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佐天「佐天さんの学園都市七大不思議探訪っ!はっじっまっるっよーーー!」
の続きです。
――学園都市七大不思議探訪 失章~○○○○の鬼神解体~ 『後追い小僧』
――某ケーブルテレビ局編集 0時10分
ジリリリリリリリリリリッ
局員「火事だっ!急いで避難しろ――編集なんて放っとけ!マスターはストレージに保存してあるだろ!」
局員「まだ見てない?別にどうだって良いだろうがっ!急げっ!」 タッタッタッタッ
……
ヒュッン、ストン
結標「えっと……?」
結標「これ、よね?」 カチッ
ドォンッ!
結標「お疲れ様」 ヒュンッ
――路上 0時11分
結標「……」
結標(テレビ局から盗めって言われたけど、映っちゃいけないものでも映っちゃったのかしらね?)
結標(問題あるなら圧力掛ければいいのに、非効率的だと思うけど)
結標(報道系じゃない、しかもローカル系のテレビクルーが何撮ったってのよ)
結標「……」
結標「……ふむ」 カチッ(携帯電話にメモリーカードを差し込む)
結標(ウイルスは……ある訳ないか。動画を合計すると4Gちょい)
結標「うーん……?」
結標(『対抗手段』になるとは思えないけど……まぁいいか) ピッ
――未編集の動画 P2070100 何処かの山道
佐天「あー、迷っちゃいましたね、うん」
御坂妹「どうするのですか?とミサカは責任の有無を問うてみます」
上条「俺じゃねぇだろっ!?オマエラが勝手に『取り敢えずカメラ回しましょっか』って突っ込んだんだからな!」
佐天「いやでも普通の道ですし、歩いていけばどっか着きますって、ねぇ?」
御坂妹「それは迷子になる時の最悪のパターンだな、とミサカは懸念を表明します」
上条「GPSも動かねぇし、つーか動画撮ってる場合じゃねぇよな?」
佐天「ブレアビッ×みたいで燃えるぜっ!」
御坂妹「いえ、その名前だと『売女のブレアさん』と言う意味になるとミサカは指摘します」
上条「燃えないしツッコミも不適当だよっ!?下手すれば身体の危機が迫って居るんだからなっ!」
御坂妹「……?」
上条「どした?」
御坂妹「いえ、今ネットワークに揺らぎが起こったような、とミサカは不安を隠しながら言ってみます」
上条「……おいおい。シャレになってねぇぞ。食べ物なんかチョコとポカ○ぐらいしか持って来てないし」
――路上 0時13分
結標「……?」
結標(普通の動画よね?学園都市内の極秘施設を映したって話でも無いでしょうし)
結標(んー……?)
――未編集の動画 P2070101 何処かの山道
ミーシャ「問一。貴方は甘味を提供する意思はあるのか」
上条「あー、あるけどさ。一応カロリーだから遭難した時のためにとっといた方がいいだろ」
ミーシャ「……」 ジーッ
佐天「あ、大人げないですよー?欲しいって言ってるんだから、ねー?」
ミーシャ「正答。貴方の意見に同意する」
上条「ああもうっ!分かったよ、ちょっとだけだからなっ!」
ミーシャ「貴方に感謝する……銀色?ピリピリする」
上条「噛むな噛むなっ!それは剥いて食べるんだっ」
佐天「やだ、えっちっ!」
御坂妹「卑猥な表現を好む、とミサカはネットワーク内に送信しました」
上条「助けてーっ!?ボケに対してツッコミの数が足りてないよっ!」
ミーシャ「これは……っ!」 モグモグモグッ
上条「一息で全部食うなよっ!大事に食べなさいよっ!」
――路上 0時15分
結標(ただのコント撮影してるだけ?)
結標「……」
結標「……あれ?」
結標(今、一瞬で昼間から真っ暗になった……?)
結標(カメラの故障よね、きっと。露出補正が壊れたのか)
――未編集の動画 P2070102 何処かの山道
ミーシャ「貴方に感謝する」
上条「あーもう口の周りベッタベタにしてさっ!子供かっ」 フキフキ
ミーシャ「解答一。私達は例外なく神の子である」
10031号「そんなにお腹が空いているならこれをどうぞ、とミサカは用意して来たおはぎを差し出します」
上条「お、おぉ?ありがとう」
佐天「あ、おいしそうっ。私も頂いて構いませんかね?」
御坂妹「……?」
10031号「いえいえ感謝には及びませんよ、とミサカは内心ニヤリと笑います」
上条「どういう意味?」
木原数多「食うんじゃねぇよクソガキども。そいつぁ『ヨモツヘグイ』だ」
御坂妹「ネットワークで検索――『死者から饗(きょう)される食べ物』との結果が出て来ました、とミサカは報告します」
数多「能力者がオカルトの研究してんじゃねぇよ」
御坂妹「いえ、これは16666号の私的な報告書ですが、とミサカは答えます」
佐天「『ヨモツヘグイ』って何なんですか?」
数多「『生者は死者の食い物に手を出すな』ってぇ考えだ。要は共同体の外と中の関係を示してんだよ」
数多「いいかぁ?テメェが結婚してそいつんちへ嫁いだとする」
佐天「いぇーいっ!上条(確定)涙子誕生ですねっ!」
上条「しないからね?グイグイ来られても引くだけだからな?」
数多「でも実はソイツんちにゃローカルルールがある。例えば『カレーには納豆』とかな」
御坂妹「流石にそれはミサカもちょっと引きますが、愛のためであれば我慢出来るぜ、とミサカはアピールしてみます」
ミーシャ「問二。ナットウとはなんなのか」
佐天「日本の発酵食品の一つですね。大豆に納豆菌を掛けて発酵させた食べ物です」
上条「入れないよ?そんなローカルルール無いからなっ」
数多「でも一度嫁いじまったからには、黙って納豆カレー食えよ、ってこったな。」
数多「要は『不可分領域』――『自分達以外の共同体にはルールを持ち込ませず、また他へも持ち込むな』ってぇ話だ」
10031号「余計な事を、とミサカは内心毒づきます」
数多「ウルセェよ。麓行きてぇんだろ?さっさとついてこいガキども」
――路上 0時20分
結標(新しい男の声?随分変わった面子で山に登ってんのね)
結標(相変わらず真っ暗でオート補正が効いてない)
結標(何も見えないし)
――未編集の動画 P2070103 何処かの山道
数多「んで?お前らなにやってんだ」
上条「『後追い小僧』ってのを取材しに来たんだよ」
佐天「何となくで突っ込んでみましたっ!」
御坂妹「私は止めたのですがやれやれですね、とミサカは首を振ってみます」
上条「嘘は良くないからね?成長しているのは嬉しいけどもだ!」
数多「あー……『後追い小僧』ってのは、昼間の午後から深夜に掛けて出る、とされている――」
佐天「あ、調べてきました!」
数多「言ってみ?」
佐天「えっと、ですね――タッチ!」
上条「丸投げかっ!?」
御坂妹「山中を歩き回る者の後を追い掛け、時には道に迷った者を先導し、家まで送り届ける、とミサカは説明します」
佐天「あーそれです、それ。だから村の人はお礼に食べ物を置いてくるんですよね」
数多「『行き逢い神』だな」
上条「神様なのか?そんなにほいほい居ないだろ?」
数多「バカが。テメェは本質を見誤ってる」
数多「こう言う連中に対抗する――理解するためにゃ、相手をバラすんだよ」
数多「持っている特性を切り離して、それぞれに既存の事象に当て嵌める」
数多「でもって最後にそいつを組み合わせりゃ、対抗策の一つでも浮かんでくる」
数多「鬼神だろうが別天津神だろうが、所詮は何かの何処かの影響を受けている。ましてやこの国にゃ神を殺す方法が残されてんだろうがよ」
数多「まずこいつの特性は『道』だなぁ」
数多「大抵の日本人は近代になるまで一生一度も遠出する事無く死んだんだ」
数多「そいつらにしちゃ『村落共同体の外』ってぇのは『異界』なんだよ」
佐天「デビルサマナ○でイカイカしましたっ!」
数多「あれもまぁある意味正しい。『人が本来住むスペースの中が変質して悪魔が出る』――まさに、異界の本質だぁな」
佐天「あ、あれ?ボケが肯定されちゃった?」
上条「君は自制しよう、色々な意味で」
数多「なんつーかなぁ、昔の人間にとって『村の外』ってのは『異界』であり、『日常』じゃなかったんだ」
数多「そんな場所を通りゃバケモノの一匹でも出て来るだろうよ」
数多「お前は死んだら魂がどこへ行くと思う?」
上条「さぁ?」
御坂妹「人に魂などありませんよ、とミサカは自虐的に呟きます」
数多「まぁお前らはそうだろうが、昔の連中はそうは思わなかったんだな、これがよ」
数多「海が近ければ海の彼方の常世の国へ、山が近ければ山頂の賽の河原からあの世へ」
ミーシャ「解答二。人が身罷れば、いと高きあのお方の御元へ召される」
数多「テメェの神はそうなんだろう。だがな、『どこを通って行く』んだ?」
数多「天使じゃあるまいし、羽なんざ無ぇ人間様はよぉ。歩いて、もしくは流れてあの世へ行くんだよ」
数多「だから人は墓を町外れに造る。死人が町の外へと行きやすいように」
数多「だから人は墓を海岸に造る。死人が海の彼方へと還りやすいように」
数多「だから人は墓を山に造る。死人が山の中の河原からあの世へ戻るために」
数多「『死んだ人間は道を通ってあの世へ行く』って信仰だぁな」
数多「テメェらもエロヒムが黒い竜を切り離す前までは『大地母神信仰』が一般的だったよな?」
数多「洞窟や海に屍体を埋葬する――つまり『母なる大地へ還す』方がメジャーだったんだよ」
佐天「当然、そこ――つまり『村の外の道』とは『異界との接点であり、普段は有り得ないモノと行き逢う』ですか?」
数多「『道』に関する答えとしてはそれが妥当だろうよ。道に居たりてヒトを惑わす、それ即ち――『行き逢い神』と」
数多「んで、二つ目の特性は『死人』だな。本人の特性プラス『行き逢い神』としても『死人』を持っている状態だ」
上条「つまり『後追い小僧』の場合だと、死んだ人間が村の外に留まっている、って考えるべきなのか?」
数多「そして生きている人間を見守っている、ってぇ概念も含まれている」
数多「が、それはイレギュラーな事だ。だから村の“外”に居るしかないんだよ」
佐天「怪異が起きるのは『異界』、って事は後追い小僧もそこに居なければ出ては来れない、ですか?」
数多「しかもこいつぁ『死人』だ。『死人』ってのは『帰ってくる』特性も持つ」
上条「いやいやいやっ無いだろっ!」
数多「テメェは盆と正月に何やってるクチだよ?正月の方は廃れっちまったが、盆――盂蘭盆(うらぼん)の方は先祖霊を迎える期間だろうが」
数多「この国の信仰の特性として『死人が特定の日に帰ってくる』ってのは珍しくねぇ」
数多「だが逆にだ。『常駐するのは有り得ない』ってのもまた真実なんだよ」
数多「お前らにルールがあるように、俺達にもルールがあるんだ」
数多「よく考えろ。『後追い小僧はどうして特定の場所に出現する』のか」
数多「幾ら当時の深山が異界だっつっても、限度ってぇのがあるだろうがよ」
上条「……そこから、出られない?」
数多「もっと突き詰めろ。出られない、移動出来ないのは『何故』だ?」
佐天「うーん……お父さんお母さん、ですかねぇ。あたしだったら弟とかも見守っててあげたいですし」
数多「大正解。商品に木原印のレベルアッパーをやろう」
佐天「ありがとうございますっ!」
上条「無茶すんなっ!つーか何で持ってる!?」 パキイィンッ
数多「『後追い小僧』を『その場に留めたのは誰』だ?そりゃつまり――」
数多「――『子供を失って悲観している両親』に他ならねぇだろうが」
――路上 0時34分
結標(小難しい話してんのね。つまり、まとめると)
1.当時は一生村から出ない人間が殆ど
2.当時の宗教観では『村の外=異界』
3.従って当時の人間にとっては、山道は何が起きてもおかしくなかった
結標(でもおかしいわよね?だったら『後追い小僧を自分の子と思う理由がない』筈よ)
――未編集の動画 P2070104 何処かの山道
数多「最後の特性は『子供』だ。要は『早く死んだ』って事の抽象化であり、だ」
上条「待ってくれよ。確かに子を亡くした親は悲しいだろうけど、それは他の身内が死んでも同じだろ?」
数多「あぁだから『盆と正月に帰ってくる』事にして、俺達は正気を保ってきたんだ……いや、正気かどうかは怪しいがな?」
数多「『アイツは死んだが、その内また帰ってくる』って信仰は結構ある」
上条「だったらその親だって、特定の時期に迎えてやれば良かったんじゃないのか?」
上条「先祖へ対して迎え火をして家を招くように、村の“中”でさっ!」
数多「出来ねぇからだよ、そりゃ」
上条「どういう意味だ?」
数多「『とうりゃんせ』ってぇ唄知ってるか?」
佐天「とーりゃんせー、とー――」
数多「唄うなバカっ!雨降に引っ張られんぞ!」
佐天「ご、ごめんなさい?」
上条「何で今怒ったんだよ」
数多「その歌詞の中に『この子の七つのお祝いに』ってぇ言葉が入る。それは『七つ子サマ』信仰の名残だと言う説がある」
数多「昔のガキってぇのは兎に角死にやすかった」
数多「病気や流行病もそうだが、それ以上に栄養状態が宜しくねぇんだよ。尤も、大の大人ですら飢饉でバタバタ死んでった時代だが」
数多「だから当時の人間はこう考えたのさ――『子供が七つになるまでは、カミサマからの預りモノである』ってな」
上条「安定して育つまでは大事に扱うって事か?」
数多「だけじゃねぇよ。『人じゃないからいつお帰りになってもおかしくない』ってぇ、死んじまっても、大した事ぁ無ぇように振る舞ってたんだ」
数多「死んでも葬式を上げられないし、供養もしてやれない」
数多「そして人じゃねぇからあの世にも行けない――だから、当然盂蘭盆に帰っても来ない」
佐天「そんなっ!?酷いです!」
数多「そうだな。『だから連中は行き逢い神の中に自分達の子供を見た』んだよ」
佐天「……あ」
数多「ガキがおっ死んだ馬鹿な親は、『後追い小僧』にテメェらのガキの姿を重ねたんだよ」
数多「あの世にも行けねぇウチの子は、きっと自分達を見守っている筈だ、ってな」
数多「そういった意味で、そっちのチンチクリンは本質を突いている」
上条「……悲しい、話だよな」
数多「そしてお前は何一つ理解しちゃいねぇ」
上条「何だよ」
数多「そいつぁ『救い』なんだよ。『供養も許されなかった自分達の子供が、姿を変えても自分達を見守っていてくれてる』ってな」
数多「カミサマやホトケサマだってそうだろうが?存在すらしない連中に縋り付いて、今日の現実を乗り切る」
ミーシャ「提言一。暴言は看過出来ません」
数多「前だけ向いて生きて行かなきゃならない、なんて誰が決めた?」
数多「過去にしがみつき、囚われて生きる事の何が悪い?」
数多「テメェはそんな親どもの『幻想』も砕こうってのか?――自惚れんなよ『幻想殺し』」
上条「それはっ!」
数多「ってな訳で今までの特性から『後追い小僧』を再構成してみろ」
佐天「はい、まずは『行き逢い神』ですね。異界である道でばったり出くわす、ヒトではない存在」
上条「次は『死人』か。死んでいるにも関わらず、元居た生活圏から離れられない」
御坂妹「……最後は『子供』てすね、とミサカは姉妹を見て頷きます」
数多「それを時系列順に並べる――っつっても無理か。面倒臭ぇな」
上条「どうすれば分かるんだ?」
数多「フィルタリングだな」
数多「リンゴがあったとする。持っている特性は『赤い』・『甘い』・『果物』だ」
数多「その三つを『広範な特性順から並べて』みろ」
佐天「まずは『果物』でしょうね。種族というか種別というか。似たような果物はいっぱいありますし」
佐天「次は『赤い』でしょうか。『赤い果物』は結構あります、し?」
佐天「最後は『甘い』ですかね。酸っぱい品種もあるって聞きますから」
数多「なんつーかなぁ、住所も同じだ。国・県・町・番地ってぇ感じに『大きい所から捜す』ってのが基本だ」
上条「番地から捜しても見つからないよな」
数多「『後追い小僧』の特性を『広く知られている順』」でやってみろ」
上条「『行き逢い神』は、最初だよな?神って言われているぐらいだし」
佐天「『子供』と『死人』はどちらが先でしょうかね?」
上条「『死人』は子供だけとは限らないだろう。だから」
佐天「『行き逢い神』・『死人』・『子供』の順ですかね」
上条「つーか最初から並んでたんだよな?」
数多「どうせ死人の戯言だ。別に気にするような奴ぁ居ねぇよ」
数多「恐らく最初にあったのは『行き逢い神』としての存在だな」
数多「『送り狼』やら『ヤマイヌ』と同系統の『食べ物を饗せば助けになる』神性だ」
数多「それが『守ってくれている』と言う特性が特筆され、次第に『ならばあれは死んだ身内ではないのか?』ってぇ認識が広まり」
数多「斯くして『幼くして死んだ我が子』と言う現在の姿になっちまった、ぐらいの話だ」
佐天「つまり『後追い小僧』とは『自分の子を亡くした両親が、普段は通らないような道で見る幻覚』って事ですか?」
数多「概念で言えばそれ“も”あるだろう。ただしそれは『現在の姿』であって、『過去全てがそれであった』ってぇ保証は無ぇよ」
上条「……時代と共に、道で行き逢う神も変化するのか?」
数多「大正解。ケータイ寄越せ、円周のメールアドレス打ち込んでやっから」
上条「その名前は嫌な予感がするからノーサンキューでっ!」
数多「つーか『連中が絶対に普遍的なモノである』なんて考えるから、見誤るんだよ」
数多「神話だろうが伝承だろうが、人から人へ伝えていく内に徐々に本質とはかけ離れるもんだわな」
数多「今でこそ都市伝説だ何だと騒がれちゃいるが、何代か後になれば『民話』として、『後追い小僧』のように残るかもしれねぇな」
――路上 0時51分
結標(……論文みたい)
結標(山道でするような話じゃないけど、しっくりとは来る、か)
結標「……」
結標(でもオカルト分野の話がどうして禁忌とされるのよ?)
――未編集の動画 P2070105 何処かの山道
数多「加えて言えば、『後追い小僧』の目撃例として14歳ぐらいってぇ話もある」
数多「この時点で矛盾している――つまり変質してんだよな」
上条「14歳ぐらいなら、まだ小僧って言われてもおかしくないような?」
数多「昔は15で元服する時代だぞ?今なら18、9歳だろうがよ」
佐天「それは、近年になって付け加えられた特性、って訳ですねっ」
数多「まぁ『死んだ子供を見たい親』だったら、そう見える事もあるかも知れねぇがな」
数多「とまぁ『後追い小僧』ってぇのはそんな感じだな。俺の推測だし、手持ちのデータから現在出せる結論としちゃこんなもんだ」
上条「ここの山は修験者?の霊山だって言われているけど。そっちの絡みは無いのか?」
数多「……あのなぁ。霊山ってぇのはよぉ、どんな山だ?」
御坂妹「神仏を奉った山、もしくは山そのものが信仰対象となる、とミサカは16666号のレポートを音読します」
数多「そいつぁまさに『異界』じゃねぇのか?」
数多「人の住みかよりも一歩踏み込めば、そりゃ何だって出て来そうなもんだけどな」
上条「でも説としては山伏が正体だった、って話もあるけど」
数多「仮にだ。過去の『後追い小僧』が山伏だったとしてだ」
数多「そうすると『テメェの子だと思いこんで、食いモン置いてった親はどう思う』よ?」
佐天「無駄、だったって事ですか」
数多「俺ぁ真相は分から無ぇし興味も無ぇ」
数多「今までダラダラ考察を並べたが、俺自身は無神論者だ。だから全部か全部無駄とは思うぜ」
数多「だが逆に『後追い小僧』だなんだのと、テメェのガキを死んでまで大事に抱えるバカどもにすれば、だ」
数多「そんな親の用意した供物を、山岳マニアが勝手に食っちまうよりか」
数多「テメェのガキが食って少しでも喜んでくれてる、って思った方が救われるんじゃねぇのかよ?」
上条「そう……だな。その通りだ」
数多「まぁアレだ。お前らも不用意に山ん中には入らねぇ方が良いぜ」
数多「『後追い小僧』だけじゃねぇ。他にも成仏しそこなかった連中に囲まれて食われるぞ」
数多「何せ山ん中ってのは地元の人間に『異界』――つまり『あの世』だと信じられている場合が多い」
数多「地獄から戻った連中と鉢合わせするかもなぁ?」
上条「そっか。ありがとうな」
数多「けっ、言ってやがれ」
数多「……そぉいや、白モヤシの野郎元気にしてんのかよ?」
上条「あんたの言ってる白モヤシが誰かは知らないけど、俺の知ってる奴はそこそこ元気にやってるみたいだな」
数多「そぉかよ。クソはクソになりに足掻いてやがんのか」
上条「あの子の保護者になってから、随分丸くなったような気がする」
数多「まぁなってみねぇと分からねぇ、ってのはあるよなぁ」
数多「クソだまりの中だと思っていても、そいつぁ管理された檻の中でのヌルい生き方だったり」
数多「ナイフ重火器人質と、何でもアリアリの殺し合いん中に、ボクシングのチャンピオンが乗り込んだってぇ、一番になれる訳がねぇんだよ」
上条「何の話だ?」
数多「闘犬なんてのはまさにそれなんだわな。ガキの頃から手負いのウサギやトリを狩らせて闘争本能を鍛える」
数多「体が出来てくりゃ似たようなレベル相手と戦わせて、殺しに慣れさせる」
数多「歪んじゃいるが、飼い主からすりゃ立派な愛情だと思うがね?」
上条「本気で訳分からねぇよ」
数多「愚痴だよ。俺の講義代としちゃ破格だぜ」
10031号「あの、お姉様はどうでしょうか、とミサカは控えめに手を上げます」
上条「相変わらずだよ、つーか会っていけば良いじゃねぇか」
10031号「いえ、でも私は帰ってくる資格があるのかどうか分からないのです、とミサカは内心を吐露してみます」
上条「関係無ぇよ。姉妹が会うってのに誰の断りも必要あるかっ!」
10031号「ですが――」
上条「文句言う奴は神様だって俺がぶん殴る。だから、堂々と会えばいいって、な?」
10031号「……はい。ではちゃんとした時期に、とミサカは言葉を濁します」
御坂妹「私達も待っていますから、とミサカは姉妹へ優しい言葉をかけます」
ミーシャ「問三。甘露はまだあるのか」
佐天「えっと……良いですよね?」
上条「良いと思うよ」
佐天「だって!ほら、あのお兄ちゃんフラグ立てようとしているからね?」
ミーシャ「正答。貴方達に感謝する」 モグモグ
上条「してないからねっ!?」
ミーシャ「宣言。次は御元へ必ず還す」
上条「……言葉の意味は良く分からないが、兎に角不吉なモノしか感じられないなっ」
10031号「どうせならばこのミサカのフラグをどうぞ、とミサカは懲りずにおはぎを勧めてみます」
数多「してんじゃねぇよクソガキが。ほれ、あそこが森の出口だ」
上条「おーっ!帰って来れたっ!」
佐天「良かったー、てっきり二度と帰れないのかと思いました」
御坂妹「まぁその時は仲良くサバイバルをすればいいかと、とミサカは前向きな家族計画を提案します」
上条「時間は……あれ、まだ一時間も経ってないのか」
佐天「そうでしたっけ?なんか半日ぐらい居たような感じでしたけど」
御坂妹「気のせいでしょう、とミサカは素知らぬフリをして話を逸らします」
上条「どういう意味?」
御坂妹「取り敢えず一度お世話になる民宿の方へ行きましょうか、とミサカは提案をしてみます」
佐天「ですかねー。あたしお腹空いちゃったかも!」
上条「今から帰って少し早い夕ご飯になるけど」
御坂妹「ではその後は三人で露天風呂に入りましょう、とミサカはナイスな方向へ誘導をします」
佐天「いいですねっ、家族みたいで!」
上条「お前らもうちょっと人としての恥じらいを持ちなさいっ!」
佐天「今夜は寝かさないぜっ?」
上条「使い方が違うっ!……あぁいや、正しいのか?」
御坂妹「折角予約失敗したフリをして三人一部屋にしたのですから、ここは攻めるべきでしょうか、とミサカは葛藤します」
上条「お前何やってんのっ!?つーか不自然だったのはお前の仕業かよっ!?」
佐天「ナイスですっ、ミサカ妹さんっ」 ハイタッチ?
御坂妹「ふっ、ミサカの成長を舐めてはいけません、とミサカは勝ち誇ります」 ハイタッチ!
上条「お前らもうちょっと大人になりなさいよっ!巫山戯るにも程があるからねっ!」
佐天「なぁに言っているんですかぁ」
御坂妹「わたし達を大人にするのはあなたの肉ぼ――」
上条「言わせねぇよっ!これ以上局の人に心労は掛けられな――」 プツンッ
――路上 1時
結標(最後まで見たけど。特に怪しい所はなかったわ)
結標(麓に着いた瞬間また明るくなったけど。それぐらい?測光がおかしくなっただけなのかも?)
結標(と言うかこれ、そもそもロケとして失敗してるわよね。殆ど真っ暗だったし)
結標(別に壊す程の価値も無い――暗号化されているとか、そういう話なのかしら?)
海原「どうも、こんばんは」
結標「あんたが引き取り役だったの?随分遅かったけど」
海原「すいません、ちょっと聖地巡礼をしていまして」
結標「ふーん?これメモリーカードだけど、何もあやしい物は映ってなかったわよ」
海原「そうでしょうね、それは。『何も映っている訳がない』んですから」
結標「何を言ってるの?」
海原「戯言を少し。では――はぁっ!」 パイキィンッ
結標「別に壊すんだったら、あんたを待つ必要は無かったんだけど。余計な手間じゃない?」
海原「念のため、ですよ。下手をすれば手間がかかってしまうかもしれませんし」
結標「しかしあんたも思い切った事するわよね」
海原「いえいえ、プロとしては当然の事をしたまでで――」
結標「御坂さんの出ている動画を壊すなんて、ね?」
海原「」
結標「あ、ストレージの方はクソメガネが物理的に壊す、って言ったから。もう終わってるでしょうけど」
海原「うそおおおおおおおおおおおぉおおおんっ!?」
結標「じゃ、良い夜を」 ヒュンッ
海原「何故先に言わなかったんですかっそれを!?」
海原「?」 キョロキョロ
海原「逃げやがった!?あんのババアっ!」
海原(いけませんね!これは一度直接乗り込まないと)
――学園都市七大不思議探訪 失章~木原数多の鬼神解体~ 『後追い小僧』 -終-
インターミッション ~キーホルダー争奪戦~
※『学訪』放送終了後のお話
――学園都市通学バス停 7時30
上条(今日は問題なくバスに乗れそうだな。何事もなくこのまま登校出来そうだ)
上条(やっぱり平和が一番良いよなー。つーか科学の街にいてなんで魔術に関係するんだ、と小一時間)
海原「おはようございます、海原です」
上条「朝から変態来やがったよ!?」
海原「誰が変態ですかっ!『中学生のために命を賭ける男!』と呼んで頂きたい!」
上条「うん、お前は恥ずかしくないかもないけど、お前の外側の人は色々と迷惑だと思うよ?」
海原「まぁ良いじゃないですか。ここで会ったのも何かの縁ですし」
上条「明らかに待ってましたー、みたいなタイミングなんだけど?」
海原「立ち話する程度であれば問題はないかと。いえ、ご心配なく。約束を守り続ける限り、あなたをどうこうしようとは思いません」
上条「いや俺じゃなくてお前の方だよ。勝手な事やって叱られたりはしなかったか、って」
海原「自分の事はお気になさらず。こう見えても人の顔色を伺うのは慣れていますし。まぁそれなりに充実していますよ」
上条「そうか……あーっと、今良いかな?」
海原「『学園探訪』の事ですね?自分もその件でお話があってきました」
上条「そっか、お前も同じか」
海原「はい!中学生大好きですっ!」
上条「ごめんやっぱお前とは違うわ。あと、ちょっと距離取ってくれないかな?知り合いだと思われたくないっ!」
海原「と言うかどうして誘ってくださらなかったのですかっ!?アドバイザーとしてプロの魔術師は必要でしょうにっ!」
上条「朝混雑してるんのにトチ狂った事を叫ぶんじゃねぇよっ!?」
海原「あぁいえ『立ち話であれば問題ない』と言ったでしょう?認識阻害の結界が張ってあるので、誰も気にしません」
上条「あー……まぁ確かに俺達二人しかいない、よな。さっきから不自然だなーとは思ってたんだけど」
海原「『ここにバス停がある』とは思わない以上、人が集まりはしませんからね」
上条「んで?何か用事でもあったのか」
海原「『番組キーホルダー』が欲しいな、と」
上条「……それだけ?」
海原「はいっ!」
上条「お前は本当にダメなんだなっ!」
海原「――と、言うのは流石に冗談でして、今日は警告を一つしようかと」
上条「あ、なんだ真面目な話なのね。あービックリした」
海原「プロのアドバイス料はキーホルダー一つで結構ですよ?」
上条「真面目じゃなくなったなぁっ!」
海原「相場では二つだったんですが、お友達価格で」
上条「安いなっプロの相談料!?高校生の時給に負けてるしっ!」
海原「自分達が使ってる魔術、それは神話や民話を模してしまいすよね。霊装なんかは最たるモノですが」
上条「え?マジ話に今更移るの?移れるの?この空気を立て直そうとするのはすげーと思うけど」
海原「ではこう思いませんか?『我々が模したオリジナル――神や悪魔は実在するのか』と」
上条「……そりゃつまり、俺達がダラダラやってたのも良くなかったのか」
海原「世界にはテレズマと呼ばれる天使の力があります。でもそれは天使の力なんかではあり得ません」
上条「どういう意味だ?」
海原「あくまでも便宜上『方向性の無い力』をそう呼んでいるだけの話です。他の地域へ行けば龍脈やらレイライン、マナと呼ばれるモノになります」
海原「日本であれば『気(ケ)』、最近では霊力と呼んだ方が早いかも知れません」
海原「従って『彼ら』が存在するのかどうか、自分には分かりませんが」
海原「暗い夜道で見た光の影かも知れませんし、異文化を見た人間の感想であったかも知れません」
海原「だが現実には我々が居るように、『彼ら』もまた居る可能性があります」
上条「プロの見解?」
海原「ただし『可能性がある』だけで、『限りなくゼロに近い』とも言っておきます」
海原「何せそのような知的生命体、もしくは魔力生命体が存在するのであれば、我々がもっと早くにコンタクトを取っていてもおかしくないですので」
上条「って事は、お前らは知らないのか?」
海原「と、言う事になっています。仮に居たとしても、それを公開するのは有り得ないでしょうし」
上条「……まさにオカルトってやつだよなぁ」
上条(姫神と吸血鬼の話もあれだけどさ、全体で共有はされてないのか)
海原「まぁ『自分の知っている範囲では確認されていない』としておきましょうか」
海原「ですが、その――この間『学探』聖地巡礼ツアーをしていた時の話です」
上条「するなよっ!?何やってんだお前はっ!?」
海原「妙な魔力の流れを感じたもので」
上条「脅かすなよ」
海原「冗談でわざわざ会いに来たりはしませんよ」
上条「……マズい、のか?」
海原「良く分からない、と言うのが本音ですね」
海原「薄い霧、のような。触ると冷たいのですが、中へ入るといつの間にか汗だくになっているような、と言いましょうか」
海原「名状しがたいですね。浅いと思って踏み込みと足が届かなくなるような、何とも不気味な魔力でした」
海原「普通はある程度消費されるんですよ。例えば神仏を奉る事で制御したり、時には奉りや願掛けをして適度に発散したり」
海原「自分の見立てではそれをしていないがために、ある種の飽和状態になってしまっているのでは、と」
上条「学園都市だとお守りを買うより、開運アプリをダウンロードするのが一般的だしな」
海原「即座にマズいとは言いませんし、上層部が危険性に気づかないとも思えませんが、気をつけるに越した事はないでしょう」
上条「俺達がやってたみたいに深夜に騒ぐのって危険なのか?」
海原「それはまぁ都市伝説が何たるものなのか、から話せねばいけませんね」
海原「あぁこれは『自分の見解』ですよ?他の魔術師や結社が同じ考えではありませんし、統一見解が出されている訳ではありませんから」
上条「分かった」
海原「魔術は大抵神話や伝承の寓意を辿り、模す事で発現させている。ここまでは分かりますね?」
上条「あぁ。ルーンとかも『神話に出て来る力ある言葉を再現する』事で、魔術を使うんだろ?」
海原「では逆に『都市伝説とはそれ自体が寓意であり、魔術儀式を兼ねている』のではないでしょうか?」
上条「……すまん。意味が分からない」
海原「例えば『ジュースを買うと両想いになれる自販機』があるとしましょう」
上条「うん、その例えだと危機感の欠片も伝わらねぇけどな」
海原「とある術式では『炎よ、来たれ』とキリル語で唱え、自らの魔力を消費すれば炎が出せます。まぁ魔力の精製やら寓意の理解に10年単位でかかるでしょうが」
海原「ですが『ジュースを買う』行為が『炎よ、来たれ』に該当するとすれば?」
上条「俺達が都市伝説をなぞる事で、『都市伝説と言う広範な魔術が発動する』ってのか!?」
海原「勿論、魔力やシチュエーションなど、再現の具合によっては違うでしょう。ただ、そう考えるとあり得る話ではないかな、と」
上条「大問題じゃないのか、それ?」
海原「そうですね。問題と言えば問題だと思いますが――えっと、なんでしたっけ?」
海原「山奥で迷ってしまうと『コノ先ハ日本国憲法通ジズ!』と書かれた村があり、それへ入ると酷い目に遭うという都市伝説」
上条「んー、聞いた事あるな。杉……ナントカ村、なんだっけかな?」
海原「『女装山脈』?」
上条「村の名前じゃねぇっ!しかもそれキワモノのエ×ゲじゃねぇかよっ!」
海原「いやでも酷い目に遭うのは同じですし」
上条「酷いの意味が違うけど、本人か幸せなら放ってといてあげよう、なっ?」
海原「他にも山人、マヨイガ、イーハトヴ、落人の隠れ里。杉沢村以外にも『人里離れた所には我々の知らぬ誰かが住む』と言う話はあったんですね」
海原「古来から伝わる願掛けやらおまじないも同じです。歴とした魔術行為には違いありません」
上条「都市伝説自体も昔から言われてる、って事か?」
海原「危険があるのか、という先程の質問には『弾数が分からない、もしかしたら弾が一発も入っていない拳銃でロシアンルーレット』と答えておきましょう」
上条「全部入ってたらどうすんだよ、それ」
海原「恐らく新しい都市伝説が出来るだけでしょうね」
上条「うっわー……」
海原「――と、まぁ嘘の話はここまでにしましょうか」
上条「」
海原「どうしましたか?随分と驚かれ――」
上条「嘘かよっ!?何で嘘言ったのっ!?」
海原「いやー、怪談をテーマしていたんだから、怖いジョークの一つでもご披露しようと思いまして、つい」
上条「笑い事じゃねぇよ!本気で怖かったもの!」
海原「まぁ都市伝説に力があるのであれば、自分達の業界で利用しているでしょうし、あまり深く考えないでも宜しいかと」
海原「なんでしたら自分の作ったお守りでも差し上げましょうか?騙したお詫びに」
上条「……また騙すんだろ?ドッキリ仕込んでんだろ?」
海原「いえ、効果は本当にありますよ?なんでしたら小さいシスターさんに聞かれても良いですし」 ガサゴソ
海原「どうです?」
上条「綺麗な石と、白い骨のブレスレット……か?」
海原「あ、右手では触らないで下さいね?ガーネットです」
上条「ってかこれ高いんじゃ」
海原「安くはありませんが、まぁ宜しければ差し上げますよ」
上条「いや、ありがたいのはありがたいんだけどさ」
海原「何か疑問でも?」
上条「これ、何の骨?」
海原「この霊装はですね、『速く駆ける足』と言いまして、悪運から逃れられる効果を持っています」
上条「へー」
海原「ですから、この骨も脚――もとい、後ろ足なんですよ」
上条「うん。だから何の骨?」
海原「動物、ですかね」
海原「あぁでも自分が修行の一環として、駆け出しの時に作った物ですから、それほど大したものではないんですね」
海原「ですからあまり高いって程のものでも――」
上条「何類?」
海原「そういえば、この間可愛らしい制服の喫茶店を見つけたんですが、良かったらご一緒しませんか?」
上条「……マジで?期待して良いの?」
海原「えぇもうそれはこの世の楽園かと思う程に」
上条「いや、その話は後でするとして、何類?」
海原「……れ、霊長類?」
上条「人の骨じゃねぇかっ!?お前もホンっとに嫌がらせに来たんじゃないのかよっ!?」
海原「いえでも一家に一つ、これを置いておけば悪夢に悩まされる事もありませんっ!」
上条「こっちの方が怖いわっ!持って帰れっ!」
海原「いえですがどこの馬の骨って訳でもないんですよ?敵対する氏族の立派な戦士――」
上条「馬の骨の方が良かったよ!だってそれ人骨だしさぁっ!」
海原「――を、生きたまま皮を剥がし――」
上条「アステカ怖っ!?ってか聞いてないからなっ!?」
海原「……残念です。折角善意で持ってきたというのに」
上条「なぁお前やっぱ怒ってるよな?」
海原「いえ、全く?御坂さんと言う方が居ながら、他のJCとイチャイチャしてるのが、すっげームカついたとかそんな事はありませんよ?」
上条「して、ねぇからなっ!?明らかに俺が弄られまくってたじゃん!」
海原「自分だったらその場で求婚してましたねっ」 グッ
上条「帰れっ!もうお前に付き合ってる暇はねぇんだよっ!」
海原「……まぁ、お元気そうで何よりでした。では失礼します」
上条「海原っ」 (ヒュンッ)
海原「っと、はい。これは――」 (カチャッ)
上条「『学園探訪』のキーホルダーだ。持ってけ、つーかもう二度と来るな」
海原「……これは。ありがとうございます」
上条「おー、またな」
海原「……えぇ」
……
上条「……」
上条(バス、来ねぇな……)
上条(魔術、魔術なぁ……)
上条(ま、良く分からなかったけど)
上条(何かあったらぶっ飛ばせばいいか……)
上条(しかしバス、来ない――まさか!?)
海原『ここにバス停があるとは思わない』
上条「……」
上条(つまり、アレか)
上条(誰もバス停があるとは思わない、従って運転手もスルーする)
上条「俺が何時まで待ってても、バスは素通り、する……」
上条「遅刻っ!?遅刻するじゃねぇかっ!つーかあの野郎結界放置したまま帰りやがったっ!?」 ダッ
――とても暗い場所
海原「ふーんふふーんっ」 (鼻歌)
一方通行「……オイ」
土御門「知らん。俺に聞くな」
結標「あたしも知らないわよ」
一方通行「あの『早く聞いて下さいねっ!』ってェツッコみ待ちの姿勢が気に食わねェンだが」
土御門「俺だって関わり合いになりたくない。結標」
結標「ふざけんなバーカっ」
土御門「……よし多数決だ。いっせーので指を差そう、いっせーのっ!」 ピシッ
結標 ピシッ
一方通行「……俺?つーかお前らその指ヘシ折ンぞ」
結標「さっさと聞いてきなさいよ」
一方通行「人に物ォ頼む態度じゃねェだろうが!つーか俺別に興味はねェよ!」
土御門「俺だってない」
結標「あたしだって――あ、なんだ。これなら聞かなくたっていい――」
海原「よくぞ聞いてくれましたあぁっ!!!」
一方通行「テメェから来やがったっ!?」
土御門「鬱陶しいにゃー……」
結標「なにこの強引な押し売り?」
海原「これはですねっ!あの、あのっ『学園探訪』のオリジナルキーホルダーなんですよっ!」
結標「……誰か知ってる?」
一方通行「ニュースサイトぐらいしか見ねェぞ」
土御門「あー……上や――中学生の女の子がリポーターやっている、ド深夜番組だ」
結標「やだ変態」
海原「JCいぃやっほほほほほほほううぅっ!!!」
一方通行「……なァ敵の精神攻撃食らっているとか、そンなンじゃねェの?」
土御門「なぁ海原。それがどうしたって?」
海原「つまりですねっ、このっ!このキーホルダーを使えばっ!いつでも佐天さんに会えるんですよっ!」
一方通行「(目がイってンなァ)」
結標「(暗部の仕事は辛いから。可哀想……じゃないけど)」
土御門「(妹以外に興味ないにゃー)」
海原「ほらっ、こんな風に――」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
一方通行・土御門・結標「」
海原「……」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
海原「……」 スタスタ
海原 ポイッ(ゴミ箱に捨てる)
海原「――さっ、ボヤボヤしてないで仕事に行きましょうかっ!」 ダッ
結標「無理がありすぎるでしょっ!?絶対に消化出来ない異物があったわよねぇっ!」
土御門「……いやー、でも今のは俺達も何も見なかった方がいいんじゃ、って」
一方通行「……」
土御門「どうした?」
一方通行「別に」
結標「……バカのせいで余計な時間くっちゃったわー」 ダッ
土御門「まぁ、色々と誤解があったのは想像つくぜぃ。つーか何やってんだ」 ダッ
一方通行「……」
一方通行 キョロキョロ
一方通行「……」
一方通行 ガサゴソ
一方通行「……」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
一方通行「……」
一方通行(これ確か、あのガキが欲しいっつってたヤツ、だよなァ)
打ち止め『他のミサカが欲しがっているんだから、ミサカもミサカも何となく欲しがってみたり!』
一方通行「……」
一方通行(まァ仕掛けの類はされてねェみたいだから、一応見せてみっか)
一方通行「……」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
一方通行「……」 ジーッ
一方通行(……やっぱなァンかムカつくから、俺は何も見なかった。うン) ポイッ、ダッ
……
垣根「ヒャッハアァッ!どうした第一位さんよぉっ!」
垣根「……あれ?」
心理定規「いない、みたいね。またカゼだったのかしら」
垣根「えー……テンション全開で突っ込んできたのに」
心理定規「と言うかテンション上げる意味が分からないわ、っとこれ、落ちてたけど」
垣根「キーホルダー?」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
垣根・心理定規「……」
垣根「痛々しい、よな?」
心理定規「なんでこんなのが存在するのか、制作過程には興味があるけど」
垣根「つーか誰向けだよ、これ」
心理定規「さぁ?」
垣根「……まぁいいか、帰ろうぜ」
心理定規「襲撃は?しなくていいの?」
垣根「なーんかそれ聞いたらやる気が無くなった、つー感じ」
心理定規「あー、分かるわね」
垣根「メシでも食って帰ろうぜ」
心理定規「ごめんなさい。今から仕事が入ってるもんだから」 ダッ
垣根「ねぇいつもそれ使うよなぁ?もしかして俺、嫌われてる?」 ポイッ、ダッ
……
フレンダ「しっつれいしまーす……?」
絹旗「あー、超逃げちゃった後ですね」
フレンダ「おっかしい訳、あたし建物入るの見たのに」
絹旗「第二位も超急いでいたとか?罠だったら死んでますしね、わたし達」
フレンダ「んー……?」 ヒョイッ
絹旗「どうしました?何か超気になる証拠でもありましたか?」
フレンダ「キーホルダー」 カチッ
上条(キーホルダー)『俺が、その幻想をぶっ殺すっ!!!』
絹旗「超痛々しいですねっ!!!」
フレンダ「食いつき良いなっ!?」
絹旗「ってかそれもしかして『学園探訪』の抽選プレゼントじゃっ!?」 パシッ
フレンダ「あ、こらっ!爆弾かも知れない訳!」
絹旗「今、超あっさりスイッチ押してませんでしたか?」
フレンダ「……」
絹旗「……」
フレンダ「ふぅっ、やっぱりあたしの見立て通り罠じゃなかった訳よ!」
絹旗「超嘘臭っ!?」
フレンダ「爆発物のエキスパのあたしが、そんな不用意に行動しないって訳。うん」
絹旗「明らかに今、『あ、超やっちまった』的な空気がしましたが」
フレンダ「それは良いとして、それって結局レアものなの?」
絹旗「ですね、ある意味しょーもないモノマニアにとっては超垂涎の一品と言えるでしょうっ!」
フレンダ「珍しく力入ってる。B級映画の販促物?」
絹旗「あ、帰ったらムービー超見せます。これはまたすっごいんですって」
フレンダ「へー面白いんだ」
絹旗「いえ、超全っ然面白くないです」
フレンダ「それを人に勧めるのっ!?」
絹旗「でもダラダラ感が斬新で超良い感じなんですよ――ってこれ、どうしましょう?」
フレンダ「貰っちゃえば?発信器とかは……ちょっと待ってね――ん、大丈夫みたいだし」 ピピッ
絹旗「まぁここに捨ててあるぐらいですし、超良いんですかね?」
フレンダ「気になるんだったらアンチスキルへ持って行かせればいい訳。三ヶ月ぐらい待って落とし主が来なければ貰えるんでしょ」
絹旗「ですかね、んじゃ超そっちの方向で。ではわたし達も麦野と超合流しましょうか」
フレンダ「それにしても上条ってそんな番組作ってた訳ねー」
絹旗 ガシッ
フレンダ「ちょっ!首締まってるし!」
絹旗「上、条?超お知り合いで?」
フレンダ「う、うん。『取材』って言われてちょっと話しただけ、だけど」
フレンダ「ちょい前にあたしらのテーブル来て話してった、ツンツン頭の高校生居たじゃない?あいつ」
絹旗「あー、超ありましたね。そんな事」
フレンダ「言われてみればそのキーホルダーの声、似てる訳よねって」
絹旗「……連絡先は?」
フレンダ「局の名刺貰ったっけ……?あーでも、捨てちゃったかも」
絹旗「……フレンダ。いえ、超フレンダ!」 ガシッ
フレンダ「なんであたしの名前に超をつけたの?あと、両手が肩に食い込んで痛い訳」
絹旗「今から超大事な事を言います。そしてあなたがわたしの要望に超答えられない場合、最悪“死”が待っています」
フレンダ「ペナルティ重っ!?ってか前フリだけでお腹いっぱいなんだけどっ!」
絹旗「実は今その番組が超特番をするそうなんですよ、はい」
フレンダ「へー、結局視聴率良かった訳か」
絹旗「で、HPには『リポーター希望者・他薦可』と言う項目が超ありましてね?」
フレンダ「つまり絹旗は出たい、と?」
絹旗「ですが何故かサーバーが超重くてメールを送っても弾かれる始末。ですのでここは直接交渉に行くしかないでしょうっ!」
フレンダ「うん、意気込みは分かるんだけど、真剣すぎて怖いって訳」
絹旗「超駄目ですかね?」 ウルッ
フレンダ「いや同性から媚びられても別に――って肩痛い痛いっ!?協力するからっ!」
絹旗「流石はフレンダっ!いえっ、超フレンダですよねっ!」
フレンダ「……誉めてくれるのは嬉しいんだけど、名前に“超”つけてもバカにされているようにしか感じられない訳……?」
絹旗「さっ、早速帰って名刺を超捜しましょうか」
フレンダ「いや、あのあたしら仕事中だし?麦野に怒られるの怖いし?」
絹旗「いやいやっ!仕事よりも超大事な事は――」
麦野「へー、あるんだぁ?聞かせて欲しいにゃーーんっ?」
絹旗・フレンダ「」
麦野「突入してから結構経って心配して見に来たんだけど……堂々とサボタージュってのは、ちょおぉぉっっと許せないわよね?」
滝壺 コクコク
フレンダ「違うのっ!これはちょっと、これっ!」
絹旗「あっ」
麦野「キーホルダー?これがどうかしたの?」
フレンダ「うんっ!これが置いてあったから、罠なんじゃないかなって確認してた訳よ!」
麦野「で、どうだったのよ?」
絹旗「超違う、みたいですけど」
麦野「……あのねぇ、アタシらは遊びでやってる訳じゃ――」
滝壺「むぎの、人、来るみたい……」
麦野「……まぁ良いわ。行くわよ」 ポイッ
絹旗「あっ、それっ」
麦野「あんなのアタシが買ったげるから。つーか時限式の追跡装置かも知れないでしょ?」
絹旗「いえでもっ!」
フレンダ「(あたしが麦野の気を引くから!)」
絹旗「(超フレンダっ!?)」
フレンダ「(いや、だからその超はやめて欲しいんだけど)」
フレンダ「ままー、あれ買ってー」
麦野「ふんっ!」 バスッ
フレンダ「そげぶっ!?」
絹旗「(あ、今のウチに超回収。超ナイスパスですフレンダ!)」
滝壺「(事情は良く分からないけど、ふれんだの犠牲をむだにはしない……!)」
麦野「さっ、急ぐわよ」
絹旗「超了解でーす。ほらフレンダ、自分で歩いてくださいな」 ズルズル
滝壺「がんばろ、ふれんだ。よいしょ、っと……」 ズルズル
フレンダ「……あ、扱いが、酷くない、わけ……?」
インターミッション ~キーホルダー争奪戦~ -終-
――キーホルダー募集〆切りのお知らせ
佐天『うーーいっはるーーーっ!愛してーーるぞーーーーーーっ!』
上条『うん、前にも言ったけど、そのテンションの張り方は色々と間違ってると思うんだよ』
佐天『――はい、と言う訳で未だに方向性が分からないローカル番組からのお知らせです』
上条『終わったんだけどね、一回は』
佐天『まぁそんなこんなでキーホルダー及び取材要請に、沢山のご応募頂きありがとうございました』
上条『ありがとうございました。あ、受付は終了したんで』
佐天『匿名希望のミサカさんとPN.ゲコ子らぶりーさん、あと鈴木エツァリさん一杯メールありがとうねーっ!』
上条『アイツも応募しやがってたのか!?つーか全員本名が検討つくんだけど!』
佐天『スタッフの人がサーバー置いてる会社の人から、「何やってんの?何でウチの会社ハッキングまでされてんの?」って怒られたそうですねっ!』
上条『うん。お前らちょっとは反省しろよ。特に誰とは言わないがビリビリ!ハッキングはやり過ぎだからな!』
佐天『そんなにそげぶキーホルダー欲しかったんですかねー。あ、んじゃ番組HPからwaveデータダウンロード出来るようにしますか?』
上条『何でカメラマンの一発ギャグがネット拡散されてんだよっ!?』
佐天『ま、それはご要望があったらすると言う事で。キーホルダーはこちらからメールで当選をお知らせしましたんで』
上条『欲しい人は配達先の住所と名前を書いて返信宜しく。あ、二週間以内に返信がない場合には無効になるから気をつけて』
佐天『番組からのお知らせは以上です――さて、時間が余ったのでちょっと怖い話を』
上条『なに?マッ○フライドポテトホルダーがどうしたの?』
佐天『あー、あれウチの弟のメル友が言ってたらしいんですけどね。五月の頭ぐらいに行ったんですよ、マ○ク』
上条『佐天さん振ったネタ全てを拾うってどうなの?明らかに無茶振りだったよね、今の』
佐天『その時にLサイズのセット頼めば貰えますよ、って店員さんに言われて、テイクアウトで頼んだそうです』
佐天『車に戻ってから開けてみると、フライドポテトホルダーってドリンクホルダーの上へ差し込んで使うみたいなんですね』
佐天『ちょっとガッカリしたんですけど、つけてみました!おおっ、凄いなってホルダーセットしてポテトを置いたんですって!』
佐天『でもその後大変な事に気付いたんですよぉっ!』
上条『ど、どんな?』
佐天『――って違いますよっ!その話じゃありませんってば!』
上条『マッ○のオチはっ!?ノリツッコミにしても溜めすぎだろうっ!』
佐天『いや実はあの後、番組で神奈川県某所へ取材に行ったんですね』
上条『うっわすっげーマッ○のオチ聞きたい!どうせくっだらない事なんだろうけども!』
佐天『「後追い小僧」って民話の下調べに上条さんとあたし、あとスケジュールが合った御坂さんと一泊二日で』
上条『え、流すの?本当にスルーするの?』
佐天『まあいつものようにダラダラっとその場の勢いで、何となく撮って来たんですが――局のスタッフさんがマスターテープ紛失したそうです』
上条『マジ?俺も初めて聞いたんだけど』
佐天『はい。しかもバックアップ用にオンラインストレージに取ってあったデータも破損、音声データが跳んでしまっているとか』
上条『……そうなんだ?あれ、何にも拙いモノって映ってなかった気がするけど?』
佐天『確認しなかったんですか?』
上条『見る時間があればそうしているけどさ。この間のはちょっと、あったじゃないか?』
佐天『あー、一晩中寝かせてくれませんでしたよねっ』
上条『君らがだよっ!?間違ったフリして三人部屋取って、油性ペン握って俺が寝るの待ってたの誰っ!?』
佐天『いやーまさか男女三人で泊ったのに完徹するとはっ!』
上条『別に普通じゃないか?友達同士で遊びに行く事だってあるだろ』
佐天『くっくっく、既成事実を積み上げられているとは気づかずに……』
上条『待って?ねぇ今中学生には相応しくない言葉聞いたけど、誰が入れ知恵したの?白井?』
佐天『お母さんですっ』
上条『親子仲良くて結構ですねっ!つーかどこまで話してんだよっ!?』
佐天『「パパと出会った頃を思い出すわー」と』
上条『遺伝なのっ!?どっかで突っ込んだ記憶があるけど、俺もっかい言うよ!ユルいのは遺伝なんだなっ!?』
佐天『無くなっちゃったテープは仕方がないですしねー。まぁ展開次第ではもう一回行くって事で一つ』
上条『いや、いいけどもだっ!』
佐天『そんな訳で近い内に特番をしますんで、よろしくー』
上条『……もう御坂妹と一緒に行くのは、色々と危険を感じるし』
佐天『あたしと御坂さん連れて行ったのが間違いですね』
上条『……』
佐天『どーしたんですか?』
上条『……あのさ、こないださ。その、三人で遊びに行きましょう、つったよね?』
佐天『えぇ宣言しましたよね』
上条『でもこないだ来たのって御坂妹じゃん?あれ、なんだったの?』
佐天『あれ、御坂さんじゃないんですか?』
上条『……あれ、もしかして御坂妹誘ったのって佐天さん?』
佐天『えぇ、はい。御坂さんと連絡取ろうと思っていたら、道でばったり会ったので、直接伝えましたよ?』
上条『あー……だからね。勘違いしちゃったのか』
佐天『あれ御坂さんのコスプレじゃないんですかっ!?てっきり「御坂妹」ってキャラなのかと』
上条『それで納得する方もどうかと思うけど。あーうん。妹らしいぜ』
佐天『え、でも「下克上のチャンスだぜ!とミサカはお姉様に成り代わって返事をします」って言ってましたし』
上条『その時点で気づけよっ!?つか何やってんのよ御坂妹!』
佐天『やっだぁもう上条さんったら!そんなバレバレの嘘、冗談でもない限り言う訳無いじゃないですかっ!』
上条『……うん、珍しく君の言う事が正しいんだけど、今回はちょっとね』
上条『まぁ兎に角、あの子は美琴さんご本人じゃないから』
佐天『おっかしいなー?でも常盤台の制服着てたから、双子なんですかねー?』
上条『あんまり突っ込まないであげて!機密性ゼロとか隠す気ないよねとか言わないで!』
佐天『そんな感じでよろしくです』
佐天『あ、ちなみにさっきのオチは「普通クルマにドリンクホルダー一個しか着けないから、ポテトホルダーつけたらドリンク置く所ないよね?」って話でしたー』
上条『今更かよっ!?そんなに面白くもない!』
佐天『それではみんなっ、今度は特番か「木原一族の鬼神解体」で遭おうぜっ!立場的にゲストだけどなぁ!』
上条『やらないよっ!?俺聞いてないものっ!?』
佐天『それじゃ最後にこの言葉っ!さぁ皆さんご一緒に!』
佐天『うっいっはっるーーーーーーっ!あいっしてっるっぞーーーーーーっ!』 プツンッ
――常盤台女子寮
御坂「……」
御坂(つまり、あれ?妹に外泊一回分取られた、って事よね?)
御坂「あんの子はホントっに!どうしてそうなるのよっ!?」
御坂(気がついたら倍率1万倍弱って有り得ないでしょ?つーか譲るって展開じゃないの!?)
御坂(あーもう、何かイライラする……そりゃまぁ、あたしだってあの娘達が幸せになれば良いと思うけどさ)
御坂(率先してNTRに持ち込もうするのって、問題あるわよね?)
御坂「……はぁ」
御坂(……あれ、まだ続きがある。何々……?)
御坂(『番組ディレクターの>>240が、既に投稿された書き込みの中から、好きなのをアンカーで指定する』?)
御坂(つまり募集はもう終わってるから、>>240取った人が上から好きなのを一つ選ぶ、と)
御坂「……」
御坂(分かってるわよね?誰がメインヒロインって事をよ!)
御坂(最後なのよ?特番なのよ?空気読むわよね?)
御坂(今までは短くても8,000語、原稿用紙換算20枚の短編なのに、次は時間的にも16,000語の中編になるのよ?)
御坂(超変化球はやめてよね?絶対よ、絶対だからね!?)
――キーホルダー募集〆切りのお知らせ -終-
※>>240さんお好きなのをどうぞ
240 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 10:17:36.28 03V98mGH0 177/305乙ー!!
241 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 10:20:24.57 d5klvOyh0 178/305>>240
と言う訳で一つ選んでアンカーでご指定下さいませ
242 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 10:32:31.08 03V98mGH0 179/305アンカーね…
>>162のお題を選んでないお題から選んでってことでいいんですよねぇ……
とりあえず最近人気がある彼女がいるんで>>172のツチノコ探しでも。駄目ならパスで
172 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/16 18:26:15.01 YgRGQiQCO 180/305いつもの二人(上条佐天)に情報収集役で食峰操祈を追加した三人で幻の蛇『つちのこ』捜索。
243 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 10:55:22.64 SEQTwbnIo 181/305みこっちんスルーされたワロス
244 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 10:57:00.28 ysdwiNJzo 182/305それでこそみこっちゃん
248 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:02:06.56 8A+6C9SR0 183/305>>242
みこっちゃんが涙目でお前を見ているぞw
作者のお情けで出してやって!
249 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:06:59.79 d5klvOyh0 184/305>>248
んじゃスペシャルですし、二本立てと言う事で
アンカーで指定宜しくです
250 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:11:12.76 8/YXNr/5o 185/305>>222
が良いな
222 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/21 14:53:59.17 Qf9+4l7eo 186/305佐天・上条・浜面・滝壺で鶯浄土の検証
252 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:13:59.79 d5klvOyh0 187/305>>250
あの、御坂いないんですけど…
253 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:15:22.23 8/YXNr/5o 188/305>>168
じゃあこれ
168 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/15 18:06:20.23 xYnLdBoAO 189/305乙です。
上条さん佐天さん御坂の三人で怪奇ロリコンウルトラマンの検証。
255 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:18:11.75 d5klvOyh0 190/305>>253
了解です
254 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:17:57.99 03V98mGH0 191/305>>242
そっか…>>293は作者からの遠まわしに美琴選んだってぇなぁーという暗喩だったのか。
空気読めなくてスマナイ。でもミサキチ可愛いよね。
258 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:30:15.11 d5klvOyh0 192/305>>254
いえ>>248さんのご要望があったんで、追加しよっかなと
別にハブったらハブったでそれはそれでオイシイと思います
『最後なのに伏線ぶっちぎって呼ばれてないの!?』的な感じで
と言う訳で>>259
>>218、>>222、>>168
三つの中から改めて選ぶんだ!ハブるのもアリだ!
259 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:36:47.76 /vbZZapOo 193/305>>218
218 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/21 11:47:16.16 awdbvEBOo 194/305上フレンダフレメアの
本当に出ると噂のお化け屋敷探索(某富士急)
267 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:55:54.19 d5klvOyh0 195/305了解しました…が、>>218さんの趣旨に反するので追加キャラは無しで一つ
264 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:42:01.63 03V98mGH0 196/305結局第3位はハブられるオチってわけよ。
265 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:43:27.91 /vbZZapOo 197/305みこっちんはずっと視聴者でいてくだざい
268 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/05/28 11:57:42.74 MNxzgaQpo 198/305本編のラスト的に美琴はハブいちゃあ……。時既に遅しだかね
続きます。
サテンサンwwwwww