」
吹寄「まあ頑張ってね二人とも」
打ち止め「…………うーむぅ」
禁書「どうかしたのらすとおーだー?」
打ち止め「ちょっと気になることがあってね、ってミサカはミサカは腕を組んで考えてみたり」
禁書「なにかな? 一度話してみると解消するかもしれないんだよ!」
打ち止め「それもそうだね。じゃあカザキリお姉ちゃん!」
風斬「えっ? わ、私……?」
打ち止め「なにをどうしたらそんなに大きくなるの!? ってミサカはミサカは目を輝かせながら尋ねてみたり!」
風斬「えっと、その、なにが?」
打ち止め「なにってその巨大なおっぱいだよおっぱい! ってミサカはミサカはその胸部についてる脂肪の塊を指差してみたり!」
風斬「え、ええっー!?」
禁書「……おおー、そういえば改めて見てみるとひょうかの大きいね」
打ち止め「ヨミカワに聞いても知らないとしか答えてくれなかったんだ。だからすっごく気になる!」ジー
風斬「え、え、え、えええっと、その……」
禁書「そう言われると私も少し気になるかも」ジー
風斬「あ、あの……わ、わか、わからない……です」
打ち止め「……おのれ。やはり巨乳は決まってわからないと答えるのか……ってミサカはミサカは非常な現実に打ちのめされてみたり」
禁書「ほかには誰に聞いたの?」
打ち止め「フキヨセお姉ちゃん! あと一応アワキお姉ちゃんにも聞いたけど案の定記憶喪失設定が邪魔だった!」
風斬「……えっと、あの……」オドオド
打ち止め「おのれー! どうやったらそんなに大きくなるんじゃー!! ってミサカはミサカは驚異的な跳躍力で飛び掛ってみたり!」バッ
風斬「ひゃっ!? ひゃぁぁぁぁぁぁ!!」
芳川「もっと成長してから悩めと何度言えばわかるのかしらね?」
‐宿泊所・浴場・男湯(外)‐
<オラオラオラー! ナンデコンナニオオキインジャーケシカラン! <ラストオーダーガテレビデヨクミルオヤジニナッタンダヨ! <アッ、ヒャッ、ヤメッ
一方通行「……チッ、あのクソガキが。騒いでンじゃねぇぞうっせェ」
上条「…………」
土御門「…………」
青ピ「…………」
一方通行「何やってンだオマエら?」
上条「……いや、過激だなーと」
土御門「やはりロリがさいきょいやなんでもない」
青ピ「ほぼイキかけました」
一方通行「まァどォでもイイけどよォ」
上条「……つーかその杖って収納できるんだな」
一方通行「まァな。このボタンを押せば」カシャン
土御門「地味にすごい技術だにゃー」
青ピ「というかそんなにする必要あったんかいな」
一方通行「能力使用モードで杖が邪魔だっつゥことが何度かあったからな。こうすると邪魔にはならねェ」
上条「へーそんなことまで考えていたんだなー」
土御門「てっきり『かっこいいから!』とか言うと思ったぜい」
一方通行「ンなわけねェだろ。たしかにカッケェとは思うがよォ」
一方通行「……で、そォいや青髪」
青ピ「なんや?」
一方通行「結局、オマエ覗きすると言っていたがどォする気だ?」
上条「そういや言ってたなそんなこと」
土御門「どうでもいいから忘れてたにゃー」
青ピ「よし、なら皆さんのご期待に答えるためにボクがひとは――」
<ヒャ、ヒャァァァァァン!!
青ピ「――ふぅ……もうどうでもいいや」
上条「……おいテメェ、今のため息はなんだ」
青ピ「ふぇ? なにがカミやん?」
上条「ふぇ、とか気持ち悪りぃこと言ってんじゃねえよ、今の『ふぅ……』はなんだって聞いてんだよ!」
土御門「青髪ピアス。覗きはやらないのかにゃー?」
青ピ「何を言っているのかな土御門君。覗きなんて最低な行為僕がやるわけないじゃないか」
上条「…………一方通行」
土御門「…………頼んだぜい」
一方通行「わかってる」カチ
青ピ「えっ!? ちょ、まっ、これじょうだ――」
一方通行「青髪ピアス。次は帰ってこれるとイイなァ」ゴッ
ドパァァァァン!!
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:40
‐宿泊所・206号室‐
一方通行「どォやらどこかの馬鹿が昼食を食いすぎたよォで夕食がバイキングじゃなくなったらしいな」
上条「……面目ない」
土御門「ということはどうなるのかにゃー?」
一方通行「詳しくは知らねェ。黄泉川のヤツは部屋で待機してろっつってたな」
土御門「部屋にいろってことはメシを持ってきてくれるってことだろうな」
上条「ホテルのルームサービスみてえなものか?」
土御門「たしかにこの見た目ホテルのような宿舎だったら、ルームサービスくらいあっても不思議じゃないにゃー」
一方通行「ま、俺は何でもイイけどよォ」ガチャ
一方通行「……チッ、コーヒーが切れてやがったか」
上条「切れたってあれだけ買い込んでた缶コーヒー全部がか!?」
土御門「短時間にどれだけカフェイン摂取してんだこいつは……」
一方通行「あァ? 別にイイだろォが。人が何飲もうがよ」
上条「いや、そういうことを言ってんじゃねえよ」
土御門「しかし腹減ったにゃー。こういう場所に来ると異様に早く空腹が来るにゃー」
上条「ずっとメイド喫茶に篭ってたヤツの言うセリフじゃねえ」
一方通行「これで待ってていざ来たと思ったら、そこらで売ってる菓子パンが配られたら笑えるな」
上条「あージャムパンとかか……」
土御門「さすがにそれはないと思うがな」
上条「……一応メールとかして聞いてみようか」カチャ
一方通行「そりゃイイ。秘密とかほざいたら確実にジャムパン、もしくはクリームパンだな」
土御門「それは一体どういうチョイスだにゃー?」
一方通行「俺が食いたくねェやつ」
土御門「そんなに甘いもの駄目かにゃー?」
一方通行「食えねェことはねェ。極力避けたいレベルだな」
ピロローン♪
上条「おっ。メール来た」
上条「……どうやら部屋まで料理を持ってきてくれるパターンらしいな」
一方通行「サービス良すぎだろこの宿泊施設」
上条「つーか大変じゃねえのかこれって」
土御門「なにがだカミやん?」
上条「この宿泊所結構な人数泊まってんだろ? だったらいちいち持っていくのは手間かかんだろ」
土御門「たぶんロボットが持ってくるんじゃないかと思うぜい」
上条「あー、あの清掃ロボみてえなやつか?」
土御門「ロボットなら人件費かからないからな」
上条「しかしそこまでするのものなのか?」
一方通行「それだけの脅威だったンだろォな、あのシスター」
土御門「おっ? どうやらうわさをすれば何とやら、今夜の夕食が来たんじゃないかにゃー」
上条「はいはーい。今出ますよーと」ガチャ
ロボ『ユウショクヲモッテキマシタ』
上条「……おお見事に予想通り」
土御門「さすが学園都市。便利だぜい」
上条「つーか都合がいいからってロボットのほとんどをドラム缶型にするというのはどうかと思うぜ」
土御門「わかるぜーいその気持ち。超美少女メイドロボとかあってもいいと思うにゃー」
一方通行「どォでもイイが早く料理取ってやれよ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 19:00
‐宿泊所・206号室‐
上条「――はぁー食った食った」
土御門「なんか一人分くらい多かった気がしたけど気のせいだにゃー」
一方通行「この食器どォすンだ? わざわざ食堂まで行くのは面倒だぞ」
上条「一応研修施設なんだから持って行くんじゃねえのか?」
土御門「その点は大丈夫だぜい。どうやらさっきのロボがあとで回収してくれるらしい」
上条「実はここ研修施設じゃなくて普通のホテルなんじゃね?」
一方通行「そもそも俺たちは研修しに来たわけじゃねェからな。気にするな」ゴロン
上条「寝る気満々かよお前」
一方通行「別にこれから何をするとかとくにねェンだろ? なら寝る」
土御門「こんな時間に寝るとかよい子でも真似しないレベルだにゃー」
上条「一般的には晩メシ食ってるような時間だしな」
一方通行「何かあったら起こせ。……Zzz」
上条「寝るの早っ!?」
土御門「どこののび太だにゃー」
ドンドン
上条「あっ、食器の回収に来たのか?」
土御門「にしては早過ぎないか? まだ料理来てから二十分も経ってないぜい」
上条「つーか俺ら食うの早すぎだな。ま、とりあえず開けるぞ」ガチャ
青ピ「ふはははははっ! 私は帰って――」
ガチャ
上条「…………」
土御門「…………」
<ちょっ、おまっ、ボクやでボクぅ! はよ開けてやー!
上条「……どうする?」
一方通行「Zzz」
土御門「とりあえず入れときゃいいんじゃないかにゃー」
青ピ「いやー、寒すぎてマジで死ぬかと思ったわー」
上条「よく生きてたなお前」
青ピ「これでも風邪は引かんかったんやでー!」
土御門「馬鹿は風邪をひかなんとやらというやつだろうな」
上条「そこまで言ったら言い切れよ」
青ピ「ところでおいしい夕食が食べられると聞いて、飛ばして帰ってきたんやけど……」
上条「…………」フイ
青ピ「あれ? なんか空の器しかないんやけど……?」
土御門「オメーの夕食ねーから」
青ピ「(´・ω・`)」
上条「ま、まああれだ、悪い。食欲に任せて食っちまった悪い」
土御門「うすうす気づいてたけどノリでこうなりました。すみません」
一方通行「Zzz」
青ピ「いや、まあええんやでー別に夕食くらい……ええんやで」
土御門「……そ、そうだ青髪! お詫びになんか食い物奢ってやるぜい!」
上条「お、おお土御門。お前優しいところあ――」
土御門「――カミやんが」
上条「っておいぃぃぃぃ!! なんでここで俺の名前オンリー!? お前も食ったんだから半分出せよ!!」
土御門「生憎だがメイド喫茶で金を使い尽くしてしまってな。ふっ」
上条「ふっ、じゃねえよテメェ!! カッコつけてんじゃねえよ何一つカッコよくねえよ馬鹿さしかねえよ!!」
青ピ「カミやんごちになりまーす」
上条「ぐっ。まあこの場合じゃ仕方ねえか……」
土御門「あっ、じゃあついでに俺にもジュース一本」
上条「何で!?」
一方通行「俺ァ缶コーヒーブラックな」
上条「どうしてあなた様が起きてるんですかねえ!? つーかオマエ自分で買えよ!!」
一方通行「あれだけ大声出されりゃ嫌でも起きるだろ。全盛期なら反射を使うレベル」
青ピ「じゃあみんなでどっか遊びにいこうでー! カミやんの金で」
土御門「よぉし、どうせだからゲーセンとか行ってみるかにゃー」
上条「……不幸だ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 19:20
‐宿泊所・地下ゲームセンター‐
青ピ「じゃがバターうまー」モグモグ
土御門「うまー」モグモグ
一方通行「コーヒーうめェ」ズズズ
上条「……ちくしょう。どうしてこうなった」
青ピ「しかしゲーセンなんて久しぶりやなー」
土御門「だにゃー、冬休みに入ってから一回も行ってないからな」
一方通行「つゥか何で俺までこンなとこに居なきゃなンねぇンだ?」
青ピ「何を言うてますのんアクセラちゃん。アクセラちゃんがおらんとゲーセンで遊べへんやん」
一方通行「集る気満々かよ馬鹿どもが……」ハァ
土御門「イエス!」
一方通行「つゥか俺ァオマエらにゲーム代を奢る気はねェぞ」
青ピ「な、ナンヤッテー」
一方通行「わざとらしい驚き方すンじゃねェよ、叩き潰すぞ」
土御門「アクセラちゃーん頼むにゃー、三百円あげるからー」
上条「その三百円でゲームしろよ」
一方通行「くっだらねェ」
打ち止め「――あっ、あの人だ! おーい!! ってミサカはミサカは手を振りながら駆け寄ってみたり!」タッタッタ
上条「おっ、打ち止めじゃねえか」
一方通行「あン? こンな時間にブラブラしてやがンだクソガキ」
打ち止め「こんな時間ってまだ七時だよー! それにここは室内だし!」
上条「インデックスたちとは一緒じゃねえのか?」
打ち止め「インデックスなら向こうの方に居ると思うよ、ってミサカはミサカは指差してみる」ビシッ
青ピ「なんかあの娘のことやからお菓子が商品のところをうろうろしてそうやなー」
上条「それは不味い! 絶対あの晩メシの量じゃ足んねえだろうからな!」
一方通行「機械ごと噛み砕いてそォだな」
上条「ちょっと心配だから行ってくるわ」ノシ
青ピ「いってら」
土御門「なにが心配なんだろうなー」
一方通行「どォ考えても金だろ」
打ち止め「……でもインデックスにはカザキリお姉ちゃんが一緒だから安心だと思うよ? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」
一方通行「アイツにあの怪物が止められるとは思えねェンだが」
青ピ「まあ、なるようになるやろ」
土御門「暴れてない可能性もあるからにゃー」
一方通行「ねェだろ」
打ち止め「…………」ジー
一方通行「あ?」
打ち止め「…………」ジー
一方通行「……何か用か?」
打ち止め「あのねあのね、ゲームしたいからお金がほしいの! ぎぶみーまねー!」
一方通行「ハァ? ガキはさっさと寝とけ」
打ち止め「だからまだ寝る時間じゃないよー! 七時だよ七時! ってミサカはミサカは徹底口論!」
一方通行「チッ、わかったわかった。これくれェありゃ十分だろ」つ一万円札
打ち止め「えっ? あ、その、ええと……あ、ありがとね、ってミサカはミサカは冷や汗を流しながらお礼を言ってみたり」
一方通行「ハイハイ」
一方通行「…………ハァ」
青ピ「うわーずっるーい!」
一方通行「あァ?」
土御門「ロリだけに優しいなんて……何というロリコン……」
青ピ「ロリコンめー!」
一方通行「ぶっ殺すぞ。つゥかアイツが身内だから金出したに過ぎねェよ」
土御門「それにしても一万は出しすぎだにゃー」
青ピ「ずっりー!」
一方通行「小学生かオマエは」
禁書「あっ、あくせられーただ! あくせられーたー!」タッタッタ
風斬「ちょ、ちょっと、走っちゃ危ない……!」
一方通行「あン? 何やってンだオマエら? 上条はどォした?」
禁書「とうま? 知らないよ?」
風斬「……えっと、見てません、はい」
一方通行「まァ、イイけどよォ」
禁書「しかしげーむせんたーって言うのはお菓子とかがいっぱいあるんだね!」
一方通行「そォだな。でもあるだけでゲームで取らねェと食えねェぞ」
禁書「そ、それくらい知ってるかも」
一方通行「どォだかな。さっき風斬に止められて知ったンじゃねェのか?」
禁書「見くびらないで欲しいんだよ! 私は夏に一回げーむせんたーに行ったことがあるんだよ!」
一方通行「で?」
禁書「そこでとうまに怒られたから学習済みなんだよ! どう?」フフン
一方通行「何でそンな得意げなンだよオマエは」
禁書「しかしおなかが減ったんだよ……」グー
一方通行「晩メシが少なかったンだろ?」
禁書「そうなんだよ! お昼の時と同じって聞いたから楽しみにしてたのに」
一方通行「自業自得っつゥヤツだな」
禁書「ひょうかに少し分けてもらったけどやっぱり足りなかったんだよ……」ググー
一方通行「それは本当に少しなのか?」
風斬「えっと……私は大丈夫です」
一方通行「絶対ェ少しじゃねェなコレ。メインのハンバーグとか持っていかれたパターンだろォなコレ」
禁書「ううーおなか空いたんだよ」ジー
一方通行「……何を見てンだオマエ?」
禁書「このガラス……頑張れば噛み砕けそうだね」
風斬「!?」
一方通行「オイヤメロ」
一方通行「……チッ、これで適当になンか食っとけ」つ一万円札
禁書「おおっ! ええとゼロが一、二、三、四、いちまんえんだ!」
一方通行「ただしオマエのだけじゃねェぞ。オマエと風斬の二人分だ」
風斬「え、私も……?」
一方通行「どォせロクに食えてねェンだろォが」
禁書「そうなのひょうか?」
風斬「そ、その……私は大丈夫、だから」
一方通行「そォか、ならこの金はいらねェな」ヒョイ
禁書「あっいちまんえんが!」
一方通行「オマエがどォいう人間かなンて全部が全部分かるわけじゃねェ。だけどな……」
一方通行「オマエはアレだ、人に遠慮しすぎなヤツだ。それだけは何となくだが分かる」
風斬「い、え、えっと……、そんな私は……」
一方通行「違わねェよ。現にオマエはさっきも遠慮したよォに見えたぞ」
風斬「…………」
一方通行「人の好意っつゥのはなァ、素直に受け取っておいた方がイインだよ」
風斬「…………その……」
一方通行「少なくともオマエみてェなヤツはな……ほらよ暴食シスター」ポイ
禁書「わっと!? って、暴食シスターじゃないんだよ!」
一方通行「もォ一度言っとくぞインデックス。それはオマエと風斬の金だ」
一方通行「絶対ェオマエ一人で使うンじゃねェぞ。もし使ったらイギリスの方へぶっ飛ばす」
禁書「……うん、わかったんだよ!」
一方通行「つゥわけでさっさと行け」
禁書「うん! じゃ、ひょうか行こ!」
風斬「え、えっと……」
一方通行「行け」
風斬「…………あ、ありがとうございます」ペコ
一方通行「…………チッ、何やってンだ俺ァ。らしくねェ」ハァ
青ピ「ぶーぶー! 身内以外に奢ったー!」
土御門「ぶーぶー! 不公平だー不公平だにゃー、大事なことだから二回言っとくぜい!」
一方通行「…………」カチ
ドォッパァァン!! グシャグシャグシャ!! グルゥオオン!!
―――
――
―
―
――
―――
同日 19:40
‐宿泊所・地下ゲームセンター・休憩所‐
一方通行「……あァ、何か面倒臭せェ」カチャ
一方通行「…………」ズズズ
一方通行「……コーヒーうめェ」
結標「何やってるのよ貴方」
一方通行「……結標か。何か用か?」
結標「別に。見かけたから話しかけただけだけど」
一方通行「他のヤツらも来てンのか?」
結標「うん、二人ともここに来てるわ。たぶんゲームでもしてるんじゃないかしら」
一方通行「そりゃまァゲームセンターだしな」
一方通行「で、オマエはこンなところで寂しく何やってンだ?」
結標「さ、寂しいって何よ? さっきも言ったとおり貴方を見かけたから声かけただけよ」
一方通行「そォかよ。そいつはごくろォなこった」
結標「……そういう貴方は珍しいんじゃない。こういう場所苦手じゃなかったっけ?」
一方通行「成り行きだ。缶コーヒーを買いにきたついでのな」
結標「ふふ、貴方らしいわね」
一方通行「そォだな」
結標「…………」
一方通行「…………」
結標「……ってことは今貴方は暇というわけよね、とてつもなく」
一方通行「……嫌な予感がするンだが、とてつもなく」スー
結標「どうせだからお姉さんと一緒に回ってみない?」
一方通行「イヤです」
結標「よし、じゃあ回ろうかー」ガシ
一方通行「ぐがっ、拒否権なしかよクソが。つゥかチョーカー引っ張ンじゃねェ、ごほっ」
―――
――
―
―
――
―――
‐宿泊所・地下ゲームセンター・クレーンゲームコーナー‐
結標「――というわけでクレーンゲームのコーナーに参りましたー!」
一方通行「……面倒臭せェ」
結標「いやー、しかしいろいろなものがあるわねー、お菓子とかぬいぐるみとか」
一方通行「クレーンゲームはそォいうモンだろ」
結標「うーん、ためしに一回やってみようかしら」
一方通行「一回で取れるとか思ってンじゃねェだろォな?」
結標「クレーンを欲しいもののある位置に持っていくだけでしょ? 簡単じゃない!」
一方通行「……やってみろよ」
チャリン、タッタラッタター♪
結標「ええっと、まずはX軸を合わせてと」カチ
ウイーン
結標「次にY軸と」カチ
ウイーン
一方通行「……ほォ、位置は正確じゃねェか」
結標「ふふん、当たり前よ。これでも私は空間移動能力者よ? 位置合わせなんて楽勝ね」
カチャ、ウイーン
結標「よし! これでぬいぐるみゲットね!」
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「あっ! ぬいぐるみが落ちた!」
一方通行「見事に予想通りの結果だったな」
結標「ど、どうして!? 座標設定は完璧だったはずなのに……」
一方通行「アームの力が調整されてンだよ。取れそうで取れねェよォにな」
結標「な、なんでそんなことに……?」
一方通行「数千円する景品が百円玉一、二枚で手に入ったら向こうは損すンだろ。商売ナメンなよ」
結標「言われてみればそうね……じゃあどうやって取ればいいのよ?」
一方通行「さァな。俺もそンな詳しく知ってるわけじゃねェからな」
結標「そう。ならば取れるまでトライ!」
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「……もう一度!」チャリン
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「……あっ、また落ちた」チャリン
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「……くっ、もう一回!」チャリン
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「……あああああっ! またぁ!」チャリン
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「…………」チャリン
~二十分後~
結標「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」チャリン
ガシッ、ウイーン、ボトッ
結標「~~~~~~~~~~!!(言葉にならない声)」
一方通行「もォ諦めろよ」
結標「いやいや! ここまでやって収穫ゼロなんて嫌よ絶対!」
一方通行「どンだけぬいぐるみ欲しいンだよ」
結標「これは意地の問題よ」
一方通行「意地で金の無駄遣いしてンじゃねェ」
結標「ぐぬぬ」
一方通行「…………どいてろ」スッ
結標「えっ、なによ?」
一方通行「俺にやらせろ」
結標「べ、別にいいけど……なんでいきなり?」
一方通行「面倒臭せェからだ」チャリン
結標「……わけがわからない理由ね」
一方通行「うるせェ」カチ
一方通行「さァて、ぬいぐるみの体積、重さ。アームの力。配置――」ブツブツ
結標「……? 何ブツブツ言ってんのよ?」
一方通行「条件からして掴ンで手に入れンのはほぼ不可能、つゥわけで別の方法か……」ブツブツ
結標「……動かさないの?」
一方通行「…………つまり、こォすればイイわけだな」カチ
ウイーン
一方通行「…………」カチ
ウイーン
結標「……ちょっと一方通行。いくらなんでもそれ外してない?」
一方通行「問題ねェよ。これで終わりだ」
ウイーン、スカッ
結標「ほら、やっぱり外れ――!?」
一方通行「…………」ニヤ
結標「ぬ、ぬいぐるみについてるタグに……ひっかけた……?」
一方通行「こォいうモンはただ闇雲にやるだけじゃいつまで経っても取れねェよ。ここを使わねェとな」ツンツン
結標「な、なるほど。こんな裏技が……」
一方通行「この第一位の頭脳を使やァこンなモンいくらでも取れ――」
ウイーン、ボト
一方通行「――る?」
結標「あっ、落ちた」
一方通行「…………」
結標「第一位の頭脳を使やぁこんなもんいくらでも取れるぜ(キリ」
一方通行「…………」
一方通行「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか――ッ!!」
結標「うわっ、久しぶりにキれた!?」
一方通行「イイねイイねェ、最ッ高に面白ェじゃねェか、この俺をここまでコケにするなンてなァ!!」
結標「まあまあ落ち着きなさいよ一方通行!」
一方通行「うるせェ、こォなったら意地でもコイツを捕獲してやる」
結標「貴方さっき自分で意地がなんたらとか言ってなかったかしら!?」
一方通行「あぎゃはっ、ぐひゃっ、狩りの時間だクソマシーンがァ!!」チャリン
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「…………ほらよ」スッ
結標「あ、ありがとう」
一方通行「クレーンゲーム。三下以来の強敵だったぜ」フゥ
結標「いくらつぎ込んだのよ……?」
一方通行「あァ? 一万超えたぐれェから数えるの止めた」
結標「見事にクレーンゲームに踊らされているわね」
一方通行「チッ」
結標「……んーと、まあなにはともあれありがとね、これ」ニコ
一方通行「……おォ」
‐宿泊所・地下ゲームセンター・リズムゲームコーナー‐
結標「お次はこれをやってみようかしら」
一方通行「ンだァこりゃ。太鼓を叩くゲームか?」
結標「このゲームだけ和風ってすごい存在感があるわね」
一方通行「まァイインじゃねェか」
結標「じゃあ一回やってみるとしよう」
一方通行「今度はどォでもイイ意地が発動しなけりゃイイな」
結標「別に景品とかないんでしょ? 意地になる必要がないんじゃない」
一方通行「どォだか……」
結標「じゃあお金入れて……ええと難易度?」チャリン
一方通行「そりゃゲームなンだから難易度くれェあンだろ」
結標「ふむ、そうね。ならむずかしいでいいわ」ドン
一方通行「カンタンじゃなくてイイのか?」
結標「馬鹿にしないでちょうだい。これでもゲームスキルは結構高いと自負してるのよ?」
一方通行「クレーンゲームで単調な掴みしかしなかったヤツのゲームスキルが何だってェ?」
結標「う、うるさいわね! それとこれとは別問題よ!」
一方通行「ンなことよりさっさと曲選べよ、時間もォねェぞ」
結標「わっ、ほんとだわ! 急いで選ばないと……!」ドンドンドン
一方通行「あと五秒」
結標「焦らせないでよ! ええともう何でもいいわ」ドンドンドン
チャラーン♪
一方通行「で、結局何選ンだンだ?」
結標「えっと……くれ、ない?」
一方通行「ンだそりゃ? 何の曲だ?」
結標「さ、さあ? 私も何がなんだかわからず選んだから」
一方通行「まァ、何を選ぼォとすることは変わらねェだろ」
結標「そうね、あっそろそろ始まるわね」
チャァァァン♪
―――
――
―
―
――
―――
結標「……ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、全然ついていけない……」
一方通行「当たり前だろ。たとえゲームのセンスがあったとしても、大人しく初心者はカンタンにしとけよ」
結標「む、何よその自分は上級者ですよ、みたいな口ぶりは」
一方通行「上級者じゃねェよ。つゥかやったことねェよ」
結標「だったら貴方もやってみなさいよ!」
一方通行「どォしてそォなる」
結標「何か私が馬鹿にされてるみたいでムカつくじゃない!」
一方通行「馬鹿にしてねェよ。被害妄想しすぎだろ」
結標「いいから!」
一方通行「チッ、わかったわかったやりゃイインだろやりゃ」チャリン
一方通行「設定はオマエのヤツと一緒でイインだよな?」ドンドン
結標「そうね。そうじゃないと勝負にならないものね」
一方通行「いつからこれが勝負になったンだァ? ……つゥかどっかに椅子ねェか?」
結標「椅子? 椅子ってどんな?」
一方通行「座っても十分これが出来るくれェの高さの椅子」
結標「えーと……そんな高い椅子ないわね」
一方通行「チッ、ならしょうがねェな」カチ
結標「…………能力使う気?」
一方通行「使わねェと両手使えねぇだろォが」
一方通行「たしか曲の長さは二分半くれェだったか?」
結標「そうね。ちなみに最初からすごい勢いだから油断しない方が良いわね」
一方通行「知ってる。後ろで見てたからな」
結標「……えらく余裕じゃない?」
一方通行「まァ、所詮はゲームだからな」
結標「……あ、始まるわよ」
チャァァァン♪
一方通行「…………」スゥ
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「…………」
ドンドドンドン、カッカカカッ、ドン、ドドンドドン!
一方通行「…………あーあ、ねっむ」フワァ
ドン、ドン、カッ、ドンドンカッカッ!
一方通行「これで最後か……」
ドドドドドドドドドドドドド、ドドドドドドドドドドド、ドドドドドドドドドドドド!!
<フルコンボ!!
結標「」
一方通行「……オイ、終わったぞ」カチ
結標「あ、貴方絶対経験者でしょ?」
一方通行「いや、初心者だ」
結標「初心者があくびしながらあんなにうまくできるわけないじゃない!」
一方通行「あァ、そりゃアレだ。叩き方とかタイミングとか全部記憶してたからな」
結標「えっ、うそっ……! あれだけの数のタイミングを全部!? いつの間に……」
一方通行「オマエがやってるときにな。どォせこンな展開になるンだろォと思ってよォ」
結標「それで全部覚えてたわけ……?」
一方通行「まァな。意識してりゃたった二百ちょっとのタイミングなンざ余裕で覚えられる」
結標「……嘘でしょ?」
一方通行「嘘をつく理由がどこにある」
結標「…………第一位は伊達じゃないってわけね」
一方通行「まァ俺だけじゃねェよ。他のレベル5なら全員できンじゃねェか? 少なくとも第三位は出来るな、たぶン」
結標「どちらにしろ化け物ね」
一方通行「ま、あンま気にすンじゃねェよ。俺でも初見じゃねかったらあくびは出来ねェよ」
結標「……それってでもフルコンボはできる、って聞こえるんだけど」
一方通行「ああ」
結標「……くっ、こうなったら練習しまくって、意地でも一方通行に勝たないと……」
一方通行「何で俺に対抗意識燃やしてンだよ。つゥか、そォいうのは旅行帰ってからにしやがれ」
‐宿泊所・地下ゲームセンター・ガンシューティングゲームコーナー‐
結標「よし、次はこれね」
一方通行「ガンアクションものか。わかりやすくてイイな」
結標「これなら頭の良さなんて関係ないからフェアよね」
一方通行「まァそォだな。俺からしても能力使いすぎたから節約してェからな」
結標「そんなこと言ってもたかだか二、三分しか使ってないでしょ? そこまで気にする必要ないんじゃない?」
一方通行「クレーンゲームでいろいろ計算するために使ったンだよ」
結標「ああ、そういや熱くなってるとき杖使ってなかったわね」
結標「よし、じゃあまず私から行くわ」
一方通行「……つゥか、二人プレイすりゃよくねェか?」
結標「へっ?」
一方通行「わざわざ別々にやって得点競うより、一緒にやった方が有意義だろ」
結標「そ、そうかしら」
一方通行「俺はオマエと一緒にやりてェンだよ」
結標「えっ」
一方通行「あァ?」
結標「ええええええええええええええええっ!?」
一方通行「うるせェ、静かにしやがれ!」
結標「ね、ねえ一方通行。それってどういうこと意味?」
一方通行「意味だァ? そのままの意味だが」
結標「え、ええと一方通行は、その、私とこのゲームをしたいってこと、よね?」アセ
一方通行「あァ? ああ、まァそォだな」
結標「そ、そうなの。あ、あはははっ、じゃ、じゃあ一緒にやりましょうか。えっと二人プレイの仕方はっと……」
一方通行「それぞれに金入れてからゲーム内で選べるらしいな」
結標「じゃあお金入れましょう。私はこっちを使うわ」チャリン
一方通行「なら俺ァこっちか」チャリン
結標(う、うう。び、びっくりしたー。いきなり一方通行あんなこと言い出すなんて思ってもみなかったわ)
結標(で、でも、もしかしたら少しは進展したってことなのかしら?)
一方通行(よし、これで待ち時間とかいう無駄なものをなくすことが出来たな)
一方通行(とっとと終わって、早く部屋に帰って寝てェからな……)
結標「難易度はどうする?」
一方通行「さっきので懲りただろ。大人しくイージー選ンどけ」
結標「むっ……ふふっ」ニヤ
一方通行「あァ?」
結標「ようし、一番難しいステージ行ってみましょうかー!」バン
<ハァァァァド!!
一方通行「ンだと? オマエクリアする気ねェだろ」
結標「ふふふ、貴方が一緒なんだから余裕でしょ?」
一方通行「やったことねェし、見たこともねェンだから知らねェよ」
結標「まあ、何とかなるでしょ」
ダダダーン!!
結標「あっ、始まった始まった」
一方通行「……ハァ、面倒臭せェ」
ゾンビA『アアーアー』
結標「それ!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ゾンビB『アーアーアーア』
ゾンビC『オァァァアアア』
結標「この!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ゾンビD『ウウゥゥウウウゥ』
ゾンビE『ガァアアアアオア』
ゾンビF『ホワァァチャァァァ』
結標『わっと!』バンバンバン
一方通行「…………」バンカチャバンバン
ゾンビG『バォアアアオゴボオワ』
ゾンビH『パォォォンゥゥゥ』
ゾンビI『グレシシィゲウイリ』
ゾンビJ『ワァァレェェェワァァァレェェェ』
結標『…………!』バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ゾンビK~T『ポォォォォウゥゥウゥ!!』
結標「ちょ、数多すぎでしょ!!」バンバンバン
一方通行「だから大人しくイージーにしとけって言ったンだろォが!」バンバンバン
結標「このっ、このっ……あれ? 弾が出ない」カチカチ
一方通行「さっさとリロードしろ!」バンバンバン
結標「り、リロードって?」アセ
一方通行「弾の補充のことだッ、そこにやり方書いてンだろォが!」バンバンバン
結標「え、ええっと……画面の外に向けてトリガーを引く……」
一方通行「早くしろォ!」バンバン
結標「画面の外向けて……こうね」カチャリ
<ウワアアアアアァァァァァ!!
結標「よし、弾の補充完了! ようし倒すわよー!」バッ
<グゥェェェムオォォォバァァァ!!
結標「ってあれ?」
一方通行「遅せェンだよ、リロードすンのがよ!」
結標「ひっ、ご、ごめんなさい!」
一方通行「つゥかスキさえありゃ、こまめにリロードしなきゃクリアできねェぞ」
結標「そ、そうね。次からは気をつけるわ」
一方通行「ったく……」
結標「よし! じゃあコンティニュー!」チャリン
一方通行「…………」チャリン
~~~
ゾンビK~T『ポォォォォウゥゥウゥ!!』
結標「今度はきちんとリロードしたから大丈夫よ!」バンバンバン
一方通行「……だとイイな」バンバンバン
ゾンビK『ウゥオォォオ』バタ
ゾンビM『グアアアア』バタ
ゾンビP『ハァァァァ』バタ
ゾンビ達『イヤァァァァァァァァ!!』
結標「って弾があっても捌ききれない!」バンガチャバンバン
一方通行「だからハードモードなンだろォが!」バンバンバン
結標「……というかゾンビ一体が強すぎよ! 銃弾四発でやっと死ぬなんて」バンバンバン
一方通行「だからこれがハードモードだっつってンだろォが!」ガチャバンバンバン
結標「ぐぬぬぅ……!」バンバンバン
一方通行「…………チッ」バンバンバン
<ウワアアアアアァァァァァ!!
結標「あっ」
<グゥェェェムオォォォバァァァ!!
結標「……ってこれクリア不可能じゃない!?」
一方通行「どォだろォな。クリアできねェモンがゲーセンに並ぶか?」
結標「まあそりゃそうだろうけど」
一方通行「ま、諦めてイージーモードに切り替えンだな」
結標「そりゃ駄目よ。せっかくだからエンディングまでいかないと」
一方通行「……なら続けンぞ」チャリン
結標「う、うん」チャリン
―――
――
―
~三十分後~
<ウワアアアアアァァァァァ!!<グゥェェェムオォォォバァァァ!!
結標「ああーもう! また駄目だったわ!」
一方通行「こりゃ本格的に積みかァ?」
結標「……もう一回っ」チャリン
一方通行「ハイハイ」チャリン
ゾンビA『アアーアー』
結標「このっこのっ!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
一方通行(さァて考えろ。それがゲームであるならクリアできねェわけがねェンだ)
一方通行(……だがあの状況は物理的に考えてクリアは不可能。普通にやったらクリアできねェ)
一方通行(何かあるはずだ……この最悪な状況を突破する方法が……!)
結標「えいえい!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ゾンビT『ウォアヴァアア』
カチカチ
一方通行「!? チッ、一度リロードすンぞ!」スッ
結標「えっ!? ちょ、こっちも弾が一発しか……ええい、ままよ!」バン
グチャァ!!
ゾンビT『バァハアアアァ』バタ
結標「…………あ、あれ? い、一発で倒せた?」
一方通行「……そォか。見つけたぞ突破口」
結標「ど、どういうこと?」カチャ
一方通行「ヘッドショットだ。頭に弾を当てりゃ、一撃で倒せる」
結標「そ、そんな馬鹿な……」
一方通行「見てろ」バン
グチャァ!!
ゾンビL『プァァシャア』バタ
結標「ほ、ほんとだ。一撃で倒れた……」
一方通行「当てるのは難しいが、むやみに体ァ撃つよりはクリアの可能性は高けェ」
結標「よ、よし! じゃあ頭中心に狙うのね! 了解!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ゾンビN『オォォケェェェ』バタ
ゾンビO『セェイセェェェイ』バタ
一方通行「…………チッ、全然当たりやがらねェな」バンバンバンガチャ
結標「三発くらいに一回ってところかしら?」バンバンガチャ
一方通行「まァ、もォ関係ねェがな」スッ
バンバンバンバンバン!!
ゾンビQ『ヒィィデェェェブゥゥゥ』バタ
結標「や、やった! 難関クリア!」
一方通行「油断してンじゃねェぞ。まだ終わったわけじゃねェ」
ゾンビ1~13『イェェェェェェェイィィィィィ!!』
結標「ぎゃー! さらに数がー!」バンバンバン
一方通行「難易度壊れすぎだろ……」バンバンバン
―――
――
―
~二十分後~
結標「……ぜぇ、ぜぇ、や、やったわ。やっと化け物の群れを倒したわ」
一方通行「途中ゾンビとか無視して変な怪物のオンパレードだったな」
結標「……あっ、どうやら次が何かラスボスっぽいわよ」
ラスボス『ブルァァァァァァ!!』
結標「うわっ、なにあの緑のヤツ……ゴキブリ人間!?」
一方通行「どォでもイイだろ。つべこべ言わず撃て」バンバンバン
結標「りょ、了解! とりあえず頭ね」バンバンバン
ラスボス『クワァァァメファァァメファ!!』
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
結標「!? な、なにあの緑の球体!」
一方通行「言わずともアイツの攻撃だろ。撃ち落すぞ!」バンバンバン
結標「って言ってもすごい数よ! それにジグザグ動くし」バンバンバン
一方通行「やらねェとやられンのはコッチだろォが」ガチャバンバンバン
結標「ええい! ヘッドショットで培った技術ぅ!」バンバンバン
ラスボス『ブルルルルルルルル』
結標「何かボスがプルプルしてるけど」ガチャ
一方通行「ほっとけ、今は球体を撃ち落すのが先だ!」バンバンバン
結標「わかったわ!」バンバンバン
一方通行「クソ野郎ォがァァ!」バンバンバン
ラスボス『ルルルルルルルルルルルゥゥゥ』
結標「…………ッ!?」
ラスボス『ルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
ドッゴォォォォォン!!
一方通行「ンだとッ!?」
<ウワアアアアアァァァァァ!!<グゥェェェムオォォォバァァァ!!
結標「と、突撃してきた……?」
一方通行「チッ、面倒臭せェヤツじゃねェか」
結標「緑色の球体に気を引かせてる間に力をためて、突っ込んでくる……わけね」
一方通行「よく作られてる敵じゃねェか」
結標「ってあれ防ぐの無理じゃない?」
一方通行「……予想だがためてる時に攻撃すれば、一応は防げるンじゃねェのか?」
結標「で、でもそれって球体の対処がおろそかになるんじゃないの?」
一方通行「確かにそォだが、そォしねェと俺たちがやられる」
結標「……役割分担しなきゃいけないわけね」
一方通行「どォする? 命中精度はオマエの方が上だろ」
結標「なら私が球体を撃ち落す。貴方はボスをお願い」
一方通行「ああ」
結標「じゃ、改めて最初からスタートね、疲れるわね」
一方通行「いや、どォやらそォいうわけじゃなさそォだ」
結標「えっ……あっ、コンティニューがボスからになってる!」
一方通行「製作者もそこまで鬼じゃねかったってわけだな」
結標「た、助かったー、あの長い道のりを最初からなんて正直嫌だったわ」
一方通行「よし、なら行こうとしようぜ。ゴキブリ退治によ」チャリン
結標「ええ」チャリン
ラスボス『ブルァァァァァァ!!』
一方通行「何もしてねェ今のうちにダメージ稼ぐぞ」バンバンバン
結標「わかってるわ!」バンバンバン
ラスボス『クワァァァメファァァメファ!!』
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
結標「ッ! 来たわ!」バンバンバン
一方通行「とりあえず撃ち落すぞ」バンバンガチャ
結標「ぐっ、ちょこまかと!」バンバンバン
一方通行「…………」バンバンバン
ラスボス『ブルルルルルルルル』
結標「……き、来たわ!」ガチャバンバンバン
一方通行「わかってる」バンバンバン
ラスボス『ルルルルルルルルルルゥゥゥ』
一方通行「止まりやがれクソゴキブリ野郎ォが!」バンバンバンバンバン
ラスボス『ルルルルルルル、ゴォア!!』
一方通行「よし、止めたぞ」ガチャ
結標「あ、一方通行! 早く援護して! 捌ききれない!」バンバンバン
一方通行「チッ……」バンバンバン
ラスボス『クワァァァメファァァメファ!!』
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
結標「そ、そんな! まだ増えるって言うの!?」バンバンバン
一方通行「クソが」バンバンバン
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
結標「ぐっ、だ、駄目っ! 防ぎきれない」バンバンバン
一方通行「……チッ、しょうがねェか」スッ
結標「ど、どうするつもりよ?」ガチャ
一方通行「チートを使う」カチ
結標「ち、チート!? それって能力よね? ゲームの攻撃を反射でもするつもり?」バンバンバン
一方通行「ンなこと出来るか!」
結標「じゃ、何? ゲームのシステム書き換えとか?」バンバンバン
一方通行「俺ァ第三位じゃねェぞ」
結標「じゃあどうするのよ!」バンバンバン
一方通行「システム書き換えとか違法なモンじゃねェ、もっと合法的なモンだ」ニヤァ
結標「合法的? なにそれ……ってなに自分の頭に銃口向けてるのよ!」
一方通行「ベクトル操作ってのはなァ、こォいうことも出来るンだぜェ」カチ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
結標「えっ? 球体がどんどん割れてく……?」
一方通行「結標ェ! オマエはゴキブリを狙え!」バンバンバン
結標「わ、わかったわ!」バンバンバン
ラスボス『クワァァァメファァァメファ!!』
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
一方通行「ケッ、ンなモンもォ効かねェよ」ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
ラスボス『ブルルルルルルルル』
結標「やらせないわ!」バンバンバン
ラスボス『ルルルルルルル、ゴォア!!』
一方通行「オラァ! 全弾眉間にブチ込ンでやるよォ!!」ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
ラスボス『ゴブッ、ゴバァ、ブルルァ、ボハッ!!』
結標「す、すごい……全部頭に当たってる……」
一方通行「ぼやっとしてンじゃねェ! ありったけ叩き込め!」
結標「わ、わかってるわよ!!」バンバンバン
ラスボス『ブルルルゥゥ、ブワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!
結標「うわっ、球体がすごいスピードで突っ込んでくるっ!」
一方通行「俺が撃ち落す」ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
一方通行「ラスト一個だ――ッ!?」カチ
一方通行(し、しまった……弾切れだと……?)
一方通行(今からリロードしても間に合わねェ……)
一方通行「……クソッた――」
「一方通行!!」
一方通行「――あァ?」
結標「…………」スッ
一方通行(俺に銃口を……?)
結標「ふふっ」カチ
一方通行「…………ケッ、やるじゃねェか」
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
ラスボス『ブルルルルワアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!』
<テレレレーン♪ グェェェムクリアァァァァ!!
結標「……や、やったわ。ついにクリアーしたわ!」
一方通行「そォだな」カチ
結標「い、いやーしかし疲れたわー、というか腕がパンパン」アハハ
一方通行「しかし最後俺に銃を向けるなンて考えよく思いついたな」
結標「あはは、原理はよく分かんないけどしたいことはなんとなく分かったからよ」
一方通行「アレは銃口から出るセンサー光を……まァ今となってはどォでもイイか」
結標「しかし本当にやったわね! まさか本当にクリアできるとは思ってなかったわ」
一方通行「オマエが選ンだンだろォが、余計な手間ァかけさせやがって」
結標「でも達成感はあったでしょ?」
一方通行「……チッ、くっだらねェ」
ピンポンパーン
結標「なに? 放送?」
アナウンス『消灯時間十五分前となりました。宿泊者の皆さんは自分の部屋に戻り、点呼をとった後に消灯してください。繰り返します――』
一方通行「あァ? もォそンな時間か。これに時間使いすぎたか」
結標「そうね。まだ遊べてないコーナー結構あるのに……」
一方通行「また明日来りゃイイだろ」
結標「明日……ね」
打ち止め「おーいアワキお姉ちゃーん!!」ノシ
青ピ「アックセラっちゃーん!」
土御門「かっえりましょ!」
禁書「もぐもぐ。じゃがバターおいしいね」パクパク
風斬「うん、そうだね」モグモグ
上条「か、風斬までなんか食ってる……」
姫神「これは感染した?」
吹寄「別に夜食くらいゆるしてあげなさいよ」
結標「あら、なんだか大集合ね」
一方通行「…………行くぞ」スー
結標「あっちょっと待って!」タッタ
一方通行「あン?」
結標「じゃあ明日の夜も一緒に遊ばない?」
一方通行「…………そォだな」
結標「あら、珍しくノリがいいじゃない」
一方通行「うるせェ。ンなこと言うなら行かねェぞ」
結標「あはは冗談よ冗談」
一方通行「チッ……」
―――
――
―
―
――
―――
???「…………」テクテク
???「…………」チャリン
???「…………」バンバン
<ベリィィィィハァァァァド!!
ダダダーン!!
ゾンビ達「ウォアアォォォォ!!」
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
ゾンビ達「ォォォ……」バタバタ
???「…………」バンバンバン
ラスボスA「ウギャァァァァァァァァッス!!」
ラスボスB「シェイシェイシェェェェェイッ!!」
???「…………」ガチャ
バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!
ラスボスA「ウホゥゥゥゥ……」バタ
ラスボスB「ブラッシャァァァァァ!!」バタ
<テレレレーン♪ グェェェムクリアァァァァ!! パァァフェクトゥ!!
???「…………」
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同日 23:00
‐宿泊所・階段‐
一方通行「……あー、ねっむ」
打ち止め「随分と白熱してたね、あのゲームそんなに面白かったの? ってミサカはミサカは興味本位で尋ねてみたり」
一方通行「ガキがやるよォなモンじゃねェ」
結標「なんかすっごい汗かいちゃったわ。ちょっとお風呂入りなおそうかしら?」
吹寄「あ、じゃああたしも入ろ」
結標「どうしたのその汗?」
吹寄「格ゲーとかやってたらつい熱くなってね」
青ピ「ゲームというか後半やってた卓球が主な理由やろーな」
吹寄「やっぱり旅館といったらピンポンよね!」
一方通行「ここは旅館じゃねェよ」
上条「……つーか、もう消灯時間くるってのにいいのかよ風呂なんか入って」
土御門「とりあえずは問題ないぜい。風呂はオールナイト使えるにゃー」
結標「なら問題ないわね」
吹寄「そうね」
一方通行「本格的にホテルじゃねェかここ」
姫神「……二人とも行くなら私も」
禁書「うーん、なら私たちも入ろひょうか!」
風斬「う、うん。いいよ」
打ち止め「むー、だったらミサかも入るー、ってミサカはミサカは一人ぼっちを回避してみる!」
青ピ「ほなボクも入るかなー。ゆっくりしたいしー」
土御門「青髪ピアス……死ぬなよ」
上条「南無……」
青ピ「あれ? なにこれ? 何でボクこんな扱いされとるん?」
一方通行「馬鹿なことァするなっつゥことだろ」
青ピ「馬鹿も何もボクはただゆっくりと露天風呂に浸かろうと……」
上条「信用ねえよなーお前が言うと」
土御門「まあどうでもいいけどな」
青ピ「ひどい!」
一方通行「くっだらねェ」
上条「あ、俺らの部屋はここの階だな」
吹寄「ならここでお別れね」
土御門「じゃ、また明日会おうぜい!」
姫神「というか。明日のスケジュールって決まってた?」
一方通行「いいや。別に決まってねェよ」
吹寄「なら今から先生たちに聞きに行く?」
土御門「別にいいんじゃないかにゃー、適当で」
上条「そうだな。ここの朝食の時間っていつだ?」
結標「ええっと……七時から開いてるらしいわよ」
一方通行「なら七時でイイだろ」
打ち止め「げぇー七時ぃー? ってミサカはミサカは露骨に嫌な顔をしてみたり」
一方通行「つゥことでガキはとっとと寝ろ」
打ち止め「いや、それより七時ってちょっと早くないかなー、ってミサカはミサカは――」
禁書「うん、七時なら普通に起きてるんだよ」
打ち止め「え」
風斬「わ、私も大丈夫、です……」
打ち止め「なん……だと……?」
一方通行「今日は早く寝るべきだなクソガキ」
土御門「ということで明日は七時くらいに食堂集合で!」
吹寄「了解、じゃ、おやすみー!」
姫神「おやすみ」
上条「また明日なー」
禁書「……なんだかおなかが減った気が――」
上条「ふざけんな!! 気のせいだ気のせい!!」
禁書「――しないんだよ」
風斬「……お、おやすみなさい……、です」
打ち止め「……七時」
結標「一方通行、おやすみ」
一方通行「おォ……」
~一日目終了~
―――
――
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【後編】に続きます