96 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:10:40.92 SH6Cyh5xo 1/132



  ――#12 過ぎる日々、うつろう季節



元スレ
絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」~その7
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1344366850/

※関連記事
【本編シリーズ】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 【前編】 【後編】 【おまけ短編集】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その2号室 【前編】 【後編】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その3号室 【本編】 【番外編】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その4号室
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その5号室
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その6号室 【前編】 【後編】 【幕間】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その7号室
【番外編】
絹旗「……超暑いです」白井「沖縄ですし」 【前編】 【後編】
【アフター】(当SSシリーズ)
絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」
#0 プロローグ
#1 とある秋風の休日模様
#2 子どもができたら名前を考えないとね
#3 絹旗・白井のあの人はいま!
幕間1 婚后さん帰国の日&超番外編
#4 トライアングル△トーク
#5 新約・温泉に行こう
#6 きぬくろ七番勝負!(前編)
#6 きぬくろ七番勝負!(後編)
#7 はっちゃけ年末!
超番外編2&3
#8 事件ですの!(前編)
#8 事件ですの!(後編)
幕間2 黒子、退院す
#9 甘々と苦々、どちらがお好み?
#10 きぬ散歩
幕間3 もうすぐ春ですね
#11 ヲトコたちのホワイトデー戦争

※注記
『絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」』は2013年10月時点で未完結です。

97 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:11:38.87 SH6Cyh5xo 2/132



~3月上旬 第7学区 常盤台新寮~


白井 「……」

アスカ 「」ジー...

白井 「まったく」ハァ

アスカ 「ナフ」

白井 「どうして貴女はいつもわたくしのノートPCの上で寛ぐのですか」

< 「こんなもんより私に超構えってことですよ」

白井 「……」

< 「ほら、お触り超OKですよ」

白井 「」モフモフ

< 「お客さん、こういうお店って初めてですか?」

白井 「絹旗さん、いつまで妙なアフレコ続けるおつもりですか」ペシッ

絹旗 「いたっ。心の声を代弁しただけじゃないですか」ムー

テスラ 「」ムー


98 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:12:29.70 SH6Cyh5xo 3/132


白井 「はいはい、どいてくださいね」ヒョイ

アスカ 「」ヤーン

絹旗 「どかしてもどかしても超すぐに来ますよ。テスラがそうですから」

テスラ 「」フン

白井 「よほど絹旗さんの頭頂がお気に入りなのですね」

絹旗 「お蔭で、最近私は猫の匂いがすると言われます」

白井 「そうなのですか?」

絹旗 「自分の匂いって自分じゃ超分からないんですよね」クンクン

白井 「それは確かに」

絹旗 「ちょっと白井さん、私の匂いってどんな感じか超試してみてくださいよ」

白井 「今試してもテスラの匂いしかしないでしょう」

絹旗 「あー……ちょっと待っててください」


<ほら、ちょっとどいててください。
<ニャホーーーー
<いたたたた!爪!頭皮に!爪!


白井 「……まあ、あれだけ引っ付いてれば匂いもうつっているでしょうね」


99 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:13:33.98 SH6Cyh5xo 4/132


ユリコ 「(・ω・ )~」ミョインミョイン

リック 「」ペシペシ

白井 「ユリコ、しっぽで遊ばせるなんて器用ですのね。わたくしには真似できませんの」クスクス

絹旗 「できますよ」

テスラ 「」ウン

白井 「わたくしにしっぽは生えておりませんもの」

絹旗 「生えてるじゃないですか、2本も」

白井 「……わたくしの頭のこれのことですか?」クイ

絹旗 「はい」

白井 「まあ、確かにこれにじゃれついてくることは多々ありますが」

絹旗 「ありますが?」

白井 「ユリコのように」

ユリコ 「(・ω・ )ノシ」ブオンブオン

リック 「」ピョンピョン

白井 「自在には動かせませんもの」

絹旗 「超練習すればなんとかなりませんか」

白井 「骨も筋肉も神経も通ってないもの、超練習でどうにかなりますか」


100 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:14:58.69 SH6Cyh5xo 5/132


絹旗 「つまり、髪の毛にも骨と筋肉と神経があれば……」

白井 「散髪が大手術になってしまいますわね」

絹旗 「……それは超ダメですね」

白井 「ところで」

絹旗 「はい?」

白井 「ここを出た後の準備、ちゃんと進めておられます?」

絹旗 「超大丈夫ですよ」フンス

テスラ 「」フンス

白井 「ユリコたちのことも?」

絹旗 「はい。ですから、寮がありますよって言うのを超シカトして部屋借りちゃいましたから」

白井 「それがいいか悪いかは別として。同じ寮という言い方でも、こことは大分違うでしょうし」

絹旗 「学校管理のアパートですよね、実際」

白井 「まあ、それを聞いて安心しましたの」

絹旗 「繰り返しになりますけど超大丈夫ですよ、私なら」

白井 「いえ、絹旗さんの心配はしておりませんの」

絹旗 「」

白井 「わたくしが最も心配なのはこの子です」ヒョイ


101 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:16:08.84 SH6Cyh5xo 6/132


アスカ 「?」

絹旗 「アスカですか……白井さんに超ベッタリですしね」

白井 「大丈夫だとも思っておりますが、離れることによる不安は拭えませんの」

絹旗 「言いたいことは分かりますよ」

白井 「でも、親であるユリコも、姉妹の二匹も、下僕である絹旗さんもおられますし」

絹旗 「下僕!? 私のほうが下僕なんですか!?」

テスラ 「」ウン

白井 「わたくしにはそう見えますが」クスクス

絹旗 「むむ……ここは上下関係を超はっきりしておくべきですね」

白井 「まずその位置関係からして、上下になっておりますもの」

絹旗 「ではまずは手近なところから侵攻を」


<テスラ、今日こそは私の超神聖なる頭上を
<カプ
<ふぎゃぁぁ!?耳甘噛みは超反則ですよ!


白井 「貴女と同部屋で過ごせる時間も、残り僅かなのですね」

アスカ 「」スリスリ

白井 「……」


102 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:17:00.86 SH6Cyh5xo 7/132



~翌日 第7学区 とあるファミレス~


絹旗 「ということがあってですね」

滝壺 「昔からそうだよね」

絹旗 「テスラは生まれた直後からすでに超じゃじゃ馬でしたが、昔ってほど昔でも」

滝壺 「あ、そうじゃなくて」

絹旗 「?」

滝壺 「きぬはたは耳が弱点」

絹旗 「いやいやいや!」

滝壺 「懐かしいな。よくむぎのが酔ったらお仕置きで耳ペロペロ」

絹旗 「思い出させないでくださいよ! あのときは本当に超食われると思ったんですから」ゾワワ

滝壺 「そっちの意味で?」

絹旗 「文字通りの意味です」

滝壺 「なるほど」フム

絹旗 「はあ……で、滝壺さんは」

滝壺 「?」


103 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:17:56.02 SH6Cyh5xo 8/132


絹旗 「一人で超さまよってるところを見つけて、こう昼食に誘った訳ですけど」

滝壺 「お腹空いてたから丁度良かった」

絹旗 「結構ゆっくりしてますよね」

滝壺 「うん」

絹旗 「4月からの準備とかしてるんですか?」

滝壺 「水面下でやってるよ」

絹旗 「いや、堂々とやってもいいじゃないですか」

滝壺 「今は水面下」

絹旗 「なんでまた?」

滝壺 「はまづらもフレメアも大事な時期だから、私のことで心配させないようにしないと」

絹旗 「そういうことでしたか。でも、それを言ったら滝壺さんだって」

滝壺 「私は大丈夫だから」

絹旗 (滝壺さんが一度こうなったら何を言っても超変わらないですね)

絹旗 「色々と超変わる時期ですよね」ズチュー

滝壺 「変わるというか、色々と超進む時期じゃないかな」

絹旗 「そうとも言えますか」


104 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:19:00.72 SH6Cyh5xo 9/132


滝壺 「……」

絹旗 「? どうしたんですか?」

滝壺 「あ、うん。きぬはたのその制服姿も見納めなのかと思って」

絹旗 「そうですよ。今の内に超たっぷり見ておいてください」キラッ☆

滝壺 「うん、撮っておこう」スチャ

絹旗 「そこまでですか?」

滝壺 「ほらほら、写真じゃないんだから動いて動いて」

絹旗 「動画!?」

滝壺 「お分かり頂けただろうか」

絹旗 「な、何が写ってるんですか!」

滝壺 「記念になったね」

絹旗 「ええ、まあ……今度は代わりに、"もう中学生組"が制服デビューだから超撮ってあげてください」

滝壺 「そっちはね、はまづらが張り切ってる」

絹旗 「浜面、超父親気分ですね」

滝壺 「うん、入学式にも乗り込むつもりみたい。一人じゃ可愛そうだろって」

絹旗 「気持ちは分かりますけど」


105 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:20:35.14 SH6Cyh5xo 10/132


滝壺 「私も行ったほうがいいのかな」

絹旗 「行けるんなら行ってもいいと思いますよ。超滅多にない機会ですし」

滝壺 「」ウーン

絹旗 「似たような立場のミサワさんに聞いてみては?」

滝壺 「あっ、そういえば向こうはどうするか聞いてない」

絹旗 「向こうはなんか……むしろ来てと超せがまれてそうな気がします」

滝壺 「うん、ありそう」

絹旗 「一方通行がどォすンだよ俺って顔してるのが想像できますね」

滝壺 「もちろんそれなりの服装で行くよね。はまづらと二人でスーツきて歩いてたら」

絹旗 「マフィアですね」

滝壺 「ホストだよね」

絹旗滝壺 「「」」エー

滝壺 「とりあえず、後でみさわにも聞いてみる」

絹旗 「今じゃダメなんですか?」

滝壺 「うん、今はやめておいた方がいいと思う」

絹旗 「そうですか」


106 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:21:54.73 SH6Cyh5xo 11/132


滝壺 「なんか早いね。フレメアが中学生で、きぬはたが高校生か」

絹旗 「その言い方、お母さんみたいですよ」

滝壺 「絹旗も初めて会ったときは、あんなに小さく……あんなに……あれ?」

絹旗 「滝壺さん?」

滝壺 「ごめん、よく考えたら大きさはあんまり変わってなかった」

絹旗 「わ、わ、わ、私はこれからが超成長期なんです!」

滝壺 「でもこの歳になっちゃうと、育つのはお腹の肉だけだよ」

絹旗 「超悲しくなること言わないでくださいよ」

店員 「お待たせ致しました。こちら、ご注文のお品物になります」

滝壺 「あ、きた」

絹旗 「はれ?」

店員 「ごゆっくりどうぞ」

滝壺 「いただきます」

絹旗 「待ってください! それ私のです! 超逆です!」

滝壺 「お腹が空いてればなんでもおいしいよ、きっと」

絹旗 「そういう問題じゃなくてですね」


107 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:22:56.43 SH6Cyh5xo 12/132



~その頃 第7学区 大型ホームセンター~


白井 「」ウロウロ

白井 (ものはいくらでも準備できても、さて、どう切り出したものやら)


<あら、白井さん。


白井 「?」

婚后 「風紀委員が、こんなところでおサボりですか?」クスクス

白井 「いえ、そうではありませんが」

婚后 「では白井さんもお食事を?」

白井 「お食事というと……ああ、ユリコたちの」

婚后 「ええ、白井さんのではなく」

白井 「いくらわたくしでもペット用品コーナーで食事は探しませんの!」

婚后 「それもそうですわね」

白井 「ともかく、そちらは絹旗さんが補充済みですので。婚后さんもお食事ですか?」

婚后 「ご明察ですわね。ご覧になってくださいな、珍しい品が手に入りまして」ゴソゴソ

白井 「?」


108 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:24:28.98 SH6Cyh5xo 13/132


婚后 「エカテリーナちゃん用なのですけれど、これがまるまると太った」

白井 「け、け、け、結構ですの!」

婚后 「味見されます?」

白井 「結構ですの!」ムキー

婚后 「では次の機会にしておきましょう」

白井 「きっと次はございませんが」

婚后 「ところで、お食事ではないとなると何をお探しで?」

白井 「何がどの程度必要になるかを知りたくて」

婚后 「必要に?」

白井 「ええ。まだ必要になると決まった訳ではないのですが」

婚后 「猫を迎えるのに必要なセットでしたら、向こうにございましたわよ」

白井 「……察しはついておられましたのね」

婚后 「だってわたくしは存じておりますもの」

白井 「存じている?」

婚后 「白井さんによく懐いている仔猫がいることを」

白井 「あぁ、考えてみれば」

婚后 「ひとまず、ここでこうしているよりかは。移動しませんこと?」


109 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:25:33.01 SH6Cyh5xo 14/132



~同日 第7学区 チェーン系カフェ~


白井 「こういう場合、大きいお姉様のところにいく流れかと思いましたが」

婚后 「この時間帯は混雑しておられるらしいですから」

白井 「ではかえってお邪魔になってしまいますわね」

婚后 「続けている内にお客様が増えているとか」

白井 「だから店員さんも増えたと、当の店員さんご本人が仰ってましたの」

婚后 「さて。それで」カチャ

白井 「はい?」

婚后 「先ほど、必要になると決まった訳ではないと仰ってましたわね」

白井 「ええ」

婚后 「わたくし、てっきり」

白井 「引き取るものだと?」

婚后 「そう思っておりました」

白井 「……」

婚后 「なにか迷っておられますのね」


110 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/08/26 04:27:04.75 SH6Cyh5xo 15/132


白井 「ええ、少々」

婚后 「話してみては? わたしくでは頼りにならないかもしれませんが」

白井 「……」ウーン

婚后 「……」

白井 「どうしても、わたくしの意思で引き離してしまうことに抵抗を感じてしまいますの」

婚后 「それは母親から?」

白井 「それだけではなく姉妹からも。それと、絹旗さんからも」

婚后 「そう考えてしまうのは自然ですわ」

婚后 (白井さんなら、尚のことなのでしょうね)

白井 「それがあって、絹旗さんにこの話をするのも気が引けて」

婚后 「皆さん、白井さんなら安心して任せてくださると思いますが」

白井 「それでもです」

婚后 「白井さんご本人の心境の問題ということですわね」

白井 「……そういうことになりますの」

婚后 「白井さん、一年前のこと、覚えておいでですか?」

白井 「一年前?」

婚后 「わたくしたちが、一つ屋根の下から卒業するときのことです」


179 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:22:03.79 qKTyhv2Ko 16/132


白井 「あのときは色々ございましたわね」

婚后 「ええ、本当に突然でバタバタしていて」

白井 「荷造りのために、近所のスーパーに段ボールをもらいにもいきましたし」

婚后 「総出で大掃除もしましたわね」

白井 「最後の夜の騒動も……さすがに未成年でアルコールは」

婚后 「絹旗さんの乱れっぷりときたら。最後ですもの、あれぐらい羽目を外しても問題ないでしょう」クスクス

白井 「まあ、時効ということにしておきますの」

婚后 「絹旗さんと寮監の決闘というものもございましたわね」

白井 「まったく意外な形で決着がつきましたが」

婚后 「寮監のご寛容さがあってこそ、あの子たちとも出会えたのでしょう」

白井 「どれもこれも、今となっては全て笑い話で……よき思い出ですの」

婚后 「……それで白井さん、何か思い出しません?」

白井 「?」

婚后 「ユリコをどうするかで話し合ったでしょう」

白井 「たしかに。vs寮監戦の前にそれがございましたの」


180 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:23:26.87 qKTyhv2Ko 17/132


婚后 「どのように結論を出したかは?」

白井 「それはユリコ自身に……」ハッ

婚后 「わたくしの考え、伝わりました?」

白井 「ええ、今回もユリコ自身に決めて頂けば」

婚后 「え? いえいえ、そちらではなくてですね!」

白井 「言わんとしていることは分かっておりますの」

婚后 「でしたらよいのですが」

白井 「外野があれこれ迷ったり戸惑ったりするよりは」

婚后 「ご本人……この場合はご本猫ですわね」

白井 「ご本猫がどうしたいか、それをまず尊重すべきでしたの」

婚后 「ご本猫が決めたことであれば、誰も異論は挟めないでしょう」

白井 「そうであれば、さっそく今夜にでも」

婚后 「あ、でも」

白井 「?」

婚后 「ここまでのお話を、まず一度絹旗さんにお話しておいた方がよろしいでしょう」

白井 「……仰る通り、絹旗さんにはちゃんとお話するべきですの」


181 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:24:33.65 qKTyhv2Ko 18/132


婚后 「絹旗さんのことですから、白井さんのことは全面的に信頼なさると思います」

白井 「……」

婚后 「その上で、最後に、ご本猫に決めて頂けばよいのでは?」

白井 「ええ、そういたします」

婚后 「誰もが納得できる結末になるとよろしいですわね」

白井 「そうなるためには、最早隠し事も不要ですの」

婚后 「妥協なき衝突の末に深まる信頼もございます。白井さんだって」

白井 「?」

婚后 「絹旗さんは、これまでもそうしてこられたのでしょう?」

白井 「ええ。思い出されますわね……思い出され……」

婚后 「?」

白井 「アスカのこととは別件で決着をつけなければいけないことがあったような気も……」ンー

婚后 「ま、まあ、それはそれとして」

婚后 (妥協も遠慮も隠し事も一切合財不要……羨ましい仲ですわね)

白井 「? 婚后さん? 口元が緩んでおられますの。何を想像して……」

婚后 「いえいえ、なんでも」クスクス


182 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:25:55.85 qKTyhv2Ko 19/132



~その頃 第7学区 番外通行邸~


一方通行 「……今の説明で理解したな?」

フレ止め 「「OK!」」ビシィ

一方通行 「じゃ今日はここまででいいな。肩が凝った」

打ち止め 「物理のほうが面白いかも。電気がたくさん出てくるし」

フレメア 「私ばけがくの方が好き」

打ち止め 「えー」

フレメア 「なんかとなんかが化学反応で爆発! とか」キラキラ

一方通行 (花火が好きなのか)コキコキ

フレメア 「あ、ねえ。シロって」

一方通行 「別に肩は叩かなくていいぞ。そこまで凝ってねェ」

打ち止め 「!? だ、ダメ! 誰かに叩かせるぐらいだったら電気治療で」

一方通行 「いらねェっつってンだろ」ズビシッ

打ち止め 「ふぎゃ」

フレメア 「そういうのじゃなくてー」


183 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:26:46.35 qKTyhv2Ko 20/132


一方通行 「?」

フレメア 「私たちの入学式って来てくれる?」

一方通行 「血縁でもなンでもねェ俺が行くことに問題は」

打ち止め 「」ジー...

一方通行 「……」

打ち止め 「」ジー...

一方通行 「あー……」

打ち止め 「フレメア、換気しない?」

フレメア 「え?」

打ち止め 「家中の窓という窓を開け放って」

一方通行 「そうだな。俺でよければ行くつもりってのも吝かでもないかもな」

打ち止め 「来るって!」

フレメア 「おー」

一方通行 (このクソガキ……いつの間にこンな黒くなりがやった。ワーストの影響か?)

一方通行 (クソッ、なるべく外に出たくねェってのに)

フレメア 「浜面も来てくれるっていってたよ」

打ち止め 「ナイス浜面」


184 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:27:54.18 qKTyhv2Ko 21/132


一方通行 (2号も来るつもりなのか……不審者扱いされたりしないかねェ)

一方通行 (できればあいつにもご同行願いたいな。俺と2号だけじゃ確実につまみ出される、人相的に)

一方通行 (問題は縁戚じゃねェことだが……本人たちが来いっつった、で押し通すか)

フレメア 「ねえ」

一方通行 「まだあンのか」

フレメア 「なんで家の中でマスクしてるの?」

一方通行 「……」

打ち止め 「狼さんだから」

フレメア 「おばあさんはどうして家の中でマスクしてるの?」

打ち止め 「それはね、オマエを食べるためd」

一方通行 「好き勝手言ってンじゃねェ! スギ花粉みたいにされてェか!」ウガー

フレ止め 「「わー、怒ったー」」

フレメア 「でも夜は狼さん?」

一方通行 「オイ、誰がンなこと言ってた」

フレメア 「浜面」

一方通行 (あいつ、今度会ったときにドリップ後のコーヒー粉を口に詰めこンでやる)


185 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:29:02.83 qKTyhv2Ko 22/132


打ち止め 「入学式、何着ていこうかな」wktk

フレメア 「大体楽しみになってきた」wktk

一方通行 「オマエたちは制服だろォが」ハァ

フレ止め 「「ですよね」」

一方通行 「服装か……それは用意しないとねェな」

フレメア 「もちろんスーツだよね?」

打ち止め 「でもってダブルだよね?」

一方通行 「待て、スーツにしてもダブルはねェぞ。……とにかくオーダーしねェとな」

フレメア 「オーダー!」

打ち止め 「この人、細すぎて既製品だと選択肢すっごい少ないの」

フレメア 「レディースでもよくない?」

一方通行 「よくない」

打ち止め 「子ども用は?」

一方通行 「そろそろ怒るぞ」

一方通行 (とりあえず、あいつには今夜にでも話してみるか)


186 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:30:34.75 qKTyhv2Ko 23/132



~同日夜 第7学区 番外通行邸~


番外個体 「へー、そういう話がね」カリカリ

打ち止め 「でも来てくれる、って言ってたよね? ってミサカはミサカは念を押してみたり」グイグイ

一方通行 「あァ、言ったような気もするな。だからな、どうせならオマエも」

番外個体 「あなたさ、なーんか見落としてるよ」カシカシ

一方通行 「? なンだよ」

番外個体 「何を心配してるかってさ、浜面さんとカップルじゃ不審者扱いされないか、ってことでしょ?」カリカリ

打ち止め 「か、カップルって……ミ、ミサ……」ガクブル

一方通行 「それはさっき話した通りだ……あとカップルって言うな」

番外個体 「はい、右耳終わり。次左」

一方通行 「」ゴロン

番外個体 「はい、交代」つ【耳かき】

打ち止め 「任せろ!」シャキン

一方通行 (大丈夫なのか?)

番外個体 「確かにお代官と越後屋みたいなもんだよね。誰が見ても怪しさ爆発」ニヨニヨ

打ち止め 「浜面が"一方通行、お主も悪党よのぉ"ってミサカはミサカは想像してみたり」カリカリ

一方通行 「なンで俺が越後屋なンだよ、逆だ逆」


187 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:32:16.84 qKTyhv2Ko 24/132


番外個体 「でもさ、そこに私が加わったところで悪人面指数は変わらないと思うよ?」

打ち止め 「ワーストも顔キツイもんね、ってミサカは」カリカリ

番外個体 「あなたも根本は同じ顔なんだからね」ピコッ

打ち止め 「いたっ。さ、先に言い出したのワーストなのに叩くのはズルイ!」BooBoo

一方通行 「おい、今こいつに衝撃を与えるな、俺の鼓膜や三半規管が危ねェ」

番外個体 「ちぇっ」

打ち止め 「滝壺お姉ちゃんは? あの人がいたら怪しさも中和してくれそう」カリカリ

一方通行 「本人に聞きゃ早ェだろうよ」

番外個体 「あっ、夕方からバタついててすっかり忘れてたよ。それ言ってなかった」

通行止め 「「?」」

番外個体 「夕方、滝壺さんからメール来てね。"私は行けるなら行きたいけど、そっちはどうする?"だって」カチカチ

一方通行 「なンて返したンだよ」

番外個体 「まだ返してないよ。あなたたちに聞いてからにしようと思って」

一方通行 「どちらにせよ、そのメールを見る限りは来るつもりみてェだな」

打ち止め 「え、ホント!?」ゴリュッ

一方通行 「アーーーー!?」

番外個体 「あ、やっちったか……余所見するから」


188 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:33:20.64 qKTyhv2Ko 25/132



~その頃 第7学区 常盤台新寮~


 ガチャ バタン


白井 「戻りましたの」

アスカ 「!」ドタタタ

白井 (……今更ながら、猫まっしぐらってこういうことですのね)

絹旗 「あーもー、だから何度言ったら分かるんですか!」

テスラ 「?」

絹旗 「あ、白井さん。超お帰りなさい」

白井 「何をしておられますの」

絹旗 「いえですね。テスラがお手できないんですよ」

白井 「できなくて何か不都合でも?」

絹旗 「でも、ユリコー」

ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」ポテポテ

絹旗 「ユリコ、お手」

ユリコ 「(っ・ω・)」


189 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:34:20.52 qKTyhv2Ko 26/132


絹旗 「お代わり」

ユリコ 「( ・ω・)っ」

絹旗 「ほら」

白井 「ほらと言われましても」

絹旗 「でもテスラにやってもらおうとすると……はい、お手」

テスラ 「」ノセッ

絹旗 「これじゃお手じゃなくてお顎ですよ。私の手を枕だと超思ってるんですよ」

白井 「これはこれで可愛いのでは」

絹旗 「んー、そりゃそうなんですが」

白井 「絹旗さん、顎」ハイ

絹旗 「」ノセッ

絹旗 「何やらせてんですか!」ウガー

白井 「いえ、まさか本当にやるとは思わなくて……」

絹旗 「ついやっちゃいました。超不覚です……次やったらそのまま噛みつきますからね」

白井 「さて……絹旗さんとユリコに折り入ってお話があります」

絹旗 「?」

ユリコ 「(・ω・)?」


190 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:35:14.39 qKTyhv2Ko 27/132


白井 「まあ、座って。こちらへ」

絹旗 「え、ええ」

ユリコ 「( ・ω・)」

絹旗 「あの……確かにこの部屋にはソファとかないですよ。でもなんでベッドで、しかも正座なんですか」

白井 「真面目なお話ですから」

絹旗 「……あ、もう足が超痺れ始めて」

白井 「早いですの!」

絹旗 「と、とにかく超早く終わらせましょう」

白井 「はあ。では、ちゃんと聞いてください」

絹旗 「はい」

白井 「本題から申しあげましょう。おふたりとも」

絹旗 「おふたり?……あ、ユリコもでしたね」

白井 「ええ。アスカを」

絹旗 「アスカを?」

白井 「いえ、娘さんをわたくしに引き取らせてくださいませんか」ペコリ


191 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:36:42.19 qKTyhv2Ko 28/132


絹旗 「……」

ユリコ 「(・ω・)……」

絹旗 「あの……私……」

白井 「?」

絹旗 「白井さんの趣味っていうか、好みを否定するつもりはありません」

白井 「はい?」

絹旗 「それは人超それぞれですよ。いろんな人がいて超当然なんですよ」

白井 「はあ」

ユリコ 「(・ω・ ) ) ) )」ポテポテ

白井 (あ、興味を失ってしまいましたか)

絹旗 「ましてや白井さんと私の付き合いは浅いものじゃないです。私だって超理解しているつもりです」

白井 「あの、絹旗さん?」

絹旗 「でも、それでもですよ、白井さん」

白井 (話が妙な方向に)

絹旗 「いくらアスカが女の子だからって、猫相手は」

白井 「違いますのぉぉぉ!!」


192 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:38:12.88 qKTyhv2Ko 29/132


絹旗 「将来に絶望するにはまだ超早いですよ!」

白井 「してませんの!」

絹旗 「超大丈夫ですよ。私たちの魅力に気付く人だっていつかきっと」

白井 「あの、そういったお話ではなくてですね」

絹旗 「そりゃ私たちのことを"常盤台の喪嬢様"とかいう輩はいますけど」

白井 「おりますの!?」

絹旗 「黒夜ですよ」

白井 「その言葉、そっくりお返ししておいてください」

絹旗 「そうですよね。窒素女なんかに超言われたくないですよね」

白井 「いつも思うのですが、その窒素女と言ってしまうと」

絹旗 「いいんです。私の窒素はいい窒素なんです」

白井 「窒素は窒素以上の何物でもございませんの」

絹旗 「で、何の話でしたっけ」

白井 「ここを出た後、アスカを引き取りたいと」

絹旗 「あ、あの……それなんですけど」

白井 「?」


193 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:39:13.72 qKTyhv2Ko 30/132


絹旗 「実を言うと。逆に私からお願いしようと思ってたんです」

白井 「え」

絹旗 「だってほら、今だって白井さんから超離れようとしないですし」

アスカ 「」スリスリ

白井 「本当に見る目がある子ですから」

絹旗 「でも、いいんでしょうか」

白井 「母親や姉妹と離れ離れになっても、と?」

絹旗 「はい。それで、超寂しくなったりしないかな、って……」

白井 「……」

絹旗 「あ、違います! 白井さんが信用できないとか超変態だとか言いたいんじゃないんです!」

白井 「後半は余計ですの!」

テスラ 「」ヨイショ

絹旗 「それで最近考えてたんですけどね。アスカにとって何が一番なのか、結局分かるのはアスカ自身だけだと思うんです」

白井 「……はぁ」

絹旗 「え、なんでため息なんですか」

白井 「いえ、ホッとしておりますの。結局絹旗さんも、わたくしとほぼ同じ考えだったと分かって」


194 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:40:13.38 qKTyhv2Ko 31/132


絹旗 「え? じゃあ」

白井 「わたくしも、アスカを引き取りたいと意思は示しました。あとは」ポスン

アスカ 「マー」

白井 「アスカが何を選ぶかですの。どのような結果であっても、わたくしはそれを尊重します」

絹旗 「じゃあ、聞いてみましょうか」

ユリコ 「( ・ω・)」

リック 「」ウロチョロ

白井 「あら、ちょうどいいところに戻って参りましたわね」

絹旗 「アスカ」チョンチョン

アスカ 「?」

絹旗 「アスカは、この先誰と一緒に行きたいですか?」

アスカ 「……」ポテポテ

ユリコ 「( ・ω・)ノ」

アスカ 「」ペロペロ

白井 (ユリコ……やはり母親には敵わな)

アスカ 「」クルッ

絹旗白井 「「?」」


195 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:41:34.49 qKTyhv2Ko 32/132


アスカ 「」ピョーン

白井 「わ、えっ……!」

絹旗 「お尻ふりふり無しで大ジャンプなんて、超やるじゃないですか」

白井 「……で、では、わたくしに?」

アスカ 「ピー」

絹旗 「きっと今のはあれですよ。"お母さん、超お世話になりました"って挨拶ですよ!」ピャー

白井 「まるで嫁入りですわね」クスクス

絹旗 「似たようなものです」

白井 「はい。娘さんのことは、任せてくださいまし」

ユリコ 「( ・ω・)=3」

絹旗 「超よろしくお願いします」フカブカ

白井 「それであの、今のやり取りの中で思ったのですが」

絹旗 「はい?」

白井 「アスカだけ選択権を持たせるのも不公平なのでは」

絹旗 「たしかに、超一理あります」

白井 「なので、ちゃんと全員に聞きましょう」


196 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:43:09.63 qKTyhv2Ko 33/132


絹旗 「でも、リックは」

リック 「」ピトッ

ユリコ 「(・ω・ )」

絹旗 「相変わらず超マンモーニですからね」

白井 「ユリコと一緒、ということなのでしょうね」

絹旗 「じゃユリコはどうします?」

ユリコ 「(っ・ω・)っ」

絹旗 「私ですか」フンス

白井 「下僕一号ですものね」クスクス

絹旗 「で、テスラは」

テスラ 「」スピー

絹旗 「……なんか、どんどん超フリーダムになってますよ」

白井 「よほど絹旗さんの膝の上の寝心地がよかったのでしょう」

絹旗 「え、ちょっと待ってください! 私、テスラが起きるまでこのままですか!?」

白井 「起こす訳にも参りませんもの」

絹旗 「いや、足が、痺れてきてるんですよ! テスラの重みで超余計に!」


197 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:44:23.21 qKTyhv2Ko 34/132


白井 「淑女たるもの、正座の一つや二つで音を上げるものではございませんの」

絹旗 「私淑女じゃなくていいですから!」

ユリコ 「( ・ω・)ノシ」ペチ

絹旗 「ひゃあああ!?」シビビビ

白井 「今からそんな調子で、テスラが成猫になった暁にはどうなさるおつもりですか」

絹旗 「え? せ、性病?」

白井 「成猫! 大人の猫ですの!」

絹旗 「あぁ、そっちですか。正座しなければいいんです」

白井 「そうもいかないときもあるかと思いますが」

絹旗 「その時は超その時です」

白井 「ならいいのですが……さて、お時間頂いてありがとうございました。わたくしからは以上ですの」

絹旗 「な、なんで超普通に立ち上がって歩いてんですか……」

白井 「淑女ですから」クスッ

 :
 :
 :


198 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/09/21 00:46:17.73 qKTyhv2Ko 35/132


白井 「シャワー空きましたの」ガチャ

アスカ 「♪」ホコホコ

白井 「……あら」

絹旗 「……」

テスラ 「」スピー

白井 「まだ起きませんのね」

絹旗 「ええ、なんかもういいです。足の感覚が超なくなってきましたから」

白井 「では触っても」

絹旗 「ダメです!」ウガー

白井 「はいはい」

絹旗 「あ、そうだ。数日中で空いてる日ってありますか?」

白井 「数日中ですか? であればありますが」

絹旗 「超ちょっとお付き合いしてほしいんです」

白井 「どちらへ?」

絹旗 「ここを引き払う時の超予行練習でもと思いまして」

白井 「練習?」

絹旗 「テスラたちを外に散歩に連れて行ってみます」


230 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:40:47.14 xV02JBgOo 36/132



~数日後 第7学区 ドーナツ屋さん~


番外個体 「ね、メール見てくれた?」

結標 「?」

滝壺 「見たよ。ごめん、返事まだだったね。ちょっと今から」カチカチ

番外個体 「いいでしょ、目の前にいるんだから」

結標 「なんの話?」

滝壺 「そこの二人の入学式」

フレメア 「」ハモハモ

打ち止め 「」ハモハモ

結標 「あぁ、そういう話があったのね」

番外個体 「なに? 蚊帳の外でスネちゃった?」

結標 「そこまで狭量でもないわよ。私には私の入学イベントもあるんだし」

番外個体 「あー、そういえばそっか。てことは、滝壺さんもだよね?」

滝壺 「うん」

結標 「まあ、こっちはそれほど構えなくても平気だとは思うけどね」


231 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:42:17.97 xV02JBgOo 37/132


番外個体 「大学の入学式って何着るもんなの? 振袖?」

滝壺 「それじゃ成人式と間違えたと思われない?」

結標 「スーツでいいんじゃない? 持ってないけど」

滝壺 「買わなきゃいけないね」

結標 「……そっか、もしかして3人とも買わなきゃいけないのね」

番外個体 「? なんで私まで?」

結標 「折角だし付き合いなさいよ」

滝壺 「一着あれば、いざというとき便利かも」

番外個体 「急な葬式とか?」

結標 「他になんか想像するものなかったの? 縁起でもないわね」

滝壺 「それにほら、もし入学式に行くことになればどっちみち必要だよ」

番外個体 「んー、それもそうだね」

結標 「え? さっきの話ぶりだと参加確定っぽかったけど?」

滝壺 「行けるなら行ってみたいけど、お断りされる可能性もある」

番外個体 「親類縁者じゃないからね」

結標 「大丈夫だと思うけど」

滝壺 「どの道、そろそろ何らかの形で案内が来ると思うから、まずはそれ待ちなのかな」


232 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:43:19.80 xV02JBgOo 38/132


結標 「とりあえず買いましょうか。スーツ」

滝壺 「今度見に行ってみよう」ウン

結標 「貴女も来るのよね?」

番外個体 「ま、お供しましょうか」

フレメア 「いーなー」

打ち止め 「スーツかぁ……あの人似合うんだろうなぁ」ホワー

結標 「ところで」

滝壺 「?」

結標 「入学式の話ばかりしてるけど、卒業式はどうしたの?」

滝壺 「ええと」

番外個体 「それは……」

打ち止め 「そもそも、通ってなかったし」

フレメア 「私も、色々巻き込まれてからはあんまり」

結標 「……そ、そうだったの。ごめんなさい、変なこと聞いちゃって」

フレメア 「大体OK!」

打ち止め 「その分これから楽しめるから!」


233 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:44:31.32 xV02JBgOo 39/132


フレメア 「卒業と言えば、絹旗も卒業だよね」

滝壺 「そうだね、きぬはたとしらいも卒業」

打ち止め 「行ってあげなくていいの?」

番外個体 「入れんのかな……学舎の園でしょ?」

結標 「それこそ家族か、もしくはその人から委任された人じゃないとムリじゃない?」

滝壺 「でも何かしてあげられないかな」

番外個体 「確か、去年は花束かなんか……」

結標 「うん、もらったわね。不登校みたいな身分だったから恐縮したわ」

滝壺 「しかも造花じゃないやつ。嬉しかった」

番外個体 (なんか思い出してきたぞ。ユリコが食べちゃってたんだよな)

結標 「去年もらった側だしね、今年は私と滝壺さんで考えてみるわよ」

滝壺 「なにかこう、喜んでもらえるような……」ウーン

フレメア 「あ、エンゼルショコラは私の!」ギャー

打ち止め 「さ、さっきも食べてたじゃん!」ギャー

番外個体 「はい、やめやめ。半分にしちゃえばいいじゃん」

滝壺 「いいよね、それで」


234 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:45:44.45 xV02JBgOo 40/132


番外個体 「あ、これ切れ目が入ってるからここから」

結標 「待って待って。縦に半分にするつもりなの?」

番外個体 「そうすれば綺麗に半分になるじゃん」

滝壺 「ドーナツの開き? 干物みたいだね」

フレメア 「大体普通でいいと思う」

滝壺 「たぶん、縦に半分こしたら」

フレメア 「したら?」

滝壺 「片方はクリームごつ盛りで、片方はスカスカになるかもしれない」

結標 「それじゃすごい不公平ね。クリーム無いほうがカロリー少なくてお得じゃない」

番外個体 「少なくてお得なんて考えるのは淡希だけだ」

打ち止め 「縦に割っちゃったら、それはもうドーナツじゃないと思う」

フレメア 「やっぱ普通でいいよね。もしくは私が全部」

打ち止め 「ダメってば!」

番外個体 「半分にしたけども……これ大丈夫かな? ちゃんと2等分になってる?」

結標 「大丈夫よ。ミリ単位まで気にするのなら別でしょうけど」

滝壺 「それはもう気にしすぎ。せめてギザギザの数を数えるぐらいにしておこう」

打ち止め 「もう多少違っててもいいよ」


235 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:47:31.16 xV02JBgOo 41/132


 :
 :
 :

フレメア 「ぶふー」

打ち止め 「も、もう入らない……」

結標 「……ね、ちょっと食べ過ぎじゃない?」

滝壺 「食べ盛りなんだよ、きっと」

フレメア 「大体、おいしくて」

打ち止め 「やめどきが分からなかったり」

結標 「食べ過ぎると、後悔することになるわよ?」クスクス

番外個体 「さっすが、経験談は重みが違うよね、お・も・み・が」

結標 「何が言いたいのよ」グニ

番外個体 「あいったぁぁ!? つねるな! 脚つねるな!」

滝壺 「でもドーナツだからね、カロリーはあるよね」モクモク

結標 「気をつけないと某スターみたくなっちゃうんだから」

番外個体 「その人、故郷の星に帰ったんでしょ?」

打ち止め 「この間、家で観た映画で言ってたね」

フレメア 「宇宙人のジョーンズさんが言うんだから間違いない」


236 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:48:24.87 xV02JBgOo 42/132


結標 「なんか色々混じっちゃったわね……」

滝壺 「そうだったんだ」フム

結標 「真に受けなくていいから!」

番外個体 「ここ、コーヒーお代わり自由だっけ」

結標 「違ったと思うけど。……ねえ、そんなのよりここってサラダないの?」

フレメア 「大体、ここドーナツ屋さんだよ?」

結標 「最近、野菜不足のような気がして」

番外個体 「だからファミレス行ったら素直にサラダバー頼めばいいんだよ。あんな気取って単品もんのサラダ頼むから」

打ち止め 「そういえば前も高そうなの食べてたよね?」

結標 「気取ってる訳じゃないもん、美味しい方を選んでるだけだもん」ムー

滝壺 「」ウトウト

フレメア 「あ、お姉ちゃん落ちちゃう」

番外個体 「おう、潮時か」

結標 「じゃあ出ましょうか。とりあえず買い物のことはまた連絡するから」

番外個体 「はいよ。それまでにうちの人にたかっておくとするよ」ニシシ

打ち止め (今のワーストなら自分で出せるのに)


237 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:49:34.88 xV02JBgOo 43/132



~同日午後 第7学区 常盤台新寮~


絹旗 「よーし、行くとしましょうか」

ユリコ 「(ノシ・ω・)ノシ」

白井 「絹旗さん、リードやハーネスは」

絹旗 「それはないですけど……」

白井 「大丈夫なのですか? なにかに興味を持てば、そのまま行ってしまうことも考えられますの」

絹旗 「超問題ないですよ! 対策はしてあります!」フンス

テスラ 「」フンス

白井 「対策と言いますと?」

絹旗 「対策その1、全員にGPSの発信器を付けました」

白井 「……あぁ、このピコピコ光ってるやつがそうですのね」

アスカ 「」ナニコレ

絹旗 「滝壺さんの愛用品ですよ」

白井 「なぜそこで滝壺さんが?」

絹旗 「浜面が持ち歩いてるそうです」


238 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:50:48.12 xV02JBgOo 44/132


白井 「あぁ、なるほど。愛情ですのね」

絹旗 「超愛情ですよね。対策その2、緊急連絡先が首輪に書いてあります」

白井 「これは……わたくしと絹旗さんの」

絹旗 「はい、保護した人向けですね」

白井 「たしかに必要ですの。もちろん、これの出番がないに越したことはございませんが」

絹旗 「そりゃそうですよ。対策その3、これです」ジャジャン

白井 「おやつですか?」

絹旗 「ええ、この子たちが超大好物の仔猫でもいけるジャーキーあっこら! まだ食べちゃダメです!」

テスラ 「フナーーー」ガブガブ

白井 「効果は抜群ですの」クスクス

絹旗 「ま、まあ、こうやって一本釣りすると。で、最終兵器は白井さんです」

白井 「はい?」

絹旗 「いざとなったら白井さんがテレポで超捕獲するんです」

白井 「……この子らのためならやりますけども」

絹旗 「後は、私たちが出来る限り超気を付けるしかないですかね」

白井 「人や車が多いところでは、抱いて移動したほうがよいでしょうね」

絹旗 「そうですね。私がニ匹でしょうか」


239 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:51:59.55 xV02JBgOo 45/132


白井 「一匹は既にいつもの場所にスタンバイ完了ですものね」クスクス

テスラ 「」ペシッ

絹旗 「もうこいつはこのままで……超いつも通り、アスカは白井さんにお願いして」

白井 「あとはあの子ですのね」

絹旗 「リック……ありゃ? どこいきました?」

白井 「? 先程までそちらで転がっていたのですが」

ユリコ 「( ・ω・)っ」チョンチョン

白井 「どうし……あっ」

絹旗 「あ、いました?」

白井 「ええ、ユリコの背中に」

リック 「」ヒシッ

絹旗 「これは、親子亀ならぬ親子猫ってヤツですか」

白井 「色が色だけに鏡餅のようですの」

絹旗 「重くないんですか?」

ユリコ 「( ・ω・)=3」

絹旗 「超大丈夫、みたいですね」

白井 「ではお母様にお任せしましょうか」クスクス


240 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:53:13.20 xV02JBgOo 46/132


絹旗 「準備はいいですね? いきますよ?」

白井 「目的地は決まってますの?」

絹旗 「ええ、予め超下見していた公園に」

白井 「了解ですの。参りましょう」

ユリコ 「n(・ω・)n」



~しばらくして~


絹旗 「にしても、今日は天気に超恵まれましたね」トテトテ

白井 「考えてみれば、最初の外出ではございませんの」

絹旗 「あれ? そうでしたっけ?」

白井 「病院に連れて行ったではないですか」

絹旗 「あ、じゃあそのとき以来ですか」

白井 「まあ、あの時は籠入り娘でしたから。ちゃんと外に出るのは初めてでしょうか」

絹旗 「どうですか。初めての超直射日光は」

テスラ 「」マッタリ

白井 「これぐらいなら、ちょうど暖かいでしょうね」

アスカ 「」ウン


241 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:54:18.18 xV02JBgOo 47/132


ユリコ 「(・ω・ )」モシャモシャ

リック 「?」クンカクンカ

絹旗 「あ、ユリコ! 道草食べちゃ超ダメですよ!」

白井 「いつも絹旗さんの机にある草を食べていますが、さすがにそこいらの雑草は心配になりますの」

絹旗 「私の机にあるのは猫草ですからね、品質保証された超安全品です」

白井 「それにしても、なぜ草を?」

絹旗 「毛玉を吐き出す為とかですよ」

白井 「なるほど、体内の異物を除去するために」

絹旗 「なんていうんでしたっけ、その除去の効果とか」

白井 「デトックスですか?」

絹旗 「あ、それです。結標さんがいつもサラダ食べてるじゃないですか。きっと超似たようなものですよ」

白井 「猫草ならぬ人草ですのね」クスクス

絹旗 「草と言えば。天然モノの猫じゃらしがあるかと超期待したんですけど、ないんですよね」

白井 「時期ではないでしょう」

絹旗 「え? 時期があるんですか?」

白井 「狗尾草が生えるのは夏から秋ですもの」


242 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:55:42.17 xV02JBgOo 48/132


絹旗 「えー、そうだったんですか?」

白井 「その時期になれば、道端でも見かけますの」

絹旗 「そりゃ残念です……どんな反応してくれるか超見たかったんですけど」

白井 「それは今年の秋の楽しみにとっておきましょう」

 :
 :
 :

絹旗 「ここですよ、ここ」

白井 「あら、ここは……人通りが少ないんですのね。茂みも多いですし」

絹旗 「ええ、大きい通りからは超少し離れてますからね」

白井 「要チェックですの」

絹旗 「……風紀委員の巡回ルート入りですか」

ユリコ 「(・ω・ ) ) ) )」ポテポテ

リック 「」キョロキョロ

絹旗 「……あっ」

白井 「どうかされました?」

絹旗 「いや、あれって」トテテテ


243 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:56:52.92 xV02JBgOo 49/132


白井 「絹旗さん? 何が」

絹旗 「やっぱり……」

黒夜 「」スピー

白井 「……黒夜さん」ハァ

絹旗 「芝生だからって横になるなんて、超無防備ですね」

ユリコ 「(・ω・ )」クンカクンカ

白井 「起こしてさし上げたほうが」

絹旗 「じゃ、腕拉ぎ十字固めでも」

白井 「黒夜さん相手ですと腕がもげてしまいますの」

絹旗 「それもそうですね。じゃユリコお願いします」

ユリコ 「( ・ω・)ノ」

白井 「ユリコが人を起こす方法というと」

絹旗 「最近の超トレンドはあれですよね」

白井 「あれですの」

ユリコ 「(・ω・)」ドッシリ

黒夜 「モゴ……」

絹旗 「顔面香箱ですよね」


244 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 22:58:26.56 xV02JBgOo 50/132


黒夜 「……っ……!?」

絹旗 「これ、超割と本気で呼吸できないんですよ」

白井 「今は背中にリックを背負ってますから尚のことでしょうね」

黒夜 「ぷっは……な、なんだ!?」ガバッ

ユリコ 「(・ω・ )三三三」

絹旗 「あ、起きた」

黒夜 「き、絹旗ちゃん!? 今毛玉にくわれる夢みた!!」

絹旗白井 「「」」

黒夜 「なんか気持ちいいんだけど、最後には呼吸できなくなるんだよ……あー、嫌な汗かいた……」

白井 「ところで、なぜこんなところで横に」

黒夜 「天気がよかったから」

白井 「……え、それだけですの?」

絹旗 「昼休みに公園のベンチでまっ平らになってる研究者ですか」

黒夜 「理由としちゃ十分だろ?」ノビー

白井 「無防備もいいところです。寝込みを襲われたりなどしたら……」

絹旗 「黒夜を襲うなんて奴がいたら超天然記念物ですよ」

黒夜 「絹旗ちゃんに手を出す奴なんていたら世界遺産だけどな」


245 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 23:00:27.91 xV02JBgOo 51/132


絹旗 「あァ?」ゴゴゴゴ

黒夜 「なンだよ」ドドドド

白井 「はいはい、それまで。騒ぎは起こさないでくださいまし」

黒夜 「ハッ、今日はこれぐらいにしておいてやる」

絹旗 「次に会ったときがあなたの超命日ですよ」

白井 (典型的負けフラグ……)

黒夜 「で、こんなところで何やってんの?」

絹旗 「散歩、ですかね」

テスラ 「」ウン

黒夜 「あぁ、そいつらか」

アスカ 「」ジー

リック 「」ジー

黒夜 「……なんだよ。今日の私はマタタビじゃないぞ」

白井 「きっとマタタビの姐さんとして覚えてるのでは」

絹旗 「多分そうですね。あ、マタタビの人にゃーマタ夜にゃー、って感じで」

黒夜 「マタ夜って言うんじゃねぇよぉぉぉ!!」

テスラ 「」ピョン

黒夜 「あ、おい、なんだよ!」


246 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/05 23:02:05.41 xV02JBgOo 52/132


テスラ 「」ゴロン

黒夜 「えー……」

白井 「黒夜さんの膝がお気に召したようで」

絹旗 「じゃ私たちはそこのベンチにでも」

黒夜 「おい待て待て待て、私はどうするんだよ。草原に胡坐のままかよ!」

テスラ 「」スピー

絹旗 「気に入らないなら超どかせばいいじゃないですか」

白井 「寝てるのを邪魔することになりますが」

黒夜 「……え」

テスラ 「」スピー

黒夜 「……」

テスラ 「」ゴロゴロ

黒夜 「……」

テスラ 「」スピー

黒夜 「……私には、できない……!」ガクッ

絹旗 「イノセントな魅力の前には超無力ですよね。これでまた新たな犠牲者が一人」

白井 「そろそろ敗北の味を知りたいものですの」


278 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:24:41.79 Fyl16GpVo 53/132


絹旗 「あ、そうそう。これも渡しておきますんで」つ【ねこジャーキー】

黒夜 「はいはい」

白井 「ほら、アスカ。すこし歩いてみては」

アスカ 「」ピョン

ユリコ 「(-ω- )」ウトウト

絹旗 「ユリコはもう日干しモードですか」

白井 「日光にあたるのも久しいのでしょう。室内飼いですと、こういう機会も少ないですもの」

絹旗 「そうですね、今の内に超ゆっくりと」


<絹旗ちゃーん、これ味しないぞー!


絹旗 「あなたが食べてどうすんですかー!」

白井 「……」

絹旗 「まったく、猫夜は……どうしたんですか?」

白井 「いえ、以前に高級猫缶を"味がしない"と評していた方を思い出しまして」

絹旗 「……それ、誰でしたっけ。発言そのものは記憶に超あるんですけど」

白井 「あのシスターさんですの」

絹旗 「あぁ、はいはい。たしか三毛猫の飼い主さんでしたね」


280 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:26:14.61 Fyl16GpVo 54/132


白井 「あれからお会いする機会はございませんでしたが、今もご壮健だそうで」

絹旗 「へー、誰情報ですか?」

白井 「お姉様経由で」

絹旗 「御坂さん、まだ通い妻してるんですね」

白井 「かよい……づま……」

絹旗 「?」

白井 「」ヒュォォォォ

絹旗 (な、なんか超灰色のオーラが!?)

アスカ 「!?」ビクッ

絹旗 「あ、ほ、ほら! アスカが超びっくりしちゃってますよ!」

白井 「……はっ。ごめんなさい、そういうつもりではございませんでしたの」ナデナデ

アスカ 「?」

絹旗 (も、戻った……ここのところ、こんな白井さんは見てなかったので超ビビりました)

白井 「それにしても、テスラは黒夜さんのところでくつろいでますのね」

絹旗 「猫同士ですからね」


<誰が猫だーー!



281 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:27:40.27 Fyl16GpVo 55/132


絹旗 「猫耳つけてユーロビート踊ってたくせにー!」

白井 「なぜそのようなことに」


<マスターが悪いんだよぉぉ!!


絹旗 「動画ありますよ。ミサワさん提供の」

白井 「後ほど頂きますの」

絹旗 「まあ、超冗談はともかく。黒夜はなんか猫っぽいとこありますからね」

白井 「だから猫ともすぐに分かり合えるのかもしれませんね」


<マーオ
<マーーオ
<ギャフベロハギャベバブジョハバ


白井 「……ケンカ?」

絹旗 「何やってんですかー!」


<違う違う!ノラがちょっかい出してきた!


絹旗 「え……白井さん、ここはお願いします」トテテテ

白井 「了解ですの」


282 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:29:04.23 Fyl16GpVo 56/132


テスラ 「シャァァァァ!」

黒夜 「オマエな、私の影に隠れながら威嚇してどうすんだよ」

絹旗 「ノラってどれですか」

黒夜 「あいつ」

ノラ 「」ドッシリ

黒夜 「貫禄あるよな。なんかデカイし」

絹旗 「この風格、まさかこの界隈のボス猫では」

黒夜 「まさか嫁でも探してんのか? 時期も時期だからな」

絹旗 「そうだとすれば、うちの仔猫を渡すわけにはいきません!」

黒夜 「よーし、任せろ。私が追っ払ってやる」

絹旗 「超ストップ! 窒素爆槍は超やりすぎですよ!」

黒夜 「じゃどうすんだよ」

絹旗 「例えボス猫であっても、猫は猫です。ですから」

黒夜 「ですから?」

絹旗 「気を超そらせばいいんですよ」

黒夜 「?」

絹旗 「右でも左でもいいんで、どっちか引っこ抜いて超遠くに投げてください」


283 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:30:22.56 Fyl16GpVo 57/132


黒夜 「……腕のこと言ってんのか」

絹旗 「はい」

黒夜 「フザけンなァァァ!!」

ノラ 「」フゥー

絹旗 「超名案じゃないですか」

黒夜 「なんで私がそこまで! それに投げて追っかけるのはワンちゃんのお仕事だろ! こいつは猫だぞ!」

絹旗 「えー、でも黒夜の腕なら」

黒夜 「なんだよ」

絹旗 「ハムかなんかだと思って超追っかけるんじゃないですかね」

ノラ 「」ドスドス

黒夜 「誰がハムだ誰が!」ガオー

絹旗 「超ハムですよ! この服のそこかしこの編み上げのとことか!」

黒夜 「ぐぬぬ」

絹旗 「大体黒夜は……あれ? ボスどこいきました?」

黒夜 「……どっかいっちゃったな」

絹旗 「何しに来たんでしょうか」

黒夜 「縄張りの見回りじゃない?」


284 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:31:49.48 Fyl16GpVo 58/132


テスラ 「」シペシペ

黒夜 「オマエは暢気に毛づくろいかよ」

絹旗 「黒夜の腕の中が超お気に召したようで、リラックスしてますね」

黒夜 「……何様のつもりだ」ケッ

絹旗 「あ、ジャーキーまだあります?」トテトテ

黒夜 「もうない」トテトテ

絹旗 「全部食べちゃったんですか!?」

黒夜 「私がじゃないぞ!? さっきの親分がまとめ食いしてたんだよ!」

白井 「あら、お帰りなさい。大丈夫でした?」

絹旗 「ええ、超何事もなく」

黒夜 「ジャーキーは食われた」

白井 「考えてみれば、他のノラの方のテリトリーかもしれないという配慮は欠けておりましたわね」

絹旗 「まあ、ジャーキーが超みかじめ料だと思えばいいじゃないですか」

黒夜 「みかじめ料て……ノラに餌付けして味を占められてもしらねぇぞ」


  ~ф パタパタ


リック 「?」


285 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:33:04.56 Fyl16GpVo 59/132



      ~ф パタパタ


リック 「」ポテテテ

黒夜 「そういえば、話してなかったよな。私、学校に行ってみようかなと思ってて」

絹旗 「へー、日光ですか?」

黒夜 「日光?」

白井 「……お猿の学校と言いたいのでは」

黒夜 「」ゴゴゴゴゴ

絹旗 「謝りますから! 超謝りますからゼロ距離窒素爆槍はやめてください!」

黒夜 「まあ、この距離だと猫どもにも被害が及ぶからな」

白井 「わたくしたちと同じで、高校ですか?」

黒夜 「一応な。不登校児だったから名門みたいなところはあんまり望めなかったけど」

絹旗 「へー、どこのなんていう学校ですか」

黒夜 「絹旗ちゃんと同じとこだよ?」

絹旗白井 「「」」

黒夜 「いやー、今から楽しみだな!」ポンポン

絹旗 「……なんでぇぇぇぇぇ!?」

ユリコ 「?(・ω・三・ω・)?」キョロキョロ


286 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:34:38.38 Fyl16GpVo 60/132


 :
 :
 :

リック 「……オアン」


<あ、木の上に猫!
<震えてるね、怖いのかな。


打ち止め 「もしかして降りれなくなっちゃったのかも!?」

フレメア 「まあ、大体大変!」

滝壺 「ああやって降りれなくなった猫ってよく見るシチュエーションだけど、そもそもどうやって登る段階で怖くないのかな」

結標 「登るときは下を見ないもの。恐怖心だって薄いでしょう」

フレメア 「……あの猫、なんか見覚えあるかも」

滝壺 「真っ白だね。ユリコと同じ」

打ち止め 「そうだユリコの!」

フレメア 「私が名前考えた子!」

結標 「そういえば、名前つけてあげてたのよね。……じゃ、あの子があの時の?」

打ち止め 「お姉ちゃん、出番だよ」バッサバッサ

フレメア 「おろしてあげてー」バッサバッサ

結標 「分かった、分かったから人のスカートばさばさするのやめなさい!」


287 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:35:51.59 Fyl16GpVo 61/132


滝壺 「それ、モンローポーズだっけ?」

結標 「自然とこうなるわよ。人通りがなくて助かったわ……子猫ちゃん、そこ動かないでね」


  フッ


結標 「はい、救出」ポスン

リック 「???」

フレメア 「ねー、首輪になにか付いてる」

滝壺 「この発信器、すごく見覚えがある」ムムム

結標 「ネームプレートもついてるじゃない。"Rick"……裏には連絡先もあるわね」

打ち止め 「しばらく見ない内にこんなに大きくなってるなんて」

フレメア 「ねー、おいでおいでー。名付け親だよー」

リック 「ピー」

フレメア 「結標お姉ちゃん。こっちこっち」

結標 「いや……胸から剥がれないのよ、この子」

リック 「」ガッチリ

フレメア 「……なぜ?」


288 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:37:40.56 Fyl16GpVo 62/132


打ち止め 「ところで、リックだけなのかな?」

滝壺 「一匹だけ逃げたってことはないと思うから。きぬはたたちも近くにいるんじゃないかな」

結標 「どの道届けなきゃいけないし。探してみましょうか」

フレメア 「ねー、私じゃダメなのー?」

リック 「」ガッチリ

フレメア 「……げ、解せぬ。こうなったらドーナツで一本釣りを」つ◎

滝壺 「人間の食べ物はダメだよ」

結標 「それにしても、本当にユリコそっくりね」コショコショ

リック 「」フニャー

打ち止め 「同じ白猫だしね」

フレメア 「でもリックは男の子だよ?」

結標 「そうそう。3匹産まれて、この子だけ男の子だったのよね」

滝壺 「ちゃんと付いてるしね」

結標 「……滝壺さん、この場でそれはちょっと」

打ち止め 「付いてるって、何が?」

滝壺 「ふg」

結標 「はいはーい、さっさと絹旗さんたち探しましょ!」


289 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:38:52.76 Fyl16GpVo 63/132



~その頃 第7学区 隠れ家的喫茶店~


<カランカラン♪


番外個体 「ただーいまー」

トチトリ 「ああ、おかえり」

ショチトル 「おか……その袋、ドーナツの」

番外個体 「うん、おみやげ」つ◎

ショチトル 「食べる」キラキラ

トチトリ 「お前、さっき休憩中に有明ハーバーと東京ひよこ食べてただろうに」つ【エプロン】

番外個体 「あ、ありがと。もう休憩取ったのなら後でね」

ショチトル 「とっておいてくれよ、絶対だぞ」

番外個体 「にしたって、なんでそんなもんあるの?」

トチトリ 「マスターが不在の間に、ちょいちょい来る客が持ってきたんだ」

ショチトル 「ほら、あのガンタンクみたいなおじさん」

番外個体 「あぁ、あの人? なんでまた?」

ショチトル 「職場が春から変わるから、今までみたいには来れなくなるから挨拶にって」

番外個体 「……そっか、そういう時期か」


291 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:40:08.90 Fyl16GpVo 64/132


浜面 「出会いと別れの季節だよな」ウンウン

番外個体 「寂しくはあるね。あの人、先代の頃から来てくれてた人だから」

ショチトル 「マスター一人体制のときは、店員の真似事もしていたらしいな」

番外個体 「あー、そういう人多かったよ? カウンターで受け取って、自分で席まで持ってく感じ」

トチトリ 「男なんてな、女には弱いんだよ。つい手を貸してしまうもんだ。な?」

浜面 「そうそう。ましてや相手が綺麗な人なら率先して、っておい! 何言わすんだ!」

番外個体 「あーあー、こりゃ失言だな」ニヨニヨ

浜面 「誘導尋問だ! 卑怯者!」

ショチトル 「まあ、消えて失せた訳じゃないんだ。またいずれ来てくれるだろう」

番外個体 「それまでせいぜいツブれないようにしないとね」

トチトリ 「そうそう、マスター。この男がメニューにナポリタンを追加しろと私たちを恫喝して」

番外個体 「警備員呼んで引き取ってもらうかい?」

浜面 「待て待て待て待て! 恫喝はないぞ恫喝は!」

ショチトル 「なぜナポリタンなんだ。ミートソースの方がおいしいじゃないか」

トチトリ 「お前の好みの問題じゃないんだよ。誰が作ると思ってんだ」ミュニー

ショチトル 「お、おいっ、顔ひっはるな。いひゃいいひゃい」ジタバタ

番外個体 「ナポリタンねー……」


292 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:41:41.76 Fyl16GpVo 65/132


浜面 「ナポリタンがあったほうが古き良き純喫茶っぽいだろ? 大体前はあったじゃんか。俺食ったぞ」

番外個体 「先代の頃ね。私だけになってこりゃ手が足らんと思ってやめて、それっきりだね」

浜面 「たまに、俺が無性に食いたくなるだけなんだけどな」

トチトリ 「それこそ嫁にでもお願いすればいい」

ショチトル 「……あぁ、そうか、もう嫁か」シミジミ

浜面 「ま、ま、ま、まだ嫁ちゃうわ!」

ショチトル 「まあ、お客も店員も増えているのだし。メニューを増やすのも吝かではないのでは?」

番外個体 「じゃなんか考えてみて」

ショチトル 「……私が、か?」

トチトリ 「こういうのは言い出した人間が率先して行動して示してこそだぞ」ナデナデ

ショチトル 「撫でるな! なんだろうな……イチゴ大福?」

トチトリ 「誰が作るんだ、その職人芸を要求されそうな一品を」

ショチトル 「……クリームがたくさん乗ってるプリン」

番外個体 「コンビニにあったよね? それお皿に移せば」

浜面 「ダメだろ」

ショチトル 「あとは……たい焼き」

トチトリ 「それは専用の器具が必要だ。というかお前、さっきから自分の好物を並べてるだけじゃないか」


293 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:43:32.55 Fyl16GpVo 66/132


浜面 「お兄ちゃんから聞いてる通り、甘党なんだな」ウンウン

ショチトル 「あ、あの男……! そんなことを喋っていたのか!?」

番外個体 (大抵の人間は言われなくても見てりゃ分かるけどね)

トチトリ 「まあ、せっかく客のいないタイミングなんだ。試作してみるのもいいんじゃないか?」

ショチトル 「材料がないだろう」

番外個体 「スパゲッティならあるよ」

ショチトル 「なんで?」

番外個体 「私たち用。この間、安かったから買ってきちゃった」

トチトリ 「では一つ私が」

ショチトル 「……横で見てていいか?」

トチトリ 「見張りか? 私は毒を吐くことは間々あっても、食べ物に混ぜるなんてことしないぞ?」

ショチトル 「そっ、そうじゃない!」

番外個体 「作り方、覚えたいんでしょ?」

トチトリ 「そうかそうか。お兄ちゃんに食べさせたいんだな。愛い奴め」ニヨニヨ

ショチトル 「」プルプル

番外個体 「あ、ねえ。一応言っておくけどさ。絶対に、ぜーったいに、ケチャップとタバスコ間違えないでね」

浜面 「」


294 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:44:53.06 Fyl16GpVo 67/132


トチトリ 「心外だな、マスター。私がケチャップとタバスコを間違えるほどそそっかしいとでも?」

ショチトル 「ありえないだろうな。ケチャップとタバスコを間違える奴がいるなんて」

浜面 「……あの」

トチトリ 「よし、ではやってみようじゃないか」


<しまった。具が無い。
<サンドイッチ用のハムの余りなら。
<あ、昨日空けたツナ缶も少し余ってたな。入れちゃえ入れちゃえ。


浜面 (俺大丈夫!?)

 :
 :
 :

浜面 「予想に反して、おいしゅうござんした」

ショチトル 「予想に反してとはなんだ、無礼者!」プンスコ

浜面 「あんなやり取り見せられたら、タバスコナポリタンが出てくると思うだろ! むしろなんで出さなかったんだよ!?」プンスコ

番外個体 「んでも、美味しいけど……彩りっつうの? ピーマンとか入ってたほうがよかったんじゃ?」

トチトリ 「ないものはいれられないさ。でも、それほど時間はかからなかったな」

ショチトル 「スパゲティを茹でてる間に具を炒めてたな。あんな裏技があるなんて」

浜面 「器用だよな、二つのことを同時にやるんだもんな」


295 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:46:13.82 Fyl16GpVo 68/132


トチトリ 「いや、そんな大層なことはしてないが……」

浜面 「まあ、ともかく。ご馳走様でした」

ショチトル 「これ、料金は?」

番外個体 「前と同じでいいかなぁ。メニューに出すんならね」

トチトリ 「にしてもお前、見た目に似合わず細やかだな。空いた皿に手を合わせるとは」

浜面 「そりゃな、食べ物と作ってくれた人にちゃんと感謝をしてるんだろ」

ショチトル 「なるほど、いい心がけだな」

浜面 「こうやって、手のしわとしわを合わせて幸せってな」

番外個体 「指の節と節を合わせて不幸せ♪」

浜面 「もっと前向きになれよ!」



~しばらくして~


浜面 「うん、うまい」ズズ...

番外個体 「にしても、今日は一人なんだね?」

浜面 「フレメアが突然ドーナツ食いたいって言い出してな。滝壺が連れて行って、俺は一人だ」

番外個体 「お兄ちゃんは? 一緒にニャバクラでも行ってくればいいじゃん」


296 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/15 23:48:34.61 Fyl16GpVo 69/132


浜面 「そういや今日は見かけてないな。いつもなら適当に歩いてりゃエンカウントするのに」

トチトリ 「お前のお兄ちゃんは、はぐれメタルか何かなのか?」

ショチトル 「はぐれかもしれないが、メタルではない。今日は出るつもりはないそうだ」

番外個体 「キッチンの掃除?」

ショチトル 「よく分かったな……一日作業だと言っていたぞ」

番外個体 「淡希の料理スキル、次なるステップは"周りへの被害を最小限にする"だな」ケラケラ

トチトリ 「最小限っておかしいだろ。そもそも被害が発生するはずがないんだ」

ショチトル 「いや、本人に悪気はないんだ、悪気は」

トチトリ 「よく分からないが……そうだ、大男。お前、マスターに用事があったんじゃなかったのか?」

番外個体 「え? そうなの?」

浜面 「正確に言うと、姐さんと滝壺にな。ここ抜け出して一緒にいると思ったんだけど」

ショチトル 「どうしてその結論になるんだ。ここを放り出されても困る」

トチトリ 「ドーナツ買ってこないなら行くなとまで言ったんだよ、この小娘は」

番外個体 「で、用事ってなんだったの?」

浜面 「今日な、こんなのが届いたんだよ」ガサガサ

ショチトル 「採用通知?」

浜面 「……それは、まだなんだ」orz

322 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:36:28.78 8MnZS9hto 70/132


番外個体 「じゃ、なんなの?……あ、待って、言わないで。当ててみるから」

浜面 「よーし、受けて立とうじゃないの」

ショチトル 「果たし状?」

浜面 「怖いわ!」

トチトリ 「屈強な男からの熱い熱いラブレター?」

浜面 「なんで!?」

番外個体 「分かった。出廷命令」

浜面 「なんもしてねぇ!」

トチトリ 「分かったよ、降参だ。正解は?」

浜面 「ふふふ、見たいか。仕方ねえなぁ、そういう子猫ちゃんたちには」

番外個体 「なんかイラッときた。乾燥わかめを乾燥したままたくさん食べさせてやる」ガサガサ

浜面 「すいませんでした、調子に乗ってました」

ショチトル 「何をもったいぶっているんだ、さっきから」

浜面 「いや、ドラえもんのモノマネしつつ出そうと思ってな」

ショチトル (ハマえもん)

番外個体 「似てなかったら乾燥わかめ」

浜面 「それもういいから!」


323 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:37:45.05 8MnZS9hto 71/132


トチトリ 「」ヒュパッ

浜面 「あ」

トチトリ 「……封書か? 出そうとしていたのはこいつかい」フリフリ

浜面 「す、す、スリだー!」

ショチトル 「さっさとしないからだ」ハァ

番外個体 「これ……フレメア宛だけど」

浜面 「今日な、来たんだよ。中学校のご案内。入学式のことも書いてあるっぽいぞ」

番外個体 「あ、じゃうちにも来てるかな」

浜面 「で、な。これを見ようと思ってたんだが」

トチトリ 「ちょっと待て」

浜面 「なんじゃい」

トチトリ 「ここで開けるのか? 同居人とは言え、別人宛の郵便物を」

ショチトル 「それはまずいだろう……」

番外個体 「フレメアが怒ると思うけど」

浜面 「まあ……それもそうか」

トチトリ 「私たちまで共犯になってしまうしな」


324 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:39:18.58 8MnZS9hto 72/132


浜面 「それが本音か!」

番外個体 「中身が気になる気持ちも分かるけどね」

トチトリ 「それにしても、中々厚みと重みがあるな」

浜面 「いろいろ入ってるんじゃね? 教科書とかさ」

番外個体 「教科書が入ってるにしちゃ薄過ぎでしょ」

浜面 「ま、まあ、ともかく。こういうのがあったってことだ」

ショチトル 「マスターのところにも来てるんじゃないか」

番外個体 「多分ね。聞いてみよっか。ここお願いね」

トチトリ 「はいはい」

ショチトル 「思ったんだが、当人にここに来てもらうのが一番早いのでは?」

浜面 「そうだな。ちとメールでもしてみるか」


<あ、やっぱり来てた?勝手に開けないほうがいいよ、怒るから。


トチトリ 「マスター、ドアを開けっ放しでは奥に引っ込んだ意味がないだろ」

浜面 「電話の相手は一方通行と見た」

ショチトル 「まあ、他にいないだろうな」


325 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:41:03.95 8MnZS9hto 73/132


浜面 「お、返信がきたぜ」


差出人:俺の嫁
     <hamadu_love@comodo.ne.jp>
件名:RE:
日付:20yy/m/d 14:38
───────────────
みさわのところだよね。
こっちが落ち着いたら向かう。
待っててね。


トチトリ 「落ち着いたらって、いったい何してるんだ?」

浜面 「このメールからじゃ分からんな……」

ショチトル 「ドーナツでも食べているのだろう」

浜面 「こっちの姐さんは戻ってきてるのに? そりゃないだろう、ないない」

ショチトル (……なんかこの言われ方、悔しい)


<え?……そっか、暇ってか寂しい?……ふふ、夕方には帰るから……うん、私も。


トチトリ 「だから筒抜けなんだってば」

ショチトル 「つくづくよかったな、客が居ないタイミングで」

浜面 「さっきから気になってるんだけど、俺は客じゃねぇの?」


326 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:42:26.43 8MnZS9hto 74/132


番外個体 「はー……」ヤレヤレ

浜面 「よ、どうだったよ」

番外個体 「うん、なんか来てるって。能力使って走査したけど、危険物ではないとか」

ショチトル 「さすが白い人、用心深いな」

トチトリ 「ここまで持ってきちゃった御仁とは大違いだ」チラッ

浜面 「いいじゃねぇか、別に!」

番外個体 「で、そっちはどうだったの?」

浜面 「落ち着いたら来るってよ」

番外個体 「……落ち着いたら?」

ショチトル 「まだドーナツ屋さんか?」

番外個体 「私と一緒に出たから、それはないよ」

トチトリ 「なにか厄介事か?」

浜面 「そうであったらあんな普通のメール返してこねぇだろ」

ショチトル 「たしかに、メール本文から逼迫感は感じないな」

トチトリ 「とは言え、気になるっちゃ気になるな」

番外個体 「んー……ちょっとこっちからも連絡してみようか」

浜面 「お、小さい方の姐さん? そうか、一緒なのか」


327 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:43:38.93 8MnZS9hto 75/132



~その頃 第7学区 とある公園~


 [[携帯電話]]<ハジメテーノ チュウ♪


滝壺 「誰か電話?」

打ち止め 「電話だ。もーしもーし!」ピッ

フレメア 「ほら、おいで。おいでってばー」

リック 「」ガッチリ

結標 「貴方ね、女の子相手に爪を立てるのは感心しないわよ?」コショコショ

リック 「ピャー」

打ち止め 「うん、なんにもないけど? 今ね、子猫見つけたから絹旗探してる」

フレメア 「誰かな」

滝壺 「多分みさわ」

打ち止め 「え!? ホント!? 分かった、後で!!」ピッ

結標 「どうしたの?」

打ち止め 「今ね、浜面がお店に来てるんだって」

滝壺 「まさか、お金持ってないって? おかしいな、今週の活動費は渡した筈」ウムゥ


328 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:44:43.03 8MnZS9hto 76/132


打ち止め 「違くて! なんかね、中学のご案内っていうの持ってきたらしいよ、フレメア宛の」

フレメア 「なんだと。それは大体聞き捨てならない!」

結標 「なんで外に持ち出しちゃったのよ……大事なものでしょ? 万が一にもなくしたら面倒っぽいし」

滝壺 「きっと一刻も早くフレメアに見せたかったんだよ」

フレメア 「こうなったら早く絹旗を見つけるべき!」

結標 「そうね、そうしないとこの子も剥がれそうにないし」

リック 「」スリスリ

フレメア 「……ミサワお姉ちゃんのとこに行く前に、一回ぐらい抱っこを」ジー...

打ち止め 「私もー。テスラに会えるかな」

滝壺 「きっと一緒にいるよ」


<あ、おーい!


フレメア 「あ、クロちゃんだ」

打ち止め 「クロちゃんお久しー」

黒夜 「お久しー……ってそれどころじゃないんだ」

滝壺 「どうしたの?」


329 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:46:17.68 8MnZS9hto 77/132


黒夜 「この辺で猫みなかった? 真っ白の」

結標 「……この子?」

黒夜 「あ、いた。ほらー、帰るぞー。絹旗ちゃんと白井ちゃんも探してるぞー」グイー

リック 「ピャー」

結標 「ちょっ、痛い痛い! この子、爪立ててるから!」

滝壺 「ムリに剥がさないほうがよさそうだよ」

黒夜 「なんなんだよぉ……じゃ、申し訳ないけど一緒に来てもらえる?」

結標 「もともとそのつもりだったしね。他の人は?」

フレメア 「他の猫もいるんだよね?」グイグイ

打ち止め 「行こう! 早く行こう!」グイグイ

黒夜 「やめやめやめ! 抜ける! 腕抜けるから!」


  キュポンッ x2


フレ止め 「「あ」」

黒夜 「……だから言ったじゃんか」

フレメア 「ゴメンね、お詫びのドーナツ」つ◎

黒夜 「その前に腕返せよ!」ギャース


330 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:47:25.69 8MnZS9hto 78/132


 :
 :
 :

絹旗 「超困りました……まさか一番脱走しなさそうなリックがいなくなるとは」ガサガサ

白井 「申し訳ございません、目を離したばかりに……」

絹旗 「いや、それ言ったら全員同じですよ」

ユリコ 「(・ω・三・ω・)」

絹旗 「何かあったらどうすれば……」

白井 「……最悪のケースを考えるよりも、今できる最善を尽くしますの」

絹旗 「そうですね……とりあえず、この公園の中にいるのは超間違いないんですけど」カチカチ

白井 「黒夜さんは向こうを探しておられますから、わたくしたちは向こうを」

絹旗 「いや、待ってください」

白井 「はい?」

絹旗 「とりあえずどっちか一人は超見張ってたほうがいいと思うんですよ」

アスカ 「?」

テスラ 「」フンフン

白井 「……では、わたくしが。今度こそは先ほどのような失態は犯しませんの」


331 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:49:01.43 8MnZS9hto 79/132


絹旗 「超お願いします。汚名を挽回してください」

白井 「挽回はしませんが」


<残念だけど、その必要はなくなったわよ?


絹旗白井 「「!?」」

結標 「一足遅かったようね」クスクス

白井 「結標さん?」

絹旗 「……いや、あの、胸から猫ぶら下げながら悪役っぽくされても」

結標 「しょうがないじゃない。剥がれないのよ、この子」

リック 「」ガッチリ

黒夜 「力づくでもダメだった」

白井 「また貴方という子は」ハァ

絹旗 「とりあえず、前にやったみたいにしてもらいましょうか」

結標 「前にもあったの?」

白井 「そのときは婚后さん相手でしたが」

黒夜 「あー、だからか。私たちには見向きもしなかったのは」

絹旗 「なんか超悔しいです!」


332 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:50:37.12 8MnZS9hto 80/132


白井 「とりあえずユリコ、お願いしますの。…………ユリコ?」クルッ

打ち止め 「ユリコ、久しぶりー」モフモフモフモフ

フレメア 「モフモフだー」モフモフモフモフ

ユリコ 「(*-ω-)」ゴロンゴロン

白井 「……えっ? いつの間に」

滝壺 「きぬはた」

絹旗 「わあっ!?」ドテッ

滝壺 「そこまで驚かれると傷つく」

絹旗 「すすす、すいません! いきなりだったので、その、心の準備が」

黒夜 「だからって尻もちつくほどかよ。あー、ドーナツだけだと口の中が乾くな」モキュモキュ

結標 「……で、この子どうすればいいの?」

白井 「ユリコが呼びかければすぐに離れるのですが、そのユリコがあの有様で」

ユリコ 「」グテー

結標 「とりあえず、あの子たちの気が済むのを待ちましょうか」

滝壺 「ドーナツでも食べながら」ガサガサ

結標 「私はもういいわよ」


333 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:52:18.33 8MnZS9hto 81/132


テスラ 「ニーー」チョンチョン

黒夜 「なんだよ、やらないからな」

絹旗 「超違いますよ、それ。構ってほしいんですよ」

黒夜 「これ食べてからな」

白井 「すっかり気に入られてますのね」

絹旗 「それ多分あれですね」

テスラ 「」ヨジヨジ

絹旗 「黒夜の服が超登りやすいからですよ」

結標 「編み上げのところが多いから、爪引っ掛けやすいのね」

黒夜 「え、そんな理由なの!? 私がいい匂いするとか、そういうのじゃなく!?」

打ち止め 「……その子ってもしかして」ジー...

白井 「ええ、テスラですの。小さい大きいお姉様が名付け親となった」

打ち止め 「やっぱり! 背中の模様に見覚えがあったから!」

黒夜 「あ、気になるなら相手してやってよ」つ【テスラ】

打ち止め 「え? ちょ、えー!?」

テスラ 「」ジー...

打ち止め 「……あ、えっと、大きくなったね?」ヨシヨシ


334 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:53:48.48 8MnZS9hto 82/132


結標 「貴女も、あいつと同じで発電能力もちなのよね?」

打ち止め 「そうだよ、LEVEL3!」フンス

結標 「逃げないのね、その子」

白井 「お姉様と同じで、微弱な電磁波は発していると思うのですが」

絹旗 「そこはまあ、ユリコの子ですし」フンス

ユリコ 「( ・ω・)=3」プンス

結標 「……あら? ウソ、寝ちゃった」

フレメア 「え? リック寝ちゃったの?」

結標 「ううん、こっち」

滝壺 「」スピー

黒夜 「いくら陽射しが気持ちいいってもよ、よく外で寝れるもんだ」

絹旗 「黒夜だってさっきまで超爆睡してたじゃないですか」

白井 「とりあえずユリコ。改めてお願いしますの」

ユリコ 「( ・ω・)ノ」

黒夜 「何すんの?」

絹旗 「母親の一喝ですかね」


335 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:56:05.20 8MnZS9hto 83/132


ユリコ 「(・ω・)」オアーン

リック 「」ピョン

打ち止め 「おー、離れた」

絹旗 「前にも婚后さんが超捕まったんですけどね。リックのこれは、ユリコが呼びかける以外の対処法が見つかってないんです」

結標 「貴方、まだ乳離れできてないの?」ツンツン

リック 「ピャー」

フレメア 「つーかまーえた」ダッコ

リック 「Σ」

黒夜 「乳離れね……ちょっと思ったんだけどさ」

白井 「なんですか?」

黒夜 「猫にも親離れ子離れってあんのかな」

絹旗 「……どうでしょうね。ユリコは子離れできてるっぽいですけど」

白井 「それは絹旗さんが仔猫に構いすぎるからユリコが手を引いてしまったのでは」

絹旗 「そ、それ言ったら白井さんだって同じじゃないですか!」

アスカ 「」ゴロゴロ

黒夜 「……ホントそうみたいだな」

白井 「わたくしは来る者を拒みませんもの」


336 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/10/22 23:58:00.30 8MnZS9hto 84/132


黒夜 「居場所の取り合いとかないの?」

結標 「縄張り争いとか? それって、親子姉妹でもするの?」

絹旗 「餌の取り合いなら超たまにやってますよ」

黒夜 「それ、まずくねぇの? 力関係とか変な形でついちゃうんじゃ」

白井 「餌の置き場を離したり、時間をずらしたりしましたが、さっぱり……」

絹旗 「私たちが超自由にできるのなんて、所詮一部屋ですから……」

フレメア 「じゃ、食べれない子がいるってこと?」ガッチリ

リック 「」ソワソワ

白井 「なんにも食べれないってことはございませんが、差がどうにも」

打ち止め 「なんか可愛そう」ヨシヨシ

テスラ 「」ファーァ

白井 「……絹旗さん。もしかしたらこの子たちも」

絹旗 「そうですね……決めるなら、超今の内かもしれないです」

結標 「決めるって、何を」

滝壺 「」スピー

絹旗 「色々加味して超考えると、テスラとリックにも里親を選んでもらうべきなのかもしれません」


455 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:16:46.05 TTIMkohno 85/132


結標 「里親ね……でもそれって」

白井 「問題でも?」

結標 「余程信用できる人じゃないとダメでしょ?」

絹旗 「超当然ですね。ぞんざいに扱われても困りますから」

フレメア 「だったら私が!」ハイ

打ち止め 「いや私が!」ハイ

黒夜 「いやいや、私が!」ハイ

フレ止め 「「えー」」

黒夜 「そこは"どうぞどうぞ"だろ!?」

絹旗 「続けていいですか」

白井 「絹旗さん、よろしいのですか?」

絹旗 「直前まで超迷いましたけど……でも、この子たちにとって何が最良かって考えると」

結標 「難しいところね。何を一番優先させるべきなのかしら」

白井 「それは……この子たちは、基本的に人好きですから、常に誰かいる環境だとか」

絹旗 「それなんですよ。春からは、これまでみたいに寮監とか他の寮生みたいに構ってくれる人がいないんです」

打ち止め 「そっか。絹旗も引っ越しちゃうんだ」

黒夜 「そりゃ常盤台の寮みたいにはいかなくなるだろうよ」


456 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:17:58.99 TTIMkohno 86/132


絹旗 「そこでですね、そちらの3家族+アルファなら家に誰かしらいるだろうと」

結標 「え、ちょっと待って。里親候補って私たち?」

黒夜 「アルファって私でいいんだよな? あの駆動鎧オタじゃないよな?」

白井 「たしかに、見ず知らずの人なり募集するよりは安心ですわね」

絹旗 「どうでしょう」

フレ止め 「「是非」」ハイ

結標 「待ちなさい。大事なことだから、結論を急いじゃダメ」

黒夜 「まあ、決めたからって今日このまま連れて帰れってことじゃないんだろ?」

白井 「さすがにそこまで急ではございませんの。準備等ございますし」

絹旗 「持ち帰って超検討、とかあるでしょうし」

打ち止め 「じゃあ、今日はどの家に子になるかを決めるまでってこと?」

結標 「それが妥当でしょうね。とにかく一番接するであろう人にも意見聞きたいし」

フレメア 「でもどうやって決めるの? 投票?」

黒夜 「投票って、猫に投票させんの?」

絹旗 「あー、ある意味じゃ超投票かもしれないです。有効票は一票のみの」

白井 「ということは、この子のときと同じ方法ですのね?」ポム

アスカ 「♪」スリスリ


457 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:18:54.13 TTIMkohno 87/132


結標 「どうやったの?」

絹旗 「誰と一緒がいいですかって聞いて、選ばれたのが白井さんだったので」

黒夜 「なるほどね、本人が決めたことなら誰も口出しできないか」

打ち止め 「本人じゃなくて本猫?」

白井 「ご本猫ですわね」クスクス

結標 「ね、その前に。ちょっと思ったんだけど」

白井 「どうしました?」

結標 「なんだっけ、この白い子」

リック 「」ジー...

フレメア 「リックだよ、リック」

結標 「この子は、ユリコと一緒の方がいいんじゃないかしら」

打ち止め 「え? どうして?」

結標 「さっき見てたでしょ? 剥がれなくなるところ。……今だって狙ってる顔よ、これ」

リック 「」ジー...

白井 「誰に似たのか」ハァ

黒夜 「絹旗ちゃんでしょ?」

絹旗 「なんでですか!」


458 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:20:08.75 TTIMkohno 88/132


結標 「絹旗さんも言ってた通り、ユリコが声かけるしか剥がす方法ないみたいだし」

黒夜 「そういえば、二人の家にも目をつけられそうな人がいたよな」チラッ

フレメア 「……た、試してみないと分からないよ!」

白井 「試すって……まさか」

フレメア 「ほらリック、滝壺お姉ちゃんだよ」

リック 「」スンスン

ユリコ 「(・ω・ )」

リック 「」ガシッ

フレメア 「あ゛」

滝壺 「え? なになに?」

打ち止め 「起こしちゃった」

絹旗 「やっぱりこうなりましたか」

フレメア 「むー、私には見向きもしないのに」

結標 「今はそうかもしれないけど、貴女たちだってあと2~3年もすれば」

フレメア 「すれば?」

結標 「この子の目に止まるぐらいの大きさになるかもしれないのよ?」コショコショ

リック 「」ヤーン


459 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:21:30.69 TTIMkohno 89/132


滝壺 「あれ、この子どうしたの? 抱っこ?」

打ち止め 「……た、たしかにそれは」

フレメア 「大体ちょっと困るかもにゃあ」

絹旗 「いやー、コミサワさんはともかくフレメアはモゴ」

白井 (夢を潰すようなことは言わなくてよろしいですの)ヒソヒソ

打ち止め 「え? コミサワ?」

滝壺 「小さい方のみさわだからかな?」ナデナデ

リック 「」フニャー

結標 「先に知り合った方を基準に考えちゃうものなのよ、こういうのって」

打ち止め 「り、理不尽……」

絹旗 「黒夜が一部の人から"窒素の黒い方"って呼ばれるのと同じですよ。この場合は私の超下位互換って意味ですけど」

黒夜 「下位でもねぇし互換性もねぇよ!」

フレメア 「で、それでそれで。リックはどうする?」

結標 「やっぱりユリコと一緒がいいんじゃないかしら。絹旗さんなら剥がれなくなる心配ないでしょ?」

絹旗 「どういう意味ですか!」ムキー

黒夜 「そりゃそういう意味だろ」ケラケラ

滝壺 「もう高校生になるんだし、成長する歳でもないかも」


460 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:22:59.84 TTIMkohno 90/132


絹旗 「ちょ、超大丈夫ですよ! 私は白井さんとは違うんです!」

白井 「なぜそこでわたくしを引き合いに出すのですか!」プンスコ

黒夜 「二人とももう今のが最終形態だろ、諦めろよ」

絹旗 「私はまだ変身を残してます!」

滝壺 「むすじめと同じだ。この子とれないね」グイー

リック 「」ガッチリ

ユリコ 「(・ω・)」オミャー

リック 「」ポテッ

滝壺 「あ、落ちた」

打ち止め 「やっぱりユリコじゃないと剥がせないんだね」

フレメア 「むむ……じゃあ、絹旗」

絹旗 「?」

フレメア 「ちょくちょく会いに行ってもいい?」

絹旗 「いいですよ。今みたいに入るのが超面倒ってこともなくなりますし」

打ち止め 「もしかして合鍵とかくれる?」

フレメア 「お、それは大体いいアイデア」

絹旗 「あげませんよ!?」


461 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:24:23.42 TTIMkohno 91/132


結標 「さすがにそこまではね、求めすぎよ」

滝壺 「ねえ、あれじゃだめかな」

白井 「あれと申しますと?」

滝壺 「きぬはた、前にWebカメラみたいなのつけたって話してなかった?」

絹旗 「そういうのも使ってましたね。私の携帯からだけ見れるようにして」

黒夜 「それを使って広くリアルタイム配信だな」

絹旗 「私のプライベートまで超リアルタイム配信されちゃいますよね」

結標 「それはそれで見たがる人がいるかもね」クスクス

白井 「……いえ、あの、それはやめたほうが」

滝壺 「そうだよね。きぬはたにも一人で空間とにらめっこする時間が必要だよね」

フレメア (滝壺お姉ちゃん以外にもあれやる人いるんだ)

白井 「そうではなく。絹旗さんの私生活など見られては嫁の貰い手が」

滝壺結標 「「あー……」」

打ち止め 「そんなにひどいの?」

絹旗 「超ひどい要素なんてどこにもないですよ。ないですよね?」

滝壺 「ない……のかな」

結標 「常盤台の寮監さんの教育が入ったなら……」


462 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:26:03.64 TTIMkohno 92/132


絹旗 「なんですか、その玉虫色の反応は」

打ち止め 「ねえ、絹旗。そんなことより、テスラも決めてあげないと」

絹旗 「そんなことて……」

白井 「テスラがお世話になるお宅はきっと大変ですの」

滝壺 「なんで?」

白井 「3匹の中で一番元気が良いですから」

絹旗 「部屋に悪戯の痕跡があったら、犯人は大体こいつです」

結標 「悪戯じゃなくて、本猫は遊んでるだけなんでしょ?」

白井 「そうなのでしょうけども」

打ち止め 「キミ、暴れん坊なんだね」ツンツン

テスラ 「」ソワソワ

フレメア 「例えば、どんなことするの?」

絹旗 「ティッシュを全部抜いた挙句、残った空き箱に入るだとか」

白井 「カーテンでフリークライミングしたこともございますの」

絹旗 「あと、耳かきのまふもふを齧って超ダメにしちゃったりも」

滝壺 「この子を純和室に放牧したら、どうなるのかな」

結標 「障子とかふすまとかの部屋?……きっと目も当てられないわね」


463 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:27:08.84 TTIMkohno 93/132


白井 「楽しいことを探している猫からすれば、夢のような部屋でしょうね」

フレメア 「探してるんだ」フム

絹旗 「最近の超マイブームは黒夜みたいですね」

黒夜 「なんで!?」

打ち止め 「さっき登ったり降りたりして遊んでたよね」

フレメア 「今もクロちゃん見てるよ」

テスラ 「」キラキラ

打ち止め 「……もしかしてこれって決まっちゃったかも?」

フレメア 「大体、これはもう内定かも?」

打ち止め 「りっ、立候補すらしてない!」ガボーン

黒夜 「……待って待って。本当に私なのか?」

滝壺 「聞いてみればいいと思うよ」

結標 「誰を選ぶか、って話だものね」

白井「小さい大きいお姉様、すみませんがテスラを一度」

打ち止め 「うん、降ろせばいいんだよね」

結標 「そういえば、平気な顔してずっと抱っこされてたけど電磁波なんともないの?」

絹旗 「超多分ですけど、親に似たんでしょうね」

ユリコ 「ノシ・ω・)ノシ」


464 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:28:39.06 TTIMkohno 94/132


白井 「ユリコも、大きいお姉様とは普通に触れ合ってましたものね」

黒夜 「前から思ってんだけど、本当に猫なの? お前」

ユリコ 「( ・ω・)=3」フンス

滝壺 「それに関しての議論はやりつくした」ウン

フレメア 「結論は?」

滝壺 「まごうことなきねこ」

絹旗 「じゃ、テスラ。誰と一緒がって、あれ?」

テスラ 「」ポテポテ

結標 「決断早いのね。みんなそうなの?」

白井 「アスカのときは、数瞬考えるような顔はしてましたが」

フレメア 「今のテスラってまさに (*゚∀゚*) ←こんな顔だね」

滝壺 「なんだろう、今まさに目の前にある楽しみのためって感じがする」

打ち止め 「刹那主義なんだね」

黒夜 「……で、こうなるワケか」

テスラ 「♪」ヨジヨジ

絹旗 「なんかすっごい超敗北感です」

白井 「ずっと一緒にいた身としてはそう感じるのも仕方ございませんの」

黒夜 「ちょっと待って、本当どうすればいいのこれ」


465 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:29:58.46 TTIMkohno 95/132


打ち止め 「とりあえず定期訪問するから家の場所教えて」

黒夜 「気が早すぎんだろ!?」

フレメア 「あと合鍵」

黒夜 「やらねぇよ!?」

結標 「カメラつけてライブ配信もよね?」

黒夜 「ゴメンなさい、私が悪かったです」

絹旗 「とりあえず、黒夜のこと超気に入ってるみたいなんですけど。黒夜はどうします?」

黒夜 「……さすがにこの場で持ち帰れってのはムリだぞ」

滝壺 「あくまでドラフト一位だから」

結標 「交渉権獲得、ね」

白井 「持ち帰って検討、もあるでしょうし。決まったにしても用意するものも多々ございますし」

打ち止め 「……ねえ、クロちゃん」

フレメア 「気付いてない?」

黒夜 「?」

打ち止め 「さっきからクロちゃんの髪、はむはむしてるよ」

フレメア 「そこの、脱色してるところ。もみあげ」

テスラ 「」ハムハム

黒夜 「ちょ、なにやってんだお前! あともみあげじゃねぇ!」


466 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:31:03.74 TTIMkohno 96/132


絹旗 「なんてもの食べさせてるんですか! 超人でなし!」

黒夜 「私が悪いのかよ!?」

打ち止め 「もみあげだけ染めれば、ああいう風に寄ってきてくれるのかな?」ワシャワシャ

フレメア 「あれは……大体変だからやめたほうがいいと思う」モフモフ

リック 「」ゴロンゴロン

滝壺 「ユリコ、おいで」

ユリコ 「(・ω・ ) ) )」

結標 「見ない間に一回り大きくなったわね」

滝壺 「なんだか触るの久しぶりだね。前は毎日のようにスキンシップしてたのに」モフモフ

ユリコ 「(*・ω・*)」

結標 「産まれたときも思ったけど、ユリコが母親になるなんて」

白井 「次はどなたの番でしょうね?」

結標滝壺 「「」」

ユリコ 「(・ω・)?」

滝壺 「誰だろうね」

結標 「……私じゃないわよ」

 :
 :
 :


467 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:32:09.36 TTIMkohno 97/132


黒夜 「じゃ、まあとりあえず帰ってから考えてみる。でも絹旗ちゃんはいいの?」

絹旗 「何がですか」

黒夜 「こいつ、一番懐いてたんだろ?」

テスラ 「」ウトウト

絹旗 「寂しくはありますよ、そりゃ」

黒夜 「だったら」

絹旗 「でも、超悔しく超遺憾で超意外なことにキャットタワー……じゃなかった。黒夜を気に入ってるみたいですし」

黒夜 「誰がキャットタワーだ、誰が」

フレメア 「あと一匹……アスカは、白井お姉ちゃん?」

白井 「ええ」

アスカ 「ミィ」

打ち止め 「ずっと肩に乗ってるよね。お気に入りなのかな?」

白井 「このようなことをしたのは今日が初めてですが……初めての外で緊張していてるのかもしれませんね」

絹旗 「じゃあ、私たちはそろそろ帰ります?」

滝壺 「あ、帰っちゃう?」モフンモフン


468 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:33:29.66 TTIMkohno 98/132


結標 「すごい皮伸びるわね。急激なダイエットでもしたの?」ミュニー

ユリコ 「(-ω- )」マッタリ

フレメア 「リックまたね、会いに行くからね」コショコショ

打ち止め 「絹旗がなんかしたら思いっきり切り裂いていいからね」ムニムニ

リック 「」ウワー

絹旗 「いくらなんでもそんなポケモンみたいなことできませんよ」

白井 「みなさんはこの後は?」

滝壺 「はまづらのところに。さっき連絡あったし」

フレ止め 「「!」」

黒夜 「なんか思い出しました、って顔してるけど」

結標 「なんかね、フレメアに入学のご案内っていうのが来てるんだって」

絹旗 「じゃ、これから滝壺さんのおうちですか」

滝壺 「ううん、みさわのところ」

白井 「……え? 外に持ち出してきてしまったのですか?」

結標 「やっぱそう思うわよね」

黒夜 (そういえば私はどこやったっけな、書類系)

フレメア 「だからね、浜面が破いたり汚したりする前に行かなきゃ」

打ち止め 「結標お姉ちゃんがいればサッと行けるから大丈夫だよ!」


469 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:34:49.77 TTIMkohno 99/132


結標 「普通に歩きましょうよ。大した距離じゃないんだから」

絹旗 「私たちも行きますよー」

ユリコ 「( ( ( ( ・ω・)」ポテテテ

リック 「」ヒシッ

フレメア 「あ、すごい!」

打ち止め 「背中にリックが!」

滝壺 「まさに鏡餅」

結標 「あの、抱き込む力ってこうやって鍛えたのかしら」

滝壺 「意外と力強かったよね」

テスラ 「ピー」チョンチョン

絹旗 「はいはい、分かりました」ヒョイ

テスラ 「♪」ピョン

白井 「やはり、絹旗さんの頭上もお気に入りなのですね」クスクス

黒夜 「軽い頭のほうが乗り心地がいいんだろ」

絹旗 「あァ?」

黒夜 「なンだよ」

結標 「やめなさいっての」


470 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2012/12/11 23:36:14.70 TTIMkohno 100/132


白井 「ではみなさん、またその内に」ペコリ

アスカ 「」ワタワタ

打ち止め 「落ちちゃう落ちちゃう!」

絹旗 「では今日はこれにて」

滝壺 「気をつけてね」


<あれ?ユリコ?
<あ、あちらに……
<だから道草食べちゃダメですってばー!


結標 「私たちも行きましょうか」

黒夜 「」ノビー

フレメア 「クロちゃんはどうするの?」

黒夜 「暇なんで、一緒にいっていい?」

滝壺 「うん、行こう」

打ち止め 「行ったら浜面がお皿洗いとかしてたりして」

結標 「いくらなんでも、ないでしょ」クスクス

フレメア 「でも、前にお皿洗ったことあるって聞いたことあるような」

滝壺 「……なんでだろう。みさわに迷惑かけちゃったのかな」

黒夜 「行って聞いてみりゃ分かるだろ」


681 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/06 23:59:25.10 ec86WRBHo 101/132



~同日 第7学区 隠れ家的喫茶店~


浜面 「ちょっと思うんだけどさ」

番外個体 「なーに」

浜面 「大きい方の店員さんはあれでいいのか?」


<ご注文の品だ。ゆっくりしていくといい。


ショチトル 「ちょっと気を抜くと素を出すんだ、あの女は」

番外個体 「逆にあれぐらいの態度がいいって人も少なからずいるんだよね」

浜面 「あ、なんか分かる気がするな 」

ショチトル 「上から目線ぐらいがいい、ということなのか? よく分からないな」フキフキ

番外個体 「じゃ今度から浜面さんのことは汚物かなんかを見るような目で」

浜面 「きっと心が折れちゃうからやめて!」

番外個体 「実際慣れてたりしない?」

浜面 「……確かに慣れてるかもな。改めて認識すると悲しい現実だ」クゥ


682 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:00:12.47 A2sA9aG2o 102/132


トチトリ 「喜べ。それだけお前を傍で見てくれる輩が多かったということだ」ポンポン

浜面 「せめて優しい目で見てくれませんかね。滝壺みたいにさ」

トチトリ 「ほら。洗い物追加」ガシャ

ショチトル 「これで交代だからな。……そういえば、白い人にはいつも睨まれているようだな」

浜面 「彼奴は俺だけじゃなくて森羅万象に対してそういう目つきだ」
\
番外個体 「あの人にも悪気はないんだけどねー」ケラケラ

浜面 「超能力者ってのは顔が怖くなるもんなのか? 麦野もたいがいだしな」

ショチトル 「えっ?」

番外個体 「あー。しずりんも普段はともかく怒ったら怖いね。……あれ、知ってたっけ?」

ショチトル 「病院で世話になったことならあるから……私は綺麗な人だと思って見ていたが」

浜面 「綺麗なのは認めるよ、うん。でも中身はアマゾネスだからな」


<カランカラン♪


番外個体 「あ、しずりん」

浜面 「」ブーッ


683 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:01:08.61 A2sA9aG2o 103/132


ショチトル 「わっ!?」

トチトリ 「……会計を終えた客が帰っただけだよ。なぜそんな驚く?」チャリチャリ

ショチトル 「おっ……思わず持っていた皿を盾にしちゃったじゃないか!」

浜面 「す、すいません! いや、俺が悪いのか!?」

ショチトル 「……拭いて」

浜面 「洗うんだろ?」

ショチトル 「洗ったんだよ! ピッカピカに!」


<誰かー。


番外個体 「はいはーい、ただいまー」コツコツ

浜面 「だからって拭いただけじゃダメでしょうが」

ショチトル 「もちろんちゃんと洗い直すけど、人の毒霧を触るのはやだ」

浜面 「毒霧かい! 分かったよ、拭けばいいんだな」

番外個体 「グラス一個ちょうだい」

ショチトル 「あぁ、はい」つ【グラス】


684 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:01:56.66 A2sA9aG2o 104/132


浜面 「よーし、鏡か! ってぐらいにピカピカにしてやるからな。見てろよ」ゴシゴシ


<カランカラン♪


フレメア 「お邪魔♪」

打ち止め 「しまーす♪」

トチトリ 「おや、いらっしゃい。あそこのテーブルへどうぞ」

フレメア 「お、大体窓際」トテテテ

打ち止め 「特等席きた!」トテテテ

浜面 「おー、来た来た」フキフキ

滝壺 「あれ? はまづら、お皿洗い?」

浜面 「あぁ、綺麗にしろってよ」

黒夜 「なんだなんだ、無銭飲食?」

番外個体 「え、マジ? じゃついでに床でも」

浜面 「お、お金ならあるぞ! なんならジャンプしてやろうか!」

トチトリ 「コーヒー牛乳とミルクティーだそうだが、牛乳多めでいいんだよな?」

ショチトル 「砂糖もな」


685 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:03:11.51 A2sA9aG2o 105/132


番外個体 「なんか買ってきたの?」

結標 「ん? スチールウール」

番外個体 「今日の晩ごはん?」

結標 「違うわよ、バカ!」

トチトリ 「なんだ? お前の家では夕餉にスチールウールのトマト煮でも出すのか?」

ショチトル 「スチールウールって、これだろう? トマトと煮込んだところで食べられないだろう、これは」モジャモジャ

滝壺 「いくらむすじめでも、スチールウールは調理できない」

黒夜 「そう聞くとなんか大料理人みたいに聞こえるな」

番外個体 「実際はそんなでもないのにね」ケラケラ

結標 「黙りなさい!」ペシッ

黒夜 「でもなんでスチールウール?」

結標 「スチールウール、ダメにしちゃったから買って来てって。連絡があったのよ」

滝壺 「お兄ちゃんから? なんでダメにしちゃったんだろ」

結標 「今日はキッチンの掃除するって言ってたから、使ったんじゃない?」

番外個体 (スチールウールがダメになるような状態、ってこと?)


686 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:04:24.82 A2sA9aG2o 106/132



<ねー、浜面ー。
<あれ見せて、あれー。


浜面 「あれってなんだ?」

番外個体 「それでしょ? 後生大事そうに抱えてるその封筒」

黒夜 「お、これが噂の」

浜面 「あぁ、そうかそうか。思えば、こいつのために合流したんだったな」

結標 「ホントに持ってきてたのね……」

滝壺 「はまづら、気持ちはわかるけど、それ大事なものだから」

浜面 「はい、すいません。軽率でした」ペコペコ

トチトリ 「あ、あの二人のご注文の品が出来たからついでに」

浜面 「それはお姉さんの仕事でしょぉ!? ほら、皿も拭いたぞ、どうだ!」つ○

ショチトル 「……まあ、いいだろう。どうせ洗うんだし」

滝壺 「なんかごめんね、何があったか分からないけど」

ショチトル 「貴女が気にすることではない」

番外個体 「あ、そういえば」

滝壺 「?」


687 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:05:28.44 A2sA9aG2o 107/132


番外個体 「落ち着いたら向かうってメールになかった? なんかあったの?」

結標 「そういうことになってたの? それね」

滝壺 「むすじめが男の子に捕まって、離してもらえなかった」

結標 「」

黒夜 「……あぁ、ま、おおむねそんな感じだよな」ウンウン

ショチトル 「(゚ロ゚)」

結標 「合ってるけど違うから。貴女もそんな顔しないで」

番外個体 「あわ」

結標 「貴女は喋らなくていい! 何言われるか大体わかるから!」

黒夜 「紅茶一つで」

番外個体 「はいはい」

ショチトル 「どういうことなの……?」

結標 「猫よ、猫の話なの!」

滝壺 「うん、実を言うと仔猫」

ショチトル 「……ず、ずるい!」

結標 (どっちにしろ怒られるのね……)


688 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:06:31.56 A2sA9aG2o 108/132


フレメア 「」アチー

打ち止め 「急いで飲むから」フーフー

トチトリ (次からは少しぬるくした方がいいか)

トチトリ 「んではごゆっくり」コツコツ

浜面 「よーし、じゃ開封するぞー」

フレメア 「私が!」

浜面 「フレメア宛だし、そのほうがいいか」ハイ

打ち止め 「これ、私のも同じのが入ってるんだよね?」

浜面 「多分そうだと思うが」

打ち止め 「入学を認めません、とか入ってたら」gkbr

フレメア 「だ、大体大丈夫だと思うよ!」

浜面 「試験とかやった訳じゃないしな! あくまでお知らせであって、合否通知とかじゃないだろ!」

フレメア 「大体、認めませんって書いてあったら、それはきっと浜面宛!」

浜面 「やかましいわ!」

打ち止め 「……うん、だったら大丈夫かな?」

フレメア 「これ……開けにくい」


689 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:07:48.87 A2sA9aG2o 109/132


浜面 「結構がっちり閉じられてんな。手じゃ厳しいだろ」

打ち止め 「カウンターのところにハサミあったはずだよ?」

浜面 「すいませーん、ハサミ貸してもらって」


  コトンッ


フレメア 「おっ」

打ち止め 「目の前にハサミが」

浜面 「……あ、結標の姐さんが飛ばしたのか。何が起こったのかと」

フレメア 「じゃ、開けるよ!」シャキンッ

浜面 「指切るなよ」

フレメア 「大丈夫♪」ジョキジョキジョキジョキ

打ち止め 「色々入ってそうだね」

フレメア 「うん、大体束って感じ」ガサガサ


  ポトッ


打ち止め 「? なにか落ちたよ」


691 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:08:59.41 A2sA9aG2o 110/132


浜面 「おい、なくすなよ」

フレメア 「なにこれ?」

打ち止め 「リボン?」

フレメア 「……何用?」

打ち止め 「……さあ?」

浜面 「そりゃアレだろ。ご入学おめでとうございます的な」

フレメア 「じゃあ、この漢字ってそういう意味?」

浜面 「あ、なんか書いてあんの? 見せてみ」

打ち止め 「なんて書いてある?」

浜面 「あー、なになに? "ご来賓"?」

トチトリ 「お客様用、ということだな」コトッ

浜面 「クッキー? 頼んでないぞ。ぼったくる気か?」

トチトリ 「無礼だな。飲み物を頼んだ客へのオマケだ」

フレメア 「」サクサク

打ち止め 「」サクサク


692 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:10:05.92 A2sA9aG2o 111/132


浜面 「で、なんだ。ご来賓リボンだったな。なんかメモとか入ってないか?」

フレメア 「んー」ガサガサ

打ち止め 「浜面、これは?」ピラッ

浜面 「"当日の持ち物"? これはお前たちが読んどけ」

フレメア 「これ?」カサッ

浜面 「あー、"教材のご購入について"か。これは後で滝壺に渡すやつだな」

打ち止め 「じゃ、これかな」パラッ

浜面 「"駐車場のご案内"。悔しいが俺たちには関係ないな」

フレメア 「これなんかいっぱい書いてそう」

浜面 「お前これ学校のパンフレットじゃねぇか」

フレメア 「もうないよ?」

打ち止め 「待って、小さいのが一枚だけ入ってた!」

浜面 「お、どれどれ。"保護者およびご同伴者の方へ"……お、これはもしや!」

フレメア 「あたり?」

打ち止め 「かも?」


693 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:11:27.01 A2sA9aG2o 112/132


浜面 「"当日、新入生にご同伴される方は、同梱のリボンを"」



<これだぁぁぁぁ!!


番外個体 「盛り上がってるじゃん」

結標 「滝壺さん、見とかなくていいの?」

滝壺 「私は後でゆっくり」クピクピ

黒夜 「……中学校かー」

番外個体 「クロちゃん、行ってないんだっけ?」

黒夜 「そうだよ。どうせ私は人生で最も貴重な十代をムダに過ごし」

結標 「貴女の十代はまだ半分近く残ってるでしょうが」ピコッ

黒夜 「いて」

滝壺 「私たちの十代なんてもう」シミジミ

番外個体 「生まれて自我を持ったとき、既にこの状態だった私はどうすれば」

結標 「……なんかゴメン」

滝壺 「大丈夫、私たちはそんなみさわをいつだって応援してる」


694 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:12:29.44 A2sA9aG2o 113/132


トチトリ 「……お前の青春はどうだった?」

ショチトル 「過去形で聞くんじゃない。年齢的には一応真っ盛りなんだ」

トチトリ 「早くお兄ちゃんを安心させてやらないとな」

ショチトル 「何が言いたい」ピキピキ

トチトリ 「そりゃお前、安心してお前を任せられる男をだな」

ショチトル 「残念ながら出会いはないな」

トチトリ 「誰か連れてきてやろうか?」

ショチトル 「そうだな、見繕ってもらおうか」

トチトリ 「え」

ショチトル 「どうした」

トチトリ 「いや」

ショチトル 「できもしないことを言うな」フン

トチトリ 「……これは一枚とられたか」

ショチトル (よかった、本当に連れてきたらどうしようかと)

トチトリ (もういっそ私がそこらのイケメンに化けてみるのも面白いかもな)


695 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:13:57.66 A2sA9aG2o 114/132


打ち止め 「つまりこれがあれば、あの人とかもこれるってこと!?」

浜面 「あの人?」

フレメア 「シロでしょ?」

浜面 「あぁ、大丈夫だろうな」

フレメア 「……でもこれ、一枚しかないね」

打ち止め 「つまり一人しか一緒にこれない……」

浜面 「……」ウーン

フレメア 「浜面とお姉ちゃん、どっちが来たい?」

打ち止め 「あの人に来て欲しいけど……あー、でも」モンモン

浜面 「これぐらいなら複製できるんじゃねぇかな?」

打ち止め 「そ、それいいの?」

浜面 「バレなければイカサマじゃねぇ、技だ」

番外個体 「やめときなよ。バレたらイカサマってことじゃん。晴れの日にケチがつくよ?」

浜面 「それもそうか……」

番外個体 「そっちは話し合ってもらうとして……あなたは」


696 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/03/07 00:15:07.52 A2sA9aG2o 115/132


打ち止め 「?」

番外個体 「行ってきたら? 一方通行と」

打ち止め 「いいの?」

番外個体 「うん。一日貸切てことで」

打ち止め 「あ、あの人はみんなのだもん」ムッ

フレメア 「……」ウーン

浜面 「フレメアは、どうするんだ?」

フレメア 「……ど」

浜面 「ど?」

フレメア 「どうする?」

浜面 「それは、主役が決めてくれねぇとな」

フレメア 「……か、考えておく」

番外個体 「ちゃんと考えるといいよ。中学校の入学式なんて一生に何度もないんだから」

浜面 「そりゃ何回もあったら困るわ」


960 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:02:14.46 TH7BTZj2o 116/132


滝壺 「あ、そういえば」

結標 「?」

滝壺 「スーツ買うっていってなかった?」

結標 「あ、そうそう。その話もしようと思ってたのよ」

黒夜 「なに? マトリックスオフ?」

滝壺 「じゃあサングラスも必要だ」

番外個体 「使ってないのいくつかあるから貸そうか?」

結標 「違うでしょ」ペシッ

黒夜 「いてぇ」

番外個体 「まあ、分かってるけどさ。買いに行きたいって言ってたよね」

結標 「そういうこと」

滝壺 「でもスーツって」

結標 「?」

滝壺 「どういうお店で買えばいいんだろう。買ったことないから」

黒夜 「ポチれば?」


961 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:03:02.42 TH7BTZj2o 117/132


番外個体 「通販はなー、なんかなー」

結標 「試着してみないと分からないこともあるでしょ」

滝壺 「サイズとかね」

黒夜 「サイズぐらい書いてあんでしょ?」

番外個体 「そらそうなんだけど」

結標 「同じ表記でもメーカによって微妙に違ったりするからね」

黒夜 「え、そんなことあんの?」

番外個体 「クロちゃんは常に一番ちっちゃいの買ってれば安定なんだろうけどね」

黒夜 「そっ、そうとは限らないぞ!」

滝壺 「そうだよ、いくらくろよるだからって」

黒夜 「一番小さいサイズでも余ったことがあるんだからな!」

結標 「……それは、海外製とか?」

番外個体 「あー、舶来品はなんかでかいことあるよね。私も一回失敗した」

滝壺 「向こうの人はおっきいからね、色々」

結標 「羨ましい限りよね」


962 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:04:07.08 TH7BTZj2o 118/132


黒夜 (3人だって十分あるじゃねぇか、クソッ)

番外個体 「で、なんか話をしようと思ってたんじゃないの?」

結標 「あ、そうそう。前から言ってる通りで、買いに行きましょうって話」

滝壺 「どこに?」

番外個体 「スーツが選べる場所って、正直よくわかんないんだけど」

黒夜 「アオなんとかでいいんじゃ?」

結標 「それでもいいんだけど。一張羅だし、少しでもいいのが欲しいと思わない?」

滝壺 「というと?」

番外個体 「大手ブランドとか?」

結標 「オーダーメイドよ」

番外個体 「んなもん、ますますどこに行けばいいかわからんよ」

結標 「私もそれほど詳しいわけじゃないんだけどね」

黒夜 「じゃどうすんの?」

結標 「大丈夫よ、助っ人がきてくれるから」

滝壺 「あ、お兄ちゃん?」


963 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:04:45.23 TH7BTZj2o 119/132


結標 「あいつは男連中側の助っ人」

番外個体 「お兄ちゃんがいれば大丈夫か」

滝壺 「結構ちゃんとした服装してるよね、普段から」

結標 「多分、皮剥がす前の習慣が根付いてると思うんだけどね」

黒夜 「疲れないのかね」

結標 「貴女だってそんな締め付けるようなのばっかで疲れないの?」

黒夜 「慣れだよ、慣れ」

番外個体 「んで、私たちはどうするの?」

結標 「フォーマルな服装に詳しそうな人を確保したから大丈夫よ」

滝壺 「だれ?」

番外個体 「……あ、分かったかも」

結標 「ふーん、聞いてみましょうか」

番外個体 「常盤台の寮監」

結標 「……あ、その手もあったか」

黒夜 「コネクションあんのかよ、そんな人と」


964 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:05:57.01 TH7BTZj2o 120/132


滝壺 「きぬはたかな?」

結標 「でも、絹旗さんからじゃ頼みづらそうよね。立場的にとか」

番外個体 「所詮狩られる側だからなぁ」

滝壺 「じゃ誰だろ」

結標 「貴女たちもよく知ってるわよ」

番外個体 「で、フォーマルな服装にも詳しそうな人? もう一人しかいないね」

滝壺 「だね」

結標 「候補日を後でメールするから、確認しておいてね」

滝黒番 「「「了解」」」

番外個体 「おい待て。なんか混じった」

滝壺 「くろよるも来る?」

黒夜 「せっかくだしと思って」

結標 「貴女はむしろ向こうのグループじゃないの?」


<これもーらい。
<じゃ俺ももーらい!
<それ私のクッキー!



965 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:06:59.74 TH7BTZj2o 121/132


黒夜 「……いや、違うと思いたいんだけど」

滝壺 「黒夜がスーツ……夜のお仕事?」

番外個体 「あー、不自然に短いタイトスカートで色がメタリックピンクとかなんだ」

黒夜 「違うわ!」

結標 「で、来る?」

黒夜 「……いや、なんか想像してみたら場違い感がマッハだから、今回はいい」

番外個体 「えー、クロちゃんがいると面白そうなのに。動かせるマネキンみたいで」

黒夜 「いい加減人をブルーサマーズみたいに動かすのやめろよな!」ギャース

番外個体 「」ビビビ

黒夜 「や、やめっ、やめろって!」

滝壺 「ねえ、オーダーメイドって、後からリサイズできるかな?」

結標 「ある程度は大丈夫だと思うけど」

黒夜 「いくらなんでも、もう成長しないだろ」

滝壺 「バストとかウェストとか太ももは分からない」

結標 「ちゃんと維持しましょうよ……」


966 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:08:02.61 TH7BTZj2o 122/132


番外個体 「あと身長もね」

結標 「貴女まだ伸びてんの!?」

滝壺 「この2年で少し伸びたよね、少し」

結標 「……5センチでいいから、よこしなさいよ」

黒夜 「じゃ私は15センチ」

番外個体 「浜面さんからもらえば? いっぱいあるんだから」

黒夜 「いい?」

滝壺 「5センチぐらいだったらいいよ」

番外個体 「それでも180ぐらい残るもんね」

結標 「改めて思ったけど、いつものメンバーで浜面くんだけ規格外の身長よね」

滝壺 「はまづらのたくさんある自慢の一つ」フンス

番外個体 「……クロちゃん、ホントに聞きにいったぞ」

滝壺 「それだけ真剣なんだよ」

結標 「じゃとりあえず後でメールするからね」

番滝 「「了解」」


967 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:09:40.64 TH7BTZj2o 123/132


結標 「あ、それとお代わり」

滝壺 「私も」

トチトリ 「どうやら出番か」シュタッ

結標 「……そういえば貴女も上背あるわよね」

トチトリ 「役に立ったことなど一度もないさ」

番外個体 「まー、縦に伸びた分、横方向の起伏が乏しいっていうか」

滝壺 「スレンダー型?」

トチトリ 「よくも人が気にしていることを」

結標 「気にしてたのね」

番外個体 「胸だって大きけりゃそれでいいってこともないんだけど」

結標 「実際重りみたいなもんだしね」

滝壺 「シャツとか伸びちゃうしね」

番外個体 「気が付いたら肩とか首とか凝らない?」

結標滝壺 「「あるある」」

トチトリ 「イヤミか貴様ッ」

ショチトル 「おい、よさないか。あ、40円のお返しです」ガシャガシャチーン


968 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:10:37.73 TH7BTZj2o 124/132


フレメア 「大体、チョコチップとココアだったら?」

打ち止め 「……迷うけど、チョコチップ」

フレメア 「ココア生地に、アーモンドスライスを練りこんでみたり」

打ち止め 「あー、それはいい勝負になってきた!」

浜面 「おい、クッキー談義もいいけど、ちゃんと考えておけよ」

打ち止め 「入学式?」

浜面 「あぁ、準備ってもんがあるからな。早ければ早いほど」

フレメア 「準備って?」

浜面 「まあ、なんだ。ほら……その……あっ、正装を用意したりな」

打ち止め 「執事!?」

フレメア 「バトラー!」

浜面 「いやいや、そこまでじゃなくてだな! それでもスーツっぽいのは」

打ち止め 「浜面、スーツ持ってなかった?」

フレメア 「写メあるよね。お兄ちゃんと二人でMIBみたいに写ってるの」

打ち止め 「うん、ほらこれ」カチカチ


969 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:11:43.11 TH7BTZj2o 125/132


浜面 「なんであんの!? うわ、今見ると恥ずかしー!」

打ち止め 「誰かから送ってもらったよね?」

フレメア 「うん、あの……あれ? 大体誰だっけ?」

浜面 「ま、まあ、ともかく。それは借りもんだ。お兄ちゃんが用意してくれたやつな」

打ち止め 「じゃ浜面も着るもの用意しないとだね」

浜面 「俺の場合は、お前さん方の入学式に出る場合な。他に着る用事もねえし」

フレメア 「じゃ浜面来て。スーツ浜面見てみたい」サクサク

浜面 「じゃ、ってなんだ、じゃって。そんなあっさり決めていいのか? あとお前、さっきまで迷ってただろ」

フレメア 「うん。浜面に来て欲しい。シロも来てくれるんだよね?」

打ち止め 「来てくれるよたぶん!」

浜面 「あいつも大丈夫なのか? 花粉症になったとかならないとか聞いてるぞ」

打ち止め 「うん、もともと外に出ないのに、更に出なくなっちゃった」

浜面 「外に出た途端倒れたりしないよな」

打ち止め 「大丈夫だよたぶん!」

黒夜 「たぶんばっかじゃんか」


970 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:12:52.83 TH7BTZj2o 126/132


フレメア 「お、クロちゃんだ」

打ち止め 「クロちゃん参上」

黒夜 「浜ちゃん、身長くれ」

浜面 「は? いきなり現れて何言ってんだお前!?」

黒夜 「5センチでいいから!」

打ち止め 「じ、じゃあ、私20センチ!」

フレメア 「ずるい! 私30センチ!」

浜面 「俺が縮んでなくなっちまうわ!」

黒夜 「じゃ何センチならいいんだ?」

浜面 「ビタ1ミリやらん!」

フレ止め 「「ケーチー」」BooBoo

浜面 「いやいや、大体どうすれば身長をお裾分けできんだよ!」

黒夜 「そういう能力を発現すりゃいいじゃん」

浜面 「相手に身長を分ける能力かぁ、ってか? なんも嬉しくないな」

打ち止め 「でもでも、なんかロマンチックだね」


971 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:13:58.02 TH7BTZj2o 127/132


黒夜 「どこらへんが?」

フレメア 「あ、昔話の?」

打ち止め 「幸福な王子だっけ? あれみたい」

黒夜 「分からない。どんな話?」

浜面 「あー、なんだっけな。たしか王子様が自分の身体を削って、下々の民を幸せにするんだっけか」

黒夜 「そんな感じで身長をだな」

浜面 「できねぇっつってんだろ。大体な、お前さんたちならまだまだ成長するだろ」

フレ止め 「「ホント!?」」キラキラ

浜面 (この二人に関してはそれなりの前例があるしな)

黒夜 「私も?」

浜面 「お前は無理じゃね? 絹旗も伸びてないみたいだし」

黒夜 「」シュゴォォォ

浜面 「待て待て待て! なんで手から空気の音がするんだよ!」


<店ん中で暴れんなー。


黒夜 「ふぎゃ!」ビシィ


972 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:14:57.86 TH7BTZj2o 128/132


 :
 :
 :

ショチトル 「はい、ちょうどのお預かり」ガシャガシャチーン

滝壺 「ごちそうさまでした」

結標 「じゃ、連絡するからね」

番外個体 「はいよ」

黒夜 「あの、私の分」

滝壺 「いいよ、別に」

浜面 「いいってことよ!」

黒夜 「お前が言うな」

フレメア 「じゃ、またねー」ノシ

打ち止め 「また今度ねー」ノシ


<カランカラン♪


ショチトル 「小さい方のマスターは帰らないのか」


973 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:16:49.66 TH7BTZj2o 129/132


打ち止め 「うん、待つ」

番外個体 「下手にフラフラされて迷子になられるよりはずっといいよね」

打ち止め 「迷子になったことなんてないよ?」

番外個体 「あるでしょ。その度に、あの人が杖ついて探し回ってんじゃん」

打ち止め 「それは、あの人のほうが迷子になったんだよ!」

トチトリ 「なるほど、一理あるな」クスクス

ショチトル (そうか、迷子になったらそう主張すればいいのか)

打ち止め 「そういえば、ユリコたちちゃんと帰れたかな?」

番外個体 「絹旗さんと白井さんが一緒なんでしょ? 大丈夫かと思」

ショチトル 「もしかして、仔猫?」ズイ

打ち止め 「う、うん」

ショチトル 「……名付け親の私だって、まだ数えるほどしか会ってないのに」

番外個体 「もういっそここに連れてきてもらうのは?」

トチトリ 「それは衛生的にどうだ……」

番外個体 「まずいか」

打ち止め 「あ、でも、絹旗が卒業した後なら会えるチャンスも増えるよね?」

ショチトル 「そうか……期待しておこう」


974 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:17:49.32 TH7BTZj2o 130/132



~同日夜 第7学区 常盤台新寮~


<ガチャ バタン


白井 「戻りましたの」

白井 「……?」

白井 「戻りましたの」

白井 「……あれ?」

白井 「もーどーりー」

絹旗 「アスカなら超熟睡中ですよ?」

白井 「あら、そうでしたか。いつもなら、いの一番に出てくるので何事かと」

アスカ 「」スーピー

ユリコ 「( ・ω・)」

絹旗 「はじめての外出で超お疲れなんでしょうね」

白井 「そうですわね、きっと」

絹旗 「」ペットリ

白井 「」ブーッ


975 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:18:59.57 TH7BTZj2o 131/132


絹旗 「今笑いましたね?」

白井 「笑ってなどおりませんの」キリッ

絹旗 「キリッ、してても肩がプルプルしてるんですよぉ!」ギャース

白井 「えーと、ど、どうされましたの。その頭は。ポマードつけたみたくなってますが」

絹旗 「テスラですよ。どうやら人間の髪をグルーミングするということを覚えたみたいです」

テスラ 「」フンス

白井 「だから褒めて褒めてって顔してますのね」

絹旗 「昼間、黒夜の髪を超はむはむしたのがきっかけのような気もしますが」

白井 「そのときに"あ、これいけますの"と覚えたと?」

絹旗 「ウトウトしてる間にやられました。私の超ふんわりヘアが台無しです」

白井 「黒夜さんのところに行ったら同じ事をしてしまうのでは」

絹旗 「……あ、そっか。そうすると」

白井 「駄目なことは駄目と、ちゃんと」

絹旗 「テスラ、これからも私の髪をどんどんはむはむしていいですよ!」

白井 「」

絹旗 「で、黒夜にも同じことを超たくさんしてあげてください」

白井 「それは飼い主としていかがなものかと」ハァ


976 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2013/05/23 00:19:36.58 TH7BTZj2o 132/132


といったところで、今回はここまでです。
危機は脱しましたので、最盛期ほどとはいきませんが、
それなりのペースで投下できるかと思います。

あ、埋まりそうになったら次スレ誘導用に
数レス残しておいて頂けると助かります。

次回投下は1週間以内にできればと思っています。
お付き合い頂き、ありがとうございました。


※管理人より
ここで『その7』のスレは1000まで埋まってしまいHTML化。続きのスレは立っていません。
完結しましたら続きをまとめたいと思います。
管理人が見落としている可能性もありますので、続きをご存じでしたらコメントなどでお知らせください。

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