さやか「……あんた」
杏子「そんな怖い顔すんなって。別に取って食ったりしないよ」
さやか「じゃあ何しに来たわけ?」
杏子「今日は珍しく一人だなってさ」
さやか「あんたには関係ないわよ」フイッ
杏子「ま、そうだけど。あの子は?」
元スレ
杏子「今帰り?」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1300009405/
さやか「まどかのことならさっき、転校生に連れて行かれた」
杏子「だからカリカリしてるわけだ」
さやか「あんたもまどかを狙ってるんじゃないわよね」
杏子「狙わないよ」カリッ
さやか「その林檎……」
杏子「う、うるせえ!」バッ
さやか「ま、いいけど。関係ないもんね。用がないんなら帰るわよ」
杏子「あ、おい!ちょっと待てよ!」
さやか「何よ。言っとくけど今から魔女を探しに行くわけじゃないから」
杏子「そりゃそうだろうさ……まだ真昼間だし」
さやか「……それじゃ」
杏子「っ……だよ」
さやか「なに?」
杏子「気になるんだよ」
さやか「……は?」
杏子「あんたのこと。なんか気になるんだ」
さやか「……なんでよ」
杏子「そんなの私だってわかんないさ。だいたいあんたは敵みたいなもんだし」
さやか「意味わかんない」
杏子「知ってるっつーの。けど、仕方ないじゃん」
さやか「……告白?寒気するんだけど」
杏子「ちょっ!っていうか、そんなつもり微塵もねえし!」
さやか「ふーん?」
杏子「な、なんだよその目!」
さやか「友達にならなってあげる」
杏子「だから私はそんなつもり――って、は?」
さやか「友達……はまあやっぱ無し!でも、共闘相手とか、だったらいい」
杏子「いや、そういうつもりで言ったわけじゃ……」
さやか「あんたについてきて欲しいんだ」
杏子「……急になんだよ」
さやか「……来んの?来ないの?」
杏子「――ったく、ちょっとくらいならいいけどさ。どこ行くんだよ」
さやか「まどかを探しに」
杏子「はあ?」
さやか「仕方ないでしょ、心配なんだから」
杏子「一人でケンカ売りに行くつもりだったのか?」
さやか「友達だし、まどかは。あの転校生何考えてるかわかんないし」
杏子「自分だけじゃ勝てる自身もないんだろうしな」
さやか「うっさい」
杏子「で、どこにいるのか知ってるの?」
さやか「知らない」
杏子「はあ!?」
さやか「仕方ないじゃん!まどかもまどかで何にも教えてくれないし!」
杏子「……じゃあどうすんのさ」
さやか「だから探すの」
杏子「この街をってか?」
さやか「携帯かけても繋がらないんだしそうするしかないじゃん」
杏子「ったくほんと……」
さやか「面倒臭いんなら帰ってもいいけど」
杏子「はいはい。乗りかかった船って奴だ、最後まで付き合ってやるよ」
さやか「……当たり前」
◆
杏子「――にしても、この街って結構面白いとこあったんだなあ」
さやか「あんた、元々ここに住んでるんじゃなかったんだっけ」
杏子「そ。ここを縄張りにしてた奴がいなくなったって聞いたからきたんだけど」
さやか「私がいたわけね」
杏子「びっくりしたぜまったく」
さやか「……今なら、あの変な転校生に止められた殺し合い、再開できるけど」
杏子「やりたいの?」
さやか「痛いのはごめんよ」
杏子「私もそんな気分じゃないし。それより探すんだろ?」
さやか「うん……あっ」
杏子「いた!?」
さやか「あ、いや……このCDさ、そういえば前探してたなって……」
杏子「なんだよ……急に立ち止まるから危うくあんたに当たってこの林檎、落とす
とこだったよ」
さやか「悪かったよ」
杏子「つーかあんた、そんなクラシックなんか聴くんだな」
さやか「そんな柄には見えないもんね、私」
杏子「いや、そういうつもりじゃなかったんだけど……」
さやか「いいけどさ、別に」
杏子「で、買わないの、そのCD」
さやか「……また今度」
杏子「――ふーん?」
さやか「ほら、それよりまどか達を探さなきゃね!」
杏子「……」
杏子「(何か悪いこと、言ったか……?)」
さやか「ところでさ、あんた」
杏子「あんたって呼び方、やめよーぜ」
さやか「は?」
杏子「……ほら、なんか他人みたいじゃん?」
さやか「他人じゃん」
杏子「そ、そらそうだけど……でももう他人じゃないっていうか」
さやか「じゃあ何て呼べばいいのさ」
杏子「杏子とか」
さやか「考えとく」
杏子「考えるもんじゃないだろ」
さやか「まだ私のあんたの認識は“敵”だから忘れないでよ」
杏子「……ったく」
さやか「初めに手出してきたのあんただし」
杏子「はいはい」
さやか「……ま、いいけどさ」
杏子「ソウルジェム、」
さやか「ん?」
杏子「さやか、あんたグリーフシードでちゃんと浄化してるか?」
さやか「なに?急に」
杏子「……なんとなく」
さやか「あんたには関係ない」
杏子「そうだったな」
さやか「……」
杏子「……」カリッ
さやか「そういえば、あんたと二人だけでただ話するのって初めてだよね」
杏子「そうだっけ」カリッ
さやか「……あんたが急に静かになると調子狂うんだけど」
杏子「人見知り」ムシャコラムシャコラ
さやか「だったら笑うよほんと」
杏子「あんたがさ」
さやか「なによ」
杏子「今日はやけに饒舌だなって思っただけ」
さやか「いつもこうだけど」
杏子「私に対して」
さやか「……確かに、そうかも知んない」
杏子「さっきさ」
さやか「なに」
杏子「何かさやかに悪いこと、言ったか?」
さやか「何で」
杏子「……魔法少女の勘って奴」
さやか「あんたが気にすることはないよ」
杏子「別に気にはしてないさ」
さやか「そ」
杏子「ただ、さやか、すっげー暗い顔してたから」
さやか「……」
杏子「答えたくないんなら答えなくていいけど」
さやか「……うん」
杏子「私はいつでも聞いてやる、“敵”としてな」
さやか「……あっそ」
杏子「っていうかあれ」
さやか「え?」
杏子「あんたが探してる奴等じゃないの?暁美ほむらと鹿目まどか」
さやか「あ、ほんとだ」
杏子「……って、追いかけないのかよ」
さやか「もういいかなって」
杏子「は?」
さやか「……ほんとはさ、あんたについてきてもらった理由はただの言い訳」
杏子「どういうこと」
さやか「そのまんまの意味。ちょっとやなことあってさ、でもそんな時に限ってまどか
連れて行かれちゃうし」
杏子「利用されたってわけだ、私」
さやか「ごめん」
杏子「いいけど、別に」
さやか「実際まどかが何かされてるんなら助けようかなって思ったりもしたけどそんなことも
ないみたいだし」
杏子「……だな」
さやか「私口は堅いほうだよ、杏子」
杏子「……は?」カリッ
さやか「そう簡単には何があったかとか話してやんない」
杏子「――……別にいいさ、それでも」
おわり
33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/13 20:15:45.64 1fXcIBo90 18/26まだもったいないしほむまどでも書くか。
さやか「まどか、帰ろーっ」
まどか「あ、うん。ちょっと待って!」
まどか「(今日さやかちゃん元気なかったからなあ、元気付けてあげなきゃ)」
さやか「まどか、まだー?」
まどか「うん……よし」タタタッ
まどか「さやかちゃん、おまた……せ」
さやか「まどか?」
まどか「よ、横……」
さやか「横?」
ほむら「……」
さやか「うわあ!」
ほむら「ひどい驚きようね、美樹さやか」
さやか「そら誰だって驚くって!突然隣に立ってたら!」
まどか「そ、それでどうしたの、ほむらちゃん?」
ほむら「鹿目まどか」
まどか「……な、なに?」
ほむら「」スッ
まどか「?」
ほむら「一緒に帰りましょう」
まどか「えっ」
さやか「なっ……」
ほむら「借りるわよ」グイッ
まどか「ひっ」
さやか「ちょ……!」
ほむら「」スタスタ
グイグイ
まどか「さ、さやかちゃん、ごめんね!」
さやか「まどかあ!」
◆
まどか「そ、それでほむらちゃん、急にどうしたの……?」
ほむら「……」
まどか「ほむら、ちゃん……?」
ほむら「何でもないわ」
まどか「え?何でもないって……」
ほむら「ただあなたと――帰りたくなっただけ」
まどか「……そ、そっか」
ほむら「えぇ」
まどか「……」
ほむら「……」
まどか「ね、ねえ、ほむらちゃん!」
ほむら「なに」
まどか「私と一緒にいて、その……なんていうか、楽しい、かな?」
ほむら「……楽しくなんかないわ」
まどか「へ?」
ほむら「全然、楽しくなんてない」
まどか「そん……な」
ほむら「寧ろ苦しいことばかりよ」
まどか「……ごめん」
ほむら「」チラッ
ほむら「――……なんて」
まどか「?」
ほむら「言ってみただけよ」
まどか「……なんだ、良かった」
ほむら「でも」
まどか「でも?」
ほむら「苦しいことは本当」
まどか「な、なんでかな!?私、ほむらちゃんに何か悪いこと、しちゃってる!?」
ほむら「……違うわ」
まどか「じゃあ何で……」
ほむら「あなたはわからなくていい」
まどか「だけど……」
ほむら「どうしても何かしたいって言うんなら」
まどか「うん、何でも言って!」
ほむら「手」
まどか「手?」
ほむら「手……を」
まどか「手を?」
ほむら「握って……」
まどか「手を、握る?」
ほむら「手を握って……」
まどか「こう?」
キュッ
ほむら「」
まどか「へへ、よくわかんないけど、これでほむらちゃんが苦しくないんなら
それでいいや」
ほむら「……とう」
まどか「ん?」
まどか「(ほむらちゃん、真っ赤になってる。可愛いところもあるんだなあ)」
ほむら「何でもない、わ」
まどか「そっか。……ねえ、ほむらちゃん。私たち、もう友達、だよね」
ほむら「――……」
まどか「(返事がないなら、そう思っていいってことだよね)」
まどか「ほむらちゃん、今日はちょっとどこか寄って行かない?」ニコッ
終わり。