あやめ速報-SSまとめ-

【主要登場人物】

・絹旗
　　世界大戦終了後に暗部クビ。復学し、現在は常盤台中学３年。
　　白井の現ルームメイト。その小動物的可愛さで、学内にファンを増やしつつある。
　　が、超ナデナデされたり獣耳付けられたりと、本人は正直かなり鬱陶しいらしい。
　　寮の門限のせいでレイトショーに行けないのが最近の悩みだとか。

・白井
　　絹旗のルームメイト。常盤台中学３年。敏腕ジャッジメントですの。
　　奔放な絹旗に振り回され気味。さらに絹旗に巻き込まれる形で寮監から締められ気味。
　　固法先輩が風紀委員本部へ出向することが決まっているので、
　　風紀委員１７７支部の次期支部長殿でもある。

・婚后
　　長点上機学園１年。高貴な身分の生粋のお嬢様。
　　濃い面々に存在感を食われがちだが、修学旅行編や大覇星祭編などは
　　彼女なしには成り立たなかった、影の功労者。
　　英国への短期留学に赴き、貴重な経験とシェリー製えべっさんを持ち帰る。

・ユリコ
　　絹旗の飼い猫。人見知りしないお利口さん。
　　拾われた直後は若猫だったが、今や立派なオトナの女。
　　この度、3匹の仔猫の母親となった。
　　絹旗の頭上は仔猫に譲ることにしたらしい。

・滝壺
　　世界大戦終了後に暗部クビ。自分の経験を活かし、同じ境遇の
　　能力者は生み出させまいという志のもと、能力開発教官を目指す。
　　いわゆる脱力系女子なのだが、決めたことは簡単には曲げない意志の強さも持つ。
　　怒らせたら怖い人ナンバーワンとも言われている。

・浜面
　　自動車整備士の資格目指して勤勉に励んでいる。
　　安定のイジられキャラだが、本人はこの生活を平穏なものと捉えて楽しんでいる。
　　意外と子どもの相手が巧みで、また子どもからもよく好かれるとか。
　　一方通行から打ち止めを預けられるという快挙を遂げた、実はすごい人。

・番外個体
　　カフェ店員。単なるバイトだったが、店主帰国により店を継ぐ形となった。
　　ロシア滞在時に通行止めの協力でMNWから強制追放、以来接続していない。
　　冥土帰しの協力でIDゲットしており、ロシアからの帰国子女として暮らしている。
　　周りからミサワさんとか真琴とか呼ばれてるのは戸籍上の名前。

・結標
　　保育士目指して勉強中。化学兵器クラスと謳われたメシマズも改善されつつある。
　　好きな異性のタイプは年下、加えて性別問わず子ども好き。ショタコンではない。決して。
　　メインメンバーでは滝壺、番外個体と並び最年長であるため、姉ポジション兼ツッコミ役。
　　番外個体とはかなり早い段階から打ち解け、お互いファーストネームで呼び合うほど仲良し。

・海原
　　海原として過ごしているが、その正体はアステカからやってきた正義の魔術師。
　　現在は風呂場のカビ取りからご近所付き合いまでこなすカリスマ主夫。
　　本人たちの希望もあり、結標とショチトルの前では素顔で過ごしている。
　　が、うっかりそのまま人前に出てしまうこともあり、あわきん二股疑惑を招いたとか。

【限りなくレギュラーなサブレギュラー】

・19090
　　冥土帰しのもとで勤労中。控えめな性格で、むぎのんのような女傑に憧れている。
　　セクハラ患者に容赦なく悲鳴と電撃を浴びせるダーティナース。

・麦野
　　冥土帰しのもとで勤労中。職場では19090の後輩。
　　不良患者に容赦なく鉄拳制裁を下すバイオレンスナース。

・フレメア
　　浜面が拾ってきた後、浜面滝壺ペアと同居中。
　　打ち止めとは旅行で知り合い、今では互いの家を行き来するほど仲良し。

・一方通行
　　番外止めと同居中。最強の能力者であり、最強の自宅警備員。
　　打ち止めとフレメアの家庭教師を務める傍ら、在宅ワークの準備も進めているとか。

・打ち止め
　　番外通行ペアと同居中。IDをゲットし、戸籍上は番外個体の実妹扱い。
　　最近は家事全般を担当してるそうだ。描写されていないが、結構背伸びた。

・ショチトル
　　長い長い入院生活も終わり、海原結標ペアと同居中。ちなみに表向きは留学生。
　　リハビリと穀潰し脱却を兼ねて、番外個体の店でバイトを始めた。

・黒夜
　　絹旗の幼なじみにして自称ライバル。ちょっとスレててお年頃な不良少女。
　　この度、７番対決にて絹旗と正式に決着を付けた。
　　レギュラー昇格筆頭候補、LEVEL4だし、>>1の義妹だし。

・リック、アスカ、テスラ
　　ユリコがお腹を痛めて産んだ仔猫たち。
　　名付け親はそれぞれフレメア、ショチトル、打ち止め。

　　――#7　はっちゃけ年末！

～１２月下旬　第７学区　常盤台新寮～


絹旗 「ほれー、むにむに攻撃ー」ﾑﾆﾑﾆ

ユリコ 「(　･ω･　)」

絹旗 「お、超伸びますね」

白井 「あの、絹旗さん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

アスカ 「♪」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

絹旗 「はい？」

白井 「絹旗さんにお伝えしなければならないことがございまして」

絹旗 「超なんでせう」

白井 「なんかイラッとする言い方ですの……それはともかく」

絹旗 「はい」

白井 「わたくし、実家に帰らせて頂きます」

絹旗 「」ﾑﾆｰ

ユリコ 「(･ω-　)」

アスカ 「」ｶﾞｰﾝ

白井 「？」

絹旗 「し、白井さん！」ｶﾞﾊﾞｯ

白井 「キャッ……と、突然なにを……」

絹旗 「私に不満があるなら超遠慮なく言ってくださいよ！　いきなり出てくと言われても、そんな……」

白井 「はい？」

絹旗 「今までだって上手くやってきたじゃないですか！　私に超至らない点があるなら改善しますから！」

白井 「あ、あの」

絹旗 「それともアレですか！　私と白井さんはすでに付き合ってるという学校内で囁かれてる噂が超苦痛だったんですか！？」

白井 「なんですかその噂は！？」

絹旗 「この部屋は一人じゃ超広いですー。一人にしないでくださいよー」ﾕｻﾕｻ

白井 「わっ、わたくしも言葉不足でした。そこは謝罪しますから揺らさないでくださいまし」

　：
　：
　：

絹旗 「はー、超なるほど。年末年始はご実家に」

白井 「ええ。ここ２～３年は帰省しておりませんし、両親からの電話攻撃も激しさを増すばかりで」

絹旗 「それで一旦帰ると」

白井 「はい、その間留守にしてしまいますが」

絹旗 「なんだー、超びっくりしましたよ」

白井 「まさかこの期に及んで絹旗さんチェンジなんて申しませんの」ｸｽｸｽ

絹旗 「……ん。でも超ちょっと待ってくださいよ」

白井 「？」

絹旗 「じゃ、私は年末年始を一人で過ごすんですか？」

白井 「え、ええ、まあ」

絹旗 「超イヤですよ、そんなの」ﾕｯｻﾕｯｻ

白井 「とっ、と申されましても。わたくしも往復のチケットを取ってしまいましたし」

絹旗 「じゃ私も連れてってください」

白井 「確実に全員気を使いすぎて気まずくなるだけですの」

絹旗 「もういいです。白井さんなんか実家でこたつに入って家族団らんしながら
　　　　モチを喉に超詰まらせちゃえばいいんです」ﾌﾟｲ

白井 （これはお土産攻撃しかありませんわね）ﾊｧ

絹旗 「はーあ、去年は大人数で過ごしたのに、今年は一人寂しく超カウントダウンですか」

白井 「そういえば、去年はゆったりと過ごしておりましたわね」

ユリコ 「ﾉｼ･ω･)ﾉｼ」

白井 「ええ、ユリコもおられましたわね。貴女方は初めての年越しですが」

アスカ 「？」

絹旗 「他のみなさんも帰省するんでしょうかね」

白井 「さあ……わたくしが知る限りですと、婚后さんも一旦帰るとか」

絹旗 「むー……となると、アレですね」

白井 「アレ？」

絹旗 「下手したら、もう来年まで会えない人もいるかもしれないんですね」

白井 「そういうことになりますわね」

絹旗 「忘年会ってワケじゃないですけど、なんかこう……機会があるといいんですけど」

白井 「たしかに、今年の締め括りをするのも悪くはございませんの」

絹旗 「なーんかないですかねー」

白井 「温泉のときのように、絹旗さんが呼びかけてみては？　おそらく断る方はおりませんの」

絹旗 「いや、それでもいいんですけど……妙案が超思いつかないんですよ」

白井 「妙案？　別に宴会をする訳でもないでしょうに」

絹旗 「宴会……カラオケ大会とかですか」

白井 「それはもう十分ですの」

絹旗 「つい先日、この寮内で超やってましたもんね」ｹﾗｹﾗ

白井 「今のして思えば、なぜわたくしまで……」

絹旗 「えー、でも私と白井さんの"The Other Side of Love"は超好評でしたよ」

白井 「歌いやすい曲を選んでくれたことには感謝しておりますが」

絹旗 「ま、ともかくそんな感じでアイデアが浮かばないです」

白井 「どんな感じかは分かりませんが、急ぐ必要もないのでは？」

絹旗 「でも超ゆるりとしてると今年が終わっちゃいますからね」

白井 「おいおい考えればよろしいかと。さ、そろそろ消灯時刻ですの」

絹旗 「じゃ寝るとしましょうかー。超お休みなさい」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

白井 「ええ、お休みなさいませ」

白井 （最近一人で寝るようになってくれましたわね。ユリコ親子を全員侍らせてますが）

絹旗 「」ｽﾋﾟｰ

アスカ 「」ﾎﾟﾃﾎﾟﾃ

白井 （しかもアスカは空気を読んで、絹旗さんが寝付くまで傍に……賢い子ですの）

白井 「ほらアスカ、おいでなさい」

～翌日　第１８学区　婚后邸～


婚后 「ほら、ちゃんとご挨拶なさい」

エカ 「ｼｬｧｧｧｧｧ」

滝壺 「久しぶりだね」

フレメア 「大体かわいいー♪」

浜面 （……可愛いのか？）

滝壺 「ゴメンね、お邪魔しちゃって」

婚后 「いえいえ、どうせ暇な身ですから」

フレメア 「ヘビさんにご挨拶したかったの」

婚后 「ええ、仲良くしてあげてくださいね」

浜面 「ヘビをペットにしているとは聞いてたけど、こんなデカかったのか」

婚后 「ヘビではございませんわ！」ｷｯ

浜面 「え、何この扱いの違い！」

エカ 「」ｼｭﾙｼｭﾙ

フレメア 「あ、こっちきた」ﾖｼﾖｼ

滝壺 「人懐っこいよね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

浜面 「干支にもヘビがいるんだっけ？」

婚后 「誠に遺憾ながら、違いますわね」

滝壺 「蛇じゃなくて辰、つまり龍だね」

浜面 「バハムートみたいなヤツか」

婚后 「そうではなく……中国の龍といいますか」

フレメア 「日本むかし話のやつ？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

エカ 「♪」

婚后 「あぁ、そうですわね。アレが一番イメージが近いかと」

浜面 「だったらそいつと似たようなモンだろ」

婚后 「龍如きとわたくしのエカテリーナちゃんを一緒にしないでください！」ｷｯ

浜面 （龍が如き……）

フレメア 「はいこっちー」

エカ 「」ｼｭﾙｼｭﾙ

滝壺 「もう懐いたの？」

婚后 「よかったですわね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

フレメア 「恋はいつでもハリケーン」

エカ 「ｼｬ」

浜面 「それはむしろお嬢が言った方がそれっぽくないか？」

婚后 「？」

滝壺 「干支といえば」

婚后 「はい」

滝壺 「なんだかんだで、１２月も半分終わっちゃったよね」

浜面 「まったく早いもんだな」

滝壺 「こんごうは、帰省とかするの？」

婚后 「ええ、そのつもりです」

浜面 「お、帰るのか」

婚后 「なんと言いますか、ここ２～３年要求を蹴っていたのですが」

浜面 「そろそろ限界ってことか」

婚后 「そういうことですわね」ﾊｩ

フレメア 「ねー、私乗れる？　乗って動ける？」

エカ 「」ﾌﾙﾌﾙ

婚后 「みなさんは年末年始もこちらに？」

滝壺 「そのつもり」

浜面 「家でダラダラしながら、帰省ラッシュのニュースをみてプゲラするつもりだ」ﾊﾊﾊ

婚后 「帰省ラッシュ……ですか」

滝壺 「色んな交通機関が混むみたいだね」

婚后 「不思議とわたくしは、そういったものに遭遇したことがないですが」

浜面 「そりゃ運がいいな」

滝壺 「こんごう、もし新幹線乗るとしたら、どの座席とる？」

婚后 「ええと、グリーン車の通路側座席ですわね」

滝壺 「飛行機だと？」

婚后 「ビジネスクラスですわね。空いていればファーストでも」

浜面 「……」

婚后 「？」

滝壺 「だからこんごうのいるところは混まないんだよ」

浜面 「なるほど、言われてみりゃ当然か」

フレメア 「レッドスネークかもーん」

エカ 「」ｼｭﾙｼｭﾙ

フレメア 「にゃあ」

エカ 「ｼｬｧ」

浜面 「しかしアレだな。今年の内に忘年会でもやっておきたい気分だな」

滝壺 「そうだね、帰省する人とは今年もう会えないかもしれないし」

婚后 「よろしいのではなくて？　終業式から帰省の日までは若干インターバルがございますし」

滝壺 「でもはまづら、どこでどうやるの？」

浜面 「それをこれから考えるのだ」

滝壺 「」ﾋﾟﾝﾎﾟﾝ

浜面 「お、なんか思いついた音がしたぞ」

滝壺 「私に考えがある。帰ってから聞いてみるよ」

婚后 「聞いてみる？」

滝壺 「うん、聞いてみる。はまづらは」

浜面 「俺は？」

滝壺 「みんなに予定聞いてみて？」

浜面 「おお、任せろ！　よし、早速……」ｶﾁｶﾁ

婚后 「しかし……去年末が懐かしいですわね」

滝壺 「うん、去年はみんなで過ごしたよね」

浜面 「俺らは、人数こそ違うけど今年もあんな感じでｇｄｇｄ過ごす予定だぜ」ｶﾁｶﾁ

婚后 「わたくしは……今年はｇｄｇｄはできそうにございませんわ」ﾊｧ

浜面 「大変だな、高貴な身分の方は。おし、送信完了！」ﾋﾟｯ

婚后 「わたくしの方で準備しておくものはございますか？」

滝壺 「まだ分からない、聞いてみてからかな？」

浜面 「なあ、その聞くってのは」


　[[携帯電話]]＜ﾅｰｾﾞﾅｰﾗ ｵﾚﾊﾊﾗｶﾞﾍﾙｰ　ﾋﾊﾏﾀﾉｰﾎﾞﾙｰ♪


浜面 「お、早速返信か。早いな」ｶﾁｶﾁ

～同日夕方　第７学区　隠れ家的喫茶店～


番外個体 「さーてと」


　　【Close】ｶﾀﾝ


番外個体 「んじゃ、片付け始めよっか」

ショチトル 「ああ」

番外個体 「」ｶﾁｬｶﾁｬ

ショチトル 「なあ、マスター」

番外個体 「なんだい」

ショチトル 「前から聞いてみたかったのだが」

番外個体 「うん」

ショチトル 「私のエプロンの中央に貼ってる若葉マーク、いつになったら剥がせるのだろう」

番外個体 「んー、決めてない」

ショチトル 「」

番外個体 「ま、頑張ってりゃその内ペローンって剥がれるよ♪」つ【モップ】ﾊｲ

ショチトル 「……マスターがそう言うなら信じよう」

番外個体 「ちょっとゴミ、裏口のところにまとめてくるねー」

ショチトル 「あぁ」ｺﾞｼｺﾞｼ

ショチトル 「……」

ショチトル 「」ｺﾞｼｺﾞｼ

ショチトル 「んー……」

番外個体 「はー、外は寒い」

ショチトル 「マスター。マスター」

番外個体 「んー？」

ショチトル 「もうモップの頭が限界のようだ」

番外個体 「あぁ、粘ってたけどもうダメか。じゃ、代えのヤツ注文しといてー」

ショチトル 「了解した」

ショチトル 「番号……ここか。んんと」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

ショチトル 「」ｶﾁｶﾁ

番外個体 「」ﾌﾞｯ

ショチトル 「？」ｶﾁｶﾁ

ショチトル 「マスター、今度は電話がダメになった」

番外個体 「ぷ、くっ……あ、あのね、受話器持ち上げながら電卓押しても、電話は繋がらないよ？」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ショチトル 「え？　あ、あれ？」

番外個体 「もー、何やってんだか」ｹﾗｹﾗ

ショチトル 「てっ、手元を見てなかったから間違えただけだ！」


　　[[電話]]＜ｼﾞﾘﾘﾘﾘﾝ


ショチトル 「わっ」

番外個体 「ほらほら、鳴ってるよ」

ショチトル 「は、はい、もしもし」ｶﾁｬ

番外個体 「」ﾌｷﾌｷ

ショチトル 「……はい……え？　いや、私では判断しかねるが……はい」

ショチトル 「マスター、責任者に代われとのことだ」

番外個体 「え、なに？　クレーム？」

ショチトル 「いや、そうではない」

番外個体 「なんかやらかした？」

ショチトル 「身に覚えはない」

番外個体 「ま、いいや。貸して」

ショチトル 「ん」

番外個体 「はい、お電話代わりましたー。カ……あ、滝壺さんだったんだ」

ショチトル （前半と後半で声の高さがガラリと代わったぞ）

番外個体 「うん……あ、なるほど。そういうことね……」

ショチトル 「」ｺﾞｼｺﾞｼ

番外個体 「うん、大丈夫。じゃあ、ビジネスの話でもしよっか？」

ショチトル （ビジネス？　まさか、裏家業！？）

番外個体 「ご予算はいかほどで？」

ショチトル （そ、そんなまさか……あぁ、でもマスターの顔付きは修羅場を潜り抜けたような雰囲気も）

番外個体 「ね、なんか書くもの取って」

ショチトル 「あ、ああ」ﾊｲ

～同日夜　第７学区　某所～


番外個体 「んー……」ｺﾂｯ ｺﾂｯ

ショチトル 「こういったことは初めてなのか？」ｺﾂ...ｺﾂ...

番外個体 「うん、私が知る限りはね」

ショチトル 「今年の９月、似たようなことをやっていたような気が」

番外個体 「アレは大覇星祭に伴う座席開放だよ。団体さんとはまた違う」

ショチトル 「あのときは忙しかった……」

番外個体 「大変だったねー、セクハラじじいも沸いてたし」

ショチトル 「あのおじさん、マスターが雷浴びせた挙句にお兄ちゃんに引きずられていったけど、その後を聞いてないな」

番外個体 「聞かなくていいと思うよ」

ショチトル 「？」

番外個体 「ま、ともかく。いわゆるパーティメニューってのを考えなきゃならないワケだ」

ショチトル 「難しそうだ」ﾌﾑ

番外個体 「なんとかなるっしょ。あなたも何か思いついたら教えてね」

ショチトル 「ああ」

番外個体 「と、話してる間に着いたね」

ショチトル 「なんか……いつも申し訳ない」

番外個体 「いいのいいの。あなたに何かあれば、私が淡希にボコられるからね。そっちのが怖い」ｹﾗｹﾗ

ショチトル 「わ、私からも穏便に済ませるように言っておくから」

番外個体 「あ、気にしないで。それぐらいは流せる仲だってことだから」

ショチトル 「相変わらず、二人は仲が良いのだな……私としては……」

番外個体 「？」

ショチトル 「急に姉が二人増えたみたいで、嬉しくもある」

番外個体 「嬉しいこと言ってくれるなー、こいつー♪」ﾜｼｬﾜｼｬ

ショチトル 「な、な」

番外個体 「じゃ、また明日ね」ﾉｼ

ショチトル 「お疲れ様」ﾉｼ

ショチトル 「」ﾎﾟﾁｯ

ショチトル 「……」

ショチトル （エレベーター、最上階にいるのか……ちぇっ）

　：
　：
　：


＜ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ


ショチトル 「ただいま」

結標 「あ、おかえりなさい」

ショチトル 「」ﾊﾞｻｯ

結標 「コートはちゃんとかけなさい。シワになるわよ」

ショチトル 「むー」ｶﾀﾝ

結標 「ね、メール来てた？」

ショチトル 「メール？　誰から？」

結標 「浜面くんから」

ショチトル 「いや、来ていないが」

結標 「……どういうつもりなのよ、あの男」

ショチトル 「？」

結標 「浜面くんからね、忘年会みたいなことでもしようって連絡来てたのよ」

ショチトル 「……あぁ」

結標 「まさか貴女を外してるなんてね。いい度胸してるわ」

ショチトル 「あの男のことだ。うっかり忘れたとか、そういう類のミスだろう」

結標 「外したも忘れたも同罪でしょ」

ショチトル 「それに幸か不幸か、参加できそうにないから、ある意味では丁度いい」

結標 「えっ……どういうこと？」


～説明中～


結標 「なるほど。滝壺さんがね」

ショチトル 「だから客としては参加できない」

結標 「と言っても、半分参加するようなものでしょ？」

ショチトル 「そうなるだろうな」

結標 「でも、二人だけで手足りるの？」

ショチトル 「なんとかなる」

結標 「料理の準備とかするのであれば、私も手伝ってあげよっか？」

ショチトル 「……わっ……私では判断しかねる……」

結標 「そう？　まあ、何かあったら言ってね」

ショチトル （済まない、マスター……私の立場では強く言えないんだ）

ショチトル （万が一の場合、つらい役割を押し付ける形になってしまった……）ｷﾞﾘ

結標 「？」

ショチトル （店で集団食中毒が発生した場合、どれぐらいのペナルティが課せられるのだろうか）


＜食事の準備が出来ましたよー。


結標 「あ、はーい」

ショチトル 「」←考え中

結標 「ねえ」

ショチトル 「」←考え中

結標 「」ﾋﾟｺｯ

ショチトル 「いたっ」

結標 「ほら、夕食だって」

ショチトル 「あ、ああ」

～翌日昼　第７学区　常盤台中学～


＜ｲｿﾉｰ、ｿﾌﾄﾎﾞｰﾙｼﾖｳｾﾞｰ
＜ｲﾏｲｸｰ


絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

白井 「絹旗さん？」

絹旗 「あ、超白井さんじゃないですか」

白井 「お暇なのですか？」

絹旗 「まあ、昼休みですし」

白井 （だからってなんでムゲンプチプチ……）

白井 「相席よろしいですか？」

絹旗 「ええ、どうぞ」

白井 「」ﾌﾟｽｯ

絹旗 「ブリックですか？」

白井 「いえ、ピクニックですの」

絹旗 「そっちでしたか」

白井 「ところで。昨日、浜面さんからメールが来ておりましたわね」ﾁｭｰ

絹旗 「ええ、来てましたね」

白井 「浜面さんも気を利かせてくださいましたのね」

絹旗 「どうせ浜面のことですから、自分が飲んで食べて超騒ぎたいだけですよ」

白井 （緩んでる口元を引き締めてから言ってくださいまし）

絹旗 「白井さんは参加ですか？」

白井 「ええ、せっかくですし」

絹旗 「私も超行くつもりではあるんですけど、なにかもう一声」

白井 「一声？」

絹旗 「食べて飲んで超騒ぐだけじゃなくて、なんかあったほうが楽しそうじゃないですか」

白井 「仰る通りかとは思いますが」

絹旗 「……あ、じゃこういうのどうでしょう」

白井 「？」

絹旗 「私と白井さんで超イリュージョンショーを」

白井 「……イリュージョンショー？」

絹旗 「箱に入った白井さんが別の場所から現れたり、かと思えば私が箱の中から出てきたり」

白井 「タネがバレバレではないですか！」

絹旗 「んー、ダメですかね」

白井 「少なくとも今回参加されるであろう方たちには通用しませんの」

絹旗 「じゃ一発芸で、私が素手で瓦とかブロックとか浜面とか超砕きますよ」

白井 「絹旗さんがやっても、なんもすごくありませんの」

絹旗 「むー」

白井 「余興を考えるなら、みなさんが楽しめるものにしませんと」

絹旗 「なんかないですかねー……」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

白井 「そうですわね……」ﾁｭｰ

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

白井 「……」ﾁｭｰ

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

白井 （あ、また超集中モードに入ってしまいました）

絹旗 「」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

白井 （今日もいい天気ですわね）ﾎﾟｹｰ

絹旗 「……あっ」ﾌﾟﾁｯ

白井 「？」

絹旗 「これですよ、これ！」

白井 「ぷちぷち？」

絹旗 「違くてー、超ちょっと耳貸してください」ｸﾞｲｰ

白井 「いたたたたた！　ちぎれちゃう！　ちぎれちゃいますの！」

絹旗 「」ﾋｿﾋｿｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

白井 「……なるほど。それなら確かに盛り上がりそうですの」

絹旗 「ですよね？　ですよね？　何といっても超定番ですし」

白井 「ですが、色々と物入りになるのでは」

絹旗 「そこは超浜面に相談してみましょう。予算から出るか出ないか」

白井 「ええ、それがよろしいですわね」

～その頃　第７学区　浜滝邸～


浜面 「まあ、予想の範囲内だけど、知ってる連中は全員参加だな」ﾒﾓﾒﾓ

滝壺 「ね、予算ってどうするつもりなの？」

浜面 「さすがに俺のポケットマネーじゃ足りないからな。会費になるだろ」

滝壺 「みんなには伝えた？」

浜面 「最初の段階で言ってあるぜ」

滝壺 「いくらぐらい？」

浜面 「５０００円前後で頼む！　って言ってあるが」

滝壺 「」ｳｰﾝ

浜面 「なんかマズかったか？」

滝壺 「一人５０００円で計算すると？」

浜面 「フレメアと小さい方の姐さんは免除、ミサワの姐さんとショチトルは提供側だから数えないとして」

浜面 「５０００円が９人？　とすると、見込みで４５０００円か？」

滝壺 「……結構余るかも」

浜面 「え、そうなの？」

滝壺 「みさわに打診してみたんだ。そしたらまず、場所代はいいって」

浜面 「なんと」

滝壺 「それと、飲食物も思ったより高くならないみたい」

浜面 「あー、自分の仕入れルートとか持ってるのかもな」

滝壺 「メンバー的に、アルコールを用意する必要がないからとも言ってた」

浜面 「えっ」

滝壺 「？」

浜面 「いや、なんでもない……そっか、どうすっかなぁ」

滝壺 「余ったら、等分して返却かな？」

浜面 「やっぱそうなるかなぁ」


　[[携帯電話]]＜ﾅｰｾﾞﾅｰﾗ ｵﾚﾊﾊﾗｶﾞﾍﾙｰ　ﾋﾊﾏﾀﾉｰﾎﾞﾙｰ♪


浜面 「おっと……絹旗か」ｶﾁｶﾁ

滝壺 「きぬはた？　どうしたの？」

浜面 「……なるほどなるほど、なるほど」ﾆﾔｰ

滝壺 「」

浜面 「滝壺、予算ほぼ使い切れるかもしれんぜ。ほら」つ【携帯】

滝壺 「きぬはたからのメール？……なるほどなるほど」ﾌﾑ

浜面 「どうだろ？　このアイデア使わせてもらったら」

滝壺 「いいんじゃないかな」

浜面 「よし。とすると、あとは予算の振り分けだな」

滝壺 「それはみさわと相談しないと分からないね」

浜面 「じゃ、どう動くかな」

滝壺 「明日か明後日、私がみさわのお店行ってくるよ」

浜面 「なるほど。それでお打ち合わせか」

滝壺 「その場でお金渡してくるから。後で精算して」

浜面 「明後日か……土曜日だよな。丁度いいか、俺集金行ってくるわ」

滝壺 「ちゃんとみんなに伝えてからね」

浜面 「分かってるって。よし、早速……"明後日、浜面仕上が頂きに参ります"と」ｶﾁｶﾁ

滝壺 （予告状？）

浜面 「おし！　俺のドラゴンライダー号で走り回って集めるぜ！」ﾌﾝｽ

滝壺 「スクーターだよね」

浜面 「はい、ヴェスパちゃんでございます」

滝壺 「買うなら車でも良かったのに」

浜面 「いや、さすがに車一台買い与えてもらうのも悪いっつうかさ……」


＜ｶﾞﾁｬ
＜ただいまー！


滝壺 「あ」

浜面 「お、姫君のお帰りか」

フレメア 「」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

滝壺 「フレメア、帰ってきたらまず？」

フレメア 「大体、うがいと手洗い」ｼｭﾀｯ

滝壺 「正解」ｂ ｸﾞｯ

フレメア 「洗ってくる」ﾄﾃﾃﾃ

滝壺 「冷蔵庫にコーヒーゼリーあるから食べていいよー」

フレメア 「了解、にゃあ♪」

～翌日　第７学区　隠れ家的喫茶店～


番外個体 「こんなもんで足りるんじゃないかな」ｶｷｶｷ

滝壺 「それでいいの？　９人だよ？」

番外個体 「なんとかなるさ。それに……」

滝壺 「？」

ショチトル 「丁度年末だしな。大掃除も兼ねて備蓄食料を格安で出させてもらう」

滝壺 「いいのかな」

番外個体 「こういう店だから、賞味期限直前のフランクフルトとかそんな程度だよ？」

滝壺 「なるほど」ﾌﾑ

番外個体 「事前に伝えた通り、ノンアルコールだからそれほど値段いかないんじゃないかなぁ」

滝壺 「アルコールが入ると高いもんね」

番外個体 「ま、飲みたい人間は自分で持ってくりゃいいんだ」ｹﾗｹﾗ

滝壺 「飲みたがるのは、はまづらぐらいかな……」

番外個体 「そこは任せるよ」

滝壺 「じゃ、お金渡しておくね」ﾊｲ

番外個体 「買い出しに行った上で、お釣りは精算するから」

滝壺 「色々ありがと。当日はお願いね」

番外個体 「はいはーい、毎度どうも」

滝壺 「何か手伝えることがあったら言ってね」

番外個体 「大丈夫だと思うけど、ヤバかったらお願いね？」

滝壺 「任せて」ﾌﾝｽ

ショチトル （義姉さんの出番はなさそうだ）

滝壺 「今日の分はいくら？」

ショチトル 「１８０円だ」

滝壺 「１８０円」ﾊｲ

ショチトル 「またどうぞ」

滝壺 「ごちそうさま」


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


滝壺 「」ｶﾁｶﾁ

滝壺 「あ、もしもし？　はまづら？　そっちに使えそうな金額が決まったよ」

ショチトル 「マスター」

番外個体 「ん？」

ショチトル 「概算でも金額が出るってことは、おおよその方針は決まっているのか」

番外個体 「おおよそは、ね」

ショチトル 「よければ聞かせてくれ」

番外個体 「いつも通りだよ。真剣に取り組んで、真面目に手を抜く」

ショチトル 「……？」

番外個体 「ま、当日は朝から勝負かな？」

ショチトル 「朝から、か。たしか先程の話だと開始は」

番外個体 「16時だね」

ショチトル 「となると、当日は朝から閉めておくのか？」

番外個体 「うん、そうなるかなー」ｶｷｶｷ

ショチトル 「？」

番外個体 「こんな感じにさ」ｺﾄｯ


　　【本日は貸し切りおよび準備のため閉店です。ゴメン（ゝω・）v】

ショチトル 「文末のコレは必要なのか？」

番外個体 「ダメかな？」

ショチトル 「あって困るものではないと思うが……」

番外個体 「あ、そうだ」

ショチトル 「？」

番外個体 「今日からこれも貼っておいた方がいいか」ｶｷｶｷ


　　　☆年末年始のお知らせ
　　　12月28日、12月30日～1月4日はお休みです。
　　　ゴメン（ゝω・）v


ショチトル 「だから文末……まあ、いいや。これは店内に貼っておけばいいか？」ﾋﾟﾗｯ

番外個体 「入り口の横のコルクボードでいいでしょ」

ショチトル 「了解した」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


ショチトル 「あ、いらっしゃい」

常連 「ふう、寒いねぇ……おや、お休みの連絡かい？　寂しくなるなぁ」

番外個体 「ゴメンなさいねー、年末年始は色々あるもんで」ﾆｺﾆｺ

～翌日　第７学区　某所～


浜面 「」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

浜面 「んー、ドラゴンライダー号は今日もゴキゲンなサウンドじゃねぇの」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

浜面 （さて、午前中で集金はほぼ完了したな。みんな家にいてくれて助かったぜ）



浜面 『ぬわぁぁぁぁ！　集めたお金が謎の暴風に吹き飛ばされたぁぁぁ！』



浜面 （ということにならんように、一旦家に帰って滝壺に預けてきたし！）

浜面 「残るは二人……よし、時間的にも丁度いいな。その二人のところに行くとするか！」

浜面 「♪」ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ

　：
　：
　：

浜面 「お、いたいた。やっぱ常盤台の制服は目立つなー」

浜面 「よっ、待たせたかい？」ｷｷｰ

絹旗 「あれ？　原付？　超パクってきたんですか？」

白井 「浜面さん……たとえ友人であっても、いえ友人だからこそ見逃せませんの！」

浜面 「ちょっと待てぇい！　これは正真正銘ウチ名義！」

絹旗 「えー、でも浜面にかかればこれぐらい超ちょちょいっと……なんとぉ！？」

白井 「絹旗さん？」

絹旗 「鍵がささってる！　しかもメーカーロゴ付きのやつ！」

浜面 「だから俺のだっつってんだろうが！」ﾌﾟﾝｽｺ

絹旗 「もしかして、滝壺さんからの超クリスマスプレゼントですか？」

浜面 「……ま、まあ、なんだ。滝壺も免許とったら使うらしいしさ」

白井 「それでも……」

浜面 「そ、それに、俺だってお金出したぞ！」

白井 「おいくらほど？」

浜面 「……ろ、六分の一ほど」

絹旗白井 「「」」ﾊｧ

浜面 「なんと息ぴったり。ため息だけに」

絹旗 「まあ、それは置いといて。まず今日の目的を果たしましょうか」

白井 「まず会費でしたわね。こちら、私と絹旗さんの分になります」ﾊｲ

浜面 「……はい、確かにお預かり申し上げる！」

絹旗 「ポッケナイナイしないでくださいよ」

浜面 「んなことやったってすぐバレるだろうが」

白井 「そのときは、わたくしが友人として、風紀委員としてお命頂戴しますの」

浜面 「怖っ」

絹旗 「で、次はどうするんですか？」

浜面 「そうだな。お前さん方から受け取ったのと、家から持ってきたの。合わせて今日の予算だ」

白井 「大きいお姉様にお支払いする分は？」

浜面 「そっちも決まってて、きっちり引いてあるぜ」

絹旗 「なら安心ですね」

白井 「では予算通りに買うとしましょう」

浜面 「でもいいのか？　手伝わせちゃって」

白井 「提案した立場ですから。それに……」

絹旗 「浜面に超任せたら、バニースーツとか踊り子の服とかばっかになっちゃいますからね」

浜面 「お前俺をなんだと思ってんだよ！？」

白井 「一つだけそういうのが紛れ込むなら話題性もあるでしょうが、全部それだったら目も当てられませんの」

浜面 「そこまで言うのなら、お前さん方のセンスに任せちゃうぜ」

絹旗 「まあ、いいでしょう」

浜面 「いっちょ面白そうなの集めるか。ビンゴの景品」

白井 「では買い出しにいくと致しましょう」

絹旗 「それじゃ、私たちもそれに乗せてってくださいよ」

浜面 「いや、ダメだろ」

白井 「絹旗さん、原付は二人乗り禁止ですの」

絹旗 「えー、桜木軍団だって四人乗りしてたじゃないですか」

浜面 「バカお前あんなのマネできるかよ！　しかもアレ自転車より遅いんだぞ！」

絹旗 「ちぇー」

　：
　：
　：

絹旗 「ところで、私たちも提案した立場として、景品を１つ超提供しようかと」ﾄﾃﾄﾃ

浜面 「お、なんだなんだ？」

絹旗 「白井さんがほっぺちゅーを」

白井 「なっ、なんでわたくしが」

絹旗 「だったらでこちゅーで」

白井 「場所の問題じゃございませんの！」ﾌﾟﾝｽｺ

絹旗 「ミサワさんとかミサワ妹さんが当てるかもしれませんよ？」

白井 「それでいきましょう」

浜面 「いいのかい！」

白井 「でもわたくしだけではなく、絹旗さんも何か」

浜面 「何かって？」

白井 「絹旗さんとの一日デート券などいかがでしょう」

絹旗 「な、なんで私が！」

浜面 「お、それいいな」

絹旗 「こらぁぁぁ！」

浜面 「なら絹旗にも配慮して、絹旗と一緒に一日映画を見る権利。これでどうだ？」

絹旗 「…………そっ……そんなエサに私が超釣られるとでも！？」

浜面 「お前今グラッときたろ」

白井 「グラッと来ましたわね」

浜面 「冗談はさておき。手伝ってくれるだけでもありがたいしな」

絹旗 「超びびらせやがって！　浜面の分際で！」ﾎﾟｶﾎﾟｶ

浜面 「痛い、痛いから」

白井 「ほらお二人とも。もう着きますから」



～同日　第７学区　大型雑貨店～


浜面 「さて、とりあえずパーテーグッズのコーナーに来てみたが」

白井 「どれぐらいご用意するので？　まさか人数分ですか？」

絹旗 「人数分って、予算を考えたら最下位は超ポケットティッシュとかになっちゃいますよ」

浜面 「そりゃームリだろうな。いくらなんでも」

白井 「ではどのように？」

浜面 「まあ、ビンゴだしな。当たるも八掛当たらぬも八掛、だろ」

絹旗 「外れたら超諦めろ、ってことですね」

白井 「まあ、仕方ございませんわね」

浜面 「でもフォローもちゃんと考えてあるんだぜ？」

絹旗 「一応聞いておきましょうか」

浜面 「それなりの商品を１位～５位まで用意する。ここまではいいな？」

白井 「はい」

浜面 「残り当たらなかった人には、全員同じで５００円ぐらいの参加賞だ」

絹旗 「……浜面にしては超真っ当ですね」

浜面 「寝ずに考えて出した結論だぜ」ﾌﾝｽ

白井 「それなら何も貰えずに帰る人はでませんわね」

絹旗 「じゃあまず、１位から５位までの商品を超決めましょうか」

浜面 「あ、ちなみに俺と滝壺は不参加だからな。チャンスは増えるぞ」

白井 「え？　よろしいのですか？」

浜面 「ま、主催側としてな」

絹旗 「とりあえずこれは超必要ですよね？」ﾊｲ

浜面 「ビンゴのカードか。これがないと始まらないよな！」

絹旗 「景品って、何がいいんでしょうね。超面白いものですか？」

白井 「それでいて、幾分かの実用性があるほうが望ましいですの」

浜面 「面白さに実用性か」ｳｰﾑ

白井 「まあ、歩きながら物色してみましょう」ｺﾂｺﾂ

絹旗 「そうですね、その方が超思いつきそうです」ﾄﾃﾄﾃ

浜面 「あ、おい、置いてかないでくれよ」

　：
　：
　：

絹旗 「浜面浜面、これなんてどうです？」

浜面 「……なんだこりゃ？」

白井 「ルービックキューブですわね。……各辺９０センチの」

浜面 「一つの面は３０センチか。って何に使うんだよ、こんなの！？」

絹旗 「椅子によし、サイドテーブルによし、暇つぶしによし。見た目も綺麗で超完璧です！」ﾋﾟｬｰ

浜面 「いや、いらんだろ……」

白井 「正直持て余しますわね……」

絹旗 「ダメですか」ﾑｰ

浜面 「もうちっとコンパクトな方がな。この後、俺持って帰らなきゃならんし」

絹旗 「あっ！　このぶら下がり健康器なんてどうですか！」

浜面 「おい！」

白井 「浜面さん、このバーベルなどいかがでしょう。４０kgありますが」ｽﾞｯｼﾘ

浜面 「ねえ、人の話聞いてる！？　ていうかなんで普通に持ってんの！？」

絹旗 「ねえねえ、浜面。この直径１．５メートルの(´・ω・`)クッションどうですか！」ﾌｶﾌｶ

浜面 「可愛いけどさ！　気持ちいいけどさ！」

白井 「浜面さん、和なインテリアに模造刀など」

浜面 「風紀委員がそんなもん勧めんな！」

絹旗 「はまづ」ｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞ

浜面 「あれ？　絹旗どこいった？」

白井 「あっ」

浜面 「？」

絹旗 「」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

浜面 「お、おい！　(´・ω・`)クッションに上半身食われてんぞ！」

白井 「なんというふかふか……」

浜面 「と、とりあえず足引っ張って引っこ抜くか」ｶﾞｼｯ

白井 「了解ですの」ｶﾞｼｯ

浜面 「せーーのっ！」ｸﾞｲｯ

白井 「そーーれっ！」ｸﾞｲｯ

絹旗 「ぷはっ」

浜面 「絹旗、大丈夫か？」

絹旗 「ちっ、超……窒息死……するかと……！」ｾﾞｪｾﾞｪ

白井 「可愛い見た目に反して獰猛ですのね、このクッション」

絹旗 「こんなもん、店に置かないでくださいよ……」

浜面 「災難だったな」ﾊﾊﾊ

～２時間後～


浜面 「よーし、揃った揃った！」

絹旗 「超それなりのラインナップになりましたね」

白井 「ええ、これなら相応に盛り上がるかと」

浜面 「残念賞……じゃねぇや。参加賞も用意したしな」

絹旗 「香りは全部同じでよかったんですか？」

白井 「その方が諍いにならないかと」

浜面 「その通りだ。下手に何種類か揃えると、そこでも余りもんが発生しちまうからな」

絹旗 「超なるほど」ﾌﾑ

浜面 「さて、悪かったな、付き合わせちゃって」

絹旗 「それより、それを超壊さずに持って帰ることを考えてくださいよ」

浜面 「任せとけって。きっちり背中にしょったからな！」

白井 「当日、それをまた持ってくるのですか？」

浜面 「あ、それなんだけどな。さっき、ミサワの姐さんにちっと電話相談したんだよ」

絹旗 「店に超置いてくれないか、って？」

浜面 「ああ。倉庫に置いといてくれるそうだ」

白井 「さすが大きいお姉様ですの」ﾌﾝｽ

浜面 「相応の対価は払うことになったけどな」ｸﾞｽﾝ

絹旗 （何を超要求されたのやら）

浜面 「じゃ、俺は行くぜ！　また当日にな！」ﾌﾞﾙﾙﾝ

白井 「お気をつけて」

絹旗 「事故らないでいくださいよー」


＜ﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀﾊﾟﾀ


絹旗 「……さて、私たちはどうしましょうか」

白井 「お茶でも飲みに参りましょう」

絹旗 「そうですね」

白井 「あとは当日、１２月２８日を待つのみですわね」

絹旗 「荷造りしといてくださいよ。次の日には超出発なんですから」

白井 「心得ておりますの」

絹旗 「なんならアスカもつけましょうか？」

白井 「…………いえ、やめておきましょう」

絹旗 「うーん、アスカも超寂しがると思うんですけど」

白井 「アスカにとっての世界は、まだあの部屋だけですの。いきなりの長旅は負担になるでしょう」

絹旗 「確かに……暖かくなったら散歩にでもつれていきましょうか」

白井 「ええ、よろしいかと」

絹旗 「じゃ代わりに、私とアスカのツーショットを」

白井 「いりませんの」ｷｯﾊﾟﾘ

絹旗 「早っ」

白井 「留守はお願いしますの。手ぶらでは帰ってきませんので」

絹旗 「期待していいんでしょうね」

白井 「ええ、超期待しておいてくださいまし」

絹旗 「この私を年末年始ぼっちにするんですから、それなりの品じゃないと超納得しないです」

白井 「あら、これは手厳しいですわね」ｸｽｸｽ

～１２月２８日朝　第７学区　番外通行邸付近～


番外個体 「運転席と助手席、どっちに座りたい？」

ショチトル 「愚問だろう」

番外個体 「よーし、乗った乗ったー」ﾊﾞﾀﾝ

ショチトル 「」ﾊﾞﾀﾝ

番外個体 「さて、出発するよ？　シートベルトは締めた？　ドアの鍵はロックした？
　　　　　　　トイレは済ませた？　神様にお祈りは？　部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK？」

ショチトル 「たっ、頼むから安全運転で！」

番外個体 「もー、しょうがないなー」ｶｼｭｼｭｼｭ ﾌﾞﾙﾝ

ショチトル 「しょうがないって、私だけならなんとかなったとしても」ﾁﾗｯ

打ち止め 「」ﾁｮｺﾝ

ショチトル 「なぜか、後ろに小さいマスターもいるじゃないか」

打ち止め 「えへ」

番外個体 「一緒に行くっつって聞かなかったんだよねー」

打ち止め 「だって面白そうなんだもん」

番外個体 「面白いかぁ？　これから行くのは何の変哲もない会員制業務用スーパーだよ？」

ショチトル 「普通のスーパーと比べれば、何の変哲もあると思うが」

打ち止め 「そうだそうだ！　うちにあるオリーブオイル２０リットルとかそのスーパーで買ってきたんでしょ？」

ショチトル 「２０リットル？　一生分か？」

番外個体 「結構チマチマ使ってるから、もう半分もないよ」

打ち止め 「とーにーかーくー。私降りないもんね」ﾌﾝｽ

番外個体 「別に降りろとは言ってないワケだが」

ショチトル 「まあ、邪魔にならない限りは放置でいいのではないか」

打ち止め 「お姉ちゃん、毒舌さんなのね」

ショチトル 「それより出発しないのか？」

番外個体 「外寒いから。エンジン温まるまで待って」

ショチトル 「そうか……そういえば、白い人はまだ家に？」

打ち止め 「寝てるよ」

ショチトル 「……もう９時近いぞ？」

番外個体 「いいのいいの、いつもそんな調子だから」

打ち止め 「あの人の朝ごはん置いておいたけど、食べてくれるかな」

番外個体 「お腹が空けば勝手に食べるでしょ」

ショチトル 「白い人は"最強"と聞いているが、そんな存在でも腹は減るのだな」

番外個体 「……人間だもん。よし、そろそろ行こっか」ﾌﾞﾛﾛﾛ...

　：
　：
　：

番外個体 「余計な買い物はできないよ。うちらのお金じゃないんだから」

打ち止め 「はーい」

ショチトル 「それで、どこまで行くんだ」

番外個体 「第１６学区♪」

打ち止め 「第１６学区って初めて行くかも」

番外個体 「私は先月……先々月かな？　行ってきたよ、今着てるコート買ってきた」

打ち止め 「いいなー、白いコートってあの人とお揃いみたいでいいなー」

番外個体 「あなただって、上等なの着てるクセに」

ショチトル 「二人ともいいじゃないか。私なんて義姉さんのお下がりだぞ」

番外個体 「そうなの？　あー、道理で……」

ショチトル 「……ど、道理で？」

番外個体 「よし、今日は時間ないから厳しいけど、今度買いに行こう」

ショチトル 「コート？」

番外個体 「うん、私がこのコート買ったところで」

打ち止め 「私も！　私も！　私も！」

番外個体 「あー、はいはい。じゃ３人でね」ｸｽｸｽ

ショチトル （すっごい楽しみ）

番外個体 「おやおや？　ショチトルの口元がゆるゆるなんて珍しいこともあるもんだなぁ」

ショチトル 「うっ、運転中は前を見ててくれ！」ｸﾞｲ

番外個体 「わあ、押すなよ！　危ないから！」



～同日　第１６学区　会員制巨大スーパー～


打ち止め 「おー」ｷｮﾛｷｮﾛ

ショチトル 「入るのに認証が必要なのか」

番外個体 「つっても年間１２００円だかで会員になれるけどね」

ショチトル 「カートは必要か？」

番外個体 「あ、この子がいるからさ。子供が乗れるタイプの持ってきて♪」

打ち止め 「そっ、そこまで小さくないよ！」ﾌﾟﾝｽｺ

ショチトル 「店が巨大ならカートも巨大だな……」ｶﾞﾛｶﾞﾛｶﾞﾛ

番外個体 「よーし、そんじゃまずは」


　[[携帯電話]]＜ﾄｰｷｦｶｰｹｰ ｱﾅﾀｰﾉ ｽｰｶﾞﾀｻｰｶﾞｼ ｲｰｷﾃｰｷﾀ♪


打ち止め 「電話なってるよ？」

番外個体 「なんだって、もう……はい、もしもし？……何、今起きたの？」

ショチトル 「白い人か？」

打ち止め 「うん、きっとそう」

番外個体 「買い物に来てるけど？……え？　ちょっと待って。ねえねえ」ﾁｮｲﾁｮｲ

打ち止め 「？」

番外個体 「あの人の朝ごはん、用意したってさっき言ってたよね」

打ち止め 「うん」

番外個体 「用意してくれたらしいよ？……じゃ、それがそうなんじゃないの？」

ショチトル （何を用意したんだ？）

番外個体 「は？　知らないよ。だったらもっと早く起きろっての！……分かればよろしい。じゃね」ﾋﾟｯ

打ち止め 「なんだって？」

番外個体 「朝起きたら誰もいないからって電話してきた。で、さ」

打ち止め 「？」

番外個体 「朝ごはん用意したって、牛丼置いてきたの？」

打ち止め 「うん！　レトルトだけど、ちゃんと気を利かせて盛っておいたんだよ！」ﾌﾝｽ

ショチトル （朝起きて誰もおらず、牛丼だけ置いてあったらどんな気持ちだろう）

番外個体 「よし。気を取り直して、買い物と行きますか」

ショチトル 「しかしここはすごいな。スーパーというよりは倉庫じゃないか」

打ち止め 「天井の方まで商品が積んである」ﾎﾍｰ

番外個体 「すごいのはそこだけじゃないんだなー」ﾆﾖﾆﾖ

ショチトル 「クロワッサン２０個？　数もすごいが、なんでこんな安いんだ……？」

打ち止め 「わ、すごいおっきいケーキ！」

番外個体 「ついつい目移りしちゃうよねー。あ、今のクロワッサン入れて」

ショチトル 「なるほど、車で遠征する価値があるな」ﾄﾞｻｯ

番外個体 「さて、このクロワッサンはサンドイッチにするから。次は肉と野菜だね」



～精肉コーナー～


打ち止め 「すっごい……どれもこれもおっきい。あの人が見たら大喜びかも」

番外個体 「たまにゃ塊の肉でも食わせてあげよっか」

打ち止め 「で、サンドイッチだからハムでいいのかな？」

番外個体 「そこにあるよ、それ」

打ち止め 「え？」

ショチトル 「これ……ハム？」

番外個体 「ハムってよりはベーコンかな」ﾄﾞｻｯ

打ち止め 「薄切りじゃないベーコンって初めてみた」

ショチトル 「肉好きな人間なら齧りたくなるだろうな」

番外個体 「今度牛丼じゃなくてコレをドンと置いていけばいいかもね」ｹﾗｹﾗ

打ち止め 「ねえねえ、これなんてどうかな？」

番外個体 「お、チキンナゲット？　いいねー、採用」

ショチトル 「揚げれば完成なのは手軽だな。……しかしまたすごい量だ」

番外個体 「んー……肉類はこんなもんでいいか」

ショチトル 「いいのか？」

番外個体 「さっきのベーコン、パンに挟むのと、厚めに切ってニセステーキとで２パターンできるから」

ショチトル 「なるほど」

打ち止め 「次は？　次は？」

番外個体 「野菜！」



～青果コーナー～


番外個体 「ここは色々必要だよー。野菜ないと怒る人いるし」

ショチトル 「代理で謝っておく。済まない」

打ち止め 「でもでも、お野菜は大事だよ？」

番外個体 「ま、とりあえずサラダの材料とか集めるよー」

ショチ止め 「「了解」」

番外個体 「レタス、玉ねぎ、パプリカ、パセリ、キャベツ、ミニトマト、以上をこれでもかってくらい！」

ショチトル 「では前半３つをとってくる」ﾀﾀﾀ

打ち止め 「だったら私は後半３つ！」ﾄﾃﾃﾃ

番外個体 「そのスキに私は……あったあった」

番外個体 「揚げれば完成のフライドポテト♪　どっちかというとコレ、冷凍食品じゃないのかなー」ﾄﾞｻｯ

番外個体 「あとはー……これだな」ﾄﾞｻｯ

番外個体 「デザート代わりのフルーツたち、と」

　：
　：
　：

ショチトル 「も、持ってきた」ﾌﾗﾌﾗ

番外個体 「おかえりー」

ショチトル 「普通のスーパーではこんな売り方はしていないだろう」ﾄﾞｻﾄﾞｻｯ

打ち止め 「よいしょ、よいしょ……」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

番外個体 「カゴ引き摺ってるじゃん」

打ち止め 「重いだもん……」

ショチトル 「後は代わろう」

打ち止め 「うー、手が痛い」

番外個体 「お疲れお疲れ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ショチトル 「次は？」

番外個体 「魚！」



～鮮魚コーナー～


打ち止め 「お刺身でも買うの？」

番外個体 「居酒屋じゃないんだから。目的はコレ」ﾄﾞｻｯ

ショチトル 「揚げれば完成のミニエビフライか」

打ち止め 「揚げれば完成多いね」

番外個体 「まあね♪」

ショチトル 「後は飲み物か？」

番外個体 「ゴメン、もう一個」ｷｮﾛｷｮﾛ

打ち止め 「？」

番外個体 「あったあった」ﾄﾞｻｯ

ショチトル 「スモークサーモン？」

打ち止め 「あ、サンドイッチ？」

番外個体 「正解♪」

ショチトル 「あとはなんだ？」

番外個体 「飲み物だね、それで全部」

打ち止め 「よーし、ラストスパート！」



～しばらくして　会員制巨大スーパー　駐車場～


番外個体 「ミッションコンプリート！」ﾊﾞﾀﾝ

打ち止め 「トランクが埋まっちゃったね……」

ショチトル 「じゃ、カートは返してくるぞ」

番外個体 「あ、ゴメン。お願いね」

打ち止め 「それにしてもすっごい量。車の後ろがちょこっと下がってるよ」

番外個体 「これでも予算以内なんだぜ？」

打ち止め 「このスーパーまで来た理由が分かった気がする」

ショチトル 「ただいま」

番外個体 「よし、乗って乗って」ｶﾞﾁｬ

ショチトル 「では戻るとするか」ﾊﾞﾀﾝ

打ち止め 「戻らないよ？」ﾊﾞﾀﾝ

ショチトル 「？」

番外個体 「お昼を済ませてからね」

打ち止め 「はい、ピザ。フードコートで買っておいたんだよ」ﾊｲ

ショチトル 「……こ、これ一人分なのか？」

番外個体 「そだよー」ﾓｷﾞｭﾓｷﾞｭ

打ち止め 「三角形に切ってあるでしょ？」ﾊﾑﾊﾑ

ショチトル 「これなら夜まで働き続けられるな」ﾓｸﾓｸ

～同日昼　第７学区　隠れ家的喫茶店～


打ち止め 「並べてみるとすごい買い物したって実感……」

ショチトル 「あれ？　マスターは？」ｼﾞｬﾌﾞｼﾞｬﾌﾞ

打ち止め 「家に車置いてくるって」

ショチトル「あぁ、そうか。この辺では停めるスペースもないからな」

打ち止め 「冷蔵庫に入れる必要のあるものは入れておいてくれって言ってたよ」

ショチトル 「元よりそのつもりだ」

打ち止め 「じゃあ、やろうやろう！」

ショチトル 「？　エプロンを着用しているということは手伝ってくれるのか？」

打ち止め 「うん、おうちにいても余りやることないし」

ショチトル 「そうか、ありがたい」

打ち止め 「♪」ｶﾞｻｶﾞｻ

ショチトル 「なあ、マスターと白い人は仲が良いのか？」

打ち止め 「すっごいよ？　もう、嫉妬を通り越して呆れるぐらい」

ショチトル 「それでは大変だろう」

打ち止め 「そうなのー。どっちかが甘えスイッチ入っちゃうと見てられないから、部屋に避難してるもん」

ショチトル 「どこも似たようなものなのだな」

打ち止め 「どこも……そうなのかも。フレメアも色々暴露してたし」

ショチトル （しかし嫉妬と言っていたか……本当に、似たような境遇なのだな）

打ち止め 「あ、お姉ちゃんのメルアドまだ知らないの。教えて教えて」

ショチトル 「あぁ、構わないぞ」

打ち止め 「お姉ちゃんとは似たような愚痴言い合えそうだから」ﾆｺﾆｺ

ショチトル （見抜かれていたか……侮れないな）

打ち止め 「それでねそれでね。他にもね」

　：
　：
　：


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


番外個体 「ただいまー……なに二人してニヤついてんの？」

打ち止め 「なーんでーもなーい♪」

ショチトル 「あぁ、気にしないでくれ」

番外個体 「？」

ショチトル 「買ってきたものの整理は済んでいる。次は何をすればいい？」

番外個体 「じゃ、ちょっと集合ー」

ショチ止め 「「」」ﾄﾃﾃﾃ

番外個体 「クロワッサンを切って焼いて、サンドイッチの下準備」ﾋﾞｼｨ

打ち止め 「らじゃ！」

番外個体 「クロワッサンの中に挟むものの準備」ﾋﾞｼｨ

ショチトル 「……も、もうちょっと具体的に」

番外個体 「ベーコン薄切りして焼いて、レタスちぎって、スモークサーモン切って」

ショチトル 「了解した」

番外個体 「で、私は……」ｺﾞﾄｯ

ショチトル 「それは……倉庫に置きっぱなしにしてた炊飯器だな」

打ち止め 「使ってなかったの？」

ショチトル 「米を使うメニューはないからな」

番外個体 「自分たちのおにぎりとかカレー作るときぐらいだね、使ってたのは」

打ち止め 「じゃ、今日はご飯の何かを出すの？」

番外個体 「んー、そうじゃないんだなー」

打ち止め 「？？」

番外個体 「ま、お楽しみってことで♪」

ショチトル 「開始まであと２時間半か。幾分か余裕はあるな」

番外個体 「その子、危なっかしいことしないように見ててあげてね」

ショチトル 「了解した」

打ち止め 「だっ、大丈夫だもん！」ﾌﾟﾝｽｺ

番外個体 「さーて、作業開始♪」

打ち止め 「おー！」

ショチトル 「」ｶﾁｬｶﾁｬ

打ち止め 「あ、すごいクール」

～しばらくして～


番外個体 「」ｻﾞｸｻﾞｸ

番外個体 「」ﾍﾞﾘﾍﾞﾘ

番外個体 「」ﾄﾝﾄﾝ

打ち止め 「何してるの？」

番外個体 「サラダ」

ショチトル 「豪快なサラダだな……」

番外個体 「口に入るサイズならいいんだって。できたから、これ冷蔵庫にいれといて」

打ち止め 「はーい」

番外個体 「そっちはどうかなー」

ショチトル 「まあ、こんなものだとは思うが」

番外個体 「お、いいんじゃない？　このカリカリな焼き加減は惚れちゃうね」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ショチトル 「マスター！」

番外個体 「つまみ食いじゃなくて味見」ｹﾗｹﾗ

ショチトル 「まったく……」

番外個体 「でさ、これ使って」ｺﾄｯ

ショチトル 「ピーマンの輪切りに、玉ねぎの薄切り、オリーブの輪切り……一緒に挟むのか？」

番外個体 「うん。ベーコンorサーモンとレタスだけじゃ寂しいのよな、と思ったからさ」

ショチトル 「了解した」

打ち止め 「……さっきからすんごいいいニオイがしてくるんだけど」

番外個体 「んー、そろそろいいかもね」

ショチトル 「何を作っていたんだ？」

番外個体 「ふふん、刮目せよ。炊飯器オープン！」ﾊﾟｶﾌﾜ

打ち止め 「え？　なにこれ」

番外個体 「炊飯器で作るビッグホットケーキ。ちょっと菜箸とってー」

ショチトル 「はい」つ【菜箸】

番外個体 「」ﾌﾞｽｯ

打ち止め 「うわぁ、いいニオイ」ﾎﾜｰ

番外個体 「うん、できたできた♪」ﾊﾟﾀﾝ

ショチトル 「出さないのか？」

番外個体 「わざわざ炊飯器で作る利点がここにもあってね。炊飯器の機能で保温もしてくれるのさ」

打ち止め 「ということは、食べる直前に出せばいいんだね！」

番外個体 「そゆこと」

ショチトル 「これで、今できる準備は済んだことになるか」

番外個体 「そだね。なんかあったら頼むから、二人とも座ってていいよ」

ショチトル 「マスターは？」

番外個体 「今のビッグホットケーキ作って余ったタネがあるから、ホットケーキを作ってあげよう」ｶﾁｬｶﾁｬ

打ち止め 「やった！　ホットケーキ！」ﾐｮﾝﾐｮﾝ

ショチトル 「」ｳｽﾞｳｽﾞ


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


フレメア 「やっほー」

番外個体 「え？　あれ？」

浜面 「今入っても大丈夫か？」

番外個体 「あぁ、どうぞどうぞ」

浜面 「悪い悪い、まだ早いかなとは思ったんだけどさ」

滝壺 「だから事前に連絡すれば？　って言ったのに」

番外個体 「幹事さんが早く来るのは当然でしょー。むしろ遅れたら絹旗さんでも全力で殴るレベル」

浜面 「それいつものことだろ」

フレメア 「あ、来てたんだー」

打ち止め 「うん、お手伝いしてた♪」

滝壺 「フレメアだけ置いてくるのも気が引けたから、連れてきちゃったけど」

ショチトル 「問題ないだろう。こちらの準備も一段落着いたところだしな」

滝壺 「出番なかった」

番外個体 「まあ、とりあえず座ったら？　今なんか出してあげるから」

浜面 「おお、これはかたじけない」

　：
　：
　：

打ち止め 「ホットケーキおいしー」ﾊﾑﾊﾑ

フレメア 「えっと……私、大体お手伝いしてないから」

ショチトル 「構わない。私は昼食を食べ過ぎたから、お腹に余裕がないんだ」

浜面 「じゃ俺食べちゃうぞ？」

フレメア 「だ、ダメ！　だったら私食べる！」ﾊﾑﾊﾑ

番外個体 「……料理に関しては、こんな感じかな」

滝壺 「大丈夫だと思う」ﾌﾑ

番外個体 「それで、預かってたお金からお釣りがあるから」

滝壺 「いらない」

番外個体 「え？」

滝壺 「場所代と手間賃だと思って、貰っておいてほしい」

番外個体 「……じゃ、お言葉に甘えておこうかな」

浜面 「おい、姐さん。景品ってどこにしまったっけ？」

番外個体 「そこの"STAFF ONLY"って書いてあるドア」

浜面 「了解了解」

ショチトル 「！？　ままままま待て！　待て待て！」ﾀﾞｷｯ

浜面 「どうしたんだよ？」

ショチトル 「わっ……私が持ってくる」

浜面 「いやいや、こういう雑用は俺の仕事だろ」

ショチトル 「だ、だが……」

ショチトル （ロッカー、服を畳まずに突っ込んだまま開けっ放しなんだよぉ……）

番外個体 「……」

浜面 「まあまあ、店員さんには店員さんの仕事があるだろ。ここは俺に任せんさい」ﾌﾝｽ

ショチトル 「あ、あの……ええと……」

番外個体 「ショチトルー」

ショチトル 「？」

番外個体 「そろそろ時間も近いから、サンドイッチ作っちゃって」

ショチトル 「え……」

番外個体 「で、私ちょうどその部屋に用事あったから。私持ってくるよ」

浜面 「いいのか？　なんか申し訳ないな」

番外個体 「んじゃさ、カウンターの奥に飲み物入ってるクーラーバッグあるから、それ表に出しといて。もー重くて」

浜面 「お、そういうことなら任せてくれ」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

番外個体「じゃ、お願いね」


＜ﾊﾞﾀﾝ


ショチトル 「」ﾊﾌｰ

打ち止め 「ね、ね、サンドイッチ作るんでしょ？」ｸｲｸｲ

ショチトル 「あ、あぁ、そうだな。パンの方は？」

打ち止め 「ちゃんと縦に掻っ捌いて、少しトーストしておいたよ！」ﾎﾗﾎﾗ

浜面 （縦に掻っ捌いて、って……）

フレメア 「」ｼﾞｰ...

打ち止め 「……」

フレメア 「」ｼﾞｰ...

打ち止め 「て、手伝ってもらってもいい……？」

フレメア 「大体、任せろ！」

滝壺 「ゴメンね、なんか」

ショチトル 「まあ、大丈夫だろう。あとは挟むだけだからな」

～開始１５分前～


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


婚后 「ごきげんよう」

一方通行 「」ﾌﾜｰｧ

番外個体 「あら、珍しい組み合わせ」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

婚后 「ええ、来る途中の公園でお見かけしましたので」

一方通行 「オイ、余計なこと喋ンな」ｼﾞﾛﾘ

番外個体 「なに？　またなんかやらかしたの？」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

婚后 「それが」

一方通行 「喋ンなっつってンだろォが」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

婚后 「ベンチで微睡んでおられましたので、起こしてお連れした次第です」

番外個体 「……何やってんの？」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

一方通行 「仕方ねェだろ……徹夜明けと午後の陽気のコンボにやられたンだよ」ﾌﾟｲｯ

ショチトル 「マスター、コゲそうだぞ」

番外個体 「おわー、いけね。網とって、網」

滝壺 「はい、トレイこっち」

番外個体 「フライドポテト、第一陣出動ー」ｻﾞﾗｻﾞﾗｻﾞﾗｻﾞﾗ

婚后 「あら、お二人とも。お久しぶりですわね」

フレ止め 「「お久しぶりー」」

浜面 「とりあえず、空いてるところに適当に座ってくれ」

婚后 「ええ」

一方通行 「俺ここでいい」ｶﾞﾀｯ

番外個体 「なんでカウンターだ？」

滝壺 「みさわの顔がよく見えるから。間違いない」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

番外個体 「なっ……え、そ、そんなワケないって！　フライドポテト第二陣入りまーす！」ﾎﾞﾁｬﾎﾞﾁｬﾎﾞﾁｬ

一方通行 「あっちィ！？　バカ、オマエ、油ハネまくってンぞオイ！！　あっつ！」

番外個体 「わざわざ真正面に座るからだよばーか！」

フレメア 「お姉ちゃん、こちらへどうぞー」ｸﾞｲｸﾞｲ

婚后 「はいはい、慌てないでくださいな」

打ち止め 「サンドイッチ作ったんだよ！」

フレメア 「大体頑張った」ﾌﾝｽ

婚后 「まあ、お二人ともお手伝いを？　これは頂くのが楽しみですわね」

ショチトル 「何か飲むか？」

婚后 「ではとりあえず烏龍茶を」


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


海原 「お邪魔します」

結標 「あら、もうこんなに集まってたの？」

ショチトル 「いらっしゃい」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

結標 「ちゃんとやってる？」

ショチトル 「問題ない、と思う」

番外個体 「心配ないよ。淡希が入るのに比べれば１００万倍マシかもね」ｹﾗｹﾗ

結標 「……そりゃ料理苦手だけどさ」ﾑｰ

海原 「まあまあ、誰しも得手不得手はありますから」ﾆｺﾆｺ

結標 「だけど、いくらあの子からでもあんな言われ方したら」

海原 「結標さん、家事は人並みにできるじゃないですか。料理が壊滅的なだけで」

結標 「貴方フォローしてるつもりなの！？」ﾑｷｰ

番外個体 「おい、バカップル。痴話喧嘩なら外でやってよね」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

一方通行 「ったくよォ、この手の連中は場所をわきまえねェから困る」ｽﾞｽﾞ...

滝壺 （本日のお前が言うなスレ）ﾓｸﾞﾓｸﾞ

浜面 「それぐらいにして。空いてるところに適当に座ってくれぃ」

結標 「仕方ないわね……」

ショチトル 「で、何か飲むのか？」

海原 「では烏龍茶を」

結標 「あ、私も」

ショチトル （大人気だな、烏龍茶）

婚后 「これであといらしていないのは……」

打ち止め 「絹旗とクロちゃんがいない」ｸﾋﾟｸﾋﾟ

フレメア 「白井お姉ちゃんもいないね」ｸﾋﾟｸﾋﾟ

浜面 「まあ、厳密に言えばまだ時間じゃないしな。ゆっくり待とうや」

番外個体 「でーきた。フライドポテト、第二陣出動ー」ｻﾞﾗｻﾞﾗｻﾞﾗ

滝壺 「料理って一旦これで全部？」

番外個体 「うん、あとは時間経過で追加かな」

一方通行 「肉ねェの？」

ショチトル 「楽しみにしておくといい」ｸｽｸｽ

結標 「野菜ないの？」

番外個体 「ほら、フライドポテト」

結標 「そういうのじゃなくて……」

ショチトル 「サラダの類なら後で出てくる」

浜面 「酒とか」

番外個体 「それはないよって最初の段階で言っておいたでしょ」

結標 「アルコールはやめておいた方がいいわよ、乱れる人がいるから」

婚后 「……あぁ、たしかに」ﾁﾗｯ

結標 「私自身、何度か痛い目にあってるし？」ﾁﾗｯ

番外個体 「？　なんで私？」

一方通行 （まさかコイツ、オリジナルの母親譲りの酒乱なのか？……有り得ねェ話じゃねェな）

海原 「一方通行さん、お一人だけカウンターでよろしいのですか？」

一方通行 「いいンだよ、こっちの方が性に合ってる」

海原 「左様で」ﾆｺﾆｺ


＜ﾄﾞｻｯ ﾄﾞｻｯ ｺﾞｷｯ


打ち止め 「？　今何か音しなかった？」

フレメア 「大体、外で変な音したね」


＜な、なんで空中に転移してんですか！
＜いきなり押すから座標が狂いましたの！
＜いいからどけ！重いんだよぉ！


滝壺 「なんか外が騒々しいね」

浜面 「どこのガキどもだよ、ったく」

海原 （えらく聞き覚えのある声でしたが）

＜でもこれで時間には間に合いましたの。
＜超黒夜が遅刻しやがるからギリギリですけどね。
＜謝るからさっさとどいてくれ！


番外個体 「あぁ、ミニマムトリオかな」

ショチトル 「ではグラスを用意しておくか。３つでいいな」ｶﾁｬｶﾁｬ


＜ｶﾞﾗﾝｶﾗﾝｯ♪


番外個体 「静かに開けろっての！」

白井 「し、失礼しました。急いでいたもので」

絹旗 「はー、白井さんの超テレポでどうにか間に合いました」

黒夜 「だから悪かったって言ってるじゃーん」

浜面 「来たな、新人アイドル」

白井 「いつまでそのネタを引きずるおつもりですか！」ﾑｷｰ

絹旗 「私たちがアイドルなら、浜面は超ピン芸人ですね」

浜面 「俺のどこに芸人要素があるんだよ！」ﾌﾟﾝｽｺ

滝壺 「全身……かな？」

ショチトル 「何か飲むか？」

白井 「あ、申し訳ございません。冷たい烏龍茶はございますか？」

黒夜 「私もそれがいい」

絹旗 「じゃ私もそれで」

ショチトル （なんだ！？　烏龍茶が何をしたというんだ！？）

ショチトル 「……」ｺﾎﾟｺﾎﾟ

一方通行 「」ｽﾞｽﾞ...

ショチトル 「」ｼﾞｰ...

一方通行 「……なンだよ」

ショチトル 「白い人は何を飲んでいるんだ？」

一方通行 「あ？　コーヒーだが」

ショチトル 「そうか、よかった」

一方通行 「？」

ショチトル 「おまちどうさま。烏龍茶でよかったな」ｶﾁｬｶﾁｬ

絹旗 「あ、超すいません」

浜面 「よーし、揃ったところで始めるか！」

番外個体 「こういうとき、幹事が何か気の利いたこと言うもんじゃないの？」

絹旗 「ちゅーもーく！　今から浜面が超めっちゃ面白いこといーまーす！」

黒夜 「顔が面白いから言わなくていいよ」

浜面 「お前らなぁ！　そこまで言われて黙ってられるか！」

滝壺 「」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

海原 「」ﾎﾟﾑﾎﾟﾑ

結標 「それ、拍手のつもり？」

浜面 「今年一年「せーのっ」来年は「乾杯いただきまーす！」おぉぉい！」

フレ止め 「「だって長いしー」」

婚后 「見事にもっていかれてしまいましたわね」ｸｽｸｽ

白井 「浜面さんでは、このお二人には適いませんでしょう」

浜面 「くっそ、俺の数少ない見せ場だったのに」

ショチトル 「始まったようだな」ｶﾁｬｶﾁｬ

一方通行 「オイ、BGMでもあったほうがいいンじゃねェか？」

番外個体 「んじゃ有線でも」ｶﾁｶﾁ

海原 「有線なんてあったんですね」

番外個体 「今月入ってから導入した。ラジオだとノイズひどくてさー」ｶﾁｶﾁ

一方通行 「それ多分オマエのせいだ」

番外個体 「違うもん、高い建物に囲まれてるせいだもん」

浜面 「ふー、失礼するぜ」ｽﾄﾝ

滝壺 「」ｽﾄﾝ

海原 「お二人もカウンター席でよろしいので？」

浜面 「幹事はすぐ動ける場所にいないとな」

滝壺 「向こうはいい感じに盛り上がり始めてるし」

番外個体 「さて、どのチャンネルにする？　道路交通情報とかどうよ」

一方通行 「そればっか延々流して何が面白ェンだよ」

打ち止め 「ねえねえ」ﾋｮｺｯ

一方通行 「ン？」

打ち止め 「はい、サンドイッチとポテト持ってきたから！　食べてね！」

一方通行 「あ、あァ」

打ち止め 「こっち、淡希お姉ちゃんから。渡してあげてって」ﾊｲ

海原 「おやおや。これは申し訳ございません」

打ち止め 「じゃ、向こう行ってるね！」ﾄﾃﾃﾃ

一方通行 「サーモンサンドか……」

海原 「僕のはベーコンですけど。交換します？」

一方通行 「いい」ﾓｷﾞｭﾓｷﾞｭ


＜ﾔｰﾐｰﾆｰｳｰﾀｳｰ ﾏｲｵﾘﾀｶﾐﾉｼﾗｰﾍﾞｰﾆ♪
＜ｸﾙｲﾀﾞｰｼﾀｰ ｶﾈﾉﾈｶﾞﾅﾘｰﾋｰﾋﾞｰｷｰ♪


ショチトル 「これはいい曲だ、私好みだな」

海原 「悪くはないですが、こういった席で流すには少々アップテンポすぎませんか？」

一方通行 「どこのチャンネルに合わせたンだよ」

番外個体 「一日丸ごとロック＆メタルch、だって」

滝壺 「もう少し、大人しい曲がいいんじゃないかな」

浜面 「だな。ずっとメタルだとテンション上がりすぎちまうだろ」

番外個体 「んー、それじゃ」ｶﾁｶﾁ

＜ﾄﾞｰｼﾃｺﾝﾅﾆｰ ｶﾜｲｲﾉｶﾖｰ♪


浜面 「演歌chか？」

番外個体 「正解」

一方通行 「ジャズとかねェの？」

番外個体 「あるよ。じゃそれにしとこっか」ｶﾁｶﾁ


＜～♪


一方通行 「ン、悪くねェな」

滝壺 「なんか聞いたことあるかも」

浜面 「In the Mood だろ？　大抵の人間は一度は聞いたことあるんじゃないか？」

番外個体 「へー、そういう曲名なんだ。聞いたことある曲だけど初めて知った」

海原 「ありますよね、メロディはわかるけど曲名は知らないという現象」

浜面 「意気揚々とカラオケで歌おうとしたら、サビ以外はほぼ歌えないという現象に似てるな」

滝壺 「CMとかドラマの主題歌だけで覚えるからそうなっちゃうんだよ」

＜～♪


黒夜 「BGMがコロコロ変わってんな」

結標 「カウンターテーブル組が色々試してるみたいね」

絹旗 「お、この曲はスウィングガールズで聞いたことありますね」

黒夜 「なんだよ、メタルでよかったのに」

婚后 「こういった席で延々メタルというのは、少々疲れますわよ」

フレメア 「ねー、お姉ちゃん」ｸｲｸｲ

白井 「はい、どうしました？」

フレメア 「大体、中学校ってどんなところ？」

打ち止め 「教えて教えてー」

白井 「中学校ですか……」

フレメア 「あのね、私たち来年JCデビューだから教えてほしい、にゃあ」

婚后 「あら、でしたら今から楽しみでしょう」

結標 （誰よ、JCなんて言い方教えたの）

フレメア 「うん、制服とか超楽しみ☆」

打ち止め 「この間見に行ったら、すっごい可愛かったのー」

結標 「へー、どんな制服だったの？」

フレメア 「アレは……アレは大体何色？」

打ち止め 「……もずく？」

黒夜 「もずくって……」

白井 「分かりはしますが、もう少し綺麗な例えは」

フレメア 「んーと……ヨモギもち？」

打ち止め （ネットワークに問い合わせ、ってミサカはミサカは特権を行使してみたり）ﾐｮﾝﾐｮﾝ

婚后 「ああ、大体想像できましたわ」

打ち止め 「出た！　#006600！　のブレザー！」

絹旗 「余計分かりませんって！」

白井 「お洒落な制服ですのね。街中で目立つのでは？」

黒夜 「常盤台が言うかよ」

結標 「まあ、常盤台だし」

打ち止め 「で、絹旗。中学校ってどんなところ？」

絹旗 「そうですね。まず、超おっかない寮監がいて、学校全体がちょい百合で」

黒夜 「それ常盤台の話だろ」ﾓｷﾞｭﾓｷﾞｭ

結標 「常盤台みたいな難関お嬢様学校だと参考にならないんじゃない？」

婚后 「それはお二人がどちらに進まれるかによるのでは？」

黒夜 「で、どこ行くの？」

フレメア 「大体、家から一番近い学校」

打ち止め 「私も私も」

絹旗 「さっき制服の話も出てましたけど、二人は超同じ中学校になる予定だったりするんですか？」

フレ止め 「「そうだよー」」

白井 「あぁ、常盤台に来て頂けるなら、わたくし留年してでも」ｸﾈｸﾈ

絹旗 「あの青い人みたいなこと言わないでくださいよ」

結標 「他に体験談とか話してあげたら？　今年の話とかさ、一年の締め括りにちょうどいいんじゃない？」

白井 「そうですわね……では、これはわたくしの友人のＫ旗さんが体験したお話なのですが」

絹旗 「」ﾌﾞｯ

黒夜 「Ｋ旗……さてさて、誰のことだ？」

　*** 回想　第７学区　常盤台中学にて ***


Ｋ旗 「」ﾄﾃﾄﾃ

女子A 「あ、せんぱーーい！　やっと見つけましたよー！」

Ｋ旗 「げっ」

女子A 「見てください！　新しい猫耳作ってきたんです！　今度はもさもさ仕様です！
　　　　　しかも前回の失敗を踏まえて、予め採取した先輩の髪の毛を元に毛色も合わせてきました！」

Ｋ旗 「何してんですか！？」

女子A 「さあ、どうぞ！　ぜひどうぞ！」ｽﾞｲ

Ｋ旗 「超イヤですよ！」

女子B 「あ、先輩発見。今日も小さくて可愛いなー」ﾓｯﾌﾓｯﾌ

Ｋ旗 「わ、ちょ、やめてくださいってば」

女子C 「隙あり！ 唸れ上昇気流！」ﾋﾞｭｫｫｫ

Ｋ旗 「いやぁぁぁぁ！？」ﾊﾞｻｧｧｧ

女子C 「今日の模様はしましまですか。いやー、良いもんですなぁ」ｳﾝｳﾝ


　*** ここまで ***

フレ止め 「「」」

結標 「それ、実話なの？」ﾓｸﾓｸ

白井 「紛れも無い実話ですの。少し離れたところから見ておりましたので」ｸﾋﾟｸﾋﾟ

絹旗 「なんで止めてくれなかったんですか！」

黒夜 「あれあれ？　Ｋ旗ってもしかして絹旗ちゃんのことなの？」

絹旗 「超ノーコメントで」

婚后 「絹旗さん、後輩から好かれているとは聞いておりましたが本当でしたのね」

絹旗 「今の話の主役が私とは超限らないです、私とは」

打ち止め 「女子高ってどこもそんなものなのかな？」

黒夜 「今の話聞いた限りだと、単に小さくて可愛くてしましまなのが好きってだけだろ？」

結標 「そうそう、白井さんレベルまで拗らせちゃった人はそんな多くないわよ」

絹旗 「小さくて可愛くてしましまってなんですか！」ﾑｷｰ

白井 「拗らせたとはなんですか！」ﾑｷｰ

フレメア 「大体、絹旗のは褒めてるように聞こえるけど」

ショチトル 「飲み物追加いる人」

黒夜 「ドクペ」

絹旗 「ファンタグレープで」

ショチトル 「……すまない。ちょっと待っててくれ」ｺﾂｺﾂ

婚后 「それにしても、彼女のエプロンの初心者マークはいつとれるのでしょうね」

結標 「さあ？　店長次第じゃない？」

白井 「彼女は、バイトを初めてどれぐらいに？」

結標 「４ヶ月とちょっとかしら」

ショチトル 「今用意できるのはこれだけなんだ。この中から頼む」ﾍﾟﾗｯ

黒夜 「えー、ドクペねーじゃん」

ショチトル 「あるワケがないだろう。あんな美味しくもないもの」

黒夜 「」

絹旗 「ですよねー」

打ち止め 「オレンジジュース一つ！」

フレメア 「私も私も」

ショチトル 「了解した」

＜ﾔｲﾉﾔｲﾉ
＜ﾜｲﾜｲ


海原 「しかし、彼女らも中学ですか……いやはや、時が経つのは早いものです」

番外個体 「年が開けたら色々物入りになるね、ちゃんと準備してる？」ｶﾁｬｶﾁｬ

一方通行 「今やれる範囲はな」

浜面 「でも、小さい方の姐さんは確かLEVEL3だろ？　その気になれば常盤台も狙えたんじゃね？」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

一方通行 「ンなの俺が決める話じゃねェだろ」

番外個体 「二人で話してね、本人がやりたいようにさせようってことにしたんだよ」

滝壺 「うちと同じなんだね」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

海原 「ご本人の意思を尊重しておられるということですね」

浜面 「にしても、こうやってみると……小さい方の姐さんも背伸びたよな。フレメアが悔しがってたぞ」

滝壺 「みさわが背高いほうだから。背伸びるの早いんじゃないかな」

番外個体 「本人的には絹旗さんが目標らしいけどね」ｹﾗｹﾗ

一方通行 「ま、チビガキ相手じゃ追い越すのも時間の問題だろ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

滝壺 「きぬはたはもう縦方向の成長止まってるっぽいしね」

絹旗 「なんでですかー！」ﾄﾞｰﾝ

浜面 「おわぁ！？　いきなり現れるな！」

絹旗 「成長が超止まってるなんて言わないでくださいよー！」ﾑｷｰ

海原 「ですが絹旗さん、初めてお会いしたときから背伸びてませんよね？　もう彼是１年半ぐらい」

絹旗 「」

番外個体 「それでいいんだよ、150cm超えたら絹旗さんじゃなくなっちゃうから」ｹﾗｹﾗ

絹旗 「なんですかそれ！」

滝壺 「大丈夫だよ、小さいきぬはたも私は応援してる。それにほら」ﾓﾆｭ

絹旗 「ひゃん！？」

浜面 「」ﾌﾞｼｭｰ

滝壺 「こっちは成長してるみたいだから大丈夫」ｳﾝｳﾝ

絹旗 「」

海原 「ﾓﾆｭﾓﾆｭしてもらうと育つとはよく言いますよね」

一方通行 「適度に刺激を与えるのは効果的かもしれねェけどな」

滝壺 「じゃ、きぬはたも適度に刺激しよう」

番外個体 「まー、彼氏にでも協力してもらうんだね」

絹旗 「いませんよ、すいませんでしたね」ｹｯ

番外個体 「じゃ白井さんに開発してもらえば？」

絹旗 「なんでですか！　そっちの趣味は超ないです！」

滝壺 「よし。きぬはたの来年の目標は彼氏を一人以上作ること」

絹旗 「以上って、二股前提じゃないですか、私はそんな超足軽じゃないですよ」

一方通行 「足軽かよ」

浜面 「尻軽って言いたいのか？」

絹旗 「誰が尻軽ですか！」ﾎﾟｶｯ

浜面 「ﾝｺﾞｫ」

絹旗 「なんですか、よってたかってみんなして。お相手がいる人の超余裕ってヤツですか」

番外個体 「絹旗さんがいじり甲斐があるなぁ」ｹﾗｹﾗ

一方通行 「オイ、程々にしといてやれよ？　泣いちまうぞ？」ﾆﾖﾆﾖ

海原 「変なところで似てますね、お二人は」

絹旗 「滝壺さーん、そこのドSカップルが超ひどいんですー」

滝壺 「大丈夫だよ、二人も悪気はないから、多分」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

一方通行 （どっちかつゥとMなンだけどな）ｽﾞｽﾞ...

浜面 「でも絹旗は黙ってれば可愛いと思うけどな。チャンスぐらいあるだろ？」

海原 「なんでこの手の人は素でこんな発言するんですかね」

浜面 「え？　俺なんかマズイこと言った？」

絹旗 「だっ、だ、黙ってればは超余計です！」ﾌﾟﾝｽｺ

番外個体 「で、なんか用事があったんじゃないの？」

絹旗 「あ、そうだ。ケチャップないですか？」

番外個体 「ケチャップケチャップ……」ｶﾞﾁｬ

ショチトル 「マスター、そろそろ次の品に手を付けたほうがいいと思う」

番外個体 「そうだね。じゃ、油あたためておいて」

ショチトル 「了解した」

番外個体 「はい、ケチャップ」

浜面 「お？　瓶詰なんて珍しいな」

滝壺 「なんかおいしそう」

絹旗 「超すいません、ちょっとお借りします。あ、滝壺さんも向こうに混ざりましょうよ」ｸﾞｲｸﾞｲ

滝壺 「そうだね、ケチャップおいしそうだし」


＜超お待ちどう様です。
＜おせぇ！
＜うっさいです！


ショチトル 「油の準備はできているが」

浜面 「油つうことは、またなんか揚げんのか？」

番外個体 「うん。揚げれば完成のヤツを何種類か用意してるからね」

一方通行 「肉」

番外個体 「あとで出るから。じゃ、ナゲットとエビフライね」

ショチトル 「ありったけ揚げればいいのか？」

番外個体 「うん、じゃんじゃんやっちゃって」

ショチトル 「了解した」

番外個体 「さてー。こっちも出しちゃうかねー」ﾊﾟｶｯ

一方通行 （炊飯器、か……懐かしいと思っちまった。ガラじゃねェな）

海原 「おや、いい匂いですね」

浜面 「この匂いはケーキか？」

番外個体 「正解♪」ｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝ

一方通行 「何やってンだよ」

番外個体 「逆さまにして叩いてさ、中身出そうとしてんじゃん……結構粘ってんな」ｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝ

一方通行 「貸せ」ｶﾁｯ

番外個体 「？」

一方通行 「」ﾂﾝﾂﾝ


　　ﾎﾞﾌｯ


海原 「お見事です」

浜面 「お、すげぇ。王様みたいなホットケーキだな」

ショチトル 「完成品はなかなか迫力があるな」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

番外個体 「こういう場ではお勧めだよ。見栄えするからね。じゃ、ちょっと行ってくる」ｶﾁｬｶﾁｬ

ショチトル 「こちらはもう少し時間がかかりそうだ」ｼﾞｭﾜｼﾞｭﾜ

番外個体 「はーい、そこのおまいらー。お次の品でーす♪」ｺﾞﾄｯ

フレメア 「なにこれすごい！」

打ち止め 「炊飯器ケーキ、すごいでしょ」ﾌﾝｽ

結標 「こんなこともできる炊飯器が売ってるのね……」

滝壺 「普通の炊飯器でも意外といろんなことできるよ」

婚后 「これはレシピを知りたいですが……一人では食べきれませんわね」

番外個体 「じゃ、食べる前にちょっと失礼。カウンター組の分、少しもらってくね」ｽﾊﾟｯ

白井 「そんな量でよろしいので？」

黒夜 「大丈夫だ、問題ない」

絹旗 「なんであなたが言ってんですか」

番外個体 「あとはお好きに切り分けて。お好みでこれつけてどうぞ♪」ｶﾁｬｶﾁｬ

フレメア 「私ジャムにしてみる」

打ち止め 「じゃ私はチョコレートソース！」

婚后 「ではわたくしが切り分けて差し上げますわね」ﾁｬｷｯ

結標 「あ、ねぇ」

番外個体 「ん？」

結標 「飲み物もらっていい？」

番外個体 「バリウムね、おっけー」

結標 「なんでよ。ジンジャーエールお願いね」

黒夜 「私も私も」

婚后 「あ、すみません。アイスティーを一つで」ｽﾊﾟｽﾊﾟ

番外個体 「以上？……以上だね、少々お待ちー」

絹旗 「おー、すごい。中ふわふわじゃないですか」

白井 「あたたかいのは、炊飯器で保温してたからですのね」

婚后 「これでよろしいですか？」

打ち止め 「ありがとー」

フレメア 「」ｼﾞｰ...

打ち止め 「？」

フレメア 「そっちのが大体おっきくない？」

婚后 「同じになるようにいたしました」

フレ止め 「「♪」」ﾊﾑﾊﾑ

黒夜 「なんだ、デカイだけで味は普通のホットケーキじゃんか」

白井 「あら、辛辣ですのね」

滝壺 「この大きさで、中までちゃんと焼けてるのはすごいと思うけど」ﾊﾓﾊﾓ

黒夜 「たしかに……厚さは１０cmぐらいあるもんな」

絹旗 「黒夜、ケチャップありますよ」

黒夜 「テメェが使ってろ。ホットケーキならマーガリン一択だろ」

絹旗 「えっ？」

黒夜 「えっ」

絹旗 「メープルシロップじゃないんですか」

黒夜 「やだよ、ベタベタするもん」

白井 「まだ熱いですから、このままでも十分おいしいですの」ﾏﾌﾏﾌ

婚后 「外側のサクサク感と内側のマフマフ感は絶妙ですわね」ﾏﾌﾏﾌ

滝壺 「ねー、はちみつないかな」

結標 「口の周り、ベタつかない？」

滝壺 「気にしない」ﾌﾝｽ

番外個体 「はい、どうぞ」ｺﾄｯ

フレメア 「私も使ってみていい？」

結標 「服に零さないようにしてね」

打ち止め 「♪」ﾊﾑﾊﾑ

婚后 「まあ、大変！　口の周りがチョコレートだらけではないですか！」

白井 「」ﾋﾟｸｯ

打ち止め 「ありゃりゃ」

婚后 「早く！　こちらで早くふき取ってください！」

打ち止め 「え、でも……ハンカチ汚れちゃうよ？」

黒夜 「何を慌ててんだよ」

白井 「こ、ここはわたくしがふき取って差し上げます！　もちろんくｔ」

絹旗 「ちぇすとぉぉぉ！」ﾄﾞｺﾞ

白井 「」ﾋﾟﾖﾋﾟﾖ

結標 「ほら、今の内に」

打ち止め 「う、うん」ﾌｷﾌｷ

ショチトル 「そうだ、済まない。ナプキンを出し忘れていた」

結標 「あと５秒早ければね……」

ショチトル 「？」

打ち止め 「こ、これ……あの……洗って、返すから」

婚后 「いえいえ、お気になさらず」

打ち止め 「でも、このハンカチ、すごいふわふわ。なんか高そう」

婚后 「安物ですから」

黒夜 「お嬢の言う安物ハンカチっておいくら？　２万円ぐらい？」

絹旗 「いや、２万と２千円で」

滝壺 「２万２千円。他には？」

白井 「小さい大きいお姉様がお口を拭いたハンカチなら、５万円ですの！」ﾊﾞﾝ

滝壺 「５万円。他には？」

婚后 「え、あの」

フレメア 「オークション？」

結標 「オークションにだって使用済みハンカチなんか出さないわよ」ﾊｧ

＜６万！
＜６万５千！
＜いい加減になさい！


浜面 「ほらほら、参加しねぇの？」

一方通行 「たかが悪ふざけだろ。アホらしい」

海原 「５０万！」

一方通行 「オイ」ｷﾞﾛﾘ

ショチトル 「こら」ｷﾞﾛﾘ

海原 「失礼、冗談がすぎました」

ショチトル 「まったく……マスター、これでほぼ全部だ」

番外個体 「お疲れお疲れ。じゃ、味見してもらおうかなー」ﾁﾗｯ

ショチトル 「あ、まだそれは」

番外個体 「はい、あーん」

一方通行 「お、オイ待て。それまだ油切ってねェだろ」

番外個体 「うん、もう、油からあげたばかりのアッツアツ♪」

一方通行 「いや、だからな」

海原 「いけませんね、一方通行さん」

浜面 「あーんを拒むなんて、男の風上にもおけねぇやな」

番外個体 「ショチトルが熱いのを耐えて揚げてくれたんだよ？　それをないがしろにするの？」

海原 「一方通行さん、これ以上は宣戦布告と受け取りますが」ﾆｺﾆｺ

ショチトル （目が笑ってない……）

一方通行 「……」ﾊﾟｸ

一方通行 「～～～～～～！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

番外個体 「はいはい、他の野郎どもも自分が食べる分とっちゃってね」

浜面 「失礼します！」ﾋｮｲﾋｮｲ

海原 「では少しばかし」

一方通行 「み、水くれ、水」

ショチトル 「済まない、なんか」ｺﾄｯ

一方通行 「いや。オマエが悪いワケじゃねェよ……」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

番外個体 「おいしいみたいでよかったよかった♪」

浜面 「なあ、マスタードないか？」

ショチトル 「粒マスタードでよければあるが」

浜面 「上等上等」

ショチトル 「はい」ｺﾄｯ

海原 「あ、使い終わったら貸していただけますか」

浜面 「おお、置いとくぜ」ｺﾄｯ

番外個体 「ね、お皿にレタスしいて」

ショチトル 「了解した」

海原 「しかしあなたも、大分慣れたようですね」

ショチトル 「もう数ヶ月経つからな、おかしいことではない」

浜面 「そろそろ噂になるかもな。エキゾチック可愛い店員さんがいる店とかさ」

海原 「いいですね、どこかに書き込みましょうか」

ショチトル 「やめろバカ！」

番外個体 「今でこそ落ち着いた感じだけどさ、バイト始めたころはすごかったんだよ？」

一方通行 「なンかあったのか」ﾋﾘﾋﾘ

番外個体 「ほら、あの頃ってまだ残暑厳しい時期だったでしょ？」

海原 「ええ、８月の半ばでしたね」

番外個体 「暑かったからね。タンクトップにショートデニム、スニーカーって服が多かったんだけど」

浜面 「まあ、今時の若い子ならそれぐらいは普通じゃないか？」

一方通行 「もっと面白おかしい恰好してるヤツなンざいくらでもいるだろ」

番外個体 「でもその服でさ、エプロンつけるじゃん？　前から見ると裸エプロンなんだよ」ｹﾗｹﾗ

ショチトル 「」

番外個体 「入ってきたお客さんが一瞬"え？"って顔するんだよねー」

ショチトル 「そ、その話は初めて聞いたぞ！？」

番外個体 「暑いししょうがないかー、と思ってたし」

海原 「ま、まあ……来年の夏は気を付けましょうか」

ショチトル 「……日本の夏が悪いんだ。気温は高くない分際でまとわりつくような暑さで」

浜面 「湿度がなー、あるからなー」

一方通行 「暑さなンざ反射してりゃいいだろ」

番外個体 「みんなできるならやってるっての。よしできた、ちょい行ってくるねー」

番外個体 「はいはーい。お次の品ですよー」ｺﾞﾄｯ

黒夜 「！」ｶﾞﾀｯ

絹旗 「このしっぽは、もしかしてエビですか！？」

番外個体 「うん、ミニだけど。……あ、そっか。忘れてたけど絹旗さんの」

黒夜絹旗 「「エビフラーーーイ！！」」ﾋﾟｬｰ

婚后 「これは大変ですわね。凄絶な取り合いになってしまいますわ」ｸｽｸｽ

結標 「ほら、二人も。のんびりしてると食べれなくなっちゃうかもよ？」

打ち止め 「むむむ」

フレメア 「大体負けられない！」

白井 「それではわたくしはお二人のお味方に」ﾋｭﾝﾋｭﾝ

打ち止め 「あ、エビフライがとんできた！」

黒夜 「おい、ちょっとズルイ！」

絹旗 「負けませんよ。こっちには超結標さんがいますからね！」

結標 「残念、私は中立よ」

滝壺 「あ、きぬはた。ケチャップ貸して」

絹旗 「あ、は、はい、どうぞ」

黒夜 「」ﾋｮｲﾊﾟｸ

婚后 「大皿から直に口に運ぶのは関心いたしませんわね」

黒夜 「いいだろ、別に。今はマナー対決とかじゃないんだから」

婚后 「対決関係なしに、普段から心掛けて頂きたいものですが」ﾊｧ

結標 「そうね、とりあえずこの子たちの前で変なマネはしてほしくないわ」

フレ止め 「「？」」ｻｸｻｸ

滝壺 「きぬはた、お手本になれとは言わないけど、最低限のとこはちゃんとしてね」

絹旗 「う、わかりました」

黒夜 「あ、そっか何か足りないと思ったら……マスター、タルタルソースないのー？」


＜ないよー


黒夜 「」ｼｮﾎﾞﾝ

絹旗 「そのままでも超おいしいですってば」ｻｸｻｸ

ショチトル 「ちょっといいか？」

白井 「はい、どうかされました？」

ショチトル 「空いた皿とグラスを回収したいのだが」

結標 「じゃ、トレイ構えといて」

ショチトル 「」ｽﾁｬ

結標 「始めるわよ」ﾋｭｯ


　　ｶﾁｬｶﾁｬｶﾁｬｶﾞｼｬﾝｶﾁｬｺﾄｯｺﾄｯ


ショチトル 「……はい、たしかに」

打ち止め 「おーー」

フレメア 「大体手品みたい」

結標 「ふふ、すごいでしょ」ﾌﾝｽ

白井 「素晴らしいでしょう、の間違いでは？」

結標 「ちょっと、人の黒歴史を引きずり出すのは反則よ」

黒夜 「あ、ついでにコーラ頼んでいい？」

ショチトル 「他には？」

打ち止め 「牛乳飲みたいかも」

フレメア 「冷たいお茶欲しい、にゃあ」

滝壺 「じゃ、私も冷たいお茶」

白井 「すみません、アイスコーヒーを一つ」

ショチトル 「了解した」

結標 「ねー、サラダとかないのー？」

ショチトル 「その内出てくる、待っていてくれ」



ショチトル 「マスター、洗い物なのだが」

番外個体 「あ、私やっとくよ。頼まれたもん用意しといて」

ショチトル 「了解した」

番外個体 「あれ？　こんな欠けたお皿あったっけ？」

ショチトル 「……」

番外個体 「まあ、いいや。これはもう使えないね。危ないし」

～しばらくして～


浜面 「おし、そろそろ始めるか」

番外個体 「お、あれいっちゃう？」

海原 「みなさん、今から浜面さんのボディビルショーが始まるそうですよ」


＜いらねー！
＜帰れ！
＜はまづら、早く早く。
＜超くたばれ！


浜面 「おい、海原」

海原 「場を盛り上げようかと」

番外個体 「顔隠せばいいんじゃない？　首から下はアスリート並なんだし」

浜面 「姐さんヒドイ！」

一方通行 「じゃ首とっかえるか？　海原と」

ショチトル 「や、やだ！　それはやめて！」

浜面 「そこまで嫌がるのかい」

海原 「で、何が始まるんです？」

浜面 「こいつだ！」ｼﾞｬｼﾞｬｰﾝ

一方通行 「なンだこりゃ。魔法陣か？」

浜面 「違ぇ、ビンゴのカードだよ。滝壺、そっち回してくれ」

滝壺 「はい、一人一枚だからね」

フレメア 「何かもらえるの？」

滝壺 「ええと、たしか、５等までは商品があるはずだよ」

黒夜 「漲ってきたぁ！　私が全部頂いてやる！」

絹旗 「それ、ルール的にありなんですか？」

浜面 「ナシに決まってんだろ。カードと景品は引き換えだ」

黒夜 「えー」

婚后 「まあ、当然のルールですわね」

浜面 「ちなみに、商品は会費から買った。だからそれほど豪勢ではないぞ」

絹旗 「ペアで行く７泊８日オーストラリアの旅とかではないということですね」

白井 「ロマン溢れるなにがしより、ダイヤモンドファッションリングとかではございませんの」

結標 「さすがにそこまでは期待してないわよ」

絹旗 「浜面ですしね」

浜面 （くそう、一緒になって景品選んだくせに）

打ち止め 「ねー、この真ん中のはなに？」

滝壺 「フリーエリアだね。そこは最初から空けてていいの」

フレメア 「えい」ﾄﾞｽｯ

浜面 「よーし、ルールを説明するぞ。縦横斜めどれか、３列揃った段階で」

番外個体 「え、３列？」

ショチトル 「多くないか？」

浜面 「やっぱ多いか……？」

滝壺 「ねえ、３列が一番早く揃うのって何回目で、確率はどれぐらいかな？」

一方通行 「…………」ｶｼｬｶｼｬﾁｰﾝ

一方通行 「気にするのはやめとけ。バカらしいぐらいに低確率だ」

番外個体 「１列だったらどうなの？　最低４回で揃う確率は？」

一方通行 「……」ｶｼｬｶｼｬﾁｰﾝ

一方通行 「揃うは揃うだろォが、現実的じゃねェぞ？」

浜面 「んじゃとりあえず、１列にしとくか！」

婚后 「ところで、数字はどうやって選出を？」

絹旗 「普通だったら、あのガラガラみたいのありますよね」

浜面 「あー、それな。予算の関係で用意できなかったから」ｶﾁｶﾁ

フレ止め 「「？」」

浜面 「これを使う！　携帯アプリだ！」ｼﾞｬﾝ

黒夜 「うわ、ショボ」

浜面 「何を言うか！　こいつはよくできてるんだぞ！」

絹旗 「でもやっぱ、玉がコロコロ出てくる方が盛り上がりませんか？」

滝壺 「まあ、しょうがないよ。あれ結構高かったし」

白井 「代用がきくのなら問題ないのでは？」

浜面 「そうだそうだ。これ思いつく前はもっと酷かったんだぞ」

結標 「どう酷かったのよ」

浜面 「チラシを切って、数字を書いて、ティッシュの空箱に入れてた」

一方通行 「そりゃねェわ……」

海原 「よかったですね。それ出てきてたら、確実に盛り下がってました」

浜面 「ルールは以上！　んじゃ始めるぞー！」

ショチトル 「マスター。私たちにもカードが配られたのだが」

番外個体 「ま、折角だし。やっとこうか」

一方通行 「期待はしないでおいてやる」

フレメア 「絹旗には！」

打ち止め 「負けない！」

絹旗 「なんで私が超敵対視されてるんですか！？」

婚后 「身長の話では？」

絹旗 「いくら婚后さんでも怒りますよ」

黒夜 「浜面ちゃーん、もし私に当たり引かせなかったら窒素爆槍飲ませるからヨロシク」

浜面 「んなの俺の意思で制御できねぇよ！！」

結標 「普通に玉出てくるやつだったら、操作できたかもしれないのに」

白井 「結標さん、ズルはなしですの」

浜面 「よーし、記念すべき第一の数字は」ﾋﾟｯ


　　【携帯】＜ﾋﾟﾛﾋﾟﾛﾋﾟﾛ


浜面 「出ました！」

黒夜 「さあ、何番だ？」

浜面 「６１番！」

黒夜 「」

フレメア 「空いたー！」

打ち止め 「あ、角っこだ。なんか嬉しい」

結標 「真ん中が空いてる分、一列は揃えやすいかもね」

絹旗 「いやいや、超ここからですよ。後半になればなるほど思うようにいかないですから」

浜面 「ま、勝負は時の運だからな。おーし、次行くぞ」ﾋﾟｯ


　【携帯】＜ﾋﾟﾛﾋﾟﾛﾋﾟﾛ


浜面 「イチバーン！」

番外個体 「アックスボンバーの人？」

一方通行 「なンでンなこと知ってンだよ」

黒夜 「……」

白井 「残念、一番はございませんわね」

婚后 「それは残念でしたわね」ｸｽｸｽ

白井 「婚后さん、貴女まさか……」

滝壺 「あ、もうリーチのリーチだ」

婚后 「一向聴ですわね♪」

ショチトル 「……どういう意味なんだ？」

海原 「麻雀の用語ですよ。リーチのリーチと考えておけばよろしいかと」

浜面 「展開が早いな。だが、お前ら諦めんなよ！」ﾋﾟｯ


　【携帯】＜ﾋﾟﾛﾋﾟﾛﾋﾟﾛ


浜面 「３４番！」ﾋﾞｼｨ

黒夜 「なんで当たらないんだよぉぉ！」

絹旗 「黒夜、暴れるのは超ナシですよ」

黒夜 「わかってるよ……他ならともかく、ここじゃ絶対暴れられない」

結標 「あら、何か怖いものでもあるの？」

黒夜 「そりゃぁ……」

ショチトル 「マスターのことだろう。マスターは既に彼女の身体の支配権を掌握しているからな」

一方通行 「どォいうことだ？」

番外個体 「こういうこと」ﾋﾞｯ

黒夜 「！？　お、おい、やめろやめろ！　なんもしてないだろ！」ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

滝壺 「そっか。回路に干渉してるんだね」

番外個体 「”迷惑客には情け不要”、コレ、私の先代から続くここのルールなんだよね」ｸｽｸｽ

ショチトル 「まあ、彼女は一度ひどい目にあったということだ」

絹旗 「なにやらかしたんですか……」

黒夜 「ごめんなさい……」ｸﾞｽ

打ち止め 「ね、それ私にもできるかな？」

番外個体 「よしよし、今度教えてあげよう♪」

黒夜 「やめてぇぇぇぇぇ！」

浜面 「落ち着いたところで次に行くとしようか！」ﾋﾟｯ


　【携帯】＜ﾋﾟﾛﾋﾟﾛﾋﾟﾛ