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≪あらすじ≫
キュートでファンシー、ビビッドなお茶目さが魅力でお馴染みの女騎士ちゃんがめっちゃ活躍した。
女騎士ちゃんは果たして薄汚い魔物どもを一匹残らず根絶やしにする事ができるのか。
元スレ
女騎士「そうなったのは私のせいじゃないから謝らない」煮込み7杯目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379703594/
アラクネー「ぶはー、疲れました……」
ピクシー「結局完徹ね、とんでもないブラックね」
ブラウニー「残業手当でるのかしらね、びっくりするブラックね」
敵兵「……うげえ、早くシャワー浴びてえ」
アラクネー「あら、あなたは……そちらはお仕事終わったんですかあ?」
敵兵「いーえ、まだまだです……警邏の手が足りないってんで、オレ達の側からも人手を出すんですって」
アラクネー「そですか……連合の監査部が現地入りしても、なかなか状況は変わりませんねえ」
敵兵「(喋るライオンだとかと警邏するハメになるとは思わなかった……)」
アラクネー「はあ……医療スタッフも全然手が足りません、こうしている間にも手術待ちの人が増えているって言うのに」
敵兵「手術……」
ピクシー「うひゃ、それって……」
ブラウニー「マスイ無しでノコギリギコギコってやつ……?」
敵兵「……や、やめてァ」
アラクネー「いえ、幸いにも麻酔薬の備蓄は十二分に用意されていまして。それを使うようにと、上の人から……」
敵兵「(帝国の麻薬汚染が役に立ったって事か?)」
アラクネー「それより抗生物質の不足が目立ち始めています、とりわけ現在の帝国領では感染症対策がおざなりになっているのに」
敵兵「前途多難っすね……」
ピクシー「連合の監査部が現地入りすりゃ、ちょっとは楽になると思ったんだけどなー」
ブラウニー「お偉方がやっと支援の手配をしてくれただけだもんなー、いつ支援が届くかなんかわかりゃしない」
敵兵「うへぇ……」
アラクネー「そういえば、大尉さんはもともと連合の兵隊さんでしたよね?」
敵兵「ま、まあ……なあ」
ピクシー「監査部や情報庁に、あなたから言ってもらえませんかねー」
ブラウニー「アジ・ダハーカについては言及しないから、さっさと財政復興手伝えってさー」
敵兵「今のオレが言ってどうにかなるわけないでしょう……軍籍はおろか、向こうじゃいない筈の人間とみなされてるってのに」
アラクネー「どなたかお知り合いはおられました?」
敵兵「下っ端でしたんで、そんな偉い人たちと面識ないですよ。対外情報庁絡みだなんて、エリート中のエリートですよ」
ピクシー「王族もビックリなピリピリっぷりだったよねぇ」
ブラウニー「屈強なSPがゾロゾロゾロゾロ。あれ、仕事しに来たんじゃなくて冷やかしに来たんだよね」
敵兵「はあ」
アラクネー「キンッキンのブロンドに、雪みたいな肌……アジ・ダハーカの人とは違う意味でおっかないと言いますか……
そんな女性が護衛といっしょにいらっしゃってましたね。あの人も情報庁の人……かな」
ブラウニー「まさか、まじに王族だったりして。どうなの、どうなんです大尉」
敵兵「一概には言えないんですがね……」
ピクシー「有名人なら顔くらい分かりますでしょ。ほら、新聞の切り抜きありますから」
敵兵「……あー、あー……これは……」
ピクシー「知っているのか大尉ァ!」
敵兵「知っているって言うか……いや、いやいや……何しに来たんだ、この人……」
ブラウニー「目付きワリー……まだ若いのにこの顔かね」
敵兵「東方中央王朝第四皇太子『雷帝』皇女殿下……」
ピクシー「雷帝……?」
敵兵「情報庁の……そうだな、広告塔と言えばいいかな。軍内予算の取り合いじゃ、いっつもこの雷帝殿下の顔に負け越してたよ」
ブラウニー「王族が軍部にスライドって……まるで旧帝国じゃないですか」
敵兵「い、一緒にすんな! 騎馬民族の直系にあたる有力部族の末裔が軍部の一翼を担っているだけだ、どこぞの騎士団みたく癒着しきっているわけじゃ……」
ピクシー「下っ端からの視点ならどうとでも言えますわねえ……」
敵兵「」
アラクネー「……まだ、政庁付近のホテルに滞在されているみたいですね、雷帝さん」
ピクシー「毒ガス事件にドワーフゲットー不明事件、デモ隊を狙ったテロからの皇族拉致事件……一連の騒ぎを見て、どう思われますかね」
敵兵「捜査には北西諸島や共和国も立ち会うみたいですからね、会議を一年後に控えて一層ゴチャゴチャになる気がするな……」
ブラウニー「あーあ、働きたくねぇー。医療事務超メンドクセー」
ピクシー「ミセス・ティタニアも仕事で引っ張りだこ、キングは本国で悠々自適。やってられないっすわ、マジに。ラクしたーい遊びたーい」
敵兵「(妖精ってフリーダムなんだなぁ……)」
エルフ三男「い……い、い、い、今……今、何と……?」
女騎士「結婚してくんないかなぁーって」
エルフ三男「騎士様とでしたら喜んで……」
女騎士「ウチの姉貴と」
エルフ三男「」
女騎士「ツラだけはまあ、私ほどじゃねぇがマシだ」
エルフ三男「またまた御冗談を」
女騎士「ん?」
エルフ三男「」
女騎士「ガキ作ってくれりゃいいんだよ、何も毎晩あのビッチの相手しろって言ってんじゃねーし」
エルフ三男「ガ、ガキを……つくる……」
女騎士「子作りの為の性交渉は貴いものだ、心して臨むようにな」
エルフ三男「……おっと、すみません。ちょっとトイレに行ってきます」
エルフ近衛兵「おや、閣下。お話しの途中では」
エルフ三男「や」
エルフ近衛兵「」
エルフ三男「だーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
エルフ近衛兵「」
エルフ三男「いやーーーーーーーーーーーーー!いーやーだ!!やだやだ!!やぁーーーだぁーーーー!!!!」
エルフ近衛兵「閣下のカンシャクが始まったぞ!!」
エルフ騎兵「クソッ、ここ300年ほど見なかったがついに来たか!!」
エルフ近衛兵「若、落ち着いてください!」
エルフ三男「やだやだやだやだやだやだぁぁぁ!! ぜーったいやーだぁーーーー!!!」
エルフ騎兵「オイッ、何があったんだ! 閣下のカンシャクをここまで覚醒させるとは!!」
エルフ弓兵「前は確か、亡き大兄様にお気に入りのドングリのカサを盗られた事だったが……!」
エルフ騎兵「ドングリを用意しろ!! ありったけのドングリを持ってこい!」
エルフ近衛兵「うるさいバカども! ポケットのドングリを捨てろ!! お前らいつもポッケにドングリ詰めてんのか!」
エルフ弓兵「申し訳ありません!」
エルフ騎兵「して、若はどうしてそんなクソガキのような地団太を踏んでいるのですか」
エルフ近衛兵「騎士様が……閣下の童貞を、貞操を御所望なのだ!!」
エルフ弓兵「それはおめでたい!!」
エルフ騎兵「今日は陸軍挙げてドングリパーティだ!!!!」
エルフ近衛兵「違う、そうじゃない!!
エルフ三男「いやぁーだぁー!!! ぜーったいぜーったいやだ!!! やだぁぁ!!!!」
エルフ近衛兵「500年物の童貞を……初恋の相手に捧げられぬこの悲哀!! 貴様ら分かっているのか!!」
エルフ騎兵「分かりません!!」
エルフ弓兵「童貞なんかその辺の娼館で小等部の頃に捨てました!!」
エルフ騎兵「オレなんか初恋の相手ですらありませんでした!!」
エルフ近衛兵「このドングリ脳どもが!! 閣下の童貞は貴様らの紙クズのような貞操とは格が違うのだ! カンシャクを起こすのも分かるだろう!」
エルフ弓兵「確かに、騎士様がアルヴライヒにいらしてから……あのクソうるさいカンシャクを聞かなくなりましたな」
エルフ騎兵「その封印が解かれるほどの事を命じられたのか……」
エルフ近衛兵「……」
エルフ三男「うおおおおおおお、うおおおおおおおおおおん」
エルフ騎兵「閣下、何がお嫌なのですか?」
エルフ三男「うああああああん、騎士様ァァァァァ、騎士様がいいよォォォォーッ」
エルフ弓兵「わかる」
エルフ三男「会った事もない女性に童貞をささげるなんてヤだよォォォーッ、既婚者の上にコブ持ちなんてやだァァァァ」
エルフ騎兵「わかる」
エルフ三男「何匹のガキの相手しなきゃいけないんだァァァァ、バツが何個付いてるかわからない女なんていやだァァァ」
エルフ近衛兵「閣下……お可哀想に……!!」
エルフ三男「せっかく、せっかく帝国からアホどもを一掃できると思った矢先に……騎士様はどうしてこんな試練を僕に課すんだッ……!!」
エルフ騎兵「おいたわしや閣下……」
エルフ三男「クソックソッ、クッソォォ!!」
騎士ほ「……ずいぶん荒れておいでですわね、大将閣下……帝国を取り戻した晴れの日に、どうかいたしましたか……」
ほ子「……」
エルフ三男「貴女か……ああ、貴女の連携には感謝している、今回の勝利は貴女のお蔭だ……」
騎士ほ「フクク……どういたしまして……私たちがこんな所にいるのを見られたら事ですわね……」
エルフ三男「……すまないけど、放っておいてくれ……お願いだ……」
騎士ほ「共和国や連合監査部との講和会議まですっぽかすおつもりですか?」
エルフ三男「……」
騎士ほ「フクク……お気の毒に……『初めて』を捧げられない事実に、虚しさを感じているのですね……」
エルフ三男「いやだ……本当にいやだ……」
騎士ほ「しかし……気に病む事はございません、お姉様と行動を共にしたあなたなら分かる筈……
お姉様は、全ての人間に対して平等なお考えを持っておられる方。あなたへの気持ちも、決して変わりませんでしょう」
エルフ三男「うう……」
騎士ほ「あなたが受け入れさえすれば、一晩さえ耐え抜けば……お姉様から、更なる寵愛を受けられるに違いありません」
エルフ三男「……」
騎士ほ「これは、あなたにしかできません……種をまく事の出来る、男性であるあなたにしか……フククク……」
エルフ三男「……用意をしてくる。取り乱して申し訳なかった」
騎士ほ「とんでもない……大切なお姉様を愛する者は、私にとっても大切なお方に違いありません……」
エルフ三男「そう言ってもらえると、助かる……」
エルフ弓兵「閣下……」
エルフ騎兵「ドングリ……」
騎士ほ「では、一足お先に向かっておりますわ。ごきげんよう」
エルフ近衛兵「お車をお出ししましょうか」
騎士ほ「いいえ、結構ですわ……ありがとう。そうだ、大将閣下……」
エルフ三男「……何かな」
騎士ほ「あの『種馬』、もう領内に運び込まれておりまして?」
エルフ三男「侵攻開始とタイミングをずらして、北部方面の路線から……場所は指定の通りだ」
騎士ほ「……ありがとう。ああ、そうですわ……この子だけ、預かってもらってよろしくて?」
ほ子「……」
エルフ騎兵「もちろん、構いませんが……」
ほ子「大陸のくるま、乗れるの?」
騎士「ええ……フクク……本国の車両しか見た事なかったから、物珍しいのね……」
ほ子「……」
騎士ほ「……フクク」
リンドヴルム「……彼女の……連れ……いや、違う……」
騎士ほ「ごきげんよう、ドラッヘ……はじめまして、私もお姉様を慕う者の一人ですわ」
リンドヴルム「そうか……何か、私に用かな……?」
騎士ほ「(ヴォーパル鋼の拘束具……これで完全に抵抗の意を削いだか。さすがはエルフと言ったところ……)」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「フクク……きめ細やかに輝く毛皮、雄々しく天を突く双角。竜神の神々しさ、こうして囚われの身であろうと衰えてはおりませんのね」
リンドヴルム「囚われ……そう、そうだな……私は彼女に囚われて……いるのだな」
騎士ほ「……」
リンドヴルム「……境遇としては、変わらないな……どこに行っても、私は人間という存在に囚われ続ける……」
騎士ほ「人間がお嫌い?」
リンドヴルム「とんでもない。ともに大地に生を受けた愛しい仲間だ」
騎士ほ「フクク……こんな目に遭っても? お姉様のする事は絶対とはいえ、もう少し待遇を改善してほしいとは思わない?」
リンドヴルム「考えた事も無かった。そうだな……」
騎士ほ「……」
リンドヴルム「できる事なら……彼女と、あの子達と……見晴らしの良い場所に、たまにでいいから……」
騎士ほ「フクク……世捨て人のようなカミでありながら……人との繋がりを求める……絆を欲しがるさびしんぼう……」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「ゼェーーータク抜かしてンじゃあねェーーーぞッ、このノミ野郎が……
テメェがその辺のゴロツキなら、顔の穴っつう穴にフッ素詰めてブチ殺してるところだ」
リンドヴルム「……何か、気に障ったのなら……謝る」
騎士ほ「何もかもが……気に入りませんわ……こともあろうに!! お姉様の……お姉様のじゅ、じゅ、じゅ、純潔を……ちらっ、散らし……」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「……毛ェむしり取って、骨ェ粉々にして、目ェをシチューにしてやっても物足りない!!
私にとってお前は、腸詰の材料となる為に肥やされ続け、屠殺場で死を目前にした豚でしかないッ!!」
リンドヴルム「そうか……」
騎士ほ「……フックク、言い返しもしない。穏やかな種馬さんですこと」
リンドヴルム「私のような半端なニヒリストは、やはり嫌いだろう」
騎士ほ「ヘドが出そう。フクク……」
騎士ほ「喜怒哀楽を人間に当てはめても仕方ない、か……この状況で狂わない、文句もちょびちょび。救えねェ」
リンドヴルム「かつては私も、崇め奉られた竜神の一柱だった。その頃は、まだ文句も言っていたかもしれないな」
騎士ほ「カミ……カミねえ」
リンドヴルム「……大陸の人間の記憶から私という存在が薄れ始め、魔物と唯一神が代わって神威を現し始めてから、私はこの有様さ」
騎士ほ「ヒトを脅かし、ヒトに討たれる事こそが、零落したカミの本懐……そんな事をぶつぶつ考えながら、似たような連中と隠遁と」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「隠遁、ねぇ。竜神が追いやられて隠遁。物騒な世の中で困ってしまいますわ……神サマ勇者サマに縋るのも分かるってものです」
リンドヴルム「私の停止した思考より、よほど生産的だ。災厄に見舞われる人間もまた美しい」
騎士ほ「まさかまさか……あなたの人間好きも度を越していますわね……貶められたカミというのはみんなこうなのかしら」
リンドヴルム「さて、どうかな……」
騎士ほ「……御存知でしょうが、かつて魔王軍……魔族は魔界と呼ばれる場所から、天恍を求めて現れた……らしいですわ」
リンドヴルム「そうなのかい」
騎士ほ「ありがたい聖書にも、東洋思想でも……そうした魔境の存在が示唆されています……まあ、こわいこわい。
フクク、宗教こじらせるとそんな妄想にとりつかれるものなのでしょうか。魔界ィ? 何言ってんでしょうかね、ちょっとわかんないですわ」
リンドヴルム「荒唐無稽にもほどがある……単なる流言だな」
騎士ほ「あなたがそれを言うのもシャクですがね……フクク、その通り。魔界だなんてあるわけがない。
悪魔だけが住む世界など、どこにもない。暗黒の世界などあり得ない。それなら、ならばあのくそ魔王は何なのか?」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「魔王軍とは? 魔族とは? 勇者とは? あなたの仰る、あなたを含む荒唐無稽とはいったい何? 魔界の産物?」
リンドヴルム「自分が何かと語る程、私には学はない。形而上学なら他をあたってほしい」
騎士ほ「私だって、そんなものに興味はありません……気になるのは、このトチ狂った世界の真実……」
リンドヴルム「……」
騎士ほ「フクク……案外、魔界って言うのは私たちのこの世界そのものだったりするのかしら……?」
リンドヴルム「君も私も、一様に魔族に準ずるものだと?」
騎士ほ「あるいは、どこかの誰かさん達のイマジネーションに基づく存在? 私たちの正体は、宗教の教義にハマる見知らぬ誰かの妄想?」
リンドヴルム「突飛だな、実に面白い発想だ」
騎士ほ「勇者信仰を意のままに操るには、必要な事でしてよ……勇者や魔族には、もっともらしい裏付けが必要なのです。
連合も本腰を入れて、西部を掻っ攫おうとしている……今こそ、人外とは何かを明かさねばならないのですわ……」
リンドヴルム「……それで、私に何かを聞きに来たと」
騎士ほ「ええ……教えて頂きたい事がありまして」
リンドヴルム「分かる事ならばね……」
騎士ほ「『ガリア=ベルギガ』。あなたとお姉様が子を授かった、この勇者の聖地について……洗いざらい、吐いて頂きます……フククク……!」
雷帝「こんにちはァ、異教徒の皆さん。ごきげんいかがァ?」
敵兵「」
雷帝「おやおやー、元気がないぞー!! こーんにーちはー!! さんはいっ!!」
ピクシー「」
雷帝「ノリがわるいなー。このテンションのまんまで会議とか窒息しちゃうー」
ブラウニー「ほ、報告と確認はあちらの政庁で行いますので……」
雷帝「こーんにーちはー!!」
ブラウニー「」
敵兵「(何か思ってたのと違う)」
雷帝「面子はもう揃ってらっしゃる? みんなもういんの?」
近衛兵「まだしばらくは余裕があるかと。査察資料も既に用意してあります、姫様」
雷帝「はあい、褒めて遣わす。それじゃあー、魔王軍のみなさぁん。エスコートよろしくー!」
敵兵「(何……何だ、この……このちっちゃい、ちっちゃい子は……!)」
女騎士「ねみい……ハンモック……」
姉「お菓子食べたい……」
エルフ三男「……」
竜騎士長「……」
騎士ほ「フクク……」
魔王「……」
勇者「……」
雷帝「あららぁ、錚々たる方々が一堂に会していらっしゃる。やだもう、緊張しちゃう……うふふ、ンフフフ……」
雷帝「それじゃあ、ぼつぼつ始めましょうかぁ? 一年後の予習……」
雷帝「あんたらっていう、ミートパイの切り分け方の予習をさぁ。ああ、楽しみ……しっかり刻まないと、みんなに行き渡らないものねぇ……」
姪「……連合の……査察……」
アラクネー「ひっ!?」
姪「今は、何時だ……」
アラクネー「よ、夜の6時過ぎです……寝てなきゃあだめですよ! いくら呼ばれてたからって、そんな身体じゃあ……」
姪「お呼びがかかったんだぞ……ようやく……敗戦から6年も経って、ようやく連合の情報庁まで引っ張り出せたんだぞ……!!
コネだろうがなんだろうが……国家元首や、アジ・ダハーカ本人とツラを突き合せて喧嘩ができるって時に……」
アラクネー「……」
姪「……私はどのくらい横になっていた」
アラクネー「四日……です、でもまだ安静にしてなきゃあ……脚の他にも致命傷がいくつかあったんですから」
姪「……」
アラクネー「私が引っ張り出すときにも、その……何発か撃たれていて……」
姪「……やってくれる、北西諸島……あのブルネット……!!」
アラクネー「……」
姪「……」
アラクネー「あ、あーっと……汚れた肌着は取り替えておきましたからね! お手洗いに行きたくなったら、すぐ看護婦を呼んでくださいね……」
姪「……わかった。恩に着る」
アラクネー「……居た堪れないなあ……あんだけ悔しがるのを見ちゃうと」
アラクネー「勇者様やティタニアさんとこの予想……アジ・ダハーカの件は恐らく連合もウヤムヤのうちに揉み消しにかかるだなんて……」
アラクネー「あんなに頑張ったのに……自分は、歩く事もできなくなっちゃった」
アラクネー「……神様なんて、いんのかなぁ……無情だなぁ」
姪「……誰だ」
少女「あ……こんばんわ」
姪「どこから来た? どこの子だ?」
少女「……お姉さんの……」
姪「……妹の友達か?」
少女「……」
姪「すまないが、どの妹か教えてくれないか……私には姉妹がやたらと多くてな」
少女「……」
姪「(手のかかる姉妹や……あの女の為に、この有様になるとは……受け入れ難いが、納得せねばならん……か……)」
少女「起きられないの……?」
姪「残念ながら、ところどころポンコツなんだ。上半身しかろくに動かない」
少女「……そうなんだ」
姪「……その花束は……どうしたんだ。盗んでないだろうな」
少女「私が摘んだの。たくさん摘んだの」
姪「そうか……立派だな、帝国中央も捨てたものではないな……」
少女「……」
姪「(……そうだ。帝国を、私のこの国を、正義を諦めてたまるものか)」
少女「あの……」
姪「(私は生きているのだ……それだけで十分だ、何でもできる。ここは剣と魔法の世界ではない、銃でもなんでもある……
どんな身体になろうと……周囲がどんな有様になろうと……妥協など、絶対にしてたまるものか……!!)」
少女「……」
姪「(不義には……悪には罰を与えねばならない、必ず……アジ・ダハーカは、この世にいてはならない……必ず……)」
少女「……ふくくくくwwwwwwwwwwwwごきげんよう、しらないひとwwwwww『おねえさま』の為にwwwwwさようならwwwwwww」
姪「」
第7部 帝国奪還編
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
第8部 タマナシエルフとアタシ物語編へ
ー- 、 ー-、``/
_, ' ._, ' \
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制作・著作 NHK
姪っ子死んじゃった?