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元スレ
一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1335711061/
前々スレ
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328838816/
前スレ
結標「何でコイツと同じクラスなのよ!?」一方通行「それはコッチのセリフだ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1331555151/
スレタイ通り一方さん&あわきん(記憶喪失)コンビが年を越す話です
季節感半端なく違い過ぎてクマったクマった
※注意事項
>>1の勝手な想像で物語が進むので、設定改変・キャラ崩壊・ご都合主義がたくさんあります
基本台本形式
リアルがクソ忙しいので不定期更新
誤字・脱字は脳内変換お願いします
勢いで書いてるので矛盾点が多いかも
あとは前スレと大体同じなので、それらを踏まえた上でよろしくおねがいします
では、肩の力を抜いてどうぞご気楽に見てやってください
前スレエピローグ
December forth Tuesday 08:00
-黄泉川家・リビング-
結標「~~~~♪」ニコニコ
打ち止め「あっ、アワキお姉ちゃんおはよー! ってミサカはミサカは元気に挨拶ー!」
結標「おはよー打ち止めちゃん」ニコニコ
打ち止め「あれ? どうしたのアワキお姉ちゃん?」
結標「ん?」ニコニコ
打ち止め「何か朝からご機嫌だね、ってミサカはミサカはニコニコ笑顔なアワキお姉ちゃんに聞いてみる」
結標「えっ、そ、そんなに私ニヤニヤしてる!?」
打ち止め「いや、ニヤニヤじゃなくてニコニコ、ってミサカはミサカは訂正してみる」
芳川「ま、ニヤニヤでもニコニコでもそんな変わらない気がするけど」
結標「あ、芳川さんおはようございます。今日もバイト休みですか?」
芳川「残念ながら今日は昼からよ。どうせだから今日も休み取ればよかったわ……」
打ち止め「ヨシカワー。ミサカはニヤニヤとニコニコって結構違う気がするんだけど……」
芳川「そう? どちらも笑みを浮かべてるのを表す擬音でしょ?」
打ち止め「うーん、そうなのかなー、ってミサカはミサカは少し納得できなかったり」ウーン
芳川「まあ、そんなどうでもいい事は置いといて、何か良い事でもあったのかしら淡希?」
結標「えっ、えーと……まあ、はい……」
打ち止め「えー何々ー? もしかしてミサカが寝ちゃったあとに何かあったの? ってミサカはミサカは目を輝かせながら尋ねてみる!」キラキラ
結標「う、うん」
打ち止め「うわーやっちまったぜ、ってミサカはミサカは無駄に早寝をした事を悔んでみたり」
芳川「安心しなさい打ち止め。貴女が寝た後みんなすぐに解散したから」
結標「その時は打ち止めちゃんも起きてませんでした?」
打ち止め「うーん、昨日のパーティー後の事全然覚えてないや……」
芳川「まあ寝ぼけてたしね」
打ち止め「それよりあの後アワキお姉ちゃんの身に一体何が……!? ってミサカはミサカはCM前のように煽りを入れてみたり」
結標「え、えーと、その……」
芳川「たしかに気になるわね。あの後私もすぐ寝落ちしちゃったし」
打ち止め「またパソコンつけっぱで寝ちゃったの? ってミサカはミサカは少し呆れてみたり」
芳川「大丈夫よ。そういう時は自動でスリープモードになるように設定してるから」
打ち止め「机でばっか寝るのは身体に悪いよ? ちゃんとお布団で寝ないと……」
芳川「ふ、何を今さら。研究職に就いていた私はもはやそれが普通に……!」
打ち止め「あんまり机ばっかで寝てるとヨミカワがパソコン取り上げるって言ってたような、ってミサカはミサカはふと思い出してみる」
芳川「なん……だと……?」
打ち止め「……ていうか、何かすっごい話が逸れてる気がする……」
芳川「そういえばそうね。淡希の話をしてたのにどうしてこうなった」
打ち止め「……って事で何があったのアワキお姉ちゃん? ってミサカはミサカは再度尋ねてみたり!」
結標「え、あー……ひ、秘密って事でお願いします!」
打ち止め「えー! そう言われるとかなり気になるんですけどー! ってミサカはミサカは不満をぶつけてみる!」ブーブー
結標「い、いや別にいいじゃない秘密の一つや二つ……」
打ち止め「きーにーなーるー!」グイグイ
結標「ちょ、ちょっと服引っ張らないでー!」キラン
芳川「……!」
打ち止め「どうしたのヨシカワ? 何その思わせぶりな表情は?」
芳川「……別に何でもないわよ」
打ち止め「ふーん……じゃあ、きーにーなーるー!」グイグイ
結標「だから引っ張らないでー!」
芳川(……ふーん、そういう事、ね)
芳川(あの子もそれなりに成長してるって事ね)
芳川(しかし以前のあの子からしたら、まったく想像がつかないわね……)
打ち止め「くぅぃぃにぃぃなぁぁるぅぅぅぅ!」グイグイ
結標「い、いい加減にしなさい!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:25
-とある高校・一年七組教室-
ガラララ
一方通行「…………」カツンカツン
上条「おっす一方通行!」
一方通行「……おォ」ガタン
上条「昨日はインデックスの件サンキューな」
一方通行「……あァ」
上条「つーか、珍しく帰った後に『おなか減った』って言わなかったんだけど、アイツ相当食ったんじゃねえか?」
一方通行「……そォか」
上条「…………どうした? 何かぼーっとしてねえか?」
一方通行「……まァな。昨日は色々あって疲れてンだ」
上条「そんなにインデックスがご迷惑をお掛けに?」
一方通行「アイツに関してはもう慣れた」
上条「……すみません」
一方通行「疲れの原因はアイツじゃなくて昨日の俺にあるンだがな……」ハァ
上条「どういう事だ?」
一方通行「昨日の俺が馬鹿みてェな三下だったっつゥ事だ」
上条「?」
一方通行「いや何でもねェ。忘れてくれ」
上条「……まあ疲れてんならちゃんと休めよ? せっかくの冬休みなんだし」
一方通行「せっかくの冬休みに学校に来てる俺らって一体何なンだよ?」
上条「それを言うんじゃねえ」
一方通行「…………ハァ。しかし昨日は黒歴史確定だなァ、クソッたれ」
上条「黒歴史……?」
一方通行「忘れろ」
一方通行「……つーかオマエはどォだったンだよ?」
上条「何が?」
一方通行「ナニがって昨日の事だ。超電磁砲と映画に行ったンじゃねかったのか?」
上条「ああその事か。別に普通だったけど」
一方通行「普通ってどォいう風に普通なのか俺にはわかンねェンだけど」
上条「えーと、普通に映画を見て晩メシ食って終了」
一方通行「…………は?」
上条「だから映画見てメシ食って終わりだって。ああでもあの映画はちょっと俺には辛かったかな」
一方通行「どンな映画を見やがったンだ? カエルのキャラクターがワイワイするアニメのよォなヤツか?」
上条「正直俺はそっちの方が良かったな」
一方通行「それ以下ってどンな映画だよ?」
上条「今テレビのCMとかでよく見る恋愛ものの映画なんだけどよ」
一方通行「……あァアレか。クリスマスを題材にしたみてェなヤツだったっけな」
上条「そうそれ!」
一方通行「ならカエルアニメよりはマシだろォによォ」
上条「いやー、この時期にあんなもの見せられたら悲しくなってきますよ」
一方通行「……どォいう事だ?」
上条「クリスマスイブだってのに彼女の一人も居ない俺が見ると、映画の中の人達が羨ましすぎて涙が出てくるんですよ」
一方通行「……オマエ昨日はナニしに行ったンだっけ?」
上条「えっ? 御坂と映画見に行ったんだけど」
一方通行「…………」
上条「?」
一方通行「……何つゥか、ここに土御門と青髪ピアスが居なくて良かったな」
上条「……何で?」
一方通行「……まあイイ。で、その後は?」
上条「普通にファミレス行って晩メシ食ったな。久々に良い物食べた気がする」
一方通行「ファミレスの食いモンがイイ食いモンって……」
上条「……しょうがねえじゃねえか。こちとら貧乏生活を強いられてるんだからよ」
一方通行「じゃあメシ食い終わった後は?」
上条「メシ食った後は適当に雑談を交わしながら完全下校時刻ぐらいまで一緒に居たな」
一方通行「……それで?」
上条「それで終了」
一方通行「…………は? 終了だァ?」
上条「終了」
一方通行「……オマエ。『イブを一緒に過ごしてくれ』とか何とか言ってねかったか?」
上条「言ったけど……それがどうした?」
一方通行「それって傍から聞いたら『一緒にクリスマスイブの夜を過ごしてくれ』って解釈できねェか?」
上条「いやいや! さすがに上条さんも中学生相手に夜遊びする馬鹿野郎じゃありませんよ!」
一方通行「……もしかして超電磁砲と別れる時にもそれを言ったンじゃねェか?」
上条「おお! よくわかったな!」
一方通行「絶対ェオマエ別れ際に電撃食らったろ」
上条「すげえ! さすが第一位!」
一方通行「おそらく第一位じゃなくても予想するのは容易だろォな」
上条「しかし御坂のヤツは何で怒ったんだ? いくらクリスマスイブだからって中学生が夜遊びなんかしちゃ駄目だろ」
一方通行(苦労してンだな超電磁砲)
上条「どうかしたか一方通行?」
一方通行「何でもねェよ」
ガラララ
小萌「はぁーい! みなさんおはようございます! 今日はクリスマスだけど頑張って勉強するのですよー!」
一方通行「……面倒臭ェ」
―――
――
―
1.補習終了
December Fifth Saturday 16:10
-とある高校・一年七組教室-
小萌「――はぁーい皆さんお疲れ様ですー! 今日で冬休み補習は終了なのですよー!」
上条「しゃっあああああああああああッ!!」
一方通行「やっとかよ」
小萌「これで皆さんと次にお会いできるのが始業式の日となりますねー。寂しいですぅ」
一方通行「寂しいっつっても、たかが一週間ちょっとだろォがよォ」
小萌「せ、先生にとっては寂しいのですー!」
一方通行「……こンなンで夏休みは大丈夫だったのかァ?」
上条「さ、さあ? 俺夏休みは病院で過ごしてた時間の方が多かったような気がするし……」
一方通行「ナニをどォしたらそォいう夏休みなンだよ? まァ、病院送りにしてやった俺が言うのもなンだけどよォ」
上条「そういや最近メッキリとそういう事件に巻き込まれなくなったな」
一方通行「退屈か?」
小萌「駄目ですよ上条ちゃん! 平和が一番ですよ!」
上条「わ、わかってますよ先生! 一応こういう日常を送れるってだけで俺は嬉しいですし」
小萌「そうです。ちゃんと上条ちゃんがわかってくれてて先生も嬉しいのですよ」ニコ
上条「先生……」
小萌「あと勉強を頑張ってくれたらもっと嬉しいのですけどねー」
上条「ははは、不幸だ」
一方通行「……チッ、くっだらねェ。俺ァ帰るぞ」ガタ
上条「あ、ちょっと待てよ一方通行!」ガタ
小萌「ではまた新年でお会いしましょう。よいお年を迎えてくださいねー」
―――
――
―
―
――
―――
同日 16:30
-第七学区・街頭-
上条「……あー、やっとまともな冬休みを送る事ができるー!」
一方通行「そォだな」
上条「まさか補習のために冬休みの約半分を削り取られるとは思わなかったわ……」
一方通行「夏休みも入院生活で潰れてンだから、今さらどォでもイイだろ」
上条「はぁ……まあいいか。残りの冬休みを有意義に過ごすとしよう」
一方通行「精々事件に巻き込まれねェよォに気を付けるンだな」
上条「多分大丈夫だろ。さっきも言ったように最近本当に巻き込まれねえし」
一方通行「そこで右手が働くンですねわかりますゥ」
上条「おいやめろ」
上条「……で、今日もこっちの道に来るって事はまたコーヒー目当てか?」
一方通行「まァな。そろそろストックが尽きてる頃だろォしな」
上条「お前最近結構な本数買ってねかったか?」
一方通行「あァ? あの程度一日二日もありゃあすぐ消え失せる量だぞ」
上条「どんだけ飲めば気が済むんだよ!」
一方通行「ウマいコーヒーならいくらでもイケる」
上条「……コーヒーばっか飲んで飽きねえのかよ?」
一方通行「正直飽きる」
上条「だろうな!」
一方通行「だから新作に手を出したりとか、結構前に飲んでたヤツを買ったりとか、と種類は頻繁に変わるな」
上条「つーかよくよく考えたら、コーヒーって普通飽きるようなもんじゃねえよな?」
一方通行「はあ? 飽きるだろ普通は」
上条「お前の場合一日の摂取量が異常なだけじゃねえのか?」
一方通行「別に俺は以上だと思った事は一度もねェけどな。気に入ったモンは大量購入ってのが普通だろ」
上条「チッ、これだから金持ちってやつは……」
一方通行「……しかし冬休みって言われても何にもする事ねェよな?」
上条「はあ? する事ないってどういう事だよ?」
一方通行「そのままの意味だ」
上条「……お前冬休みの宿題+補習の宿題を忘れてねえか?」
一方通行「そんなモンどォでもイイ」
上条「サボる気かよ!?」
一方通行「サボるもナニももォ終わってるからな」
上条「……えっ? なに聞こえない?」
一方通行「宿題ごときとっくに終わってるっつってンだよ」
上条「なん……だと……?」
一方通行「別にそンな驚く事じゃねェだろ」
上条「……まさか家に帰ってからずっと宿題をしてたっていうのか?」
一方通行「ンな面倒臭ェ事俺がするわけねェだろォが」
上条「じゃ、じゃあいつ終わらせたんだよ?」
一方通行「補習の授業中に終わらせた」
上条「い、いつの間に……」
一方通行「だってよォ、授業聞いてるだけだったら手が暇だろォが」
上条「……つまり授業を聞くのと並行して宿題を終わらせたと?」
一方通行「そもそも、あの程度のレベルの内容聞くまでもねェけどな」
上条「…………」
一方通行「…………?」
上条「ちょっと宿題終わらせてくる」テクテク
一方通行「おォ。またな」
上条「おう」テクテク
一方通行「…………」
一方通行「さァてコーヒーコーヒーっと……」カツンカツン
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:00
-黄泉川家・リビング-
ガチャ
結標「……あら、おかえり一方通行」カキカキ
一方通行「おォ」ガチャガチャ
結標「相変わらずの缶コーヒーの量ねぇ」
一方通行「……こンなところでナニやってンだオマエ?」ガチャン
結標「何って見てわからないの?」
一方通行「何だよ?」
結標「冬休みの宿題よ、宿題」
一方通行「まだ終わってなかったのかよ」
結標「何? そのもう宿題なんて終わってますよ的な口ぶりは?」
一方通行「宿題なンて終わってますけど何か?」
結標「……それ本気で言ってるの?」
一方通行「俺が冗談を言うような人間に見えるか? つゥかこの会話の流れさっきも見たことある気がするンだが……」
結標「? ……って宿題の量結構あるわよ? 下手したら休み中に終わるのか心配になるくらいに」
一方通行「だから終わったっつってンだろ。それにあの程度の宿題を終わらせるのに二週間も必要ねェよ」
結標「しょ、証拠を見せなさい! 証拠を!」
一方通行「ナニをそンなムキになってンだオマエ?」
結標「だって信じられるわけないじゃない。あの量の宿題を約一週間で終わらせてるなんて」
一方通行「チッ、面倒臭ェ……」ゴソゴソ
一方通行「ほらよ」ガタン
結標「……何か多くない?」
一方通行「あァ? ああ、補習の分の宿題も混じってるからな」
結標「大変ねぇ補習組は……」
一方通行「別に変わンねェだろ」
結標「……まあ、では拝見させてもらうわよ」スッ
一方通行「勝手にしろ。俺ァ着替えてくる」カツンカツン
―――
――
―
―
――
―――
結標「…………」
一方通行「見終わったか?」カツンカツン
結標「……一体どんな手品を使ったのよ?」
一方通行「実力行使だ」
結標「嘘つけ」
一方通行「嘘じゃねェよ。時間なら充分にあっただろォが」
結標「そ、そんなはずないわ。クリスマスパーティーとかの準備とかいろいろあったはず……!?」
一方通行「俺はその準備に参加してねェ」
結標「そういえば補習に行ってたわね」
一方通行「まあ今日でその補習はめでたく終わりを迎えた訳だが」
結標「あらよかったじゃない。やっと貴方の冬休みが始まったわね」
一方通行「どォでもイイ」
結標「……そんな事よりいつ終わらせたのよこれ?」
一方通行「補習の授業中にやった」
結標「……授業聞いてないの?」
一方通行「既に知っている事を聞いたところで、何にも得する事はねェだろォが」
結標「小萌先生……これを聞いたら絶対に泣くわね」
一方通行「いい歳した大人がその程度で泣くかよ」
結標「……そういえば先生大人だったわね」
一方通行「今まで何だと思ってやがったンだオマエ?」
結標「いやー、ちょっと見た目の印象が強くて……」
一方通行「それこそ月詠泣くンじゃねェのか?」
結標「小萌先生って何であんな体してるんだろうね?」
一方通行「前言っただろ。アイツは『二五〇年法』の実態だってな」
結標「だから何なのよその『二五〇年法』って?」
一方通行「自分で調べろ」
一方通行「そォいえば他のヤツらはどこに消えやがったンだ? 大人二人はイイとしてクソガキが居ねェのが気になる」
結標「心配性ねぇ」
一方通行「別に心配なンざしてねェし」
結標「照れなくてもいいのに」
一方通行「叩き潰すぞテメェ」
結標「ははは冗談よ冗談」アセ
一方通行「……チッ、結局どこに行ったンだ他のヤツらは?」
結標「ええと、黄泉川さんと芳川さんは忘年会に行ってるわよ?」
一方通行「忘年会だァ? 黄泉川はともかく芳川は忘年会をする知り合い居ンのかよ?」
結標「黄泉川さんはアンチスキル仲間とで、芳川さんはバイト先の同僚たちとだったかしら……?」
一方通行「同僚っつゥ事は上条も居ンのか?」
結標「えっ? 何で上条君?」
一方通行「アイツもあそこのコンビニで働いてンだとよ」
結標「へー、今まで結構あのコンビニに通ってるけど、一回も遭遇した事なかったなー」
一方通行「やっぱりオマエもか」
結標「まさか貴方も会った事なかったの?」
一方通行「ああ。まだコンビニで会った事はねェな」
結標「すごい奇跡ね」
一方通行「まァな」
結標「コンビニに行く時間帯が悪かったのかしら?」
一方通行「別にどォでもイイけどよォ」
一方通行「で、クソガキはどこに行ったンだ?」
結標「隣の木原さんのとこに行ってるわよ」
一方通行「あァ? 何でそこで木原?」
結標「何か木原さんのとこに一人女の子が遊びに来てて、その娘と仲良くなったから今日は泊まり掛け遊ぶらしいわ」
一方通行「木原クンに俺ら以外の知り合いがいた事に驚きだわ」
結標「たしか名前は円周ちゃんだったかしらね」
一方通行「円周? ンだァ? その適当な名前はァ?」
結標「さあ? 聞き間違いじゃあなかったとは思うけど」
一方通行「……しかし変な名前だなァオイ」
結標「少なくとも貴方の名前よりはマシだとは思うけど」
一方通行「あァ? 一方通行は通り名だ。俺だって一応至って普通の名前くれェ持ってンだよ」
結標「そういえばそうだったわね。すっかり忘れてたわ」
一方通行「記憶力残念すぎンだろ」
結標「ところで貴方の本名は何て言うの?」
一方通行「……教えねェ」
結標「何で?」
一方通行「面倒臭ェから」
結標「名前を言うだけなのに何がそんなに面倒臭いのか私には理解できないわ」
一方通行「ってこたァクソガキが帰ってくンのは明日か」
結標「そうなるわね」
一方通行「どォせ大人二人は夜中にベロンベロンに酔って帰ってくるンだろォしな」
結標「うん」
一方通行「って事は、今夜は俺達二人きりっつ事だな」
結標「うん。そうね――ってええっ!?」
一方通行「あァ?」
結標「ふ、二人きりぃぃいいいいいっ!?」
一方通行「ナニハシャイでンだこの三下はァ?」
結標「ふ、ふっ、二人きりって~~///」
一方通行「あァ? どォかしたか?」
結標「な、何でもない! 何でもないから~~///」
一方通行「?」
結標「そ、そんな事よりそろそろ夕食の時間にしましょ? お腹空いたわ」
一方通行「……まだ六時過ぎだぞ? もォメシ食うのか?」
結標「い、いいじゃない別に!」
一方通行「ハイハイわかったわかった。じゃあ晩メシの時間としますかァ」
結標「お、おー!」
一方通行「で、今日の晩メシはどこだ?」
結標「……さあ?」
一方通行「……つゥ事は今日の晩飯は各自でテキトウに作って食えって事か?」
結標「うん。そういう事になるわね」
一方通行「じゃあカップ麺でも作るか」ガタ
結標「えー、夕食にカップ麺ー?」
一方通行「あァ? 何だよ?」
結標「何か残念じゃない?」
一方通行「別にそンな事思った事ねェよ」
結標「うーんでもカップ麺はないでしょ?」
一方通行「じゃあ出前でも頼めよ。もちろン自腹でな」
結標「今月はちょっとピンチで……」
一方通行「何をどォ使えばレベル4の奨学金が消え去るンだ?」
結標「いやー、女の子にはいろいろあるのよーいろいろ」
一方通行「女の子(笑)」
結標「…………」ブン
シュン
一方通行「反射」カチ
ガコン
結標「チッ、遅かったか……」
一方通行「そう易々と第一位の俺にダメージを与えられると思うンじゃねェぞ」カチ
結標「相変わらずのチート能力ね。ベクトル操作」
一方通行「オマエの能力もそれなりにチートだろ」
結標「貴方が居るからそうは思えないわね」
一方通行「つゥ事で、金がねェならカップ麺で我慢しやがれ」
結標「えー!!」
一方通行「文句言ってンじゃねェよ。この状況ならその二択ぐれェしかねェだろ」
結標「ぐぬぬ……」
一方通行「それか何だァ? 冷蔵庫に入ってる生肉そのまま食ってみるか?」
結標「……そうだ!」
一方通行「あン?」
結標「こうなったら自分で料理を作れば良いのよ!」
一方通行「」
結標「良いのよ!」
一方通行「ちょっとファミレス行ってくる」カツンカツン
結標「まあ待ちなさいよ」ガシ
一方通行「離してください。まだ死にたくないンです」
結標「何よ。私だって日々進歩してるのよ! 料理だって作れるわ! きっと……」ボソ
一方通行「ふざけンじゃねェ。逝くならオマエだけ逝け」
結標「何で貴方は私が必ず殺人料理を作ると勝手に決め付けるのかしら?」
一方通行「前例があるからに決まってンだろォが」
結標「大丈夫よ。私だってもう柔軟剤を料理に入れてはいけないという知識くらい持ってるわ」
一方通行「それは料理の知識以前の問題だ。常識だ常識」
結標「じゃあちょっと作ってくるわね。何が食べたい?」
一方通行「クソが。俺が食うのは決定かよ」
結標「当たり前じゃない。今日の晩ご飯なんだから」
一方通行「チッ、だったらまともに食えるモン作れ。何でもイイから」
結標「もう。何でも良いっていうのが一番困るっていうのに……」
一方通行「オマエそれが言いたかっただけじゃねェのか?」
結標「そ、そんな事ないわよ」アセ
一方通行「……じゃあ野菜炒めだ。それなら失敗しよォがねェだろ」
結標「良いの? 貴方の嫌いな野菜がたくさん使う料理なのだけど」
一方通行「自分の命には代えられねェだろ」
結標「貴方は心配し過ぎなのよまったく」
一方通行「これから自分は生き残れるのかどォかが心配で仕方がねェ」
結標「よーし! じゃあ作るぞー!」ガチャン
―――
――
―
―
――
―――
~二〇分後~
野菜炒めの様なもの「Let's go to hell together!!」
一方通行「」
結標「め、召し上がれ!」
一方通行「……野菜炒めの色って普通紫色だっけ?」
結標「だ、大丈夫よ。見た目は悪いけど味だけは絶品よ!」
一方通行「そンなベタな展開があるわけねェだろォが」
結標「ベタだからこそそんな展開になりやすいんじゃない?」
一方通行「じゃあオマエこれ食ってみろよ。それでウマかったら俺も食うわ」
結標「い、いやー、ちょっと今お腹空いてないかなー?」
一方通行「さっき腹減ったっつったのはオマエだろォが!!」
結標「いや、その、あれよあれ。見てるだけでお腹いっぱいになって……」
一方通行「オマエはこの少ねェ量の化学兵器を見るだけで空腹を凌ぐ事ができンのかよ?」
結標「ま、まあとにかく。はい、あーん!」スッ
一方通行「お、オイやめろ! 嘘だろ!?」
結標「早く口開けてよ」
一方通行「ンーンンンーンー!!(絶対ェ開けるかボケ!!)」
結標「……ならば」スッ
一方通行「ッ!?」
結標「テレポート!!」ブン
シュン
一方通行「もがっ!?」カポ
一方通行「…………」モグモグ
結標「……ど、どう?」
一方通行「…………」ゴクン
結標「…………」ドキドキ
一方通行「…………」ニヤァ
結標「?」
一方通行「」ガタン
結標「あ、一方通行!?」ユサユサ
一方通行「」
結標「一方通行ァああああッ!?」
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「…………あァ?」ムク
一方通行「あン? 俺ァいつの間に寝てたンだァ?」
一方通行「……俺は一体ナニをやってたンだっけなァ?」
結標「あ、一方通行!」
一方通行「あァ? ああ結標か、どォかしたか?」
結標「よ、よかったー無事だったのね!」
一方通行「あン? 無事だァ?」
結標「ホント一時はどうなるかと思ったわ。本気で救急車呼ぶところだったわ……」
一方通行「……オイ結標」
結標「何かしら?」
一方通行「全く話が見えねェンだが、ナニかあったのか?」
結標「……貴方何も覚えてないの?」
一方通行「だから聞いてンだろォが」
結標「……貴方さっきまで倒れてたのよ」
一方通行「何でだ?」
結標「その……非常に言い難い事なんですけどね……」
一方通行「言い難くても言え」
結標「ええと……私の……食べ……」ボソ
一方通行「……? オイ、聞こえねェぞ」
結標「わ、私の料理を食べたのよ!」
一方通行「……オマエ。それマジで言ってンのか?」
結標「そ、そうよ!」
一方通行「…………」
結標「?」
一方通行「……ああ、そォいやァ思い出したわ」ガシ
結標「えっ?」
一方通行「能力使ってまで無理やり食わせるだァ、ナメた真似しやがってよォ」ピキピキ
結標「……そ、その……あの……」ガクブル
一方通行「スクラップの時間だァ!! クソ野郎がァああああああああッ!!」カチ
結標「ご、ごめんなさーい!!」ドタバタ
―――
――
―
2.大掃除
December Fifth Sunday 09:00
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「はい。今日は絶好の大掃除日和じゃんねー」
一方通行「雨降ってンだが……」
結標「しっ! そこはツッコんじゃダメよ!」
芳川「おぇ……気持ち悪っ……!」
一方通行「吐くンならトイレで吐け。無暗にリビング汚すンじゃねェぞ」
芳川「ちょっとトイレ行ってくるわ……うぷっ」フラフラ
結標「ちょ、ちょっと芳川さん!? 大丈夫ですか!?」タッ
黄泉川「……何でウチの連中はこうまとまりがないじゃんねー?」
一方通行「まとまりがねェのは元からだろ。それで一番まとまりのねェクソガキはまだ帰ってこねェのか?」
黄泉川「一応打ち止めから朝ご飯食べてから帰るって連絡は来てたけど」
一方通行「つゥ事はそろそろ帰ってくる時間か? 木原の野郎の朝食の時間なンて知らねェけど」
黄泉川「そうじゃんね」
結標「あー、疲れたー」
黄泉川「淡希お疲れさーん!」
結標「黄泉川さんは大丈夫なんですか? 一応芳川さんと一緒の時間くらいに帰ってきてましたけど……」
黄泉川「まあ何もないって言ったら嘘になるけど、普通に生活するくらいには大丈夫じゃん」
一方通行「とりあえず芳川の野郎は使い物になンねェなこりゃ」
黄泉川「とにかく。やっと全員の時間が合ったんだから、今日中に大掃除は終わらせておくじゃん」
一方通行「わざわざ会わせるなンて面倒臭ェ事せずに、勝手に終わらせておけばイイのによォ」
結標「それは単に貴方が面倒臭かっただけじゃないかしら?」
一方通行「当然だろ」
黄泉川「……それじゃあ張り切って大掃除開始するじゃん!」
一方通行「その前に段取りを先に決めろ」
黄泉川「うーんそうじゃんねー。まずリビングやトイレ、風呂場みたいなみんなが使う場所から掃除をするじゃん」
結標「それが終わったら各自の部屋ですね?」
黄泉川「そうじゃん」
一方通行「面倒臭ェから俺の部屋はやらなくてイイな」
結標「さすがに年末くらい掃除した方が良いんじゃないの? 普段は全然掃除しないわけだし……」
一方通行「あァ? オマエと一緒にすンじゃねェよ」
結標「えっ、嘘! まさかこまめに掃除してるって言うの?」
一方通行「掃除っつゥか埃とかを吹き飛ばしてるだけだけどな」
結標「……何となくわかったわ」
一方通行「つまり俺の部屋は埃一つない素晴らしい部屋だっつゥわけだ」
黄泉川「埃どころか家具以外ほとんど何もない、何の面白味もない部屋だけどな」
一方通行「うるせェぞクソババァ」
芳川「……おぇっぷ。私はトイレの掃除をするおぇっぷ」フラフラ
一方通行「どンだけ飲ンだンだよオマエ? 黄泉川と状態違いすぎンだろ」
芳川「私は愛穂みたいにお酒に強くおぇっぷ」
黄泉川「ところで何でトイレ? 学校じゃ生徒が嫌がる掃除場所ベスト3に必ず入りそうな場所なのに」
芳川「吐きそうになってもすぐ対応できるでしょ?」
結標「……吐き気が治まるまで寝てた方が良いんじゃ……?」
芳川「ふふふ。こんな大事な日に私だけニートになるわけにはいかないわ……」
黄泉川「桔梗……」
結標「芳川さん……」
一方通行「元ニート……」
芳川「おい若白髪」
芳川「じゃあトイレ行ってくるわねおぇっぷおぶぇ!」フラフラ
黄泉川「じゃあトイレは桔梗がやるとして、リビングはそれなりに広いから二人でやった方が良いじゃんね」
結標「そうですね。家具もいっぱいあるし」
一方通行「つゥか俺が能力使えばすぐ終わンじゃねェのか?」
黄泉川「埃くらいなら良いかもしれないけど、こびり付いた汚れとかは落ちにくいじゃんよ」
一方通行「だったら水のベクトル操って、片っ端から削ぎ落してやるよ」
黄泉川「部屋を水浸しにする気じゃん?」
結標「だったら一方通行はお風呂場の掃除をすれば良いんじゃない?」
一方通行「風呂場だァ?」
黄泉川「そうじゃんね。水垢とか落とすのには一方通行の能力は便利だしな」
結標「さすが万能能力ベクトル操作!」
一方通行「能力の無駄遣いってこォいう事を言うンだろォな」
結標「何言ってんのよ? 日常生活に活かしてるのだからむしろ有益なんじゃない?」
一方通行「……そンなモンかねェ」
黄泉川「とにかく! 一方通行は風呂場の掃除決定じゃん!」
一方通行「……わかった。どォせどこかしらの掃除はしねェといけねェしな」
黄泉川「じゃああとはリビングは淡希と打ち止めでやって欲しいじゃん」
結標「打ち止めちゃん居ないんですけど勝手に決めて良いんですか?」
黄泉川「別に大丈夫じゃん。どうせトイレとか風呂場とかの掃除を押し付けたって嫌がるだけじゃん」
一方通行「だろォな。それにクソガキがサボっても結標が頑張ってくれるしなァ」
結標「つまり私一人で頑張れと?」
一方通行「それはクソガキ次第だろォけどな」
結標「……ところで黄泉川さんはどこの掃除をするんですか?」
黄泉川「私? 私はキッチンの掃除をするじゃん」
結標「キッチンですか。何か大変そうですね」
黄泉川「まああそこを一番使ってるのは私だしね。きっちりやるじゃん!」
一方通行「で、片付けを終えたあとは、空いたスペースにこの前届いた新型炊飯ジャーを置くっつゥわけか?」
結標「新型炊飯ジャー? まだ増えるのキッチンの炊飯ジャー!?」
黄泉川「い、いやー新作が出るとつい注文してしまうじゃんよ」アハハ
一方通行「つゥかいい加減古ィヤツは捨てろよ。どォせあっても使わねェンだろ?」
黄泉川「いやいやいや。数がある程一度に作れる料理の数が増えるじゃん!」
一方通行「そンなに料理作る機会なンざ滅多にねェだろォが」
結標「でもクリスマスパーティーの時にたくさん使わなかった?」
一方通行「あれはインデックスが居たからだろ。アイツがウチに来ねェ限り使わねェよ」
黄泉川「……まあ無駄話はこれくらいにして、そろそろ掃除を開始しようじゃんよ!」
一方通行「……つゥか他にも掃除場所が残ってンだろ。そこはどォすンだ?」
結標「そうなの?」
一方通行「玄関とか廊下とか、洗面所とかいろいろあンだろ」
黄泉川「その辺りは担当の掃除場所が終わったら、掃除して欲しいじゃん」
一方通行「了解だ」カツンカツン
結標「あー、早く帰ってきてくれないかなー打ち止めちゃん」
黄泉川「何なら隣に迎えに行けばいいじゃん?」
結標「……そこまでしようとは思いませんね」
―――
――
―
―
――
―――
同日 09:10
-黄泉川家・トイレ-
ゴシゴシ
芳川「……ふぅ」
芳川「これで便器の方はピカピカね」
芳川「さすが学園都市製便器。汚れが付きにくくてこういう時に助かるわ」
芳川「さらにこの学園都市製の洗剤。これさえあれば、どんな頑固な汚れも一瞬で分解される」
芳川「ふふふ。やっぱりトイレの掃除を選んで良かったわね」
芳川「一見みんなが嫌がりそうな掃除場所ほど実は楽というのはよくある事よね」
芳川「よし。さっさとここの掃除を終わらせて、あとはのんびりネットライフを過ごすとしましょ――おぇっぷ」
~しばらくお待ちください~
芳川「(´・ω・`)」
ジャー
―――
――
―
―
――
―――
同日 09:25
-黄泉川家・風呂場-
ガラララララ
一方通行「…………」カコンカコン
一方通行「さァて、今からこの風呂場を掃除するわけだが……」
一方通行「話によると水垢とかカビとかを掃除するらしいけどよォ」カタン
一方通行「安定の学園都市製だから、ンなモン付かねェよォに何かしろコーティングされてるはずだ」キュッ
ジャー
一方通行「つゥわけで素人の目から見たら、ここは綺麗で掃除するところなンて何処にもねェ風呂場なンだろォな」
一方通行「だが……」カチ
ゴパァ!!
一方通行「常にあらゆるベクトルを観測してる俺からしちゃァ、全ての汚れが手に取るよォにわかるンだよ!」
ドパァン!!
一方通行「あはっぎゃはっ! お掃除だァ。一〇分で終わらせてやる」
ゴパァァン!!
―――
――
―
―
――
―――
同日 09:30
-黄泉川家・リビング-
結標「……よし。テレビの裏の掃除終了っと」
結標「黄泉川さんが普段ピカピカに掃除してくれてるおかげで、ここの掃除は結構楽ね」
結標「これくらいなら一人でも十分かもね……」
ガタン
結標「?」
ドタドタドタドタガチャ!
打ち止め「たっだいまー!! ってミサカはミサカは勢いよくドアを開けながら帰宅を知らせてみたり!」
結標「あらおかえりなさい打ち止めちゃん」
打ち止め「おー、もう大掃除始まっちゃってたかー! ってミサカはミサカは出遅れた事を悔んでみたり」
黄泉川「おっす打ち止め!」
打ち止め「おっすヨミカワ! ってミサカはミサカは挨拶を真似てみる」
黄泉川「帰って早速で悪いけど打ち止めにはリビングの掃除をしてもらうじゃんよ」
打ち止め「了解! ってミサカはミサカはビシッと敬礼!」ビシッ
結標「ああ黄泉川さん」
黄泉川「何じゃん?」
結標「ここの掃除は私一人で大丈夫だから、打ち止めちゃんには別の場所を掃除してもらった方が良いと思いますよ」
黄泉川「そうじゃん。じゃあ打ち止めには玄関の掃除をやってもらおうかな?」
打ち止め「玄関だね? じゃあちょっくら行ってくるぜ! ってミサカはミサカは回れ右して来た道を戻ってみる」トテチテ
黄泉川「……さあて、じゃあ私もキッチンの掃除に戻るとするじゃん」テクテク
結標「……ふむ。次はどこの掃除をしようかしら……って、ん?」ガサッ
結標「…………黄泉川さん。これ何ですか?」
黄泉川「何がじゃん?」
結標「この袋の中に入ってる物ですよ」ガサッ
黄泉川「えーと、どれどれー? ……ああこれは風呂掃除に使う道具じゃんよ」
結標「お風呂掃除のですか? 何でこんなところにあるんですか?」
黄泉川「これは新しく買ったやつじゃん。どうせだから新調しようかと思って」
結標「ふーん。じゃあとりあえずこれ一方通行に渡してきますね? どうせ使わないとは思いますが……」
黄泉川「そうじゃんね。どうせいつかは風呂場に持って行くし……」
結標「じゃあ行ってきまーす」ガサッ
―――
――
―
―
――
―――
同日 09:35
-黄泉川家・風呂場-
一方通行「――圧縮圧縮ゥ!! 汚れを一ヶ所に圧縮ゥ!!」
ゴボボボボボボボッ!!
一方通行「ぎゃはははッ!! すげェ。掃除する前とは見違えるほど綺麗になってンじゃねェか!!」
ドブップシャァー!!
一方通行「床と湯船はもォそろそろイイか。次はそォだなァ……」キョロキョロ
一方通行「大掃除っつゥ事でこのいかにも汚れてますよっつゥオーラ放ってる、このみすぼらしい扉にすっかなァ!!」ガッ
ドパァァァン!!
ガララララ
結標「一方通行ー! 掃除道具忘れ――」
ブッパァァァァン!!
一方通行「……あ」
結標「…………」ポチャンポチャン
一方通行「……何でそンなところに突っ立ってンだよオマエ?」
結標「……これ」スッ
一方通行「あァ? ンだァこりゃあ?」ガシ
結標「ここの掃除道具よ」
一方通行「……こンなモン届けるためにわざわざ風呂場に来たってのか?」
結標「…………」コク
一方通行「……ハァ。ったく、こンなモン俺に――」
ガララララッ!!
打ち止め「どうしたのー? 何かすごい音がしたけど? ってミサカはミサカは脱衣所に突入してみたり」
一方通行「あァン? 帰ってたのかクソガキ」
打ち止め「あなたがお風呂場の掃除をしてたんだね。しかしあなたが大掃除に参加してるなんて珍しい、ってミサカはミサカは素直に感心してみる」
一方通行「どちらにしろ強制されンだからやってるだけだ」
打ち止め「それよりどうしたの? 何かすっごい床が濡れて――ってあれ? アワキお姉ちゃん!?」
結標「…………」ポチャンポチャン
打ち止め「一体全体どうしたの!? そんなビショビショになって、ってミサカはミサカは濡れ濡れお姉ちゃんに聞いてみる」
結標「私もいまいちどうしてこうなったのかが理解できないわ」
一方通行「つゥかオマエが勝手にドア開けるのが悪りィンじゃねェのか?」
結標「そもそも何でこっちにシャワーが向いて――ってあれ? シャワーが使ってないの?」
一方通行「俺のチカラ使やァ、洗面器くれェの水の量でも風呂を洗うには充分な量だ」
結標「いやそんなことより、何で水のベクトルが扉の方に向いてるのよ?」
一方通行「……洗うところが無くなったので、ついでに扉を洗おォと」
結標「まあそうでしょうね」
一方通行「わかってンなら聞くなよ」
打ち止め「あ、あ、あ、アワキお姉ちゃん!?」
結標「どうしたの打ち止めちゃん?」
打ち止め「そ、その! 透けてるよ!」
結標「透けてる? 何が?」
打ち止め「し、下着! 下着が透けてるよ! ってミサカはミサカはビショビショに濡れたTシャツを指さしてみる」アセ
結標「えっ?」スッ
打ち止め「…………」
結標「…………」
一方通行「……あン?」
結標「ひ、ひゃァああああああっ!!///」ドタドタ
打ち止め「あ、アワキお姉ちゃん! 待ってー!!」ドテドテ
一方通行「…………」
一方通行「……ナニやってンだアイツ?」
―――
――
―
同日 11:20
-黄泉川家・結標の部屋-
ガラララ
結標「……あー、酷い目に遭ったわ」
結標「まさかし、下着を見られるなんて……」
結標「……って言っても、以前に裸見られてるのだからまだマシ……ってそういう問題じゃないか」
結標「……まあおかげでリビングの掃除がいつの間にか終わってたわ」
結標「ずっと同じ事考えてたのね……」
結標「とりあえず一通り終わったから、あとはそれぞれの自室の掃除ね」
ゴチャゴチャー
結標「……いつの間にこんなに汚くなってたのかしら?」
結標「全く記憶にないのは記憶喪失のせいかしらね?」
結標「…………」
結標「……掃除しよ」ガサッ
―――
――
―
―
――
―――
ガサゴソ
結標「……ん? これは……?」
つ『高性能ゲーム機 A-STAR』
結標「……あー、しばらく見ないと思ったらこんなところに置いてあったのね」
結標「私が学校行き出してから全然やらなくなったわね」
結標「私が学校で、打ち止めちゃんが木原さんの部屋に行くからする人がいなくなっちゃったのね」
結標「……うーん、そういえばどこまで進めたかしら?」
結標「えーと、たしか常盤台の風神・雷神コンビに勝てなくて詰んだって打ち止めちゃんが言ってったかしら?」
結標「……何か改めて思い出すとやりたくなってくるわね」
結標「…………」
結標「いやいや今はダメよ。今は大掃除の最中だしね」
結標「また正月の時に暇さえあればやってみようかしらね」
―――
――
―
―
――
―――
ガサゴソ
結標「……おっ、これは……?」ペラ
つ『第二十学区 スキー場無料入場券』
結標「おおっ! そういえばこんな事あったわねー」
結標「あの時は頑張ったなー……一生懸命走って……能力乱発して……足くじいて……」
結標「それで……アイツに……」
結標「って何変な事思い出してるのよ私は!///」
結標「…………」
結標(しかし、あの時のアイツはすごかったなぁ……)
結標(……あれから私はアイツの事が……)
結標「…………」
結標「あっ、そういえば、これみんなで行くって言ってたけど、まだ行ってなかったわね」
結標「……ええっと期限は……って冬休みまで!?」
結標「ああー、クリスマスの後とか明らかに暇な時期があったというのに、なぜそこで誘わなかったし」
結標「正月といえば帰省してる学生が多いって聞くし」
結標「……むむー、どうしようかしら……」
結標「……とりあえず後で誘ってみようかしらね」
―――
――
―
―
――
―――
ガサゴソ
結標「……あれ? これって……?」
つ『記憶喪失前に着てた制服等』
結標「……これまだあったんだ……」
結標「別に捨てる気はないけど、素直にまだこれあったんだ……」
結標「相変わらずボロボロで短いスカートねぇ。こんなの着てて恥ずかしくなかったのかしらねぇ記憶喪失前の私は」
結標「…………」
結標「そういえば居候生活初日にアイツに変な事言われたっけ……」
『第一印象は『露出狂』
結標「……だ、大丈夫よね? 今の私にそんな性癖無いもの! たぶん!」
結標「…………」
結標「……別にどうでもいいけど、もしかしたらこれを着たら記憶が戻ったりするんじゃないかしら?」
結標「いや別にどうでもいいんだけどね! こんなヤバい服絶対に着たくないわ!」
結標「……うーん、でももしかしたらこれを着て記憶が戻っちゃったりするかもだし」
結標「…………」
結標「き、着てみようかしら?」
結標「い、いや、これは記憶喪失改善のためよ!? 決してちょっと着てみたいなんて事はないわよ!」
結標「あ・く・ま・で! 記憶喪失のためよ! 別にこの服に興味があるなんてわけないんだからね!」
結標「……何私は一人でツンデレごっこしてんだか」ハァ
結標「まあいいわ。どうせだしちょっと着てみよ」シュルル
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:00
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「はーいじゃあみんなお疲れじゃん! これで大体の場所の掃除が完了したじゃん!」
打ち止め「わーい! 思ったより早く終わったぜい! ってミサカはミサカはピョンピョン跳ねながら喜んでみたり」ピョンピョン
黄泉川「というわけで今回の昼食はグラタンじゃんよ!」
一方通行「……もしかしてこれも炊飯ジャーで作ったのかァ?」
黄泉川「…………」ニコニコ
一方通行「もしそォなら素直に学園都市製の炊飯ジャーを褒めてやるよ」
打ち止め「さすが学園都市製! ってミサカはミサカはお決まりのセリフを言ってみる!」
芳川「……ふぅ、やっと気持ち悪いのが治ったわ」
一方通行「これに懲りて一度に大量に酒を飲むのを止めるこったなァ」
芳川「そもそも愛穂じゃあるまいし、そんなお酒を飲む機会はないから大丈夫よ!」
黄泉川「何じゃん? なんか私がいつも酒を飲んでるみたいな言い方じゃん!」
芳川「毎日とは言わないけど、よくアンチスキルの同僚誘って飲みに行ってるわよね?」
黄泉川「た、たしかにたまーに、そうたまーに行くけど……」
芳川「はいはいそうですか。まあ私はお酒なんて付き合いでしか飲まないから私には関係ない話よ」
一方通行「飲ンでねェのは飲ンでねェで逆に問題なンじゃねェのか? アルコールの耐性がつかねェンじゃね? 知らねェけど」
芳川「たしかにそうかもしれないけど、だからと言って馬鹿みたいに税が掛けられてるお酒を買おうとは思わないわ」
一方通行「まァな。そォいうモンには無茶苦茶な税が掛けられてるモンだしな。この街は」
打ち止め「むむむー。何かミサカにはサッパリ付いていけない話だね。ミサカもお酒飲みたーい!! ってミサカはミサカは堂々と叫んでみたり」
一方通行「飲酒は二十歳になってからだ0歳児ィ!」
打ち止め「ぐぬぬ。いや、それでも肉体年齢は十一~十二歳だから……」
黄泉川「それでも十年近く足りてないじゃん」
打ち止め「……そういえばアワキお姉ちゃんが居ないよ? ってミサカはミサカは周りを見渡してみる」
芳川「言われてみればそうね。せっかくのグラタンが冷めてしまうわ」
黄泉川「そうじゃんね。ちょっと一方通行呼んできて欲しいじゃん」
一方通行「毎度の事だがァ何でいつも俺なンだ?」
打ち止め「近いから……じゃあないかな? ってミサカはミサカは理由を考えてみる」
一方通行「近いっつっても大差ねェだろォが」
芳川「つべこべ言わずに早く行きなさい! No buts!!」
一方通行「何でわざわざ英語で言い直してンだよ?」カコン
打ち止め「何だかんだ言って行くんだね、ってミサカはミサカはあなたの健気さに涙してみたり」スッ
一方通行「俺ァ知っている。オマエが目薬をポケットに隠したのを」
打ち止め「あちゃー、ミサカの嘘泣きスキルもまだまだだねー、ってミサカはミサカは自己評価してみる」
一方通行「どォでもイイスキル磨いてンじゃねェ」カツンカツン
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:10
-黄泉川家・結標の部屋-
結標「…………」←記憶喪失前の格好
結標「何と言うか……露出狂ね」
結標「何回鏡から目をそむけて見直しても完全無欠の露出狂ね」
結標「……しかしさらしなんて巻いた記憶ないのにスラスラ巻けるなんて、やっぱり記憶喪失以前はこの格好がデフォだったのかしらね?」
結標「……てかこのスカートいくらなんでも短すぎでしょ? ホントにこんな短いスカート穿いてる学生が居るのかしらね?」
結標「…………」
結標「……まあひとまず着てみたのは良いけど、これと言って思い出す事は何もないわね」
結標「それに思い出したとしても、露出狂だった時の記憶だけだろうしね」
結標「……よし! 思い出す事はない! じゃあそろそろ着替え――」
ガララララ
一方通行「オイ結標。昼メシ出来てンぞ? さっさとし――あァ?」
結標「」
一方通行「……オマエ。そンな格好して何やってンだ? やっぱオマエって露出――」
結標「い、いや、ちがっ、あの、べ、別にそんな事したくてこの服を着たわけじゃ……」アセ
一方通行「……ハァ。まァ別にオマエがどんな格好しよォが勝手だけどなァ?」
結標「な、何?」
一方通行「それで外とかに出て快感とか味わったりすンじゃねェぞ? 捕まるからな」
結標「ちょ、だからそういうのじゃ――」
一方通行「じゃあ昼メシ出来てっからさっさと来いよ」カツンカツン
結標「ちょっと待っ――」
ガララララ
結標(な、何か勘違いされたァあああああああああああああああああああッ!!?)
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:15
-黄泉川家・リビング-
一方通行「…………」カツンカツン
打ち止め「おかえりー! アワキお姉ちゃんどうだったー?」モグモグ
一方通行「何勝手に食い始めてンだオマエらは?」
芳川「いやー、待ちきれなくて」モシャモシャ
黄泉川「で、結局淡希は何してたじゃん?」
一方通行「あン? あァ……えェと……」
打ち止め「どうしたの? ってミサカはミサカは小首を傾げてみる」
一方通行「いや、別に何でもねェよ。アイツは部屋の片づけをしてた。すぐに来るだろ」
黄泉川「そうじゃん。なら別に良いじゃん」
一方通行「チッ、くだらねェ……」ガタン
打ち止め「……あれ? どうしたのあなた? 何か顔赤いよ? ってミサカはミサカはあなたの細かい変化に気付いてみたり」
一方通行「何でもねェよ。ちょっと暑ちィだけだ」
黄泉川「そんなに暑いか? 暖房弱めるじゃん?」
一方通行「別に構わねェよ。どォせすぐに治まる」
芳川「……ふーん、へー」ニヤニヤ
一方通行「……何だそのふざけた面ァはァ?」
芳川「別にー?」ニヤニヤ
一方通行「叩き潰すぞテメェ」
結標「す、すみませーん! ちょっといろいろやってて……」テッテッテ
打ち止め「遅いよーアワキお姉ちゃーん! もうこっちは食べ始めちゃってるよ!」モグモグ
結標「ご、ごめんね打ち止めちゃん」ガタ
黄泉川「別に謝る事ないじゃんよ。待ち切れずに勝手に食べ始めたのはこの子だし」
芳川「まったく我慢強さが足りないわねぇ、最近の子供は」パクパク
黄泉川「何現在進行形でグラタン食べながら何ぼやいてるじゃん?」
結標「……今日の昼ご飯はグラタンかー。おいしそうだわ。ねえ一方通行?」
一方通行「……おォ」
結標「…………」
打ち止め「?」モグモグ
黄泉川「二人ともどうかしたかじゃん?」
一方通行「……いや」
結標「べ、別に何でもないです……」
芳川「…………」ニヤニヤ
黄泉川「……まあ何か食い始めてるやつらも居るけど、とりあえず挨拶するじゃんよ」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
―――
――
―
3.大晦日
December fifth Monday 12:00
-黄泉川家・リビング-
テレビ『さー今年も残り十二時間を切りました!
一方通行「……もォ今年も終わりか」
芳川「何年寄り臭い事言ってるのよ? まあ遠目で見れば老人に見えない事もないけど」
一方通行「オマエの髪の毛の色素全て抜き取ってやろォか?」
芳川「丁重にお断りするわ」
打ち止め「まあでもあなたの言う事も分かるよー。今年は色々な事があったもんねー、ってミサカはミサカはしみじみと思い出してみる」
結標「ホント、何だかあっという間よね……」
一方通行「オマエらの場合今年のスタートが一月じゃねェのが原因だろ」
黄泉川「はーい、昼ご飯できたじゃんよー!」ガチャガチャ
打ち止め「わーい! ミサカお腹ペコペコー! ってミサカはミサカはテーブルに置かれたお皿に飛び付いてみたり」
一方通行「行儀悪りィから飛びつくンじゃねェよクソガキ」
結標「しかしまだ昼なのに随分とたくさん作りましたねー」
芳川「鮭のムニエルにマーボー豆腐、ポテトサラダに鶏のから揚げ」
打ち止め「朝の残りの豚汁に卵焼き、たけのこの炊き込みご飯だね」
一方通行「統一性の欠片もねェな」
黄泉川「いやー、冷蔵庫の食材まとめて消化しようとしたらこうなっちゃったじゃん」アハハ
一方通行「つゥか、こンな量食い切れンのか? 一瞬インデックスの野郎でも呼ンだっけ、とか思っちまったンだが」
結標「まあ何とかなるんじゃない? 五人も居るんだし」
芳川「しかしこれは今日の夕食とかに回すべき料理の数じゃないのかしら?」
黄泉川「何かと夕食を豪華にしがちだけど、普通は午後から頑張るために昼食を豪華にするもんじゃん?」
一方通行「そンな事言ったところでこれから頑張る事は一つもねェ訳だが」
打ち止め「大掃除は昨日の内に終わらせちゃったしねー、ってミサカはミサカはまだかまだかといただきますを待ちわびてみる」
黄泉川「おお、そうじゃんね。とりあえずいただきます言っとくじゃん」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
打ち止め「うーんいっぱい料理があると何かパーティーみたいで楽しいね! ってミサカはミサカはたくさんのお皿を眺めながら言ってみる」
一方通行「あンまいっぱいとかたくさンとか意識すンじゃねェ。すぐに腹一杯になっちまうぞ」
芳川「女性目線からしたらそっちの方が良いんじゃないかしら?」
一方通行「昼メシの残りモノを晩メシに回すなンて事したくねェぞ」
結標「別にそれくらいいいんじゃないの? 現に今日の朝食べた豚汁が昼ご飯に回ってきたわけだし……」
一方通行「汁物とカレーは別だろ。温め直しても味はオチねェし、むしろウマくなったりする事もある」
黄泉川「まあたしかにレンジでチンし直したおかずとかはちょっと味が落ちちゃうしな」
芳川「しかし貴方がそこまで食に関して考えてるなんて思いもしなかったわ」
一方通行「あァン? 不味いモン食わされるよりウマいもん食った方がマシだろ普通」
結標「それを言われたらそりゃそうだとしか言いようがないわね」
打ち止め「たけのこご飯おかわりー! ってミサカはミサカは茶碗を差し出してみる」スッ
黄泉川「はいはい了解じゃんよ」スッ
一方通行「たけのこばっか食ってンじゃねェよ。他のおかずもとっとと食え」
打ち止め「だってたけのこご飯おいしいんだもん! ってミサカはミサカは抗議してみる」
結標「しかし学園都市ってすごいわよね。春夏秋冬、三百六十五日いつでもおいしく野菜を食べられる訳だし」
一方通行「その大体が大量の薬品によって育てられた有機栽培とは程遠い品なンだろォな」
芳川「……ちょっとやめてくれる。そういう裏事情を食事中に話すのは」
一方通行「そォいうのには詳しそうなオマエが言うと違和感がすげェな」
黄泉川「はい打ち止め。たけのこご飯じゃん!」ガタッ
打ち止め「わーい! ありがとーヨミカワー!」
一方通行「……チッ、くっだらねぇ」ガタ
結標「……ねえ一方通行」
一方通行「あァ? 何だよ?」
結標「食事中にどこに行く気なの?」
一方通行「決まってンだろ。たけのこご飯食い終わってこの茶碗は必要ねェだろォから水に漬けンだよ」
結標「……ホントに食べ終わったの?」
一方通行「当たり前だろ」
結標「…………」ブン
シュン
一方通行「あン? 俺の茶碗が消えた?」
結標「……あー、やっぱりたけのこだけ残ってあるわね」
一方通行「なっ!? テメェ!」
打ち止め「わーホントだー! 元々この中にはたけのこしか入ってなかったと思うくらい綺麗にたけのこだけ残ってるねー、ってミサカはミサカは説明口調で解説してみたり」
芳川「器用ねえ。米粒は一つも残ってないのにたけのこだけは残ってあるわね」
黄泉川「お前の野菜嫌いは本当に相変わらずじゃん」
一方通行「うるせェよ。俺の食生活にそンなモンは必要ねェ」
打ち止め「じゃあじゃあ! これミサカがもらってもいい? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
一方通行「勝手にしろ」
打ち止め「わーいじゃあもらうねー! ってミサカはミサカはアクセラレータのたけのこをミサカの茶碗に投下!」ポロポロ
黄泉川「すごい量のたけのこじゃん……」
芳川「ご飯よりたけのこの方が比率が大きいんじゃないかしら?」
結標「さすがにそれはないでしょう」
打ち止め「よっしゃー! たけのこだらけだー! ってミサカはミサカは子供らしくハシャイでみたり!」
一方通行「オマエどンだけたけのこ好きなンだよ? たけのこの里の住民かオマエは?」
芳川「たけのこの里と言えば、なぜかきのこの山の方が人気がないみたいな風潮があるわよね」
結標「そうですね。CMとか見るとそんな感じがしますね」
打ち止め「おっ! これは二つのお菓子を買って食べ比べフラグですかな? ってミサカはミサカは期待に胸を膨らませてみたり」
一方通行「そンな俺が面倒事に巻き込まれそォなフラグは俺がへし折ってやるよ」
黄泉川「じゃあこの後買い出しに行くから打ち止めも付いてくるじゃん?」
打ち止め「行く行くー! お菓子買いまくりだぜ!」
芳川「へし折れてないじゃない」
一方通行「いや。この展開なら俺に害はねェから問題ねェ」
結標「いつも通り自分が連れて行かされる展開を予想してたのね……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 13:00
-黄泉川家・リビング-
結標「ごちそうさまでしたー!」
黄泉川「お粗末さまでした!」
打ち止め「……うっぷ。もう何も食べられない、ってミサカはミサカはおなかを抱えて寝転んでみたり」
芳川「食後にすぐに横になると牛になるわよ?」
一方通行「そンな迷信現実で言うヤツ初めて見たわ」
結標「貴方の場合そんな事を言う人が周りに居なかっただけじゃないの?」
一方通行「そォいうオマエも言ってくれる人が周りに居たかどォかもわかンねェじゃねェか」
打ち止め「ねえねえ。実際横になるのって身体に悪いの? ってミサカはミサカは素朴な疑問を浮かべてみる」
芳川「食後は胃が活発に働いてるから、横になると胃酸が逆流して食道炎になったりする可能性があるってのはよく聞くわね」
黄泉川「まあでも食後は一時間くらいは休憩するのも身体にとっては良い事じゃん」
一方通行「つゥわけで俺は部屋で昼寝する。晩メシの時間になったら起こせ」
結標「もはや昼寝の領域を超えてるのではないかというツッコミは必要?」
一方通行「そォいう今さらなツッコミはいらねェ」カツンカツン
打ち止め「じゃあミサカもお昼寝するー! ってミサカはミサカあなたの後ろについて行ってみる」タッタッタ
一方通行「向こうに行けクソガキ」
打ち止め「やなこった、ってミサカはミサカは自ら反抗期を迎えてみたり」
一方通行「0歳児のクソガキが一丁前に反抗期とか口にしてンじゃねェよ」
結標「……ふわぁ、じゃあ私もちょっと部屋で昼寝してこよ」
一方通行「オイ結標! このクソガキ連れていけ! 俺が寝れねェ!」
打ち止め「ミサカはあなたの隣を離れる気はないぜ! ってミサカはミサカは高らかに宣言してみる」
結標「そういうわけだから頑張ってねー」ノシ
一方通行「ちょ、待てコラ! ふざけンじゃねェぞ結標ェ!」
黄泉川「打ち止めー。これから買い物行くつもりだけどどうするじゃん?」
打ち止め「あ、行く行くー」トテチテ
芳川「さっき高らかに宣言したのは何だったのだろうか……」
―――
――
―
―
――
―――
同日 18:00
-黄泉川家・一方通行の部屋-
テレビ『あと六時間! あと六時間で年明けです!』
一方通行「……あァ?」ムク
一方通行「…………」ジロ
一方通行「……六時か」カツンカツン
-黄泉川家・リビング-
ガララララ
結標「あ、おはよう一方通行。よく寝られた?」
一方通行「どォだろォな。面倒臭ェからこのまま年明けまで寝てよォかと思ってたからよく寝れてねェンだろォな」
結標「こんな大事な一日を貴方は寝て過ごそうと思ったの?」
一方通行「大事な日っつっても俺からしちゃあ一年に一回はあるどォでもイイ日だけどな」
結標「……やっぱり貴方って何か変よね?」
一方通行「自分は常識人だと自負してンだけどよォ」
結標「……面倒臭いからもうツッコまないわね」
結標「そういえば吹寄さんからメール着てたんだけど……」
一方通行「内容は?」
結標「明日の朝に初詣に一緒に行かないか、だってさ? どうする?」
一方通行「行かねェ」
結標「相変わらずの即答ね。また理由は面倒臭いからかしら?」
一方通行「…………」
結標「…………?」
一方通行「……いや違う」
結標「絶対図星だったでしょ?」
一方通行「な、何言ってンだよオマエ? 俺にもちゃンとした行かねェ理由があンだよ」
結標「何よ? だったら言ってみなさいよ」
一方通行「あ、ああ。えェと、アレだアレ……」
結標「…………」
一方通行「……俺は神頼みなンてしねェ」
結標「…………は?」
一方通行「だから俺は神なンて得体の知らねェモンに一年の良悪を願ったりしねェンだよ」
結標「うーん、でもそんなのが行かない理由にはならないんじゃない?」
一方通行「十分なってるだろ」
結標「そもそも科学の街学園都市の神社に神様も仏様もないでしょ?」
一方通行「まァそォだが……」
結標「所詮はイベントなんだし行っといた方が良いと私は思うわ」
一方通行「つゥか神社行って祈って帰るだけのイベントが何がおもしれェのかさっぱりなンだけどよォ」
結標「その点大丈夫よ。聞いた話によると神社の周りに出店とかがいっぱい並んでるらしいわよ」
一方通行「そォいやそォだったな……」
結標「というわけで、初詣の帰りにその出店でいろいろ飲み食いしてればそれなりに楽しめるんじゃない?」
一方通行「……どォやっても俺に初詣に行かせたいらしいな。何でだ?」
結標「えっ?」
一方通行「何で俺みてェなヤツにオマエはそンな積極的に接してくるのか俺には理解できねェな」
結標「い、いや、その……別にそんな大した意味はなくて……」アセ
一方通行「意味がねェンだったら俺は行かね。オマエ一人だけで行ってこいよ」
結標「そ、そんな……」シュン
一方通行「…………」
結標「…………」
一方通行「……あァーうっぜェ! わかった行きゃあイインだろ行きゃあ!?」
結標「えっ、ホント!? やったー!」
一方通行「あン? オイ結標!」
結標「何?」ニコ
一方通行「さっきの沈み様と打って変わってすげェハシャギ様じゃねェか?」
結標「ええー? 気のせいよ気のせい♪」
一方通行「……まさか演技か?」
結標「どうかしら♪」
一方通行(クソガキといい結標といい、どォしてこォ女っつゥのは嘘泣きみてェな演技が好きなンだァ? サッパリわかンねェ)
結標「~~♪」
結標「あっ、それと言い忘れてたけどそろそろ夕食の時間よ?」
一方通行「夕食だァ? まだ六時だろォが。早すぎンだろ」
結標「何かゆっくり年を越したいらしくて、早めに終わらせたいみたいね」
一方通行「……アイツら飲みながら年越すつもりかよ」
結標「まあいいんじゃない? 私たちも適当にお菓子でも食べながら年越しすれば」
一方通行「そンな事はどォでもイイ。問題はまた二日酔いで新年早々吐きまくる馬鹿が現れるかもしれねェ事だ」
結標「……ああ芳川さんね」
芳川「大丈夫よ。私は今日は飲まないから」
結標「あっ、芳川さん居たんですか?」
芳川「何か呼ばれた気がしたので」
一方通行「別に誰もオマエなンかにテレパスなンて使ってねェよ」
芳川「まあそれは冗談としてそろそろおそばができるわよ?」
一方通行「そば? ああ年越しそばの事か……」
結標「昼食はあんなに食べたのに夕食はえらく質素ですね」
芳川「別にそんな豪華な物食べる必要もないから良いんじゃない?」
一方通行「どォせオマエらはこの後つまみやら菓子やら食うンだろォからそれくらいで充分だろ」
芳川「それじゃあそろそろ食べに行きましょ? 愛穂たちが待ってるわよ」
一方通行「ハイハイっとォ」カコン
―――
――
―
―
――
―――
テレビ<デデーンゼンインアウト
打ち止め「遅いよあなた! もうおそばできちゃってるよ! ってミサカはミサカは文句を垂れてみたり」
一方通行「つゥか何で一々全員揃うの待ってンだよ。とっとと食い始めればイイじゃねェか」
黄泉川「まあこういうのは家族の団らんってのが大事じゃん!」
一方通行「くっだらねェ」ガタ
芳川「まあまあ話はいいから早く食べ始めましょ? 伸びるのは良いけど冷めるのは嫌なのよね」
結標「伸びても嫌じゃないですか?」ガタ
黄泉川「はいじゃあみんな手を合わせて」
一方通行「小学生の給食前かよ」
打ち止め「でも手を合わせるのは挨拶の基本だよ! ってミサカはミサカは律儀に説明してみる」
一方通行「いや。手を合わせる行為じゃなくて、手を合わせてっつゥ掛け声についてなンだが……」
芳川「こんな時にそんなどうでもいい話はしないでちょうだい。おそばが冷めるわ」
一方通行「どンだけそば食いてンだよオマエはァ?」
黄泉川「はい静かに! さっさと挨拶するから黙っとくじゃん」
一方通行「黙ったら挨拶できなくね?」
結標「そういう細かいツッコミが時間のロスに繋がっていくのね」
黄泉川「じゃあ一年間お疲れさまでしたー!」
「「「「お疲れさまでしたー!」」」」
黄泉川「来年がいい年になるよう願って……」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
―――
――
―
―
――
―――
同日 20:30
-黄泉川家・リビング-
ガララララ
結標「……はぁー、良いお湯だった」
打ち止め「だったぜー!」
一方通行「…………」
結標「どうしたの? お風呂入らないの?」
一方通行「面倒臭ェから後で入る」
結標「そう。でも、早めに入っとかないとそれの方が面倒臭くない?」
一方通行「いつ入ろォが人の勝手だろォが」
打ち止め「ソファに寝転んでるだけなのに何が面倒臭いのだろうか? ってミサカはミサカは疑問に思ってみる」
一方通行「今はこォして居てェンだ」
打ち止め「このままじゃあそのまま寝てしまうんじゃないの? ってミサカはミサカは予測できる展開を言ってみる」
結標「まあそうよね。しかし貴方が寝転んでて寝てないのも珍しいわね」
打ち止め「そうだよねー。いつもなら寝転んだ瞬間即寝なのにね、ってミサカはミサカは賛同してみたり」
一方通行「そこまで言うンなら今夜は寝ずに居てやろォか?」
打ち止め「えー? それは無理じゃないの? ってミサカはミサカは少し小馬鹿にしてみたり」
一方通行「一晩寝ねェくれェ余裕だろォが」
結標「いつも寝まくってる貴方から言うと信じられないわね」
一方通行「少なくともオマエらよりは起きていられる自信はあるな」
打ち止め「よーし! じゃあミサカ達と勝負しようよ! 先に寝た方が負けだからね、ってミサカはミサカは勝負を申し込んでみたり!」
一方通行「ガキはとっとと寝ろ」
打ち止め「ふ、ふん。そんな事を言っても無駄だよ。今日は大晦日という免罪符があるから夜更かしオッケーの日なんだぜ!」
一方通行「イイから寝てろ」
打ち止め「だが断る!」
結標「……でも二十四時間テレビとかならわかるけど、大晦日は夜更かしして良いって言う免罪符にはなるのかしら?」
打ち止め「大晦日の深夜番組は面白いっていう情報が入ってるから大丈夫だよ! ってミサカはミサカは説明してみたり」
一方通行「それどこ情報だよ?」
打ち止め「ミサカネットワークだけど?」
一方通行「オマエら全員年越し迎えた事ねェじゃねェか」
打ち止め「な、なんだってー?」
一方通行「その白々しい驚きは何なンだよ?」
一方通行「……まァ、理由はどォでもイイからガキは寝ろ。今すぐ」
打ち止め「えぇー!? まだ九時前だよ!? 平日でもまだ寝てないよ!?」
一方通行「大晦日くれェ早寝でも心がけてみたらどォだ?」
打ち止め「ミサカもカウントダウンに立ちあってみたーい! ってミサカはミサカは要望を言ってみる!」
結標「……まあいいんじゃない? 今日くらい」
一方通行「……俺はコイツの事を思って早寝を勧めてンだぜ?」
結標「どうして?」
一方通行「例えばガキが眠いのを頑張ってカウントダウンを待つとするだろ?」
結標「うん」
一方通行「しかしあと三十分で年越しって時にガキは限界を迎えちまうンだよ」
結標「まあありえるわね」
打ち止め「いやいやミサカはそこまでお子様じゃないよ! ってミサカはミサカは抗議してみる」
一方通行「……で、明日の八時くれェに目が覚めて気が付くンだよ」
一方通行「『頑張って夜更かししたのにカウントダウン見てない!?』ってな」
一方通行「こォいう憐れなクソガキを生まねェためにも俺は早寝早起き推奨委員会に入ってンだよ」
結標「えっ、それホント?」
一方通行「入ってるわけねェだろォが。そもそもそンな委員会存在してねェよ」
結標「なんだただの冗談か」
一方通行「……ま、そォいうわけでさっさと寝ろ」
打ち止め「……それでも」ボソ
一方通行「あン?」
打ち止め「それでもミサカは、迎えたい年越しの瞬間があるんだ!」
一方通行「……ならそォすりゃあイイじゃねェか。後悔しても知らねェぞ」
打ち止め「わーい!! やったー!! ってミサカはミサカはとび跳ねながらハシャイでみたり!」ピョンピョン
結標「ホント打ち止めには甘いのね貴方」
一方通行「うるせェ。損すンのはクソガキだけだから構わねェだろォが」
打ち止め「よーし最高の年越しを迎えるためにお菓子を一杯用意するぜー! ってミサカはミサカは台所に突撃してみたり!」トテチテ
一方通行「……つゥかガキの夜更かしを黄泉川が認めてくれるかどォかわかンねェぞ?」
結標「大丈夫なんじゃない?」
一方通行「どォしてそォ思う?」
結標「だって黄泉川さんは……」
一方通行「は?」
テレビ<デデーン!! ヤマザキアウト-!!
黄泉川「あひゃひゃひゃひゃ!」ケラケラ
芳川「愛穂ー。もうそんなに飲んでるの? 少し飲み過ぎじゃないかしら?」
結標「黄泉川さんはあーだし」
一方通行「あの野郎。もォおっ始めてやがったか……」
結標「よく知らないけど人って酔っ払ったら大体の事がどうでもよくなるんでしょ?」
一方通行「そォいうのは人それぞれじゃねェのか?」
結標「そうなの? まあ黄泉川さんは間違いなくそれに当てはまると思うからゆるしてくれるんじゃない?」
一方通行「……まァ、だろォな」
黄泉川「ん、ん、ん、ぷはー!! うめー!!」ガタン
一方通行「つゥかアンチスキルがこンなンで学園都市の治安は大丈夫なのか?」
結標「さ、さあ? 他の方が頑張ってくれるんじゃないかしら?」
一方通行「クリスマスに続いてこォいう時期も馬鹿がハシャギ回るからな」
打ち止め「ただいまー! 一杯お菓子持ってきたよー! ってミサカはミサカはテーブルにお菓子を広げてみる」ドサー
一方通行「……どンだけ食うつもりだクソガキ?」
結標「パーティーでも開催する気かしら?」
打ち止め「大丈夫だよー! 別に食べ切る必要はないよー、ってミサカはミサカはすかさずポテチと飴の袋をオープン!」バリッバリッ
一方通行「これはアレだろ。色々な菓子食いてェからって全部開けて中途半端に残すパターンのアレだろ?」
結標「よくあるパターンね……」
打ち止め「二人も食べると良いよ! ってミサカはミサカは部下に料理を奢る上司の気持ちになってみたり」
一方通行「その菓子の出資者は黄泉川じゃねェか」
打ち止め「さあさあ食べたまえよキミたち」フフン
一方通行「人の煩悩の数だけチョップ食らいたくねかったら、今すぐそのうっとおしい口調やめろ」
―――
――
―
―
――
―――
テレビ『――年越しまであと三時間を切りました!』
結標「……あー、あと三時間かー」ボリボリ
一方通行「……そろそろ風呂に入っかなっと」カコン
結標「どういう基準で今?」
一方通行「気分の問題だ」
結標「……まあ良くわかんないけどいってらっしゃい」
一方通行「おォ……」カツンカツン
打ち止め「…………」ウトウト
結標「……って打ち止めちゃん!?」
打ち止め「!?」ビク
打ち止め「ね、寝てないよ!? ってミサカはミしゃミサカは――」
結標「明らかに寝てわよね? いつもの口癖が全然饒舌じゃないもの」
一方通行「どォした?」カツンカツン
結標「あら。お風呂に行ったんじゃなかったの?」
一方通行「ちょっとバスタオルを取りにな」
結標「……いつもの万能能力で反射すれば良いんじゃないの?」
一方通行「別にそれでも構わねェンだけどよォ、脱衣所のあらゆる箇所に水バラ撒くのもアレだろ?」
結標「言われてみればそうね」
一方通行「……で、どォしたンだ?」
結標「ああ、打ち止めちゃんが……」
打ち止め「…………」ウトウト
一方通行「……ああ、完全に寝る一歩前だな」
結標「この調子じゃあカウントダウンに参加するのは難しそうよね?」
一方通行「だから行ったンだよ、このガキじゃあ夜更かしすンのは無理だってなァ」
打ち止め「!? 寝てないよ!?」
一方通行「だったらそのよだれ拭いてから主張しやがれ」
打ち止め「み、ミサカは大丈夫だから心配しないで、ってミサカはミサカは……」ウトウト
結標「もう語尾を言う元気もないのね……」
一方通行「…………」
打ち止め「…………」ウトウト
一方通行「……チッ、しょうがねェな」カツンカツン
結標「あれ? どこ行くの?」
一方通行「ちょっと飲みモン取ってくる」
結標「飲み物……?」
打ち止め「…………」ウトウト
一方通行「……ほら、食らえクソガキ」ピト
打ち止め「あっひゃっい!? つめたい!?」ビクン
一方通行「これでも飲ンでろ」ガタ
打ち止め「……これってあなたの缶コーヒー?」
一方通行「そォだ。ガキには飲むのはツレェかもしンねェけどそれ飲ンでりゃあイヤでも起きてられンだろ」
結標「そっか。ここでカフェインさんの出番ってわけね!」
一方通行「まァ、カフェインはあらかじめ一時間前くれェに摂取しとかなきゃ意味ねェらしいけどな」
打ち止め「……これ。もらっても良いの? ってミサカはミサカは缶コーヒーを手にとって尋ねてみる」
一方通行「別に構わねェよ。冷蔵庫にいくらでもストックが置いてあンだからよォ」
打ち止め「……ありがと!」ニコ
一方通行「……チッ、俺ァもォ風呂入るからな」
打ち止め「いってらっしゃーい!」
結標「……いいなぁ……」
打ち止め「どうかしたのアワキお姉ちゃん?」
結標「……はっ! い、いや、何でもない!」
打ち止め「? まあいいや。じゃあ早速これを飲んで年を越すぜー! ってミサカはミサカは蓋を開けてみる」カチン
結標「……あれ? でもそのコーヒーって――」
打ち止め「いざ!」ゴクン
打ち止め「!? おぇ! 苦っ!!」
結標「でしょうね」
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「…………」カツンカツン
結標「あら、おかえりなさい」
打ち止め「おかえりー!」
一方通行「目ェ覚めたのかクソガキ?」
打ち止め「うん! あなたの缶コーヒーのおかげでバッチシ覚めたよ! ってミサカはミサカはあなたに感謝してみる」
一方通行「チッ、別に感謝されるためにやったわけじゃねェよ」カツンカツンガチャ
結標「あ、ついでに私のミックスジュースも取ってくれない?」
一方通行「この飲みかけのヤツかァ?」
結標「それそれ」
一方通行「…………」ガチャン
一方通行「…………」カツンカツン
黄泉川「あーくせられーたー! お前も一緒に飲むじゃーん?」ケラケラ
一方通行「未成年に酒勧めてンじゃねェぞ酔っ払い」
黄泉川「ちぇー、少しくらい付き合ってくれてもいーじゃーん」
一方通行「普段のオマエならンな事絶対ェ言わねェだろォな」
芳川「……うう……もう飲めない……」Zzz
一方通行(今日もコイツは犠牲者か……)
一方通行「……ほらよ」スッ
結標「ありがとー」スッ
一方通行「つゥか、今何時くれェだ?」
打ち止め「今は九時半を過ぎたくらいだよ、ってミサカはミサカは答えてみる」
一方通行「あと二時間半もあンのかよ」
結標「あら。まさかもう眠かったりするの?」
一方通行「ンなわけねェだろォが、ガキじゃあるまいしよォ」
打ち止め「み、ミサカは眠くないよ!」
一方通行「さっきまで白目引ン剥いて寝てたクソガキのセリフとは思えねェよなァ?」
打ち止め「えっ!? ミサカそんな顔で寝てたの!? ってミサカはミサカは衝撃の事実に驚愕してみたり!」
結標「いや、そんな事はなかったとは思うけど……」
打ち止め「な、なーんだ。ただ嘘かよかった……」ホッ
一方通行「……それよりすげェよな缶コーヒー。さっきまで生ける屍状態だったガキがもォここまで回復してンだからな」
結標「まあそうね」
一方通行「しかし少し疑問があるンだが……」
結標「何かしら?」
一方通行「いくら缶コーヒー一本飲ンだからって、ここまですぐに眠気ってのは覚めるモンなのか?」
一方通行「もし覚めンならカフェインさンパネェってなンだけどよォ」
結標「ああそれならカフェインじゃなくて、そのコーヒーの味だと思うわよ」
一方通行「味? そンなモンで眠気が覚めンのか?」
結標「貴方の缶コーヒーってブラックでしょ? だからすっごい苦いじゃない」
一方通行「……そうか? そンな苦げェかコレ?」
打ち止め「それは完全にあなたの舌が麻痺してるだけだよね、ってミサカはミサカはあなたの味覚を少し心配してみたり」
結標「……まあそういうわけで打ち止めちゃんはその苦みという刺激で目が覚めたのよ」
一方通行「単純な眠気だなァオイ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:30
-黄泉川家・リビング-
テレビ<デデーン!! ゼンインアウト!!
黄泉川「…………むにゃ」Zzz
結標「もう、こんなところで寝たら風邪ひきますよ?」
一方通行「放っておきゃイイじゃねェかそンな飲ンだくれ」
結標「いくら暖房がついてるからってそのまま寝るのはマズいでしょ?」
一方通行「勝手に酒飲ンで勝手に自爆してンだからどォでもイイだろ」
芳川「……んん……もう飲みたくない……」Zzz
打ち止め「でもこっちは完璧な犠牲者だよね、ってミサカはミサカはヨシカワの寝言から察してみる」
一方通行「何でコイツはこォなる事にわかっててここに居たンだろォな?」
結標「さ、さあ……?」
打ち止め「二人が友達だからじゃないかな? ってミサカはミサカは推測してみたり」
一方通行「チッ、面倒臭ェが部屋に運ンでやっか」カチ
結標「貴方にしては優しいわね」
一方通行「コイツらに風邪ひかれンのは困るンだよ。よっと」ガシ
打ち止め「珍しいあなたのデレだ!」
一方通行「ハァ? 勘違いしてンじゃねェよ。感染ンのが迷惑なだけだ」
結標「口ではああ言ってるけど本当はちゃんと心配してるのよねー」
打ち止め「うんうん」
一方通行「ついでにオマエらも気絶させて部屋に寝かせといてやろォか?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 11:58
-黄泉川家・リビング-
テレビ<ユルシテクダサイ!!バチーン!!デデーン!!
結標「……おかしいわね。そろそろカウントダウンとか始まってもいい時間帯なのに」
打ち止め「そうだね。今テレビに映ってるのは怖い人に殴られてる可哀そうな人だけだね、ってミサカはミサカはありのままの現状を言ってみる」
一方通行「そもそもカウントダウンっつゥのはどォいうのを言うンだ?」
打ち止め「どういう事?」
一方通行「オマエらの期待してるカウントダウンっつゥモンだよ。例えば時計を見て数えンのか、テレビの中の企画の事なのか……」
結標「……どうなの打ち止めちゃん?」
打ち止め「ミサカが言ってるのはテレビの方だよ、ってミサカはミサカは希望を伝えてみる」
一方通行「テレビの中の人間がカウント取るやつの方か?」
打ち止め「うん」
結標「それがどうかしたの?」
一方通行「……残念ながらその番組じゃあカウントダウンはやらねェよ」
打ち止め「!? な、何だってー!?」
結標「今度は感情のある『何だってー』だったわね」
打ち止め「ど、どうしてそんな事がわかったの!? ってミサカはミサカは光の速度で尋ねてみたり!」
一方通行「焦り過ぎて語尾がわけわかンなくなってンぞ」
結標「で、どうしてわかったのよ?」
一方通行「新聞のテレビ欄に書いてあンだよ。ハッキリとカウントダウンすンのかしねェのか」
結標「……と言う事はつまり?」
一方通行「カウントダウンに立ちあうンなら今すぐチャンネル変える必要があるっつゥ事だ」
打ち止め「ぎゃー! リモコンどこー!? ってミサカはミサカは必死に捜索活動!!」ガサガサ
結標「あ、あと何分で新年!?」
一方通行「あァーと、あと二十秒くれェだな」
結標「なっ!? 下手したらもう始まってんじゃないの?」
一方通行「だろォな」
打ち止め「わぎゃー!! ちょっと本気でリモコンが見つからない!!」ワタワタ
結標「あ、あれ? ホントどこにいったのリモコン!?」
一方通行「あと十秒」
打ち止め「ど、どこなのー!!?」キョロキョロ
結標「\(^O^)/」
ピコン
テレビ『7!6!』
結標「えっ?」
打ち止め「あれ?」
一方通行「……くっだらねェ」カチ
結標「い、いつの間にそんなところに?」
一方通行「ンな事よりカウントダウンに参加しろよ」
テレビ『5! 4!』
打ち止め「あ、そ、そうだ!」
結標「すっかり忘れてた」
テレビ『3!』
打ち止め「3!」
テレビ『2!』
結標「2!」
テレビ『1!』
テレビ『ハッピィィィニュゥゥイヤァァァァァァァ!!』ドンドンパフパフ
結標・打止「はっぴーにゅーいやー!!」ワイワイガヤガヤ
一方通行「…………」カツンカツン
カラン
一方通行「……あァ。リモコンこンなとこにあったのかよ」
ビール缶の山「」
打ち止め「あけおめー! ってミサカはミサカは新年のあいさつー!」
一方通行「あン? ああ、オメデトサン」
結標「今年もよろしくねー!」
打ち止め「よろしくー!」
ワイワイガヤガヤ
一方通行「……面倒臭ェ。寝る」ゴロン
打ち止め「あれ? もう寝ちゃうの? って事はこの勝負はミサカ達の勝ち……!?」
一方通行「くだらねェ事言ってねェでさっさと寝ろ。もォ用は済ンでんだろォが」
打ち止め「うーんまあいいや! 実はミサカももう眠くて眠くてしょうがないのだ、ってミサカはミサカは――Zzz」
一方通行「……コイツも結構寝ンの早ェよな?」
結標「もうさすがに限界だったんじゃないの?」
一方通行「ま、どォでもいいわ。オマエもとっとと寝ろよ結標」
結標「あ、一方通行。その前に……」
一方通行「あンだよ?」
結標「今年もよろしくね!」
一方通行「……おォ。こちらこそよろしく頼むわ」
―――
――
―
4.新年
January first Tuesday 07:00
-黄泉川家・リビング-
一方通行「…………おァ」ムク
一方通行「…………」
一方通行「……朝か……」
結標「おはよう一方通行!」
一方通行「おォ……」
結標「改めてあけましておめでとうございまーす!」
一方通行「おォ……」
結標「……缶コーヒーでも取ってこようか?」
一方通行「おォ……」
結標「…………」
一方通行「…………」
結標「1+1は?」
一方通行「おォ……」
結標「そういえば朝ご飯は何が良い? 何なら私が作ろうか?」
一方通行「やめてください死んでしまいます」
結標「そこは真面目に返すんだ……」
一方通行「缶コーヒーとってきてくれンじゃねかったのかよ?」
結標「あ、ごめんごめん」テクテク
結標「はいコーヒー」スッ
一方通行「……おォ」スッカチャゴクゴク
結標「しかしこんな時間なのにまだ私たち以外誰も起きてないわねー」
一方通行「正月くれェゆっくりしてェンじゃねェか? そォいう俺もそろそろ二度寝でもしよォかと思ってたところだ」
結標「ダメよ。朝はみんなで初詣に行くんでしょ?」
一方通行「面倒臭ェ……ン?」ネバー
結標「どうかした?」
一方通行「オマエ。缶に納豆でもつけたのか?」
結標「何で?」
一方通行「何か缶がネバついてンだけど……」
結標「えっ、私が持った時はそんな事なかったわよ?」
一方通行「……って事ァ、俺の手に何かしらついてたっつゥ事か……まさか」
打ち止め「……むにゃむにゃ……じゅるる……」ダラー
一方通行「オラクソガキィ! テメェ人の服にヨダレ垂らしてンじゃねェよクソがァ!!」
打ち止め「!? 何!?」ビク
ガラララ
黄泉川「何じゃん? 騒がしい」
結標「あ、黄泉川さんあけましておめでとうございます!」
黄泉川「ああ、おめでとじゃん。今年もよろしくー!」
結標「こちらこそよろしくお願いします」
打ち止め「……本当に申し訳ありませんでした……ってミサカはミサカはちゃんと謝罪ができる良い子」
一方通行「本当にイイ子だったら謝罪しなきゃいけねェ場面に遭遇しねェはずなンだけどなァ」
黄泉川「……何やってるじゃんあいつら?」
結標「打ち止めちゃんが寝ぼけて一方通行の体をよだれでベトベトにしたらしく」
黄泉川「ああー、まあ一緒に寝てたらよくある事じゃんね」
結標「そうなんですか?」
黄泉川「普通に零距離で寝てたらよだれ付くじゃん? とくに顔とかが」
結標「あー……そうですね……」
一方通行「……おォ黄泉川。起きてたのか」
黄泉川「二人ともおはよー! そしてあけおめじゃん!」
打ち止め「あけおめヨミカワー!」
一方通行「あンだけ酔いつぶれてたンだから昼くれェに起きると思ってたンだがな」
黄泉川「私もそのつもりだったんだけどな。お前らがうるさくておちおち寝てられないじゃん」
一方通行「そォか。よかったじゃねェか早起き出来て」
黄泉川「する気のなかった事が出来てもなー……」
一方通行「そォいや結標」
結標「何?」
一方通行「初詣に行くとか言ってたが、どこに何時集合なンだァ?」
打ち止め「初詣だと!? ミサカも行くー! ってミサカはミサカは二人の間に割って入ったり!」
一方通行「寝てろ」
打ち止め「こんな朝早くから『寝てろ』って言われるとは思わなかった、ってミサカはミサカは予想外の言動に少し驚いてみたり」
結標「別にいいんじゃない? 一人や二人増えても」
一方通行「クソガキ一人で十人分はうるせェぞ」
打ち止め「いやー、それほどでもー」
一方通行「ベタなボケしてンじゃねェぞクソガキ!」
黄泉川「まあまあ連れて行ってやれよ一方通行。初詣は日本の伝統文化なんだからさあ」
打ち止め「そうだそうだー! 伝統文化なんだー! ってミサカはミサカはとりあえず言葉にしてみたり」
一方通行「オマエ絶対ェその言葉の意味知らねェだろ?」
結標「まあ打ち止めちゃんの面倒は私が見るからいいでしょ?」
打ち止め「いえいえそんないいよ面倒なんてみてくれなくても、ってミサカはミサカは一人で大丈夫だよ宣言をしてみる!」
一方通行「じゃあ一人で神社行ってこいよ」
打ち止め「……い、いやー、それはちょっと……」
一方通行「……まァイイ。好きにしろクソガキ」
打ち止め「えっ!? 行っていいの!? キャッホーイ!! ってミサカはミサカは拳を突き上げながら飛び跳ねて喜びを表現してみたり!」ピョーン
結標「……しかしこの流れもテンプレとかしてるわね」
黄泉川「そうじゃんねー」
一方通行「……うるせェ」
一方通行「つゥか結局何時集合なンだよ?」
結標「第七学区の駅前に八時半集合よ」
一方通行「……面倒臭ェなァ。朝から行くのかよ?」
結標「何か問題でもあるの?」
黄泉川「朝は初詣に行く人が多いからなー」
結標「ああ、そうなんですか」
一方通行「まァさっさと終わらせてから寝るっつゥのも良いのかもしれねェけどな」
打ち止め「せっかくの冬休みなのにあなたは寝て過ごすつもりなの? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
一方通行「せっかくの冬休みぐれェ寝させろ」
結標「じゃあ八時くらいにここを出れば問題ないですね」
一方通行「構わねェよ」
打ち止め「了解!」
黄泉川「じゃあ私は二度寝といくじゃんよ……ふわぁー」テクテク
打ち止め「あれ? ヨミカワは行かないの? ってミサカはミサカは部屋に戻ろうとしてるヨミカワに聞いてみる」
黄泉川「私は人が少なくなってから行くじゃん。それに二日酔いで頭痛いし」
一方通行「最近二日酔いし過ぎだろオマエ」
黄泉川「じゃあお休みー!」
打ち止め「お休みヨミカワー! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみる」ノシ
一方通行「……今七時半っつゥところか」
結標「あと三十分くらい余裕はあるわね」
一方通行「じゃあ残りの三十分は有意義に使わせてもらうわ」ゴロン
結標「ちょっと! 今貴方が寝たら確実に三十分後に起きる保証はないわよね!?」
一方通行「ンなモン当たり前だろ。つゥわけでおやす――」
ゴン!
結標「わかってるなら寝るんじゃない!」
一方通行「軍用ライトで殴ンじゃねェぞクソが……」
打ち止め「ねえねえお腹空いたー! ってミサカはミサカは朝ごはんを要求してみる」
結標「そういえば朝ご飯まだだったわね。急いで黄泉川さんに作ってもらわないと……」
一方通行「まァその黄泉川はただ今絶賛二度寝中なわけだが……」
結標「……どうするの?」
打ち止め「何か昨日の残りみたいなのないの? ってミサカはミサカは冷蔵庫の中を漁ってみたり」ゴソゴソ
一方通行「昨日の晩メシはそばだったから残るわけがねェけどな」
結標「パンとかなかったかしら?」
打ち止め「……ないよー」
一方通行「面倒臭ェからカップ麺でイイだろ」
結標「朝からカップ麺とかないわー」
打ち止め「ないわー」
一方通行「じゃあ何食うつもりなンだよオマエら?」
打ち止め「うーん、そう言われてもなー、ってミサカはミサカは頭をひねってみる」
結標「じゃあしょうがないから私が作って――」
一方通行「却下」
結標「何でよー?」
一方通行「何で新年早々オマエのポイズンクッキングを食べさせられなきゃならねェンだ」
結標「ポイズンって……毒なんて入ってないわよ!?」
一方通行「オマエが手を下すだけで化学反応を起こして食材が毒に進化すンだよ」
結標「ちっとも嬉しくない進化ね……」
打ち止め「ミサカ……まだ死にたくない……」ガクブル
一方通行「じゃあ面倒臭ェから外食で済ますぞ」
結標「外食……って事はファミレスとか? そんなところに行って集合時間に間に合うの?」
一方通行「ファミレスかは知らねェけど駅の中に食いモン売ってるところぐれェあンだろ」
結標「ああそういう事……!」
打ち止め「どういう事?」
結標「駅の中にある適当な店で朝食を買うって事よね」
一方通行「そォいう事だ。これなら時間を気にする必要もねェし、まともな食いモンにあり付ける」
打ち止め「まさに一石二鳥だね!」
一方通行「――つゥ事で朝メシは駅で適当に買って食うって事で構わねェな?」
結標「問題ないでーす」
打ち止め「同じくー!」
一方通行「じゃあ面倒臭ェからそろそろ出るぞ」カツンカツン
結標「えっ!? ちょっと待って! 着替えさせて!」
一方通行「あン? たかが初詣だろォが。コート着るぐれェで十分だろォが」
結標「そ、そういうわけにはいかないのよこっちは!」
一方通行「……よくわかンねェが着替えンならさっさと着替えて来い」
結標「わかった。ちょっと待っててね」タッタッタ
一方通行「……ったく。何だってンだ?」
打ち止め「……ふぅ、やれやれ」
一方通行「……ンだァクソガキ? 言いてェ事があンならさっさと言え」
打ち止め「あなたはレディの心がわかってないねぇ、ってミサカはミサカは心底飽きれてみたり」
一方通行「ガキのクセに一丁前にレディとか言ってンじゃねェよチビガキ」
打ち止め「な!? ミサカだってレディだよ! ってミサカはミサカは徹底抗論!」
一方通行「イイからオマエも着替えンなら着替えて来い!」
打ち止め「……ま、いいや。じゃあ着替えてくるー、ってミサカはミサカは部屋に向かって歩き出してみる」テクテク
一方通行「……ホント何だってンだ?」
――――
――
―
―
――
―――
結標「着替えましたー!」
打ち止め「ましたー!」
一方通行「遅せェンだよオマエら! たかが着替えで何分掛けてやがる!」
結標「い、いいじゃないこのくらい! どの服着るか選んでたんだからしょうがないでしょ!?」
打ち止め「ミサカはアワキお姉ちゃんの着替えを手伝ってましたー! ってミサカはミサカは逃げ道を確保してみる」
一方通行「……つゥか、たかが初詣だろ? 何でオマエはそンなオシャレしてンだよ?」
結標「こ、これくらい今時の女子高生なら普通よ!」
一方通行「……そォかよ。ならとっとと出発するぞ」カツンカツン
結標「……もう!」
打ち止め「あ、あれ? 何かミサカが華麗にスルーされてる気がするぞ? あれれー?」
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:10
-第七学区・地下鉄駅・某ハンバーガーショップ-
結標「――しかしこの時期はお客さんが少ないねー」モグモグ
一方通行「わざわざ正月にこンな場所来るヤツなンて居ねェだろォからな」ズズズ
打ち止め「このハンバーガー変わった食感だけどおいしいね! ってミサカはミサカは感想を言ってみる!」パクパク
一方通行「だからさっきから言ってンじゃねェか。それはハンバーガーじゃなくてマフィンだ」
結標「朝はなぜかハンバーガーがないのねー。まあ朝からハンバーガーなんて食べようとは思わないけど」
一方通行「そォか? そンなの関係ねェとは思うが」
結標「前から思ってたけど貴方って少しおかしい」
一方通行「……ここのコーヒーは微妙だなァ」ズズズ
結標「相変わらず貴方の食事はコーヒー一杯なのね」
打ち止め「それだけで活動できるなんてあなたってすごいね! ってミサカはミサカはあなたの燃費の良さを評価してみる」
一方通行「そォかよ」ズズズ
結標「……でもコーヒー一杯で十分なのに何で朝食にカップ麺を希望したの?」
一方通行「あァ? そンなモン希望したか?」
打ち止め「うんしたよ! たしかにこの耳が聞いたよ!」
一方通行「……アレだろ。作る工程がラクだからだろ」
結標「それだけで決められてもねぇ」
一方通行「俺達にとってはお手軽さっつゥのは重要だろ?」
結標「まあそうだけど……」
結標「そういえば思うんだけどさあ」
打ち止め「何アワキお姉ちゃん?」
結標「こういう時のために私もそろそろ真面目に料理を勉強しようかしら?」
一方通行「そォいうのは理科室で勉強してくださァい」
結標「ちょっと! 何で調理室とかじゃなくて理科室!?」
一方通行「有害な物質とか調理室で作られたら他の人に迷惑だろォが」
結標「有害な物質って例えば?」
一方通行「……二酸化硫黄とかダイオキシンとか」
結標「……逆にどうやって作るのよそれ?」
一方通行「……例えばだ。オマエがフライパンを使って野菜炒めを作ったとしよう」
結標「うん」
一方通行「完成」
結標「…………え?」
一方通行「完成だ」
結標「完成……って作業工程端折りすぎでしょ!?」
一方通行「しょうがねェじゃねェか、説明不能な現象が起こってンだからよォ」
結標「フライパンの中に一体何が起こったって言うの!?」
打ち止め「かがくのちからってすげー!」
打ち止め「――ごちそうさまでしたー! ってミサカはミサカは完食の挨拶をしてみる」
結標「打ち止めちゃんは食べ終えたわね」
一方通行「今何時だァ?」
結標「えーと八時二十三分ね」
一方通行「ちょうど良い時間じゃねェか。さっさと待ち合わせ場所とやらに行くぞ」カツン
結標「ああちょっと待って! お盆片付けてくるから」
打ち止め「ミサカも行ってくるねー、ってミサカはミサカはお手伝いができる良い子!」
一方通行「最近流行ってンのか? その語尾の最後に『良い子』って付けンの」
―――
――
―
―
――
―――
同日 08:24
-第七学区・地下鉄駅前-
姫神「…………」ソワソワ
吹寄「姫神さーん!」
姫神「あっ」クル
吹寄「姫神さん。あけましておめでとー!」
姫神「あけましておめでとうございます」ペコ
吹寄「おお、すごい礼儀正しい……!」
姫神「今年もよろしく吹寄さん」
吹寄「ああ、こちらこそよろしくね」
吹寄「まだ姫神さんだけ?」
姫神「うん。まだここに居るのは私と吹寄さんだけ」
吹寄「まあ三バカは遅れるのはほぼ確定だとして、結標さん達はまだなのね」
姫神「アクセラ君が居るから。もしかしたら遅くなってるのかも」
吹寄「そうねー。アクセラってちょっと時間にルーズなところとかありそうよねー」
姫神「そうだね」
一方通行「誰が時間にルーズだってェ?」
姫神「!?」ビク
吹寄「わっ!? アクセラ居たの?」
一方通行「オマエらが来る三十分前には駅に居たぞ」
姫神「三十分前?」
一方通行「朝メシ食ってた」
吹寄「何でわざわざこんなところで朝食を?」
一方通行「そりゃあ……生き残るために決まってンだろ」
吹寄「?」
結標「……ちょっと待ってよー!」タッタッタ
打ち止め「まさか『待ってて』と言ったのに待ってくれてなかったとは思わなかった、ってミサカはミサカは小走りしながら文句垂れてみたり」トテチテ
吹寄「あっ、結標さんに、ええと……」
姫神「打ち止めちゃん」
吹寄「そうそう打ち止めちゃん!」
打ち止め「ミサカの名前ってそんなに覚えにくい名前だったっけ? ってミサカはミサカは名前を忘れられた事に驚いてみる」
一方通行「インパクトはある名前だろォがな」
結標「……まあそれより……」
結標「二人ともあけおめー!」
吹寄「おめでとー!」
姫神「あけましておめでとうございます」ペコ
結標「礼儀正しい!?」
一方通行「別に驚くモンでもねェだろ」
吹寄「アクセラと打ち止めもあけましておめでとうね!」
打ち止め「おめでとー!!」
一方通行「……おォ」
姫神「今年もよろしく」
打ち止め「よろしくー!!」
一方通行「つゥかエラくテンション高けェじゃねェかクソガキ」
打ち止め「いやー、これから遊びに行くんだよ?」
一方通行「あァ?」
打ち止め「ここでテンションを上げずにどこで上げると言うのか! ってミサカはミサカは湧きあがる気持ちを抑えきれなかったり!」
一方通行「遊びに行くっつっても初詣だろ?」
打ち止め「ミサカにとっては外に出かけるだけでスペシャルイベントです!」
一方通行「……ああ、そォかよ」
吹寄「あと来てないのは三バカだけね」
一方通行「アイツらまだ来てなかったのかよ」
結標「そういえば何時の電車に乗るの?」
姫神「八時四二分くらいに。ちょうど良い電車がある」
打ち止め「じゃあじゃあ今のうちに切符を買った方が良いんじゃないのかな? ってミサカはミサカは意見を言ってみる」
一方通行「そォだな。土御門と青髪ピアスはまだしも、不幸体質の上条が遅れて来ねェわけがねェからな」
結標「じゃあ私が人数分買ってきといてあげるわよ」
吹寄「ホント? じゃあお願いするわね」
姫神「じゃあ。はい切符代」スッ
一方通行「俺の分買わなくてイイ」
結標「あら、何で?」
一方通行「フリーパスが持ってるからな」スッ
吹寄「……初めて見たわフリーパスなんて」
姫神「さすがはレベル5」
一方通行「いや。レベル5は関係ねェけど」
打ち止め「何それー?」
結標「地下鉄を自由に乗れるパスじゃない? たぶん」
一方通行「あァ。期限はまだ残ってるから大丈夫だろ」
結標「しかし、よくそんなすごいモノ持ってるわね。何でそんなモノ持ってるの?」
一方通行「昔、実験で学園都市各地に行くからって、研究員のクソ野郎どもがくれた」
吹寄「どちらにしろさすがレベル5ね」
結標「じゃあ買ってくるわねー!」タッタッタ
吹寄「……さて、あの馬鹿三人はいつになったらここに姿を現すのかしら?」
一方通行「上条はインデックスの朝食を作ってて遅れてンだろォなどォせ」
姫神「インデックス関係なくても。目覚ましが狂ってたとか。壊れてたとか……」
打ち止め「安定の信号待ちフルコースとかがあるね! ってミサカはミサカは過去のデータから予想してみる」
一方通行「データって何だよ?」
打ち止め「他の個体からの情報だよ! ってミサカはミサカは説明してみる」
一方通行「そンなどォでもイイ情報まであンのかよ」
打ち止め「あの人はミサカネットワークの中では大人気だしねー、ってミサカはミサカはしみじみと思い出してみたり」
青ピ「よぉわからんけど、さすがカミやんやなー」
打ち止め「だねー」
一方通行「……ナニ自然な感じに会話に入ってきてンだテメェ?」
青ピ「いやー、何か楽しそうに会話しとったから気になってえなあー」
吹寄「あれ? 青髪いつの間に?」
青ピ「つい一分前くらいに着いたんやで?」
姫神「遅い」
青ピ「いやいや何言うてますん? 一応まだ三十分やで、待ち合わせの時間ぴったりやでー」
吹寄「五分前集合も出来ないのかお前は?」
一方通行「コイツに五分前集合とか無理だろ」
青ピ「いや、ボクが本気を出したら三十分前集合とか余裕やで!」
吹寄「なら最初からやれ!」
青ピ「しかし安定のカミやんとつっちーはまだなんか?」
吹寄「まあな。しかし土御門も災難よね、上条がお隣さんだなんて」
姫神「そういえば青髪君」
青ピ「ん? なんや姫神さん?」
姫神「あけましておめでとうございます」ペコ
青ピ「ああこれはご丁寧に、おめでとうございますぅ」ペコ
一方通行「つゥか、こンなヤツに新年の挨拶なンざする必要ねェンじゃねェのか?」
青ピ「それはヒドイ!」
吹寄「まあ一応おめでと」
打ち止め「あからさまに適当だね」
結標「みんなお待たせー! 全員揃ったー?」タッタッタ
青ピ「おっ、姉さんあけおめ!」
結標「あ、青髪君今年もよろしくねー!」
一方通行「残念ながら上条と土御門がまだだ」
吹寄「まったくアイツらめ……」
姫神「……あと五分で。電車が来る」
打ち止め「ちなみに次の電車は何時なの? ってミサカはミサカは少し疑問に思ってみる」
姫神「たしか八時五〇分だった気がする」
一方通行「面倒臭ェからもォ出発すれば良くね?」
吹寄「そうね。アイツらは現地集合と言う事で――」
上条「って、待てコラー!!」
一方通行「おっ、ヒーローが遅れてやって来た」
上条「……ぜぇぜぇ、やった、間にあった」
吹寄「間にあってない! 八分遅刻だ馬鹿もの!」
土御門「まあまあ今回ばかりは許してあげて欲しいにゃー」
一方通行「おォ土御門。久しぶりじゃねェか」
結標「どういう事なの土御門君?」
土御門「さっきまでカミやんは人助けの真っ最中だったんだぜい」
打ち止め「おおっ! さすがヒーローさんだね! ってミサカはミサカは褒め称えてみる!」
上条「いやいや、別にそんな大した事してねえよ」
姫神「ちなみに。何してたの?」
土御門「まあベタな道案内、落し物捜索に加えて、子供が木に引っかけたたこを取ってあげたりとお正月特有の人助けまでこなしてたにゃー」
一方通行「お人好しにも過ぎンだろオマエ」
上条「しょうがねえじゃねえか。困ってる人を見つけてしまったんだからさあ」
吹寄「……ってこんなことしてる場合じゃないわよ! あと三分で電車が出るわよ!」
結標「えっ、ホント!? 急いで改札くぐらなきゃ……!」
青ピ「まあ間に合ってよかったやんかカミやん」
上条「そ、そうだな……」
姫神「上条君。土御門君」
土御門「ん?」
上条「何だ姫神?」
姫神「あけましておめでとうございます」ペコ
上条「あ、どうもあけましておめでとうございます」
吹寄「ちょっと姫神さん! そんなことしてる場合じゃないでしょ!?」
姫神「ごめん。これだけはしときたくて」
一方通行「つゥか、電車の中でやればイインじゃねェのかよ」
打ち止め「あなたも早くした方が良いよ! ってミサカはミサカはのんびり者のあなたを急かしてみる!」
一方通行「……ハァ。面倒臭ェなァ」カチ
―――
――
―
5.初詣
January first Tuesday 09:00
-第十二学区・神社-
ワイワイガヤガヤ
打ち止め「おおおー! すごい人の数だー! ってミサカはミサカは目の前の光景に圧倒されてみたり」
一方通行「『人がゴミのよォだ』っつゥ言葉はこォいう時に使うンだろォな……」
吹寄「さすが初日といったところね。予想以上の込み具合だわ」
結標「あれ? この時期って帰省シーズンなんじゃなかったっけ?」
姫神「帰省シーズンと言っても。所詮は外部の話」
一方通行「一々学園都市出ンのに手続きとかあって面倒だしな」
結標「へー、そうなんだ」
青ピ「うっはー! 右を見ても巫女さん! 左を見ても巫女さん! 前を見ても巫女さん! ひゃっほーい!」
土御門「うーん、これを見ただけでも来たかいがあったってモンだにゃー」
上条「お前ら……」
一方通行「他人のフリしとけェ。同類とは思われたくねェ」
青ピ「アクセラちゃーん! 何ツレない事言っとるねん! スクエアフォース全員で仲良くMIKOSANウォッチングしよーや!」ガシ
一方通行「引っ付くンじゃねェ気持ち悪りィンだよエセ関西弁がァ!」
上条「つーか、俺達は巫女さんを見に来たんじゃなくて初詣に来たんだろ?」
青ピ・土御門「えっ?」
上条「えっ?」
上条「……そういえば巫女さんと言えば」
一方通行「何だよ?」
上条「姫神も転校する前は巫女服着てたよな?」
結標「えっ、そうなの?」
姫神「うん」
一方通行「何でそンなモン持ってンだよ?」
姫神「……趣味?」
一方通行「何で疑問形なンだよ?」
上条「あれってもう着てないのか姫神?」
姫神「最近は着てない。制服とかで過ごす事が多くなってきたから」
吹寄「そういえばいつだったか着てきた時があったわね……あの時はびっくりしたわ」
結標「そんなモノを私服として使うなんて、ちょっと恥ずかしいわね……」
青ピ「普段からコスプレしてるなんて、姫神ちゃんはレイヤーの鏡やなー!」
一方通行「勝手に同類判定してンじゃねェよ。かわいそォだろォが姫神が」
姫神「ところで。何でそんな質問を?」
上条「いやー、別に大した意味はねえよ。ただ姫神の巫女服姿結構似合ってたからなー」
姫神「!?」ガタ
上条「着てないんだったら別に良いんだけどよ。まあ、この時期は寒い――」
姫神「着る! 着てくる! 今度……いや今から着てくる!」
結標「ちょ、ちょっと姫神さん落ち着いて! まだ初詣は終わってないわよ!」
姫神「どいて結標さん。ここだけは譲れない……!」ダッ
結標「譲れないって何が!?」
打ち止め「おおっー、ヒメガミお姉ちゃんが今まで見た事ない動きしてるー、ってミサカはミサカは実況してみる」
吹寄「上条!! 貴様またか!!」
上条「また? またとは何の事でせう?」
青ピ「カミやーん、自分の胸に手を当ててよーく考えてみい」
一方通行「まァコイツの場合は自分で考えたところで一生わかンねェだろォがな」
土御門「だにゃー」
上条「?」
姫神「デビルバットゴースト!」ドン!
結標「なっ!? 残像!?」
上条「……ところで俺は一体何をすれば良いんだ?」
土御門「笑えばいいと思うよ」
吹寄「馬鹿な事してないで上条! 早く姫神さんを止めなさい!」
上条「な、何で俺が?」
一方通行「イイから止めろよ」
上条「お、おう。ひ、姫神ー。とにかくとっとと初詣しようぜ? 巫女服はそれからでいいじゃないのかー?」
姫神「……まあ。そうね」ガタ
結標「あー、無駄に疲れた気がする」
打ち止め「何をしてたかよくわからなかったけどお疲れアワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカはとりあえず労いの言葉を送ってみる」
―――
――
―
―
――
―――
土御門「さーて、まずは手水舎で手を清める作業に入るにゃー」
打ち止め「はーい!」
上条「作業言うな!」
結標「これ手順はどうするの?」
吹寄「そこの看板に書いてるわよ」
姫神「左右の順番で手を洗って。最後に口をゆすぐ」
結標「へー、結構細かいのねー」
一方通行「それぐれェ知っとけよ」
結標「しょ、しょうがないじゃない! 初詣の手順の記憶なんて全くないんだから!」
青ピ「そういえば姉さん記憶喪失やったなー」
姫神「記憶喪失ならしょうがない」
結標「ええと、まずは右手で柄杓を持って左手を洗う、と――」ピチャピチャ
打ち止め「……ううっ」
姫神「どうしたの?」
打ち止め「……これって口に入れなきゃダメなの? ってミサカはミサカは恐る恐る尋ねてみる」
姫神「別に唇濡らす程度で構わない。もしかして生水には抵抗があるの?」
打ち止め「う、うん。生水を飲んだらお腹を壊すってデータが頭に中にあるから、ってミサカはミサカは理由を述べてみる」
一方通行「つゥか、この水は一応浄水器通ってるから大丈夫だろ」
姫神「そうなの?」
一方通行「この下に浄水器があるから腹ァ壊すなンて事はねェ」
打ち止め「へー、こんな原始的な水道なのにそんなモノが付いてるんだねー、ってミサカはミサカは素直に感心してみる」
青ピ「……ぐへへへへ」
上条「……何気持ち悪りぃ笑い声上げてんだよ青髪?」
青ピ「この柄杓は色々な人が使ってるんよな?」
上条「ま、まあそうだけど……それがどうかしたか?」
青ピ「って事はこの柄杓はボクの前にかわいい女の子が使ったって事なんよな?」
上条「……どうしてそうなる? まあその可能性も否定はできねえけど」
青ピ「だったらボクってその娘と間接キスしてるって事にならへんやろか!?」
上条「お前は一体何を言ってるんだ?」
青ピ「そう考えるとボクぁ! ボクぁ! 興奮してしょうがないわー!」ゴクゴク
上条「何飲んでんだよ!? ちゃんとゆすげよ!」
土御門「あ、その柄杓。青髪が使う前はアタマ禿げ散らかしたおっさんが使ってたぜい」
青ピ「ぶっー!!」ブシャー
上条「うわっ! 汚ねっ!?」
吹寄「ったく。何であの馬鹿どもはこういう場所でも馬鹿なの?」
結標「まあまあ。元気なのは良い事じゃない、ね?」
吹寄「元気と馬鹿は違う!」
一方通行「つゥか結標」
結標「何?」
一方通行「それ終わったンならさっさと寄越せよ。ここの柄杓少ねェンだからよォ」
結標「あ、うん。はい」スッ
一方通行「ン」スッ
打ち止め「はいヒメガミお姉ちゃん! 終わったよ! ってミサカはミサカは柄杓を渡してみる」スッ
姫神「ありがと打ち止めちゃん」スッ
土御門「いやー、しかしおっさんとの間接キスで興奮する青髪はレベル高いにゃー」
青ピ「何言うとんね! ボクぁ見知らぬ可愛い幼女との間接キスを――」
上条「変態度が増してんじゃねえか!!」
結標「……ん? 間接キス?」
吹寄「どうしたの結標さん?」
結標「あ、いや。何でも……」
吹寄「そう」
結標「……間接キス……?」
姫神「間接キスがどうかしたの?」
結標「いやー、何か忘れてる気が……ああっ!!」
姫神「!?」
結標「あ、一方通行ぁ!! す、ストォォォップ!!」
一方通行「……ぺっ! あン? どォかしたか結標?」
結標「お、遅かった……」
一方通行「はあ? 何がだ?」
結標「い、いや。その……というか貴方は何にも思わないの?」
一方通行「だから何がだって聞いてンだよコッチは」
結標「そ、その。わ、私と間接キ――///」
打ち止め「ねえねえ!」
一方通行「あァ? ンだクソガキ?」
打ち止め「お腹空いたから出店で何か買おうよ! ってミサカはミサカは空腹を訴えてみたり」
一方通行「まだ初詣終わってねェだろ。後にしろ後」
打ち止め「はーい、ってミサカはミサカは素直に返事をしてみる」
結標「…………」
一方通行「で、何だって? 聞いてなかったからもう一回頼む」
結標「あ、あははは。い、いいわ別に。そんな大した事でもないから。あはは」
一方通行「それじゃあ俺が気になるだろォが。言え」
結標「大丈夫大丈夫! ホントどうでもいい事だから! 本当だから!」
一方通行「……まァイイ。さっさと初詣終わらせるぞ」カツンカツン
結標「はーい!! ……はぁ」
姫神「…………」
結標「……どうかしたの姫神さん?」
姫神「結標さん」
結標「は、はい」
姫神「私。応援するから」
結標「えっ」
姫神「頑張ってね」テクテク
結標「ちょ、ちょっと! それってどういう事!? ねえ!」
土御門「――つーか、ここで幼女が口ゆすぐの待ってから、その後その柄杓使えばよくね?」
青ピ「うはっ、鬼才現る」
上条「本気でアンチスキルのお世話になりそうだからやめとけ」
吹寄「馬鹿な事してないでさっさと行くわよ!」
―――
――
―
―
――
―――
上条「あー、やっと賽銭箱の前に辿り着いたなー」
打ち止め「まさかあれから三十分も待つとは思わなかったなー、ってミサカはミサカは時計を見ながら思い返してみたり」
一方通行「中途半端に人気なアトラクションの待ち時間かよクソが……」プルプル
青ピ「あれ? アクセラちゃんどしたん?」
土御門「まさかあれか? 立ち時間が長すぎて足にガタが来てるんじゃないかにゃー?」
一方通行「うるせェぞクソ野郎ども。とっととお参り終わらすぞ」カツンカツン
青ピ「アクセラちゃんせっかちやなー。そんな急がんでも神社は逃げへんのに」
上条「それ神社じゃなくて賽銭箱じゃねえのか?」
吹寄「それも違うと思うけど」
打ち止め「ここの手順はどうするの? ってミサカはミサカは教えを請いてみたり」
一方通行「そこの看板に書いてンだろ」
打ち止め「おおっ! こんなところにあったとは……! ってミサカはミサカは驚いてみる」
一方通行「もっと周りを見て行動しやがれ!」
上条「まあまあそんな怒らなくてもいいんじゃねえか? 初めてなんだろ?」
一方通行「別に怒ってるつもりはねェよ」
吹寄「でも何か不機嫌そうっていうか怖い顔してるじゃない」
一方通行「元々がこンな顔なンだよ!」
打ち止め「ええと。まずは軽く会釈だね、ってミサカはミサカは頭を下げてみる」ペコ
吹寄「次にお賽銭を入れて、鈴を鳴らす、と」チャリーンカランカラン
打ち止め「ねえねえ!」
一方通行「今度は何だ?」
打ち止め「お金持ってきてないから小銭ちょうだい! ってミサカはミサカはお願いしてみる」
一方通行「オマエ、金持ってきてねェのか?」
打ち止め「うん!」
一方通行「ったく。それくれェ自分で用意しとけよ……ほら、適当に取れ」スッ
打ち止め「ありがとー! じゃあこれでいいや!」つ500円玉
上条「五百円玉……だと?」
一方通行「あン? 別に構わねェだろ」
上条「いや、五百円って大金じゃねえか! 精々ご縁があるから五円玉とかだろ!」
一方通行「ナニをそンな必死になってンだオマエ?」
土御門「まあ、たしかに一般的には五百円玉はいれないかにゃー」
青ピ「五百円玉一枚で色々買えるしなー」
打ち止め「…………」
一方通行「どうした?」
打ち止め「いや。何かみんなの話を聞いてたらこの五百円玉がもったいない気がしてきて……」
一方通行「別にイイっつってンだろォが。その程度の金が無くなろうが何の痛手もねェよ」
上条「チクショウ! この金持ちめ!」
一方通行「だからさっきから何なンだよオマエは?」
上条「まあ貧乏人の俺はベタに五円玉を投げ入れて、今年の幸せを願うよーと」スッ
チャリンチャリンチャリンチャリン
上条「…………えっ?」
土御門「おいカミやん! 財布からすごい数の小銭が流れ出てるぞ!」
上条「えっ!? ちょ、何で!?」ワタワタ
青ピ「財布の小銭入れ部分の底に穴が開いてるんやなー」
一方通行「オイ。どォでもイイ事だけど、札も全部落ちていってるぞ」
上条「ちょっと!! 待ってくれ!! 俺の生活費ぃぃぃ!!」
上条「…………」
一方通行「結局全財産賽銭箱行きか」
土御門「まあ元気出せよカミやん。あとで何か奢ってやるからよ」
青ピ「きっと神様がその出費分の幸せを届けてくれるでー」
上条「…………」
一方通行「容赦ねェな幻想殺し……」
打ち止め「次は……ねえ『二礼二拍手一礼』って書いてあるけどどういう意味? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
一方通行「そのまま二回お辞儀して二回拍手して一回お辞儀すンだよ」
吹寄「ちなみに二回拍手した時に何かお願い事をするのよ」
打ち止め「願い事って何でもいいの!? ってミサカはミサカは目を輝かせながら聞いてみる!」
吹寄「ま、まあ何でも良いって言ったら何でも良いけど……」
一方通行「変な事願うンじゃねェぞクソガキ」
打ち止め「ね、願わないよ!」
一方通行「本当かよ?」
吹寄「……まあとにかく、あたしは下に降りとくわね」
一方通行「もォ終わらせてたのか?」
吹寄「馬鹿どもが馬鹿やってる間にね」
一方通行「そォか」
打ち止め「じゃあまず二礼!」ペコペコ
打ち止め「そして二拍!」パンパン
一方通行「黙ってやれ!」
青ピ「義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪――」ブツブツ
土御門「舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏舞夏――」ブツブツ
一方通行「オマエら邪念が口から溢れ出てやがンぞ」
上条「神様……どうか。どうかちょっぴりで良いんです……幸せが……幸せが欲しいんです――」ブツブツ
一方通行「何かすげェかわいそォになってきた」
打ち止め「最後に一礼……と」ペコ
―――
――
―
―
――
―――
打ち止め「ただいまー! 終わったよー! ってミサカはミサカは報告してみる!」
結標「お、おかえり打ち止めちゃん」
一方通行「オマエらもォ終わってたのか?」
姫神「うん。別の場所で祈願した」
一方通行「別の場所?」
上条「ああ。俺たちの居たところの隣の場所じゃねえか?」
土御門「ここの神社は人混み防止のために出入り口が三つに分かれてるからにゃー」
青ピ「とりあえずお祈りは終わったしあとはどうしましょか?」
打ち止め「じゃあじゃあ早速出店を回ろうかー! ってミサカはミサカは速攻提案してみる!」
上条「そうだなー、ってよくよく考えたら俺金が……」
結標「どうしたの?」
土御門「サイフの中にあるお金全部賽銭箱の中にブチ込んでしまったんだぜい」
姫神「何という不幸」
青ピ「じゃあカミやんはお金のかからない事を一緒にやろうや」
上条「何だよそれ?」
青ピ「MIKOSANウォッチング」
上条「またそれか!」
土御門「まあお金がかからないってのは事実だにゃー」
打ち止め「ううー。とりあえずミサカは先に行ってるね! ってミサカはミサカは待ち切れずに超絶ダッシュ!」トテチテ
一方通行「チッ、走ンじゃねェよクソガキ!」カツンカツン
土御門「あれ? アクセラはMIKOSANウォッチングに行かないのか?」
一方通行「行くわけねェだろ、ンなクソ企画。俺はアイツと適当にそこらを回ってる」
結標「じゃ、じゃあ私も――」
一方通行「オマエは吹寄達と一緒に行けよ。オマエまでガキの子守りに付き合う必要はねェよ」
結標「え、ああ、そう……」
吹寄「アクセラ! とりあえず待ち合わせの時間だけでも決めとくわよ!」
一方通行「つゥかグダグダしてたらクソガキを見失う。悪りィが決まったらメールで連絡してくれ」カチ
ダン!!
姫神「……消えた」
結標「…………はぁ」
土御門「じゃあとりあえず時間を決めようぜい。どうする?」
上条「いつまでここに居るのかにもよるんじゃねえのか?」
吹寄「今は何時かしら?」
青ピ「ええと十時前くらいやね」
吹寄「ふむ……じゃあ十二時くらいで良いんじゃない? 電車もそれくらいの時間にあったはずだから」
姫神「それじゃあ待ち合わせ場所は。この正面の鳥居の前という事?」
吹寄「そうね。じゃ、そういう事にしましょ」
青ピ「よしカミやん、つっちー!! いざMIKOSANウォッチングにレッツゴー!!」
上条「はあ!? 俺は行くとは言ってねえぞ!」
土御門「じゃあカミやんは女子連中と一緒に屋台を回るのかにゃー? 無一文で」
上条「……わかったよ! 行けばいいんだろ行けば!」
吹寄「精々アンチスキルに補導されないように気をつけなさいよ!」
青ピ「大丈夫やて。そんなヘマせえへんせえへん」
土御門「まあもしかしたらカミやんが捕まるかもしれないけどにゃー」
上条「おいふざけんな! 俺を身代わりにするつもり満々だろお前ら!?」
姫神「じゃあ上条君。またいつか」
上条「姫神ぃ! 何でいつかって何!? すぐに会えるよ二時間後ぐらいに!」
青ピ「おおっ! あそこの巫女さんすごくエロいでえ!! 全軍突撃やでー!!」タッタッタ
土御門「二時間後にまた会おうぜい! 女子諸君!」タッタッタ
上条「ちょ、待てよお前ら!」タッタッタ
姫神「いってらっしゃーい」ノシ
吹寄「ったく。あの熱意をもっと勉学とかに回せないのかしらね?」
結標「…………」
吹寄「じゃああたしたちも行くとしましょ」
姫神「待って。今のうちにアクセラ君にメールしとく」ピピピ
吹寄「そう? じゃあお願い」
結標「…………はぁ」
吹寄「どうかしたの?」
結標「いや、別に何でもないわ」
姫神「結標さんは。愛しのアクセラ君と居られないのが。非常に悲しい」
結標「!? ちょ、姫神さん!?」
吹寄「えっ、何それ!? ちょっと詳しく!」
結標「吹寄さぁん!!」
―――
――
―
―
――
―――
同日 10:10
-第十二学区・神社-
<ありがとうございましたー!
姫神「……たこ焼き。おいしい」モグモグ
吹寄「でもわざわざこんなとこで食べるような物でもないわよね」
姫神「こういうのは雰囲気が大事」
吹寄「なるほど」
結標「…………」モグモグ
吹寄「……で、さっきの話の続きなんだけど」
結標「!?」ビク
吹寄「結標さんはアクセラの事が好きって事なわけよね?」
姫神「うん」
吹寄「もちろんそれはライクじゃなくて……」
姫神「もちろんラブ」
結標「……うう」
吹寄「まあ、前から仲が良いとは思っていたけど、まさかそんな関係だったなんてね……」
結標「ま、まだそんな付き合ってるとかみたいな関係じゃあないから!」バッ
吹寄「いや、わかってるけど」
結標「あ、ご、ごめん……」
吹寄「しかしこれは珍しいパターンなのよねー」
結標「珍しいって?」
吹寄「大体この手の話になると決まって出てくるのが上条の名前なのよ」
結標「上条ってあの上条君?」
吹寄「そう。常日頃『不幸だー』って言ってる馬鹿な上条」
結標「上条君の名前が出てくるって事は、彼はそんなにモテるの?」
吹寄「モテるというか、……言いたくないけどアイツらの言葉を借りて言うと『フラグを乱立』させる人間なのよアイツ」
結標「ふーん、別にそんな風には見えないけど……」」
吹寄「見えなくても事実ウチのクラスの女子達のほとんどは陥落してるわ」
結標「す、すごいわね、それ……」
吹寄「ちなみに姫神さんもその女子達の中の一人よ」
姫神「私をそんな人たちと一緒にしないで欲しい」
結標「へー、姫神さんは上条君の事が好きなのかー」ニヤニヤ
姫神「……何? そのにやけ顔は?」
結標「別にー?」ニヤニヤ
姫神「……別にそんな事されても。あなたみたいに取り乱したりしない」
結標「えっ!? 私そんな取り乱してた!?」
姫神「うん。お参りの前とかすごく取り乱してた」
吹寄「そうなの? それはそれで見てみたかったなー」
結標「うう……」
結標「……じゃあクラスの女子のほとんどが陥落って事は、もしかして吹寄さんも……?」
吹寄「えっ? ないないない。あんな馬鹿代表みたいなやつ誰が好きになるか」
結標「あれ? 傍から見たらそれなりに仲良さそうに見えたのだけど、違った?」
吹寄「仲良さそう? 残念ながらそれは錯覚だ!」
結標「さ、錯覚?」
吹寄「というか上条なんかを好きになるくらいなら、まだアクセラの方が良いわよ」
結標「……!? ま、まさか吹寄さん……!?」
吹寄「えっ? あ、ああ、違うわよ! そういう事じゃないわよ!」
結標「な、なーんだ……」ホッ
姫神「ちなみに吹寄さんは。ウチのクラスの最後の砦とまで言われてる」
結標「と、砦?」
姫神「上条君に対しての」
結標「へ、へー、何だかすごそうね」
吹寄「別にすごくはないわよ。それに結標さんがウチに転校してきたから最後じゃないし」
姫神「そもそもすごいという形容詞は間違ってるんじゃ……?」
結標「そうね。恋愛にすごいも何もないわよね……」
吹寄「……ま、あなたがどれだけアクセラの事が好きなのかわかったわ」
結標「さっきの会話でどうやってそれを知ったのかを知りたいわ」
姫神「ここはツッコんだら負け」
吹寄「だからあたしは結標さんの恋を応援するわ!」
結標「え、あ、うん……」
吹寄「まあ、何か悩みがあったら気軽に相談してね。きっとあなたの力になってみせるから!」
結標「……あ、ありがとう吹寄さん」
姫神「……吹寄さん」
吹寄「何? 姫神さん?」
姫神「そんな感じのセリフ。私にも言って欲しかった」
吹寄「…………」
姫神「…………」
結標「……わ、私は姫神さんの恋を応援するわよ」
吹寄「ま、まあ、応援はしてるわよ。でもこんな感じのセリフを前言わなかったのはちゃんとした理由があるわよ!」
姫神「理由?」
吹寄「上条は倍率高いからきちんと力になってあげられそうにないから……」
姫神「(´・ω・`)」
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「……ったく。あのクソガキどこに行きやがったンだ?」キョロキョロ
一方通行「こォなる事が予想できたから、あのクソガキを連れて行きたくねかったンだよ」ハァ
一方通行「…………」
一方通行「つゥかあのガキ、金も持たずにうろつき回ってどォするつもりなンだ?」
ワイワイガヤガヤ
一方通行「……あン? アイツは……」
佐天「――で、御坂さん! 結局どうだったんですか?」
美琴「ど、どうだったって何が?」
佐天「クリスマスイブですよクリスマスイブ!」
黒子「ほぁぁぁっ!? だ、駄目ですよお姉様!! 黒子は認めませんよ!!」
初春「白井さーん。いい加減諦めたらどうですか? 林檎飴うまー」ペロペロ
美琴「べ、別に何にもなかったわよ! そ、それにアイツとはそんなんじゃ……」
佐天「もー、いい加減に認めた方がいいですよー? 見てる方は面白いけど」
黒子「面白くないですの! きぃぃぃ! あの腐れ類人猿め!!」
初春「はっ。腐れをカタカナで書いたらオサレと似てませんか!?」
佐天「何言ってんの初春……?」
美琴「大体あんなヤツ……げっ!」
黒子「げっ?」
佐天「どうかしたんですか御坂さん?」
一方通行「『げっ!』っつゥのはコッチのセリフじゃねェのか?」
黒子「……誰ですの? この殿方は……?」
佐天「うわー、髪とか肌とか真っ白ー」
初春「本当ですねー。白い服着てスキー場とかに居たらどこに居るか分からなくなるんじゃないです?」
美琴「あ、一方通行。アンタが何でこんなところに……?」
一方通行「あァ? この時期にこんな場所に来る理由なンて初詣ぐれェしかねェだろ」
美琴「は、初詣ー? あ、アンタが? すごく似合わないわ」
一方通行「言われなくてもわかってンだよクソッたれ……」
初春「あのー、すみません」
佐天「この人誰なんですかー?」
美琴「ああ、コイツは一方通行っていって……」
佐天「アクセラレータ……ですか?」
黒子「外国の方ですの?」
一方通行「ホント初めて会ったヤツ全員同じ反応するよなァ」
初春「何かエスカレーターみたいでかっこいいですね!」
佐天「それってかっこいいのか……?」
一方通行「人の名前で遊んでンじゃねェガキども。俺ァ外国人さンじゃねェ」
美琴「そうよみんな。コイツは日本人……あれ? 日本人よね?」
一方通行「そォか。そンなに肉塊にして欲しィのかオマエ」
美琴「……じゃあとりあえず私の友達を紹介しとくね」
一方通行「オイ、華麗にスルーしてくれてンじゃねェぞコラ」
美琴「こっちの二人は佐天さんと初春さん」
佐天「佐天涙子でーす!」
初春「初春飾利です」
美琴「で、こっちがルームメ――」
黒子「御坂美琴お姉様と将来を誓い合った仲である白井黒子です!」
一方通行「あン?」
黒子「ですのでもしお姉様に気があるようでしたら、まずはわた――」
美琴「くーろーこー」ユラー
黒子「は、はいお姉様?」ビクッ
美琴「いつアンタと私は将来を誓い合ったって言うのかしらー?」ビリビリ
黒子「あ、あははは、お、お姉様? まさかこんなところで新年初電撃をするなんて事はありませんよねー?」タラー
美琴「あはは、そのまさかだ馬鹿黒子ぉぉぉ!」
バリバリ
黒子「ああっ! きもちぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃ!!」バチバチ
佐天「おおー、漫画なら骸骨が見えそうなくらい輝いてるー!」
一方通行「……何だこりゃ?」
初春「あ、あははー。気にしないでくださいいつもの事ですから」
黒子「……ところで一方通行……さん?」プスプス
一方通行「何だよ? 真っ黒黒焦げ子さン」
黒子「お姉様とはどういったご関係で?」
一方通行「ハァ?」
美琴「ちょ、ちょっと黒子!! まだ電撃浴び足りないわけ!!」
佐天「おおっ!? これはまさかの上条さん三角関係勃発か!?」
初春「これは燃える展開ですねー。そこに白井さんを加えると四角関係ですよ!」
黒子「ノーノーありえませんわ!! 三角も四角もありません! 最初からお姉様と私はすでに相思相愛――」
バリバリバリ!!
黒子「おうぅ! イエェェェェェェェェェェェェェェェス!!」バチバチ
一方通行「……コイツいつか死ぬンじゃねェか? 主な死因は感電死」
佐天「大丈夫ですよ! だって白井さんですし!」
初春「そ、そうですね。白井さんですしね」
一方通行「何ものだよコイツ?」
黒子「――で、結局お姉様とはどんなご関係で?」プスプス
一方通行「あァ? 何だろォなァ……少し複雑な知り合い?」
佐天「複雑……ですか?」
初春「何がどう複雑なのか気になりますね」
美琴「べ、別にそんな大した事じゃないわよあはははー」
黒子「むむむ。怪しいですの……」
一方通行「まァ安心しろ白井。オマエの歪ンだ恋路を邪魔するつもりは毛頭もねェからな」
黒子「なら安心ですの」
美琴「おい!」
美琴「そういえばさあ」
一方通行「何だァ?」
美琴「アンタ初詣に来てるって言ってたけど一人で?」
一方通行「あァ? ンなわけねェだろ……あァそォいえば超電磁砲?」
美琴「何?」
一方通行「あのクソガキ見なかったか? 只今絶賛捜索中なンだけどよォ」
美琴「クソガキ……って打ち止めの事よね? さあ……? 私は見なかっ……ってええっ!?」
一方通行「あン?」
佐天「ん?」
黒子「どうかしましたかお姉様?」
美琴「ちょ、ちょっとこっちに来なさい!」ガシ
一方通行「オイ、引っ張ンじゃねェよ」
黒子「?」
佐天「何だろ?」
初春「さあ?」
美琴「……あの子来てるの?」ボソボソ
一方通行「あァ? あのガキが来てて悪りィのかよ?」
美琴「別に悪いって事はないけど……もしあの子が私の知り合いと接触したらどうするつもりなの?」ボソボソ
一方通行「……別に他人のフリしときゃあイイだろ」
美琴「そうは言ってもね。絶対あの子の事だからこっちに気付いたら呼びかけてくるわよね」
打ち止め「ああー! お姉様だー!! おおーいお姉様ー!! ってミサカはミサカはお姉様のところへ突撃ー!」トテチテ
美琴「そうそうこんな感じに――って、えっ!?」
一方通行「あン? チッ、クソガキが。どこに行ってやがった?」
打ち止め「あれー? 何でお姉様とあなたが一緒に居るの? ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」
一方通行「コイツも初詣に来てたらしい」
打ち止め「へー、そうなんだー、ってミサカはミサカは素直に納得してみる」
美琴「ら、打ち止め!? な、何で好都合の悪い時に……!?」
初春「あ、あのー」
美琴「!?」ビク
佐天「誰ですか? その子?」
美琴「え、えーと。その、あのね……」
黒子「……お姉……様?」
美琴「!?」ビク
初春「どうしたんですか白井さん?」
黒子「いえ。何となくですがあの子の顔にお姉様の面影があるような……」
佐天「あっ、ホントですね! よくよく見て見ればそっくりですね!」
初春「そっくりと言うか、そのまま御坂さんを幼児化させたみたいですね!」
打ち止め「……あの人たちは誰なの? 何かミサカの事をジロジロ見てきてる気がする、ってミサカはミサカは複数の熱烈な視線に少し照れてみたり」テレ
一方通行「どこに照れる要素があるってンだ。まァ、アイツらは超電磁砲の連れらしいからな」
一方通行「超電磁砲とそっくりなクローン体のオマエが出てくりゃあ普通は不思議がるだろォが」
打ち止め「そっかー、たしかにそうだよねー。他の個体もお姉様と間違えられたって娘も居るみたいだし」
一方通行「っつっても、オマエはそっくりと言うための身長が足りてねェけどな」
打ち止め「酷い! ミサカもその点は気にしてるのに! ってミサカはミサカはデリカシーの無いあなたに怒りを向けてみたり!」
佐天「で、結局あの子は誰なんですか御坂さん?」
美琴「え、その。ええと……」
初春「もしかして妹さんですか?」
美琴「! そ、そう! そ――」
黒子「それはありえませんわ。前お姉様は一人っ子と言っていましたし」
美琴(何ふざけた事言ってんだ過去の私ぃぃぃぃぃ!!)
黒子「……お姉様? どうかなさいました? 何だか顔が真っ青ですわよ?」
美琴「い、いや何でもない! 大丈夫だからあはははー!」
初春「うーん、妹さんではないとしたら。うーんと……」
一方通行「従妹だ従妹」カツンカツン
佐天「あ、一方通行さん!」
美琴「あ、アンタどうして……!?」ボソ
一方通行「知られたくねェンだろ? コイツらに。『妹達』の事」ボソ
美琴「う、うん。そうだけど……」ボソ
一方通行「とりあえず今は話合わせとけ。さすがのクソガキもその辺の空気ぐれェ読めンだろ」ボソ
美琴「わ、わかったわ……」
初春「へー、従妹なんですかー」
佐天「すごいですねー。従妹なのにそっくりですね」
黒子「ふむ……たしかに将来有望そうですの」
初春「白井さん……まさかとは思いますけど、そのまさかじゃないですよね?」ジトー
黒子「な、何ですのその目は!? お姉様の身内だからと言って襲いかかるような馬鹿ではありませんのよ私は!」
初春「そうですか。てっきり外見が似てるから変態行為に勤しむのかと」
黒子「初春。後で覚えときなさいですの」
黒子「大体私はお姉様の外見に惚れたわけではないですの! あっ、もちろん外見も大好きですのよ」
美琴「そんなどうでもいい捕捉いらないんだけど」
黒子「私はお姉様の生き様に惚れたのですの! そこら辺の外ッ面しかみないケダモノ達と一緒にしないで下さる?」
打ち止め「おおっー! 何だかよくわからないけどおおっー!」パチパチ
一方通行「何だかよくわかんねェモンに拍手送ってンじゃねェクソガキ」
初春「まあ、そんなどうでもいい事は置いといて」
黒子「ど、どうでもいい事とは何ですの!? 私の愛のこもった――」
佐天「白井さん! どうどう」
黒子「私は馬じゃないですの!」
初春「ところでこの子の名前はなんていうんですか御坂さん?」
美琴「!?」ビク
一方通行「…………」
美琴「な、名前?」
初春「はい。名前です」
美琴「な、な、な、名前ねー、そうねー」
美琴「ど、どうするのよ!」ボソ
一方通行「何がだ?」ボソ
美琴「とぼけるんじゃないわよ! 名前よ名前!」ボソ
一方通行「……そのまま打ち止めでイイだろ」ボソ
美琴「よくないわよ! 最近よく居る馬鹿な親でもつけないわよそんな変な名前!」ボソ
一方通行「大丈夫だろ。現に俺の通り名も受け入れてもらえてンだしよォ」ボソ
美琴「アンタは見た目からして怪しいからでしょ! あの子は私の従妹扱いなのよ!」ボソ
一方通行「オイ怪しいってどォいう事だオマエ。返答によってはオマエを今から息を吐きだすだけの肉塊に変える事になるぞ」
初春「……どうしたんでしょうかこの二人?」
黒子「さ、さあ……?」
打ち止め「ミサカにもわかんなーい! ってミサカはミサカは首を傾げてみる」
佐天「……そうだ。ねえねえ従妹ちゃん?」
打ち止め「従妹ちゃん……? ああミサカの事か。なあにロングヘアーのお姉ちゃん」
佐天「従妹ちゃんの名前は何て言うの?」
美琴「!?」ビク
一方通行「…………」
打ち止め「えっ? ミサカの名前? ミサカは打ち止めって言うんだよ! ってミサカはミサカは自己紹介してみる」
佐天「…………え?」
初春「…………はい?」
黒子「…………はて?」
美琴「\(^O^)/」
佐天「ら、打ち止めちゃん……?」
打ち止め「そうそう打ち止め!」
黒子「……聞き間違いだと思いましたけど聞き間違えではなかったですの」
初春(……あとでスレ立てよ。『ちょwwwやばいDQNネームの持ち主と出会ったクソワロタwwwww』って)
一方通行「……クソガキ」
打ち止め「ん? どうしたの?」
一方通行「やっぱりガキには空気を読むっつゥのはまだ無理だったか」
打ち止め「あれ? 何か知らないけど理不尽な事でミサカの事を馬鹿にされてる気がするぞ、ってミサカはミサカはいらない所で勘を働かせてみる」
―――
――
―
―
――
―――
初春「――あ、そろそろお昼ですね」
美琴「ああ、もうそんな時間?」
黒子「店が混む前に昼食を食べに行かないといけませんの」
佐天「というわけで、あたしたちはこの辺で行きますねー」
打ち止め「ええーもう行っちゃうのー? もう少し話そうよー! ってミサカはミサカは少し残念がってみる」
一方通行「駄々コネてンじゃねェよクソガキ。アイツらにも都合っつゥモンがあンだよ」
美琴「一方通行」
一方通行「あァ?」
美琴「いろいろと打ち止めの世話させちゃってホントごめんね」
一方通行「チッ、気にすンじゃねェよ。俺が好きにやってるだけだ」
美琴「そう。ありがとね」ニコ
佐天「ではでは! またどこかで会いましょうね! 打ち止めちゃん! 一方通行さん!」
打ち止め「またねー! お姉様! ルイコお姉ちゃん! カザリお姉ちゃん! クロコお姉ちゃーん!」ノシ
黒子「ぐはっ!? ……妹キャラのお姉様もこれはこれでいいですの」
初春「さっき高らかに宣言してたのはなんだったですか?」
美琴「アンタ……あの子に手を出したらどうなるかわかってるんでしょうね?」ビリビリ
黒子「わ、わかってますのよお姉様! 私はお姉様一筋ですの!」
美琴「できればそれもやめて欲しいんだけど……」
打ち止め「……面白い人たちだったね。お姉様のお友達」
一方通行「……そォだな」
打ち止め「じゃあそろそろ時間だし、待ち合わせ場所にでも行こうよ! ってミサカはミサカはあなたの手を引っ張ってみる」
一方通行「……待て」
打ち止め「どうしたの? そんな難しい顔して?」
一方通行「いや。少し気になった事があってよォ」
打ち止め「ん?」
一方通行「いよいよ呼び捨ての人間の方が圧倒的に少なくなってきな」
打ち止め「?」
―――
――
―
6.ファミレス
January first Tuesday 12:00
-第十二学区・神社-
吹寄「――さて。待ち合わせ場所に着いたは良いが……」
姫神「まだ誰も来てない」
吹寄「まあわかってた事だけど……」
結標「この神社結構広いから迷ってるんじゃないの?」
姫神「さすがにそれは無いと思う。小学生じゃないのだから」
吹寄「だけど迷ってたと言われても驚かないわね」
結標「ホントひどい扱いよね……あの三人」
土御門「おいーす。お待たせー!」
姫神「おお。噂をすれば何とやら」
吹寄「噂はしてないけどね」
青ピ「いやー、充実した初詣だったわー」
上条「一生懸命仕事してる巫女さんの写真を撮りまくるのがお前の初詣なのか……?」
吹寄「なっ!? き、貴様らはそんなくだらない事をしていたの!?」
結標「よくアンチスキルに捕まらなかったわね……」
姫神「……不審者」ボソ
上条「ま、待てお前ら! 俺はやってねえぞ! むしろ止めてた側だ!」
青ピ「何言うとりますのんカミやん? 一緒にMIKOSANウォッチングした仲やん!」
土御門「そうだぜいカミやん。自分だけ良い子ぶろうとしてもそうはいかないにゃー」
上条「良い子ぶるもなにももともと俺は無罪だゴルァ!」
三人「「「…………」」」ジトー
上条「だぁーくそぅ!! お前らのせいで俺まで変態扱いだ!!」
青ピ「あぁぁイイ! 女の子がジト目でボクの事見とる!」
上条「……とりあえずコイツ一発ぶん殴っても怒られねえよな?」
土御門「まあまあ落ち付けカミやん。青髪ピアスの変態性は今に始まった事じゃないぜよ」
上条「コイツの変態性より、俺にまで軽蔑の目で見られてるのが問題なんだけどな……」
打ち止め「おーい!! みんなお待たせー!! ってミサカはミサカは手を振りながらみんなのもとへ駆けつけてみたり!」タッタッタ
一方通行「走ンじゃねェコケンぞクソガキ!」カツンカツン
姫神「あ。打ち止めちゃんとアクセラ君だ」
結標「どうしたの? 貴方が遅れるなんて珍しい」
一方通行「俺が時間を守ろォと努力したところで、クソガキの存在がそうはさせてくれねェンだよ」
吹寄「ふーん、だから打ち止めは綿あめその他諸々を持って駆けつけてきたのね」
一方通行「ったく。これから昼メシだっつゥのによォ」
上条「わぁーん助けてアクセラえもん!」
一方通行「誰がアクセラえもンだコラ。何だ上条?」
上条「変態どもと一緒にいただけで変態扱いされてるんだよー!」
一方通行「……どォいう経緯があったかは知らねェが、変態どもについて行ったオマエが悪い」
上条「そ、そんなー!?」
打ち止め「……どうしたのあれ? ってミサカはミサカはあの人に泣きついてるカミジョウを見て聞いてみる」
土御門「カミやんは犠牲になったんだぜい。犠牲の犠牲にな」
打ち止め「何それ? ミサカにはよくわかんない」
吹寄「……よし! とりあえず馬鹿やってないで、そろったんだから早く行きましょ?」
姫神「そうだね。茶番はそろそろ終わりにしよう」
一方通行「メシはどこで食うンだ? つゥかその前に無一文の上条はどォなるンだ?」
上条「だ、大丈夫だ! ちゃんと金下ろしてくっから」
青ピ「カミやんの場合それすら残ってるかが怪しいんやけどなー」
土御門「お金を引き出せずに、キャッシュカードがATMに入ったままでてこなくなりそうだにゃー」
上条「テメェら嫌なフラグ立てんじゃねえ!!」
結標「……まあ、上条君の扱いは置いといて何食べるかだけでも決めときましょ?」
打ち止め「ミサカお寿司食べたーい! ってミサカはミサカは高らかに主張してみたり!」
一方通行「オマエって事あるごとに寿司を要求するよな?」
姫神「ごめん。昨日私お寿司食べたから。できれば違うのをお願いしたい」
一方通行「つゥ事で残念だったなクソガキ」
打ち止め「じゃあステーキ!」
一方通行「いかにも高級そうなモンばっか要求すンじゃねェよ!」
吹寄「……ふむ。じゃあ面倒臭いからファミレスで良いんじゃない? いろいろ食べれるモノはあるし」
結標「たしかにファミレスなら安いヤツだけどステーキはあるわね」
青ピ「大勢で行くのにも適しとるしなー」
土御門「それに金欠カミやんにも優しい金額だしにゃー」
上条「うるせえよ! つーかファミレスのライス(小)でも結構キツいんだぞウチは!」
吹寄「言ってて悲しくならないのか貴様は?」
土御門「じゃあ今日の昼メシはファミレスで決定だにゃー!」
姫神「ファミレスはどこの? いつものところ?」
吹寄「そうね。どうせ第七学区に戻らなきゃいけないし、その方が良いわね」
打ち止め「わーい!! ファミレスだキャッホーイ!! ってミサカはミサカは過剰に喜んでみたり!」
一方通行「うるせェから過剰にハシャぐンじゃねェ」
結標「まあいいじゃない。打ち止めちゃんはファミレスなんて滅多に行かないんだし」
打ち止め「ふふふ。実はミサカは結構ファミレス行ったりするんだぜ? ってミサカはミサカは衝撃の事実を告げてみたり」
一方通行「衝撃でも何でもねェけど一応聞いてやる。どォやって行きやがってたンだオマエは?」
打ち止め「キハラに結構なペースで連れていってもらってたよ! 週三ペースぐらいで!」
一方通行「木ィィ原クゥゥン!! 何食いモンに手ェ抜いてやがンだアイツゥ!! ガキが栄養失調になったらどォするンだクソ野郎ォが!!」
結標「果てしなくお前が言うなっていう状況よね、これ」
―――
――
―
―
――
―――
同日 12:45
-第七学区・とあるファミレス-
カランコローン♪
ウェイトレス「いらっしゃいませー! 何名様でしょうか?」
吹寄「ええっと……八人です」
ウェイトレス「では奥の席へご案内します!」
打ち止め「わーい!! ファミレスだー!! ってミサカはミサカは店内を走り回ってみたり!」トテチテ
一方通行「クソガキィ!! 店ン中走り回ってンじゃねェ! 他の客の迷惑だろォが!」カツンカツン
上条「しかし随分と大所帯だなぁ。一つのテーブルに入りきらねえぞ」
土御門「まあこういう場合は複数の席に分けるのが定石だぜい」
結標「……やっぱりお正月だからあんまり人はいないわね」
青ピ「そりゃわざわざこんな時期にこないな場所来る必要ないわなー」
姫神「中に居るのは。研究者みたいな人が一人の席と。男一人女四人のハーレム状態の席」
土御門「何かカミやんみたいな状況の席だにゃー」
上条「何で?」
結標「あはは、何でだろうね?」
ウェイトレス「ではご注文がお決まりになりましたらそこのボタンを押してください!」
ピンポーン
青ピ「お姉さんをお一つ(キリ」
ウェイトレス「……はい?」
バキッ!
青ピ「あいたー!」
吹寄「馬鹿なことするんじゃないわよ! 店員さん困ってるじゃない!」
ウェイトレス「あ、あははは……」サー
上条「ドン引きされてんじゃねえか青髪」
一方通行「あ、特製コーヒー一つ」
結標「何平然と注文してるのよ貴方は」
―――
―――
打ち止め「……ミサカこれが食べたーい! ってミサカはミサカは要求を言ってみる!」
一方通行「あン? 何だよ?」
打ち止め「この『ミートソーススパゲッティ』ってやつを……」
一方通行「ステーキはどこにいったステーキは?」
結標「まあいいんじゃない? 子供は気紛れだって言うし」
一方通行「気紛れっつっても肉から麺類って変わり過ぎだろ」
打ち止め「ああーっ! ミサカこのジャンボパフェが食べたい! ってミサカはミサカは料理を変更してみたり」
一方通行「メシ食い終わってからまだ食えたらな」
打ち止め「はーい!」
上条「……うん。やはりここはライス(小)が無難か……」ムムム
吹寄「何悲しい事言ってんのよ?」
上条「しょうがねえじゃねえか。今月の食費が全部賽銭箱にブチ込まれてしまったんだからよ」
姫神「何でそんな大事なお金を持ち歩いてたの?」
結標「そういえばそうね。そんな大金は無くすのが怖いから持ち歩かないわね」
一方通行「俺にはわからねェ心情だなァ」
上条「金持ちは黙ってろコンチクショー!!」
土御門「……で、結局何でそんな大金持ち歩いてたんだにゃー?」
上条「ああ。今日の帰りにスーパーに寄って、食料の買い溜めをしとこうと思ってな」
姫神「買い溜めってこんな日に?」
上条「こんな日でも上条さんの冷蔵庫の中は氷河期なんですよ!」
打ち止め「……冷蔵庫の中はいつでも寒いよ? ってミサカはミサカは指摘してみる」
結標「打ち止めちゃん。上条君が言いたいのはそういう事じゃないわよ、たぶん」
打ち止め「?」
一方通行「……オイ上条」
上条「何でせうか一方通行さん」
一方通行「そンな状況でインデックスの野郎を置いて来て大丈夫なのかよ?」
土御門「ああ、その事なら問題ないぜいアクセラちゃん!」
結標「どういう事?」
土御門「インデックスは今ごろイギリスで新年を過ごしてる事だぜい」
一方通行「イギリスだァ?」
吹寄「……そういえばあの娘って外国の人だったわね。何で上条なんかと一緒に居るのか分からないけど……」
青ピ「カミやんのフラグ建築能力は国境を越えるんやからなー」
上条「お前は一体何を言っているんだ?」
土御門「まあそういうわけで、現在カミやんの家のエンゲル係数がくんと下がってるんだぜい!」
一方通行「そォか……つゥか何で部外者のオマエがそンなに詳しいンだよ?」
土御門「そりゃあお隣さんだからカミやんの事はいろいろと詳しいんだぜい。例えばカミやんのあんな本の隠し場所とか……」
姫神「!!」ガタッ
上条「な、何言ってんだよ土御門!! 馬鹿な事言ってんじゃねえ!!」
吹寄「ほう、そんな怪しい本を所持しているというのか貴様は?」
上条「ふ、吹寄さーん。何をそんな額に青筋を立てておられるのでせうか?」
姫神「土御門君。どういう感じなのか。後でぜひ教えて欲しい……!」
上条「姫神ぃ! 何でそんなもんに興味を示してるんだよ!?」
吹寄「たしかああいう本というのは十八歳未満の人間は買う事は許されてなかったわよね?」
上条「そ、そんな事言われても健全な男子高校生は全員持ってんだよ! なあ青髪、土御門!」
青ピ「ボクそんなモノ持ってませーん!」
土御門「えっちぃの嫌いです!」
上条「テメェら裏切りやがったなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! つーかあれは元々テメェのモンだろ青髪ぃぃぃぃ!!」
打ち止め「ねえねえ! あんな本ってどんな本? ってミサカはミサカは好奇心を募らせてみたり!」
結標「打ち止めちゃんにはちょっと早いかなー。だから知る必要はないわよー」
打ち止め「ええっー?」
一方通行「……あァ、コーヒーうめェ……」ズズズ
結標「いつの間にコーヒーが……?」
一方通行「上条が悲惨な目にあってる時ぐれェ」
結標「つまりさっきと言うわけね」
一方通行「……うめェ」ズズズ
結標「……そういえば貴方は持ってるの?」
一方通行「何をだ?」
結標「その……そういう本……」
一方通行「持ってると思うか?」
結標「うーん、どうだろうか? 健全な男子高校生は全員持ってるって言うらしいけど……」ジー
一方通行「あン?」
結標「貴方って全然健全そうに見えないわよね?」
一方通行「……じゃあそォいう事でイイじゃねェか面倒臭せェ……」ズズズ
結標「つまり……どういう事よ?」
一方通行「ご想像にお任せいたしまァす」
―――
―――
ウェイトレス「お待たせいたしましたー! チーズハンバーグ定食のお客様ー!」
結標「はい私です」
ウェイトレス「ではごゆっくり」テクテク
一方通行「……あァ、うめェ……」ズズズ
吹寄「……ねえアクセラ」
一方通行「あァ?」
吹寄「昼食何か頼まないの?」
一方通行「何言ってンだ。すでに頼ンであンじゃねェか」
吹寄「え?」
姫神「どういう事?」
結標「ああコイツ、大体食事はコーヒーだけで済ませてるのよ」
吹寄「ええっ? それってホントなの?」
一方通行「まァな」
姫神「お腹空かないの?」
一方通行「空いてねェ」
上条「何だよその便利体質! 食費すごく浮くじゃねえか!」
結標「あれ? でも今日の朝食もコーヒーだけじゃなかった?」
一方通行「それがどォした?」
結標「今日はまだ何も食べてないのに何でお腹空いてないのよ?」
一方通行「知るか」
―――
―――
結標「……あっ、そうだ!」
姫神「どうしたの急に?」
青ピ「何やソーダでも飲みたいんか?」
上条「うわぁ……それはないわ……」
吹寄「お前のギャグのセンス無さ過ぎ」
一方通行「冬なのに室温下げてンじゃねェよ」
打ち止め「うわー他のミサカ達がみんな審議拒否してるよ! ってミサカはミサカはネットワークの情報を報告してみたり!」
青ピ「だじゃれ言っただけなのに何このフルぼっこ展開……」
結標「あの……ちょっといい?」
上条「ああ、そういえば何か言おうとしてたな。青髪のせいで途切れてたけど」
姫神「青髪君は少し自重するべき」
土御門「だにゃー」
青ピ「四面楚歌ってこの事なんやろうなー」
結標「みんなってスキー場ってもう行った?」
上条「スキー場……ってあれか? マラソン大会の賞品でタダ券もらったあれか?」
吹寄「そういえばまだ行ってなかったわね」
土御門「大体カミやん達馬鹿二人が補習なんて行ってるからだにゃー」
一方通行「あン?」スッ
土御門「じょ、冗談冗談だって、あははー」
姫神「私もまだ行ってない」
青ピ「ボクもまだ行ってないでー!」
結標「……どうやらまだみんな行ってないのね」
一方通行「そのよォだな」
結標「それじゃあ残りの冬休みでどうにかしてみんなで行かない?」
吹寄「残りの冬休みか……今日抜いてあと五日ね」
青ピ「どうせだから残りの休み全部スキー場で過ごすのはどうやろか?」
姫神「さすがにそれは飽きる」
上条「つーかあのタダ券って宿泊とかもタダなのか?」
土御門「この券見てみるとそうみたいだぜい。上の方がいろいろ手回しをしてくれてるらしいな」
一方通行「上っつゥのはどれだけ金余ってンだよ。こンなどォでもイイ事に予算使ってよォ」
打ち止め「ねえねえ。スキーって何? スキーに行くの? ミサカも行きたい! ってミサカはミサカはキラキラと目を輝かせてみたり!」キラキラ
吹寄「この場合ってどうなるのかしらね?」
結標「この場合って?」
吹寄「このタダ券って家族とかにも適応されるのかしら?」
土御門「多分無理じゃないかにゃー。それが適応されたら何かと理由つけてタダを要求するヤツらが出てくるからにゃー」
吹寄「理由って?」
土御門「例えば『こいつは俺の魂の兄弟だからタダにしろ!』 とか」
上条「たしかにそれは面倒だな」
姫神「……それじゃあ打ち止めちゃんは……?」
一方通行「問題ねェだろ。よォするに金さえ積めば誰でも行けるンだろ? つゥか元々金払って行くよォな場所だしよォ」
打ち止め「……あれ?」
一方通行「あン?」
結標「……貴方正気?」
一方通行「何寝ぼけた事言ってンだこの三下は?」
結標「だっていつもの貴方って、大体打ち止めちゃんが絡んで来たら真っ先に阻止するじゃない?」
一方通行「……まァそォだな」
打ち止め「ミサカは毎回迷惑してるんだよねー、ってミサカはミサカは溜め息交じりに言ってみる」ハァ
一方通行「潰すぞクソガキ」
結標「……それなのに『問題ねェ』って……」
一方通行「……ハァ。オマエ何にも覚えてねェよォだな」
結標「えっ?」
一方通行「あの時俺は言ったじゃねェか。みンなでスキーに行くってよォ」
吹寄「ほほぉ。やるねえアクセラ」
姫神「うんうん」
結標「ちょ、ちょっと二人とも!」
土御門「まさかこんなところにもフラグが立ってたとはにゃー」
上条「? 何言ってんだ土御門?」
青ピ「まさかカミやんの客観的な目線でも鈍感やったのか……」
一方通行「まァ、とりあえずスキーには全員で行くっつゥ事でイインだよな?」
上条「ああ、大丈夫だぜ」
吹寄「私も大丈夫よ!」
姫神「大丈夫だ。問題無い」
土御門「これはどうやっても行くしかないにゃー!」
青ピ「うはっ! ゲレンデのスキーガールがボクを待ってるでー!」
打ち止め「ミサカは年中暇だから大丈夫だぜ! ってミサカはミサカは軽くニート宣言!」
結標「子供だからニートは無いんじゃない?」
吹寄「じゃあここで予定とか決めときましょ。また集まるのとか面倒だから」
一方通行「それについては賛成だな。極力家から出たくねェ」
上条「引きこもりかよ」
ワイワイガヤガヤ
結標「…………うふふ」
―――
――
―
7.お年玉
January first Wednesday 13:00
-黄泉川家・リビング-
打ち止め「日本には『お年玉』って言う風習があるんだね!! ってミサカはミサカは唐突に声を出してみたり!」
結標「な、何? 黙ってソファーに座ってると思ってたらいきなり」
打ち止め「大変だよアワキお姉ちゃん! お年玉だよお年玉!」
結標「お年玉? お年玉ってたしかお正月に子供がもらえるお小遣いみたいなものよね?」
打ち止め「これは急いでもらいに行くしかないね、ってミサカはミサカはターゲットに向けて移動を開始してみたり」トテチテ
結標「ああ、ちょっと打ち止めちゃん!?」
―――
――
―
―
――
―――
黄泉川「――お年玉ぁ?」
打ち止め「そうそうお年玉! ミサカもお年玉が欲しいって、ミサカはミサカは要求してみる」
黄泉川「うーん、そうかー。打ち止めもお年玉が欲しい年頃になったのかー」
結標「黄泉川さん。お年玉に年頃は関係ないと思いますが……」
黄泉川「で、淡希もお年玉目当てでこっちに来たじゃん?」
結標「い、いや、そういうわけじゃ……」
黄泉川「まあいいや。はいお年玉」スッ
打ち止め「おおーっ!! これがお年玉!! ってミサカはミサカは胸を高鳴らせながらお年玉を手に取ってみたり!」スッ
結標「私もいいんですか?」
黄泉川「子供が遠慮するもんじゃ無いじゃん! 受け取れ受け取れ!」
結標「ありがとうございます!」
打ち止め「ひゃっほーい!! 五千円だぜー!! ってミサカはミサカは精一杯はしゃいでみたり!」ワイワイ
結標「しかし準備がいいですね?」
黄泉川「こんな展開になる事ぐらい予想できたじゃん?」
結標「そうなんですか?」
黄泉川「『お正月=お金がもらえる期間』とか考えてる子供も少なくはないじゃんよ」
結標「その中の一人が打ち止めちゃんだったって事ですね」
打ち止め「失礼な! ミサカはそんないやしんぼうさんじゃないよ! ってミサカはミサカは必死に否定してみる!」
黄泉川「まあ、そういうのも含めてお正月なんだからいいじゃん!」
結標「そうですね」
黄泉川「じゃ、大事に使うじゃんよ!」
二人「「はーい!」」
―――
――
―
―
――
―――
芳川「……で、その流れで私の所に来たと?」
打ち止め「お年玉くださーい! ってミサカはミサカは手を出しておねだりしてみたり」
芳川「で、淡希も私からお年玉をたかりに来たのかしら?」
結標「いえ、たかるなんてそんな……」
芳川「……まあとにかく私は貴女達にお年玉を分け与える余裕はないのよ?」
打ち止め「ナ、ナンダッテー」
芳川「せめて表情ぐらい変えて驚いてくれない? 無表情ってのは怖いわよ?」
結標「……打ち止めちゃん?」
打ち止め「何?」
結標「芳川さんにだっていろいろ事情があるのだから行きましょ?」
打ち止め「ええっー? まだお年玉もらってないよー?」
結標「そんなしつこく要求しても芳川さんが困るだけよ?」
打ち止め「でもでもここまで来て引き下がれないよー! ってミサカはミサカは徹底抗戦の姿勢を取ってみたり」
結標「ここまで来てって言ってもそんなに努力はしてないけどね」
芳川「……もう! わかったわ。少しだけよ」ゴソゴソ
打ち止め「おおっ! ついに難攻不落でディフェンスに定評がある芳川が落ちた!」
結標「誰がそんな評価をしてるのよ?」
芳川「……ほら! これ以上は駄目だからね」スッ
打ち止め「……ええー、千円札?」
芳川「何よ! フリーターの財力をナメないでちょうだい!」
結標「そうよ打ち止めちゃん。あんまり文句言ったら可哀そうよ芳川さん」
芳川「……淡希? 貴女のフォローも地味に傷つくのだけど」
結標「あっ! すみません芳川さん!」
芳川「いいのよ淡希。わかってるから……私もこのままじゃいけないってわかってるから……」
結標「芳川さーん!?」
打ち止め「何か千円札そのままってお年玉っぽくないような、ってミサカはミサカは感想を呟いてみたり」
結標「気になってたのそっち!?」
―――
――
―
―
――
―――
一方通行「――あン? お年玉だァ?」
打ち止め「そうそうお年玉! ってミサカはミサカは黙って手を出してみたり」スッ
一方通行「黙ってねェじゃねェか」
打ち止め「細かい事は気にしない気にしない、ってミサカはミサカは前向きに事を進めてみたり」
一方通行「で、結標。オマエもお年玉欲しくてここに来たのかァ?」
結標「なっ、そ、そんなわけないじゃない! そもそも私の方が年上なのよ!」
一方通行「だったら何だァ? くれンのかお年玉?」
結標「貴方はお年玉なんて必要ないくらいお金持ってるじゃない」
打ち止め「お年玉がほーしーいー! プリーズギブミー……OTOSIDAMA!」
一方通行「英語に変えンの諦めてンじゃねェよ。つゥか何でいきなりお年玉なンて欲しがりだしたンだオマエ?」
結標「そういえばそうね。ソファーに座ってたと思ってボーとしてと思ったらいきなりだものね」
打ち止め「何かね、病院に住んでる個体がゲコ太医者からお年玉もらったらしいって情報が入ったんだよ! ってミサカはミサカは説明してみたり」
一方通行「どォしてそのミサカネットワークっつゥのは俺を面倒臭せェ展開に引き込む情報ばっか蔓延ってンだよ?」
結標「……ずっと気になってたけどミサカネットワークって何?」
打ち止め「それはね、ミサカ達の能力を使った脳波リンクだよ! ってミサカはミサカは簡単に説明してみたり」
結標「……よくわからないけど能力で作ったインターネットみたいなものね。わかったわかった」
一方通行「わかったのかわかってねェのかハッキリさせろよ。つゥか、勝手に余計な情報吐いてンじゃねェよクソガキ」
打ち止め「そんな事よりプリーズギブミーOTOSIDAMA!」
一方通行「とにかくそこをどけ。俺はこれから昼寝を楽しむつもりなンだよ」
打ち止め「ミサカもこれからお昼寝をしようと思ってるよ! あなたからもらったお年玉を片手に」
一方通行「そもそもお年玉っつゥのは大人からガキに渡すモンじゃねェのかよ? 何で俺に要求してンだよ?」
打ち止め「……ギブミーOTOSIDAMA!」
一方通行「ついに寄越せと来たか。つゥか質問に答えろコラ」
結標「大人しくあげればいいんじゃないの? どうせお金なんて掃いて捨てるほどあるんでしょ?」
一方通行「あァ? 何で俺がこのガキにお年玉なンざァやらなきゃいけねェンだ?」
結標「まあ、それについては同感だけど……」
一方通行「だけど?」
打ち止め「へいへーい!」サッサッ
結標「このままじゃあ昼寝どころかゆっくりする事もできなさそうよ?」
一方通行「……クソッたれが」
結標「諦めた方が良いと思うわ」
一方通行「……わかったくれてやるよお年玉」
打ち止め「えっホント? ヤッター!! ついにデレたー!!」
一方通行「訳わからねェ事言ってンじゃねェクソガキ!」
打ち止め「で、お年玉はどこにあるの? 早く早く! ってミサカはミサカは急かしてみたり!」
一方通行「ンなモン用意してるわけねェじゃねェか。今から金下ろしに行くンだよ」
結標「わざわざそこまでする?」
一方通行「今あンま手持ちがねェンだよ」
結標「ああ、そう」
一方通行「で、クソガキ。オマエはいくら欲しいンだ?」
打ち止め「うーんじゃあ百万!」
結標「ひゃくまん!?」
一方通行「百万だな了解了解」カツンカツン
打ち止め「えっ!? ……わ、わーい!! やったー!! ってミサカはミサカは喜びを踊りで表せてみたり」フリフリ
結標「ちょっと待てーい!!」
一方通行「何だよ結標? 何か用か?」
結標「ひゃ、百万って貴方馬鹿!?」
一方通行「あァ? たかが百万だろ? 何を驚いてンだオマエは?」
結標「い、いや、そんな、百万って……」
一方通行「……とくに用がねェンなら俺は行くぞ?」
結標「え、あ、うん」
結標「……ねえ打ち止めちゃん」
打ち止め「何アワキお姉ちゃん?」
結標「百万ももらって何に使うの?」
打ち止め「いや、ミサカはホントは冗談で言ったつもりだったんだけどね、ってミサカはミサカは正直内心焦ってる事を伝えてみたり」
結標「……冗談を真に受けた馬鹿が今お金下ろしにいってるけど……?」
打ち止め「……まあ、とにかくもらえるものはもらっとこうよ!」
結標「で、もらってホント何に使うの?」
打ち止め「えーと……貯金?」
結標「意外と堅実ね……」
―――
――
―
【中編】に続きます