1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:34:33.81 oEokqTzd0 1/26

「私は常々思っていました。妹は、もっと可愛い服を着るべきだと」

「またいきなりだな……」

「家ではジャージ。外出しても短パンにTシャツ」

「ガサツでズボラで、女の子らしい所なんて一つもありません」

「…………」

「いつも鼻水垂らしてるし」

「垂らしてないよ! 言い過ぎだよバカ姉!」

元スレ
姉「妹。をプロデュース」妹「近寄んな変態」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1378845273/

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:40:24.64 oEokqTzd0 2/26

「そんな妹も、もうすぐ中学二年生になろうとしています」

「私は焦りました。果たしてこの子は、このままでいいのか、と」

「身体は二次性徴を迎え、胸も膨らみ始める今日此の頃」

「この時期を逸してしまっては、妹が女の子になるチャンスは失われてしまうのでは?」

「だから私は決めました。姉であるこの私が、責任を以って、妹を女の子らしい女の子にしてあげようと」

「誰に向かって喋ってんの?」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:45:19.50 oEokqTzd0 3/26

「よくよく見てみれば、この妹、顔は悪くありません。体型はまるで少年のようですが、それはスレンダーと言い換えることも出来るでしょう」

「もう黙れ」

「加えて、時折見せる甘えた姿はとてもチャーミングです。普段の強気な態度と相まって、私のツボをグイグイと刺激します」

「そんな、甘えてないし! もうホント黙ってよお姉ちゃん!」

「あっ」

「えっ?」

「今のイヤイヤ『お姉ちゃん』はいいですね。妹力+5です。流石は妹、私のツボを心得ています」

「もうキモい! 本当にキモい!」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:49:12.93 oEokqTzd0 4/26

「と、いう訳で。今から私が、貴女のプロデューサーです。今後は妹の服装や身だしなみ、行動、発言、その全てを私が管理します」

「はぁ!? ふざけないでよ、気持ち悪いなぁ!」

「では、このまま男女として生きていきますか? 周りがドンドンと大人びていく中、貴女だけ鼻水を垂らし続けるのですか?」

「鼻水はもう垂らさない! けど……」

「けど?」

「…………私が、可愛い服とか着ても……どうせ似合わないし……」

「そんな事はありませんっ!!」

「わっ! び、びっくりしたぁ!」

11 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:53:46.67 oEokqTzd0 5/26

「失礼。ですが、貴女は間違っています」

「お姉ちゃん、妹には、可愛い服がとても似合うと思いますよ」

「そんな事……」

「あります。断言します。世の中の可愛い服は、全てあなたの為にあると言っても過言ではありません」

「それは過言だよ」

「何よりも私が、妹に可愛い服を着て欲しい!」

「結局それなんだね……。はぁ、もういいよ……。好きにして」

「よろしい。貴女はこの瞬間、今までの人生に於いて最も正しい選択肢を選びました。GJ」

「……で、でも、いきなり凄いのとかは着れないからね!? は、恥ずかしいし!」

「把握しています。全て、この姉に任せなさい」

14 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 05:57:50.26 oEokqTzd0 6/26

「では、私は向こう一ヶ月分のスケジュールを整理してきます。十分後、リビングに集合して下さい」

「……不安だなぁ……」

~十分後~

「これが、今後貴女がこなすスケジュールです!」

「ぶあついっ! なにコレ、原稿用紙何枚分!? っていうかこんなの十分で作れる訳ないじゃん!」

「貴女が私の妹としてこの世に生まれ落ちた瞬間に、作成を開始していましたから」

「……マジ引くわぁ」

「私にとっては褒め言葉です」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:01:47.22 oEokqTzd0 7/26

「では、まずはコレを貴女に渡しておきます」

「……これは、何? 腕時計?」

「わっ、ちょっと格好いいかも……。お姉ちゃん、これ、高かったんじゃないの?」

「はい。諭吉が何枚か飛ぶぐらいには、高かったです」

「そんなもの、私にくれちゃっていいの?」

「もちろんです。妹の為に購入したものですから」

「わぁ! ありがとうお姉ちゃん! 私、腕時計なんてするの初めてだよ!」

「はい。そうでしょうね。ですが、それは正確には腕時計ではありません」

「えっ?」

「腕時計型のデジタルカメラです」

「…………」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:07:12.14 oEokqTzd0 8/26

「円盤部分に超小型のレンズを搭載しており、内部の記憶媒体により約4時間の連続撮影が可能」

「おまけに太陽光で発電でき充電要らず、いつでもどこでも盗撮できる優れ物です」

「…………」ポイッ

「何故!?」

「何故じゃないっしょ! ふざんな! 堂々と盗撮宣言されて受け入れると思ったのか!?」

「盗撮ではありません、観察です。貴女をプロデュースするために、必要な事なのです」

「撮った映像はどうするつもりなの?」

「私の妹メモリアル、NO,198(番外編)に加わります」

「ひゃく……きゅうじゅう……」

「番外編では、妹のちょっとアホっぽい姿を収められないかと、大いに期待している所です」

「死ねっ!」ガンガン

「あっ、ちょ、やめ、壊さないで下さい! 解りました、解りましたから!」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:12:49.96 oEokqTzd0 9/26

「本当にやめてよ! 後、私の写真とか動画とかも全部消して!」

「えぇ~っ……?」

「何この世の終わりみたいな顔してんの? 当然っしょ!?」

「うぅ、解りましたよ……。後で消しておきます……」

(絶対に消さないな、こいつ。隙を見計らって消しておこう)

「さ、さぁ。気を取り直して、プロデュースを始めましょー!」

「…………もう、気力残ってないんだけど……」

「ではまずはじめに、服装から見なおしていきましょうか」

「やっとそれっぽくなってきたね……」

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:22:06.26 KlfAIRdc0 10/26

「妹は、家の中では、中学のジャージを着用していますね?」

「うん。楽だし、動きやすいし」

「それがいけません。女の子なんですから、家の中でも身だしなみに気を使わないと」

「ジャージなんて以ての外です。論外です。もう見飽きました。受け入れられません、私が」

「いや、知らんがな」

「と、いう訳で、まずは普段着を私チョイスで選んでおきました!」ババーン

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:24:39.86 KlfAIRdc0 11/26

「なに、これ……」

「なに、と言われても。パジャマですよ、パジャマ」

「これ、きぐるみでしょう!?」

「はい。フナ○シーです」

「のっけから意味が解らないよ! 何で私が家の中でこんなの着ないといけないの!?」

「妹がこれを着て、あの意味の解らない動きをしてくれたら、私は最高に幸せです」

「いや、知らんがな」

「こんなの着るわけないじゃん! もう、ふざけないで真面目にやってよ!」」

「あらあら、お気に召さないと。我儘ですねぇ、妹は」

「何処が!? 我儘なのはお姉ちゃんでしょう!?」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:29:04.36 KlfAIRdc0 12/26

「解りました、解りました。お姉ちゃん、ちょっと調子に乗りすぎてたみたいですね」

「では、無難にこのピンクのネグリジュを着てもらいましょうか」

「そんなのあるんなら、最初から出せよ……」

「うん……。このぐらいなら、私にも着れるかなぁ。ちょっとフリフリが多いけど……」

「良かったです。フリフリにも、徐々に慣れていきましょうね」

「うん。お姉ちゃん、ありがとう!」

「いえいえ、お礼を言うのはまだ早いですよ。早速着てみてください」

「うん! じゃあちょっと着替えてくるー!」バタバタ

「あらあら、あんなに喜んじゃって……。可愛いったら、もう!」

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:34:44.95 KlfAIRdc0 13/26

バタバタ

「ど、どうかな、お姉ちゃん!」

「はい。とっっっても、似合ってますよ!!」

「本当!? へへ、こういうの着たこと無かったけど、凄い軽いんだね! 全然着てるって感じがしないよ!」

「そうでしょうそうでしょうとも。何せ、最高級のシルクで特注した、妹専用のネグリジェですからね」

「え、そんなに高かったの!? お姉ちゃん、お金大丈夫なの?」

「問題ありません。この前株で一山当てましたから」

「へー、よく解らないけど。とにかくありがとうね、お姉ちゃん!」

「いえ、お礼を言うのは、寧ろ私の方でしょう」

「えっ?」

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:38:34.23 KlfAIRdc0 14/26

「妹、ちょっとこちらに背中を向けてください」

「えっ、こう?」クルッ

「えいっ!」シュル

「ん? 今首触った?」

「いいえ? もうこちらを向いても大丈夫ですよ」

「うん。――って、どうしてそんなに鼻息荒いの?」

「な、なんでも……なんでもありません……!」

「そう? 何か変だよ、お姉ちゃん」

「そんな事は! そんな事は、あああああありませんよ!」

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:41:09.18 KlfAIRdc0 15/26

「いや、絶対おかしいって……。まっ、いっか!」

「じゃあ私、ちょっと鏡で見てくるね!」バタバタ

「あっ、ちょ、待っ!」


『ええっ!? なんで私ハダカなの!?』


「…………」

バタバタ

「こんの、クソ姉がぁ!」ドカッ

「アヒンッ」

「なにコレどういうこと!? いつの間に脱がしたの!?」

「さっき……背中向けた時……首の紐を解けば、全部パージされるように設計したから……」

「…………綺麗なピンクですね。GJ」

「死んでしまえっ!」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:45:05.81 KlfAIRdc0 16/26

「もう! 何がしたいんだよお姉ちゃんは!」

「っていうか全然気付かなかった自分に腹が立つよ!」

「気付かれないように、重さも肌触りも、殆ど感じない特注のシルクで作りましたから、何も恥じることはありませんよ?」

「ふざけんなっ! もうヤダ! 私止める! お姉ちゃんなんか大っ嫌い!」

「はうっ……! そ、そんな、大嫌いなんて言わないでください……。私は、妹の為を思って……」

「違うじゃん! 全部自分の為じゃん! 私のハダカなんて見て、何が楽しいの!?」

「た、楽しいのではなく、とても、興奮するのです……」

「変態! 変態! 変態! 変態!」

「くっ、そこまで悪しざまに罵られると、少し、気持ちが昂ってきますね……」

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:50:19.68 KlfAIRdc0 17/26

「信じらんないっ! とにかくもう止める! お姉ちゃんなんかにプロデュースして欲しくないよ!」

「ネグリジュなんてもう着ない! 可愛くなんてならなくったっていい! ずっと男女でいいし! ずっと鼻水垂らしてやる!」

「いや、鼻水は拭いた方が……」

「バーカ! バーカ!」バタバタ

「あらら……。泣きながら行ってしまいましたね……」

「流石に、やり過ぎたでしょうか……」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:54:42.94 KlfAIRdc0 18/26

~その日の夜~


「妹、部屋に入ってもいいですか?」

「入ってくんな!」

「まだ怒ってるのですか……」

「当たり前じゃん!」

「このままでは埒が明きませんね。失礼します」ガチャ

「はぁ!? 勝手に鍵開けるとか、信じらんない! っていうかなんで鍵開けられるの!?」

「マスターキーを持ってますから」

「もうやだ! ドアノブの鍵替えてやる!」

「まぁ、落ち着いてください。今、論点はそこではありません」

「うるさい! 出て行け!」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 06:59:10.93 pdn+KpZt0 19/26

「私は昼間、貴女の事を酷く傷つけてしまいました。その謝罪をしたいと思います」

「今更なんなの!? もう謝って欲しくないし! 顔も見たくないっ!」

「……私は確かに、世間一般で言うところの“姉”とは、少し、違うのかも知れません」

「急に語りだすな! 人の話聴けっ! そういう所も大っ嫌い!」

「ですが、これだけは言えます。私は、世界中のどんな人よりも、貴女の事を愛しています」

「愛しています」

「……なんで二回言った……」

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:05:11.79 pdn+KpZt0 20/26

「その愛情の分だけ、気持ちが空回りしてしまって、その結果、今日、貴女を傷つけてしまったようです」

「そうだよ……。本当に、信じらんない……」

「ですから、謝罪致します」

「本当に、ごめんなさい……」

「……出てってよ……」

「いいえ、出て行きません。まだ、仲直り出来ていませんから」

「勝手なこと言わないでよ! もうお姉ちゃんの事なんて、大っ嫌いなんだから!」

「…………」

「出てってよ! 出て行け! 顔も見たくない! どっか行っちゃえー!」

「…………解りました」スッ

「…………」

「ごめんね、妹ちゃん」

バタン

「あっ……」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:07:15.40 pdn+KpZt0 21/26

「…………」

「もう、寝よう……」

~三時間後~

「全然寝らんないし、喉乾いた……。頭痛いし……」

「これも全部バカ姉のせいだ……」

「…………」

「やっぱり、もう一言、文句言ってやろう!」

ドタドタ

「お姉ちゃん! ちょっと部屋入るよ!? お姉ちゃん!」ドンドン

「…………」

「……お姉ちゃん?」

「居ないの? お姉ちゃんってば!」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:10:06.11 pdn+KpZt0 22/26

リビングにも、トイレにも、台所にも、お風呂にも。お姉ちゃんの姿は見当たらなかった。
時刻は深夜を回っている。
日付を跨ぐような時間に外出していた事がないお姉ちゃんが、この時間になっても家に居ない。
嫌な予感が、私のナイ胸を締め付ける。
「もしかしたら、部屋で寝ているのかもしれない」
そう思い立った私は、苛立ちと焦燥を抱えたまま、私の部屋の扉に差しっぱなしになっていたマスターキーを使って、お姉ちゃんの部屋へ入る事にした。
室内に、お姉ちゃんは居なかった。
ラベンダーの香りが、私の鼻腔を刺激する。甘い、嗅ぎ慣れた、お姉ちゃんの匂い。

44 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:15:28.55 pdn+KpZt0 23/26

「……何処に行っちゃったんだよ、あのバカ姉……」

「人の話聴かないし、変態だし、あと変態だし……」

「でも、それが私のお姉ちゃんなんだよね……」

「私を好きだっていう気持ちは、痛い程伝わってくるし……」

「…………」

「やっぱり、仲直り、したいな……」

「お姉ちゃん、会いたいよ……」

「その言葉を待っていました」

「すわっ!」

「その悲鳴は可愛くないですね、-4点です」

「一体何処から……!」

「ベッドの下に潜んでいました。まだまだ修行が足りないですね、妹」

「い、意味が解らないよ……」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:19:07.19 pdn+KpZt0 24/26

「とにかく。仲直り、という事で、よろしいですか?」

「あっ……」

「う、う……」

ペラリ

「……あれ、何か落ちたよ?」

「あ、それは……!」

「これは……『妹、プロデュース計画書』?」

「あ、読まないでください! 読まないでください!」

「これ、中身が……日記になってる?」

「一体、どういうこと……?」

9月8日
妹、最高。

9月9日
妹、ラブリー

「…………」

「…………」

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:22:13.66 pdn+KpZt0 25/26

「……裏表紙にも、何か書いてあるけど……」

「あっ……!」

『妹、愛してる。マジLOVE』

「…………てへっ」

「……もう。お姉ちゃん、どんだけ私の事好きなのよ……正直、ウザいし、引く」

「そ、そんな……!」

「けど……」

「けど、こんなガサツで、ズボラな私を好きでいてくれるのは」

「凄く、嬉しい……」

「妹ちゃん……!」ガバッ

「ちょ、お姉ちゃん、苦しいよ……」

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/09/11(水) 07:24:18.18 pdn+KpZt0 26/26

「あー、もう、可愛すぎます! キスしてもいいですか?」

「はっ?」

「いいえ、もう断られてもしてしまいます! 何故なら私の中の衝動が抑えきれないから! 行きます! 行ってしまいます!」

「ちょ、やめ――」

「むちゅ~!」

「やめろって言ってんだろバカ姉!」ゴッ

「アヒンッ」

「はぁ……はぁ……」

「…………むちゅー」ピクンピクン

「………………」

「……………………やっぱり、気持ち悪い」

終劇!

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