男「行ってくるー」
男母「女ちゃんも迎えに行くのよ」
男「ういうい」
ガチャ
男「といっても直ぐ隣だけどな」
ピンポーン
男「すんません、女起きてますか?」
女母「あら、男くん。いつも悪いわね。今行かせるわ」
ガチャ
女「うー、男くんおはよぅ……ふぁ……」
男「おい、後ろ透けて見えてんぞ。寝ぼけんな」
女「あー、うん。気合いを、入れる……ぐぅ……」
男「あー、だんだん薄く半透明に……」
元スレ
女「男くんには半透明に見えるんだよね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1231252569/
女「う~、寒い」
男「手袋とコートとマフラーの重装備のくせに何を言う」
女「ふふふ、甘いね。これには暖房以外に意味があるんだよ」
男「ほぅ、何だ?」
女「半透明な私の体を隠す」
男「おぉ、お前のわりに考えてるな。単に寒いからだと思ってた」
女「幼なじみなんだから気付いてくれよぅ」
男「でも寒いから重装備なんだろ?」
女「……うん」
女「それにしたって寒いよ」
男「まぁそうではあるが………」
女「ん?何かあった?」
男「いや、お前の体って風とか通ってそうだな、と……はっ、だから重装備でも寒いのか!」
女「通らないよ!わたし幽霊じゃないよ!寒いことは寒いけどさ!でも触れるから!ほらほら」
ボスボスッ
男「わかってるから叩くなって」
女「んー」
男「手あげて何してんだ?」
女「ねぇねぇ」
男「おぅ」
女「男くんには半透明に見えるんだよね」
男「……まぁな」
女「ということは、この手を下から見たら、男くんにはわたしの手を通して空が見えるんだよね?」
男「そうだな」
女「それってちょっと不思議な気分だよ。わたしには普通に見えるのになぁ」
男「そうか?」
女「そうだよ。あ、見てみる?」
男「んじゃ……」
女「どう?」
男「晴れてるな」
女「晴れてるねぇ」
男「手袋しとけ。寒いだろ」
女「んー、もうすぐ学校だから良いや。しまっておく」
男「そっか」
ガラ
男友「や、おはよう女ちゃん。ついでに男も」
女「おはよう、男友くん」
男「ついでにってなんだ、おい」
男友「実はフェミニストなんだ」
男「初耳だな」
女「フェミニストって何?」
男友「隠しておいてさりげなくやった方がカッコ良いだろ」
男「実は俺も女なんだ」
男友「嘘つけ」
女「フェミニストって……」
女友「やぁやぁ諸君。楽しい話ならあたしも混ぜなさいな」
男「男友がフェミニストって話だ」
男友「ジェントルマンだぜ」
女友「じゃあ、あたしにもフェミってもらおうか」
男友「何か俺に良いことがなさそうだからパスして良い?」
女友「フッ、女の子に見返りを求めるもんじゃないぜ?これだからにわかは」
男「こいつも普段やらないことしてるんだ。許してやれ」
男友「なんだと?俺は美しい方には昔からジェントルマンかつフェミニストだったはずだ」
女友「あたしは美しくないってか?あぁ?」
男友「ほら、そういうところとかゲブッ!」
女友「さて、エセジェントルマンが沈黙したところで、女はー?」
男「そこにぼんやりと」
女友「お、おぅ!?どうしたんだい?いつも以上に薄いよ?眠いのか?よしよし、あたしの胸でお眠り」
女「えっ?うわっ…苦し……」
女友「え、何?もがもがしか聞こえない。あぁもう!そんな女はかわいいなぁ!」
男「酸欠で意識飛ばなきゃ良いけど……全透明はやっかいだし」
男友「なぁ、何かエロチックじゃね?俺まだ18未満なんだけど大丈夫かな?」
男「知るか」
男「で、何故に女はあんな薄い感じに?」
女「んと。フェミニストってなんだろ?って考えてて。フェミって可愛い動物みたいな響きだなぁって思って想像してたら女友ちゃんに抱きしめられた」
女友?ほぇーってなってたから薄かったんだね。ほぇーって」
男「ぼーっとしてたな」
女「うぅ、ちょっと恥ずかしい……」
男「いつものことだろ」
女友「いつものことね」
女「それはそれで恥ずかしい……」
女「あ、そういえば女友ちゃんに聞きたいことが」
女友「何でもどうぞ」
女「女友ちゃん。フェミニストって何?」
女友「んー?それはねぇ……ヒソヒソ」
女「ふんふん……えっ!?……うわぁ」
男「きっと、また適当なことを教えてんだろうな」
男友「いやぁ、女ちゃんって顔赤いの分かりやすくて可愛いなぁ。なんつうか、顔の色素が薄いよね」
男「なぁ、お前って実は気付いてなかったりする?」
男友「え?何に?」
男「まぁ良いや」
先生「えー、ここがこうだからこうで」
女友「ねぇ、ちょっと。男くんよ」
男「なんだよ?」
女友「なんか、女があのままだと寝こけそうよ。クラス内で寝るのはまずいでしょ」
男「よく寝るやつだ」
女友「あの娘が寝ると見えなくなっちゃうしねぇ」
男「おい、女起きろ」
女「ん……ん、大丈夫寝ない寝ない……心配ない」
男「心配だ」
女友「男くんが気にしてあげるんだぞ」
男「なんで俺だよ……」
女友「席隣じゃん」
男「譲ってやろうか?」
女友「遠慮しとくよ。その席は君のものだ」
男「いやいや」
先生「こら!そこ何話しとるか!女友、ここ答えてみろ!」
女友「3Xです」
先生「違います」
女「女友ちゃん、女友ちゃん」
女友「んー?なんだい?」
女「さっきの授業のノートを見せてほしいんだけど……途中から文字になってなくて……」
男「寝ぼけてるからだ」
女「うっ……言い返せない……」
女友「まぁまぁ、良いじゃない」
女「じゃあ、見せてくれるの?」
女友「当たり前じゃない!……と言いたいところなんだけど……」
女「けど……?」
女友「……の方が……じゃない?」ヒソヒソ
女「……!!うん!それでいこう!」
男「また何か企んで……」
女友「というわけで、男くんあなたがノートを見せて、かつ解説(これ重要)してあげなさい」
男「いきなりだな」
女友「気にしない気にしない」
男「というか、ノートは男友に貸した……」
女友「滅べ!男友!」
グシャァッ!
男友「ギャァァァァ!潰れた!具体的に潰れた!」
女友「あなたのノートならここにあるわ……ふぅ」
女「男くん、ダメ?」
男「……ま、良いけどさ」
女「男くん、ありがとう!///」
男「にしても、男友……良い顔で逝ってるぜ……」
女友「いやぁ、妬けちゃうなぁ。さっさと付き合えば良いのに。幼なじみだからかねぇ……」
男友「女友さん、さっき潰れたところがすごい痛いんですが。あと、俺まだノート写してなかったんだけど」
女友「ノートはあたしが見してやるわよ。潰れたところはつばでも付けときなさい」
男友「誰か~、赤チン持ってる人いない~?」
女友「いるわけないでしょう」
先生「えー、ここがこうだからこうで」
男(ヤバイ……今度は俺が眠い……これは後で女に見せても…らお……う……)
キーンコーンカーンコーン
女「男くん、男くん」
男「ぉ?あ、女か……そうだ。いきなりで悪いんだがノートを見してくれ」
女「あの、わたしも見させてもらおうかと。ぼーっとしてて……」
女友「じゃあ、ここはあたしが女に見せてあげるわ!」
男「……俺には?」
女友「男友がいるじゃん」
男友「完璧なノートだぜ!」
男「じゃあ、女友のが写された女のノートを後で見せてもらおう」
男友「スルー!?」
女「また人にノート見せてもらうことになるとは………ごめんね、女友ちゃん」
女友「良いって良いって。むしろ、あたしがごちそうさまと言いたいわよ」
女「?どゆこと?」
女友「いやぁ、ぼーっと男くんの寝顔を眺める女ちゃんはかわゆかった……」
女「!……忘れて」
女友「無理」
男友「よかったな、俺みたいなきちんとノートをとる友人がいて」
男「はいはい、感謝感謝。ところで、こことここの計算ミスってるぞ」
男友「え、マジで?あちゃ、本当だ。いや、黒板にはこう書いてあったんだよ。うん」
男「計算くらいしろよ」
男友「でも、他は完璧。美しい。ラインマーカー引いてるし。うんうん」
男「この字を読めるの、俺くらいだろうけどな」
男友「うっしゃ!昼休み!とても昼休み!男!」
男「よし、良いだろう……かかってこい!」
男友「購買まで!」
男「ダッシュで先に着いたやつの!」
男&男友「「飯をおごる!」」
女「よーい、ドン」
男&男友「「うぉらぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!」」
ダダダダダダダダッ!
女友「毎度よくやるわ」
女「二人とも食べるの好きだから」
女友「というか、男にはあなたが作ってやれば良いじゃない。好感度アップよ?」
女「昔作ろうとしたことがあるんだけどねぇ」
女友「失敗したとか?」
女「料理作ってたら、お父さんが起きてきて、台所にいたわたしに驚いてしりもちついて腰痛めちゃって……」
女友「?別に驚くことでもないんじゃない?」
女「いや、何というか、包丁がひとりでに動いてるように見えたみたいで……しかも、そのまま近づいたもんだからお父さん怯えちゃって……」
女友「……何か可哀想だからあたしの卵焼きあげるわ。はい、あーん」
女「あーん……ムグムグ……いつも美味しいね。女友ちゃんの卵焼きは」
女友「こんぐらいだったら今度教えてあげるわ」
女「お願いします……あ、二人とも帰ってきた」
ガラ
男友「てめえ、やっぱ買いすぎだろ!?人の金だと思いやがって!」
男「はっ!勝者の権利だ!」
女友「また、大量に買ってきたわね」
女「男くん、106勝97敗っと」
男「ハクハグ」
女「食べるねぇ」
男「ゴクゴク……ぷはっ。ところで、前から気になってたんだが」
女「何?」
男「口の中見えないよな。歯で噛んでるところとか」
女友「そ、それは見たくないでしょ」
女「えーっと……乙女補正かな」
男「……乙女って補正かかんの?」
女「かかるね」
女友「かかるわよ。例えば、乙女が言うとかわいいですむ言葉をそこら辺の男が言うと酷いことに」
男「それはどうなんだ……」
女「あ、次の授業って教室移動だ」
男友「そういやそうだ」
男「そしてら男友は先生にその授業で使うプリントを運ぶのを頼まれていたはずだ」
男友「へいへい、おとなしく行けば良いんですね」
女「じゃあ、わたし達先に行ってようか」
男「おう、そうだな」
女友「あ、行く前にちょっと男借りて良い?」
女「?別に良いよ」
男「人を物の如く扱うとは」
女友「まぁまぁ、良いじゃないの」
女「じゃあ、先行ってるね」
男「で、何の用だ?」
女友「いやぁ、大したことじゃないわよ。ちょっと、女ちゃんのことで気になることがね」
男「はぁ」
女友「あの娘って……その……あれじゃない」
男「まぁな」
女友「何と言うか……困ることとかないの?」
男「困ることねぇ………女は大して困ってる感じじゃないしな。つか、女に聞けよ」
女友「いやぁ、聞きづらくって」
男「んー、まぁ何とかなんだろ。俺もいればお前もいるし」
女友「なるほど、なるほど……」
男「なんだよ」
女友「いやいや、何でもないのですよ。うんうん。ほら、さっさと教室移動しよう」
男「お、おう」
女友「あぁ!教室に忘れものした!じゃ、そういうことで先行ってて」
男「わかった」
スタスタ
女友「行ったな?」
女友(それにしても男くんはどうも微妙な感じね……女に何かあっても、俺が守ってやるぜ!……くらい言って欲しかったんだけど。しかも、女は奥手だし……これは!)
女友「あたしが一肌脱ぐしかないでしょ!ふふふ……あっはっはっはっ!」
ガラ
男友「……何してんの?」
女友「あ」
男友「……失礼しました」
女友「ちょぉぉぉぉぉと、待ったぁ!」
男友「な、なんだよ?」
女友「耳貸しな」
男友「んだよ……」
女友「良い?かくかくしかじかよ」
男友「なるほど。それで?」
女友「あー、もう鈍いわね。協力しろって言ってんの」
男友「おぉ!なるほど」
女友「で、どうなのさ?」
男友「もちろん手伝うぜ………ふふふ」
女友「ふふふ……」
女友「そういや、何であんたここにいんの?」
男友「いや、教科書取りに」
女友「あ、やば、授業忘れてた」
キーンコーンカーンコーン
男友「つか始まった!?」
女友「ほらあんた急ぐ急ぐ!」
~放課後~
男友「男、帰りにゲーセン行こうゲーセン」
男「昼飯の雪辱戦か?良いぜ」
女「あ、わたしも一緒に」
女友「女、今日はちょっとあたしに付き合ってくれない?」
女「?えっと……じゃあ、女友ちゃん帰ろう?」
女友「いやぁ、悪いね。男くんにも女にも」
男「いや、俺は別に良いが」
女「…………はぁ」
女友「はいはいはい、それじゃあバイバイ男達。あたしは女とのデートをば、楽しんできますわ」
女「で、デートじゃ」
女友「良いから良いから」
ガラ
タッタッタッタッタッタッ
男友「なぁ、俺ってなんか……灰色だよな」
男「さよか」
~喫茶店~
女友「さぁさぁ、好きなものを頼んじゃいなさいな。メロンソーダでも、コーシーでも!」
女「う、うん。もう頼んでるけど」
女友「わかってわかってる」
女「で、今日はどうしたの?」
女友「結論から言うと」
女「言うと」
女友「既成事実を作りましょう」
女「………………?」
女「……………?……?」
女友「…………」
女「………あぁ、ジョーク」
女友「いや、ジョーク違う」
女「じゃあ………何?」
女友「だから、既成事」
女「あのね、できれば結論からじゃなくて、頭から話して欲しいかな」
女友「オーケー、ブラザー」
女「わたし女だけど」
女友「要するに、女ちゃんにその気があるなら、男くんと女ちゃんをくっつける手伝いをしてあげたいなぁ……などと考えてるの」
女「………」
女友「迷惑……かな?」
女「そ、その……」
女友「………ごめん……迷惑だよね……」
女友(何でいつもでしゃばろうとしちゃうのかなぁ……あたしって……馬鹿だよなぁ………)
女友「ごめん、今の話忘れて……って!何で泣いてるの!?ごめん!あやまるから許して!でしゃばり過ぎてすいませんでした!えーっと!その!あの!」
女「……グス……ちがうの……グス」
女友「へ?」
女「……その、嬉しくて。女友ちゃんと友達になれて……本当に」
女友「えと……つまり?」
女「え?手伝ってくれるんじゃないの?……その、わたしと男くんが……///」
女友「あ…あぁ!そういうこと!いや、いきなり泣き出すから焦った焦った。うん、親友が恋で悩んでんなら、いつも手を貸すよ!……迷惑じゃないならね」
女「全然迷惑じゃないよ!ところで、既成むにゃむにゃは結局なんなの?」
女友「いや、既成事実作れば勝ちかなって」
~日記~
女〈今日、女友ちゃんがわたしと男くんがうまくいくように手伝ってあげる、と言ってくれた。
いきなりだったから驚いた。けど、すごく嬉しかった。本当に嬉しかった。
明日は、アドバイスされたことをさっそく実行するために男くんを遊びに誘ってみようと思う。
何やるとか決めてないけど。
服買うとかかな?
とにかく、明日に備えて今日は寝ることにする〉
ピピピピピ
男(ん……?朝か…………ん!?)
男「はい、寝過ごしたぁ!」
男母「いつまで寝てるのー!?」
ピンポーン
男「ヤバイ!向こうからきたか!ちょっと待ってろ!すぐ行く!」
ガチャ!
男「はい来た!」
女「男くん遅いよ!」
男「悪い!走るぞ」
女「う、うん。あ、ちょっと話が」
男「学校でな!」
ガラッ
男「セーフか!?」
女友「おー、お二方。今日はギリギリだねぇ。って!女どうしたの!?ぼろぼろじゃない!大丈夫!?」
女「いや……これは……その」
男「ところで!男友はまだ来てないのか!?」
女友「えっ、いきなり!?えと……まだ来てないわよ」
男「いやぁ!あいつはいつも遅いな!」
女友「ちなみに、あたしは開門と同時に学校入ったから。無意味に」
男「……本当に無意味だな」
女「あ、あの!ところで男くんに話が」
ガラッ!
男友「おぉう!セーフ!」
女友「あ、来た」
男「よう、遅かったな」
男友「いやぁ、昨日ゲームやりすぎて」
女友「あんたら類友ってやつね」
男友「ほっとけ」
男「あ、そういや女。何か話があるって」
女「えっ!?い、いや、後で良いよ。休み時間とかで。授業始まっちゃうし」
男「そうか?別に気にすんな」
女「た、大した用事でもないし!……さ、授業始まっちゃう!」
男「……ならいいけどさ」
先生「うんちゃらかんちゃら」
ブブブ
女(あ、女友ちゃんからメール……なんだろう)
女友〈ちょっと、あなた。さっきのはなんなのさ〉
女〈男くんのことだよね。何か……ちょっと恥ずかしくて……〉
女友〈幼なじみならちょちょっと誘っちゃいなさいな。それくらい〉
女〈う~、でも恥ずかしいよ><〉
女友〈じゃあ、次の休み時間は作戦会議ね〉
女〈わかった。すぐ行くね〉
先生「じゃあ女友、ここ答えてみろ」
女友「え!?えっと、3Xです」
先生「違います」
女友「ちょっと、男」
男「何だよ。お前さっきも先生に目つけられてたろ」
女友「うっさいわね。良いから質問に答える」
男「何だ?」
女友「さっきの女の件よ。何かあなた達の態度おかしかったわよ?」
男「あぁ、あれか。あれは女がああいうことで周りに気を遣ってもらったり、友達が怒るの好きじゃないんだよ」
女友「そう……だったの」
男「だから、今度ああいうことがあっても笑い飛ばしてくれよ。そっちのが女も気が楽らしいから」
女友「あなた……何だかんだでちゃんと女こと考えてんのね」
男「意外だったか?」
女友「いやぁ、別に。ま、あたしも頑張りますか」
男「何を?」
女友「気にしない気にしない」
女友「というわけで、作戦会議です」
女「10分しかないけどね」
女友「作戦はあたしが授業中に考えてきたから問題なし」
女「どんなの?」
女友「まず、あたしが男くんを遊びに誘う。それにあなたも一緒についていくことにする。あたしは当日に適当に理由をつけて行けないことにする。あなた達二人きりの完成」
女「おぉ」
女友「確か、昨日古本屋で読んだ漫画にそう描いてあった」
女「今度探して見るね」
女友「つまらなかったからやめときなさい」
女友「とにかく、あたしが先に男くんを誘うけど、恋人としては大丈夫?」
女「まだ違うよ////…………じゃあ、作戦お願いします」
女友「まっかせなさい」
男「女ー、ちょっと良いか?」
女「あ、えっと……」
女友「ほら、将来的な恋人が呼んでるわよ。将来的な、ね」
女「う、うん。男、ちょっと待ってて」
タッタッタッタッタッ
女友「やれやれ、恥ずかしがりやさんめ」
男友「おいっす」
女「あ、男友。男くんの相手ご苦労。あくまで、女の恋心は男くんにばれないように、だからね」
男友「というか、何で女ちゃんは男誘うのが恥ずかしいんだ?幼なじみだろ?」
友「んー……何故かと………昨日の会話から考えると」
女友『良い?まずは男をデートに誘います。デートに!』
女『デートに!?』
女友『でぃと!』
女『で、デートは気が早いんじゃ……』
女友『良い?デートは友達同士か遊びましょ、って言うのとはわけが違うわ!恋人になる為の重要なワンステップよ!デートは!』
女『う、うん』
女友『故に!必ず成功させる!』
女友「という会話だったんだけど………特にないわよねぇ?」
男友(デートを強調し過ぎだろ……買い物くらいにしとけば良いのに)
女「男くん。何かご用?」
男「いやぁ、大したことじゃないんだが……怪我、大丈夫か?」
女「擦り傷だけだから大丈夫だよ」
男「そうか!良かった」
女「でも、男くんが、足下にいたわたしにしばらく気付かなかったのは傷ついたよ」
男「うっ!……すまん」
女「わたしが透けてて気付かなかったかなぁ?」
男「そ、それはだな」
女「足下いたのになぁ」
男「……すいません」
女「……まぁ、置いてきぼりにしなかったから、許してあげよう。だから、今度何かお詫びね」
男「わかったよ」
男友「男、昼飯食おうぜ」
男「おう」
女友「あたし達も、一緒だからね」
女「今日は二人とも平和だね」
男「金曜は購買やってないからな。勝負しようがない」
男友「最近は負けが越してるからなぁ……ある意味、この日が一番心が安らぐ」
女友「じゃあ、止めれば良いじゃない」
男「それはそれで寂しい」
男友「同じく。まぁ、取り敢えず食おう」
男「腹減ったし……な………」
女「どしたの?」
男「なぁ、女」
女「何?」
男「俺はいつも金曜は昼飯どうしてたっけ?」
女「え?購買がやってないからコンビニとかで買って……あ」
男友「展開がわかった」
女友「あたしも」
男「買うの忘れた……」
女「あ、あの、わたしのお弁当半分あげようか?」
男「いや、良いよ……うん」
女「モグモグ……男くん。目つぶってどうしたの?」
男「………」
女友「椅子の上で座禅組んでるから、瞑想じゃない?心頭を滅却すれば、火もまたなんちゃらの原理で。パクパク」
男「………」
男友「ガツガツッ!バクバク!ゴキュゴキュ!ぷはぁ!」
男「………お前は何か許せねぇ!」
スパーン!
男友「痛ぇ!頭叩くなよ!自分のドジだろ!」
女「そうだよ、男くん。短気は損気だよ」
男「うっ……悪かった」
男「……腹減った」
女友「全員食べおわった直後に言われてもねぇ」
男友「……なぁ、何か廊下が騒がしくね?」
女「うん、気になってた」
男「……腹減った」
?「おーい!」
男「!」
男友「どうした?空腹がピークを迎えたか?」
男「空腹がピークを迎えそうなのは否定できないが、それとは別の話」
男友「ふーん。ま、良いや」
男「……気のせいだろう」
?「おーい!あっれぇ?きこえてないのかなぁ?よし、じゃあちかづいて」
女「……ねぇ、男くん。あの娘って」
男妹「アニキ!」
ドガァ!
男「ぐぇっ!」
女「あ、やっぱり男妹ちゃん。こんにちは」
男妹「あ、すけすけのねぇちゃん!こんにちは!」
女「すけすけって……まぁ、良いか」
男「……やぁ、我が妹よ」
男妹「お!アニキ!なんでゆかでねてんだ?」
男「お前のフライングクロスチョップが綺麗に決まったからだよ」
男妹「おぉー!」
女友「あのー」
女「どしたの?」
女友「このちびっこは男の妹さんなの?」
男友「俺も同じ疑問だ……」
女「そうだよ」
男「うちの妹でございます」
男妹「こんにちは!」
男友&女友「「似てねぇ!」」
男「失礼な」
男友「いやいや、お前……これはないだろ。本当にお前の妹か?」
女友「ヤバイ……これはかわいい……男、ねぇ、この娘あたしにちょうだい……一日この娘抱いて過ごすから」
男妹「お?なんだ?ほめられてるのか?」
男「うちの妹に何するつもりだ。おい」
女「ダメだよ、女友ちゃん。そんなことしちゃ」
男友「ちくしょう!何で今日に限ってカメラを持ってきてないんだ!」
男「いつもカメラ持ち歩いてんのか、お前は」
女友「まだよ!ケータイのカメラ機能が!」
男「何という執念だ」
女友「笑って笑って!」
カシャカシャカシャカシャカシャカシャ
男妹「おっ!おぉ!?なんだ!?しゃしんか?えっと……イェイ!」
女友「おぅ!」
バタン!
男友「女友が倒れた!」
女「大丈夫!?」
女友「大丈夫よ……この娘のエンジェルスマイル……いや、これこそ人を魅了する魔性の笑みかしらね……ふっ、完敗だわ」
男「頭が大丈夫じゃないだろ。お前」
男妹「みんなたのしそうだ!」
男「さて、お前は何でここにいるんだ?」
男妹「おぉ!そうだった!アニキにこれをわたしてこいって、おかあさんが!」
男「ん?……こ、これは!」
女「何があったの?」
男「おにぎり!つまり飯!」
女「良かったね」
男「ありがとう母さん!ありがとう妹よ!」
男妹「えらい!?」
男「超偉い!」
男妹「ちょうだ!すごい!」
女「ところで、男妹ちゃん。学校は?」
男妹「きょうはやすみ!あそびほうだいだ!」
男「確か、創立記念日だったかな」
女友「お母さんに頼まれてきたの?」
男妹「うん!おかあさんはどうせ、あのこはおひるごはんわすれるから、これもっていってあげてっていってた!」
女「読まれてるね」
男「伊達に親やってるわけじゃないんだな……」
男「さて、昼飯を届けてくれたのはありがたいが、ここは危ないから帰るんだ」
男妹「えぇ!?たのしそうなのに!」
男「いや、ここは危ないところだぞ?特にあの二人が」
女友「何であたし達をみるのさ」
男友「心外だ」
男妹「うーん……」
女友「こっち見た!カメラカメラ」
男友「俺にもくれよ!?」
女友「やるかバカ!あたしんだ!」
男妹「わかった。帰る」
男「よし」
男友&女友「「あんまりだぁ!」」
男妹「じゃあ、アニキ!すけすけのねぇちゃん!あと、カメラのねぇちゃんとにいちゃん!またなぁ!」
男「おう。おとなしく帰るんだぞ」
女「ばいばい」(普通にお姉ちゃんって呼んでくれないかなぁ……)
女友「また来てねぇ!」
男友「待ってるぞぉ!」
男友「いやぁ、お前はうらやましいな」
女友「ほとんど犯罪ね」
男「何でだよ」
女「突風みたいだったね」
女友「にしても、あの娘小学生くらいでしょ?よく一人できたわね」
男「いや、よく一人で知らないところまで行っちまうんだよ。あいつは」
女「昔はよく一緒に探してたね」
男「近所の公園で鬼ごっこのはずが、隣の県まで行ったりな」
女「あったねぇ」
男友「壮絶な子供時代だな……」
女友「あ、アグレッシブな妹さんね」
キーンコーンカーンコーン
男友「帰ろうぜ!」
男「掃除しろ」
男友「サボろうぜ!」
女友「男友はちりとりね」
男友「オッケー!……って、なにげなく一番めんどいのを押し付けらた!」
女「黒板終わったよ~」
女友「じゃ、ホウキお願いね」
男「今思ったんだが、黒板の粉を肌につければ半透明をごまかせるんじゃないか?」
女「実際にやらないでよ……」
age忘れてたorz
女友「あ、そうだ」
男友「どしたよ?」
女友「明日って休みじゃない?だからさ、みんなで遊びに行かない?」
女「!」
男友「お、いいね。どうせ暇だしな」
男「まぁそうだな。なぁ、女は」
女「行こう!是非行こう!」
男「何かいつにもまして乗り気だな……じゃあ全員参加ってことで」
男友「オッケー」
女友「じゃあ明日ね。…………作戦通り」
男「何か言ったか?」
女友「いえ、何にも」
男「そう……じゃあ別に良いんだけど」
女友「ほらほら、早く掃除終わらして明日の相談でもしましょう。ほら、見なさい。あの女の一心不乱に掃除をする姿を」
女「ていっ!ていっ!」
男友「げほっげほっ!ちょっと、女ちゃん。ごほっ!ちりとりには勢いが強いって。ぐぇっほ!」
男「お、珍しく良く見える」
女友「じゃ、まぁ帰りましょうか」
女友「ところで、何で誰一人として、部活とか入ってないの?今更ながら」
男「え?」
女「ふぇ?」
男友「なぁ、さっきからすごい背中かゆいんだけど、誰かかいてくれない?」
女友「……聞いたあたしがバカだった?」
女「うそうそ、ちゃんと聞いてたよ」
男「何で部活入ってないのか、ねぇ……」
男友「俺はめんどくさいからだ」
女友「んー、あたしもかな」
男「俺は……何となく入ってない。それでそのままだらだらと」
女「わたしも何となく………ということで」
男友「じゃあ、中学時代にサッカー部にいた俺がフレッシュな話を!」
男「いらねぇ」
男友「ひどい!」
男「じゃ、俺達こっちだから」
男友「ん、じゃな」
女友「また明日、ね」
女「明日、ね」
男「女ー、どうした?」
女「あ、待って。今行く!」
タッタッタッタッタッ
男友「行ったか……」
女友「行ったわね……でも、大丈夫かな……」
男友「心配性だな」
女友「大切な友達。だから、心配にもなるわよ」
男友「さいか」
女友「うん」
男友「…………じゃあ、あとからばれないようについていってみるか?」
女友「はぁ?」
男友「心配なんだろ?」
女友「いや、でもさすがに女に悪いでしょう。そんなこと……」
男友「じゃあ、俺だけ行くかなぁ」
女友「えっ?ちょっと、何言ってんの!?」
男友「じゃあ、女友も行くか?」
女友「うっ………ねぇ、あんた興味本位でしょ」
男友「概ねその通り」
女友「だろうと思ったわよ……あたしもついてく」
男友「じゃ、明日な」
女友「はいはい」
男友「実はお前も興味あるだろ」
女友「あんたほどじゃないにしろね」
男友「やっぱり」
女友「当たり前じゃない」
女「ふんふふんふん♪」
男「楽しそうだな……」
女「えっ!?そ、そう?」
男「すげー見える。ま、わからんでもないが」
女「やっぱり男くんも楽しみ?」
男「そりゃそうだ」
女(うぅ……何か騙すの悪い気が……そういえば、明日って二人きり……………あ、あわわわ!)
男「どうした?顔赤いぞ?」
女「そ、そう!?ゆ、夕焼けじゃない?ほら、あたし透けてるから!」
男「……まぁ、そうか」
女「そうそう!」
男「あ、そういえば」
女「な、何か!?」
男「さっきの鼻歌下手くそだった」
女「そ、そっか」
男「……?」
~日記~
女〈どうしよう!どうしよう!
本当に二人きりで男くんと一緒にデートすることになったよ!
お使いとかなら、昔はよく一緒に行ったけど……
というか、恋人同士でもないのにデートって言うのかな?
女「って!もうこんな時間!?早く明日の服とか!なんとか!」
女母「女!静かにしなさい!もう夜中よ!」
女「ご、ごめんなさい!」
男「女の家が騒がしいな……まぁ、良いか」
男妹「アニキ!あそぼう!すけすけのねぇちゃんもいっしょに!」
男「そもそも、この時間に小学生が遊ぼうとするのが間違いだが、遊びなら明後日な」
男妹「あしたじゃないのか!?あさってなのか!?」
男「つか、子供は夜は寝なさい」
男妹「はーい!」
男「さて、俺もさっさと寝ちまうか」
ダダダダダッ!
男妹「アニキ!あさだ!おきろ!ってあれ!?」
男「どうした?朝から騒がしいぞ……まぁ、いつもか」
男妹「おきてる!」
男「起きてるが」
男妹「えっと……」キョロキョロ
男「時計がどうした」
男妹「8:00だぞ!?」
男「そうだな」
男妹「どようびだぞ!?」
男「あぁ」
男妹「!?」
男妹「うぅぅん……」
男「悩んでいるようだな」
男妹「なんでいまおきてるんだ!?」
男「何ででしょう?」
男妹「えーっと……えーっと……」
男「わかったか?」
男妹「ぜんぜんわかんない!」
男「なんとも、清々しいな」
男妹「で!せいかいは!?」
男「遊びにいく」
男妹「だれと!?なにするんだ!?」
男「お前が昨日あった人達と………何するかは聞いてないな……」
男妹「わかった!じゃあ、おとうさんおこしてくる!」
ダダダダダダ
男「さて、準備するか」
男「じゃあ、行ってくる」
ガチャ
女「お、おはよう」
男「あれ?もう来てたか」
女「同じタイミングなんて偶然だね!」
男「……まぁ、行くか」
女「い、行こうか」
男「で、来てみたが、まだ誰もいないと」
女「待ってればくるよ。座って待ってようか」
男「そうだな。まぁ、座ってるか」
女友「そうだな。じゃないわよ!」(小声)
男友「なんという偶然。俺達が後ろに隠れているベンチに座るなんて」(小声)
女友「状況説明ありがとう。それにしても……見なさい」(小声)
男友「顔をあげたらばれるので見えません」(小声)
女友「じゃあ、感じ取りなさい。女の緊張を」(小声)
男友「確かに、さっきから会話にキレがないな」(小声)
女友「じゃあ、そろそろあたし達が行けなくなった、って電話してやりますか」(小声)
男友「その前に、ここから離れないとな」(小声)
女友「わかってるわよ。えーっと……」(小声)
男友「何探してんの?コンタクト?」(小声)
女友「んなわけないでしょ!」
男友「しーっ!しーっ!」(小声)
女友「ご、ごめんごめん。あ、あった」(小声)
男友「石?」(小声)
女友「これ投げて注意をそらす」(小声)
男友「なるほどね」(小声)
女友「へいっ」(小声)
シュッ
カン!
男「ん?何だ?」
女「何だろう……?」
男友&女友「「スタコラサッサ~」」(小声)
~♪
女「!」
男「お前のケータイじゃないか?」
女「う、うん……ちょっと待ってて!」
男「お、おう」
タッタッタッタッタッ
男「いやに念を押してたな……」
~♪
男「って!俺のにもかよ!」
女「もしもし?女友ちゃん?」
女友『もしもし、大丈夫?』
女「う、うん……少し緊張するけど」
女友『ま、肩の力抜いていきなさいな。いつもの女で良いから』
女「いつものわたし……わかった。じゃあ、戻るね」
女友『うまくやりなさいよ』
ピッ
女「よ、よし!」
女「お、男くん。あの、女友ちゃんこれなくなっちゃったって……」
男「うぉ!そっちもか!?実は男友も昨日食った牡蠣に当たって、すごい下痢に襲われて来れないって。女友はどうしたんだ?」
女「女友ちゃんは……えっと……風邪!そう風邪だって!うん!」
男「そうか……仕方ない。二人で行くか?」
女「その……だから……ゴニョゴニョ…仕方ないから……って!えぇ!?」
男「何か変なこと言ったか?」
女「い、いや別に……でも、いつもなら……じゃあ、帰るか、とか言いそうなのに」
男「いやまぁ……気紛れかな……」
女「そ、そっか……」
男「じゃあ、行くか」
女「うん!」
男友「やっと出発したか」
男友「そういや、男はあの状況をどうとらえてるんだろうな?なぁ、女友……」
女友「……ッ!プププッ!」
男友「お前さぁ」
女友「アーッハッハッハッハッ!」
男友「笑い過ぎなんだよ!」
女友「いや、だってプププッ!あんたの電話での演技……ッ!面白過ぎるわ!」
男友「はいはい、ありがとうございやした」
女友「いやぁ、おかしかったおかしかった……ちょっと、またやってよ」
男友「やらねぇよ!ほら、あとつけないと見失うぞ」
女友「はいはい」
男「ところで、歩き始めたは良いけどさ」
女「うん」
男「どこへ向かってるんだ?」
女「……このまま行くと山だね」
男「山か……」
女「山……」
男「とりあえず、どこいくか決めるか」
女「そうだね。どこ行く?」
男「まぁ、歩きながら決めるか」
男友「あいつらどこへ向かってんだ?つか、どこへ行くとか俺知らないんだけど」
女友「あたしも知らないわよ」
男友「このまま行くまっすぐってことはないよな。山だし」
女友「山だしね」
男友「冬に山行ってもなぁ」
女友「で、結局二人はどこへ……」
女「あ、駅前に出たね」
男「ということはけっこう歩いたんだな。時間がたつのは早いな……」
女「お昼近いもんね……あ」
男「どした?」
女「落ちてた。何だろうこれ」
男「アクセサリーっぽいな。高そうな感じはしないけど」
女「首飾りみたいだね……」
男「一応交番届けるか?」
女「うん。そうしとこっか」
男友「うーん……ここからじゃ何話してるのかわからねぇな……」
女友「ちょっと、あんた読唇術とか使えないの?」
男友「使えるわけねぇだろ」
女友「やっぱり会話の内容気になるわね。誰か教えてくれないかしら……」
?「『交番どっちだっけ?』『駅の横だろ。確か』っていってるよ!」
女友「じゃあ、拾い物を交番に届けるのね………って!誰!?」
男友「男妹ちゃん!いつの間に!?」
男妹「カメラのねぇちゃんとにぃちゃん!なにあそんでんだ!?」
男友「いや、これは遊びじゃ……いや、遊びといえば遊びか?」
男妹「んー?どっちなんだ?」
男友「とりあえず、にぃちゃん達は今忙しいから」
女友「ちょっと待ちなさい」
男友「んだよ?」
女友「男妹ちゃんには男と女の話してることわかるの?」
男妹「んー……ちょっとだけな!」
女友「じゃあ悪いんだけど、あたし達についてきて、二人の会話を教えてくれない?」
男妹「おぉ!たのしそうだな!ついていく!」
男友「飴あげるでついていきそうな感じだな……」
男妹「しらないひとにはついていかない!」
女友「偉いわねぇ」
男友「つか、こんな小さい子を連れ回す高校生ってどうよ……?」
女友「同意の上なら問題なし」
男友「言い切っちゃったよ。この人」
男妹「レッツゴー!」
男「そういや、お前はアクセサリーってしてないな」
女「下手につけるとアクセサリーだけ浮いてるように見えるから……」
男「そうか?わからないんじゃね?」
女「ちなみに、それ言ったの男くんだからね?」
男「えっ?……覚えてないな」
女「あたしがネックレス買った時に言ったよ。ネックレスが浮いてるみたいだって」
男「あぁ……何か言った気が………」
男「そのわりには髪飾りだけは毎日つけてるな」
女「これは大切だよ!というか、男くんがわたしにくれたんだよ!」
男「うっそー……」
女「はぁ……じゃあ後でちゃんと思い出してよ?」
男「じゃあ、ちょっとその髪飾りよく見せてくれ」
女「やだ」
男妹「っていってる」
女友「あたしも知らない間にさりげなくアクセサリーをプレゼント……やるわね!」
男友「でも子供の頃だろ?縁日のくじ引きとかで当てて、いらなかったからあげたとかじゃね?」
女友「それでも良いのー!それを今でも大切に頭にくくりつけてるなんてかわいいじゃない!あたしなら鼻血もんよ!」
男友「そんなもんかねぇ」
女友「けっ!デリカシーのないやつね!そうだ、男妹ちゃんはあの髪飾りについて何か知らない?」
男妹「しらない!」
男友「清々しい!」
男妹「でも、ずっとむかしからつけてた!」
女友「見なさい!……というか、昔から男のことを思ってたって本当にだったのね……」
男友「それに気づかないって……男は何なんだ!うらやましいぞこの野郎!」
男妹「なんだ?にぃちゃんないてるのか?いいこいいこしてあげるか?」
男友「う、うるせぇやい!目に汗が入っただけだよ!」
男妹「さむいのにあせなのか!?からだがわるいのか!?」
女友「……本気で心配してるわ。この娘」
男友「い、いや、違います!ほら!元気!」
男妹「よかった!」
女友「わかったから街中で全力の笑顔を浮かべて飛び跳ねないで……」
男「なんか向こうが騒がしいな……」
女「あ、アイス売ってる!」
男「何でこの時期に……」
女「買おう。そして食べよう」
男「……頭大丈夫か?」
女「なっ、大丈夫だよ!」
男「いやだって、お前寒くないのか?」
女「全然寒くないよ。……多分」
男「おい、今多分って言ったろ」
女「い、言ってない……クシュン!」
男「ほら見ろ。重装備が強がってんな」
女「うぅ……」
男「ったく……俺のコート貸してやるから着てろ」
女「!?!?」
女友「ムッハー!見ましたか!見ましたか今の!」
男友「あぁ!この二つ目にしっかりと焼き付けた!」
男妹「お?おぉ!?」
女友「す、すごい幸せそうな顔………これはご飯四杯は軽いわね」
男妹「?」
男「で、俺が目を離した隙に団子を買ってきたと」
女「?男くんのもあるよ?」
男「いや、そういうことじゃなくて」
女「あんこ?みたらし?そういえば、ずんだはなかったんだよねぇ……」
男「……みたらし」
女「はい。みたらし」
男「モギュモギュ……うまいな」
女「お茶が欲しくなるよね」
男「年寄り臭いことを……まぁ、気持ちはわかるけど」
女「やっぱりお団子には熱いお茶だよね。日本人はみんなそうなんだよ。それで和むんだよ」
男「そしてだんだん消えていく」
女「……いじわる」
女友「いいなぁ……お団子」
男友「確かにうまそうだ」
男妹「たべたい!」
女友「よし、男友が奢りなさい」
男友「えぇ!俺かよ!?」
女友「男妹ちゃんの笑顔の為よ」
男友「仕方ねぇな……はい」
男妹「かってくる!」
男妹「かってきた!」
男友「速いな。つか大量だな!」
女友「まぁ良いじゃない。お昼ご飯の代わりよ」
男妹「だんご!だんご!」男友「三兄弟?」
女友「……今の子はわかるのかしら?」
男友「じゃあ、団子開封……って!三色のみぃ!?あんこは!?みたらしは!?」
男妹「え?……だめだったか?」
男友「良いけどさぁ……」
女友「何か目がチカチカするわね」
男妹「たのしそうだな!」
男友「本来はお花見の時に食うもんだからな」
女「あれ?お団子もうないや」
男「けっこうあったぞ。お前食い過ぎじゃね?」
女「んー……そんなことないと思うけど」
男「そうして気付かないうちに太っていくわけだ」
女「別に太ってないもん……」
男「見た目は人より軽そうなのにな。それに甘えたばっかりに」
女「あ、今川焼だぁ」
男「無視ですか」
女「あんことクリームどっちにする?」
男「……あんこ」
女「すいません!あんこ二つ!」
女友「なかなか良いイベントないわねモグモグ」
男友「まぁこんなもんだろモグモグ」
男妹「いまがわやきおいしいな!」
女友「美味しいけど……一日が終わったら意味ないじゃない……何か最後に大きな何かを……」
女「あ、もうこんな時間だ……」
男「なんか食ってばっかだった気が……口が甘い」
女「……あの、男くん」
男「何だ?まだ食うか?ちなみに俺は食えるが」
女「違うよ。……今日、最後にひとついい?」
男「ん?」
女「……あのね」
男妹「っていってる」
女友「えぇ!なに!?急展開!?ちょっと!あんたも今川焼ばっか食ってないで見なさい!」
男友「フガフガ」
女友「お、男妹ちゃん。通訳お願い」
男妹「えーっと……『男くん付き合って。わたしと』」
女友「うえぇ!?」
男友「ブフゥ!」
女友「って!吹かないでよ!汚い!」
男友「す、すまない……つか、マジで言ったのか」
女友「ちょっと待ちなさい。まだ続きがあるわ……」
男妹「『買い物に』」
男友&女友「「……………はぁ?」」
女友「男妹ちゃん。悪いんだけど、もう一度言ってくれる?」
男妹「『男くん付き合って。わたしと買い物に』」
女友「…………はぁぁ」
男友「ちくしょう!俺の胸のトキメキ返せ!」
男妹「どうした?きゅうにくらいかおになっちゃったぞ?」
女友「お姉ちゃん達ね、疲れ果てたわ……」
男友「いやまぁ、勝手にこっちが緊張したせいだけどな……」
女友「帰りましょうか……」
男妹「なんだ?もうかえっちゃうのか……」
女友「ごめんね。また今度一緒に遊ぼうね。風邪ひかないでね」
男友「お前一人で帰れるか?」
男妹「だいじょうぶだ!」男友「ま、途中までは一緒に行くか」
女友「あ、今日のことは男と女にはないしょ話ね」
男妹「ないしょ話か……ドキドキするな!」
女「ごめんね。買い物まで付き合ってもらって」
男「いや、別に良いよ。荷物持ちにもなれたしな」
女「何でお母さんはこんな日に頼むかなぁ」
男「さぁな……ん?あれは……」
男妹「あ!アニキ!ねぇちゃん!」
男「よぉ。何してんだ?」男妹「こうえんであそぶ!」
女「そろそろ暗くなっちゃうよ?」
男妹「アニキとねぇちゃんがいっしょならだいじょうぶだ!」
女「だって。どうしますか?お兄さん?」
男「……家の近くの公園ならな」
男妹「あそぶ!」
男妹「タッチ!」
男「負けたぁぁ!」
男妹「あしおそいな!アニキは!」
男「ちくしょう……追いかけっこは百戦錬磨のはずが……これが老いか!?」
男妹「お?なんだあれ!?」
タッタッタッタッタッタッタッ
男「うわぁ……まだ走れんのか……」
女「お疲れさま」
男「おう。子供は元気があって良いな」
女「ふふっ。自分もお年寄りみたいだよ?」
男「年寄りは追いかけっこからは引退だ」
男「にしても、あいつは無駄に体力ありあまってんなぁ。」
女「……そう、だね」
男「俺も昔はあんな感じだったのかなぁ」
女「……」
男「女?」
女「え?……あ!えと……ごめん聞いてなかった……」
男「大丈夫か?昼間もくしゃみしてたし、風邪でもひいたか?」
女「ううん!そんなことないよ!ちょっとぼーっとしてただけ」
男「なら良いんだけど……体冷やすなよ?」
女「う、うん!じゃあ、そろそろ帰ろうか」
男「暗くなってきたしな。おーい!帰るぞ!」
男妹「わかった!」
女「じゃあ、おやすみ」
男「おやすみな。ちゃんと寝ろよ」
女「もう、わかってるよ。大丈夫」
男妹「おやすみなさい!」
女「おやすみ。また明日ね」
ガチャ
男「ただいま」
男妹「ただいま!」
男母「おかりなさい。あら、男妹も一緒だったの。楽しかった?」
男妹「たのしかった!」
男母「男はどうだったのよ?」
男「何で俺にも聞くかな……」
男母「良いから良いから」
男「……楽しかったよ」
男母「ほぉ~……なるほどねぇ」
男妹「きょうはカレーだぁ!」
男母「食べて力つけなさいよ」
男「そういや、女が風邪っぽくてさ」
男母「あら、じゃあ何か持って行ってあげようかしら……」
男「何か考え込んでるみたいにぼーっとしてて……さ」
男(……あ)
男母「大丈夫かしらね?」
男(今年もあの日が近いのか……だから……)
ガチャ
女「ただいま」
女母「おかえり。ご飯食べる?」
女「うーん……ちょっといらないかも……」
女母「え?大丈夫?風邪?」
女「……かもしれない」
女母「じゃあ、寝てなさい。後で何か食べやすいの持っててあげるから」
女「そうする……」
女母「あ、そうだ。女、今日どうだった?」
女「楽しかったよ///」
女「ふぅ……やっぱり、ちょっと熱っぽいなぁ」
女(それにしても……へへへっ///……楽しかったな)
女「あ、日記つけてないや……ま、良いかな」
女(じゃあ、おやすみ。男くん)
ガラリ
男「おはよ」
女友「おっはよ……あれ?女は?遅刻?」
男友「せっかく一昨日のことを」
女友「ていっ!」
パキャ!
男友「痛い!何すんだよ!?」
女友「あたしは行ってないことになってんだから、気を付けなさい!」(小声)
男「何かあったか?」
女友「何でもないわ。間違いなく」
男友「何でもない。何でもない」
女友「で、女はどこよ?」
男「あいつ、今日は風邪で休んでるんだよ」
女友「えっ!?風邪ひいたの?一昨日は全然そんな感じなかったじゃない」
男友「あなたが言ってんじゃん………」
男「え?今何て……一昨日?」
女友「あーあー!なーんでもなーいです!良いから女のことを話しなさいって」
男「えと……まぁ、とにかく風邪をひいた。昨日から寝てるらしいぞ」
女友「あたし聞いてないわよ!」
男友「俺も聞いてねぇな」
男「あいつなりに気をつかったんだろ。勘弁してやれ」
女友「ぶーぶー!心外だ!」
男「いや、俺に言われても」
女友「じゃあ、あたしの女への思いはどこに向かうのよ!」
男「知るか」
男友「……お見舞い行けば一番良いじゃん」
女友「それだ!」
女友「はい!放課後というわけで来ました。女の家!」
男友「今日はテンション高いね。あなた」
男「お見舞い行くって決まってから異常に元気だったからな」
女友「初めて女の家行くからね!」
男友「あぁ~」
男「面白いもんでもないけどな」
女友「えっ!?家に入ったことあるの!?」
男「これでも幼なじみだからな」
女友「あぁ、そういえばそうだったわね」
男友「いいから入ろうぜ」
ガチャ
?「あ、こんにちは。女さんの友達?」
女友「えと……女のお兄さんですか?」
?「とりあえず親類ではないです」
男友「えーっと……つまり?」
女友「怪しい奴ね!……って!ここで何してる!」
?「や、僕は」
女友「問答無用!」
?「聞いておいてそれは酷い!」
女友「おりゃ!とりゃ!うりゃ!」
ドガァッ!バギィッ!メキメキィッ!
?「痛い!痛い!ちょっと、男くん!ぼーっと見てないで助けて!」
男友「知り合いなの?」
男「知り合……ゲフンゲフン……知らない人です」
?「ゲフンゲフンって!?酷いよ!」
女友「ふりゃぁ!このこのっ!」
ベキィッ!ボギィッ!
?「あ!折れる!折れる!ぎゃぁぁぁぁぁ!」
女「………何してるの?」
?「いやぁ、女さん助かったよ」
女「いえいえ。女友ちゃんもダメだよ?」
女友「う……ごめんなさい」
男友「で、結局あなた誰なんですか?」
?「あ、はい。僕は医者ですよ。近所で診療所をやってまして」
女友「何で女の家にいるの?」
医者「いやぁ、女さんが風邪ひいたと聞いたので、様子を見ようかと」
男「昔から女はよく世話になってるからな。体弱いんじゃないか?」
女「うぅ……そうかも……赤ちゃんの頃はあんまり病気しなかったって聞いてたけどなぁ」
女友「とりあえず、話をまとめると……」
男友「まとめると?」
女友「お医者さん!あなた良い人じゃないですか!」
医者「わりとそうなんですよ」
女友「どうしよう!あたしかなり本気で殴っちゃったよ!すいませんでした!というか、男も知ってたなら止めてよ!」
男「いや、止めない方が楽しいかな、と」
医者「とんだ災難です」
男「ところで、女は降りてきて大丈夫なのか?」
女「うん。もう治りかけだから」
女友「明日は学校これるの?」
女「うん。たぶん」
医者「普通に行けますよ」
女友「じゃあ、今日みたいに退屈しないですむわね。あ、これ今日の分のノートね」
女「わざわざ、ありがとう」
女友「どってことないわよ」
男「書いてたのは俺だしな」
男友「俺もちょっと書いてな」
女友「う、うるさいわよ!」
医者「にしても、面白いですよね。女さんの見た目」
男「見た目ですか」
医者「いつも半透明なのもそうですが、体調に左右されるのか、今日はいつもよりそれが強い」
男「……面白いですか?」
医者「はい。特に男くん達が来た時くらいから、それが少し持ち直してるのが」
女友「へぇ……そんなのにも影響されるんだ」
女「自分じゃわからないけどね。そうみたい」
医者「あぁ、そういえば男くんと女さんが二人の時も同じような」
女「あ!あ!ちょっと!あの!」
医者「どうかしました?」
女「い、いえ………うぅ」
女友「さて、長居してもあれだし。あたし達は帰りますか」
女「そう?じゃあ、また明日学校で」
男友「ちょっと帰る前にトイレ借りて良い?」
女友「それくらい我慢しないよ……」
男友「悪いね」
ジャー
男友「さて、さっさと戻るか」
スタスタ
男友(ん?部屋のドアが開いてる。あれは……仏壇か?おじいさんとかのかな?……ん?女の子の写真?……あれ?、この顔って……)
女友「男友ー!まだトイレ?」
男友「あ、わかった!直ぐ行く!」
タッタッタッタッ
女友「じゃ、また明日ね」
男友「男はまだいるのか?」
男「ん?まぁ、ちょっとだけな」
女友「ふーん」
男友「へぇー」
男「何だよ……」
男友&女友「「何でもないですよ」」
医者「じゃあ、僕もさっさと帰りますか」
女「わざわざ、ありがとうございました」
医者「いえ。こっちこそ女さんの友達が楽しくて飽きませんでした。あ、男くんはそのうち診療所に遊びにきて下さいね」
男「暇だったらな」
医者「では、またそのうち」
ガチャ
男「さて、女は布団で寝てろ。俺も直ぐに帰るし」
女「うん。そうだね」
男「……良かった」
女「え?何が?」
男「いや、えと……体調良さそうだからさ……」
女「あ、うん。だいぶ楽だよ。心配してくれてありがとう」
男「お、おぅ」
女「そういえば、あたしの見た目って健康かどうか一目でわかって便利だね!」
男「自分じゃわからないじゃん」
女「あ、そうか……」
男「………ま、俺が気に掛けとくよ」
女「じゃあ、お願いするね」
男「まかしとけ」
【中編】に続きます。