part1 【前編】 【後編】 part2 【前編】 の続きです
元スレ
一方通行「そンな実験で絶対能力者になれるわけねェだろ」part2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1304763529/
―とある公園
一方通行(垣根は大怪我でしばらく安静、超電磁砲は学校、結標は壁のシミ)
一方通行(絹旗は一緒に出かけたくねェつって留守番……反抗期ってヤツか?)
一方通行(だが久しぶりだなァ、こうして一人で公園でぼんやりすンのも……)
一方通行(この数ヶ月いろンな事があったからなァ……)
一方通行(……)
一方通行(………)
一方通行「ろくな思い出がねェ!!!」ガターン
一方通行「……思い出してたらまた引き篭もりたくなって……あン?」
<ガサガサガサ
一方通行「草むらに何か……運命?……は流石にねェよな」
<ガサガサ……ニャーン
一方通行「ンだ、猫かよ」
猫「にゃーん」
一方通行「白ェなオマエ、ちょっと親近感湧くわ……捨て猫かァ?」
猫「なーなー」
一方通行「まだ子猫じゃねェか……こンな小せェのが捨てられるなンざ世も末だなオイ」
猫「にゃーにゃー」
一方通行「ン、なンだ?」
猫「ゴロゴロ」
一方通行「擦り寄ってくンなよ、反射切らなかったら怪我してたぞオマエ」
猫「にゃー」
一方通行「飼って欲しいのかァ?……生憎、俺ン家はもォペットみてェのが何匹かいるンだよ……」
猫「なー……」
一方通行「……待てよ、オマエ、メスか」
猫「にゃ!?」
一方通行「いやいや取って喰おうってわけじゃねェから、そンな毛ェ逆立てンな
ていうか人間の言葉理解してンのかオマエ?」
猫「にゃーん?」
一方通行「まァ猫であれなンであれ、俺を頼ってくれた女の子を邪険に扱うわけにはいかねェよな」
一方通行「つってもどォすっか……あァ、研究所で飼ってもらやいいのか、妹達も喜ぶだろ多分」
猫「にゃあ!」
一方通行(猫を連れて行く→きゃあ可愛い!ありがとう一方通行!→オマエの方が可愛いよ
→やだ素敵、抱いて!)
一方通行「これだな」ウン
一方通行「よし行くぞ、オマエを飼ってやる」
猫「んでんで」
一方通行「オマエホントに猫か?」
―――――――――――――――
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――――
―研究所前
一方通行「……ノリで連れて来たけどよォ、精密機械やら無菌室がある研究所で動物飼えンのか?」
一方通行「今更やっぱ無理なンじゃね?って気がしてきたわ……」
猫「にゅうにゃあ」
一方通行「まァ行くだけ行ってみるかァ」
「おや?そこにいるのは一方通行ではありませんか、とミサカは気さくに声をかけます」
一方通行「お?おォ、丁度良かった」
「何が丁度良かったのです?とミサカは首を傾げ……む、何を抱えているのですか?」
一方通行「あァこれな、今からコイツを……」
猫「にゃーん」
「……一方通行」
一方通行「あ?」
「このミサカは割かし心が広い方です、とミサカは自負します」
一方通行「ン?」
「加えて特殊性癖にもある程度の理解があります、妹達にも色んなのいますし」
一方通行「何言ってンだ?」
「それでも、ガチ獣姦は流石に引きますよ、しかもそんな子猫相手に……とミサカはドン引きします」ウワァ
一方通行「獣か、ハァ!?違ェよ!!」
「いやまぁ、あなたの股間の一方通行的にはその位の小動物がベストサイズなのかも知れませんが、
例えあなたがどれ程のクズでも、どんな理由を並べても!
それでその猫ちゃんが犠牲になっていいことにはならねぇだろうが!!
とミサカはどこぞの改心した悪党のように熱く言い放ちます」
一方通行「だから違ェつってンだろォが!!あと俺のはそンなに小さくねェから!!」
「そんなモヤシ体型で人並み以上のモノ持っててもそれはそれで引くわぁ」ウヘェ
一方通行「なンかどっかで覚えがあるぞこのやり取り!!何なンだオマエ!?」
「どうもこんにちは、『可愛くなすぎて逆に可愛い』と話題沸騰、11111号です
とミサカは自己紹介をしてみます」
一方通行「……あァ、オマエか」
11111号「おや、覚えてらっしゃいましたか、とミサカは意外と物覚えのいい一方通行に感心します」
一方通行「そりゃァ俺が引き篭もる切欠になったヤツですからねェ」
11111号「あれ、根に持ったりしてるんですか?ちょっと存在全否定したくらいで」
一方通行「ちょっとじゃねェよ!!夢にまで出たわ!うなされたわ!!枕が涙で濡れたわ!!」
11111号「気持ち悪い光景ですね、とミサカは割りと素で言い放ちます」
一方通行「ちくしょォ……」
11111号「しかしある意味お互い様ですよ?とミサカは一方的に恨みを口にする一方通行に意義を申し立てます」
一方通行「あァ?そりゃどォいう……」
11111号「ミサカ達が作られたのは絶対能力進化の為です、
つまり実験をする事だけがミサカ達の存在理由であり存在価値だったわけです
それなのにあなたは実験開始しませんし、こりゃもうミサカ達の存在が否定されてるようなもんでしょう
あなたへの態度も辛辣になろうと言うものですよ、とミサカはぶっちゃけてみます」
一方通行「そォ、なのか……?」
11111号「ま、今となっては感謝していますけどね。お陰様で生きる喜びが理解できました
とミサカは感謝の気持ちを表明してみます」
一方通行「生きる喜び?」
11111号「えぇ、あなたを弄るという生き甲斐が見つかったお陰で、とミサカは親指を立てます」
一方通行「うン、まァわかってたけどよ、そォ来るのは……」
11111号「話を戻しましょうか」
一方通行「そォだな」
11111号「『可愛くなすぎて逆に可愛い』って失礼ですよね
このミサカはこんなにも愛らしいというのに、とミサカは憤慨します」
一方通行「そこに戻ンのかよ!!もうちょっと戻せよ!!」
11111号「もうちょっと、と言うと……え、やっぱりあなた獣姦……」
一方通行「わざとやってンだろオマエ!?」
11111号「まぁ冗談はさて置き、どうしたんですかその猫ちゃん、とミサカは真面目に首を傾げます」
猫「なーん」
一方通行「あァ、公園で拾ったンだよ……で、そのなンだ、オマエら喜ぶンじゃねェかなって……」プイ
11111号「今のあなたはちょっと可愛かったですけどやっぱりキモいんで死ね」
一方通行「フリーダムにも程があンだろオマエ、もうちょっとオブラートに包めよ
終いにゃ俺も泣くぞ、引き篭もるぞ」
11111号「顔面にオブラート貼り付けて窒息して死ね」
一方通行「そォいう事じゃねェ!!」
11111号「でまぁあなたの気遣いは素直に嬉しいですよ、
ミサカ達も同年代の女の子達と同様、可愛いものは大好きですから
とミサカは目を輝かせて猫ちゃんを眺めます」
一方通行「そりゃ良かった、おら、めンどくせェからオマエが抱いてろ」ズイ
猫「にゃあ」
11111号「あ、ちょっとあんまり近付けないで下さい、ダメなんですよ……」
一方通行「あァ?」
猫「に゛ゃ」ビリッ
11111号「あぁほら、猫ちゃんが驚いてしまったではありませんか、とミサカは強引な一方通行を窘めます」
一方通行「ン?どォなってンだ?」
11111号「ミサカ達、というか発電系能力者は常に微弱な電磁波を纏っているんですよ
その為小動物と直に触れ合う事は出来ないのです、とミサカはしょんぼりしてみます」
一方通行「そォか、そいつァ悪かったな」
猫「にゃーん♪」ビリビリ
一方通行「……なンか気に入ってるみてェだぞ」
11111号「おぉぉ、まさか電磁波を物ともせずにミサカに擦り寄ってくるとは……
さてはこの猫、ドMですね?とミサカは推測してみます」
一方通行「なンですぐそォいう方向に持って行こうとするンだよ!?」
猫(うひょォ!!ビリビリくるぜ!堪ンねェ!!もっと痛みをくれェ!!)
11111号「とか思ってるに違いありません、とミサカは猫ちゃんを撫でながら頷きます」
一方通行「絶対思ってねェよ!つかなンでちょっと俺っぽい喋り方してンだよ!?」
11111号「あなたもドMですし」
一方通行「違ェよ!!」
11111号「そうだ、名前を付けてあげなければいけませんね、とミサカは微笑みます」
一方通行「ン?あァ、そォだな」
11111号「うーん……よし決めました」
一方通行「早ェなオイ」
11111号「『イヌ』と名付けましょう、とミサカは自分の命名センスにドヤ顔になります」
一方通行「無表情のままじゃねェか、つーか猫なのにイヌっておかしいだろ……」
11111号「何を勘違いしているんです?」
一方通行「あ?」
11111号「このミサカが『イヌ』と名付けたのは猫ちゃんではなくあなたに対してですよ?
とミサカは可愛らしく小首を傾げます」
一方通行「おいィ!!?」
11111号「ほらイヌ、お手、とミサカは一方通行改めイヌに向かって手を差し出します」
一方通行「ぶっ殺すぞテメエ!!!」
11111号「そうそうそんな感じです、とミサカは一方通行に向かって微笑みます」
一方通行「あァ?」
11111号「妹達に対して無理に優しくしたり変に気取ったりするよりも、
素の状態で暴言吐いたりしてる方がよっぽどあなたらしくて好感が持てますよ
とミサカはアドバイスをしてみます」
一方通行「……そォいうモンなのか」
11111号「そういうモンです。そうでなければ張り合いがありませんし、恨みの晴らし甲斐もありません
とミサカはくつくつと喉を鳴らします」
一方通行「恨みィ……?」
11111号「いえいえこっちの事です、お気になさらず。MNWって色々な所に繋がってるんですよ
とミサカは遠い目で意味深な事を呟きます」
一方通行「はァ……?」
11111号「しかしあなたは当初に比べて随分成長しましたよね、
とミサカは猫ちゃんを撫でながら話を逸らします」
一方通行「ハッ、まァな。第一位の学習能力舐めンじゃねェぞ」
11111号「素晴らしい、とてもズボン脱ぎながら布束砥信を追い掛け回していた男とは思えませんね
とミサカは当時の微笑ましい光景を思い出します」
一方通行「あァうン、そンな事もありましたっけェ……」
11111号「とても土下座しながら布束砥信に先っちょだけ先っちょだけと懇願していた男とは思えませんね」
一方通行「うン……」
11111号「とても布束砥信に『寿命中断!』と叫ばれて涙目になっていた男とは思えませんね」
一方通行「……」
11111号「まるで成長していない……とミサカは某バスケ部顧問のごとく唖然としてみます」
一方通行「うるせェよ!!布束ン時は偶々ハイになってたンだよ!!!」
11111号「と言いつつ妹達にも土下座行脚してましたけどねあなた、とミサカは冷たく指摘します」
一方通行「ぐ……」
11111号「まぁそれを思えば今こうやって普通に会話出来ているのでやっぱり成長してるんでしょうね
とミサカは立派に育った一方通行を慈愛に満ちた眼差しで見つめます」
一方通行「おかしいなァ、オマエの視線からは悪意しか感じとれねェよ……」
11111号「昔のあなたはミサカが隣にいるだけでギンギンでしたからね、とミサカは当時を振り返ります」
一方通行「おい」
11111号「バッキバキでしたよね」
一方通行「待てや」
11111号「半径数メートル以内にあなたがいるだけでイカ臭かったですからね、とミサカは……」
一方通行「有り得ねェだろォがァァァァ!!!!」
11111号「違いましたっけ?とミサカは首を傾げます」
一方通行「違ェに決まってンだろォが!!!」
11111号「では勃っていなかったと?」
一方通行「当たり前だ!!」
11111号「そうですか、ミサカ達はそんなに魅力がありませんでしたか、とミサカはしょんぼりします」シュン
一方通行「えっ」
11111号「あなたの妹達への愛はその程度だったんですね、とミサカは一方通行に冷めた視線を送ります」
一方通行「何?そォいう方向に持ってくの?」
11111号「あなたにはがっかりですよ一方通行、きっと他の妹達もさぞ肩を落とす事でしょう、とミサカは……」
一方通行「いやァギンギンだったわ!!オマエらの魅力でイッちまう寸前だったわマジで!!!」
11111号「……引くわぁ」ウワァァ
一方通行「どォ言えば正解なンだよ!?」
11111号「このミサカを楽しませるという点に関しては満点近いですよ
とミサカは童貞坊やを褒め称えます」
一方通行「ブチ殺しますよ?」
11111号「と言いつつ今晩はこのやり取りをオカズに……」
一方通行「しねェよ!!!」
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―――――――――
――――
―その頃、一方通行邸
結標「ふんふんふーん♪」サッサッ
絹旗(……超上機嫌で掃除してますね)
結標「さて、次はお洗濯かしら」
絹旗(ていうか今朝方超あんな目にあったのに何でもう回復してるんでしょう……)
結標「あっくんの着た服……ハァハァハァ……」
絹旗「超待てや」
結標「あ、な、何?どうしたの?」
絹旗「えっと……(超どうしましょう……余りにも超アレな光景だったのでつい声をかけてしまいました)」
結標「?」
絹旗「(とりあえず超当たり障りのない事を……)あ、あの結標は一方通行の超どこがいいんです?」
結標「あーそれ聞く?聞いちゃう?聞きたい?」ニコッ
絹旗(やっべ超地雷踏んだ気配がします……)
結標「あっくんはかっこいいしかわいいしー……」ペラペラ
絹旗「まぁ、超顔だけ見れば……」
結標「優しくて照れ屋さんでちょっと悪ぶっててー……」ペラペラ
絹旗「……」
結標「素直じゃないところがまたかわいくてー……」ペラペラ
絹旗「………」
結標「本当私のこと『お姉ちゃん』って呼びたいのに照れて呼べなかったりー……」ペラペラ
絹旗(……なるほど、ストーカーって本当に頭の中超花畑なんですね)
結標「それに初めて会ったときに『運命の人』なんて言ってくれてねー……」ペラペラ
絹旗(ストーキングされてるの超自業自得じゃないですか……)
結標「……で、やっぱり一番はかわいい所ね!」
絹旗「はぁ、そうですか……」ゲッソリ
結標「まだ聞きたい?」キラキラ
絹旗「いえ、もう超結構です」
結標「遠慮しなくてもいいわよ?もっとあっくんの良い所知りたいでしょ?」
絹旗「超勘弁してください……」
結標「それでねー……」ペラペラ
絹旗(うわあぁぁぁ……)
御坂「ただいまー」ガチャ
結標「あらお帰りなさい」
絹旗「た、助かりました……」
結標「残念だけどあっくんはどこかに行っちゃってて、今はいないわよ?」
御坂「知ってるわ、あいつ今研究所にいるもん」
結標「そうなの?じゃあちょっと行ってくるわね」ガタ
御坂「行ってらっしゃーい」
絹旗(どうして居場所を超把握してるんでしょう……)ジッ
御坂「……ん、どうかした?」
絹旗「え、あ、その……第三位はどうして……」
御坂「御坂美琴よ」
絹旗「はい?」
御坂「序列とか能力名で呼ばれるの好きじゃなくてさ、名前で呼んでもらえる?」
絹旗「あ、はぁ……それじゃえーっと、御坂でいいですか?」
御坂「構わないわ」
絹旗「御坂は超どうして一方通行のストーカーをやってるんですか?」
御坂「はぁ!?私がストーカー!?」
絹旗「えっ」
御坂「どうして私があんなヤツのストーカーしなくちゃいけないのよ!!」
絹旗「えー……部屋にまで超勝手に住み着いてて超何言ってんですかこの人……」
御坂「あのね、私はあいつを監視してるの」
絹旗「はぁ……」
御坂「ほら、あんた妹なら知ってると思うけど、あいつあんな性格であんな能力でしょ?
他にも理由はあるけど、とにかく野放しにするのは危険すぎるのよ……」
絹旗「なるほど、意外と超マトモな理由なんですね……ていうかぶっちゃけ私妹じゃないんですが」
御坂「あ、やっぱり?似てないもんね……じゃあ、あんた……」
絹旗「超拉致同然に連れて来られました……」
御坂「あいつは……」ハァ
絹旗「でも御坂が思ったより超普通の人で安心しました」
御坂「思ったより、は余計!」
絹旗「本当に超よかったです、御坂まで一方通行の事を超好きだ、とか言い出してたら頭が超どうにかなる所でした」
御坂「わ、私があいつの事を!?そそ、そんなわけ無いでしょ!!!」
絹旗「……え?」
御坂「な、何で私があいつなんかの事を……そうよ、私は監視してるだけなんだから……」ブツブツ
絹旗(あれぇー……)
御坂「そりゃぁさ、あいつ顔だけ見ればかっこいいし、何だかんだで私に優しかったりするけど……」ブツブツ
絹旗(やっべぇ超地雷ですよこれまた……)
御坂「いやでもそれだって本来妹達と仲良くしたいって言う下心があるからで……あ、でも……」ブツブツ
絹旗(頭が超どうにかなりそうです……)
御坂「大覇星祭の時とか身を挺して助けてくれたし……あの時の真剣な眼は……」ブツブツ
絹旗(麦野、超誤解してました……麦野はレベル5の中じゃ超マトモな部類だったんですね……)
御坂「そ、それに最近夜になるとなんだか身体が熱いし……」ブツブツ
絹旗「超何言ってんだこの女」
御坂「あーもう違う!違うわよ!!有り得ないわ!!」
絹旗「はい、もう超わかりました、わかりましたから……」
御坂「ううぅー……今日は寮に帰る!!」ダッ
絹旗「……はぁ」
絹旗(超マズイですね、このままここにいると私まで超洗脳されてしまう可能性が……)
絹旗(ん、ていうか何で私超律儀に留守番なんてしてるんでしょう?)
絹旗「……」
絹旗「よし、今の内に超自宅へ帰りましょう」テクテク
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――――
―絹旗邸前
絹旗「超到着です」
絹旗「やっぱり自分の部屋が超一番……ん?」
『入居者募集中』
絹旗「……は?」
絹旗「いやいや……え?」
『入居者募集中』
絹旗「……超どういう事ですか!?」ガン!
絹旗「こんなの超絶対おかしいですよ!!」ガンガン!!
絹旗「どンだけ手回しが早ェンですか一方通行ァァァァ!!!!」ガンガンガン!!
ガチャーン!!
絹旗「やば、ドアを超ぶち破ってしまいました」
絹旗「警報が鳴る前に超逃げなければ………うぅ、どうして私が超こんな目に……」ダッ
絹旗「まさか既に退去手続きがされているだなんて……これから超どうしましょうか……」トボトボ
絹旗「アイテムの隠れ家に……いえ、下手したら超裏切り者扱いですよね……」
絹旗「最悪、麦野に超真っ二つにされそうです……」
絹旗「……一方通行の家に超戻るしかないんでしょうか」ハァ
一方通行「ン、おォ絹旗、オマエも散歩かァ?」
絹旗「一方通行……」
一方通行「何しょぼくれてンだ?」
絹旗「いえ、超なんでもないです……」
一方通行「そォか?」
絹旗「えぇ、何かもう色々超諦めました……ところで結標があなたを探して超出て行ったはずですが」
一方通行「あァ、土に還った」
絹旗「……」
一方通行「それでも多分家に帰ったら普通に待ってるンだろォなァ……」
絹旗「もうちょっとした超ホラーじゃないですか……」
一方通行「やっぱなンか元気ねェなオマエ、アイスでも買ってやろォか?」
絹旗「超子供扱いを………いえ、やっぱりお願いします、出来ればクレープも」
一方通行「あァ?あンまり食うと晩飯食えねェぞ?」
絹旗「甘い物は超別腹ですから。ていうかあなたは良くストーカーの作った食事を食べられますね
一服盛られてる可能性とか超考えないんですか?」
一方通行「考えてるに決まってンだろ」
絹旗「超考えてたんですか」
一方通行「おォ、だから毎回こっそり俺の分と超電磁砲の分入れ替えてンだよ」ケラケラ
絹旗「……あぁ、御坂が超言ってた『夜になると身体が熱い』ってそういう……」
一方通行「ン?」
絹旗「いえ、超こちらの話です(私も超気を付けなければ……)」
一方通行「しかし、ストーカーどもはそろそろ本腰入れて追い出さねェとなァ……」
絹旗「え、いや別に超今のままでもいいんじゃないですかね?」
一方通行「あァ?」
絹旗「あのほら、大勢の生活って超楽しいですし!」
一方通行「ン……まァ妹のオマエがそォ言うンならもォしばらくこのままでもいいか」
絹旗(セーフ!こいつと二人っきりの生活なんて超ありえませんから!!)
一方通行「それじゃ結標と超電磁砲にもクレープ買って帰ってやるかァ」
絹旗「あなたはそういう態度だから超ストーキングされたりするんだと思います」
―とあるレストラン
麦野「はぁ……」
滝壺「むぎの大丈夫?さっきから溜息ばっかり吐いてる」
麦野「大丈夫よ、気にしないで……」
麦野(絹旗は第一位に攫われたらしいし、滝壺はあの一件以来何かニヤニヤしながら私のこと見てくるし……)
フレンダ「結局この前の一件以来元気が無いわけよ
そうだ、私が独自に編み出した元気の出る全身マッサージを……」
麦野(フレンダは馬鹿だし)
麦野(アイテムはもう終わりかしらね……)ハァ
フレンダ「私の顔見て露骨に溜息吐いた!?」
滝壺「大丈夫だよフレンダ、私はそんな馬鹿っぽいフレンダを応援してる」
フレンダ「何で私突然罵倒されてんの!?」
麦野(……滝壺のヤツ、実は私が経験無いってバラしたりしてないわよね……)チラッ
滝壺「……」ニコッ
麦野(一応口止めはしてるけど……)
滝壺「どうしたのむぎの?」ニコニコ
麦野「う、ううん、何でもないわよ?」
麦野(あああダメ、あの笑顔を純粋な目で見れない……)
フレンダ(結局なんで麦野こんなにテンション低いのよ?)ヒソヒソ
滝壺(やっぱりこの前の素粒子工学研究所の一件が原因だと思う)ヒソヒソ
フレンダ(でも第二位に勝ったって聞いたわよ?
結局第一位なんてイレギュラーがいた中で良くやったと思うんだけど)
滝壺(……あれ勝ったっていうのかな)
フレンダ(??)
滝壺(なんでもない。多分きぬはたが攫われちゃったのがショックなんじゃないかな)
フレンダ(麦野……そんなに仲間想いだったなんて……)
滝壺(むぎのは乙女だよ)
フレンダ(乙女て)
麦野「二人とも何コソコソやってんだ」
フレンダ「け、結局なんでもないわけよ」
滝壺「気にしないでむぎの」ニコ
麦野「う……(『私のやる事に干渉するな、バラすぞ』って言いたいのね、滝壺!!)」
フレンダ「結局どうしたのよ麦野?何か汗かいてるけど……舐めようか?」
麦野(どうしよう、いっそ滝壺の口を封じちゃおうか……)
フレンダ(あれ、いつもみたいに激しいつっこみが来ない……)
麦野(でもそうすると馬鹿っぽいフレンダと二人きりになっちゃうし……)
フレンダ(結局沈黙は肯定でいいわけよね?)ススス
麦野(滝壺の『能力追跡』はうちの要だしこんな所で……)って何してんだフレンダァァァ!!!」シュッ
フレンダ「ぐはぁ!!!」バコン
滝壺「ナイスアッパー」グッ
フレンダ「うぅ、結局私はただ麦野を元気付けようと……」
麦野「何処の世界に舐められて元気出す馬鹿がいるのよ!?」
滝壺「でも実際ちょっと元気になってるよね」
麦野「あぁ!?」
滝壺「なんでもないよむぎの」ニコッ
麦野「チッ……でもそうね、最近の態度は私らしくなかったわね」
フレンダ「そうそう!麦野はやっぱり皆を引っ張ってくれなくちゃ!」
滝壺「頑張るむぎのを応援してる」
麦野「それじゃ丁度仕事も入ってない事だし、前向きに絹旗を取り返す作戦でも考えるか」
フレンダ「おー!……って言いたいところだけど、結局相手はあの第一位なわけよね……」
滝壺「直接見たのはフレンダだけだよね、どんな感じだったの?」
フレンダ「やること為すこと滅茶苦茶だったわ……結局チートとしか言いようが無いわけよ」
麦野「何の参考にもならないわね」
フレンダ「でも付け入る隙はあると思う。こうして私も大した怪我なく生きてるわけだし、
結局かなり甘い性格だと思うわけよ」
滝壺「まずどこにいるのか突き止めないといけないよね」
麦野「そうね……滝壺の能力追跡で第一位を記録出来てればよかったんだけど」
フレンダ「結局第一位と遭遇したのは私と絹旗だけだったから……」
麦野「下部組織に探させるか……ん?」
カランコローン♪
「いらっしゃいませー、何名様でしょうかー?」
垣根「あ、二人です」
一方通行「ファミレス来るのなンて久々だなァ」
麦野「」
フレンダ「」
「お煙草は吸われますか?」
垣根「いえ、禁煙席でお願いします」
一方通行「さァて、何食うか」
フレンダ「え、え?結局、あれ第一位と第二位よね!?」
麦野「大声出すな!……流石に二人同時に相手にするのは分が悪いわ、ここはやり過ごすわよ」
滝壺「仲良さそうだね、あの二人」
「ではこちらにどうぞー」
垣根「はいよ」
一方通行「おォ」
フレンダ「ッ!!こっちに来る!!」
麦野「顔伏せろ!今気付かれるのはマズイわ!」
滝壺「ん……」
垣根「……ん?」テクテク……ピタ
一方通行「あ?」ピタ
麦野「……」
フレンダ「……」
滝壺「……」
垣根「……すいません、知り合いがいたんで案内はいいです」
一方通行「ン?」
麦野「!!?」
フレンダ「!!!」
「かしこまりました、それではごゆっくりどうぞ」
麦野「……」
フレンダ「……」
滝壺「……(南南西から信号が来てる)」
垣根「よう、久しぶりだな」
一方通行「ン、あァ、何かと思ったらコイツらアイテムの連中じゃねェか、何で顔伏せてンだ?」
麦野「……はぁ?人違いでしょ、テメエらみてぇなイカ臭ぇ連中知らないわよ」
垣根「つれねぇなぁ、あんなに激しく愛し合った仲じゃねぇか」ククク
麦野「あぁ!?適当言ってんじゃねぇぞ童貞野郎が!!」
一方通行「金髪、悪ィけど詰めてもらってもいいかァ?」
フレンダ「え?あ、うん、どうぞ……」
麦野「うおおい!!ちゃっかり居座ろうとしてんじゃねぇぞ白もやしが!!!抵抗しろフレンダァァァァァ!!!」
フレンダ「無理、無理!」ブンブン
麦野「アンタ後でお仕置き確定だかr隣に座ってんじゃねぇぞ第二位がああああ!!!」
垣根「お仕置きって何すんの?エロい事?……いや、麦野には無理か」
フレンダ「え?」
麦野「おおおおお!!!それ以上喋りやがったらマジで殺すぞ第二位!!!!」
垣根「ハハッ、出来もしねぇ事を。 しかし、こうしてまた偶然出会えるって運命だと思うんだよ」
麦野「そうね戦う運命なのねちょっと表出ろやクソ野郎が」
垣根「おい、戦う理由なんてねぇだろ、仕事は終わってんだからもう敵同士でも何でもねぇ
オンオフの切り替えはしっかりしていこうぜ?」」
麦野「何で私が諭されてるんだよ!!仕事関係なくこっちはテメエにムカついてんだよ!!」
垣根「え、何?オマエあんだけやっといてまだ俺にムカついてんの?
オマエに蹴られた俺のジュニア危うく潰れる所だったんだぞ?見る?」
麦野「自業自得だ馬鹿!!見ないわよ馬鹿!!」
一方通行「すいませェーン、注文いいですかァー?」
垣根「おい一方通行、店員呼ぶときはちゃんとスイッチ押せ、恥ずかしいだろうが」
麦野「何なのよアンタらああああ!!!」
一方通行「第一位の一方通行ですがァ?」
垣根「第二位の垣根帝督だ」
麦野「そういう事じゃ……いや、もういいわ……」ハァ
滝壺「大丈夫だよむぎの、そんな苦労人なむぎのを私は応援してる」
フレンダ「ていうか結局第一位も第二位もこんなに軽いノリだったの……?」
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麦野「で、テメエら何が目的だ?」
一方通行「ファミレスに食事以外の何の目的で来るってンだ?」モグモグ
垣根「いつも使ってる喫茶店が臨時休業しててな」モシャモシャ
麦野「あっそ……何かもう、一人で真面目にやってる私が馬鹿みたいだよ……」ハァ
フレンダ「負けないで麦野!」
滝壺「むぎの、きぬはたの事聞こう?」
麦野「あ?あぁそうね……おい第一位、テメエうちの絹旗をどうしやがった?」
一方通行「あァ?アイツなら元気にしてンぞ、昨日もクレープ貪ってたわ」
麦野「はい?」
一方通行「今日はB級映画ハシゴするつって出かけてったな」
麦野「……」
フレンダ「……」
一方通行「あの歳で駄作映画見るのが趣味なンて、兄として先が心配だぜ……」ハァ
麦野「何憂鬱げに溜息吐いて……いや、は?兄?」
フレンダ「結局、どういう事……?」
一方通行「あ、事後報告になるがアイツは暗部から抜けさせたからな
兄として妹を危険な現場に置いとくわけにはいかねェ」ウン
麦野「だから兄とか妹とかって何!?つーか何勝手な事してんだ!!
あんなチビでもうちの大事な前衛だぞ!!」
一方通行「あァー……仕方ねェな、絹旗の抜けた穴は俺が埋めてやる
必要な時に連絡してくれりゃ駆けつけてやンよ」
麦野「え、マジ?第一位が私の手駒になってくれんの?」
フレンダ「ちょ、麦野!結局絹旗はどうするのよ!?」
麦野「フレンダ、絹旗はまだ幼いわ。私達と違ってまだ光の当たる世界に戻れるかもしれない
こんな濁った世界にいるべきじゃないのよ、第一位ならきっと大切にしてくれる」
フレンダ「いや、いや、いや!!良い事言ってるっぽいけど結局本心は第一位の力が目的でしょ!?」
滝壺「打算的なむぎのを私は応援してる」
一方通行「話も纏った所で携帯番号の交換でもしとくかァ」
麦野「そうね、絹旗が抜けた分しっかり働いてもらうから」
垣根「待て一方通行!!」
一方通行「あァ?」
垣根「何勝手にフラグ立てようとしてやがる!!麦野は俺のだ!!」
麦野「誰がテメエのだ!?調子こいてんじゃねぇぞ童貞が!!」
垣根「うるせえ処女が」
麦野「ぬが……だ、誰が!!!」
フレンダ「そうだそうだ!経験豊富なお姉さんポジションの麦野を馬鹿にするなー!」
滝壺「ク……」プルプル
麦野「……おい滝壺、何噴き出しそうになってんだ」
滝壺「なんでもない……経験豊富(笑)な麦野を私は応援してる」
麦野「……」
滝壺「……」ニコッ
フレンダ「……どうしたの麦野?」
麦野「何でもないわ……ちょっと目にゴミが入っただけよ……」グスン
一方通行(あの滝壺って女……11111号と似た気配がしやがる……)ゴクリ
垣根「それでだ麦野、一方通行より俺と携帯番号交換しようぜ」
麦野「テメエと交換してもメリット一切ねぇだろうが」
垣根「スクールの持ってる情報を横流ししてやろう」
フレンダ「結局組織のトップがそんなんでいいわけ!?」
垣根「女と仕事なら俺は迷わず女を取る」
一方通行「わかってきたじゃねェか垣根」
麦野「つーかテメエはあんだけの事やっといて何で私と良好な関係を築けると思ってんだ?」
垣根「んだよ戦ってるときはちゃんと加減してやっただろうが、気付けよ俺の優しさに」
麦野「加減してただと……いやそこじゃないわよ、その後だその後」
垣根「その後っつーと、はて何をしたかな俺は」
麦野「あ?」
垣根「何したっけなー、ちょっと口で説明して貰えませんかね麦野さん」ニヤ
麦野「テメエがパンツ脱ごうとしながら迫って来たんだろボケが」
フレンダ「うわぁ……」
一方通行「ンな事やってたのかオマエ……あ、だからズボン脱げてたのな」
垣根「………恥じらえよ!!あん時みたいに可愛く悲鳴上げろよ!!!
赤くなって慌てるオマエの姿を期待してた俺のリビドーはどうすりゃいいんだよ!!!」ガターン
麦野「だ、誰が悲鳴上げたって!?馬鹿も休み休み……」
垣根「そういや卑猥な言葉には耐性があるんだったな……
そっかー、オマエやっぱり現物見せないと恥じらってくれないかー」ゴソゴソ
麦野「お、テメ、現物ってまさか……ベルトに手ぇかけてんじゃねぇぞコラ!!」
垣根「お、ちょっと焦って来た?いいぜその顔……」ククク
フレンダ「ふん、結局麦野を甘く見すぎなわけよ!!いくら粗末なモノ出したって、
麦野が本気出せばそっちが泣いて謝るまで真顔でガン見することもできるのよ!!」
一方通行「ふゥン、見た目の通り経験豊富でドSなンだな第四位は」
垣根「ほぉ、そいつは楽しみだ」ニタァ
麦野(フレンダァァァァァ!!!!)
滝壺「逃げ場がなくなっちゃったねむぎの」ニコッ
麦野「あ、ぐ……」
フレンダ「どしたの麦野、顔赤いよ?結局熱でもあるの?」
滝壺「なんでもないよフレンダ、天然なフレンダを私は応援してる、心から」
フレンダ「?」
垣根「さぁて、それじゃ……」カチャ、ジー…
麦野「ううぅぅぅ……」
一方通行「おい待て垣根、こンな所で出そうとしてンじゃねェ」
麦野(第一位!!!)パァッ
垣根「ん?大丈夫だろ、ちゃんと周りからは隠すから」
一方通行「いやいやそういう問題じゃねェだろ、今日のオマエなンかテンションおかしいぞ?」
垣根「ハッ、そんだけ麦野に本気だって事だ」
一方通行「本気だったら人前で脱ぐのかよ………いや俺もあンまり他人の事言えねェか」ボソ
垣根「あ?」
一方通行「なンでもねェ。とにかく頭冷やせ、脱いでもいい事なンてねェから絶対」
垣根「………チッ、まぁ冷静に考えりゃ確かに頭おかしかったな俺」
滝壺「冷静に考えなくてもおかしいよね」
フレンダ「えー結局出さないわけ?つまんねー!麦野の超ドSプレイが見れると思ったのに!!」
麦野「フレンダ、後でお仕置きな、マジで」
フレンダ「何で!?」
滝壺「よかったねむぎの」ニコニコ
麦野「…………そうね」
垣根「よし、それじゃ携帯番号交換しようぜ」
麦野「お前今の流れで交換してもらえると思ってんのか?」
絹旗「アイテム会で私の出番が無いって超どういう事なんでしょう?」
絹旗「こんなの絶対超おかしいですよ!!」
絹旗「超わけがわかりませんよ!!」
絹旗「契約して超魔法少女になるレベルですよ!!」
絹旗「そういえば一方通行も超目が赤くて全身白いですよね」
絹旗「……超眷属?」
― 時は少し遡り十月の初頭、一方通行邸
一方通行(あの名前も覚えてねェおっさンのせいで妙な疑惑が立ったのが一週間くらい前)
一方通行(疑惑は晴らしたが研究所で生活し辛くなっちまったから、仕方なく自分の家に戻ってきて数日……)
結標「おかえりなさいあっくーん!」
一方通行(……毎日コイツが家の中にいる)
結標「御飯にする?お風呂にする?それともー……」
一方通行(追い出しても追い出しても能力で入って待ち構えてやがる……キリがねェ……)
結標「やっぱりお姉ちゃんがいいかなー?」
一方通行(……もォいっそ追い出さなくてもいいンじゃねェか?
俺に反射がある以上、コイツは俺に危害は加えれねェンだしよォ)
結標「あれれ、あっくん、どうしたの?」
一方通行(無料で家政婦が手に入ると思えば意外と悪くねェかも知れねェな……)
結標「いつもならそろそろ熱い一撃が……」
一方通行「おい結標」
結標「!!?……な、なに?」ビク
一方通行「なンでそンなにビビってンだよ……腹減ったから飯にしてくれ」
結標「う、うん、わかったわ!すぐ作るから!!」パァァ
一方通行「おォ、頼むわ」
結標「待っててね!愛情たくさん入れるから!!」ダッ
一方通行「いや変なモンは入れなくていいです」
一方通行(馬鹿とハサミは使いようってなァ、上手く利用してやれば楽出来そうだ)ククク
御坂「一方通行いるー?」ガチャ
一方通行「……あァ?」
御坂「やっほー、お邪魔するわよ」
一方通行「いやいや、鍵かけてたはずなンですけどォ?」
御坂「私の能力を忘れたかしら?」バチバチ
一方通行「能力悪用してンじゃねェ!!何の用だ!?」
御坂「何の用って……監視に決まってるじゃない」
一方通行「馬鹿かオマエ!!監視っつーンなら遠くからバレないようにやれ!!
生活にまで直に干渉して来ようとするンじゃねェ!!!」
御坂「だって近くで監視しとかないとあんた結標さんと一線越えそうだし……」
一方通行「越えねェよ!!絶対に有り得ねェ!!」
御坂「ま、とにかくそういうわけだからしばらく厄介になるわね」
一方通行「話聞けェ!!厄介になるってなンだよ!?」
御坂「え?ここで生活しながらあんたの監視するって意味だけど」
一方通行「おいィィィ!!ふざけンなァァァ!!!」
御坂「ふざけて何かないわよ!学校の間は妹達が代わりに監視してくれてるけど夜は流石に頼めないし……
寮暮らしじゃ監視にも限界があるんだから仕方ないじゃない!!」
一方通行「何が仕方ねェンだよ!?つーか寮はどォしたンだオマエ!!?」
御坂「あー大丈夫大丈夫、能力向上の為にしばらく第一位と共同の計画やるから
しばらく寮には戻らなくても良いって事になってるから」
一方通行「ハァァァァァ!?知らねェぞそンな計画!!!」
御坂「私の能力を忘れたのかしら」ドヤ
一方通行「テメエ……どっかの研究所にハッキングかけてありもしねェ計画を捏造しやがったな……」
御坂「フフン、情報戦なら私はあんた以上よ!妹達も協力してくれたしねー」
一方通行「この野郎……」
御坂「ま、そういうわけだからしばらくお世話になりまーす、確か部屋余ってたわよね?」
一方通行「もォ好きにしろ……どォせオマエも追い出しても戻って来るンだろ……」
御坂「じゃあ好きにさせてもらうわ……って、何か変な臭いしない?」
一方通行「あァ?……そォいや……台所か?」
結標「あっくーん、御飯できたわよー!あら、御坂さん来てたのね、一緒に食べる?」
御坂「あ、じゃあ折角だから頂いちゃおうかな」
結標「そう、じゃあ皆で食べましょ。料理運ぶから先にテーブルに着いてていいわよ」
御坂「それじゃお言葉に甘えて……一方通行、どうしたの?」
一方通行「……いや、なンかすげェイヤな予感がすンだよ」
御坂「?」
結標「お待たせー」コト
一方通行「……あ?」
御坂「……え?」
結標「どうぞ、食べていいわよ」
一方通行「………これは」
御坂「………何?」
結標「野菜炒めだけど……ご、ごめんなさい
あっくんが早く食べたいって言うから簡単なものしか作らなかったの」
一方通行(そォいう問題じゃねェ!!野菜炒め!?この半固形状の物体が野菜炒めだとォ!!?)
御坂(何をどうしたらこうなるのよ!?ヘドロみたいになってるじゃない!!)
結標「愛情はたっぷり入れたから、食べてみてあっくん」
一方通行(食べろっつーのかコレを!?こうして目の前にあるだけで目が痛くなるコイツを!?)
御坂(何かおかしいと思ったら嗅覚が麻痺してる……この野菜炒め(仮)にやられたのかしら……)
結標「あっくん?」
一方通行(無理だ、こンなモン捨てて……)
御坂(ダメよ一方通行!あんた結標さんが折角作ってくれた物を一口も食べずに捨てるつもり!?)ヒソヒソ
一方通行(だってオマエ、これは……)ヒソヒソ
御坂(食べてみたら美味しいかもしれないじゃない!!流石に手をつけずに捨てるのは失礼よ!!)
一方通行(だったらオマエから……)
御坂(妹達に……)
一方通行「(食べさせて頂きます)……いただきます」パクッ
結標「どうかな……?」
一方通行「……」
御坂「……」
結標「……」
一方通行「……かふっ!」ブハァ
結標「あっくん!?」
御坂「吐血した!?」
一方通行(な、ンだコイツ……マズイ、なンてモンじゃねェ、死ぬ!!)
一方通行(ただの毒物なら反射出来るはず……一体、何を入れやがった!?)
一方通行(解析しろ、解析しろ、解析しろ!!この野菜炒めは何によって構成されてやがる!?
俺の身体を蝕ンでやがるこの毒はなンだ!?解析して、無効化を……)
一方通行(野菜炒めに含まれているモノ……にんじん、ピーマン、玉ねぎ、豚肉……)
一方通行(Unknown……解析、不能……だとォ……!?何なンだコイツはァァァ!!!)
一方通行(……待て、コイツは……俺はコイツを、コイツに良く似た物質を知ってる……ッ!!)
一方通行(間違いねェ、コイツは……)
一方通行(未元物質!!!)
一方通行(結標の野郎、料理で未元物質を作り出しやがった……ッ!!!)
一方通行(落ち着け、垣根とやりあった時の要領だ……少しずつ解析を進めて……
ぐ、毒の進行が思ったより早ェ……間に合うか……ッ!?)
一方通行「……」
結標「あっくん……?」
御坂「一方通行……?」
一方通行「……ギリギリ、セーフだ……危ねェ所だったぜ……」ゼェゼェ
結標「もう、あっくんったら美味し過ぎて血を吐くだなんて、大袈裟すぎよ」
一方通行「どンだけポジティブだよ!?」
御坂「あ、あの私やっぱりお腹空いてないかなー、なんて……」アハハ
結標「遠慮しなくていいのよ御坂さん?」
御坂「いやいやホント!実は来る前に晩御飯食べてきててさー!」
結標「そう?それなら女の子だし無理に食べさせるわけには……」
<ぐ~
一方通行「……おい超電磁砲、オマエ……」
御坂「」グゥ~
結標「お腹が鳴ってるわよ?んもう、遠慮なんてしなくていいのに」ニコッ
御坂「いやあのこれはその……」
結標「ほーら、食べて?」
御坂「あ、ははは……」
結標「無理なダイエットは身体に毒よ?それとも座標移動で食べさせて欲しい?」
御坂「」
(私が何したっていうのよ……)
どう足掻いても、絶望。
御坂は涙目になりながら野菜炒め(仮)に箸を伸ばす。
先程の一方通行の反応を見る限り、これは間違いなく猛毒だ。
それも彼の演算力と最強の能力を以ってしてようやく分解が追いつくという程の。
今すぐ投げ捨てたい気分だが、結標に悪気が全く無いだけにそれもやり辛い。
(皆、ごめんね……)
ゆっくりと、野菜炒め(仮)を箸で持ち上げる。
彼女の脳裏に浮かぶのはこれまで送って来た幸せな日々。
平凡ではあるが、かけがえの無い日常。
まさかこんな所で終焉を迎えるなど、一体誰が予想しよう。
(……)
ギュッと目を閉じ、意を決して口を開く。
それは死へのカウントダウン、今の彼女の心境は正しく、十三階段を昇る死刑囚のそれであった。
(……え?)
しかし、最後の瞬間は訪れない。
口元の直前まで持ち上げた腕が、それ以上ピクリとも動かないのだ。
御坂は思わず目を開き、そして目の前の光景に呆然とする。
「あんた、どうして……」
「……」
自らの命を絶とうとしていた御坂の腕を、隣に座っている一方通行の細腕ががっしりと捕まえていた。
能力を使用しているのだろうか、凄まじい力で抑えられており押すも引くも出来ない。
困惑する御坂の耳元に顔を寄せ、一方通行は優しげな声で囁く。
(大覇星祭ン時も言ったろ?オマエを、守る……)
(一方通行……ッ!!)
全部妹達の為ですけどね。
一方通行「なァ結標」
結標「どうしたのあっくん?そんな風に邪魔しちゃ御坂さんが可哀相じゃない」
一方通行「せっかくオマエが作ってくれた料理だ、俺に全部食わせてくれよ」
御坂「一方通行、あんた!?」
一方通行「悪ィな超電磁砲、カップメンの買い置きがあっからオマエはそれで我慢してくれ」
御坂「でも、でもそれじゃあんたが!!」
一方通行「俺が良いつってンだよ、気にすンな……それじゃ貰うぞ」スッ
結標「も、もうあっくんったら仕方ないんだから!!ごめんなさいね御坂さん」
御坂「え、あ、うん……」
一方通行「ぐ、がああああァァァァァ!!!!!」
御坂「一方通行ァァァァァァ!!!!」
結標「あんなにがっついちゃって……」ウフフ
―――――――――――――――
―――――――――
――――
一方通行「おい、結標……」ゲッソリ
結標「どうしたのあっくん?」
一方通行「明日、一日一緒に料理の練習すンぞ……」
結標「散々食べたのにもっと美味しい料理が食べたいの?あっくんの贅沢者ー」
御坂(一方通行……)ホロリ
一方通行「じゃァ、俺今日はもォ休むわ……」ヨロヨロ
結標「辛そうね……まったく、いくら何でも食べ過ぎよ。御坂さんもそう思うでしょ?」
御坂「あ、はは、は………」
一方通行「……もしもし、垣根かァ?」
一方通行「ちょっと明日俺ン家に来てくれ」
一方通行「あァ、オマエの力がどォしても必要なンだ」
一方通行「未元物質のスペシャリストであるオマエの力が……」
一方通行「ついでに途中で料理の本買って来てくれ」
一方通行「……そォだな、腹は空かせて来い」
―――――――――――――――
―――――――――
――――
―現在
一方通行「つーわけで俺と垣根の努力のお陰で何とか結標も普通に料理出来るようになったンだよ」
絹旗「……毎日超何気なく食べてる料理にそんな秘話が……」
一方通行「感謝しろよォ?文字通り命がけだったンだからなァ」
絹旗「超食欲が無くなりましたが」
―番外編
アレイスター「はぁ……」
アレイスター「プランどうしよう……」
アレイスター「修正の為にコキ使った土御門は過労で倒れるし、幻想殺しは想定より育たないし……」
アレイスター「ホントどうしよう……」
エイワス「……そんな愚痴を聞かせる為だけに私を呼んだのか?」
アレイスター「それだけではないが、愚痴りたくもなると言うものだよ、エイワス……」
エイワス「まぁ、君の心情もわからないでもないが」
アレイスター「だがなエイワス、打開策は考えてあるのだ」
エイワス「ほう?」
アレイスター「第二位の垣根帝督も第三位の御坂美琴も、第一位の一方通行と関わったが為に狂ってしまったのだ」
エイワス「ふむ、君の話を聞く限りでは確かにその通りだな」
アレイスター「そして、一方通行を狂わせてしまったのは『童貞』という単語だ」
エイワス「全く、人間と言うヤツは理解に苦しむよ」
アレイスター「かく言う私も童貞でね」
エイワス「……ん?」
アレイスター「私が童貞を捨てれば全ては丸く収まるのではないだろうか」
エイワス「意味がわからないぞアレイスター、というか君は確か……」
アレイスター「あなたの言いたい事はわかる。私には妻も子もいたからな」
エイワス「うむ、私の記憶が確かならば、『童貞』とは一度も性交渉を行った事が無い男を指す言葉だ
それならば君は到底当て嵌まるまい?」
アレイスター「エイワス、私がここに引き篭もってからどれくらい経つと思う?」
エイワス「知らんよ、そもそも時間と言う概念は私には何の意味も為さないからな」
アレイスター「自分でも正確には覚えていないほど長い時間さ」
エイワス「それで?」
アレイスター「そんな長い時間性交渉をしなければ、童貞にも戻ろうというものだ」
エイワス「……そういうものなのか?童貞とは一度捨てても期間を空ければ戻ってしまうものなのか?」
アレイスター「そういうものなのだよ、長期に渡って異性との性交渉は愚か
一人遊びすらしなかった私は今や立派な童貞へと逆戻りしていると言えよう」
一度は童貞を卒業した人間が童貞へと逆戻りする……
有り得ない事の様だが、実はこれは実際に起こり得る現象なのである。
事実として、非童貞であるにも関わらず、数年振りに性交渉を行おうとしたある男が
直前になってまるで童貞のようにテンパり、あろう事か挿入前に射出してしまったという悲しい実例が存在する。
相手の女性には「え、童貞だったの?」と爆笑された。
私の事ではない。繰り返す、私の事ではない。……違うったら!!
アレイスター「そんなわけで私も童貞を卒業しようと思う」
エイワス「……何故かな、イヤな予感がして堪らんよ」
アレイスター「エイワス……」
エイワス「……皆まで言うなアレイスター、その先は聞きたくない」
アレイスター「やらないか」
エイワス「……もし私に人並みの感情が存在したら、きっと君を殺していただろう」
アレイスター「かつてのように、私に知識を授けてくれ」
エイワス「もう喋るなアレイスター、正直本気で殺したくなってきた」
アレイスター「頼むよエイワス、私の『衝撃の杖』に耐えられるモノなど、そう多くは無いのだ」
エイワス「……イギリス正教の最大主教にでも頼んでみてはどうだ?」
アレイスター「とっくに頼んだよ、断られてしまったがな」
エイワス「頼んだのか、君はイヤな意味で私の想像を上回るな」
アレイスター「危うく戦争が起こる所だったよ、あの女狐め、直々に海を越えて来ようとしていた」
エイワス「そんな頼まれ事をすれば海の一つや二つ、越えたくもなるだろう
むしろ実際に越えて来なかっただけ彼女は忍耐強いと言えるよ」
アレイスター「そういうわけで、もはや頼れるのはあなたしかいないのだ、エイワス」
エイワス「………実家に帰らせてもらおう」シュッ
アレイスター「待てエイワス!エイワァァァァス!!!」
アレイスター「……」
アレイスター「見ているのだろうエイワス、わかっているぞ?」
アレイスター「………エイワス?」
アレイスター「本当に帰ってしまったのか?」
アレイスター「エイワス……」
―オマケ その頃のフィアンマさん
フィアンマ「ヴェントがどうしてもヤらせてくれない……」
フィアンマ「そうだ、天使呼ぼう」
フィアンマ「天使で筆おろし……まさに選ばれし者である俺様に相応しいではないか」
フィアンマ「そんじょそこらの天使を呼んでも仕方が無い、呼ぶなら大天使だ」
フィアンマ「女性型の大天使はガブリエルのみ、一択だな」
フィアンマ「天使ちゃんマジ天使」
深夜、一心不乱にキーボードを叩いている一人の研究者の姿が、薄暗い研究所の一室にあった。
無精髭が伸び、白衣は黄ばみ、目のしたには酷い隈が出来ており、
大よそ真っ当な生活をしてしていないというのが見て取れる。
事実、彼はこの三日間一睡もしておらず、また食事と排泄以外一切の休憩をしていない。
にも関わらず、その目だけは生命力に溢れ爛々と輝いており、そのギャップが鬼気迫るものを感じさせた。
別にネットゲーム廃人の姿を描写しているわけではない。
「出来た、出来たぞ……」
不意に、男は手を止め、感極まった様子で震える声を漏らす。
そう、彼がこの二ヶ月、寝食を忘れ一心不乱に打ち込んでいた研究がついに終局を迎えたのだ。
うっとりとした表情で、男は部屋の中央に設置された巨大なビーカーを見つめる。
正確には、そのビーカー内に浮かんでいる一人の少女の姿を。
「後は最終調整を……待っていろよ、一方、通行……」
研究の99%は終了し後は微調整を残すのみ。
だが、気が緩んだ為か、抗いがたい疲労と眠気が一挙に男の双肩に圧し掛かる。
まだだめだ、一日でも早く完璧に仕上げなくては……頭ではそう思っていても、もはや身体が言う事を聞きはしない。
男―天井亜雄は白目を剥きながら机に倒れ伏し、そのまま気絶するように深い眠りへと落ちていった。
―――――――――――――――
―――――――――
――――
―とある喫茶店
垣根「なぁ一方通行、最近思うんだがよ」
一方通行「あァ?どォした」
垣根「俺らって実はもう童貞じゃないんじゃねぇか?」
一方通行「……流石にそれはちょっと意味がわかンねェわ」
垣根「考えてもみろよ、非童貞だってでかい顔してる奴らなんざ、
その実ほとんどが将来も運命も考慮せずに適当な相手とヤったってだけのクソったれどもだ」
一方通行「ほォ?」
垣根「対して俺達はどうだ?俺達ほど運命的な出会いを渇望し脱童貞に真剣な男が他にいるか?
適当に童貞を捨てた奴らよりも、真剣に童貞を捨てる事を考えている俺達のほうが、
よっぽど精神的には非童貞だと言えると思わねぇか?」
一方通行「……悪ィ、やっぱり意味わかンねェ」
垣根「そっかぁ、オマエがわかんねぇんならこの考えは間違ってるかなぁ……」
一方通行「なンかごめンな?」
垣根「いいって事よ、精神論に逃げるなんて俺らしくなかったな」
結標「もうあっくんったら!捨てたいんならお姉ちゃんに言ってくれればいつでも……」
一方通行「突然出てくンな死ね」
垣根「いい加減ストーカーどもの唐突な出現にも慣れてきたな。次は……」
御坂「空間移動系の能力って便利よね」
垣根「……そら来た」
一方通行「空間移動能力でもないのに突然隣に現れるコイツはもォちょっとしたホラーですよ」
御坂「だぁれがホラーよ誰が!普通に歩いて来て座ってんのに何で気付かないのよ!?」
垣根「どんだけ気配殺してんのオマエ?家系に忍者とかいる?ちょっと『ニンニン』って言ってみ?」
結標「正直私も気付かなかったわ」
御坂「え……ほ、本当に普通に来ただけなんだけど……」
一方通行「常に纏ってる電磁波が上手い具合にステルス迷彩みたいになってンじゃねェか?」
垣根「おーいいなステルス迷彩、実際にあったら麦野の部屋とか覗きに行ってみてぇ」
一方通行「オマエの能力なら出来るンじゃねェ?」
垣根「……あ、出来るかも」
御坂「いやいや犯罪だからあんたら」
結標「男の子達の恋バナっていいわよね、そそるわ……」ハァン
御坂「今の恋バナなの……?」
「お待たせいたしました、アイスコーヒーでございます」
一方通行「あ、どォも」
垣根「オマエはホントコーヒー好きだよな、そんなに白いのに」
一方通行「白さは関係ねェだろ」
結標「お姉ちゃんが口移しで飲ませてあげようか?」
一方通行「舌ねじ切るぞボケが」
結標「よろしくお願いします」
一方通行「やめろ、舌出しながら迫って来ンな」
御坂「ねぇ、私の飲み物は無いの?」
垣根「あるわけねぇだろ、突然出てきて何言ってんだオマエ」
御坂「えー、咽乾いたー」
一方通行「水でも飲んでr、いや、このアイスコーヒーやるわ」ス
結標「!?」
御坂「え、いいの?あんたまだ一口も飲んでないじゃん」
一方通行「構わねェよ」
御坂「ん、それじゃありがたくもらうわね。シロップとミルク入れて……いただきます」ゴクゴク
垣根「おい一方通行、ストーカー甘やかすなよ」
一方通行「いいンだよ、飲む気が失せたンだ」
垣根「あぁ?」
御坂「え?」
一方通行「さっき結標の馬鹿が座標移動でコーヒーの中に唾液飛ばしてたからな」
御坂「ボファッ!!あ、あんた何て物飲ませるのよ!?」ゴホゴホ
垣根「そこまでやるのかよ、このストーカーは……」
結標「えっと……」
御坂「うぇー思いっきり飲んじゃった……どうしてくれんの……」
一方通行「冗談だ冗談、そンなマジになるンじゃねェ」ケケケ
垣根「あ?何だよ冗談か、つまんねぇ」
御坂「はぁ……?ちょっともう性質の悪い冗談はやめてよ……
でもそうよね、結標さんでも流石にそこまでやるわけが……」
結標「そそそそそ、そうよ!い、いくら私でもそそ、そんな事するわけががが……」ワタワタ
一方通行「……」
垣根「……うわぁ」
御坂「……オェ」
結標「やや、やってないわよ!本当よ!?」アセアセ
一方通行「……俺二度とオマエの前で飲食しねェ」
垣根「それが賢明だな……」
御坂「病院で胃洗浄して来ようかな……」
結標「そこまでする!?」
御坂「何か伝染りそうだし……」
一方通行「安心しろ、オマエ既に十分頭おかしいから」
垣根「今更結標菌に感染したところで変わらねぇだろ」
御坂「あんたらには言われたく無いわよ!!」
結標「伝染るとか結標菌って何!?」
垣根「そういや第三位のお供がそろそろ現れるんじゃねぇか?」
一方通行「海原と白黒の事かァ?アイツら来ると収拾つかねェから前もって処分してある」
御坂「人の後輩に何してくれてんの!?」
一方通行「だってアイツら毎日毎日玄関の前でオマエの待ち伏せしてンだぞ?
お陰で毎朝玄関前掃除すンのが日課になったわ」
垣根「何だかんだで独占欲強ぇなオマエは。よかったな第三位、オマエ愛されてるぞ」ククク
御坂「えっ……」
一方通行「おい垣根、冗談でもやめろ。殺すぞ」
御坂「………」
結標「ねぇちょっと、無視しないでよ……こういうのって地味にクるんだから……」
一方通行「……ン?」
垣根「……おい一方通行」
一方通行「あァ……」
御坂「あれ、どうかしたの?」
一方通行「いや……なンでもねェ、そろそろ出るか」スク
垣根「だな」スッ
結標「え、あの、ちょ……」
御坂「あ、ちょっと待ってよ!」カタン
結標「……」
結標「………」
結標「…………」
一方通行「おい何やってンだ結標、置いてくぞ」
結標「あっくん!」パァッ
垣根「だからストーカーを甘やかすなってのに」
一方通行「あァ?どォせ後つけられるンだから見える範囲に置いといた方が対処しやすいだろォが」
垣根「そうかも知れねぇが……」
―外
一方通行「で、悪ィがオマエら二人先に帰っててくれ」
御坂「え、どうして?」
結標「一緒に帰らないの?」
一方通行「トイレだトイレ、一々詮索すンな」
結標「トイレ?そんなものお姉ちゃんが……」
一方通行「その先喋ったらマジで殺すからなオマエ」
垣根「どこまで行くんだよこの変態は……」
御坂「トイレくらいさっさと行きなさいよ、待っててあげるから」
一方通行「だから、その変態がいたら落ち着かねェだろォが!察せよ!!」
御坂「それもそっか……結標さん、帰りましょう」
結標「え、それで納得しちゃうの?流石にそこまでは手を出さないわよ」
垣根「オマエ数秒前の自分の発言覚えてるか?」
結標「過去は振り返らない主義なのよ」フ
御坂「はいはい帰るわよ」ガシ
結標「あーん、あっくーん……」ズルズル
一方通行「行ったか……じゃァ垣根、また今度な」
垣根「一方通行、」
一方通行「あァ?」
垣根「……気をつけろよ」
一方通行「ハッ、誰の心配してンだよオマエは」
垣根「……」
一方通行「チッ……まァ気をつけるわ、じゃァな」テクテク
―――――――――――――――
―――――――――
――――
(……)
一方通行が去ってからもしばらく、垣根はその場を動こうとはしなかった。
暗部で培った勘が、彼を捕まえて離そうとしないのだ。
御坂と結標は気付いていないようだったが、彼は喫茶店内にいる時から何者かの視線を感じていた。
一方通行もそれに気付いていた為すぐに喫茶店から出る事にしたのだが、その判断は間違っていたのかも知れない。
(一方通行……)
喫茶店から出る際に気付いた事なのだが、視線の主の目的は一方通行ただ一人だったようで、
その為、一方通行は周囲を巻き込まぬよう、己の身を囮にした単独行動を取る事にしたのだろう。
実際、ずっと感じていた粘つくような視線は一方通行の姿が見えなくなると同時に消えてなくなっていた。
(イヤな予感がしやがる……)
「一方通行と『戦い』が出来るのは自分だけだ」と垣根はそう自負しており、
事実として、第三位以下の能力者が束になってかかったところで一方通行には傷一つつける事は出来まい。
「自分が敵に回らない限り、一方通行が敗北する事など有り得ない」
頭ではそう理解しているにも関わらず、彼はどうしようもなく悪い予感がしてならなかった。
本当に一方通行を一人にして良かったのか、自分だけでも付いて行った方がよかったのではないか、
あのまま喫茶店の中で、超能力者クラスの四人で固まったまま相手の出方を待っているべきだったのではないだろうか。
不安な思いばかりが募って行く。
「……クソ」
しかし、結局垣根は一方通行の後を追わなかった。
一方通行が敗れるはずがない、と無理に自分を納得させ、踵を返し帰途に着く道を選ぶ。
彼にも、やるべき事があったからだ。
(一方通行、死ぬなよ……もしステルス迷彩が出来たらオマエにも貸してやるからな)
友人の安否よりも自分の欲望を選んだ垣根であった。
「オマエか、さっきから見てやがったのは」
人気の無い路地裏、一方通行は一人の少女と対峙していた。
少女は俯いている為、その顔や表情を伺う事は出来ないが、
彼女からは纏わりつくような、絡みつくような不気味な気配が発せられている。
先程から一方通行を視ていたのは彼女に間違いないだろう。
「俺に何の用だ?」
「……」
目的を尋ねてみたものの、少女は依然俯いたままで答えようとしない。
姿を見せた後、一向に動こうとしない彼女を前に、一方通行は対応を決めかねていた。
少女が以前の木原のように、学園都市上層部の命令で、
確固たる敵意を持って一方通行の命を狙っているのだとしたら話は簡単だ。
学園都市最強の、第一位の能力を以って障害たる彼女を屠れば良いだけのこと。
だが彼はそれをしない。何故なら目の前の少女は、これほど不気味な気配をぶつけて来ていながら、
敵意や悪意、殺気の類は一切発していないからだ。それ故、一方通行はどうするか迷っていた。
ようするに、
何か不気味な気配出しながらこっち見てる女がいる→でも敵意とかは感じないし悪気は無いのかも
→どうしよう、気味悪いけどとりあえず相手の反応待っとくか
とまぁこんな感じである。
「……ねぇ」
「あァ?」
しばらくの沈黙の後、少女は顔を伏せたまま、ようやく口を開く。
その口調はどこか非難めいたモノを含んでおり、一方通行はわけがわからず首を傾げた。
「『運命だ』って言ってくれないわけ?」
「……はァ?」
「''ミサカ''はあなたの為に作られたんだけどー?」
「ミサカ、だと……ッ!?」
ようやく顔を上げた少女の容姿に、その口調に、一方通行は息を呑み、目を奪われた。
彼女はスネたように頬を膨らませ口を尖らせており、吊り上った目は獣のように獰猛で鋭い。
年齢的には一方通行と同じか、少し上くらいだろうか。
だが、その顔のベースは間違いなく、彼の良く知っている女性、御坂美琴のモノであった。
そして己の事を『ミサカ』という特徴的な一人称で呼ぶ集団も彼は知っている。
とすると、目の前の彼女は……
「……オマエ、妹達か」
「ピンポーン、大正解~」
一方通行の問いを肯定し、少女はケタケタと笑い声を上げる。
ただ、一人称こそ『ミサカ』であるものの、その口調は、感情豊かな表情は、
彼の知っている妹達のそれとは乖離していた。
「どォしてオマエは他の妹達と違う?検体番号は?」
「検体番号なんて無いよ、ミサカはワンオフ品だからね」
「ワンオフだとォ?」
「そそ、名前は『番外個体(ミサカワースト)』、あなたの為に、新しく作られた個体だよ」
「俺の為に、新しく……」
新しく作られた個体、そう聞いた一方通行はその意味を推測する。
最も可能性が高いのは、学園都市上層部が一方通行は妹達に手を出せない、という点を逆手にとって
彼を殺す為、或いは心を折る為に作り出し、彼を襲わせようとしたというケースだろう。
その事に思い至った一方通行はギリと歯軋りをし、学園都市の闇という巨大な見えない敵に舌打ちをした。
妹達絡み、しかも戦闘の可能性もあるという事で、彼は珍しく浮ついた気持ちを抑えているようだ。
(この街はどこまで腐ってやがンだ、クソがァ!!)
「いや、何か勘違いしてるっぽいけど別に殺しに来たとかいうわけじゃないからね?」
「……あァ?」
『妹達が学園都市に利用されている』というケースを考え、キレかけていた一方通行だったが、
そんな彼の前で、番外個体はパタパタと手を振り「殺しに来たわけではない」と彼を鎮めようとする。
思い返してみれば確かに、敵意や悪意の類は最初から発していないのだ。
戦闘が目的ではないというのは事実だと思っても良いだろう。
「最初から言ってんじゃん、あなたの為に作られたって」
「はァ?だからなンの目的で……」
「にっぶいなーもう!ホントに第一位なの?」
「ン?」
クエスチョンマークを頭に浮かべながら顔を顰める一方通行に対し、
番外個体は髪を掻きながら呆れた声を上げた。
「女の子が『あなたの為に生まれて来ました』なんて言ってんだよ?わっかんないかなー」
「なンだと、まさか……」
「はっきり言ってあげるよ、もう。このミサカは――」
「あなたと、愛し合う為に生まれて来たんだよ」
「!!!」
全身が雷に打たれたようにガクガクと振るえ、心臓は痛い程に跳ね上がる。
これまで数多くの(唐突で一方的名な)告白をしてきた一方通行だったが、先手を打たれたのは初めての事だった。
それも妹達の一員、自分の為に作られた個体、これを運命と言わずしてなんと言おう。
「ねぇ第一位」
「な、なンだ?」
「ミサカさぁ、抱きしめて欲しいなー」
「……おォ」
上目遣いをしつつ、番外個体は甘えた声で懇願する。
断る理由など、どこにもない。
反射を切った一方通行は一瞬の躊躇いの後、彼女を一気に胸元へ抱き寄せた。
物静かな女性が好みだったはずの彼だが、そんな些細な事など、もはやどうでもよかった。
瞳を蕩けさせ、満足気な表情で胸に顔を埋める番外個体を、一方通行は堪らなく愛おしく思う。
いつの間にか彼女も一方通行の背に腕を回しており、互いに抱きしめ合う形となっていた。
番外固体から仄かに漂う甘い香りが彼に時間を忘れさせる。
一方通行はついに運命の相手と巡り合い、分かり合う事が出来たのだ。
彼の長い長い挑戦は、戦いは、ここに終止符を迎える。
と良かったんだけどねぇ?
「……ン?」
時が経つのも忘れ、夢見心地の気分で番外個体を抱きしめていた一方通行だったが、
不意にズボンのポケットから発せられた振動により、その意識を現実に引き戻される。
どうやらマナーモードにしていた携帯に着信があったようだ。
無視してしまおうか、とも思ったが、どうも諦めの悪い相手らしく携帯は一向に震えるのをやめない。
これでは流石に集中できず、興も削がれてしまうというものだ。
番外個体も似た様な心境らしく、口を尖らせ、微妙なしかめっ面をしている。
「……悪ィ、電話出てもいいか?」
「仕方ないなぁ、許してあげるよ、その位」
荒ぶり続ける携帯に、さっさと出てしまった方が早いと判断した一方通行は、
一応番外個体に確認を取ってから電話に出ることにする。童貞らしからぬ、よく出来た気遣いである。
「もしもしィ?」
『もしもし、一方通行か!?』
「その声は……天井、天井か!?」
良い所を邪魔されてしまった為、怒り気味に不機嫌な声で電話に出た一方通行だったが、
電話口から聞こえてくる懐かしい声に怒りを忘れ純粋に驚きの声を発す。
それもそのはず、電話の相手は八月の末から、二ヶ月も前から行方不明になっていた天井亜雄だったのだから。
「生きてたのか天井!!」
『こっちの事はいい!それより一方通行、今日オマエの周囲に何かおかしな事は起きてないか!?』
「おかしな事ォ?」
どうにも緊迫した空気を感じるが、何かあったのだろうか?と一方通行は暢気に首を傾げる。
はてさてと視線を空に遊ばせながら今日一日を振り返るがどうにも思いつかない。
ふと目線を下げると番外個体が構ってもらえず不満そうにしていたため、空いている手で彼女を撫でてやる事にした。
まるで猫がじゃれるように、くすぐったそうに身をよじる彼女の姿を、彼は愛おしそうに見つめる。
うむ、やはりおかしな事など何も無い。
「……いや、特にねェな」
『そうか、どうやらまだ接触していないようだな』
「そンな事より天井、聞いてくれよ」
『待て、大変な事が起きているんだ。まずはこっちの話を……』
「俺は遂に運命の相手と出会ったンだよ!相思相愛だぜ!!」
『はぁ?そんな事はいいから……ん、運命の相手?相思相愛?……いつだ、いつ出会った!?』
「今日ですけどォ?」
『それだよ!!!おかしな事が起きてんじゃねえかああああ!!!!』
天井亜雄、心からの大絶叫であった。
そう、その通りなのだ。童貞の一方通行が運命の相手と出会い、ましてや相思相愛だなど、
そんなもの天変地異の前触れか、或いは何かの間違いだ、と言いたくなるほどの『おかしな事』だと言えよう。
『出会った相手というのは番外個体の事か!?今そこにいるのか!?』
「ン、番外固体の事知ってンのかオマエ、今はここにいるっつーか、抱きしめてる所だ」
明らかに焦った声で、天井は矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。
一方通行はそんな彼の態度に眉を顰めながら、今の状況を簡単に説明した。
『抱きしめてるだとぉ!?クソ、マズイ事態だ……』
「はァ?さっきから何言ってンだオマエ」
『いいか一方通行、番外個体は……うわなにをするやめr…』
「天井?天井ィィィィ!!」
『……』
電話こそ切れていないものの、何かを伝えようとした天井の声は、
突如響いてきた謎の打撃音、そして彼の断末魔と共に全く聞こえてこなくなってしまった。
番外個体を撫でる事も忘れ、必死になって電話に叫ぶが、やはり声は返ってこない。
さてお預けを喰らってしまった彼女はまたしても口を尖らせ、頬を膨らませる。
それでも一方通行を抱きしめて離そうとしないのが何ともいじらしい。
(クソ、天井の身に何が……アイツは何を言おうとした!?)
『……あーあー、もしもし、聞こえますか?とミサカはオペレーターが交代した事をアピールします』
「!?」
突如、無音だった電話口から響いてきた声に、一方通行は再び驚愕する。
その声は間違いなく、彼の良く知っている妹達の声だった。
天井に何があったのか、どうして妹達が代わりに電話に出るのか、彼にはさっぱりわからない。
「おい天井は!アイツはどォしたンだ!?」
『ご安心を、ミサカ達が軽く眠らせただけですから、とミサカは命に別状は無い事を保証します』
「オマエらがやったのかよ!?何やってンだ!?」
『だってぇ、むさい中年よりもミサカ達が登場した方が嬉しいでしょう?
とミサカは妹達と天井亜雄の需要の差を仄めかします』
「そンな事で……まァいいか」
下らない理由で眠らされた天井を、一方通行は「まぁいいか」と軽く流してしまう。
何故なら彼も、天井よりも妹達と会話するほうが楽しいからだ。
今まさに女と抱き合ってる最中なのに何考えてんだ!と思うかも知れないが、
これは男の性というものなので仕方が無い。
「で、天井は何を言おうとしたンだ?番外個体がどうした?」
『はい、実は番外個体は未完成、というか調整不足でして……』
「あァ?調整不そkいってええええェェェェェ!!!!!」
妹達に尋ね返そうとした一方通行だったが、突如肩口に受けた鋭い痛みに、思わず大きな悲鳴を上げた。
見ると、番外個体がとびきりの、満面の笑みで彼の肩に噛み付いていた。
甘噛みや、気を引く為の冗談などではない。本気で、喰いちぎるような勢いで
彼女は一方通行に牙を突き立てている。
「がああァァァ!!!何やってンだァァァァァ!!!」
「きゃん☆」
能力を使い、それでも番外個体が傷つかないよう細心の注意を払いつつ、
一方通行は彼女の身体を引き剥がし、距離を取る。
わざとらしい悲鳴を上げた彼女の口元からは血が滴っており、どれほど激しく喰らい付いていたかが見て取れる。
番外個体は官能的な笑みを浮かべ、まるで挑発するように滴る血を舐め取った。
『どうしました一方通行!?とミサカは只ならぬ雰囲気に焦ってみます』
「いきなり噛み付かれたンだよ!それも思いっきりだ!!やっぱコイツ、俺の命を……」
『いいえ違います、彼女があなたに好意を持っているのは紛れも無い事実です
とミサカは一方通行の考えを否定します』
「じゃァ何なンだよ!?」
『言ったでしょう、調整不足だと、とミサカは物覚えの悪い一方通行に溜息を吐きます』
「だから、どォいう事なンだよそりゃァ!?」
わけがわからず混乱し、一方通行は電話に向かって怒鳴り声を上げる。
彼のそんな態度を尻目に、番外個体はクスクスと笑いながら再び彼に迫って行く。
「酷いなぁ第一位、このミサカがいるのに他の女と楽しくお話してるの?」
「は、はァ?」
『まだわかりませんか一方通行、彼女は調整不足の為感情のリミッターが外れているんです』
「つまり……」
『好き過ぎてヤバい、他の女と話すのも許せないというレベルです、とミサカは番外個体の愛の深さを説明します』
「オマエが天井と電話代わったせいでキレたって事じゃねェか!!
あァ、でもそンなに俺の事を……」
『喜んでる場合ではありませんよ一方通行、要するに彼女はヤンデレです
「物理的に一つになりましょう」とかそういう事言い出しかねません、とミサカは更に説明します』
「ぶ、物理的にってオマエ、それじゃさっきのは……」
『はい、あなたを食べて血肉にし、一つになろうとしていましたね
とミサカは先程の噛み付き行為を振り返ります』
「食べるって、マジかよ!?」
『はい、彼女はあなたをマミろうとしました、とミサカは専門用語で言い直します』
「『マミる』は専門用語じゃねェ!!ただのオタ用語だ!!!」
「ちょっと、いつまでミサカの事無視してんのさ!」
声を上げ、ふくれっ面を作りながら番外個体は一方通行に肉薄する。
先程までは可愛らしくも見えたその表情が、今は堪らなく恐ろしく見えるのだから
心境の変化とは凄まじいモノである。
「お仕置きだよ、第一位!!」
「チィッ!!」
番外個体の身体から、逃げ場を潰すかのように全方位に電撃が放たれる。
手を伸ばせば届くほどの至近距離で行われた放電、常人ならばそれを知覚する事すら出来はしまい。
しかし一方通行は対応してみせる。自動展開されている反射の膜に頼るのではなく、
番外個体に跳ね返してしまわぬよう、電撃を周囲に散らばらせるという形で。
その判断力、演算速度、もはや神業と言って良いだろう。
散らばった電撃は地面に、一方通行の背後の壁にぶつかり、それらを砕き焼き尽くした。
先に造られていた二万体の妹達の能力強度は精々レベル2~3程度でしかないはずなのだが、
今番外固体が放った電撃の威力は明らかにそれを上回っており、レベル4クラスはあるだろう。
一方通行を愛す為に作られた、というだけにしては明らかにオーバースペックだ。
そもそもそれだけが目的ならば能力を持たせる必要などない。
「おい!コイツやけに戦闘能力高くねェか!?」
『そりゃそうです、元々戦闘用に作られていたんですから』
「ンだと!?」
『あなたも既に考えたように、本来彼女はあなたと戦い、あなたの心を折る為に新しく作られた個体です
外見年齢が他の妹達に比べて高めなのも戦闘能力を高める為です、とミサカは衝撃の事実を口にします』
「それがどォしてこうなってンだ!?」
『天井亜雄のお陰です、とミサカは新たな事実を告げます』
「天井の……?」
『はい、番外個体は本来MNWを通じて、妹達があなたに抱いている負の感情を拾いやすいよう調整され、
あなたに対して激しい憎悪を抱く予定だったのですが、
途中で天井亜雄が計画を乗っ取り逆にあなたに対する好意を拾いやすいように調整されました、とミサカは経緯を語ります
まぁちょっと最後の調整が甘くてえらい事になっておりますが』
「そンな功労者の天井をオマエはなンで殴ったンだよ!?」
『出番が欲しくて……』
「ねぇったらー、いつまで目の前のミサカの事放置して電話でイチャついてるわけ?
ちょっと本気で傷つくんですけどー」
いつまでも自分を見ようとしない一方通行に、番外固体は更に電撃を放つ。
なんとかそれを掻い潜るも、矢継ぎ早に次の電撃が放たれ、自動で反射せず全ての攻撃を
手動で反らしている一方通行は、徐々に疲弊していった。
(クソ、ヤンデレだろォがなンだろォが、妹達に手を出すわけにはいかねェ……どォすりゃいい……ッ!?)
「うひゃひゃ、無様だね第一位。でも安心していいよ、どれだけかっこ悪くても情けなくても
ミサカはずっと側にいてあげるからさ……死んでも離れないから」
「愛が重てェ……」
『一方通行、とにかく一旦距離を取るべきです、とミサカは番外個体から逃げる事をお勧めします』
「そォだな、ここは一旦……」
「まぁだ他の女と話してる!!………あ、そっかぁ、耳があるから他の女の声が聞こえるんだよね
口があるから他の女と話すんだよね、目があるから他の女を見るんだよねぇ……
だったらそんなもの無くしちゃえばいいんだ!!!」
「ちょっとマジで怖ェンですけどォ!?」
「大丈夫だよぉ、例えどんなになってもミサカはあなたの事愛してるからさぁ!!」
「うわァァァァ!!!」
一方通行は悲鳴を上げつつ、番外個体に背を向け全力でその場から逃走する。
戦闘の場において相対している者に背中を見せるのは彼にとって初めてのことであった。
学園都市230万の頂点、レベル5の第一位、一方通行は、完膚なきまでに敗北した。
一方通行「はァ、撒いたか……」
『あなたの能力で逃げに徹すれば流石の番外個体でも追いつけないようですね
とミサカはお疲れの一方通行を電話越しに労います』
一方通行「ヤンデレって怖ェなァ……いくら運命的でも流石にありゃァNGだわ……」
『まぁまぁ、しっかり調整すれば大丈夫ですよ、とミサカは若干トラウマ抱えてそうな一方通行を慰めます』
一方通行「でェ、逃げたはいいが、番外個体は放っといていいのかよ?」
『えぇ、既に彼女の回収作戦が始まっていますから
もう一度培養器に叩き込んで調整のやり直しです、とミサカは今後の予定を語ります』
一方通行「俺に手伝える事はねェか?」
『無いですね、本当はあなたがサクッと番外個体を気絶でもさせてくれれば良かったんですが……』
一方通行「俺が妹達に暴力振るえるはずねェだろォが」
『そこまで徹底して非暴力貫かなくても……とミサカは呆れ顔で返答します』
一方通行「そォいや聞きそびれてたが、アイツはなンで調整が不完全な内に出てきたンだ?」
『これは天井亜雄の証言なのですが、彼は己の研究室で一人で調製を行っていたそうで、
どうも彼は途中で寝落ちしてしまったらしいのですよ』
一方通行「ほォ」
『で、目覚めた時にはもう番外個体の姿が無かったそうです、いやぁ一体何があったんでしょうねぇ?
とミサカは目を泳がせ口笛を吹きながら誤魔化してみます』
一方通行「……オイ、なンか知ってやがンなオマエ」
『く、嘘をつけない素直な自分が恨めしい……とミサカは歯軋りします
……いえね、ミサカ達は番外個体なんてモノが作られてるなんて今日聞かされるまで知らなかったんですよ』
一方通行「……でェ?」
『偶然、天井亜雄の研究室を覗いた個体がおりまして、なんとそこには新しい妹達が作られているではありませんか
眠っている天井亜雄を尻目に部屋へと侵入した個体は番外個体がどういうモノか知らず好奇心の赴くまま、
まさか調整が終わってないとは思わずに彼女を開放してしまったというわけです
とミサカは番外個体が解き放たれた経緯を説明します』
一方通行「結局オマエらのせいなのかよ……」
『すまぬ、まさかあれ程のヤンデレっぷりを発揮するとは……とミサカは素直に謝罪します』
一方通行「……なァ、番外個体はMNWから好意をかき集めた結果あァなったンだよな?」
『えぇ、その通りですよ、とミサカは頷きます』
一方通行「つーことはオマエら結構俺に好意持ってくれてンだな!」ニタ
『(笑)』
一方通行「……なンだよ」
『いえ別に、あなたはお気楽でいいですね、とミサカは……ん、何?……え、マジ?えっ』
一方通行「どォした?」
『予想外の事態が起きました、すぐに番外個体の元へ戻ってください、とミサカは指示を出します』
一方通行「はァ?」
『番外個体があなたに拒絶されたと考え自殺を試みようとしています、とミサカは衝撃の事実を告げます』
一方通行「衝撃すぎるわァァァ!!!ホントめンどくせェなァオイ!!!」
『ハリーハリー!!妹達も既に彼女の近くまで来ていますが、あなたも急いで……あっ』
一方通行「『あっ』てなンだ!?何があった!?」
『番外個体の霊圧が……消えた……とミサカは某少年漫画の様に呆然としてみます』
一方通行「言ってる場合かァァァァ!!!!」
その後、駆けつけた一方通行をはじめとする救護班の尽力により、番外個体は奇跡的に息を吹き返す事に成功する。
そのまま意識が戻る前に培養器にぶち込まれた彼女は、回復した天井ら研究者達によって、
今度こそマトモな調整を受ける事になった。いつか再び、一方通行と巡り合う日を夢見て……
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―――――――――
――――
―後日
一方通行「はいもしもしィ?」
『あ、もしもし一方通行ですか?良いニュースと悪いニュースがあるのですがどちらから聞きたいです?
とミサカは開口一番尋ねてみます』
一方通行「はァ?いきなりだなァ……良いニュースから頼むわ」
『ではでは……お喜びください一方通行、番外個体の調整が無事終了しました
とミサカはとっておきの情報を伝達します』
一方通行「おォマジか!てことはついに俺の運命の相手が……」
『で、悪いニュースなんですが』
一方通行「あァ?このタイミングで水差すなよ」
『えー、番外個体のヤンデレ属性は素でした、とミサカは事実を淡々と告げます』
一方通行「……は?」
『調整で多少マイルドになったんでもう自殺とかはしないと思いますが、彼女は依然変わらずヤンデレです
とミサカは呆然としているであろう一方通行に追い討ちをかけます』
一方通行「え?え?」
『ちなみに少し前にそちらに向かって行きましたのでそろそろ接触する頃かと』
一方通行「お、おいちょっと待てェ!!」
「やっほー、第一位」
一方通行「!!」ビクッ
番外個体「……まぁた、他の女と電話してるんだね」ヒタヒタ
一方通行「」
番外個体「お仕置きだねぇ、第一位」ニタァ
一方通行「ヒィ!?」
一方通行の童貞脱出計画、ただ今の成果
・恋人 なし
・仲間 一人
・ストーカー 三人 ←Level up
・妹 一人
―とある喫茶店
垣根「おい一方通行、聞いてっか?」
一方通行「……」
垣根「おい!!」
一方通行「あ、あァ、なンだ……?」
垣根「ったく、どうしたんだオマエ、おかしいぞ?」
一方通行「は、ハァ?いつも通りだ、いつも通り……」
垣根「いーやおかしい。やっぱりこの前、別れた後何かあったのか?」
一方通行「何もねェよ、気にすンな」
垣根「おい……」
一方通行「しつけェぞ垣根、そンなだから童貞なンだオマエは」
垣根「テメエもだろうが!!」
一方通行「とにかく何もねェ!ただ、少し疲れてるだけだ」
垣根「……そうかよ。チッ、一先ずはそれで納得しといてやる
だが、俺の力が必要だったらいつでも言え、俺達は仲間だからな?」
一方通行「……すまねェ」
垣根「ハァ……暗い、暗すぎるぞ一方通行!
よし、景気付けにまたこの前のファミレス行こうぜ!アイテムの連中とピロートークしに行くぞ!」
一方通行「それオマエが行きたいだけだろ……
てかピロートークってオマエ、第四位にセクハラやってただけじゃねェか」
垣根「うるせえなぁいいだろうが!一人じゃ寂しいし付き合えよ」
一方通行「ったく、仕方ねェ……ッッ!!」ゾクッ
垣根「お、どうした?」
一方通行(この寒気……見てる、何処かで番外個体が見てる……
ダメだ、アイツの前で女と接触するのはマズい!!)ブルブル
垣根「一方通行?汗すげェぞオマエ」
一方通行「悪ィ、ちょっと体調悪くてなァ……」
垣根「はぁ?オマエ反射あんだろうが」
一方通行「心の病だ……」
垣根「またかよ!!」
一方通行「つーわけで今日は先に引き上げさせて貰うわ、埋め合わせは必ずするからよ……」ガタ
垣根「おい一方通行!………行っちまったか」ハァ
垣根(……同時にこっちを監視してる気配も消えたな、やっぱこの前と関係あんのか?)
垣根(チッ、あの時、俺もアイツについて行っとくべきだったか……)
垣根(どうする、一方通行を追うか?……いや、アイツが「何も無い」と言った以上、友人としてその意思を尊重するべきだ
俺が勝手に動く事で返ってアイツの重荷になる可能性もある……)
垣根「ここは、黙って引き下がるしかねぇってことか……」ギリ
垣根「……まぁ大丈夫だろ、アイツ第一位だし」
―外
一方通行(咄嗟に喫茶店飛び出しちまったが……今からどォするか)
一方通行(アイツに見られてる以上、下手な事は出来ねェ、運命の相手を探すどころか、家に帰ることすら無理だ)
一方通行(超電磁砲や結標と会わせる訳にはいかねェ……大惨事になるに決まってやがる)
一方通行(超電磁砲はこの時間まだ学校、結標にはさっきメールで小学校の遠足の情報を送った
これでしばらく時間は稼げるだろう)
一方通行(……許せよ、ガキども)
一方通行(とにかく、あのストーカーどもに悟られない内に番外個体の対策を考えねェと……)
一方通行(そもそもどォして番外個体は俺に接触してこない?何故一人で歩いている俺を黙って見てる?)
一方通行(……そうか、俺を泳がせて、俺に接触しようとする女を釣る気か!!)
一方通行(だとするとマズい、すぐに人気の無い場所に移動しねェと……
ナンパでもされちまったら番外個体が何するかわかったモンじゃ……)
絹旗「おや一方通行、垣根は一緒じゃないんですか?超珍しいですね」
一方通行「絹旗ァァァァァァ!!!!」
絹旗「な、何ですか!?」ビクッ
一方通行「な、何でもねェ、悪ィな大声出しちまって……」
一方通行(やべェ、やべェぞ……番外個体の視線が明らかに怒りを含ンだモンになった……
怒りが俺に向いてる内はまだいいが、とにかく急いで絹旗と別れねェと!)
一方通行「な、なァ絹旗、俺は……」
絹旗「一方通行、実はここに超映画のチケットが二枚あるんですが」
一方通行「あ、あァ?」
絹旗「あなたが超どうしてもと言うのなら一緒に映画に行ってあげても良いですよ」
一方通行(なンでコイツはこンな時に限ってェェェェ!!!)
絹旗「べ、別に今日やる映画がホラーで、一人で見るのが超怖いとかそういうわけじゃなくてですね……」
一方通行「……き、絹旗、悪ィンだが俺は急ぎの用事があってだなァ……」
絹旗「え……」
一方通行(ぐあァ、心が痛ェ……だが、これもコイツの安全の為なンだ……)
絹旗「お、お兄ちゃんはこんな超可愛い妹のお願いが聞けないっていうんですか?」
一方通行「」
絹旗「悲しいです、超悲しいです、超グレてやります!!」
一方通行「待て絹旗ァ!俺の用事はたった今消えて無くなったァ!!一緒に映画に行くぞ!行かせてくれ!!」
絹旗「ふふん、そうそう、最初から超そういう態度でいればいいんです」
一方通行(この頼みを断ったら、俺はもォコイツの兄貴を名乗る資格はねェ……)
一方通行(だが、守り切れるのか?自分の身だけでなく、絹旗まで……それも、こっちから攻撃を仕掛ける事なく……)
一方通行(イヤ、やるしかねェな……来るなら来いよ番外個体、オマエに怪我をさせるつもりはねェが、絹旗も守ってみせる)
絹旗「どうしました一方通行?何か顔が超マジですが……まさかあなたもホラー超苦手とかそういう」
一方通行「絹旗」
絹旗「はい?」
一方通行「絶対に俺から離れるンじゃねェぞ」
絹旗「ほ、ホラー映画くらいで超大袈裟ではありませんか!?」
一方通行「いいからほら、行くぞ」ギュッ
絹旗「て、手なんか超握らなくていいですから!超子供扱いしないでください!!
あぁもう、超引っ張らないでくださいよ!」
番外個体「……ロリコンだったのかなぁ、第一位」ジー
番外個体「ダメだよ、そんなの……すぐにミサカが正しい道に戻してあげるからね?」クスクス
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―映画館
絹旗「いやー、こんなに空いてるなんて超ラッキーですね」
一方通行「B級映画しか上映しねェような映画館なンざ空いてて当たり前だろォが」
絹旗「む、B級映画を超馬鹿にするつもりですか!」
一方通行「あァハイハイ、上映始まりますよォ、前向いてましょうねェ」
絹旗「く、後で超覚えてやがれ……」
一方通行(俺と絹旗以外客がいねェってのは好都合だ、守る対象は絹旗だけに絞れる)
一方通行(とにかく、アイツが今何処にいるか調べねェと……)
一方通行(近ェな、すぐ側から視線を感じる……何処だ!?)
一方通行(レーダー展開、半径50m以内の全ての物体の形状、位置を割り出す………何!?)
一方通行(隣、だとォォォォォ!!!?)チラッ
番外個体(やっほう)ニコッ
一方通行(ば、馬鹿な、一体いつの間に……イヤ、そンな事考えてる余裕はねェ、早く手を……)
番外個体(ねぇねぇ第一位、隣に座ってるガキは誰?誰なの?ミサカよりその小さいのがいいの?)ボソボソ
一方通行(お、落ち着け番外個体、コイツは妹、妹だ!)ボソボソ
番外個体(いや、妹とかどうでもいいんだよね、つまりはミサカ以外の女って事でしょ?)ボソボソ
一方通行(こ、コイツ……自分と自分以外の女の二種類でしか考えねェのか……)
番外個体(ねー、ミサカとそっちのガキ、どっちの事が好きなの?
ミサカは第一位の一番なんだよね?)ボソボソ
一方通行(も、もちろンだろ?さっきも言ったがコイツは妹で……)
絹旗「うわあああ!!!お化けがああああ!!!!」ガシッ
一方通行「うおォ!?絹旗ァァ!!今抱き付いてくるンじゃねェェェェ!!」
番外個体「……そんなにその子が好きなんだぁ?これはちょっと、きっついお仕置きが必要みたいだねぇ!!」バチバチ
一方通行「待て番外個体!!コイツは映画を怖がってるだけでだなァ……」
番外個体「大丈夫大丈夫、ミサカは優しいからさぁ、腕の一本くらいで許してあげるよ
あ、足の方がいいかな?そうしたらミサカから逃げようなんて思わなくなるよね☆」バチバチ
一方通行「クソ、結局こうなンのか!!おい絹旗、オマエは下がって……」
絹旗「ひぃぃぃ!!死霊が、死霊が盆踊りをぉぉぉ!!!!」ガクガクガク
一方通行「揺さぶるな絹旗ァァァァ!!!演算出来ねェだろォがァァァ!!!」ガクンガクン
番外個体「なんだよ!ミサカの事無視してイチャイチャしちゃってさ!!
本当に怒ったからね!そっちのガキからぐちゃぐちゃにしてあげるよ!!!」
一方通行「ぐゥ、脳がシェイクされたせいで演算が……絹旗、逃げろォォォォ!!!」
絹旗「あ、新しい死霊が出たぁぁぁぁ!!!」ヒィィィ
一方通行「何でこの状況で映画に集中してンだオマエはァァァァ!!!
そもそも『死霊の盆踊り』の何処にそンな怖がる要素があンだよォォォォ!!!」
※死霊の盆踊り……「史上最低のハリウッド映画」の名を欲しい侭にする最悪のホラー映画。
俳優がカンペをガン見しながらやる気のない演技をする様は圧巻。
深夜の墓場に向かっている設定なのに何故か場面は真昼間の荒原だったりする。
番外個体「うひゃひゃひゃひゃ、残念だったね第一位!!あなたの声は届いてないみたいだよ!?
それじゃおチビちゃん、ばいばーい☆」バチィ
一方通行「絹旗ァァァァァァ!!!!」
絹旗「ふぇ?」
番外個体から放たれた高圧の、致死レベルの電撃は一直線に絹旗へと迫る。
映画に集中していた絹旗は当然その電撃への対応など出来はしない。
『窒素装甲』による自動防御はあるものの、殺意と共に射出された電撃の槍はそれすらも貫いてしまうだろう。
電撃が絹旗に届くまでの極僅かの時間に、一方通行は彼女を守る術を全力で考える。
しかしつい先程、窒素装甲の力で思いっきり身体を揺さぶられた彼はまだ回復しきっておらず、
己の能力を使って電撃を反らそうにも、演算が間に合いそうもない。
フラつく身体では、その身を盾にすることすら不可能だろう。
ならば、と一方通行は己が手を突き出し、絹旗を突き飛ばす事で彼女を電撃から遠ざけようとする。
が、ここで思いもよらぬ悲劇が発生してしまう。
「あぐぁ!!!?」
限られた時間、極限の緊張状態、シェイクされた脳、
それらが合わさった結果、一方通行は中途半端な演算による能力の制御ミスをしてしまい、
絹旗を軽く突き飛ばすつもりが、渾身のベクトルパンチを彼女にお見舞いしてしまった。
放たれたベクトルパンチは雷よりも速く、窒素装甲を軽々とぶち破り絹旗に突き刺さる。
殴られた彼女は短い悲鳴をあげつつカタパルトから射出された航空機の如く吹き飛び、
ボンッと派手な音を立て映画館の壁に頭から突き刺さった。
凄まじい勢いの為上半身が丸ごと埋まってしまったその姿は、
『ハチミツを取ろうと木の洞に頭突っ込んで抜けなくなったくまのプーさんの姿』
を想像していただければわかりやすいだろう。窒素装甲が無ければ死んでいたかもしれない。
ていうか普通に電撃受けた方が多分マシでした。
「き、絹旗ァァァァァ!!!!」
壁から絹旗の下半身が生えている、というなんともシュールな光景を前に、
一方通行は頭を抱え絶叫する。自分でやっといて……
ちなみに彼女は普段からギリギリ下着が見えない程度の丈の短いセーター状のワンピースを着用しており、
それはこの日も例外ではなかった。
そして、そのような服装で上半身が壁に埋まり、下半身だけが壁から垂れているという今の構図は、
視覚的に大変マズい事になっていると言わざるを得ない。
「あっひゃひゃひゃ!!何だやっぱり第一位もミサカと二人っきりになりたかったんだ!?」
「絹旗ァ……」
一方通行が自分の為に絹旗を排除してくれたのだ、と判断した番外個体は嬉しそうにケタケタと笑い声を上げる。
そんな彼女を尻目に、一方通行はガックリと膝を付き、守れなかった少女の末路を虚ろな目で見つめていた。
傍から見た彼の姿は、壁に突き刺さって気を失っている絹旗の尻をガン見している変態である。
「お邪魔虫のチビもいなくなったしさ……ねぇ第一位、こっち向いてよ」
(絹旗……どォしてこンな事になっちまったンだ……)
オマエのせいだ、オマエの。
(アイツは、絹旗はただ俺と一緒に映画を見ようとしてただけだってのに……
それがなンでこンな事になっちまうンだ!?アイツが何をした!?)
何もしてねえよ、オマエのせいだって。
(どォして純粋に映画を楽しンでた絹旗が、壁に突き刺さって無様に下着を晒さなきゃならねェ!?
あまりにも理不尽だろォが!?それが世界の選択かァ!!!)
だから……いや、もはや何も言うまい
(……そォだ、わかってる、アイツがパンツ丸出しで壁に突き刺さってンのは俺のせいだ)
(『番外個体に怪我をさせたくない』なンて俺の手前勝手な誓いのせいで、アイツを危険に晒しちまった俺の落ち度……)
(そしてその誓いだって、元を辿れば『妹達に嫌われたくない』なンてくだらねェエゴから生まれたモンだ
そンなモンの為に、俺はたった一人の妹をこンな目に合わせちまった……兄貴失格だな)
「……?どしたの第一位?あのチビの下半身が残ってんのが気になる?消しちゃおうか?」
「ふざけンな!!」
落ち込み、自嘲気味な笑みを浮かべていた一方通行だったが、
番外個体が絹旗に向かってトドメの電撃を放とうとしているのを見て声を荒げる。
そうだ、身勝手なエゴの為にこれ以上絹旗を傷つけるわけにはいかない。
妹達の一員である番外個体と戦いたくは無いが、
自分の妹を売ってまで彼女に媚を売るのは絶対に間違っている。
独占欲の強いヤンデレに怯えている場合ではない。
一方通行は絹旗を守る為、僅かに残っていた番外個体への執着を吹っ切った。
「番外個体ォ!!これ以上絹旗には指一本触れさせねェ!!」
※元々指一本触れていません。
「そっか、第一位はやっぱりミサカよりもあのガキの方が大事なんだ」
「あァ、たった一人の妹なンでなァ」
「……もういいや、死んじゃいなよ第一位!!すぐにミサカも後を追ってあげるからさぁ!!」
「ハッ!どォやって俺を殺すンだ!?チンケな発電能力で最強のこの俺を殺せると思ってンのか!?」
「フン、あなたこそどうやってミサカを止めるつもりなのさ!?
妹達に一切暴力を振るえないヘタレの第一位がさぁ、調子に乗んないでよ!!」
「暴力を振るうつもりなンざねェよ!今から俺が振るうのは愛の鞭!
聞き分けのねェ駄々っ子のオマエに対するお仕置きだァ!!」
「あはははは!!お仕置きかぁ、いいね、最高だよ第一位!!
滅茶苦茶にしていいんだよ!?あなたになら殺されてもいいんだから!!」
「その捻じ曲がった性格、矯正してやンよォォォォ!!!」
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絹旗「うぐぅ……」ガラガラッ
絹旗「あいたたた……って、映画館が超全壊してる!?」
絹旗「気絶している間に超一体何が起きたというのでしょう……」
絹旗「そもそも、私はどうして超気絶をしたんでしたかね?一方通行と超映画を見ていたはずなんですが……」
絹旗「………ま、まさか、超死霊の仕業!?」
絹旗「そ、そういえば一方通行は……」
絹旗「ひょっとして死霊に……」ガクガク
一方通行「何言ってンだオマエは」
絹旗「超出たァァァァ!!!」
一方通行「落ち着け、俺だ」
絹旗「あ、一方通行……超本物ですか?」
一方通行「死霊だつったらどォする?」
絹旗「ひいぃぃぃ!!!!」ブンブン
一方通行「ば、落ち着け!暴れンなコラ!!本物、本物の俺だ!!」
絹旗「ハァ、ハァ……超性質の悪い冗談はやめてください……」
一方通行「つかよォ、オマエはホントなンであンなクソ映画をそンなに怖がってンだ……」
絹旗「別に超怖がってませんし!!」
一方通行「はァいはい、それじゃ暗くなる前に帰りましょうかァ絹旗ちゃァン」
絹旗「だから、超子供扱いするのはやめて……」
一方通行「ン、大人な絹旗さンはクレープもアイスもいらないンですね?」
絹旗「私まだ超子供ですお兄ちゃん」
一方通行「うし、じゃァちょっと寄り道して買って帰るかァ」
絹旗「ひゃっはー!流石は第一位、超太っ腹です!」
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― 一方通行邸
絹旗「超ただいまです」ガチャ
一方通行「ただいまァ」
御坂「あ、一方通行ァァァァ!!!」
一方通行「ン、帰ってたのか超電磁砲、どォした?」
御坂「どうしたもこうしたもないわよ!!とにかく来て!!」
一方通行「はァ?何処に……」
御坂「あんたの寝室よ!!大変な事になってんの!!」
一方通行「なンだァ?」
絹旗「また結標が超何かやらかしたんでしょうか?」
一方通行「……この前留守にしてる間に俺のパンツ被ってたもンなァ、アイツ」
御坂「はーやーくー!!」
一方通行「ハイハイすぐ行きますよォ」テクテク
一方通行「ったく、何があったってン……だ……?」
番外個体「やっほう、お帰り第一位!」
一方通行「……えェ?」
番外個体「どうしたの?ミサカの顔に何かついてる?それとも見惚れちゃった?」
一方通行「いや、いやいやいや、オマエさっき俺が殴り飛ばして星になったよな?」
番外個体「なったよ、痛かったなー。それ以上に愛を感じたけどね」
一方通行「なンでここにいるンだよ!?」
番外個体「細かい事はいいんじゃないかな?愛の力だよ」
一方通行「まァ、オマエらみてェな連中には常識通用しねェからな……
ところでもう一つ、聞いてもいいかァ?」
番外個体「構わないよ」
一方通行「……オマエ、何で俺のパンツ被ってンの?」
番外個体「愛じゃないかな!」
一方通行「ふざけてンのか!?なンだその愛!!つーか会話が噛みあってねェ!!!」
御坂「そうよ!!私と同じ顔でそんな変な事しないでよ!!
何なのよ一体、あんたも妹達なの!?」
番外個体「そだよー、はじめましてお姉様、ミサカは『番外個体』って言いまーす」
御坂「あ、よろしく……じゃなくて!!お願いだから同じ顔でそんな事するのやめて!!」
番外個体「と言いつつ実はお姉様もやりたいんだよね?」
御坂「は、はぁ!?何言ってんのあんた!!」
番外個体「いいんだよ?もっと汚れても……」
御坂「う……い、いいの、かな……?」
一方通行「おい何ほざいてやがる、正気に戻れ超電磁砲」
絹旗「超何ですかこの状況……」
御坂「ハッ!?ダメダメダメ!!何で私がこんな奴の下着被ったり嗅いだりしなきゃならないのよ!!」
番外個体「嗅げとは誰も言ってないけどね」
一方通行「おい番外個体、オマエ何しに来やがったンだ?まさか、また俺と関わりのある女を狙って……」
番外個体「違う違う、純粋にあなたに会いに来たんだよ、第一位」
一方通行「ほォ?」
番外個体「あなたに殴られて、あなたのパンツ被ってたらちょっと頭冷えてきてさ、」
一方通行「冷却効果あンのかよ俺のパンツ、すげェな」
絹旗「夏場は超重宝しそうですね」
御坂「ひんやりしてるの?じゃ、じゃあ風邪引いた時とかは氷枕とかの代わりに……」
番外個体「でね、気付いたんだ。あなたを殺すのはどうも無理っぽいし、
他の女殺してもあなたはミサカの事好きになってくれそうにないし」
一方通行「うン、まァそりゃな」
番外個体「だからさ、ずっとあなたの側にいる事にしようって思ったんだ!」
一方通行「うン……うン?」
番外個体「他の女が付け入る隙が無いくらい、べったべたにあなたに付き纏ってあげるから!」ニタッ
一方通行「そいつは、つまり……」
番外個体「今日からミサカもここで暮らすからね」ニタァ
一方通行「……やっぱそォ来ンのか」
番外個体「嬉しい?嬉しい?この前みたいに抱きしめてもいいんだよ?」
一方通行「いやァちょっと、流石にパンツ被ってる方とは遠慮したいですねェ……」
番外個体「あ、そう?じゃあ取るよ」カポ
一方通行「いや今更取られても、そして俺に差し出されても……どォしろってンだ」
番外個体「そういうわけで今日からお世話になるよ!」ニタリ
一方通行「……好きにしろよもォ」
絹旗「え、いいんですか?そんな超あっさりと」
御坂「そ、そうよ一方通行!絶対に変よこの子!!」
番外個体「お姉様には言われたくないなぁ、割と切実に」
一方通行「どォせコイツも追い出しても追い出してもすぐ部屋に戻って来るに決まってンだ、
それなら最初から受け入れてた方が早ェよ。それに……」
御坂「それに?」
一方通行「……いや(追い出したら今度こそ無差別に殺人したり自殺したりしかねねェ……)」
絹旗「??」
一方通行(目の届く範囲で俺が管理するしかねェだろ……)
番外個体「ねぇ第一位、」
一方通行「あァ?」
番外個体「今更第一位の交友関係に口出しはしないけどさ、」
一方通行「うン?」
番外個体「ミサカから逃げようだなんて思わないでね?」ニコ
一方通行「お、おォ」ゾクリ
番外個体「ミサカはウサギみたいに寂しがり屋だからさぁ、側から離れちゃイヤだよ?」
一方通行「……努力はしてやる」
番外個体「知ってる?ウサギって一人っきりで寂しいと大爆発して周囲を巻き込みながら死ぬんだよ?」
一方通行「そンな物騒なウサギがいて堪るかァ!!!」
絹旗「はぁ、何だか結標が超増えたような気分ですね……」
御坂「明らかに結標さんより厄介でしょこれ……って、そういえば結標さんどこ行ったのかしら」
テレビ<緊急速報です。先程、変質者が遠足中の小学生達を……
part3【前編】に続きます

