女「私には見える…幽霊が見えるの…」
男「はいはい…」
女「なんで信じてくれないの?」
男「いや見えねーもんは見えねーし…」
女「この学校にも沢山いるのよ…私達は毎朝校門前の女生徒の幽霊と擦れ違いながら登校を…」
男「あーわかったわかった、何回も同じ事言わんでもわかったから」
女「…私だって好きで見れる様になったんじゃないのよ…」
男(あー…たく)
女「とにかく川とか公園の噴水とか水気の多い所の近くには」
男「わかったよ近寄らねーよ、じゃあな」
幼馴染「あ、男帰るの?私も帰る」
女「…」
元スレ
女「私には見える…幽霊が見えるの…」男「はいはい…」
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幼馴染「ねぇ最近男付き合い悪くない?」
男「…別にお前とは関係ねーだろ」
幼馴染「やっぱ、彼女?」
男「は?はぁあ?お前何言って…」
幼馴染「違うの?」
男「…彼女じゃねーけど、まぁ、付き合いが悪くなった様に感じるなら…それが理由かな…」
幼馴染「…へぇー何かきっかけとかあったの?」
男「別にいいだろ」
男(まぁ、きっかけは無い事もないが…)
――
―――
学年が上がり、女と俺は同じクラスメイトになった。
まぁ普通の女子だと思うが、ただとにかく根暗だ。おまけに前髪も長くまともに顔を見た事も無い。話かける友達もいないらしい。
更に神か悪魔の悪戯か、女の席は窓際一番後ろの最もコミュニケーションを取りにくい席になった。
そして一番の問題はその前の席が俺だという事だ。
女はいつも無言の圧力を俺の背中にぶつけてきた。それは言葉では言い表せられないものだが、あまりいい気にはならなかった。
とある放課後、俺はそんな女に何を思ったのか話かけた。怖いもの見たさとかそんな理由だと思う。
良くも悪くもそれがきっかけだ。
男「よぉ」
女「ふにぁい!!」
男「へ?」
女「…」
男「女さんいつも一人だn」
女「話し掛けないで…」
男「…」
女「…」
男(あれ?もしかして震えてる?)
女「…」フルフル…
男「…なんか、ごめんな」
女「…ぁ」
男「驚かしちゃったみたいで」
女「…ち、ちが…」
男「じぁあな」
女「ぁ…ま…って」ボソ…
俺は席を立ち教室から出ようとした。
女「違うの男くんのせいじゃないの!!」
まだ教室に残っていた生徒も驚く様な声量で女は俺を呼びとめた。
男「…ぉ、おう…」
男「えっと、まとめると、教室の窓際の一番後ろの隅、つまり女さんの席の後ろに、この学校で自殺した男子生徒の幽霊がいるので毎日が怖いと」
女「…だいたいそんな感じ…」
男「…俺には何も見えないし感じないが」
女「今もいる…嫌な顔してる…」フルフル…
男「…はぁ…」
女「…ふふ…信じられないよね…ごめんね呼び止めて、忘れて」
男「女さん、ちょっと席立って」
女「え?」
男「よいしょ」ガララ
女「男くん…何を」
男「何って、俺と女さんの席を入れ替えただけだよ」
女「でも、それじゃあ…」
男「俺は幽霊とかそんなの感じないし信じてないから問題無いの、ただ女さんの気持ちがこれで少しでも和らげばそれでいいじゃん」
女「…ぁ…ありがとう…私…」
男「それから、この前髪も何か陰湿っぽくて何か幽霊とかによくないと思うよ、ほらこうちゃんと顔だして」
女「ちょ、ま、恥ずかしいからやめて…」
前髪カパ
男「お」
女「ぁ…」ウルウル
男(想像以上にかわいい」
女「へ?ぇうへ?」
―――
――
男(あの日以来、女は俺にだけは積極的に挨拶とか話し掛けてきたりとかするようになった。でもいくら幽霊が見えるって言っても俺には全く見えないし、今だに信じられない。………それをずっと独りで抱えてきたんだよな)
幼馴染「…男ー?」
男「…ん?なんの話だっけ?」
幼馴染「もう!ちゃんと聞いてよね!だからその子ってどんな…」
男「ん?」
幼馴染「…やっぱいいや、じゃね」
男「おう、またな」
―――
――
女「…男?聞いてる?…」
男「んあ?聞いてなかった」
女「もう…今は昨日の夜に見かけた駅前本屋の幽霊の話をしてたの…よ?」
男「あー…あそこいるんだ…」
女「…信じてないくせに…」
男「あー…話を聞く分には面白いからいんだけど」
女「…そう?」
男(お?もしかして笑った?)
女「それからね…」
幼馴染「男ー一緒に帰ろ?」
男「んあ?あぁわかったー」
女「男…」
男「ん?」
女「…ううん、なんでも…ない」
男「あー…そう、じゃな」
女「うん…じゃ」
女「…」
女「…」フルフル…
女「今日は…私と帰って……欲しい…」ボソ…
女「なんて…ね」フルフル…
男「別にいいぞ」
女「!!!!?」
幼馴染「男ー?」
男「あー…悪りぃ幼馴染、今日はやめとくわ」
幼馴染「…そう…アハ!!男はリア充だなぁ!!」
男「バカ、そんなんじゃねぇよ」
幼馴染「なら私先帰るね、じゃあね!!」
男「おう、またな」
女「…男、よかったの?」
男「あー…女もなんかあるんだろ?」
女「…来てほしいところが…あるの」
男「おう、じゃ帰ろうぜ」
女「うん…ありがとう」
男「女、普段は川に近づくなって言ったよな」
女「私がいない時は近づかないで」
男「それで?」
女「この橋は私の通学路なの、でも最近強い霊が橋の下に流れついたみたいで、その霊が…とても怖いの…」
男「それで?」
女「男に…知ってもらいたかった…それだけ」
男「ふーん…」
女「その…」
男「んー?」
女「今日だけでいいから…一緒にこの橋を…渡ってほしい…」
男「別にいいけど…」
女「…手……」
男「ん?ぁぁ…」
ギュ
男「行こっか?」
女「うん…」
ザッ
男「それで、どんな霊なんだ」
女「…右腕が無い霊とか…顔が…ぐちゃぐちゃなのとか…あと」
男「わかった今は話さなくっていい、とにかく橋を渡りきろう…」
女「…うん」
ザッ
女「…」ハァハァ…
男(いつもこんな感じに日常を送ってるのか)
ギュウ
男(…握られた手が震えてる)
女「ぁ…ありがとう…もう大丈夫だから…」フルフル…
男「ホントに大丈夫なのかよ…」
女「男…?」
男「女はいつも独りでこんなに頑張ってたのかよ…」
男(誰にもわかって貰えないところで、誰にも知られずに、孤独にこんなに手を震わせて…きっと今までも誰かに見える事を教えた事はあるだろう、だけど誰も女を信じてあげられなかった…その女が今は俺を信じて、俺に全部を見せている…俺は)
女「男…私なら大丈夫よ」
男「大丈夫なもんかよ!!…俺は…女の話を全部信じる事にするよ!!」
女「…」
男「だって女はずっと独りで頑張ってきた…独りで耐え続けてきた…そんなの辛過ぎる…だから俺も女の話を信じるよ!!」
女「…ありがとう…嬉しい」
男「ああ!!これからは」
女「でも、それは信じたんじゃないよ…私の意見に男が合わせてくれただけ…」
男「…何を…」
女「もっと今まで通り自分に正直になった方がいいと思うな…それに私の話を鵜呑みにしてたら…馬鹿にされちゃうよ?」
男「馬鹿にされてもいい!!」
女「!!」
男「俺は確かに女の話を理解はしていないかもしれない、だけど!!」
女「…」
男「俺は女を信じてるんだ」
女「…」
男「俺はバカみたいに理屈主義者だよ、幽霊とかそんな話を科学は地球が出来てから何一つ証明していない。だからこそ居る事を証明出来ないが、居ない事も証明出来ないんだ」
女「…」
男「でも女を信じる事にそんなの関係無い」
女「…」
男「俺が女を信じる事に理屈なんて関係無いんだよ!!」
女「…私は…」
男「…」
女「…ぃ…いいのかな?」ポロポロ…
男「あー…」
女「?」ポロポロ…
男「いいんだよ…同じ世界にいてやるよ」
女「うん…うん…ありがとう男…」ポロポロ…
ジリリリリリ!!
男「んが!!…ん……朝か…」
男「…」
男「ん?」
幼馴染「それでねぇ…って聞いてるの男?」
男「朝っぱらからよく喋るなぁ…」
幼馴染「もうシャキッとしてよね男、ほらもうすぐ学校だよ」
男「おう…ん?」
女生徒「…」
男「なぁあの校門前で立ってるやつ何してんだ?遅刻しちまうぞ」
幼馴染「はぁ?何言ってんの寝ぼけた事言ってると男が遅刻するわよ」
男「ぉ、ぉう」
幼馴染「何とか間に合ったみたいね、じゃ自分のクラス行くからまたね」
男「おう行ってら~」ガラッ
男「…」
男(俺の席の後ろに立ってる生徒は誰だ?)
ガラッ
男(あれ?…俺の席の前って誰もいなかったっけ?)
キーンコーン…
男「んんん…やっと放課後だぁ」
ガラッ
幼馴染「男ー一緒に帰ろ!」
男「…」
幼馴染「男?」
男「ああ…帰ろうか…」
幼馴染「…ねぇ男、今日は公園よってかない?」
男「あん?別にいいけど公園の噴水には近づかない方がいいぞ」
幼馴染「えっ?なんで?」
男「なんでって…なんでだっけ?」
幼馴染「男?」
男「…悪いちょっと用事思い出したわ、じゃな」ダッ
幼馴染「え、なにそれ、男!!」
街中を駆け回った。俺は何かを忘れている。何故かそう思ってしまい、そう思ったら走らずにはいられなかった。
それが大事なものかもわからない、けど俺はそれを思い出さないといけない気がした。
走って走って、たまに転んで、息を切らして心も体もボロボロになりながら、呪われた様に俺は走った。
とある橋にたどり着いた。嫌な気配を橋の下から感じる。
何も思い出せなかった。
何の感情も無かった。
ただただ涙が溢れ出てきた。
ごめんね男
こんな別れ方でごめんね
だって私自身が幽霊だって知らなかったんだもの、可笑しいよね
男は私に近づき過ぎちゃったみたい
だからこうするのが一番よかったの
幼馴染さんと仲良くしてね
大好きだったよ
ありがとう
ごめんね
おわり
のやつは大抵いい話だな