1 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:22:26.31 UciWP6aC0 1/108


エルフ「イエー!」

「……」




元スレ
男「エルフを買っt エルフ「新しい家ー!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1329888146/

3 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:23:26.60 UciWP6aC0 2/108


エルフ「広ーい!」

「……」

エルフ「きれい! 明るーい!」

「……おい」

エルフ「ジュースどこー?」ゴソゴソ

「おい!」

エルフ「何ー?」ゴクゴク

(この……)



4 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:27:11.49 UciWP6aC0 3/108


「ちょっとこっちこい」

エルフ「ごめん、もう一杯だけ」

「……っ」ピキ

エルフ「――ぷはっ」

「……」ピキピキ

エルフ「で、何?」

「……座れ」

エルフ「うん」



8 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:32:44.57 UciWP6aC0 4/108


「一つ訊く」

エルフ「いいよー」

「俺は誰だ?」

エルフ「次にあなたはここはどこと言う」

「違う! 記憶喪失じゃない!」

エルフ「じゃあ何?」

「俺はお前のご主人様だ!」

エルフ「そうだね」

「俺はお前を買った! お前は俺の所有物だ! そこんとこ分かってるのか?」

エルフ「うん」

「……ならいいんだ」

エルフ「お菓子ない?」

「分かってないだろ!」



14 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:37:24.63 UciWP6aC0 5/108


エルフ「えー、分かってるよー」

「ならそれにふさわしい態度があるだろうが!」

エルフ「オッケー」

「うん?」

エルフ「要はあたしとヤリタイってことだよね?」

「なんか違うぞ!?」

エルフ「ベッドはあっちだね。ちょっと整えてくる!」タタタ

(あああどうしてこうなった……)



16 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:42:06.56 UciWP6aC0 6/108


二時間前 うす暗い奴隷市場


「あ、あの」

商人「ああ?」

「エルフの、女奴隷が欲しいんだが」

商人「……」

「……なんだよ?」

商人「若いな」

「か、金ならある! ほら!」

商人「金がありゃいいってのはいかにも阿呆の若造が考えることだろうが……まあいいだろ、こっちこい」

(馬鹿にしやがって……!)



18 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:47:27.36 UciWP6aC0 7/108


商人「ここだ。選べ」

「……」

商人「ちょいとイキのよくないのばかりだがな。あの額じゃこんなもんだ」

「……弱ってるくらいがちょうどいい」

商人「ん? そういう趣味か? その歳でもう歪んでるんだな」

「うるさい」

商人「じゃあ、こいつなんかどうだ? お前と同じくらいの年だし、一番おとなしい」

エルフ「……」



23 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:52:26.05 UciWP6aC0 8/108


エルフ「……誰?」

「……」

商人「どうだ? この弱弱しい感じ」

「……」

エルフ「……」

「気に入った」

エルフ「……!」

「奴隷。お前を買ってやるよ」

エルフ「……はい」



26 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 14:55:43.12 UciWP6aC0 9/108


現在


「詐欺だ!」

  「何がー?」

「お前だお前!」

  「へー」

「他人事みたいな声出すな!」

  「――うん、こんなもんかな。ベッドの準備出来たからおいでー」

「くそっ」



30 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:00:45.46 UciWP6aC0 10/108


「いいか! これから奴隷市場に引き返して返品を――!」

エルフ「これどうかな」

「ブッ!」

エルフ「半脱ぎっていいよね」

「あ、ええと……」

エルフ「でも動きにくいのが難点。ごめんだけどそっちが来てくれないかな」

「う、え、その」

エルフ「寒いよ早くー」



31 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:03:09.13 UciWP6aC0 11/108


     ・
     ・
     ・


(なんかものすごい勢いで童貞を投げ捨ててしまった)

エルフ「きもちいかったねー」

「……」

エルフ「あれ? きもちくなかった?」

「お前はなんでそんななんだよ」

エルフ「んー?」

「奴隷ってのはもっと」

エルフ「どんよりしてるべき、みたいな?」

「違うか?」

エルフ「そうは言っても」



37 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:08:41.81 UciWP6aC0 12/108


「だって奴隷だぞ。希望を持って生きろってのが無理だろ」

エルフ「でも、生まれた時から奴隷だったし。奴隷って言葉の意味を知ったのも結構最近だし」

「そんな無茶な……じゃあなんであの時はおとなしかったんだよ」

エルフ「その方が買ってもらいやすいって商人のおじさんから聞いた」

「……」



42 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:14:46.78 UciWP6aC0 13/108


「まあいいか。じゃあ早く服着ろ。さっさと奴隷市場だ」

エルフ「それはイヤ! あそこ暗くて狭いもん」

「生まれた時からそれが当たり前だったんだろうが」

エルフ「それとこれは話が別!」

「なんにしろお前に選択権はない。裸のままでも連れてくぞ」ムクリ

エルフ「……」



43 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:22:09.44 UciWP6aC0 14/108


エルフ「えい!」

「うお!?」ボス

エルフ「よいしょ」

「こらのしかかるな!」

エルフ「うるさい口はこうだ!」

「んむ!」

エルフ「♪~」

「~~ッ!」

(舌が、舌が……!)



48 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:27:06.13 UciWP6aC0 15/108


エルフ「こんなもんかな」プハ

「うう……この」

エルフ「無駄だよ。こーゆーのはあたしの方が経験あるんだし。骨抜きにして返品できなくしたげる」

「やめ……!」

エルフ「それじゃヘヴンにゴー!」ガバ

「ひ――ッ!」



51 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:31:45.42 UciWP6aC0 16/108


エルフ「ほらほらー」

 ヌリュッヌリュッ

エルフ「まだまだペースアップするよー」

 ヌッチャヌッチャ

エルフ「それそれー!」

 ヌップヌップ

エルフ「っと」ピタ

エルフ「んー? 出したい? でもなー、あたし返品されるのヤだしなー」

 クチュ……

エルフ「返品しないって約束してくれるなら考えてあげてもいいよ」

 ヌロリ……

エルフ「うーん粘るね。ならもうちょっといじめたげるー」

 グチュ!

     ・
     ・
     ・


52 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:32:31.67 UciWP6aC0 17/108


エルフ「勝ったよ」

「……負けた」グテ

エルフ「正直楽勝」

「淫乱エルフが……」

エルフ「生まれた時からこういうのが当たり前だったんだってば」

「……」

エルフ「でもさすがに疲れちゃった。それじゃ今日はおやすみー」

「……おう」

エルフ「zzz...」

「……」

「はぁ……」



56 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:39:16.20 UciWP6aC0 18/108


エルフ「おはよー!」

「ううん……」

エルフ「起きてよー」ユサユサ

「まだもう少し……」

エルフ「……」ゴソゴソ

「ん?」

エルフ「あむ」

「ひゃう!?」



59 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:43:54.05 UciWP6aC0 19/108


エルフ「ペロペロ」

「あ、う」

エルフ「んむ、はむ」レロ

「うぐ」

エルフ「はい、ここまで」

「え?」

エルフ「布団から出てくれたら続きしてあげてもいいよ」

「……」



61 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:51:05.36 UciWP6aC0 20/108


     ・
     ・
     ・

エルフ「素直に起きてくれてよかった。せっかくご飯作ったんだしねー」

(朝から疲れた……)

エルフ「はいどうぞ!」

「……ご飯ってこれか?」

エルフ「そうだよ? なんか変?」

「パンと……これ何だ?」

エルフ「チーズでしょ?」

「石鹸だぞ」

エルフ「食べられないの?」

「お前は食べられるのか?」

エルフ「頑張る」

「やめとけ」



62 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 15:56:45.78 UciWP6aC0 21/108


「飯を作ってもらえるのは正直予想外だったが、全然ダメじゃないか」

エルフ「えー」

「料理もできる奴隷だったらな」

エルフ「……」ジリ……

「返品は考えてないからにじり寄るな!」



64 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:00:57.66 UciWP6aC0 22/108


エルフ「おいしーい!」

「……」モグモグ

エルフ「あなたって料理上手なんだねー」

「一人だし、これぐらいは」

エルフ「そういえば他に誰もいないの? こんなに広いのに」

「いない」

エルフ「なんで?」

「……」



70 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:05:56.52 UciWP6aC0 23/108


「俺は母殺し、だから」

エルフ「んー?」

「母さんは俺を生んだときに死んだんだ」

エルフ「へえ」

「だから父さんには嫌われてる。そういうこと」

エルフ「そなんだ」

「……食べ終わったなら片付けろ。俺のもな」

エルフ「はーい」



75 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:11:20.32 UciWP6aC0 24/108


 カチャカチャ


  「そう言えば思い出したんだけどさー」

「ん?」

  「母親殺しならあたしとおんなじ」

「え?」

  「母さん奴隷生活で弱ってたからね。殺してくれって言われた」

「……やったのか?」

  「やったよ?」

「……」

  「だって母さんすっごく苦しそうだったし、かわいそうだったし」

「……」



76 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:17:44.30 UciWP6aC0 25/108


「お前は何も、感じなかったのか?」

  「少しは」

「少し?」

  「しばらく食が細くなったよ」

「それだけ?」

  「いや、食べなきゃ死ぬし」

「そうじゃなくて」

  「? よくわかんない」

「そうじゃなくてさ……」

エルフ「片付け終わったよー」

「……」



78 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:22:43.05 UciWP6aC0 26/108


エルフ「お洗濯ー♪」

「手際いいな」

エルフ「これは市場でもよくやったよ」

「でも、その」

エルフ「そうなんだよね。着替えがなくて困ってる」

「と、とりあえず俺の替えを着ろ!」



83 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:29:26.53 UciWP6aC0 27/108


エルフ「ぶかぶか気持ち悪い」

「俺より背は高いのにな」

エルフ「横幅?」

「き、筋肉だ」

エルフ「……」ツンツン

「腹をつつくな! 俺は太っちゃいない!」



86 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:34:20.75 UciWP6aC0 28/108


エルフ「いい天気ー!」

「はしゃぐな。外じゃ目立つ」

エルフ「買い物なんて初めてだもん」

「いいからついてこい」

エルフ「うん!」



89 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:43:23.57 UciWP6aC0 29/108


エルフ「まずは服。ぶかぶかだと目立つしね」

(すれ違う奴ら全員に訝しげな顔された……くそっ)

エルフ「えーと、これでいいや」

「え?」

エルフ「着がえてくる!」



93 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:46:42.99 UciWP6aC0 30/108


エルフ「お待たせー」

「……随分シンプルなやつだな」

エルフ「いい服とかわかんない。あと奴隷のイメージ」

「女の服選びは長いって噂で聞いたんだけど」

エルフ「そうなの?」

「俺も分からん……女とかいたことないし」ボソ

エルフ「じゃあ次行こうよー」

「引っ張るな!」



96 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:51:21.96 UciWP6aC0 31/108


夕方


「疲れた……」

エルフ「楽しかったねー」

「お前が引っ張り回すから!」

エルフ「でも命令には逆らってないし」

「それでもよ!」

エルフ「だって外の世界は初めてだったから」

「?」



99 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 16:56:28.66 UciWP6aC0 32/108


エルフ「いや、何回か見てるか。でも、今日みたいに自由には無理だった」

「……」

エルフ「楽しかったよ。ありがとね!」

「……おう」

エルフ「あ!」

「?」



101 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:00:34.68 UciWP6aC0 33/108


エルフ「星! 一番星!」

「でてるな」

エルフ「きれーい!」

「そういえば」

エルフ「なに?」

「家の屋根ならよく見えるんじゃないか」

エルフ「! 帰ろ! 早く早く!」

「引っ張るなって言ってるだろ!」



103 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:06:30.52 UciWP6aC0 34/108


家の屋根


エルフ「すごいね! 一面の星空!」

「……」

エルフ「わー!」

「星空くらいで……」

エルフ「だってきれいじゃん」

「夜ごと見られるだろ」

エルフ「え、知らないの?」

「ん?」

エルフ「牢屋の天井には星はないんだよ? 当たり前」

「……」

エルフ「でしょ?」

「まあ……そうか」



104 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:12:44.87 UciWP6aC0 35/108



エルフ「うーん……」ノビ


「……」


――確かに星の綺麗な夜だった




108 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:15:22.04 UciWP6aC0 36/108


二十日ほど後 街中で


(買い物も終わったし、帰るか)

「聞いたか?」「何が」

「……?」

「何やらきな臭いことになりそうなんだと」「どういうことだ?」

「……」

「エルフ族だよ」「は?」



111 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:21:38.26 UciWP6aC0 37/108


「だから、エルフたちが反乱を企ててるんだと!」「……」

「……」

「お前も用心しといたほうがいいぞ」「プ……ひひっ!」

「な、なんだよ!」「お前、奴隷ごときが本当にぶち切れると思ってんのか?」

「……」「今更? エルフらが人間に屈服してもう数十年だぞ?」

「だって、噂では!」「噂は噂。大概にしときな」

「……」



113 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:26:53.64 UciWP6aC0 38/108


男の家 の前


「……」

青年「やあ」

「どなたですか」

青年「君……というか君の奴隷に用のある者だよ」

「……あいつに?」

青年「侯爵家の、と言えば分かるかな?」

「!」



114 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:30:10.62 UciWP6aC0 39/108


「そんな奴が……お方がなぜこんなところに?」

青年「一応君の家も爵位を持ってるじゃないか。貴族同士の親交を深めに来ちゃいけないかな?」

「……護衛を連れて?」

護衛「……」

青年「一応身分が身分だしね。体面もある」

「あいつに用ってなんだ……なんですか?」

青年「まずは家にあげてもらえるかな」

「……」



115 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:35:33.01 UciWP6aC0 40/108


エルフ「誰?」

青年「こんにちは」

エルフ「ねえ、この人誰?」

「俺より偉い人」

エルフ「ってことは当然あたしより偉いわけだね。分かった。お茶いりますか?」

青年「いや、いいよ。すぐ終わるからね」



116 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:40:00.75 UciWP6aC0 41/108


青年「では手短にいこう。そのエルフを僕に貸してほしい」

「は?」

エルフ「んー?」

青年「実は以前、一緒に買い物をしている君たちを見かけたんだ」

「……それで?」

青年「僕は人を見る目には自信があるんだよ」

「?」

青年「その目が言うんだ。あのエルフは『すごくいい』って」

エルフ「ふーん」



117 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:45:24.83 UciWP6aC0 42/108


「……これは不良品です」

青年「じゃあ貸すのに抵抗はないね?」

「こんなののどこがいいっていうんですか。ただの売女ですよ」

青年「さあ? でも僕は自分の目を信じるよ」



119 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:50:14.77 UciWP6aC0 43/108


「お引き取りください」

青年「金なら出すよ」

「いいから出ていってください」

青年「……」

「さあ早く」



121 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 17:55:46.45 UciWP6aC0 44/108


青年「いいのかな?」

「?」

青年「僕の機嫌を損ねるのは良くないよ」

「……」

青年「君のお父さんも悲しむと思うな」

(……こいつっ)



122 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:00:44.37 UciWP6aC0 45/108


エルフ「脅し?」

青年「どうかな?」

「なんでこんな奴にそこまで」

青年「僕は自分の目を信じてるからね」

「そんなの!」

青年「言葉を返すよ。こんな奴、なら君も意固地にならないだろう?」

「そう、だけど!」



125 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:06:06.01 UciWP6aC0 46/108


青年「じゃあ、条件をつけよう。多分君が心配してるのは僕が彼女に変なことをしないかどうかだよね?」

「……」

青年「約束しよう。彼女を借りてる間、僕は彼女にみだらなことはしない」

「……」

青年「そして、夕方には帰す。これでどう?」

「……」



127 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:10:58.52 UciWP6aC0 47/108


エルフ「いいんじゃない?」

「お前!」

エルフ「だって選択肢ないじゃん」

「けど……!」

青年「決まりだね」

「待てよ!」

青年「僕を怒らせない方がいい」

「っ……」

青年「これでもかなり我慢してるんだ。分かってほしいな」

(くそっ)



129 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:15:11.68 UciWP6aC0 48/108


エルフ「行ってくるねー」

青年「それでは」

「……」

「チッ!」ガン!



132 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:20:46.47 UciWP6aC0 49/108


エルフ「どこ行くの?」

青年「僕の屋敷さ」

エルフ「広い?」

青年「あんな家よりずっとね」

エルフ「へー楽しみ」

青年「……」



133 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:25:25.48 UciWP6aC0 50/108


     ・
     ・
     ・

エルフ「ただいまー」

「!」

エルフ「満腹満腹」

「へ、変なことされなかったか?」

エルフ「全然。たくさんご馳走してもらった。あんなの初めて食べたよ」

「そうか……」



134 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:30:22.27 UciWP6aC0 51/108


エルフ「心配した?」

「……別に」

エルフ「そんなに心配なら命令すればいいのに」

「え?」

エルフ「行くな、とか。あとは身体を許すなとか」

「……」

エルフ「まだあなたがご主人様だし」

「……」

(『まだ』……)



135 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:33:56.39 UciWP6aC0 52/108


     ・
     ・
     ・

(あれから七日……)

(あいつは、毎日あの野郎のとこに行ってる)

「……」

(あの野郎はちゃんと金を置いてくし、約束は守ってるみたいだが……)

(……良く分からないのに、気に入らない)



139 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:39:25.58 UciWP6aC0 53/108


エルフ「ただいまー」

「……」

エルフ「ただいまってば」

「……ああ」

エルフ「ふー」

「飯、いるか?」

エルフ「食べてきたよ」

「そうか……」



142 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:43:27.46 UciWP6aC0 54/108


「今日は、何してきたんだ?」

エルフ「なんか数字の勉強教えてもらった」

「……」

エルフ「難しかったけど楽しかったかな」

「そうか」

エルフ「明日は何かなー」

「……」



145 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:45:44.99 UciWP6aC0 55/108


「命令だ。こっちこい」

エルフ「うん」

「……」

エルフ「なに?」

「これは、だな。別に変な意味があって言うんじゃないんだが」

エルフ「うん」

「明日は、その。行かないでくれないか」

エルフ「いいよ」

「……え?」



148 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:48:54.84 UciWP6aC0 56/108


エルフ「ん、なに?」

「だって……お前行くのが楽しみなんじゃなかったのか?」

エルフ「楽しみ? そう見えた?」

「だってよ……」

エルフ「ご主人様の命令には逆らえないよ」

「……」



150 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:51:02.22 UciWP6aC0 57/108


「抱いていいか?」

エルフ「急だね。でもいいよ」

「すまん」

エルフ「え、なに?」

「すまん……」

エルフ「良く分からないよ。泣いてるの?」

「泣いてない」

エルフ「そっか」

「泣いてない……」

エルフ「うん」



152 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:53:58.64 UciWP6aC0 58/108


 ギシ ギシ

エルフ「泣かないで」

エルフ「泣いてない? そう」

エルフ「うん、売女だよ。生きる価値ないね。否定はしないよ」

エルフ「……」

エルフ「泣かないで」

 ギシ ギシ……



153 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:55:56.02 UciWP6aC0 59/108


翌朝


エルフ「すみませんが、ご主人様の命令なので」

青年「……」

「……」

青年「そうか」

「……すみません」



156 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 18:58:04.31 UciWP6aC0 60/108


青年「でも、ちょうど良かったかな」

「?」

青年「実はね、もう少し進んだ話がしたかったんだ」

「……それはどういう?」

青年「彼女を買い取りたい」

「!?」



158 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:00:52.88 UciWP6aC0 61/108


青年「そろそろ僕も我慢ができなくなってね」

「つまり?」

青年「全部を僕のものにしたい」

「全部……?」

青年「全部は全部さ。これからは淫らなことも」



162 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:03:14.23 UciWP6aC0 62/108


青年「もちろんタダでとは言わないよ――おい」

護衛「はい」


 ドサガシャン!


(随分大きい……袋?)

青年「中身は全部金品だ」

「え?」



163 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:05:15.47 UciWP6aC0 63/108


青年「ん? これじゃあ足りないかな。もっと足そうか?」

「い、いや! なんで!?」

青年「買うためだけど?」

「どう見てもそういう額じゃないだろ!」

青年「僕はそれだけ出す価値があると思ってる」

「たかがいち奴隷だぞ! しかも汚れてる!」

青年「僕が聞きたいのはそういうことじゃない。売るのか売らないのかだ」



165 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:09:05.24 UciWP6aC0 64/108


「……」

青年「買えないかな?」

「……」

青年「沈黙は了承とみなすよ」

「……」

青年「……それでいい。君はもっといい奴隷をたくさん買えばいいしね。じゃあ行こうか」

エルフ「……」



168 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:11:15.37 UciWP6aC0 65/108


青年「来るんだ」

エルフ「……わかった」

「……」

エルフ「じゃあね」

「……てよ」

青年「では。また会えるといいね」

「待てよ!」

青年「……」スタスタ

「待てって言ってるだろ!」



169 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:13:12.81 UciWP6aC0 66/108


青年「君は既に対価を得ている。止めるならそれなりの対応をさせてもらうよ」

護衛「ふっ!」ブン!

「がッ!」ドサ

エルフ「……」

青年「行こう」



171 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:15:15.69 UciWP6aC0 67/108


「ぐ……行くな!」

青年「黙らせろ」

護衛「はい」

「ぐぶ! ……行くな」

護衛「ふん!」

「っ……行くなよ……! 絶対にかえっ――!」

エルフ「……」


護衛「シッ!」

「ぐっ……っ……!」



172 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:15:47.35 UciWP6aC0 68/108


     ・
     ・
     ・



173 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:16:32.69 UciWP6aC0 69/108


「――」

「っ……あ……」

「……」

(……寝室。夜か?)

(一人……)

「……一人だな」



174 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:17:28.90 UciWP6aC0 70/108


「……」

「なんか、思い出した……」

「俺って、昔犬を飼ってたっけ」

「人懐っこい犬……誰にでもすぐ懐く」

「もちろん俺にも懐いてたけど……死ぬのを看取ったのはあまり会わせたこともない父さんだったっけ」

「わざわざ俺のところを抜け出して、最期の力を振り絞って。あまり父さんの屋敷まで行って」

「……くそっ!」

エルフ「それはしょっぱいね」



176 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:18:50.92 UciWP6aC0 71/108


「っ!?」

エルフ「急に動かない方がいいよ」

「つぅっ!」

エルフ「割と大怪我だしね」

「……なん、で?」

エルフ「あたし? 逃げてきた」

「は……?」

エルフ「だってあなた言ったじゃん。絶対帰って来いって」

「あ……」

エルフ「へへ。ご主人様の命令には逆らえないよ」



177 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:20:23.77 UciWP6aC0 72/108


「……」

エルフ「泣かないでよ?」

「で、でも、もうあの時所有権は」

エルフ「あれ? そう言えばそうか。じゃああっちに戻らないと」

「待っ――!」

エルフ「はは。冗談だって」



178 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:21:27.62 UciWP6aC0 73/108


エルフ「んーとね。やっぱり物っていうのは、大切にしてくれる人のところにいたいんじゃないかな」

「?」

エルフ「あの人はあたしを壊すつもりみたいだったし」

「壊す?」

エルフ「あたしみたいのが珍しかったんだと思う」

「……」

エルフ「奴隷でありながら壊れてない。なら壊しがいがあるって。そんなとこじゃないかな」



179 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:22:42.68 UciWP6aC0 74/108


エルフ「ばかばかしいよね。あたしなんてとっくに壊れてるのに」

「それは」

エルフ「違わないでしょ。もうやらしいことをやらしいとも思えないし、母さん殺したこともどうでもいい」

「……」

エルフ「それでも、あたしは……」

「ん?」

エルフ「あなたのとこにいたいな。なんて」

「……」

エルフ「好きです。多分ね」



181 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:24:56.00 UciWP6aC0 75/108


「ぐ……」

エルフ「……」

「ふぐ……っ……」

エルフ「泣かないで」

「泣いて、ない……!」

エルフ「そっか」ナデ

「っ……っ……!」

エルフ「そうだね……」ナデナデ



184 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:28:18.24 UciWP6aC0 76/108


     ・
     ・
     ・

「……」

エルフ「もう大丈夫だね。じゃあ、逃げよっか」

「え?」

エルフ「え、じゃないよ。間違いなく探しに来るでしょ」

「それは、そうだけど。法律では他人の奴隷に手を出してはいけないことになってる」

エルフ「決まり事をどうにかできちゃうのがケンリョクやオカネってやつじゃないの?」

「いや、でも」

エルフ「実際エルフたちの生き方はまるごとどうにかされちゃったしね」

「そうかもしれないが」



186 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:33:15.26 UciWP6aC0 77/108


「でも、父さんにこれ以上迷惑は……俺は母さんを奪ったんだ」

エルフ「奴隷ってさ」

「え?」

エルフ「二つ一緒には拾えない者なんだよね」

「どういうことだ?」

エルフ「二つ拾いたいものがあったらどっちか捨てないといけないの。あるいは両方」

「……」

エルフ「今のあなたもきっと同じ。あたしかお父さん、どっちかひとつだけ」

「……」

エルフ「どうする?」

      ・
      ・
      ・



189 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:36:41.21 UciWP6aC0 78/108


城門前の物陰


「ここまでは来れたな」

エルフ「ここからどうしようか?」

「さすがにここはつらいな」

エルフ「うーん……」

「お前は、なんていうかすごい力? そういうの使えないのか? エルフだし」

エルフ「それはおとぎ話の中だけだよ」

「そうか……」



190 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:38:58.13 UciWP6aC0 79/108


 カッ!

「!?」

 ドゴオオォォッ!

「な、なん……!? 城門が……」

 ドドドドドドドドドド!

(外から、踏み込んできたのは……エルフ兵たち?)

エルフ「チャンスだよ」

「え?」

エルフ「今なら行ける。行こう」

「……。ああ!」



196 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:53:27.74 UciWP6aC0 80/108


森の中


(ここまでくれば……)

エルフ「ごめん……もう動けない」

「休むか……」



197 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:54:23.09 UciWP6aC0 81/108


(あれは、なんだったんだろう。全て殺されてもういないはずのエルフ兵)

(エルフの……反乱? 噂で聞いた)

エルフ「星」

「ん?」

エルフ「もうすぐ消えるけど」

「朝が近いな」

エルフ「寒い……」

「毛布は一枚だけだ。一緒に入ろう」

エルフ「うん」



199 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 19:58:41.17 UciWP6aC0 82/108


「これから、どうしような」

エルフ「食料はあんまりないね」

「頑張ってもたせても多分二日……」

エルフ「粘れるだけ粘るしかないかな」

「そうだな……確か、このまま東に行けば村があったはず。そこを目指そう」

エルフ「分かった」



201 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:01:17.06 UciWP6aC0 83/108


それから


(……どれくらい、歩いた?)

「おい」

エルフ「……ごめんね。おぶってもらって」

「いい。それより大丈夫か?」

エルフ「まだ、生きてる」

「それは分かる。体調は?」

エルフ「良くわかんない」



203 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:05:23.50 UciWP6aC0 84/108


「……死ぬなよ」

エルフ「命令?」

「ああ」

エルフ「じゃあ死なない」

「命令は絶対だからな」

エルフ「ご主人様には逆らえない」

「ああ」



206 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:08:47.44 UciWP6aC0 85/108


 ズル!

「!」

 ドサ!

「つぅ……」

エルフ「――」

「! おい!?」

エルフ「――」

(駄目だ……意識がない)



208 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:11:49.40 UciWP6aC0 86/108


(衰弱? それとも寒さで病気?)

「くそっ、分かんねえ……!」

エルフ「う――」

「ぐ……」


 ガサガサ……


(!?)



210 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:15:26.36 UciWP6aC0 87/108


「……」コソ

(あれは、エルフ兵)

  エルフ兵「こちらは異常はない」

  エルフ弓兵「こちらもだ」

(気付かれてない。なら、このままやり過ごせば)

エルフ「――」

(やり過ごせば……)



212 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:19:01.17 UciWP6aC0 88/108


(大丈夫のはずだ。だいぶ歩いた。村も近い)

(すぐ着く。あいつも多分それまで持ちこたえる)

(大丈夫なんだ。大丈夫……)

「……本当に?」

(大丈夫……)

「……」



213 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:21:16.33 UciWP6aC0 89/108


 ガサガサ!


エルフ兵「誰だ!?」スチャ

「お、俺は丸腰だ! 話を聞いてくれ!」

エルフ弓兵「……」

「俺の後ろにエルフの少女がいる! 弱ってて……助けてほしいんだ!」



218 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:26:10.67 UciWP6aC0 90/108


エルフ兵「エルフの……? お前とはどういう」

「主人と……奴隷だ」

エルフ弓兵「こいつ……」

「頼む! 助けたいんだ……」

エルフ兵「……?」



219 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:27:03.12 UciWP6aC0 91/108


「お、俺には、生きる価値ないけど! あいつは違う。違うから!」

エルフ兵「……」

「俺は殺せ。でも、あいつは絶対助けろ!」

エルフ弓兵「……お前はなんなんだ?」

「ただのクズだ!」

エルフ兵「……」チラ

エルフ弓兵「……」コク

エルフ兵「ふんっ!」

「ぐっ!」ドサ



223 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:30:58.68 UciWP6aC0 92/108


(これでいい……)

(これでいいんだ……)

(生きろよ。ご主人様の命令は、絶対なんだからな)

(絶対……)

「――」



225 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:32:34.12 UciWP6aC0 93/108


     ・
     ・
     ・



226 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:32:59.61 UciWP6aC0 94/108


エルフ商人「起きろ」

「う、ん……」

エルフ商人「労働の時間だ」

「……ああ」



229 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:36:34.81 UciWP6aC0 95/108


(懐かしい夢を見た)

(五年? もうはっきりしないがそれくらい前の)

(あれから人間とエルフの立場は逆転して、今の俺は奴隷)

(いろんなとこ連れ回されて、ここがどこかも分からない)

(それでも。生きてるだけマシなんだろうな)

「……あいつ。どうしてるんだろう」

エルフ商人「手を止めるな!」

「うーい」



233 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:38:39.33 UciWP6aC0 96/108


(夜は泥のように眠り、昼は日光に焼かれる。そんな生活)

(これが、多少毛色が違いながらもあいつの生まれながらの生き方)

「は、きついな」

「せめて、天井に星空があれば。そう思うぜ」



235 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:42:03.30 UciWP6aC0 97/108


 ガラガラ……


「ん?」

エルフ商人「こちらが奴隷どもの牢屋です。ゆっくりお選びください」

(エルフのお偉様様方が奴隷ごときを選んでくださりに来なすったか)

「ケッ」



237 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:42:54.32 UciWP6aC0 98/108


「うーん、どれもぱっとしないわね」

(女か)

「ここにはいるかしら」

(俺の目の前に来てみろ。唾ひっかけてやる)

「ええと」

(来た。喰らえ!)

「あ!」

「?」



239 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:43:24.67 UciWP6aC0 99/108


「久しぶりね。背が伸びたんじゃない? 筋肉もついて痩せたわね」

(……?)

「ん? 覚えてない?」

「あいにくな」

「そうなの、残念ね」

「消えろよ。目障りだ」

「そうはいかないわよ」

「あ?」



240 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:43:54.07 UciWP6aC0 100/108


「奴隷」

エルフ「あなたを買ってあげるわ」



241 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 20:44:23.35 UciWP6aC0 101/108

終わり。支援保守感謝


282 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:49:57.21 UciWP6aC0 102/108


「――くそっ」

「なんで俺だけ掃除個所が多いんだよ!」

エルフ「しっかりやってる?」

「見ての通りだクソ女」

エルフ「正確には売女ね」

「は? それはなんかのジョークか?」

エルフ「いいえ」



287 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:51:35.99 UciWP6aC0 103/108


エルフ「まあいいわ。それが終わったら食事作ってちょうだい」

「はあ!? 俺が忙しいのは見ての通りだろうが!」

エルフ「あなたって奴隷らしくないわよね」

「昔の知り合いの影響さ」

エルフ「……」

「チッ! 飯作ってもらえねーくれーでそんな残念顔すんじゃねーよ」

エルフ「……」

「分かった分かったつくりゃいいんだろーが」

エルフ「……悪いわね」

「ケッ」



291 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:52:33.20 UciWP6aC0 104/108


     ・
     ・
     ・

「どーぞ」

エルフ「ありがとう」

「存分にオメシアガリください」

エルフ「おいしそうね」

(気付くなよ。そのままかっくらえ)

エルフ「おいしそうな石鹸」

「!」



292 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:53:23.30 UciWP6aC0 105/108


エルフ「巧妙に加工してあるわね。ちょっと見にはチーズみたい」

「チッ」

エルフ「……」

「ばれちまったからにはしょうがねー。好きに罰でも与えろよ」

エルフ「……」グス

「あ?」

エルフ「……何でもないわ」

「泣いてんのかよ。これぐらいの嫌がらせでダセーな」



296 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:55:42.58 UciWP6aC0 106/108


エルフ「罰だったわね。これからちょっと出かけるから付き合いなさい」

「あ? 今は夜だぞ」

エルフ「星が見たいの」

「勝手に見てこいよ」

エルフ「ここじゃよく見えないから近くの丘まで行きたいのよ」

「ここらだって結構物騒だぞ」

エルフ「だからあなたに守ってもらうんじゃない。昔みたいに」

「昔? よくわかんねーが気が乗らねー」

エルフ「わたしが暴漢に襲われてもいいの?」

「何か問題が? 大体俺だって襲うかもしんねーぞ」

エルフ「あなたにだったらかまわないわ」

「冗談下手糞。さっさと寝ろ」

エルフ「行くわよ」ガチャ

「おい!」



299 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:56:29.71 UciWP6aC0 107/108


「……」

  「早く来なさい!」

「……チッ! 今行く!」



302 : 以下、名... - 2012/02/22(水) 21:57:31.71 UciWP6aC0 108/108

今度こそ終わり。これで勘弁


記事をツイートする 記事をはてブする