女友「だ、だよねーwwwwだと思ったwwwwww」
女「あいつ私がOK出したら『よっしゃー』って叫んでやんのwwwwきもwwwwww」
女友「…チョーウケるwwwwww」
女「早速明日から昼飯奢らせよっとwwwwwwwwww」
男「……」
元スレ
女「あんな奴キープに決まってんじゃん」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1285638289/
女「じゃ、帰ろっかwwwはー……マジウケるww」
女友「あ、あはは……そうだね…」
ヌッ
男「…あれ、女さん。まだ残ってたの?」
女「!?」
女友「…!」
女(まさか、聞かれてた…!?)
男「良かったら、一緒に帰らない?」
女「え、ええと…」
男「どうしたの?女さんらしくないじゃん」ニコッ
女(バレてないみたいね…はぁ、良かった……明日のお昼どうしようかと思っちゃった)
女「うん、帰ろっか!」ニッコリ
女友「……」
女「ねー、私クレープが食べたいなぁー」
男「…わかった、買ってきてあげるよ」
女「ホントー!?じゃ、チョコバナナでよろしくね!あ、あと女友の分も!」
女友「えっ!?い、いいよ、あたしは……」
男「…いいよ、遠慮しないでさ」
女「ほら、こう言ってるしさ!」
女友「……じゃあ、あたしも…」
男「わかった」スタスタ
女(いやー、やっぱ思った通り!使えるねぇ)
女友「……」
女「じゃ、私こっちだから!女友、男くん、また明日!」ニッコリ
男「…また明日」ニコッ
女(男なんて、軽く気があるように見せれば良いんだから余裕よね……明日はもっと奢らせよっとwww)タタターッ
男「……はぁ」
女友「あ、えっと…」
男「!? ……あれ、まだ帰ってなかったんだ」
女友「…」
男「そろそろ日が暮れるし、女友さんも帰った方が良いよ」
女友「…うん」
男「ふぅ…」トボトボ
女友「…あの話、聞いてたでしょ」
男「!! …な、何のことだか
女友「惚けないでよ」
男「……」
女友「…あのさ、
男「別れないぞ」
女友「あれh……え?」
男「女さんがいつか振り向いてくれるまで、絶対に別れないからな」
女友「え、いや、そうじゃなくて…」
男「何て言おうと、俺は絶対別れないからな!」
女友(話を聞いてくれない…)
女友「……まあ、そういうことなら…手伝ってあげるよ?」
男「え?」
女友「あたし、女と付き合い長いからさ。色々サポートしてあげられるし」
男「ま、マジで?」
女友「うん。どうする?」
男「そりゃ手伝って欲しいけど……昼飯か?」
女友「え?」
男「女友さんも、対価で昼飯を奢って欲しいのか?」
女友「いや、そういうわけじゃないけど…」
男「えっ…タダ?タダでサポートしてくれるのか!?」ガバッ
女友「あ……う、うん…」
男「よっしゃああああああああ!!ありがとう女友さん!!」
女友「……」
男「じゃあ早速作戦会議しようか!そこらのファミレスで!」グイッ
女友「えっ、あっ…」
男「女さん、俺のことキープって言ってたけどさ、本当に好きなのは誰なの?」
女友「え、えーとねぇ…友くんだったかな」
男「げっ、友って……ランク高すぎるだろ…」
女友「……いよ」
男「えっ?何か言った?」
女友「あ、ううん!何でも」
男「そ、そっか……で、女さんの好きな食べ物って何?」
女友「えっとね…卵焼きだよ、甘いやつ」
男「ほぉー…」
女友(……)
男「今日は色々ありがとな、女友さん」
女友「う、ううん…こっちこそ」
男(えっ……俺何かしたっけ?あ、クレープか…)
女友「じ、じゃあ、困ったらいつでもメールしてね!」
男「うん、また明日」ニカッ
女友「!! ま、また明日!」タタタッ
男(? に、逃げるように帰ってった…)
女友「…はぁーっ、はぁーっ……」ギュッ
翌日
男「女さん、おはよう!あ、女友さんも」
女「え?…あぁ、おはよ」
女友「お、おはよう……」
女(そういえば、付き合ってあげたんだったっけ…)
男「女さん、俺さ、今日弁当作ってきたんだよ!良かったら食べてくれないかな」
女友「…!」
女「え、弁当?あんt……お、男くん、料理出来るの?」
男「り、料理くらい俺だって出来るさ…」
女(男子の弁当か……不安だけど、貰っとけば昼飯代は浮く、か)
女「ありがとう、貰っとく」ニッコリ
男「!」
男(わ、笑った!これって、結構好印象?)
女友「……いいなぁ…」ボソッ
昼、中庭ベンチ
女「…うっわ、何これ…」
女友「どうしたの?」
女「見てこの弁当……卵焼きがぎっしり」
女友「……」
女「私、こんな弁当いらないから捨てて……って、何指くわえてんの、女友」
女友「えっ?あ、えと……」
女「もしかして、食べたいの?」
女友「……うん」コクッ
女「じゃあ、女友の弁当と交換ね」
女友「ほっ、ホントっ!?」
女「えっ、…うん」
女友「やったーっ!!」
女(女友、そんなに卵焼き好きだったっけ…)
昼、屋上
友「あれ、今日は弁当なんだな…珍しい」
男「ま、まあな…」カパッ
友「……うわっ!キモッ!」
男「へ?キモいとか失礼な」
友「お前、これ卵焼きしか入ってねーじゃねーか!」
男「そうだけど。一口いるか?」
友「いるか!誰も食べたがらねーよ、そんな気持ち悪いの」
男「!!」ガビーン
その後
男「お、女さん!」
女「…何?男くん」
男「ど、どうだった?俺の弁当……」ダラダラ
女(うっ……聞かれるとは思ってたけど、あげたとは流石に言えないわよね…)
女「お、美味しかった(って女友が言ってた)わ、容器は洗って返す(って女友が言ってた)から」
男「!!」
男(よ、良かった……友の奴、人の弁当を気持ち悪いとか言いやがって…)
女友「~♪」
体育の授業
「おおっ!女子が走ってるぞ!」
「やっぱ、女ちゃんは可愛いなぁ……」
男「だ、だよな!可愛いよな!」
「「なー!!」」
「いや、委員長の方が可愛くね?」
「はァ?お前、目ぇおかしいんじゃねえの?」
男「おい、友!お前はどう思う?」
友「え?何がだよ?」
男「女子だよ、女子!」
友「女子?別にどうでもいい、興味ねーし」
男(ふぅ……今のところ、脈なしってところか…)
「そういえば……女ちゃんの影に隠れてるけどさ、女友さんも相当可愛いよな」
「可愛いって言うより、美人って感じだよな」
「わかるわかる」
体育の授業(女子編)
「「「キャー!!友くーん!!」」」
女(か、カッコイイ……)
「ホント、友くんはスポーツも出来るし勉強も出来るし、顔も良いし……完璧だよね」
女(ホント、友くんは良いよねぇ……)
「友くんのあの顔見てるだけで……って、男、邪魔!友くんの顔が見えないじゃない!!」
女友「…」ピキッ
女(あぁ……友くんと付き合えたらどんなに良いことか…)
女友「でも、男くんも悪くないよね!?」
「えっ?」
女友「…あっ……」
女(一緒にパフェ食べあったりして……うふふ)
「まさか、女友……男の事が…」
女友「……」カァァ
放課後
女(今日は何処に行って奢らせようかなー…)
女友「何もあたしまで行かなくても…」
女「ダメよ、私一人じゃ何されるか分からないじゃない」
女友「……くんは……いもん」ボソッ
男「お待たせ、女さん……に、女友さん…」
女「ううん、全然待ってないよ!」
女友「あ、あはは…」
女「じゃあ、行きましょっか!」
男「うん…」
女友「……」
女「あ、私ここのケーキがずっと気になってたんだー!食べに行かない?」
男「うん、いいよ」
女「もちろん、男くんの奢りだよね?」
男「…うん」
女「うふふっ♪」
女(ああ、美味しい…)パクパク
男「…女友さんは、食べないのか?」
女友「う、うん……」
男「遠慮しなくても良いよ?」
女友「……」
女「あー、美味しかった!じゃあまた明日ね!」タタタッ
男「…また明日」ニコッ
男(はぁ、今日で3000円も無くなった……でも、これも女さんと付き合う為だと思えば…)
女友「……お金、やばいんでしょ」
男「!?い、いやそんなことは
女友「顔に出てるよ」
男「……」
女友「そんな無理しないでもいいのに…」
男「…無理なんかしてないさ、女さんと付き合う為ならこのくらいどうってこと無い」
女友「……」
男「そんなことよりさ」
女友「…う、うん?」
男「何でついてくんの?」
女友「!……女が、どうしてもついて来てって言うから…」
男「別に断れば良いだけだろ、俺のことサポートしてくれるんじゃ無かったのか?」
女友「……」
男「ぶっちゃけ邪魔なんだよね、俺は女さんと二人で出かけたいのにさ」
女友「……ごめん、なさい」ポロッ
男「…!あ、いや……ごめん、俺…」
女友「ううん、あたしが悪かったの……ごめんね、明日からついて行かないから……」
男「…女友さん、わ、悪かったよ…」
女友「……じゃあ、帰るね…また、明日…」
男「……」
男(…何て事を……)
男(せっかく、俺なんかの為にサポートしてくれてたのに…)
男(きっと、渋々ついて来てたのも……女さんを心配して…)
男(明日、謝らないと、な…)
それから数日が経ちました
男「おはよう、女さん」
女「…あ、おはよ」
男(…女友さん、今日も女さんと来てないのか……謝りたいのに、やっぱりあれ以来避けられてるなあ……)
女(やっぱり、こいつと二人って言うのは不安で仕方が無いわね……女友、最近用事あるからって口実で避けてない…?)
男「…あ、女さん。はい、弁当」
女「え?あぁ、ありがと」
女(…最近はまあまあ食べられる見た目の弁当になったけど、味付けが私好みじゃないのよね……)
男(やっぱり、放課後呼び出して……でも、女さんとの時間がなあ…)
「ねえ、女。最近さぁ、男と良く一緒にいるよね」
女「!! そ、そうかしらねー…」
「朝と放課後、いつも一緒に居るじゃない。付き合ってんの?」
女「つ、付き合ってるわけ無いじゃない!馬鹿な事言わないで!!」
「え、ごめん……」
女(付き合わせてるなんてバレたら、友くんと付き合えなくなるじゃない…!)
女友「……」
男「ん゛ん゛ぅ……」ジーッ
「どうした男、そんなに唸って」
男「…え?別に……」ジーッ
「……ははぁん、なるほど?」
男「あ?」
「お前、女友さんが気になってんだろ?」
男「いや、そういうわけじゃ……」
「わかるぜ、その気持ち…。大人な外見なのに、少し子供っぽい性格が良いっていうか…」
「ギャップ萌えってやつか」
「そう、それだ!あの女ちゃんにはない、女友さん独特の魅力ってやつだな!」
「あ?女ちゃんディスってんじゃねえぞ?」
男(……気にはなってるけど、そっちじゃねえよ…)
昼
女「ねぇ、最近どうしたの?」
女友「…え?な、何が?」
女「朝も一人で先に行っちゃうし、放課後も…」
女友「さ、最近…忙しくてさ…」
女「朝はともかく、放課後はあいつと一緒だから、いつ何されるか分からないから怖いのよ…」
女友(……)
女友「…でも、何もされてないんでしょ?」
女「今のところは、ね」
女友「じゃあ、大丈夫だよ」
女「でもさあ…」
女友「大丈夫だよ、女だってもう分かってるでしょ?男くんはそんなことする人じゃないって」
女「……まあ、うん」
女友「それで、友くんはどうするの?」
女「え!?ど、どうするって…」
女友「好き、なんだよね?告白しないの?」
女「好きだし、告りたいけど……で、でも、断られそうで…」
女友「……」
女「わ、私が一方的に惚れてるだけで、接点もないs
女友「男くんが居るでしょ」
女「…えっ?」
女友「友くんと仲のいい、男くんが」
女「!」
女友「男くんに、紹介してもらえば良いんじゃないかな」
女「な、なるほど……女友、あんたって頭いいね!」
女友「……ふふっ」
女「男く~んっ♪」ギュッ
男「……えっ?」
男(一瞬寒気がした…)
女「ねぇねぇ、男くん?」
男「ど、どうしたの?」
女「男くんの友達で、友くんって居るじゃない?」
男(…!つ、遂に来た…)
男「あ、あぁ…友がどうかした?」
女「良かったら、私に紹介してよ!」
男「…何で?」
女「うっ……お、男くんの事がもっと知りたいなぁって…」
男(……クソ、友め…絶対に負けないからな…)
男「い、いいよ…」
女(やったっ!!作戦成功!ありがとう女友!!)
男「…なあ、友」
友「…あ?何だよ」
男「あとで紹介したい人が居るんだけど、放課後暇?」
友「あぁ、まあ…今日は部活休みだし暇だけど…誰だよ、そいつ」
男「それは会ってからのお楽しみだな」
友「はぁ?男子か?女子か?」
男「…女子だけど」
友「へぇ…」
男(興味なさげだな……これは、争うまでもないか)
放課後
男(友を紹介する前に女友さんに一言謝りたかったが、目を離した隙に消えていたの巻」
友「おい、男!さっさと行こうぜ!」
男「あ、あぁ……」
男「えーと……じゃあ紹介します」
友「ああ、頼む」
男「…クラスのマドンナ、ご存知女さんです」
女「よろしくね、友くんっ♪」
男(……うわー…覚悟はしてたけど、俺と態度が違いすぎる…)
友「あぁ、よろしく」
喫茶店にて
女「友くんってさ、何部だっけ?」
友「サッカー部だけど?」
女「ぽ、ポジションは?」
友「フォワード」
女(わ、わかんない…)
女「ひ、一人でいること結構多いよね、何で?」
友「一人の方が楽だから」
女「そ、そうなんだ…」
友「女さんは何部だったんだ?」
女「わ、私は…中学はバレーやってたけど、高校入ってからは何もやってないよ」
友「へぇ」
男(何か何気に会話弾んでね?もしかして俺って……邪魔…?)
女「ね、ねぇ!メアド教えてくれない?」
友「…別にいいけど」
男(あれ?そういえば、俺って女さんのアドレスとか……)
女「じ、じゃあ赤外線で送るからさ!」
友「分かった」
男(…………)
男「…ごめん友、俺もう帰る」
友「えっ?」
男「あとは二人で話しててくれよ。じゃあ、また明日な」
友「お、おい!待てよ!」
女(やっと帰ったか、お邪魔虫め)
女「まあ、ああ言ってるしあとは二人で…」
友「……」
男「ふぅ……」
男(そりゃ、あの話聞いてたし……分かってたけどさぁ…)
男(やっぱり俺なんて、所詮は金づるだったんだな…)
男(昼の弁当渡したり、放課後デートしたりして、少しは評価上がってたと思ったのになぁ…)
男(……諦めるか…)
男(…い、いや!まだ何とかなるはずだ…!)
男(どっかの誰かも言ってただろ、諦めたらそこで終わりだって)
男(絶対友には負けねぇ…女さんを、振り向かせてやる…)
女友「…あ、男くん」
男「!!お、女友さん…今帰り?」
女友「うん、奇遇だね」
男「そう、だね……あ、あのさ…」
女友「?」
男「こないだの事、本当にごめん!」
女友「えっ、い、いいよもう……。あたしこそ、ごめんね?」
男(つ、遂に謝れた…!)
女友「じゃあ、ついでだし一緒に帰ろう?」
男「う、うん!」
男「――ってな事があってさ」
女友「そうなんだ……女、遂に友くんに…」
男「でも諦めないよ、俺は!絶対に振り向かせてやるんだ!」
女友(……)
女友「男くん、本気なの?」
男「ああ、本気さ!」
女友「…そっか。じゃあ、あたしもこれからは本気でサポートしてあげるよ!」
男「ま、マジで?心強いなあ……って、今までは本気じゃなかったのかよ!?」
女友「あっ……てへっ☆」
男「可愛くごまかしてもダメ」
女友(そうだね、これからは……本気で)
翌日
男「女さん、女友さん、おはよう!」
女友「あ、おはよう、男くんっ!」
女「!?お、おはよう…無駄に元気ね」
男「そうかな?はい、これ昼の弁当!」
女「あぁ、ありがと…」
男(今回は、女友さんに色々メールしてもらって作ったからな……自信作だぞ)グッ
女友「……うふふっ」グッ
女「?」
男「おい、友」
友「あ?…お前、昨日どうして先に帰ったんだよ」
男「あぁ、実はさ…あの後色々用事あったんだよ、ごめん。それよりも」
友「ん?」
男「女さん、どう思う?」
友「どう思うって何がだ?」
男「ほら、色々あるじゃん。気になるとか可愛いとか」
友「別に、普通だな」
男「……そ、そうか」
男(そういえば、友が誰かと付き合ったって話聞いたことないな……どんなのが好みなんだ?)
カパッ
女「あれ?」
女友「ん?どうかした?」
女「う、ううん…何でもない」
女(いつもと彩りが違う…気がする)
女友「どうしたの?食べようよ」
女「あ、うん…」パクッ
女「!!お、おいs…っ
女友「えっ?」
女「あ、な、何でもない!」
女友「変なの」クスッ
女(美味しいけど…何だろ、どっかで食べたことあるような…)
カパッ
友「お?可愛らしい弁当だな」
男「そ、そうか?」
友「誰かに作って貰ったのか?それ」
男「いや、自作」
友「…!?」
男「…何鳩が豆鉄砲喰らったような顔してんだよ」
友「いや、だって昨日までは……あれ?」
男(友がこんなリアクションするって事は、女さんも……流石女友さんだぜ)
「最近思うんだけどよ」
「ん?」
「女友さん、前より綺麗になってねーか?」
男(……そうか?)ジーッ
「それは、お前が女友さんを好きすぎて見てる錯覚だ」
「いや、俺も思ってた。綺麗になったよな」
「マジで?」
男(そうは見えないけどな…)
「なるほど、恋する女は綺麗になるってやつか」
「恋……だと……?」ゴクリ
男(……恋、か…。女友さんは、どんな人が好みなんだろ)
「…!おい、女ちゃんがこっちに来るぞ!」
「な、何だって!?」
男(!こ、こっちに来る…)
女「と、友くん!」
友「え?」
男(……ですよねー)
「何だよ、友かよチクショー!」
「イケメンは違うなぁ、おい」
女「た、タオル持ってきたから良かったら使ってよ!」
友「いや、自分のあるし」
男「せっかくだし、受け取っとけよ」
友「……じゃあ、使わせて貰うか」ファサッ
女「!!え、えへへへ…」タタタタ…
「うらやま…」
男(くそっ、友ばっか…)
男(俺なんてかれこれ数週間女さんと居るのに、何にもされてないぞ……)
男(やっぱり、望みは薄いか…)
男(いや、俺だっていつかは……女さんがタオルを貸してくれるくらいの男になってやるんだ!)
男(……まあ、いつになるか分からないけどさ…着替えよ)ジィー…
男「…ん?な、何だこれ!?」
「どうかしたか?」
男「い、いや…」
男(た、タオル…!?それに書き置きも!まさか、女さんが…)
『頑張って、応援してるよ! 女友』
男(…何だ、女友さんか……。でも女子からこういうことされるの初めてだし、ちょっと嬉しいなあ…)
放課後・玄関
男「あ、女友さん!」
女友「男くん!女を待ってるの?」
男「うん。あ、タオルありがとね」
女友「い、いえいえ…」
男「今日の体育キツくてさ、汗ヤバかったから助かったよ。明日洗って返すからさ」
女友「あ、いいよいいよ!そんな、別にそこまで気を遣わなくても!あたしが洗うからさ!」
男「…そうか?なら返すけど…ホント、ありがとね」パサッ
女友「い、いえいえ…」ギュッ…
女友「と、ところで、今から行く場所は決まってるの?」
男「…またあの喫茶店かな」
女友「いつもあそこじゃつまらないでしょ?だから、あたしが良さそうなとこ調べてきたよ!」
男「ほ、ホントか!?」
女友「うん、見てこれ!最近出来たばかりでさ、きっと女も喜ぶよ!」ピラッ
男「へぇー、こんなとこに…」
女友「どう?」
男「…うん、じゃあ今日はここに行こうかな!何から何までありがとう、女友さん!」
女友「…ふふっ、どういたしまして!」
女「お待た…って、あれ?女友」
女友「あっ、女来たからあたしは帰るね!またね!」
男「えっ?あ、ホントだ…じゃあ、また明日」
男(もっと話したかったけど、また明日でいいか…)
女「女友と何話してたのよ?」
男「え?ま、まあ色々…」
女「あ、そう」
男「それよりさ、今日はここに行こうと思うんだけど…」ピラッ
女「…ふーん、結構良さそうなお店じゃない」
男「だ、だろ!?」
女「おいしーっ!」
男「そ、そう?良かった…」
女「あんt…男くんも何か食べれば?」
男「いや、俺はいいよ…ハハハ……」
男(金に余裕無いし、女さんに食べて貰うので精一杯だからな…)
女「あっそ」
男「は、はは……はぁ」ガックリ
女「あーおいし……あぁっ!も、もうこんな時間じゃない!」
男「え?」
女「私、もう帰らないと!」
男「…何か用事でもあるの?」
女「ま、まあね……それじゃ!」タタタ…
男(……女さんが用事なんて珍しいな…しかもあんなに急いで…)
男(ついていってみようか…?)
男(いけない気がするけど、やっぱり気になるよな…)
男(……よし、ついて行くか)
女「…」スタスタスタ
男(何か小走りだな……そこまで急ぐ程の事なのか?)コソコソ
女「…」キョロキョロ…スタスタ
男(おっと、そっちか……ってあれ?)
女「…」スタスタスタ
男(この道って、たしか……)
女「はぁ、間に合った…」
男(……学校、だよな)
女「……」ウロウロ
男(誰かを待ってるのか?……でも、女さんが待つような奴って言ったら…)
女「あ、友くんっ!」
男(……友しか、居ないよな)
友「あれ、女さん…だっけ?ここで何してんの?」
女「え、えっと…友くんを待ってたの!」
友「何で?」
女「い、一緒に帰ろうと思ってさ…」
友「…あぁ、別にいいけど」
女「ホントっ?えへへっ…」
男(……そこまで…?)
友「……」
女「あ!良かったらさ、途中で喫茶店でも行かない?」
友「……少しくらいなら」
女「やったっ♪じゃあ行こ行こ!」ギュッ
友「……」
男(…そこまで、俺とは一緒に居たくないわけ?)
男(分かってたけど…分かってたけどさぁ……)
男(……もう、いいや…帰るか…)トボトボ
「あれ、男だ」
「哀愁漂う背中だな……どうしたんだろ」
翌朝
男(…いつもの癖で、弁当作っちゃったな……もう作らなくていいのに…)
男「はぁ…」
女友「おはよう、男くん!」
男「…え?……あぁ、女友さん……に、女さんか…。おはよう…」
女「お、おはよ…」
女(何か元気無いわね…)
男「…あぁ、弁当か……はい」
女「…ありがと」
男「…はぁ……」
男(あんまり顔合わせたく無かったのに、朝から……憂鬱だな…)
女「どうしちゃったのかしら?」
女友「……」
放課後
男(今日は、誰とも話す気になれなかった…)
女「あ、男くん!待ちくたびれたわよ!」
男「!」
女「ほら、早く行くわよ!」
男(…一瞬でも、喜んだ自分が……ムカつくな)
女「あそこ美味しかったし、今日もあそこに行きましょっか!」
男「……ん」
男(そうだよ……女さんが俺なんかを待っててくれるのは…)
女「ほら、早く!」
男(……良い金づるだから、だろ…)
女「あー、やっぱり美味しいわ…」
男「…良かったね」
女「えっ?あ、うん…?」
男(……そろそろ時間、だな)
女(ホント元気無いわね……ま、明日になったら治ってるでしょ)
男「…じゃ、俺もう帰るよ。代金は払っとくから。またね」ガタッ
女「えっ?ち、ちょっと…」
女(珍しいわね、先に帰っちゃうなんて……って、もうこんな時間!)
女(急いで食べて、迎えに行かないと…!)パクパク
男「……」トボトボ
女友「…あ、男くん!」
男「…!」
女「はぁっ、はぁっ…」
女(ま、間に合った…危ない危ない……)
友「…」スタスタ
女(って、早速来た!!)
女「友くーんっ!」ギュッ
友「…また女さんか」
女「えへへ、今日も一緒に帰ろうかなーって…」
友「……別にいいけど」
女「やったー♪」
友「……」
女(順調、よね?)
男「…今、帰り?」
女友「うん、男くんは……女とのデートの帰り?」
男「…デートなんかじゃねぇよ、あんなの」
女友「へっ?お、男くん…?」
男「……」
女友「朝から元気無いよ、何があったの?」
男「…別に」
女友「…ほ、ほら!元気出してよ!あっ!あそこにカラオケあるから一緒に行こ、ね?」
男「……」
女友「歌えばきっと元気出るよ?奢ってあげるからさ、ねっ!?」
男「…うん」
女友「おーもーいーではー♪いーつーもきーれーいーだーけどー♪」
男「……」
女友「男くん、見て見て!88点だって!」
男「…そりゃ良かった」
女友「……男くん、今日…ホントにどうしたの?」
男「……」
女友「…何かあったんでしょ、女と」
男「……別に何も
女友「あったんだね、その様子だと」
男「……」
女友「話してよ、何があったの?」
女(こうやって腕組んでたら、カップルに見えたりして…)
女「うふふ…♪」
友「……なあ」
女「ん?なぁに、友くんっ?」
友「…何で腕組んでんの?暑いんだけど」
女「……えっ?あ、ご、ごめん…」パッ
友「……」プイッ
女(…ち、ちょっと大胆に行き過ぎたかな……もう少し慎重に…)
友「…じゃ、俺こっちだから」
女「あ、う、うん!また明日ね…」
女(考え込んでたら喫茶店過ぎちゃってたし……もう最悪…)
女友「…そんなことがあったんだ」
男「正直さ、今回ばかりは…もう無理だよ、俺…」
女友「……」
男「女さんの為にって、ずっと頑張って来たけどさぁ……結局俺なんか見てくれる訳無かったんだ…」ボロボロ
女友「男くん…」
男「あーぁ、分かっちゃいたけど……やっぱり辛いな…」ボロボロ
ギュッ
男「!」
女友「……大丈夫だよ、男くんなら…」ナデナデ
男「……えっ?」
女友「あたしには、何となく分かるの……男くんなら、絶対女を振り向かせられるから…」
男「……」
女友「だから、もうちょっとだけ……頑張ろ?」
男「……」
女友「……」ナデナデ
男「……も、もう大丈夫だから…ありがとう、女友さん」バッ
女友「あっ…い、いえいえ…」
男「とりあえず……もうちょっとだけ頑張ってみるよ、俺…」
女友「う、うんっ!その意気だよ!」
男「よーし、そうと決まったら歌うぞ!」ピピピピッ
女友「おぉ~!」パチパチ
男(女友さんの胸、柔らかかったな……って、何考えてんだ俺…)
男「今日はホントにありがとう、女友さん」
女友「ううん、男くんこそ…元気になって良かったよ」
男「じゃ、また明日!」
女友「うん!頑張ってね、男くん!」
男「おう!」
女友「……うふふっ…」
翌朝
男「女さんに女友さん、おはよう!」
女「…あー、おはよ」
女友「おはよう!」
女(昨日と違って、随分機嫌良いじゃない……逆に五月蝿いくらいね)
男「これ、弁当ね!今日は少し量多めにしてみたんだぜ!」
女「……あ゛ー、はいはい。ありがとね」
女(今はそれどころじゃないのよ…!今日は友くんとどう接しようか考えてるのに…)
女友「…女、今日はちょっと機嫌悪いみたい…」コソコソ
男「……みたいだね」
男「おはよう、友」
友「お、よぉ。今日は元気そうじゃん」
男「まあね」
友「…それはそうと」
男「ん?」
友「お前の友達の…女さん、最近ストーカーみたいでうぜぇんだけど」
男「…えっ?」
友「こっちは部活帰りで疲れてるってのに、校門で待ち伏せてやがるんだよ…」
男(この二人、上手く行ってそうな気がしてたけど…そうでもなかったのか?)
友「男から何とか言ってやってくれよ」
放課後
男(とか言われても、俺からは結局何にも言えない訳で…)
女「何してるの?早く行くわよ!」
男「あ、あぁ…」
男(今でもこんなにイライラしてるのに、さらにそんな事を言っちゃったら…)
女「はぁ…」スタスタスタ
男(間違いなく、完全に嫌われる…)
女「…」バクバクバク
男「き、今日は……随分食べるんだね…」
女「あぁ?文句あんの?」ダンッ!
男「い、いや…別に……」
女「…あっ!じゃ、私は帰るから!会計宜しくね!!」ガタッ
男「う、うん…」
男(これは凄い…今日、いくらかかるかな……)
女「はぁ、はぁ、はぁ…」タッタッタッ
女(予定の時間には遅れるし、食べすぎてお腹痛いし……あぁもう最悪!)
女「はぁ、はぁ、ふぅ……」
女(つ、着いた…!30分も遅れたし、友くんはもう帰っちゃったかな…)
友「……」スタスタ…キョロキョロ
女「い、居た……!友くーんっ!」
友「……うわ」
友「……」
女「えへへ、今日も待っちゃった……一緒に帰
友「お前、何で帰ってないの?」
女「…え?」
友「今日はいつもより遅めに終わって来たのに……何で居るんだよ…」
女「え、友くん?」
友「気持ち悪いんだよ、お前……何なの?」
女(き、もち……わるい…?)
女「わ、私は……友くんと…」
友「お前さ、いい加減察しろよ……俺、疲れてんの。だから一人で帰りたいの。分かるか?」
女「……ぁ…」
友「もう二度とこんなことしないでくれ。分かったか?」
女「……」
女「で、でもっ!私は…」
友「あー、うっせーな!!」
女「っ……!」ビクッ
友「お前、もう近付いて来ないでくれる?あとメールも絶対しないでくれな」
女「……え…?」
友「はっきり言って迷惑なんだよ……男の友達だから大目に見てやってたけどな…!」
女「めい、わく……」
ガー
男(今日は5000円か……トホホ…)
女友「あ!男くん!」
男「…女友さん」
女友「ま、また元気無いじゃん…どうしたの?」
男「えっ?遊園地?」
女友「そう!○○市に新しく出来たんだって!女を連れていってあげなよ!」
男「で、でも……金が…」
女友「そんなこともあろうかと、ペア用の一日フリーパスをもらって来たよ!!」ピラッ
男「えっ!?」
男(そんなものを貰ってくるなんて…何者なんだ、女友さん…)
女友「この券使ってさ、女と遊園地デートしてきなよ!」
男「あ、ありがとう…」
男「あ、でも…」
女友「うん?」
男「どんなアトラクションが見物かとか分からないしなぁ…」
女友「あー……」
男「パンフレットとかは持ってないのか?」
女友「ざ、残念ながら…」
男「そっか…」
男(ネットで調べるか…?でも、ネットの情報とかあまり信じられないしな…)
女友「あ…じ、じゃあさ…」
男「ん?」
女友「土曜日、一緒に見て回ろっか」
男「……えっ」
女友「…嫌?」
男「い、嫌じゃないけど…女友さんこそいいの?」
女友「あたしは構わないよ?」
男「じゃあ……お願いしようかな」
女友「よーし!じゃあ、明後日に遊園地で待ち合わせね!」
男「わかった!」
男(土曜日に女友さんと行って、日曜日に女さんと行けばいいか…)
女友「…………うふふ…」
女「……」
女(私が、迷惑……私が、気持ち悪い……)
女(もしかして…男くんも、実は……)
女「……」
翌朝
男「おはよう、女さんに女友さん……って、うわぁ!?」
女友「お、おはよう…」
女「……おはよ…」
男(女さん、髪ボッサボサ……どうしたんだ…?)
男「え、えーと……とりあえずこれ、弁当…」
女「……」
男「…あれ?女さん?」
女「……いらない…」
男「…えっ?」
女「…今日は、購買で買うから……いらない」
男「そ、そっ…か……」
男(遂に弁当まで……はぁ…)
男(い、いや…今回はこんなことでへこたれてる場合じゃない!女さんを遊園地に誘うんだ…!)
男「あ、あのさ!」
女「……なに?」
男「あとで、ちょっと話があるんだけど……ここじゃ話しづらいし、昼休みにちょっと付き合ってくれないか?」
女「…いい、けど」
男「!」
男(よっし!あとは誘うだけだ…!)
男「は、ハハハ!じゃあ、昼休みに!」タッタッタッ
女「……話、か…」
女(『もう付き合っていられません』なんて…言われちゃったり……して…ね)
女友「……」
男「友、おはよっす!」
友「うぉ!?き、今日はいつも以上にご機嫌だな…」
男「まあな!」
友「あ、そういえば昨日の話なんだけどな」
男「ん?昨日?」
友「ほら、例のストーカーだよ」
男「え…?あ、あぁ……」
男(女さんのことか…)
友「お前、何にもしてくれねーからさ…ガツンと言ってやったよ、俺」
男「えっ?」
友「『迷惑だ、気持ち悪い、うぜぇ』って。そしたら、効いたみたいでさっさと帰っちまった」
男「…!!」
男(まさか、今朝のは…)
友「悪いな、お前の友達だって分かってたけど…我慢出来なくてさ」
「見ろよ、女さん…」
「あぁ、何か……いつもより、暗いっつーか…」
「覇気が無いよな…」
「どうしちまったんだろうな……」
男(…女さん……)
「あ、俺気づいちゃった」
「あ?何がだよ」
「ほら、あの日だよあの日!」
「あの日?あの日って……あぁ~!」
昼休み
男(よし、遂に…)ガタッ
男「女さん、ちょっと良いかな」
女「…ぁ………うん」ガタッ
ざわっ
「おい、何だあれ?」
「どういう事だよ!何であいつが女さんと一緒に…」
「五月蝿いわよ男子ぃー」
女友「……」
体育館裏
男(この辺なら、誰も来ないだろ…)
女(……こんな所まで来て話って…もしかしたら、殴られたりして……)
男「あのさ、女さん」
女「……はい」
男「ほ、ほら…朝、話あるって言ってたじゃん?」
女「…うん」
男「それ、なんだけど……」
男(こ、言葉が詰まる…!言え!言うんだ!)
女(まあ、当然だよね……今まで、あんなにこき使ってきて……怒らない訳が無いわよね…)
女「っ……うん…」
男「おっ、俺と!遊園地に行きませんかッ!!」バッ!
女「ひっ…!……え…?」
女「ゆう……えん、ち?」
男「は、はい!」
女「……」
男「あ、あれ……やっぱり、ダメ?」
女「……どうして?」
男「えっ、どうしてって……そりゃ、女さんと行きたいからに…」
女「…迷惑じゃないの?私のこと……」
男「!」
女(あんなに……散々良いようにこき使ったのに…どうして…?)
男「……全然、迷惑じゃないよ」
女「えっ…?う、嘘でしょ?」
男「ホントだよ」
女「……」
男「むしろ、俺なんかと一緒に居てくれて……嬉しいくらいだ」
男「それに、言ったじゃん。俺、女さんの事が好きだって」
女「…!」
男「好きな人を迷惑だなんて思わないよ、絶対」
女「……」
男「でさ、遊園地なんだけど…」
女「……行く」
男「え?」
女「行く!」
男「ま、マジで!?」
女「う、うん…」
男「は、ハハハ!ハハハハ!!やったああああああ!!」
女「……」
女(…男くんも……良いかも)
女「~♪」
女友「女、何か嬉しい事でもあった?」
女「えっ?べ、別に?」
女友「うふふっ」
女「な、何よ…」
女友「すっかり元気になっちゃって…」
女「そ、そんなの私の勝手じゃない…!」
女友「…………うふふっ」
男「…」バクバクバク
友「おい、掻っ込み過ぎだって…落ち着けよ」
男(これが落ち着いていられるか!)
放課後
男「女さん、お待たせ」
女「あ…そ、そんなに待ってないけど」
男「え…あ、そう?」
女「じ、じゃあ、行きましょ?」
男「うん…」
男(何か雰囲気変わった?気のせいかな…)
女「…」チラチラ
女(急に手を繋いだら……変に思われるかしら…?で、でも付き合ってるんだし…)
男「女さん?」
女「!な、何よ!」
男「あ、いや…キョロキョロしてるから何かなって」
女「う、五月蝿いわね!私の勝手でしょ!?」
男「ご、ごめん…」
男(でも良かったな、元気出て)
女「……」パクパク…チラッ
男「…?」
女「……」パクパク…チラッ
男「…女さん?」
女「!!な、何よ」
男「いや、何でこっち見てるのかなって…」
女「あ……な、何も食べないのかなって…」
男(いつも食べてないけど…それに、女さんの分の代金払うので精一杯だから頼めないしな…)
男「…うん、俺はいいよ」
女「……店員さん!」
店員「はーい」
女「これと同じの一つ下さい」
店員「畏まりましたー」
男(ま、まだ食うのか…)
店員「お待たせしましたー」コトッ
女「…はい、男くん」
男「えっ?」
女「い、一緒に食べよ?これ…」
男「…えっ」
女「はぁ、お腹いっぱい…」
男(今日はいくらかかるかな…)
男「じゃあ、払って来るから」
女「あ、待って!」
男「ん?」
女「わ、割り勘にしよ?私も払うよ…」
男「…」
男「――って感じで」
女友『へぇー、いい感じだね!』
男「何か、やっとカップルっぽい感じになった気がするな…」
女友『あはは、だから言ったでしょ?男くんなら女を振り向かせられるって』
男「ホント、あの時女友さんが居なかったら、こんな雰囲気には絶対なれなかったよ…。ありがとう」
女友『いえいえ!』
男「じゃあ、そろそろ切るよ。明日は宜しくね」
女友『はいはい、こちらこそ宜しくね!』
ピッ
男「明日は、女友さんとデートの予行演習か……」
男「よし、色々乗って日曜日に備えるか!」
そして当日
男「奢ってもらっちゃったけど……女友さん、お金大丈夫?」
女友「大丈夫大丈夫、こんなのへっちゃらだよ」
男「そ、そっか…」
男(それにしても、女友さんの私服……素敵だなあ…)
女友「じゃあ、行こっか!」
男「う、うん」
女友「あのジェットコースター面白そうだね、乗ってみよっか」
男「……何あれ?めちゃくちゃ早くね?」
女友「何処もあんな感じだよ?」
男(嘘だ……)
男「お、俺、トイレ
ガシッ
女友「さ、乗ろっか!」
男(う、うわああああああ!!)
男「……」フラフラ
女友「もう、大袈裟だよ男くん!」
男「は、ハハハ…」
男(冗談じゃなくマジで酔った…ていうか何で平気なんだよ……)
女友「……じ、じゃあ、次はお化け屋敷なんてどう?」
男「ああ、そういうのなら平気だよ」
女友「…じゃあ、行こ?」
男「うん」
ギャーン
女友「ひゃっ!?」ギュッ
男「!!」
女友「……」ブルブル
男(柔らか…)
お昼くらい
女友「はぁー、楽しいね!」
男「う、うん」
男(でも、今日でそんなに楽しんで……明日大丈夫かな?)
女友「大丈夫だよ」
男「そっか、大丈夫か……って、え?」
女友「明日もきっと楽しめるってこと!」
男「いや、あれ…今俺口に出したっけ…?」
女友「ううん?あ、やっぱり当たってたんだ!」
男「えっ?ど、どういうこと?」
女友「男くんの考えてることは、大抵分かっちゃうってこと!」
男「…俺ってもしかして、結構分かりやすい?」
女友「うん!」
男「そ、そうだったのか…」
女友「……好きな人が考えてる事くらい、あたしには分かるよ…?」ボソッ
その後も色々楽しみました
女友「あ、そろそろ日が暮れてきたね…」
男「ああ、そうだな」
女友「じゃあ、最後に観覧車に乗って帰ろっか!」
男「うん、そうしよう」
男「うお……近くで見ると凄いデカいな…」
女友「ホントだね…」
男「じゃあ、乗ろうか」
女友「うん!」
男「観覧車なんて乗るの、小学生の時以来だな…」
女友「あ、あたしもそれくらい」
男「遊園地なんて、来る機会無かったからなあ…」
女友「あたしも……」
男「……」
女友「……」
男「い、一周どれくらいだっけ?」
女友「10分だったかな…」
男「…長いな」
女友「……だね」
男「……」
女友「…あ、見て!夕焼け!!」スクッ
男「お、ホントだ!」
女友「綺麗……」
グラッ
女友「!?きゃ……」
男「!!…女友さん!」グイッ
ドサッ
女友「あ、ありがと……男く…」
男「あぁ…無事で良かっ…」
女友「……」
男「……」
女友「男……くん…」
男「女友さん……んっ…」
男(あれ…?何やってんだろ、俺…)
女友「ん……ちゅっ…」
男(体が、自然に…)
男「……」ギュッ
女友「……」ギュッ
キィ
従業員「ありがとうございましたー」
男「……」
女友「……」
男(どうして…俺は……女友さんは……?)
男「……き、今日は、ホントにありがとう…」
女友「う、うん……」
男「な、何か最後変な感じになっちゃったけど……ご、ごめんな?」
女友「う、ううん……こちらこそ…」
男「じ、じゃあ、また月曜日に…」
女友「う、うん……あ、待って…」
男「ん?」
女友「最後に、もう一回だけ…」
男「……わ、わかった」
男(…どうしてこんな事に……?)
男「……」
男(何で、俺はあんな事したんだろ……)
男(何で、女友さんは……拒まなかったんだろ……)
男(……)
男(…俺、もしかして……)
男(…………まあいいや、明日に備えて寝よう…)
男(そんなはず……無いんだから…)
デート当日
女「お、おはよう…」
男「…あぁ、おはよう」
女「さ、さぁ、行きましょ…」
男「…うん」
女「うわぁ……広い…」
男「…そうだな」
女「ね、ねぇ!まずあれから乗らない!?」
男「うん、乗ろうか」
男(……)
女「あー、楽しかった!ねぇ、次はあれ!」
男「はいはい」
女「……」
男(……やっぱり俺は…)
女「…男くん?」
男「…ん?」
女「…私と居るの、楽しくない……?」
男「!!そ、そんなことないよ!楽しい!」
女「ほっ……そっか、良かった…」
男(女友さんと居る方が……楽しい)
昼
女「楽しかったわねー!」
男「そうだな」
女「……」
女(何か、素っ気ない…?き、気のせいかしら…)
男「……」
女「ね、ねぇ!お昼食べ終わったら、あれに乗りましょ?」
男「うん…」
女(ただ元気が無いだけよ、きっと…)
そして
女「そ、そろそろ帰る時間だし、観覧車で締めましょっか!」
男「あ、うん…」
女「……」
女「高い…」
男「そうだな…」
女「……」
男「……」
女「あ、見て!夕焼け!!」
男(…!)
女友『…あ、見て!夕焼け!!』
男(……女友さん、今何してんのかな…)
女「……男、くん?あの、さ……」
男「ん…?」
女「…やっぱり、何でもない。手、繋いでも…いい?」
男「うん…」ギュッ
女「……」ギュッ
男(女友さんに、会いたい)
女「……じゃあ、今日は…ありがと…」
男「…うん」
女「また…明日、ね」
男「また明日」
女「……楽しかった?」
男「…楽しかったよ」
女「……そっか、良かった」
男「……」
ピッピッピッ
女友『…もしもし?』
男「女友さん?」
女友『うん、そうだよ!っていうかあたしの携帯なんだから、あたしに決まってるじゃん!』
男「あはは…」
女友『うふふっ……で、どうしたの?あ、デートの報告?』
男「……うん、そんな感じかな」
女友『そっかそっか!で、どうだった?』
男「とりあえず、会って話せないかな?」
女友『あ、うん…何処に行けばいい?』
男「いつもの喫茶店で」
女友『わかった、今すぐ行くね!』ピッ
男「……」
女「……」
男『…そうだな』
男『…うん』
女(そればっかり……やっぱり、楽しくなかったのかな…)
女(精一杯おめかししてきたつもりだったのに……)
女(何がいけなかったのかな…)
女(……分からないよ…)
ピピピッ
女(!メール…)カパッ
女(女友から…?何だろ、こんな時間に…)
From:女友
『ごめんね、とっちゃった』
女(…?どういうことだろ、間違い…?)カチカチカチ
『どういうこと?』
女「…送信、と」ピッ
女「…ふあぁ……」
女(結局、昨日のメールは間違いだったのかな……返事も来てないし)
女「行ってきまーす」
女母「気をつけて行ってくるのよー?」
女「はーい」
ピピピッ
女「あ、メール…」
From:女友
『今日はちょっと遅れるから、先に行ってて』
女「女友が遅れる…?珍しい…」カチカチカチ
『わかった』
女「送信、っと」ピッ
ガラッ
女「おはよ」
「おはよう、女ちゃん!」
「おはよー」
女(遅れるって、ホントだったんだ……まだ居ないなんて)
キーンコーンカーンコーン
女(HRの鐘鳴っちゃったのに、まだ来ない……しかも男くんも…)
女(どうしたんだろ…)
教師「じゃあ、HRを始めるぞ。日直」
「はい、きりt
ガラララッ!
男・女友「お、遅くなりましたっ!」
教師「…何だお前ら、遅刻だぞ」
男「すいません…」
女友「ちょっと、寝坊しちゃって…」
男「あ、俺も…」
教師「全く……次はちゃんと起きろよ?」
男・女友「はい…」
女(……寝坊?そんなはず…)
HR終了後
女(えーと、一時間目は…)
男「…女さん」
女「えっ?あ、男くん。おはよ」
男「……あとで大事な話があるから、またあそこに来てくれ」
女「あ、うん…分かったわ」
男「……」スタスタ
女(またデートのお誘いかな…今度は何処かな?)
女(そういえば、女友に…あれ、居ない……トイレかな)
昼休み
女(女友、休み時間の度にどっか行っちゃうから何にも聞けない…)
男「女さん」
女「あ、男くん」
男「……あそこで、待ってるから」
女「うん!」
女(何だろうなぁ…)
体育館裏
女「…あれ、男くん?何処?」
女(どっかに隠れてるのかな…)
女友「女」
女「…え、女友?こんなとこでどうs……って、男くんと一緒?」
男「…お待たせ、女さん」
女(何だろ……嫌な予感がする…)ドキンドキン…
女(きっと気のせいだよね…)ドキッドキッドキッ
男「……女さん、話っていうのは…」
女「う、うん…」
男「俺と……別れて欲しいんだ」
女「………………え?」
男「……実はさ、俺…昨日から女友さんと……いや、女友と…付き合い始めたんだ」
女「……」
女友「ごめんね、女…」
女「…………」
男「だから、別れて欲しい…頼むよ」
女「…………いっ……意味、わかんないよ……?何で別れなくちゃ……いけないの……?」ポロポロ
男「……二人と付き合うって、良くないことだと思うからさ…」
女「……なら、私じゃなくてもいーじゃん……どうして、私なの……?」ポロポロ
男「……ごめん」
『ごめんね、とっちゃった』
女(……そっか、あのメールは…)ポロポロ
女友「……うふふっ」
女「女……友……っ」ポロポロ
タッタッタッ
女友「…行っちゃった」
男「これで……別れられたのかな?」
女友「大丈夫だよ、多分。女も分かってくれるよ」
男「…だといいな」
女友「さ、教室戻ろ?」ギュッ
男「うん…」ギュッ
女友「……男くん、大好きだよ」
男「俺もだよ、女友…」
それからしばらく経って
女(もう、何もかもどうでも良くなっちゃった…)
女(男くんの事を忘れたくて、何人かと付き合ったけど…)
女(やっぱり、男くんじゃないとダメだよ…)
女(ここに居れば、男くんとずっと一緒に居られる…)
女(誰にも邪魔されずに……ずっと一緒に…)
女母「もう二ヶ月も……男の子の写真を抱えて出てこないの…」
女父「…」
女母「どうしてこんな事に……」
女「……ね、男くん…?」ボソ
終わり
嫌いじゃない。