あやめ速報-SSまとめ-

～１１月上旬　第４学区　デザートビュッフェ～


婚后 「さあ、闘いの幕開けですわ」

白井 「今日ばかりは体重もウエストも忘れることにいたしますの」

絹旗 「」ｽﾞｰﾝ

婚后 「絹旗さん？　なんだか元気がございませんわね」

絹旗 「いや、もう超時効だと思ってたんですけどねー……」

白井 「残念ですか、そうはまいりませんの」

絹旗 「８月の羽田空港での勝負の負けが今になって……婚后さんがヒースロー空港で言ってた約束ってこれのことだったんですね」

婚后 「ええ。付け足すと、負けたらケーキバイキングとご提案されたのも絹旗さんですわ」

絹旗 「そうなんですけどね……だからって、3人で入場料15000円ってなんですか」

白井 「ここはそういうお店ですの。バラ売りテイクアウトで、安いものでも一個800円しますもの」

婚后 「絹旗さんの出費は15000円。つまり、本日の絹旗さんの場合は19個食べれば元はとれますわ」

絹旗 「いくらなんでも超ムリですよ！」ｶﾞｵｰ

白井 「ちなみに。ドリンク代は別なのですが、こちらは」

絹旗 「それは超協定外です！　これ以上は出しませんからね！」

白井 「というか、こんなやり取りをしていると絹旗さんがケチ旗さんだと誤解されますの」

絹旗 「あー、いや……金額の問題じゃなくてですね。負けて払うってシチュが超悔しくて」

婚后 「ユリコたちのことには手間もお金も惜しまない飼い主バカですのに」ｸｽｸｽ

絹旗 「それは婚后さんには言われたくないですよ」

婚后 「褒め言葉ですわね♪」

白井 「さて、お二人とも。ここは時間制ですし、まず取ってきませんと」

絹旗 「だったらお二人先に行ってきてください。荷物見てますから」

婚后 「であれば、絹旗さんのも見繕ってまいりますわよ」

絹旗 「あ、そうですか？　じゃ私、超チーズケーキが食べたいです」

白井 「承りましたの」

　：
　：
　：

白井 「んー……」

婚后 「あら。随分迷っておいでですわね」

白井 「種類がありすぎて目移りしてしまいますの」

婚后 「どうせこれっきりではないのですから、手当たり次第でよろしいのでは？」ﾋｮｲﾋｮｲ

白井 「仰る通りですわね。では端から順番に」ﾋｮｲﾋｮｲ

婚后 「さて絹旗さんにはチーズケーキ、なのですが」

白井 「あら、すごい。チーズと名が付くものだけでも７種類も」

婚后 「ではこれを全種類２つずつで」ﾋｮｲﾋｮｲ

白井 「第一回戦としてはまあまあの量ですわね」

婚后 「……あれは冷蔵ケース？」

白井 「アイスクリームも各種あるようで」

婚后 「……」

白井 「婚后さん。アイスは溶けますので、フィニッシュムーブにいたしましょう」

婚后 「そ、そうですわね。まずはこの分を片付けるといたしましょう」

白井 「お飲み物は？」

婚后 「とりあえず紅茶を注文いたしましょうか」

白井 「あ、絹旗さんはカフェオレですの」

婚后 「ふふ、かしこまりました」

絹旗 「」ｶﾁｶﾁ

絹旗 「お～」ﾆﾖﾆﾖ

白井 「はい、お待たせ致しましたの」

絹旗 「あ、すいません、わざわざ」

婚后 「なんだか楽しそうでしたわね。何をご覧に？」

絹旗 「ええ。ユリコたちが超ちゃんと留守番してるかなと思いまして」

白井 「仔猫の中には、最近動き回る子もおられますしね」

婚后 「携帯から見れるのですか？」

絹旗 「見れるようにしました。Webカメラセットして」

婚后 「まあ……ぜひ詳しく教えてくださいな」

絹旗 「婚后さんの……あぁ、あの蛇ですか」

婚后 「蛇ではエカテリーナちゃんですわ。それを使えば、わたくしもあの子の妖美な姿をいつでも……」

絹旗 「まあ、いいですよ。私が超知る限りのことなら」

婚后 「ありがとうございます」

白井 「それにしてもこの二人、飼い主バカですの」

絹旗 「あぁ、超おいし。やっぱケーキはレアチーズ一択ですね」ｳﾏｳﾏ

婚后 「ところで、仔猫さんたちは何匹お生まれに？」

白井 「３匹ですの」

婚后 「３匹……ユリコも頑張りましたわね」

白井 「お蔭で、子どもたちも元気よくて」

絹旗 「あ、写真見ます？」

婚后 「ぜひ！」

絹旗 「ええと、３匹写ってるのは……あ、これですね」ｶﾁｶﾁ

婚后 「まあまあ、なんと可愛らしい」ﾊｩ

白井 「最近ではやんちゃが過ぎますが」ｸｽｸｽ

絹旗 「あー、そうですね……末っ子が最近すごい動き回るんです」

婚后 「末っ子は……」

絹旗 「この縞々のですね。テスラっていうんですけど」

白井 「テスラは、絹旗さんの頭の上がお気に召しておりまして」

婚后 「そこはやはりユリコの子ですわね」

絹旗 「超何度追っ払ってもしつこく乗ってくるんですよね」

白井 「追っ払っても？　絹旗さんが追っ払ってるとこなど拝見したことはありませんが」

絹旗 「う……そ、それはそれとして、アスカは白井さんにベッタリじゃないですか！」

婚后 「アスカは……」

絹旗 「２番目の子です、サバトラの。白井さんが部屋にいるときは超ベッタリなんですよ」

白井 「違いがよく分かってる賢い子ということですの」ﾌﾝｽ

婚后 「？　では１番目の子は誰にベッタリなのですか？」

白井 「母親ですの」

婚后 「ということは、ユリコに？」

絹旗 「一番目の子のリックは、唯一の男の子なんですけどね……」

白井 「男の子だからこそ、小さい内は母親の側を離れたくないのでは？」

絹旗 「そういうもんなんですかね。ただ、リックにはもう一つ問題があって」

婚后 「問題？」

絹旗 「アスカですよ。アスカは白井さんがいないとリックをいじって遊ぶんです」

白井 「それ、本当ですの？　その現場に遭遇したことがございませんが」

絹旗 「超本当ですって！　ほら、携帯動画も撮ってきますよ」ﾎﾗﾎﾗ

婚后 「動画ですか？　では、失礼して……」

白井 「ちょ、ちょっとその角度じゃわたくしが見えませんの」


ﾆiﾆﾆiﾆﾆ[再生中]ﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆi

テスラ 「」ｼﾞｰ...

テスラ 「」ｸﾝｶｸﾝｶ

テスラ 「」ﾍﾞｼﾍﾞｼ

ﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆi


婚后 「いきなりドアップですか……」

絹旗 「テスラがカメラに超興味津々だったんです」ﾀﾊﾊ

白井 「あ、映像が動き始めましたの」

絹旗 「さすがに邪魔だったんで、避けましたよ」

婚后 「あっ、このユリコの側におられるのがリックとアスカですわね」

白井 「ええ。ユリコと同じく真っ白なのがリックですの」

絹旗 「超ここからですよ。括目してください」

ﾆiﾆﾆiﾆﾆ[再生中]ﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆi

アスカ 「ﾐｰｰ」ﾍﾞｼﾍﾞｼﾍﾞｼ

リック 「ﾌﾓｰ」

アスカ 「」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

リック 「」ｳﾄｳﾄ

ﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆiﾆﾆi


絹旗 「猫パンチと百烈なめの超コンボです！」

婚后 「……これは、いじって遊ぶというよりは」

白井 「リックが受け流してるようにも見えますの」

絹旗 「え、そうですかね？」

婚后 「もちろん、この子たちが何を思ってるかはわかりませんが」

白井 「リックに嫌がってる様子は見られませんわね。好きにさせてるような」

絹旗 「うーん、やっぱそこは長男の風格なんでしょうか」

婚后 「母親の側を離れられなくても、やはり男の子ですのね」

白井 「妹の世話、というか相手をするお兄ちゃんですのね」

絹旗 「言われてみればそういう風にも超見えてきました」ﾌﾑ

婚后 「あっ！　これ、何かに似てると思ったら」

白井 「何かとは？」

婚后 「絹旗さんと浜面さんの関係も、こんな感じではなくて？」

白井 「あぁ、確かに」

絹旗 「なっ！？　なんでですか！　だって浜面は、えと、超浜面ですよ！」

婚后 「文句を言いながらも受け入れてる浜面さんのお姿が、リックに重なりましたわ」

絹旗 「えー、超可愛くない浜面なんかと一緒にしないでください」

白井 「そんな照れなくても」ｸｽｸｽ

絹旗 「そうじゃないですよ……」

婚后 「それにしても、動き回る姿はなお愛らしい」ﾊｩ

白井 「ええ。部屋も賑やかになりましたの」

婚后 「お産まれになったときはさぞ嬉しかったでしょう」

絹旗 「そりゃもう。超嬉しくて超可愛くて。いつも暇つぶしにみてる掲示板に書き込んじゃったぐらいです」

婚后 「掲示板にまで？」

絹旗 「ええとですね……あ、これです。これ」ｶﾁｶﾁ

　　【子猫が生まれた喜びを分かち合うスレ】


　665 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:30

　　うちの娘が仔猫うみました！超３匹！
　　超やべぇ。マジ癒されます。
　　元気に育ってくれるといいです。

　666 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:32

　　画像も張らずに(ry

　667 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:32

　　うｐ！

　668 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:33

　　うｐ！

　669 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:33

　　飼い主うｐ！

　670 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:34

　　うｐ！

　671 名前：665[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:38

　　しばし待たれよです。

　　>>669
　　ｶｴﾚ

　672 名前：665[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:53

　　超携帯画質ですがどうぞ。
　　まだ目も開いてないです。

　　ttp://n2loda.mnw/1.jpg
　　ttp://n2loda.mnw/2.jpg
　　ttp://n2loda.mnw/3.jpg

　673 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:54

　　>>665のお陰で来世に希望を持てました

　674 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:55

　　>>665のお陰で喪女脱出できました

　675 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:55

　　>>665のお蔭で右手が生えてきました

　676 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:56

　　>>665のお陰で母の癌が完治しました

　677 名前：名も無き飼い主さん[sage] 投稿日：20xx/10/23 23:57

　　>>665のお陰でLEVELうｐしました

婚后 「こちら、665が絹旗さんでよろしいんですよね？」

絹旗 「はい」

白井 「いつの間にこんな……それにしても大盛況ですのね」

婚后 「それはあの可愛さですから」

絹旗 「あ、よかったらこの後部屋に来ますか？」

婚后 「よろしいんですか？」

絹旗 「白井さん、いいですか？」

白井 「ええ、わたくしは構いませんの」

婚后 「では、お邪魔させて頂きますわね。……手ぶらという訳にもいきませんわね」

絹旗 「超いいですよ、気にしないで」

婚后 「あっ、帰りにここのケーキを持ち帰りで」

白井 「その頃には食べ飽きてるかと……」

婚后 「いえいえ、寮監や顔見知りの後輩にも」

白井 「あぁ、そういうことならば良いかもしれませんわね」

絹旗 「じゃ、私たちは超飽きるまでここで食べちゃいましょうか」ﾌﾝｽ

～１時間後～


絹旗 「……はぁ」

白井 「随分頂いた気が……ここまでで何ループ目ですか？」

婚后 「5ループ目ですわね」ｽﾞｽﾞ...

絹旗 「残り時間ってあとどれぐらいでしたっけ？」

白井 「2時間制ですので、あと1時間弱ですの」

絹旗 「うへぁ……」

婚后 「少し休憩をはさんだ方がよさそうですわね」

絹旗 「いくらなんでも2時間食べ続けるのは超ムリですよ」ｸﾞﾃｰ

白井 「どんな好物だろうと2時間食べ続けるのは不可能ですの」

婚后 「しかし、こう口の中が甘くなると塩辛いものが欲しくなりますわね」ｸｽｸｽ

絹旗 「あー、それ超分かります。今、猛烈に食べるラー油が食べたいです」

白井 「あれは美味しいのですが、カロリーが気になってしまって……」

婚后 「この場所このタイミングでそれを言うなんて」

絹旗 「んー、しょっぱいのはないんですかね。固焼き煎餅とか」

白井 「さすがにございませんの」

絹旗 「ちぇー」

婚后 「塩を使ったケーキなどあったかと思いますが」

絹旗 「それです！」ﾋﾟｺｰﾝ

白井 「あれ、後味は甘いのでは」

絹旗 「もらってきます！」ﾄﾃﾃﾃ

婚后 「すみません。アメリカンを一つお願い致します」

白井 「あ、わたくしも」

婚后 「二つで」

店員 「はい、少々お待ちください」

白井 「口の甘さをリセットするのにブラックもよいですわね」

婚后 「ええ、相性は抜群ですわ」


＜あ、それ私の！
＜あぁ？

白井 「あら？」

婚后 「今の声は絹旗さん……？」ｶﾞﾀｯ

白井 「参りましょう！」ｶﾞﾀｯ



？？？ 「なんだチビ、食いたいのか？　じゃほら、持ってけ」ﾋｮｲ

絹旗 「え？　あ……」

白井 「絹旗さん、どうかされましたの？」

絹旗 「いや、超どうもしてないですよ。このハッサンみたいな人が最後の一個譲ってくれたんです」

？？？ 「他に例えようはねえのかよ……」

婚后 「まあ、すみません。わたくしたちの連れがわがままを言ったようで」

絹旗 「え、私のせい？」

白井 「ところで、貴方様は？」

？？？ 「名前か？　横須賀だ」

婚后 「失礼ですが、あまりこういうお店では見ないタイプですわね」

横須賀 「心配すんな、自覚はある」

横須賀 「もういいか？　連れを待たせてるんでな」

絹旗 「あっ、はい。超ありがとうございました」

婚后 「やはりお連れ様とご一緒だったのですね」

絹旗 「そりゃ、あんな海兵隊みたいな超ゴツイ人が一人でこんな店に来てたらびっくりですよ」

白井 「あら。甘い物に目がない殿方というのも良いではござませんか」

絹旗 「そうでしょうかねー」

婚后 「……先ほどの方が向かったテーブル、お連れ様というのは……」

絹旗白井 「「？」」



削板 「よう、遅かったじゃないか」

横須賀 「チビガキに絡まれてたんだよ」

原谷 「絡んでた、の間違いではなく？」

横須賀 「テメェ、この内蔵潰しの横須賀様をロリコン扱いか？　いい度胸じゃねぇか」ｶﾞｼｯ

原谷 「す、すいません！　ブレーンバスターだけは勘弁してください！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

削板 「しかしモツなんとかに絡む子供がいるとはな！　さぞ根性に溢れることだろう！」

横須賀 「お前もいい加減覚えろよ！　モツなんとかじゃねぇ！」

白井 「あの方は……！」

絹旗 「第７位！」

婚后 「まさか第７位様のご友人だったなんて」

白井 「あ、気付かれましたの」

絹旗 「超呼んでますよ……まさか、また闘えとかいうんじゃ……」

婚后 「流石にこのような場所で騒ぎは起こさないでしょう。丁度良いですし、ご挨拶ぐらいしても良いのでは？」

白井 「そうですの。このまま黙って立ち去るのも失礼ですし」

絹旗 「」gkbr

　：
　：
　：

削板 「よう、嬢ちゃんたち、奇遇だな！」

婚后 「ご無沙汰しております」

白井 「その節はお世話になりましたの」

横須賀 「なんだ、知り合いだったのか？」

原谷 （常盤台に長点上機……さすが削板さん。すげぇ人と知り合いだ）

絹旗 「」ｽｽｽ

婚后 「絹旗さん、わたくしの後ろに隠れなくても」

横須賀 「おいおい、チビ。さっき俺に突っかかってきたときの威勢はどうしたんだ」ｶﾞﾊﾊ

原谷 「え、絡まれたってこの子？」

削板 「ならば納得だな。この嬢ちゃんたちの根性は大したものだからな！」

絹旗 「こんな超ゴツイのがこんなところで……なんかすごい違和感です」

原谷 「ゴツイって俺も！？」

白井 「こういったお店はよくご利用に？」

横須賀 「今日はたまたまケーキだがな。この３人で食い放題に行くことは、まあ、よくある」

削板 「おお、そうだ。今度嬢ちゃんたちに会ったら話そうと思ってたことがあるんだ」

白井 「と、申しますと？」

削板 「必殺技だ！」

婚后 「？」

削板 「先日、嬢ちゃんたちと手合わせした際、見事なツープラトンを見せてくれてな！」

婚后 「それは、あの取材とやらで？」

絹旗 「ええ、まぁ」

白井 「ほぼその場での思いつきでしたが」

削板 「今思い出しても見事だった。俺もグラッときたぞ！」

横須賀 「なんだと……！」

原谷 「削板さんにダメージを与えるなんて、恐ろしい子……！」

削板 「だが。一つ、よろしくない点がある」

絹旗 「なんですか」

削板 「必殺技というのは、技名を叫んでから殴る！　これが鉄則だ！」ﾄﾞﾝ

絹旗 「わからなくはないですが……私もつい叫ぶことががありますし」

削板 「ただ、その技名に根性が足りん！」

白井 「つまり、技の名前をちゃんとしろと？」

婚后 「成程、一理ございますわね」

原谷 （一理あるんだ……）

削板 「余裕があれば前口上などもあれば尚良いな！」

絹旗 「前口上はいらないですよ」

横須賀 「マンガじゃねぇんだぞ……実戦でんなことしてたらスキだらけだろうが」

絹旗 「そうですそうです」

削板 「それは根性が足りん証拠だ！」

原谷 「滅茶苦茶だ……」

削板 「ともかく、嬢ちゃんたちのツープラトンに根性溢れる技名をつけようではないか！」

絹旗 「変形クロスボンバーじゃダメなんですか」

横須賀 「悪くないとは思うけどな」

婚后 「ツープラトンといえば、わたくしと絹旗さんの組み合わせでもございますわね」

削板 「ほう、どんな技だ！」

原谷 「その前に、そちらのお二人の技も俺ら分かってないんだけども……」

絹旗 「ええとですね」


～説明中～


絹旗 「という感じです」

横須賀 「おい、チビ……普通の人間にそのクロスボンバーかましたら首がすっ飛ぶぞ」

原谷 「削板さんだから"グラッときた"で済んだと……」

削板 「で、そっちの嬢ちゃんとのツープラトンも根性溢れる技だな！　自ら砲弾となりつっこむとは！」

絹旗 「この私だからこそできる技です」ﾌﾝｽ

白井 「絹旗さんそのものをエアロ噴射するのって、あれから使ってますの？」

婚后 「アレというのは昨年の大覇星祭ですか？　いえ、一度たりとも」

絹旗 「そもそも実戦の機会が超ありませんしね。私としては風になったみたいで超楽しいので、またやってほしいんですが」

婚后 「ええ、よろしくてよ」ｽｯ

絹旗 「やっ、やだ！　ここではやめてくださいよ！　ケーキに超突っ込んじゃいますよ！」

白井 「クリームにまみれて絹旗さんから甘旗さんになってしまいますわね」

婚后 「そうなったら、誰か素敵な殿方にペロペロして頂いては？」ｸｽｸｽ

絹旗 「やめてください、死んだ方が超マシです」ﾌﾞﾙｯ

原谷 「……あの、一ついいかな？」

絹旗 「させませんからね！！」

原谷 「違うっつの！」

横須賀 「じゃなんだよ」

原谷 「こんなことしてて大丈夫？　ここ時間制だけど」

絹旗 「大丈夫です。インターバルなんで」

削板 「ならさっさと考えるとするか！」

婚后 「もう"絹黒スボンバー"でよいのでは？」

絹旗 「いや、あの、絹黒だと超違うものを連想しかねないんですよ」

白井 「黒……あぁ、そっちの黒ですのね」

削板 「なら"すごいクロスボンバー"だな！」

絹旗 「超単調過ぎです」

横須賀 「"内臓潰しクロスボンバー"だな」

白井 「内臓にはダメージを与えておりませんの」

原谷 「」ｳｰﾝ

婚后 「なにかご名案でも？」

原谷 「いや、特には……」

絹旗 「まぁ、適当に考えておきますよ。どの道、この先使うこともないでしょうし」

白井 「誰かに使う機会がないのならば……それがベストですの」

削板 「なに！？　俺へのリベンジマッチはどうしたんだ！」

絹旗 「いやいやいや、もう超十分ですよ！」

白井 「あんな絶望感に囚われるのはもう御免ですの！」

横須賀 「お前どんだけブチのめしたんだよ。可哀想に」

婚后 「凄絶な闘いだったのですね……」

絹旗 「それはもう。起死回生の一撃すら"グラッときた"程度ですし」

白井 「全身の力が抜けましたの、色んな意味で」

横須賀 「やはり、削板を倒すのはこの俺、内臓潰しの横須賀様だな」ｷﾘｯ

原谷 「無理だろ。何十連敗してると思ってんだ、アンタ。いつまで幻想抱いてんだ」

横須賀 「内臓潰しラリアットォォォ！！」ｺﾞｼｬ

原谷 「ふごっ」

絹旗 「あ、技名叫んだ」

白井 「なるほど、こういうことですのね」

婚后 「気合を入れる、周囲に誇示するといった効果があるのですね」

削板 「やはり技名は叫んでこそ根性だな！」ｳﾝｳﾝ

　：
　：
　：

絹旗 「第７位たちは帰っちゃいましたね」

婚后 「わたくしたちよりも以前にいらっしゃってたようで」

白井 「こちらはあと30分ほど残ってますが」

絹旗 「じゃ、何か取ってきましょうよ」

婚后 「ではお二人で行ってきてください。わたくしは待っておりますので」

白井 「何か取ってまいりましょうか？」

婚后 「そうですわね……では、タルト系をお願い致します」

絹旗 「超了解です」

白井 「それでは」ﾌﾗｯ

婚后 「白井さん？　今なにか……」

白井 「少々食べ過ぎてしまったようで……お腹が苦しくて動きづらくて」ｸｽｸｽ

婚后 「そう……ですか？」

白井 「では、改めて行って参りますの」ｺﾂｺﾂ...

絹旗 「……」ﾄﾃﾃﾃ

白井 「さて、婚后さんには……あ、苺のタルトなどよさそうですの」

絹旗 「白井さん」

白井 「はい？」

絹旗 「なんか疲れてません？」

白井 「いえ、大丈夫ですが……」

絹旗 「」ｽﾞｲ

白井 「あの……」

絹旗 「超本当に？　今日だって帰ってきたの明け方じゃないですか」

白井 「あら。起きておいででしたか」

絹旗 「風紀委員が超多忙になるようなことがあったんですか？」

白井 「……」

絹旗 「……」ｼﾞｰ...

白井 「今はまだ、お話することはできませんの。不確定情報が多いですから」

絹旗 「……そうですか」

白井 「申し訳ございません……」

絹旗 「温泉に行きましょう」

白井 「はい？」

絹旗 「超お疲れの白井さんのために、温泉に行きましょう！」

白井 「で、ですが」

絹旗 「超多忙でも、一日ぐらいなんとかなりますよね？」

白井 「それはまあ、どうにか……」

絹旗 「超決まりですね！　あ、婚后さんにもお話しときませんと」ﾄﾃﾃﾃ

白井 「……適いませんわね、全く」

　：
　：
　：

婚后 「温泉、ですか？」ﾓｷﾞｭﾓｷﾞｭ

絹旗 「はい」ｳﾏｳﾏ

婚后 「よろしいのではなくて？　お肌にもよろしいですし」

白井 「折角ですし、他の皆さんにもお声掛けしたいですの」ﾓﾌﾓﾌ

絹旗 「超当然ですよ。だって、ホラ」

婚后 「？」

絹旗 「覚えてません？　全員で最初にお出かけしたのって、あの温泉だったじゃないですか」

婚后 「あぁ、あの時のことですわね」

白井 「確か大きいお姉様が車を運転してくださって……無免許で」

絹旗 「それも今なら超問題ないハズです」ﾌﾝｽ

白井 「問題ない？」

絹旗 「ともかく温泉です！　みんなの予定聞いて行きましょうよー」

婚后 「そうですわね。ここのところ久しく会ってない方もおられますし」

白井 「集まるには、いい動機付けですの」

絹旗 「それと、最近夜遊びが過ぎてお疲れの白井さんにも」

白井 「夜遊び！？　夜遊びと仰いましたね！」ｸﾞﾆｸﾞﾆ

絹旗 「いひゃい！　超いひゃいでふって！」

白井 「人が日夜働いているというのに貴女という人はーー！！」

婚后 「お二人とも。そこまでそこまで」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ

絹旗 「あいたたた……口が……」

白井 「自業自得ですの」

絹旗 「とりあえずメールしときましょうか」ｶﾁｶﾁ

婚后 「さて、全員集まれるでしょうか」

白井 「大きいお姉様とか、お店の都合もあるでしょうし」

絹旗 「ミサワさんなら大丈夫ですよ」

婚后 「と申されますと？」

絹旗 「あのお店の定休日、見たことないんですか？」

婚后 「……あぁ」

白井 「？」

絹旗 「"定休日：木曜日、ダルイ日、台風の日"って書いてあるんですよ」

白井 「大きいお姉様らしいと言いますか……」

婚后 「ですが、"ダルイ日"でお店を閉めるのは月一回程度らしいですわよ」

絹旗 「そんな感じなんで、ミサワさんは意外と柔軟に予定つけれますよ」

白井 「それは安心しましたの。ぜひ姉妹で来て頂けませんと」ﾌﾝｽ

婚后 「姉妹……そういえば、妹さん方もお招きに？」

絹旗 「それはもう任せますよ」

白井 「フレメアや小さい大きいお姉様も来たいと仰るでしょうし、どの道放っておく訳にも参りませんしね」

絹旗 「まあ、夫婦役の二人が来るのならもう一人も必然的に来るんじゃないですかね」

婚后 「夫婦役とは得てして妙な表現ですわね」ｸｽｸｽ

絹旗 「あの様子だと、あと数年もすれば"役"が取れそうですけどねー」ｹﾗｹﾗ

白井 「ぐぬぬ……素直に、素直に祝福しませんと……」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

絹旗 「よし。メールは超送信完了です！」

婚后 「男性陣もいらっしゃるのでしょうか」

白井 「そういえば、前回行ったとき殿方は海原さんお一人でしたわね」

婚后 「少々寂しい思いをさせてしまったかな、と思うところもありますし」

絹旗 「うーん……浜面はともかく、一方通行はそういうの超苦手かもしれませんけど」

婚后 「第一位さんなら、ミサワさんと妹さんが来いと言えば来るのでは？」

白井 「その光景が想像できますの……」

絹旗 「まあ、返事待ちですね。人数確定するのもその後です」

婚后 「絹旗さんはこれから忙しくなりますわね」ｸｽｸｽ

絹旗 「超望むところですよ」ﾌﾝｽ

～しばらくして～


白井 「さて、そろそろ時間ですの」

絹旗 「この後、寮でいいんですよね？」

婚后 「お邪魔させて頂きますわね」

絹旗 「入った時に超払ったから、もう出ちゃっていいんですよね」

白井 「飲み物はカウンターで都度払ってるので大丈夫かと」

婚后 「少々お待ち頂けますか？　持ち帰りで買ってきますので」

絹旗 「はいはい。じゃ入り口出たとこにいますね」

白井 「冷却材をお忘れなく」

婚后 「心得ておりますわ」

婚后 「さて、と……どれとどれに……」

婚后 「…………冷却材？」

婚后 （あっ……アイスクリーム食べ忘れてましたわ……）

～同日夕方　第７学区　常盤台新寮エントランス～


婚后 「ここに来るのも久しぶりですわね……」

絹旗 「最後に来たのっていつでしたっけ」

婚后 「卒業式の前ですから、３月の頃ですわね」

白井 「もうそんなに経つのですね」

絹旗 「寮監には電話で言っておいたので、入る分には超問題ないハズですよ」

婚后 「わざわざ申し訳ございません」

白井 「ひとまず、入りましょう」ﾋﾟｯ

絹旗 「」ﾄﾃﾄﾃ

白井 「絹旗さんも認証通しませんと。入場記録がないと出れないのですから」

絹旗 「いけね。それで何回か超閉じ込められたんですよね」ﾋﾟｯ

婚后 「相変わらず、研究所並みのセキュリティですわね」

絹旗 「むしろ刑務所ではないですかね」

白井 「そこまで非道いものでもないでしょう」

寮監 「む、戻ったか」

白井 「ただいま戻りました」

絹旗 「超ただいまです」

婚后 「寮監、ご無沙汰しております」

寮監 「お前とも久しいな。壮健にしているようで何よりだ」

婚后 「ええ、お蔭様で」

寮監 「イギリスに留学に行っていたらしいな。得るものはあったか？」

婚后 「それはもう、抱えきれないほどに」

寮監 「それは結構。その経験を今後活かせるようにな」

婚后 「精進します。あ、そうそう。よろしければこちらを」

寮監 「……済まないが立場上、関係者からの贈与品は受け取れない」

絹旗 「超ちょっとぐらい良いじゃないですか。折角用意してくれたのに」

寮監 「ならぬ」

婚后 「そういうことなら仕方ございませんわね。これはわたくしたちで処理を」

白井 「あれだけ食べたのに、まだ食べなければいけないのですか……」

絹旗 「もうケーキはクリスマスまでナシでいいですよ」

寮監 「ケーキ？」

婚后 「ええ。第４学区に最近できたデザートビュッフェの」

寮監 「一つぐらいなら問題あるまい」

婚后 「はい？……あ、はい、どうぞ」

寮監 「済まないな。ゆっくりしていくといい」ｶﾂｶﾂ

絹旗 「……」

白井 「……」

婚后 「……ええと」

絹旗 「寮監って、たまにちょろいです」

白井 「甘いですの」

婚后 「ちょろ甘ですわね」



～３０１号室～


＜ｶﾞﾁｬ

絹旗 「どうぞどうぞ。超ちょっと散らかってますけど」

婚后 「お邪魔いたします、って……」

白井 「」ﾊｧ

婚后 「本当に散らかってますわね」

絹旗 「私が片付け超苦手なのは知ってるじゃないですか」

婚后 「まあ、それは前からでしたわね……」ﾊｧ


＜ﾌﾐｰｰ


白井 「あら、アスカ。ただいま戻りましたの」ﾋｮｲ

アスカ 「♪」ｽﾘｽﾘ

婚后 「お噂通り、本当にベッタリですのね」

絹旗 「ええ、まったく。何がいいんだか」

白井 「わたくしの魅力がよく分かる賢い子ということですの、ねー？」

アスカ 「ﾐｰ」

絹旗 「」ﾊｧ

婚后 「人のこと飼い主バカと言っておきながら、この有様ですか」ｸｽｸｽ

絹旗 「超ミイラ取りってヤツですね」

婚后 「それは少々意味が違うかと……ところで、他の子は？」

絹旗 「ええと……あーーー！」

婚后 「？」

白井 「？」

絹旗 「テスラ、ティッシュで遊ぶなって超言ってるじゃないですか！」


　　【ﾃｨｯｼｭ箱】＜ｵﾐｬｰ


絹旗 「ああ、これ２～３枚しか使ってなかったのに……」

婚后 「テスラはいつもこの遊びを？」

白井 「ええ。ティッシュにじゃれついて、中身がなくなったら箱に入りますの」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

アスカ 「」ﾏｯﾀﾘ

絹旗 「こらー、超出て来なさい、もう」

テスラ 「ｲﾔｰ」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

婚后 「お話通り、元気な子ですわね」

絹旗 「あ、気を付けてください！」

婚后 「？」

絹旗 「テスラがバラ撒いたティッシュの中に、もう一匹まぎれてます」

婚后 「えっ」

リック 「」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

婚后 「あらあら、すっかり保護色……」ﾁｮﾝﾁｮﾝ

リック 「？」

婚后 「ふふ、始めまして」

リック 「」ｸﾝｶｸﾝｶ

絹旗 「おお。リックが自分から近づくなんて超珍しいです」

婚后 「そうなのですか？」

絹旗 「他２匹に比べて、超ちょっと人見知り気味なので」

白井 「はい、お手」

アスカ 「」ﾀｯﾁ

リック 「」ﾖｼﾞﾖｼﾞ

婚后 「あら、抱っこをご所望ですか？」ﾋｮｲ

絹旗 「うわぁ……さすが婚后さん」

婚后 「存外、人懐こいではないですか」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

リック 「ﾐｰ」ﾌﾐﾌﾐ

絹旗 （……これの差、なんでしょうかね）

婚后 「と言ってる間に。そちらは絹旗さんの頭上に到着したようですわね」ｸｽｸｽ

テスラ 「」ﾌﾝｽ

絹旗 「まあ、このぐらいの頃ならまだ軽いからいいんですけどね……」


　　ﾁｮﾝﾁｮﾝ


婚后 「？」

ユリコ 「ﾉｼ･ω･)ﾉｼ」

婚后 「あら、ユリコ。久しいですわね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

白井 「アスカ、ほら、ねこじゃらし」ﾐｮﾝﾐｮﾝ

アスカ 「」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

婚后 「聞きましたわよ。ユリコも頑張りましたわね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ユリコ 「(*･ω･)=3」ﾌﾝｽ

絹旗 「婚后さん、何か飲みます？」ｶﾞﾁｬ

婚后 「どうぞおかまいなく」

絹旗 「そう言わずに。缶のお茶ぐらいしかないですけど」

婚后 「では頂きますわね」

白井 「あぁ、まだ貴女にベーゼを教えるのは早いですの」

アスカ 「ﾓｰ」ｸﾞｲｸﾞｲ

絹旗 「白井さんもいつまでやってるんですか」

テスラ 「」ﾌﾝｽ

婚后 「いつもこんな調子なのですか？」

絹旗 「ええ、超懐くようになってからは」

婚后 「文字通り骨抜きにされてますわね」ｸｽｸｽ

ユリコ 「( ･ω･)=3」

絹旗 「母親も超呆れ気味です」

婚后 「そう言えば、この子たちのお名前はお二人でお考えに？」

絹旗 「いえ、超考えてもらいました。たしか、リックと名づけたのはフレメアでしたね」

婚后 「まあ、フレメアに？　では、他の２匹も……」

白井 「アスカの名付け親はショチトルですの、ね？」

アスカ 「ﾅｰ」

絹旗 「テスラはミサワ妹です」

婚后 「妹さん方に付けて頂いたのですね」

絹旗 「ユリコの名前をみんなで超考えたように、今度は仔猫の名前も超考えてもらおうかなって」

婚后 「なるほど、それで……みなさん、良いお名前を頂けたようで」

ユリコ 「ﾉｼ･ω･)ﾉｼ」

婚后 「ユリコも、子どもたちを迎えられて良かったですわね

絹旗 「変な名前じゃなくてホント良かったです」

　：
　：
　：

婚后 「ところで、先程から携帯電話鳴りっぱなしですわね」

絹旗 「さっきの温泉の件で返信が超来てるんじゃないんですかね」

婚后 「ご覧にならなくてよろしいのですか？」

絹旗 「後で纏めてみますよ」

婚后 「……あっ。携帯電話と言えば、わたくしもしまいっぱなしでしたわね」

白井 「先程、２回ほどバイブの音が聞こえてましたが」ﾎﾟﾑﾎﾟﾑ

アスカ 「♪」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

婚后 「本当ですか？　リック、すみませんがちょっと」

リック 「」ｶﾞｯﾁﾘ

婚后 「？　あれ……？」

リック 「」ｶﾞｯﾁﾘ

婚后 「あの、絹旗さん……」

絹旗 「どうしたんですか？」

婚后 「リックが、わたくしの胸から剥がれないのですが」

絹旗 「えっ」

白井 「よほど婚后さんの腕の中がお気に召しましたのね。アスカはわたくしの膝の上の方が良いらしいですが」

アスカ 「」ｳﾄｳﾄ

絹旗 「もう二人の世界を超展開しててください」

婚后 「どうしましょう。力づくで剥がすわけにも」

絹旗 「ほら、リック。婚后さん超困ってますから」

リック 「ｲﾔｰ」ｶﾞｯﾁﾘ

絹旗 「リックがここまで人に懐くなんて初めて見ました……」

婚后 「人見知り気味と仰ってましたしね」

絹旗 「実はそれ、結構オブラートに包んだ言い方だったんですよ」

婚后 「と、申されますと？」

絹旗 「仔猫が産まれたと聞いて、見たいという人がこの寮にも結構いたんですけどね」

婚后 「それは無理もないでしょう」

絹旗 「リックだけは、誰が来てもすぐ隠れちゃって、出てこなかったんですよ」

テスラ 「ﾌﾐ」

婚后 「まあ、そこまで……臆病さんですのね」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

絹旗 「そのリックがここまで……」

婚后 「これはお持ち帰りコース……」

絹旗 「いや、さすがにそれは」

婚后 「分かっておりますわ。うちにはエカテリーナちゃんもおりますし」

絹旗 「だっ、だ、ダメですよ！　エガﾅﾝﾄｶちゃんのエサになんてしないでください！」ﾎﾟｶﾎﾟｶ

テスラ 「ﾌｼｬｧｧｧ」

婚后 「しませんから！　わたくしとてそこまで鬼畜ではございませんわ！」

絹旗 「はあ……驚かさないでくださいよ」

婚后 「わたくしのせいですか？　あと、エガﾅﾝﾄｶではなくエカテリーナちゃんです」

絹旗 「ええ、超覚えました。で、リックはどうしましょうか」ｸﾞｲｰ

リック 「ﾌﾏｰ」ｶﾞｯﾁﾘ

婚后 「力づくで引っ張っては可哀想ですわ」ﾍﾟｼｯ

絹旗 「あいたっ。これは超困りましたね……お腹空くか寝るかすれば剥がれると思いますけど」

婚后 「それまで待つしかなさそうですか……」ｳｰﾝ

絹旗 「この後、ご予定でも？」

白井 「」ｽﾋﾟｰ

アスカ 「」ｽﾋﾟｰ

婚后 「イギリスに行くにあたって、エカテリーナちゃんを預けたのですが」

絹旗 「え？　もしかして、まだ引き取ってなかったんですか？」

婚后 「こちらも受け入れ体制が整いきれず……バタバタしておりましたし」

絹旗 「とにかく、今日の帰りに超引き取りに行くつもりだったんですね」

婚后 「はい」

絹旗 「んーと……ユリコー、なんとかなりません？」

ユリコ 「( ･ω･)ﾉ」ﾋﾞｼｨ

婚后 「さすが母親は頼りになりますわね」

絹旗 「やっぱ産みの親には適いませんよ」

テスラ 「」ﾌﾝｽ

ユリコ 「(･ω･)」ｵｱｰﾝ

リック 「ﾐｬ」ﾋﾟｮﾝ

婚后 「あら？」

絹旗 「一声ですか」

ユリコ 「( ･ω･)」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

リック 「」ｺﾞﾛｺﾞﾛ

婚后 「まさかここまで気に入られるなんて、光栄ですわね」

絹旗 「なんか、超敗北感が……」

テスラ 「」ﾌﾜｧｰ

白井 「」

アスカ 「」ｽﾋﾟｰ

絹旗 「白井さんも……」

婚后 「これ、レンジでチンして使うアイマスクそっくりですわね」ｸｽｸｽ

絹旗 「眼精疲労に効果はあるんでしょうか」

白井 「」ｽﾋﾟｰ

絹旗 （やっぱり超お疲れなんじゃないですか）

　：
　：
　：

～同日　常盤台新寮エントランス～


絹旗 「すいません、白井さん結局起きませんでした」

婚后 「いえいえ、起こすのも可哀想ですし。後でよろしくお伝えくださいな」

絹旗 「超了解です。この後、ペットホテルに？」

婚后 「ええ。お迎えにあがりますわ。絹旗さんも、その内見に来てあげてください」

絹旗 「え、ええまあ、超その内」

婚后 「お待ちしておりますわね」

絹旗 「あ、ドア開けますね」ﾋﾟｯ

婚后 「今日はありがとうございました。それと、ケーキご馳走様でした」ｸｽｸｽ

絹旗 「くっ……次こそは……」

婚后 「ふふ、負けませんわよ」

絹旗 「こっちこそです」

婚后 「では、ごきげんよう」ﾉｼ

絹旗 「超お気をつけて」ﾉｼ

絹旗 「……さーて。そろそろエサの時間ですね。みなさんのメールも超確認しませんと」ﾄﾃﾄﾃ

～１１月上旬　第７学区　ファミリーレストラン～


一方通行 「」ｽﾞｽﾞ...

一方通行 「……ふぅ」

店員 「失礼致します」

一方通行 「あァ？」

店員 「お連れ様がお見えでございますが」

一方通行 「連れ？　心当たりはねェな」

店員 「左様でございｍ 「あっ、いいっすよ！」

浜面 「こいつ俺と仲良いんで！」

海原 「ええ、友人なんですよ」

一方通行 「」

店員 「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」ﾍﾟｺﾘ

一方通行 「オイ」

浜面 「いやー、ファミレスに来て満席だったからガッカリしたんだが」

海原 「一方通行さんがいてくれて助かりましたよ」ﾆｺﾆｺ

一方通行 「オイ」

浜面 「でも偶然ってな怖いもんだな！」

海原 「いやはや。こうも自然に集まれるなんて、僕らの間柄の良さが滲みでてますね」

一方通行 「オイ！」

浜面 「なあ、なんでこいつこんな怒ってんだ」

一方通行 「この天気のいい昼下がりによ、一人ファミレスを堪能しようと思ってたところに
　　　　　　　暑苦しいツラが２人前追加されりゃイラつくに決まってンだろ」

海原 「些か心外ですね。暑苦しいのは浜面さんだけでは？」

浜面 「俺、暑苦しいのか……？」

一方通行 「おォ、訂正するわ。暑苦しいツラと胡散臭いツラな」

海原 「これは手厳しい」ﾌﾌ

一方通行 「で、なンでオマエらが揃ってやがる」

海原 「いや、僕も今日は一人でしてね。最初はファーストフードにでも行こうと思ってたんですが」

一方通行 「それがなンでこうなるンだよ」

海原 「来る途中、公園で暇そうにしてる浜面さんを拾いまして」

浜面 「拾ったってなんだよ。犬か俺は」

一方通行 「あァ、だから雨に濡れた野良犬の匂いがするンだな」

浜面 「ヒドイ！」

一方通行 「にしてもオマエは公園で何やってンだ？　幼女ウォッチングか？」

海原 「これはこれは。フレメアさんという人がいながら、浜面さんは」ﾆｺﾆｺ

浜面 「待て待て待て！　幼女興味ねぇし、フレメアとは一切そういう関係はないぞ！！　そもそも俺には滝壺がいるんだぞ！」

海原 「聞きましたか？　一方通行さん」

一方通行 「"滝壺がいるんだぞ"」

海原 「もげ面」

一方通行 「爆ぜ面」

浜面 「お前らにだけは言われたくねぇぇぇぇぇ！！　大体お前らだって似たような家族構成だろうがぁぁぁ！！」

海原 「男女比で言えば同じですが、ショチトルはあくまで義理の妹のようなものですし」

一方通行 「ウチのクソガキは小姑だしな」

浜面 「小さい方の姐さん、あの歳で小姑デビューとか過酷過ぎだろ……」

一方通行 「最近また口うるさくなりやがって、立派な小姑だ」

海原 「それだけ気にかけてくれているということじゃないですか。それに比べて」

浜面 「なんだよ、なんかあったのか」

海原 「最近僕の立場が弱くなる一方でして。結標さんとショチトルの仲が良いものですから、
　　　　必然的に2対1のアウェー戦になってしまうんですよね」

一方通行 「大変ですねェ、お兄ちゃンも」ﾆﾔﾆﾔ

海原 「まあ、仕方がないです。家事を任されているとは言え、稼ぎはありませんから」

一方通行 「オマエ、それ言ったらこいつなンざ正真正銘のヒモだぞ？」

浜面 「うるせぇ！　自覚はあるわい！」

海原 「滝壺さんがいて、フレメアさんがいて、浜面さんはもう勝ち組ですね」

一方通行 「もげ面」

海原 「爆ぜ面」

浜面 「ちっくしょぉぉぉ！　今に見てろよ、ニートども！！」

一方通行 「吠えてばっかじゃねェか。オマエ、整備士の資格とやらはとれたのか？」

浜面 「……え、ええ、それは鋭意努力中でございまして」

海原 「つまりまだです、と」

浜面 「」ｼｮﾎﾞﾝ

浜面 「お、お前らだってなぁ！　仕事してんのか！？」

一方通行 「個人事業準備中ですンで」

浜面 「えっ」

海原 「えっ」

一方通行 「なンだよ。俺にだって人並みの危機感はあるぞ」

浜面 「いや……大きい声じゃ言えないけどさ、お前らってコレ絡みじゃなかった？」

海原 「あぁ、ソレですか。どういう訳か、もう全く連絡がないんですよね」

一方通行 「自然消滅したか、捨てられたかしたンだろ。せいせいするぜ」

浜面 「そうなのか……まぁ、良かったじゃねぇか！」

海原 「それで、一方通行さんの商売というのはカタギなんですか？」

一方通行 「企業秘密。ま、人に言って困るようなことはしねェよ」

浜面 「俺も頑張らんとな。海原はどうすんだよ？」

海原 「どうしましょうかね……とりあえず今は結標さんとショチトルのサポートですね」

一方通行 「主夫ってヤツか？」

海原 「そんなところです」

店員 「お待たせ致しました。ステーキセットのお客様」

一方通行 「おォ」

店員 「鉄板お熱いのでお気をつけください」ｶﾀｯ

海原 「あ、すみません。注文よろしいですか？」

店員 「はい、どうぞ！」ｼｭﾀｯ

店員 （あぁ、畜生。壁殴った直後だから手が痛ぇ）

海原 「ミートソーススパゲティを一つ」

浜面 「俺はどうすっかな……チーズハンバーグで」

店員 「かしこまりました。少々お待ちください」ﾍﾟｺﾘ

一方通行 「……あの店員」

浜面 「どうかしたのか？」

一方通行 「……いや、なンでもねェよ」

一方通行 （拳の痕……アレは何か思いっきり殴らねェとああはならねェよな……）

海原 「そういえば、一方通行さんも今日はおひとりなんですね」

浜面 「やっぱ亭主留守で元気がいいってか？」ﾆﾔﾆﾔ

一方通行 「ウチのは朝から出かけてるぜ。オマエらも知ってンだろォよ」

海原 「ええ。3人で出かけると仰ってましたね」

浜面 「置いてかれて寂しいんじゃねえの？」

一方通行 「ウチにゃガキが二人いるよォなもンだからな。たまには静かに過ごしたいときもある」

海原 「素直じゃないですね」

浜面 「しっかしあの3人も仲良いよな。いいことだ」ｳﾝｳﾝ

海原 「歳は同じ。立場も似ているものがあるから、通ずるところがあるんでしょう」

一方通行 「しょっちゅう電話やメールもしてるしな。ンな話すことあンのかよ」

浜面 「あるんだろ？」

海原 「僕らの愚痴とかでしょうかね」ﾆｺﾆｺ

浜面 「おぉい、やめてくれよ。洒落になんねぇ」ﾌﾞﾙｯ

一方通行 「何ビビってやがる。後ろめたいことでもあンのか？」ﾆﾔﾆﾔ

浜面 「いや、滝壺がな。結構色んなこと知ってんだよ」

海原 「色んなこと、とは？」

浜面 「みさわが喧嘩してるみたい、とか。むすじめがどこ連れってってもらった、とか」

海原 「それは……なんでしょうかね」

浜面 「さすがに、俺相手に話すときは一線は保ってるみたいだけどよ。すごいプライベートな話とかはしねぇし」

海原 「あの3人の間柄だからこそ話せることもあるのでしょう」

一方通行 「すごいプライベートな話ってなンだよ……」

浜面 「夜の生活とかか？」

一方通行 「人がメシ食ってるときになンて話しやがる。殺すぞ」

浜面 「お前が振ってきたんじゃねぇか！」

一方通行 「ったく、あの３人の情報交換網はどォなってやがンだ……」

海原 「これは参りました。もう下手なことはできません」ﾆｺﾆｺ

浜面 「能力込みで考えたら余計だな。あの３人が本気出して連携してみろ。そこいらの探偵なんかお遊びに見えるレベルだぞ」

海原 「戦闘はもとより、諜報活動にも長けた能力ですからね」

一方通行 「怖いねェ」

店員 （リア充ホビロン）

店員 「お待たせ致しました。チーズハンバーグのお客様」

浜面 「はいはい」

店員 「ミートソーススパゲティのお客様」

海原 「こちらです」

店員 「ご注文以上でお揃いでしょうか」

海原 「はい、大丈夫です」

店員 「ごゆっくりどうぞ！」ﾍﾟｺﾘ

浜面 「ま、せいぜい捨てられないように努力しないとな」

海原 「仰る通りです」

一方通行 「別に俺は心配してねェよ。お互いがお互い無しじゃダメだって認め合ってるからな」

浜面 「カッコイイーー。惚れちゃいそうだぜ」

海原 「全く、聞いてるこっちが恥ずかしくなりますね」

一方通行 「どォせオマエらだって人のこと言えねェだろォよ」ﾊｧ

店員 「……」ｽﾀｽﾀ



＜ご乱心！バイトご乱心！
＜店内でござる！営業中でござる！
＜ホビローーン！
＜男子バイト全員で取り押さえろぉぉ！！

～しばらくして～


一方通行 「なンか騒がしかったな。ありゃなンだ？」

浜面 「飲食業ってのも色々あんじゃねえの？」

海原 「さて、この後どうしましょうか」

浜面 「お前らどっか行くとこあんの？」

一方通行 「クソガキの検診が終わる頃に迎えに行く。それまではヒマだな」

海原 「特に予定はないですね」

浜面 「じゃあさ、俺行きたいとこあんだけど。ちょいと付き合ってくれない？」

一方通行 「なンで俺らまで」

浜面 「一人じゃ行きづらくてよ」

海原 「どういったところなんですか？」

浜面 「可愛い仔がいっぱいいるところだ」ﾌﾝｽ

一方通行 「またこいつは……」ﾊｧ

浜面 「そう言うなよ。お前のことがお気に入りの仔もいるんだぜ？」

一方通行 「いらねェよ」

海原 「行く宛はなく、代わりに時間はありますからお付き合いしましょう」

浜面 「さすが海原！　話が分かる奴は大好きだぜ！」

海原 「よしてくださいよ、気色悪い」ﾆｺﾆｺ

一方通行 「分かった分かった。じゃコレ飲ンでからな」ｽﾞｽﾞ...

浜面 「あ、待ってくれ。俺もドリンクバー最後の一杯もらってくるわ」

海原 「急がなくてもいいですよ。どうぞごゆっくり」

　：
　：
　：

浜面 「えー、アンバサ、と」ﾎﾟﾁｯﾄﾅ


＜ｵｲ、ｱｲﾂｶ
＜ｱｱ、ﾏﾁｶﾞｲﾈｪ


浜面 「ん？」

男女 「」ﾋｿﾋｿ

浜面 「なんだ、あいつら……人の顔見て内緒話かよ、気分悪ぃな」

浜面 「へいへい、どうせ顔面が作画崩壊してますよっと」ﾋﾗﾋﾗ

浜面 「よ、お待たせ」

一方通行 「おせェ」

浜面 「なんだよ、んなすぐに怒るなよ」

海原 「では、それを飲んだら出るとしましょうか」

浜面 「おお、すぐ飲んじゃうﾌﾞﾌｫｯ」

海原 「わ、どうしたんですか」

浜面 「わりぃ、ｹﾞﾎｯ、ちょっと変なとこ、ｳｪﾎｯ」

海原 「慌てて飲むからですよ、あ」

浜面 「ん？」

一方通行 「」ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ

海原浜面 「「」」

一方通行 「はーまーづーらーくーン？」

浜面 「すいませんでしたぁぁぁ！！」orz

一方通行 「」ｶﾁｯ

海原 （能力使用モード！？）

海原 「まあまあまあまあ、浜面さんもこうやって謝ってますし」

一方通行 「」

海原 「こんなところで騒ぎを起こしたら、お互い不利益でしょ？　ね？」

一方通行 「……くっだらねェ」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

海原浜面 「「」」

一方通行 「さっさと行くぞ」ｶﾁｯ

浜面 「はいっ、お供させて頂きます！」

海原 「そ、そうですね。出ましょうか」

浜面 （おい、今アイツ、水に濡れた犬みたいに水滴弾いてたぞ）ﾋｿﾋｿ

海原 （おそらく、なんらかのベクトルを操作したのだと思いますが）ﾋｿﾋｿ

浜面 （すげぇな、なんらかのベクトル）ﾋｿﾋｿ

店員 「ｱﾘｱﾀｼﾀｰ」

一方通行 「オイ、何突っ立ってやがる。店員さンの邪魔だろォが」

海原 「おっと、これは失礼」

～第７学区　とある大通り～


一方通行 「で？　どこ向かってンだ」

浜面 「そりゃ着いてからのお楽しみってな」

海原 「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

浜面 「んなヤバイとこ行くかっつの」

一方通行 「そりゃオマエにンな度胸ねェもンな」

浜面 「そんなことはないぞ？　これでも若い頃は色々とやったもんだ」

海原 「まだお若いでしょうに」

浜面 「今に比べりゃって話だよ。あ、こっち行こうぜ。近道なんだ」

海原 「あ、いや、ちょっとお待ちを」

一方通行 「なンだよ」

海原 「……やめたほうがいいでしょう」

浜面 「どうしたんだ？　むしろこういう路地こそ俺らのホームグラウンドだろう」

海原 「近頃気になる噂を耳にしてましてね」

一方通行 「勿体ぶってンじゃねェ」

海原 「先日、この界隈で白井さんにお会いしたんですよ」

浜面 「おお。小さい方のお嬢か。元気そうだったか？」

海原 「少々お疲れのご様子でしたね。ご本人は悟られまいとしたようですが」

一方通行 「……で？　風紀委員がどうしたンだ？」

海原 「その時に聞いたのですが、どうも近頃、この第７学区の風紀を乱さんとする輩がいるそうで」

浜面 「まさか、スキルアウトか！？」

海原 「そこまでは話して頂けませんでした。ただ、気を付けてください、と一言」

一方通行 「……オマエ、何か知ってやがるのか？」

海原 「何も知りませんよ？　気にはなったので独自に調べてはいますが」

一方通行 「ふゥン」

海原 「何か分かればお伝えしますよ」

浜面 「スキルアウトの活動も縮小してるって、噂に聞いてたんだがな……」

海原 「どちらにせよ、慎重になるに越したことはありませんよ」ﾆｺﾆｺ

一方通行 「……」ﾌｰﾑ

浜面 「滝壺やフレメアにも言っておかんと。んじゃ、今日のところは広い道から行こうぜ」

一方通行 （念のため、うちの二人にも夜は出かけねェように言っておくか）

～同日　第７学区　猫と触れ合えるカフェ～


＜ｶﾗﾝｶﾗﾝ♪


店員 「いらっしゃいませだニャン☆」

浜面 「３名で」

店員 （あ、月イチぐらいで来る人たちだ）

海原 「すみません、来る店を間違えたようです」

一方通行 「出直してきまァす」

浜面 「いやいや、あってるから！」

一方通行 「おい、オマエさっき動物と触れ合えるとかほざいてたよな？」

海原 「ここでいう動物とは、猫耳メイドさんのことなのでしょうか」

一方通行 「だいたい、前回来たときにゃあンな亜人種いなかっただろ」

浜面 「それは店員さんのプロ意識ってもんだろ」

海原 「と申されますと？」

浜面 「猫の気持ちになって接客をだな」

一方通行 「……まァ、コーヒーが飲めるならなンでもいいわ」

海原 「あなたはいつもそれですね」

一方通行 「好きで飲ンでるンだ、ほっといてもらおうか」

海原 「左様で」ﾆｺﾆｺ

浜面 「あ、すいません、改めて３名で」

店員 「はーい、３名様ご案内だニャン☆」

　：
　：
　：

一方通行 「しっかし、ここのコーヒーの品揃えがなけりゃとっとと帰ってるとこだぞ」

浜面 「豆の種類とロースト具合まで選べるなんて、俺の知る限りこことミサワの姐さんとこぐらいだぜ」

海原 「この形態のお店では珍しいですね」

浜面 「なんでも、店長の趣味なんだとさ」

一方通行 「結構な趣味なこって」

浜面 「……おい、来たぞ来たぞ」

海原 「？」

一方通行 「……」

ペルシャ 「ﾌﾞﾅｰ」ﾎﾟﾃﾎﾟﾃ

浜面 「言っただろ？　お前のことがお気に入りの仔がいるって」

一方通行 「またオマエかよ、モップ」

海原 「白いモノ同士、気が合うみたいですね」

一方通行 「ンでそうなるんだよ。あくまでもこいつの一方通行だ」

海原浜面 「「あくまでもこいつの一方通行」」

一方通行 「……なンだよ」

海原 「つまり、自分はそこのペルシャさんのものです、と」

浜面 「相思相愛じゃねぇか」

一方通行 「違ェよ！　こいつの好意の一方通行だっつってンだよ！」

海原 「これはミサワさんに報告でしょうか」

浜面 「姐さんは嫉妬するタイプだからな。こりゃ大変だ」

一方通行 「おいバカやめろ」

ペルシャ 「」ｸﾞｲｸﾞｲ

一方通行 「あ、バカ！　ぶら下がるンじゃねェ！」ﾋｮｲ

ペルシャ 「ﾌﾞﾅｰ♪」

浜面 「それはさておき。お前が膝の上にペルシャ乗せてると、悪の幹部って感じがするよな」

海原 「さながらブロフェルドと言ったところですか」ﾆｺﾆｺ

浜面 「じゃブロフェルドみたいにスキンヘッドにしてみるか？　丁度いい具合に悪人ヅラだしな」

一方通行 「フザけンな。だったらオマエからやりやがれハゲ面」

海原 「存外似合うかもしれませんよ？」

浜面 「なんだ、俺に出家しろってか」

一方通行 「世を儚ンで出家か。泣けるねェ」

浜面 「しねぇよ！？　世を儚んだことは何度も何度もあるけどさ！」

一方通行 「あンのかよ」

浜面 「生きてりゃ色々あるんだよ」

海原 「なんだか重みを感じませんね」

一方通行 「こいつだからな」

浜面 「なんだよ、俺にだって色々あるんだからな！」

一方通行 「色々ってなンだよ」

浜面 「今月の小遣い、残り5000円かぁ……とか」

海原通行 「「……」」

浜面 「あっ、あの車ほしいんだよなぁ、とか」

海原通行 「「……」」

浜面 「滝壺になんて言って謝ろう、とか」

一方通行 「うん、なンか、もォいいわ。お前は休め」

海原 「浜面さん、今日は僕が奢りますよ」

浜面 「え？　なんで俺こんな同情されてんの！？」

一方通行 「小遣いで思い出した。ちと聞いたンだが」

浜面 「ん？　何を？」

一方通行 「最近アイツの店で、コーヒー一杯で延々居座ってるそォじゃねェか。営業妨害か？」

浜面 「いやいやいや、そんなつもりはないぞ！　それにああいう店ってゆっくりするのはアリなんじゃねえの？」

海原 「よろしいんじゃないんですか？」

一方通行 「こいつだから、ただそこに存在するだけで営業妨害になるンだろォが」

浜面 「そんなヒドイ！」

海原 「しかし、そんなに長時間なにをなさってるんですか？」

一方通行 「家にゃ居場所がねェンだろ？」

浜面 「あるわい！　いや、そのな。家じゃやりづらいっていうか……白状すると資格やらなんやらのお勉強なんだけどよ」

海原 「自宅ではやりづらいと？」

浜面 「フレメアがな、遊べーとか構えーとかまとわりついてくるんだよ」

海原 「なるほどなるほど」

浜面 「まあ、そういう訳なんで姐さんの店にお邪魔してるってこった」

一方通行 「……帳簿見せてもらったンだがよ。オマエ、ツケた分精算してねェだろ」

浜面 「」

海原 「おやおや、いけませんね。絹旗さんでも助走して殴るレベルですよ」

浜面 「それはいつものことだろ」

一方通行 「いいこと思いついた。俺、サイドビジネスで取り立て屋さンやろォかなァ」ﾆﾔﾆﾔ

浜面 「今度耳を揃えて払わさせて頂きます」orz

海原 「それにしても資格ですか。やはりあると便利なんでしょうかね」

浜面 「便利っつうか、ないよりはある方がいいだろ」

一方通行 「そりゃな。ウチのもなんか資格取るとか言ってたしな」

浜面 「なんだなんだ？　今、資格が静かなブームなのか？」

一方通行 「いや、俺が勧めた」

海原 「それはまたどうして？」

一方通行 「俺もそうだが、アイツにはマトモな学歴はねェ。資格は手っ取り早く説得力を持たせるのに丁度いいからな」

浜面 「うん、確かにな！　俺にも言えることだな！」ｳﾝｳﾝ

海原 「ちなみに、ミサワさんは何を目標に？」

一方通行 「詳細は知らねェよ。受かるまでは教えないとか言われてるンでな。ただ、今の仕事に関わるとは聞いた」

浜面 「するってぇと、アレかい？　コーヒーソムリエとかか？」

一方通行 「コーヒーマイスターとか言ったか？　あれは筆記で落ちたとかで相当凹ンでたな」

海原 「おや、これは残念でしたね」

一方通行 「ムズかったらしいぜ？　ったく、一回落ちたぐらいで泣きやがってよ」

浜面 「仕事でもやってるし、自信あったんだろ？　そこはお前、慰めるとこだ」

海原 「勧めた本人でもあるんですからね」

一方通行 「やれる範囲の事後フォローはしてやったつもりだ」ﾊｧ

～しばらくして～


海原 「……」

一方通行 「……」


　　ﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰ
　　ﾆｬｰﾆｬｰ　浜面　ﾆｬｰﾆｬｰ
　　ﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰ


海原 「なぜ浜面さんはここに来るたびに猫まみれになるんですか」

一方通行 「食いモンだと思われてンだろ」

ペルシャ 「ﾌﾞﾅｰ」

浜面 「アホか。そこはお前、俺の魅力的なフェロモンがだな」

海原 「ああ、浜面さんの体臭はマタタビと同じということですね」

浜面 「そうなの！？」

一方通行 「良かったな。能力開花だ」

浜面 「猫に好かれる能力、LEVEL1ってか？　LEVEL5ならどうなるんだよ」

一方通行 「猫と会話できるようになる。猫語でな」

浜面 「マジか！？　俺明日から本気だすわ」

海原 「やめたほうがいいですよ。道端でノラ猫相手ににゃーにゃー言ってる浜面さんとかホラーじゃないですか」

一方通行 「それに、にゃーにゃー言うヤツならもォ間に合ってるしな」ﾆﾔﾆﾔ

浜面 「なんだよ」ｼｮﾎﾞﾝ

海原 「原理は不明ですが、動物にやたらと好かれる人っていますよね。それもまた才能ですよ」

一方通行 「なるほどな。だからあのガキにも懐かれるワケだ」

浜面 「いや、フレメアは猫じゃ……猫じゃないよな？」

海原 「なんでそこで疑問形なんですか」

一方通行 「そりゃオマエが一番よく分かってねェとダメだろ」

浜面 「たまに自信なくなるわ」

海原 「ユリコさんのように人間並に賢い猫もいるんですし、猫っぽい人間がいてもいいんじゃないんですか？」

浜面 「そんなもんなのかねぇ」

海原 「動物に好かれる体質の浜面さんなら、婚后さんのところのエカテリーナさんとも仲良くできるかもしれませんね」

一方通行 「なンだ、そいつは」

浜面 「ああ、大蛇を飼ってるんだっけか」

海原 「ええ」

浜面 「一回やってみたいんだよな。あの、首から下げるやつ」

一方通行 「やめとけ。絞め殺されンぞ」

浜面 「そうなのか？　でも、お嬢には懐いてるんだろ？」

一方通行 「オマエだから絞め殺されンだろ。獲物だと思われるからな」

浜面 「なんでだよ！」

海原 「なるほど、浜面さんが動物に好かれるのは美味しそうと思われてるからかもしれません」

一方通行 「だから食いモンだと思われてンだって」

ペルシャ 「ﾌﾞﾅｰ」

浜面 「あぁもう、食いもんでいいわ！　さあ、美味しく頂くがいい！」


＜ﾌﾆｬｰｰｰ
＜あっ、待っておくれやすー。


浜面 「？」

猫 「」ﾋﾟｮｰﾝ

浜面 「おおい、なんだなんだ？」

海原 「また増えましたか」

女子 「あん、もう。また逃げられてしもた」

浜面 「こいつ追っかけてきたのか？」

女子 「わ。お兄さんすごいわぁ。猫まみれやんか」

浜面 「いやぁ、なんか寄ってくるんだよな」

海原 （……？　この方、見覚えが……気のせいでしょうか？）

一方通行 （この制服……霧ヶ丘か）

女子 「えぇ羨ましいわ。うちなんてすぐ逃げられてしまう」

浜面 「こういうのはな、気持ちを通い合わせることが大事なんだよ」ﾌﾝｽ

一方通行 「よく言うわ、食いモンの分際で」

海原 「いやいや、あながちバカにできませんよ？」

女子 「そうそう。動物はんはそういうのちゃんと見とるんどす」

一方通行 「じゃオマエが猫に逃げられるのも、そういう理由か？」

ペルシャ 「ﾌﾞﾅｰ」

浜面 「おいおい、いくらなんでも初対面で失礼だろ」

海原 「そうですよ。少々言いすぎです」

女子 「やっぱり、猫はんをグッチャグチャのモッフモフにしたろと思ったのがいけなかったんやろか」ﾌｰﾑ

浜面 「……ま、まあ、そのグッチャグチャってのをやめればいいんじゃないか？」

女子 「アドバイスおおきに。もうちょっと頑張ってみます。ほな、これで」ﾌﾌ


＜ﾀｯﾀｯﾀｯ


浜面 「……」

海原 「浜面さん。いけませんね、移り気は」

一方通行 「ガキ旗も助走つけてニードロップするレベルだな」

浜面 「それいつものことだろ。いや、そうじゃなくてな！　ただ、なんつうかさ」

海原 「なんですか」

浜面 「方言ってなんかいいなぁと思って」

一方通行 「海原、こりゃ浮気だ。素行調査を開始するぞ」

海原 「ええ。調査結果をまとめて滝壺さんに提出しましょう」

浜面 「やめてくれぇぇぇぇ！！」

女子 （ふうん。あのお白い人が第一位はん……）

女子 （お噂通り、ええ男はんどすなぁ）



～同日夕方～


一方通行 「……ン、そろそろクソガキの検査も終わる時間か」

海原 「では、ぼちぼち行くとしましょうか」

浜面 「大変だな、小さい方の姐さんも」

一方通行 「別に大事ねェよ。健康診断みてェなもンだ」

海原 「何もなければそれが一番ですからね」

浜面 「ええい、剥がれんかお前ら！」

猫ズ 「ﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰﾆｬｰ」

浜面 「俺は帰るんだよ、って、どこに顔突っ込んでやがる！　あ、そこダメ！」

一方通行 「おい、モップ。お前もだ、どけ」ｼｯｼｯ

ペルシャ 「」ﾌﾟｲｯ

海原 「あの、先程から気になっていたんですが」

一方通行 「なンだよ」

海原 「その子にはモップではなく、シャルルさんという名前があるようですよ」

一方通行 「……モップ」

シャルル 「」

一方通行 「シャルル」

シャルル 「ﾌﾞﾅ」

一方通行 （ワーストやクソガキみてェなマネしやがって……）ﾊｧ

シャルル 「」ｼﾞｰ...

一方通行 「シャルル、どいてくれ。またいつか、気が向いたら、来るときがもしかしたら来るかもしれねェから」

シャルル 「ﾌﾞﾅｰ」ﾋﾟｮﾝ

海原 「モテモテじゃないですか」

一方通行 「モテモテはそっちのそれだろ」

浜面 「わっ。ひゃ、やめ、やめい！　やめてくれいっ！」ｸﾈｸﾈ

海原 「たしかに」ﾌﾌ

～同日　第７学区　とある大通り～


海原 「一方通行さんはこれから病院へお迎えですか」

一方通行 「ああ」

浜面 「俺はどうすっかな」

海原 「おや……みなさん、メール来てませんか？」

浜面 「え？……あ、マジだ。絹旗からだろ？　気付かなかったわ」

一方通行 「俺来てねェンだけど」

浜面 「あいつ、お前の連絡先知らないんじゃないんか？」

一方通行 「……そォいや教えた覚えはねェな」


　　[[携帯電話]]＜Prrrr Prrrr


浜面 「おい、電話鳴ってるぞ」

一方通行 「メールだろ」ｶﾁｶﾁ

海原 「おそらく、絹旗さんが伝えようとしている件じゃないでしょうか」

　差出人：ワースト
　　　　　　<m-worst@comodo.ne.jp>
　件名：
　日付：20yy/m/d 16:05
　───────────────
　絹旗さんがー、みんなで温泉に行
　こうって


一方通行 「温泉……？」

浜面 「おお、絹旗から来てるのもその件だぜ」

海原 「そういえば、以前みなさんで行ったことがありましたね。懐かしいものです」

浜面 「え、俺知らないんだけど」

海原 「その頃、浜面さんはお勤め中だったじゃないですか」

浜面 「お前、俺がいない間に温泉やら海やらでハーレムか！　許さん！」ｶﾞｼｯ

海原 「ちょ、離っ……」

一方通行 「」ｶﾁｶﾁ

浜面 「リア充は苦しめ！」ｸﾞｲｸﾞｲ

海原 「ギ、ギブ……」

　件名：Re:
　日付：20yy/m/d 16:08
　───────────────
　いいんじゃないか？ここのところ
　忙しかったろうし、ゆっくりしてこい


一方通行 「」ﾋﾟｯ

一方通行 「オイ、何やってンだオマエら」

浜面 「憎きリア充に制裁を加えていた」ﾌﾝｽ

海原 「ｹﾎ……ドラゴンスリーパーはやりすぎですよ……」

一方通行 「アホくせェ……あ？」ｶﾁｶﾁ


　差出人：ワースト
　　　　　　<m-worst@comodo.ne.jp>
　件名：Re:Re:
　日付：20yy/m/d 16:10
　───────────────
　え？あれ？来ないの？どうせ料金
　各自持ちなんだし、行こうよー


一方通行 「……」ｶﾁｶﾁ

海原 「あ、すみません。ちょっと電話に……はい、もしもし」ﾋﾟｯ

浜面 「……温泉か。フレメアも行きたがるかねぇ」

一方通行 「……」ﾋﾟｯ


　件名：Re:Re:Re:
　日付：20yy/m/d 16:11
　───────────────
　俺がいる必要は必ずしもないだろ。


一方通行 （つって引き下がるヤツでもないンだがな……）

海原 「ショチトルですか？　たしか図書館に行くと言っていたので、携帯も切ってると思いますよ」

浜面 「フレメアに一応聞いて……あ、待てよ、滝壺がもう連絡してっかな」

一方通行 （さて……どォくるかね）ﾋﾟｯ


　差出人：ワースト
　　　　　　<m-worst@comodo.ne.jp>
　件名：Re:Re:Re:Re:
　日付：20yy/m/d 16:18
　───────────────
　そうは問屋が卸さないんだぜ


一方通行 「……？」

海原 「合流しますか？　分かりました。では後ほど」ﾋﾟｯ

浜面 「まずフレメアを迎えに行くか。今日はお友達と公園に行くとか……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

一方通行 「オマエらいつまでやってンだ。俺はもう行くぞ」

海原 「お待ちください。向かう先はいつもの病院ですよね？」

一方通行 「あァ」

海原 「用事が出来ましたので、お供します」

一方通行 「……勝手にしろ」

浜面 「同じ理由で俺もいくぜ。タクシーなら割り勘できてお得だろ」

一方通行 「オマエはトランクな」

浜面 「トランクは勘弁な！　乗り心地が超最悪だって前に絹旗が言ってたしな」

海原 「なぜそんなことをご存知なのでしょうね」

一方通行 「乗ったことがあるからだろ」

浜面 「誘拐でもされたのか？」

一方通行 「さァな」

海原 「彼女のみぞ知るところでしょうね」

～同日　第７学区　とある病院　エントランス～


打ち止め 「」ﾎﾟｹｰ

一方通行 「オイ、終わったか？」

打ち止め 「あ、やっと来てくれたー！」

海原 「ご無沙汰してます」ﾍﾟｺﾘ

浜面 「よう、小さい方の姐さん。相変わらず元気なアホ毛だな」

打ち止め 「あれあれ？　なんでお兄ちゃんたちも一緒なの？」

一方通行 「途中で出くわしたンだよ。それで、そのジュースはどォしたンだ？」ﾜｼｬﾜｼｬ

打ち止め 「わわ……しずりんお姉ちゃんが買ってくれたんだよ」

浜面 「麦野か……？　あいつも丸くなったもんだな」

海原 「ご挨拶してきては？」

打ち止め 「でもなんか仕事が入ったって。呼ばれてどっか行っちゃった」

浜面 「そうか、仕方ねぇな。また今度ってことにしとくか」

打ち止め 「あ、そうだ！　ねぇねぇ」

一方通行 「ン？」

打ち止め 「さっきワーストから」

一方通行 「オイ」

打ち止め 「あ……お姉ちゃんから連絡があって。温泉に連れてってくれるって！」

一方通行 「あァ、良かったな」

打ち止め 「温泉初めてだからすっごい楽しみ！　あなたも行くんだよね？　もちろん行くんだよね？」

一方通行 「いや、俺は」

打ち止め 「行 く ん だ よ ね ？」ｽﾞｲ

一方通行 「……」

打ち止め 「来てくれなきゃヤダ！　絶対ヤダ！」ｷﾞｬｰｽ

一方通行 （問屋がどォこうってこういうことかよ……）

一方通行 「あのな、普通は男と女で入る場所が違ェンだ。いつもみたいに一緒には入れねェぞ？」

打ち止め 「そ、そうなの？」

海原 「いつもみたいに？」

浜面 「一緒には入れねェ？」

一方通行 「」

海原 「いつもご一緒に入浴を？」

打ち止め 「いつもじゃないよ？　お姉ちゃんと一緒のときもあるし、この人と一緒のときもあるし」

浜面 「髪とか洗ってもらってんの？」

打ち止め 「洗ってくれるよ！　流すのは乱暴だから、いつも目に入るけど」

海原 「これはこれは」

浜面 「姉妹揃ってモノにしてんのか、お前」

一方通行 「ペラペラ喋ってンじゃねェェェ！」ｸﾞﾘｸﾞﾘ

打ち止め 「いたたたた！」

浜面 「おい、やめてやれよ」

海原 「可哀想じゃないですか」

一方通行 「これがウチの教育なンで」

打ち止め 「うん、これぐらいならもう全然平気」ﾌﾝｽ

浜面 「そ、そうなのか……これはウチでも導入すべきか……？」

打ち止め 「やめてあげてーー！　フレメアが死んじゃうーー！」ｸﾞｲｸﾞｲ

浜面 「分かった！　しねぇ、しねぇよ！　……あ、そうだ、フレメアだ」

打ち止め 「？」

浜面 「フレメアを迎えにここに来てるんだった」

打ち止め 「え？　フレメアも来てるの？」

海原 「折角ですし、全員で迎えに行きましょうか」

浜面 「おう、なんか悪いな」

一方通行 「ま、ついでだしな」

浜面 「ついでって言うな」


～とある公園～


浜面 「さてさて……」ｷｮﾛｷｮﾛ

打ち止め 「あ、いた！」ﾄﾃﾃﾃ

海原 「あれ？　お一人ですか？」

一方通行 「オマエ、不用心にも程があるぞ」

浜面 「学校で知り合った友達と一緒の筈なのだが……」

海原 「まあ、ともかく回収しましょうか」

浜面 「回収って言うな」

打ち止め 「フレメアーーー」ﾄﾃﾃﾃ

フレメア 「あれれ？　なんでここに？」

打ち止め 「うん、ちょっとねー」

浜面 「お前一人か？　今日、お友達と一緒じゃなかったか？」

フレメア 「みんな帰った。私は、浜面が大体迎えに来るってメール来たから待ってた」

浜面 「あぁ、そうだったのか。でもな、こんな時間に一人は危ないぞ」

海原 「そうですね。病院のロビーにでもいた方がよかったでしょう」

フレメア 「次からそうする、にゃあ」

打ち止め 「ねえねえ、フレメアも温泉行くの？」

フレメア 「温泉？」

浜面 「滝壺からの連絡はまだか。あのな、今度絹旗が温泉に連れてってくれるそうだ！」

フレメア 「ホント！？」

海原 「絹旗さんが連れてってくれる？　ちょっと曲解してませんか」

浜面 「フレメアから見りゃ、大して変わらんだろ」

海原 「まあ、そうですが」

フレメア 「ねーねー、温泉ってどんなところ？」

浜面 「ええとな、風呂だ！」

打ち止め 「テレビで見たことあるよ！　すっごい大きいんだよね！？」

フレメア 「泳げる？」

一方通行 「泳ぐのはダメだ、マナー違反だからな」

海原 「それと、ただのお風呂ではなく、すごく身体にいいんですよ」

フレ止め 「「おー」」

一方通行 「他の人もいるンだから。あまり周りに迷惑かけるンじゃネェぞ」

フレ止め 「「はーい」」

浜面 「ところで、温泉ってどこにあるんだ？」

海原 「前回と同じ、と絹旗さんのメールにありましたので、第22学区かと」

一方通行 「あの地下都市か」

浜面 「あ、もしかしてあのすっごい有名なところか？」

海原 「ええ。メインは温泉ですが、ほかにも色々ある複合施設です」

打ち止め 「どんなのどんなの？」

海原 「思いつく限りのものは大体ありますよ」

一方通行 「相当広いらしいからな」

打ち止め 「これは楽しみになってきた！」

フレメア 「大体楽しみ」

浜面 「楽しみだ！」

一方通行 「今から不安だな、こりゃ」ﾊｧ

海原 「たまには羽目を外すのもいいではないですか」

打ち止め 「ね、いつ行くの？　明日？」

一方通行 「ンなすぐじゃねェよ。まだ決まってねェ」

打ち止め 「ぶー」

フレメア 「ねー、浜面。お腹空いた」ｸｲｸｲ

浜面 「腹減った？　あー、どうすっかな」

海原 「あ、ちょっとすいません……はい、もしもし」

打ち止め 「この後どうするの？」

一方通行 「帰るぞ。もォ用事はねェからな」

海原 「ええ。こちら今３人と２人ですが……はい」

フレメア 「ねー、お腹空いたー」

浜面 「家に帰ったら晩メシだから、我慢な」

フレメア 「ちぇー」

海原 「分かりました。お待ちしております」ﾋﾟｯ

浜面 「結標の姐さんか？」

海原 「はい。僕らが３人でいることをお伝えしたら、向こうも３人でこちらへ来るそうなので」

一方通行 「そォいや、今日は一緒だったなアイツら」

浜面 「よし、じゃもうちょっとここで待ってるとするか」

フレメア 「えー、お腹空いたのに」

打ち止め 「キャラメル食べる？」ﾊｲ

フレメア 「大体ありがと」ﾊﾟｸ

浜面 「お、悪いな。小さい方の姐さん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

打ち止め 「……あれ？　頭なでなでされても嬉しくない？」

海原 「それは相手にもよりますから」

打ち止め 「ねー、頭なでなでしてみて」

一方通行 「はァ？　なンでだよ」

打ち止め 「いーいーかーらー」

一方通行 「？」ﾜｼｬﾜｼｬ

打ち止め 「ふにゃー♪」

浜面 「え、なんかすっごい敗北感……」

フレメア 「だって浜面は大体雑なんだもん。髪洗うのも上手じゃないし」

海原 「髪洗うのも？」

一方通行 「上手じゃない？」

浜面 「」

海原 「これはこれは。浜面さんもでしたか」

一方通行 「オマエさっき人のこと散々バカにしてくれたよなァ？」

浜面 「いやいや、少なくともお天道様に恥ずかしいマネはしてないぞ！？」

海原 「まあ、詳しく」ﾆｺﾆｺ

一方通行 「聞かせてもらおうか」ﾆﾔﾆﾔ

浜面 「」

フレ止め 「「？」」

～１１月上旬　第１６学区　巨大ショッピングモール～


　　ﾜｲﾜｲ
　　　ｶﾞﾔｶﾞﾔ


番外個体 「うっはぁ。さすがに人多いねぇ」

結標 「人込みは苦手なんだけどね」

滝壺 「私も得意じゃない」

番外個体 「なんかこの流れだと、私がムリヤリ連れてきたみたいじゃん」

結標 「でも行ってみたいって最初に言い出したのは貴女でしょ？」

番外個体 「えー。二人とも行こう参ろうってノリだったでしょ！」

滝壺 「楽しみにしてたのは認める。で、何からみよっか」

番外個体 「本屋行っていい？」

結標 「後になさい」

番外個体 「なんでよ」

結標 「いきなり重い荷物増やすことないでしょ？」

番外個体 「……たしかに」

滝壺 「私コート見たいな。冬物の」

結標 「そうね。もうすぐ本格的に寒くなるんだし」

番外個体 「コートかぁ……」

結標 「貴女はいいの？」

番外個体 「去年のがまだ着れるかな」

結標 「去年のって、あのイタイの？　あれまだ着るつもりなの？」

番外個体 「あー、そうだよ。淡希がさんざんエセ魔女とか殺し屋くずれとか褒めてくれたあのコートだよ！」

結標 「いい機会だし、なんか買ってったら？」

滝壺 「去年のって、どんなのだっけ」

結標 「黒いフェイクレザーのロングコートで、首周りにカラスの羽みたいなもふもふが付いてるの」

滝壺 「あ、思い出した。ビジュアル系コートだね」

番外個体 「若気の至りだったんだよぅ……」

結標 「ま、ともかく移動しましょ」

滝壺 「レディースファッションフロアは向こうだって」

番外個体 「んじゃ行くとしますか」

～レディースファッションフロア～


滝壺 「みさわの上着」

番外個体 「ん？　なんか変？」

滝壺 「ううん。なんか可愛いね、背中のこのイラスト」

番外個体 「いいでしょ」ﾌﾝｽ

結標 「ウサ耳ドクロ……？」

滝壺 「みさわってウサギさん好きなんだっけ。前にそう聞いた」

結標 「そうそう、貴女はウサギさんがだーーーい好きなのよね」

番外個体 「えっ、いや」

滝壺 「どんなウサギさん？」

結標 「目つきの悪いウサギさん？」

番外個体 「わっ、分かっててそういう事言うんだからぁ！」ﾑｷｰ

結標 「照れなくていいじゃない」ｸｽｸｽ

番外個体 「ぐぬ……そっ、そういえば滝壺さんって」

結標 「あ、話題逸らしたわね」

滝壺 「？」

番外個体 「いつもその服だよね」

滝壺 「楽だし、どこにでも来ていけるから」

番外個体 「どこにでもなの……？」

結標 「なんだか私たちが間違ってるような気すらしてくるわ」


　今日の服装：
　　番外個体 - 黒ブルゾン + レザーパンツ + ワークブーツ
　　あわきん　- ダークブラウンジャケット + ショートパンツ + ロングブーツ
　　滝壺さん　- いつもの


結標 「でも、旅行にいった時はノースリーブのワンピとか着てたじゃない」

滝壺 「あれは夏の砂浜らしさを演出しようと思って」

番外個体 「……つまり、どういうことだってば」

結標 （滝壺さんって、たまによく分からないわ……）

番外個体 「他になにか着てみたら？　せっかくこういうとこ来てるんだし」

滝壺 「……二人は」

結標個体 「「？」」

滝壺 「私がいつもと違う服装をしたら、はまづらは喜ぶと思う？」

結標 「きっと喜んでくれると思うわよ。浜面くんだし」

番外個体 「そりゃもう、ルパンダイブでしょ。浜面さんだし」

滝壺 「……よし、たまにはイメチェンしてみよう」ﾌﾝｽ

番外個体 「……ねぇ、淡希。これはアレだね。場所もおあつらえ向きだし」

結標 「……そうね、やっちゃいましょうか」

滝壺 「？」

結標個体 「「滝壺さんをプロデュース！」」

　：
　：
　：

結標 「やっぱ滝壺さんには清楚な感じが似合うと思うのよね」

番外個体 「滝壺さんの滝壺言葉は"純潔"だね」

滝壺 「でも、私「わーわーわー！！」

結標 「そんな大っぴらに宣言しなくていいわよ」

番外個体 「人も多いんだしさ」

滝壺 「？　うん」

結標 （何気にこの中で一番オープンandアグレッシブなのって滝壺さんなのよね……）

番外個体 「ねえねえ、淡希」

結標 「うん？」

番外個体 「勝負してみない？」

結標 「勝負？」

番外個体 「コーディネートしてみて、どっちがお気に召すか」

滝壺 「私が審判ってこと？」

結標 「へえ……いいわよ、受けてたとうじゃない」

滝壺 「なんだか面白くなってきた」wktk

番外個体 「露出狂に負ける気はしないけどね」

結標 「年中パンツスタイルの貴女に、滝壺さんの魅力が引き出せるのかしら？」

番外個体 「……上等じゃん」

結標 「……妥協はしないからね」

滝壺 「じゃ私ここで待ってるから。よーい、スタート」


～30分後～


番外個体 「たっだいまー♪」

滝壺 「あ、帰ってきた」

結標 「厳選してきたみたいね」

番外個体 「そりゃね」

滝壺 「どんなの？」

番外個体 「ふふっ、これ！　悪の女幹部風セット」

結標 「」ﾊﾞｼｰﾝ

番外個体 「……なんでぶったの？」ｼﾞﾝｼﾞﾝ

結標 「真面目に選んできなさい！　でないと貴女、不戦敗だからね！」

番外個体 「出直してきまーす」ﾋﾟｭｰ

結標 「まったく」ﾊｧ

滝壺 （ちょっと着てみたかったかも）


～さらに15分後～


番外個体 「たっだいまー♪」

結標 「今度はちゃんとしたの持ってきたんでしょうね」

番外個体 「そりゃもうバッチリ」

結標 「じゃ、滝壺さん。お願いしていい？」

滝壺 「任せて」ﾌﾝｽ


＜ﾊﾞﾀﾝ
＜わ、試着室広い。


結標 「こういうとこの試着室って何気に広いのよねー」

番外個体 「なんでだろうね」

結標 「それは、買ってもらうためでしょ」

番外個体 「そんなもんなのかなー」

結標 「海外の高級ブティックなんかもっとすごいらしいわよ？」

番外個体 「へえ、どんなの？　達磨にされるとか？」

結標 「それは都市伝説」

番外個体 「その話聞いてから、怖くて1か月ぐらい試着室使えなくなったもんだよ」ｹﾗｹﾗ


＜着てみたよー。
＜ｶﾞﾁｬ


番外個体 「あー、この短いスカートはいかにも淡希チョイスだ」

滝壺 「脚が寒い」

結標 「……滝壺さん、ちょっと違うわ」

滝壺 「？」

結標 「まずアクセサリーベルト、これはちょっと角度付けましょ」ｸｲｸｲ

滝壺 「うん」

結標 「で、ブラウスはね、ボタン上までみっちり閉めなくていいの」

番外個体 「ちょっとぐらい開けといてもいいかもね」

結標 「これぐらい外しておいてもおかしくないわよ」ﾌﾟﾁﾌﾟﾁﾌﾟﾁﾌﾟﾁ

番外個体 「ちょ、ブラチラしてるから」

滝壺 「これは空けすぎ」ﾓﾄﾞｼ

結標 「えー」

番外個体 「ね、さすがに長袖ブラウスだけど寒いんじゃないの？」

結標 「カーディガンなかった？」

滝壺 「あ、これはむすじめ軍なんだ」ｺﾞｿｺﾞｿ

番外個体 「おー」

結標 「全然アリでしょ？」

滝壺 「やっぱり脚が寒い」

結標 「そこはストッキングとかブーツでカバーね」

滝壺 「なるほど」ﾌﾑ

番外個体 「淡希のことだからホットパンツ＋チューブトップとかだと思ったのに」

結標 「私だって季節ぐらい考えるわよ」

滝壺 「じゃ、次みさわの着てみるね」

番外個体 「待ってるよん」


＜ﾊﾞﾀﾝ


番外個体 「びっくりした。あんなに印象変わるんだ」

結標 「いつも同じ服装の滝壺さんだから余計かもね」

番外個体 「普段の服装じゃ分かりにくいけど、滝壺さんスタイルいいよねー」

結標 「何気にバランスがいいのよね」

番外個体 「あまり体型とか気にしてる風でもないんだけどね」

結標 「滝壺さんの場合、病気の経験があって食事も健康志向だから。それが効いてるんじゃない？」


＜完成ー。
＜ｶﾞﾁｬ


滝壺 「これは脚寒くない」

結標 「セミロングのシャツワンピース……やるわね」

番外個体 「色はネイビーだから、割といつでも着れるでしょ」

結標 「丈が短めのケープジャケットもいい感じじゃない」

滝壺 「このジャケット可愛いね。暖かそうだし」

番外個体 「この袖とか襟のもふもふがねー」

結標 「貴女、もふもふが好きなの？」

滝壺 「」ｳｰﾝ

番外個体 「どうしたの？」

滝壺 「ゴメン、どっちもそれぞれの良さがあるから、勝ち負けは決めれない」

結標 「いいんじゃない？　私たちも何気に楽しんでたし」

番外個体 「だね」

滝壺 「とりあえず、これ全部買おう」

番外個体 「おや、思い切りがいいなぁ」

結標 「買うのなら着ていったら？」

滝壺 「それはまた今度。今日の靴だと多分合わない」

結標 「あー……」

番外個体 「それは否めないね」

滝壺 「とりあえず着替えてくるね」

結標 「はいはい」


＜ﾊﾞﾀﾝ


番外個体 「滝壺さんも何気にノリノリだなぁ」

結標 「女の子だもの」ｸｽｸｽ

番外個体 「うん、まあ、気持ちは分かるよ」

結標 「懐かしいわね。貴女と最初に出かけたときもこんな感じだったかしら」

番外個体 「あー、そんなこともあったね。服買いたいと思っても、どんなのがいいか分からなかったんだよ」

結標 「それから、色々あったけど……」

番外個体 「けど？」

結標 「ありがとね。ずっと仲良くしてくれて」

番外個体 「それはお互い様だよ。私にとっては初めてできた友達だもん」

結標 「光栄ね」ｸｽｸｽ


＜ｶﾞﾁｬ

滝壺 「お待たせー」

結標 「あ、終わった？　じゃ、精算にいきましょうか」

滝壺 「何の話してたの？」

結標 「んー、これからもずっとこんな感じだったらいいわね、って話」

番外個体 「もちろん滝壺さんも含めて、だよね」

結標 「当然よ」

滝壺 「？　よくわからないけど、私はいつでも二人を応援してるよ？」

結標 「ありがとね♪」ｶﾞｼｯ

番外個体 「じゃ、ささっと精算して休憩しよっか♪」ｶﾞｼｯ

滝壺 「？？」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

結標 「休憩する前に、コート見るんでしょ？」

番外個体 「あ、そっか。忘れるとこだった」

結標 「折角なんだし、貴女もちょっと選んでいきなさいよ」

番外個体 「財布と相談だねぇ」

滝壺 「あ、そうだ。私もコート見たいんだった」

～同日　ショッピングモール内カフェテリア～


滝壺 「コート買えた」ﾎｸﾎｸ

結標 「にしても。コートの選び方一つとっても性格の違いって出るのね」

番外個体 「淡希が買ったソレはコートじゃなくてダウンジャケットだと思う訳だが」

結標 「いいでしょ、暖かそうだったんだもの。それに貴女の白ランに比べれば汎用性は高いわよ」

番外個体 「コレは白ランじゃなくて白トレンチコートだよ！」ﾌｷﾞｬｰ

滝壺 「今は白ラン着てる人ってあんまりいないと思うな」

結標 「絹旗さんとか白井さんから聞いた話だけど、LEVEL5の第7位ってそういう服装らしいわね」

滝壺 「前々回の大覇星祭で客席から見たけど、その時は体操服だったね」

結標 「ああ、あのときね。超電磁砲とガチバトルしてたとき」

番外個体 （お姉様なにやってんの）

滝壺 「どん人なのかな」ｳｰﾝ

番外個体 「LEVEL5だし、変人なんじゃない？　絹旗さんもそう言ってたよね」

滝壺 「ちょっと見てみたい気もする」

番外個体 「絹旗さん経由で連絡してみたら？」

結標 「やってみる？」

滝壺 「ん－……でも、きぬはたも暇とは限らないし」

番外個体 「いや、ヒマでしょ」

結標 「言い切ったら可哀想よ」

滝壺 「また今度、きぬはたと会ったときでいいや」

番外個体 「にしても、絹旗さんも意外な人脈を持ってるね」

滝壺 「こんごうでもいいよね。後輩だし」

結標 「そういえば、あの人って長点上機だったわね」

番外個体 「そなの？」

結標 「大覇星祭で見たときは長点上機所属だったわよ」

番外個体 「あー、だから婚后さんの先輩にあたるのか」

滝壺 「さすがにもう卒業しちゃってるかな」

結標 「そうね。今はどっかの大学にでも行ってるんじゃないかしら」

番外個体 「……大学といえば、さ。二人って今浪人中だったよね」

滝壺結標 「「うん」」

番外個体 「もうどうするか決まったの？」

結標 「先月の終わりに受かったわよ。自己推薦で」

滝壺 「合格しました」ﾃｯﾃﾚｰ

番外個体 「え、マジ？　やったじゃん。どんなとこ？」

滝壺 「第５学区にある大学」

番外個体 「それじゃ分かんないよ。第５学区は大学だらけだし」

結標 「ほら。私も滝壺さんも、目指す先は一緒でしょ？」

番外個体 「一緒？　保母さんと能力開発教官だと違くない？」

結標 「広い括りで言えば教職じゃない。それでね、教育関係者の育成に特化した大学を見つけたのよ」

滝壺 「いろいろ調べて丁度よさげだったから、受けてみることにした」

番外個体 「なるほど。うん、いいんじゃないかな。一つ心配があるとすれば……」

滝壺 「あるとすれば？」

番外個体 「ショタコンを保母さんにするって、それ即ち盗人に鍵」

結標 「」ｽﾊﾟｰｰﾝ

番外個体 「いったぁぁぁ……！」ｼﾞﾝｼﾞﾝ

結標 「ショタコン違うって何百回言わせれば納得するのよ貴女は！」

番外個体 「だ、だって前に子ども好きって言ってたじゃん！　海原さんだって年下じゃん！」

結標 「単純に好きってのと恋愛対象かどうかは別でしょ！」

番外個体 「……そういうもんなの？」

滝壺 「好きってだけだと、一緒に居続けることはできないんじゃないかな」

結標 「貴女だって思い当たる節はあるでしょう」

番外個体 「……」ﾝｰ

滝壺 「ねえ、みさわは私のこと好き？」

番外個体 「はい？」

滝壺 「いいから、率直に答えて」

番外個体 「好きか嫌いかで言ったら、好きだけど」

滝壺 「じゃ、私と夫婦みたいな生活できる？　昼の生活も夜の生活も、これから死ぬまでずっと」

番外個体 「……それは微妙、かな」

滝壺 「でも、あくせられーたと、だったらおｋだよね」

番外個体 「……うん」

結標 「つまりそういうことよ。恋愛対象ってことは、好きって感情は大前提に過ぎないの」

滝壺 「好きっていう気持ちの上に、積み上げていくって言うのかな」

結標 「憧れだったり尊敬だったりね。もっと直球にペロペロしたいってのもアリよね」

滝壺 「みさわにもあるよね、そういうところ」

番外個体 「確かに……言われてみれば。私にとっては憧れの存在でもあるし、
　　　　　　　ずっと肌スリスリしてたい人でもあるし」

結標 「あらあら」

滝壺 「やっぱり仲良しだね」

番外個体 「だっ……だったら、じゃ、二人もそういうのあるんでしょ！？」

滝壺 「もちろん」

結標 「当然ね」

番外個体 「何々？」

滝壺 「私はずっとはまづらと一緒に居たいし。依存し合うんじゃなく、
　　　　護り合う関係で。その為なら、なんでもできる」ﾌﾝ

結標 「ここまで言わせるなんて、浜面くんも果報者ね」

番外個体 「そう思わせるだけのことがあったんだろうね」

滝壺 「聞いとく？　すっごい長いけど」

結標 「また時間があるときに」

番外個体 「で、淡希は？」

結標 「なにが？」

番外個体 「好きって感情の上に、何を積んでるの？」

結標 「えー……別になんでもいいでしょ」

滝壺 「よくない」

番外個体 「私たちは話したんだから」

結標 「む……んーと、私の自業自得なんだけど、みんな私の敵に回っちゃったことがあってね」

滝壺個体 「「……」」

結標 「そんな時に、海原だけはいつも通りの調子で何事もなかったかのように接してくれたのよね」

滝壺個体 「「……」」

結標 「こいつとなら、お互いに支え合えるかな、って……」

滝壺 「みんな敵に回ったって」

番外個体 「それ、共同生活時代の食事当番の話？」

結標 「なんで分かっちゃうのよ！」

番外個体 「分かるっての！」

滝壺 「敵になったつもりはなかったんだけど」

結標 「だって！　みんなして未元物質とか非物質世界とか言ってたじゃない！」

番外個体 「でもフォローしたでしょ！？」

結標 「そうだけど……貴女と滝壺さんは料理教えてくれたから許してあげる」

番外個体 「なんで上から目線なの」

滝壺 「でも上達はしたよね」

番外個体 「まあ、一年かけて食べれるレベルにはなったけども」

結標 「お腹に入れば一緒でしょ」

番外個体 「それがいかんつうに」

滝壺 「とりあえず、うなばらがすごい紳士なのは分かった」

番外個体 「うん、それは認める」

結標 「もう……だから言い渋ったのに」

滝壺 「あっ、もうこんな時間……そろそろ行こっか」

～同日昼　レストラン街　とある洋食屋～


番外個体 「はー、お腹空いた……」

結標 「いつの間にかお昼だったのね」

滝壺 「歩き回ってるだけでも楽しいよね」

結標 「そう言えばさ、さっき大学の話したけど」

滝壺 「けど？」

結標 「貴女はこの先どうするつもりなの？」

番外個体 「どうするって？」

結標 「確か、こっち来てから学校には通ってなかったのよね」

番外個体 「うん」

滝壺 「進学とかはしないんだ？」

番外個体 「今更、学校に通いたいとも思わないしね」

結標 「じゃ、あのお店続けるつもりなのね」

番外個体 「今のところはね。なんだかんだ言って楽しいし」

結標 「ショチトルも楽しそうにしてるしね。こっちとしても続けてほしいわ」

番外個体 「あ、学校はあまり興味ないけど、資格は取ろうと思ってるよ」

滝壺 「資格？　コーヒーとかお茶の？」

番外個体 「コーヒーのは一回受けて落ちた。次は調理師免許でも目指そうかなと思って」

結標 「え、待って。持ってないの？　飲食店勤務なのに」

番外個体 「いや、飲食店で働くだけなら別に必須じゃないから」

滝壺 「食品衛生責任者だっけ？　その資格は持ってるの？」

番外個体 「それはあるよ。まだマスターがいた頃に、一緒に講習会行ってきた。……今にして思えば」

結標 「？」

番外個体 「あの講習会に連れてってくれたのも、自分が帰国するための準備だったのかなぁ」

滝壺 「かもしれないね」

結標 「貴女がさっき本屋に行きたいって言ったのって」

番外個体 「うん。参考書の類を探したくて」

滝壺 「なるほど」

番外個体 「で、調理師免許があれば、その講習って免除されるらしいんだよね」

結標 「そうなの？　だったらあると便利かもね」

番外個体 「そういうこと」

滝壺 「頑張って。そんな前向きなみさわを応援してる」

番外個体 「ありがとね」ﾌﾌﾘ

結標 「負けてられないわね、私たちも」

滝壺 「うん、大学で教員免許とらないと」

番外個体 「そんな二人を私も応援しておく」

滝壺 「免許と言えば、最近はまづらが運転免許とったよ」

結標 「あら、やったわね」

番外個体 「これで堂々と運転できるね」

滝壺 「うん、でもね」

結標個体 「「？」」

滝壺 「私も取ろうと思ってたんだけど、はまづらに止められた」

結標 「止められた？」

番外個体 「なんでまた」

滝壺 「はまづらがね」


　　――運転は俺が出来る限りやる。だからお前は運転するな。死者が出てからじゃ遅い。


滝壺 「だって」

結標個体 「「あー……」」

滝壺 「失礼だよね」

番外個体 「ま、まあ、任せちゃえばいいんじゃない？」

結標 「そうそう。滝壺さんは助手席を定位置にしちゃえばいいのよ」

滝壺 「……そうだね、それもいっか」

番外個体 「正直、滝壺さんは運転向いﾑｸﾞｯ」

結標 （せっかくまとまったんだから、余計なこと言わない）ﾋｿﾋｿ

滝壺 「二人は免許持ってる？」

番外個体 「私も最近とった、ほら」ｼﾞｬｰﾝ

結標 「店持ちの身でよく自動車学校に通う時間あったじゃない」

番外個体 「空いた時間に細々と通ってたからね。数ヶ月かかったよ」

滝壺 「よかったね、おめでとう」

結標 「これから色々頼めるわね」

番外個体 「いやいや、なんで頼む前提なのさ」

滝壺 「あ、でも車はどこにもないね」

番外個体 「んー……これ言っていいのかな」

滝壺 「？」

番外個体 「車、あるんだよね」

結標 「え、なんで？　気が早すぎない？」

番外個体 「いや、あのね。めでたく免許とってさ、次は大型二輪が欲しいなーって話したら」


　　――ダメだ、許さねェ。二輪は危ねェからな。車は用意してやる、引き換えに大型二輪は諦めてくれ。


番外個体 「って言われた」

結標 「相変わらずやることが極端ね、貴女の彼は」

滝壺 「極端って言うか、みさわに甘いんだよね」

番外個体 「いや、金銭感覚が健全じゃないだけだと思う」

滝壺 「私もはまづらと出し合って車買おうかな」

番外個体 「いいんじゃない？　フレメアもいるんだし、必要になることもあるでしょ」

結標 「ちなみにどんな車種なの？」

番外個体 「んー、記念に撮った写真が……ほら、これ」ｶﾁｶﾁ

滝壺 「あ、ランクルだ」

結標 「滝壺さんが一目で言い当てたのはなんだか意外ね」

滝壺 「はまづらが車見るの好きだから、私も詳しくなっちゃった」

番外個体 「浜面さん、よく車の雑誌見てるもんねー」

結標 「でもなんで乗ってこなかったのよ。そしたら私たちもラクできたのに」

番外個体 「雨降りそうだったし。降ったら汚れちゃうもん」

結標 「インテリアじゃないんだから」ﾊｧ

店員 「お待たせいたしました。オムライスのお客様」

番外個体 「はいはーい」

店員 「エビドリアのお客様」

滝壺 「私」ﾊｲ

店員 「ハムレタスサンドのお客様」

結標 「こっちです」

店員 「ごゆっくりどうぞ」ﾍﾟｺﾘ

滝壺 「それにしても、いきなり車買うって豪快だよね」

結標 「LEVEL5の1位だもの。金銭感覚は今のうちの矯正しといたほうがいいわよ？」

番外個体 「そうなんだよね……この間もさ、とんでもないスペックのパソコン買ってきて」

結標 「何に使うのよ」

番外個体 「なんかさ、在宅ビジネス始めるんだって」

滝壺 「あ、仕事するつもりなんだ」

結標 「驚いたわね……株でもやるつもりなの？」

番外個体 「いや、物書きの真似事だよ。なんか参考書とか、翻訳とか」

滝壺 「それって向いてるよね。第一位の頭脳の有効活用」

結標 「でも外には出ない仕事を選んだのね……」

番外個体 「ねー……家に食べ物がないとか、理由がないと全然外出ない」

滝壺 「仕方ないよ、家が一番」