マミ「あら、お邪魔だったかしら……」
まどか「ち、違いますよぉ。ただマミさんはお休みの日、忙しいんじゃないかなぁって思ってたので」
さやか「マミさん美人だし何でもできちゃうから、友達に引っ張りだこなイメージありますもん。本当にいいんですか?」
マミ「も、もちろんいいわよ」
まどか・さやか「やったー!」
マミ(もしかしてこれって……ううん、考え過ぎよね)
元スレ
まどか「え、マミさんも来るんですか?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1308139889/
まどか「マミさんはお友達と、普段どんな所へ遊びにいくんですか?」
マミ「そうねぇ……」
マミ(魔法少女になってから、友達と遊んでない)
マミ(というより中学以降、友達と言える人なんていない……そんなこと言える訳ないじゃない)
マミ「まぁ、普通にショッピングとかカラオケ、ボーリングなどね」
マミ「面白みのない答えで申し訳ないけれど」
まどか「……い、いえ。みんなそんな感じですよね」
さやか「おすすめの店とかあったら教えてくださいね!」
マミ「わかったわ」
マミ(一瞬沈黙した……? 気のせい、気のせい)
さやか「お腹空いたなぁ。そろそろ何か食べたい」
マミ(! これはチャンスだわ。私のお気に入りの喫茶店を案内して上げましょう)
マミ「そうね、私のお気に入りの喫茶店にでもいかない?」
さやか「いいですねー」
まどか「紅茶やケーキ大好きのマミさんがお気に入りの店かぁ。楽しみ」
マミ「じゃ、案内するわね」
まどか「ここ、ですか?」
さやか「……あー、いいですね。すっごくいい雰囲気のお店だと思いますよ」
マミ(ま、まだ入ってもいないのにこの反応。鹿目さんと美樹さん、やっぱり私のこと……)
さやか「これめちゃうまっすよ!」
まどか「さやかちゃんがっつきすぎだよ」
マミ「そんなに慌てなくても逃げないわよ」
マミ(なんだ、気に入ってくれてるじゃない。よかった)
まどか「あれ、仁美ちゃん?」
さやか「一人? めずらしいじゃん」
仁美「ごきげんよう、美樹さんに鹿目さん……あら、そちらの方は?」
マミ「あなたも美滝原の生徒よね? 私は3年の巴マミ、よろしくね」
仁美「これはご丁寧に。わたくしは志筑仁美と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
マミ「フフ、よろしくね」
さやか「仁美も一緒に遊ばない?」
仁美「申し訳ございません。わたくし、これからお稽古がございますので」
さやか「そっかー、残念。あ、そういえばさ……」ヒソヒソ
仁美「まぁ、そうなんですの。ふふ」チラッ ヒソヒソ
マミ(今私の方みて笑った? な、なにを話してるの?)
マミ(喫茶店を出た後、いろいろな場所に行った)
マミ(どこへ行っても、何をしても、嫌な方向に考えてしまう)
マミ(もう、限界よ……こんなのって、ないわ)
まどか「うーん、今日は楽しかったね!」
さやか「だねー。マミさんはどうでした?」
マミ「どうでした? よくそんなことが言えるじゃない」
さやか「え、どうしたんですかいきなり」
マミ「とぼけないでちょうだい!」
まどか「マ、マミさん!?」
マミ「二人とも、心の中で私のことを笑ってたんでしょう!」
さやか「な、何の話かわからないんですけど」
マミ「もうしらばっくれる必要なんてないでしょ」
マミ「まず、私が来たときの反応」
まどか「え、マミさんも来るんですか?」
マミ「鹿目さん、あなたはこういったわね」
まどか「は、はい」
マミ「最初の『え?』っていう反応。これって私が来たことに対して反射的に本音がでたのよね」
マミ「巴マミなんかくるなよ……みたいな感じかしら」
まどか「そ、そんなこと考えていません! わたしはただ、驚いたから……」
マミ「次。美樹さんの言葉」
さやか「マミさん美人だし何でもできちゃうから、友達に引っ張りだこなイメージありますもん。本当にいいんですか?」
マミ「これはなかなか強烈だったわ」
さやか「どこがですか!」
マミ「あなたたちはいったい、いつの間に知ったのかしら。私に友達がいないことを」
マミ「友達いない相手に対して、引っ張りだこなんて言うに事欠くわね」
まどか「え……?」
マミ「そんな表情しないでよ、哀れみなんてうんざりだわ」
さやか「ちょっとマミさん、いくら何でも言い過ぎじゃ……」
まどか「やめてさやかちゃん。とにかく最後までマミさんの話を聞こ?」
さやか「……わかった」
マミ「こんな時にまで良い子ぶって……あぁ、そうだった。これも予定された通りのシナリオなのね」
マミ「私はあなたたちの掌の上踊らされてる哀れなピエロ……」
さやか「なんか話逸れてませんか」
マミ「ふん、中二病患者ってこともどうせ知ってるんでしょう……」
まどか「???」
マミ「まぁいいわ、続けましょう。次は、鹿目さんの言葉」
まどか「マミさんはお友達と、普段どんな所へ遊びにいくんですか?」
マミ「わざわざ友達をつけるあたりがいやらしいわね」
まどか「…………」
マミ「それに大して私が他愛のない返事をしたら沈黙……あまりにも普通すぎて心の中で笑いが堪えられなかったのかしら」
さやか「…………」
マミ「私がお気に入りの喫茶店を教えたとき、まだ店にも入っていないのに冷めたような顔をしていたわよね」
マミ「とうとう分かりやすい嫌がらせに来たわね……まぁ店に入ってからは少し楽しかったけど」
マミ「落として上げる……王道ね、外道の」
さやか「まどか、あたしもう……」
まどか「もう少し、もう少しだと思うから」
さやか「……あとでなんかおごってよね」
マミ「もう寸劇はいいのに、こだわるわね」
マミ「そして、志筑さんとの内緒話」
マミ「ひそひそ話しながら私の方をちらちらと見て、笑って……」
マミ「いったい何を言っていたのかしら。実は何も言ってなかったりして」
マミ「不安になる私を見て楽しむためだけにわざわざご苦労ね」
マミ「……このあたりで十分でしょう。いい加減本性を現したら?」
まどか「マミさん」
マミ「なぁに?」
ゆっくりとマミに歩み寄るまどか。
マミ「近づいたら危険よ? 私、魔法少女って分かってるわよね」
マミ「普通の人間なんかより遥かに強い肉体を持ってるのよ?」
さやか「そうだよ、まどか。あぶないって!」
まどか「大丈夫だよ。さやかちゃん」
マミ「え?」
マミ「……あぁ、なるほど」
マミ「私の武器は主に銃。離れていても危険、それならいっそ近距離戦に持ち込んだ方がチャンスはある」
マミ「なかなかいいセンスをしてるじゃない、あなた。刃物でも用意してるのかしら」
マミ「でも残念ね。刃物ぐらいじゃ私は死なな……」
そんなことを言っている間に、まどかの身体はマミの眼前にまで近づいていた。
マミ「た、試してみる? 刃物ので私が殺せるかどうか。一撃ぐらいなら食らってあげるわよ」
マミ「首でも狙えばもしかしたら殺せるかもしれないわよ?」
まどか「……なら、目を閉じてくれますか?」
マミ「い、いいわよ?」
目をすっと閉じるマミ。
さやか「ちょっと本気なの!? やめてよまどか!」
そしてマミの首をめがけて、まどかはその両の手を振り下ろした――
マミ「…………」
マミ「……」
マミ「え?」
振り下ろしたまどかの手は、マミの身体を抱きしめていた。
まどか「もう、いいんですよ。そんな無理しないで」
マミ「な、何よ……そうやって上げて、また落とすんでしょ」
マミ「その手で私の首を絞めでもするんでしょう」
まどか「マミさんこそ、なぜ何もしないんですか?」
まどか「今のわたしなんて無防備もいいところですよ」
マミ「そ、それは……」
まどか「魔法少女に近づいたら危険よ!とか忠告もする……わたしを殺すつもりなんてないの、ばればれですよ」
まどか「わたしに殺してほしかったんですよね、きっと」
まどか「抱きしめてようやく分かったけど、身体はガクガク震えてますね」
マミ「悪い!? 死ぬのなんて誰でも怖いに決まってるじゃない!」
マミ「でも、誰にも必要とされず、時に無視され、時に罵倒され……そんな人生だったら、もういらないって」
マミ「たとえ裏で馬鹿にされていても、表向きだけでも私を必要としてくれてたあなたたちに殺されたかったな」
まどか「裏で馬鹿になんてしていないです」
さやか「そうですよ。あたし裏でコソコソするなんて大嫌いです」
さやか「嫌なところがあるなら堂々と言っちゃいますよ!」
まどか「さやかちゃん、それはちょっと……」
さやか「まぁ、マミさんはいい人ですから嫌なところなんてあんまりないです!」
マミ「あんまり?」
さやか「あー、それはその……言葉のあやってやつでして」
マミ「詳しくお聞かせ願いたいわね」
さやか「べ、別にマミさんが太ってるだなんて思ってないで……あ!」
マミ「さやかちゃん」にこにこ
さやか「すいません、その大きな銃をしまっていただけませんでしょうか」
マミ「ごめんなさい。これ、出したら撃つまで消せないのよ」
さやか「え」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
巨大な銃から放たれたのは、大量の青き花だった。
さやか「きれい……」
まどか「うん……」
さやか「これ、何て言う花ですか?」
マミ「ブルースター。花言葉は、信じあう心」
マミ「私の勝手な思い込みであなたたちを傷つけてしまった」
マミ「そんな私がいうのもずうずうしいでしょうけれど、その……」
まどか「…………」
さやか「…………」
マミ「私と、ずっとお友達でいてください!」
まどか「はい!」
さやか「もちろんですよっ!」
おわり
マミ「鹿目さんの『え』は本人が言ったように、単に驚いただけ」
マミ「美樹さんの『引っ張りだこ』や鹿目さんの『友達と~』は特に意味はないみたい」
マミ「その後の沈黙は私の顔が落ち込んでいるように見えたから、だそうよ」
マミ「喫茶店は、二人ともよく行く店だったというだけ」
マミ「ヒソヒソ話は私が喫茶店でケーキを3つも食べたことを話しただけ……」
マミ「これは少し悪意があるわね。美樹さんは少しお仕置きしておいたわ」
マミ「これが後で二人から聞いた事実……どれもこれもとんでもない思い込みね、恥ずかしいわ」
さやか「マミさんの責め……すごかったぁ」
まどか「?」