1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:29:18.11 wjO6Fq6i0 1/55

まどかマギカSS

マミさんと杏子が昔出会ってたらという妄想SS
矛盾? 脳内保管してくださいお願いします

元スレ
マミ「それじゃあまたね、佐倉さん」
http://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1299047358/

2 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:30:40.05 wjO6Fq6i0 2/55

杏子「ちっ……ソウルジェムに引っ掛かるから来てみれば……ただの使い魔じゃねぇか。
   ……ま、もう少しで魔女になりそうだし。もう暫く放置してみても――」

フワッ

杏子「――って、ん? あれは……」

杏子(見たこともない魔法少女だな……黄色?
   ……ま、すぐに立ち去るだろ。使い魔じゃあグリーフシードは落とさな――)

パンッ! パンッ!

杏子「っておい!」バッ

杏子(マジかよマジかよマジかよ……! なんで使い魔なのに攻撃してんだよ……!
   もしかして使い魔か魔女かも分からない新米ってことか!?)

杏子「おいっ、ちょっと待――」

マミ「ティロ・フィナーレ!」

パァァンッ!

アアアァァァァァ……!!

杏子「――チッ!」

3 : 忍法帖【Lv=6,xxxPT】... - 2011/03/02 15:32:20.14 wjO6Fq6i0 3/55

杏子「おいお前!」ガチャ

マミ「あら? どちらさんかしら? 槍を構えてなんて、穏やかじゃあないわね」

杏子「あたしのことなんてどうだっていい。
   それよりもてめぇ……アレを倒してもグリーフシードを落とさないって知ってて倒したのか?」

マミ「ええ、もちろん。使い魔だって知っていて倒したわよ」

杏子「はぁっ!? わっけ分かんねぇ! グリーフシードを落とさなきゃ、倒したって意味無いじゃん!」

マミ「意味ならあるでしょ?」

杏子「あぁ?」

マミ「この町の人を救える、っていうね」

杏子「……はん! なんだお前? 正義の味方にでもなってるつもりか?」

マミ「そうね……ま、そんなものかな」

杏子「っ! くっだらねぇっ!」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:35:32.43 wjO6Fq6i0 4/55

マミ「くだらないかくだらなくないか、それは私が決めることよ」

杏子「助けた先に何があるってんだよ」

マミ「何もないわ。見返りも何も」

杏子「だろうな。グリーフシードも何も落とさねぇしな」

マミ「でも、見知らぬ誰かを不幸にする未来を、壊すことが出来る。それだけで良いのよ、私は」

杏子「感謝の言葉もいらねぇってか」

マミ「ええ」

杏子「偽善者が……!」

マミ「そんなつもりはないわよ。だってコレ、私のためにやってるんだもの」

杏子「あぁ?」

マミ「誰かの不幸の芽を摘む事が出来る……見知らぬ誰かが救われる。
   感謝の言葉も何も無いけれど、その事実だけで、私は救われた気持ちになるのよ。
   ……私のような人が生まれない、って分かるだけでね」

杏子「はん! つまりは自己満足ってわけか!」

マミ「ま、そういうことね。救われたい気持ちを抱きたいから、私は力を振るってるのよ」

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:39:24.98 wjO6Fq6i0 5/55

杏子「んな勝手なことで! コッチにまでグリーフシードが回ってこないのは困るんだよっ!」

マミ「なら、私よりも早く狩れば良いだけの話でしょ」

杏子「いや……それよりも手っ取り早い方法があるんじゃねぇのか……?」

マミ「血気盛んね。困ったものだわ」カチャ

杏子「んなこと言って、そっちだってやる気じゃねぇか」

マミ「降りかかる火の粉は払わないと」

杏子「そうかい。ただな……あたしをただの火の粉だと思うなよっ!」ザッ!

??「そこまでだよ! 二人共!」

マミ「っ!」
杏子「っ!」

マミ「キュゥべぇ……」

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:41:15.47 wjO6Fq6i0 6/55

杏子「はんっ、久しぶりに姿を見せたと思ったら、一体何の用だい?」

QB「何の用も何も無いよ。キミ達が早速争いを始めたから止めに来たんだよ」

杏子「止めに?」

QB「ああ。本来、マミはこの町に住んでる訳でもないんだけど……僕がお願いして呼んだんだ」

杏子「はぁ!? いらないお節介だっての!」

QB「それがそうもいかないんだ。最近、この町での魔女出現数が明らかに多い。
  杏子一人じゃとてもじゃないが手が回らないんだよ」

杏子「んなことねぇよ!」

QB「いいや。現にこの前、二体同時に、別々の場所に魔女が出てきた時があっただろ?
  あの時キミは、一体の魔女しか対処できなかったじゃないか」

杏子「う……」

QB「ともかくそういうわけで、今のところ比較的魔女の出現数が低い町を守っているマミに、
  この町での魔女の出現数が下がるまでの間だけ、助っ人として来てもらおうと思ってね」

マミ「という事はキュゥべぇ。あなたが言っていたこの町を守ってる魔法少女というのは……」

QB「そうさ。杏子こそ、キミに話した魔法少女さ」

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:42:39.25 wjO6Fq6i0 7/55

マミ「おかしいわね……ベテランで強いって話を聞いていたのだけれど……まさかこんなに小さい子とは」

杏子「おいテメェ。やっぱり喧嘩売ってんだろ? な?」

マミ「そんなつもりはないのよ。気に触ったのなら謝るわ」

杏子「ちっ……」

マミ「ただ想像よりも小さかったから驚いただけ」

杏子「ちょっとデカイからって調子乗るなよ、デカ女」

マミ「デ……っ! ……ふぅ……まぁ、私はあなたみたいに頭に血が上るタイプではないから、
   すぐに喧嘩を売ることも無いのだけれど」

杏子「あぁ? 本当に倒すぞ、テメェ」

マミ「あら、あなたでは無理なように思うけど?」

杏子「試してみるか?」

マミ「また目的を見失って……野蛮ね」

杏子「目的は見失ってねぇよ。要は、テメェがいても邪魔だって、テメェを倒して証明すれば済む話だろ」

QB「良かった。早速打ち解けたみたいだね、二人共」

マミ「どこがっ!!」
杏子「どこがっ!!」

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:44:09.52 wjO6Fq6i0 8/55

QB「とりあえず……杏子、彼女はキミの協力者だ。頼りにして良いよ。
  少なくとも才能はある。僕が保障する」

杏子「アテにはなりそうもねぇけどな」

マミ「私も。こんな子が戦力になるようには思えないけれど」

QB「まあまあ。とりあえず、また今度魔女が現れたときにでも、互いの実力を見ることもあるだろう。
  それからでも判断は遅くないんじゃないかな?」

マミ「そうやって悠長に構えたせいで、邪魔されて私が死んでしまうかもしれないわ」

杏子「それはコッチのセリフだっての」

QB「はぁ……ま、ともかく互いに、理解ぐらいはしておいてくれよ」トコトコ…

マミ「…………」

杏子「…………」

マミ「ふんっ」
杏子「けっ!」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:45:31.41 wjO6Fq6i0 9/55

QB「よくじつっ!」

杏子(あ~あ……全く……昨日のあの助っ人にはホントイライラするなぁ……とりあえず、何か菓子でも食って落ち着くか)

杏子「……って」

杏子(もう買っておいた分は昨日で全部食っちまったのか……しゃあねぇ、ちょっとスーパーまで行って――)

マミ「あら?」

杏子「げっ」

マミ「げっ、とはご挨拶ね。先輩さん」

杏子「早速嫌味かよ……全く、いい性格してるよ、アンタ」

マミ「よく言われるわ」

杏子「だろうね」

11 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:47:11.08 wjO6Fq6i0 10/55

マミ「それで、あなたもお夕飯のお買い物?」

杏子「まぁ、そんなとこ。
   ……って、なんでアンタにそんなこと説明する必要があるんだよ」

マミ「別に良いじゃない。パートナーでしょ」

杏子「ぱーとなぁ~? 昨日あんだけ敵意むき出しにしておいて、よく言えたもんだな」

マミ「昨日は私も大人気なかったと思うわ。これでも反省してるのよ」

杏子「反省ねぇ……」

マミ「ええ。先輩の我侭に付き合うのも後輩の務めでしょ?」

杏子「やっぱお前反省とか全然して無いよな?」

マミ「冗談よ。さすがにさっきのは冗談」

杏子「けっ……」

マミ「反省したという部分がね」

杏子「おい」

マミ「あはは……ま、本当に反省はしたのよ?
   ただ、まだあなたを受け入れたって訳でも無いのだけれど」

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:49:47.42 wjO6Fq6i0 11/55

マミ「使い魔を倒した私を注意したってことは、あなたは使い魔に人々を襲わせて、魔女化させようと考えているんでしょ?
   それは私の主義に反するわ。だから、受け入れられないってだけ」

杏子「はんっ、さすが正義の味方様。言うことが違うねぇ」

マミ「でも……あなたの考えも、魔法少女として当たり前のこと。
   ソレを昨日は失念していたわ。
   だから、反省“は”しているのよ」

杏子「ふ~ん……ま、あたしのやり方に口を出してこないんなら、別に構わないさ」

マミ「ええ。ただ、私は勝手に、使い魔でも倒させてもらうけれど」

杏子「グリーフシードを落とさないから無駄だろ――って言いたいとこだけど、どうせ魔女の数が減るまでの間だけの協力関係だしな。
   ま、その辺りはあたしも大目に見てやるよ」

マミ「あら、案外優しいのね」

杏子「あたしだってバカじゃない。早くこの二人体制を解くためだったら我慢ぐらいするさ。
   それに、魔女が多いからアンタが来たってことは、多少使い魔を倒されても困りはしないだろうしな」

マミ「へぇ~……もしかしてあなたも、一日経って色々と考えてくれたクチ?」

杏子「面倒くさいことを早々に終わらせるためさ。アンタのためじゃない」

マミ「ま、互いの魔法少女としての協力関係だもの。このぐらいの淡白さでちょうど良いんでしょうね」

杏子「分かってるじゃねぇか」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:51:51.11 wjO6Fq6i0 12/55

杏子「昨日みたいにトゲトゲしたままだったら鬱陶しかったけどよ……
   まぁある程度話も通じるみたいだし、協力関係も悪くはねぇみたいだな」

マミ「そうみたいね。互いに線引きした領域に足を踏み入れないなら、この関係も邪魔ではないでしょうし」

杏子「言ってくれるね」

マミ「だってそうでしょ? 互いが互いの魔女と戦ってる間は不干渉……コレは認識しておくべき立派な線引きよ」

杏子「ま、それもそうか。途中で手助けされて、手柄を横取りされるのもシャクだしねぇ」

マミ「二人で一体の魔女と戦っても、得られるグリーフシードの数は変わらない」

杏子「だったら不干渉を約束しておいた方が、互いの足を引っ張ることも無い」

マミ「ええ」

杏子「良いね、その条件。乗った」

マミ「ありがとう」

14 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:53:00.73 wjO6Fq6i0 13/55

杏子「んじゃ、買い物籠ぶら下げあってする話でもなかったけど……終わったことだし、ここで別行動だな」

マミ「あら、別に一緒に買い物しても良いんじゃない?」

杏子「なんでだよ。あたしについてきても無駄になるだけだぞ?」

マミ「でも、どうしても今日のメニューが決まらないのよ。参考にさせてもらおうと思って」

杏子「参考って……ま、あたしの買う物見ても、なんの参考にもならないだろうけどな」

マミ「そうとも限らないわよ」

杏子「?」

マミ「何かしらのヒントは、そこに転がっているものよ」

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:54:16.92 wjO6Fq6i0 14/55

マミ「ごめんなさい。これじゃあなんのヒントにもならないわ」

杏子「だから事前に言ったろ? ついてきても無駄になるって」

マミ「というよりあなた数十分のうちに買い物終わってるじゃない!」

杏子「まぁ、菓子とカップ麺と、あとはまぁ惣菜とか買うだけだしな。
   帰りにたい焼きとか買うのも良いかもねぇ……」

マミ「なんて……なんて栄養の偏った食事なの……」

杏子「あたしの勝手だろ? 美味いもの食べて好きなもので腹を満たして、ってのが人間の幸せってもんだ」

マミ「だからってこんな栄養の偏った食事があるもんかっ」

杏子「あるだろ、現に」

マミ「というよりこれはもう独り暮らしの独身男性よりも酷い!
   お菓子の山カップ麺添えみたいになってるっ!」

杏子「おっ、ちょっと面白いな、そのネーミングセンス」

マミ「黙りなさい! ……はああぁぁぁ~……仕方が無い……」

杏子「ん?」

マミ「ちょっとそれ、全部戻しなさい」

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:55:17.18 wjO6Fq6i0 15/55

杏子「はぁ!? なんでだよっ!」

マミ「良いから。こんな栄養の偏ったもの、年頃の女の子に食べさせてられないわよ」

杏子「良いだろ別に! あたしの身体のことは気にすんなって!」

マミ「いいえ気にします! 協力関係とか抜きにして、女の子のこんな食事に目を瞑るなんて真似は出来ませんっ!」

杏子「じゃああたしに料理でもしろってのか!?」

マミ「それも違います! 出来たら普通にしてるでしょ! あなたの場合!」

杏子「じゃあどうやって腹を満たせば良いんだよ!」

マミ「私が作ってあげます!」

杏子「…………え?」

マミ「だから、私があなたの食事を作ってあげますっ!」

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:56:45.91 wjO6Fq6i0 16/55

杏子「いや、そんなの別に良いし。
   あたしはお菓子とか甘いものとか即席麺とか、身体に悪いジャンキーな食べ物を食べて死んでいきたいんで」

マミ「そういうのがダメだって言ってるの!」

杏子「あたしの身体だ! あたしの自由だろ!?」

マミ「そうね! でもその道理が通るなら、私が自分勝手に世話を見たいって言い分の道理も通るでしょ!?
   逆らわせないわよっ!」

杏子「その理屈は絶対におかしい! 逆らうに決まってるだろっ!」

マミ「良いから! 言うことをききなさいっ!」

杏子「アンタはあたしのお母さんかっ!」

マミ「このピッチピチの女の子捕まえてお母さんって失礼ね!」

店員「あの、お客様」

マミ「なに!?」
杏子「なに!?」

店員「すいません……他のお客様のご迷惑になりますので……」

マミ「あ……」
杏子「あ……」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:58:21.37 wjO6Fq6i0 17/55

マミ「……ごほん。では、互いに妥協しあいましょう。
   さっき協力関係をキッチリと結べた時のように」

杏子「えぇ~……?」

マミ「不毛な議論とは互いの主張をするばかりで、妥協点を見つけないことよ。
   このまま時間が無作為に過ぎるのは、互いに空腹的な意味で悪いんじゃない?」

杏子「べっつに~……」

マミ「それじゃあ私の言い分を無理矢理押し付けることにします」

杏子「ちょっ――」

マミ「まず、お菓子を買っていくことは許可します。
   でも代わりに、晩ご飯は私の元で食べてもらいます。
   もちろん、私の手料理をね」

杏子「面倒だなぁ~……」

マミ「でも、もしあなたがこの今日のお呼ばれで料理が美味しくないと感じたのなら、翌日から来なくても良いわ」

杏子「おっ。ってことは、何を食べてもマズいって言えば良いのか」

マミ「そういうことだけど……そういうのは心の中で思うだけにするのが正しいわよ。たぶん」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 15:59:29.38 wjO6Fq6i0 18/55

マミ「で、もちろんおいしかったら、翌日からも私の家に来てもらう。それでどう?」

杏子「う~ん……ま、タダで飯が食えると思えば良いか……」

マミ「そういう認識でも構わないわ」

杏子「じゃあしゃあねぇな。今日だけだぞ?」

マミ「ふふっ、果たして、今日だけで終わると思う?」

杏子「当たり前だろ。マズいって言えば良いんだから」

マミ「言わせないわ。逆に私の得意料理で、意地でもおいしいって言わせてみせる」

杏子「ほ~……そいつは楽しみだ。で、晩ご飯のメニューは決まってるのか?」

マミ「ふっ……聞いて驚きなさい」

杏子「?」

マミ「オムハヤシライスよ」

杏子「……驚く要素がねぇじゃねぇか」

マミ「ま、デミグラスソースの缶から作るから、厳密には私自身の実力ではないかもしれないけれど……
   自信はあるわ。だから、楽しみにしておきなさい」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:00:44.96 wjO6Fq6i0 19/55

QB「帰り道っ!」



杏子「そういえば、オマエん家に行っても大丈夫なのか?」

マミ「大丈夫って?」

杏子「その、親御さんとか……」

マミ「一人暮らしだから気にする必要は無いわよ」

杏子「なんだそっか……っていうか、なんで一人暮らしなんだ?」

マミ「春からこの町の高校に通うからよ」

杏子「……ん? ってことはこの町で魔女の数が減っても、オマエはずっとい続けるってことか?」

マミ「ま、そうなるわね」

杏子「おいおい……じゃあずっと二人で魔女狩りを続けることになるのかよ……」

マミ「それはないわよ」

杏子「え?」

マミ「あなたがこの町で魔法少女を続けてくれる限り、私は隣町で魔法少女を続けるからよ」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:01:46.87 wjO6Fq6i0 20/55

マミ「キュゥべぇに聞いた話だけれど、隣町も今は魔法少女がいないらしくてね……
   魔女が来ていないからなんとかなっているらしいのだけれど、
   この一件が終わったら私がその町まで魔女を退治しに行くことになってるの」

杏子「ふ~ん……じゃあもしかして、この一件でアンタが呼ばれたのって」

マミ「そう。違和感なくこの町に来れる魔法少女だったからってのもあるわ。
   近々引っ越す町に早めに行くなんてこと、当たり前のことでしょ」

杏子「しかし、よく親が許可してくれたもんだな」

マミ「まぁ、ね……」

杏子「?」

マミ(遠い親戚の人だから、なんて彼女に言っても……仕方の無いことだものね)

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:29:21.01 wjO6Fq6i0 21/55

QB「マミの家~」



マミ「さ、遠慮せずあがってちょうだい」

杏子「お、お邪魔します……」

マミ「くすっ、さっきまでの態度はどうしたの? 親なんていないんだから、気を遣う必要も無いのよ?」

杏子「そ、そうなんだろうけどさ……誰かの家にあがるのなんて……」

マミ「久しぶり?」

杏子「ま、まぁ……そんなとこ……」

マミ「気にしないでくつろいでおいて。と言っても、特に何かがある家って訳でも無いんだけど。
   引っ越してきたばかりだから尚更ね」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:30:07.96 wjO6Fq6i0 22/55

マミ「さて、それじゃあ早速、夕飯の準備でもしましょうかね」

杏子「あ、て、手伝おうか?」

マミ「結構よ。あなたはゆっくりのんびりくつろいでおいて」

杏子(って言われてもな……まぁ、菓子でも食ってノンビリ待たせて――)

マミ「あ、お菓子は食べちゃダメよ?」

杏子「な……! なんでだよっ」

マミ「空腹は最大の調味料、って言うでしょ。だから、お夕飯が終わるまではお菓子も没収~」サッ

杏子「あぁ~……」

マミ「というより、いつの間に買い物袋から抜き取ってたのよ。油断も隙も無いわね」

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:31:16.12 wjO6Fq6i0 23/55

マミ「……どう?」

杏子「くっ……なんてこった……! 普通にうめぇじゃねぇか……!」

マミ「よしっ」グッ

杏子「この抜群な味付け……トロトロのタマゴ……オマエ、実は天才だな……?」

マミ「実は、って何よ。あぁ、ほら、慌てない慌てない。
   おかわりもあるから、ゆっくりと食べてちょうだい」

杏子「えっ!? おかわりして良いのか!?」パァッ

マミ「ええ。そんなに嬉しそうな顔で食べてくれるんなら、いくらでもどうぞ」

杏子「やりぃ♪」ガツガツ

マミ「……ふふっ」

杏子「あん? なんだよ、コッチ見て笑って」

マミ「ううん、別にあなたをバカにした訳じゃないの。
   ただ……ね……こういうの、良いなぁ、って思って」

杏子「…………」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:32:37.54 wjO6Fq6i0 24/55

杏子「ふぅ~……食った食った」

マミ「お粗末さまでした。それで、どう? これからも毎日来てくれる?」

杏子「ああ。むしろ、こんなに美味い飯を毎日ご馳走してもらって良いのかって、こっちが疑問に思っちまうほどだ」

マミ「ええ。ぜひ来てちょうだい。一人でご飯を食べたって、あまりおいしくないものね」

杏子「ふ~ん……そういうもんかねぇ……」

マミ「ま、あなたには分からないかもしれないわね。
   ……さて、と……それじゃあ洗い物でもして……あ、お風呂も溜めないと……」

杏子「んじゃ、あたしは帰らせてもらおうかね」

マミ「え? もう帰っちゃうの? お風呂、入っていかない?」

杏子「いや、さすがにそこまで世話になる訳には……」

マミ「私は別に構わないわ」

杏子「でもなぁ……」

マミ「…………」

杏子「……そうだな……それじゃあ風呂、沸かしてくれよ。もらって帰るわ」

マミ「……うんっ」

杏子(……ったく……あんな寂しそうな顔すんなっての……)

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:33:28.71 wjO6Fq6i0 25/55

杏子「ふぅ~……さっぱりした~……」

マミ「そう。それは良かったわ」

杏子「んじゃ、風呂も借りたし……」

マミ「待ちなさい」

杏子「あん? まだ何かあんのか?」

マミ「髪、乾かして帰らないと。風邪ひいちゃうわ」

杏子「あと半月もすれば四月だってのに、風邪なんてひくかっての」

マミ「良いからほら、ドライヤーで乾かしてあげるから」

杏子「ちっ……面倒だなぁ……」

マミ「人の好意は受け取るものよ」

杏子「はいはい。全く……本当、お母さんみたいなやつだな、オマエ」

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:34:42.72 wjO6Fq6i0 26/55

マミ「…………」

杏子「…………」

マミ「……あ、枝毛」

杏子「あん?」

マミ「ちゃんとお手入れして無いから……こんなに長い髪なのに、もったいない」

杏子「んなもん、野郎にモテたいヤツがすることだろ?」

マミ「違いますっ、レディとして、最低限のたしなみよ」

杏子「たしなみねぇ……正直、んなことやってる余裕があんまないんだよな。
   風呂もそんなに入ってる余裕ねぇし」

マミ「魔女狩りって言っても、そんなに切羽は詰まらないでしょ」

杏子「ちげぇよ。やっぱ特定の家を持ってないとさ、風呂なんて滅多に入れねぇんだよ」

マミ「……………………今、なんて言った?」

杏子「あぁ? だから、特定の家を持ってないと――」

マミ「ってことはあなた、まさか野宿して生活してるの!?」

杏子「ああぁぁ……んん~……まぁ、そうなるのかな……」

杏子(あの焼けてボロボロになった教会が家だって言っても……雨風が防げるぐらいだしな……)

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:35:52.37 wjO6Fq6i0 27/55

マミ「そんな……ありえない……こんな若い女の子が、野宿だなんて……」

杏子「いや、慣れちまえばどうってことねぇよ?」

マミ「いけません! 危ないでしょっ! 変な男に絡まれたりしたらどうするつもり!?」

杏子「どうするって……魔法少女の力を使ってぶっ飛ばすけど……」

マミ「そんなの危ないでしょっ!」

杏子「いや、でも今のところ何の被害も被ってねぇし……それにさ、あたしなんかを狙うやつなんてそんなに……」

マミ「自分を軽視して油断するのが、一番危ないのよっ!」

杏子「……そうかなぁ……」

マミ「…………」

杏子(……しまったなぁ……口を滑らせるんじゃなかった……なんか考えてるし……厄介なことになりそうだな~……)

マミ「よしっ、分かったわ」

杏子「いや、遠慮――」

マミ「あなた、今日からここに住みなさい」

杏子「――する、って言いたかったんだけどなぁ……」

32 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:36:42.63 wjO6Fq6i0 28/55

杏子「いや、でもほら、あたしたち敵同士だし……」

マミ「いいえ、協力関係を結び合った仲よ」

杏子「こんな時だけ都合よく……」

マミ「という訳で、今日からあなたはココで寝泊りをすることになりま~す」

杏子「いやいやいや! 勝手に決めるなって!」

マミ「はいもう決定! 変更不可!」

杏子「変えさせろって!」

マミ「無理! 不許可! 不可能!」

杏子「なんだよそれ!」

マミ「まあまあ。ほら、よくよく考えてみなさい。
   お金の掛からない食事が出てくる宿が見つかったって思えば。
   ほら、お得感満載」

杏子「うっ……確かにそうやって結果だけ提示されると……悪い話じゃないような気がしてくる……」

マミ「ほら良かったじゃない。どうせ女の子の一人暮らしだから、遠慮することも無いんだし」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:37:55.53 wjO6Fq6i0 29/55

杏子「でも……オマエは本当にそれで良いのか?」

マミ「良いも何も、私からあなたに居て欲しい、ってお願いしてるんだけどなぁ」

杏子「……はぁ……分かったよ。確かにその辺で寝泊りするよりもマシだしな」

マミ「ふふっ、話が早くて助かるわ」

杏子「ま、どうせ魔女が大量発生している間だけの関係だしな。
   ソレが終わったら、アンタ個人との関係は続くけど、魔女を含ませた関係ではなくなるし。
   そうなったら、同じ空間に魔法少女がいても気にもならなくなるさ」

マミ「え? もしかして、この関係が終わった後も、家にいてくれるの……?」

杏子「ん? もちろん、アンタが迷惑だって言うんなら出て行くさ」

マミ「……まさか。居てくれるって言ってくれて、むしろ嬉しかったぐらいよ。……ありがとう」

杏子「はんっ。礼を言うのはコッチだろ? アンタが言うのは筋が違うってもんさ」

マミ「それでも……ありがとう」

杏子(……なんてホッとした表情するんだよ……コイツは……)

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:38:48.96 wjO6Fq6i0 30/55

マミ「それじゃ、魔女でも探しに行きましょうか」

杏子「ああ、はいはい。って、それだったらなんであたしは風呂に入れられたんだよ……」

マミ「戦いの前にもお風呂は入っておくものよ。
   そうしたら、帰ってきたときはシャワーだけで済ませられるでしょ」

杏子「あたしからしてみれば、元々シャワーだけでも十分だと思うんだけどな」

マミ「そんなわけないでしょっ。だから髪だって枝毛があるのよ」

杏子「だからあたしは気にしてねぇって」

マミ「全く……」

杏子「って言うか、それだとオマエはまだ風呂に入ってねぇじゃねぇか」

マミ「ま、時間も時間だし、帰って来てから入ることにするわ。
   これからはあなたも一緒に暮らすんだし、その辺りの時間管理もしっかりとしないとね」

杏子「ま、自由にしてくれ。アンタの家なんだしな」

マミ「いいえ。私と、あなたの家よ」

杏子「……けっ、勝手に決め付けやがってよ……」

マミ「ふふっ……それじゃ、行きましょうか」

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:39:27.50 wjO6Fq6i0 31/55

~~~~~~

杏子「あぁ~あ……疲れた」

マミ「こらこら、帰ってきたらただいまでしょ」

杏子「ああ、はいはい。ただいま」

マミ「はい、おかえりなさい」

杏子「って言っても、オマエだって一緒に帰ってきたじゃねぇか」

マミ「だから私も。ただいま」

杏子「…………」

マミ「…………」

杏子「……ちっ……はいはい。おかえりおかえり」

マミ「うんっ。ただいま」ニコッ

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:43:14.69 wjO6Fq6i0 32/55

杏子「さぁってと……もう朝方だし、疲れてきたし、あたしは寝るよ」

マミ「あら、シャワーは良いの?」

杏子「起きたら浴びさせてもらうよ。さすがに、一日にニ体も魔女を相手にすると疲れちまう」

マミ「一緒に入らないの?」

杏子「入るかよ、ばーか」

マミ「あらそう。それじゃ、おやすみなさい」クスクス

杏子「ああ。オマエも、早く休めよ。
   魔女を倒したのが一体って言っても、使い魔をニ体も倒してたんだからな」

マミ「そうね。ちょっと嬉しくて、はしゃぎすぎちゃったかもね」

杏子「……ふんっ。ま、身体はしっかりと休めておけよ」

マミ「ふふっ、お気遣いありがとう」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:44:50.48 wjO6Fq6i0 33/55

キュッ

シャー…

杏子「…………」

杏子(それにしても……キュゥべぇの言ってた通り、魔女の数は確かに増えてきてる。
   もし今日アイツがいなかったら、魔女をまた一体取り逃してたとこだ……)

マミ「…………」シャー

マミ(もしかしたら、この町での魔女の大量発生……何か原因があるのかもしれない)

杏子(使い魔の数だって尋常じゃない。アイツが倒せず、あたしが把握してる分だけでも、三体はいた)

マミ(それでも、原因を解明できるほど、私も詳しいわけじゃない。
   ……だからまずは、数を減らすことから始めないと)

杏子(……この町の人間を救うため、なんて大義名分を掲げるつもりはねぇけどよ……
   たまに寂しそうにするアイツの負担が増えるのは、正直良い気がしねぇな……)

マミ(そのためにも、使い魔と魔女、両方を倒し続けていく必要がある)

杏子(だったらあたしも、使い魔と魔女、両方を倒していくしかねぇってことか……)

杏子「……はぁ……」

杏子(面倒だし柄でもねぇし、得も何もねぇけどよ……
   ま、泊めさせてもらってる恩ぐらい、返しとかねぇとな。
   魔法少女としてのあたしらしくはねぇけど、さ……)

39 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:45:22.83 wjO6Fq6i0 34/55

~~~~~~

キュッ

ガチャッ

マミ「ふぅ……」

マミ(ちょっと長風呂しすぎちゃったかも……)

マミ「……あら?」

杏子「…………」クゥ~…クゥ~…

マミ「ふふっ、ソファで寝ちゃって……別にベッドを使っても良かったのに」

マミ(ホント、妙なところで気を遣って……)

トコトコ…

ガチャッ

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:46:18.88 wjO6Fq6i0 35/55

パタン

…トコトコ

マミ「全く……何も掛けないで寝てたら、風邪ひいちゃうわよ」

パサッ

杏子「…………」クゥ~…クゥ~…

マミ「……本当、可愛い寝顔」

杏子「…………」クゥ~…クゥ~……

マミ「……あなた、前に私のことを正義の味方って言ってたけど……私だって、グリーフシードに余裕がなかったら、あんな人助けみたいなことしないのよ。
   自分のために誰かを救いたいけれど、自分を殺してまではしないの。
   正義の味方と違って、命あっての物種、なんて考えて」

杏子「…………」

マミ「……何言ってんだろ、私。あなたが寝てる時に、あなたに嫌われないために言い訳しちゃって。
   自分も結局は、あなたと一緒で魔法少女らしい思考を持ち合わせてる、なんて言っちゃって」

杏子「…………」

マミ「ズルいよね、私」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:46:54.84 wjO6Fq6i0 36/55

杏子「…………」

マミ「でも……そんなズルい私と一緒にいてくれて、ありがとう」

杏子「…………」

マミ「寂しかったから、嬉しかったの。一緒にいてくれて。
   この関係が終わっても、一緒にいてくれるって言ってくれて」

杏子「…………」

マミ「だから……別々の担当地域にはなるだろうけど、これからもずっと魔法少女同士、仲良くなりたいな。
   ……その時はぜひ、名前……呼び合おうね」

杏子「…………」

マミ「それじゃ、おやすみ」

杏子「…………」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:47:42.42 wjO6Fq6i0 37/55

パタン

杏子「…………」

杏子(はぁ~あ……全く……寂しいなら寂しいって言えっての。
   自分が貫いてるもんの裏側まで喋ってさ……そんなにしてまで独りに戻るのがイヤだったら、
   あたしがちゃんと聞ける時に正直に言えっての)

杏子「バカじゃん。全く……」

杏子(でも……不器用なのはあたしも一緒か……魔法少女としての孤独を受け入れてるか、受け入れないとと想っているかの違いだけで……)

杏子「似てるのかもな……アイツとあたしって」

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:50:13.50 wjO6Fq6i0 38/55

QB「そんな共同生活が、一週間続きました」



杏子「ふぅ~……」

杏子(今日はこの辺でいいか。使い魔二体に魔女一体……結構な戦果じゃねぇか。
   近頃は、魔女の出現数も心なしか減ってきてるみたいだし……そろそろ終わりも近いのかもな)

杏子「…………」

杏子(……って、なに残念がってんだか、あたし。
   どうせこの後もアイツとは生活していくわけだし、気にする必要もねぇってのによ)

杏子「……ん?」

杏子(この反応は……アイツまだ戦ってんのか? 結構手こずってるみてぇだな……)

マミ『互いが互いの魔女と戦ってる間は不干渉……コレは立派な認識しておくべき線引きよ』

杏子(……ま、そう言ったのはアイツ自身だしな……気にすることもねぇか……)

杏子「…………」

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:51:29.49 wjO6Fq6i0 39/55

杏子(なぁんて思ってたのによ……結局見に来ちまってるよ……あたし)

マミ「……っ!」バンッ! バンッ!

杏子(二挺のマスケット銃……そして始めて会ったときに見たあのデッカイの……なるほど、典型的な遠距離型って訳か)

杏子「…………」

杏子(にしても相性がわりぃな……。
   あの二挺の銃、消耗しちまったせいか単発式のものしか呼び出せてねぇし、新しいのを呼び出すまでの隙がある。
   たぶん、普通の魔女ならそれでもどうにかなってたんだろうが……
   今の相手の速さじゃとてもじゃねぇけど、大技を撃てる隙を作るなんてことは出来ねぇ……)

マミ「っ!」バンッ! バンッ!

杏子(さて……アイツ、どうするつもりだ……?)

マミ「……っ!」

杏子(いや……この反応はっ……!)

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:52:19.85 wjO6Fq6i0 40/55

マミ(このままだとジリ貧だわ……新しい銃を呼び出している間に、距離を詰められちゃう……
   だからといって、このまま普通のマスケット銃で相手をしてても意味が無い……
   大技で一撃で仕留めない限り、どうにか出来る相手でもない……)

マミ「っ!」バンッ! バンッ!

マミ(さて……ならどうする……)カチャ、ガチャ

マミ「…………」バンッ! バンッ!

マミ(……拘束魔法……試してみるしかないか……!)カチャ、ガチャ

マミ「はぁっ!」バンッ! バンッ! 

魔女「…………!」ドン! ドン!

キュ

パアァ…!

魔女「…………!」グッ…ググッ……!

マミ(よしっ! 今の内に距離を取って――)

47 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:53:17.44 wjO6Fq6i0 41/55

マミ「ティロ・――」

魔女「…………っ! アアアアアアアアアア……!」ギュシュルルルル…!

マミ(え……? そんな、あの状態から攻撃できるなんて……! ダメ、防御が……!)

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:54:35.24 wjO6Fq6i0 42/55

杏子「はぁっ!」

ザン!

マミ「…………え?」

杏子「そぉりゃぁっ!」

バシュシュシュシュ…!

杏子「ふぅ……大丈夫か、オイ」

マミ「あ、あなた……」

杏子「手出し無用、なんて言うんじゃねぇぞ」

マミ「まさか……私が、やられそうだったから……」

杏子「……ちげぇよ」

杏子(本当はソレもあるが……)

杏子「あの魔女……一体じゃねぇ」

マミ「……え?」

杏子「二体一緒にいやがる」

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:55:44.97 wjO6Fq6i0 43/55

杏子「アンタの拘束は完璧だった。たぶん、あの魔女が一体で行動してたんなら、あの後の一撃で終わってただろうさ」

マミ「で、でも……魔女が二体一組で行動してるなんて……」

杏子「ああ、あたしも始めて見た。
   が……目の前のヤツは間違いなく、二体一組だ。
   拘束されてるやつと、今再生してるヤツ。
   ほら、人の中にも他人を無性に惹きつけるヤツがいたりするだろ? たぶん、ああいう類なんだよ」

マミ「……それじゃあもしかして、今まで魔女が大量発生していたのは……」

杏子「たぶん、アイツらのどっちかがその惹きつけるタイプってやつで、ソレに吸い寄せられてたんだろ」

マミ「それじゃ……あの魔女を倒せば」

杏子「ああ。憶測に過ぎないが、魔女の大量発生を抑えられる可能性がある」

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:56:32.53 wjO6Fq6i0 44/55

マミ「……そう言えばお礼、言ってなかったわね。ありがとう、助けてくれて」

杏子「はんっ、気にすんなって。
   アンタが死んだ後にアイツら二体同時相手だと、あたしでも分が悪いって思っただけさ」

マミ「……ま、そういうことにしておくわ」

杏子「んだよ、ソレ」

マミ「別に。ほら、今は目の前の敵、でしょ」

杏子「っるせいなぁ……やられかけてたやつが仕切るなっての」

マミ「ごめんなさい。ただちょっと、助けてもらえて嬉しくて、舞い上がっちゃって」

杏子「……あっ、そ」

マミ「ええ。それに……面白いこと思いついちゃって」

杏子「面白いこと?」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:57:17.74 wjO6Fq6i0 45/55

マミ「私の武器、単発式のマスケット銃二挺だけなんだけど……これじゃあ連射がきかないのよ」

杏子「それじゃ、単発式じゃねぇのを呼べば良いだけじゃねぇか」

マミ「ま、それもそうなんだけど……アレだけ速い敵だと、それもどうも上手くいかなくてね」

杏子「んじゃ、どうするつもりだ?」

マミ「それは……そうね、実際にやってみようかな」

杏子「あん?」

マミ「あなた、敵に突進してもらえる?」

杏子「はぁっ!?」

マミ「さっき私にされた無数の帯みたいな攻撃……アレは全部、私が撃ち弾いてみせるから」

杏子「でもさっき連射は出来ねぇって」

マミ「…………」

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:57:56.56 wjO6Fq6i0 46/55

杏子「……はぁ……分かったよ、信用してやるよ。その面白いことってのを」

マミ「ありがとう」

杏子「でもそれだと、オマエへの防御も無くなっちまうぞ?」

マミ「それも大丈夫。攻防一体の攻撃、みたいなものだから」

杏子「そうかい。んじゃ……信じてみますかっ!」ダッ!

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 16:58:47.49 wjO6Fq6i0 47/55

マミ(二挺で足りないなら……そう……無数に呼べば良いだけの話っ!)

マミ「きてっ!」

パァ…

ザザザン! ザザザザザザン!

杏子(っ! 自分の周りに無数の銃を……! なるほどね……)

マミ「さあ……いくわよっ!」

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:01:30.64 wjO6Fq6i0 48/55

マミ「っ!」パン! パン! パパパン!

杏子(すげぇ……本当に敵の攻撃がこねぇ……! これなら――一直線に……!」

魔女「…………っ!」グッ! ググッ!

杏子「へっ! そんなに辛いならよ! その拘束、今斬ってやるよ! オマエごとなっ!」ザンッ!

魔女「アアアアアアアアアアアアア……!」

魔女2「っ……!」グフォォ…!

杏子「なるほどね……背中を壁にしてアイツの銃弾を防ごうってのかい。そしてあたしの後ろから攻撃、と」

魔女2「…………!」

杏子「でも残念。さっきまでの攻撃ならソレでいけたんだろうが……
   今、そんな無防備な姿をアイツに晒しちまったら――」

マミ「ティロ・――」

杏子「――普通に、やられちまうぞ?」ニヤッ

マミ「――フィナーレッ!」パウゥン…!

魔女2「っ!」

杏子「あばよ。あたしら二人の前に、アンタらは小物過ぎた」

魔女2「オオオオオオオオオオオオオオ……!」

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:03:51.26 wjO6Fq6i0 49/55

杏子「ふぅ……終わったな」

マミ「ええ。……なんとか、ね」

杏子「余裕が無かったのはアンタだけだろ? あたしは全然大丈夫だったぞ」

マミ「あら、私の新技、見てなかったの?」

杏子「見てたよ。確かにアレなら、接近戦でも大丈夫だろうけどさ」

マミ「でしょ? 我ながらいいこと思いついたと思うのよ」

QB「本当、よくやったね、二人共」

マミ「っ!」
杏子「っ!」

マミ「キュゥべぇ……」

杏子「ちっ……今まで出てこなかったくせに、都合が良くなったら出てくるんだな」

QB「悪い悪い。コッチにだって、都合があるんだよ」

杏子「都合ねぇ……大方、他にも魔法少女を増やしてきてたんだろ?」

QB「そんなところさ」

58 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:05:04.26 wjO6Fq6i0 50/55

QB「ただ、残念なお知らせもあってね」

マミ「どうしたの?」

QB「マミが元々担当していた地域の魔法少女は見つかったんだけど……
   同時に、他の地区の魔法少女が魔女にやらてしまってね」

杏子「……んで、それがあたし等となんの関係があるってんだ?」

QB「珍しく察しが悪いね、杏子。それともそれはワザとなのかな?」

杏子「あん?」

QB「マミと離れたくないから、察していることを言わない、とか」

杏子「んなことねぇよ」

QB「そうかい? でも今回、キミにしては珍しく使い魔まで――」

杏子「それ以上は黙ってろ。八つ裂きにすんぞ」

QB「――はぁ……分かったよ。それよりも本題だ」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:05:52.60 wjO6Fq6i0 51/55

QB「それで、その空席になった地域に、二人のどちらかが向かって欲しいんだ」

マミ「え……?」

杏子(やっぱりな……)

マミ「ちなみにキュゥべぇ、それってココから遠い場所なの?」

QB「ああ。悪いけど、ここから毎日向かうって事は出来ない距離だ」

マミ「そう……それじゃあ私が――」

杏子「あたしが行くよ、その地域」

マミ「――え?」

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:08:20.21 wjO6Fq6i0 52/55

杏子「アンタ、春からこの町にある学校に通いだすんだろ?
   だったら、わざわざ引っ越す必要もねぇよ。せっかくの学生生活だ。楽しみな」

マミ「でも……元々この町は、あなたのテリトリーだったのよ?」

杏子「だからって、また引っ越すなんて話はややこしくなるだろ?
   ここには家を持たない魔法少女が一人いるんだ。ソッチを使った方が頭も良い」

杏子(それにキュゥべぇだって、それが分かってるからあたし達に――いや、あたしが断れない状況で声を掛けたんだろうしな……)

杏子「だからま、ここはオマエに譲ってやるよ。良い縄張りだったんだけどな」

マミ「……良いの?」

杏子「良いも何も、オマエなら譲っても良いってあたしが思ったんだ。だから、頼んだよ」

マミ「……うんっ」

杏子「よし、良い返事だ」

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:09:16.91 wjO6Fq6i0 53/55

杏子「んじゃ、ちょっくら行って来るよ。
   都合が良くなったら戻ってくるから、それまでこの町の魔法少女のままでいろよ」

マミ「……あの!」

杏子「あん?」

マミ「あなたの……あなたの名前……教えて欲しいの」

杏子「ああ~……あんま人に名乗るのは得意じゃねぇんだよな……」

QB「佐倉杏子だよ、彼女は」

杏子「ちょっ、オマエ!」

マミ「……分かった。……それじゃあまたね、佐倉さん」

杏子「……けっ。……ああ。またな、マミ」

マミ「っ……! うんっ!」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:09:52.82 wjO6Fq6i0 54/55

マミ「戻ってきたら、ぜひ私の家に寄ってね!」

杏子「ああ、はいはい」ヒラヒラ

マミ「また、泊まって行ってねっ!」

杏子「っるせぇ! そんな大声で言ってたら、近所迷惑だろうがっ!」

マミ「あはは……うん、ごめんね!」

杏子「……けっ」

65 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/03/02 17:11:23.12 wjO6Fq6i0 55/55

マミ「……行っちゃった……」

QB「ごめんね、マミ」

マミ「なにが?」

QB「せっかく、魔法少女としての仲間が出来たのに……」

マミ「……良いのよ、別に。
   確かに寂しいけど……ずっと一緒にいて、コンビを組みたかったけど……仕方の無いことだもの」

QB「そうかい……。
  まぁ、この町にも新しい魔法少女がいるかもしれないからね」

マミ「あら、そしたら私は先輩になっちゃうのかな」

QB「そうだね。そしたら、その子に魔法少女を教えるって意味もあるから、ずっとコンビでいられるよ」

マミ「そっか……それじゃ、それまで死なないようにしなくちゃね」

マミ(それに……佐倉さん。……あなたにまた、会うためにも……)



終わり

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