男「普通に嫌」
女幽霊「えっ」
男「えっ」
女幽霊「いやいや、そう言わず」
男「遠慮します」
7月、『こいつ』が現れた。
元スレ
女幽霊「私と毎日を過ごしてみませんか?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1380188563/
女幽霊「男ー、お腹すいたー。」
男「お前は食べなくても大丈夫だろ。死んだんだし」
女幽霊「今の暴言、傷付いた。訂正を求めます。死にたくて死んだんじゃないもん!」
7月のある日のこと。
いつもの通り学校に行き、家に帰るとそいつはいた。
長い黒髪、細い手足、透けるような白い肌―いやまじで透けてたわ。
そいつは俗に言う美少女だった。
普通なら。
でもそいつは普通じゃなかった。言ってしまうならば世に言う『幽霊』である。
ー回想ー
男「…」
女幽霊「あっこの家の方?あなた私が見えるんだね!良かった~そろそろ寂しくて「出てけ」
女幽霊「」
男「出てけ」
女幽霊「…私と毎日を過ごしてみませんか?」
男「普通に嫌」
女幽霊「えっ」
男「えっ」
女幽霊「いやいや、そう言わず」男「遠慮します」
ー回想終了ー
女幽霊「だから、寂しいだけなんだって!ちょっと一緒にいるだけでいいんだから!」
男「それが面倒なんだよ!他当たれよ!」
女幽霊「男以外人とも話せないんだよー!」
男「は?一人ぐらいいるだろ…なんで俺なんだよ…」
女幽霊「私だっていっぱいあたってみたよ?有名な霊能者のところも行ったし。でも駄目だったの!私が視えてすらなかったの!」
男「じゃあなんで俺は視えるんだよ…」
女幽霊「知らないよ…自分の名前もなんで死んだのかも思い出せないしさぁ…
とにかく!私が視えたんだから男には私と話す義務がある!!」
男「意味わかんねぇよ!なんだその理屈!出てけよ!!」
女幽霊「出ていきません。これからよろしくお願いしますね」
そう言ってこいつはニヤリと笑った。
顔は可愛いのに全くもって鬱陶しい。
そうして俺たちの共同生活(?)は始まったのである。
男「よし分かった。お前が俺と話すことは認める。でも家には住ませない。いや、住むっていうのかは微妙だけど。取り敢えず出てけ」
女幽霊「嫌」
男「はぁ…」
女幽霊「行くあてないし。お願いします!」
男「どうしたものか…てかお前生前の家とかは?」
女幽霊「覚えてない。」
男「あぁ、なんか言ってたな。本当に何にも覚えてないのか?」
女幽霊「んー…死んだときのことはなんとなく覚えてる気がする…」
男「さっき分からないって言ったじゃねーかよ…何だ?」
女幽霊「冷たくて寒くて、暗かった。苦しかったし。」
男「よくわかんねーな…」
女幽霊「だから分からないって言ったの。」
女「お願いします!一緒にいさせてください!」
はぁ…
正直こいつが幽霊じゃなかったらもう大歓迎なんだが。
男「…記憶取り戻して、元の家に帰るまで、もしくは成仏するまでだからな」
女幽霊「…!!ありがとう!!」
突き放せない辺り、俺も甘いのだと思う。
男「取り敢えずさ」
女幽霊「うん」
男「俺明日も大学なんだよね」
女幽霊「合点、寝ましょう」
男「いや、お前寝ないだろ」
女幽霊「いや、幽霊も寝ますよ?こう、ぷかぷかーって」
男「まあいいや。おやすみ」
女幽霊「おやすみなさい。これからよろしくお願いします」
男(うわー…俺彼女もいたことないのに美少女と同居始めちゃったよ…こいつ鬱陶しいけど可愛いことは可愛いからな…なんで生きてるときに会えなかった…いや、会えてても相手にされないか)
男(寝よ)
そして朝
女幽霊「男ー、お腹すいたー。」
男「お前は食べなくても大丈夫だろ。死んだんだし」
女幽霊「今の暴言、傷付いた。訂正を求めます。死にたくて死んだんじゃないもん!多分!」
朝から煩い奴だ。
男「家にいろよ」
女幽霊「えーっ、ついてく!」
男「駄目だ」
女幽霊「男以外にはどうせ視えないんだからいいじゃん!」
男「じゃあ俺には話しかけてくるなよ」
女幽霊「合点!」
これから毎日疲れそうで先が思いやられる。
女幽霊「男の大学はここかぁ~っ」
男「おはよ」
男友「おう、おはよ!!」
女幽霊「お、男の友達か。なかなかイケメンじゃないですか」
女「おはよう男、男友!!」
女幽霊「ん?男の彼女かな?美人ーっ!!」
男「おう、おはよう」
男友「女ちゃんおはよう!!(キリッ」
女「男友は元気だね、おはよう(クスッ」
男友「///」
女幽霊「ははーん…成る程、男友さんは女さんが好きなんだな」
教授「~であるからして…」
男「…(カキカキ」
男(すげー見られてる…)
女幽霊(ジーッ)
女幽霊「…真面目だなぁ。ふぁぁ…眠い…」
男「帰ろ」
女幽霊「帰宅!」
男「お前俺のこと見すぎ。講義集中できなかった」
女幽霊「男、頭良いんだね。私全く理解できなかった」
男「聞いてんのかよ」
女幽霊「ん?」
男「まぁいいや…」
女幽霊「でも、いいなぁ」
男「何が」
女幽霊「楽しそうだなって思った」
男「お前だって生前楽しかったかもしれないじゃん」
女幽霊「でも私多分死にたくて死んだんじゃないから」
男「根拠は?」
女幽霊「勘」
男「そうか」
女幽霊「男、ご家族は?」
男「俺一人暮らしだから。飯作るし邪魔すんなよ」
女幽霊「なになにっ今日は何にするのっ?」
男「オムライス」
女幽霊「うわぁ~いいなぁ、美味しそう!お腹すいた!」
男「お前食べる必要ないだろ」
女幽霊「なんとなく言ってみただけだもん!」
男「完成」
女幽霊「」
男「なんだよ」
女幽霊「男って…料理上手なんだね…」
男「おう、自慢じゃないが料理だけは上手い」
女幽霊「溢れ出るこの女子力!」
男「さて、飯食いながらで悪いけど、お前のことで話がある」
女幽霊「そのお前っての嫌!呼び方変えて欲しい!」
男「でもお前名前覚えてねーじゃん」
女幽霊「なんか考えてよ!」
男「無茶ぶりだわ…」
女幽霊「早く早くっ(ワクワク」
男「………ユウ」
女幽霊「ユウ?」
男「言っとくけど適当だからな!幽霊、で、幽。ユウ」
幽「…ありがとう!!私ユウ!よろしくね!」
男(ドキッ)
幽「ユウだってーユウ。可愛いなー(ニコニコ」
男(落ち着け、相手は幽霊だ。可愛いなんて思うのは間違ってる…いやでも可愛いのは可愛いけどああああ)
幽「どうしたの?」
男「いや、話を戻す(キリッ」
男「記憶がないなら戻すしかない。成仏出来てないのも何かしら未練があるからだろうし、それをどうにかしようにも記憶がないならなんともできない。」
幽「おおー、その通りだ」
男「で、明日から調べていこうと思う」
幽「どうやって?」
男「…まだ分からない」
幽「ずこー」
男「まぁあれだ、幸い明日は講義ないし、小さいことから調べよう」
幽「はーい」
男「その前に、お前いつからその状態だ?」
幽「んー…最近だよ?なんか最初ぷかぷか浮いてるな、って思って、すぐに『ああ私死んじゃったんだ』って思った」
男「わりと冷静だな。死にたくなかったんじゃなかったのかよ」
幽「だって死んじゃったものはしょうがないし」
幽「まぁ最初は当てもないし誰とも喋れないから寂しくて死にそうだったよ?死んでるけど。それでそのへんにいた霊能者さんのところに行ってみた」
幽「でも私が視えなかった。がっかりしてふらふらしてたら、なんか惹かれる家があって入ってみた」
男「不法侵入」
幽「ごめんなさい」
男「まぁ意識がはっきりしたのが最近なら、死んだのも最近の可能性があるな。調べていこう」
幽「はーい!何か思い出したら教えるね?」
男「おう、じゃあ風呂入るわ」
幽「わかった!」
男「…覗くなよ」
幽「…覗かないよ!!///」
男(今日も疲れた)
男(ユウ…安直だな、もう少し考えてやればよかった)
幽『私ユウ!よろしくね!』
男(あいつあんな風に笑うんだな…生きてたときはさぞかしモテただろうに)
男(…寝よ)
幽「おはよう!さぁ調べよう!」男「飯ぐらい食わせろ」
幽「しょうがねえ」
男「ごちそうさま」
幽「さぁ!」
男「取り敢えず情報を整理しよう」
・最近死んだかもしれない
・死因:冷たい 苦しい
・女
男「お前歳も分からないのか?」幽「いくつに見える?」
男「そういうことじゃなくて…高校生くらい?」
・高校生くらい?
男「取り敢えずこれで検索してみるか」
《高校生 女 死亡》
男「駄目だ、多すぎる…」
幽「ぴんとくるのもないなあ」
男「他にもなんか覚えてないのか?」
幽「うーん…なんか…苦しかったくらいしか覚えてない…」
男「苦しかったか…窒息とか?」
《高校生 女 窒息死》
男「駄目だ、ヒットしない」
幽「なんでだろー…」
幽「今日はもういいよ?」
男「いや、俺は早く終わらせたい」
幽「むー………あ、ちょっと思い出した」
男「何を!?」
幽「子どもがいた。男の子、それだけ」
男「子ども…なんだ…?分からないな…」
幽「他にも何か思い出せないかな…うー…」
男(今度は違う方向から考えるか…?いや何にしてもまだ手掛かりが少なすぎる…記憶がないのが厄介だな…)
男「ユウ、最初に気づいたときはどこにいたんだ?」
幽「んー、山の中だった。」
男「山の中か…また行ってみるか。なにか手掛かりがあるかもしれない」
幽「ハイキング♪ハイキング♪」
男「お前は浮いてられるからいいよなぁ…山…はぁ…」
男(今日も何も発展はなかった…言ってもまだ2日目だけど…いつまでこの生活は続くんだ?オナニーもできねぇ…)
男(……!)
幽「グスッ…うっ…」
男(そうだよな…こいつのが死んでるとはいえ不安だよな…)
男(寝よ…)
幽「おはよ!朝だ!」
男「おはよ」
男(こいつ俺の前では泣かないんだな)
男「大学行くから、今日はまじで待ってろよ」
幽「しょうがないなー、お留守番しといてやんよ!」
男「頼んだぞ」
幽「行ってらっしゃい」
男「…行ってきます」
男(ぼー)
男友「男…お前今日変だよ。講義真面目に受けてたお前がぼーっとしてノートとってなかったし」
男「…あぁ」
男友「…さては好きなやつでもできたか?」
男「ちっちちちげえよ!別にゆっゆゆゆのことなんか好きじゃねえし!!」
男友「分かりやすい」
男友「で、ゆゆって誰だ」
男「ゆゆじゃない、ユウ。あ」
男友「ユウちゃんっていうのか」
男「oh…」
男友「で、どこの子よ。○女大?それとも△△大か?(ニヤニヤ」
男「わからん」
男友「わからんって、一目惚れとかか?」
男「大体好きじゃないから」
男友「はいはい。とりあえずその子について教えろ」
男「幽霊」
男友「そろそろまじで。なあ」
男(まじなんだけど…)
男「まぁ、儚い系女子?」
男友「おぉー、病弱そうな感じのか?」
男「まぁそんな感じの」
男友「見た目は?どんなんよ」
男「黒髪で長いな。透けそうなぐらい肌が白い。背は普通。」
男(まぁ透けてるけどな)
男友「胸は?どうよ?でかい?」
男「…まぁ、それなり」
男友「正統派美少女かよー!!くそっまた見せろよ!」
男「…あぁ、そうだな」
男(そうだ)
男(俺が仮に好きになったところで、あいつは幽霊だ)
男(…もう生きてないんだ)
男友「ユウちゃんか!楽しみだ!」
男「ただいまー」
幽「男、お帰りなさい!」
男(ドキッ)
男「ただいま」
幽「それでね、今日家に一人でいたら子どもの声がして、私思い出したの!私、死ぬ日に山に行った!なんか覚えてる!」
男「…!!本当か!!」
幽「うん、なんか山に登ってたと思うの!長ーい階段があって、杖つきながら登ってた!」
男「お前が昨日言ってた最初に目が覚めた山は、お前が死んだ場所かもしれないな。いつ行く?」
幽「なんだか今日行きたい!」
男「今日!?」
幽「うん、今日行かなきゃ駄目な気がする」
男「つったって…もう暗くなるし…」
幽「あー…そっか、私は死んでても男は危ないね…」
男「…」
ポス(といっても触れないから頭に『触れているような』感じで)
幽「男?」
男「時間も記憶に関する大事なことかも知れないしな、行くか!(ニカッ」
幽(ドキッ)
幽(いや、心臓動いてないけどね)
幽「うん!」
男「ここがその山か?」
幽「うん、間違いないよ。私最初気付いたとき山の中にいて、もう暗くなりかけてて、一人で怖くなっちゃって、走ろうとしたら体が浮いて、それで死んだって気付いたの」
男「今は怖くないのか?」
幽「うん、男がいるから平気!(ニコ」
男「そうか」
男(不意打ちはやめろよな…)
幽「気付いた場所はこっちだよ!」
男「おう、ナビゲート頼むわ」
幽「任せて!」
20分後
男「迷った、な」
幽「ごめんなさい…!」
男「いや、しょうがねーよ。暗いしな(ブルッ」
男「さむ…」
幽「!!ごめんなさい、本当にごめんね」
男「お前のせいじゃないって」
幽「せめて生きてたらな…男を暖めることも出来たのになぁ」
男「…そうだな」
男(俺は多分この気持ちを認めざるを得ない)
男(俺は)
幽「…水の音がする」
男「!?おい、ユウ?どこに行くんだよ、ユウ!」
幽「水の音だ…!この音…!」
ザァーーー
ザーーーー
男「川…?綺麗な川だな…」
幽「…」
男「助け求めるには携帯も圏外だし、明日の朝下山しよう。とりあえずの今夜の飲み水には困らねえな」
幽「思い出したの」
男「!!思い出したって…」
幽「うん、思い出したの、全部」
幽「私、この山に家族で来た。お母さん、お父さん、妹と。それでこの川を見つけた」
幽「私たちより先にもう一組家族で来てた人たちがいたみたいで、その家族には小さい男の子がいた」
幽「私はその子を可愛い子だな~2歳くらいかな?って見てたの」
幽「そしたらその子が川に近付いていって、何だろう、川に魚でもいたのかな?川に手をつけようとした」
幽「それでそのまま川に落ちた」
幽「血の気が引いた。流れ、ここ結構早いでしょ?2歳ぐらいじゃまあ泳げない。ばしゃって音がしたから皆すぐに気付いた。」
幽「でも私が一番早くて、一番川に近かった」
男「…」
幽「そのまますぐに川に入って、ちょっと流されちゃったけど男の子を掴んだ。それでなんとか岸に戻って、男の子を私のお父さんに預けた」
幽「でも私の体力が持たなくて、私はお父さんの手が掴めなかった」
幽「そのまま流されちゃって、途中で大きい石で頭打ったところまで覚えてる」
男「………なぁ」
幽「ん?」
男「お前、泣いてる」
幽「…泣いてないよ」
男「…そっか、川の水がついたんだな」
幽「うん、そうだよ」
幽「男の子、助けられて良かったなぁ…お父さんに渡したとき泣いてたもん。それ見たら気が抜けちゃって駄目だった、ははっ」
男「あぁ」
幽「お父さんにもお母さんにも妹にも悪いことしたなぁ。親不孝ものだ」
男「あぁ」
幽「あ、でも思い出しきれてない。私いくつなんだろ。妹は中学生だったしやっぱり高校生か」
男「多分そうだろ」
幽「彼氏もいなかったし、悲しむ人が少なくて良かったなぁ」
男「彼氏いなかったのか…惜しいな、生きてたら狙いにいったのに」
幽「ふふ、冗談でしょ?」
男「いや、本気かな」
幽「なら、生きてたかったな…」
男「…あぁ、生きてて欲しかったな」
幽「…死にたくなかった」
幽「怖かった」
幽「もっと生きて、友達と遊んだり、普通に恋愛したり、結婚したりしたかった…!」
幽「男…私どうすればいいの…私今男に抱き締めて欲しいのに、それもできない…」
男「…そうだな、お前が動かなければ、抱き締めるような感じはできるぞ」
幽「…ぴしっ…ぐす」
男「よし、偉い」
ふわっ
男「こんな感じか?」
幽「…男が近い」
男「当たり前だ」
幽「ちょっと私のからだにすり抜けちゃってるよ?ふふっ」
男「そうだな…あぁ、もう」
幽「んー?」
男「俺、お前が好きだと思う」
幽「…」
男「でもお前死んでるし、幽霊だし、どうしたらいいのか分からない」
男「しかもこんなことさせやがって、期待するぞこの野郎」
幽「…ふふっ」
男「何がおかしいんだよ」
幽「いやー?男は期待すればいいんじゃないかな?」
男「くそ、悪魔め」
俺たちはしばらくそのままでいたいつの間にかユウは泣くのをやめていた
俺もそんなユウを見て笑っていた
男「…朝だな」
幽「うん、朝だ」
男「おはよう」
幽「おはよ」
男「…時間みたいだな」
幽「みたいだね」
男「朝日と溶け込むなんて、なんかロマンチックな成仏の仕方だな」
幽「神様の粋な計らいってやつじゃない?」
男「おう」
幽「男、ありがとう。全部男のおかげだよ」
男「俺は何もしてねえよ」
幽「いや、私が泣いてたときに知らないふりしてくれたでしょ?」
男「…気付いてたのかよ」
幽「もちろん♪」
そう言って幽は笑った
幽の体がどんどん消え始める
幽「男、だいすき」
男「せいぜい神様を困らせないようにな」
男「俺も好きだよ、ユウ」
幽はその言葉にますます笑って
朝日に消えた
ユウが消えて1ヶ月
俺は言い様のない虚無感と戦っていた
男友「お前最近元気ないよなー…ユウちゃんにフラれたかー?」
男「まぁそんなとこ」
男友「フラれたか…まぁ今日呑みにでも行こうぜ!失恋パーティーってやつだ!」
男「たまには付き合ってやるよ…」
男友「お前のためのパーティーなのに付き合ってやるよとはこれいかに」
女「男友くん!一緒に帰ろ!!」
男友「女ちゃん///ごめん、今日は男と呑みに行くからさ!失恋パーティーってやつで」
男「お前余計なこと言うなよな」
男友「わりいわりい」
女「しょうがないなぁ。終わったらまた私の家来てね!」
男「女ちゃん、ごめんな、こんなやつが彼氏で」
男友「聞き捨てならんな」
女「あっそういえば今日ね、すっごく可愛い女の子見たの!皆ちらちら見てたよ~モデルさんかなあ?」
男友「聞いたか男よ、ナンパのチャンスだ、探し出すのだ!」
男「アホか、そんだけ可愛いなら彼氏いるだろ」
男友「釣れないなぁ…くすん」
男「きもい」
男「なんか今日やめとくわ…男友、女ちゃんとこ行ってやれ」
男友「そうか?自分から言い出しといてわりぃな」
女「男くんごめんね」
男「いや、いいよ。楽しんでな」
男(帰ろ…)
男「ふぅ…」
男(駅から家が近くて、歩いて行ける距離で良かった)
男「夏でも夜はまださみぃし、今日は何にするかな」
足が止まる。
家まで後、数十メートル
愛しい姿が目に入った
間違いない
―後、数メートル―
黒い髪、白い肌
愛しい
幽「…へへっ、久しぶり」
男「…ユウ…?」
男「え、なんで…え…」
幽「とりあえず中入れて欲しいな。ちょっと今日寒いんだよね」
男「お…う」
男「どういうことだ?」
幽「死んでなかった。石で頭打って気絶したのが幸いして水あまり飲んでなかったみたい。ただ頭打った衝撃で意識不明の重体で、目覚めてなかったってわけ。記憶喪失も打ったやつで」
男「幽体離脱か…本当にあるんだな」
幽「うん、本当にあったよ」
男「…ユウ、俺は」
幽「あ、その前に、提案があるのですが」
男「なんだ?今ならなんでものむぞ俺は」
幽「おおー、言いますねえ」
男「好きな女が生きてたんだから当たり前だろ」
幽「ちょっと、照れます」
幽「あ、提案です」
男「はい」
幽「よかったら」
男「はい」
幽「これからも」
男「おう」
幽「私と毎日を過ごしてみませんか?」
男「喜んで。」
終わり


