「ほむらちゃん……。私、ほむらちゃんの事昔から好きだったの!」
「そうなの?あ、髪が枝分かれしてる.…」
「世紀の大告白が枝分かれに負けた!?」
元スレ
まど神「肝試しだよ、ほむらちゃん!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330343244/
夜、ほむら宅。
部屋の明かりを消しまどかとほむらは二人、テレビ番組を見ていた。
『ある晩の事 玄関口から音が聞こえるんですよ ドンドンって音が
震えながら開けるとそこには ニタッっと笑った男の子の霊が……』
「きゃああああああああああああああああああ!!!」
「ちょっ首絞まってるわ!首!」ガクガク
今にも殺さんばかりに首を絞めてくる概念鹿目まどかを、ほむらはなんとか静止させる。
「えへへ.…ごめんね?つい」
「けほっ、つい、で殺されかけた私の身にもなりなさい……」
部屋の明かりを点け、呼吸を整えるためコップに水を汲みにいく。
ほむらの首には若干絞めた跡が残っていた。まさにホラーである。
「けど、まどかも怖がりすぎよ.…。たかが心霊番組で」
「ほむらちゃんは幽霊を甘く見すぎだよ!」
後ろで力強く声をあげるまどか。
何か幽霊に思い入れでもあるのだろうか。
「幽霊っていうのは、とにかく恐ろしくて、ある場所に留まったりして、時には特定の人間にべったり纏わりつく……」
大きく息を吸う。
「つまり幽霊っていうのは、私みたいな存在の事を言うんだよ!!」
「何言ってるのかしら貴女」
時に人はそれを、ストーカーと呼ぶこともある。
「そっか.…。私が、幽霊だったんだね……」
「まどか.…。何で自分で言っといて傷ついてるのかはわからないけど、きっと貴女は幽霊とは違う存在よ、安心して」
「………本当?」
「ええ」
ハッキリと言いきるほむら。
そこには強い信頼が感じられた。
「ほむらちゃん……」
そんなほむらを見てまどかは立ち上がる。
そして強い意思の元、彼女は思いの丈を叫んだ。
「それじゃあ、肝試しに行こう!!」
「…………は?」
あまりに突然なまどかの提案に、ほむらは思わず口をポカンと開けた。
―――――
――――
―――
「さっきね、ビビっと電波を受信したんだ」
場を改め、テーブルを囲う二人。
まどかは話を切り出した。
「肝試し→ほむらちゃんと夜の薄暗い場所で二人っきり→押し倒し→うっふんあっはん。って」
「あ、髪が枝分かれしてる……」
「それはもういいよ!」
ほむらはスルーを身に付けたようだ。
「で、その電波妄想は置いといて.…。本当に行くの?」
「うん!ほむらちゃんに幽霊の恐ろしさも、たっぷり教えなくちゃいけないからね!」
グッと握り拳のまどか。
こうなっては止めるのは至難の技というものだろう。
ほむらはそれを幾度の経験によりよく理解している。
逆らっては後が怖い。ほむらはとりあえず黙って様子を見る事にした。
そしてそれとほぼ同じタイミングで、突然玄関が勢いよく開かれた。
「話は聞かせてもらったわ、二人とも!!」
「巴マミ、近所迷惑」
現れたのはまどか達の先輩、巴マミだった。
何故こんな時間になどの疑問はさておき、ずかずかと部屋に入ってくる。
「マミさんも一緒に行ってくれるんですか?」
「本当は一緒に遊びたいだけよ!(ええ、貴女達二人じゃ色々と心配ですからね)」
「ほむらちゃんと二人っきりのつもりが……。まあ、後でペア行動とかにすればいいよね(本当ですか!嬉しいなあ)」
「あ、出掛ける前に食器だけでも片付け無くちゃ……」
スルーを覚えたほむらはとても頼もしい。
そこでふと、ほむらは疑問を浮かべた。
「ところでまどか、貴女さっきまで心霊番組見て怖がって無かったかしら。肝試しとかそういうのは平気なの?」
「あ、いい質問だねほむらちゃん」
質問に答えようと、こほんと一呼吸置くまどか。
満面の笑みでそれは語られた。
「女っていうのは例え怖くなくても、きゃーこわーい♪とか言ってれば好きな相手の目を引く事が出来るんだって私が人間の頃、うちのママが」
「そんな戦略的な話は聞きたくなかったわね」
それで首を絞められては敵わない。
「でもママが昔、こうやってパパを落としたって言ってたんだけどなあ」
「それは絞め落としたっていうんじゃないかしら」
知られざる鹿目家の実態に、ほむらは戦慄した。
そんな事を話していると突然、窓を叩く音がした。
ガンガンッ
『――――――!?』
ここまでの話題が話題だけに、いつも以上に身構える三人。
窓はカーテンが掛かっているため、開けないと確認出来ない。
「……あ、暁美さん?お客様みたいよ。窓開けてきたら?」
「ま、窓から入ってくる人をお客様と呼ぶのは難しいわね。まどか、行きなさい」
「ちゅーしてくれるなら」
「やっぱり私が開けるわ」
「ひどいよっ!?」
恐る恐る窓に近付いていくほむら。
そして――――
ガララッ
『きゃああああああああああああああああ!?』
「いや、あたしなんだけど」
そこに居たのは赤のポニーテールが印象的な少女、佐倉杏子だった。
「はーどっこいしょっと。邪魔するぜ」
窓から入り込んでくる。
「杏子….。貴女どうやってここまで登ってきたのかしら?」
「あたしの槍でひょいひょいっとな。楽勝楽勝」
「…………」
ここは決して低い場所にあるわけではないのだが、もはや流石としか言いようがない。
ほむらは深く考えないことにした。
「あ、そうだ。折角だし杏子ちゃんも行く?肝試し」
「なんだいそりゃ」
「実はね……」
ここまでの流れを一通り説明する。
―――――――
「いいいいいい行くわけねーだろ!馬鹿かお前ら!」
『意外ね(だね)』
天下無敵の佐倉杏子、まさかのお化け嫌いであった。
「でもそんな危険な場所には行かないし……。夜の散歩だと思って、どう?」
「いやだ!絶対行かないからな!お前らもそんな場所行ってお化けに取り憑かれても知らないんだからな!」
頑固として杏子は譲らない。
「(意外と可愛い所あるのね、杏子ったら)」
「(ええ、あれがギャップ萌えというヤツね。私も真似したら少しは可愛くなれるのかしら)」
「(貴女のいやーこわーいは拘束魔法→ティロフィナーレぶっぱになる可能性が高いからやめておきなさい)」
「(どういう事よ、それは)」
そんなやりとりを交わしていると、再び玄関が開かれた。
全員が何事かと視線を集めると、そこには一人の少女の姿があった。
「キョーコ?」
「!…………ゆま」
現れたのは、千歳ゆまだった。
「…………」
キョロキョロと面々を見回すゆま。
初めて見る顔が幾つかあるためか、物珍しいようだ。
「ゆ、ゆま。ここは危ない奴らがいるから下で食料持ってくるまで待ってろって言ったろ?」
「ほむらちゃんは危なくなんかない!」
「まどか、貴女の事よ」
奴らと言った事に彼女達は気付いていない。
「だからな?ここはあたしに任せて、ゆまは下に降りて――」
「……ゆまも、肝試しに行きたい!」
「!?」
突然の申し出に、杏子は動揺を隠せなかった。
そんな杏子を無視し、更にゆまは自分の気持ちを伝えていく。
「わたし……今まで肝試しなんて、したことなかったから、一緒に行きたい!」
「ばばばばばば馬鹿野郎!今から行く所がどんなに危険かわかってんのか!?命幾つあっても足らないようなとこなんだぞ!」
『それはない』
彼女は戦場にでも行くつもりなのだろうか。
そしてゆまはトドメを刺しにかかる。
「ダメ、かな……?」
「うっ」
狼狽える杏子。
彼女とてゆまの境遇は理解している。今まで肝試しに行った事はおろか、仲のいい友達と普通に遊んだ事さえろくにないのかもしれない。
目を潤わせ、上目遣いで杏子を見つめるゆま。
そんな彼女に押され、しばらく葛藤した後やがて杏子は一言だけ言った。
「……べっ別にゆまのために行くわけじゃないんだからなっ!勘違いするなよ!?」
「本当に!?ありがとキョーコ!」
「(それにしても杏子、キャラ崩壊激しいわね)」
自分はああなるまいと、心に誓ったほむらだった。
そしてそんなこんなのいきさつにより、魔法少女4人とゴッド鹿目まどかによる肝試しが始まる。
―――――
――――
―――
流石に暗闇に包まれた森の中や、何があるかわからない廃墟というのも危ないため、まどか達は比較的明かりが多く敷地の広い此処、見滝原森林公園へとやってきた。
そして入口には、ある人物が待ち構えていた。
「はーっはっはっは!皆よく来たわn――」
『あ、青』
「せめて名前で呼べぇ!」
そこに居たのは美樹さやかだった。
円環の理から颯爽と登場。
「美樹さやか、久しぶりね。どうしてここに?」
「私が呼んだんだよ。ほら、このメンバーでさやかちゃんだけいないのもなんか寂しいし」
「まどか……」
まだ彼女にも友達を思いやる心は残っていたのかと、少し感動するほむら。何気に失礼な感動だがあえて気にしないでおく。
さやかは杏子へと目を向けた。
「それにしても杏子。アンタ何で魔法少女服なの?」
その言葉に、全員の視線が集まる。
「そうしないといざ敵が来たときに戦えねーだろうが。あたしはゆまを守るためにも、負けるわけにはいかない」
「何と戦うつもりだよ」
杏子にとって肝試しとは、生死を賭けた戦らしい。
そんなやりとりの中、不意にほむらがさやかに近付いてきた。
そして何故か手を握る。
「美樹さやか、貴女もツッコミに来てくれたのね。本当に嬉しい……」
「いや違うんだけど」
「一緒にあの色物達を、ツッコミ倒しましょう!」
「話聞けよ、おい!」
握った手をぶんぶん振り回すほむら。この濃い面々を相手に一人でツッコんでいくのは、ほむら一人ではとても心細かったようだ。
なにはともあれ、これでメンバーは揃った。
「それじゃあ皆、肝試しを始めるよ!最初は全員で、敷地内をぐるっと一周しようと思うんだけど、いいよね?」
「私は構わないわ」
「ふふっ楽しみね」
「ねーキョーコキョーコ!一緒に歩こうよ!」
「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ」
「このさやかちゃんが幽霊から、皆をガンガン守りまくっちゃいますからね!」
それぞれの反応を見せる少女達。
こうして、魔法少女達による肝試し大会が始まった。
――――――――
『…………』
木々に囲まれながら、道を歩く6人。
所々に明かりが灯っているとはいえやはり薄気味悪さが目立つ。
そんな中、前方を歩いていたまどかがポツリと声を出した。
「――――昔、ここは幽霊が出る場所だって噂されたことがあってね」
「おおおおおおおい!!!いきなりやめやめ!まどか!今ここでそんな話しなくても――」
「あ、杏子ちゃんの側に黒い何かが!」
「どこだあああああああ!!!」
『(物凄い錯乱ぶりだ)』
ブォンブォンと槍を振り回す杏子。
ちなみにまどかが言った黒い何かとは言うまでもなく影の事である。
暴れ回る一名は置いて、先に進む。
まどかは先程の話を続けた。
「それでね、その幽霊を目撃した人が後日確認しにもう一度来たんだけど、結局勘違いだったみたいなの」
「え?それじゃ、ここは心霊スポットでもなんでもないんじゃない?」
「うん!」
「?結局どういう話なの?」
ゆまは首を傾げて、まどかに尋ねる。すると彼女はどや顔で言った。
「結局一番恐ろしいのは幽霊じゃなく……。人間の勘違いって話なんだよ!」
「美樹さやか」
「ちょっ!今のツッコまなきゃ駄目なの!?アンタがすればいいでしょ!」
「何のために貴女がいると思ってるのよ」
「少なくともツッコミに来たわけじゃないわよ!」
そんなやりとりをしていると、やがてまどか達は森林を抜け、割と開けた広場に出た。そこで全員は一旦足を止める。
「ここからどうしましょうか」
「そうねえ、大部分は歩いちゃったみたいだし」
「ふふふふん!なんだ、あんまり大した事ないじゃねえか!」
その時まどかの目が光った。
「(!来たっ!)」
そして何故かさやかにテレパシーを送り、目配せをする。
「(さやかちゃん、いくよ!)」
「(おう合点!)」
奇妙な掛け合いをする二人。
そしてまどかは叫んだ。
「それじゃあ皆注目!ここで第一回、ドキドキカップル胆試しツアー始めるよー!!」
「わーなにそれちょうたのしそー!」
『…………はい?』
あまりに突然過ぎる提案に、まどかとさやか以外の四人は怪訝そうな顔を浮かべた。
―――――
――――
―――
「えールールは簡単。今さやかちゃんが持ってるクジをそれぞれ引いてもらい、そこに書かれた名前の人とドッキリの仕掛けられたコースを歩いてきてもらいます」
「なかなか好きな人とむすばれない君ー。これを機に全身全霊をかけてアタックしてみるのもいいんじゃないかなー?」
「(いきなり過ぎてついていけないわね)」
「(というか美樹さやかの棒読みっぷりが凄いわね。手になんか紙持ってるし)」
事前にさやかと話し合いこうするつもりだったに違いない。
そこでふとほむらが疑問の声をあげた。
「?でもまどか、いつドッキリなんか仕掛けたのかしら」
「私達が来るまでにさやかちゃんに仕掛けてもらったよ!」
「そ、そうなの……。危ないモノとか仕掛けてないでしょうね」
「…………」
「無言!?」
ほむらは質問しなければよかったと後悔した。
そんなこんなで説明もそこそこ、クジを引くことにした。
「はーい一回100円だよー」
「静かに渡せないのかよお前は。……っと、あたしは赤い棒切れだな」
「あ!ゆまも赤い棒だよ!これで一緒に行けるねキョーコ!」
「私は……青だわ。暁美さんは?」
「私は何故か全身金色に包まれた棒だけど、もはや嫌な予感しかしないわね」
「きゃー!私も金だよほむらちゃん!私達やっぱり運命の黄金の糸で結ばれてるのかなー!」
「(わざとらしすぎる!)」
きっと神パワーの介入があったに違いない。
「あ、となると私は残った美樹さんとって事になるのね。よろしく、美樹さん」
「よろしく、マミさん!マミさんの事もガンガン守りまくっちゃいますからね!」
こうしてペアは完成された。
一番手 杏子&ゆま
二番手 さやか&マミ
三番手 まどか&ほむら
こんな感じの流れで進むことになった。
そして再びまどかは叫ぶ。
「よーし!それじゃあ第一回特別企画!ドキドキ肝試しツアー。スッッッタアアアアアァァァァアアアト!!!!!」
『(普通にやれよ)』
まずは杏子&ゆまチームからだ。
――――――――
「キョ、キョーコ、大丈夫?」
「ん?何が?さっ早いとこ先行こうぜ」
「(半泣きで思いっきり抱きつきながら言われても……)」
抱きつかれて上手く前を歩けないゆまは、心の中で呟いた。
そしてそのままなんとか道を進んでいく。さっき通った道とはいえ、やはり二人だと先程とは違いやや心細い。
そんな時、杏子は言った。
「……はは、情けないよね。実は幽霊が怖いってだけじゃなく、今はゆまにすら抱き着いて震えてる始末だ」
「!そんな事ないよ!」
「ゆま?」
ゆまは杏子の言葉を、強い口調で遮った。
「ゆまはいつもキョーコに守られてばっかりだし……。それに、今日はゆまがキョーコを守るから大丈夫だよ、ゆまは役に立つんだよ!」
「ゆま……」
えっへんと胸を張り、ゆまは言い張る。そして杏子はそんな目の前の少女を見て我を取り戻した。
「……へっそうだな。こんなちびっこに言われるなんて、あたしもまだまだってことだな」
「むー!ゆまはちびっこじゃないよ!ちゃんとキョーコを守れるよ!」
「はいはい。それじゃあ守らせてやるから、早いところアイツらの所に戻ろうぜ」
「うん!」
軽くやりとりを交わす二人。
両者ともさっきまでとはうってかわり、明るい表情を見せていた。
再び力強く歩き出す二人。
その時、何かを踏みつけた。
ピッ
「ん?今なんか変な音が……」
「なんだろうね?」
キョロキョロと辺りを見回す。
そして
ずごごごごごーーーーーーーん!
辺り一帯が爆風に包まれる。それは全てのモノを焼き尽くし、破壊した。
――――――――――
「…………ねえ、まどか」
「ん?」
「何で杏子達が歩いていった先から、火柱が上がってるのかしら」
その問いにまどかは、満面の笑みで答えた。
「どうやら仕掛けたドッキリが大成功したみたいだね!」
「どんなドッキリを仕掛けたら火柱が上がるのよ!?」
「大丈夫、大丈夫だよほむらちゃん」
「な、何が……?」
尚もまどかは笑みを崩さない。
「杏子ちゃんもゆまちゃんも魔法少女、きっと生きてるよ。だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるそんz」
「杏子ォォォォォォォォォ!!」
あまりにも頼りない大丈夫に、思わず叫ぶほむら。
言葉を遮られぷくーと頬を膨らませるまどかを他所に、全員は杏子とゆまの無事と帰りを祈った。
そして10分程経った頃、二人は帰ってきた。
「も、もう私らは駄目だ……」
「そんな……!杏子、しっかりして!」
「ほ、ほむらお姉ちゃん……」
「喋っちゃ駄目よ、今美樹さやかと巴マミが治すから!」
ほむらが制止するがゆまはそれを無視し、最後の気力を振り絞り全員にそれを伝えた。
「………この森にはね、魔物、が…………」
そしてそのまま、二人とも意識を手放した。
「ゆまちゃああああああああん!!」
佐倉杏子&千歳ゆまペア リタイア
そうして順番は、さやか&マミペアとなった。
「……………………これ、行かなきゃ駄目かしら?」
「駄目ですよマミさん!杏子ちゃんとゆまちゃんの犠牲を無駄にするんですか!?」
「(貴女が仕組んだ事でしょう!?)」
マミは心の中で叫んだ。
「いやー実行犯は私なんだけどねー。まさかまどかから手渡された物がこんなに凄まじい威力を持ってるとは……」
「ちなみに何を渡されたのかしら?」
ほむらが問う。
「まどか特製、マジカル対人地雷」
「殺す気満々じゃない!」
それに気付かないさやかもさやかである。
その後なんやかんやあり、結局出発する事になった。
杏子達が歩いてきた道を二人はゆっくり進んでいく。
「何でこんな事に……」
「まあまあ、まどかの暴走は今に始まった事じゃないですから」
あははと笑い流す親友。
流石付き合いが長いだけのことはあり、理解が深かった。そして言葉を続ける。
「それに大丈夫ですよマミさん!実際にマジカル地雷を仕掛けたのは私!だからどこに地雷が埋まってるのかも、私は熟知してます!」
その言葉にマミはハッと顔をあげる。
「!それなら、埋まってない場所を探して歩いていけば……!」
パァっと顔を輝かせるマミに、さやかは無言で親指を立てた。
「美樹さん……!私、美樹さんとペアで本当によかった……!」
「さあ行きましょうマミさん!戻って、まどかの奴を叱ってやるんです!」
「ええ、そうね!もう、何も怖くないわ!」
笑顔で手を取り、走り出す二人。
そこにはさっきまでのような陰鬱な空気は無くなっていた。
ピッ
「美樹さん、今何かーーーーー」
爆発した。
――――――――
「まさ、か……あそこにあったとは、ね……」
「美樹……、さん……」
「(惨すぎる)」
そのままゴールし、マミとさやかは倒れこんだ。
巴マミ&美樹さやかペア リタイア
「(というか死屍累々じゃない。こんなルールだったかしら、これ)」
「そうだよ!」
「心の中読まないでくれる?……で、最後に残ったのは……」
「うん、私達だね」
まどかはほむらの手を取った。
「さ、レッツゴーだよほむらちゃん!」
「…………帰りたい」
―――――――――――
トボトボと歩くほむらに、楽しそうに進んでいくまどか。その姿は実に対照的である。
所々森林の一部が消しとんでいるのは、きっとこれまで散っていった彼女達のせいだろう。
そしてしばらく歩いた先で、まどかが話しかけてきた。
「ねえ……ほむらちゃんって、同性愛について、どう思う?」
「ぶっ!?」
思わず吹き出す。
「いやどう思ってるって、私はその……」
「ねえほむらちゃん。私は真剣に聞いてるんだよ?」
「…………」
潤んだ瞳でじっと見つけてくるまどか。
こんな時でなければ可愛い子めと思うかもしれないが、死と隣り合わせのこの状況ではそんな感情は生まれない。
やがてほむらは言葉を選び、慎重に答えた。
「そ……そうね。別にいいんじゃないかしら?」
「本当に!?」
「え、ええ」
「それじゃあ……」
「待ちなさい、何故近付いてくるの」
目をぎらつかせ、まどかはジリジリとにじり寄ってくる。
そしてそれに合わせ後退するほむら。
「……私ね、姦って言葉が好きなんだ」
「本当に何する気よ!?」
どんどん下がっていく。
そして後退している内に、ほむらは木の幹に背中をぶつけた。
どんどん近付いていくまどか。絶体絶命というヤツだ。
まどかは言った。
「私ね。冒頭でも言った通りほむらちゃんの事が好きなんだ」
「あ、そ、そうなの?よかったわね」
「でも折角告白したのに、あっさり流されちゃって……」
「…………」
「だからもう私、ほむらちゃんと一夜を明かすしかないって!!!」
「何でそうなるのよ!?」
「早く私と夜の円環の理に、導かれよう?」
「そんな概念聞いたことないわよ」
こんな状態でもツッコミだけは忘れない。
「この状況までもってくの、大変だったんだよ?」
まどかは突然、これまでの苦労を語りだした。
「さやかちゃんに怖い番組教えてもらって、さやかちゃんに肝試しの準備してもらって、さやかちゃんに爆発してもらって……」
「(美樹さやか働きすぎよ)」
少なくとも最後のは、間違いなく事故である。
「でもこうすれば、ほむらちゃんと二人っきりになれると思ったんだ」
「くっ……目的のためなら手段を選ばない。これがヤンデレって奴なのね!」
先程までは気付かなかったが、まどかの全身からは負のオーラが放出されていた。
「さあほむらちゃん、そろそろ勘弁してもらうよ」
「くっ……!」
一歩、一歩と距離を詰めるまどか。
その様子は獲物を追い詰める野獣のようだ。
ほむらはまどかをじっと睨み付ける。そして―――
ピッ
「「あ」」
二人の声が重なる。
気付いた時にはもはや手遅れだった
―――――
――――
―――
「じゃあ名残惜しいけどこれで、第一回肝試し大会、終了ーー!!皆、お疲れ様でした!」
高らかに終了を宣言するまどか。
しかし聞いている者は誰もいない。
「なんか色々予定狂っちゃったけど、まあ楽しかったからいいよね」
まどかはくるっと振り向き、倒れているほむらに向かって言った。
「ね、ほむらちゃん!これで幽霊の恐ろしさ、わかってくれたかな!」
「ええ……そうね…………」
ガックリと項垂れ、ほむらは悟った。
一番恐ろしいのは幽霊でも人間でもなく、目の前の少女なんだということを―――
つまりはそんな、肝試し
おわり
53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/02/27 21:28:51.06 k1GyTwls0 37/39終わりです
肝試しに行くときは充分注意して行きましょう
55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/02/27 21:30:35.80 F3lX1vqB0 38/39乙乙
肝試しはほふく前進で地雷を探しながら慎重に進まないと命に関わるということだな
56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/02/27 21:35:15.51 3GCX84Vx0 39/39超乙乙
安定のまど神様


そういや小学生の時の肝試し、先生が居ないって言ってたゴールに居たの、誰だったんだろ?
他に誰も見てなかったらしいし……。