まどか「えっ、QB結婚してたの?」
QB「この年で所帯持ちじゃおかしいかい?」
まどか「いくつか分かんないんだけど」
ほむら「期間は?」
QB「本当は一年くらい欲しいんだけど、そうそう休ませてくれる会社じゃなくてね。長くて3ヶ月ってところかな」
まどか「すごいね、おめでとう!」
元スレ
QB「悪いけど、少しの間暇を貰うよ。妻の出産予定日が近いんだ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1328967582/
QB「ありがとう。妻にも伝えておくよ、取引先の人も祝福してくれたって」
ほむら「インキュベータの子ども、さしずめインキュベイビーってとこね」
QB「上手いこと言うなあ。じゃあ、そういうことだから。僕も帰省の支度をしないといけないし、今日はこれで失礼するよ」
まどか「……QBの赤ちゃんかぁ。きっと小さくて可愛いんだろうな。ね、ほむらちゃん」
ほむら「そうね」
QB「……着替え入れた、パスポート持った、あとは、ええと」
まどか「赤ちゃんの服は?」
QB「それは向こうで買うよ。人間の体型とはかけ離れてるからね」
QB「あっ、しまった! なにかお土産を持って行くつもりだったのに」
まどか「見滝原のでよかったら、今からかってくるよ?」
QB「すまないまどか。お財布を渡すから、適当に見繕ってきてくれ」
QB「……そろそろ時間だ」
まどか「気をつけてね、QB。奥さんと生まれてくる赤ちゃんによろしくねって、ほむらちゃんも言ってたよ」
QB「本当に、感謝してもしきれないよ」
まどか「……魔法少女になったら、QBの赤ちゃんが元気に育ちますようにって、お願いしようかな?」
QB「それはダメだ。僕らの子なんだから、僕らの力で育てていくよ。風邪をひいたら必死で看病して、不良になったら叱って……」
まどか「……なんだかQBも、人間と変わらないね」
QB「どういうことだい? 僕と君は、こんなにも違っているじゃないか」
まどか「そうかな、ふふ」
QB「? まあいいや。じゃあ、また会おう」
まどか「うん! いってらっしゃーい!」
―QBの国:病院―
コンコン
QB妻「はい……どうぞ」
QB「……ゼエゼエ」
QB妻「!」
QB「……はあ、はあ…た…」
QB「ただいま」
QB妻「あ…あなたぁっ!」
QB「ごめんよ、随分と遅れてしまった」
QB妻「いいの。お仕事忙しいのに、間に合ってくれたじゃない。それに……」
QB「?」
QB妻「触ってみて。お腹の子も『おかえり』って」
QB「……うん」
QB「つわりは大丈夫かい? 安心して、もう君一人じゃないんだ」
QB妻「何言ってるの。つわりが酷いって言っても、妊娠中ずっと続くわけじゃないのよ」
QB「そ、そうだったのか……」
QB妻「あと、私は不安だなんて思ったことはないわ。先生方にもやさしくして頂いてるし、なにより私のお腹にもう一人いるのよ?」
QB妻「寂しいだなんだ泣き言いってたら、この子も落ち着けないでしょう」
QB「うん、それもそうだ」
QB妻「……でも、あなたがいてくれると、とっても安らぐの。言葉じゃ現しにくいけど…」
QB「……僕もだよ」
QB「そうだ、僕の取引先なんだけど」
QB妻「?」
QB「みんな、僕たちを応援してくれていたよ。魔法少女になって、子どもの成長を願おうとする人までいた」
QB妻「まあ」
QB「ちょっと反りが合わないときもあるけど、本当はみんないい子なんだ」
QB妻「この子もそんな風に育ってくれるかしら」
QB「僕たちが親なんだから、僕たちがしっかりしないとね。彼女たちを見習って」
QB「あっ、子どもの名前を考えてきたよ。きゅ」
QB妻「う……これ、は……」
QB「ど、どうしたんだい? まさか、まさか!」
QB妻「落ち着いて……せ、先生を呼んでちょうだい」
QB「わ、分かった! 先生! 妻が……」
QB「……」
医師QB「結果は?」
看護師QB「子宮が降りてきています。分娩室の手配はしておきます」
医師QB「そうだな。QBさん」
QB「はっ、はい!」
医師QB「予定日よりやや早いですが、おそらく今夜あたりに出産になるでしょう。これからしばらく陣痛が続きますので、奥さんを励ましてあげて下さい」
QB「先生、どうか……どうか、妻をよろしくお願いします!」
医師QB「我々も100%の力を尽くします。しかし、奥さんの一番の支えになるのはあなたなんですよ」
医師QB「ほら、父親になるんですから、もっと胸を張って! どっしり構えていないと、奥さんも不安になってしまいますからね」
QB妻「ううん……」
QB「大丈夫だよ、大丈夫……」ギュッ
フルフル
QB妻「……ふふっ。あなたって、いつもそうね。私を励まして手を握ってくれるけど、いっつも震えちゃってるの」
QB「あ……いや、これは…」パッ
QB妻「離さないで」
QB「あ、うん……」
QB妻「全く、単身赴任でちょっとは強くなったかと思ったら、全然変わっていないのね」
QB「うん……ごm」
QB妻「良かった」
QB「え?」
QB妻「お腹の子に、毎日聞かせてたの。あなたのパパは、怖がりで控え目で心配性で」
QB妻「――世界で一番、やさしいひとなんだって」
QB「……ん」
QB妻「ちょっと、何泣いてるのよ」
QB「ごめ……いや、ありがとう…ほんとに、ほんとにありがとう……」
QB妻「やだ、ちょっと……やめてよね…」
QB「大好きだ……」
カラカラカラカラ
QB「平気だよ、いつでも僕がついてるから! 頑張れ!」
QB妻「……」コクリ
QB「頑張れ……!」
【手術中】
QB「……」フルフル
カッチカッチ
QB「うん……」
カッチカッチ
QB「平気だよ……きっと」
カッチカッチ
QB「僕たちの子なんだ……」
カッチカッチ
QB「元気に生まれるに決まってる……」
カッチカッチ
QB「……」
うああーっ!
QB「くうっ……」
QB「神様……!」
ふぎゃあ、ふぎゃあ……
QB「!!!」
QB(……早く、早く、早く!)
グイイーン
看護師QB「QBさん、こちらを着用して下さい」
QB「妻は、子どもは!?」
看護師QB「大丈夫、母子ともに健康ですよ」
QB「――」
フニャフニャ
QB「ほ、ほんとうですか……」ヘタッ
看護師QB「さ、ちゃんと立って、奥さんとお子さんに会って差し上げて下さい」
QB妻「あなた……この子が、私たちの……」
子QB「くうぅ……」
QB「あ、あ」
QB「……はは、やった、やった! 僕たちの子だ! あはははは!」
QB妻「うん、うん……」
QB「女の子かぁ、君にそっくりじゃないか! 輪郭とか、鼻筋とか!」
QB妻「でも、あなたに似たやさしい目をしてる」
QB「そうかなぁ、僕ってこんな目かなぁ? かわいいなぁ!」
看護師QB「QBさん、奥さんも疲れていらっしゃいますし、病室の方へ……」
QB「ああっ、すみません! じゃあ僕先に戻ってるから!」
QB妻「……ふふ」
子QB「くぅ……」
QB「お疲れさま。頑張ってくれたね」
QB妻「私も、この子もね」
QB「……へへへ」デレデレ
QB妻「……はーあ、また3ヶ月もしたらまた地球に行っちゃうのよね。この子、お父さんの顔忘れちゃうんじゃないの?」
QB「な、何を言っているんだい。そ、そんな……」
QB妻「まあ、あれだけ大騒ぎしてれば、忘れたくても忘れられないか」
QB「そ、そうだよ」
QB妻「なんだか、ほっとしたら眠くなってきちゃった。今夜は家に帰るの?」
QB「まさか。着替えは持ってきたし、シャワーだけここで借りるよ」
QB妻「一晩中起きてるつもり?」
QB「一晩というか、もう未明だよ」
QB妻「え? あら、本当。こんなに時間かかってたんだ……」
QB「僕がついてるから、安心して眠って」
QB妻「そうね……あ」
QB「?」
QB妻「キスは?」
QB「キスって……」
QB妻「いいでしょ、私にご褒美くらい。まさか恥ずかしいの?」
QB「そ…そんなこと! 分かった……目を閉じて……」
QB妻「……ん」
QB「………」
QB妻「……」
―地球―
QB「――という訳で、無事出産を終えられたというわけさ」
まどか「うーん、やっぱり家族愛っていいね!」
QB「照れるなぁ。と、そうだ。妻から君たちに『ありがとう』と伝えてくれ、と」
ほむら「……」
まどか「うんうん、困った時は助け合わなきゃ!」
まどか「あ、ねぇねぇQB! 赤ちゃんとか奥さんの写真って無いの?」
QB「え? いや、それは勿論あるけど……」
まどか「みせてよ! 今の話からすると、普段から肌身離さず持ち歩いてるんでしょ?」
QB「……笑わないでくれるかい? これだよ」
まどか「どれどれ……」
ほむら「……」チラッ
QB「じ、自分の身内を褒めるのはあまり綺麗じゃないけど、僕には勿体無いくらい美しい妻と可愛らしい子だろう?」
まどか「……えーと…」
まどか「……うん、ほんとに、奥さんそっくりだね……目はQBだし……」
QB「だろう? ああ、僕はこんなに幸せでいいのだろうか? 君たちも早くいい伴侶を見つけるべきだよ!」
まどか「……ねぇねぇほむらちゃん、この写真さ……」
まどか「これがQBで、こっちが赤ちゃん……あれ? これがQBかな? 分かる?」
ほむら「さあ」
おわり