絹旗「滝壺さん! 超見てくださいこれ!」ピャー
滝壺「? 無料招待券?」
絹旗「ええ、第22学区にあるスパリゾート……(……読めません) なんとかの券です」
滝壺「これ、どうしたの?」
絹旗「今日、買い物に行ったときにクジ引きが超当たりました」
滝壺「すごい、私はクジなんて当たったことないのに」
絹旗「とにかく、折角ですので皆さんと超温泉に行きましょう」
~夕食後~
絹旗「というワケで超温泉に行きます」
婚后「"招待券1枚につき3名まで入場可"とありますが……」
番外個体「チケットは2枚だから、1人余るね」
海原「……なんですか、なんで皆さん僕を見るんですか?」
結標「……まあ、さすがに可哀想だから、あと1人の分は全員で分割しましょう。
7人全員が格安で入れたと思えばいいし、その方が公平でしょ」
絹旗「よかったですね、バ海原」
海原「いや、なぜ僕がハブられる前提なんですか。あと"かいばら"ではなく"うなばら"です」
婚后「でも、第22学区というと少々遠いですわ。夕方以降に行くとしたら移動手段を確保できませんと」
結標「……ちょっと、なんでみんなして私を見るのよ」
番外個体「車があるんなら私が運転してもよかったんだけどねー」
結標「? 貴女、私と同い年のハズよね? なんで免許持ってるの?」
番外個体「持ってないよ。必要なのはカードじゃなくて技術だし」キリッ
結標「…………」
絹旗「でもまあ、ミサワさんの言葉にも一理ありますね。では車が用意できれば問題なしと」
白井(大アリですのぉぉ!!)
~翌日 学園都市某所~
番外個体「こんな人気のないところに連れてきて……何されるの……?」コツコツ...
絹旗「超誤解を招く言い方はやめてください。見てほしいものがあるだけです」トテトテ...
番外個体「なんだろうなー」
絹旗「こいつです。今なら自由に使えます」
番外個体「……これ、キャンピングカーじゃん。絹旗さんの?」
絹旗「正確には違いますね。でも、ほら、キーなら挿さってますよ」
番外個体「……ホントだよ。随分ほったらかしだったみたいだけど、動くのかな」
絹旗(アイテム休止以来、半年近くほったらかしにされてましたからね)
番外個体「ちょっとエンジンかけてみていい?」
絹旗「どうぞどうぞ、超やっちゃってください」
カシュシュシュシュ ドルルルン
番外個体「お、ご機嫌なサウンド」
絹旗「普通の車よりちょっと超デカイですが、運転いけますかね?」
番外個体「これぐらいなら大丈夫でしょ。これで足は確保できたね」
~数日後 週末 夜~
ブロロロロロ
婚后「この人数でもゆったりできますのね」
白井「……これでよかったのでしょうか」
絹旗「こまけぇこたぁいいんです」
結標「滝壺さんは前?」
海原「ご本人たっての希望で、助手席だそうですよ」
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:
:
番外個体「この大きさの車でもオートマなんだねー」
滝壺「学園都市にマニュアル車ってあるのかな。あ、ガム食べる?」
番外個体「あ、ありがと。第22学区だっけ? どこをどういけばいいの?」ムグムグ
滝壺「しばらくはまっすぐでいい」ムグムグ
結標「それにしても、存外丁寧な運転なのね。あの子のことだから飛ばすと思ったのに」
海原「そういえばあまり揺れませんね。ウチの運転手にも見習ってほしいものです」
婚后「あら、海原さんのお宅にも運転手さんがおられますのね」
結標(このバカ!)
海原(すいません、うっかり)
白井「?」
絹旗(グループの運転手は超ヘタクソ、と……)
:
:
:
番外個体「ここが第22学区? 人がいる感じがしないけど……」
滝壺「第22学区は地底都市なの。ほら、あそこ。あそこのゲートに入って」
番外個体「はー、これはまた凝ったことを……」
滝壺「目的地は第3階層だからね」
ゴトゴトッ
海原「……スピードが上がりましたね」
白井「外の景色を見る限り、第22学区に入ったようですの」
婚后「あの……なにかすごい勢いで旋回してる気がするのですが……」
絹旗「地下都市に入って、下り通路まわってるんだと思いますよ」
婚后(酔いそう……)
:
:
:
番外個体「うっひゃー、たーのしいー☆」
滝壺「みさわ、スピードスピード」
番外個体「あ、ゴメン、つい飛ばしちゃった」
滝壺「もっと出して」ワクワク
番外個体「」
~第22学区 第3階層~
番外個体「……あのさ、私、道間違えてないよね?」
滝壺「あってるよ」
番外個体「ここ地下なんだよね? なんで星空が見えるの?」
滝壺「あれは外の景色をスクリーンに投影してるの」
:
:
:
結標「もうすぐ着きそうね」
海原「意外と早いものですね」
絹旗「やっぱり車を用意して超正解でしたね」
婚后「」
白井「婚后さん、大丈夫ですの?」ユサユサ
婚后「ゆ、揺らさないでくださいまし……」
滝壺「あ、見えてきた。あの建物だよ」
番外個体「あの神羅カンパニーみたいなビルだね。おkおk」
滝壺「なんか、温泉以外にもいろいろあるみたい」
番外個体「その気になれば一晩ぐらい軽く過ごせるかもねー」
:
:
:
結標「あら、洗顔フォーム忘れちゃったわ」ゴソゴソ
白井「あ、あの……よろしければ、わたくしのをお使いください」
結標「えっ、い、いいの? 私は貴女のこと……」
白井「あら、わたくしはいつまでも過去に囚われるほど小さい人間じゃございませんわよ」
結標「……そうね、小さいのは胸と身長だけで十分よね」
白井「んなっ!? わたくしはまだ発展途上なだけですの!」ムキー
結標「はいはい、10年後に期待してるわ」
白井「い、今はどうあっても適わないだけに余計悔しいですの……!」プルプル
絹旗(この二人の会話がここまで続くのは初めて見ました)
番外個体「むー、参った。駐車場が空いてないね」
滝壺「あ、みさわ、あっち。あそこ空いた」
番外個体「ホントだ! よし逃がさない」フミッ
滝壺「わ、アクセルベタ踏みなんてはまづらでもしないよ」
:
:
:
絹旗「さっきから超トロトロと走ってますね」
海原「車を停める場所を探しているのでしょう」
結標「この分だと、中も結構混んでそうn(グンッ)きゃっ!?」
海原「おっと」
結標「ちょ、海原、アンタどこ触ってんのよ!」バキッ
白井「な、なんですの、この急加速は」
婚后「」
白井「婚后さん! お気をたしかに!」
~スパリゾート安泰泉 ロビー~
結標「ほら、座った座った」
婚后「う……申し訳ございません……」
番外個体「なんかゴメンね、飛ばしすぎちゃったかな」
婚后「いいえ、わたくしは元々乗り物に弱いので……ミサワさんが気負うことはありませんわ」
絹旗「時間はありますし、超ゆっくり休んでてください。入場の手続きはしておきますので」
滝壺「こんごう、飴買ってきたから食べて食べて」
婚后「あ、申し訳ございません、頂きますぅ……」モグ ボキボキバキ
海原「まあまあ、ご無理はなさらず。時間はまだまだありますよ」
白井「帰りは助手席にお乗りになった方がいいかもしれませんわね」
絹旗「戻りました。あ、バ海原はあとでお金出してくださいね」
海原「あ、はいはい……あれ? 分割じゃないんですか?」
絹旗「超細かいことを気にする男ですね。鬼が笑いますよ」
結標「それ、使い方が違うわよ」
絹旗「こまけぇこたぁいいんです。みなさん、これ付けておいてください」つ◯
番外個体「リストバンド?」
絹旗「ICチップ入りで、ここの施設を利用するときに必要だそうです。
あと、ロッカーの鍵も兼ねてますので、超絶対に失くさないでください」
白井「この数字はロッカーの番号ですのね」
婚后「……あら? 滝壺さんは?」
滝壺「ただいま、パンフレットもらってきた」トテトテ
番外個体「どれどれ(ガサガサ)わっ、すっごい」
結標「ショッピングモールにゲーセン、ボーリング場……温泉だけじゃないのね」
絹旗「超折角ですし、全部いきましょう!」キラキラ
白井「楽しそうですが、全部かどうかは時間と相談ですの」
滝壺「温泉に行くなら最後にしたほうがいいね、汗もかくかもしれないし」
海原「どこかで夕食もとりたいですね」
婚后「食事直後の入浴は消化に悪いので、順番を考えませんと」
結標「あら、もう大丈夫なの?」
婚后「ええ、どうにか……ご心配おかけしました」
番外個体「婚后さんも復活したし、適度に歩いてみよっか」
~スパリゾート安泰泉 アウトレットモール~
絹旗「おお、すごい規模ですね」
結標「」ウズウズ
番外個体(あ、なんかヤな予感)
結標「真琴、行くわよっ」ガシッ
番外個体「えっ、ちょっ、待tt」
白井「(これは大きいお姉様の様々なお姿を見るチャンス!)わたくしも参りますの」トテテテ
絹旗「行ってしまいましたね」
滝壺「」ジー
婚后「滝壺さん? 何を見て……あれは、アンティークショップ?」
滝壺「なんか面白そう」
婚后「いいですわね、ちょっと覗いてみましょう」
海原「行ってしまいましたね」
絹旗「……」ジー
海原「僕らはどうします?(なんでしょう、この視線は)」
絹旗「滝壺さーん、私も超行きますー」トテテテ
海原(あれ? なにか怒らせるようなことしましたっけ?)
海原「まあ、集合場所代わりにここに座ってましょうか」
海原「ふう……今の僕ら、一方通行さん風に言うと"平和ボケ"なんでしょうけど」
海原「悪くないものですよ、こういうのも」
海原「男一人、時折居心地の悪さは感じますけどね(苦笑)」
結標「あ、ねえねえ、これ試着してみなさいよ」
番外個体「ちょっと、また私を着せ替え人形にするの!?」
結標「いいじゃない、何を着ても似合うんだからさ、何を着ても」
番外個体「この前の買い物でゴスロリ着せられた時、帰ったら死のうと思ったんだけど」
結標「えー、可愛かったわよ?」
白井「結標さん、お言葉ではありますが……」
番外個体(助かった?)
白井「大きいお姉様にはこちらの方がお似合いかと」スチャ
番外個体「!?」
結標「あら、いいじゃない。これから暑くなるんだし、これぐらいは許容範囲よね」
番外個体「これ服なの? 水着じゃないの?」
白井「? 水着はもっと露出が激しいものですの」
番外個体(この子にとって、水着ってのは絆創膏かなにかなのか……?)
結標「サイズはどう?」
番外個体『サイズとかいう前に布が少ない』
白井(なんだかんだ言いながら試着なさいますのね……)
結標「わがままさんねー、じゃ今度こっち試着してみなさい」
番外個体「プリントTシャツ? これはマシd……淡希、これ書いてる言葉の意味分かってる?」
結標「ロシア語なんて分かる訳ないじゃない」
白井「どういう意味ですの?」
番外個体「……言わなきゃダメ? さすがの私でもコレは……」
結標「えー、気になるー、教えてよー」グイグイ
白井「もったいぶらずに教えてくださいな」グイグイ
番外個体「あなたたちねぇ……」プルプル
婚后「あら、この子いいお顔立ちですわね」ナデナデ
滝壺「かわいいね、オッドアイなんだ」
絹旗「西洋人形ですか……夜中に泣いたり髪が伸びたりしそうで超怖いです」
婚后「それは偏見ですわ。泣いたり髪が伸びたりするのは、魂が宿り心が通じ合った証拠ですのよ」
滝壺「こんごう、こっちの子見て、双子なのかな」
婚后「あら、同じオッドアイなのに配色が逆? 双子さんのようですわね」ホワーン
絹旗「……うっは、なんですか、なんでこんな値段するんですか」
婚后「これなら安いほうですわ。有名作家の作となると新車一台買えるぐらいしますのよ」
絹旗「新車って……」
滝壺「きぬはた、この双子、私達の部屋に一つずつ置こうか」
絹旗「イヤですぅ! 超怖いですぅ!」
婚后「この可愛さが分からないなんて……」
絹旗「超精巧で生きてるみたいで、逆に怖いんですよ……お、おお? あれはもしや」フラフラ
滝壺「きぬはた?」
絹旗「(*゚∀゚*)」
婚后「アートポスターですか? 古い映画のものを揃えていますのね」
滝壺「あ、この映画みたことある」
絹旗「滝壺さん、超お目が高いですね。この映画は―(5分経過)―で、監督の表現したいこと―(10分経過)
それでもって、こっちのポスター―(15分経過)―主役の演技がですね―」
滝壺(きぬはたの病気が始まっちゃった)
婚后「き、絹旗さん、そろそろ皆さんと合流しませんと」
絹旗「むう、まだ超喋り足りないのですが……仕方ないですね」
:
:
:
海原(超暇ですね)
~スパリゾート安泰泉 レストラン街~
番外個体「うう……また遊ばれた……身体を弄ばれた……」ブツブツ
婚后「ミサワさんから黒いオーラが出てるのですが……」
結標「気にしないでいいわよ、その内元に戻るから」
滝壺「ご飯何にしようか」
絹旗「たまには焼肉とかどうですか。最近家にいると菜食中心ですし」
白井「カロリーが気になりますが、たまにはいいかもしれませんの」
海原「では、そこのお店などどうでしょう。食べ放題だそうですよ?」
絹旗「超決定です。いきましょう」
~とある焼肉店~
結標「」バシッ
番外個体「ふぎゃっ。な、なんで急に頭はたくのさ!」
結標「このバカ! タレから網に乗せるなんて何考えてるの!」
番外個体「?」
結標「ああ、もう、ほら貴女はニンジンだけ食べてなさい」ヒュンヒュン
番外個体「ちょ、やめて! 私の皿に座標移動しないで! ごめんなさいごめんなさい!」
絹旗(まさか焼肉奉行だったとは)
滝壺(ここは逆らっちゃ駄目)
海原(結標さんの本領発揮ですね)
白井(大きいお姉様……運転までなさったのに、報われませんの……)
婚后(これが焼肉パーティ……弱肉強食の世界ですのね)
番外個体「わー、私のお皿にニンジンがいっぱい」
白井(だいぶ克服してるようですわね……レイプ目じゃありませんの……チッ)
海原(僕としたことがカメラを忘れてくるとは)
滝壺「むすじめ、ここらへんのは食べても平気?」
結標「……うん、よさそうね」
滝壺「きぬはた、ほら、食べて食べて」ヒョイヒョイ
絹旗「あ、滝壺さん、お気持ちは超ありがたいのですが……私、臓物は」
滝壺「きぬはた」
絹旗「」ゾクッ
番外個体「絹旗さん、お互い頑張ろっか」ポリポリ
絹旗「うぅぅ……超どうしてこうなった」モギュモギュ
婚后(あら、内臓というのも美味なのでございますね、斬新ですわ)モギュモギュ
~スパリゾート安泰泉 ゲームセンター~
滝壺「あ、ガンシューティングだ」
結標「これ、みたことないわね。新作かしら」
番外個体「ね、やってみていい?」ウズウズ
絹旗「あ、私も。超やりたいです」ウズウズ
海原「どうぞどうぞ、ぜひ腕を披露してください」
番外個体「足ひっぱらないでよ?」チャリン
絹旗「それはこっちのセリフです」チャリン
白井(大きいお姉様、銃を構える姿が様になってますの///)
滝壺「きぬはた、頑張って」
<Mission start!!
番外個体「」ドカドカドカドカドカドカ
絹旗「」ドカドカドカドカドカ
婚后「すごい……百発百中ですのね」
海原(このお二人の構え方……実弾を撃ったことがあるようですね)
<Stage clear!!
番外個体「やるじゃん」
絹旗「そちらこそ」
白井「……この分ですと、オールクリアまでかかりそうですの」
結標「ちょっとその辺を見てきましょうか」
:
:
:
婚后「まあ、あのヘビの縫いぐるみ、なんと愛らしい……///」
結標「UFOキャッチャー? よかったらとってあげましょうか?」
婚后「まあ、よろしいんですの?」
結標「お安い御用よ(ヒュン)はい」つ乙
婚后「」
滝壺「むすじめ、それは犯罪」
婚后「結標さん、今回はお気持ちだけ……中に戻してくださいな」
婚后「むー……わ、わかったわよ。じゃ、せめてとりやすい位置に……」
滝壺「ダメだよ、むすじめ」
番外個体「なーにやってんのさ」
絹旗「UFOキャッチャーは超つぎこんでナンボですよ」
結標「あら、終わったの?」
絹旗「はい、エンディングまで到達しました」
海原「まったく、見事な腕前です。いいものを見させて頂きました」
白井「大きいお姉様の勇姿を堪能できましたの」ホワーン
番外個体(なにこの子こわい)
滝壺「ねえ、きぬはた、あれやってみたい」
絹旗「あれ? プリクラですか?」
結標「この人数だと厳しいでしょ」
海原「僕を抜きにしても6人……キツイですね」
滝壺「じゃダメだね。今回は諦めよう。全員じゃないと意味ないし」
海原「滝壺さん……」ジーン
結標「いい感じに疲れたし、そろそろお風呂いきましょうか」
滝壺「そうだね、帰りの時間を考えると丁度いい頃かも」
白井「それじゃまいりますの」
婚后「広いお風呂なんて久しぶりですわね」
海原「お、どうやらこっちのようですよ」
番外個体「ちょっと待った。なんで海原さん来てるの?」
海原「? この期に及んでハブられるんですか? 流石に傷つきますよ」
絹旗「いや、こっち女湯なんですが……」
海原「……あ、失礼。僕は向こうですね、ははは」
結標「……海原、貴方まさか」
海原「違いますよ! 流れで付いてきてしまっただけです!」
女性陣「……」ジトー
海原「あっ、じゃあ、僕は向こうに。また後ほど、ごゆっくり!」ピューッ
結標「……気を取りなおして、入りましょうか」
~女子脱衣所~
婚后「ええと、このリストバンドの数字がロッカーの番号でしたわね」
番外個体「……なんで私だけこんなかけ離れた数字なの」
絹旗「超偶然ですよ」
番外個体「まあ、そうなんだろうけど……じゃ、私向こうだから」ノシ
白井「また後ほどに」
滝壺「私たちも早く準備しよう」
結標「そうね、なんだかんだ言って楽しみだったしね」
結標「ゴメンなさい、髪まとめないといけないから先行ってて」シュルシュル
白井「あ、わたくしもですの」
婚后「申し訳ありません、わたくしも」
滝壺「いいよ、待ってる」
絹旗「長いといろいろ大変ですね」
滝壺「それにしても、むすじめとしらいは髪解くと別人だね」
白井「こういう時でもないと下ろしませんものね」
絹旗「そういえばミサワさんは日によって下ろしたりまとめたりしてますね」
結標「単に気分でしょ、あの子の場合は」
番外個体「っくしゅん」
~男性チーム~
海原「おや、思ったよりも空いているんですね」
海原「ええと、確か日本のお風呂は……最初にかけ湯というものをするんでしたね」
海原「うん? かけ湯とありますね、これを使えばいいのでしょうか」
ザバァ
海原「あづぁーーーー!?」
海原「熱い熱い……油断できませんね、こんなところにトラップとは……」
海原「おや? "熱いので水でうめてご利用ください"?」
海原「ははは、これはやられてしまいました」
~女性チーム~
番外個体「入り口から一番遠いロッカーってどういうことよ……」ペタペタ
番外個体「さすがにもうみんな中にいるだろうなぁ」
ガラッ
結標「あら、やっときたのね」
滝壺「遅かったね」
番外個体「なんだ、意外と空いてるんだね」
滝壺「時間もだいぶ遅くなってきたしね」
白井「!(大きいお姉様……なんとスレンダーな///)」
絹旗「ミサワさんもちゃっちゃと洗っちゃってください」ワシワシ
白井(これはよりお近づきになるチャンス!)
白井「大きいお姉様ー、お背中お流しいたしますの♪」
番外個体「し、白井さん? いや、そこまでしてくれなくても……」
白井「いーえー、大きいお姉様には運転もしていただいておりますし、労らないと罰が当たりますの」
番外個体「そう? じゃあ、お願いしようかな」
白井「お任せくださいな♪」
:
:
:
番外個体「前から気になってるんだけど、なんで私、大きいお姉様って呼ばれてるの?」
白井「は、それは……ごく個人的な事情ですの」
番外個体「(あっ、ツライ事聞いちゃったかな)まあ、いいけどさ」
番外個体「ところで何使って洗ってるの? タオルじゃないよね?」
白井「タオルで泡立てて、素手で洗ってますのよ。この方が肌が傷付きませんの」
番外個体「は、はぁ!? 素手!?」
白井「それにしても、キメの細かい肌ですの……ロシア美人というヤツでしょうか」
番外個体(そりゃ生まれてから一年も経ってないから、経年劣化してないだけだよ)
白井「ですが、髪の毛先は痛んでおりますわ、きちんとケアしませんと」クンカクンカ
番外個体「あんまり気にしたことないなー」
白井「これからは気になさってくださいな、一手間かけるだけでも違いますのよ?」クンカクンカ
番外個体「……ねえ、どうしたの? そんなに私の髪はいい匂いなのかなー?」
白井「(気付かれてた!?)あ、そ、その、はい……」
番外個体「ふふっ、白井さんってちょっと変わってるよね」
白井「よ、よく言われますの」
白井(それにしても、後姿はお姉様と瓜二つですのね)
白井「ちょっと失礼致しますの」
番外個体「ひゃっ!? 白井さん!?」
白井「? どうかされましたの?」
番外個体「い、いや、前は自分でやるからいいよ!」
白井「遠慮なさらにずに。乗りかかった船、毒を食らわば皿までですの♪」
番外個体「意味わかんn やっ、どこさわって……!」
白井(お胸はお姉様よりもありますのね……)モニュモニュ
白井「大きいお姉様、あまり動いたら転んでしまいますの」
番外個体「だったらやめ……ひゃう……ちょ、くすぐった……ぁ……!」プルプル
白井(ああ、今なら死も恐れませんの……///)ハァハァ
番外個体「(? 手がちょっとずつ下に……)っ! そ、そこはダメェ!!」ガシッ
白井「はっ」ピタッ
~男性チーム~
海原「あっ、すいません。ちょっと失礼しますよ」ザブザブ
海原「おっと、少々熱めですね」
海原「……はい? 僕ですか? いえ、今日は連れと来たんですが、全員女性でしてね」
海原「……うらやましい、ですか? ははは、そんなの幻想ですよ」
海原「現実には居場所がないわ吊るし上げられるわで大変ですよ」
海原「……え? でも楽しそうな顔してる? 僕がですか?」
海原「ふふ、それは否定できないかもしれません」
海原「? どうしたんです? なぜ皆さん、怖い顔をなさってるんですか?」
~女性チーム~
番外個体「……やりすぎ」
白井「も、申し訳ございません、ついつい……」シュン
番外個体「……ねえ……もう流していいよね?」
白井「あっ、そ、そうですわね。では、シャワーを……」
白井(お姉様よりも忍耐強いお方ですの……良いことを知りました)シャワワワ
番外個体「はあ……まあ、ありがとね。ほら、次白井さんの番」
白井「はい?」
番外個体「されっぱなしもヤだからね。さあ、座った座った」
白井「で、では、お願いしますの」
白井(まさか! まさか大きいお姉様に流していただけるなんて!)
番外個体「かゆいところはないですかー」ゴシゴシ
白井「もっと優しく……できれば素手で」
番外個体「調子に乗らない」
:
:
:
番外個体「じゃ、あと流すからねー」
白井「あの、大きいお姉様……前がまだですの」
番外個体「」
白井「前がまだですの」
<いい加減にしろ(ビリッ)
<きゃぅっ
絹旗「さて、いい雰囲気の二人は超ほっといて、先にお湯に入っちゃいましょうか」ドボーン
滝壺「なかよしだね、あの二人」チャプ
婚后(前からうすうす思ってましたが……もしや白井さんは女性に……?)
結標(……滝壺さんて、普段の服装じゃ分からないけど立派なものをお持ちなのね)ジー
滝壺「? むすじめ? どうしたの?」
結標「あっ、ごめんなさい、なんでもないの」
絹旗「」ジー
結標「絹旗さん?」
絹旗「あの……いったい何をしたら、そんなに胸育つんですか?」
滝壺「さあ?」
婚后「気が付いたらなってましたわね」
結標「婚后さんってまだ中3でしょ? 中3でそれは反則よね」ツンツン
婚后「やっ、急に触らないでくださいな」
絹旗「……超くやしいです」
婚后「ま、まあ、これは個人差ですわよ。それほど気に病むこともありませんわ」
滝壺「妊娠すると大きくなるらしいよ」
絹旗「滝壺さん、それは色々とすっ飛ばしすぎです!」
結標「牛乳飲んだり適度な刺激を与えたりするといいかもね」
絹旗「適度な刺激……マッサージとかですか」
結標「誰かにさわってもらえばいいんじゃない?」クスクス
絹旗「誰か……誰かといいますと……」
<大きいお姉様ー、もっとお優しく……
<変な声出さないでよ! 誤解されるからぁ!
絹旗「……私もあそこに混ざれば」
結標「アレはやめときなさい」
絹旗「」ムニムニ
滝壺「結局自分でやるんだね」
結標「絹旗さんはまだ望みがあるわよ、年齢的に考えて」
絹旗「そ、そうですかね……」
婚后「大丈夫ですわよ、同い年の白井さんよりはあるのですから」
白井「そ、そうですよね!」
番外個体「んじゃいい加減ながすよー」シャワワワ
白井「びゃーー!?」
番外個体「えっ……? あ! ゴメン! 水だった!」
白井「」gkbr
~男性チーム~
海原「ふう……いいお湯ですね」
海原「……おや? ミストサウナがあるのですか」
海原「どれ、ちょっと入ってみましょうか」
ガチャ
海原「すいません、おじゃましm」
怖い兄ちゃんA「」ジロリ
怖い兄ちゃんB「」ギロリ
怖い兄ちゃんC「」チラリ
怖い兄ちゃんD「」セロリ
海原「すいません、おじゃましました」
バタン
~女性チーム~
番外個体「寝るなー、しっかりしろー」
結標「……なんで貴女、一糸纏わぬ白井さんをお姫様抱っこしてるのよ」
番外個体「ミスって水ぶっかけちゃった」
絹旗「ああ、だから超震えてるんですね」ムニムニ
白井「」gkbr
滝壺「待って、いきなりお湯にいれたら心臓マヒ起こすかも」
番外個体「若いんだから平気でしょ」
結標「その発言、オバサンっぽいわよ」
番外個体「オバっ……」ガビーン
ドボン
滝壺「あ、しらい落とした」
婚后「白井さん、しっかりして下さいまし」ザバァ
白井「……っは、わたくしはいったい……」
:
:
:
白井「死ぬかと思いましたの」チャプ
番外個体「そしたら私の能力で人間AEDしてあげる☆」
白井「ちょっと冷水シャワー浴びてきますの」
結標「やめなさいよ、バカ」
絹旗「」ムニムニ
滝壺「」フニャー
婚后「滝壺さん、のぼせそうですわ。そろそろあがりましょう」
滝壺「うん」
結標「私たちもあがりましょうか。ほら絹旗さん、いつまでやってるの」
絹旗「……これで少しは」
結標「そんなすぐ変わる訳ないでしょ。こういうのは継続が大事なの」
番外個体「あれ? もう出るんだ?」
結標「ええ。貴女たちは後から来たんだし、もう少しイチャついてていいわよ」
番外個体「私はノーマルだよ!」
白井「まぁまぁ、照れてるお姿も魅力的ですの///」
番外個体「ちょっと、抱きつかないでよ!」
結標「それじゃ、ごゆっくり」ノシ
<こら、はーなーれーろー!
<いーやーでーすーのー
絹旗「」ゴキュゴキュ
結標(さっそく牛乳飲んでるのね……)
婚后「絹旗さん、喉が渇いてるのはわかりますが、タオルぐらいまかないとダメですわよ」バサッ
絹旗「おお、これは超失礼しました」
滝壺「あ゛~~い゛~~」 ~【扇風機】ゴォー
結標「滝壺さん、そこ陣取ってたら他の人が使えないわよ」
絹旗「プハー、もう一杯」
結標「やめなさい、お腹壊すわよ」
<ちょっといつまでそうしてるのさ!歩きづらいんだけど!
<もう少し、もう少しだけですのー
婚后「あら? まだやってましたの」
番外個体「婚后さん、これ引き取ってもらえないかな」
婚后(御坂さんから離れてしまった反動でしょうか)
番外個体「はーなーれーてー、私のロッカー向こうだから!」
白井「うぅん、仕方ありませんの。今日はお姉様成分を補給できましたし……」
番外個体「まーったく、もう……それじゃ、また後でね」
白井「ああ、行ってしまわれましたの……」
結標「あまり疲れさせちゃダメよ。運転できるのはあの子だけなんだから」ペタペタ
婚后「それにしても、リフレッシュできましたわね」
白井「また来たいものですの(そして大きいお姉様と……グフフ)」
結標「そうね、2~3ヶ月に1回は来てもいいかもね」ペタペタ
絹旗「? 結標さん、さっきから何ペタペタしてるんですか?」
結標「乳液だけど……貴女たちは使わないの?」
絹旗「超使ったことないです」
滝壺「ないね」
白井「冬場で乾燥する日なら使いますが……」
婚后「普段使いはしませんわね」
結標(えっ、何この疎外感)
絹旗「」ゴォーッ
白井「ドライヤー終わったら貸してくださいな」
絹旗「超少々お待ちください」ゴォーッ
結標「婚后さんの髪、この長さでこのツヤなんて羨ましいわね。コツとかあるの?」
婚后「特にありませんわね。敢えて申し上げるなら……」ゴォーッ
結標「」メモメモ
婚后「実家のお母様が贈ってくださる特製シャンプーがいいのかもしれませんわ」
結標「……特製?」
婚后「ええ、詳しくは存じませんが、蜂蜜やらプロテインやらを私用に配合したものだとか……」
結標(セレブにゃ勝てねーや)
~スパリゾート安泰泉 休憩コーナー~
海原「お、みなさんいらっしゃいましたよ」
番外個体「あ、きたきた、遅いよー」
結標「いや、貴女やけに早いじゃない」
番外個体「? 身体ふいて服着るだけでしょ? どこに時間かかるのさ」
白井「……大きいお姉様、髪乾かしてませんの?」
番外個体「ほっときゃ乾くじゃない」
絹旗「結標さんみたいに、乳液とか化粧水とかパックとかもしていないんですか?」
結標「そこまでしてないわよ!」
番外個体「乳液? 化粧水?」
結標(そんな無頓着でも、このレベルを保てるなんて……ムッカつくー)
番外個体「?」
:
:
:
白井「大きいお姉様はまたコーヒーですのね」チュー
番外個体「白井さんだって、コーヒー牛乳飲んでるじゃない」
白井「ブラックコーヒーとコーヒー牛乳を同列に比べないでくださいな」
絹旗「」ゴキュゴキュプハー
滝壺「きぬはた、また牛乳?」
婚后「お腹によろしくないですわよ?」
結標「絹旗さん……牛乳ってね、意外とカロリー高いの」
絹旗「」
海原「みなさん、アイスをどうぞ。僕の奢りです」
絹旗「わ、私は超遠慮しておきます」
結標「あら、食べないの?」
婚后「いただきますわね、海原さん」
滝壺「(ガサガサ)ほら、きぬはたが大好きなビターキャラメル味があるよ」
絹旗「ぅ……」
番外個体「あー、冷たくてあまーい☆ あれー、絹旗さんは食べないのー?」
白井「お風呂上りのアイスは格別ですのよ♪」
結標「残念ねー、じゃあ、これは私がもr」
絹旗「ダメですぅ! 超ビターキャラメルは私のです!」
海原(みなさん、道連れを作ろうと頑張ってますね)
~帰宅路~
ブロロロロ...
絹旗「」スピー
滝壺「」スピー
白井「」スピー
結標「」スピー
海原(超居づらい)
:
;
:
婚后「」スピー
番外個体「ははは、孤独だ」
絹旗「」スピー
滝壺「」スピー
白井「」スピー
結標「」スピー
海原(暇だし、顔に落書きでもしましょうか)
キュッキュ
海原(絹旗さんの額に"内"。我ながらシュールですね)
:
:
:
番外個体「うん? うそ、渋滞?……地上に出るのに詰まってるのか……最悪」
婚后「」スピー
~2時間後~
婚后「あら、着きましたの……? ミサワさん、お疲れ様でした」
番外個体「チカレタ」
:
:
:
結標「んー、すっかり寝ちゃったわね」
白井「ブッ……絹旗さん……」プルプル
絹旗「?」
滝壺「おでこ、どうしたの?」つ【鏡】
絹旗「……なんですかこりゃぁぁぁ!」
海原「」コソーリ
絹旗「うーーーなばらぁぁぁぁ!!!」
海原「あっ……ハハハ、バレました?」
番外個体「ふー……外の空気が気持ちいいね」
婚后「夜風が心地いいですわ」
<まずは落ち着きましょ、ね?
<超ちっそパーーーーンチ!!
バリーーン
番外個体「……今、音速で飛んでいったのって海原さんだよね」
婚后「……きっと、気のせいですわ。人間が音速で飛ぶなんて有り得ませんもの」
番外個体「……そ、そうだよね。疲れてるのかな、早く寝よっか」
番外個体「むー、まずい。貯金がそこを突きかけてきた」
番外個体「"一方通行ブッチギリ☆大作戦"の任務準備金をそっくりネコババしたけど、
そもそも大した金額じゃなかったしね……」
番外個体「……そろそろ動かなきゃならないか」
番外個体「………」pipi pi
番外個体「……あ、もしもし。求人広告を見てお電話させて頂いたのですが……」
番外個体「はい、面接ですか? わかりました……はい、ではその時間で……」ピッ
番外個体「め、面接って、どんな服でいけばいいんだ?」
~数日後 番外個体個室~
番外個体「…………」
【携帯電話】
番外個体「…………」
[[携帯電話]] <ドーローローノーノーウーズーイー シャララシャカシャカ シャララシャカシャカ♪
番外個体「! はいっ、もしもし」
番外個体「はい、私です……はい……あ、ありがとうございます」
番外個体「……え? 明日からですか? だ、大丈夫です……はい、失礼します」
【携帯電話】ピッ
番外個体「……き、決まった……」
~翌朝 きぬはた荘 玄関~
番外個体「それじゃ行ってくるね。夜は先に食べてていいから」
滝壺「いってらっしゃい。頑張って」
バタン
トテトテトテ
絹旗「ふわぁ……おはようございまふ。ミサワさんはお出かけですか?」
滝壺「うん。今日からアルバイトだって」
絹旗「ミサワさんが……そういえば、前に病院代がどうとか言ってましたね」
滝壺「……無理はしないでほしいな」
絹旗(滝壺さんも体晶中毒に超苦しめられましたし、通じるものがあるのかもしれませんね)
~第7学区某所 隠れ家的喫茶店~
番外個体「今日からよろしくお願いします」ペコ
マスター「うむ、当店は常連以外の客はあまり来ない。固くならず、自然体でやるのである」
番外個体「は、はいっ」
マスター「それでは、説明に入るのである。まずは――」
:
:
:
番外個体(フヒー、覚悟してたけど、やっぱ大変だね)
番外個体(コーヒーの種類と淹れ方、レジの打ち方、掃除……覚えるだけで一杯)
番外個体(慣れてきたら軽食もやってもらうって言ってたな……こりゃ大変だ)
番外個体(さすがにケーキとパンを焼くのはマスターだけど)
<カランカラン♪
番外個体「いらっしゃいませー」
常連A「あれ? 新人さんかい?」
番外個体「はい、今日からお世話になるミサワと申します」
常連A「そうかいそうかい。ここのマスターは怖そうだけど、実は紳士だからさ。
分からないことがあったらどんどん聞くといいよ」
番外個体「は、はいっ」
常連A「あ、それと、私が"いつもの"っていったらツナトーストマヨネーズ抜きだからね。はっはっは」
番外個体「え? あ、はい」
マスター「Aさん、うちの店員に手を出すのはやめて頂きたい」
常連A「おお、怖い怖い。あ、いつもの一つね」
:
:
:
番外個体(……こういうお店って、コーヒー1杯で1~2時間は普通なんだね)
番外個体(回転率わっるいなぁ……)
<カランカラン♪
常連B「ごめんくださいな、いつもの一つね」
番外個体「いらっしゃいませー。あの、いつものっていうのは……?」
常連B「おやおや、新人さんかい? 私の"いつもの"はケーキセットBとバタークッキーだよ」
番外個体「かしこまりましたー」
番外個体(……まさか、常連の人数分だけ"いつもの"を覚えなきゃいけないの? ありえねー)
~昼休み~
番外個体「なんか作って昼食にしていいって言ってたな……」
番外個体「どうしようか」ガサゴソ
番外個体「あれ? この卵、賞味期限明後日までだ」
番外個体「これでいいや、目玉焼きトーストにでもして……」
:
:
:
番外個体「はー、分かってたけど立ち仕事は大変だ」マグマグ
番外個体「でもマスターも最初はガチムチで怖そうだと思ったけど、結構優しいし」
番外個体「頑張れそう、かな」
~午後の部~
番外個体「…………」ポケー
番外個体(昼過ぎたら一気に暇になっちゃった)
番外個体(食器……全部洗った。仕込み……終わってる。掃除は……閉店後)
マスター「…………」
番外個体(マスター、新聞読み始めたよ)
番外個体「…………」
マスター「ミサワさん、ちょっとよいか」
番外個体「はい、なんでしょう」
マスター「客もいない時間帯なので、買い物にいってもらいたい。
買う物はここにリストアップしているのである」つ□
番外個体「わかりました、いってきまーす」
~第7学区 大通り~
番外個体(この辺にスーパーなんてあったかな……)
番外個体(一番近いところであそこのスーパーか……そこでいいや)
番外個体「さあ、行こ行こ」トタタタ
:
:
:
番外個体「ええと、なんだっけな……」ガサガサ
番外個体「卵 20個、小麦粉 たくさん、レタス 1玉、ベーコン、ヨーグルト……」
番外個体「……たくさんってなんだよ」
番外個体「……うん、これで全部」
番外個体「あ、すいません、領収書ください」
番外個体「はい? 名前? あー……ミサワで。片仮名でいいです」
~その頃~
一方通行「ったく、なにが"終わったら迎えにこい"だァ」
一方通行「病院ぐらいもう一人で行けるだろォが……」
一方通行「……まあ、たまにゃガキの我侭に振り回されるのも悪くねェか」
一方通行「おォ? ンなところに喫茶店なんてあったか?」
一方通行「時間つぶしにゃ丁度いいか」カランカラン
マスター「いらっしゃい」
一方通行「ホット一つな」
マスター「銘柄は」
一方通行「あー……マンデリンってあるかァ?」
マスター「了解した。空いてる席に座って待っているのである」
一方通行(この威圧感……なにもンだ、こいつは)
:
:
:
番外個体「お、重い……しかも、卵割らないように運ばないと……」
番外個体(小麦粉20kgは買い過ぎだったかな)
番外個体「はー、もうちょいだ……」
一方通行(ン、そろそろ時間だな)
一方通行「ごっそさン、いくらだァ?」
マスター「260円になるのである」
一方通行「はいよォ」チャリ
マスター「うむ、たしかに」
<カランカラン♪
番外個体「ただいまもどりましたー」
一方通行「……オマエは」
番外個体「え……えっ?」
番外個体「……一方通行……」
番外個体(なっ、なんでいるの!? 会ったとき何から話すかまだ決めてないよ!)
マスター「ああ、ミサワさん、買い物ご苦労であった」
番外個体「えっ、あ、はい」
一方通行「あァ、悪ィ。邪魔しちまったみたいだなァ」
<カランカラン
番外個体「あっ……(行っちゃった……)」
マスター「……?」
:
:
:
一方通行「……なァ、ワーストってやつ、覚えてるかァ?」
打ち止め「もちろん覚えてるよ! お姉様よりもお姉様なミサカだよね、ってミサカはミサカは即答してみる」
一方通行「アイツが今どこでなにしてるか、わかるかァ?」
打ち止め「うーん、無理かも。ロシアにいたときにあなたの脳波操作とミサカからの最高位命令で、
MNWから強制遮断してからは一度も繋いでないみたいだから、ってミサカはミサカはちょっと心配」
一方通行「だよなァ」
打ち止め「それに、それを言い出したのはあなただよ? ってミサカはミサカは指摘してみたり」
一方通行「アイツの脳はMNWから負の感情を拾いやすいよォにできてンだろォ?
だったら接続しなきゃいいだけの話だ」
打ち止め「失敗したら脳が損傷して再起不能になる恐れもあったのに、ってミサカはミサカはあなたの大胆さに驚き」
一方通行「いいだろォ、アイツが望んだことだ。憎しみに支配されたまま生きても面白くねェだろォ」
打ち止め「うん、番外個体って本来の性格はイタズラっ子だったよね! ってミサカはミサカは懐かしんでみたり」
一方通行「まァな……(アイツ……ンなとこで何やってたンだ?)」
マスター「今日はそろそろ閉店である。お疲れ様であった」
番外個体「はい、お疲れ様でした」
:
:
;
番外個体「はぁ……」コツコツ...
番外個体(初日からこんなことになるなんて)
番外個体(会いたいと思ってたのに、いざ会うと何もできなかったな)
番外個体(……いや、私は会って何がしたかったんだろう)
番外個体(……会えるだけでいい? 違う……私は何がしたいの?)
番外個体「あーもう、ムカつく……自分が超ムカつく」グシャグシャ
~同日深夜 番外個体個室~
番外個体「……はあ」
結標「さっきから鬱陶しいわね、なんなのよ」
番外個体「うーん、なんだろうね。自分でもよく分からない」
結標「……なに、恋する乙女みたいなこと言ってるのよ。らしくもない」
番外個体「こ、恋!? いや、そんなんじゃ……」ワタワタ
結標「え、なに、まさか図星なの?」
番外個体「あ、う……どうなんだろう」
結標「なになに、お姉さんに詳しく話してみなさい」wktk
番外個体「同い年でしょ……なんか面白がってない?」
結標「ぜーんぜん」
:
:
:
番外個体「……ということなんだけど」
結標(一方通行なんかに会うためにロシアから? 大した行動力ね)
番外個体「やっぱり変だよね」
結標「それは貴女、恋ってやつよ」
番外個体「恋? そうか、これが恋……いや、なんか違うような」
結標「違うの?」
番外個体「人を好きになるって、どういうことかよく分からないけど……」
番外個体(そもそも、恋とか愛って概念がよく分からない……)
結標「なら、憧れって表現の方が近いかしらね」
番外個体「憧れ? 好きってことと違うの?」
結標「好きと憧れの違いは難しいわよ。その気持ちの持ち主ですら分からないものなんだから」
番外個体(こんなの、学習装置も教えてくれなかった……)
結標「貴女はさ、抱きしめてほしいとかキスしてほしいとかほっぺすりすりしてほしいとか思ってる?」
番外個体「んなっ///」ボシュッ
結標(あーもう、可愛いなぁ)
結標「ほらほら、どうなの?」
番外個体「そ、そこまでは……そりゃしてくれたら嬉しいかもしれないけど……」
番外個体「私はただ、あの人のようになりたいなって……」
結標「それじゃない」
番外個体「?」
結標「あの人のようになりたい、自分にはない物を持つ人に対する憧れでしょ?」
結標「人によってはそれを恋と言うのかもしれないけどね」
番外個体「自分にはない物……そっか、私は……」
:
:
:
結標「それじゃ、私はそろそろ部屋に戻って休むわ」
番外個体「あ、うん、遅くまでありがとね」
結標「ちょっとはお役に立てたかしら?」
番外個体「さっきまで頭の中ドロドロだったけど、今はスッキリしたよ」
結標「それはよかったわ。……じゃ、頑張りなさい」ウィンク
<バタン
番外個体「…………」
番外個体(なんで分かんなかったんだろ……)
番外個体(ロシアであの人に助けられたとき)
番外個体(最終信号のために形振り構わないあの人を見たとき)
番外個体(溜め込んだ憎悪を押しのけるぐらいに強く、実感してたハズなのに)
番外個体(あの時、離れたくないと思ったのも、きっと)
番外個体「ふー……」カシュッ
番外個体「私がブラックコーヒー飲み始めたのは、離れた直後からだったね」クスクス
番外個体「……近付きたいから……」
番外個体(……ちゃんと伝えよう)
番外個体(いまさら多くは望まないから……せめて、これだけは)
~結標個室~
結標「あーあ、らしくもないこと言っちゃったわ」ゴロン
結標「ブラックコーヒーでもやし……じゃなくて、もしやとは思ってたけど、まさかドンピシャとはね」
[[携帯電話]]<アイシアウー フターリー シーアワセノーソラー♪
結標「? 真琴から?」ピッ
差出人:三澤真琴
<m-worst@comodo.ne.jp>
件名:
日付:20yy/m/d 23:40
───────────────
さっきはありがとね、だいぶ自分
の気持ちを整理できた気がする
今度、私がバイトしてる店で何か
奢るからね
結標「ふふ、余計な気使ってるんじゃないわよ」
結標(この場で一方通行の連絡先をリークしてもよかったんだけど)カチカチ
結標(想い人の連絡先は自分でゲットしてナンボよ)カチカチ
結標「送信、っと」
差出人:あわきん
<move_point@comodo.ne.jp>
件名:Re:
日付:20yy/m/d 23:48
───────────────
じゃ、アイスカフェオレとレアチーズ
ケーキね
~一週間後 隠れ家的喫茶店~
<カランカラン♪
番外個体「いらっしゃいませー♪」
常連A「おっ、ミサワちゃん、だいぶ営業スマイルが定着してきたね」
番外個体「営業じゃないんですけどねー。"いつもの"でいいですか?」
常連A「いや、ミサワちゃんのためにも売り上げに貢献しないといけないね。
今日はピザトーストとアイスコーヒーにしておこう」
番外個体「はぁい、少々お待ちくださーい」
<カランカラン♪
番外個体「いらっしゃいませー♪」
結標「はーい、来たわよ」ノシ
番外個体「げっ」
結標「何よ、その反応」
:
:
:
<カランカラン♪
番外個体「いらっしゃいませー♪」
一方通行「……やっぱ本物だよなァ」
番外個体「あ、また来たんだ」
一方通行「おィ、それが客に対する反応ですかァ?」
番外個体「ご注文は?」
一方通行「ホット一つ、マンデリンなァ」
番外個体「はーい、少々お待ちくださーい」
番外個体「お待ちどうさま」カチャ
一方通行「はいよォ」
番外個体「……ね、私もうちょいで昼休みなんだけど」
一方通行「だからなンだよ」
番外個体「ちょっと付き合ってくれない?」
一方通行「……チッ、メンドクセェ」
~しばらく後 とある公園のベンチ~
一方通行「でェ? なンの用だ?」
番外個体「…………」
一方通行「おィおィ、呼び出しといて黙秘ですかァ?」
番外個体「……一方通行」
一方通行(コイツ……しばらく見ねェうちにいい顔つきになったな)
一方通行「ンだよ」
番外個体「私、あなたに会いたくてロシアからここまで来たんだよ」
一方通行「へェ? 随分と物好きなこって」
番外個体「茶化さないで聞いて!」
一方通行「……悪ィ」
番外個体「それでね……なんで会いたいと思ったのか、この間まで分からなかった」
一方通行「……そンで?」
番外個体「ようやく分かったんだよ、あなたに対する私の気持ち」
一方通行「……一応聞いといてやらァ、満足いく答えが返ってくるとは限らねェがなァ」
番外個体「……そう。なら、単刀直入に言うね?」クスッ
番外個体「私、あなたの生き様をもっと見ていたい」
一方通行「なに?」
番外個体「だから、せめて、見えるぐらい近くに居たくて……」
一方通行「っ……」
番外個体「付き合えとか彼女にしろとか、それは分不相応だって 「おィやめろ」
一方通行「……本気で言ってンのか? 俺がテメェにどんな仕打ちしたか忘れたのかよ?」
番外個体「……最終信号を助けるために、私と闘ったんだよね」
番外個体「私が腕を折られたのも、何回も殴られたのも、そのためだよね」
番外個体「でも……最後には敵である私のことも助けてくれて」
番外個体「用済みになって処分されるしかなかった私を受け入れてくれたでしょ」
一方通行「…………」
番外個体「過去のあなたが何をしたのか、知らないワケじゃないよ」
番外個体「でも、私が実際に間近で見たあなたは、命を懸けて大切なものを護ろうとする不器用な人」
番外個体「壊すための存在として造られた私とは真逆の存在」
番外個体「そんな私でも、出来るのなら……」
番外個体「あなたみたいに、生きてみたいんだ」
一方通行「……へっ、やっぱ物好きだわ、オマエ」
一方通行「どこぞのヒーローとか、オマエのオリジナルとか、他に手本になりそうなヤツァいるだろォよ」
番外個体「かもね。でも、私が心を動かされたのはあなただけだよ」
一方通行「……そォかい。だったら好きなようにしやがれ」
一方通行「だがよォ、一つだけ気に食わねェな」
番外個体「な、なにかな?」
一方通行「自分のことを"造られた"とかいうのは金輪際やめろ」
番外個体「え、だって私は本来なら生まれt 「うるせェ!」
一方通行「ンな下らねェこと言うために命張って負の感情から開放されたのか? 違ェだろ?」
一方通行「こっちゃテメェが生まれた経緯なんざ知らねェし、興味もねェンだよ」
一方通行「テメェがテメェの意思でもってここで生きてる、それだけありゃ十分だろォ」
一方通行「少なくとも俺は……テメェのことを模造品だとか作り物だとか思ってねェ」
一方通行「二度と自分を軽く見ンじゃねェぞ。分かったなァ?」
番外個体「……一方……通行……」ポタポタ
一方通行「ばっ……オマエ、泣くヤツがあるかァ!」
番外個体「うっ……だって、私……ふぇ……ごめんなさい……」ガシッ
一方通行(こォいうのは俺の役じゃねェンだがな……今だけだぞ)ナデナデ
――世界の全てを憎んでいた。憎む以外の接し方を知らなかったから。
死ぬまでのごくごく短い人生、目に映る物全てに憎しみを抱いて生きていく、ハズだった。
そんな私が、騒々しい同居人達と騒ぎ合い、静かなカフェの店員をしている。
世界にとってイレギュラーな存在の私が、普通の日常を送れるようになった。
その何もかもは――
番外個体「あなたのせいだ……」ギュッ
――生き方を選ぶ自由があるのなら、この人のように生きてみたい
:
:
:
一方通行「落ち着いたかァ?」
番外個体「うん……なんとかね」
番外個体「あ、そうだ、一方通行ちょっといい?」
一方通行「あァ? まだなンかあンのか?」
番外個体「」スッ
一方通行「? (ンで顔を近づけてきやがる?)」
番外個体「……少しの間、じっとしててね」
一方通行「あ? あァ」
番外個体「」グッ
番外個体「かみなりパーンチ」ビリバキッ
一方通行「がっ……!?」ビターン
番外個体「ロシアであなたにボコボコにされた分はこれでチャラね。
女の子を加減なしで殴った罪は……あれ?」
一方通行「」ピクピクッ
番外個体「え、ウソ……一発で?」
:
:
:
一方通行「いってェな! ンとによォ!」ズキズキ
番外個体「ごめんにゃさーい。まさか一発でのびるとは思ってなかったもん」
一方通行「こンのやろォ……もォ一回、体内電流と脳波いじって性格矯正する必要がお有りですかァ?」
番外個体「遠慮しときますぅ。むしろそれ、自分にやったら? そのひねくれた性格にさ」
一方通行「余計なお世話ですゥ」
番外個体「そうだ! そんなことより連絡先教えてよ」
一方通行「……しょォがねェなァ。携帯だせ」つ□
番外個体「はいはい……うん、通信完了」つ□ pi
一方通行「……あ? おィ、この三澤真琴ってのは誰だァ?」
番外個体「あ、それ私。学園都市IDゲットしたの」
一方通行「え? マジ? ンなことできンの?」
番外個体「カードもあるよ、ほら(スチャ)ミサカワースト、でミサワね」
一方通行「ミサカじゃねェのな。……あァ、だから一人称も矯正したのかァ」
番外個体「うん、そんなとこ……ねえ、何あなたのこのメルアド」
一方通行「うっせェなァ! クソガキが勝手に設定しやがったンだよ!」
番外個体「これはないわー」プギャー
一方通行「…………」ヒクヒク
一方通行「……あ、そ、そォいや、今日のコーヒー、オマエが淹れたんだろ?」
番外個体「? そうだけど、なんで分かったのかな」
一方通行「クッソ不味かったからなァ。この店は客に泥水を出すのかと思ったぜェ」ケラケラ
番外個体「は、はぁ!? やっぱあなたサイテーだ! 謝れっ! あなたを追ってロシアからやってきた私に謝れっ!」ポカポカポカポカ
一方通行「また近いうちに顔出すからよォ、それまでに腕上げとけ」ガシガシ
番外個体「っ……ちょ、髪グシャグシャになるでしょ……///」
一方通行「ン……そろそろ時間だわ。クソガキ迎えにいかねェと」
番外個体「クソガキって最終信号? 元気にしてる?」
一方通行「元気すぎてウゼェぐらいだ。……テメェのこと心配してたぞ、たまにゃァ子守でもしてやってくれ」
番外個体「そっか……分かった。その内ねって伝えといて」
一方通行「気が向いたらなァ」ノシ
番外個体「うん、またね」
一方通行「……おィ」
番外個体「?」
一方通行「なンかあったらいつでも連絡してこい。気分次第で手を貸してやらねェこともねェ」
番外個体「そう? じゃ、頼りにさせてもらうね」クスッ
一方通行「ンじゃな」
番外個体「……素直じゃないよね、お互いに」
番外個体「ありがとね、一方通行」
番外個体「…………さて、と」
番外個体「店に戻らないとね」
~同日夜 番外個体個室~
番外個体「…………」
【携帯電話】
番外個体「…………」
[[携帯電話]] <トーキヲカーケー アナターノ スーガタサーガーシ イーキテーキタ♪
番外個体「きたっ!」ピッ
□ 新着メール 1件
番外個体「……メールだとキャラ変わるんだね」クスクス
番外個体「なんか嬉しいな。あの人のこと、また一つ知れたみたいで」カチカチ
番外個体「送信、と」ピッ
⇒ メールの送信を完了しました
絹旗「さて……滝壺さんに頼まれてた仕事を終わらせますか」
絹旗「裏庭の掃除でしたね、ええとホウキは……」ゴソゴソ
~きぬはた荘 裏庭~
絹旗「考えてみたら裏庭なんて普段使いませんね」ザッザッ
絹旗「どうりでゴミやら落ち葉やら、超たまってる訳です」ザッザッ
絹旗「む、空き缶? 誰ですか、人の家に投げ込んだバカは」
トスン
絹旗「? 頭上に何か落ちて……?」
絹旗「」
絹旗「ぎゃーーー!! 虫ーーーーー!!!」
:
:
:
絹旗「あぅぅ……この格好は失敗でした」
絹旗「脚を蚊に刺されまくり……かゆいです、超かゆいです」
ガサガサッ
絹旗「? 何かいるんですか」
ガサッ
絹旗「こっちから……?」
絹旗「どちらさんですか?」トテトテ
シュバッ
絹旗「え? あっ……」
~同日夜 きぬはた荘 リビング~
番外個体「もうすぐメシだぞー」ガンガンガンガン
滝壺「あれ? きぬはたは?」
白井「靴はありましたので、自室にいらっしゃるのでは?」
婚后「具合でも悪いのでしょうか?」
海原「そんなまさか、元気だけが取り柄の方ですよ」
結標「それ、本人が聞いたらタコ殴りにされるわよ」
番外個体「見てこようか?」
滝壺「みさわは夕飯の支度があるから。私が行ってくるよ」
コンコン
滝壺「きぬはた、もうすぐご飯だけど大丈夫?」
絹旗『た、滝壺さん!? はい、超「フニャー」大丈夫です!』
滝壺「……?」
絹旗『あっ、こら! 布団をかじっちゃダメですよ!』
滝壺「??」
絹旗『痛い! 痛いです! 頭に登らないでください!』
滝壺「???」
絹旗『あ、滝壺さん! 超すぐに行きますので!』
滝壺「? うん、わかった」
~夕食~
結標「ねえねえ」ツンツン
番外個体「?」
結標「想い人には告白したの? 返事はどうだった?」
番外個体「」ブーッ
白井「んなっ!? お、大きいお姉様、どういうことですの!」
海原「なんと……ミサワさんにもそんなお相手が……?」
番外個体「ちょ、な……淡希、バラすなって約束だったよね!?」
結標「そうだったかしら?」
白井「是! 非! 詳しいお話を聞かせてほしいですの!」
結標「いいじゃない、私としてもあの第1位がなんて返したか気になるし」
海原「なん……だと……」
番外個体「」プルプル
<ワーワー
<ギャース
<ギャフン
婚后「あら? 絹旗さん、髪に何かついてますわよ……これは、動物の毛?」
絹旗「ち、ちょ、超違います! 白髪です! 最近増えてて困ってるんです!」
婚后「え……白髪、ですか……?」
絹旗「超白髪です!」
婚后「は、はあ……大変ですのね」
滝壺「……」
番外個体「あーわーきー!」グリグリ
結標「やっ、痛い痛い!」
白井(こんなときでも無闇に電撃を使わないあたり、お優しい方ですの///)
海原「だい……いちい……」ポカーン
~きぬはた荘 キッチン~
番外個体「まーったく、もう……」カチャカチャ
滝壺「ねえ、さっき何の話してたの?」フキフキ
番外個体「…………ナイショ」カチャカチャ
滝壺「ちぇっ」フキフキ
絹旗「ミサワさん」
番外個体「わっ!」ツルッ
滝壺「あぶない」キャッチ
番外個体「び、びっくりさせないでよ……どうしたの?」
絹旗「超お腹が空きました」
滝壺「? ついさっきご飯食べたばかりでしょ?」
番外個体「ボケちゃった?」
絹旗「ボケてないです! いたって正常です! えと、その……超成長期なんです!」
番外個体「……まあ、とにかく何か食べたいんだね」
絹旗「はい、何かあれば……」
番外個体「パンかお菓子ぐらいしかないよ? あとは食材だけだし」
絹旗「むー(ゴソゴソ)あっ、これでいいです。持っていっても平気ですか?」
番外個体「? そんなもんどうするの?」
絹旗「食べます」
滝壺「そのまま?」
絹旗「はい」
番外個体「そのままで食べれるんだろうけど……まあいいや、中途半端に残ってたヤツだし」
絹旗「超ありがとうございます!」
トテテテ...
番外個体「……自分の部屋で海苔かじるのかな……変な子」
滝壺「……」
~絹旗個室~
絹旗「さあ、どうですか? ホレホレ」
絹旗「おお、食べてます食べてます!」
パリパリパリパリ
絹旗「いい食べっぷりですね。もう一枚いっときますか?」
チョイチョイ
絹旗「そんながっつかなくても、海苔は逃げないですよ」
パリパリパリパリ
絹旗「うは、超可愛いです……」ホワーン
<コンコン
絹旗「」ドキッ
滝壺『きぬはた、今大丈夫?』
絹旗「滝壺さん? どうしたんですか?」
滝壺『さすがに海苔だけじゃどうかと思ったから、飲み物とお菓子持ってきたよ』
絹旗「ええと、ちょっと待ってくださいね、今着替え中でしたので」
滝壺『お互いの着替えぐらい何度も見てるよ、私は気にしない』
絹旗「いや、その、人にお見せできる身体でもないので、超待って頂けると……」
滝壺『わかった、待ってる』
絹旗「ええと、どうしましょ……と、とりあえずここに入っててください」
絹旗「少しの間ですので、超大人しくしててくださいね」グイグイ
ガチャ
絹旗「ゴメンなさい、超お待たせしました」
滝壺「ううん、いいよ。ほら、みさわがカフェオレ作ってくれた」
絹旗「おお、現役カフェ店員のみさわさんの作ですか。超期待です」
<2ャーン
滝壺「?」
絹旗「」
<ガリガリガリガリ
滝壺「……」
絹旗「」ダラダラ
滝壺「きぬはた、何かいr 「超ごめんなさい!」
滝壺「何がいるの? とりあえず出してあげよう」
絹旗「は、はい……」
パカッ
白猫「(・ω・三・ω・)」
滝壺「わ、猫だ。まっしろだね」
絹旗「今日、裏庭にいるのを見つけたんです。超可愛くてつい連れ込んで……
首輪とかなかったので、野良だとは思うんですが……」
白猫「(* -ω-)」スリスリ
滝壺「きぬはたにすごい懐いてるね」
滝壺「飼うの?」
絹旗「う……」
滝壺「飼うのはいいと思う。みんながいいって言ってくれれば」
絹旗「い、いいんですか? 怒られるか反対されるのかと……」
滝壺「ちゃんとお世話できるんならね」
絹旗「します! 超します!」
滝壺「じゃ、この子をみんなにも紹介しよう」
ツンツン
滝壺「?」
白猫「・ω・」ジー
滝壺「……か、かわいい……///」ズキュゥゥゥン
~きぬはた荘 リビング~
絹旗「という訳で、家族が増えます。どうか許可してください」ペコリ
番外個体「か、かわいい……触っていい? いいよね?」スッ
白猫「( ゚ω゚)」ビクッ
番外個体「えっ?」
白猫「(-ω-#)」ガクブルガクブル
絹旗「お、どうしたんですか?」
白井「大きいお姉様……これは発電能力者の方の宿命ですの……」
結標「ああ、身体から電磁波かなにか出してるのね」
番外個体「……お姉様のせいだお姉様のせいだお姉様のせいだお姉様のせいだ」ブツブツ
婚后「ミサワさん、黒いオーラを出さずに。今度わたくしのペットと触れ合いましょう」
番外個体「あれ? 婚后さんも何か飼ってるの?」
婚后「今は預けている身ですが……それはもう、すごく可愛い子ですのよ♪」
番外個体「へえ……じゃあ、楽しみにしてるね」
白井(婚后さんの……? まさか、エカテリーナさんですの?)
海原「皆さんの反応を見る限り、反対意見はないようですね」ナデナデ
白猫「(*´ω`)」ゴロゴロ
結標「そういえば、この子は名前なんていうの?」
絹旗「……言われてみれば、考えてないです」
滝壺「よし、今決めよう。みんなも考えて」
番外個体「名前、かあ」
白井「いざ考えてみると、なかなか浮かばないものですの」
結標 「メンチ」
絹旗 「メ、メンチ?」
結標 「ダメかしら? 美味しそうな名前でしょ?」
絹旗 「超ダメです! 非常食じゃないんですから!」
海原 「はい」 ノ
滝壺 「はい、うなばら」
海原 「クロコ、などいかがです?」
絹旗 「? 白いのにクロコなんですか?」
海原 「ええ、しろい(白井)のにクロコです」
白井 「」
白猫 「(・ω・三・ω・)」
番外個体 「クロコが二人もいたら、間違えそうだね」
絹旗 「そうですね……白井さん、名前変更って出来ます?」
白井 「なっ、なぜわたくしが変える側なのですか!」
婚后 「折角ですし、もう少しエレガンスさを取り入れませんと」
絹旗 「と言いますと?」
婚后 「エリザードとかいかがですか」ナデナデ
白猫 「(`ω´ )」プピー
婚后 「あら、お気に召しませんの?」
絹旗 「そこいらのミックスに付けるには、高貴すぎるかと……」
婚后 「うーん、残念ですわね」
エリザード 「いーっくしっ」
結標 「ちょっと気になったんだけど、この子は男の子なの? 女の子なの?」
滝壺 「どうだろう。ちょっとごめんね」ヒョイッ
白猫 「(*´д`)」
滝壺 「女の子だね」
海原 「では、名前も女性らしさがあったほうがいいでしょうかね」
番外個体 (全身真っ白……白い……一方通行……アクセニャレータ……)
結標 「真琴、それはやめときなさい」
番外個体 「なっ、なんにも言ってないよ!?」
結標 「その表情を見れば大体わかるわよ」ハァ
婚后 「?」
白井 「絹旗さんは、何か思いつきませんの?」
絹旗 「わ、私ですか? むう……」
滝壺 「<◯> <◯>」ジー
白猫 「(・ω・)?」
絹旗 「白猫……白き幸、ホーリーナイト」
結標 「それを言うなら黒き幸でしょ」
絹旗 「ではナイトロジェン」
番外個体 「ナイトロジェンって……窒素?」
白井 「ご自分の能力名から付けましたのね」
海原 「響きはいいですね、響きは」
~3時間後~
絹旗 「もう議論はつくしたと思います」
滝壺 「そうだね、あとは本人がどう思うかだね」
番外個体 「呼びかけてみて、返事してくれりゃOKなのかな」
結標 「じゃ、呼んであげましょうか」
婚后 「悪い名前ではないと思いますが」
海原 「こればっかりはやってみないと分かりませんよ」
白井 「じゃ、いきますの。せーの」
全員 「ユーリーコ」
ユリコ 「ミ^ω^)」ミャゥ
絹旗 「決まりですね。お前は今日からユリコです」ヒョイ
ユリコ 「(*´ω`)」スリスリゴロゴログリグリゴロゴロ
番外個体 (いーなーいーなー! すりすりぐりぐりしてもらえて超羨ましいなー!)
白井 「大きいお姉様、代わりにクロコがしてさしあげますの♪」スリスリ
番外個体 「なんで!? なんでみんな私の思考を読んでくるの!?」
結標 「貴女は顔に出すぎなのよ」
白井 「大丈夫、わたくしはそんな大きいお姉様を全力で応援しますの!」グリグリ
番外個体 「いいから離れて!」グイグイ
ユリコ 「∩(・ω・)∩」ヨジヨジ
絹旗 「わっ、ちょっと」
ユリコ 「( -ω-)=3」フンス
滝壺 「きぬはたの頭の上が気に入ったんだね」
絹旗 「これ、首が超疲れるんですが」
番外個体 「中身が軽い頭のほうが好みなんだね」
絹旗 「かっ、軽い!? 失礼な!」ウガー
番外個体 「ほらほら、暴れるとユリコ落ちちゃうよー?」
絹旗 「く、この……!」
番外個体 「( ゚3゚)~♪」
結標 「飼うのはいいけど、色々必要なものもあるんじゃない?」
滝壺 「そうだね、明日行ける人で買いにいこうか。きぬはたはゆりこと留守番ね」
絹旗 「超了解です!」
ユリコ 「( ^ω^)」ミャ
海原 「行ける人というと……」
白井 「わたくしと婚后さんは言うまでもなく学校ですの」
番外個体 「私はバイトだね」
結標 「じゃ、3人ね」
~翌日 とあるホームセンター~
海原 「昨夜、ユリコさんは結局どうしたんですか?」
滝壺 「きぬはたと一緒に寝てたよ」
結標 「もうすっかり仲良しね」
海原 「さて、そのお二人のためにも必要なものを揃えませんと」
滝壺 「何が必要かな」
結標 「……えーと、おやつ?」
滝壺 「……おもちゃ?」
海原 「……考えてみれば、僕らは猫の飼い方とかなにも分かりませんね」
結標 「動物を飼うなんて初めてだしね」
滝壺 「……先に探すものがありそうだね」
~本屋~
結標 「」パラ...パラ...
海原 「結標さん、それ子猫の写真集じゃないですか」
結標 「あまりに可愛くてね……」パラ...パラ...
滝壺 「あった、これでいいかな」
海原 「"ネコでも解るネコの飼い方"? いや、猫ご自身なら理解してそうですが」
滝壺 「でも、必要なことは書いてあると思うよ」
海原 「……おお、必要なもの、食べ物について、病気の対処……色々書いてますね」
滝壺 「まずはこれ買ったほうがいいと思う」
海原 「そうですね、これ1冊あればなんとかなりそうです」
結標 「」パラ...パラ...
~再びホームセンター~
滝壺 「ええとね」パラパラ
滝壺 「まずはご飯だね」
海原 「これでいいでしょう。安すぎず高すぎず、猫用と書いてありますし」
結標 「次は?」
滝壺 「毛布とかタオルケット」
結標 「それだったら家の余り物で代用できるわね」
滝壺 「次に、ストレス解消グッズ……遊び道具とかだと思う」
海原 「何種類か適当に選んでおきましょうか、飽きることもあるかもしれません」
結標 「あとは?」
滝壺 「……フードディッシュってなに?」
海原 「これでしょう。フードディッシュって書いてありますよ」
結標 「ああ、ご飯用のお皿のことね」
海原 「こんなもんでしょうかね」
滝壺 「あとは爪切り、シャンプー、くし、キャリーケース……」
結標 「いろいろ必要なのね」
~その頃 きぬはた荘~
絹旗 「」スピー
ユリコ 「」スピー
:
:
:
滝壺 「色々買ったね」
結標 「いやー、こういうとき男の人が居ると頼りになるわー」
海原 「すいません、これ全部となるとなかなかの重さなんですが」
結標 「もう少しで家なんだから頑張って」
海原 「は、はぁ……結標さんの能力で飛ばせないものですかね」
結標 「こういう時間も大事なのよ。無闇に能力に頼るもんじゃないわ」
海原 「ははは、手厳しいですね」
滝壺 「大丈夫? 私はうなばらを応援してるよ」
海原 「ありがとうございます」
~きぬはた荘 玄関~
海原 「ふー、やっと着きました」ドサッ
滝壺 「ただいまー」
結標 「戻ったわよ」
トテテテテ
ユリコ 「三(*・ω・)」ミャー
結標 「あら、ユリコ?」
滝壺 「ゆりこ、ただいま」ナデナデ
ユリコ 「(*´ω`)」ゴロゴロ
海原 「しかし、こうやって改めてみると人懐っこい子ですね」
ユリコ 「(・ω・)」ピョーン
海原 「おっと?」キャッチ
結標 「あら、良かったじゃない、モテて」
海原 「一番苦労したのが誰なのか、お分かりなようですね」ナデナデ
ユリコ 「(*・ω・)」スリスリ
滝壺 「あれ? そういえばきぬはたは?」
結標 「中にいるんじゃない?」
:
:
:
絹旗 「」スピー
海原 「おやおや」
結標 「起こすのも可哀想ね」
滝壺 「先に買ってきたもの、確認しよう」
海原 「ユリコさん、一旦降りてくださいね」
ユリコ 「(・ω・三・ω・)」
ピョーン
ユリコ 「(*・ω・)」ペチペチ
絹旗 「ん……」スピー
海原 「なんと微笑ましい光景でしょうか」
結標 「どっちも猫みたいね」クスクス
絹旗 「」スピー
~某日夕方 きぬはた荘 リビング~
【テレビ】<味のAIMバーストやー
絹旗 「回転寿司なんて、もう何ヶ月行ってないですかね」
滝壺 「前に(アイテムの)みんなで行ったとき、鯖しか食べない人いたよね」
絹旗 「鮭しか食べない人もいましたね、鮭ばかり30皿は超圧巻でした」
滝壺 「きぬはたはケーキばっかりだったね」
絹旗 「超別腹ってヤツです」
婚后 「あの……素朴な疑問なのですが」
滝壺 「うん?」
婚后 「なぜお寿司がまわってるんですか?」
絹旗 「なぜ、と言われましても……」
白井 「そういえば不思議ですの。板前さんを置いておけば済むでしょうに」
絹旗 「……むしろ私には廻ってない寿司のほうが馴染みが薄いのですが」
滝壺 「うん、私も」
婚后 「もしや……わたくしが頂いたことのあるお店がおかしかったのでしょうか」
絹旗 「いや、おかしくないと思いますよ」
婚后 「??」
絹旗 (超温度差を感じます……)
<ただいまー x2
絹旗 「お、超いいところに。結標さん、寿司って廻ってますか?」
結標 「? どういうこと?」
滝壺 「廻ってないお寿司は食べたことある?」
結標 「……言われてみればないわね。廻ってる方なら何度かあるけど」
番外個体 「なに、何の話?」
白井 「大きいお姉様ー、おかえりなさいませー♪」シュン
番外個体 「うわっ、テレポートで抱きつくなって何度も言ってるでしょ!」グイグイ
結標 「ねえ、貴女は廻ってないお寿司って食べたことある?」
番外個体 「? オスシ?」
結標 「ああ、ないのね」
婚后 「やはりわたくしが世間からズレて……」ズーン
絹旗 「いやいや、ズレてる訳ではなくてですね……ええと、文化の違いと言いますか……」
結標 「あれこれ言うより、いっそ行っちゃったほうが早いんじゃない?」
<ねえ、この家にAIMジャマーかキャパシティダウン設置しようよ!
<そんなことおっしゃらずにー!
<あれは電気代かかるからダメ
結標 「静かにしなさいっての」ゴンッ
番外個体 「い゛っ……いったぁぁぁい!」
白井 「む、結標さん、それはやりすぎですの!」
絹旗 「あれ(軍用懐中電灯)で頭殴られたら超痛いでしょうね……」
番外個体 「え、な、なんで私だけが叩かれてるの!?」ズキズキ
結標 「この家で一番年上なんだから。お姉さんだから我慢しなさいってヤツよ」
番外個体 「ふ、不幸だ……(実年齢は0歳なのに)」
絹旗 「そんなことより、回転寿司に連れてってくれるんですか」wktk
滝壺 「」wktk
結標 「いい機会だし、行ってみましょ」
番外個体 「そんなことよりって……」ズキズキ
白井 「大きいお姉様、大丈夫ですの?」ナデナデ
絹旗 「じゃあ、今日の夕食当番の人はお休みですかね」
滝壺 「今日って誰だっけ」
結標 「私だけど?」
絹旗 「超行きましょう」
滝壺 「行こう行こう」
番外個体 「さあ、準備をしよう」
白井 「思い立ったが吉日ですの」
婚后 「善は急げということですわね」
結標 「」
白井 「あら? そういえば海原さんのお姿が見えませんの」
結標 「…………仕事よ(まさか超電磁砲を見かけて尾行していったとは言えないわ)」
絹旗 「皆さん準備はいいですか? それじゃそろそろ」
滝壺 「きぬはた、あれ」
絹旗 「?」
ユリコ 「壁]ω・)」
絹旗 「うっ……ユ、ユリコ、留守番をお願いしますね」
ユリコ 「壁]ω・)ジー」
絹旗 「あぅぅ、そんなイノセントな瞳で見つめないでください……」
結標 「さすがに連れて行けないし、仕方ないわよ」
絹旗 「おみやげを、かならず超おみやげを買ってきますので!」
ユリコ 「壁]ω^)ノ」
滝壺 「おーけーみたいだね」
絹旗 「ち、超いってきます!」
~くっぱ寿司 第7学区駅前店~
番外個体 「うひゃぁ、並んでるねー」
結標 「庶民の味方だしね」
店員 「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
絹旗 「超6名でお願いします」
店員 「(超?)ただいま30分ほどお待ち頂きますが、よろしいですか?」
滝壺 「いいよね? 30分なら」
白井 「まあ、それぐらいでしたら」
婚后 「わたくしは依存ありませんわ」
番外個体 「時間がきたら起こしてね」
結標 「寝たら置いてくわよ」
:
:
:
店員 「ええと、次は……6名でお待ちの超絹旗さまー、こちらへどうぞー」
絹旗 「お、呼ばれましたね」
番外個体 「さてさて、誰がベルトコンベア側に座るのかなー」
結標 「私たちは通路側でいいわよ、欲しいのがあったら言うから」
絹旗 「それではわたs…………」
滝壺 「?」
絹旗 「回転寿司初体験の白井さんと婚后さんが奥に座ってください」グイグイ
婚后 「ちょっと、押さないでくださいな」
白井 「よろしいんですの?」
結標 「その場所は忙しいわよ? 他の人の注文も捌かないといけないからね」クスクス
番外個体 「らしいよ、せいぜい頑張ってねー♪」
( ( (【鮪】 ( ( (【鮭】 ( ( (【鯖】
婚后 「すごい……本当に廻ってますわ」
白井 「いざ実物をみると、これはこれで合理的な気がしてきましたの」
婚后 「この、お皿の模様が違うのはどのような意味なんですの?」
結標 「この店だとワサビが入ってるか入ってないかの区別ね」
白井 「値段じゃありませんのね」
滝壺 「ここはどれもこれも100円だからね」
婚后 「や、安っ……!?」
番外個体 「安いかなー、お腹いっぱいまで食べたら2000円とかなるよ?」
絹旗 「2000円って20皿? どういうお腹してるのよ……」
婚后 「そういえば、ミサワさんは結構食べる方ですわね」
番外個体 「……そうなの?」
絹旗 「超食べてますね。コーヒーのお供にお菓子は欠かしませんし」
滝壺 「この間、夜中にLチキ買いに行ってたよね」
結標 「バイト終わったら、売れ残りのケーキも貰ってるわよね」
白井 「……ちょっと信じ難いですの」
番外個体 「え、なんで私がイレギュラーみたいな空気になってるのかな」
結標 「イレギュラーよ、自覚しなさい」
婚后 「その生活スタイルでその体型を維持できるのは羨ましいですわ……」ハァ
番外個体 「まあ、体質だし?」
他全員 (うわあムカつく)
:
:
:
絹旗 「あっ、白井さん、それ、それ取ってください!」
白井 「はい、どうぞ」カタッ
滝壺 「……きぬはた、ケーキばっかりだね」
絹旗 「甘い物は超別腹です」
白井 「……? これ乗っかっているのは、ハンバーグ?」
結標 「こういうお店は、結構いろんな物作るわよ」
婚后 「なんだか新鮮ですわね」
番外個体 「ゴメン、お茶おかわり」
婚后 「あぁ、はいはい。お待ちくださいませ」
婚后 「申し訳ございません、少々濃くなってしまいましたわ」
番外個体 「いいよ、苦いぐらいが丁度いいよ」
婚后 「あ、食べ終わったお皿も片付けましょうか?」
番外個体 「片付ける?」
婚后 「食べ終わったお皿は、こちらに戻すんじゃありませんの?」
番外個体 「そうなの?」
絹旗 「」
結標 「婚后さん、後で枚数カウントするから、戻しちゃダメよ」
婚后 「えっ」
滝壺 「あ、いくら、しらい、いくらとって」
白井 「はいはい、ただいま(わたくしが食べる暇がありませんの……)」
滝壺 「♪」プチプチ
結標 「滝壺さん、イクラが好きなの?」
滝壺 「うん、大好き」
番外個体 「はじめて食べたけど、美味しいもんだね」マグマグ
結標 「なんで貴女だけ皿タワーが出来てるのよ」
番外個体 「いや、なんかヒョイヒョイ口に入るんだよね」
絹旗 「超わかります。回転寿司だと、なぜかペースアップしますね」
滝壺 「で、後で後悔するんだよね」
絹旗 「」
番外個体 「まあ、食べちゃったもんはしょうがないし」マグマグ
滝壺 「あっ……」
絹旗 「どうしました?」ムグムグ
滝壺 「メロンとろうと思ってたんだけど、話してたら見逃しちゃった」
結標 「また来るのを待つしかないわね」
滝壺 「むすじめ、ヘルプ」
結標 「ダーメ、それはズルってもんよ」
滝壺 「むう」
~その頃 きぬはた荘~
ユリコ 「(・ω・*三*・ω・)」
ユリコ 「三三三(ノ・ω・)ノ ドタタタ」 ←家の中を探検中
852 : ◆r462iqU2Ag[sag... - 2010/09/18 23:27:29.30 99edznYo 284/351
超補足:超精密な座席表
↑
↑婚絹番
↑テーブル
↑白滝結
↑
多人数で回転寿司にいって、黒子ポジションだと自分が食う暇があまりないですよね
~同時刻 第7学区某所~
海原 「」
海原 「いや、驚きました。まさか御坂さんの帰る先が彼の部屋だとは……」
海原 「ふふふ、あの時交わした約束、きちんと守ってくれているようですね」
海原 「彼が護ってくれるのならば、心配はいりませんね」
海原 「僕は今の居場所から、僕にできることをしましょう」
海原 「あのお二人の……ひいては、御坂さんの幸せのために、ね」
海原 「さて、そろそろ帰らないと滝壺さんに怒られてしまいますね」
海原 「今日の夕食は……たしか結標さんでしたか」
海原 「今日は医者のお世話にならないように……おや? 急に足が重く……どうしたんでしょう」
:
:
:
婚后 「楽しいですが、お味は値段相応ですわね」
絹旗 「超違いが分かるって人ですか」
結標 「私は違いがわかる舌は持ってないしね」
滝壺 「こんごうが食べたことあるのって、どれぐらいしたの?」
婚后 「前に……会計は供の者がしていたので総額は分かりませんが……」
結標 (この時点で住む世界が違うと実感したわ)
婚后 「例えば、大トロでしたら2500円ほど、他に」
絹旗 「あ、もういいです。なんとなく伝わってきました」
白井 「1貫で2500円……そちらの皿タワーより高いですの」
番外個体 「? なにかな?」
結標 「いえ、なにも」
絹旗 「にしても、随分積み上げましたね。ひい、ふう……もういいです。数えるの面倒くさい」
番外個体 「22皿だね」
滝壺 「全部積み上げると高さを実感できるね」
白井 「大きいお姉様……重ねるなら10皿ずつとか分けたほうがよろしいかと」
結標 「そうね、見てるこっちが危なかっしいのよ、これ」ツンツン
番外個体 「わっ、やめてよ。こっちに倒れてくるでしょ」
結標 「逆に言えば、私の方に倒れてくる危険もあるんだけど」
番外個体 「そんときはそんとき」
結標 「貴女えぐるわよ?」
滝壺 「? みさわ、携帯鳴ってない?」
番外個体 「えっ、わっ、ホントだ(ガツン)あっ」
ガシャガシャゴツッガシャーン
婚后 「……とうとうやってしまいましたか」
絹旗 「私の目が狂ってなければ、結標さんの眉間に一枚ほど超クリーンヒットしましたね」プルプル
結標 「……真琴、今日寝る前でいいから、一回私の部屋に来なさい」
番外個体 (ヤバイ、これマジで怒ってるときの目だ)gkbr
白井 (残骸事件のときでも、ここまでの気迫は出てませんでしたの)gkbr
番外個体 (こんなタイミングでメール送ってきたアイツのせいだ)
結標 「まったく……だから危なかっしいって言ったのに」ハァ
~その頃~
海原 「ただいまもどりました(ガチャガチャ)あれ、開かない?」
海原 「鍵が……皆さんお出かけでしょうか?」
海原 「ええと……おや」
海原 「困りました、鍵を忘れてしまったようですね」
:
:
:
絹旗 「ッ!?」
滝壺 「?」
絹旗 「(´゚Д゚`)」
結標 「どうしたのよ、急に」
番外個体 「……そのお皿、ワサビ入り食べちゃったんだね」
白井 「も、申し訳ございません、よく見ておりませんでしたの……」
絹旗 「超derftghyujiklo:p['1@」ツーン
婚后 「?」
滝壺 「"超気にしないでください"だって」
番外個体 「なんで分かんの……」
絹旗 「」ゴキュゴキュゴキュ
婚后 「本当に辛いものが苦手なのですね……わたくしも得意ではありませんが」
番外個体 「前に絹旗さんの夕食だけちょっと辛めにしたら、涙目になってて可愛かったなー」フヒヒ
絹旗 「……それ、もしかして麻婆豆腐ですか?」
番外個体 「うん」
絹旗 「やっぱり! 超おかしいと思ったんです! 私の分だけ色が黒かったんですから!」
結標 「何を入れればそうなるのよ」
番外個体 「四川豆板醤っていう調味料、あとは山椒どっさりに黒唐辛子を少々☆」
滝壺 「キッチンに謎の黒い調味料があったけど、みさわが使ってたんだね」
結標 「思い出した。やたらと辛い麻婆豆腐の日があったわね。……あれより辛くしたの?」
白井 「そこまでやると"ちょっと辛め"では済みませんの」
番外個体 「うーん、評判悪いな……黒唐辛子余ったから、ジャムにしようと思ってたのに」
結標 「……貴女、舌大丈夫?」
番外個体 「食べるのは私とは限らないよ」ニパー☆
結標 「その小首をかしげてのバイト用捏造スマイルやめなさい」
白井 「」キュンッ
番外個体「でもさ、辛くても美味しかったよね?」ナデナデ
絹旗 「はあ!? あのときは冗談比喩超抜きで火を噴くかと思ったんですよ!」ガシッ ミシミシ
番外個体 「痛い痛い! ヘッドロックしないで! でも残さず食べれたでしょ!」
絹旗 「残すと海原さん以外の全員に怒られるから超頑張って食べたんです!」ミシミシメキャッ
滝壺 「二人とも、お店で騒いじゃダメ」
絹旗個体 「「はいっ」」ピタッ
婚后 (みなさん、滝壺さんには逆らえませんのね)ヒソヒソ
白井 (滝壺さんのようなタイプこそ、いざ怒らせると一番怖いんですのよ)ヒソヒソ
絹旗 「次からは超甘めでお願いします」
番外個体 「超甘い麻婆豆腐なんてあるの?」
結標 「愛知にそういうのを出すお店があるらしいけど」
絹旗 「愛知ですか……気軽にいける距離じゃありませんね」
結標 「絹旗さんみたいな甘党にはいいお店と評判よ」
絹旗 「むう、いつかは超行ってみたいものですね」
:
:
:
白井 「さて、そろそろ参りますの」
結標 「そうね、さすがに全員満足したでしょう」
絹旗 「」ケフッ
滝壺 「きぬはた、12皿は新記録だね」
番外個体 「お腹いっぱいになったら、なんだか眠いんだ」
結標 「寝たら伝票残して置いておくわよ。あ、婚后さん、そこのボタン押してくれる?」
婚后 「はい、これですわね」ポチットナ
結標 「店員さんが来る前にお皿一箇所にまとめちゃって」カチャカチャ
絹旗 「でもそうすると誰が何枚か分かりませんよ」ズズイ
婚后 「自分の枚数ぐらいは把握しておきましょうよ」カチャカチャ
結標 「いいわよ、今回は私とこの子で払ってあげるから」
番外個体 「え!? 聞いてないよ、そんな!」
結標 「言ってないもの。別にいいでしょ、ほとんど貴女一人で食べたに等しいんだから」
番外個体 「そ、そこまでかな……」
滝壺 「ごめんね、二人とも」
絹旗 「超ゴチになります☆」
白井 「大きいお姉様、今度身体で支払いますの」
婚后 「ここで遠慮するのは逆に無粋ですわね」
結標 「残念、もう引き返せないわね」
番外個体 「むー、分かったよ。あ、白井さん、支払わなくていいからね」
店員 「お待たせしました。お会計でよろしいですか?」
結標 「ええ、お願いね」
店員 「はい、では、ええといちにいさんよん………………」
店員 「合計で5600円になります、こちらをレジまでお持ちください」ビリッ
結標 「はい、ありがと」
番外個体 「払うのは2800円……まあまあかな」
絹旗 「では、超いきましょう」
~第7学区 某所~
絹旗 「むー、お腹いっぱいすぎで歩くのが超ダルイです……」トテトテ
滝壺 「家まで歩けば丁度いい運動になるよ」
婚后 「ああいったお店は初めてでしたが、楽しいものですわね」
白井 「そうですわね、次に行くならわたくしは通路側に座りたいものですの」
結標 「言ったでしょ? あの席は忙しいって」クスクス
白井 「今にして思えば、絹旗さんは分かってて譲ってくださったのですね……」
絹旗 「超ミサワさん、おんぶしてください」グイグイ
番外個体 「だが断る。なんで奢った上におんぶまでしなきゃいけないのさ」
婚后 「そういえば、ユリコさんへのおみやげはどうしますの?」
絹旗 「超ちゃんと考えてますよ。ちょっとあそこのコンビニよっていいですか?」
白井 「どうぞどうぞですの」
番外個体 「一人で大丈夫?」
絹旗 「バカにしないで下さい! では、さっさと行ってきます」
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結標 「何買ってきたの?」
絹旗 「ユリコの超好物の焼き海苔です」
婚后 「あまり人間の食べ物をあげるのはよろしくないかと……」
絹旗 「大丈夫です、こういうときでもないと食べさせませんので」
白井 「では、あまり遅くなる前に帰りますの……何か忘れている気がしますが」
番外個体 「なんだろ、なんか忘れてる気がするんだよね」
結標 「忘れるってことは大して重要じゃないってことよ。気にしない気にしない」
~その頃 きぬはた荘 リビング~
海原 「いやはや、自分の部屋の窓を開けっ放しにしておいて助かりました」
海原 「それにしても、みなさんどこに行ってしまったのでしょうか」
海原 「ユリコさん、何か聞いてます?」
ユリコ 「(・ω・)?」
海原 「そうですか……困りましたね」
海原 「ちゃんと皆さんの携帯電話の番号を聞いておくべきでした」
海原 「しかし、お腹空きましたね。ユリコさんは空いてませんか?」
ユリコ 「(*・ω・)オアーン」
海原 「ではユリコさんの分だけ用意しましょうか。ええと、たしか餌は……」ゴソゴソ
ユリコ 「三(ノ・ω・)ノ トテテテ」
続きます
ほのぼのするな~