※タイトル通りあわきんが記憶喪失になります
※時系列的には九月三十日以降の話で、一方通行は黄泉川家にいます。えっ、木原君? 木原君は登場する前にそげぶされました
周囲をビルに囲まれた、片側三車線もある広い道。
完全時刻に近いこの時間、車一台はおろか、人っ子一人通っていなかった。
しかし、その代わりに道路のアスファルトはビシビシと砕け散り、宙に砂塵が舞っていた。
その中で一人の狩人が、一匹の兎を狙っていた。
ビルとビルの間を降りしきるガラスの破片の雨。
その上空に滞在する鉄製のキャリーケースを持った一人の少女。
顔中汗まみれになり、口を手で押さえ、襲いかかる吐き気から必死に耐えている。
空中にいることによる浮遊感がさらに彼女の吐き気を催す。
元スレ
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328838816/
そんな彼女に向かって一人の白い影が、大砲の弾のような速度で、不気味な笑い声を上げながら近づいていく。
背中に四つの空気の渦をまとい、ガラスの破片の層をもろともせずに、
一直線に彼女に向かって行く姿は大気圏を突破するロケットのごとく。
真っ白な体とは裏腹に鬼のように、魔物のように、悪魔のように、
口元が裂けた、歪んだ笑みを浮かべる怪物が、
宙に浮く少女の目の前に到達する。
恐怖で染まった少女の顔を、容赦なく怪物の拳が襲いかかる。
彼女はとっさに片手で持っていたキャリーケースを自分と相手の間に持ってくる。
盾代わりとなった鋼鉄のキャリーケースは、少女の代わりに拳を受け止める。
しかし、その鉄の塊は、もろくて繊細なガラス細工がちょっとした衝撃で割れてしまうように、
怪物の拳を受けて、中に入っていた『中身』ごと粉々に砕け散った。
目の前にキャリーケースの破片と『中身』の部品がばら撒かれる。
怪物はそんなことは気にせずに、拳を引き戻し、再び少女の顔に狙いを付ける。
「悪りィが、こっから先は一方通行だ」
歪んだ笑みを、さらに歪に歪め、
「進入は禁止ってなァ! 大人しく尻尾ォ巻きつつ泣いて無様に元の居場所へ引き返しやがれェ!!」
鋼鉄を粉々に破壊した拳が、少女の顔面の中央へと突き刺さる。
ゴキィ、と何かが折れる音がした。
彼女の痛覚が働く前に、彼女は斜め上空へと、高い高い高層ビルの屋上へと吹き飛ばされた。
―――そして彼女は意識と大事なものを失った。
1.黄泉川家の新住人
-黄泉川家・リビング-
一方通行「…………ハァ」
打ち止め「どうしたの? ってミサカはミサカは溜め息をつくあなたに質問してみる」
一方通行「これからめンどくせェ事が起こるとわかって、溜め息を吐かねェヤツなンているのかよ」
打ち止め「……普通、面倒くさい事があっても、顔色一つ変えずにこなすのが人間じゃないの?
ってミサカはミサカは自分の知識の中から情報を引き出してみる」
一方通行「俺はそンなマゾ多君じゃねェよ。それにその定義って人間じゃなくてアンドロイドかなンかの定義じゃね?」
打ち止め「そっかぁ……って、そういえば面倒くさい事って……さっきかかってきたヨミカワからの電話の事?
お使いでも頼まれたの? ってミサカはミサカは電話の内容を予想してみる」
一方通行「違ェよ。お使いなンかをこの俺に押し付けるかよ。せまッ苦しィこの部屋にもう一人住居人が増えンだよ」
打ち止め「えっ!? それってホント!? ってミサカはミサカは情報の真偽を確かめてみる」
一方通行「ウソ言って俺に何の得になるってンだ。どうせ言うならもっとまともなウソを言うわ。
例えば、オマエが楽しみしてた冷蔵庫の中にある限定プリンを食べた、とかな」
打ち止め「ええええええぇぇぇぇええええ!! あれ食べちゃったのー!? ってミサカはミサカは冷蔵庫に向かって全速全身!」
一方通行「ウソって言ってンだろうが。大体俺は甘いもンなンて食わねェよ」
打ち止め「……冷蔵庫の中にミサカのプリン発見! ってミサカはミサカは安堵しながらプリンを取り出してみる」
一方通行「オイ、さっきおやつ食っただろうが」
打ち止め「プリンの話ししてたらおなか減っちゃった、てへ、ってミサカはミサカはプリンを食べるために猫を被ってみる」
一方通行「プリンの話なンてしてねェよ。してたのはこれから来るだろう同居人についての話だ」
打ち止め「そうそう、その新しく来る人ってどんな人なの? あなたみたいな変人かな? ってミサカはミサカは考察しつつプリンのフタをオープン!」
一方通行「たしか黄泉川は俺と同じくらいの年代の女って言ってたな。
どうせこンな時期に引っ越して来ンなンてろくな人生歩んでるような人間じゃねェと思うがな」ビシッビシッ
打ち止め「ちょ、痛っ、痛っ、もしかして、さっき言った変人って言葉にちょっと怒ってる? ってミサカはミサカは無表情でチョップしてくるあなたに尋ねてみる」
一方通行「別に怒ってねェし。ただチョップの素振りしてたら、手の動く範囲にたまたまオマエがいただけだしィ」ビシッビシッ
打ち止め「絶た痛っ、絶対怒ってるー!!」
一方通行「そういや知ってっか?」
打ち止め「えっ、何?」
一方通行「おやつと晩飯の間に間食してるようなガキは、将来的に体重八十キロ台の大女になるんだぜェ」
打ち止め「……う、嘘だもん。学習装置にはそんな情報なかったもん、
ミサカネットワークにもそんな情報ないもん、ってミサカはミサカはスプーンに乗ったプリンを器に戻しながら反論してみる」
一方通行「別に信じなくていいぜ。ただしオマエが将来有望な女力士になっても俺には関係ねェしな」ニヤニヤ
打ち止め「…………うう」
打ち止め「うわぁーーーーん!! 一方通行のバカぁぁぁ!! ってミサカはミサカはプリンのフタを閉めて冷蔵庫に戻しながら暴言を吐いてみる!!」
一方通行「ハイハイ、バカでいいから静かにしてくれ。オマエの声は頭にキンキン響くンだよ」
ピンポーン
一方通行「あァ? 黄泉川か?」ピッ
黄泉川『おっ、一方通行か。さっき電話で言った通り同居人になる子を連れて帰ってきたから、鍵開けて欲しいじゃん』
一方通行「……わかった少し待ってろ」ピッ
一方通行(さァて、こンないわくつきの人間の巣窟にこれから住み込もうって言うモノ好きは、一体どンなヤツなのかねェ?)
打ち止め「なになにー、どうしたの? ヨミカワたち帰って来たの? ってミサカはミサカは玄関に向かって猛ダッシュ!!」トテチテ
一方通行「オイ、あンま走ンじゃねェぞ。こけて怪我しても知ンねェからな」
打ち止め「はいはーい。今カギを開けるねー、ってミサカはミサカは三重ロックをスムーズに開けてみる」ガチャ
黄泉川「おっ、二人ともそろってるじゃんかよ」
一方通行「そもそもこの二人が出かける事なンて滅多にねェじゃねェか。クソガキがたまに抜け出そうとするけどな」
打ち止め「ミサカもたまには外の世界を満喫したい、ってミサカはミサカは明日どこかに連れてけと抗議してみる」
一方通行「やなこった。オマエのギャアギャアやかましい大声+アグレッシブ猛ダッシュに付き合いたくねェしな。
そもそも杖付きのこの体じゃァ、オマエについていくこと自体無理難題なこった」
打ち止め「ぶー、何のために私たちが代理演算してあげてると思ってんの? ってミサカはミサカはその首に付いてる電極を指さしながら聞いてみる」
一方通行「少なくともガキの子守りのためじゃねェけどな」
ギャアギャアガヤガヤギャアギャアガヤガヤ
黄泉川「はいはいストーップ! 喧嘩はまた後にしてくれ。とりあえず私たちを部屋に入れて欲しいじゃん」
一方通行「おォ、すまねェ」
打ち止め「あっ、ごめん」
一方通行「……ところで新入りってのは結局誰なンだよ?」
打ち止め「そうそう、ミサカも早く知りたい、ってミサカはミサカはわくわくしながら新キャラ登場を待ってみる」
黄泉川「じゃあ紹介するじゃんかよ。今日からここで一緒に暮らす……」
一方通行「………………………………………………は?」
結標「結標淡希です。どうぞよろしくお願いします」ペコリ
一方通行「……………………………………………………………………はァ!?」
2.記憶喪失
-黄泉川家・リビング-
一方通行(オイオイ何の冗談だこりゃァ? 何をどうしたらこンな状況に陥ることになるンですかァ?)
黄泉川「――じゃあ改めて紹介するじゃん。今日からここで一緒に住む、結標淡希じゃんよ」
結標「よろしくおねがいします」
打ち止め「よろしくー! ってミサカはミサカは元気いっぱいに挨拶してみる」
一方通行「………………」
黄泉川「そこのちっこいのが打ち止め。で、そこでぶすっとしてる白髪が一方通行じゃん」
結標「ラストオーダーにアクセラレータ……? 外国の方ですか?」
黄泉川「うーんまあ、そこんとこは気にしないで欲しいじゃん」
打ち止め「ミサカは日本人のお姉様の体細胞から生まれたかられっきとした日本人だよ、ってミサカはミサカは挙手をして主張してみる」
結標「……何が何やらだけど、わかったわ。よろしくね打ち止めちゃん」
打ち止め「よろしくアワキお姉ちゃん!」
黄泉川「おい打ち止め。何で淡希は名前+お姉ちゃん呼びで私と桔梗は苗字だけで呼んでるじゃん?」
打ち止め「えっ、だってアワキお姉ちゃんはお姉さんだけど、ヨミカワとヨシカワはおbぎゃー、
そのグリグリ攻撃はやめてえええ!! 命だけわー、ってミサカはミサカは命乞いをしてみる」
ワイワイガヤガヤ
一方通行「……………………オイ」
一方通行「……オイオイ違うだろうが!!」
打ち止め「?」
黄泉川「?」
結標「?」
一方通行「おいとぼけンじゃねェよ結標ェ! オマエはあンな事をされた人間の前で何楽しく談笑しちゃってンですかァ? あァ!?」
結標「あんな……事………?」
打ち止め「ごめんねアワキお姉ちゃん。あの人、前まで脳みそシェイク状態だったから、ちょっと頭がおかしいの」
打ち止め「というか、たぶん元々頭がおかし―――」
一方通行「誰の頭がおかしいってェ?」ビシッビシッ
打ち止め「痛い、痛い、さっきよりチョップが鋭くなってる、ごめん、ごめんなさい!」
一方通行「……結標。オマエのその鼻に付いてるモンはなンだ?」
結標「え? ……医者が鼻の骨がちょっと歪んでるから、これを付けて強制しようって……」
一方通行「そうだよなァ。でも人間の体ってのはよっぽどなことがねェ限り、そンな風に鼻の骨が矯正しなきゃいけねェ程ひん曲がって生まれてこねェンだよ」
結標「……………………………」
一方通行「それなのに歪ンでるってことはなァ、外部から何らかの衝撃を与えなきゃいけねェンだよなァ結標?」
結標「え?」
一方通行「それをやったのは誰かぐらいオマエは分かってンだろォ?」
結標「…………知らない……」
一方通行「まだとぼけてるつもりだってンなら教えてやるよ。その鼻を歪ませたのは正真正銘このアクセ―――」
黄泉川「一方通行!!」
一方通行「あァ? ンだよ黄泉川ァ!」
黄泉川「淡希は…………記憶喪失じゃん」
一方通行「………………ハァ?」
黄泉川「九月十四日に頭部にダメージを負って、自分が誰だったかさえ分からないじゃん」
一方通行「あの時、か………………」
黄泉川「だから、お前と淡希の間に何があったのかは知らないけど、淡希は何も覚えてないじゃん」
一方通行「…………本当か結標?」
結標「…………はい」
一方通行「そうか…………」
「……………………………………………………………………………」
打ち止め(あわわー、このバカセラレータのせいで空気がなんか変になった、ってミサカはミサカはどうにかこの空気を盛り上げようと脳みそをフル回転させてみる)
一方通行「…………さっきの悪かった。まァ、これからよろしく頼むわ結標」
結標「…………はい! 一方通行」ニコ
黄泉川「よーし、じゃあこれから新住居人歓迎パーティーを―――」
打ち止め「い、一発芸をやります! お姉様のモノマネ、ってミサカはミサカは狙いを定めて構えてみる」
一方通行「は?」
打ち止め「ちぇいさあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
一方通行「ちょ、オマ、ゴフッ!?」ガコッ
黄泉川「…………………………」
結標「…………………………」
一方通行「…………………………」チーン
打ち止め「…………………………あれ? もしかしてミサカ、空気読めてない?」
一方通行「…………………くけ……」
打ち止め「え、何?」
一方通行「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか―――――ッ!!」
打ち止め「え!?」
黄泉川「え!?」
結標「え!?」
一方通行「ヤベェよ、最高にヤッべェよ!! 最ッ高におもしれェぞォ!!」
打ち止め「え? え?」
一方通行「なンだよなンなンだよなンなンですかァ!? この素敵で愉快な恐ろしいほどのイラつきはァ?」
打ち止め「え? え? え? え? え? え?」
一方通行「―――こンのォ、クソガキがァああああああああああああああああああああああ!!」カチ
打ち止め「ご、ごめんなさいって、ミサカはミサカは戦術的撤たごめんなさああああああああああああい!!」
3.脱NEET
-黄泉川家・リビング-
一方通行「くぁwせdrftgyふじこlp」ピクピク
結標「…………これ、大丈夫なの?」
打ち止め「だ、大丈夫大丈夫。ちょっとミサカネットワークの接続を切っただけだから、ってミサカはミサカは説明してみる」
結標(ミサカネットワーク?)
一方通行「あzsxdcfvgbhンjmk、l!!」ガタガタ
結標「何か怒っているように見えるけど」
打ち止め「それはこの人の生命線を断たれてるようなものだからね」
結標「なんだかよくわからないけど戻してあげないの?」
打ち止め「ヤダ! 戻したらまた怒られるのは目に見えてるし、ってミサカはミサカは予想してみる」
結標「どちらにしろ戻したら怒られるんじゃないの? それなら早めに戻した方がいいんじゃない?」
打ち止め「はっ、そうか。どうせ怒られるなら早めの方がいいもんね。じゃあ戻す、ってミサカはミサカはビビッと電波を送ってみる」ビビッ
一方通行「mkjンhhbgクソガキィいいいいいいいいい!!」ガバッ
打ち止め「ぎゃああああああああごめんなさあああああああああああい」ドテドテ
ヤメテーッテミサカハミサカハ
ウルセェヨベクトルチョップヒャクタタキノケイダ
ギャーソレミサカシンジャウ
ハイ1,2,3,…
イタイイタイイタイ
結標「…………………………」ポカーン
黄泉川「ははは、騒がしい連中で悪かったじゃん」
結標「あ、いえ、にぎやかでいいと思います」
黄泉川「そう言ってくれると嬉しいじゃん」
黄泉川「まあ、もう一人の住人はどっちかと言ったら静かな方だから、これ以上騒がしくはならないと思うし」
一方通行「そういや芳川は一緒じゃねかったのか?」
黄泉川「おっ、お仕置きタイムは終わったか」
打ち止め「痛いー、絶対ミサカの身長縮んだよー、ってミサカはミサカは頭をさすりながら言ってみる」
一方通行「元々チビなンだから関係ねェだろうが」
打ち止め「えー、ミサカだって本当は他の妹達みたいにお姉様と同じ身長で生まれてくる予定だったのにー」
一方通行「ハイハイわかりましたよーと。で、結局芳川は一緒じゃねかったのか?」
黄泉川「いや、一緒じゃなかったじゃん。てか桔梗がどっかに出かけるなんて珍しい」
一方通行「いつも家に引きこもってパソコンしてるニート野郎だしな」
結標「あのー、その、えーとその芳川さん? ていう人がもう一人の同居人?」
黄泉川「そう。芳川桔梗。私の昔馴染みじゃん。前まで研究者やってたんだけど……」
打ち止め「ヨシカワは研究所一つ潰しちゃって絶賛ニート中! ってミサカはミサカはヨシカワの壮大な過去の一部分を―――」
芳川「誰がニートか」ビシ
打ち止め「あたっ!? もう、今日はなんだかいっぱい頭を叩かれてる気がする、ってミサカはミサカは今日の出来事を振り返ってみる」
黄泉川「桔梗! 帰ってたのか」
芳川「ええ、ちょっとコンビニに行ってきたの」
一方通行「オマエいつの間に家を出てたンだ? ずっと家にいたが気がつかなかったんだが」
芳川「私が家を出てた時は、キミは寝てたんだけどね」
一方通行「……あァ、仮眠とってる時か」
芳川「その時は打ち止めも一方通行のお腹の上で寝てたしね」
一方通行「……何か寝苦しいと思っていたンだが、そういう事だったのか」
打ち止め「な、何のことかなー、ってミサカはミサカはシラを切ってみる」スヒュー
芳川「ところでそこのお嬢さんはどこのどなたさん?」
黄泉川「ああ、そういえば桔梗には紹介してなかったじゃん。今日から増える居候じゃん」
結標「結標淡希です」
芳川「(結標淡希……どっかで聞いたことあるような)芳川桔梗です。よろしく」ペコ
結標「こちらこそ」ペコリ
打ち止め「そういえばヨシカワはコンビニに何しに行ってたの? ってミサカはミサカは手ぶらのヨシカワを見て聞いてみる」
一方通行「どうせ暇潰しに立ち読みをしに行ったとか、そんなくだらねェことだろう」
芳川「バイトの面接に行っていたのよ」
一方通行「はァ!?」
黄泉川「なっ!?」
打ち止め「なん……だと…!? ってミサカはミサカはオサレに驚いてみる」
結標「?」
一方通行「オイオイ芳川ァ。冗談ならもっとおもしれェこと言ってくれよォ」
打ち止め「そうそう、昨日まで『働いたら負けかなと思ってるキリッ』、とか言ってたヨシカワがそんな」
芳川「そんなセリフ一言も言った事ないんだけど。ほら、ちゃんと履歴書も書いてるし」ピラ
黄泉川「な、桔梗が履歴書なんてものを書く日が来るなんて……」
芳川「愛穂……あなたまで……。一体あなたたちは私のことをどう思ってたの?」
黄泉川「働かない居候」
打ち止め「The ニート」
一方通行「穀潰し」
芳川「よしわかった。あなたたちは私の敵ね」
結標「……あの」
芳川「何かしら結標さん?」
結標「何て言うか……頑張ってください!」
芳川「……やめて、そのかわいそうなものを見るような目で励ましの言葉を投げかけてくるの」
4.歓迎パーティー
-黄泉川家・食卓-
黄泉川「―――えーでは、黄泉川家に新しい仲間が増えた記念に……カンパーイ!!」
打ち止め「カンパーイ!!」
芳川「ふふ、乾杯!」
結標「か、乾杯!」
一方通行「……乾杯」ボソ
黄泉川「はい、そこ! 声が出てないじゃん!」ビシッ
一方通行「うっせェなァ、こンなこと何の意味が―――」
黄泉川「はい!! では改めて、カンパーイ!!」
打ち止め「カンパーイ!!!」
芳川「乾杯!」
結標「か、乾杯!」
一方通行「ンだよこれ? 起立の合図にちょっと遅れただけで全員にやり直しを強要する教師のあれか!?」
黄泉川「そんなの当たり前じゃん。ウチのクラスは少しでも遅れたりしてたら完全下校時刻まで返さないじゃん」
一方通行「そういやオマエ、教師だったな」
黄泉川「まあ、そのおかげでウチのクラスはしごき甲斐のない優等生クラスになったんだけどね」ハア
一方通行「オマエが担任のクラスなンて死んでも入りたくねェな」
芳川「そういえば、私のことは散々ニート扱いしたくせに、キミは学校に行ってないじゃない。この不良少年!」
一方通行「あァ? 俺はいいんだよ。行っても行かなくても変わんねェンだよ」
打ち止め「こうやって友達ができずに、変な趣味に走るぼっち厨二病患者が出来上がるのね、ってミサカはミサカは目薬を隠しながらあなたを哀れんでみる」ウル
結標「打ち止めちゃん。貴女のその語尾って、隠し事とか絶対に向いてなさそうよね」
一方通行「どォせ俺の所属する特別学級には俺以外の人間がいねェンだから、行っても行かなくても友達なンて作りようねェだろうが」
芳川「休み時間に他のクラスの人と会いにいけずに、孤高の狼(笑)みたいになっていくのね」ププ
一方通行「芳川ァ! よォし、今からオマエを大好きな研究所に向かって窓からブッ飛ばしてやるよ!!」カチ
打ち止め「やめてー、こんなことをしても友達増えないよ。どうせなら挨拶して友達増やそうよ! はい一緒に、ありがとウs」
一方通行「はいAェェCィィいいい!」ビシッ
打ち止め「いったあああああああ!! 頭がああ! 絶対頭割れたあああ! ってミサカはミサカは頭頂部を確認、あれ割れてない」
一方通行「そンな簡単にチョップで人の頭が割れるか!」
打ち止め「でもあなたなら頭蓋骨どころかダイヤモンドさえ割れるよね」
黄泉川「あー、お前ら静かにするじゃん!! せっかく作った特製煮込みハンバーグが冷めちゃうじゃんかよ!!」
打ち止め「はあーい」
一方通行「……チッ」
結標「……あのー、芳川さん?」
芳川「ん? 何かしら結標さん」
結標「あの二人って仲が悪いんですか?」
芳川「いや悪くない悪くない。むしろ良いくらいね」
結標「そうですか。そんな風には見えないけど」
芳川「一方通行の方がちょっとぶっきらぼうなだけよ」
結標「それは見ればわかります」
芳川「むしろ相思相愛って言ってもいいんじゃない?」
結標「なっ!? それってロリコ―――!?」
一方通行「あァ!? うるせェぞ結標ェ! バラバラに解体されたくなかったら、少し黙りやがれェ!!」
結標「あっ、ごめんなさ―――」
黄泉川「お前が一番うるさいじゃん!!」ガゴン
一方通行「イッテェェェええええええ!! オマ、教科書の角で思い切り殴ンじゃねェよォ!!」ジタバタ
一方通行「つゥか、これ数Ⅰ・Aの教科書じゃねェか!! オマエ体育教師じゃなかったっけ!?」
黄泉川「はい、ではいただきまーす」
打ち止め「いただきまーす」
芳川「いただきまーす」
結標「い、いただきまーす」
一方通行「無視すンじゃねェよ、黄泉川ァああああああああ!!」
結標「あっ、このハンバーグすごくおいしい」
打ち止め「ヨミカワ。これほんとおいしいね!」
黄泉川「だろー、今回のはかなりの自信作じゃん!」
芳川「愛穂の料理はいつ食べてもおいしいわ」
一方通行「………………………………チッ」
芳川「ほんとねー。これを炊飯ジャー一つで作ってるのが信じられないわ」
結標「えっ、すごい。これを炊飯ジャーで作っているんですか!?」
黄泉川「そうじゃんよ。炊飯ジャーは万能調理機器じゃん!」
打ち止め「アワキお姉ちゃんは料理とかしないの? ってミサカはミサカは素朴な質問をしてみる」
結標「え、え、りょ、料理? えーと、ちょっと覚えてないかなー、なんて」アセ
打ち止め「そっかー、そういえば記憶喪失だったしね」
結標「そうそう記憶喪失。あははー」
芳川(何か隠してそうな顔ね)クス
一方通行「…………チッ、くっだらねェ」モグモグ
芳川「会話に入れずに寂しい思いしてる一方通行くんは料理はしないのかな? ま、聞かなくても分かる気がするけど」
一方通行「チッ、分かってンなら聞くンじゃねェよ」
打ち止め「じゃあ二人とも黄泉川に料理教えてもらえばいいんじゃない? ってミサカはミサカは提案してみる」
一方通行「ハァ?」
結標「えっ?」
黄泉川「おうおう、先生はいつでも教えてやるじゃん!」
一方通行「誰がこンな炊き出し戦隊炊飯ジャーのレッドみたいなヤツに、料理なンて教わるか!」
黄泉川「ぶー、じゃあオマエは私より上手く料理ができるのじゃんか?」
一方通行「俺を誰だと思ってやがる? 俺は学園都市超能力者第一位の一方通行だぜ? 料理の一つや二つ余裕なンだよ」
一方通行「何なら明日の晩飯俺が作ってやってみてもいいくらいだぜェ!」
一方通行(まあ俺ならベクトル操作すれば料理なんてよゆ―――)
打ち止め「わー、一方通行の料理楽しみー! もちろん能力は使わないんだよね?」
一方通行「……………………………はっ? 何聞こえない」
打ち止め「だから、もちろん料理にベクトル操作なんて無粋なもの使わないよね、ってミサカはミサカは再度確認を取ってみる」
一方通行「…………なン……だと…!?」
5.料理と第一位
-黄泉川家・リビング-
一方通行「……つゥーかよォ。何でこの俺が料理なンてしなきゃいけねェンだ?」
一方通行「ネットで料理について調べれば調べるほどめんどくさくなるンだが」
一方通行「今日食ったハンバーグなンて、肉と玉ねぎとその他諸々を合成した物体を手の中でキャッチボールとかして空気抜かなきゃなンねンだぜェ」
一方通行「『誰でもできる! 簡単五目チャーハン』とか書いてるけど、これぜってェムリだろ。五種類の食材を全部混ぜられるモンなのかァ?」
一方通行「『料理の基本 卵焼き』……。そもそも卵を割って、殻を入れずに黄身だけ入れるとかとか常人のする事じゃねェよな」
一方通行「生まれて一度も包丁握ったことねェクソ野郎に一体何を求めてンだあのガキは?」
一方通行「あー、能力さえ使えりゃ余裕なンだがなァ」
一方通行「レシピ通りに食材を扱やいいンだろ? あー、能力さえ使えりゃーなァー」
一方通行「大体あのクソガキが能力禁止とか言い出すのが悪いンじゃねェか?」
一方通行「能力を奪われた俺が作った料理と比べたら、調理実習を受けた小学生の料理は高級レストランのフルコースのメインディッシュぐらいには感じるぞ」
一方通行「あー、ベクトル操作さえできればなァ」
一方通行「…………………………………………」
一方通行「……ったく、やめだやめだァ。何で俺がこンなことで悩まなきゃならねぇンだ」
一方通行「大体、料理なんてせずに手間のかからねェカップラーメンとかそういうインスタント食品で十分じゃねェか」
一方通行「てか、カップラーメンって最強じゃねェ? 簡易性とおいしさを備えた最強の料理だな。料理界の第一位だな」
一方通行「それに、外に行けば金を払うだけで料理を出してくれる店なンて数え切れねェ程この学園都市に存在するンだ」
一方通行「まあ、そこまで行くのに時間がかかってめンどクセェンだがな」
一方通行「いやー、さっきの俺はちょっと錯乱してたな。あンなバカげたことを言うなンてな」
一方通行「あァー、忘れよ忘れよ。料理なンてこれっぽっちも知りませェーン」
一方通行「……………………………………………………」
一方通行(結標淡希……。あのバカげた実験の発端の一部分である『残骸』を、理由は知らねェが『樹形図の設計者』を再構成しようとした女)
一方通行(それが何であんなにボロボロになってたのかは知ンねェが、とりあえず鼻の骨を折るくらいの力で殴ってやったけど……)
一方通行(まさか記憶が飛ぶとは思わなかった……それに何の因果かアイツがここに居候するなンてな)
一方通行(こンなヤツは、どっかのワケアリの子を預るのが趣味です、とか言ってそうな熱血バカが預るべきなンだよ)
一方通行(……そういえばウチの家主も同じような人種だったな)
一方通行「……まあ、とにかく記憶が飛ンでて良かったと思うべきだな」
一方通行「記憶有状態だったらどれほど気まずい雰囲気に、それはおろか血みどろの殺し合いが起こるなんてことがあったかもしンねェからな」
一方通行「そういやアイツどのくらいまで記憶失ってンだ?」
一方通行「そもそも今のアイツは超能力は使えンのか?」
一方通行「……あとで聞いてみるか」
打ち止め「なに一人でブツブツ言ってるの? ってミサカはミサカはパソコンの前で独り言を言っているあなたを心配しながら話しかけてみる」
一方通行「おォう打ち止め、風呂は上がったのか?」
打ち止め「ふふふ。ねえ、何かいい香りとかしない? ってミサカはミサカは得意気に聞いてみる」
一方通行「あァ? ………何か妙な匂いがすンな」
打ち止め「ふふふ。今の私は黄泉川が新しく買ってきた『深緑の香り石鹸』のいい香りに包まれた超絶無敵の森ガールなのだッ! ってミサカはミサカは威張ってみる」フン
一方通行「深緑の香りなンて聞いて、俺にはいい匂いとはいい思えねェけどな。木や草の汁の匂いなンて、唾液を苦くさせるような匂い、としか思ったことねェよ」
打ち止め「まあ実際は深緑の香りって言っても、いい香りがするように加工された何かの匂いなんだけどね、ってミサカはミサカはマジレスしてみる」
一方通行「だろうな。大方適当に果物の香りとかを合成しただけのモンだろうしな」
一方通行「つゥか、森ガールって一体どういう意味なンだ? 富士の樹海辺りでさまよってる女か何かか?」
打ち止め「何その怖い表現? ミサカもテレビで見ただけでさっぱり意味は分からん、ってミサカはミサカは開き直って無知を威張ってみたり」フン
一方通行「森ガールって言うくらいだから、頭が花畑になったりとかしてンじゃねェ? いろんな意味で」
打ち止め「おおー、その手があったとは。さすが学園都市第一位の発想は違いますなー、ってミサカはミサカはあなたを羨望の眼差しで見つめてみたり」
一方通行「ハイハイ、で、俺になンか用か?」
打ち止め「別に何でもないよ、ただお風呂上がったことを伝えに来ただけだよ、ってミサカはミサカは報告してみる。
一方通行「用がねェンなら俺は風呂に入るぞ」
打ち止め「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは手を振って見送ってみる」ノシ
打ち止め「………………て、何かを忘れているような気がする」
打ち止め「うーん……………ハッ!」
打ち止め「まだアワキお姉ちゃんがお風呂に入ってた、ってミサカはミサカは何故忘れていたのか自分でもわからない衝撃の事実を思い出してみたり」
一方通行「ハァ、つゥか何でガキはテレビとかで見た事をすぐにまねしたがンだ?」
一方通行「あー、あれなのか? 小学生のガキとかがやる戦隊物のごっこ遊びとかみてェなモンなのか?」
一方通行「そンな環境で育ってねェから、これっぽっちも理解できねェな……」
一方通行「………………あァ? 風呂場の電気点けっぱなしじゃねェか。ったく、省エネってのはこういう所に気を遣わなきゃいけねェンじゃねェのかよ」ハァ
一方通行「まあ、学園都市の電力のほとんどが風力発電とか太陽光発電だから、あンま関係ねェンだろうがな」ガラ
結標「…………………………………えっ?」
一方通行「ハァ…………どうしてここに住ンでる女どもはこうも不用心なンだ?」
結標「な、な、な、…………」
一方通行「オマエなァ、中にいるンだったらカギぐらい閉めろ」
一方通行「まさかそンな常識まで記憶喪失で飛んじまったンじゃねェよなァ? もしそうならこちらとしても何か悪い気が……あァ?」
結標「き、き、き、き、」
一方通行「き?」
結標「キャァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアア!!!」
ドンガラギャッシャーン!!!!!!!!!
6.二人
-黄泉川家・結標の部屋-
一方通行「―――だから悪かった、って言ってるじゃねェか」
結標「……何で人の裸を見た後なのに、そんなに平然と話しかけてこられるの?」
一方通行「はァ? 何で?」
結標「えっ? 何でって、あの……私の裸とか見て……そのなんとも思わなかったわけ?」
一方通行「何だァ? オマエは俺に『今夜のおかずは結標たンだァグヘヘ』とか言って欲し―――っと危ねェ」スッ
一方通行「その周りにあるモンを見境なく投げてくンのやめてくねェ?」
一方通行「さすがの俺でも頭に『学園都市製 すごいパーンチでも壊れない超耐久目覚まし時計』が直撃したら死ぬし」
結標「だったらそんな下品な発言は私の前ではよしてちょうだい」
一方通行「別にいつもそンなこと言ってるつもりはねェンだけどなァ」
結標「いつもって、私、貴方のいつも知らないし。この家だって今日来たばっかだし」
結標「そもそもほとんど初対面の人にそんなこと言われたら、下品な人間と思うしかないじゃない」
一方通行「俺から見たら初対面じゃねェけどな」
結標「………………ねえ」
一方通行「あァ?」
結標「私がどんな人間だったか教えてくれない?」
一方通行「………オマエ、記憶を取り戻してェのか?」
結標「そりゃそうよ。この……何と言うか……」
一方通行「………………」
結標「ええと、そう、スッキリしない感じ! というかこのモヤモヤがヤなのよ」
一方通行「つまり、そのモヤモヤをスッキリしたい、と?」
結標「ええ、お願い」
一方通行「…………わかった、教えてやる」
結標「ありがとう!」
一方通行「ただし、そンなにオマエが期待してるような事は教えてやれねェぞ」
結標「え? それって、どういう……?」
一方通行「俺とオマエが会話した時間、今まで生きていた中で、全て累計しても五分も満たねェからな」
結標「……それって、もしかして、貴方はこれといった知り合いというわけでもなく……」
一方通行「まあ、完璧な他人というわけだな。例えるなら道がわからないので聞いた人と丁寧に教えてあげた人、みたいな関係だな」
結標「……うわぁ、それは完璧な他人だわ」
一方通行「まあな」
結標「ここで記憶を一気に取り戻せると思ったのにな」ハァ
一方通行「まあ、一応俺が知ってる範囲で教えてやるよ」
結標「……わかったわ。お願い」
一方通行「えェと……第一印象は『露出狂』」
結標「…………………えっ? なに?」
一方通行「だから、普通に乳首さらしたり、無様なローアングルさらしたりする『露出狂』」
結標「」
一方通行「オーイ、結標。どうかしたか?」
結標「ふっざけんじゃッないわよォおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
一方通行「あン!?」ビク
結標「なにそれ? 露出狂って!! うわぁあああああああああ!! なんだそれえええええええええ!?」
一方通行(くだらねェ音声は反射反射、っと)カチ
結標「露出狂ってことはあれか? 変態だったのか私は!?」
結標「病院で見たテレビのニュースとかで報道されてた、あの裸コートの変態親父と同類だったのか私はァあああああああああ!!」
結標「うわァあああああああああああああ!! イヤだァああああああああああああああああああ!!」
黄泉川「うるさいッ!! 静かにするじゃん!!」ガラッ
結標「あっ、すみません」
一方通行(………おっ、やっと終わったか)カチ
結標「………何か私、記憶を取り戻したくなくなってきた」
一方通行「まあそのほうがいいだろうな」
一方通行(露出狂だろうがなンだろうが、ロクな記憶じゃねェだろうしな)
一方通行「じゃあ、もう一つの情報を教えてやるよ」
結標「……何? これ以上私の心を傷つけないで。ここで実は私は『日々小学生の男の子を狙っている変態ショタコン野郎』とかいう情報を言われたら、もう絶対立ち直れない気がする」
一方通行「いやァ、ショタコンとかは知らねェけどな。オマエが持っている能力のことだ」
結標「能力?」
一方通行「あァ、詳しくは知らねンだけどな。おそらく俺が見た限り『空間移動能力者』だな」
結標「『空間移動能力者』って、テレポートとかするあれ?」
一方通行「そうだ。俺の攻撃を避けようとして、二回ぐらいテレポートしていったからな」
結標「攻撃って、一体私と貴方はどういう関係だったの?」
一方通行「……………で、『空間移動能力者』について何か覚えてねェか?」
結標「(……無視された?)ええと、ちょっと待って。ええと」
結標「……………………………………」
一方通行「…………………………………」
結標「……………………………………」
一方通行「…………………………………?」
結標「……………セイッ」フン
一方通行「…………はァ?」
ゴン!!
一方通行「イッテェええええええ!! なンだこれ? ってこれは『学園都市製 すごいパーンチでも壊れない超耐久目覚まし時計』じゃねェか!? 何で上から……はッ」
結標「ぬふふふふふ」ニヤニヤ
一方通行「…………まさか、オマエか?」
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
結標「すごーい! これがテレポートってヤツね。何となくやり方はわかるわ」
一方通行「オイ、辺りにあるモン無差別に俺の頭の上にテレポートさせンじゃねェよ!!」
結標「きゃはははほんとすごーい!! 手で掴まなくても物が動かせるって楽しい♪」
一方通行「新しいおもちゃを買ってもらったガキかよオマエは!?」
結標「おっ?」
一方通行「あン?」
結標「この重そうな机……もしかしたら私なら飛ばせるかしら?」ニヤニヤ
一方通行「おいやめろ」
結標「えー、どうしようかなー?」
一方通行「やめろっつってんだろォが!!」ガバッ
結標「きゃー、一方通行に押し倒されたー。この後私はどうなっちゃうのかしら」
一方通行「うるせェよ。別にどォもしねェよ。だから机をテレポートとか危ねェことするのはやめろ」
結標「きゃー、犯されるー!」
一方通行「オマエも結構下品じゃねェか!!」
ガラッ
一方通行「!?」
結標「!?
打ち止め「……………二人とも何してるの? ってミサカはミサカはかなり密着してる二人に疑問を抱いてみる」
二人「」
一方通行「あァ? 別になンでもねェよ!」スッ
結標「そうそう打ち止めちゃん。別になんにもないって」アセ
芳川「はーい、子供はおねんねの時間ですよー、と」ガシ
打ち止め「あっヨシカワ。あの二人何して―――」
一方通行「……………………」
結標「………………………」
黄泉川「二人とも」
二人「!?」ビク
黄泉川「仲が良いのはいいけど、ほどほどにするじゃん」
二人「………………………はい、すみませんでした」
7.あわきんの持ち物検査
-黄泉川家・結標の部屋-
結標「あー、この家に来てまだ一日目だっていうのに……」
結標「くそー、一方通行のせいで酷い目にあったわ」
結標「……いや、酷い目にあったというか酷い目で見られたと言った方が……」
結標「……って、そんなどうでもいいことは置いといて、この……」ドサ
結標「ダンボールの中を確認しなきゃね」
結標「ふふふ、このダンボールはただのダンボールではなく、実は私の記憶を取り戻すのに必要なダンボールなのだ!(裏声)」
結標「カエルみたいな顔をした医者に『患者の必要とするものは何でも揃えるのが僕の主義でね』と言われて渡されたものなのだ(裏声)」
結標「…………私、誰に向かって話してんだろ?」
結標「これってあれよね。傍から見たら独り言の多い変人にしか見えなくない?」
結標「それに語尾が『~なのだ』って……どこのハムスターの語尾だよ。自分で言ってて恥ずかしくなってきた」
結標「…………いや、独り言はボケ防止に有効とかどっかで聞いた事がある気がするから、大丈夫よね……そう大丈夫」
結標「よし、では運命のダンボール箱オープン!!」ビリ
結標「よおし、まず一品目!」ガサガサ
つ軍用ライト
結標「………懐中電灯? 何でこんなホームセンターに普通に売ってそうなものが入ってるの?」
結標「これって、普通に家にあるようなものじゃないの?」カチ
結標「って眩しっ!? これ普通のライトじゃない、何か特別なライトだこれ」
結標「うーん、何も思い出せそうにない気がする。でも持つとなんかしっくりくる」
結標「……………………続いて二品目!」ガサガサ
つ霧ヶ丘女学院の制服(ボロボロ)
結標「…………制服? 私が通っていた学校の制服かしら?」
結標「しかもところどころ継ぎ接ぎじゃない。私ってもしかして貧乏だったの?」
結標「って、このスカート短っ! これもう絶対普通に下着とか丸見えでしょ?」
結標「……あれ? ブレザーとスカートはあるけど、ブラウスとかそういう中に着る物がないじゃない……」
結標「……………………………………」
一方通行『露出狂』
結標「…………ははは、嘘よね? まさかスカートだけ穿いて、後はブレザーを羽織っただけの変態女だったとか絶対ないわよね?」
結標「…………………………………」
結標「………よーし、気を取り直して次いってみますか」
結標「ええと……………三品目ドン!」ガサガサ
つさらし
結標「これは何かしら? 手拭? タオル? にしては素材がいいような気がする」
結標「それに何だか結構長い」
結標「うーん…………」
結標(何かあったよねー、こんな感じの服? というか下着に近い物)
結標「………………そうだ! さらしだ!」
結標「そうそうお祭りとかで、女の人が半纏とかの下に着るヤツだ」
結標「………………………………」
結標「さっきの制服とこれを組み合わせてみると……」
結標「スカート穿いた状態でブレザー羽織って、その下にさらしを巻く……」
結標「…………………………………」
結標「さっきよりマシにはなったけど、どちらにしろこれって露出狂じゃない?」
結標「………………………はぁ」
結標「もっとまともなものないの?」ガサゴソ
結標「……………四品目」ガサガサ
つ子供服のカタログ
結標「………何でこんなものが入ってるの?」
結標「子供の服ってことは弟か妹でもいたのかしら?」
結標「………まさか子供がいるってわけじゃあるまいし」
結標「………ん? 所々付箋が貼ってある」ペラ
結標「あらかわいい男の子。パッと見四年生くらいかしら?」
結標「こっちのコは二年生くらいかしら? ほっぺたぷよぷよでやわらかそう」
結標「このコいかにも素直じゃなさそうって顔してる。まさしくツンデレってヤツよね」
結標「わぁ、こっちのコすっごくかわいい! もう何かペロペロしたい!!」
結標「………………………はい?」
結標(今、私は、何て、言った?)
結標(たしか、聞き間違いじゃ、なければ、ペロペロ、と言った)
結標(ペロペロ、って、あれだよね、舌で、このコを、ペロペロ)
結標(かわいい→大好き→ペロペロ→変態→おまわりさんこっちです)
結標「いやいや私に限ってそんな………」
結標(……でも、この胸を締め付けるような気持ちは何? このコ達を見てると何と言うか……)
結標(切ない初恋(というかまあ恋なんてした記憶なんてないんですけどね)に似ている気がする)
結標「…………………………………」
結標「はっ!? まさか私って―――」
結標「『ショタコン』だったっていうの!!?」ガーン
8.始まりの終わり
-黄泉川家・結標の部屋-
結標「………………………………はぁ」
結標「まさかの自分がショタコン兼露出狂の変態女だったという事実は、記憶喪失の私の心にはダメージが大き過ぎるわ」
結標「……………………………」
結標「今日はもう遅いし、この壊れかけのglassheartを癒すためにもう寝ましょう」
結標「…………………………………」キョロキョロ
結標「…………………………………」ガララ
結標「…………………………………」
結標「……………………ってあれ?」
-黄泉川家・リビング-
黄泉川「……ぐぬぬ」
一方通行「オイオイさっきまでの威勢はどうしたっていうンですかァ?」
黄泉川「ちょっと今話しかけないで欲しいじゃん」
芳川「愛穂。もう諦めたら?」
黄泉川「誰が諦めるじゃんよ。今日こそ勝つって決めたじゃん」
芳川「勝つって、私あんまり詳しくないけど、この状況で勝つのは無理ってことは何となくわかるのだけど」
一方通行「あァー、コーヒーうめェ」ケラケラ
ガラッ
結標「………あのー」
芳川「あら結標さん。こんな大人の時間に何か用かしら?」
結標「大人の時間って、一方通行もいるじゃないですか?」
結標「というか、こんな夜遅くに何やっているんですか?」
芳川「将棋よ」
結標「将棋……って、あのボードゲームの将棋ですか?」
芳川「そうよ、って言っても私はコーヒー片手に見ているだけだけど」
黄泉川「………ぐぬぬ、王将をここに動かすじゃん」
一方通行「バカめ、はい王手ェ」パチン
黄泉川「何ぃ? そんなところに伏兵がいたなんて」
一方通行「戦いは常に二手三手先を読んで行うモンだって、どっかの仮面の人が言ってた」
黄泉川「くそー、だったら金将でその駒をとるじゃん」パチン
一方通行「ハイハイそンなところに金を置いてくれてありがとうございまァす」ウマー
黄泉川「ぐぬぬぬぬ、王将を逃がすじゃん」パチン
一方通行「オラオラァ、もっと逃げろォ!!」
一方通行「狩人を楽しませるならキツネになれよ。食われるだけの豚で終わってンじゃねェよ! 王手だァ!!」パチン
黄泉川「だァあああああ、くそぉおおおおおお!!」
結標「………いつもこんなことやっているんですか?」
芳川「いつもって言えばいつもかしら? 私たちが愛穂の部屋の居候になってから、まだそんなに長くないからこの対局もまだ十回満たないわ」
結標「そうですか。ところで何で将棋?」
芳川「うーん、あれは居候し始めて二日目、いや三日目だったかしら」
結標(何だか長い話しになりそうな気がする)
芳川「みんなで夕食を食べてた時の話なんだけど……」
結標「はあ……」
芳川「当時の一方通行はかなり反抗期だったわ。って言っても今も結構反抗期してるけど」
結標「昔はあれよりひどかったんですか?」
芳川「そうよ。夕食までに帰ってこないし、いざ帰って来たかと思うと夕食はコーヒーだけで済ませてるし、昼夜逆転生活は当たり前だったし……」
芳川「あ、そうそう。これは居候になる前の生活のことも含まれてるから」
結標(コーヒーだけって、だからあんなにやせてるのか……)
芳川「そんな一方通行の心を開くために愛穂はいろいろやってたけど、ことごとく失敗しちゃってね」
芳川「でもある日事件が起こったの」
結標「………………」ゴクリ
芳川「私と愛穂と打ち止めで夕食を食べている時だったわ。たまたま子供の時何して遊んでたかとか話しててね」
芳川「そんな中、たまたま一方通行がソファーに寝転がってテレビを見てたの」
芳川「で、愛穂が『昔は将棋とかやってて一度も負けた事なかったじゃんよ』とか、『将棋ほど面白いゲームを人生で一度も見た事ない』とか言っててね」
結標(…………………何となくオチが見えた気がした)
芳川「たまたま聞いてたんでしょうね。いきなり一方通行が『将棋ってあれだろ? いろいろ余計な機能を付けた劣化版チェスだろ?』とか言ってしまったの」
芳川「それを聞いた愛穂は激怒。『私が勝ったら将棋は面白いゲームだと認めるじゃんかよ!!』とか言って、それ以来毎日のようにこの時間帯は対局してるわ」
結標「………で、結局今の戦績はどれくらいなんですか?」
芳川「最初は数えてたけど今は忘れちゃったわ。だってずっと一方通行が勝ってるから数えるのも馬鹿馬鹿しくなってくるし」
結標「そうですか」
黄泉川「…………こっちに王将を逃がすじゃんよ!」
一方通行「あはッ、ぎゃはッ! かかったな三下め」
黄泉川「!?」
一方通行「これで詰みだ」パチン
黄泉川「だァあああああ!! また負けたァあああああああああ!!」
芳川「どうやら勝負はついたみたいね。結果はわかっていたけど……ところで結標さん」
結標「はい?」
芳川「結局こんな時間に何しに来たの?」
結標「えっ? ああ、ええと、あっ、そうだ思い出した。私の部屋にベッドはおろか布団すらないんですけど?」
黄泉川「えっ!? 毛布一枚もなかったじゃんかよ!?」
結標「はい、一枚も」
黄泉川「ああー、参ったなー。あまりの布団なんてウチにはないじゃん」
芳川「こんな状況で、何で結標さんを引き取ろうと思ったのか私は知りたいわね」
一方通行「こんな時間に何やってンだ結標?」
結標「ちょっとね。布団がなくて困ってるのよ」
一方通行「あァそういやこの家、今いる人数ギリギリだったしな」
芳川「愛穂……」
黄泉川「なははー」アセ
一方通行「……だったら、俺の使えよ」
結標「………………えっ?」
一方通行「だから、俺の使ってる布団使えよって言ってンだよ。俺はソファーで十分だしな」
結標「…………で、でも……」
一方通行「何だァ? 俺なンかが使ってるモンはイヤってかァ? だったら別にいいンだぜ? 地べたに無様にみすぼらしい姿で寝てるがいい」ケラケラ
結標「ぐぬぬ………」
黄泉川「でもそしたら一方通行が寒い思いをするじゃんよ。いくら残暑残ってる季節でも夜は寒いし」
一方通行「俺みてェなクズが風邪をひこうが何しようがかまわねェだろう」
黄泉川「そんな風に自分を簡単にクズとか言うのやめたほうがいいじゃん」
一方通行「うっせェな、別にかまわねェだろ、俺がいいって言ってんだしよォ」
黄泉川「………わかった、じゃあ一方通行は私と一緒に寝るじゃん!」
一方通行「はァ?」
結標「えっ!?」
芳川「ぶっ!? ごほっごほっ!!」
黄泉川「そうしたら誰も寒い思いはしなくて済むじゃん」
一方通行「オマエ……絶対バカだろ? 自分で何言ったかわかってンのか?」」
黄泉川「何って……そのままの意味じゃん?」
一方通行「ダメだコイツ。完全なバカだわ」
芳川「ダメよ愛穂。彼と一緒に寝て、もし何か間違いでも起きたら……」
黄泉川「ないない」
一方通行「ないない」
黄泉川「いくら学園都市第一位とか言っても所詮子供じゃん。子供とそんな間違いが起きるわけないじゃん」
一方通行「つゥか、こンなBBAに発情するヤツなンていンのかよ?」
黄泉川「何ぃー、だったらこの大人の魅力満点のプロポーションを見ても何とも思わないじゃんかよ?」ボンキュッボン
一方通行「はァッ? 何生きた化石が粋がってンだァ? 受精卵に戻ってから出直してこい」
芳川「うわぁ……」
結標「うわぁ……」
一方通行「何ですかァー? 何か文句がある人は挙手してからお願いしまァす」
黄泉川「はい! はーい!!」ノ
一方通行「ハーイでは誰も文句がないようなので、今回はこれでお開きとしたいと思いまァす」
黄泉川「おい無視すんな! はい! はーいじゃん!!」ノ
一方通行「うるせェぞカブトガニ。おとなしく博物館に無様に引き返して保護されてろ」
ガンッ!!
一方通行「ゴ……ガァ…………!?」バタ
結標「……あ、一方通行?」
芳川「ちょっと愛穂。さすがに六法全書の角で思いっきり殴るのはアウトよ。下手したら殺人になる……」
黄泉川「あー、もう! こんなヤツ知らないじゃん! もう寂しく床の上で凍え死ぬといいじゃん!!」テクテク
芳川「ちょっと愛穂。凍死する前に彼、撲殺されてるわよ」
結標「……あれ? 黄泉川さんって、一方通行の心を開くとか何とか言ってませんでしたっけ?」
芳川「あー、まあ、あれでしょ。将棋に負けた事とか、ストレスとか、将棋に負けた事とか」
芳川「一方通行がムカついたとか、将棋に負けた事とか、そういうのがいろいろ爆発しちゃったんじゃない?」
結標「どんだけ将棋に負けたの悔しがってるんですか……?」
芳川「まあどちらにしろ今日はお開きね。じゃあ結標さん、おやすみなさい」
結標「あっ、おやすみなさい」
結標「……………って私の布団とかは!?」
一方通行「………あァ、死ぬかと思った」
結標「あら一方通行。無事だったのね」
一方通行「当たり前だ。あンな攻撃で死ぬワタクシじゃあないのでございまするのことよ」
結標「…………えっ? 何て?」
一方通行「そんなことだろうと、勝手にミーの持っていいからね布団」
結標(何か日本語おかしくなってる!?)
一方通行「拙者は定位置就寝でざンすよ。では参られる」
結標「(頭殴られておかしくなったのかしら?)何言ってんのかさっぱりだけど、布団はありがたく貸してもらうわ……」
一方通行「………………………………………」zzz
結標「………………………………………」ジー
結標「……眠ったのかしら?」
結標「ふふふ、ありがとね一方通行。そしておやすみなさい」
こうして、騒がしい私の居候生活の初日は幕を閉じた。
9.早朝
-黄泉川家・黄泉川と打ち止めの部屋-
打ち止め「……………………………」zzz
黄泉川「…………………ごがぁ………」zzz
打ち止め「……………………………………んん」ムク
黄泉川「…………………スピー………」zzz
打ち止め「………………………あれぇ? 朝? ってミサカはミサカはぁ眠い目こすりなにゃがら時計を見てみりゅ」
打ち止め「……………………六時前くらい?」
打ち止め「…………………………………」キョロ
黄泉川「……………………むにゃ………………」zzz
打ち止め「黄泉川まだ起きてないんだね、ってミサカはミサカは確認してみる」
打ち止め「うーん、二度寝してもいいんだけど、もしまた寝て次起きると時間が九時とかぐらいだったら時間を無駄にした感じがするしなー、ってミサカはミサカは考えてみる」
打ち止め「……………………………………………」
打ち止め「よし、今起きよう、ってミサカはミサカは早起きを決行してみる」
-黄泉川家・リビング-
一方通行「……………………………」zzz
一方通行「…………………………おァ?」ムク
一方通行「いつの間に寝てたンだ? つゥか今何時だ?」キョロ
一方通行「………………六時くらいか」
一方通行「…………てか、何でリビングのカーペットの上で俺は寝てたンだ?」
一方通行「昨晩黄泉川と将棋をしてからの記憶が全然ねェンだが……」
一方通行「俺まで記憶喪失とか言ったら洒落になンねェぞ」
一方通行「………何か頭がやけに痛むンだが」ズキ
一方通行「……………………………………」
一方通行「……………コーヒーでも飲むか」ムク
一方通行「えェと、冷蔵庫の中にたしか一本くらいあったはずだが……」ガチャ
一方通行「………………………………」
一方通行「クソッ、切らしてたか」チッ
一方通行「あァ、カフェイン中毒者からしたら、朝コーヒーが飲めないと発狂してしまそうなンだが」
一方通行「って言っても、朝起きるなンて久しぶりだけどな」
一方通行「………めンどくせェけど買いに行くか」
ガラッ
打ち止め「……………誰か起きてるの?」
一方通行「打ち止めか。やけに起きるの早ェな」
打ち止め「あなたこそいつもお昼前後くらいに起きるのに、ってミサカはミサカは早起き一方通行に驚いてみたり」
一方通行「まァ、目が覚めたもんはしょうがねェだろ。つゥか頭がやけに痛むのが気になって寝てられねェよ」
打ち止め「ミサカは二度寝の欲望に打ち勝って早起きしたんだよ! ってミサカはミサカは胸を張って自慢してみる」エヘン
一方通行「黄泉川はまだ起きてねェのか?」
打ち止め「うん。ぐっすり眠ってたよ、ってミサカはミサカは報告してみる」
一方通行「……………………………」グゥ
打ち止め「……………………………」グゥ
打ち止め「な、何だかお腹が空いたかも、ってミサカはミサカはお腹を押さえて恥ずかしながら報告してみる///」
一方通行「そうだなァ。久しぶりに早起きとかくだらねェことしちまったから、腹が減ったな」
一方通行「コンビニで適当な食いモン買ってくるわ。何か食いてェモンあるか?」
打ち止め「うーん、そうだなぁ……」
打ち止め「一方通行が作った目玉焼きとか食べたい、ってミサ「じゃあ行ってくるわ」って、無視しないで!」ガーン
打ち止め「ミサカもコンビニ行きたーい! ってミサカはミサカは駄々こねてみたり」
一方通行「あァ? 家にいろ」
打ち止め「ミサカも買い物とかしたーい! ってミサカはミサカはさらに食い下がってみる」
一方通行「こちらからしたら、ワイワイギャアギャア走りまわられると、何かと面倒なンだよ」
打ち止め「じゃあ走りまわらないようにするから、お願い! ね? ってミサカはミサカは上目遣いでお願いしてみる」
一方通行「……………………………………」
打ち止め「お願い!」
一方通行「……………チッ、勝手にしやがれ」
打ち止め「わーい! ありがとうってミサカはミサカは歓喜のあまり抱きついてみたり」ガシ
一方通行「だァー、引っ付くな離れろ」
一方通行「……そォだ、オマエも出るンだったら一応書き置きとかしとくか」
打ち止め「え、何で? ってミサカはミサカは突然の変わった行動について疑問に思ってみる」
一方通行「こンな朝っぱらから二人して家を出てたら、黄泉川とかが……えっと……その、あれだ、心配するだろうが」
打ち止め「そっかぁー。それは盲点だったね」
一方通行「とりあえず、このチラシの裏にでも書いとくか。えーと……」
一方通行「『ガキと一緒に朝飯買いにコンビニ行ってくる
欲しいモンがあったら俺の携帯に電話しろ
運が良かったら買ってきてやる
一方通行』っと」
一方通行「……こンなモンか、じゃあ行くぞ」
打ち止め「あ、待ってぇー、ってミサカはミサカはあなたの後を追ってみる!」
10.コンビニ
-近くのコンビニまでの道中-
打ち止め「お出かけ、お出かけ、るんるんるん、ってミサカはミサカはうきうき気分でスキップしてみたり」
一方通行「オイ、走らねェ約束じゃァねェのかよ」
打ち止め「走ってないよスキップだよ、ってミサカはミサカは屁理屈を言ってみる」
一方通行「どちらにしろ杖付きの俺には追いつけねェじゃねェか」
打ち止め「だから何のための能力(ry」
一方通行「こちとら能力の使用に十五分間の使用制限があるンだよ。そンな無駄なことに使ってたまるか」
打ち止め「しかし、この時間帯ってすごいね。太陽の光が何と言うか……朝なのに夕焼けみたい、ってミサカはミサカは空を見上げながら感想を述べてみる」
一方通行「………朝焼けぐれェふつうに見ねェのか」
打ち止め「ミサカはこんな風景初めて見たよ、ってミサカはミサカは朝にも夕焼けがあると言う事に感動を覚えてみる」
一方通行「あァ、そうか。オマエはこンな時間帯に外になンて出たことねェのか」
打ち止め「うん! ってミサカはミサカは返事をしてみる」
一方通行(今まであのガキに何かあったら、と思って外に出させないようにしてたが)
一方通行(それってあれだよな。監禁しているのと同じだよなァ)
一方通行(これじゃァ、あのガキを守るところか逆に傷つけてしまうのかもな……)
一方通行「なァ打ち止め」
打ち止め「えっ? 何?」
一方通行「オマエ遊園地とか行きたいとか言ってなかったっけ?」
打ち止め「うん。いっつもテレビとかで見る度行きたいと思っちゃうの」
打ち止め「だからミサカを連れて行ってくれたりすると、ミサカはミサカは幸せ指数が八十ほどアップしてみたり」
一方通行「………………………わかった。連れていってやるよ」
打ち止め「……………えっ!? 今何て言った?」
一方通行「だから連れて行ってやるって言ったンだよ、その……遊園地に」
打ち止め「え、え、えっ? ウソ!? もしかして今日は季節外れの雪が降ってくるんじゃ、ってミサカはミサカはあなたの放った言葉に驚愕を覚えてみたり」
一方通行「あァ? 何を言ってやがンだ?」
打ち止め「そ、そうか。何だこれは夢だ夢。きっと次のシーンで布団からガバッッて起き上がるミサカが映るはず」
打ち止め「そしてその後、『何だ、ただの夢か』って言葉と共に起床するに違―――」
一方通行「………………………」ビシッ
打ち止め「いったぁ!? 何するの? チョップされるようなことをした覚えのないのに、ってミサカはミサカはチョップされたことに疑問を持ってみたり」
一方通行「痛い、ってことはこれは夢じゃねェな。よかったじゃねェか」
打ち止め「おおお、そうか。夢か現実かをはっきりさせるためにあなたはミサカをチョップしたのね、ってミサカはミサカは感心してみる」
打ち止め「ってええええええええええええええええええ!?」
一方通行「うるせェぞ。ご近所様に迷惑だろが」
打ち止め「えっ!? ほんとに遊園地に連れて行ってくれるの? ってミサカはミサカはあなたの頭がおかしくなったんじゃないか、と心配しながらも聞いてみる」
一方通行「あァ? そンなこと言うンだったら連れていかねェぞ」
打ち止め「わー、うそうそ! 行きたい行きたいです! ってミサカはミサカは必死にアピールしてみる」
一方通行「ハイハイわかりましたよォっと。じゃあまたいつかな」
打ち止め「えぇー! 今日行くんじゃなかったのぉ? ミサカ的には今日行くようなスタンスで話してたんだけど、ってミサカはミサカはガッカリしてみる」
一方通行「バカかオマエ。すぐのすぐにそンな大それた場所に行けるわけねェだろうが」
打ち止め「ぶー、まあいっか。遊園地に行けると決まっただけミサカにとってはかなりのラッキーだもんね、ってミサカはミサカはにししと笑ってみる」ニシシ
一方通行「………………………ったく、めンどくせェ」
-マンション近くのコンビニ-
打ち止め「わーい、やっと着いた、ってミサカはミサカはハシャイでみる」
一方通行「頼むから店の中ぐれェ静かにしてくれよ」
打ち止め「了解、ってミサカはミサカは返事をしてみる」
ガララ、ピンポーン!
打ち止め「念願のコンビニだイエーイ!! ってミサカはミサカは勢いよく入店してみる!」
一方通行「クソガキがァ! 早速約束守れてねェじゃねェか!」
店員「いらっしゃいませ、とミサカは迷惑な客にも冷静に挨拶をします」
打ち止め「わあぁ、コンビニって思ったより広いんだね、ミサカはミサカは感想を述べながら走ってみる」タタタ
一方通行「オイ、転んでも知らねェぞ。あと、一言も喋るなクソガキ」
店員「……こんな時間に珍しいですね、とミサカは時計を見ながらあなたに話しかけます」
一方通行「おォ、オマエか。毎日ご苦労なこった。ええと……」
御坂妹「10032号です、とミサカは自分の検体番号をため息交じりに名乗ります」
一方通行「しかも、こんな住処から遠いコンビニまでわざわざ本当にご苦労なこった」
一方通行「たしか研修だっけか?」
御坂妹「はい。社会に出ていろいろなことを勉強してこいと、ミサカは冥土帰し言われた事をそのまま復唱します」
一方通行「しかし、よりよって何でこンな悪環境な場所で働こうと思ったンだ?」
御坂妹「まあいろいろ理由があるんですよ、とミサカは意味深な言葉を吐きます」
一方通行「ふーン……」
御坂妹「ところで、今日は上位個体も一緒なのですね、とミサカはあそこではしゃいでいるクソガ……上位個体を見てあきれながら呟きます」
一方通行「あァ、たまたま同じ時間に起きちまったからな」
御坂妹「あなたがこんな朝早くにコンビニに出向くのもたまたまですか? とミサカは一方通行の頭の寝癖を見ながら質問してみます」
一方通行「こればかりは俺にもわかんねェな。昨日の夜の記憶がなぜかぶっ飛んでて、いつ寝たかも曖昧だしな」
御坂妹「まさか飲酒して酔っぱらってしまって記憶が飛んだんじゃあ……とミサカは未成年の飲酒は絶対にやめましょうと注意を呼びかけます」
一方通行「俺がンなモン飲むわけねェだろうが……あァ、でも」
御坂妹「でも……?」
一方通行「何か頭が痛てェンだよな。頭痛って感じじゃあねェンだけど……」
御坂妹「それは完璧に二日酔いの症状ですね、とミサカは即座に指摘します」
一方通行「違うんだよなァ」
御坂妹「何がですか? とミサカは今から言い訳でも言うであろう一方通行に嫌気をさしながら聞いてみます」
一方通行「頭痛っていうのは頭の内側の部分が痛むじゃねェか? 俺の場合外側の部分、主に頭頂部辺りが痛むンだよなァ」
御坂妹「……つまり、一方通行は別に酒を飲んで酔っ払って記憶が飛んだわけでなく、何ものかに頭部を殴られて記憶が飛んだ、そう言いたいわけですね? とミサカは情報を整理しつ
つ確認します」
一方通行「まァそういうことだ。って言っても殴られたかどうかはわかンねェけどな」
御坂妹「まあその話は置いといて、ミサカから良い情報を提供してあげましょう、とミサカは綺麗に話題を転換させます」
一方通行「……その話の切り替えが綺麗かどうかは置いといて、何だ? その良い情報ってのは」
御坂妹「今日から缶コーヒーの新商品が発売されているので買ってみてはどうですか? とミサカは一方通行に販促してみます」
一方通行「おっ? そりゃ良い情報だな。今飲ンでるヤツが飽きてきた所だったしな、ちょっと行ってくるわ」ノシ
御坂妹「ではごゆっくり、とミサカは心にもない事を言います」
打ち止め「わぁー、いろいろなお菓子がいっぱいあるー、ってミサカはミサカは目をきょろきょろと泳がしてみたり」
一方通行「何見てンだよ。朝飯買いに来たンじゃねェのか?」
打ち止め「ええー、今日のおやつも買っちゃおうよー、ってミサカはミサカは腕の中いっぱいのおかしをあなたの持っている籠に全部投下しちゃってみたり」
一方通行「どンだけ食うつもりだクソガキ……」
打ち止め「ミサカは実は大食いキャラなのでこれくらい余裕なのだー、ってミサカはミサカは設定を後付けしてみる」
一方通行「ウソつくンじゃねェよ。この前、お腹いっぱいとか言って晩飯残したヤツが大食いなわけねェだろうが」
打ち止め「ちっ、ってミサカはミサカは舌打ちしてみる」
一方通行「今日の分買うンだったら、どれか一つにしろ」
打ち止め「じゃあじゃあ、一週間分をまとめて買うと言う事で―――」
一方通行「どォせ一日で食っちまって、晩飯の時にまた、お腹いっぱいとかほざく気だろうから無理」
打ち止め「ちっ、見透かされてたか、ってミサカはミサカは本日二度めの舌打つをしてみたり」
一方通行「つゥわけで、とっとと菓子を選んじまえよ。俺は早く家に帰って腹を満たして二度寝の続きをしてェンだ」
打ち止め「ぶー、じゃあミサカはせっかくだからこの赤い方のお菓子を選ぶぜ、ってミサカはミサカはポテトチップスを手に取ってみる」
一方通行「とっとと朝飯何食うか決めちまえよ」
打ち止め「じゃあミサカは朝ごはんにこのチョコレートを「菓子以外な」ちっ、ってミサカはミサカは三度目の舌打ちをしてみる」
打ち止め「というか、そろそろミサカのボキャブラリーがないと思われそうなので、ミサカはミサカはもう舌打ちはやめようと心の中で決心してみたり」
一方通行「……えェと、あァこれか。アイツが言ってた新商品ってのは」
一方通行「……ふむふむ。まァ、悪くねェンじゃねェの?」
一方通行「とりあえず、ここは様子見に十本だけ買ってみるか……」
一方通行「…………………………………」ガチャガチャ
一方通行「……念のために、いつも買ってた分も保険として五本買っとくか……」ガチャガチャ
打ち止め「うーん、よし! ミサカはとりあえず無難にサンドイッチのミックスサンドを選ぶぜ、ってミサカはミサカはサンドイッチを手に取ってみる」
一方通行「おォ、それで良いのか?」ガチャガチャ
打ち止め「うん! って何このがちゃがちゃ音?」
一方通行「あァ、俺の持ってる籠だろ」
打ち止め「って、えええ! 何この缶コーヒーの多さ!?」
打ち止め「あなただけこんなに買って、ミサカはおかし一袋ってなんかずるい!! ってミサカはミサカはこの不平等さについて抗議してみる!」
一方通行「あァ? 良いだろうが別に。そもそも俺の金だし」
打ち止め「みーさーかも籠いっぱいのお菓子食べたいー!! ってミサカはミサカは駄々こねてみる」
一方通行「飲み物は飲み物、お菓子はお菓子ですよォと」
打ち止め「お願い! ミサカもたくさんのお菓子が欲しい、ってミサカはミサカは必殺上目遣いでお願いしてみる」
一方通行「……………………………」テクテク
打ち止め「……………………………」
一方通行「すいませーン、お会計お願いしまーす」
打ち止め「く、さすがに同じ手は通じないか……ってミサカはミサカは手と膝をついて残念がってみる」orz
御坂妹「―――BASS STRONGBLACKが五点、ミックスサンドが一点―――」ピピ
一方通行「…………………………………」
御坂妹「合計で二四七五円になります、とミサカは代金を請求します」
一方通行「カードで」
御坂妹「かしこまりました、とミサカは袋詰めしながら了承します」ガサガサ
一方通行「…………ン」ピ
打ち止め「あれー、10032号? 何でこんなところにいるの? ってミサカはミサカは変なエプロンを着た10032号に質問してみる」
御坂妹「ああこれはこれは、散々大量のおかしをあらゆる手で要求したあげく入手できたのは結局ポテトチップス一袋だけの上位個体ではありませんか、とミサカは腹の中で笑いながら挨拶をします」
打ち止め「ぶー、そんなことより質問に答えてよ、ってミサカはミサカは何かムカつく10032号に再度質問してみる」
御坂妹「また同じ説明をするのは面倒なので、それについての情報をミサカネットワークを介して上位個体に送ります、とミサカは袋詰めしながら電波を送ります」ガサガサ
打ち止め「…………ちょっとー! その情報『かくかくしかじか』としか書いてないよ! ってミサカはミサカはあからさまに説明する気のない10032号に文句を言ってみたり」
御坂妹「……はあ、こんなジョークで顔を真っ赤にするなんて上位個体もまだまだクソガk……子供ですね、とミサカはこんなことで涙目になってる上位個体を見下ろしながら鼻で笑います」フン
御坂妹「では本物の情報を送ります、とミサカは商品の入った袋を一方通行に渡しながら本物の情報を上位個体に送り付けます」ビビ
一方通行「……ン」ガサ
打ち止め「………『借金取りに追われているので、ここでお金をつくって借金を返すため』……か」
打ち止め「へー、なんかすごいことになってるんだねー、ってミサカはミサカはかわいそうな10032号に憐みの視線を浴びせてみる」
御坂妹「ではかわいそうな下位個体のためにとっとと上位個体には帰って欲しいのですが、とミサカは明らかに仕事の邪魔になってる上位個体にこの店から出る事を要求します」
一方通行「とっとと帰ンぞクソガキ」
打ち止め「あっ、待ってー! ってミサカはミサカはあなたの後を小走りで追ってみる」
御坂妹「ありがとうございました! またお越しくださいませ、とミサカは接客マニュアル通りのテンプレあいさつを言いながら、上位個体はもう来るなと密かに思います」
11.始まりの朝
-黄泉川家・結標の部屋-
結標「……………………………………」zzz
結標「……………………………んん」
結標「………………………………朝?」ムク
結標「……………………………」
結標「……………………………」クンクン
結標「……………何この匂い。何か一方通行の匂いが……」クンカクンカ
結標「!?」バッ
結標(ちょっとこれ一方通行の布団じゃない!?)
結標(なんで一方通行の布団が私の部屋にあるのよ!?)アセ
結標「……………………………………………」
結標「………よくよく思い出したら昨日の夜、頭のおかしくなった一方通行に布団借りてたわね」
結標「……ふぅ。何取り乱してるのよ私は」
結標「そういや一方通行は起きてるかしら? 布団返さないと……」
結標「あんな感じだからまだ寝てそうだけど……」
結標「とりあえず起きるか」ヨイショト
-黄泉川家・リビング-
ガラッ
黄泉川「おお淡希。おはようじゃん!!」
結標「あっ、おはようございます!」
黄泉川「朝ごはん作ってあるから、顔洗ってくるじゃん」
結標「あ、はい」
-黄泉川家・洗面所-
結標(うーん、あのテーブルの上……トーストの乗った皿その他exが二セットという状況から推測すると……)ジャー
結標(一つは確実に私の分だけど、もう一つは一方通行のかしら?)バシャバシャ
結標(芳川さんは話した感じはしっかりしてそうだから、芳川さんのじゃあないわよね)キュッキュッ
結標(子供は何か早起きってイメージがあるから打ち止めちゃんのではないかな?)ゴシゴシ
結標(やっぱり一方通行で間違いないと思うわ、たぶん)
-再びリビング-
芳川「………あら結標さんおはよう」モシャモシャ
結標「お、おはようございます」
芳川「あらどうしたの? その珍しい物を見るみたいな目は」ゴクゴク
結標「あ、いえ」ガラ
黄泉川「淡希は飲み物はどうするじゃん? 牛乳、ウーロン茶、麦茶、緑茶、コーヒー、ココア。この中から選ぶじゃん。もちろんMIXもオッケイじゃん!」
結標「何そのドリンクバーでやるような遊び? コーヒーでお願いします」
黄泉川「了解じゃん!」ガチャ
結標「………………………………」
芳川「………………………………?」モシャモシャ
黄泉川「はい、コーヒーじゃん」カチャ
結標「あ、ありがとうございます……」
黄泉川「~~♪」
結標「………………………………」
芳川「……………どうかしたの?」
結標「………いえ、ちょっと」
芳川「?」
結標「黄泉川さん。昨夜はあんなに機嫌悪かったのに今は上機嫌だなあって」
芳川「ああ、それなら大丈夫よ」
結標「? どうしてですか?」
芳川「愛穂はそういうのは寝るだけで解消するから、次の日に不機嫌持ち越しとかはしないの」
芳川「まあ、つまり、簡単に言えば単純ってこと」
黄泉川「誰が単純だって?」ゴツン
芳川「痛っ? もう愛穂ー」
ワイワイガヤガヤ
結標(二人は本当に仲がいいんだなー)モシャモシャ
結標「あ、そういえば」
芳川「今度はどうしたの?」
結標「一方通行はもう起きてますか?」
黄泉川「一方通行は私たちが起きる前から起きてたじゃん」
結標「えっ? そうなんですか。なんか意外ですね」
芳川「そうなの。私たちからしても意外だったわ。居候生活初じゃない? 彼が朝起きたの」
結標「本当に昼夜逆転生活してたんですねー」
芳川「と言うより、彼は睡眠時間が極端に長いのよ」
結標「長い?」
芳川「一日十時間睡眠とかもう普通だったし、すごい時なんて夜八時に寝て、次の日の昼の三時に起きるなんて事があったのよ」
結標「ちょっと、それって一日の四分の三以上寝てるじゃないですか!?」
芳川「普段からあんな低燃費なのに、どうしてそんなに睡眠できるのか私には理解ができないわ」
結標「たしかにそうですね……」
芳川「……そういえば愛穂?」
黄泉川「何?」
芳川「あの二人の姿が見えないんだけど……どっか行ってるの?」
黄泉川「これを見ればわかるじゃん」つメモ
芳川「………………………………………」
結標「………………………………………」ノゾキ
―――――――――――――――――――――――――――――――
ガキと一緒に朝飯買いにコンビニ行ってくる
欲しいモンがあったら俺の携帯に電話しろ
運が良かったら買ってきてやる
一方通行
―――――――――――――――――――――――――――――――
芳川「……へえ、あの子がねえ……ほんと今日は珍しい日ね、雪でも降るんじゃない?」
結標「……? そんなに珍しいんですか? これ」
黄泉川「一方通行は、打ち止めの事を心配していつも打ち止めが外出しようとするのを止めてたじゃん」
黄泉川「だから、早起き、打ち止めと外出、極めつけにはこんな書き置きなんて残されたらもう珍しいとしか言いようがないじゃん」
結標「へー、そうなんですか……」モグモグ
芳川「そういえば、欲しいものがあったら電話しろとか書いてあるから、電話したら買って来てくれるかしら?」
黄泉川「うーん、多分もう間に合わないと思うじゃん。この子らがいつここを出ていったのかわからないけど」
芳川「大丈夫よ。どうせ打ち止めが必死に駄々こねて時間稼ぎをしているはず……!」ピピピ
結標「……本当に大丈夫なのかしら?」ゴクゴク
芳川「……………………………!」プルルルルピッ
一方通行『…………もしもし』
芳川「一方通行。私パシリで定番のやきそばパンが欲しいんだけど」
一方通行『……はァ、わざわざ電話をかけてきたと思ったら、人をパシリ扱いとか舐めてやがるンですかァ?』
芳川「どうせまだコンビニでもたついてるんでしょ? だからやきそばパンが欲しい」
一方通行『どンだけやきそばパン欲ィンだよ? まあ残念ながらその願いはかなえられねェぜ』
芳川「どうして?」
一方通行『どうしてって、そりゃ……』
ピンポーン
<カエッテキタヨーッテミサカハミサカハオオゴエデホウコクシテミル
<ウルセェゴキンジョサマニメイワクダロウガ
一方通行『……つゥわけで、ここのカギ開けてくれ』
芳川「…………………はい」
12.食卓にて
-黄泉川家・食卓-
打ち止め「サンドイッチうまー、ってミサカはミサカはサンドイッチを頬張りながら感想を言ってみる」モグモグ
一方通行「食いながら喋ってンじゃねェよ。行儀悪りィだろうが」
打ち止め「はーい、ってミサカはミサカはサンドイッチに入っているハムを味わいながら返事をしてみたり」モシャモシャ
一方通行「だから喋んなっつってンだろ!」
芳川「……しかし、キミがこんな時間にここにいるって言うのは本当に珍しいわね」
一方通行「あァ? たまたま起きただけだ」
一方通行「つゥか、頭に謎の痛みが襲いかかってきてるっつゥのに、やすやすと寝てられるかってンだ」
黄泉川「!?」ギク
一方通行「? どうした黄泉川?」
黄泉川「一方通行……その……」
一方通行「?」
黄泉川「昨日はごめんじゃん」ペコリ
一方通行「はァ?」
黄泉川「ついカッとなっちゃって……本当にすまないと思ってるじゃんよ」
一方通行「………オマエは何を言ってンだ?」
黄泉川「………え?」
一方通行「俺にはオマエが何言ってンのかさっぱりなンだけどよォ」
打ち止め「一方通行は昨晩の記憶がないらしいんだよ、ってミサカはミサカはタマゴサンドを手に取りつつ解説してみたり」ハム
芳川「愛穂……」
黄泉川「と、とりあえずほんとごめんじゃん!」
一方通行「…………まァ、どォでもいいけどよ」
結標「そういえば一方通行?」
一方通行「何だ?」
結標「布団を貸してくれてありがとね。助かったわ」
一方通行「布団? 俺、布団なンか貸したか?」
結標「まあ貴方には覚えがないでしょうけどね。この状況なら……」
黄泉川「そうだ!」
一方通行「ンだよ、いきなり大声なンか出しやがって……?」
黄泉川「一方通行にちょっと頼みがあるじゃん?」
一方通行「…………言ってみろ」
黄泉川「今ウチには淡希の布団だけないじゃん」
一方通行「そォいやそうだな。……あァ、だから昨晩俺が結標に布団なンて貸すとかいう展開になったのか」
結標「本当に記憶が飛んでるのね」
黄泉川「そこで一方通行には、今日、淡希と一緒に買い物に出かけて欲しいじゃん」
一方通行「買い物だァ?」
結標「え?」
黄泉川「まだここに居候しにきて間もないじゃん。だから服とかいろいろ必要なものを今日一気に揃えときたいじゃん」
一方通行「そりゃァ、まあ、そうだろうけどな」
一方通行「だが、何で俺?」
黄泉川「いっつも暇そうにソファーで昼寝してるじゃん」
黄泉川「残念ながら、私は平日は教員としての仕事があるじゃん」
一方通行「まァそうだな……だけどよォ」
一方通行「同じ暇なら芳川でいいだろうが。同性が一緒の方が結標も買い物しやすいンじゃねェのか? そうだろ結標?」
結標「ん? あ、ええ、まあ……」
黄泉川「桔梗は今日は部屋に籠って作業しなきゃいけないって言ってたから無理じゃん」
一方通行「あァ? そンなのどォせ口から出まかせだろ……ってあの野郎! いつの間に消えやがった!?」キョロキョロ
打ち止め「じゃあミサカが行くー、ってミサカはミサカは第三勢力としてこの話し合いに参戦してみたり」ノ
一方通行「オマエは家に引きこもってろよクソガキ」
打ち止め「ぶーぶー」
一方通行「つゥわけで、消去法で俺に回ってくるってわけか……」ハァ
結標「あのー、私一人で行くって言う選択肢はないんですか?」
黄泉川「じゃあ淡希は布団がどこに売ってるのかとか知ってるじゃん?」
結標「え? そ、それは……」
黄泉川「じゃあ服はどこで買うのかは?」
結標「それは聞いたことある。たしか『セブンスミスト』とか言う名前の店だったような」
黄泉川「じゃあそれがどこあるかは?」
結標「……ぐぬぬ」
黄泉川「ハイじゃあ決まり! 一方通行よろしく頼むじゃん」
一方通行「わかったわかった、行けばいィンだろ行けば」
打ち止め「ミサカも行きたーい、ってミサカはミサカは自己の存在を主張してみる」ノ
一方通行「いいから留守番してろ」
打ち止め「ぶーぶー!!」
黄泉川「じゃあ、私はこれから学校に行くじゃん。昼ごはんは冷蔵庫の中に入れてあるから、チンして食べるじゃん」
黄泉川「いってきまーす!!」ノシ
打ち止め「いってらっしゃーい!! ってミサカはミサカは手を振りながら見送ってみたり」ノシ
結標「…………何かごめんね、私の無知のせいで……」
一方通行「別にオマエは悪くねェよ」
一方通行(実質悪いのは記憶喪失にさせた俺だしな)
一方通行「……まァとりあえず、出発は昼過ぎってことでいいか?」
結標「えっ? こういうのって昼までに終わらせてしまうのが得策じゃないの?」
一方通行「そうだろうけどな。だけど……」
結標「だけど?」
一方通行「悪りィが久しぶりにこンな時間に起きたから眠いンだよ」フワァ
結標「あ、そう」
一方通行「昼過ぎぐらいになったら起こしてくれ」ゴロン
結標「う、うん。わかったわ」
一方通行「……………………………………」
結標「って、昼過ぎって、貴方は昼ごはんは食べなくていいの?」
一方通行「……………………………………………」
結標「?」
一方通行「……………………………………………」Zzz
結標「って、寝るの早っ!?」ガーン
打ち止め「たぶん、あの人の寝るスピードはギネスに登録されてもいいくらいに早いよ、ってミサカはミサカはごちそうさまをしながら解説してみたり」
13.淡希と打ち止め
-黄泉川家・リビング-
結標「……ふぅ、しかし昼まで待つのは退屈ね」←寝巻から私服に着替えた
打ち止め「あれー、アワキお姉ちゃん。その腰に着けてる黒い者は何? ってミサカはミサカは珍しい物体に興味が湧いてみたり」
結標「ああ、これ? ちょっと変わった懐中電灯よ」カチピカッ
打ち止め「うわ眩しい! ってミサカはミサカは突然の強力な光に目を眩まされながら驚いてみる」
結標「一般的に売ってる懐中電灯と違って何かこれ大きいし、光りの強さも違うし、ちょっと変わってるのよね」
打ち止め「それで、アワキお姉ちゃんは何でそんな変なものを腰に着けてるの? ってミサカはミサカは興味本位で聞いてみる」
結標「うーん、これと言って理由はないんだけど……ただ、これを持ってるとなんか落ち着くのよねえ」
打ち止め「ふーん、そうなんだ。何だかその懐中電灯って武器になりそうだよね、堅そうだし、ってミサカはミサカは懐中電灯を指さしながら使用案の一つを提案してみる」
結標「……そうね。たしかにこの堅さなら、下手な鈍器より強いかもしれないしね」ブンブン
打ち止め「アワキお姉ちゃん、懐中電灯は周りに人がいないか、物がないかよく確かめてから振ってね、ってミサカはミサカは某家庭用ゲームのリモコンみたいな諸注意を投げかけてみたり」
結標「残念ながらこの懐中電灯にはストッパーが付いていないわよ」
結標「しかし暇ねえ……入院中もそうだったけど、この時間帯は面白いテレビ番組やってないのよねー」
打ち止め「ヨミカワは仕事で、ヨシカワは引きこもり、あの人はいつも寝てて……」
結標「? どうしたの打ち止めちゃん」
打ち止め「居候生活が始まっておおよそ半月。ミサカは何もする事がなく、ただただ暇で退屈な生活を……」
打ち止め「強いられているんだ!! ってミサカはミサカは某ロボットアニメのセリフをオマージュしてみる」
結標「………うん、まあ、そうね」
打ち止め「何かいい暇潰しはないのー、ってミサカはミサカは解決策の提案を要求してみる」
結標「ええと……この家にはゲーム機とかないの? プレ○テとかW○iとか……」
打ち止め「そんなものあったら、こんな暇な生活を強いられることなんてないよー、ミサカはミサカは半分あきらめムードで床に寝ころんでみる」ゴロリ
結標「それ言われればそうね。じゃあ漫画や小説みたいな本を読むとかは?」
打ち止め「ここにある漫画は全部読んだし、小説は何か難しくて読む気が起きない、ってミサカはミサカは自分の読書力のなさに絶望してみたり」
結標「うーん、まいったわね」
結標(私は本読んで暇潰しはできるけど、その間打ち止めちゃんは結局暇な訳だしねー)
打ち止め「うー、本当に何かないのー、ってミサカはミサカは床の上をごろごろ転がりながら暇を潰してみたり」ゴロゴロ
結標「……服、汚れるわよ」
打ち止め「ゴロゴロー」
結標(ダメだこの子、早く何とかしないと……)
結標「……………そうだ!」ピカーン
打ち止め「えっ? どうしたのアワキお姉ちゃん!? ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんの思わせぶりな行動に期待を抱いてみたり」ガバッ
結標「新しくゲーム機とかかってくればいいんじゃない?」
打ち止め「おぉー! その発想はなかった! ってミサカはミサカはアワキお姉ちゃんにグッジョブしてみる」
打ち止め「あっ、でもミサカお金持ってないよ? ってミサカはミサカはポケットの中から十円玉三枚と五円玉一枚を取り出してみたり……」
結標「大丈夫よ。私がそれなりにお金持ってるから」
打ち止め「えっ、すごい! アワキお姉ちゃんはお金持ちだったんだね、ってミサカはミサカは羨望の眼差しでアワキお姉ちゃんを見つめてみる!」
結標「ふふふ、まあね(本当はカエル顔のお医者さんに『生活に必要なものを集めるためのお金』としてもらったものだけど、まあいいわよね)」
打ち止め「じゃあ早速買いに行こー! ってミサカはミサカは隊長気分で先陣を切ってみる」
結標「ちょっと待って、一方通行に一応言っといた方がいいんじゃない?」
打ち止め「ああ、多分大丈夫だと思うよ」
結標「? 何で?」
打ち止め「大丈夫というか、眠ってる状態のこの人なかなか起きないし……」
打ち止め「起こしたら起こしたで機嫌が悪くなっちゃうからほっといた方がいいよ、ってミサカはミサカは触らぬ神に祟なしの精神を実行してみたり」
結標「そ、そう。じゃあ行きましょうか」
打ち止め「レッツゴー!! ってミサカはミサカは玄関に向かって猛ダッシュしてみたり!!」ドタドタ
結標「ちょ、ちょっと待って、打ち止めちゃーん!!」バタバタ
ガチャ
ピ―――――――――――――――ガチャコ
14.怖い二人組
-マンション前の大通り-
結標「……さて、ゲームを買うと意気込んでマンションを出たのはいいけど」
結標「どこにゲームが売ってるかとか私にはさっぱりだわ」
結標「と、言う訳で打ち止めちゃん、場所とかわからない?」
打ち止め「ミサカは滅多に外に出る事がないから、そんな情報さっぱりなのだ! ってミサカはミサカは胸を張って威張ってみる!」エヘン
結標「まいったなー、場所がわかんないと買いに行きようがないのよね」
打ち止め「そうだ! 携帯電話とかに入ってるGPS機能を使えばわかるのでは? ってミサカはミサカはこの状況の打開策を提案してみる」
結標「おお! それは良い案ね!」
打ち止め「じゃあ早速道を調べてみよう! ってミサカはミサカは携帯電話を要求してみたり」
結標「あ、ちょっと待ってね……」ゴソゴソ
結標「……………………………」ゴソゴソ
打ち止め「………………………………」ジー
結標「……………………………あれ?」ゴソゴソ
打ち止め「………………………………?」ジー
結標「…………………………………」
打ち止め「……………………どうしたの? ってミサカはミサカは顔面蒼白になってるアワキお姉ちゃんに尋ねてみる」
結標「………………部屋に携帯置いてきた」
打ち止め「…………嘘……でしょ……?」
結標「ら、打ち止めちゃんは携帯持ってないの?」
打ち止め「実はミサカも置いてきちゃったんだ、ってミサカはミサカは舌を出してドジっ子ポーズをしてみたり」テヘペロ
結標「\(^O^)/」
打ち止め「ど、どうしよう……ってミサカはミサカは絶望的な状況に打ちひしがれてみたり」
結標「………い、いや、まだ手はあるわ!」
打ち止め「それってどんな手!? ってミサカはミサカはわずかな希望に食いついてみる!」
結標「それは…………」
打ち止め「それは…………?」
結標「人に聞いてみる!!」
打ち止め「おお! 至ってシンプルな解決策だね」
打ち止め「今まで何でこんな簡単な方法を思いつかなかったんだろう、ってミサカはミサカは自分の頭に軽く小突いてみたり」コツン
結標「よおし、じゃあ適当な人に聞いてくるわ」テクテク
打ち止め「待ってアワキお姉ちゃん! ってミサカはミサカは袖を掴んで引きとめてみる」ガシ
結標「どうしたの?」
打ち止め「そんな適当な人に聞いても恐らくダメだよ、ってミサカはミサカは断定してみる」
打ち止め「人の良さそうかつ、そういうものに詳しそうな人に聞いてみなきゃ、ってミサカはミサカは最低条件を提示してみる」
結標「……それもそうね。人は、都会になればなるほど冷たくなってくる、みたいな感じだし、よく吟味してから質問した方がいいわよね」
打ち止め「よし! それじゃあその人を捜そう!! ってミサカはミサカは目を凝らして良さそうな人を捜してみたり」ジー
結標「よ、よし」ジー
打ち止め「………………………………………」ジー
通行人A(…………………………何? この子?)テクテク
結標「……………………………………………」ジー
通行人B(…………………………何だこの人?)テクテク
打ち止め「………………………………………」ジー
通行人C(……………………迷子か何かか?)テクテク
結標「……………………………………じゅるり」ジー
男子児童(……………………………ひっ! 何かこのお姉ちゃん怖い)ガクブル
打ち止め「………………………………………!!」ピコン
打ち止め「ちょっとそこの人! ってミサカはミサカは如何にもチンピラぶってるけど、実は優しい心を持ってそうなあなたに指を指しながら声をかけてみる!!」
チンピラ「……いぃ!? お、俺!?」
打ち止め「ゲームがどこに売ってるか知りませんか? よければそこまで案内もお願いしたいかも! ってミサカはミサカは頼み込んでみる」
チンピラ「げ、ゲーム? 何だ突然?」
結標「ちょっと私達、ゲームを求めて外出したのはいいけど、場所がさっぱりで困ってたのよ」
チンピラ「そ、そうなんすか(うわー、綺麗な人だな……)」
打ち止め「だからチンピラぶってても、実は心優しいあなたに声かけてみたの! ってミサカはミサカは理由を簡潔に語ってみたり」
チンピラ「って、俺が優しい人確定かよ!?」
打ち止め「お願い! ってミサカはミサカはあの人でも一回は通じた上目遣い戦法を駆使して頼み込んでみる」ジー
チンピラ「うっ、……でも俺忙し――」
結標「ねえ、こんなに小さい子が頼み込んでんだから、まさかこのお願いを無下にするなんてことはないわよねえ?」つ軍用ライト
チンピラ「……何であなた様は物騒なモンを手に持ってんですか?」
結標「大丈夫、ただの懐中電灯だから。別にこれで貴方を殴ろうなんてこと、微塵も思っていないから安心して」ブンブン
チンピラ「じゃあ何で素振りとかしてんだよ!?」
打ち止め「ねえお願い、ってミサカはミサカは目薬を後ろに隠しつつ涙目戦法で再度頼み込んでみる」ウル
チンピラ「目薬とか声に出してるじゃねえか! それじゃあ嘘泣き確定だろうが!!」
結標「……………………………………」ガコンガコン
チンピラ「アンタはアンタで何でコンクリートの像を懐中電灯で叩いてんだよ!?」
結標「これといった意味はないわ。別にこのコンクリート像の顔の部分を貴方の顔に見立てて殴ってる訳じゃないわ」ガコンガコン
打ち止め「……………………………………………」ウルウル
結標「…………………………………………………」ガコガコガシャーン
チンピラ「………………………………………うう」タラッ
15.ゲームショップ
-マンション付近のエリアにあるゲームショップ・駐車場-
チンピラ「…………ほら、着いたぞ。ここなら大抵のゲームはあるだろ」
打ち止め「わーい、念願のゲームショップだあ! ってミサカはミサカは踊りながら喜びを表現してみる」
結標「ありがとう。おかげで助かったわ」
チンピラ「あ、いえいえ(半分脅されてたもんだけどな)」
結標「ところで、貴方の名前は?」
チンピラ「あ、別に名乗るほどのモンじゃねえよ」
結標「いや、名前を知らないとこれからちょっと困るから」
チンピラ「困る、って何だよ?」
結標「ふふふ、わからない?」
チンピラ「…………まさか」タラッ
結標「そのまさかよ」
チンピラ「…………………………」
結標「………………………」
チンピラ「εダッ≡≡ヘ( ´Д`)ノ」
打ち止め「あっ、逃げた」
結標「…………………………」ブン
ストン
チンピラ「ぶっ!?」ドコン
チンピラ「な、何だ!? って、ええっ!? 何か靴の先にに刺さってる、ってこれ釘じゃねえか!!」
チンピラ「何でこんなモンが……はっ!?」
結標「ふふん」ニヤ
チンピラ「あはははは、『空間移動能力者』の方でしたかー」
打ち止め「大丈夫ー? ってミサカはミサカは無様にこけたあなたを同情の眼差しで見つめてみたり」
チンピラ「チクショウ! こんな幼女に憐みの視線を向けれるなんて」ウル
結標「別に取って食おうなんて考えてないわ。ただちょっと買い物に付き合って欲しいだけなの」
チンピラ「何でだよ!? 買い物くらい自分たちでできるだろ!?」
チンピラ「もしかして、俺からたかる気か!? もしそうならやめとけ」
チンピラ「俺はゲームを買えるような大金を現在持ち合わせてねえんだよ!」
結標「別にそんなゲスな事をするために引きとめてる訳じゃないわよ」
チンピラ「じゃあ何でだよ!?」
結標「いやー、帰り道がわからないっていうか……ちょっと不安だから送ってもらおうと思って」
チンピラ「いや普通わかるだろ!? ほら、あそこ!!」ビシッ
チンピラ「あそこに見えてるのがお前らがつっ立ってたマンション!!」
チンピラ「あそこに向かって歩けば迷わず行けるって!」
結標「もしその事を忘れて、逆方向に向かって進んだらどうするつもりよ?」
チンピラ「ありえねえだろ!! どこの三刀流の剣士だよそれ!?」
結標「もー、こんな美少女二人組を捕まえておいて、家に送らずこのままほっとくってどうよ? ねえ?」
打ち止め「そうだそうだー! ってミサカはミサカは便乗して野次を飛ばしてみる」ブーブー
チンピラ「美少女とか自分で言ってんじゃねえよ!! それに捕まったのはお前らじゃなくて俺ッ!!」
結標「ふぅ、わかったわ。そんなに言うなら引き留めないわ」
チンピラ「ほ、ほんとか!? よっしゃー、これで解放され――」
結標「ただし十秒ごとに頭部に釘がテレポートしてくるけどいい?」
チンピラ「本格的に脅しにかかってるじゃねえかチクショウ!!」
打ち止め「そうだそうだー! ってミサカはミサカはよくわからないけど便乗してみる」
チンピラ「よくわからないことには便乗してはいけません!」
結標「で、冗談は置いといて……」
チンピラ「冗談には聞こえなかったんですが……」
結標「私たちが困ってて不安なのも本当よ。だからお願い……ね?」
打ち止め「ミサカもお願いしてみる」ペコ
チンピラ「………………………はぁ」
チンピラ「……はいはいわかったよ、付き合います、付き合わせていただきます」
打ち止め「やったー! ってミサカはミサカは飛び跳ねながら喜んでみたり!」
結標「じゃあ、早速店内に入りましょ。ええと……」
浜面「浜面だ。浜面仕上」
結標「結標淡希よ。よろしくね浜面くん」
打ち止め「打ち止めだよ、ってミサカはミサカは流れに乗って自己紹介してみる」
浜面「とっとと買い物終わらせようぜ。俺もそれなりに忙しいからさあ」
浜面(はあ、これは後で麦野に確実に殺されるな……)
-同ゲームショップ・店内-
打ち止め「おおおー! すごい数のゲームが棚にいっぱい敷きつめられてる! ってミサカはミサカは店内の状況を解説してみたり」
結標「確かにすごい数ね。一生を使っても遊びきれない自信があるわ」
浜面「まあな。このショップは学園都市内でも五本の指に入る大型ゲームショップだしな」
浜面「しかもこの店ゲームをレンタルとかあるんだぜ」
結標「CDとかDVDとかのレンタルってのはあるけど、ゲームは聞いた事ないわね」
結標「それって儲からないんじゃないの?」
浜面「まあそう思うだろ?」
浜面「だけどRPGとかみたいな超大作は一週間ちょっとじゃあ遊びきれないだろ?」
結標「……まあ、そう……かな?」
浜面「何で疑問形なんだよ? まあいいや。だから、期間を延長したり、売ってるやつをそのまま買ったりしたりするから、結構儲かってるらしいぜ」
結標「へえー、結構考えてるのね」
打ち止め「アワキお姉ちゃーん!!」トテチテ
結標「どうしたの打ち止めちゃん?」
打ち止め「これおもしろそうだよ! ってミサカはミサカは手に持ってるゲームソフトを見せびらかしてみる」
つ『学園都市クエスト』
結標「学園都市クエスト……? ドラ○エのパクリか何か?」
浜面「ああ、これは今学園都市で一番流行ってるゲームだな」
結標「流行ってるの!? このパクリゲームが!?」
浜面「パクリパクリ言うなよ。店員がこっち見てるぜ」
結標「あ、ははは」
浜面「それに、そんなパクリというほどパクってるような内容じゃないけどな」
結標「へー、どんな内容なの?」
浜面「まあ、あれだ。ド○クエに例えたら、魔王が学園都市第一位の超能力者『一方通行』」
結標「ぶっ!?」
打ち止め「えっ、あの人このゲームに出るの!? ってミサカはミサカはこのゲームの興味指数が十割ほど増えてみたり」
浜面「何だ? お前ら第一位と知り合いなのか?」
打ち止め「知り合いどころか一緒に住んでるんだよ! ってミサカはミサカは今も家で寝ているであろうあの人を想像しながら言ってみる」
浜面「へえ、すごいなそれ……やっぱ超能力者って……その、怖いのか?」
打ち止め「ううん。あの人はぶっきらぼうなところもあるけど優しい人だよ! ってミサカはミサカは笑顔で話してみたり」
浜面「優しい……のか。ウチの全身ビーム砲とはエライ違いだな……」ボソ
浜面「…………!?」ブル
浜面(何だ!? 何か寒気がした気がしたんだけど)キョロキョロ
結標「?」
打ち止め「?」
結標「ところで魔王が一方通行なのはわかったけど、じゃあ勇者は誰なの?」
浜面「勇者はあれだよ、何の特徴もない至って普通の高校生。名前と性別を自由に決めて進めていって、最終的に学園都市一の能力者を目指すゲームだよ」
結標「ふーん。まあ、いたって普通のRPGね……たぶん」
浜面「この学園都市には無能力者が多いからな」
浜面「超能力にあこがれて、せめて仮想世界の中ぐらいは能力者でありたいって人が多いから、このゲームが人気なんだよな」
結標「私にはわからない考えね。能力は一応持ってるし、そもそも記憶がないから何を思ってたのか全然わからん」
浜面「まあ、それなりにやり込み度が高いゲームだから、あんまり学校行ってるような真面目君にはお勧めできないけどな」
打ち止め「ならミサカ達は大丈夫だね、ってミサカはミサカは自分たちの今の境遇に感謝してみる」
浜面(何だ? もしかして、不登校か何かなのか?」
結標「そうね、じゃあこれを買いましょうか」
浜面(しかし、思ったより早く決まってよかった……)ホッ
結標「ところでこれは何のゲーム機を買えばプレイできるの?」
浜面「ああこれの?」
浜面「そこに置いてある『A-STAR』っていうゲーム機がそうだ」
結標「これか……よっと、って重っ!?」
浜面「ああ、そりゃあネットとかで『無駄な機能を無駄に付け過ぎて無駄に重くなった略して3M』とまで言われてるからな」
結標「は、ははは、お、重い……」ユラ
浜面「……ッと危ねえ」トン
浜面「そんなに重いなら俺が持とうか?」
結標「あらほんと? 悪いわね浜面くん」
浜面「まあ、どうせだしな……よっと」ガシ
結標「じゃあ会計を済ませに行こうかしら」
浜面「てか金は持ってんのか? このゲーム機普通に八万くらいはするぞ?」ヨロ
結標「」
打ち止め「八万円ってそれはゲームの中だったら高いの? ってミサカはミサカは重そうに荷物を持っているハマヅラを心配しながらも尋ねてみる」
浜面「ああ、圧倒的に高いぞ。学生という立場を全く考慮してない価格設定だよな」
浜面「って、どうした結標の姉さん?」
結標「な、な、何でもないわ! じゃ、じゃあ会計を済ませに行きましょ」アセ
浜面「あ、ああ」
<アリガトウゴザイマシター
結標(医者からもらったお金がほとんど消えた……)
【後編】に続きます


ここでは久々の変態じゃないあわきん