幼馴染「リンゴ持ってきたよ、食べるよね?」
男「…じゃあ貰う」
シャリシャリシャリシャリシャリ
幼馴染「今日ね、告白されたんだよー」
男「へぇ、それで返事は?」
幼馴染「断っちゃった」
男「好みじゃなかったか」
幼馴染「私には男っていう先約がいるからさ」ニコニコ
男「ふん…まあ?嬉しい事言ってくれるじゃん?」プイ
幼馴染「おー、照れてる照れてる!レアだね!」ニヤニヤ
男「やかましい」
幼馴染「はい、剥けたよ」
男「サンキュー」
元スレ
幼馴染「やっほー、またきたよ」男「毎日よくくるなぁ…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370139326/
翌日
幼馴染「おじゃましまーす」ガララ
男母「あら、幼馴染ちゃんこんにちは」
幼馴染「こんにちは!おばさん!」
男「ノックくらいはしろよ」
幼馴染「そう硬い事言わずに!私と男の仲じゃないの!」
男「親しき仲にもなんとやら…だろ」ペラッ
幼馴染「何読んでるの?」
男「ん?星になった少年」
幼馴染「悲しい話はだめー」ポイッ
男「ちょっ…いい所だったのに」ショボーン
幼馴染「悲しい話嫌いだもん、それよりさ!今度ショッピングに行こうよ!」
男「ショッピング?」
幼馴染「いいよね!?おばさん!!」
男母「ちゃんと幼馴染ちゃんのお母さんにもお話しなきゃね」
男「まあ大丈夫だろ、ただ最後の許可は難しいぞ」
幼馴染「なんとかするよ!これも夢の為!男をお婿さんに貰う為だよ!」
男「はいはい、行ってやる行ってやる」
幼馴染「約束だからね!」
男「7年前の事は忘れていない」
翌日
男母「今日は来ないのかねぇ」
男「そう毎日来られても困るだけだ、あいつの所とも距離があるからな」ペラッ
男母「…そうだね」
男「それよりか…また本買ってきてもらっていい?」
男母「いいわよ、どんなの?」
男「これに書いてあるから」スッ
男母「こんなに読めるの…?4冊もあるじゃない」
男「ちびちび読むから問題ない」
男母「それに…こんなの読んでる所見つかったらまた幼馴染ちゃんに怒られるわよ?」
男「人の趣味まで干渉する権利はない、個人の自由だ」
男母「…じゃあ行ってくるわね」
男「気を付けてな」
ガララ
男「ごほっごほっ………ふぅ…寝るか」
翌日
幼馴染「はろーえぶりわーん!!」ガラッ
男「ノックをしろと…もういいや」
ガヤガヤガヤ
幼馴染「何見てるの?」
男「クラナド」
ピップツン
男「あっ…」
幼馴染「悲しいのはダメって言ったでしょ」
男「俺が見たいんだからいいだろ」
幼馴染「ダメ!」
リモコンポーイ
男「…はぁ、まあいい」
幼馴染「男の好きなまがりせんべい!食べる?」
男「貰う」
パリパリパリ
幼馴染「おいしい?」
男「美味いよ」ムシャムシャ
幼馴染「そーか、よかったよかった」ニコニコ
男「ごほっ…げほっげほっ」
幼馴染「ちょっとぉ!?」サスリサスリ
男「げほっ…はぁ…もう大丈夫だ」
幼馴染「もう、ちゃんと噛んで食べてよね」
男「…ああ、わかってるよ」
3日後
ガラララ
幼馴染「はっぴばーすでーとぅーゆー!!」ニコニコ
男「まだ早い、三カ月も先だぞ」
幼馴染「そんなの関係ないねっ!!」
男「あ、そう」
幼馴染「はい、ケーキ!…と誕生日プレゼント!」
男「…開けていいか?」
幼馴染「どーぞどーぞ」
シュルルパカッ
男「…なにこれ」
幼馴染「指輪!」
男「えぇ?」
幼馴染「婚約指輪!」
男「婚約て…これ結構高かったんじゃないのか?」
幼馴染「おかげでお小遣いがすっ飛びましたよ!」フンス
男「……ありがとな、お前こっちこい」クイクイ
幼馴染「ん?なになにー?」
チュ
ガララ
男母「おと…こ…」
男「…」
幼馴染「…」
男「…何か?」
幼馴染「開き直った!?」
男母「あんたも隅におけないねぇ!!」ニヤニヤ
バシン!
男「ぃったぁ!?力入れ過ぎじゃ!あほ!!」プンプン
男母「あら、このケーキなあに?」ニヤニヤ
幼馴染「少し早い誕生日ですよ!」
男母「…そう…そうね!ありがとう!幼馴染ちゃん!」ギュー
幼馴染「く、苦しい…」
男母「あ、ごめんね?」
幼母「幼馴染ー?やっぱりここだったのね」
男母「あら、幼母さん、こんにちはー」
幼母「こんにちは、あれ?このケーキどうしたんですか?」
男「幼馴染が…誕生日ケーキだってね」
幼母「ちょっと…!幼馴染…!」ヒソヒソ
幼馴染「いいじゃん!」
男「それと一緒に、これも貰いました」
男母「指輪?」
幼母「あらあら…」
幼馴染「また夢に一歩近づいたねっ!」ニコニコ
男「そうだな、それより今日は寒いからこれ着ておけ」ポイッ
幼馴染「ありがとー!」
男母「あ、幼母さん、ちょっといいかしら」
幼母「ええ、いいですよ」
ガララ
シーン
幼馴染「…ねぇ、男」
男「なんだ」
幼馴染「さっきの続き…しないの?」ソワソワ
男「したいのか?」
幼馴染「いやっ!別に無理にとは言わないけど…」カァァ
男「…こっち向け」
チュ
幼馴染「…ばか」
男「馬鹿で上等だ、それより左手出せ」
幼馴染「うん?はい」スッ
男「…」スチャッ
幼馴染「指輪…」
男「俺はお前の一部だ、俺がいなくても…お前と一緒だ、お前が死んで煙になるまで…」
幼馴染「男…」
男「3カ月後…2月にはお前と結婚できるからな、待ってろよ」
幼馴染「うん、待ってるよ」
男「もうすぐクリスマスだな、プレゼントには期待しておけ、とっておきをやるから」
幼馴染「うんっ!」ニコッ
男「げほっげほっ…」
幼馴染「またっ!?台無しだよ!!」
男「悪い…緊張しすぎてむせた」ニッ
幼馴染「もぅ~…」
男「今日はもう帰れ、俺は寝る」
幼馴染「うん」
男「ケーキはまた明日で」
幼馴染「わかった!また明日ね!」
男「ああ、また明日」
ガララ
カチャン…
男「…また明日…か…ふふっ」
翌日
ガララ
幼馴染「Привет!!!」
男「…」カキカキ
幼馴染「おとこ~?」
男「ん…ああ、なんだ?」
幼馴染「なにしてたの?」
男「いやな、手紙を書いてたんだ」サッ
幼馴染「あー、隠したー、もしかして浮気ぃ~?」
男「何を言っているんだ、俺は幼馴染一筋だ」
幼馴染「ケーキ食べよ!」
男「ああ、そうだな」
3日後
ショッピングモール
幼馴染「ショッピングだー!!」
男「声が大きい、もっとテンション下げろ」
幼馴染「だってショッピングだよっ!?」
男「わかってるって、何が見たいんだ?」
幼馴染「えーっとね…ゲームセンターとね…」
男「時間はある、好きに見て行こう」
幼馴染「うん!」
男「じゃあ最初はゲーセンだな」スタスタ
男母・幼母「…」ジーーー
男母「昔は私も…あんな事してたなぁ」
幼母「私もありましたねぇ」
男母「青春ね」
幼母「そうですねぇ…ところで、初孫はいつになるでしょう」
男母「それは男と幼馴染ちゃんの頑張り次第ね、どちらにせよ…もう時間は無いわ…」
幼母「…」
男(隠れる気ねえだろあいつら)
幼馴染「ねえねえ!プリクラ撮ろうよ!!」
男「いいぞ」
パシャッ
ウィーン…カコン
幼馴染「おぉー…男との初プリクラ…」キラキラ
男「人生初だったんだが…プリクラってなんであんなに高いんだ…?でも印刷代とか含めたら妥当か…電気代やインク代もあるしな…」ブツブツ
幼馴染「奢った事後悔してる…?」シュン
男「いや、してないよ」
幼馴染「次ね!服見に行こうよ!」
男「お安い御用だ」スタスタ
娘「ぱぱー、なんであの女の子車いす乗ってるの?どこか悪いの?」
娘父「え…いや…どうかなー、パパにはわからないなー」
娘「あの男の子も元気ないよー?」
娘母「ほらほら、指ささないの」
幼馴染「…ごめんね、一緒に歩けなくて」
男「なんだいきなり」
幼馴染「男も…病気なのに…」
男「俺は好きでやっている、死ぬまでお前の為に生きる」
幼馴染「私達が病気じゃなかったら…ああやって結婚して子供ができて…」
男「幼馴染」
幼馴染「…?」
男「お前は治るよ」
幼馴染「でも…ドナーが見つかるのは1%の確率もないって…先生が…」
男「必ず見つかる、俺が保証する」
幼馴染「でも…」
男「信じろよ、将来の夫の言葉だ」
幼馴染「…」
男「俺は…お前と一緒に居る、俺が死んだって生きてたって…お前と一緒なんだよ」
幼馴染「…」
男「そんな悲しい顔すんなよ、ただでさえ短い寿命が余計縮むだろ」
幼馴染「!…ずるいよ…」
男「俺は…お前が大好きなんだ…残り時間は……一緒にいたい」
幼馴染「…わかった、私男から離れないからね!」ニコッ
男「ふふっ…それでいい」(お前は笑っているだけでいい)
(泣くのは俺の仕事だ、お前の不幸は俺が持っていく)
翌日
男「はぁ…朝っぱらに起きて見たらお前がいるとか」
幼馴染「残り時間はずっと一緒って言ったじゃん」
男「まあ、いいけどさ」
ガララ
男友「よう男、元気か」
男「ああ…友か」
男友「おぉ?同じベッドにいるなんて珍しいな」
男「ふっ…残り時間はずっと一緒って誓っちまったからな」
男友「おっと、お邪魔だったか…」
男「いろよ、余命宣告まであと1週間なんだから」
男友「ピンピンしてるけどな、それに大抵2年くらい長生きするよな、治っちまう奴もいるし」
男「まあ、いるな…そう願っててくれよ」
男友「おう…」
幼馴染「…」
男友「あとこれ…みんなからの色紙」
男「もう死ぬのに…最後まで人に苦労させるのかよ俺は」
男友「苦労なんかじゃねえよ、そう自分を卑下するなよ」
男「悪い…」
幼馴染「そうだ!おせんべい食べますか?」
男友「おっ、ありがとな!」
幼馴染「いえいえ」
午後9時
男「帰らないのか」
幼馴染「…ずっと一緒って言ったから」
男「…もうすぐ…クリスマスだ」
幼馴染「うん…」
男「…げほっげほっごぼっ」
幼馴染「ちょっとぉ!?」
男「…っぶねぇ、危うくリバースするとこだった、やっぱり病院の飯は不味いな」
幼馴染「…」
男「…」
幼馴染「ねえ」
男「なんだ」
幼馴染「クリスマスプレゼント…にしちゃ早いんだけど…」モジモジ
男「んん?」
幼馴染「えーっと…私達が頑張らなきゃ男と私の家系が続かないなー…なんて…」
男「…はい?」
幼馴染「男が頑張らないと男の血が途絶えちゃうな~…ってね…」ソワソワ
男「…要するに?」
幼馴染「だから…その…」カアァ
男「…お前何歳だ」
幼馴染「え?じ、18歳ですけど…」キョトン
男「俺は?」
幼馴染「17歳」
男「…流石に怒られるよな」ボソッ
幼馴染「えぇ?」
ピロリン
男「ごめん、メールだ」
カチッ
差出人:幼母
TO:男
無題
今幼馴染が部屋にいるでしょ?
こっちにいなかったからそっちにいると思うんだけど…
幼馴染の部屋にあったノートパソコンが点けっぱなしになっててね
見たら妊娠の確率とか調べてたの
後は…わかるわよね?
幼馴染の母としては…まだ若いし病気だから反対だけど幼馴染にも覚悟とか意地があると思うの
できればそれに応えてあげて、男君のお母さんも了承してるわ
男「…」(タイミングがよすぎる、何か裏があるんじゃ…)チラッ
幼馴染「…」モジモジ
ピロリン
男「?」
差出人:男母
TO:男
題名:ファイト!
最後の力を振り絞って!
何が何でも初孫を!!
男「…」(ブレねえ仕事しやがる…)ポチポチ
一斉送信
TO:男母 幼母
無題
本文
いらん事言わなくていい
まがりせんべい食ってるから
また後でな
でも…善処する
あいつはいつも優しかった
りんご剥いてくれたり
ガリレオの新巻貸してくれたり
ときどきドジも踏んでたけどな…
うまれてきてよかった
もうわかってるから…
また明日…ね
男(ちょっとロマンチックすぎるかな、まあいいか)ピッ
〈送信しました〉
男「幼馴染」
幼馴染「うん…?」
男「……無理する事は無いからな」ギュ
幼馴染「え?えっ!?まさか本当に!?」
男「え…冗談だったのか?」ガーン
幼馴染「本気だったけど…いざとなると…」カァ
男「全部任せればいい」
未明
幼馴染「ふぁ…なんか…すごかった…」
男「……幼馴染」
幼馴染「んー?」
男「服は着ておけよ、風邪ひくから」
幼馴染「うん…」
シュルル…キュッ
男「絶対に…産んでくれ」
幼馴染「約束する…」
男「もうひとつ…約束だ…」
幼馴染「なに…?」
男「朝になったらな…そこの引き出しの…3段目の奥の封筒を開けろ…」
幼馴染「何かあるの…?」
男「見ればわかる…今は…眠れ」スッ
幼馴染「う…ん……すぅ…」
眠くなってきた、ちょっと気合入れ過ぎたかな
中々の長期戦だったからな…この部屋が防音でよかった…
結構でかかったな…長生きできてれば…何人作れたんだろ…
0人だな…俺が生きると…こいつは死ぬんだから…
さぁ…お迎えだ………
………
……
…
翌日
ガララ
男母「おとこー起きなさいよー」
幼馴染「…うぁっ!?」ビクッ
男母「あら、幼馴染ちゃんもうきてたの?」
幼馴染「え、ええ!」ビクビク
男母「ほら男!」トントン
幼馴染「起きてって言ってるよー!」ポンポン
…
男母「…」
幼馴染「男…?」
…
幼馴染「ねぇ」ユサユサ
…
「朝になったらな…そこの引き出しの…3段目の奥の封筒を開けろ…」
幼馴染「!」
ガコッガサガサ
幼馴染「あった…」
ピリピリピリ
ファサッ
チャリンッ
ピラッ
男母「それ…」
幼馴染「手紙…と…キーホルダー…?と…免許証…」
男母「…先生呼んでくるわ」タタッ
ペラッ
――――――――――――――――――――――――――
こんな形で済まない
口じゃ言えなかったんだ
俺は自分が死ぬ日をわかっていた
夢の中で取引をした
友に1週間と言ったが、あれは医者からの宣告だ
俺は…本当は治るらしかった
だがお前のドナーが見つからない以上俺が治る訳にはいかない
取引の内容は俺が死ぬ代わりに俺がお前のドナーとなる、という物だった
最初は疑ったよ、だけどそれを飲んだ
取引してからは眠ると夢でカウントダウンが見える様になった
自分の余命のカウントダウン
最初は幻覚かとも思った
でもすがる思いで検診を受けたんだ
その結果が…お前と適合した
医者も奇跡だと言っていたよ
…ショッピングモールで言った事思えてるよな?
あの通りになったんだ
絶対今泣いてるだろ、泣くなよ
もう死んでるから縮まないけど
…手紙やメールでの文法はわからないから変な手紙なんだろうな
でもまあ、心残りは…無いとも言えない
ひとつだけ、ひとつだけあった
お前とずっと一緒にいたかった
でもそれもある意味…叶うからな
手術拒否なんてしたら祟るからな
絶対に受けろよ
この手紙はあの時隠した物だ、あの時一緒に隠した物もあるが、あれは臓器提供の書類だからな
断じて浮気はしていない
ほんじゃ、そういう事で
ずっと見守ってるからな
Прощайте
―――――――――――――――――――――――――――
幼馴染「うぐっ…うぅ…」ポロポロ
幼馴染「ぷらしゃーいちぇ…なんて……ばか」ポロポロ
4日後
医者「それでは、臓器移植手術を始めます」
〈さいごのおもいで〉
幼馴染「ここって…」
昔よく遊んでいた公園
夕暮れの陽射しが遊具を照らしていた
初めて会ったのは幼稚園の頃
ここのブランコで「彼」はいじめられていた
「弱い物いじめいけないんだー!」
今と変わらない口調で叫んでいる私がいる
ふたつも上の子に勇気を振り絞って叫んだ
「彼」は目を丸くして私を見ていた
「彼」は私の家の斜め前だった
仲良くなってからほぼ毎日この公園にきて遊んでいた
砂場でおままごと、ジャングルジムでジャンプして遊ぶ
滑り台を逆走して遊んで落ちたりもした
懐かしく感じてそのブランコに腰かける
きぃ…と軋む音と共にふわぁといい匂いがした
「…」
「彼」がいた
幼馴染「…」
「…」
幼馴染「ゆーれいになった?」
「ふふっ…うん、なった」
幼馴染「悪いゆーれい?」
「ううん、君を守る幽霊だよ」フルフル
幼い容姿から少しずつ成長していく
そして、前まで一緒にいた姿になった
「いつまでも、お前が死んで煙になるまで」
幼馴染「…守ってくれるの?」
「守る、お前も、その子も」
「彼」が私のお腹を撫でる
ぽぅと暖かい感覚が宿った
「この子もお前を守ってくれる」
幼馴染「…」
「その為に俺はこうなった、お前が老いぼれて死ぬまで…俺が守る為に」
幼馴染「言ってなかったけどさ…男ってすごいキザだよね」
「…そこは触れなくていい」
幼馴染「…ありがと、『男』」
「おう…歩き出せ、どんなに醜くとも、過酷だろうと」
幼馴染「うん…」
「俺が……ぃ…る……ら」
幼馴染「…うんっ!」ニコッ
後日、男の通夜が行われた
男のお母さんは泣いてなかった
彼の携帯の送信履歴
最後の送信はお母さん達への一斉送信
「いままでありがとう」
だからお母さん達泣いてなかったんだね
私はまだ車椅子だけど、この体にはちゃんと2人分の重さが加わっている
わかるよ、双子なんだって
男が教えてくれたもんね
男が言うプレゼントって私の命の事だったんだね
手術の日は偶然か必然か12月24日
終わった時間は午前0時3分
全部男が決めていっちゃった
あのキーホルダー、ドッグタグって言うんだって
死んだら片方を取って持っておくの
ちゃんと持ってるよ、ずっと持ってる
あと、免許証
臓器提供の所に印が付いてた
男母「幼馴染ちゃん、もう食べられたっけ?」
幼馴染「うん、食べられるよ」
彼から離れてテーブルに着く
通夜が終わって一息ついている所
私のお母さんとお父さんもいて、家族全員集合だね
幼父「しかし…男君が取引してただなんて…」
幼母「ちょっと、今そういう話する時じゃないでしょ」
幼父「悪魔との契約…だったのかもしれないな」
幼母「おとうさん…?」ビキビキ
男母「これから大変ね…でも予め整理されてたのよ」
幼母「…まるで、最初からわかってたみたいね」
幼馴染「わかってたんだよ、男は」
男母「我が息子ながら…中々かっこいい死に方だったわね」
お母さん達の話を聞きながら、あれからの事を思い出す
眠ったりとか、たまに出てくる様になった男
毎日毎日ご苦労様です
あの時は私が通ってたけど、今度は男が通う番
「よう、またきたぞ」
おわり