※関連記事
姉「好きだよ、妹」
委員長「好きよ、女」
姉「学校祭、ですね」
姉「……春ですね、妹」
姉「夏ですね、妹」

2 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:02:57.44 +DBuKrIC0 1/26

「秋だね、お姉ちゃん」

「ええ、そうですね」

「秋といえば?」

「読書、でしょうか」

「んー、あー、まあ、そうなんだけど、ほら、イベントとか」

「イベント……ああ、妹の学校では、確かそろそろ学校祭ですね」

「あー……うん、そだね……」

「なにかあるんですか?」

「……んー、ううん、なにも」

「……? そうですか」

元スレ
姉「秋ですね、妹」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1380380522/

3 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:03:51.38 +DBuKrIC0 2/26

~登校中~

「……自分の誕生日くらい覚えといてよね、まったく」

「あーあ、プレゼント、どうしよ……」

(お姉ちゃんが喜びそうなもの…………うーん)

「物欲がない姉を持つと、苦労するなぁ」

(とりあえず今日の帰りに探そっかな……)

「……」

「あー……こないだのお姉ちゃんも、こんな気持ちだったのかなぁ」

「やほー、妹」

「おはよー!」

「ひとりでぶつぶつ言ってたけど、どうかした?」

「うげ、聞かれてた……」

4 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:05:02.06 +DBuKrIC0 3/26

「で?」

「……お姉ちゃんの誕生日が近くて、プレゼントどうしよっかな、って」

「プレゼントか……」

「お姉ちゃんってあんまり欲しいものとか無さそうだから、悩んでて」

「んー……妹があげたいって思うものをあげたらいいんじゃないかな?」

「私があげたいって思うもの?」

「うん。 これはお姉ちゃんに似合う、とか、そういうの」

「ふむふむ……」

「妹が真剣に考えたプレゼントなら、きっとなんでも喜んでくれるよ」

「そっか……わかった! ありがとね!」

5 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:05:47.59 +DBuKrIC0 4/26

────────────────────

「ありがとうございましたー!」

「……うーん、結局無難なところを選んじゃったけど……」

「なんかもっと、いいのないかなぁ……」

「……ん? この広告……」

「…………」

「……いいこと思いついた!!」

6 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:06:42.13 +DBuKrIC0 5/26

────────────────────

~数日後~

「……」

「最近、妹の帰りが遅い……」

(こう何度も何度も夜遅くに帰ってこられると、不安で不安で……)

タダイマー!

「あっ」

「わはーっ、ただいま、お姉ちゃん!」

「おかえりなさい」

「んーっ、お腹すいたーっ!」

「夕飯にしましょうか」

「はーい!」

7 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:08:25.74 +DBuKrIC0 6/26

「いただきまーす!」

「いただきます」

「はむ……ん~、おいひ~」

「……」

(どうして帰りが遅いんでしょうか……)

(まさか、浮気……?)

(妹がそんなことするわけ……)

「……」

「お姉ちゃん? どうしたの?」

「……最近帰りが遅いのですが、なにかあったんですか?」

「……あー、うん、ちょっとね」

「……そうですか」

8 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:08:55.19 +DBuKrIC0 7/26

────────────────────

(妹が、わたしに隠し事なんて……)

「……」

「ふうっ、お姉ちゃん、お風呂どうぞー」

「……」

「……お姉ちゃん? えっ、ひゃあっ!?」ドサッ

「……妹」

「お、おねえちゃ……んぅ……」チュ

「んふ……」

「ど、どうしたの……?」

「どうして、隠し事なんかするんですか?」

「え」

「私のこと、嫌いになったんですか?」

「えっ、なっ、んんっ!?」

9 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:09:23.92 +DBuKrIC0 8/26

「ぷはぁっ……」

「はぁっ……私にも、言えないことなんですか」

「お姉ちゃん……」

「私、心配で……あんな、遅くまで帰ってこなくて……っ」

「私、信用ありませんか? こんなに……グスッ、こんなに、妹を想ってるのに……」ポロポロ

「え、あ……」

「ごめんなさい……なにか悪いことをしてしまったのなら、謝ります。 だから、だから……」

「嫌いに、ならないで……っ」

「……ごめんなさいっ!!」ギュウッ

「ふぇ」

10 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:10:16.43 +DBuKrIC0 9/26

「ごめん……ごめんね、お姉ちゃんっ……」

「お姉ちゃんを嫌いになんて、絶対にならないから! 私、お姉ちゃんをちゃんと信じてるから!」

「でも……この隠し事だけは、もうちょっとだけ、待ってて」

「……」

「ちゃんと、ぜっっっっっったいに、ちゃんと話すから! だから、その時まで待ってて! お願い!」

「……わかりました」

「ほっ……よかったぁ……ごめんね、お姉ちゃん」

「いえ、あの、私も……取り乱してしまって」

「ううん、だって、私が悪いもん」

「それに、私のこと、あんなに想ってくれててすっごく嬉しかったよ? 私が浮気してるって思ったんでしょ?」

「あ……いやあのっ、あれはっ」

「えー? ウソだったのー?」

「…………妹の、ばか」

「ふふー、ばかでいーもーん」ギュー

11 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:10:44.33 +DBuKrIC0 10/26

~数日後~

「ただいまー!」

「おかえりなさい」

「ふふー、ねえねえ、見て見て!」ピラッ

「ん、と……これは?」

「これね、旅館のチケット!」

「旅館のチケット……? なんでそんなものを?」

「明日行くからね! 準備よろしく!」

「え? あ、ちょっと、妹!?」

「……行っちゃった」

「どうやってあのチケットを手に入れたんでしょうか……」

12 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:11:26.19 +DBuKrIC0 11/26

~翌日~

「旅館、とーちゃああああく!」

「綺麗ですね、周りの紅葉」

「うん、ここで良かった~」

「ところで妹、どうやってあのチケットを……」

女将「お待ちしておりました、妹さんですね?」

「はいっ」

女将「遠路はるばるようこそお越しくださいました。 お部屋はこちらです」

「はーい!」

女将「荷物はお運びいたしますよ」

13 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:11:55.64 +DBuKrIC0 12/26

~部屋~

「おお、和風だね~」

「外の景色も綺麗ですね……」

「わあ、夕焼けだぁ」

「いい眺めです」

「なーんか、秋って感じだね~」

「そうですね……」

「……よし! お姉ちゃんはお風呂入ってて!」

「え?」

「私、ちょっと買ってくるものがあるから!」

「はあ……私も行きましょうか?」

「ううん、だいじょぶ!」

「そうですか……わかりました」

14 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:12:33.70 +DBuKrIC0 13/26

~露天風呂~

「はふぅ……いい眺めですねぇ……」カポーン

「紅葉も見られて、秋満喫、というところでしょうか」

「ん~~、いい湯です……」チャプ

「……」ボー

「ばあっ!!」ザパッ

「……っ!? ~~っ!!?!?」ザブーン

「ぷっ、あははははっ!! お姉ちゃん、びっくりしすぎー!」

「はっ、はぁ~~っ……びっくりしたぁ……」

「いやいや、お風呂に来てみたらお姉ちゃんが蕩けきってたから、つい」

「勘弁してくださいよ……寿命が縮まりましたよ……」

「えへへー、ごめんごめん」


15 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:13:28.23 +DBuKrIC0 14/26

「あー、いい湯だねぇ」

「ですねぇ」

「さてお姉ちゃん」

「はい?」

「温泉といえば?」

「温泉といえば……温泉卵?」

「せーかい! ほら、もうちょうどいい頃合いだと思うよ!」ジャーン

「おお~、いただきます」

「えへへ、どうかな?」

「はぐ……うん、美味しいです」

「そうでしょそうでしょ!」

「なんだか、いたれりつくせりって感じで申し訳ないですね……」

「いいのいいの! ほらほら、お背中流しますよ~」

「わわっ、もう体は洗いましたってば~!」

「きにしなーいきにしなーい!」

16 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:14:06.11 +DBuKrIC0 15/26

────────────────────

女将「こちら、お夕食になります」

「わあ……」

「すごい……」

女将「では、ごゆっくり」

「豪華ですね……」

「うん……って、まだ食べちゃダメっ!」

「え?」

「まだやることがあるの!」

「はあ」

「ちょっと後ろ向いてて!」

「後ろ……これでいいですか?」

「目も瞑っててね! いいよって言うまで見ちゃダメだよ!」

「はい」

17 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:14:46.56 +DBuKrIC0 16/26

「んと、電気消して……」パチ

「よいしょ……」ガサガサ

「まだですかー」

「んー、もうちょっとー」

「わかりましたー」

「……これでよし! はい、もういいよ!」

「はい……と、これは、ロウソク……ケーキ?」

「お姉ちゃん、誕生日おめでとーーっ!!」パパーン

18 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:15:34.73 +DBuKrIC0 17/26

「誕生日……あっ、そういえば今日でしたね」

「むううっ、やっぱり忘れてたのかっ」

「それじゃあ、この旅館はやっぱり妹が……」

「うん。 この旅館を予約したのは、もちろん私だよ」

「どうやって予約を……?」

「あのね、最近、帰り遅かったじゃん?」

「ええ」

「それね、バイトしてたの」

「ば、ばいと……!?」

「うん、今日のためにね!」

「そ、そんな、そこまでしていただかなくても」

「ううん、私がしたかったんだもん」

「妹……ありがとう……」

「えへへ、じゃ、ロウソク消して!」

「はい……ふーっ」

「誕生日おめでと、お姉ちゃん」

「ありがとう、ございます」

19 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:16:11.09 +DBuKrIC0 18/26

「それじゃ、いただきまーす!」

「いただきます」

「……って、あっ!!」

「?」

「あ、あっ、忘れてたっ!」ガサゴソ

「何をです?」

「お姉ちゃん、これっ、誕生日プレゼント!」

「まだプレゼントが」

「えへへ、豪華でしょ?」

「どれどれ……」ガサガサ


20 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:17:26.05 +DBuKrIC0 19/26

「……これは、写真立て?」

「そう!」

「この写真は……あっ、これっ、お花見に行った時の……!」

「えへへ、お姉ちゃん、可愛いでしょ」

「……」

「いろんな写真、飾ってね?」

「……」ストン

「お姉ちゃん……? お姉ちゃんの席、向かい側だよ?」

「……妹の隣にいたいんです」

「お姉ちゃん……」

「ありがとう、妹……すっごく、嬉しい」ギュ

「ん……えへへ」

「私のために、どうもありがとうございます」ナデナデ

「うん……お姉ちゃん」

「はい」

「これからも、ずっと、私のお姉ちゃんでいてね」

「……当たり前です。 これからも、妹のお姉ちゃんで……そして、妹の恋人でいます」

「お姉ちゃん……大好きっ!」

21 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:18:14.35 +DBuKrIC0 20/26

────────────────────

「うあーっ、おいしかったー!」

「ですねぇ」

「ところで」

「はい」

「いつまでくっついてるのかな」

「ずっとです」

「……お姉ちゃん、キャラ変わってない?」

「今日だけは、私が妹を好きにしていい日です」

「もう……しょうがないなぁ」

「というわけで」

「うん」

「次は、妹をいただく番ですね」

「へっ!?」

「最後のプレゼントといえば、妹自身でしょう」

「えっ、それはっ、あのっ」

「ふふ、せっかく二人きりですし、愉しみましょうね……」

「え、あ、あ、だめ、あっ…………」

22 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:18:46.77 +DBuKrIC0 21/26

~翌日~

「んっ……んぅっ、んんっ……」

「ちゅ……んふ、ちゅるっ……」

「んはぁっ……」

「ぷは……おはよう、ございます」

「おはよぉ、おねえちゃん……」

「は、ん……んちゅぅ……」

「ん……」

「ふぅっ……朝食に、しましょうか」

「……うん」


23 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:19:17.46 +DBuKrIC0 22/26

────────────────────

女将「当館をご利用頂き、ありがとうございました」

「こちらこそ、美味しい食事をありがとうございました」

女将「また、ご利用くださいませ」

「はーいっ!」

女将「それでは、お気を付けて」

「ありがとうございました!」

24 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:19:46.14 +DBuKrIC0 23/26

「んーっ、いい旅館だったなぁ」

「ですね」

「また来たいなぁ」

「紅葉も綺麗ですし」

「だよね! 紅くて、オレンジ色で、すっごく綺麗」

「落ち葉ひとつひとつに、しっかりと色がついてますからね」

「うん、ひらひら落ちてくるのも、すごくキレイ」

「秋ですね、妹」

「……うん、秋だよ、お姉ちゃん」

25 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:20:56.54 +DBuKrIC0 24/26

「さてお姉ちゃん」

「はい?」

「実は、このあとにもイベントがあるのです」

「イベント……?」

「そそ! 秋といえば?」

「……んー、食……?」

「ぶぶーっ! 正解は、これっ!」ジャーン

「これは……オーケストラのチケット?」

「うん! 芸術の秋だよ、お姉ちゃん!」

「……妹、寝ちゃうんじゃないですか?」

「失礼な! 寝るわけ無いでしょ!」

「そうですか……?」

26 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:21:37.95 +DBuKrIC0 25/26

~コンサートホール~

~~♪~♪♪

「……」

「ん……すぅ……」

(思いっきり寝てるし……)

「ふへ……おねぇちゃん……」

「……はいはい」ナデナデ

「はぅ……」

「まったく、結局寝ちゃうんじゃないですか」ナデナデ

「んん……」

「……ありがとね、こんな素敵なサプライズを用意してくれて」

「お姉ちゃん、嬉しいよ……ん、ちゅ……」

「んぅ……」

「はふ……ふふっ、妹の誕生日、楽しみにしててね?」




終わり

27 : ◆a/kVfvST9o[sag... - 2013/09/29 00:22:50.73 +DBuKrIC0 26/26

ありがとうございました。


ちなみにこのSSは一応、
姉「夏ですね、妹」
の続きとなっているので、よろしければそちらもどうぞ。

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