キリト「…」ナデナデ
シリカ「どうしたんですかキリトさん?」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「そ、そんなに撫でないで下さい。恥ずかしいです」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「…やっぱりもっと撫で下さい」
元スレ
キリト「シリカを無視したらどうなるか」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343701010/
シリカ「あ、あのキリトさん」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「こ、ここ私の寝室…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「…ぁぅ…///」
シリカ「そ、そうだキリトさん!明日行く47層のこと、教えてくれませんか?」
キリト「…」スッ コトッ ナデナデ
シリカ「(それでも撫で続けますか…うー)これは?」
キリト「…」ポチッ ナデナデ
シリカ「(あうあう)わぁ、きれい…」
キリト「…」スッ スッ ナデナデ
シリカ「えっと、ここからその通路を通っていくんですね?(うう、気持ちいい…このまま寝ちゃいそう…)」
キリト「…!」バッ ナデナデ
シリカ「キリトさん…?」
ダダダダ…
シリカ「足音…誰かが盗み聞きしてたの…?でも、何のために…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「ふわ…明日、考えよう…かな…」スースー
キリト「…」ナデナデ
-翌朝-
シリカ「…!」バッ
シリカ「わ、わたし、昨日、キリトさんと…男の人と、一緒に…あわわ」
シリカ「そうだ、キリトさん…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「(まだ撫でられてるぅー!)」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「あふぁ…き、キリトさん、もしかして、徹夜してたり…」
キリト「…」フルフル ナデナデ
シリカ「良かった、ちゃんとお休みできてて…」
キリト「…」スッ ナデナデ
シリカ「あ、出発するんですね。ところで…その、頭を撫でるのは、いつまで…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「(無言ですよね…でも)」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「(やっぱり…いいなぁ、えへへ)」フニャ
-47層、フラワーガーデン-
シリカ「わぁ…!」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「アインクラッドにも、こんな所があったんですね…」
キリト「…」ナデナデ
カップルA「キャッキャ」
カップルB「ウフフ」
シリカ「(あれ…?ここってひょっとして…そういう、人たちの…)」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「きっ、キリトさん!撫でるの、ちょっとここでは…」バッ
キリト「…」バッ ナデナデ
シリカ「超反応!?」
シリカ「だめ、ダメなんですぅ、ここでそういう事してると、まるで…」カアア
キリト「…」ナデナデ
シリカ「ダメ…だって言ってるのに…わたしたち…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「…ぁぅ」プシュウウ
カップルA「アラアラ」
カップルB「ウフフ」
シリカ「~~~~っ!早く!早く行きましょう!」ダッ
キリト「…」ダッ ナデナデ
シリカ「(うう、まだドキドキしてる…)」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「(そういえばキリトさん、妹さんが居るって言ってたけど…)」
シュルシュル
シリカ「キリトsわひゃあああっ!?」バッ
ご都合型モンスター「キシャー」
シリカ「キリトさん、助けて、見ないで助け…って居ない!?」
キリト「…」ブラーン ナデナデ
シリカ「(しょ、触手にぶら下がりながら撫で続けてるぅー!)うー、このぉ!」ザンッザンッ
ギャアアアアア バシャア
シリカ「…見ました?」
キリト「…」ナデ… フルフル ナデナデ
シリカ「そ、その間はなんですかー!うわーん!」ブンブン
キリト「…」サッ サッ ナデナデ
その後も、キリトさんは私の頭をずっと撫でていました。
巨大ハエトリソウみたいなのを素早く倒す時も、どうやったのかピタッと私から離れず。
変なうねうねしたモンスターに絡みつかれながら撫でられてたときは、何か変な感じになっちゃって危なかったです。
そして無事プネウマの花を入手した、帰り道。
キリト「…」スッ ナデナデ
シリカ「え?止まれ…ってどうしたんですか?」
ロザリア「ハッ、やっぱり気付かれるか」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「ろ、ロザリア…さん?」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「その様子だと、無事プネウマの花を手に入れたようだねぇ…」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「…はい(き、キリトさんも何か喋ってほしい…)」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「じゃあ、早速それをこっちに渡してもらおうかしら」
シリカ「えっ!?そんな、どうして…あふ」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「元々アンタに目を付けてたのにパーティから抜けちゃってさあ、
どうしたものかと思ってたらレアアイテムを探しに行くっていうじゃない。
これはチャンスだと思って、ね」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「おまけにお付きの男はヒョロっちい坊やだけじゃないの。
今も気が動転してひたすらアンタの頭に手ぇ乗せて震えてるだけのね」
シリカ「(違う、キリトさん、この状況でもすごく落ち着いてる…どうして?)」
ロザリア「2~3人居れば済みそうだけど…念の為、ね」パチン
賊A「…」賊B「…」賊C「…」賊D「…」賊E「…」賊F「…」ゾロゾロ
キリト「…」ナデナデ
シリカ「オレンジプレイヤー…!」
ロザリア「やっちまいなァ!」
キリト「…」ナデ…スッ
シリカ「え、キリト…さん?」
ザンッ ドッ ナデ ゴッ ズザッ ナデ ザッ ギャン ドスッ ナデ ガッ ドムッ ナデ
シリカ「(斬られ殴られながら隙を見てわたしを撫で続けてるぅー!?)た、助けなきゃ…いけないのかな…?」
賊A「はぁはぁ…駄目だ姉さん!こいつ全くHPが減らねぇ!」
ロザリア「そんな馬鹿な事があるか!早く片付けな!」
シリカ「き、キリトさん…!」
キリト「…」ナデナデ
賊B「キリト…?」
賊C「黒ずくめの…」
賊D「服に…」
賊E「盾なし…」
賊F「片手剣…」
賊A「姉さん、こいつ、ビーターの…攻略組だ!」
ロザリア「な、何だって…そんな事が…」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「しかもよく見たら…こいつ…」
キリト「…」ナデナデ
ロザリア「ずっとあのガキの頭を撫で続けてやがった…!」
キリト「…」ナデ…スッ
賊A「そいつは…」
賊B「回廊結晶…行き先は」
賊C「牢獄か…?」
賊D「こうなったらあっちのチビを人質に…」
賊E「駄目だ、オレンジの俺らは」
賊F「そんな事する前にやられちまう…詰みかよ…!」
シリカ「(な、なんだかこの人達すごく息があってる…)」
ロザリア「チッ…分かってるのかい?グリーンのあたしに手を出せばアンタもオレンジに…」
賊A「駄目だ姉さん…そいつ、ソロだ…一日二日、オレンジになるくらい…」
ロザリア「・・くっ!」ガク
キリト「…」ナデナデ
シリカ「キリトさん…」
-宿屋-
シリカ「…あの、キリトさん、ありがとうございました」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「でも酷いなぁ、わたしキリトさんが攻略組だったとしても何も気にしなかったのに」
キリト「…」ナデナデ
シリカ「…その、やっぱりもう最前線に戻っちゃうんですよね?」
キリト「…」ナデ…
シリカ「もう、わたしの頭を、撫でては…」
キリト「…ずっと君の頭を撫で続けてたのは」
シリカ「(喋った!?)は、はい」
キリト「君を、妹と重ねてしまったからだと思う」
シリカ「(妹さん…そういえば、わたしに似てるって)キリトさん」ギュッ
キリト「シリカ…?」
シリカ「よかったら…妹さんのこと、聞かせてくれませんか」
キリト「ああ…」
キリトさんは、沈んだ様子で色々話してくれました。
妹さんって言ってたけど、実は従妹だということ。
剣道を一緒にやってたけど途中でやめてしまって、おじいさんにこっぴどく叱られたこと。
それを妹さんがかばって、それ以来中々話し辛くなってしまったこと。
キリト「考えないようにしてたけど、妹の事を心の底ではずっと後悔してたんだ。
だから、その思いが溢れて、自然とあの行動を取ってしまったんだと思う…」
キリト「ごめん…シリカ。君を、代替品みたいにしてしまって…」
シリカ「キリトさん…」
キリト「俺は…」
シリカ「キリトさん!」スッ
キリト「シリカ?」
シリカ「…キリトさんは、いい人です。わたしを、助けてくれたもん」ナデナデ
キリト「あ…」
シリカ「…もし、また、心細くなっちゃったら、いつでも来てください。
わたしの頭ぐらいなら…いつでも貸してあげられますから」
キリト「ああ…ありがとう、シリカ」ナデナデ
シリカ「あ、でも…」
キリト「?」ナデナデ
シリカ「無言はちょっと困っちゃいます…」
キリト「はは…ごめん」ナデナデ
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キリト「じゃあ、ピナを蘇らせてあげようか」ナデナデ
シリカ「はい!」
ピナ…いっぱい、いっぱいお話しようね。
今日の冒険の話…少し変だけど、誰よりも優しくて、格好いい、
一日だけのわたしのお兄ちゃんの話。
───わたしの、初恋のひとの話。
おわり
猿「グワアアアア」シュワー
キリト「………」キン
シリカ「ピナ……」ポロポロ
キリト「………」ピロロン バサ
シリカ「ひっく、ひっ、こ、これは…クリスタルと本…?」
キリト「………」スタスタ
シリカ「あ、待っ……」
シリカ「……行っちゃった」
シリカ(あたしはあの人が置いていったクリスタルで町に戻った)
シリカ「この本に書いてあることが本当なら……」
シリカ「三日以内に蘇生アイテムを手に入れればピナが生き返る!」
シリカ「よーしっ、頑張るぞ!」
キリト「………」
シリカ「わぁ、ここが思い出の丘……夢の国みたい!」
シリカ「それに、カップルだらけ……あたしも、昨日の人と……」ポー
シリカ「じゃなくて! 早く蘇生アイテムをとりに行かなきゃ!」タッタッタ
キリト「………」
……
シリカ(それから、あたしはモンスターに襲われたりしながらもなんとか蘇生アイテムを手に入れることができた)
シリカ(あたしを襲っていたモンスターの何体かが、いきなり消滅してたのがちょっと気になるけど……)
シリカ「ピナが守ってくれてるのかな、なーんて」
ザッ
シリカ「だ、誰!?」
キリト「………」
シリカ「あ、あなたは昨日の……その、助けていただいて、ありがとうございました!」
キリト「………」
シリカ「それと転移クリスタルとここについての情報も。すごく助かりました」
シリカ「蘇生アイテムも、ほら! 無事に手に入れられました!」
シリカ「これでピナを生き返らせることができます。全部あなたのおかげです。本当にありがとうございました!」
シリカ「あの、ぜひお礼をさせてください!」
キリト「……」
シリカ「だめ…ですか?」
キリト「………」
シリカ「えっと……」
キリト「………」
シリカ「あ、あはっ。いきなりこんなこと言われても迷惑ですよね!」
シリカ「ごめんなさい。……あたし、シリカっていいます」
シリカ「都合のつく日でいいんで、メッセージ飛ばしてください。どうしてもお礼がしたいので」
シリカ「…それじゃあ、あたし行きますね。さよならっ」タッ
キリト「………」スッ
シリカ「きゃっ……! な、なんで通せんぼするんですか?」
キリト「………」
シリカ「早く町に戻ってピナを生き返らせたいんです。そこを通してください」
キリト「………」
シリカ「あの、聞いてます…?」
キリト「………」
シリカ「あっ…まさかアイテムを…いやそんなことは…この人は恩人だし、でも…」
キリト(違う、違うんだシリカ。君のアイテムをねらっているのは俺じゃない)
キリト(この先に待ち伏せているはずのオレンジプレイヤーなんだ)
キリト(俺は奴らから君を守り、かつ奴らを牢獄に送りたいだけなんだ)
キリト(ああこの程度のことを口で説明できないコミュ障の自分が恨めしい)
キリト(どうか、どうかこの先に待ち伏せている敵に気づいてくれ!)
シリカ「うぅ~、もういいもん! どいてくれないならここで使うもん!」ピロロン
キリト「!」
キリト(ここで使おうとしたら奴らが!)
シリカ「ピナ、生き返って!」ポン…
キリト(止めに入って!)
ピナ「ピィィィィ!」
シリカ「ピナ! ピナ、ピナ、ピナぁ……」ポロポロ
キリト(……こない?)
シリカ「よかった……よかったよぉ」ポロポロ
ピナ「ピィィィィ」
キリト(な、なんでだ? とにかくこの子に聞いて……ダメだ、俺はコミュ障だった)
キリト(あ、そうか。メッセで聞けばいいんだ)ピロロン
シリカ「わ、メッセージが……キリト? 誰だろう」ポン
キリト「………」チョイチョイ
シリカ「あ、もしかして、キリトってあなたなんですか?」
キリト「………」コクコク
シリカ(…こんなに近くにいるんだから普通に話せばいいのになぁ)
シリカ「えっと、『君は昨日の夜、赤毛の女性と会わなかったのか?』」
シリカ「ロザリアさんのことかな? 会ってませんけど…」
キリト(oh…あの人、レアアイテムの話を聞かなかったのか…)
キリト(どうりで索敵しても気配がないわけだ。おかしいと思ったんだよなぁ)
キリト「………」ポンポンポン
シリカ「……『ごめんちょっと勘違いしてた』? あの、どういう」
キリト「………」スタスタ
シリカ「……行っちゃった。一体なんだったんだろう」
ピナ「ピー?」
おわり