#6 きぬくろ七番勝負!(前編) の続きです

元スレ
絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」~その3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1319119660/

※関連記事
【本編シリーズ】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 【前編】 【後編】 【おまけ短編集】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その2号室 【前編】 【後編】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その3号室 【本編】 【番外編】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その4号室
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その5号室
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その6号室 【前編】 【後編】 【幕間】
絹旗「きぬはた荘、ですか?」滝壺「うん」 その7号室
【番外編】
絹旗「……超暑いです」白井「沖縄ですし」 【前編】 【後編】
【アフター】(当SSシリーズ)
絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」
#0 プロローグ
#1 とある秋風の休日模様
#2 子どもができたら名前を考えないとね
#3 絹旗・白井のあの人はいま!
幕間1 婚后さん帰国の日
#4 トライアングル△トーク
#5 新約・温泉に行こう
#6 きぬくろ七番勝負!(前編)

※注記
『絹旗「きぬはた荘、あふたー!」白井「あふたー?」』は2013年10月時点で未完結です。

629 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:39:42.61 9gH47bQuo 109/267



~翌日 第7学区 とある路地~


黒夜 「絹旗ちゃん、服返すの洗濯してからでいい?」

絹旗 「いいですよ、いつでも。どうせすぐには着ないですから」

黒夜 「あ、絹旗ちゃんが洗濯しないでそのままの方がいいって言うなら」

絹旗 「超さっさと洗ってきやがれです」

黒夜 「じゃそうさせてもらうわ。……んで、今日はなんなの?」

絹旗 「さあ……超相変わらず時間と場所しか教えてもらってませんから」

黒夜 「ここが待ち合わせポイントだよな」

絹旗 「ええ。それで今日の当番の方がいるハズで」

黒夜 「誰だろうな」

浜面 「俺だぁ!」

絹旗黒夜 「「……」」

絹旗 「もっと超力強く!」

浜面 「俺だぁぁぁぁ!!」


630 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:40:35.70 9gH47bQuo 110/267


黒夜 「愛を訴えるように!」

浜面 「滝壺、俺だぁぁ!」

絹旗 「歌舞伎風に」

浜面 「あ、この俺様よぉ!」

黒夜 「ワンピ風に」

浜面 「俺だぁ!」ドドン

浜面 「って何やらしてんだ、お前らは!」ペシッ ペシッ

絹旗 「いたっ」

黒夜 「ふぎゃ」

浜面 「という訳で、俺だ」

絹旗 「浜面、また運転手ですか。超ご苦労です」

黒夜 「で、車はどこ? さっさと乗っちゃいたいんだけど」

浜面 「違うから! 今日の審判はなんと俺だから!」

絹旗 「えー、なんで浜面なんですか」


631 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:42:20.25 9gH47bQuo 111/267


浜面 「いや、俺も場違いじゃないかと思ったけどよ……滝壺から」


  ――はまづらが入ったら丁度7人だから。


浜面 「って言われてな」

黒夜 「つまり数合わせか」

絹旗 「やっぱり浜面は超浜面です」

浜面 「俺すげぇ。始まってから5分も経ってないのにこの言われ様だよ」

絹旗 「私、不戦敗でいいんで今日は帰りますね」

浜面 「おいおい」

黒夜 「絹旗ちゃんが帰ってどうすんだよ。だったら私が帰るよ」

絹旗 「いや、私が」

黒夜 「いやいや、私が」

浜面 「あ、だったら俺が」

絹旗黒夜 「「どうぞどうぞ」」

浜面 「お前ら息ピッタリだな! 実は二卵性双生児だろ!」


632 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:43:21.82 9gH47bQuo 112/267



~同日 第7学区 とある廃ビルの一室~


絹旗 「なんだかんだ言って来ちゃったワケですけど」

浜面 「ま、絹旗は口では色々言うけど身内や仲間にゃ甘いからな」

絹旗 「」ポカポカ

浜面 「痛い痛い」

黒夜 「で、ここはなんなの? ボロビルにしか見えないけど」

浜面 「あー、お前らさ。俺が元々スキルアウトの一員だったのは知ってるか?」

絹旗 「知ってますよ。いつも"俺はボスだったんだYO"って超自慢してたじゃないですか」

黒夜 「へえ、そうなんだ」

浜面 「俺、自慢してたか……? ま、ともかく、ここはその頃使ってたアジトの一つだ」

絹旗 「随分ホコリ溜まってますけど」ツー...

浜面 「今となっちゃ近づく人間もいないだろ」

黒夜 「ま、ここがどういうとこなのかは分かったけど。こんなところで何やんの?」

浜面 「詳しいところはこれから説明する。その前にだ」

絹旗黒夜 「「?」」


633 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:44:24.19 9gH47bQuo 113/267


浜面 「お前ら、今日の持ち物全部、ここに置いていってくれ」

黒夜 「はあ? なんで?」

浜面 「勝負の公平性を保つために預かるだけだ。帰るときにそのままお返しする」

絹旗 「携帯もですか?」

浜面 「むしろ携帯を持たれてたら困るな」

黒夜 「まあ、分かったよ」

絹旗 「ちゃんと後で返してくださいよ」

浜面 「なくなってるモンがあったら殴るなり弁償させるなりすればいいさ。全面的に応じるぜ」

黒夜 「つっても財布と携帯とハンカチぐらいしかないな」

絹旗 「カバンと……超ほとんどこの中です。あとはパスケースぐらいですね」

浜面 「じゃ、本当に出したかどうか身体検査を」

絹旗黒夜 「「殴るぞ」」

浜面 「ハイ、スミマセン」

黒夜 「そんで次は?」

浜面 「じゃ、絹旗。とりあえずこの部屋で待機しててくれ」


634 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:45:14.31 9gH47bQuo 114/267


絹旗 「このドアですか」ガチャ

浜面 「あ、そうそう。今日のルールでな、能力使ってなんかしたら即失格だからな」

絹旗 「……分かりました」

黒夜 「何が始まるってんだ」

絹旗 「超普通の部屋ですけど」


<バタン


絹旗 「え?」トテテテ

絹旗 「あ、あれ? 開かない? え?」ガチャガチャ

絹旗 「浜面! これはどういうつもりですか!」

絹旗 「浜面ー!」ドンドン



<開けてくださいー!
<ドンドン


黒夜 「いいのか?」


635 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:46:20.99 9gH47bQuo 115/267


浜面 「今はいいんだ。で、黒夜。お前はこっちの部屋」

黒夜 「私も監禁されんの?」

浜面 「ま、そんなところか?」

黒夜 「誰かーーー! 誰か助けてーーーー!!」

浜面 「」

黒夜 「スキルアウトに監禁されてあんなことこんなことされちゃうーーー!!」

浜面 「しねぇっての!」ガシッ

黒夜 「モゴッ」

浜面 「なんもしないから、入って待ってろ」ポイッ


<バタン


黒夜 「……」

黒夜 「」ガチャガチャ

黒夜 「開かない……よな。やっぱり」

黒夜 「こんなドアなら簡単にブチ破れるけど……能力使ったら失格だもんな」


636 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:47:33.07 9gH47bQuo 116/267


絹旗 「なんだっていうんですか、いったい」

絹旗 「…………早く開けてくださいよ」


<あ、あー、マイクのテスト中。


絹旗 「?」


<よし、お前ら!今日のルールを説明するぞ!
<この先生き残るためには何が必要か?
<俺は洞察力、行動力、判断力、そして咄嗟の閃きと考える。


絹旗 「……」

絹旗 「多いでしょ」


<それが備わっているかどうか、が今回の勝負のキモだ。
<お前らは、能力以外の全てを総動員してその部屋から脱出してもらいたい。
<つまり、今回の勝負は密室脱出ゲームだ!


絹旗 「先に脱出した方が勝ちってことですか」

絹旗 「だから持ち物没収ですか……超なるほどです」


637 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:48:51.22 9gH47bQuo 117/267



<制限時間は日没まで、つまりあと6時間強ってところだな。


黒夜 「なるほどねぇ。そういうことか」

黒夜 (やることなくてネットの脱出ゲームやりまくってた私有利♪)


<さあ、勝負はもう始まってるぞ。
<おい絹旗、いつまで壁の角っこで体育座りしてんだ。


黒夜 「」ブフッ

黒夜 「……やべ、想像したら萌えた」

黒夜 「よしよし、始めるか」

黒夜 (こういうのはまず、難しいことは考えず虱潰しに調べまくるのが定石なんだよな)

黒夜 「目立つもんは机、ベッド、冷蔵庫……そんぐらいか」

黒夜 「元々はスキルアウトのアジトだしな。隠し扉とかあるかもしれないな」

黒夜 「……ん?」

黒夜 (天井に何かあるな……ありゃなんだ?)


638 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:50:20.48 9gH47bQuo 118/267



~その頃~


絹旗 「さて、何からしましょうか……」

絹旗 「とりあえず出口ですね。入ってきたドアを超調べてみましょうか」トテテテ

絹旗 「……」

絹旗 「」ガチャガチャ

絹旗 「開かない……」

絹旗 「」ペタペタ

絹旗 「上下左右、紙一枚差し込む隙間も超ないですね……」

絹旗 「んー……あ」

絹旗 「鍵穴……?」ツンツン

絹旗 (鍵穴があるということは、鍵もどこかにある……?)

絹旗 (どの道、今の段階でドアはどうにもならないですね)

絹旗 「部屋の中を超探索してみましょうか……とりあえず気になるのは」

絹旗 「机の上に、これ見よがしにあるノートPCですね」


639 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:51:22.85 9gH47bQuo 119/267


 :
 :
 :

浜面 「」←モニター中

浜面 「ふふふ、二人とも頑張っておるな」

浜面 「だが、一筋縄ではいかんぜ」

浜面 「ネタ集めのために古今東西の脱出ゲームをプレイし」

浜面 「時間をかけて準備したこの"密室"、そう簡単には破れんよ」

浜面 「しかも、しかもだ」

浜面 「他の連中、揃いも揃ってLEVEL4の頭脳を持つ奴らがアイディアを出し合ってくれた!」

浜面 「これはそう簡単には解けまいて」

浜面 「さて」ガサガサ

浜面 「俺は昼食をとりつつ、高みの見物とさせてもらおう」

浜面 「おう……さすが滝壺弁当、俺の好物ばっかりだ」

浜面 「いただきまーす♪」


640 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:52:44.64 9gH47bQuo 120/267



~1時間後~


<1時間経過だ!調子はどうだ?頑張れ!


絹旗 「」orz

絹旗 「あぅぅ……」


  【ログインパスワードを入力してください】


絹旗 「思いつく限りのものは試しましたけど……ダメですか」

絹旗 (ヒントもなしってのは超あんまりです)

絹旗 (あ、もしかしてパスワードのヒントになるものがどこかに?)

絹旗 「パソコンは超置いといて、ほかの場所を調べてみましょうか」

絹旗 「んー」キョロキョロ

絹旗 「ベッド、ですね」ポムポム

絹旗 「……あ!」

絹旗 「ベッドの下になにか落ちてる……」ググ...


641 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:54:27.68 9gH47bQuo 121/267


絹旗 「……届かない」

絹旗 「も、もうちょいなんですけど……」ググ...

絹旗 「ぐぬー……」グググ...



浜面 (絹旗、あのポーズでもスカートの中見えないのか……角度が計算されてんだな)フム



絹旗 「あーもー!」

絹旗 「能力OKならベッド持ち上げちゃうんですけどねー……」

絹旗 「マジックハンドとかないんですか?」キョロキョロ

絹旗 「ないですよね。はーあ……」


  ボキッ


絹旗 「ふぎゃっ!」ドテッ

絹旗 「な、なんですかこのパイプベッドは! 人が腰かけたぐらいで超ポッキリと!」プンスコ

絹旗 (……ん、これ使えば)


642 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:55:33.99 9gH47bQuo 122/267


絹旗 「長さは超大丈夫そうですね」


  折れたパイプを手に入れた


絹旗 「さっきのベッドの下の……よっ……」

絹旗 「あっ、このまま……んしょ……」


  USBメモリを手に入れた


絹旗 「……」

絹旗 「もしかして、これをさっきのPCに超接続すれば!」トテテテ

絹旗 「」カシュ


  【ログインパスワードを入力してください】


絹旗 「」orz

絹旗 「なんなんですか、もーー!!」


643 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:56:53.85 9gH47bQuo 123/267



~その頃~


<ナンナンデスカモー


黒夜 (絹旗ちゃんは苦戦中か)

黒夜 「さて……部屋中探して出てきたのは」


  - 緑文字で2と書かれたメモ
  - 赤文字で六と書かれたメモ
  - ズゴック


黒夜 「んー……」ガシガシ

黒夜 「なんで冷蔵庫にズゴックが入ってたんだ? しかもシャア専用」

黒夜 (意味のないダミーか、それとも深い意味が……?)

黒夜 「それに、天井にくっついてるアレも気になるな」

黒夜 (手が届かなくて取れないけどさ!)ケッ


644 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:58:22.45 9gH47bQuo 124/267


黒夜 「せめて踏み台になるものはないのか」トテトテ

黒夜 「……垂直跳びで届く高さじゃないな」

黒夜 「んー」ペタペタ

黒夜 「壁のここ、なんか切れ目が」

黒夜 「?」ツンツン


  クルン


黒夜 「お、引っくり返って取っ手になった」

黒夜 (これ引っ張ったら……もしかして)ドキドキ

黒夜 「世界崩壊のトリガーが」

黒夜 「なーんてな」グイ


  ガララッ


黒夜 「お、隠し梯子? 横スライド式になってたのか」

黒夜 (これ登れば余裕で届くな)カンカン


645 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/27 23:59:34.61 9gH47bQuo 125/267


黒夜 「天井のコレを、よっと」スポッ

黒夜 「これは」


  アイスピックを手に入れた


黒夜 「色々使えそうだな」

黒夜 「」<グゥー

黒夜 「そういやハラ減ったな……昼食ってないもんな」

 :
 :
 :

浜面 「そろそろ2時間が経つ頃か」

浜面 「何の役にもたたないダミーアイテムを紛れ込ませたけど」

浜面 「見抜くことはできるかな?」

浜面 「」【マイクON】ポチッ

浜面 「あー、2時間経過だ! 適度に休みつつ頑張れ!」

浜面 「」【マイクOFF】ポチッ

浜面 「さて、先に出てくるのはどっちかねぇ」


662 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:36:07.58 P78F8Kjao 126/267


絹旗 「……」ウーン

絹旗 「目的は脱出……考えてみたら、手段は問われてませんよね」

絹旗 「」トテトテ

絹旗 「浜面ー」コンコン

絹旗 「ねぇー、浜面ぁー、ちょっと着替えを手伝ってほしいんですけどぉ☆」


<何言ってんだ?お前着替えなんか持ってなかったろ。


絹旗 「……」

絹旗 「作戦超失敗です」チッ


<さて、そろそろスタートしてから2時間半ほどか。
<俺から1つアドバイスだ。部屋の中は隅々の隅々まで探索したほうがいいぞ。


絹旗 「今更、何を超当然なことを」

絹旗 「……あ、そういえば冷蔵庫はまだ見てませんでしたね」

絹旗 「あれ?」


663 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:38:17.92 P78F8Kjao 127/267


絹旗 (マグネットでメモ用紙が)ペリッ


  メモを手に入れた


絹旗 「んーと」


  AWEDXZ gyujnb ftyhbv HUIKMN


絹旗 「……」

絹旗 「?」

絹旗 (なんですか、コレは……)

絹旗 「ま、まあ、コレは超置いといて。冷蔵庫の中は、と」ガチャ

絹旗 「あ、なんか色々入ってる」


  金属製のボトルを手に入れた
  木のブロックを手に入れた
  バターナイフを手に入れた


絹旗 (ちょっと手持ちのアイテムを見なおしてみましょうか。机もあることですし)


664 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:40:48.37 P78F8Kjao 128/267


絹旗 「このボトル、なんでしょうね。超冷たいですけど」

絹旗 「」カパッ

絹旗 「水……?」

絹旗 「」スンスン

絹旗 「匂いもしないですね……なんだろ」

絹旗 「飲めるかどうかもわかりませんし、とりあえず蓋閉めて置いておきましょうか」パチン


  金属製のボトル→謎の液体


絹旗 「次に……この木材はなんでしょうか」

絹旗 (手にすっぽり収まる大きさの立方体。でも継ぎ目も蓋もない。この形で超切り出した感じですね)

絹旗 (振っても、中に何か入ってる感じしませんし)フリフリ

絹旗 「よく分からないので超放置ですね」

絹旗 「バターナイフは、まあ。となると、あとはコレですか」


  AWEDXZ gyujnb ftyhbv HUIKMN


絹旗 「なんでしょうねー……」ウーム


665 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:44:13.71 P78F8Kjao 129/267


絹旗 「パソコンのパスワードにしちゃ超長すぎる気が」

絹旗 「大体、こんなたくさんキーボードで打とうとすると間違え」カチャカチャカチャカチャ

絹旗 「!?」

絹旗 (も、もしかして!?)

絹旗 「S、h、g、J……Enter、と」カチャカチャ タン


  【ようこそ】テレンテレン


絹旗 「きたぁぁ!」ピャー

絹旗 「ふん、所詮バカ面が作った暗号なんて超こんなもんですよ」フンス

絹旗 「……でも、デスクトップにはゴミ箱しか……あ!」

絹旗 「USBメモリ!」カチカチ

絹旗 「テキストファイルが1つ……?」カチカチ


  賽を砕き頭を垂れよ。さすれば氷の鍵が手に入らん。


絹旗 「……」

絹旗 「?」


666 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:46:49.97 P78F8Kjao 130/267



~その頃~


黒夜 「行き詰ったな……」

黒夜 「」ガサガサ


  - 緑文字で2と書かれたメモ
  - 赤文字で六と書かれたメモ


黒夜 「これは確実に何かを解除するためのヒントだよな」

黒夜 「んー」ガシガシ

黒夜 (そういえば、なんで緑とか赤のペンで書いてんだ?)

黒夜 (色にも何か意味が?)

黒夜 「あー、わかんねー」ノビー

黒夜 「……お?」

黒夜 (さっきはスルーしちゃったけど、壁にカレンダーがあるな)

黒夜 「」トテトテ


667 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:50:01.48 P78F8Kjao 131/267


黒夜 「何の変哲もない、今年の今月のカレンダーか」

黒夜 「……ん」

黒夜 (7日のところが丸がついてる……誰かの誕生日か?)

黒夜 「黄色で丸…………黄色?」

黒夜 「他のメモは緑の2と赤の六……そういうことか」

黒夜 (色は並び順を表してるとしたら。つまり276が何かを解除するキーだ)

黒夜 「」ピラッ

黒夜 「見つけた」

黒夜 「カレンダーの裏に壁埋め込み式の金庫……3列のダイヤル式ロック」

黒夜 「ははぁ、これの番号ってワケだな」

黒夜 「2……7……6、と」チキチキチキチキ

黒夜 「残念だったな、絹旗ちゃん。この勝負は頂いたぜ」

黒夜 「オープン!」ガチャガチャ

黒夜 「」ガチャガチャ

黒夜 「あれ?」


668 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:53:51.81 P78F8Kjao 132/267


黒夜 「くそ、なんでだよ!」ガチャガチャ

黒夜 (なんか間違ったか……?)

黒夜 「」ガサガサ

黒夜 (緑の2、黄色の7、赤の六……ん?)

黒夜 (そういやなんで6だけ漢数字なんだ?)

黒夜 「……あーーもーーー、わっかんねーー!」ガシガシ

黒夜 「はー、上手くいかないな……」ポスン

黒夜 (ここ入ってからどれぐらい時間経ったんだ? 絹旗ちゃんはもう出てたりしてな……)ゴロン

黒夜 (まさか私、ずっとここから出られないのかな……うぅ、そんなのヤダ)

黒夜 「……?」

黒夜 「ベッドの横の壁、なんかここだけ色違くないか?」ペタペタ

黒夜 「」コンコン

黒夜 (向こう側に空間がある!)

黒夜 「でもこれ、どうやって……あ、これならいけるかな」【アイスピック】スチャ

黒夜 「」ゴリゴリ

黒夜 (やった! これなら剥がせる!)ゴリゴリ


669 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 21:57:20.22 P78F8Kjao 133/267



~開始から3時間経過~


浜面 「」ズズ...

浜面 「……うまい」

浜面 「そろそろ3時間か……」

浜面 「時計も窓も無い、自由意思で出入りも出来ない密室にこれだけの時間、一人でいるとなると……」

浜面 「本人が自覚してる以上に、体力と精神力を消耗してるもんだ」

浜面 「頭も使ってるしな。あいつらもそろそろ疲れ始めてくる頃だろ」

浜面 「さあ、正念場だぜ」

浜面 「ここからは自分との戦いだ」

浜面 「二人とも、ゴールには着実に近づいてるんだからな」

浜面 「頑張ってくれよ」

浜面 「」サクサク

浜面 「……やっぱ滝壺とフレメアの作るクッキーは絶品だな」ウン


670 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:01:16.02 P78F8Kjao 134/267


絹旗 「……意味分かりません」


  賽を砕き頭を垂れよ。さすれば氷の鍵が手に入らん。


絹旗 「とりあえず、超最初から順番に考えてみましょうか」

絹旗 (賽を砕き。賽って、サイコロですよね)

絹旗 (サイコロって……まさかさっきの木材ですか?)

絹旗 (でも他に該当しそうなものも……よし)

絹旗 「床に置けば超確実でしょうね」【木のブロック】コトッ

絹旗 「」【折れたパイプ】スチャ

絹旗 「絹旗流……乱れ雪月花ッ!!」ブンッ


  パカーーーン  コロンコロン...


絹旗 「お、超きれいに真っ二つ」

絹旗 「……え? 中に鍵が!?」


  小さなカギを手に入れた


絹旗 (なんで……確かに切ったり接着したりした跡とかなかったのに)


671 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:04:09.07 P78F8Kjao 135/267


絹旗 (……あー、そういえばこういう芸当が超できる人がいますね。二人ぐらい)

絹旗 「あれ? 割れたもう片方のサイコロは」キョロキョロ

絹旗 (げ、机の下に超吹っ飛んじゃいましたか)

絹旗 (一応回収しときますか、なんもないでしょうけど)モゾモゾ

絹旗 「……む?」

絹旗 (机の下の……こんなところの床に鍵穴?)

絹旗 (なんか超怪しいですね)ツンツン

絹旗 「あ」

絹旗 「頭を垂れよ……机の下に潜れってことだとしたら」

絹旗 「さっきのカギを、ここに」【小さなカギ】


  カチリ


絹旗 「開いた!」パカッ


  白い箱を入手した


絹旗 「……なんだこりゃ」


672 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:07:16.74 P78F8Kjao 136/267


絹旗 「と、とりあえず机の下からでましょうか……あ、スカート超めくれてた」モゾモゾ

絹旗 「発泡スチロールの小箱?」パコン

絹旗 「あ、これも真っ二つ。……お?」

絹旗 (中が超くりぬいてあって……鍵の形?)

絹旗 「!」


  さすれば氷の鍵が手に入らん。


絹旗 (も、もしかして……)

絹旗 「さっきの謎水を型に、零さないようにそーーーっと……」【謎の液体】+【白い箱】

絹旗 「あれ? なんか超濁ってきた……ま、いいや」

絹旗 「あとは、こいつを冷凍庫に」バタム

絹旗 (……でも、これが超正解だって保障もないですね)

絹旗 「とにかく、早く凍ってください……超お願いです」

 :
 :
 :



673 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:10:23.10 P78F8Kjao 137/267



~その頃~


黒夜 「」ゴリゴリ

黒夜 「よし、剥がれた」

黒夜 「隠し棚とは、やってくれるねぇ」

黒夜 「……なにかあるな」


  金属片Bを手に入れた


黒夜 「……コレ、カギだよな?」

黒夜 (でも短すぎね? こんなの鍵穴に入れたらすっぽり入り込んじゃうぞ)

黒夜 「コイツをどうにかして使えるようにすれば……」

黒夜 「……」ウーン

黒夜 (色々考えたけど、やっぱり)

黒夜 (あの壁の金庫は空けとかないと、すっきりしないよな)


674 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:13:10.85 P78F8Kjao 138/267


黒夜 「2、7、6」チキチキチキチキ

黒夜 「」ガチャガチャ

黒夜 「やっぱダメか……」

黒夜 (この部屋で入手した3つの数字)

黒夜 (それを使うのはほぼ確定なんだよ)

黒夜 (……もう一度、先入観抜きで考え直そう)

黒夜 「さっきのメモは机の上に広げてたよな」

黒夜 「さて……」ギシ

黒夜 「一つ目は緑の2、二つ目は赤の六、三つ目は黄の7」ペラッ

黒夜 (……この色を見て信号の並びを連想したけど、それが違うのか?)

黒夜 (それと、最初は気にならなかったけど赤だけ漢数字ってのもなんか引っかかる)

黒夜 「やっぱり赤の六、あっ」トンッ


  ガシャン


黒夜 「やべ、ズゴックさん落としちゃった」

黒夜 「あーぁ、見るも無残なズゴ/ックに……あれ!?」


675 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:16:44.81 P78F8Kjao 139/267


黒夜 (上半身と下半身の結合面に……数字の4!?)

黒夜 (シャア専用ズゴックって、おいおい、まさかまさか)

黒夜 「」トテテテ

黒夜 「2、7、4」チキチキチキチキ


  ガチャッ


黒夜 「空いた……」ヘナヘナ

黒夜 「そうか、漢数字は一つだけ、仲間ハズレ……だから使わない」

黒夜 「一杯食わされた、クソッ! それで、中には」


  金属片Aを手に入れた


黒夜 「これか!」ゴソゴソ

黒夜 「こいつとこいつを……やっぱりピッタリだ」【金属片A】+【金属片B】カシャン


  ドアのカギを手に入れた


黒夜 「これで!」ガチャガチャ

黒夜 「開いたぁぁ!」バーン


676 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:20:03.45 P78F8Kjao 140/267


絹旗 「浜面ー、早くお茶持ってきてくださいよ」サクサク

浜面 「へいへい、ただいま」

黒夜 「」ズコー

絹旗 「あ、黒夜。やっと出てきましたか。超待ちくたびれましたよ」

黒夜 「な、あ……」ペタン

浜面 「何言ってんだ。お前だってついさっき出てきたばっかだろうが」

絹旗 「」テヘ

黒夜 「何分差……?」

浜面 「正確には分からんが、5分もないだろうな」

絹旗 「というワケで、今回は私の超勝利です」フンス

黒夜 「いや、うん……脱出の達成感が大きくて、今は勝敗とかどうでもいい気分だ」

絹旗 「超分かります。私も脱出した直後はそうでしたから」

浜面 「そういやお前、なんで出てくるなり俺にタックルかましてきたんだよ。びっくりしたぞ」

絹旗 「いや、まあ……それは、なんかつい抱き着い……」ゴニョゴニョ

黒夜 「」ポケー


677 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:21:57.88 P78F8Kjao 141/267


絹旗 「く、黒夜はいつまで床に座りこんでるんですか」

黒夜 「なんか、気が一気に抜けちゃって」

浜面 「で、お前ら。この浜面様が腕によりをかけて準備した密室、どうだったよ」

黒夜 「そうだ! てめぇ、よくもブービートラップみたいなマネしやがったな! なんだよあのメモ!」

浜面 「お、引っかかっちゃった? はは、そうでないとな!」

黒夜 「アレがなけりゃ私が勝ってたんだ……!」

絹旗 「あの氷のカギは超驚きましたね。数分で凍っちゃったんですから」

浜面 「あー、アレはな、水に仕込みをしといたんだよ。やりようによっちゃ冷凍庫に入れなくても凍るぜ?」

絹旗 「え? マジですか? 何か混ぜたとか?」

浜面 「いや、何の変哲も無い普通の水だ」

絹旗 「?」

浜面 「とにかく、楽しんでもらえたようで結構! さて、お前ら腹空いてないか?」

絹旗黒夜 「「」」<グゥー

浜面 「昼メシ抜きだったもんな。これから遅めの昼食と洒落込もうじゃないの」

絹旗 「あ、浜面。食事は立会人が超奢ってくれるルールなんですけど」


678 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:23:41.27 P78F8Kjao 142/267


浜面 「なにぃ!? 初耳だぞ!?」

絹旗 「ここまでの人も奢ってくれましたよ。婚后さんにいたっては超高級コース料理を昼と夜ですよ」

浜面 「リアルお嬢とヒモを比較するな!」

黒夜 「とうとう自分でヒモって言い出したよ、こいつ」

絹旗 「ねー、たまにはいいじゃないですかぁ。私、今日は超頑張ったんですよ?」ヒシッ

浜面 「おい、腕にひっ、ひっつくな!」

黒夜 「……」ヒシッ

浜面 「左腕にはお前かい!」

黒夜 「なー、ハラ減ったよ。ドロッドロに濃いラーメンとか食べたいー」

絹旗 「いきなり一人で閉じ込められて、超心細かったんですよ? 嘘ですけど」

黒夜 「もう出られないかもと思って、すごい不安だったんだぞ? 嘘だけどさ」

浜面 「嘘か! 嘘なのか! 最後の5文字さえなけりゃ可愛げもあるのに!」

絹旗 「ねー、浜面ー」スリスリ

黒夜 「頑張った私たちへのご褒美だと思ってさぁ」ベタベタ

浜面 「あーもう、わかったよ! その代わり、一人1000円までだからな!」


679 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/29 22:25:57.69 P78F8Kjao 143/267


絹旗黒夜 「「ゴチになりまーす♪」」

浜面 「はー、くそ。これでしばらく昼メシは水っ腹でございますよ」

絹旗 「そうと決まれば超さっさと行きましょうよ」

黒夜 「こんなホコリっぽいところに長居することもないよな」

浜面 「へいへい、分かりましたよ……で、そろそろ腕離せよ。歩きづらいっての」

絹旗 「……超お断りです。逃げられたらたまったもんじゃないですから」ヒシッ

黒夜 「……逃走防止のためだよな。仕方ない」ヒシッ

浜面 「俺を確保された容疑者かなんかと勘違いしてんだろ、まったく」ハァ


<さて、何か食いたいもんはあるか?
<化学調味料を過積載した濃い~ラーメン。
<えー、私もうちょっと超サッパリしてるものがいいです。



 ☆ここまでの戦績☆

  絹旗 3―1 黒夜



708 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:10:16.68 CYbFiIhzo 144/267



~数日後 第7学区 学舎の園付近~


黒夜 「……遅いな」

黒夜 「……」トントン

黒夜 「暇だな……あ、iPod nanoの電池やばい」シャカシャカ

黒夜 「」シャカシャカ

黒夜 「いつも いつも あなたのそばで」タンタン タンッ♪

黒夜 「愛を つーよーく 抱きしめたいよ」タンタッ タッ♪

黒夜 「めぐり逢い」クルッ♪

絹旗白井 「「」」ジー...

黒夜 「」ビクッ

絹旗 「ダンスパフォーマンスなら駅前でやってくださいよ」

白井 「優雅でお見事なステップでしたの」

黒夜 「お、おぉぉ、おっ、遅かったじゃないか!」

絹旗 「いやー、すいません。ホームルームが超少し長引きまして」


709 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:11:37.77 CYbFiIhzo 145/267


白井 「お二人は待ち合わせを?」

絹旗 「ええ。今日この後、第5回戦なんですよ」

白井 「まあ、第5回戦ということは……なるほど、今日の立会人はあのお方ですのね」

黒夜 「たしかマスターだな」

絹旗 「ええ。だからこれからミサワさんのお店ですね」

白井 「黒夜さん、後がございませんし。ここが正念場ですわね」クスクス

黒夜 「え、そこまでダダ漏れなの?」

絹旗 「もう超筒抜けですよ。どっちがどうなって、どっちが勝ったとかは」

黒夜 「なんでそんな情報交換が密なんだよ……」

白井 「ご心配なく。それを以てどちらかに有利になるよう働きかけるということは決してございませんので」

黒夜 「白井ちゃんは何やんのよ」

白井 「それは、乙女のヒ・ミ・ツ……ですの」クスッ

絹旗 「ま、白井さんがせっかく準備してくれてても今日で超終了なんですけどね」

黒夜 「はっ、いつまでその口が続くかねぇ」

白井 「ほらほら、お二人とも。ゴングが鳴る前から場外戦は無粋ですの」


710 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:12:32.47 CYbFiIhzo 146/267


絹旗 「とりあえず移動しましょうか。黒夜のお通夜会場に」

黒夜 「くそ……今に見てろよ」

白井 「ではわたくしは風紀委員の支部に向かいますので。ごきげんよう」

絹旗 「お勤め超ご苦労さまです」


  ヒュンッ


黒夜 「……いつも思うんだけど、テレポって便利だよなぁ」

絹旗 「白井さんとか結標さんがたまに超羨ましくなりますよね」



~同日 第7学区 隠れ家的喫茶店~


絹旗 「でも、何やるんでしょうね」

黒夜 「店に呼ぶってことは、店にあるもんを利用するんじゃないか?」

絹旗 「てことはコーヒーに纏わる何か、とか」

黒夜 「あれ?」

絹旗 「?」


711 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:14:02.16 CYbFiIhzo 147/267


黒夜 「CLOSED、ってなってるぞ」

絹旗 「ありゃ? ホントだ。中にも誰もいないですね」

黒夜 「なんだよ、呼んでおいて」

絹旗 「……あ、でも鍵開いてますよ」ガチャ

黒夜 「とりあえず入ってみようか」トテトテ

絹旗 「超お邪魔しまーす」

黒夜 「やっぱり誰もいないな。電気も消えてるし」

絹旗 「超おっかしいですね。ここに来るように、とのことだったんですが」

黒夜 「いったい何をどうしろって言うんだよ」

番外個体 「説明しよう!」ヒョコッ

絹旗黒夜 「「わっ!」」ビクッ

絹旗 「え、ずっとカウンターの裏にしゃがんでたんですか?」

番外個体 「その通り。もーホント待ちくたびれたよ」

ショチトル 「ちなみに私もいる」ヒョコッ

黒夜 「よかった、場所はあってたのか……で、今日はどうするの?」


712 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:15:13.79 CYbFiIhzo 148/267


番外個体 「……集まってもらったのは他でもない」

絹旗黒夜 「「」」ドキドキ

番外個体 「って一回言ってみたかったんだよね」

絹旗黒夜 「「」」

ショチトル 「マスター、続けてくれ」

番外個体 「うん、今日の勝負の内容は……」

番外個体 「コーヒー、銘柄当てクーイズ!」

絹旗 「銘柄……」

ショチトル 「二人にはこれからコーヒーを飲んでもらう。その上で、銘柄を当ててもらいたい」

黒夜 「なるほどね。利きコーヒーってことか」

番外個体 「ま、そういうこと」

絹旗 「やることは単純ですけど、難易度超高くないですか?」

ショチトル 「なんとかなる」

絹旗 「いや、ならないかと」

番外個体 「案ずるより産むが易し、ってね。まずはやってみよっか」


713 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:16:43.73 CYbFiIhzo 149/267


ショチトル 「では準備に取り掛かるとしよう」バチン

番外個体 「さーて、クロちゃん今日は頑張らないとねぇ」ニヨニヨ

黒夜 「みんなそう言うんだよな……」

絹旗 「今日決めちゃたいとこですけど、現段階だと超ちょっと自信ないですね……」

番外個体 「記念すべき第一問はどれにしよっかなー♪」ガサガサ

絹旗 「あの、なるべくメジャーなのでお願いします」

番外個体 「大丈夫。初っ端からそんなマニアックなのは出さないよ」

ショチトル 「マスター、沸いたぞ」

番外個体 「うん、ありがと」

黒夜 「おぉ、この段階ですでにコーヒーの匂いが」

番外個体 「コーヒーの匂いと言えばさ」

絹旗 「?」

番外個体 「この間、寝室でいい雰囲気になってるときに"オマエ、口がコーヒーくせェンだけど"って言われて萎えたなー」コポコポ

ショチトル 「マスターは最早職業病だろう」

黒夜 「誰に言われたの?」

絹旗 「ミサワさんが超いい雰囲気になる相手は一方通行しかいないでしょう」


714 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:18:11.52 CYbFiIhzo 150/267


番外個体 「でーきた。はい、第一問!」コトッ コトッ

黒夜 「お点前、頂戴致します」

絹旗 「ええと、頂きます」

番外個体 「制限時間はないよ。ゆーっくり考えてね」

黒夜 「」スンスン

絹旗 「」ズズ...

黒夜 (……匂いだけで分かる訳もないか)

絹旗 (やべ、超さっぱり分からない)

ショチトル 「答えが分かったら、手元のホワイトボードに書いてくれ」

黒夜 (苦味も酸味も、強いほうじゃないな)ズズ...

絹旗 (考えてみたら、私が知ってる銘柄なんてエメマンとモカぐらいですよ……)

黒夜 「」カキカキ

絹旗 (こうなりゃ勘です)カキカキ

ショチトル 「二人ともいいか? では、解答オープン」

黒夜 (自信ねぇけど)【キリマンジャロ】コトッ

絹旗 「……」【エメラルドマウンテン】コトッ


715 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:20:03.05 CYbFiIhzo 151/267


番外個体 「なるほどなるほど、そうきたか。じゃショチトル、正解を」

ショチトル 「」【BOSS 無糖BLACK】コトッ

絹旗黒夜 「「」」ズコー

番外個体 「残念! 二人ともハーズレー♪」

絹旗 「いやいやいや! 超おかしいですよ!」

黒夜 「銘柄っていうからさぁ! 豆の種類とかだと思うじゃん!」

絹旗 「お湯沸かしてまで何を淹れてたんですか!」

ショチトル 「私は"お湯を"沸かしたと言った覚えはない」

黒夜 「え……じゃ、そのドリップポットは?」

ショチトル 「缶の中身を移しかえた」

絹旗 (なんかやり方がミサワさんに超似てきましたね……)

番外個体 「まあまあ、ひっかけ問題みたいなもんだよ♪」

絹旗 「一問目からひっかけないでくださいよ」

番外個体 「盛り上がってきたところで、第二問目を作るかね」カチャカチャ

黒夜 「今度は普通のにしてくれよ」


716 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:21:37.27 CYbFiIhzo 152/267


ショチトル 「出来るまでの間、これで口の中をすすいでおくといい」コトッ コトッ

絹旗 「いただきます」

黒夜 「あ、どうも」

番外個体 「」ゴリゴリゴリゴリゴリ

黒夜 「ミルの音がするってことは缶じゃないな」

番外個体 「しくったよ。二人分淹れるにはちょっと足りなかった」ゴリゴリゴリゴリゴリ

絹旗 「」ウズウズ

番外個体 「」ゴリゴリゴリ...

絹旗 「あの、それやらせてください。一回超やってみたかったんです」

番外個体 「え? もう終わっちゃった」パッパッ

絹旗 「…………ちぇっ」

番外個体 「粉が足りなくなったら、その時に頼むよ」

黒夜 「ウチに来ればあるぞ」

絹旗 「マジですか!?」キラキラ

黒夜 (あ、コレは絹旗ちゃんをお持ち帰りするいい口実になるかもしんない)


717 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:22:40.32 CYbFiIhzo 153/267


番外個体 「はい、第2問!」コトッ コトッ

絹旗 「」ズズ...

絹旗 (わ、なんですかコレ! 超素人の私でも、さっきの缶とは全然違うって分かります!)

黒夜 (うぉ、酸っぱい! すげぇ!)

絹旗 (あ、でも違いが分かっても銘柄までは……)

黒夜 (酸味、酸味が強い……あー、なんか聞いたことあるようなないような)

絹旗 「」カキカキ

黒夜 (これ、かな?)カキカキ

ショチトル 「よさそうだな。では解答オープン」

絹旗 「」【ヨーロピアン】コトッ

黒夜 「ヨーロピアンなんて銘柄あったっけ?」【ブラジル】コトッ

絹旗 「え? ないんですか?」

番外個体 「そういう名前の缶コーヒーならあるけど。銘柄としてだと、私は聞いたことないな」

絹旗 「」

番外個体 「じゃ、正解を発表」

ショチトル 「」【ハワイコナ】コトッ


718 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:24:03.09 CYbFiIhzo 154/267


黒夜 「あー! あー、なんか聞いたことある!」

絹旗 「超わからないです……」

番外個体 「ふふ、まだこれからこれから。じゃ、第三問の準備をするとしようか」カチャカチャ

ショチトル 「では、その間に。水だ」コトッ コトッ

絹旗 「あ、頂きます」

黒夜 「どうもどうも」

絹旗 「にしても、これは超難しい……」

黒夜 「普段から相当飲み慣れてないとできないだろ」

ショチトル 「だろうな」

番外個体 「ごめーん、ローストからするからちょっと時間かかる」

絹旗黒夜 「「はいはーい」」」

番外個体 「」ザラザラザラ

黒夜 「ローストの仕方ってさ、なんか種類あるんだよね」

番外個体 「お、よくご存知で」

絹旗 「へー、そうなんですか?」


719 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:25:15.13 CYbFiIhzo 155/267


ショチトル 「ああ。たしか、炒り具合で名前が違うハズだ」

番外個体 「ちょっと火を通しただけのから、もう半分コゲてるヤツまでね」

絹旗 「半分コゲてるって……そうすると、超苦いんですか」

番外個体 「うん、超苦い」

ショチトル 「白い人は、苦味が強い豆をさらにイタリアンローストにしたものを好んでるな」

黒夜 「白い人って……ああ、一方通行か」

番外個体 「ありゃ私も好きだけど、人を選ぶと思うよ」

絹旗 「イタリアン?」

番外個体 「もう黒くなるまで炒った状態」

絹旗 「うはぁ、超苦そうです」

黒夜 「超甘党の絹旗ちゃんにゃムリだな」ケラケラ

絹旗 「いいじゃないですか、ほっといてくださいよ」

ショチトル 「たしか炒り方が浅ければ酸味が、深ければ苦味が強くなるのだったか」

番外個体 「うん。あ、そうそう。今日あなたたちに出してるのは全部中間の炒り方だからね」


720 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:26:16.22 CYbFiIhzo 156/267


黒夜 「炒り方で別もんにされる心配はないってことか」

絹旗 「まあ、そのほうが超公平ですね」

番外個体 「よし、絹旗さん。挽いてみる?」

絹旗 「是非!」

番外個体「じゃお願いね」

絹旗 「……おお、超楽しいです♪」ゴリゴリゴリゴリ

 :
 :
 :

絹旗 「」【ブレンド】コトッ

黒夜 「」【マンデリン】コトッ

ショチトル 「正解はこれだ」【エメラルドマウンテン】

 :
 :
 :

絹旗 「」【ジョージア】コトッ

黒夜 「」【グアマテラ】コトッ


721 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:27:41.26 CYbFiIhzo 157/267


ショチトル 「ん、惜しかったな」【グアテマラ】

黒夜 「グアテマラァァァァ!!」orz

 :
 :
 :

絹旗 「」【キリマンジャロ】コトッ

黒夜 「」【モカ】コトッ

ショチトル 「」【ミサワブレンド試作品27号】

絹旗黒夜 「「分かるかぁぁぁぁ!!」」

 :
 :
 :

番外個体 「さて、次の問題に」

絹旗 「ちょ、ちょーっと超待ってください」

番外個体 「どした?」

絹旗 「もう、超お腹いっぱいで飲めないです……」

黒夜 「同じく……」


722 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:29:26.04 CYbFiIhzo 158/267


番外個体 「ここまで……7問か。短い間隔で7杯も飲めばね。ショチトル、ここまでの正解数は?」

ショチトル 「双方ともにゼロだ」

番外個体 「はあ……あのさぁ、やる気あんの? バカなの? 死ぬの? 死ぬの? 死ぬの。そっか。残念」

ショチトル 「マスター、少し言い過ぎだぞ」

絹旗 「そんなこと言ったって、超しょうがないじゃないですか……」

黒夜 「飲んで分かるほど、通でもないっての……」

番外個体 「んー、このままじゃねぇ……じゃ、ちょっとやり方を変えてみよっか」

絹旗 「…………あ、そっ、その前に! お手洗い貸してください!」

黒夜 「待て! 私が先だ!」

絹旗 「いやいや、私が!!」

黒夜 「ホント頼むから!! もう限界、限界なんだよ!!」

絹旗 「そんなの私だって超同じですよ!!」

ショチトル 「……マスター。もしものときに掃除するのは私なのか?」

番外個体 「んにゃ、いいよ。もしものときには本人にやらせるから」


723 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:31:07.25 CYbFiIhzo 159/267



~しばらくして~


絹旗 「はー、間に合った」スッキリ

黒夜 「人生に汚点を残すところだった……」スッキリ

番外個体 「もっと見てたかったなー、二人がガマンするところ」

黒夜 「マスターは見た目通りのドSだよな」

ショチトル 「……そうだろうか。私には、マスターは尽くすタイプに見えるが」

絹旗 「まあ、口ではあれこれ言いつつも、相手をほっとかないタイプではありますよね」

ショチトル 「特に、白い人の前では」

番外個体 「ちょっと黙ろうか」ナデナデ

ショチトル 「ひっ……ご、ゴメンなさい」ガクブル

絹旗 (いっ、今一瞬、超とてつもない威圧感が……)

黒夜 (やっぱ第一位の嫁になるぐらいの人なんだな……)

番外個体 「で」

絹旗黒夜 「「はいっ!」」


724 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/11/30 23:32:21.62 CYbFiIhzo 160/267


番外個体 「このままじゃ勝負つかないから、仕切り直そ」

絹旗 「と、いいますと?」

黒夜 「何やんの?」

番外個体 「今度は飲む側じゃなくて、作る側にまわってもらおうかなと思うんだけど」

ショチトル 「なるほど、よりおいしく作った方が勝ちということか」

絹旗 「その方が超わかりやすくていいですね」

黒夜 「最初からそっちでよかったんじゃ……」

番外個体 「いや、どっちか迷ったんだよ?」

ショチトル 「飲む勝負か作る勝負か、早い段階で候補には挙がっていた」

番外個体 「でもここまでグダるとは思ってなかったんだもん」

絹旗 「うぬ……」

黒夜 「しょうがないじゃん……」

番外個体 「よし、新ルール説明! この店にある設備と材料を使ってコーヒーを作る!
       おいしかったら勝ち! 以上、質問は?」

絹旗黒夜 「「ないであります!」」

番外個体 「よし。じゃ改めて勝負開始といこう」


752 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 00:58:52.02 r8KKTvJ8o 161/267


黒夜 「で、どっちからやる?」

絹旗 「どうやって決めましょうか」

番外個体 「月並みだけど、こいつで決めたらどうかな」

黒夜 「ゲーセンのコイン?」

絹旗 「私は超かまいませんよ」

番外個体 「じゃ、こいつが地面に着いた瞬間に抜き撃ちってことで」

ショチトル 「マスター、それはガンマンの決闘だ」

番外個体 「冗談冗談♪ 表なら絹旗さん、裏なら黒夜さん。いいね?」

絹旗黒夜 「「おk」」

番外個体 「」コイーン

絹旗 「」ドキドキ

黒夜 「」ワクワク

番外個体 「」パシッ

番外個体 「……表だね」

絹旗 「私からですか」


753 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:00:29.37 r8KKTvJ8o 162/267


黒夜 「ま、お手並み拝見といこうか」

ショチトル 「では早速始めてくれ。器具や材料の場所が分からなければ、探すなり尋ねるすればいい」

絹旗 「いや、尋ねますってば」カチャカチャ

番外個体 「絹旗さん、コーヒー作ったことは?」

絹旗 「前に一緒に住んでたとき、ミサワさんの粉を超こっそりもらって作ったりはしてましたけど」

番外個体 「」

ショチトル 「マスター?」

番外個体 「あれオマエだったのかぁぁぁ! 減り方がおかしいから変だと思ってたんだよぉ!!」

絹旗 「」テヘ

番外個体 「勝者、黒夜さん」

黒夜 「え?」

絹旗 「ちょ、ちょっと! 超私怨で勝敗を決めるのはフェアじゃないですよ!」

ショチトル 「マスター、流石に大人気ないと思う」

番外個体 「……もー、わかったよ。時効だよ、時効」

絹旗 「あの、ミサワさん。それで、コーヒーの粉ってどこですか?」


754 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:01:53.93 r8KKTvJ8o 163/267


番外個体 「は? 何言ってんの?」

絹旗 「え?」

番外個体 「コーヒー豆を選んで、ローストするところから始めるんだよ」

絹旗 「」ポカン

黒夜 「お、本格的だなぁ」

絹旗 (そ、そんなのやったことないですよ)ダラダラ

ショチトル 「コーヒー豆はそこの棚に種別に入っている」

絹旗 「ええと……ここですか」ガラッ

絹旗 (……よく分からないから一番右のでいいや)

番外個体 「……二人とも、ここから先、ツッコミは不要だよ。本人がやりたいようにやらせてあげて」

ショチトル 「了解だ」

黒夜 「おkおk」

絹旗 「あの、ミサワさん」

番外個体 「ん?」

絹旗 「三人分ってどれぐらいですか?」


755 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:03:13.92 r8KKTvJ8o 164/267


ショチトル 「きっちり三人分ではなくとも。少し多いぐらいでいいのでは?」

番外個体 「そうだねぇ……じゃ、80グラム」

絹旗 「超了解です」ザラザラザラ

絹旗 「……もうちょいか」ザラザラ

絹旗 (次は煎る段階……たしかミサワさんがさっきやってたときは)

絹旗 (この網フライパン使ってましたよね)スチャ

絹旗 「入りまーす」ザラザラザラザラザラ

番外個体 「……」

絹旗 (超着火!)バチン

黒夜 「お、始まった始まった」

ショチトル (……これはいけないな)

絹旗 (振ってないとコゲちゃいますかね)ザッザッ



~10分後~


黒夜 「いかにもコーヒーって匂いがしてきたな」


756 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:04:19.98 r8KKTvJ8o 165/267


番外個体 「……うん、そろそろ始まるんじゃないかな」

絹旗 「? 始まるって」


  パチッ パチパチパチッ


絹旗 「お?」

ショチトル 「爆ぜ始めたか」

絹旗 (なんか、ここで超一気に仕上げるっぽいです)

黒夜 (……んー、気のせいか? マスターがやってるのとはなんか違う気がする)

絹旗 (火を少し強めてみましょうか)カチッ


  バチンバチンバチンバチン


絹旗 「おお。たまにカウンターの死角から超聞こえてくる音はこれだったんですか」

番外個体 「うん」

絹旗 (気のせいか、豆が大きくなってるよな)

絹旗 (……お、あ、あれ? 一気に超黒くなってきた!?)


757 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:05:29.58 r8KKTvJ8o 166/267


絹旗 (もうやめたほうがいいんでしょうか……あぁ、でも)

絹旗 (やめどきが超分かりません……!)

番外個体 「……」

絹旗 (こ、この辺でやめときましょう)

絹旗 「あとは、今の内にお湯を超沸かしておいて……」

絹旗 (ていうか、さっきからミサワさんの目が超怖いんですが……)ダラダラ

絹旗 「」ゴリゴリゴリゴリゴリ

絹旗 「とりあえず粉末までは来ましたね」

絹旗 「これでお湯が沸いたら完成です」

 :
 :
 :

絹旗 「超できました。どうぞ」カチャカチャ

黒夜 「見た目は普通だな。香りは……ちょっと濃いぐらいか?」

ショチトル 「では、一口」ズズ...

ショチトル 「ぅげほっ」


758 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:06:25.18 r8KKTvJ8o 167/267


絹旗 「?」

ショチトル 「こ、これはなんだ!? 木炭エキスか!?」

絹旗 「え、いや……コーヒーですけど」

黒夜 「にがっ!? にっがぁぁぁ!? なんじゃこりゃぁぁぁ!?」

絹旗 「そ、そこまでですか!?」

番外個体 「」スンスン

黒夜 「うぇ、口の中が、うぇっ……マ、マスター的にどうよ?」

番外個体 「」ズズ...

番外個体 「……うん」

絹旗 「そ、それだけですか」

番外個体 「諸々言いたいことは最後に言うよ。黒夜さんへのヒントになっちゃうからね」

黒夜 「あ、ああ、それもそっか……」

絹旗 (反応は芳しくないですね……)

ショチトル 「絹旗さん、自分でも一口飲んでみるといい」コトッ

絹旗 「あ、はい」


759 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:07:42.02 r8KKTvJ8o 168/267


絹旗 「……」ゴク...

ショチトル 「……」

絹旗 「ぬわああああああああああ!?!?」

番外個体 「じゃ、黒夜さん。いってみよっか」

黒夜 「よし。さて、銘柄はどれにすっかな」

黒夜 (奇を衒って失敗してもしょうがない。ここは無難なチョイスで)ザラザラ

黒夜 (で、次はローストか。ある種、ここが勝負の分かれ目だよな)

黒夜 (よーく思い出せ。私はいつもマスターが作るの観察してんだろ。家でやってみたいと思って)

黒夜 「……」

絹旗 「くっ、口が! 口の中がぁぁぁぁぁ!?」ジタバタ

黒夜 「オイ、うるせェぞ!!」

番外個体 「絹旗さん、ウチは静かに飲む店だよ?」クスクス

絹旗 「ちょ、超失礼しました」

黒夜 「……あ、そうだ」

黒夜 (マスターはいつも火から少し離してる……なんでかは分からないけど)

黒夜 (よし、火に近づけすぎないように、じっくりじっくり)ザッザッ


760 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:09:05.08 r8KKTvJ8o 169/267


番外個体 「……ふぅん」

絹旗 (あんなに火から離してて超生焼けにならないんでしょうか)



~15分後~


黒夜 (腕が疲れないのはこの体の利点だよなぁ)ザッザッ


 パチッ パチッ


黒夜 「おっ、始まった」

絹旗 「これ、音が鳴るのは正解なんですよね?」

番外個体 「うん。それ自体は問題ない」

黒夜 (1回目……いいんだよな? これでいいんだよな?)

ショチトル 「……」

黒夜 (よしこのままこのまま……)

絹旗 「コーヒーの香りが超すごいですね」

番外個体 「うん、一番匂いするのってここかもね」

黒夜 「……」

黒夜 (そうだ、この音がしたら、マスターはいつもこうやって……)


761 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:10:18.14 r8KKTvJ8o 170/267


番外個体 「へぇ……」

絹旗 (あれ? そういえばさっきみたいな大きい音してないですね……まさか失敗?)

黒夜 (いいんだよな? あってるよな?)


  バンッバンッバンッ


絹旗 「お」

黒夜 「きた!」

ショチトル 「2回目か……そろそろ頃合いだな」

番外個体 「」チョンチョン

ショチトル 「あっ……なんでもない」

黒夜 (よし、こんぐらいにしとこ)

黒夜 「あ、マスター。フィルターってどこ?」

番外個体 「そこのコンロの右の引き出しだよ」

黒夜 「ここか」ガラッ

黒夜 (よし、最後の最後でミスらないようにしないとな)


762 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:11:12.73 r8KKTvJ8o 171/267


 :
 :
 :

黒夜 「でーきた。さあさあ、飲んでくれ」コトッ

番外個体 「……」

絹旗「じゃ、頂きます」

ショチトル 「」ズズ...

黒夜 「どうかな」

ショチトル 「普通にアリだな」

絹旗 「……超悔しいですが、これは」

黒夜 「」フンス

番外個体 「……ふーん」

黒夜 (あれ? なにこのリアクション)

番外個体 「うん」

黒夜 (え? え? なんかマズかった?)オロオロ

番外個体 「うん、ごちそうさま」

黒夜 (でも飲み干した? あれ、これはどっち?)


763 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:12:18.40 r8KKTvJ8o 172/267


ショチトル 「さて、これで二人分出揃ったな」

番外個体 「じゃ、結果発表といこっか」

絹旗 「あの、考える時間とかは」

番外個体 「いらない」カキカキ

ショチトル 「まあ……そうだろうな」

番外個体 「第五回戦! 今回のウィナーは……」

絹旗黒夜 「「」」ドキドキ

番外個体 「こっち!」【くろよる】バン!

黒夜 「ウオシャァァァァ!」

絹旗 「…………ですよねー」orz

黒夜 「いや、でもちょっとドキドキした。マスターのリアクション薄かったんだもん」

番外個体 「アレはわざと。展開を読まれないためにね。名演技だったっしょ?」ニヨニヨ

ショチトル 「絹旗さんは自分で飲んでみて、正直負けを確信しただろう」

絹旗 「はい……」

番外個体 「んー、缶コーヒー」


764 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:13:40.50 r8KKTvJ8o 173/267


他3人 「「「?」」」

番外個体 「絹旗さんのは缶コーヒー買った方がマシなレベル、黒夜さんのは缶コーヒーよりおいしいレベル」

黒夜 「うまかったでしょ? 惚れちゃうっしょ?」

ショチトル 「中々なのではないか? 惚れはしないが」

番外個体 「さて。総評に入ろっか。まず絹旗さん」

絹旗 「うぅ……なんでしょうか……」

番外個体 「まずローストの仕方がよくない。火に近づけすぎ」

ショチトル 「直接火にあたっていたからな」

番外個体 「それと、なんで終盤火を強くした」

絹旗 「ダメだったんですか?」

番外個体 「あのね、コーヒー豆は火が通ると表面に油が浮いてくるの」

絹旗 「……あっ」

番外個体 「そこで火力を上げちゃったもんだから、一気にコゲちゃったんだよ」

黒夜 「ああ、だからマスターは終盤手を高くして火から遠ざけてたのか?」

ショチトル 「知らずにやっていたのか?」

黒夜 「うん。あれマスターのマネ」


765 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:15:26.76 r8KKTvJ8o 174/267


番外個体 「ともかく、絹旗さんのはコゲ旗になっちゃった、と。それでね」

絹旗 「?」

番外個体 「絹旗さんの、銘柄は多分マンデリンだと思うけど」

絹旗 「ええ、そう書いてありましたね」

ショチトル 「ああ、だから余計に、なのか……」

絹旗 「?」

番外個体 「マンデリンは強い苦味を特徴に持つんだよ。それを、イタリアンローストを
       超えるコゲ旗ローストにしちゃったもんだから」

黒夜 「苦味の圧縮装甲になっちゃったってワケか」

番外個体 「ていうかアレ、コーヒーの苦味じゃないよね。コゲだよ、炭だよ」

絹旗 「あぅぅ……」

番外個体 「それと一応聞いておくけど」

絹旗 「な、なんでしょう」

番外個体 「ミルで粉にした後、どんな手順踏んだ?」

絹旗 「ええと、カップにスプーンで1杯半入れて、お湯を注いで超溶かして」

黒夜 「……絹旗ちゃん、それインスタントコーヒーの作り方だ」


766 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:17:14.81 r8KKTvJ8o 175/267


番外個体 「それで溶けきらずに、コゲと一緒に表面に浮いてきちゃったんじゃないかな」

ショチトル 「だからあそこまで苦かったのか……」

番外個体 「黒夜さんのは全体的によく出来てたんじゃない? ちゃんとフィルターも使ってたし」

黒夜 「それぐらいは私だって分かるさ。でさ、マスター。豆は何使ったと思う?」

番外個体 「ブルーマウンテン」

黒夜 「……即答で正解かよ」

ショチトル 「逆に言えば、即答できる程度には風味は保てていたということだ」

絹旗 「超悔しいですぅ……」

黒夜 「ざーんねーんだったなー、コゲ旗ちゃーん」ニヤニヤ

絹旗 「うぅぅ……だって超しょうがないじゃないですか……本格的に作ったことなんてないですもん」

番外個体 「さて。二人とも、夕食は食べていくでしょ?」

黒夜 「あ、いいの?」

ショチトル 「別に構わない。ご注文は?」

絹旗 「ツナサンドで」

黒夜 「立ち直るの早いな……あ、レタスドッグで」

番外個体 「はいはーい」

ショチトル 「む……レタスドッグの中身は茹でないとないか」


767 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/03 01:19:16.57 r8KKTvJ8o 176/267


番外個体 「今日は休業日だったからねー」トントン

ショチトル 「仕方がないな」バチン

番外個体 「二人とも、これは参加賞」

絹旗 「なんですか、この小瓶」

番外個体 「さっき二人が作ったコーヒー。それで3杯は作れるでしょ」

黒夜 「お、帰ったら頂こう」

絹旗 「……私はどうすれば」

番外個体 「あ、あのさ……すっごく言い辛いんだけど」

絹旗黒夜 「「?」」

番外個体 「小瓶に移し替える段階でどっちかどっちか分かんなくなっちゃんだよね」ニャハハ

絹旗黒夜 「「」」

ショチトル 「飲んでみるまでのお楽しみということか」グツグツ

番外個体 「ロシアンルーレッティー、ということで」

黒夜 「ロシアンティーは紅茶だろぉぉ!!」

絹旗 (最初の一杯は白井さんに飲んでもらいましょ)



 ☆ここまでの戦績☆

  絹旗 3―2 黒夜


780 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:03:39.20 3zT5UY7Zo 177/267



~翌土曜日 第7学区 某所~


黒夜 「なんでか分からないけどさ」トテトテ

絹旗 「はい」トテトテ

黒夜 「絹旗ちゃんと私でデビューする夢を見た」

絹旗 「映画ですか」

黒夜 「いや、アイドル」

絹旗 「需要あるんですかね」

黒夜 「ちなみに、なぜか白井ちゃんもいて3人ユニットだ」

絹旗 「となると、デビュー曲は"超シライズム"ですね」

黒夜 「"超モアイズム"だろ?」

絹旗 「」ポカッ

黒夜 「いたいっ」

絹旗 「まさか私の源氏名、モアイじゃないでしょうね」

黒夜 「源氏名って……一応、ステージ上ではアイって呼ばれてたぞ」


781 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:04:49.96 3zT5UY7Zo 178/267


絹旗 「まあ、なら良いでしょう」

黒夜 「でもなんで絹旗ちゃんがセンターだったんだ。それが気に食わない」

絹旗 「文句ならプロデューサーに超言ってくださいよ」

黒夜 「だいたいなんで私の夢なのに絹旗ちゃんageなんだよ! おかしいだろ!」

絹旗 「私が知るワケないじゃないですか!」

黒夜 「と、まあ、バカな話をしてる間に合流ポイントに着いたな」

絹旗 「あそこに見えるは……」

海原 「……おや、いらっしゃいましたか。早朝から呼び立てて申し訳ありません」ニコニコ

黒夜 「今日はアンタか」

絹旗 「海原さんは……何がテーマなんでしょうね」

海原 「そうですね。早速ですが、説明に入りましょうか」

黒夜 「語ってくれ」

海原 「本日のお題は"カモフラージュ"です」

絹旗 「カモフラージュ?」

黒夜 「カモフラージュって……迷彩きて草むらに潜り込むとか?」


782 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:06:36.36 3zT5UY7Zo 179/267


海原 「そちらではないですね。どちらかというと、変装と言った方が近いでしょう」

絹旗黒夜 「「変装?」」

海原 「はい。お二人にはこれから、こちらが用意したアイテムを使って変装をして頂きます」

絹旗 「変装して何をするんですか?」

海原 「お二人をよく知る人物と接触、バレなければOKというルールです」

黒夜 「なるほどなるほど。これはハードル高いぞ」

絹旗 「確かに。超生半可に変装しても見破られそうですよね」

海原 「さて。それではこれからお二人の"楽屋"にご案内します。どうぞこちらに」

絹旗黒夜 「「はーい」」



~同日 第7学区 ???~


海原 「ここですね」ガチャ

絹旗 「……うはぁ」

黒夜 「なんだここは」


783 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:07:46.15 3zT5UY7Zo 180/267


海原 「映画やドラマの衣装・小道具をレンタルするサービスをですね、
    丸ごと一日貸し切りました。ここは業者の倉庫です」

絹旗 「そこまで?」

黒夜 「随分手が込んでるな……」

絹旗 「費用面で見たら、今回のシリーズでは超ぶっちぎりで一位でしょうね」

海原 「ご心配なく。一括借り上げでお安くして頂けましたから」ニコニコ

海原 (過去、"グループ"で得た報酬なんですけどね。あぶく銭は派手に使うに限ります)

黒夜 「……絹旗ちゃん、これ見て」

絹旗 「これは……いわゆるアレですか」

黒夜 「いわゆる一つのアレだな。丁度3着あるぞ」

絹旗 「超面白そうですね……折角ですし、やってみましょうか」

絹旗 「」カチカチ

絹旗 「あ、もしもし? 絹旗ですぅ。今お時間大丈夫ですか?」

 :
 :
 :

黒夜 「もしかして正夢だったのかな」


784 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:09:02.96 3zT5UY7Zo 181/267


絹旗 「恰好だけですからね。半正夢といったところでしょう」

白井 「…………それで、なぜわたくしがお二人とお揃いのアイドル衣装を着せられているのでしょう」

絹旗 「いや、なんとなく」

黒夜 「ヘッドセットも付けて、雰囲気も出してるじゃん」

白井 「そういう問題では」

海原 「すみません、3人ポーズと目線お願いします」

黒絹白 「「「」」」キラッ☆

海原 「」カシャッ

白井 「なんなのですかぁぁ!!」ムキー

黒夜 「白井ちゃんの言う通りだ! なんで絹旗ちゃんがセンターなんだよ!」

白井 「そんなこと一言も申しておりませんの!!」

海原 「すみません、もうワンショット」

黒絹白 「「「」」」ズキュゥン☆

海原 「」カシャッ

白井 「だからぁぁぁぁ!」フギャー


785 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:10:16.04 3zT5UY7Zo 182/267


黒夜 「なんでセンターなんだよぉぉ!」

白井 「そうじゃなくてぇぇぇぇぇ!!」

絹旗 「白井さん、超ノリノリじゃないですか」

白井 「な、なぜだか条件反射的に……」

絹旗 「まあ、お遊びはこれぐらいにしておきましょうか。それなりに超楽しめましたし」

黒夜 「あ、あとで写真くれな」

海原 「全員にお送りしますよ」

絹旗 「そろそろ始めましょうか。あ、白井さんはもう帰っていいですよ」

白井 「」

黒夜 「お疲れさん」ポムポム

白井 「あ、あの……」

海原 「大丈夫ですよ。今日の勝負は僕に預けてください」

白井 「え、ええ、まあ……」


<絹旗ちゃーん、これ変装レベル高くね?
<着ぐるみは超反則ですよ!


白井 「……わたくしって、一体」


786 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:11:16.06 3zT5UY7Zo 183/267



~しばらくして~


黒夜 「んー、どうすっかな……」

海原 「一つアドバイスとして。普段のイメージからかけ離れるといいかもしれません」

絹旗 「普段のイメージ、ですか……」

黒夜 「なあ、私の普段のイメージってどんなの?」

絹旗 「ロックンロール」

海原 「パンク少女、でしょうか」

黒夜 「なるほど。そこから離れるといいのか……うん」

黒夜 「ちょっと着替えてくる。のぞくなよー」トテテテ

海原 「どうやら決まったようですね」

絹旗 「私は……よし。これとこれとこれと……」

海原 「……」ニコニコ

絹旗 「超変装してきまーす」トテテテ

海原 「さてさて、どう化けてくるやら」


787 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:12:10.50 3zT5UY7Zo 184/267


 :
 :
 :

黒夜 「待たせたな」カツッカツッ

海原 「これはこれは……」


  E:パンツスーツ(白)
  E:ブラウス
  E:パンプス
  E:黒縁メガネ


黒夜 「普段の私のイメージから離れたと思うけど、どうよ」キリッ

海原 「うーん……」

黒夜 「なんかマズイ?」

海原 「いや……顔を見てしまえば黒夜さんだとすぐ分かりそうだな、と」

黒夜 「そっか。メガネだけじゃ弱いか」


<お待たせしました。


黒夜 「おっ」


788 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:13:21.44 3zT5UY7Zo 185/267


絹旗 「どうですか。ウィッグに小道具もつけて超完璧でしょう」キリッ


  E:ウィッグ(黒髪ロング)
  E:フレームレス眼鏡
  E:シャツ+タイトスカート
  E:白衣
  E:パンプス


黒夜 「」ブフッ

絹旗 「な、なんですか」

黒夜 「絹旗ちゃんよぉ、白衣の下、引きずってるじゃんか!」ケラケラ

絹旗 「ありゃ?」

黒夜 「袖も余ってるし。よし、今日から絹旗ちゃんの渾名は"ハカセ"だ」ケラケラ

絹旗 「や、やめてくださいよ!」

黒夜 「"ガクシャ"でもいいな」

絹旗 「イヤですよ、そんなの!」

海原 「お二人とも、それで確定でよろしいですか?」

黒夜 「いや、待ってくれ」

絹旗 「もうちょい考えさせてください」


789 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:14:23.11 3zT5UY7Zo 186/267


海原 「ええ、構いませんよ」

黒夜 「やってみると難しいな……」カツッカツッ

絹旗 「ていうか、あなたのそれは変装じゃなくて仮装ですよ」コツコツ

黒夜 「私、ちょっと向こう見てくるわ」

絹旗 「はいはい。……さて、他によさそうなのは」

絹旗 「」ウーン

絹旗 「……お、これってもしかして」

絹旗 「」フニフニ...

絹旗 「おぉぉぉ……」

絹旗 「これはこうやって使うんですよね」イソイソ


<何やってんの?


絹旗 「ッ!」バッ

メカ沢 「」

絹旗 「……」

メカ沢 「」オッス


790 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:15:25.38 3zT5UY7Zo 187/267


絹旗 「……黒夜、ですか?」

メカ沢 「うん」

絹旗 「いやいやいや、それは超ナシでしょう! 変装の範疇を超えてますよ!」

メカ沢 「だめ?」ピコンピコン

絹旗 「目をピコピコ光らせてもダメです!」

メカ沢 「ちぇー……なんか、絹旗ちゃん。その服、胸キツイんじゃないか?」

絹旗 「あ、分かります? もう成長期なんで超大変です」

メカ沢 「……」

絹旗 「」フンス

メカ沢 「」グイ

絹旗 「あ、ちょっと、服引っ張ったら」


  ポトッ ポトッ


メカ沢 「摘出完了、手術成功でーす」つ【パット】

絹旗 「」グス


791 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:16:43.75 3zT5UY7Zo 188/267



~そんなこんなで~


海原 「お二人とも、準備はよろしいですね」

絹旗 「私は超大丈夫です」


 E:レザージャケット(黒)
 E:レザーパンツ(黒)
 E:ロングブーツ
 E:ウィッグ(金髪ロングウェーブ)
 E:ちょい派手メイク


黒夜 「私もおkだ」


 E:セーラー服上下
 E:ニーソ(黒)
 E:ローファ
 E:ウィッグ(茶髪セミショート)
 E:赤縁メガネ


海原 「……お二人は、雰囲気を交換したんですか?」

絹旗 「いや、結果的になっちゃっただけでして」


792 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:18:06.10 3zT5UY7Zo 189/267


黒夜 「ま、これだけやりゃ結構いけるんじゃないかなぁ」

海原 「ええ。気合いの入り方が伝わってきますよ」

絹旗 「で、これからどうするんですか?」

海原 「街に繰り出しましょう。その後は、先程ご説明した通りです」

黒夜 「いよいよか」

絹旗 「超緊張しますね」



~同日 第7学区 とある大通り~


海原 「さてさて……早速ターゲットを見つけてしまいました」

絹旗 「あそこにいるのは浜面ですね」

黒夜 「で、どうすんの?」

海原 「お一人ずつ向かいましょう。残った人間は陰ながら見守るということで」

絹旗 「では私から行ってきます」シュタッ

黒夜 「いってらっしゃい」

海原 「ご武運を」


793 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:19:22.17 3zT5UY7Zo 190/267


絹旗 「」トテテテ

浜面 「おーし、滝壺から頼まれたモンはこれで全部だな……っと」ドン

絹旗 「キャッ!」ドテッ

浜面 (やべ、ぶつかっちゃった)

絹旗 「いたた……」

浜面 「悪い悪い! 余所見してたわ。大丈夫か」

絹旗 「い、いえ、大丈夫です。こちらこそ超すいません」

浜面 (超?)

浜面 「って絹旗じゃねえか。どうしたんだ、その格好は」

絹旗 「」

浜面 「?」

絹旗 「」ピュー

浜面 「??」



黒夜 「バレちゃったな」ニヨニヨ

絹旗 「むむ……浜面のクセに」

黒夜 「じゃ、次私行ってくるわ」


794 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:20:42.75 3zT5UY7Zo 191/267


浜面 「さっきの絹旗だよな……なんだあの恰好は。グレたのか?」

黒夜 「あのっ、すいませんっ!」

浜面 「ん? 俺か?」

浜面 (お、可愛い)

黒夜 「道をお尋ねしたいのですが……よろしいですか?」

浜面 「おお、なんでも聞いてくれ」

黒夜 「このへんで、新聞を売ってるところはないですか?」

浜面 「新聞か……あそこに見えるコンビニならあると思うぜ」

黒夜 「そうですか! ありがとうございます!」ペコリ

浜面 「いやいや、紳士として当然の振る舞いでございますよ」

黒夜 「かっこいいんですね……では、失礼します!」ピュー

浜面 「…………おっと、いかんいかん! 家に帰らんと!」



黒夜 「バレなかったろ?」エヘン

絹旗 「浜面の目は超節穴ですか……」

海原 (ふうむ……)


795 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:21:38.35 3zT5UY7Zo 192/267



~第7学区 とある公園~


海原 「さて、誰かに遭遇しないでしょうか」

黒夜 「そこはノープランなんだな」

海原 「事前に聞いて回ったら、皆さん訝しむでしょう。今日の催しそのものが破綻しかねません」

絹旗 「まあ、確かに」

黒夜 「……なあ、アレ次のターゲットにしたら?」

海原 「あそこのベンチで缶コーヒーを飲んでいる方ですか?」

絹旗 「これは超強敵ですね」

海原 「命懸け、とまではいかないでしょうが」

黒夜 「じゃ、今度は私からでいいか?」

絹旗 「骨は拾ってやりますよ」

黒夜 「いらん心配するヒマがあったら、自分の心配するんだな」トテテテ

海原 (さてさて、彼はどうでるでしょうかね)

絹旗 「」ドキドキ


796 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:23:01.80 3zT5UY7Zo 193/267


一方通行 (追い出された……大掃除には早ェだろォがよ)ズズ

一方通行 (ま、クソガキがやる気になってンだ。邪魔するのも悪ィか)

黒夜 「あーーー! もしかして第一位さんじゃないですか!?」

一方通行 「あ?」

黒夜 「すごい! 本物だ! すごーーーい!」

一方通行 「うるせェぞ、去れ」ギロリ

黒夜 「ヤダ、視線! 視線で犯された! もう死んじゃうー!」キャッキャッ

一方通行 (あァ、頭が可哀想な人種なのか……)

黒夜 「サインください! サイン!」

一方通行 「……それやったら帰るか?」

黒夜 「はい、第一位さんがそう言うなら光の速度で帰ります!」

一方通行 「」カキカキ

黒夜 「ありがとうございましたー!」ピュー



黒夜 「サインゲット。いらねぇけど」

絹旗 「何やってんですか、あなたは……じゃ、私行ってきますね」


797 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/04 01:24:23.47 3zT5UY7Zo 194/267


一方通行 (嵐が過ぎ去ったか……)

絹旗 「」カチカチ

一方通行 (なンだって携帯いじるながら歩くンだ。前見ねェと危ねェだろォが)

絹旗 「」ポスン

一方通行 (なンで他にも空きベンチあるのに、わざわざ隣に座るンだ)チッ

絹旗 「……今、舌打ちしました?」

一方通行 「別にオマエにした訳じゃねェ」

絹旗 「でも聞こえましたたよ? 正直、超気分悪い」

一方通行 「あァ!? だったらオマエが……あ?」

絹旗 「?」

一方通行 「オマエ、常盤台のチビガキ……あー、絹旗か?」

絹旗 「」ピュー

一方通行 (なンなンだよ、今日は……帰って掃除手伝うか)ハァ



黒夜 「」プギャー

絹旗 「やはり第一位は超手強いですね……」

海原 (変装というのは……外見の話だけではない。いつ気付くのでしょうかね)ニコニコ


826 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:36:39.92 CDzYP2Beo 195/267



~同日昼 第7学区 ファーストフード店~


海原 「ここまでの接触は2名ですか……日没までに5名には達したいですね」

絹旗 「ナゲット一つもらってもいいですか?」ヒョイパク

黒夜 「食べながら聞くとはどういう了見だ!?」

海原 「聞いてます?」

黒夜 「聞いてるよ。5人に会うんだろ?」

絹旗 「そう超都合良くいくでしょうか」

海原 「都合良くいくことを祈りましょう」

黒夜 「絹旗ちゃん、ピクルスあげる」ポイ

絹旗 「あ、あー! 何してんですか人のジュースにー!」

海原 「……うまくことが運ぶといいのですが」

海原 (しかしまあ……)

絹旗 「ほら、マスタードソース余ってるんで、超たっぷり使ってくださいよ」ヌリヌリ

黒夜 「お、おい! それポテトじゃなくてストローだよ!」


827 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:38:02.81 CDzYP2Beo 196/267


海原 (お二人ともよく化けたものですね。黙っていれば知り合いでもすぐには気付かないでしょう)

海原 (……黙っていれば、の話ですが)

絹旗 「あの、ちょっと思ったんですけど」

海原 「なんでしょう」

絹旗 「ええと、ミサワさんかな? 7人の立会人は誰が何やるか全部知ってるって超聞いたんですよ」

黒夜 「ああ、そんな話してたな」

海原 「ええ、ご認識の通りです」

絹旗 「ということは、その人たちは私たちが変装するって超知ってるのでは?」

黒夜 「確かにな。それで気付かれる可能性もあるってことか」

海原 「ご心配なく。僕は"カモフラージュ勝負"としか伝えていません。
    最初のお二人がそうであったように、"変装"と読み替えられることはないかと」

黒夜 「なるほど」フム

海原 「現に、浜面さんは黒夜さんだと気付かなかったでしょう?」

絹旗 「いや、まあ、超浜面ですから」

黒夜 「その超浜面すら欺けなかった絹旗ちゃんなワケなのだが」

絹旗 「むぬぬ……」


828 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:39:08.16 CDzYP2Beo 197/267


海原 「ふむ……では、あそこにいる方に挑戦してみるとしましょうか」

絹旗黒夜 「「?」」クルッ



寮監 (予定より早く着いてしまったか)

寮監 (訪問先の近くなので入ってみたが……やはりこういった店は若者向けだな)



絹旗 「」ブーッ

黒夜 「」ポカン

絹旗 「ムリです! 絶対超ムリ!」フルフル

海原 「やってみなければ分かりません」

絹旗 「失敗した場合のリスクが超大きすぎますよ! ハイリスクノータリンですよ!」

黒夜 「リスクってなによ」

絹旗 「こんな格好してるのがバレれば、どうなることか……」ガクブル

海原 「常盤台は休日でも制服着用が義務付けられていますからね」

黒夜 「あ、なるほどなぁ」


829 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:40:17.08 CDzYP2Beo 198/267


絹旗 「と、ともかく! なんでもしますから、これだけは超見逃してください!」

海原 「ま、まあ、分かりました。ここは見送りましょう」

黒夜 「臆病者」ケラケラ

絹旗 「なんとでも言ってください。今だけは超甘んじて受け入れます」

海原 「では、そろそろ移動するとしましょうか」

黒夜 「でもさ、下に行く階段のすぐ横。あそこに寮監さん座ってるけど?」

絹旗 「」

海原 「まあ、自然体で通り過ぎれば大丈夫でしょう」

黒夜 「変に意識するから失敗するんだって」

絹旗 「そ、そうですよね……行きましょうか」

黒夜 「で、この後はどうすんの?」

海原 「いくつか考えはあるのですが」

絹旗 「」コソコソ

寮監 「……?」

寮監 (気のせいか)


830 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:41:33.76 CDzYP2Beo 199/267



~同日 第7学区 とある病院~


海原 「先程、絹旗さんはなんでもします、と仰いましたね」

絹旗 「え、言いましたっけ?」

黒夜 「言った。確かに言った」

海原 「では、なんでもして頂きましょう」

絹旗 「……はい、分かりました」

海原 「次なるターゲット。寮監さん程ではないでしょうが、絹旗さんが恐れる人物の一人だと思います」

絹旗 「病院って……ま、まさか」

黒夜 (あれ? これって私とばっちりじゃね?)

海原 「先程から休憩スペースにおられるのは確認済みです。あとはお二人次第ですよ」

絹旗黒夜 「「……」」

海原 「一つ付け加えると、寝不足で少々イライラしておられるようです」

絹旗 「……うう、私から行ってきます」

黒夜 「大丈夫なのか?」

絹旗 「黒夜……後のことは超お願いします」タッ

黒夜 「あ、ま、待てよ!」


831 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:42:38.74 CDzYP2Beo 200/267


麦野 (はー、肌ブツブツ……徹夜なんてするもんじゃないわね)

絹旗 「あのー……すみません」

麦野 「ん?」

絹旗 「ええと、ええとですね」

麦野 「」ジー...

絹旗 「……?」

麦野 「なんだ、絹旗じゃん。どうしたの? その恰好」

絹旗 「」

麦野 「?」

絹旗 「ちょ、超ゴメンなさい!!」ピュー

麦野 「え? ちょっと……!」



絹旗 「」ハッ ハッ ハッ

海原 「落ち着いて、深呼吸してください」ナデナデ

黒夜 「……じゃ、私行ってくる。絹旗ちゃんを頼んだぞ」


832 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:44:06.56 CDzYP2Beo 201/267


麦野 「なんだってのよ、ったく……」

黒夜 「ねぇ、看護婦さん」

麦野 「……今度はアンタか」ハァ

黒夜 「え?」

麦野 「なに、どっかで仮装パーティでもやってるの?」

黒夜 「」

麦野 「それともなんだ。入れ替わるように出てきて……私をからかってるの?」

黒夜 「いやいや、滅相もないです!」

麦野 「まあ、それはどうでもいいや。今ちょっとイライラしてるから、整体してあげるよ」ガシッ

黒夜 「ま、間に合ってますんで」

麦野 「恥ずかしがらないで? お姉さんに任せなさいね? 黒夜ちゃーん?」

黒夜 「待っ」


<ゴキベキボキゴキポキ


絹旗 「く、黒夜が! 黒夜がぁ!」

海原 「落ち着いてください! 今僕たちが飛び出ては火に油を注ぐだけです!」ガシッ


833 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:45:18.87 CDzYP2Beo 202/267



~同日 第7学区 病院横の公園~


絹旗 「さすがに海千山千百戦錬磨の鬼を誤魔化すのは超ムリがあったみたいです……」

黒夜 「あいたたた……」

海原 「申し訳ありません。まさかあそこまであっさり見抜かれるとは」

絹旗 「いや、今回は相手が超悪かったですよ」

黒夜 「なんで私がこんな目に……」

海原 「とりあえず、一息つきましょうか」


<あれ?海原?


海原 「?」

結標 「今日出かけるって言ってたけど。病院に用事があったの?」

海原 「おや、結標さん」

絹旗 「」チラッ

黒夜 「」コク

結標 「その子たちは……知り合い?」


834 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:47:36.51 CDzYP2Beo 203/267


絹旗 「ねー、海原くん。この女だれですかぁ?」スリスリ

黒夜 「馴れ馴れしくて、ヤな感じー」ベタベタ

結標 「」ビキッ

海原 「」

結標 「……ねえ、どういうこと?」

絹旗 「そっちこそ、どういうこと?」

黒夜 「邪魔しないでよねー、こうやってればお小遣いもらえるんだからさぁ」

海原 「あの、二人とも、これは」

結標 「ふーん、そっかぁ……そうなんだ……」

海原 「ちっ、違うんです!」ワタワタ

結標 「そうだよね、私みたいな歳上より、そういう、可愛い子のほうが……」

絹旗 (あ、あれ?)

黒夜 (ちょっと、やりすぎた?)

海原 「誤解ですよ! これは!」

絹旗黒夜 「「と、ここでネタばらしー!」」【ウィッグ】ポイッ

結標 「え? あ……あれ?」


836 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:49:25.96 CDzYP2Beo 204/267


海原 「あ、えー……こういうことなんです」

結標 「絹旗さんと、黒夜さん……?」

絹旗 「海原さん、バレなかったんで超おkですよね?」

黒夜 「私たちの変装、あ、いや、カモフラージュは見事なもんだろ?」

結標 「……そういうことだったの」ヘナヘナ

海原 「え、ええ、まあ。驚かせてしまったようで」

結標 「ホント人が悪いわね。知ってたけどさ」

海原 「恐縮です」

結標 「とりあえず、今夜は帰ってこなくていいからね」

海原 「」

結標 「あ、なんか勘違いしてる? その子たちに夕食でも奢ってあげなさいって言ってるの」

海原 「そ、そういうことですか。分かりました」

結標 (ささやかな仕返しよ)クス

海原 「? 今、なにか」

結標 「別に。じゃね」ヒュッ


837 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:51:08.70 CDzYP2Beo 205/267


海原 「……はあ」

絹旗 「結標さんって、超意外とメンタル面弱いですよね」

海原 「ええ、確かに。彼女にはそういった一面もあります」

黒夜 「なんか意外だな。姉御肌なのに」

海原 「でもそういう一面が魅力の1つであるとも思いませんか?」

絹旗黒夜 「「……」」

海原 「?」

絹旗 「次いきましょうか」

黒夜 「そうだな、日も傾いてきたし」



~同日 第7学区 とある路地~


海原 「さて、時間を考えると、おそらく次が最後のターゲットでしょう」

絹旗 「……あそこですか」

黒夜 「普段顔を合わせる頻度が高い分、ハードルも高いと考えるべきだろうな」

海原 「どうでますか?」

黒夜 「じゃ、今度は私からで」

絹旗 「超気をつけてくださいよ」


838 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:52:56.33 CDzYP2Beo 206/267



<カランカラン♪


番外個体 「あ、いらっしゃーい」

黒夜 「」キョロキョロ

番外個体 「お一人?」

黒夜 「え、あ、はい」

番外個体 「空いてるカウンターの席にどうぞ」

黒夜 「はい、すいません」

黒夜 「……」ソワソワ

番外個体 「ご注文は?」

黒夜 「うーんとうーんと……」

番外個体 「……コーヒーと紅茶、どっちが好き?」

黒夜 「え、あ、紅茶、かな?」

番外個体 「おk、少々お待ち下さい」

黒夜 (あれ? そういえば店員さんいないのな)キョロキョロ

番外個体 (この辺じゃ見ない顔だなー)カチャカチャ


839 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:54:23.80 CDzYP2Beo 207/267


 :
 :
 :

絹旗 「……出てきませんね」

海原 「バレてないのか、バレた上で開き直っているのか……」

絹旗 「でもミサワさんの様子を見てると、バレた感じは超しないですけど」

海原 「とりあえず、絹旗さんも行きましょうか?」

絹旗 「え、今ですか?」

海原 「今です」

絹旗 「まあ、待ってても超しょうがないですし。分かりました」トテテテ

海原 「さて……」


<何をしている?


海原 「え? おや、どうしてここに」

ショチトル 「マスターに頼まれた買い物の帰りだ。それより、コソコソと何をしていたんだ?」

海原 「丁度いい。あなたも一緒に見物しましょう」

ショチトル 「?」


840 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:55:43.07 CDzYP2Beo 208/267



<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃーい」

絹旗 「」トテトテ

黒夜 (え? お、おい! 私が戻る前に来ちゃったのか!)

絹旗 「すみません、いつもので」

黒夜 「」ブッ

番外個体 「いつも、の?」

絹旗 「……あ、な、なんでもないです! ついクセで!」

番外個体 「そ、そうですか」

黒夜 (びっくりした。いきなりかよ)フキフキ

絹旗 「ええと、メニューは……」

番外個体 「」ジャブジャブ

絹旗 「カフェオレを1つ、お願いします」

番外個体 「はいはーい」

絹旗 「あ、砂糖ミルクを超マシで」

黒夜 「」ズコー


841 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:57:18.04 CDzYP2Beo 209/267


番外個体 「…………間違ってたらゴメンなさい。絹旗さん、かな?」

絹旗 「」

黒夜 「」ハァ

絹旗 「」ゴンッ

番外個体 「?」

黒夜 「カウンターテーブルに突っ伏してもムダだって」ツンツン

絹旗 「うぅぅ……今回こそは超いけそうだと思いましたのに」

番外個体 「やっぱり絹旗さんなんだ」

黒夜 「ちなみに私の正体は、この私でーす」【ウィッグ】スルッ

番外個体 「うそん!? 黒夜さん!?」

絹旗 「え、なんですかこのリアクションの超温度差」

黒夜 「絹旗ちゃん、いい加減気付けよ」

絹旗 「なにがですか」

黒夜 「いくらガワ化けたって、中身がそのままじゃ意味ないって」

絹旗 「……な、なるほど」

番外個体 「状況はよく分からないけど。はい、いつものね」コトッ

絹旗 「あ、超頂きます」


842 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:58:20.28 CDzYP2Beo 210/267



~同日 第7学区 ???~


<ガチャ


絹旗 「はー、帰ってきましたね」

黒夜 「なんだかんだで楽しめた」ウン

絹旗 「でもどうするんですか、帰りに撮ってきたこのプリクラ」

黒夜 「自分で言うのもおかしいけど……正直、私たちだって分からないよな」

絹旗 「ま、ネタと思い出を兼ねて超保管しておきましょうか」

海原 「お二人とも、着替えてきてはいかがですか?」

絹旗黒夜 「「はーい」」

海原 「その後で、本日の結果発表とまいりましょう」

絹旗 「う……」

黒夜 「さてさて、どうなったかなー。ドキドキするなー?」ニヨニヨ

 :
 :
 :


843 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 22:59:37.26 CDzYP2Beo 211/267


絹旗 「超完了です」シュタッ


 E:常盤台中学 冬服
 E:ローファ


黒夜 「同じく」


 E:タンクトップ(黒)
 E:レザースキニー
 E:ワークブーツ


海原 「では、早速ですが総評と参りましょう」

絹旗黒夜 「「」」ドキドキ

海原 「本日接触したのは浜面さん、一方通行さん、麦野さん、結標さん、ミサワさんの名ですね」

絹旗 「ですね」

海原 「そして本人だと気付かれなかった人数、これがそのままポイントとなります」

海原 「結果、絹旗さんは1人、黒夜さんは4人……ということで、今回は1対4で黒夜さんの勝利です」

黒夜 「ま、今回に関して言えば当然の結果だろうさ」

絹旗 「」orz


844 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 23:01:24.91 CDzYP2Beo 212/267


海原 「お二人とも、よく化けていたと思います。ですが、変装と言うのはなにも外見の話だけではありません」

黒夜 「絹旗ちゃん、キャラがそのまんまなんだもん。一言二言話せばバレるに決まってるだろ」

絹旗 「うぅぅ……超しょうがないじゃないですか」

海原 「その点、黒夜さんは名演技でしたね」

黒夜 「そんなことあるよ」フンス

絹旗 「黒夜に勝てっこないですよ。変装慣れしてるんですから」

海原 「そうなのですか?」

絹旗 「普段から超女装してますもん」

黒夜 「ねえよ! 大体、女装するつもりだったらこの服はないだろ!」

海原 「まあ、ともかく。いみじくも、黒夜さんが仰ったように、絹旗さんの敗因は
    内面の変装が甘かったことですね」

絹旗 「内面って言われても……そんな簡単にできませんよ」

黒夜 「簡単だよ。絹旗ちゃんなら"超"って言わなきゃいいんだよ」

絹旗 「え、私そんなに超って超連呼してます?」

黒夜 「ほら、また言った」

絹旗 「」ショボン


845 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/05 23:02:41.95 CDzYP2Beo 213/267


海原 「さて、これでお二人は同点です。勝負は最終戦までもつれ込むことになりましたか」

絹旗 「3連勝で超王手したんですけどねー……」

黒夜 「だからって勝ちをあっさり譲るつもりはないっての」

海原 「まあ、お蔭で僕や7人目も、準備がムダにならずに済みました」

黒夜 「7人目……次で最後なんだな」

絹旗 「最後に超笑ってるのは私なんですけどね」

黒夜 「せいぜい今の内にいい夢見とくんだな」

絹旗黒夜 「「」」バチィッ

海原 「その闘志は次回に持ち込むとしましょう。さて、夕食に行きましょうか。今日は僕が出しますよ」

絹旗 「いいんですか?」

海原 「どうやらそういう取り決めらしいので」

黒夜 「ゴチになりまーす」

絹旗 「何が出てくるんでしょうかね」wktk

海原 「そうですね。では久々に……」

海原 「魚料理がおいしいお店があるんですよ。そこに行きましょう」



 ☆ここまでの戦績☆

  絹旗 3―3 黒夜



869 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:52:44.09 bpJItUb6o 214/267



~翌日 第7学区 某所~


黒夜 「土日をツブしまくってのこのイベントも今日で終わっちゃうのかー」トテトテ

絹旗 「やっと終わりかと思うと、超少し感慨深いですね」トテトテ

黒夜 「……」

絹旗 「どうしたんですか」

黒夜 「あ、いや。最後ぐらいパーッとやっておこうかと思ってさ」

絹旗 「程々にお願いしますよ」

黒夜 「分かってるって。さて、ここが合流ポイントか?」

絹旗 「のハズなんですが……知ってる人はいないですね」

黒夜 「アレそうなんじゃないの? あの街灯の上に立ってる人」

絹旗 「……逆光で顔は超見えませんけど、あのシルエットは超間違いなく」


  ヒュォォォォォ...


白井 「お二人とも。とうとうここまでいらしてしまいましたのね」

黒夜 (え、なにこれ。ラスボス?)

絹旗 (横風にたなびくツインテールが超いい雰囲気ですね)

白井 「今回の立会人を務めさせて頂きます。泣いても笑っても、これが最後ですの」

黒夜 「どんな結果でも後悔はしないさ」

絹旗 「超全力で挑むだけです」


870 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:53:46.15 bpJItUb6o 215/267


白井 「良いお返事ですわね。では早速、今回の要旨をご説明いたしましょう」

黒夜 「その前に、降りてきたら?」

絹旗 「悪趣味な下着が超モロ見えですし」


  ヒュンッ


白井 「誰が悪趣味ですか!」ムキー

絹旗 「わっ! い、いきなり目の前に現れないでくださいよ!」

黒夜 「せつめー」

白井 「はいはい、では改めて始めましょう」

絹旗黒夜 「「」」ドキドキ

白井 「絹旗さん。淑女として重要なものは何と考えます?」

絹旗 「え? えーと……超華麗な容姿?」

白井 「黒夜さんは?」

黒夜 「戦闘力?」

白井 「お二人とも間違ってはおりません。それぞれ淑女として重要なファクターですの」


871 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:54:59.65 bpJItUb6o 216/267


黒夜 (で、淑女ってなに?)ヒソヒソ

絹旗 (英語でいうレディみたいなもんです)ヒソヒソ

白井 「古来より、女は度胸と申します通り……」

黒夜 (申すの?)ヒソヒソ

絹旗 (超初耳です)ヒソヒソ

白井 「どのような状況だろうと決して取り乱さない精神力、これは淑女として必要不可欠」

黒夜 「はあ」

白井 「本題に入りましょう。今回の勝負で問われるは、すなわち度胸」

黒夜 「第7位?」

絹旗 「それは根性」

黒夜 「まー、ともかく度胸試しってこと?」

白井 「掻い摘んで言えば、そうなりますわね」

絹旗 「なるほど。度胸試しですか」フム

白井 「さて。安全面に気を配ってはおりますが、心臓をはじめ身体への負担は否めません」

白井 「そこで今回、さるお方に同行をお願い致しました。どうぞこちらに」


872 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:56:25.00 bpJItUb6o 217/267


冥土帰し 「やあ、今日はよろしくお願いするね?」

黒夜 「あ、先生」

絹旗 「え? 知り合いなんですか?」

黒夜 「腕のことで世話になったことがあるから」

白井 「先生、本日はよろしくお願い致します」ペコリ

冥土帰し 「君たちは若いから、それほど心配はないと思うがね?」

白井 「さて、それでは移動を開始致しましょう」

黒夜 「どこに向かうの?」

白井 「第6学区ですの」



~移動中 バス車内~


白井 「さて、今の内に主なルールも説明しておきましょう」

黒夜 「語ってくれ」

白井 「お二人にはこの後、二つのアトラクションに挑んで頂きます。
    それぞれのタイムを計測、合計タイムが短い方の勝利です」


873 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:57:43.93 bpJItUb6o 218/267


絹旗 「お、なんか超面白そうですね」

黒夜 「ちなみに、アトラクションってどんなの?」

白井 「それは直前まで秘密ですの。一応、下見ということでわたくしは体験済みですが」

絹旗 「超ケチです」

白井 「では、ご参考までに。わたくしの合計タイムは25分46秒ですの」

黒夜 「長いのか短いのか分からないな」

白井 「そうですわね……20分を切れば大したものかと」

絹旗 「内訳は教えてもらえませんか?」

白井 「アトラクション1が8秒、アトラクション2が25分38秒ですの」

黒夜 「え? なんでそんな差がついてんの?」

絹旗 「ますます分かりませんね」

冥土帰し 「それは行ってからのお楽しみということだね?」

白井 「ですの」クスクス

絹旗 「はあ、超しょうがないですね」

黒夜 「何が待ってるやら……」


875 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/06 23:59:04.71 bpJItUb6o 219/267



~同日 第6学区 巨大テーマパーク~


黒夜 「すっげぇ人だな……」

絹旗 「超新鮮ですね。こういうところには普段縁がないですから」

冥土帰し 「僕も、もう何十年ぶりだろうね?」

黒夜 「そういえばさ、白井ちゃん。さっき下見したって言ってたけど」

白井 「ええ」

黒夜 「なになに、誰とこんなところに来たの?」ニヤニヤ

白井 「一人ですが」

絹黒冥 「「「……」」」

白井 「な、なんですか」

絹旗 「いや、一人でテーマパーク? と思っちゃいまして」

黒夜 「私並かそれ以上に寂しいヤツがいたんだなぁ、と」

冥土帰し 「ソリストの素養があるということだね?」

白井 「そ、そこまで!? そこまでイレギュラーなのですか!?」


877 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:00:34.04 sOEk+tEto 220/267


絹旗 「ていうか、私を超誘ってくれればよかったのに」

白井 「それじゃ意味がございません。それにあくまでも下見ですから、一人のほうがフットワークは軽いですの」

黒夜 「まあ、そりゃそうか」

絹旗 「じゃあ、日を超改めて私と来てくださいよ」

白井 「絹旗さんこそ、他に誰か誘えばよろしいのでは」

絹旗 「白井さんが一番気が楽なんです」

白井 「……ま、まあ、そういうことであればお付き合いすることもやぶさかではございませんが」

黒夜 「なに? デートの約束?」

絹旗 「ええ、超デートですよ」

白井 「絹旗さん!」

黒夜 「やっぱ仲良いんだなぁ、もー。嫉妬で腕のパーツが焦げちゃいそう☆」

白井 「べっ、別にそういった仲では」

絹旗 「えー、超冷たいです超ドライです。この間だって、一緒のベッドで寝たじゃないですか」

白井 「あれは絹旗さんがわたくしのベッドにファンタグレープを大量に零したからですの!!」デコピンッ

絹旗 「ふぎゃ」

冥土帰し (いやぁ、良いものだね)


878 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:02:03.94 sOEk+tEto 221/267



~しばらくして~


白井 「さて、見えてきました。あちらが第一のアトラクションですの」

黒夜 「あれって……なに?」

冥土帰し 「見たところ、バンジージャンプのようだね?」

絹旗 「バッ、バンジーって……」

黒夜 「蒸し鶏?」

絹旗 「それはバンバンジー」

白井 「地上からの高さは65メートル。登れば分かりますが、なかなか壮観ですの」

黒夜 「65メートルを分かりやすく」

冥土帰し 「ビルにして16~7階といったところだね?」

絹旗 「……あ、あの、あそこから生身で超飛び降りるんですか?」

黒夜 「そりゃそうだろ。バンジーなんだし」

絹旗 「……」

白井 「では、まず上まで行くといたしましょう」

冥土帰し 「僕は下でスタンバイしているね?」


879 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:03:17.66 sOEk+tEto 222/267



~バンジージャンプ台~


黒夜 「おー、こりゃ絶景」

絹旗 「風が強いですね……」

白井 「さて。どちらから挑戦されます?」

絹旗 「く、黒夜お先にどうぞ」

黒夜 「え? 別にいいけど。なに、ビビっちゃった?」

絹旗 「そっ、そんなワケないじゃないですか!」

黒夜 「じゃお先にどうぞ?」

絹旗 「う、わ……分かりましたよ」

白井 「スタート位置についてから、ジャンプするまでのタイムを計測いたします。
    ちなみに、15分経過しても飛べない場合はリタイア扱いとされますのでご留意下さい」

絹旗 「……」

係員 「では、ハーネスを装着しますね! 失礼します!」

絹旗 (やば、膝が……)ガクガク

係員 「大丈夫ですよ! 絶対絶対切れたりはしないですから!!」


880 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:04:39.15 sOEk+tEto 223/267


絹旗 「」スー ハー

係員 「はい、準備ができました! いつでもどうぞ!」

絹旗 「うー……」

黒夜 「絹旗ちゃん、下は見るなよ! いや、やっぱり見ろ!」

絹旗 「え」チラッ


  ヒュォォォォォォ


絹旗 「」ブルッ

白井 「黒夜さん、次にいらぬ野次を飛ばしたらペナルティですの」

黒夜 「こりゃ失礼」

 :
 :
 :

絹旗 「」

白井 「……」

黒夜 「なあ、もういっそのこと背中押してやったら?」

白井 「危険過ぎます。一歩間違えれば、こちらがコードレスバンジーする羽目になりますの」


881 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:06:02.33 sOEk+tEto 224/267


係員 「大丈夫ですか? ムリはなさらないでくださいね」

絹旗 「」ハー...ハー...

白井 (これは……厳しくなってまいりましたわね)

黒夜 (まずいな。このままじゃリタイアだぞ)

絹旗 「」チラッ

黒夜 「? 絹旗ちゃん、どうし」

絹旗 「」ダンッ

黒夜 「あっ」


<みぎゃああぁぁぁ ぁ ぁ  ぁ  ぁ   ぁ


黒夜 「飛んだ……飛ぶ直前、すっごい涙目だったぞ」

白井 「安全と頭では分かっていても、やはり恐怖心は拭いきれないものですの」

黒夜 「別に死ぬ訳でもなし。大袈裟すぎんだろ」

白井 「その言葉、しかと覚えておきますの」

黒夜 「……?」


882 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:07:15.76 sOEk+tEto 225/267


係員 「お次の方どうぞー」

黒夜 「私の番か」

白井 「はい、ご武運をお祈りしております」

係員 「こちらへお願いしまーす!」

黒夜 「はいよー」

係員 「では、ハーネスを装着しますね! 失礼します!」

黒夜 「さてさて」

係員 「はい、準備ができました! いつでもどうぞ!」

黒夜 「いつでもいいの?」

係員 「はい!」

黒夜 「」ピョーン

白井係員 「「はやっ」」


<ィヤッホォォ ォ  ォ   ォ    ♪


白井 「これは……絹旗さん、苦しい勝負になってきましたわね」メモメモ


884 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:08:47.35 sOEk+tEto 226/267



~同日 巨大テーマパーク フードコート~


絹旗 「もうヤです。もうあんなの超やりたくないです」

黒夜 「絹旗ちゃん、高いところってダメだったっけ?」クピクピ

絹旗 「平気であっても、アレは超怖いですよ!」

冥土帰し 「いくらゴムがついてるとはいえ、自由落下するのは相当な恐怖が伴うね?」

黒夜 「ふーん。私は気持ちよかったけどなぁ」

白井 「そこは人それぞれですの。さて、前半戦終了時点の結果ですが……
    絹旗さんが13分31秒、黒夜さんが1秒ですの」

絹旗 「むむ……これは超マズイですね」

黒夜 「こりゃ楽勝かなー?」

白井 「まだまだ、勝負は最後まで分からないものですのよ?」

冥土帰し 「パッと見た感じ、二人の体調に異変はなさそうだね?」

白井 「畏まりました。では、そろそろ次の舞台へと参りましょう」

絹旗 (次で挽回しないと……)

黒夜 (いい感じに貯金ができたなー)


886 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:10:23.94 sOEk+tEto 227/267


 :
 :
 :

白井 「次はここです」

黒夜 「こ、こ、これって、おい……」

絹旗 「いわゆるお化け屋敷ですか」

白井 「大規模な事故が発生し、見捨てられた研究所……という設定だとか」

冥土帰し 「ふむ。雰囲気が出ているね?」

白井 「ちなみに、この中にいるお化けやクリーチャーは人形やハリボテではございません」

黒夜 「ほっ、本物がいるってこと!?」

白井 「あ、そうではなく。学園都市最先端の特殊メイクを施したアクターさん方が徘徊しておられますの」

絹旗 「おお、超手が込んでますね」

白井 「……まあ、本物さんも混じっているかもしれませんが」ボソボソ

黒夜 「ねえ、今なんか言った? すごいイヤなこと言わなかった?」

白井 「いえ、何も。付け足しますと、特定の順路はございません。探索しつつ、出口まで辿り着いてください」

絹旗 「超アドベンチャーゲームみたいですね」


887 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:11:52.39 sOEk+tEto 228/267


白井 「それで、出るまでにかかったタイムを計測いたします」

黒夜 「あのさ、何か武器って貸してもらえるの?」

絹旗 「は? 武器?」

黒夜 「サブマシンガンとか射影機とか」

白井 「いえ、なにも」

黒夜 「じゃ、いざとなったら窒素爆槍で」

白井 「断言できます。やめておいたほうが良いかと」

黒夜 「え? なんで?」

白井 「能力を行使してアクターさんや施設に被害を及ぼした場合、
    中にいるアクターさん全員に召集がかかりますの」

黒夜 「えっと、つまり?」

白井 「何十体ものお化けやクリーチャーが、わき目も振らず黒夜さんの元へ殺到します」

絹旗 「うはぁ……想像しただけで超ゾッとしますね」

黒夜 「じゃあ、化け物と出くわしたらどうすんの?」

白井 「逃げてくださいまし」

冥土帰し 「まあ、お化け屋敷というのは昔からそういうものだね?」


888 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:13:10.65 sOEk+tEto 229/267


黒夜 「マ、マジでか……こんなのムリだよ」

白井 「黒夜さん、別に死ぬ訳でもなし。大袈裟すぎですの」

絹旗 「あれ? あれれ? もしかして、超怖いんですか?」

黒夜 「ばっ……んなワケあるか! この学園都市でお化けなんざ語ること事態おかしいだろ!」

絹旗 「そうですよねー、ホラーゲームを超やりこんでる黒夜ですもんね。じゃ黒夜からどうぞ」

白井 「先ほどのバンジーは絹旗さんからでしたし。今度は黒夜さんからということで」

黒夜 「な、なあ……一人で行くの?」

白井 「当然ですの」

絹旗 「超ファイトですよ!」

冥土帰し 「頑張っておいで」

黒夜 「……行ってきます」

白井 「あ、黒夜さん。その前に」

黒夜 「ん?」

白井 「これを襟元に付けておいてくださいまし」

黒夜 「ピンマイク? なんで?」


889 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/07 00:14:36.88 sOEk+tEto 230/267


白井 「万一の場合に備えて、音声だけでもモニターしておきます。カメラは持ち込み禁止ですし」

黒夜 「ああ、そういうことか。分かったよ」イソイソ

冥土帰し 「常に冷静でいることだよ? 焦りは恐怖を助長する」

黒夜 「なんとかやってみるよ……」

絹旗 「超いってらっしゃい」ノシ




係員 「ご入場ですか?」

黒夜 「はい」

係員 「それではこちらをお持ち下さい」ハイ

黒夜 「LED懐中電灯? 何に使うの?」

係員 「エリアによってはこちらを使わないと、前に進むことすら困難な場合がございますので」

黒夜 「」

係員 「それでは、何卒お気をつけて。恐怖に呑まれませんよう……ひひっ」ペコリ

黒夜 「よし……行くか」コツッ


925 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:52:33.18 ZzHpBRPeo 231/267


黒夜 「」コツッ...コツッ...コツッ...

黒夜 「なんだよ、この妙な冷気は……」

黒夜 「……靴音が妙に響くな」コツッ...コツッ...コツッ...

黒夜 (おちつけ……雰囲気にのまれたらダメだ)

黒夜 (お、壁にマップが。よし、頭に叩き込んでおこうか)

黒夜 (現在地がここで……)


  ハシュ...フシュ...


黒夜 「」ビクッ

黒夜 (な、何かいる……何の音だ?)

黒夜 (そこの曲がり角の向こう……?)

黒夜 「……」コツッ...コツッ...

黒夜 「」ソローリ

黒夜 (なんだ、あれ。ゴミ袋か?)

黒夜 (あ、そうだ。懐中電灯あったんだ)カチッ

ゾンビ 「」クルッ


926 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:53:51.36 ZzHpBRPeo 232/267



~その頃~


絹旗 「黒夜の足音しか聞こえてきませんね」

冥土帰し 「歌でも歌っているかと予想したのだけどね?」


 【スピーカー】<わあああああああ!?
 【スピーカー】<こっち来んなぁぁぁぁ!


白井 「どうやら、何かに出くわしたようですの」

絹旗 「すごいビビりようですね」

冥土帰し 「余程おぞましい何かがいたのだろうね?」


 【スピーカー】<ゴメン!ゴメンってば!
 【スピーカー】<メシの邪魔して悪かった!悪かったから!


絹旗 「メシ?」

白井 (ああ、入ってすぐのところのゾンビさんですのね)

冥土帰し 「食事の邪魔をされて追い掛け回すなんて、余程の食いしん坊だね」


927 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:55:19.61 ZzHpBRPeo 233/267


絹旗 「ちなみに、ここってどれぐらい怖いんですか?」

白井 「係員さんに聞いた話ですが。挑戦者の3割はリタイアするとか」

絹旗 「うひゃぁ……」

白井 「時期的に、アクターさん方も気合が入っておられるようで」

冥土帰し 「ふむ、ホラーの季節ではないと思うが」

白井 「あ、いえ。クリスマスが近くて浮かれてるカップルを怖がらせるのに全力を注いでいる勢力がいるらしいですの」

絹旗 「クリスマス死ね死ね団ってヤツですか」

白井 「破局の原因にもなりえますわね。彼女を置いて逃げる殿方など願い下げですもの」クスクス

 :
 :
 :

黒夜 「うぅ……出口は向こう、だよな?」

黒夜 (そこかしこにマップが貼ってあるお陰でなんとかなってるけど、これなかったら行方不明者出てんぞ……)

黒夜 「……」コツッ...コツッ...コツッ...


  ガシッ


黒夜 「ひっ!?」


928 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:57:03.55 ZzHpBRPeo 234/267


鋏男 「ひひっ……綺麗な手だねぇ。切り取って、右手コレクションに加えてあげようねぇ……」シャキシャキ

黒夜 (なんだあのでかいハサミ!! や、やだぁ!!)

黒夜 「や、やるよ! それやるから危ないことしないで!」キュポン

鋏男 「え……ぎゃぁぁぁぁ!? もげたぁぁぁぁぁぁぁ!?」

黒夜 「」ガクブル

鋏男 「いやぁぁぁぁ!」ポイ ダダダダ

黒夜 「あ、投げんなバカ!……なんなんだよ、化け物のクセに」カチッ

黒夜 (でも怖かったぁ……いきなり腕掴んでくるんだもんな)

黒夜 (さて……次はたしか)

黒夜 「この部屋を通り抜けるんだったよな」ガチャ

黒夜 「……病室、か」コツッ...コツッ...コツッ...


<ゴツッ...


黒夜 「」ビクッ


<ゴツッ...ゴツッ...ゴツッ...


黒夜 (なんだよ、このゴツイ足音……こっちに近づいてきてる)ガクブル


929 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:58:14.81 ZzHpBRPeo 235/267



~その頃~


絹旗 「……あれ? なんか急に超静かになりましたね」

白井 「足音すら聞こえないということは、立ち止まっているのでしょうか?」

冥土帰し 「或いは失神しちゃったか」

絹旗 「まっさかー、失神なんt」


 【スピーカー】<ぎゃああああああああ!?
 【スピーカー】<なんだお前!?なんだお前!?


絹旗 「わっ」ビクッ

冥土帰し 「尋常じゃない悲鳴がきこえたね?」


 【スピーカー】<くっ、来るな!来るなよぉぉ!!


絹旗 「な、何が起こってるんですか?」

白井 (おそらくは"アレ"に出くわしてしまいましたわね……これは不運ですの)

白井 (わたくしも、その日の夜に夢に見るぐらい恐怖でしたもの)

絹旗 「大丈夫なんでしょうか……」


930 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/08 23:59:43.71 ZzHpBRPeo 236/267



~お化け屋敷 内部~


??? 「ウオォォォ」ドスドスドスドス

黒夜 (こ、これヤバイって! どっかに隠れたほうが……!)タッタッタッタッ

??? 「スタァァズ」ドスドスドスドス

黒夜 「」ガチャ バタン


<ドスドスドスドス...


黒夜 「はぁ……はぁ……いったか……」

黒夜 「あ」

黒夜 (やべ……夢中で走ったから、方向が全然わかんなくなっちまった……)

黒夜 (とりあえず移動するか……)ジャリ...ジャリ...

黒夜 (ここはなんだ、暗くてよく分からないな……懐中電灯オン、と)カチッ

黒夜 「!?」

黒夜 (奥のロッカーって確か……こ、ここって死体安置所!?)


<ガチャガチャガチャガチャ


ゾンビx10 「ァァァァァァ」


931 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:01:13.84 wjZrUvS6o 237/267


黒夜 「わっ、あ、ああああ!」ガチャ バタン

黒夜 「はーっ、はーっ……ん?」

??? 「……あっ。す、スタァァズ」

黒夜 「ひああああああ!!」ダダダダ

??? 「」ドスドスドスドス

黒夜 「なんだよ! 私がお前に何したっつうんだよぉぉ!!」ダダダダ

 :
 :
 :

黒夜 「はっ……はっ……」

黒夜 「」ズルズル ペタン

黒夜 (もうやだよ……ははっ、もうどうにでもなれ)



~しばらくして~


?? 「Hey、そこのお嬢さん」

黒夜 「」ウトウト

?? 「あのー、そこで隠れるように座り込んでる黒髪のお嬢さん?」

黒夜 「ん……?」


932 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:03:05.63 wjZrUvS6o 238/267


逆さ女 「いぇい」

黒夜 「ひっ……!?」

逆さ女 「大丈夫、私見た目はこんなだけど悪い悪霊じゃなくて良い悪霊だよ!」

黒夜 (何言ってんだ、こいつ……)

逆さ女 「もう恐怖で絶頂に達して、お漏らし直前のお嬢さんにいいものをあげよう」ハイ

黒夜 「……これって、ここのマップ? いいの?」

逆さ女 「みんなにはナイショだよ? 約束だよ? もし約束破ったら……」

黒夜 「や、破ったら?」

逆さ女 「迎えに行くからな?」←超低音

黒夜 「」ビックゥ

逆さ女 「じゃ、ばいびー☆ 夢で逢えたらいいね☆」スルスルスル

黒夜 「逢いたくねーよ!」

黒夜 (マップか……でも、さ)

黒夜 (私、自分が今どこにいるのかがよく分からないんだけど……)

黒夜 (どっちみち、ここでこうしててもしょうがないか)


933 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:04:19.57 wjZrUvS6o 239/267



~さらに時間は過ぎ~


 【スピーカー】<ん?EXIT?あ、やった出口だ!


絹旗 「お」

白井 「どうやら辿り着いたようですの」

冥土帰し 「出てきたが……だいぶ憔悴しているね?」

黒夜 「……」トテトテ

絹旗 「黒夜、なんか痩せたというか老けたというか」

白井 「黒夜さん、お疲れ様ですの」

黒夜 「」ダキッ

白井 「ちょっ」

黒夜 「もうやだ、二度とやだ」グス

白井 「はいはい、もう大丈夫ですから」ナデナデ

冥土帰し 「念のため、簡単なメディカルチェックはしておこうね?」

絹旗 「じゃ、じゃあ、私行ってきますね。黒夜を超お願いします」

白井 「ええ、お気をつけて」


934 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:05:30.00 wjZrUvS6o 240/267



~お化け屋敷 内部~


絹旗 「……おわぁ」コツッ...コツッ...

絹旗 (超雰囲気でてますね……)

絹旗 (あ、マップ貼ってあるじゃないですか。えーと……)

絹旗 (よし、最短経路は頭に超叩き込んだんで、あとは一気に駆け抜けましょう)タッ

絹旗 「分かれ道……こっちですね」


  ガシッ


絹旗 「キャッ!」ビターン

絹旗 「な、なに……え?」

絹旗 (あ、あ、あ……マドハンドに足掴まれてる!?)

絹旗 「やっ、やぁぁぁ!? 離して! 離してくださいぃぃ!!」ジタバタ


<ズルッ...ズルッ...


絹旗 「!?」ビクッ


935 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:06:47.54 wjZrUvS6o 241/267


絹旗 (何か引き摺ってるような……こ、こっちに来てる!!)

絹旗 「離して! 超離してぇぇぇ!」ジタバタ


<ズルッ...


絹旗 「ひ、あ……」ガタガタ

女性 「……あっ」

絹旗 (お、女の人……なんで、匍匐前進?)

女性 「キミも捕まっちゃったの? じゃ、あたしと同じになっちゃうんだね?」ズルッ...ズルッ...

絹旗 (!? こっ、この人……膝から下が超グチャグチャ……!)

女性 「大丈夫だよ? 慣れれば腕だけでも生活できるよ?」ニヤァ

絹旗 「うわあああああ!」ジタバタ


  スルッ


絹旗 (ぬ、抜けた!)

絹旗 「」ダダダダ


936 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:07:55.08 wjZrUvS6o 242/267


絹旗 「はっ、はぁ、はぁ……」

絹旗 (……ここまでやるんですか、ここは……)

絹旗 (うぅぅ、結局最短ルートからそれちゃいました……)

絹旗 「ええと、ここはどこでしょうか……」コツッ...コツッ...


  チョンチョン


絹旗 「?」クルッ

絹旗 「あ」



~その頃~


黒夜 「」ヒシッ

白井 (白井ですが、黒夜さんがわたくしの腕から離れようとしません)

黒夜 「絹旗ちゃんも何かに出くわしたんだな」

冥土帰し 「君のときもそうだったが、序盤から容赦しないお化け屋敷だね?」


937 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:09:20.99 wjZrUvS6o 243/267


白井 「わたくしも後から知ったのですが、最短ルートは恐怖レベルが高いとか」

黒夜 「マジでかよ……」


 【スピーカー】<……な、なんですかコレ……ふぎゃああ!?
 【スピーカー】<やっ、離してください!!超気持ち悪い!!


黒夜 「……なんだぁ?」

冥土帰し 「ふうむ、音声だけでは判断しかねるね?」

白井 「これはおそらく、わたくしもひっかかりましたの」

黒夜 「なんなの?」

白井 「ロボットアームを利用して作られた、有機的外観の"触手"。ああ、もう思い出すだけでもおぞましい」ブルッ

黒夜 「考えたヤツ、頭おかしいだろ……」

冥土帰し 「しかし、これは対称的だね?」フム

黒夜 「何が?」

冥土帰し 「君のときは走ってる音と"来るな"という発言が多かったが、彼女の場合は"離せ"というのが多い」

白井 「追いかけられる恐怖か、捕らえられる恐怖か、ということですの」

黒夜 「どっちもヤだよ、もう……」


938 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:10:23.77 wjZrUvS6o 244/267



~お化け屋敷 内部~


絹旗 「うっ、うぅぅ……超怖かった……」

絹旗 (なんで触手と格闘してるタイミングでゾンビが通り過ぎるんですか、超ありえないです)

絹旗 (とりあえず現在位置と出口の方向の確認をしませんと……)コツッ...コツッ...

絹旗 「」ガチャ

絹旗 「……キッチンですかね」コツッ...コツッ...


<ガタンッ


絹旗 「」ビクッ


<ガタガタガタガタガタガタ


絹旗 (こっ、こんな時に地震!?……じゃなくて、これって)

絹旗 「ポルターガイスト!?」

絹旗 (と、とりあえず出ましょう)タッ


939 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:11:41.05 wjZrUvS6o 245/267


絹旗 「あ、あれ!? なんで開かないんですか!」ガチャガチャ


<ガシャーン
<デュフフフフフ


絹旗 「ひゃっ……!?」

絹旗 「ど、どうしろと……」ペタン

絹旗 (もう耳塞いで、やり過ごすしか……!)ガクブル


<ガタガタガタ...ガタ...


絹旗 (……お、おさまった……?)キョロキョロ

絹旗 (いっ、今の内に!)ガチャ バタン



~その頃~


黒夜 「なんか今すごい音したけど」

白井 「なんでしょうか」

冥土帰し (音に混じって、人の笑い声も聞こえたような気がしたがね)


940 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:13:12.50 wjZrUvS6o 246/267


 :
 :
 :

絹旗 (もう何回コケたんでしょうか……)

絹旗 (目を閉じて走り抜けたり、驚いてすっ転んだり、クリーチャーを振り解いたり……)

絹旗 (髪も制服も超ホコリまみれ……うぅぅ、もうヤです)

絹旗 (でも記憶の中にあるマップが正しければ、超もうちょいで出口のハズ)

絹旗 「ここを曲がれば……」コツッ...コツッ...

?? 「……」

絹旗 「」ビクッ

?? 「……」

絹旗 (な、なんでよりにもよって、あとちょっとってところで……)

絹旗 (ていうか貞子? だったら井戸か画面の中に超入っててくださいよ……)

絹旗 「」ソローリ

?? 「……」

絹旗 (うう、どうしましょ……また腕掴まれたり抱きつかれたりされたら……)


941 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:14:32.25 wjZrUvS6o 247/267


?? 「……」

絹旗 (……あれ? よく見たら……なんか透けてる?)

絹旗 (いちかばちか。超一気に走り抜けましょうか)

?? 「……」

絹旗 (3、2、1……)

絹旗 「ッ!」ダダダダ

?? 「……」チラッ

絹旗 (このまま一気に外まで!)ダダダダ

絹旗 「出れたー! あっ」コケッ ズサー

絹旗 「いたた……最後の最後でまたコケた」


<大丈夫かー?


黒夜 「派手にコケたなぁ」トテテテ

絹旗 「」ダキッ

黒夜 「お、おい?」

絹旗 「うぅぅ」ギュー


942 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:15:54.57 wjZrUvS6o 248/267



~同日 巨大テーマパーク フードコート~


冥土帰し 「3ヶ所、軽い擦り傷がある以外は特に異常はみられないね?」

絹旗 「超ありがとうございます」ギュ

白井 (白井ですが、絹旗さんがわたくしの手を握ったまま離そうとしません)

黒夜 「もう死んでもやだ、あんなの」

白井 「ともかくお二人とも、お疲れ様でした」

絹旗 「正直、これまでの7回の勝負の中で一番キツかったかもしれません」

黒夜 「あのお化け屋敷はトラウマ製造機だよ、責任者でてこいよ」

冥土帰し 「グランドフィナーレに相応しい豪勢さだったようだね?」

白井 「さて。結果発表と参りましょう」

絹旗黒夜 「「」」ドキドキ

白井 「バンジーの結果は先程お伝えしました通り、絹旗さんが13分31秒、黒夜さんが1秒ですの」

白井 「それにお化け屋敷の記録を合算した結果」

絹旗黒夜 「「……」」


943 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:17:57.50 wjZrUvS6o 249/267


白井 「絹旗さん、42分46秒。黒夜さん、44分29秒」

黒夜 「」ブーッ

絹旗 「」ガタッ

白井 「従いまして、勝者は絹旗さんですの」

絹旗 「やったぁぁぁ!」

黒夜 「ははっ、負けた負けた、負けちゃったなぁ。ていうか、私そんな時間かかってた?」

白井 「ええ……途中15分ほど、まったく声も音もしない時間がございましたが」

冥土帰し 「みんな心配してたよ?」

黒夜 「……あっ、それアレだ。化け物から逃げて隠れてる時間だ」

絹旗 「そんなに隠れてたんですか」

黒夜 「しょうがないだろ! なんかこう……ゴツキモイのがすごいスピードで追っかけてきたんだから!」

白井 「無理もございませんの」クスクス

黒夜 「ま、ともかく。今回のシリーズは私の負けか、はーあ」

絹旗 「まさか最終戦まで超もつれ込むとは」

冥土帰し 「勝負は時の運、何が起こるか分からないものだね?」


944 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:19:26.02 wjZrUvS6o 250/267


黒夜 「正式な形で決着がついたんだろうし、私も思い残すことはないな」

絹旗 「……はい?」

黒夜 「付き合わせて悪かったな、もう突っかかることもないと思っていいぞ」

絹旗 「あの……なんで超今生の別れみたいなこと言ってるんですか?」

黒夜 「え? だって負けたらもう関わらないってルールじゃなかったっけ?」

白井 「……まさかこの期に及んで前提を履き違えていたとは、驚きですの」

黒夜 「???」

絹旗 「滝壺さんが言ってたことを超思い出してください。決着がつけば後は仲良くするだけ、って言ってたんですよ?」

黒夜 「…………いいの?」

絹旗 「私は街中で騒動起こされるのが超面倒だっただけで、あなた自体をイヤだと言った覚えは多分ないです」

黒夜 「……」

冥土帰し 「まあ、仲良くすればいいんじゃないかな?」

黒夜 「そっ……っ」

絹旗白井 「「?」」

黒夜 「……そういうことだったらしょうがないな」プイ


945 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/09 00:20:52.56 wjZrUvS6o 251/267


絹旗 「うわ、超涙声」

白井 「素直じゃございませんわね」

黒夜 「うるせぇな、ほっとけよ!」プンスコ

絹旗 「もっと私を見習って、超素直になってくださいよ」

黒夜 「素直にねぇ……お化け屋敷から出てくるなり私に抱き着いて涙こらえるのも素直の現れか?」

絹旗 「あっ、あれは違いますよ! その……超インプリンティングってヤツですよ!」

冥土帰し 「うん、それも違うと思うね?」

白井 「それまでそれまで。ちょうどフードコートにいるのですし、夕食にいたしましょう」

黒夜 「伝統に則って、白井ちゃんの奢りだよな?」

絹旗 「超当然じゃないですか」

絹旗黒夜 「「ゴチになりまーす☆」」

白井 「はあ……仕方ございませんわね」

冥土帰し 「ゴチになるね?」

白井 「先生まで!?」



 ☆最終戦績☆

  絹旗 4―3 黒夜
  Win!


946 : ☆超オマケ その日の夜 ◆8GN... - 2011/12/09 00:22:24.52 wjZrUvS6o 252/267


~黒夜Side~

シルクロ 「そろそろ寝る準備にとりかかるか」ガチャ

黒夜 「」チョコン

シルクロ 「……何をしている。ここは私の寝室だぞ?」

黒夜 「今日はここで寝るけど、私のことは気にせずここで寝てくれ」

シルクロ 「なぜだ?」

黒夜 「お休み」モゾモゾ

シルクロ 「?」


~絹旗Side~

白井 「……」

絹旗 「」ウトウト

白井 (なぜ絹旗さんがわたくしのベッドに?)

白井 「絹旗さん」プニプニ

絹旗 「んぅ」

白井 「わたくしはどこで寝れば」

絹旗 「」スッ

白井 「あの、掛け布団を持ち上げて"ほら、入れよ"とかされましても……ああもう、分かりましたの」ハァ


971 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:34:24.16 tOjUxhDyo 253/267



~数日後 第7学区 とある公園~


黒夜 「絹旗ァァァァァァァ!」ゴォッ

絹旗 「黒夜ゥゥゥゥゥゥゥ!」ボォッ


  ドォォォン


黒夜 「テメェ、絶対許さねェェェ!」

絹旗 「こっちのセリフですよォ!」グググ

黒夜 「ッ!」

絹旗 「うらァァァ!」ブンッ

黒夜 「ひっははっ」ヒュゥ


  ズパァン


黒夜 「ゴミ箱ブン投げただけで勝てると思っちゃってるンですかねェ」

絹旗 「……超クソ生意気ですね、ほンと」

黒夜 「いやいや、絹旗ちゃン程じゃねェさ」


972 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:35:36.67 tOjUxhDyo 254/267


絹旗 「やっぱりここで一回超ブチのめしておくべきなンでしょうね」

黒夜 「出来もしないこと言うもンじゃないと思うぜ?」

絹旗 「」グッ

黒夜 「」ザッ


  ダンッ


黒夜 「大反省しながら吹っ飛びやがれェェ!」

絹旗 「粉々になって超反省しやがれェェェ!」

警備員 「そこまでじゃん!」

絹旗黒夜 「「あっ」」

警備員 「公園で派手にケンカしてる奴らってのはお前らのことだな?」

 :
 :
 :

警備員 「で、なんでケンカなんかおっ始めた?」

絹旗黒夜 「「だってこいつが!!」」

警備員 「あぁ、待て待て。一人ずつじゃん。まずそっちの黒い方」


973 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:36:56.50 tOjUxhDyo 255/267


黒夜 「絹旗ちゃんが私の午後ティー飲み干しやがったんだよ! 一口しか飲んでなかったのに!」

警備員 「……で、そっちは?」

絹旗 「黒夜が、一口ちょうだいっていいながら私のピザまん完食しやがったんです!」

黒夜 「あれが私の一口なんだよ!」

絹旗 「だったらさっきのだって私の一口ですよ!」

黒夜 「はぁぁ? 一口が約500mlってどんだけだよ!? 安田大サーカスかよ!」

絹旗 「そっちこそ、リスみたいにピザまんほぼ全部口に超押し込んだじゃないですか!」

警備員 「いい加減にするじゃん」ポカッ ポカッ

黒夜 「いてっ」

絹旗 「ふぎゃ」

警備員 「とりあえず、すっごく下らない理由で暴れてたのは分かったじゃん。さて、お前ら」

絹旗黒夜 「「は、はい……」」

警備員 「ちらかした公園を二人で掃除するじゃん。今回はそれで終わりにしてやる」

絹旗 「え、でも」

黒夜 「この後、待ち合わせ」

警備員 「さっさとやるじゃん!」

絹旗黒夜 「「は、はいぃ!」」


974 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:38:09.33 tOjUxhDyo 256/267



~その頃 第3学区 個室サロン~


白井 「」コツッ コツッ

白井 「ここですわね」

白井 「」コンコン


<合言葉は!?


白井 「……はい?」


<浜面くん何ふざけてるのよ!
<早く開けてあげてくださいな。


白井 「……」


<ガチャ


海原 「さ、どうぞお入りください」

白井 「失礼いたしますの」


975 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:39:19.01 tOjUxhDyo 257/267


番外個体 「お、来た」

白井 「あら、わたくしが最後でしたのね」

婚后 「あの……わざわざここでやる必要があったのでしょうか」

滝壺 「秘密の話だから、ここにした」

結標 「人数的な問題もあるわよね。ファミレスとかじゃキツイし」

海原 「浜面さんのドリンクバー捌きが見れないのだけが残念ですね」

浜面 「俺になにを期待しとんだお前は!?」

番外個体 「あ、そうそう。白井さんに会ったら聞きたいと思ってたんだけどさ」

白井 「はい、なんなりと!」

番外個体 「デビューすんの?」

白井 「……デビュー?」

滝壺 「うなばらから写真きてたよ? きぬはたとくろよると、3人で写ってるやつ」

白井 「海原さぁぁぁぁん!?」

海原 「僕は全員に写真をお送りすると申し上げたではないですか」ニコニコ

浜面 「目標はでっかくブロードウェイだな!」

婚后 「それはミュージカルですわ」


976 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:40:21.03 tOjUxhDyo 258/267


番外個体 「んで、ユニット名はなに?」

海原 「それはこれからみんなで考えましょう」

白井 「デビューはしませんの!」

浜面 「いや、正直この3人だったらイケると思うんだけどなぁ」カチカチ

滝壺 「かわいいよね」

結標 「貴方もプロデューサーとしてデビューするの?」

海原 「ご必要とあらば」

白井 「必要ありませんの!」ムキー

婚后 (常盤台って芸能活動はOKだったでしょうか……?)

 :
 :
 :

白井 「と、まあ、わたくしの担当回についてはメールでお送りした通りですの」

番外個体 「メールに書いてない情報は?」

白井 「そうですわね……あの日以来、絹旗さんに後遺症が発生したことでしょうか」

海原 「と、申されますと?」


977 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:41:30.61 tOjUxhDyo 259/267


白井 「一人で寝れなくなりました」

婚后 「余程の恐怖体験をなさったのですね」

結標 「じゃ一緒に寝てるんだ?」

白井 「ええ、まあ……追い出すのも可哀想なので」

浜面 「絹旗はなぁ、そういうとこあるんだよ。前もホラー映画見た日の夜に一緒に寝ろって殴りこんできてな」

海原 「いますよね、怖がりだけどホラー好きの方というのは」

滝壺 「はまづら、きぬはたと一緒に寝たの?」

浜面 「まあ、仕方なくな」

滝壺 「」イラッ

番外個体 「まさか本物持って帰ってきてないだろうね」ケラケラ

白井 「…………」

番外個体 「……え、マジ?」

白井 「いえ、あの……最近ユリコが何もない空間に威嚇したり、仔猫が妙に怯えていることが多くて」

婚后 「ま、まさか、この学園都市内でそんなことは……」

結標 「……ね、海原」


978 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:42:48.75 tOjUxhDyo 260/267


海原 「そ、そうですね……」

浜面 「何かあんのか?」

海原 「念のため、あくまで念のためですが。僕たちの友人にそういった方面に
    詳しい人間がいるので話を聞いてもらいましょうか」

結標 「見た目はすっごい胡散臭いけど、まあ、信用できると思うわよ」

白井 「では……状況が悪化するようでしたらお願い致しますの」

浜面 「絹旗は何も言ってこないのか?」

白井 「特には。ただ、夜うなされていることが多くなりまして……
    ま、まあ、心配はないかと。おそらく、お化け屋敷のトラウマを引きずってるだけですの」

結標 「だったら、ケアしてあげてね。私たちも出来る限りのことはするから」

滝壺 「一先ず、今回はきぬはたの勝ちってことになったよね」

番外個体 「いやぁ、まるで台本があるかのようなドラマティックな展開だったねぇ」

婚后 「絹旗さん3連勝で決まったかと思いきや、黒夜さんも諦めずの2連勝でしたものね」

海原 「浜面さん、どうやら僕の勝ちのようですね」

浜面 「あーあ、予想が外れたか」つ【500円】

滝壺 「こっちでも勝負してたんだ」

結標 「うわ、サイテー……」


979 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:44:04.69 tOjUxhDyo 261/267



~その頃 第7学区 とある公園~


黒夜 「何やってんだよ!」

絹旗 「何がですか!」

黒夜 「それは燃えるゴミだろ! こっちこっち!」

絹旗 「ああもう、分かりましたよ」ガサガサ

警備員 「よーしよしよし。だいぶ片付いたじゃん」

黒夜 「よっと……空き缶はこれで全部だな」ドサッ

絹旗 「明らかに私たちが散らかした以上の片づけを超してますが」

警備員 「ついでじゃん、ついで」

黒夜 「絹旗ちゃんがブッ壊したゴミ箱は粗大ゴミ?」

絹旗 「なんで私が超壊したことになってるんですか!」

警備員 「もうちょっと細かくできれば金属ゴミで出せるんだがな」

黒夜 「あ、そういうことなら」

絹旗 「黒夜の超出番ですね」


980 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:45:19.97 tOjUxhDyo 262/267


警備員 「お、なんかできるじゃん?」

黒夜 「こういう感じで」ヒュゥ


  ズガンズガンズガン


警備員 「おお」

絹旗 「ついでに超圧縮しちゃいましょうよ」グイ


  ベキベキベキベキ


警備員 「お、やるじゃーん。普段からそうやって協力プレーを心掛ければいいじゃん」

絹旗黒夜 「「……」」

警備員 「じゃ、ゴミ置き場に出しにいくじゃん。ほれ、働け働け」

絹旗 「よいしょ」ヒョイ

黒夜 「ぐお……なんで私が重い方を」プルプル

 :
 :
 :


981 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:46:19.41 tOjUxhDyo 263/267


警備員 「よーし、お疲れお疲れ」

黒夜 「やっと終わった……」

絹旗 「超疲れました……」

警備員 「若いクセに何を言ってるじゃん」ケラケラ

黒夜 「もう行っていい?」

警備員 「ああ、いいぞ。次からは口喧嘩に留めておくじゃん?」

絹旗黒夜 「「はーい」」

警備員 「ほら、行った行った。待ち合わせがどうとか言ってたじゃん」

黒夜 「あ!」

絹旗 「やばっ!」

黒夜 「絹旗ちゃん、今からで間に合いそう?」

絹旗 「えーと……遅刻超確定です」

黒夜 「はあ……じゃもう開き直って急がずいくか」

絹旗 「……別にいいですよね、それで」


982 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:47:43.42 tOjUxhDyo 264/267



~同日 第3学区 個室サロン~


結標 「妙案が思いつかないわね……」

婚后 「絹旗さん、白井さん、黒夜さん……」

滝壺 「」ウーン

海原 「皆さんの良いところを前面に押し出すといいでしょう」

白井 「……」

番外個体 「mini3(ミニキューブ)」

浜面 「なんで立方体だ?」

滝壺 「はまづら、この場合のキューブは"3乗"って意味だと思う」

浜面 「お、そういう意味もあるのか!」

白井 「なぜ使いもしないユニット名を考える流れになっているのですか!」ムキー

番外個体 「暇つぶし」ケラケラ

婚后 「それにしても遅いですわね」

結標 「もう時間過ぎてるのにね」

海原 「そろそろいらっしゃってもいい頃かと思いますが」


983 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:48:56.12 tOjUxhDyo 265/267



<コンコン


番外個体 「おっ」

海原 「やあ、お待ちしておりましたよ」ガチャ

絹旗 「すいません、超遅くなっちゃって。主にこいつのせいで」

黒夜 「どっちもどっちだろ!」

絹旗 「で、今日はどうしたんですか?」

番外個体 「いや、ほら、ようやく全部終わったんだしさ」

婚后 「今日は、お二人にお疲れ様と言うための集まりですわね」クスクス

絹旗 「え、なんか超申し訳ないんですが……」

黒夜 「お膳立てしてもらった立場なんだしさ」

浜面 「あれ? お前本当に絹旗か? 遠慮なんてしちゃって」

絹旗 「なっ……何を言いやがりますか、超浜面の分際で!」ポカポカ

浜面 「怒るな怒るな、悪かったから」

黒夜 「浜面のクセにな」ケッ

浜面 「お前、絹旗が伝染っただろ」


984 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:50:25.17 tOjUxhDyo 266/267


滝壺 「これで公平な方法で決着は着いたんだし、もう無暗に争う必要もないよね?」

絹旗黒夜 「「ははは……」」

絹旗 (言えません、超言えません)

黒夜 (大ゲンカして遅刻したなんて)

白井 「まあ、わたくしたちも楽しませて頂きましたし。一件落着ですの」

結標 「本当に、いろいろと頑張ったわね。DVDにしたら売れるんじゃない?」

海原 「ああ、これは失敗しました。ビデオを準備しておくべきでしたね」

番外個体 「需要はありそうだねー」

黒夜 「……あんのか?」

番外個体 「私買うよ。店でリピート再生するために」

絹旗 「やめてくださいよ!」

浜面 「タイトルは"絹黒どうでしょう"だな」

婚后 「パクリではないですか」

滝壺 「まあ、それはともかく。二人とも、お疲れ様でした」

白井 「ちなみに、一番印象に残ったのはどの回でした?」

絹旗 「超悪い意味で言うなら白井さんですね。いまだに夢に見ますよ」


985 : ◆8GNB4AEvC.[sag... - 2011/12/10 00:51:58.17 tOjUxhDyo 267/267


結標 「重症ね」クスクス

黒夜 「だったらみんな行ってみろよ! マジ泣きするから!」

番外個体 「泣いたの?」

黒夜 「……ちょこっと」

海原 「こちらとしては、単なる勝負に留まらず楽しめるように配慮はしたのですが」

絹旗 「あ、全体通して言えば超楽しかったですよ」

黒夜 「普段できないようなことばっかやれたしな」

婚后 「それを聞いて安心致しましたわ」クスクス

番外個体 「ちゃんとしたコーヒー作りたけりゃ教えてあげるよ?」ニヨニヨ

絹旗 「うー……」

白井 「わたくしたちとしては、お二人が幾分かでも仲良くなったようで。それが一番の収穫ですの」

黒夜 「何言ってんの? 私と絹旗ちゃんは元から超仲良しだよ、なぁ?」

絹旗 「まあ、一応そういうことにしておきましょうか」

黒夜 「まーた素直じゃないなー」コノコノ

絹旗 「超うざいです」キュポン

黒夜 「あっ、だから腕とるなっての……ったく、もう」ケラケラ


続きます

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