男「あなたはわたしと婚約関係にありますか」
女「いいえ」
男「だけどあなたとわたしは同じ指輪をはめている」
女「それは結婚指輪ではありません。薄く切られたちくわです」
男「これはちくわですか。わたしにはそうは見えないけれど」
女「そういうものです」
元スレ
男「あなたはわたしと婚約関係にありますか」女「いいえ」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1373867852/
男「あなたはわたしと付き合っていますか」
女「いいえ」
男「だけどわたしとあなたはおんなじところに住んでいる」
女「ルームシェアです」
男「ワンルームなのに?」
女「今朝起きたら壁が無くなっていたんです」
女「ちなみに私は隣に住んでいるものです」
男「これはこれは」
女「どうもどうも」
男「ところでこの家、一戸建てですよね」
男「だまされましたか」
女「だまされた!!理不尽な暴力!理不尽な暴力!」
男「殴らないでください」
男「あなたはわたしとデートにでかけたことがありますか」
女「いいえ」
男「水族館に行ったようですよ、写真がある」
女「それは私ではなく、ジンベエザメです」
男「間違えました」
男「でもこのジンベエザメはとても可愛らしいですね。」
女「やっぱりわたしです」
男「どうりで肌が青くないわけだ」
男「あなたは灰色がきらいですか」
女「はい」
男「なぜですか」
女「私のきらいなものは、たいてい灰色なのです」
男「例えば?」
女「曇った空とか、ネズミとか、あと、あなたの脳みそもきっと灰色です」
男「私の脳はきらわれているようですね」
女「はい」
男「あなたはわたしのことをおぼえていますか」
女「・・・・・」
男「どうしました?」
女「黙秘権を使います」
男「すいません、こちらの黙秘クーポンの有効期限、昨日までなんですよ」
女「そこをなんとか!」
男「だめです」
女「こいつじゃ話にならねえ!店長を呼べ!」
男「タチの悪い客だ!店長――!!」
男「あれっ」
男「ごまかさないでください」
男「あなたはわたしのことを好きですか」
女「いいえ」
男「そうですか、悲しいです」
女「どちらかといえば、愛していますよ」
男「今なら空も飛べるはずです。ちょっと飛んできますね」
女「窓から飛び降りるのはやめてください」
男「あなたは記憶喪失ですか」
女「いいえ」
男「本当のことを教えてください」
女「では、私からもあなたに3つ質問をしましょう」
男「わかりました」
女「まず一つ目」
女「あなたはわたしのことをおぼえていますか」
男「黙秘権は使えますか」
女「すいません、こちらのクーポン当店のものではないんですよー」
男「そうなんですか!恥ずかしい!!」
女「ははは、なんだこいつ!なんだこいつ!」
男「指を指して笑うのはやめてください!
女「つぎに二つ目」
女「あなたは記憶喪失ですか」
男「・・・いいえ」
女「嘘ですね」
男「嘘です」
女「やっぱり、あなたには記憶がない」
男「・・・・はい。朝起きたら何も覚えていませんでした。
この部屋も、となりで寝ていたあなたのことも」
女「何も?」
男「ええ、何もかも」
女「では、最後の質問を」
女「あなたは、わたしのことを好きですか」
男「・・・・いいえ」
女「ですよね」
男「すみません」
女「いいえ、あなたが謝ることはない」
女「代わりと言ってはなんですが、
左手の薬指にはまったちくわを食べてください」
男「・・・・わたしには、婚約指輪にしか見えないのだけれど」
女「それはちくわなんですよ、だから飲み込んでください」
男「そういうものですか」
女「そういうものっていうことにしといてください」
男「・・・・なぜ泣いているんですか?」
女「泣いてません、こっち見ないでください」
男「あなたはまだわたしに隠しごとをしていますね」
女「どうしてわかったんですか」
男「起きた時、体中がとても痛かったんです。
見ると全身にあざややけどの痕が、そしてとなりには、
わずかに血のついたフライパンを持ったまま寝ている、あなたが」
女「それで?」
男「記憶のないわたしでも分かります。
あなたは、わたしに暴力をふるっていた」
女「例えば?」
男「フライパンで叩いたり、熱湯をかけたり。
それらなら、小柄なあなたにでもできるでしょう」
女「・・・・ごめんなさい。あなたは耐え切れなくなって、
すべてを忘れることを選んだのでしょう、きっと」
女「わたしは壊れているんです。歪んでいるんです。
だから、いびつな形でしか、あなたを愛せなかった」
女「あなたはここにいるべきではない。きっとわたしはまた、
あなたを傷つける。だから、逃げてください」
男「誰から?」
女「わたしから」
男「・・・・いやですよ、ここはわたしとあなたの家です」
男「わたしには記憶がありませんが、
あなたのことが嫌いではないみたいです」
女「あなたに暴力をふるっていたのに?」
男「そういうものです」
男「さあ、着替えて指輪を買いに行きましょう。
今度はちくわではなく、本物の婚約指輪を」
女「・・・・免罪符は使えますか」
短いですが、これで終わりです。
見てくださった方、ありがとうございました。
ちゃんとかいたら、面白そうなのに