1 : ◆qqtckwRIh.[sag... - 2013/09/23 23:13:34 PdSCI.nM 1/601

 
竜騎士「ち…ちょっと待ってください。何故ですか!」

上官「何故も何も、決まったことなのだ。明日には向かってもらうぞ」

竜騎士「なんで俺が…」


上官「…とにかく、お前は明日から田舎町の支部に転勤だ」


竜騎士「そ、そんなぁ~…」

元スレ
竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1379945614/

2 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:14:18 PdSCI.nM 2/601

 
That's where the story begins!
―――――――――――――――――
【竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活】
―――――――――――――――――
Don't miss it!

3 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:14:58 PdSCI.nM 3/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【7日後・田舎町】


ミーンミンミンミン…

竜騎士「…暑い」


ジージージー…

竜騎士「そして、セミうるせぇぇ!何で俺がこんな田舎に左遷されなくちゃならないんだよ!」

4 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:16:47 PdSCI.nM 4/601

 
…トボトボ

竜騎士「自然が多いのは嫌いじゃないが…、はぁぁ…」


???「ため息ばかりついてると、幸せが逃げますよ?」

竜騎士「ん?」

女武道家「どーも初めまして、支部に勤めている女武道家と申します。竜騎士さんですよね?」


竜騎士「そうだが…」

女武道家「本部から話は聞いてます。支部まで案内しますので、どうぞこちらへ」

5 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:17:45 PdSCI.nM 5/601

 
トコトコ…

竜騎士「…」


女武道家「…どうかしたんですか?」

竜騎士「いや、何でもないよ。君、いくつ?」

女武道家「女性に歳を聞くのは野暮ですね…。一応18ですがっ」


竜騎士「そうか。俺は今年で24だ。よろしくな」

女武道家「は、はいっ」


竜騎士「君はここに住んで長いのか?」

6 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:18:26 PdSCI.nM 6/601

 
女武道家「私ですか?ここ出身なので、長いも何も、18年間ずっとですよ」

竜騎士「そうか。多少暑いが、いいところだな」


女武道家「…"こんな田舎"ですが、いいところはあると思いますよ」ニコッ


竜騎士「…聞いてたのね」

女武道家「あはは…」


竜騎士「支部ってのは、どんな奴が多いんだ?支部長は?」

7 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:19:18 PdSCI.nM 7/601

 
女武道家「…えっ?」

竜騎士「えっ?」


女武道家「えっ…え?」

竜騎士「えっ?」


女武道家「ん?」

竜騎士「お?」

8 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:20:06 PdSCI.nM 8/601

 
女武道家「あれ…、竜騎士さん…です、よね?」

竜騎士「そうだけど…」

女武道家「…新しい、支部長さんですよね?」


竜騎士「え…えっ?えっ!?」

女武道家「え…ち、違うんですか?本部からはそう連絡を聞いてましたが…」


竜騎士「ちょ…聞いてないんだけど」

9 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:20:44 PdSCI.nM 9/601

 
女武道家「それと、支部は私1人ですよ?」

竜騎士「はぁ!?」

女武道家「…」ビクッ


竜騎士「ちょ、本当に!?」

女武道家「…はい」


竜騎士「…えぇぇ…、待って、女武道家さんの階級は?」

10 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:21:31 PdSCI.nM 10/601

 
女武道家「呼び捨てでいいですよ。一応代理支部長だったりしたので、それも考慮されて軍曹です」ムフー

竜騎士「ぐ…軍曹…。18で軍曹さんか…」

女武道家「竜騎士さんは階級上がったんですよね?支部長ですし」


竜騎士「…少佐のまんまだよ。えぇ~…」


女武道家「本部のほうで、何か悪いことでもしたんですか…?」

竜騎士「…心当たり、ないんだけどなぁ」

11 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:22:18 PdSCI.nM 11/601

 
女武道家「…でも、階級も貰えず、本部からここへ移動って…中々ないですよ」

竜騎士「せいぜい軍事演習で中隊長やって、偏屈な性格の中将率いる大隊を敗北させたくらいで…」


女武道家「…」

竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士「そ、それだーーーっ!?」

13 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:22:49 PdSCI.nM 12/601

 
女武道家「あはは…」

竜騎士「どうせまだ若いからって、左遷させられたのか…ああ~っ、バカなことをしたなぁぁ」ガクッ

女武道家「謝れば、許してもらえたりするんじゃないですか?」

竜騎士「謝ってすむなら、こんな場所にいないよ…」


女武道家「あ~っ、また"こんな"っていう!」


竜騎士「あ、いや…ごめん!つい!」

女武道家「もー…」

14 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:23:52 PdSCI.nM 13/601

 
竜騎士「…うん、ごめんよ」

女武道家「いいですよ、別に!でも、ちょっと嬉しかったりするんです」

竜騎士「"こんな"って言われて?」


女武道家「そっちじゃないです!ようやく、久々に一緒に働く人が出来たな~ってことです」


竜騎士「ああ、なるほど…って、久々?」

女武道家「はい。前は、先輩が2人ほどいたんですけど、今は中央都市に勤めに行きました」

15 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:24:45 PdSCI.nM 14/601

 
竜騎士「昇進?」

女武道家「いえ、自分から志願すれば大体は都市部勤務になりますよ」

竜騎士「え、じゃあ俺ももう1度志願すれば戻れるのか、なんて」

女武道家「どうでしょう…左遷みたいなもんですし…」


竜騎士「そうだよなぁぁ…」ハァ


女武道家「…あ、見えてきました。あれが支部ですよ!」ビシッ

16 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:25:15 PdSCI.nM 15/601

 
竜騎士「…」

女武道家「…」ニコニコ

竜騎士「ねえ、女武道家さん」

女武道家「はい?」


竜騎士「俺には、ただの一軒家にしか見えないんだけど」


女武道家「…かもしれません」

竜騎士「…」ハァ

17 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:25:47 PdSCI.nM 16/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・
・・


18 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:26:23 PdSCI.nM 17/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…カチャカチャ

女武道家「今、お茶出しますね」


竜騎士「ものの見事に、ただの家だな。まともな軍事品が何もない」

女武道家「…変、ですかね?」

竜騎士「変すぎるだろ。変だと思わないのか?」


女武道家「軍に所属してから、ずっとここですので…全部こんなもんかなと…」


竜騎士「…都市部には志願しないのか?」

19 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:27:10 PdSCI.nM 18/601

 
女武道家「私、この町が好きですから」

竜騎士「ふーん…」

女武道家「お茶、どうぞ」

カチャッ…スッ


竜騎士「ありがとう。それで、泊まる場所は?寮なんかはどこに?」グビッ


女武道家「ここです」

20 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:27:50 PdSCI.nM 19/601

 
竜騎士「…ぶーっ!」

女武道家「きゃあっ!」

竜騎士「ここ!?ここ、支部だろ!?」


女武道家「そ、そうですよ?私もここですし…」

竜騎士「…具合悪い」

女武道家「だ、大丈夫ですか!?」

竜騎士「そういう意味じゃないから大丈夫…」

22 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:28:28 PdSCI.nM 20/601

 
女武道家「そう…ですか」

竜騎士「じゃあ、ここに一緒に住むのか…?」

女武道家「そうなりますね?」

竜騎士「…き、君の実家はここから近いのかな?」


女武道家「もっと奥ですから、歩いて1時間くらいですかね!」

竜騎士「そ、そう…、家からは通わないのかな?」

女武道家「いえ、義務はしっかり果たします!」


竜騎士「ぎ、義務?」

23 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:29:15 PdSCI.nM 21/601

 
女武道家「夜に住民に何かあったとき、誰もここにいないんじゃダメじゃないですか!」

竜騎士「軍は便利屋さんじゃないんだけどなー」ハハハ…

女武道家「ってなわけで、お互い頑張りましょうね!」


竜騎士(ただの家みたいなところに男女で住むだって…?どうなっちまうんだか…)

24 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:30:19 PdSCI.nM 22/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【1時間後】

…ペラッ

竜騎士「…ふーん。一応、活動はしてたのか」

女武道家「さっき言った通り、便利屋みたいな活動ばっかりですけどね」


竜騎士「この、天然洞窟やらの探索ってのは?」

女武道家「私がここで働く前、森林探索や、天然洞窟の探索が行われたらしいです」

竜騎士「ふむ…、ま、大体わかった」

25 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:30:59 PdSCI.nM 23/601

 
女武道家「ここでやっていけそうですか?」

竜騎士「いけるも何も、やらないといけない状況なんでね…」

女武道家「中央の人は、大変ですねぇ」


竜騎士「出世争い、妬み、裏切り、何でもあるぞー」

女武道家「ひぃっ…」

竜騎士「…ははは、冗談冗談」

女武道家「…怖い」


竜騎士(冗談じゃないけどね)

26 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:31:52 PdSCI.nM 24/601

 
女武道家「それで、これからどうします?」

竜騎士「今やってる業務とかはあるか?それと、中央からの連絡手段はどうなってる?」


女武道家「業務は特にないです。連絡手段は、別の部屋に通信装置はありますので」

竜騎士「なるほどな」

女武道家「はい」


竜騎士「…」

女武道家「…」

27 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:32:45 PdSCI.nM 25/601

 
…ミーンミンミンミン・・・


竜騎士「…」

女武道家「…」

竜騎士「…え、えっと…女武道家は、1日を何して過ごしているのかな?」


女武道家「こうやってお茶を飲んで、外を眺めて、住民の方や、本部からの連絡待ちですとか…」

竜騎士「ほ、ほう…」

女武道家「お昼を食べたら、食後の散歩がてら、外出して見回りとか…」


竜騎士「…頭痛くなってきた」

28 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:33:22 PdSCI.nM 26/601

 
女武道家「だ、大丈夫ですか!?」

竜騎士「だから、そういうのじゃないから大丈夫…」

女武道家「そうですか…」


竜騎士「…参ったな。えーと…今は午後2時か…」

女武道家「そうみたいですね」

竜騎士「んー…、ただいてもしょうがない。さっきの報告書にあった、昔、魔物が出たという場所に行ってみるか」

29 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:34:18 PdSCI.nM 27/601

 
女武道家「えーっ!」

竜騎士「えっ」


女武道家「昔といえども、もしかしたら、今は魔物いるかもしれませんし、危ないですよ!」

竜騎士「そ、そりゃそうだが…。俺らの仕事は魔物退治もあるわけで…」

女武道家「ケガとかしたらどうするんですか!」


竜騎士「…女武道家?」

女武道家「はいっ?」

30 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:34:57 PdSCI.nM 28/601

 
竜騎士「無理やりにでも連れて行く、道案内よろしく」

…ズーリズーリズーリ

女武道家「きゃーーっ!引っ張らないで下さい~!」

31 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:35:29 PdSCI.nM 29/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【天然洞窟】


ヒュウウウウウッ…


竜騎士「ここは少し寒いな」

女武道家「…」ビクビク

竜騎士「何震えてるんだ?寒いかやっぱり?」


女武道家「もも、もしも魔物が出たら怖いじゃないですか!」

32 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:36:21 PdSCI.nM 30/601

 
竜騎士「…」

女武道家「も、もういいですよね?ね?」

竜騎士「…まあ、異常はないようだし…いいか。次行くぞ」

女武道家「まだ行くんですかっ!?」


竜騎士「一応見回りはこういうことを言うんだよ!ほら、次!」

33 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:37:09 PdSCI.nM 31/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【水晶の泉】

…キラキラ

竜騎士「うおっ、透き通って綺麗な水だなおい!」

女武道家「ここは、昔はよく魔物が出ていたらしいので、町人も近づかないんですよぅ…」


ジャブジャブッ…


女武道家「って、何してるんですかぁぁ!」

竜騎士「え、いや、暑いからちょっと水浴びでもしようかなと…」

34 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:37:56 PdSCI.nM 32/601

 
女武道家「ダメですって!何かいたらどうするんですか!」グイッ

竜騎士「あ、おい、ちょ、引っ張るな!こら!」

女武道家「次行くなら行きますよ!ほら!」


竜騎士「少しくらい水浴びさせてくれてもいいじゃないかぁぁ…」

…キラッ


竜騎士「…水の中に何か…ある?」

女武道家「何してるんですか!」

竜騎士「わ、わかったよ!…まあ、いいか…」

35 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:38:36 PdSCI.nM 33/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【迷いの森】


…バサバサバサッ!!…

竜騎士「こりゃまた、見事な森林だな」

女武道家「通称、迷いの森ですね。まだ深部には魔物がいるって話です」

竜騎士「何、そりゃ危ないな。早速、退治に行くか」ヨイショ


女武道家「ちょちょちょ、何してるんですか!」

竜騎士「え、魔物がいたら倒すのは当たり前だろ?」

36 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:39:18 PdSCI.nM 34/601

 
女武道家「なな、何も今行かなくてもいいじゃないですか!」

竜騎士「町人に危険が及んだらどうする。それを防いでこそだろう」


女武道家「…もう、ここ数年は被害なんて聞いてないですから、大丈夫ですってば!」


竜騎士「…そうか?」

女武道家「そうですよ!とりあえず、これで報告書は全部です。一回戻りますよ!」

竜騎士「わ、わかった」


女武道家「全くもう…」


竜騎士(あれ?立場逆転してるし、俺間違った事言ってない…よね?あれ?)

37 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:39:58 PdSCI.nM 35/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【田舎町・支部】


…バタンッ

女武道家「はー…戻ってこれた。中央の人は、色々びっくりすることしますねぇ…」

竜騎士「…普通だと思うんだが」

女武道家「中央だと普通かもしれませんが、こっちでは私が普通なんですっ!」


竜騎士「そう、なのか…?」

女武道家「せっかちすぎますよー。もっとのんびりいきましょうよ…」

38 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:40:46 PdSCI.nM 36/601

 
竜騎士「うーむ…まあ、確かに…せっかちなのは認めるが…」

女武道家「でしょう?のんびりですよ、のんびり」

竜騎士「ま…、今まで働きづめだったし、久々の休暇と思ってのんびりするか…」


女武道家「休暇!?」

竜騎士「な、なんだ」


女武道家「のんびりしても、しっかり働くのは変わりませんよ!?」

39 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:41:26 PdSCI.nM 37/601

 
竜騎士「朝起きて、昼間でお茶飲みながらココにいて、昼ごはん食べたら…外回りもとい、散歩が…?」

女武道家「外回りがてら、夕飯のおかずを買って、夜は本を読んだりして、お風呂に入って寝る!ここまでが仕事です!」


竜騎士「…」

女武道家「…」エッヘン


竜騎士「あほーっ!世間では、それを"休暇"というんだ!!」

女武道家「きゃああーーっ!お、大声出さないで下さい~!」

40 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:42:07 PdSCI.nM 38/601

 
竜騎士「…明日は住民に一応挨拶がてら顔を出しながら、何か問題がないか聞く!」

女武道家「う、うぅ…」

竜騎士「2人といえども、きちんとした仕事はするぞ!」

女武道家「今まで通りでも良いと思うのに…」ガクッ


竜騎士「スケジュールは今日の夜、相談しながらでも決める!いいな!」

女武道家「ふ…ふぁい…」


竜騎士「…本当に、大丈夫なんだろうか…」

41 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:42:41 PdSCI.nM 39/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コチ…コチ…コチ…


竜騎士「朝は9時までに起床、ここに集合。12時まではしばらく、書類整理だな」

女武道家「書類整理…」

竜騎士「古い書類がたまり過ぎだ、一回整理する必要がある」

女武道家「…うう」


竜騎士「そこから1時までは休憩。1時からは、その記載されている危険な場所を見回る。日替わりだな」

女武道家「…危ないですよう」

竜騎士「知らん!2時からは、住民に何か問題がないか聞いて回る」

42 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:43:31 PdSCI.nM 40/601

 
女武道家「全部回るのに、3、4時間かかりますよ多分…」

竜騎士「…商店街をメインにして、4時までには終わらせる」

女武道家「ちょっとだけ、省きましたね!?」


竜騎士「ごほん。4時から6時までは、鍛錬だ」

女武道家「鍛錬?」

竜騎士「まぁ体力作りとか、演舞とか。そういうのだ」


女武道家「…熱中症になりますよ?」

43 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:44:18 PdSCI.nM 41/601

 
竜騎士「休憩がてら、これは出来る範囲でやっていく。軍人という立場上、必須だ」

女武道家「あうう…」

竜騎士「6時からは自由時間だ。それで仕事は終了、ご飯やらはそこからでいいだろう」


女武道家「すっごい厳しいスケジュールに…」

竜騎士「これで厳しかったら、中央だと死ぬな」


女武道家「そんなきついんですか?」

44 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:44:48 PdSCI.nM 42/601

 
竜騎士「…ふ、ふふ…」

女武道家「ふふ?」

竜騎士「朝5時起床!30キロのマラソンの後、1時間の勉学!演習を含み、12時まで各自必要なー…」


女武道家「わ、わかりました!もうわかりました!私には中央は無理です!」

竜騎士「ふ…ふふ…」

女武道家「つくづく、支部でよかったなと思いますよ」


竜騎士「支部でもこんなになってるのは、レアケースすぎるけどな」

45 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:45:36 PdSCI.nM 43/601

 
女武道家「はー…」

…グゥゥッ

女武道家「!」


竜騎士「…そろそろ、晩御飯…ご飯食べるか?」

女武道家「…はい」カァッ


竜騎士「えっと…冷蔵庫はどこだ?」

46 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:46:13 PdSCI.nM 44/601

 
女武道家「あ…」

竜騎士「…あった、これか。旧式の魔石による冷蔵庫か…懐かしい…」


…ガパッ


竜騎士「…」

女武道家「あう…」

竜騎士「おい」

女武道家「はいっ!」

47 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:46:52 PdSCI.nM 45/601

 
竜騎士「…まともに材料と呼べるのがないぞ。全部、お惣菜と、その余りなのだが…?」

女武道家「え、えーと…それは…その…」モジモジ

竜騎士「あほーーっ!!」

女武道家「今日2度目ーっ!」


竜騎士「しゃあない、この惣菜使って、ちょっとした料理を作ってやる…ご飯でも炊いとけ!」

女武道家「は、はいっ!」

 
竜騎士「…ったく、色々深刻すぎるだろ…」

48 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:47:59 PdSCI.nM 46/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女武道家「んーーーっ!美味しいぃ!」

竜騎士「…」ピクピク

女武道家「料理上手なんですね!さすが、中央の人!」


竜騎士「…なぜ、ご飯がお粥になっているんだ…?」

女武道家「ち、ちょっと水を入れすぎたかなー…なんて…?」

49 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:48:39 PdSCI.nM 47/601

  
竜騎士「1合炊くのに、どれくらいの水を使ったんだ…?」

女武道家「コップ3杯分です!!」

竜騎士「…1合は、コップ1杯分…それでも少し多いくらいなんだぞ!」


女武道家「ひ、ひえぇ、そうなんですかー!」

竜騎士「…」

女武道家「たまに、ご飯がパッサパサだったり、のりみたいだったり…したんです…けど」チラッ


竜騎士「俺が、料理のやり方は教えてやるよ!!覚えろー!」

女武道家「はいいーっ!」

50 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:49:16 PdSCI.nM 48/601

 
竜騎士「…ったく…」


女武道家「えへへ……しいな…」

竜騎士「ん?何て言った?」

女武道家「…やっぱり、楽しいです」

竜騎士「楽しい?」
 
 
女武道家「前のいた先輩がいなくなって、こうやって他の人とご飯を食べるの久しぶりなんです」

51 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:49:58 PdSCI.nM 49/601

 
竜騎士「あー…なるほどな」

女武道家「その時もこうやって言われちゃって。成長してないっていうんでしょうけど…」

竜騎士「…ははは」


女武道家「…」モグモグ

竜騎士「…」モグモグ

女武道家「…」グビッ


竜騎士「…ん?」

52 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:50:57 PdSCI.nM 50/601

 
女武道家「え?」

竜騎士「今、18歳っていったよな」

女武道家「はい」

竜騎士「…いつから軍に所属してるんだ?軍の所属は18歳からだったはずだが…」

女武道家「正式な所属は今年ですけど…元々軍希望だったんで、こんな田舎ですし、大目に見てもらって15歳から働いてました」


竜騎士「あぁ…なるほど」

53 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:51:51 PdSCI.nM 51/601

 
女武道家「だから、中央都市には行かないんじゃなくて、行けなかったのが正しいんですけどね」

竜騎士「行きたいとは思わないのか?」

女武道家「…やっぱりこの町が好きですし」

竜騎士「へぇ…」


女武道家「…よしっ。ご馳走様でした!」

竜騎士「食べるのはやっ!」

女武道家「お風呂、準備してきますね!」


竜騎士「お…おう…」

54 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:52:32 PdSCI.nM 52/601

 
…タッタッタッタ

竜騎士「…」


…ジャーッ…キュッキュッキュ……


タッタッタ…


竜騎士「…」

女武道家「よし、いつでも大丈夫です。お湯が張ったら言いますね、一番風呂をどうぞ!」

55 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:53:24 PdSCI.nM 53/601

 
竜騎士「う、うむ…、本当に所帯染みてるな…」

女武道家「…ふぅ」

…ゴロン


竜騎士「食べた後、すぐに横になると体に悪いぞ」

女武道家「これが好きなんですよー…」

竜騎士「…太るぞ?」


女武道家「…」ピクッ

56 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:53:56 PdSCI.nM 54/601

 
竜騎士「…」

女武道家「い、今何て言いました…?」

竜騎士「太るぞ、と」

女武道家「わ、私太ってます…か…?」


竜騎士「ぷっ…さあな?」

女武道家「…っ、じゃ、じゃあ!見てくださいよ!これ!!どうですか!!」

…パサッ

57 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/23 23:54:38 PdSCI.nM 55/601

 
竜騎士「ふ、服を脱ぐんじゃない!」

女武道家「て…撤回してくださいよ!ほら、まだ若いんですからぁぁ!」

竜騎士「わかったわかったーーー!笑ったのは冗談だから!」

女武道家「絶対本気でいったー!」


竜騎士「お、ふ、風呂が溜まった、いってくる!」


女武道家「…もーっ!デリカシーがないんですからぁ!」

67 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:03:14 qyjkAyCU 56/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ホゥ…ホゥ

竜騎士「で、どこで寝ればいいんだ?」

女武道家「2階の…ここが寝室です。布団敷きますね」

竜騎士「お、悪いな」


女武道家「いえいえ、どうせ自分のも敷くので」


竜騎士「うんうん…、うん…うん!?」

68 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:03:58 qyjkAyCU 57/601

 
女武道家「うん?」

竜騎士「一緒の部屋で寝るのか!?」

女武道家「そうですけど、何か?」キョトン


竜騎士「それはいささか問題があるような気が…」

女武道家「…男女ですけど、仕事仲間ですし…」


竜騎士「…あのさ、え…、いやそうだけど…」

69 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:04:33 qyjkAyCU 58/601

 
女武道家「…やっぱり、別々のほうがいいですか?」

竜騎士「いや俺は別にいいんだ…けど…」

女武道家「それじゃ、敷きますね!」


竜騎士「あ…あぁ…うん、まあ…いいんじゃないの…」


女武道家「もう夜遅いですし、明日に備えて寝ましょうっ」バサッ

竜騎士「お、おう…」

70 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:05:27 qyjkAyCU 59/601

 
女武道家「…よしっ、出来ました。それじゃ…」モゾモゾ

竜騎士(布団ちけぇ)


女武道家「おやすみなさいっ!」

竜騎士「お…おう、おやすみ」


女武道家「…」スゥッ

竜騎士(そして…寝るのはえぇ)

71 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:06:06 qyjkAyCU 60/601

 
…モゾモゾ

竜騎士(とはいえ…俺も疲れた…。せめて、いい夢だけでも…見たいもんだ…)チラッ

女武道家「…」スヤスヤ

竜騎士(はぁ…、しばらく休暇もらったと思って、楽にするか…)

72 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:07:12 qyjkAyCU 61/601

 
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73 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:08:06 qyjkAyCU 62/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【次の日・田舎町の商店街】


…ガラッ

竜騎士「それでは、ありがとうございました」

…バタンッ


竜騎士「挨拶回りも楽じゃないな。それにしても、みんな笑顔でいい人たちだ」

女武道家「ですよね!」ニコニコ

竜騎士「少しでも名前を覚えてくれると良いんだがな」

74 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:08:51 qyjkAyCU 63/601

 
女武道家「でも、竜騎士の名前を受ける位ですから、相当強いんですよね?」

竜騎士「まー…強い、のか…?」

女武道家「竜の力を解放できるとか?おりゃーっ!とか!」

竜騎士「はは、竜のように魅せた戦い技術とか、竜をも砕く騎士!みたいな感じで元帥殿にもらった名前だよ」


女武道家「竜の力を持っている、とかそういうことではないんですね?」

竜騎士「…かの英雄と呼ばれた剣士は、竜の血を持って世界を救ったとか聞いたことあるよ」

75 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:09:37 qyjkAyCU 64/601

 
女武道家「あ、知ってます!勉強で習いました。絵本でも読みましたし」

竜騎士「まぁ…確かに竜族はいるけど、絵本の剣士のように、本当に竜と戦って勝てる自身はないよ…」タハハ

女武道家「へえー…何か、技見せてくださいよっ!」


竜騎士「わ…技…?」

女武道家「その、竜のように魅せる技を!」ブンブンッ


竜騎士「ふむ…よし…」スチャッ

76 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:10:10 qyjkAyCU 65/601

 
女武道家「…」ワクワク


竜騎士「…」スゥゥ


女武道家「…」ウキウキ


竜騎士「龍突っ!!」グワッ

…ズドォォォッ!!!


女武道家「…!!穂先が龍のように飛んでいく!」

…ドォォォッ!!!!

77 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:10:53 qyjkAyCU 66/601

 
女武道家「…お…?」


ドォォォォッ……ドゴォォォン!!ガシャン!!バリン!!

町民「だ、誰だーーー!!!人の家の壁壊したやつはーーー!」


竜騎士「あ」

女武道家「…あ」


竜騎士「や、やべ…逃げろ!!」

78 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:11:29 qyjkAyCU 67/601

 
女武道家「いいんですかー!?」

竜騎士「わざとじゃないからな、わざとじゃ!」

女武道家「わかってますけども!」


竜騎士「はっはっは!」

女武道家「あははっ!」


…タッタッタッタッタ…

79 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:12:17 qyjkAyCU 68/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女武道家「はぁ…はぁ…はー…笑った」クスクス

竜騎士「焦ったぁ…」

女武道家「お堅い人だと思ってたんですけど、意外とユーモアがあって安心しました」


竜騎士「堅そうだったか?」


女武道家「はい、なんていうか…"軍は規律が全て!!"みたいな…」

80 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:12:49 qyjkAyCU 69/601

 
竜騎士「はは、確かに大事だが、それに縛られすぎるのも良くない…そういう考えだ」

女武道家「そうですよね!」

竜騎士「お前みたく、温過ぎるのもどうかと思うけどな」コツンッ


女武道家「あいたっ!」


竜騎士「さて、もうすぐ昼か。お昼ごはん食べたら、まだ挨拶回りを続けるぞ」

女武道家「はいっ」

81 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:13:40 qyjkAyCU 70/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ガラガラッ

婆や「女武道家ちゃん、またおいでよ」

女武道家「はいっ、お婆ちゃんも元気でね!」

婆や「漁騎士さんも、これからよろしくね」


竜騎士「り、竜騎士です。これからよろしくお願いします」ペコッ

82 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:14:27 qyjkAyCU 71/601

 
…トコトコ…ジリジリ…


女武道家「一応、商店街と離れの家はこれで終わりですね」

竜騎士「あと、山の奥やら森側に数軒、町外れにもあるみたいだが…日を改めてでいいな」

女武道家「ですね、少し遠いですし」


竜騎士「つーか…」

ジリジリ…ミーンミンミンミンミン…


竜騎士「暑い…暑い…!暑い!!」

83 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:15:03 qyjkAyCU 72/601

 
女武道家「仕方ないですよ、夏ですもん」ニコッ

竜騎士「猛雪山でのミッションが懐かしい…」


女武道家「あー、万年雪山って言われてる所ですよね?」


竜騎士「あそこだと逆に寒すぎるがな…、今何時だ?」

女武道家「午後3時を回るところです」

84 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:16:11 qyjkAyCU 73/601

 
竜騎士「…」ユラッ

女武道家「…?」
 
 
竜騎士「ついて来い!」グイッ

女武道家「えっ、ど、どこに行くんですか!」


竜騎士「暑すぎてな…我慢の限界だ!」

85 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:16:43 qyjkAyCU 74/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【水晶の泉】


…ザパァン!!!

竜騎士「冷てぇぇ!」

女武道家「…ど、どこに行くかと思ったら…まさかの…」

竜騎士「こんなにキレイな水で、泳がないのは損だろ!」


女武道家「いやそりゃそうなんですけど…」

86 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:17:30 qyjkAyCU 75/601

 
竜騎士「ほら、来たらどうだ!」

女武道家「いやー…泳ぐのは嫌いじゃないんですけど…何ていうか…」

竜騎士「ん?」

女武道家「自然の泉とか、森の中のとか、キレイすぎる水辺とか…なんか嫌なんですよね…」


竜騎士「嫌?」


女武道家「見るのは好きなんですけど、なんか怖いっていうか…分かりません?」

87 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:18:16 qyjkAyCU 76/601

 
ジャブジャブ…

竜騎士「んー…気にしたことなかったな」

女武道家「疎いだけですよ!」

竜騎士「それに、都市部だとこんな事できないからね~…」


女武道家「あと昨日も言いましたけど、魔物がいたりしたら怖いじゃないですか!」

竜騎士「報告もあがってないんだし、ゆっくりしようよって言ったのは君だぞ?」ハハハ

女武道家「む、むぅぅぅ…」

88 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:18:58 qyjkAyCU 77/601

 
竜騎士「…ん」

…キラッ

竜騎士「…そういや昨日も何か光ってたな。ちょっと潜って見てくる」

女武道家「え、ちょっ!」


ザバザバ…トプンッ…


女武道家「私ここ苦手なんですから、一人にしないでくださいよーーー!」

89 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:19:46 qyjkAyCU 78/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ザバァンッ!!

竜騎士「ぷはぁっ!」


女武道家「!」

竜騎士「やー、思ったよりも深くて手間取った」ハハ


女武道家「ご…5分ですよ!?どんだけ潜ってるんですか!」

竜騎士「5分くらい…」ゴニョゴニョ

女武道家「信じられません…」

90 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:20:29 qyjkAyCU 79/601

 
竜騎士「それより…よいしょっと」

…カチャンッ


女武道家「何です?これ?」

竜騎士「泉の深くに落ちてた。金貨…みたいだな」

女武道家「…金貨?」

竜騎士「見たことない金貨だ。なんだこりゃ」


女武道家「使えたり、売れるんです…かね?」

91 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:21:22 qyjkAyCU 80/601

 
竜騎士「変な模様入ってるし…使えないんじゃないか?もしかしたらオモチャか何かもしれん」

女武道家「こんな泉に?」

竜騎士「何があるかなんて、誰にも分からないもんだ」

女武道家「ふむ…?」


竜騎士「うっしゃ、とりあえず戻るか。涼めたし」ザバッ

女武道家「私は違う意味で涼みましたけどね…」

92 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:21:59 qyjkAyCU 81/601

 
竜騎士「とりあえず戻ったら、書類整理の続きだ!」

女武道家「え…」

竜騎士「今までサボってた分のツケが来たと思うことだな」


女武道家「そ、そんなぁ…」

93 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:22:49 qyjkAyCU 82/601

 
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94 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:23:24 qyjkAyCU 83/601

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――――【 夜 】


…ホー…ホー…

サワサワ…


女武道家「…よし、これで最後で終わりっと♪」

竜騎士「お疲れさん」

女武道家「これで、明日の分は楽になりますよね?」


竜騎士「倉庫いっぱい分あるからな。まだまだだ」

女武道家「うう…」

95 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:24:06 qyjkAyCU 84/601

 
竜騎士「…んー」

女武道家「どうしたんですか?」

竜騎士「…この支部の維持ってどうなってるんだ?」


女武道家「維持?」

竜騎士「考えてなかった。普通は、本部から資金やらを貰えるはずなんだが、貰ってるのか?」

女武道家「あー…一応、月イチですけど、軍に所属している商人が、お金は持ってきますよ?」


竜騎士「いくらだ?」

96 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:25:15 qyjkAyCU 85/601

 
女武道家「えーと…先月が支部の資金が6万ゴールドでした」

竜騎士「…」

女武道家「?」

竜騎士「…そりゃ、食費やら雑費で消えるだろ!どうやってやりくりしてるんだ!」


女武道家「えーと…あと足りない分は、自分の給料から出してます」

竜騎士「きゅ…給料…」

97 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:26:09 qyjkAyCU 86/601

 
女武道家「ですから、私の給料もあわせて、大体1人で生活には困ってませんでしたよ」

竜騎士「…」バンッ!!

女武道家「ど、どうしました?」ビクッ


竜騎士「本部に通信する!通信装置を貸してくれ!」

女武道家「は、はいっ!」

98 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:27:00 qyjkAyCU 87/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ザザ…ザザザザ…


竜騎士「もしもし、聞こえますか」

上官"「もしもし…おー、竜騎士!」"


竜騎士「久しぶりです」


上官"「心配してたんだぞ、そっちはどうだ」"

99 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:27:41 qyjkAyCU 88/601

 
竜騎士「ええ、まぁ…予想通りといえば予想通りですが…」

上官"「はは…それで、どうした?」"

竜騎士「この支部の設備、運営資金、仕事、その他諸々たくさん聞きたいことがあるんですが…?」


上官"「ふむ」"


竜騎士「まあ何にせよ、きちんと支部として動かすには資金が足りなすぎるんです!」

上官"「どのくらい必要なんだ」"

竜騎士「この通信機器も古すぎますし、いざという設備、装備など…見積もって1500万ゴールドですね」

100 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:28:31 qyjkAyCU 89/601

 
女武道家「ご、1500万ゴールド!?」

竜騎士「…うるさっ!」キーン

女武道家「そんな、そんなにいらないですよ!」

竜騎士「はは…わかったから、静かにしといてくれるかな…」


上官"「わかった、検討して、明日にでも返事を出す。今日はもう夜遅いからな」"


竜騎士「夜分にすいませんでした。よろしくお願いします」


…ザザ…ブツンッ・・・

101 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:29:14 qyjkAyCU 90/601

 
竜騎士「ふう、これで一先ずは安心か」

女武道家「せ、1500万ゴールドとか横暴すぎますよぉ…」

竜騎士「そのくらいないと、この支部は本当にただの"家"だっつーの!」


女武道家「あうう…」


竜騎士「とりあえず、今日も…早めに寝るぞ」

女武道家「は、はいっ」

102 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:30:15 qyjkAyCU 91/601

 
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103 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:30:56 qyjkAyCU 92/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【次の日】

…ザザ…


竜騎士「え…出せない!?」

上官"「すまんな。そちらの支部に送る金額は毎月の6万ゴールド…それが限界なのだ」"

竜騎士「そ、そんな!」


上官"「それと…その会議で決まって、もう1つ、2つほど残念な報告がある」"

竜騎士「なんでしょう?」

104 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:31:59 qyjkAyCU 93/601

 
上官"「もうすぐ、そこの支部はなくなるかもしれん」"

竜騎士「はぁ!?」

女武道家「えっ!?」


上官"「そこの土地は元々、軍の保有ではない。借りている為、毎月別途に土地主に金を払っているのだ」"


竜騎士「…軍にお金はあるんですから、買いましょうよ」

上官"「そこはほとんど、軍のいる意味がない場所だからな。撤廃されても問題ないらしい」"

105 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:33:15 qyjkAyCU 94/601

 
竜騎士「じゃあ、どうすればいいんですか?というか、ここがなくなったら俺はどうなります?中央に戻されるんですよね?」

女武道家「私もどうなるんでしょう…」


上官"「…クビ、だそうだ」"


竜騎士「なんですって!?」

女武道家「クビッ!?」

106 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:34:10 qyjkAyCU 95/601

 
竜騎士「そんな話聞いたことがない!誰が命じたんですか!」

上官"「…それは言えん。だが、何とか出来ないこともない」"

竜騎士「クビなんて嫌ですよ、どうすればいいんですか!」


上官"「毎月の土地代をきちんと支払い、軍としてきちんと活動することだな。認められれば、中央に戻れるだろう」"


竜騎士「…月6万の支給と、我々の給与から支払えと?」

上官"「あと給与だが、そこの支部の活動の結果に左右、つまり歩合制に変更されるようだ」"

竜騎士「さ…散々だ…」

107 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:35:19 qyjkAyCU 96/601

 
上官"「ちなみに、土地代は月20万だそうだ」"

竜騎士「…」

女武道家「そんな…」


上官"「今月の月末の定期報告までに、それなりの結果を出しておかんと厳しいぞ」"

竜騎士「け、結果って…」

上官"「土地代の支払いもある。何とか頑張ってくれ…」"


竜騎士「頑張ってくれって…どうすれば!」

108 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:35:58 qyjkAyCU 97/601

 
上官"「さっきも言った通り、そこの支部が何かしらで利益を出したり結果を出せば、クビは免れ…中央に戻れるかも、しれん」" 

竜騎士「クビは免れるって…」

上官"「ま、何にせよ結果を出せということだ。土地代の支払い、利益も含めてな」"
 

竜騎士「…利益って、何もない状態ですよ!」

上官"「それは…」"

竜騎士「と、とにかく、何かしらで"利益"になる結果、を出せばいいんですね!?」

109 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:37:21 qyjkAyCU 98/601

 
上官"「…う……む……」"

ザザ…ザー……ブツンッ……


竜騎士「あ…」

女武道家「…切れちゃった。通信機器が古すぎるせいですね…」

竜騎士「ど、どうすりゃいいんだよ…、いまさらクビだなんて…」ドンッ!!


女武道家「…どうやってか土地代を稼いで、軍としての活動報告をするしか…」

110 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:37:51 qyjkAyCU 99/601

 
竜騎士「何も揃ってない、住民からの依頼はない、敵はいない!」

女武道家「…八方塞ですね」

竜騎士「頭が痛くなってきた…」

女武道家「大丈夫ですか!?風邪ですか!?」


竜騎士「もうその流れはいいよ…」


女武道家「…どうしますか?」

111 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:38:30 qyjkAyCU 100/601

 
竜騎士「…」

女武道家「…」


竜騎士「そうだ…、深部。森の深部!あそこなら魔物がいるって話じゃなかったか!」

女武道家「確かにいますけど、危ないですし…道も整備されてませんし、迷いますよ…」

竜騎士「だけどな、それ以外にやれることがないんだよ」

女武道家「そもそも、魔物を倒してどうするつもりですか?害はないので、ポイント稼ぎにはなりませんよ…」

113 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:39:52 qyjkAyCU 101/601

 
竜騎士「魔物を倒して、皮やら何やらを俺の知り合いの中央の商人に売るんだ。まずは利益優先にしよう!」

女武道家「な、なるほど」

竜騎士「きちんとしたハンティングポイントが見つかれば、それだけで儲けになる!」


女武道家「そんな上手くいきますかね…?」

竜騎士「分からんが…。それと、もし処理しきれなかったアイテムは、この支部で販売するのも有りか」

114 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:40:56 qyjkAyCU 102/601

 
女武道家「小売店みたいですね…」

竜騎士「どっちかといえば、卸売りだがな」

女武道家「どっちでもいいです!」


竜騎士「よっしゃ、そこまでの道を整備したりすれば、それなりの活動報告にもなる…いけるかもしれん!」


女武道家「そういう整備用や、そこまで行く道具、食料、装備……出せるお金ないですよ私…」

竜騎士「あ…」

115 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:41:39 qyjkAyCU 103/601

 
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116 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:42:59 qyjkAyCU 104/601

 
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…チャリンチャリンッ!!

道具屋「毎度ありがとうございましたー!」


竜騎士「…2人分で、大体の道具やら揃えるのに、俺の貯金が吹き飛んでしまった…」

女武道家「あ…あはは…」

竜騎士「しかも、まともな道具がない…。材料が粗悪なのか、すぐに壊れるぞこんなん…」


女武道家「もっと良い材料さえあれば、いい物も作ってもらえたりするんでしょうか?」

117 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:44:00 qyjkAyCU 105/601

 
竜騎士「そ、れ、だ」

女武道家「へっ?」

竜騎士「見たところ、この商店街の人たちは腕は良い。魔物やら自然にある材料を取ってきて、作ってもらえばいいんだ!」

女武道家「なるほど!」


竜騎士「作ってくれそうな店は大体あるしな!」

女武道家「やることが増えてきましたね…」

118 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:44:47 qyjkAyCU 106/601

 
竜騎士「土地代20万を毎月稼ぐのに、森の奥に行く為に材料やら道具を集めて店に渡したり、売ったりするか…」

女武道家「なんか自給自足生活みたいな…」

竜騎士「はぁ…月6万がなんとかの救いだな。支部に戻ったら一度収支付けを…」


女武道家「…」チラッ

竜騎士「…ん?」

女武道家「今日、何月何日か知ってます…?」


竜騎士「8月10日だが?」

119 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:45:32 qyjkAyCU 107/601

 
女武道家「毎月1日にお金は貰えるので、もう今月の支給金はなかったり…」テヘ

竜騎士「…」

女武道家「あはは…」


竜騎士「…」ニコッ

女武道家「…?」ニコッ

…グイッ


女武道家「…何で笑顔で引っ張って…そっちは森で…まさか今日から仕事を…きゃーーー!いやぁぁ!」

120 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/24 23:46:45 qyjkAyCU 108/601

 
【現時点での収支】

■収入
・特になし

■支出
・食事代・雑費など6万ゴールド
・土地代(月末支払い予定)20万ゴールド

■収支合計
・マイナス26万ゴールド
(必要な道具に出したお金は竜騎士のポケットマネーなので除外)

127 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:38:56 8uluHpJ6 109/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミーンミンミンミン…カツーン…カツーン…


竜騎士「とりあえず、今日は深部までの道を確保するぞ」

女武道家「な、何も今日から始めなくても…」シクシク

竜騎士「俺に見捨てられて、クビになりたいなら別だが」


女武道家「さ、竜騎士さん。さっさと道を切り開きましょう!」

竜騎士「…こいつ」

128 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:39:26 8uluHpJ6 110/601

 
…バサッ!!ズバッ!!


女武道家「ふぅ…暑い…」

竜騎士「…おいっしょ…よいしょっと…」


女武道家「それにしても、切り開く必要ありますか?」

竜騎士「道という道がないからな。大物がいたとき、道が確保されていないと運べないだろう」

女武道家「大物…」


竜騎士「簡単に整備しといて、まずは損はない。きちんとするのは、その後だ」


女武道家「ふむー…」

129 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:39:57 8uluHpJ6 111/601

 
…オーイ

竜騎士「ん?」

女武道家「今、誰かが呼んだような…」


オッサン「おーい!こっちだこっち!」

タッタッタ…

竜騎士「ん…こんにちわー」

オッサン「こんにちわ、君たち、一体何をしてるんだい?」

130 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:40:54 8uluHpJ6 112/601

 
竜騎士「まぁ…色々ありまして…、深部への道を切り開いてまして」

女武道家「ですね…」タハハ


オッサン「…軍服。軍人さんだね、何かあるのかい?」

竜騎士「ちょっと人生がかかってるような途中です」

オッサン「お、重いね…」


竜騎士「それで、何か用事ですか?」

131 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:42:00 8uluHpJ6 113/601

 
オッサン「その伐採してる木、どうするんだい?」

竜騎士「…一応、売れるものなら売ろうかなとか思ったりしてます」

オッサン「ふむ、軍人さんが木を売る…?」


竜騎士「はは…ちょっと色々ありまして…」


オッサン「訳有りっぽいね。近くに家があるから、良かったら話を聞きたいんだけど」

竜騎士「えと…その…ですね」

 
オッサン「はは、俺は怪しいもんじゃないよ。この近くで鍛冶場をやってる、スミスってもんだ」

132 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:42:51 8uluHpJ6 114/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【スミスの鍛冶工房】


スミス「…なるほど。そりゃ災難だったね」

竜騎士「本当に…」


スミス「ん~…なるほど…」ブツブツ

竜騎士「?」

スミス「じゃあさ、良かったらなんだけど、その"木"、売ってくれないかな」

133 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:43:39 8uluHpJ6 115/601

 
竜騎士「!」

スミス「鍛冶で火を炊くのに沢山使うんだよね…、ここの経営は俺一人だから、つらくてさ」

竜騎士「願ってもない話です!」


スミス「集まる度に、渡してくれればその量に応じてゴールドを支払うよ」

竜騎士「わかりました!」

スミス「ただ、あまり高値じゃ厳しいけどね」ハハハ


竜騎士「いえいえ、助かります!」

134 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:44:17 8uluHpJ6 116/601

 
スミス「30キロ、2千ゴールドでどうだろう?これでも相場より少し高いくらいなんだけどな」

竜騎士「分かりました、ぜひお願いします」ペコッ

スミス「うん、ありがとう」


女武道家「30キロといえば…どのくらいですか…?」

スミス「あそこのストーブの脇にある蒔が、大体25キロだね」


女武道家「た、沢山なんですね…」

135 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:45:07 8uluHpJ6 117/601

  
竜騎士「木以外にも、必要なものとかあります?」


スミス「ふむ…、基本的には木材だけでも充分だけど、もし鉄鋼やらレアメタルなんか見つけたら、買うよ」

竜騎士「鉱石ですか…」

スミス「ここからしばらく歩いた所に、洞窟があるのは知ってるかい?」

竜騎士「あー…はい」


スミス「あそこはレアメタルやら、鉱石やらよく出た鉱石場だったんだけどねー…」

136 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:45:58 8uluHpJ6 118/601

 
竜騎士「天然洞窟じゃないんですか?」

スミス「もちろん天然さ。そこに鉱夫が入って、よく稼いでたんだけど…」

竜騎士「ふむ…」


スミス「魔物が出現して以来、誰も足を踏み入れてないんだ。もしかしたら、まだ鉱石が眠ってるかもしれないよ」

竜騎士「なるほど。それは面白い…」


女武道家「は…入るんですか…?」

竜騎士「さすがに、鉱物掘るようなモノはまだないからなぁ。そのうち、余裕が出来たら行ってみよう」


スミス「はは、楽しみにしているよ」

137 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:46:35 8uluHpJ6 119/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


スミス「それじゃ、また」


竜騎士「はい、お茶までご馳走になって…ありがとうございました」

女武道家「ありがとうございました」ペコッ


ガチャッ…バタンッ

竜騎士「いやー良い情報貰ったし、なんとか収入は確保できそうだ」

女武道家「木を切るだけなら、この辺なら私も出来そうですしね」

138 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:47:17 8uluHpJ6 120/601

 
竜騎士「今日は切れるだけ、切っておこう」

女武道家「はいっ!」


トコトコ…

…カーン…カーン…カーン…


竜騎士「っしょ…」ブゥンッ

女武道家「…よいしょーっ!」ブンッ

139 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:48:09 8uluHpJ6 121/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…カァ…カァ…


竜騎士「ふぅ~…」

女武道家「もう…夕方、です…ね」フゥ


竜騎士「深部まではまだ遠いけど、それなりに整備できた…かな。君、フラフラじゃないか」

女武道家「はぁ~そりゃそうですよ…、木も結構貯まりましたね」ゼェゼェ

140 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:48:55 8uluHpJ6 122/601

 
…トコトコ

スミス「おやおや、ずいぶん切ったなぁ」


竜騎士「あ、スミスさん」

女武道家「どうですか!」エッヘン

竜騎士「ほとんど俺だけどね…」


スミス「この数だと…、目視での計りでもいいかな?」

竜騎士「えぇ、いいですよ」

141 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:49:34 8uluHpJ6 123/601

 
スミス「えーと…3万ゴールドでいいかな…」

竜騎士「そんなに…ありますかね?」

スミス「まあ、オマケだよ。これからよろしくねっていう感じで」ハハハ


竜騎士「ありがとうございます!」

スミス「はは、そこまで喜ばなくても。それじゃ、はいっ」

スッ


竜騎士「はい、確かに3万ゴールド受け取りました…、これ、全部運びます?」

142 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:50:40 8uluHpJ6 124/601

 
スミス「ああ、いいよ。それは俺がやっておくから」


竜騎士「そうですか、あっちは相当疲れてるようで、休ませたかったので…お言葉に甘えますね」チラッ

女武道家「」


スミス「はは、了解了解」

竜騎士「それでは、失礼します」ペコッ

スミス「はいよ、またな」

143 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:51:13 8uluHpJ6 125/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ドサッ

女武道家「体中が…ガタガタです…。後は寝るだけー…」

竜騎士「あれ式で情けない…。本当に戦士か!」

女武道家「確かに戦士ですけど、木こりじゃないんです!」


竜騎士「ご飯も食ったし、風呂も入った。どうだ、体を使った1日は」

女武道家「ご飯はおいしかったし、お風呂も体中にバチバチ来ました」

144 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:52:09 8uluHpJ6 126/601

 
竜騎士「そうだろうな。悪いもんじゃないだろ?」

女武道家「まぁそうですけど…」


竜騎士「木材の収入は、あくまでもオマケ程度だなー…。明日から、少しずつ深部に入って魔物を探さないとな」

女武道家「魔物ですか…」

竜騎士「皮が売れる魔物とかだといいんだけどなー」


女武道家「倒しても意味のない魔物とかいるんですか?」

145 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:52:52 8uluHpJ6 127/601

 
竜騎士「魔物の種類も、アンデット、精霊、巨人、幻獣、悪魔…とにかく沢山いるわけで」

女武道家「ふむふむ」

竜騎士「例えば、ゴブリン。あいつらは、知性が高いから武器や防具を作ったりするだろう?」

女武道家「そうですね」


竜騎士「ゴブリン自体は意味ないが、そういう武器防具は売れる場合がある。本当は、アウルベアなんかいると…助かるんだけどな」


女武道家「なるほど…って、アウルベア?」

146 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:53:52 8uluHpJ6 128/601

 
竜騎士「まあいわゆる熊の魔物だ。肉は売れるし、皮は高値で取引されるからな。無駄がない」

女武道家「なるほどー…森だし、いそうですよね」

竜騎士「いるといいんだけどな」ハァ


女武道家「そういう売れるもので、これがあれば一発で解決!とかあるんですか?」


竜騎士「そりゃやっぱり、竜の素材だろう」

女武道家「竜!?」

147 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:54:31 8uluHpJ6 129/601

 
竜騎士「爪からウロコ…眼まで全身すべて、最高級品…いや、究極の素材といえるな」

女武道家「へぇぇ…」

竜騎士「まあ討伐にはそれなりの人数、装備がいるし…、失敗は死を意味するくらい最悪な相手だ」

女武道家「怖いですね…」


竜騎士「だが、討伐に成功すれば一生遊んで暮らせるほどの大金が手に入る」

女武道家「そんなのに挑戦する人たちがいるんですねぇ。バカみたい」


竜騎士「…バカだと!?」

148 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:55:10 8uluHpJ6 130/601

 
女武道家「…」

竜騎士「…」

女武道家「まさか…」


竜騎士「…竜の騎士として、軍の討伐クエストで向かったことはある。失敗したけどな」ハハ

女武道家「まさか、竜騎士さんは幽霊じゃ!?」

竜騎士「生きてるっつーの!」

女武道家「でもさっき、失敗は死を意味するって…」

149 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:56:15 8uluHpJ6 131/601

 
竜騎士「…仲間に守られたおかげで、命からがら帰還したんだよ」

女武道家「…」

竜騎士「ま、後遺症やら大きなキズがなかったのが幸いだった」

女武道家「ほぇー…」


ボーン…ボーン…


竜騎士「もう10時か…、今日は疲れただろうし、早く寝とくか…」フワァ

女武道家「そうですね…」

150 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:57:13 8uluHpJ6 132/601

 
竜騎士「明日からは本格的に探索やら開始するぞ。まずは森の深部に行く」

女武道家「はいっ…怖いですが」

竜騎士「何事も体験だ。俺がついてる限りは、大丈夫だろうしな」

女武道家「頼りにしてますよ…頼りにせざるをえませんけどっ!」


竜騎士「おうおう、んじゃ…」


女武道家「おやすみなさい~です」

151 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/25 23:58:23 8uluHpJ6 133/601

 
【8月10日終了時点での収支】

■収入
・木材販売3万ゴールド

■支出
・食事代(雑費含め)6万ゴールド
・土地代(月末支払い)20万ゴールド

■収支合計
・マイナス23万ゴールド

160 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:36:04 Q2URht9M 134/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【次の日・森の深部】

…バサッ…バサッ…


女武道家「ここから先が、深部と呼ばれる所になります…けど…」

竜騎士「へー、鬱蒼としてるな」


バサバサッ…ギャーッ!!ギャーッ!!

女武道家「!」ビクッ

161 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:36:38 Q2URht9M 135/601

  
竜騎士「鳥だよ鳥。んじゃ、行きますか」

女武道家「ほほ、本当に行くんですかぁ…」

竜騎士「お前は、森を探索する道と、クビになる道、どっちがいいんだ!」


女武道家「行きますか」キリッ
 
竜騎士「…素直でよろしい」


女武道家「一応、武器つけておきますね」スチャッ

竜騎士「うむ。何があるか分からないからな」

162 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:37:12 Q2URht9M 136/601

 
…バサッ…バサッ…ガサガサ…


竜騎士「歩きにくいな」

女武道家「太陽が見えない…」


竜騎士「深い森って、こういう事をいうんだろうな」

女武道家「…深部ですし?」

竜騎士「そういうことじゃないから」

女武道家「?」

163 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:37:52 Q2URht9M 137/601

 
竜騎士「この辺の木とか、いいモノだったら売れるんだけどなー」

女武道家「…スミスさんにですか?」

竜騎士「違う違う。木も、種類が沢山あって、貴重な木材とかは高値で取引されるんだ」

女武道家「あぁ…なるほど…」

竜騎士「ま、俺に目利きできるわけじゃないんだがな」

女武道家「商人さんとかいたら、これが素晴らしい!とか言うんでしょうね~


竜騎士「そんなことより…魔物やーい。何かいないか~」


女武道家「変なの出てきたらどうするんですかぁ」ビクビク

164 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:38:22 Q2URht9M 138/601

 
竜騎士「気配はするんだけどなー…」

女武道家「な、なんのですかっ」ビクッ

竜騎士「何かこう…いる…感じ…」

女武道家「う~っ…」


…ガサガサッ!!!

女武道家「ひっ!」

竜騎士「おっ?」

165 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:38:57 Q2URht9M 139/601

 
…ズサッ!!

アーヴァンク『…キュイ』


女武道家「…」

竜騎士「あ…アーヴァンクか…」

女武道家「きゃーっ!なんですかアレ!可愛い!」


竜騎士「ビーパーに似てる魔獣だ。害っていう害はないんだ…が…」

女武道家「が…?」

166 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:39:40 Q2URht9M 140/601

 
アーヴァンク『ギュイッ!』

…タァンッ…ガシッ!!ガリガリッ!!


女武道家「!」

竜騎士「いてて…何でかは知らんが、こうやって男ばっかり攻撃してくるから面倒なんだ。力はないがな」グイッッ

アーヴァンク『キュ…キュキュ…』ブルブル


女武道家「ちょ、そんな強く掴んでイジめないでくださいよ!離してあげて下さい!」

167 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:40:15 Q2URht9M 141/601

 
竜騎士「一応、こいつの皮と肉は売れるんだが」チラッ

女武道家「だめですーっ!こんな可愛い子を…食べるなんて…」

竜騎士「あのな…」


アーヴァンク『キュイッ!』

ゲシッ!!

竜騎士「いてっ!」


…タタタタタッ…ピョンッ

168 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:40:50 Q2URht9M 142/601

  
女武道家「!」

…ダキッ

女武道家「え、えっ?」


竜騎士「おーいてぇ…、そしてそいつは何故か女性が大好きでな。そして、女性に抱きついたアーヴァンクは…」

女武道家「あ…」

アーヴァンク『…』スヤッ


竜騎士「寝る」

169 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:41:31 Q2URht9M 143/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トコトコ…

女武道家「はーあ、ペットにでもすればよかったなぁ」

竜騎士「売れるのだったのに…、逃がしやがって」

女武道家「ダメです!愛玩動物は殺しちゃいけません!」

竜騎士「だがな…」


女武道家「もっと害悪なものが出たら倒してください!熊とか、猪とか!」

170 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:42:03 Q2URht9M 144/601

 
竜騎士「そりゃ倒すけどよ」

女武道家「…」


竜騎士「アーヴァンクが消えてから、めっきり気配がない。ただ深い森って感じだな」ハァ


女武道家「ここまで深かったら、何かいそうですけどねぇ」

竜騎士「だから、アーヴァンクが…」

女武道家「…」

竜騎士「冗談だって!」

171 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:42:34 Q2URht9M 145/601

 
トコトコ…ガサガサ…トコトコ…


女武道家「ん…あれ、何ですか?」

竜騎士「…あー、ウィスプなんかもいるのか…」

女武道家「ウィスプ…精霊ですよね?」


竜騎士「…ここから先は行かない方がいいな…戻るぞ」

女武道家「え?」

竜騎士「ウィスプ自体は害がないが、それ以上は"危険"の印になる」

172 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:43:12 Q2URht9M 146/601

 
女武道家「危険?」

竜騎士「…ま、いいよ。とりあえずここで一区切りだ。ウィスプがいるとなると…ふむ…」

女武道家「?」

竜騎士「…まあいい、とりあえず別の道を探すぞ」


タッタッタ…

女武道家「あ、待ってくださいよー!」

173 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:43:42 Q2URht9M 147/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

竜騎士「…ふーむ」

女武道家「竜騎士さん」

竜騎士「ん?」


女武道家「何でさっき、ウィスプから離れたんですか?危険が危ない?」

竜騎士「女武道家」

女武道家「はい?」

竜騎士「君と話すと、頭痛が痛いよ」

174 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:44:15 Q2URht9M 148/601

 
女武道家「だ、大丈夫ですか!?」

竜騎士「…はは…冗談だよ…冗談…」ハァ

女武道家「で、ウィスプから離れたのは何でですか?」


竜騎士「…まぁ、ウィスプの正体はよく分かってないんだが…」

女武道家「へぇ」

竜騎士「一部だと、死後の魂だとか、妖精だとか色々ある」

女武道家「ひいっ!」

175 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:45:02 Q2URht9M 149/601

 
竜騎士「…あいつらに着いてって、悲惨な目に合ったという話は少なくないからな」

女武道家「そうだったんですね」

竜騎士「ま、逆にいえば"何かある"ってことなのかもしれん」

女武道家「!」


竜騎士「…やっぱ戻って行ってみるか?」

女武道家「…」ブンブンブン


竜騎士「全力拒否すぎるだろ」

176 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:45:56 Q2URht9M 150/601

 
女武道家「…」ブンブンブン

竜騎士「わかったわかった!」

女武道家「…」ホッ


竜騎士「…とりあえず、こっち側は何もないみたいだし…戻るか…」

女武道家「はいっ」

竜騎士「まだ時間はあるし、帰りに木でも切って、スミスさんに届けてからな」

女武道家「は…はい…」

177 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:46:37 Q2URht9M 151/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕 方 】

…コンコン


竜騎士「スミスさーん」
 
ガチャッ

スミス「お、竜騎士くん」

竜騎士「今日も切ったので、運んできました」

スミス「わざわざ運んでくれたのか…ありがとう助かるよ」

竜騎士「いえいえ」

178 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:48:11 Q2URht9M 152/601

 
スミス「えーと…大体1万ゴールド…かな。いいかな?」

竜騎士「お願いします」

スミス「きつい割りに安いから、もう来ないかと思ってたけど、本当に助かるよ」

竜騎士「そりゃ本気ですからね…」


スミス「今日はどこかへ行ってきたのかい?」

竜騎士「あ、深部のほうへ。まぁ…収穫はなかったんですけど」


スミス「ふーむ…やっぱり、この木材買取だけじゃまともな収入にならないだろう?」

179 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:48:48 Q2URht9M 153/601

 
竜騎士「正直に言うと…」

スミス「俺がもっと依頼らしい依頼を出せればいいんだけどね」

竜騎士「いえいえ、伐採だけでお金をもらえるなんて…それだけでも充分ですよ」


スミス「ふむ…」


竜騎士「…」

スミス「竜騎士くんは、やれるようなことならやる覚悟はあるかい?」

竜騎士「できる範囲なら、何でもやろうとは思います」

女武道家「えっ」

180 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:49:47 Q2URht9M 154/601

 
スミス「んじゃー…ちょっと、明日またお昼頃に来てくれる?」

竜騎士「は、はぁ…?分かりました」

スミス「ちょっと…依頼を頼めそうな人がいて、紹介してあげるよ」

竜騎士「それは助かります…が、なぜここまでしてくれるんですか?」


スミス「なぁに、ちょっとした人助けをして、いい気分に浸ってるだけさ。気にするんじゃない」

竜騎士「…ありがとうございます」ペコッ


スミス「それじゃ、また明日」

竜騎士「はい」

女武道家「また明日です」

181 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:50:45 Q2URht9M 155/601

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夜 】


竜騎士「うーむ…」トントン

女武道家「どうしたんですか?」


竜騎士「木材の取引で4万ゴールドの利益を生んだが…」

女武道家「いいペースですね?」

竜騎士「今の時点ですら、今月に君が食事代や雑費に使った6万ゴールドには及ばないわけで…」

182 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:51:33 Q2URht9M 156/601

 
女武道家「木だけ毎日切ってれば、月収支は浮くんじゃないですか?」

竜騎士「君は、毎日、あの量を伐採し続けられるか?木だって無限じゃないしな」

女武道家「そうですね…」


竜騎士「それと、月末に20万ゴールドの土地代もやってくる」

女武道家「今月は厳しいとしても、来月からは6万ゴールドで多少浮くのでは?」

竜騎士「…食事代、維持費、雑費で6万ゴールドなんかすぐ吹き飛ぶ。むしろマイナスだ」


女武道家「安く済ます方法を考えないといけませんねぇ…」

183 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:52:31 Q2URht9M 157/601

 
竜騎士「とはいえ、人よりきつい仕事をするからには、それなりの食事がないと倒れる可能性だってある」

女武道家「…」


竜騎士「最低でも抜けるのは、30万ゴールドと見積もったほうがいいな」


女武道家「私たちの給料はどうなるんでしょう?」

竜騎士「歩合制になったといってたな。軍としての活動報告もしっかりして、稼げってことだ」

女武道家「うーん…」

184 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:53:16 Q2URht9M 158/601

 
竜騎士「俺の貯蓄から出してもいいと考えたが、このペースではすぐ剥がれるし、大体…」

女武道家「大体?」

竜騎士「お前の分の面倒を見るのに、何万も月抜ける計算になるんだよ!」

女武道家「サービスで…♪」


竜騎士「その精神、羨ましくなるよ…。ま、それと話は違うんだけどな」

女武道家「?」


竜騎士「軍での"活動収支"が実質の評価に繋がる部分がある。それを個人の貯蓄から出したって意味がないだろう」

女武道家「なるほど」

185 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:54:04 Q2URht9M 159/601

 
竜騎士「食事代が足りないので、個人から出しました、なんて言ったら現状じゃ一発でアウトだぞ」

女武道家「あくまでも、軍の支部としての結果を出さないといけないんですね」


竜騎士「まー…とにかく"お金"の儲けを報告するのが一番早い。目標額は…」

女武道家「目標額は…?」

竜騎士「月末までに最低で500万…かな」

女武道家「ごっ…500…!?」


竜騎士「支部の一般的な金額は700万から1000万オーバーだ。これでもまだ安いほうだぞ」

186 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:54:46 Q2URht9M 160/601

 
女武道家「でも、500万なんてどうすれば…!」

竜騎士「だよなぁ…。土地代ですら危ないっていうのに」

女武道家「うぅぅ…」


竜騎士「とりあえず…」

女武道家「とりあえず?」

187 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:55:28 Q2URht9M 161/601

 
竜騎士「…一般市民を頼るのはどうかと思うが、スミスさんの明日の話、期待しておこう」ハァ

女武道家「そうですね…」


竜騎士「よし、それじゃ今日は寝よう。明日は少しだけ早めに行くぞ」

女武道家「少し早く?」


竜騎士「こういうのは少しだけ早く行くのがマナーなんだよ!」

女武道家「は、はいっ!」

188 : ◆qqtckwRIh.[] - 2013/09/27 00:56:09 Q2URht9M 162/601

 
【8月11日終了時点での収支】

■収入
・木材販売4万ゴールド

■支出
・食事代6万(雑費含め)ゴールド
・土地代(月末支払い)20万ゴールド

■収支合計
・マイナス22万ゴールド

■月末までの目標金額
・500万ゴールドまで、後522万ゴールド

【中編】に続きます

竜騎士「田舎に飛ばされ自給自足生活」【中編】

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