櫻子「向日葵ー」
向日葵「なんですの?」
櫻子「ちょっと宿題教えて欲しいんだけど」
向日葵「宿題くらい自分でやりなさいよ」
櫻子「それが出来たら頼んでねーよ!」
向日葵「何で自信満々ですのよ……」
櫻子「ふふん♪」
元スレ
櫻子「戻ってきたね」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1365426493/
向日葵「それで? なんの宿題を教えればいいんですの?」
櫻子「全部!」
向日葵「少しは自分で考えなさい」
櫻子「えー……」
向日葵「隣で見ててあげますから」
櫻子「わかった」
向日葵「わからない所があったら教えてあげますわ」
櫻子「よーし、やるぞー!」
櫻子「……」
向日葵「あら、結構進んでますわね」
櫻子「……」
向日葵(全部間違ってますけど……)
櫻子「やったー、出来た!」
向日葵「よく集中してましたわね」
櫻子「私だってやれば出来るんだよ!」
向日葵「全部間違ってますけど」
櫻子「はぁ!? 知ってたなら教えろよ!」
向日葵「ご、ごめんなさい……珍しく集中出来ていたものですから」
櫻子「いつも集中してるよ!」
向日葵「少しは自分を振り返りなさいよ……」
櫻子「う、うるさい!」
向日葵「復習だってろくにしないから宿題が大変になってるんですのよ」
櫻子「してるもん!」
向日葵「本当に?」
櫻子「う……」
向日葵「はぁ……まったく櫻子は」
櫻子「もういい! 向日葵のバーカ!」
向日葵「もういいって……宿題はどうするんですのよ」
櫻子「自分でやるもん!」
向日葵「出来るんですの?」
櫻子「出来るに決まってるでしょ!」
向日葵「……だったら何で私に教えてもらおうとしましたのよ」
櫻子「え?」
向日葵「だから、一人で出来るなら私は必要ないじゃない」
櫻子「な、何でそんなこと言うの……」
向日葵「何でって、聞いてるのは私ですわ」
櫻子「えー、えーと……」
向日葵「まったく……私もう帰りますわよ?」
櫻子「ま、待って! その、向日葵……」
向日葵「なんですのよ?」
櫻子「どっか行かないでよ、向日葵!」
櫻子「一緒に、いてよ……」
向日葵「え……それって」
櫻子「あ……ち、ちが!」
向日葵「櫻子……」
櫻子「あれだ! 間違ってるんだから、出来ても意味無いじゃん!」
向日葵「それは出来るとは言いませんわ」
櫻子「うるせー!」
向日葵「ほら、宿題が出来ないことはもうわかりましたから、見てあげますわ」
櫻子「ほんとに!?」
向日葵「ええ、もちろん」
櫻子「やったー、さっすが向日葵」
向日葵「それに……私も一緒にいたいですし」ボソ
櫻子「ん、なんか言った?」
向日葵「何でも無いですわよ」
櫻子「?」
向日葵「本当に櫻子は昔から変わりませんわね」
櫻子「変わりたくないもん」
向日葵「学力も変わらないままでいるつもりですの?」
櫻子「変わりたくなーい」
向日葵「それは勉強したくないだけでしょう!」
櫻子「向日葵はさ、変わったよね」
向日葵「そうかしら?」
櫻子「うん、変わったよ……特におっぱい」ペチッ
向日葵「いたいっ! ちょっと叩かないでよ!」
櫻子「あーあ、向日葵のおっぱいが変わってなかったら痛くなかったのにな」
向日葵「どういう理屈ですの……」
櫻子「向日葵が悪い」
向日葵「人を叩いておいてなんて言い草ですの!」
櫻子「ていてい!」
向日葵「叩いてる暇があったら宿題しなさいよ!」
櫻子「ご、ごめん」
櫻子「よーし、やっと終わった」
向日葵「お疲れ様」
櫻子「うむ、ごくろう」
向日葵「ご飯食べていきます?」
櫻子「いいの?」
向日葵「ええ、折角ですもの」
櫻子「やったー、大好き向日葵」
向日葵「なな……っ」
櫻子「どうしたの向日葵、早くご飯作りに行けよ」
向日葵「……もう、わかりましたわよ」
櫻子「何作るの?」
向日葵「なにか食べたいものあります?」
櫻子「ハンバーグ!」
櫻子「はー、向日葵のご飯美味しかったな」
櫻子「肉汁たっぷりの特性ハンバーグ、一生食べてたいなあ」
撫子「櫻子、次あんたお風呂入りな」
櫻子「わかったー」
撫子「それから、ひま子のとこで夕飯食べるなら前もって連絡しなよ」
櫻子「わかったー」
撫子「わかってないでしょ」
櫻子「わかったー」
撫子「……風呂入ってきな」
櫻子「わかったー」
櫻子「おはよう」
向日葵「おはよう櫻子」
櫻子「今日は何しようか」
向日葵「特にすることなんてないですわ」
櫻子「うーん、じゃあどっか出かけようか」
向日葵「外に行くんですの?」
櫻子「行こう、向日葵」
向日葵「ええ」
櫻子「とは言ったものの」
向日葵「完全にノープランですのね」
櫻子「はっはっはっ」
向日葵「笑い事ですの?」
櫻子「まあいいじゃん、ぶらぶらしてるだけでも」
向日葵「そうですわね」
櫻子「ぶらぶら探索でもする?」
向日葵「いいですわよ」
櫻子「よーし、じゃあ探検だ」
向日葵「探検するほど遠くに行くつもりですの!?」
櫻子「折角だし、いいじゃん」
向日葵「嫌な予感がしますわ……」
櫻子「迷った」
向日葵「早速ですわね……」
櫻子「ここどこだろ」
向日葵「どうしますのよ」
櫻子「どうって言われても」
向日葵「落ち着いてますわね」
櫻子「私がいるんだ、大丈夫だって!」
向日葵「どうしてそんなに自信がありますのよ……」
櫻子「どうしてだろうね」
向日葵「まったく……でも、櫻子となら大丈夫かも、なんてね」
櫻子「おう、私に任せとけ!」
向日葵「そういえば」
櫻子「ん、どったの?」
向日葵「前にもこうして迷子になったことありますわよね」
櫻子「ああ、あかりちゃんに助けられた?」
向日葵「それもそうですけど、もっと前にも確か」
櫻子「そんなことあったっけ?」
向日葵「あったはず、ですわ」
櫻子「んー、っとと……何か蹴った」
向日葵「木の枝、ですわね」
櫻子「あ……」
向日葵「どうしましたの?」
櫻子「確かに、あったね……迷子になったこと」
ひまわり「まいごになっちゃった……」
さくらこ「ここどこだろ」
ひまわり「ふええ……」
さくらこ「ひまちゃん!」
ひまわり「さーちゃぁん……うぅ……」
さくらこ「だいじょぶだよ! わたしがいるもん!」
ひまわり「さーちゃん……うん」
さくらこ「すぐにいえにもどれるからね、あんしんしてひまちゃん」
ひまわり「えへへ、うん……さーちゃんといっしょだからだいじょうぶ!」
さくらこ「といったもののどうしよう」
ひまわり「さーちゃん……」
さくらこ「あっ、ぼうがおちてる」
ひまわり「きのえだだー」
さくらこ「てれびでみたことある!」
ひまわり「てれび?」
さくらこ「みちにまよったときはぼうのたおれたほうこうにいけばいいんだよ」
ひまわり「そうなんだ!」
さくらこ「よーし、たおすよ」
ひまわり「うん」
さくらこ「……こっちだ! いこうひまちゃん!」
ひまわり「ま、まって!」
さくらこ「ひまちゃん、て」ギュ
ひまわり「わっ」ギュ
さくらこ「はぐれちゃったらたいへんだもんね」
ひまわり「えへへ」
ひまわり「さーちゃん、さっきのぼうどうしたの?」
さくらこ「え? おいてきたけど」
ひまわり「ええ!? またわかれみちがあったら……」
さくらこ「あっ、そっか」
ひまわり「ふええ……」
さくらこ「だいじょぶ! なんとかなるよ、ひまちゃん!」
ひまわり「さーちゃん……」
さくらこ「まえにすすもう!」
ひまわり「うん……」
さくらこ「だいぶすすんだね」
ひまわり「そうだね」
さくらこ「あ……ここって」
ひまわり「え?」
さくらこ「さっきのぼうだ」
ひまわり「じゃあもどってきちゃったの?」
さくらこ「そうみたい」
ひまわり「ふええ……」
さくらこ「だいじょぶだよ! なかないでひまちゃん!」
ひまわり「でも……」
さくらこ「もとのばしょにかえってこれるならきっとだいじょぶ」
さくらこ「もっとまよったわけじゃないもん」
櫻子「ずっと迷っちゃって」
向日葵「捜索隊を呼ばれるはめになったんですわ」
櫻子「いやあ、あの時は大変だった」
向日葵「色んな人に迷惑かけてしまいましたわ」
櫻子「確かにね」
向日葵「初めて警察のお世話になりましたわね」
櫻子「初めてって、まるで常習犯みたいな言い方やめろよ」
向日葵「あら、いつも迷惑かけてばかりですわよ櫻子」
櫻子「警察沙汰にはなってねえよ!」
向日葵「あの時の婦警さん、カッコ良かったですわ」
櫻子「ふーん」
向日葵「何むくれてますのよ」
櫻子「なんでもない」
向日葵「そうかしら?」
櫻子「向日葵は、警察になりたいの?」
向日葵「そうですわね……悪くない選択ではありますわ」
櫻子「あっそ」
向日葵「ふふ、婦警さんになったら一番に櫻子を逮捕してあげますわ」
櫻子「勝手に罪人にするなよ!」
櫻子「折角棒を見つけたんだし、またやってみる?」
向日葵「棒を倒して進みますの?」
櫻子「だめ?」
向日葵「まあ、いいですわよ」
櫻子「やったー」
向日葵「あの時の櫻子は、とても頼りになりましたもの」
櫻子「よーし、倒すぞ!」
向日葵「まったく……聞いてないんですから」
櫻子「……こっちだ! 行こう向日葵」
向日葵「ええ」ギュ
櫻子「うぉあ! な、何手繋いでるんだよ!」
向日葵「あ、あら……体が勝手に」
櫻子「……行くよ!」グイ
向日葵「繋いだまま、ですの?」
櫻子「いいから!」
向日葵「え、ええ」
櫻子「ほんと、向日葵は変わったよ」
向日葵「そうかしら?」
櫻子「昔は、私が引っ張ってあげないと、向日葵は前に進めなかった」
向日葵「そうだったかしら」
櫻子「そうだったんだよ!」
向日葵「……」
櫻子「でも、私は変わらない」
向日葵「櫻子?」
向日葵「いったい何の……」
櫻子「向日葵はさ、ドンドン違う向日葵になっていく」
向日葵「……」
櫻子「ドンドン私から遠くなって、いつか迷子になっちゃうんじゃないかって」
櫻子「私から見えない所まで行っちゃうんじゃないかって」
櫻子「……不安だよ」
向日葵「櫻子……」
櫻子「……」
向日葵「な、なに……言ってますのよっ!」
向日葵「あなたを置いて行ったら何をしでかすか不安で仕方ないですわ!」
向日葵「だから……そんなこと心配しなくていいんですのよ」
櫻子「向日葵……」
櫻子「そんなの嫌だ」
向日葵「え?」
櫻子「それじゃあ私、足枷みたいじゃん!」
向日葵「大きく間違ってはいないと思いますけど?」
櫻子「五月蝿いな!」
向日葵「どっちが五月蝿いんですのよ」
櫻子「とにかく、私は向日葵の邪魔になりたくない」
櫻子「向日葵が進みたいなら、不安だけど、止めたくない」
向日葵「あ……」
櫻子「戻ってきたね」
向日葵「木の枝……」
櫻子「この枝みたいに変わらずにここにいられたら、いつだって戻ってこれる」
櫻子「だからね、私は変わらない、変わりたくない」
櫻子「同じ私がそこにいたら、向日葵だって迷わずにすむでしょ?」
向日葵「そう、ですわね……」
櫻子「私が目印になる」
向日葵「そうしたら……」
櫻子「私の所に戻ってきてくれるよね、向日葵」
向日葵「……ええ、もちろん」
おしまい
向日葵「ってそんな言い訳で勉強しなくて良くなるわけじゃないですわ!」
櫻子「やっぱダメかー」
向日葵「櫻子の考えてることぐらいお見通しですわ」
櫻子「むー」
向日葵「まったく……」
櫻子「えへへ」
向日葵「ふふ、なんて笑ってる場合じゃないですわ」
櫻子「絶賛迷子中だった」
向日葵「どうしますのよ」
櫻子「このまま枝倒して進む?」
向日葵「そんなことしてたらまた警察のお世話になってしまいますわ」
櫻子「なんてこった」
向日葵「二回も捜索されるなんて恥ずかしいですわ」
櫻子「顔覚えて貰えるかもよ?」
向日葵「マイナスにしかならないじゃない」
櫻子「確かに」
向日葵「はあ……」
櫻子「そんなこと言ってもなあ」
櫻子「あ、あの時とは違って携帯持ってるじゃん!」
向日葵「櫻子……」
櫻子「なに向日葵」
向日葵「それで連絡取れた所でこの場所をどうやってこの場所を見つけて貰いますの?」
櫻子「じ、じーぴーえす?」
向日葵「そんな機能付いてないでしょう?」
櫻子「そうだっけ?」
向日葵「そうですわよ」
櫻子「よく知ってるな」
向日葵「べ、別にお揃いにしようと思って機能を調べたりした訳じゃありませんわ」
櫻子「そ、そう、ふーん///」
向日葵「また戻ってきてしまいましたわ」
櫻子「まさに迷宮だな」
向日葵「何がまさになんですのよ」
櫻子「この枝は私なんだ、向日葵は私を中心にぐるぐる回って逃げられないの」
向日葵「何だか呪われてるみたいで嫌ですわね……」
櫻子「え……嫌なの?」
向日葵「売り言葉に買い言葉ですわ、嫌ってわけじゃ……ないですわよ」
向日葵「むしろ櫻子なら、それくらいが心地いい……らしい感じがしますわね」
櫻子「褒めても何も出ないぞこいつー///」
向日葵「そこまで褒める言葉じゃなかったと思いますけど……」
櫻子「私らしいんでしょ? だったら、最高の褒め言葉だよ」
向日葵「櫻子……」
櫻子「私は向日葵にとって、いつだってらしくありた――」
あかり「わあい捜索隊! あかり捜索隊大好き!」
向日葵「赤座さん!?」
櫻子「あかりちゃん!?」
あかり「あ、あれ……櫻子ちゃん向日葵ちゃん、なにしてるのぉ?」
向日葵「それはこっちのセリフですわ!」
櫻子「まさかあかりちゃんも迷子に!?」
あかり「迷子って……ここ学校の裏だよぉ?」
向日葵「ま、まさかまた……」
櫻子「はぁー、安心したら腰ぬけちゃったよ」
向日葵「でも、これでちゃんと戻れますわね……」
櫻子「うん、ちゃんと戻れる……ねえ向日葵、色々茶化したりもしたけどさ」
櫻子「今日言ったこと、全部本当だから……忘れないでね!」
向日葵「……ええ、もちろん」
おわる