604 : ◆nE9GxKLSVQ[sag... - 2011/01/30 17:33:20.84 2qH+F3eeo 273/338こんばんは
一部という表現は、性描写が10/10じゃないよという意味で、
全体の2/10~3/10というニュアンスではなかったのです
そういう意味では今日の投下分では0/10です
19時頃を目標に投下開始します
613 : ◆nE9GxKLSVQ[sag... - 2011/01/30 18:59:24.91 2qH+F3eeo 274/338改めまして、では番外編を投下します。
元々は本編の一部でしたが、冗長になったため切り離したパートです。
後日談というより同日談です。
本編ではないので台本形式に変えています。
ゆるーい気持ちでお読みください。
=美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」 番外編=
[13:05 セブンスミスト正面玄関]
涙子「うーいーはーるーぅ!」
バサァ!
飾利「きゃああ、こんな寒い日にまでやめてくださぁい!」
涙子「初春ってば毛糸のパンツ穿いてやんの、ぷくく」
飾利「さーてーんーさーん!?」
涙子「あはは、そう怒るなっつーの」
黒子「何も入り口の外で待たなくとも……陽が出てても寒いですわ」
飾利「あ、御坂さーん、こっちですー」
美琴「ごめーん、ちょっと遅れちゃった」
飾利「いえいえ」
涙子「お待ちしてましたよー、にひひ」
美琴(う、佐天さんてば悪魔の笑顔してる……)
黒子「……では行きましょうですの」
美琴(黒子は黒子でなんだか機嫌悪いし)
飾利(どうしたんですかこの二人?)
涙子(ふふふ、面白い展開になってきてる)
[13:10 セブンスミスト内 婦人下着売場付近]
涙子「で、で!? 夕べはどうだったんですか?」
美琴「え、もうその話に入るの!?」
涙子「当たり前じゃないですかぁ、くふふぅ~」
飾利「え、なになに、何の話ですか?」
黒子「知らぬは初春ばかりなり、ですの。
お姉様は昨日、はしたなくも殿方の家に外泊されてましたのよ」
飾利「ぬっふぇぇ~!! そ、そうだったんでしゅか!?
あ、だからこの間も私の部屋に泊まった事にしてくれって……」
涙子(でしゅ?)
美琴「そ、そんなわけないじゃない!
くっ、黒子アンタ何言ってんのよ!?」
黒子「……この期に及んで隠したがる意味が分かりかねますの」
美琴「ち、違うのよ黒子、初春さん! それは、その……」
涙子「あ、私白井さんには全部バラしちゃったんでー」
美琴「佐天さーん!? まさか言っちゃったのぉ!?」
涙子「ねえねえ御坂さん、下着はこの間買ったのをバッチリ着ていきましたか?
彼氏さんどんな反応でした!? ちゃんと彼に脱がせてもらいました?」
美琴(なんでそんなに目を輝かせて聞いてくるかなぁ)
飾利(佐天さんってば猥談が好きなんですね……)
黒子(そんな話聞きたくないですのぉぉ!!)
美琴「あああ、あのね佐天さん、ここ公共の場だから!
そういう事話す場所じゃないから!」
涙子「またまた~、下着売り場で話す話題としては当然じゃないですか!
せっかくこの間初春と相談に乗ってあげたんですから、ねえ」
飾利「はい、私も是非聞いてみたいです」
美琴(う、うう……ここでマイスイッチを切り替えるのは流石に戸惑うわ)
黒子「観念なさいましお姉様」
美琴「あ、あのねぇ」
[13:14 セブンスミスト内子供服売り場]
美琴「やっぱり私は普通のでいいわ。これとかこれとか……」
飾利「カエルやネコのプリント柄は果たして普通なんでしょうか」
涙子「あちゃー、逆戻りしちゃったかぁ」
黒子「所詮はお姉様ですの」
涙子「あの下着、彼氏さんには不評だったんですか?」
飾利「それともまさか、実はこーゆーのが好きな人なのでは」
美琴「ち、違うって! 違うのよ!
アイツはその……ありのままの私がいいって言ってくれたから、その……」
涙子「うわぁ」
飾利「ナチュラルに惚気ましたね今」
黒子「昨日何があったかもうバレバレですの……」
飾利「白井さんテンション下がりっ放しですねー」
[13:19 セブンスミスト内子供服売り場]
美琴「あれ、みんなは何も買わないの?」
涙子「私は別に見せる人もいないので、しばらくは足りてます」
飾利「私もですね」
美琴「いや別に下着だけとも限らないのだけど」
黒子「……或いはひょっとして、このような下着を身に着けることで
わたくしもお姉様と……ぶつぶつ……」
美琴「アンタは何考えてんの!」
飾利「あ、それなら薬局に回ってもいいですか?」
美琴「いいわよー」
[13:23 セブンスミスト内ドラッグストア]
涙子「初春、あんた幾つマスク買うのさ」
飾利「毎日使うから箱買いしなきゃなんですよー」
黒子「初春は冬の間ずっと風邪気味とか言ってますの」
涙子「いるよねーそういう人」
飾利「私も好きで引いてるわけじゃないですっ」
涙子「でも私も花粉症だから、春先のために一箱買っとこうかな」
飾利「佐天さん花粉症だったんですか?」
涙子「最近発症したのよー……お花の傍にいる機会が多いからかなぁ」
飾利「へ?」
黒子「ところでお姉様はどちらに……?」
『新発売! 極上の安心と快楽をあなたに!
極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナル 12個入 税込¥2280』
美琴(あ、アイツの使ってたのってこれよね……他のに比べて高級品なんだ。
アイツお金がないとか言ってるのに、気を遣ってくれてるのね。
一箱買って行こうかな。あ、でももしアイツも買ってきてたらダブるかも。
一気に24個も手に入れちゃっても、つ、使い切れないわよね……
で、でも、私、アイツとならそのくらい……えへ、えへへ……)
ヒュインッ
黒子「お姉様、こんなところにおられましたの?
……ってまさかこのコーナーはぁぁ!?」
美琴「うわわぁ!? 黒子ぉ!? ち、ちちちち違うのよ!
私が見てたのはこっち! 生理用品のほうだから!」
黒子「いつにも増してごまかしがヘタですの」
美琴「ううウソじゃないわよ、ほらほら、私来週アレの日だし! だから!」
黒子「大恥を隠す為に小恥を晒さずとも……」
美琴(べ、別の場所で買う事にしよっと)
[13:31 セブンスミスト内ドラッグストア付近]
涙子「白井さんは何も買わないの?」
黒子「わたくし大体の消耗品は学舎の園の中で買いますので」
涙子「私も前行った時買い込んでおけば良かったかな~」
飾利「消耗品の値段じゃなかったですけどね、あれは……。
あ、あと私、花屋さんに回りたいです」
美琴「じゃあ次はそこに行きましょっか」
[13:36 セブンスミスト内フラワーショップ]
飾利「~♪」
美琴「初春さんがお花を選んでるときって幸せそうな表情よね」
黒子「あと甘い物を選ぶ時もですわね」
美琴(私もアイツに愛されてる時は、あんな表情してたいなぁ)
涙子「でも初春の買う花って、頭についてるのとはいつも別なんですよね~
あれは何処で買ってるんだろう」
黒子「えっ?」
美琴「えっ?」
涙子「えっ?」
[13:47 セブンスミスト内フラワーショップ]
飾利「今日はとりあえずこのくらいで」
涙子「ねえ……今日って卒業式か何かだっけ?」
黒子「花束並になってますの」
美琴「そんなに買ってどうするの?」
飾利「部屋や支部に飾って眺めるんですよ~」
黒子「だったら鉢植えを買えばいいですのに」
飾利「鉢で買ったら重いじゃないですか」
美琴「あ、あの、ちなみに頭に乗せてる分は……」
飾利「はい?」
黒子「お姉様、ここは勇気ある撤退を」
涙子「その方がいいです」
美琴(親しい二人にココまで言わせる初春さんって……)
[13:49 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「あとは何か買う物あるかなぁ」
黒子「……さっきのアレは買わずとも宜しかったので?」
美琴「な、なんの話よ!」
飾利「私はこれで十分です~」
涙子「じゃあ電器店見に行ってもいいですか?」
美琴「いいわよ」
黒子「……」
[13:55 セブンスミスト内電器製品フロア]
涙子「新しいNP3プレイヤー欲しいんですよね~」
黒子「どれも同じように見えますの」
飾利「白井さんの家電を見るポイントは皆とだいぶ違いますから……」
黒子「どーいう意味ですの」
美琴「あれっ、二ヶ月くらい前に買ってなかったっけ?」
涙子「あれ水に濡らして壊しちゃったんですよ……
操作感もイマイチだったし、あんまり後悔してないですけど」
飾利「佐天さんって、プレイヤーしょっちゅう買い換えてますよね」
涙子「あはは、これ結構懐が痛むのよね。
うーん、やっぱりまた今度にしよう」
[14:06 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「あ゛~~~」
黒子「……何をしてますの」
飾利「これ気持ちいいんですよ~~~」
涙子「いるよね、家電店でずっとマッサージチェアに座ってる人って……」
美琴「あ゛~~~」
黒子「お姉様まで!?」
美琴「あーこれこれ、腰の揉みほぐし方いいわぁ~~~」
涙子「中学生がマッサージされてくつろいでる……」
美琴「あ゛~~~」
飾利「あ゛~~~」
黒子「……お姉様の震える声がちょっとそそりますの」
涙子「うわあ」
[14:12 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「私、食器洗い機が欲しいなぁ」
涙子「高い上に設置がめんどくさそうじゃない?」
飾利「ですけど、あると便利そうですよ。
この時期食器を洗うのも水が冷たくて、
春上さんも辛そうにしてるんです」
黒子「給湯器があるでしょうに」
飾利「うちのはちょっと温度加減が難しくて、
熱湯か水しか出てこない感じなんですよ~」
黒子「だったらそこを直す方にお金をかけるべきですの」
飾利「それもそうですけど」
美琴「でも水が冷たいと洗濯とかも辛いわよね。風呂も沸かすのに時間かかるし」
涙子「それはありますね~」
飾利「常盤台の寮の洗濯は全て業者がしてくれるんでしたっけ? いいなぁ~」
黒子「そうですの。ですから風呂も洗濯も冷たい水で苦労することは特には……!?」
涙子「どうしたの?」
黒子「……なんでお姉様が冷たい水の苦労をご存知ですの?」
美琴「あ、あはははははは……なんでだろ」
[14:18 セブンスミスト内電器製品フロア]
飾利「新型パソコンも欲しいなあ」
黒子「風紀委員《ジャッジメント》の支給品で十分でしょうに」
飾利「自宅用ですよ。あとポータブルなタイプとか」
黒子「一人で何台使うつもりですの?」
飾利「サーバー、デスクトップ、ノート、スレート、ポータブル。最低五台ですね」
涙子「初春……人間の手は二本しかないんだよ?」
飾利「リモートすればマウスとキーボードは一つずつで済みますっ。
あ、そうそうノート用のマウスも欲しいなぁ。あとデスクトップ用のマウスも」
涙子「一つずつで済むんじゃなかったの?」
飾利「ノート用はワイヤレスの高dpiなタイプ、デスクトップ用は
レーザートラックボールタイプがそれぞれ不可欠なんですっ!」
涙子「ごめん何言ってるかわかんない」
黒子「……またお姉様がいなくなってますの」
[14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴(確かあの冊子に、ハンディマッサージャーを使って
スキンシップを深める行為の事も書いてあったわよね。
アイツも小道具を使った事してみたいって言ってたし……
これをアイツに押し当てられたら、わ、私どうなっちゃうのかな)
ヒュインッ
美琴「黒子、店内を空間移動《テレポート》で探し回るのは止めなさいよっ」
黒子「ちょっと目を離すと、すぐ離れていかれるお姉様も問題ですの」
美琴「全く……」
黒子「またマッサージ機を見てますの?」
美琴「うん、ちょっと興味が出てきて」
黒子「お姉様のコリはわたくしがいつでもお揉みいたしますの」
美琴「それが嫌でこういう道具探してるんだけど」
黒子「でもお姉様にマッサージしてもらうのも魅力的ですの……あはうはえへふひひー」
美琴(……私ノーマルで本当に良かった)
[14:20 セブンスミスト内家電製品フロア]
涙子「御坂さん、炊飯器なんて見てどうしたんですか?」
美琴「へ? いや、ただ単に最新の機器ってどんなのかなって思って」
飾利「『真空内釜圧力高性能AI付きプラチナ釜炊飯ジャー』……?
なんかすごい謳い文句ですね、この製品」
黒子「こんな所帯じみた機器を見ても何の参考にもならないですの」
美琴(アイツの家の炊飯器って3合炊きなのよね……
インデックスの事を考えたら1升炊きのがあった方がいいのかも。
来週は沢山人が来るし、大きいに越した事はないわよね)
黒子「……どうしてそんなにも真剣に見てますの?」
[14:27 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴(アイツ、朝になったらうっすらヒゲが生えるのよね。
T字剃刀で剃るのめんどくさそうだったし、こーゆーのがあれば……)
涙子「御坂さん、ボディシェーバーが欲しいんですか?」
美琴「う、ま、まぁ、女の子のエチケットとしてね」
飾利「でもこれって男性用のヒゲ剃りですよ?」
黒子「お姉様が何を見ているか、なんとなく分かった気がしますの」
美琴「だ、男性用の方が使いやすいのかなって思っちゃったりしただけよ」
涙子「そ、そんなに剛毛なんですか?」
美琴「うっ、ま、まぁね……」
黒子「そんな事ございませんですわよ」
美琴「アンタが答えんな!」
ぶぃ~~~~~ん
黒子「初春もいじって遊ばないでくださいまし!」
[14:31 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴「……」
涙子「今度は冷蔵庫見てる……」
飾利「しかも結構大型のですよアレ」
涙子「引越しでも考えてるのかなぁ」
黒子「まるで一人暮らしを始める学生のようですの」
涙子「御坂さん」
美琴「ふぇっ!?」
涙子「あの、それはどういった理由で見てるんですか?」
美琴「あ、あのこれはね、大食いの子供がいるような一般家庭では
どのくらいのサイズが好まれてるかっていう市場調査をね」
涙子(一般家庭……学園都市なのに?)
飾利(言い訳が苦しすぎますよ御坂さーん!)
黒子(大食い? ……もしや)
[14:39 セブンスミスト内家電製品フロア]
美琴「……」
涙子「とうとう洗濯機を見はじめちゃったよ」
飾利「本気で一人暮らしを考えてるんでしょうか」
黒子「いえ、あれはむしろ……」
美琴(シーツや毛布も一気に洗える大型ドラムタイプがいいわよね……
あとはペットの匂いも消すような消臭システム付きがいいかしら……
白物を沢山洗うから漂白がしっかりできる機能も欲しいかも……)
涙子「商品を見る視線が真剣すぎて怖いんだけど」
飾利「もはや主婦目線ですよね、あれ」
黒子(お姉様もしや、もしやぁぁ!)
[14:47 セブンスミスト内電器製品フロア]
美琴(掃除機とテレビは今のでも足りてそうね。あと必要なのは……)
黒子「お姉様、そろそろ初春達も痺れを切らしていますので」
美琴「あ、ああごめん」
飾利「御坂さん、何をそんなに真剣に見てたんですか?」
美琴「えーと、実は誕生日プレゼント何にしようかなって思ってて」
涙子「洗濯機は誕生日プレゼントってレベルじゃないですよ!」
飾利「さ、さすがお嬢様はプレゼントの規模が違いますね……」
黒子「というか誰の誕生日の事ですのぉぉぉ!?」
美琴(クリスマスに手作りのマフラーと手袋をあげたから、
誕生日には実用的なのをって思ったんだけど……
よく考えたら、誕生会で披露するような物じゃないわよね。
シェーバーなら小さいし、あれにしよっかな)
[14:51 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「うーん、プレゼント選びって難しいわね」
涙子「ちょっと私にはその感覚分からないです……」
飾利「普通、家電どうこうでは悩まないです……」
黒子「というか、誰にプレゼントする予定ですの?」
美琴「アイツ」
黒子「言い切りましたわねお姉様!?」
飾利「アイツって、まさか彼氏さんですか!?」
美琴「うん、もうじき誕生日なの」
涙子「彼氏に冷蔵庫や洗濯機贈るんかーい!」
美琴「いや、さすがに私も家電贈ろうとか考えてないわよ!?
もっと小さくて手軽な物を贈る事にするって!」
飾利「是非そうしてあげてください」
涙子「ならあの真剣に見てたのは一体……」
黒子「ぐぬぬぬぬ」
[14:53 セブンスミスト内連絡通路]
美琴「……で、あとは見て回りたいものってあるかしら?」
飾利「私はもう十分です」
黒子「私も結構ですの」
涙子「うーん、私もOKですね」
美琴「じゃあそろそろ3時だし、場所変えましょ」
黒子「絶好のティータイムですの」
涙子「うーいはるーぅ」
飾利「はい、今日は私が案内しますね」
涙子「初春がいい雰囲気の喫茶店を見っけたらしいですよ」
美琴「へえ~」
黒子「初春のセンスは少々怪しいですの」
飾利「パフェの美味しそうなお店を見つけちゃったんです~!」
[15:12 とある喫茶店]
美琴「へえ、なんだか店内がアメリカ西部風ね」
黒子「学園都市でログハウスのお店なんて珍しいですわね」
涙子「初春、ここはうちら学生の来る様な場所じゃないんじゃない?」
飾利「いいじゃないですか、ほら、店内に学生のお客さんいますよ」
涙子「ホントだ」
飾利「2階の席に予約とってあるんですよ」
美琴「2階? あ、ロフトになってるんだ」
黒子「階段が随分と急ですの……」
ヒュインッ
涙子「あ、ずっこい!」
飾利「細かいところで能力に頼りますよね、白井さんって」
美琴「私達は普通にあがりましょ」
涙子「むしろ普通にしか上がれません……」
飾利「あれっ、御坂さんどうしたんですか?」
美琴「わ、私は最後に上がるからお先にどうぞー、あはははは……」
飾利「さ、佐天さんがお先にどうぞ」
涙子「う、うん」
美琴(短パン乾いてないから今履いてないのよね)
飾利(まためくられたら困りますっ)
[15:14 とある喫茶店 2階ロフト]
涙子「2階が貸し切り状態だね」
飾利「閉塞感がなくていいですね、ここ。
ここから店内を一望できますよ」
黒子「ふむ、悪くないですの」
美琴(隠れ家的でいいなぁ。今度アイツと来てみよっかな)
飾利「ここはパフェメニューが盛り沢山らしいですよ~」
黒子「実に初春らしい選択動機ですの」
店員「いらっしゃいませ」
涙子「わぁ、イケメン店員さんだ」
店員「ご注文をどうぞ」
美琴(そしてアイツと二人で一つのパフェを食べてみよっ)
黒子「確かにデザートメニューが豊富ですのね」
飾利「今日は一気に三つ行っちゃおうっと」
涙子「いい加減にしないと太るよ初春~」
美琴(お互いに食べさせあって、後でキスで味を伝え合って、それから……)
涙子「ねえ御坂さん、そろそろ戻ってきてください」
[15:16 とある喫茶店 2階ロフト]
黒子「わたくしはこのレアチーズケーキ紅茶セットで」
涙子「私はこの世界旬味ってパフェとカフェオレをセットで」
飾利「ヨーグルトフルーツパフェと苺づくしグルメパフェと贅沢チョコパフェ」
涙子「あんたマジ太るよ」
美琴(バレンタインはちょっと気取ってチョコパフェなんてのもいいかもっ)
黒子「お姉様!」
美琴「な、何よいきなり!?」
黒子「店員がお待ちになってますので注文してくださいまし」
美琴「あ、そ、そうね、私はこのマンゴーパフェと、キリマンジャロをセットで」
店員「かしこまりました」
飾利「あ、そっちの方が良かったかも」
涙子「どうしたもんかなこの子の甘党っぷりは」
美琴「じゃあみんなのパフェ後で一口ずつ交換しましょ」
涙子「さんせーい」
黒子「あ、わたくしも……」
飾利「白井さんはケーキじゃないですか」
ゴンッゴンッゴンッ
美琴「二階で顔ドラムはやめなさい」
涙子「常盤台の人ってどっかアレだなぁ……」
[15:19 とある喫茶店 2階ロフト]
飾利「さてさて、注文も終わったところで」
涙子「ではいよいよ参りますか~。御坂さん!」
美琴「は、はい!?」
涙子「詳しく聞かせてくださいよ~、彼氏さんのこと」
黒子「やっぱりその話ですの?」
飾利「はい。だって私達、御坂さんに彼氏さんがいるって聞いただけで
どんな人かとか、どんな出会いだったとか全然聞いてません」
涙子「そこはどうしても気になるよね~」
黒子「そういえばわたくしも、あの殿方とお姉様が
顔見知りになったきっかけは存じ上げませんわね……」
飾利「白井さんはその人の事ご存知なんですよね?」
黒子「ご存知というほど親しい仲でもありませんの。
あんな類人猿の何がそんなにありがたいのやら」
涙子「悪そうな人なの?」
黒子「あれはただのアホですの」
美琴「あのねえ」
[15:25 とある喫茶店 2階ロフト]
店員「レアチーズケーキ紅茶セットのお客様」
黒子「はいですの」
店員「キリマンジャロとカフェオレのお客様」
美琴「あ、私キリマンジャロ」
涙子「カフェオレは私でーす」
店員「ごゆっくりどうぞ」
涙子「……えーとつまり、その上条さんって人は
御坂さんの恩人なんですね」
美琴「そ、そうなのよ。
(妹達の事は言えないから説明が回りくどくなっちゃったなぁ)」
飾利「誰かと思ったら、あの大覇星祭の時の人だったんですね~」
黒子「卑しくもお姉様とダンスを踊ってましたわね……」
美琴「あれは私から誘ったのよ!
そーいやアンタのせいでグチャグチャになったっけね!」
涙子「積極的ですねえ~御坂さん」
飾利「そ、それで、どちらから告白したんですか?」
美琴「あ、アイツから……」
涙子「ふわあ、常盤台のエースに告白するとか、度胸あるなぁ」
黒子「ただの身の程知らずですの」
飾利「それをOKしたんですか?」
美琴「うん……なんていうか、舞い上がる気分だった」
飾利「ふええ~、いいなぁ~」
黒子(部屋でやたらモジモジとされていたあの日ですわね、多分)
涙子「その人って、能力はどんな感じなんですか?」
飾利「やっぱり高レベルの人なんですか?」
美琴「ううん、アイツの測定結果はレベル0らしいの。
でも測定器が測れないような、強い心と能力を秘めてるのよ、アイツは」
涙子「レベル0がレベル5に告白したんだ……」
飾利「でも御坂さん、なんだか誇らしげですよね」
黒子「まぁこの都市には、噂の『ナンバーセブン』のように
奇妙チクリンな能力者というのも少なからずいるようですし。
それに、あの殿方の能力は何かと使いづらそうですの」
涙子「だけど何か特別な力を持ってるって、それだけで羨ましいけどなぁ」
美琴「でも、たとえ本当の本当に無能力でも、
アイツの本質はきっと何も変わらないと思う。
私はそんなアイツの心が好きになったんだから」
涙子「……なんだろう、このカフェオレめっちゃ甘い気がしてきた」
飾利「私まだ何も食べてないけど甘いです~」
黒子「おかしいですわね、このケーキしょっぱいですの」
店員「世界旬味パフェのお客様」
涙子「あ、はーい」
店員「ヨーグルトフルーツパフェのお客様」
飾利「は~い」
店員「贅沢チョコパフェのお客様」
飾利「はーい」
店員「い、苺づくしグルメパフェのお客様……」
飾利「はい~」
店員「……ごゆっくりどうぞ」
涙子「うう、店員さんの冷めた視線が痛い」
黒子「もう慣れましたわ」
美琴「私だけ来ない……」
黒子「話を戻しますが、それにしてもお姉様。
まぁ一億歩譲ってあの殿方と交際されるのは
一時の気の迷いとして仕方ないにしても」
美琴「何よそのトゲトゲしい言い方」
黒子「せめて外泊だけはおやめくださいまし。
寮監のペナルティが幾つ溜まっているとお思いですの」
美琴「そ、それはわかってるけど……その……
同室のアンタにも迷惑かけてるのは申し訳ないと思うけど……
どうしてもアイツの傍にいたくなるのよ……」
涙子「すっごい惚れ込んでるなぁ」
飾利「白井さん的には踏んだり蹴ったりですね」
黒子「はぁ……あのド厳しい規則については、わたくしも一家言ないわけでもごさいませんが、
それにしてもほぼ毎週のように外泊などと……常盤台のエースが嘆かわしいですの。
ジャッジメントとして、不純異性交遊は見逃せませんわよ」
美琴「だ、誰が不純だっての! 私と当麻はちゃんとした仲よ!
都合に合わせてジャッジメントの金看板を振りかざすなっつーの!」
黒子「んまぁ! とうま、ですって……!?
お姉様ったら、今まではほんの一度たりとも
あの類人猿の名前を呼んだ事などございませんでしたのにィ~!」
美琴「アンタこそ、当麻を類人猿呼ばわりするのいい加減止めなさいよ!」
黒子「類人猿でダメなら馬の骨ですわ!」
美琴「アンタは私のパパかぁぁ!」
涙子「え、えーと、お二人とも公共の場ですからその辺りでどうか……」
飾利「うーん、このチョコパフェ、甘さが重すぎて全体のバランスが今一つですねぇ」
涙子「あ、こら初春逃げんなー!」
美琴「ぐぬぬぬぬ……!」
黒子「うぬぬぬぬ……!」
涙子「すごい形相だ……」
黒子「大体わたくしが父親だったら、なお絶対に外泊など許しませんですわよ!」
美琴「ざーんねん、ウチはちゃんと両親公認の仲だもーん」
黒子「ぬなぁ!? ま、まさかそんな、あのお母様が……」
美琴「むしろこっちが引くくらいノリノリな人達なのよね」
黒子「ええい、御坂家の家風には負けていられないですの!
学生たるもの学業と能力開発が本分ですの!
常盤台の寮は無申請の外泊は認めておりませんの!
ですから、お姉様があの類人猿と夜な夜なアハンウフンなどという羨ま……
ごほん、けしからん事はぜっっったいに認められないですの!」
美琴「つーか最後のだけがアンタの本音じゃないの?」
黒子「それに、あの殿方は確かあのちびっこいシスターと
同居されているというお話でしたわよね?
あの方は一筋縄では行きそうにございませんが」
涙子「わ、何やら修羅場を想起させるワードが出てきた」
飾利「わくわくしますね~」
涙子「修羅場と聞いて戻ってきたよこの子」
美琴「ふふん、インデックスともちゃーんと話つけてあるもんね。
週1ならお泊まりOKだってさ」
黒子「ぐぬぬぬ……今時の若者の貞操観念は一体どうなってますの」
飾利「よりによって白井さんがそれを言うかなぁ」
涙子「うわキツッ」
黒子「では三人で一つの部屋に泊まってますの?」
美琴「ううん、その日だけインデックスが外泊してくれてるの」
黒子「なにぬぅ!? でっ、ではっ、本当の本当に二人きりですのぉぉ!?」
美琴「当たり前じゃない。誰にも邪魔されたくないし」
涙子(うはぁ、これはもう間違いなく一線越えてるね)
飾利(ほぼ確実ですね)
黒子「認めません認めません認めませんですのぉぉ!!」
美琴(はぁ……やっぱりこの子の説得には骨が折れるわ)
黒子「ちなみに、その時あのシスターは何処に外泊されてますの?」
美琴「当麻の担任の先生の所らしいわよ」
涙子「うはぁ、さては爛れた教師と生徒の関係ですか!?」
飾利「ぬっふぇぇ~!?」
美琴「佐天さん、なにげに暴走してるよねあなたも」
涙子「たはは、すいません」
黒子「学園都市の風紀はいったい……」
飾利「だから白井さんがそれを言うのはちょっと」
美琴「みんな何か勘違いしてるでしょ!
当麻の担任の先生は女性よっ」
涙子「ちぇっ、残念」
美琴「なんの舌打ち!?」
飾利「というか、上条さんって人、違う女の子と同棲してるんですか?」
涙子「うん、そこ超気になるんですけど」
黒子「確かにあのシスターの存在は何かと謎めいてますの」
美琴「同棲じゃなくて居候! 同棲じゃなくて同居!
ここ勘違いしないでよね! ねッ!」
黒子「は、はいですの……」
涙子「すごい剣幕……」
店員「……」
美琴「あっ」
店員「ま、マンゴーパフェのお客様」
美琴「は、はい」
店員「ご、ごゆっくりどうぞ……」
涙子「店員さんの視線が痛い……」
黒子「ではつまり、あの殿方の担任もシスターも
殿方とお姉さまを一つ屋根の下に泊まらせるために
気を遣っているという事ですの!?」
美琴「うーん、ちょっとそこは色々とあるんだけど
結果的にはそうなるのかな」
黒子「とんだ教師ですの」
飾利「贅沢チョコパフェは55点ですね。微妙だなぁ」
涙子「もうたいらげたの!?」
飾利「はい。次は苺づくしグルメパフェにしようっと。
いっちごっ、いっちごー♪」
黒子「……でしたらせめて、寮ではなくホテルに泊まったらいかがですの?
男子寮にしけこむなどと淑女としてあるまじき習慣ですの」
美琴「アイツの家じゃなきゃ意味ないでしょ!
私がアイツのご飯作ったり洗濯したりしてあげてるんだから!」
涙子「なるほどね、さっきのアレはそーゆー事かぁ」
飾利「御坂さん、すっかり通い妻ですね」
美琴「つ、つま!? そ、そう見えるかなエヘヘヘヘ……ふにゃあ」
黒子「おっ、お姉様っ、ここでそれは危ないですので
おやめくださいましあばばばばばば!!」
飾利「イチゴも変に酸っぱいしクリーム味もくどいし、こっちもまるでダメですね……
このお店けっこう期待してたのになぁ~」
涙子「何このカオス」
美琴「……で、話がとっちらかったから元に戻すけど、
色々あって、12月から彼氏と付き合ってます。
みんなに隠しててごめんなさい。これからはオープンに交際します」
涙子「パチパチパチ」
飾利「パチパチパチ」
黒子「ううう、とうとうご自身でお認めになられましたわね……」
涙子「幸せそうでいいなぁ~」
飾利「クリスマスやお正月も一緒だったんですか?」
美琴「まぁね。帰省したら実家もたまたま近所同士だったし、
両親達も仲良いもんだからさ、過ごしやすくて」
涙子「じゃあもうお膳立てはバッチリじゃないですか」
黒子「何のお膳立てですの……」
飾利「もちろん結婚ですよ」
黒子「ぐはぁ!!」
涙子「容赦ないなーういはるー」
飾利「ってことは、彼氏さんのご両親にもお会いしたんですか?」
美琴「う、うん……というか、大覇星祭の時に
アイツのご両親とは一度お会いしてたんだけどね」
黒子「わたくしの知らぬ間にそんな事があったんですの……」
涙子「にひひ、ショックが累積してるね白井さん」
美琴「で、でもその頃はまだ付き合ってなかったし」
飾利「でもその頃から好きだったんですよね?」
美琴「……うん。母さんがその辺見抜いちゃってて
色々気を利かせてくれたみたい」
涙子「いいなぁ、家族ぐるみで恋の応援なんて」
飾利「聞いてて羨ましくなりますね」
涙子「あー、あたしもこれくらい惚れ込む彼氏欲しいなー」
黒子「初春っ、呪いの藁人形ってどこに売ってるか検索してくださいまし!」
飾利「非科学的すぎますよっ!」
涙子「ところで、その彼氏さんの写真ってありますか?」
美琴「うん、今待ち受けにしてるの」
涙子「うはっ、肩を抱き合ってラブラブだ~」
飾利「あー、やっぱりあの時の人でした」
黒子「携帯のペア契約されていた時の写真ですわね」
涙子「ぺっ、ペア契約!?」
美琴「うん……あいつの連絡先を聞き出すきっかけにしようと思って
契約を持ちかけたの」
飾利「えっ?」
涙子「それってなんか順番おかしくない?」
黒子「大胆なのか奥ゆかしいのか図りかねますの」
涙子「さて御坂さん、ずばり聞いちゃってもいいですか?」
美琴「な、何を!?」
涙子「昨夜の事ですよ、うふふふふ~♪」
美琴「う……やっぱりそこを聞きたいの?」
涙子「はーい、聞きたいで~す」
飾利「はーい、聞きたいで~す」
黒子「聞きたくないですの……」
涙子「多数決で決定です!」
黒子「わが国の民主主義は死に絶えましたの!
司法権を排除した多数決などという数の暴力によって!」
美琴「物騒な事言ってんじゃないの!」
飾利「現実から逃げるって大変なんですね~」
美琴「……で、実際どう話したらいいのかしら」
涙子「どうって……彼氏さんの家に行ってから何をしたかですよ」
美琴「ご飯作って食べて、お風呂入って寝て、洗濯して勉強手伝ったわ」
飾利「ディティールがなさすぎです!」
美琴「ねぇそれって本当に必要!?」
涙子「だって……ねえ、そこだけ聞いてもラブラブっぷりは
想像できますけど、なんかこう、ねえ」
飾利「もっと詳しく聞きたいですよね」
涙子「たとえばお風呂は一緒に入ったのかとか」
飾利「ご飯を食べさせあいっこしたのかとか」
涙子「彼氏さんと一緒の布団に寝たのかとか」
飾利「彼氏さんの下着を洗ってあげたのかとか」
涙子「そのうち一つでもあったら凄いなーって」
美琴「あううう……(全部やったとは言いづらい……)」
黒子(……あの緩んだ表情では、全部やったといわんばかりですの)
美琴「具体的にどう詳しく話せばいいの?」
涙子「それはもう、下着を彼に見せるまでの一部始終を」
飾利「佐天さんはそこばかり気にしすぎです!」
黒子「はしたないですの……」
美琴「アンタなんて頼まなくても見せてくるわよね!?」
涙子「それでそれで、彼氏さんは優しくしてくれましたか?」
美琴「ふぇっ!?」
飾利「それともちょっと強引だったり!」
美琴「ふええっ!?」
黒子「ちゃんと避妊はされたんでしょうね、お姉様!?」
美琴「ちゃんとしたわよっ!! ……はっ!」
涙子「したんだ」
飾利「したんですね」
黒子「致したんですのね」
美琴「しまった、ハメられたぁぁぁ」
涙子「いや、もう今更でしょ」
飾利「ハメられちゃったんですか~」
黒子「お下品ですわよ初春ッ!」
涙子「あの、やっぱり最初は痛いんですか?
今日歩きづらいとかあったりしますか?」
美琴「えーと、その……実は昨日が初めてじゃなくってさ」
飾利「えええ!?」
黒子「なるほど、お姉様はとっくの昔から
類人猿の毒牙に侵されまくってましたのね……
うう、一体どれほど汚されたのか……」
美琴「にっ、二回目よ、まだ二回目! なんの想像してるのよ!」
涙子「痛かったですか?」
美琴「どうしてもそこを掘るのね……
まぁ、その、最初はちょーっと痛かったかな」
飾利「ふえええ~!」
涙子「やっぱりそういうもんなんだー」
黒子「あの類人猿めぇぇぇぇぇ!!」
美琴「でも、アイツ自身はすごく優しいの。
割れ物を扱うみたいにして接してくれてる。
少し物足りなくて、私からグッと近付く時もあるわね」
黒子「そんな繊細な殿方には見えませんが……」
美琴「私にはちゃんと伝わってるもん」
飾利「ふぃー、ごちそうさまです」
涙子「甘々だねえ、ストロベリってるねえ」
黒子「これまたえらい死語ですの」
飾利「お二人はいつもどっちがリードしてるんですか?」
美琴「普段は私だけど、二人きりのムードになるとアイツかなぁ。
あ、でも口でしてあげてる時と、上に乗った時は私のリードかも」
飾利「それってもしかして、もしかして……ぬっふぇぇ~!!」
涙子「み、御坂さんってばだいたーん!」
黒子「聞きたくない聞きたくない聞きたくないですわぁぁ!!」
飾利「白井さん、戦わなきゃですよ現実と!
ひょっとしたら二人はもっと過激な事してるかも!
○○○とか××××とか△△△△△とか!」
黒子「いやあああああああですのぉぉぉぉ!!」
涙子「キワどい言葉で追い討ちすんなっ!」
美琴(やっぱり詳細には話せないわよね……アハハハ)
美琴「それとね、私明日にでも産婦人科に行こうと思うの」
黒子「がはぁ!!!」
涙子「しっ、白井さ―――ん!?」
飾利「あ、事切れた」
美琴「大丈夫、黒子だもの」
飾利「そうですね」
涙子「いいんかい!」
飾利「でも、ど、どうしてですか!?」
涙子「ま、まさかもうお腹の中に彼氏さんの!?」
飾利「ぬふぇぇ~!!」
美琴「違う、ちーがうから!
ただ単に避妊ピルを処方してもらおうと思って、ね!」
飾利「言ってる事の過激さはあんまり変わらないと思います」
涙子「うはぁ、避妊薬とかちょっと縁遠い感じだなぁ」
飾利「でも固法先輩も飲んでるらしいですし、
ジャッジメントには結構そういう人いますよ」
美琴「そうなの!? やっぱり豊胸の効果もあるのかな……」
黒子「……はっ、ここはどこですの!?
一瞬、死んだひいお婆様が向こう岸に見えたような……」
飾利「あ、戻ってきました」
美琴「ほらね」
涙子「扱いがぞんざいだー!?」
涙子「御坂さん……その、彼氏さんとそういう関係になって、今幸せですか?」
美琴「うん、とても幸せ。
アイツのお陰で、昨日はすごく幸せな一夜だったってはっきり言える」
飾利「だったら良かったです。
御坂さん、一時期凄く落ち込んでたから気になってて……」
美琴「あ、あはは……あの時は色々あって一番精神的に落ちてたのよ」
黒子(お姉様が学舎の園から数日間失踪した後の事ですわね……)
涙子「うーん、正直に言うと、幸せそうなのは何よりなんですけど、
御坂さんの恋ってちょっと前のめりし過ぎてるように見えちゃって」
飾利「仕方ないですよ。誰だって恋は盲目です」
美琴「それはあるかも知れない。でも私にとってこれは、ただの恋じゃないの。
アイツとは、とても大切な夢を共有できる特別な間柄になれたのよ。
そんな恋は人生のうちで二度とできない貴重な事だと思う。
14才の小娘が何を言ってるのかって思うかもしれないけれど」
黒子(お姉様の夢見る、絵空事のように甘い世界を、あの殿方も信じているのですわね。
思えば、二人に助けられたあの時に、わたくしはとうに知っていたはずの事……)
涙子「すごく……本気なんですね」
美琴「うん、これが私の最初で最後の恋になって欲しいくらいよ」
飾利「最後の恋……最初の恋よりも重い言葉ですね」
美琴「あはは、私って実は重い女なのかも。
でも良かった、アイツに想いが届いて。届かなかったら私どうなってたんだろ。
……アイツがあの時生きて帰らなかったとしたら、今頃私は……」
涙子「あの時?」
美琴「あ、いや、それはこっちの話なんだけどね。
私は私の信じる世界を、壊さずに済んで良かったなぁって思ってさ」
飾利「は、はぁ」
黒子(あの約束を……ちゃんと守ってくださってますのね、上条さん)
美琴「アイツと私はすごく似てるの。一緒と言ってもいいくらいに。
アイツが合わせてくれるわけでもなくて、アイツに合わせるわけでもなくて、
気が付いたら二人で同じ夢を信じていたの。
だから私はアイツが……当麻がどうしようもなく好きなんだと思う」
黒子(悔しい事ですが……今のお姉様は心から幸せそうですの。
お姉様は遂に、ご自身の全てをさらけ出せる伴侶を手に入れられたのですわね)
美琴「だから、私はこの想いを大切にしていきたいの。ずっと、ずっと」
黒子(……、露払いを名乗るのも潮時でしょうか)
涙子「ふええ~、さすがオトナだなぁ御坂さん」
飾利「なんだかちょっと御坂さんが遠い所に行っちゃったような……」
美琴「あ、あはは、でも普段はいつも通りこんなもんよー。
あんまり変な距離感感じないでくれると嬉しいんだけど」
涙子「それはもう。名高い常盤台の超電磁砲は、いざ話してみたら
ただの恋する乙女だってよーく分かりましたから」
美琴「さ、佐天さんってば、もう!」
飾利「この四人で仲良くってのは、ずっと変わらないでいたいですね」
美琴「そうね……これからも宜しくね、佐天さん、初春さん」
涙子「いえいえ、こちらこそ」
飾利「これからも宜しくです」
黒子「……」
美琴「ねえ、黒子」
黒子「な、なんですのお姉様、改まって」
美琴「これからも末永く、パートナーとして宜しくね」
黒子「お姉様……わたくしは、これからもお姉さまの傍にいても宜しいですの?」
美琴「はぁ? 当たり前じゃない。つーか何処行こうってのよアンタ」
黒子「お姉様……愛してますわぁぁおっねぇさまぁ―――ぁあばばばばばば!!!」
美琴「まったく油断も隙もありゃしない、フン」
黒子「ちょ、ちょっと抱きつこうとしただけです、の……ガクッ」
涙子(照れ隠しだよね、あれって)
飾利(ですね、二人とも)
[16:33 とある喫茶店 2階ロフト]
飾利「皆さん、味的にはどうでした?」
涙子「うーん、普通かなぁ」
黒子「突出した点はありませんわね」
美琴「私、店の雰囲気は好きなんだけどなぁ」
飾利「じゃあまた次のお店をチェックしなきゃです」
涙子「4時半を過ぎたし、暗くならないうちに帰らないとだね」
美琴「じゃあ私先に会計しておくわ。
(下から覗かれないように最初に降りようっと)」
涙子「ごちでーす!」
飾利「ごちそうさまでーす」
黒子「ごちそうさまですの」
ヒュインッ
涙子「あ、だからズルいって!」
飾利「この階段下りると急で怖いですね……」
涙子「白井さん、私達も連れてってくれたらいいのに~」
[16:35 とある喫茶店前]
涙子「じゃあ、私達はこっちの方角なんで」
飾利「ここでお別れですね」
美琴「うん、またね二人とも」
黒子「ごきげんようですの」
飾利「うう、両手が塞がっててバイバイできないですぅ」
バサァ!
飾利「ひい!? だからそれやめてくださぁーい!」
涙子「あんた花だのマスクだの買いすぎなのよ……。
んじゃ代わりに私が両手でバイバーイ!」
美琴「元気ねえ、佐天さんは」
黒子「あの天真爛漫さは羨ましいですわね」
[16:51 常盤台中学 学生寮 入り口付近]
黒子「……」
美琴「ねえ、黒子」
黒子「はい」
美琴「今の私、おかしいのかな」
黒子「ちょっとお浮かれ気味のようですが、まぁ普通の範囲だと思いますの」
美琴「ごめん、私が浮かれてる間に一番迷惑かけてるのはアンタだよね……」
黒子「お姉様……」
美琴「今度からは、せめて外泊申請してから出掛けるようにするわね。
寮監が納得してもらえるような理由を捻り出すのは大変そうだけど……」
黒子「そんな面倒な事しなくとも、わたくしのテレポートでちょちょいのちょい、ですの」
美琴「でもそれじゃアンタが寮監に……」
黒子「わたくしとて、咎める事に必死になるよりも
お姉様の幸せの一助になれる方が何倍も嬉しいですわ。
ちょっと癪な気持ちはございますけれど……わたくしもあの殿方を信じてみますの」
美琴「黒子……」
黒子「ただ、重ねてご忠告申し上げますが、避妊だけはしっかりなさってくださいまし!
お姉様のクラスで問題になったような、あのような事が
お姉様自身に降り掛かるのは耐えられませんの」
美琴「そこは勿論よ。それに……」
黒子「それに?」
美琴「……もしそうなっても、アイツならきっと、いいパパになってくれると思うの」
黒子「ほねぇぇぇさばぁぁぁ―――!?
それだけは何があっても許されませんですのぉぉぉ―――!?」
寮監「相変わらずかしましいな貴様達は」
美琴「げっ」
黒子「げっ」
寮監「ところで御坂。貴様、昨夜は無断外泊したな?」
美琴「あわわ、あわわわわ……!」
寮監「連帯責任で二人とも折檻だ」
黒子「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ……!」
グギャッ
コキャッ
[22:31 常盤台中学 学生寮 208号室]
美琴「くっそー、まだ首が痛い……」
黒子「二晩連続で首がががが」
美琴「ごめんね黒子」
黒子「こ、このくらい耐えてみせますの」
美琴「じゃあね、おやすみ」
黒子「おやすみなさいませ、お姉様」
美琴「……」
ポチポチポチ……
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【From】Mikoto-misaka@tokiwadai-jh.ed.jp
【To】 Touma-kamijyo@toaru-hs.ed.jp
【Sub】 報告
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黒子達に全て打ち明けました。
みんな受け入れてくれて感謝です。
持つべきものは友達ですね(*´ω`*)
寮監のことはなんとかしますので、
再来週もまた宜しくお願いします。
来週のパーティーも楽しみです。
ではおやすみなさい、当麻。
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美琴「ふふっ、なんでメールだと敬語なんだろ、私」
……
……
……
……
ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪
美琴「!」
ポチポチポチ……
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【From】Touma-kamijyo@toaru-hs.ed.jp
【To】 Mikoto-misaka@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:報告
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いい友達を持って良かったな。
白井も根はいいヤツだよな~。
来週のことはよろしく頼みますよっ。
俺よりむしろインデックスの方が
テンション高くなっちまってるし(笑)
もちろん再来週も楽しみに待ってるよ。
おやすみ、美琴。
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美琴(私、幸せだなぁ……でも今日は布団の中が少し肌寒い……。
当麻、またアンタに抱きしめてもらえるの、楽しみにしてるんだからね。
今度泊まりに…行くときは…もっと……とうまと……zzz……)
[06:13 常盤台学生寮 208号室]
美琴「んむ……むにゃむにゃ……
……んふ、とーまはイッた後に……こうやって
ぺろぺろ~ってされるのが……好きなのよね♡……
……だぁーめ♡ イくまで……逃がさないんだから♡……
やんもう……そこは舐めちゃダメ♡……やっぱり舐めてぇ♡……
……もっと……いっぱい動いて……いいよぉ……とーまぁ♡……
……んふふー……スキンはまだ沢山……あるんだからね~♪……むにゃ……」
黒子(わたくしの麗しきお姉様に何を仕込んどるんじゃコルアァァァ!?
やっぱりあの類人猿、絶対にコロしてやりますのぉぉぉ~~~!!)
- True End…? -