1 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:53:25.17 2Ya3ZqQoP 1/213

「ほほう」

「あんまし見るなよ、うぜえ」

「なんだよ、中身は男か」

「当り前だろうが」

「まあどうでもいいや」

「それはそれで悲しいな」

「別に態度とか変えなくていいだろ?」

「まあな」

元スレ
友「女になったんだ」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272898405/

3 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:55:03.20 2Ya3ZqQoP 2/213

「それにしても、誰もお前を変に思わないんだな」

「そ、そうだな…」

「むう、俺だけが何故驚いてるのだろうか…」

「そんなこといちいち気にしてんじゃねーよ」

「お前も女になったんだからすこしは女らしい口調になれよ」

「ふざけんなっ俺の心は男だ」

「無理強いはよくないな。それにお前が女口調とかきもちわりぃし」

「本当にお前はうぜーな」

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:55:56.73 2Ya3ZqQoP 3/213

「…それにしても」

「ん?」

「いい胸してるな」

「! ふ、ふざけんなっ! 変なところ見てんじゃねぇ!」

「男なんだからそんなところ気にすんなよ」

「それでもしていいことと悪いことがあるぜ?」

「どっちなんだよ…」

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:57:14.08 2Ya3ZqQoP 4/213

「男はいつも友ちゃんといるよねー」

「ん、女か。なあ、女」

「なに?」

「友って男だったよな?」

「は?」

「…」

「何言ってるの? 友ちゃんは女の子だよ?」

「え…?」

「…」

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:57:58.13 2Ya3ZqQoP 5/213

下校中

「俺がおかしいのかねぇ」

「あん?」

「俺以外お前のことずっと女だって思ってるんだぜ?」

「あ、ああ、そうだな」

「おかしいだろ…」

「んなこと気にしなくていいだろうが」

「そうだな」


7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/03 23:58:39.58 2Ya3ZqQoP 6/213

「そういえば、今度観に行きたい映画あるんだが」

「おう」

「一人で行くわ」

「はぁ!?」

「な、なんだよ」

「俺も行く!」

「なんでだよ」

「いつも悲しく男二人で観に行ってたじゃねぇか」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:01:01.85 UwG8BFI9P 7/213

「男の時はな」

「でも、今のお前は女だ」

「ふっざけんな!」

「怒るなよ」

「何が何でも俺は行くからな! どうせ暇だし!」

「ほかの女とでも遊べよ」

「お前、俺が女と遊べると思ってんのか?」

「え?」

「心は男なんだ。女とはあそべねーよ」

「…はぁ…しかたねーな」

11 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:02:36.13 2Ya3ZqQoP 8/213

「ただいまー」

「お、おかえりー」

「お、もう風呂沸いてるのか?」

「うん」

「じゃあ早速入るかな…」

「ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「友さんと、早く付き合っちゃいなよ」

12 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:05:18.74 UwG8BFI9P 9/213

「はぁ?」

「いっつも二人きりで、なんで付き合ってないの?」

(男同士で付き合えるか! …でも今は女か)

「いやだよ」

「えー!」

(男女になるとこう思われちまうのか…)

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:08:48.08 UwG8BFI9P 10/213

「とにかく、俺は友とは付き合わない」

「…まあ、こんなに仲良いのに告白して振られでもしたらね…」

「妹、あとで電気あんまな」

「ごめんなさい!」

「無理だ。俺はお前を許さん」

「アレ本気で痛いからやめて!」

「風呂についてくるなよ」

16 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:13:15.93 UwG8BFI9P 11/213

映画館当日

「…なんだその服装は」

「…こんなのしかなかったんだよ」

「はぁ…」

「ば、バリバリの男物着てきたほうがやばいっつーの!」

「それでもそれは可愛すぎじゃねえか?」

「可愛いとか言うな!」

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:16:46.76 UwG8BFI9P 12/213

「まあ、とりあえず行くか。早く観てえ」

「おう」

「…」

「お、おい、男…!」

「ん?」

「ちょっと歩くの早くねえか?」

「いつもと同じだ、どうした?」

「はええよ!」

「お前が俺に合わせろよ」

「ふっざけんなっ! もっと遅く歩けよ!」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:20:22.35 UwG8BFI9P 13/213

「…つか、お前」

「ん?」

「そんなに小さかったか?」

「るっせー! 女になったんだから仕方ねえだろ!」

「本当にお前友なのかよ?」

「お前の唯一の親友でもある俺にそんなことをよく言えるな…」

「じゃあ、確かめるために聞く」

「おう」

「お前が女を見るとき、どこからみる?」

「…お…お…っぱ…」

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:23:09.40 UwG8BFI9P 14/213

「え? なんだ、聞こえない」

「お、おっぱ……い」

「ああん? もっと大きくちゃんとした声で!」

「お、おおおお、女をそんな目で見てんじゃねー!」

「ぐふぅ! 殴るなよっ!」

「うるせー! 黙ってろ!」

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:29:54.48 UwG8BFI9P 15/213

「やれやれ…やっと映画館だ」

「ふんっ」

「…つか、お前俺が何観にいくかもわからずに来ちまったな」

「お前が一人で観にいくとか行くからだ」

「でもさ、アレだぞ?」

「ん? …え…マジで…?」

「マジだ」

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:33:46.97 UwG8BFI9P 16/213

「こ、怖いもんは無理だ…他の観ようぜ!」

「やだよ、俺が観たいのアレだし」

「ふざけんな!」

「だからイヤだったんだ!」

「こ、今度にしようぜ、な? な? マジで無理だって!」

「じゃあここでさよならだ。俺は観にいく」

「…男ぉ…」

「ふんっ」

「俺だって観にいく!」

「はぁ? やめとけよ」

「うるせー! 行くったら行く!」

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:37:00.54 UwG8BFI9P 17/213

「…」

「…」ガクガク

「お、おい、友…?」

「ひゃ!? お、驚かすなよ!」

「悪いことは言わん、今すぐ3Dメガネを外せ」

「や、やだ!」

「飛び出してくるぞ? めっちゃ怖いぞ?」

「だ、大丈夫だから! 心配すんなよっ…」ブルブル

「…はぁ」

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:40:04.46 UwG8BFI9P 18/213

「…」

「ひゃあ!! にゃあ!!」

「…うるせえ」

「ぎゃぁああああ!!! 来るなぁ!」

「落ち着け! 3Dだ!」

「怖い怖いっ!」

「くっつくな!!」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:43:43.39 UwG8BFI9P 19/213

「な、なんでこんなに怖いんだよ…聞いてねーよ…」

「はいはい、いいから俺のほうにすがらないでくれ」

「…ぎゃあ!」

「うるせぇって!」

「ちょ、離れるなよ!」

「落ち着いて観れないだろ!」

「怖いから、離れないでくれぇ…」

「…はぁ……」

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:47:09.50 UwG8BFI9P 20/213

「…」

「男…なんでこんな怖いやつ見れるんだ?」

「好きだからな」

「…うわああ!」

「…そろそろ本当に怒るぞ?」

「な、なんでだよ…」

「観れねえだろ?」

「お、俺のことなんかほっといて観ればいいだろっ」

(観れないから言ってるんだろうが!)

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:49:41.46 UwG8BFI9P 21/213

(…くそ…)

「…はわ…また来るのか…?」

(胸が当たってやがる…!!)

(そうだ、飲み物を飲んで落ち着こう…)

「…ゴクゴク」

(!! それは俺のコーラ!!)

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 00:56:50.61 UwG8BFI9P 22/213

「ああ、もうない!」ズズ

(この野郎…!)

(よし、こうなったら悪戯してやる!)

「…」グリ

(…ん?)

(なんか、胸に違和感が…?)

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:00:26.94 UwG8BFI9P 23/213

(ふふ…)

(男の野郎…微妙に腕を…)

(飲み物と映画の恨み!)

(…え、映画に集中できな…)

「きゃあ!!」

「ぬおっ!」

「い、いきなり出てきた…!」

「あ、ああ…そうだな…」

(やべえ、ちょっと揉んじまった…)

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:02:26.81 UwG8BFI9P 24/213

「…あ、終わった…」

「なに!」

「…や、やっと開放されるー!」

「…」

「お、男? 何処行くんだよ?」

「うるさい、もう帰る」

「お、おい!」

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:08:04.71 UwG8BFI9P 25/213

「男!」

「…」

「男ってば!」

「…」

「…」ギュッ

「…なんだよ?」

「ふう、やっとこっちを向いたか」

「そりゃあ手を握られたからな」

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:13:28.15 UwG8BFI9P 26/213

「なんで帰るんだよ」

「うるせー機嫌損ねた」

「はぁ? 何がだよ?」

「映画もろくに観れなかったし、最悪だった」

「…最悪?」

「ああ、最悪最低だ」

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:17:52.49 UwG8BFI9P 27/213

「そ、そんなこと言うなよ…」

「うるさい」

「…じゃ、じゃあ今度また観にいこうぜ! 俺が奢るからさ」

「お前とはもう行きたくない」

「…そ、そんな…」

「最悪だよ、本当に」

「…さ、最悪とか…言うなよ…」

44 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:21:18.01 UwG8BFI9P 28/213

「なんでそんなに怒ってんだよ!?」

「…」

「なあ、こっち向けよ!」

「うるせえ、甲高い声で叫ぶな!」

「っ…」

「もう、いい」

「え…?」

「もう、お前とはつるまん」

50 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:26:13.52 UwG8BFI9P 29/213

「…は?」

「…」

「待てよ!」

「…」


「…なんで、こうなるんだよ…?」

(せっかく…あいつの記憶だけは残してもらったのに…?)

(なんで、こんなことに…)

「…雨?」

「…」

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:32:06.49 UwG8BFI9P 30/213



「…メールか」

「友からか。ふんっ」

「…」

『いつもの公園で待ってる』

「…誰が行くかよ」

「雨ひどくなってきたねー」

「…」(こんな雨だし、もうあいつも帰ってるだろ)

55 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:36:42.65 UwG8BFI9P 31/213



「…ん、もう9時か」

「…」

『そ、そんなこと言うなよ…』

『…さ、最悪とか…言うなよ…』

(なんで友が出て来るんだよ…畜生)

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:42:11.09 UwG8BFI9P 32/213

「…」

「そういえばお兄ちゃん、友さんとのデートはどうだったのー?」

「お前は懲りないやつだな」

「えー、だって早く付き合ってほしいんだもーん」

「うるさい」

「どうだったの? どうだったのぉ!?」

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:45:37.12 UwG8BFI9P 33/213

「…振られたよ」

「え?」

「だから、振られた」

「う、うそ…?」

「ほんとだ。もうあいつと俺は親友でもなんでもない」

「…そ、そうなんだ…ほ、ほうほう…」

(これでこいつも絡んでこないだろ)

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 01:59:13.35 UwG8BFI9P 34/213

「でも、ホントにホント?」

「なんども言わせるな」

「だってあんなに仲良いのに?」

「うるせー」

「むぅ…」

「…」

「そろそろ10時だねーお風呂入ってこよっと」

「…雨、まだ止まないか」

63 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:02:26.76 UwG8BFI9P 35/213

「…」

「すまん、妹」

「なに?」

「ちょっと散歩してくる」

「散歩? 外雨だよ?」

「雨に打たれたい」

「え…変態?」

「後で浣腸な」

「や、やめて!」

64 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:06:00.15 UwG8BFI9P 36/213

「…」

(なんで俺、公園に行こうとしてんだろ…)

(あいつは、いるわけないのに)

「こんな雨だぜ?」

(それに、あそこには遊具もろくなのないから、雨宿りもできない)

「いるわけ…ないよな」

65 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:09:24.73 UwG8BFI9P 37/213

「!」

「おいおい…」

「…はぁ」

「…クシュン」

「なんでいるんだよ?」

「…! 男…」

「風邪引くぞ」

「…やっぱり、来てくれたんだな」

「…うるせー」

67 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:23:39.89 UwG8BFI9P 38/213

「…クシュン」

「あーあー、くしゃみ出てんじゃねーか」

「何時間も待ったからな…当たり前だ」

「待ってんじゃねーよ何時間も」

「…俺さ」

「ん?」

「お前のこと、好きかもしれねえ」

「」

69 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:26:59.43 UwG8BFI9P 39/213

「気持ち悪いこと言うなよ」

「い、いや、これは本当だ」

「や、やめろよ…」

「…なんで、だよ…」

「さすがにお前を女としては見れん」

「女なのに?」

「中身は男だろうが」

70 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:31:10.23 UwG8BFI9P 40/213

「まさか、昔からそうだったのか!?」

「違う! 女になってからだ!」

「あ、ああ…よかったよかった」

「男の時は、ただの親友だとしか思ってなかった」

「そうかそうか」

「でも、今は違う、お前が好きだ!」

71 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:33:29.40 UwG8BFI9P 41/213

「…はぁ」

「ダメか…?」

「お前と付き合う? やなこった」

「…」

「…でもな、友」

「…?」

「俺はお前のずっと親友だ」

「これからも、楽しくやっていこうぜ?」

「…男…」

75 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 02:37:43.26 UwG8BFI9P 42/213

「ふん、しかたねえな」

「しかし、男!」

「あ?」

「俺は絶対お前を振り向かせる!」

「振り向かせて、絶対俺と付き合ってもらうからな!」

「懲りないやつだな…お前も」

「へへへ…」ドサッ

「お、おい、友!?」

「あ、れ…体が重い…?」

「だ、大丈夫か!? 友っ」

END

88 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:01:36.18 UwG8BFI9P 43/213

「さぁて、寝るかー」

「…」

「…おい」

「…」

「おい、お前じゃお前」

「…あ?」

「そう、お前じゃ」

90 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:03:48.86 UwG8BFI9P 44/213

「なんだよ、じじい」

「ほほう、ワシをじじい扱いか…いい度胸をしておる」

(宙に浮いてる?)「どうやって家に入った?」

「そんなことは大したことではない」

「えっと、携帯はっと…」

「待て、警察を呼ぼうとするな」

「なにもんだよ?」

93 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:20:22.65 UwG8BFI9P 45/213

「わしは神じゃ」

「…モンスターエン○ン?」

「違う、本物じゃ、モノホンじゃ」

「…で、神様が俺に何のようだよ?」

「実はな、この前の神様会議で」

「ああ」

「お前を女にすることになった」

「…は?」

95 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:26:57.94 UwG8BFI9P 46/213

「お前の今の環境を考えての決定じゃ」

「はぁ? だから、なんで俺なんだよ」

「お前は人生中、女(家族含めず)と話した回数は1割もない、5厘だ」

「そ、そんなに低いのかよ」

「面はいいくせに、残念なやつじゃのう」

「ほっとけ」

「まあ、決まった運命には逆らえん」

「ま、マジかよ…」

96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:32:13.64 UwG8BFI9P 47/213

「で、でもよ、いきなり俺が女になったらみんな驚くんじゃねえか?」

「そこらへんは安心せい。ワシがちょちょいとリセットしといてやる」

「え、リセット?」

「うむ。関係をほぼ一定にする。つまり、全員ギリギリ友達ラインじゃ」

「…それは困る」

「む?」

「男とは、親友でいたい」

「…」

「あいつがいねぇと、しっくりこねぇ」

「…わかった。そいつにはリセットをかけないでおこう」

「恩に切るぜ」

「それじゃあ、行くぞ…」

99 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:38:38.67 UwG8BFI9P 48/213



「おい、友」

「…ん…?」

「大丈夫か?」

「え…?」(体重っ!)

「ったく、やっぱり風邪引いてたんだなお前」

「…ここは、どこだよ?」

「俺の部屋。ったく、世話焼かせんなよ」

(さっきのは…夢か)

100 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:45:09.31 UwG8BFI9P 49/213

「こ、これ、お前のベッド?」

「ん? そうだけど?」

「…こんなに大きかったか?」

「お前の体が小さくなったんだろ」

「そ、そうか…」

「ほれ、体温計」

「おう、サンキュッ」

101 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 03:51:50.43 UwG8BFI9P 50/213

「…これ、どうやってはかるんだ?」

「口に咥えろ」

「これ、お前も使ってるんだろ?」

「ん? なんか問題あるか?」

「べ、別に…ねーけど」

「じゃあ使えよ」

「お、おう…」

102 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 04:03:53.42 UwG8BFI9P 51/213

(うう…意識しちまうなぁ…)

(それに、部屋、男のにおいする…)

「おかゆ作ろうか?」

「あ? ああ、いいよ、迷惑だろ?」

「別にそうはおもわねぇけど?」

「いらねーよ。腹へってねーし」グルルル

「…」

「はいはい、空いてました! 悪かったね!」

103 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 04:09:29.45 UwG8BFI9P 52/213

「素直に言えよ」

「るっせー! 黙れー!」

「へいへい、とりあえず待ってろ」

「おう」

「…」

(やっぱり、まだここにエロ本隠してんのか…?)

「…! あった」

104 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 04:15:31.77 UwG8BFI9P 53/213

「…お、おお…」

「こ、こんな過激だったのか…?」

「やべえ、見れねえ…」

「どうやら、もう男としての欲求がまったくないみたいだ…」

「おまたせ…あ、この野郎!」

「うわっ! お、男…」

「何エロ本読んでんだよ馬鹿!」

「こ、こんなの、よ、読むなよ!」

「無茶言うな!」

117 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:12:54.40 UwG8BFI9P 54/213

「こういうの見て楽しいのかよ!?」

「ちょっと前まで最高だって言ってたお前に言われたくないわ!」

「うっ…そ、そりゃあ前は男だったから…」

「エロ本捨てたら俺は何で慰めればいいんだよ」

「えっ…」

「お…俺?」

「ふざけんな!」

119 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:16:26.81 UwG8BFI9P 55/213

「女になったんだから、俺を有効活用してもいいんだぜ?」

「親友で慰めたくねぇよ!」

「俺じゃあダメか?」

「男のお前がチラついて堪ったもんじゃない!」

「じゃあチラつかなかったらできるのか?」

「…」

「そりゃあ、可愛いからな」

「か・わ・い・い・って・言・う・なー!」

121 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:19:50.99 UwG8BFI9P 56/213

「どうすればいいんだよっ!」

「可愛いって言われるのに、まだ耐性が無いんだよ!」

「扱いずれーな」

「ほっとけ」

「ちょっと、汗かいてきたか?」

「ん、そうだな」

「替えの服取ってくるよ」

「え、誰のだよ?」

「お前の」

「違う、その服は誰の服なんだ?」

「俺のに決まってるだろ?」

122 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:22:18.69 UwG8BFI9P 57/213

「…」

(今のあいつの服着たら、絶対ブカブカじゃねーか)


「…」

「お兄ちゃん」

「…んだよ」

「友さんと、復縁したんだね」

「るっせー」

「やっぱり好き合ってるのよ、お兄ちゃんと友さん」

「お前あとで卍固めな」

「や、やめて!」

123 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:23:54.42 UwG8BFI9P 58/213

「ほい、取って来たぜ」

「おう」

「…」

「…」

「…おい」

「ん?」

「着替えるから」

「別にかまわないだろ」

「着替えるから!!」

「はいはい、わかったわかった」

124 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:25:30.89 UwG8BFI9P 59/213

「す、好きな人の前で平気で着替えられるかよ…」

「やっぱりブカブカ…」

「あ、そうだ、友」ガチャ

「! キャー!」

「変な声出すなよ。へぶっ!」

「出てけー!」

「枕を投げるなっ!」

125 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 10:28:24.23 UwG8BFI9P 60/213

「な、なんだよ…」

「毛布にくるまったかよしよし」

「は、恥ずかしいから早くしろよ!」

「ん、パンツあるからな」

「…そのトランクスを穿けと?」

「おう」

「ふ ざ け ん な !」

158 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:03:08.40 UwG8BFI9P 61/213

「怒るなよ…」

「お前もう少し考えろバカ!」

「悪かった悪かった」

「…思ってねーだろ?」

「思ってるよ」

「…ん」

「?」

「早く、出てけよ」

「お、おう」

「それと、トランクスなんて穿かないからな!」

「じゃあ、妹のパンツでも持ってくる」

「お前が持ってくるのかよ?」

「わかった。妹を呼んでくる」

159 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:06:42.67 UwG8BFI9P 62/213

コンコン

「あ、あの~…」

「おう、入れ入れ」

「失礼しまーす」ガチャ

「はう! お兄ちゃんの服ですかそれ!?」

「お、おう」

「ブカブカじゃないですか! 私の着ますか?」

「いいのか?」

「きっとピッタリなはずですからっ」

160 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:11:33.10 UwG8BFI9P 63/213

(俺はあいつの妹と同じくらいの体格になったのか…)

「って、それはねーよ! どう考えたってピッチピチだろ!」

「で、でもブカブカだと何かと不便ですよ?」

「…そうかねぇ」

「それに、パンツも持ってきました」

「あ、ありがとう」

161 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:16:11.90 UwG8BFI9P 64/213

「それより友さーん」

「あん?」

「そろそろじゃないんですか?」

「何が?」

「お兄ちゃんとお付き合いですよぉ」

「! な、なな、何言ってんだよ!? そ、そんなこと…」

「顔真っ赤ですよ?」

「う、うるせー! あ、あいつと俺はただの親友であって…」

「でも、私はお兄ちゃんには友さんが似合うと思うんですよ」

「な、ななな…」

162 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:23:27.57 UwG8BFI9P 65/213

「じれったいなー」

「おい、妹、変なこと言ってたら後で頭突きだからな」

「は、はーい、ごめんなさーい」

「とりあえず、これがパンツと服です」

「お…おう」

「それと、ずっと毛布に包まってたら風邪引いちゃいますよ?」

「! 今から着替えるから大丈夫だっ!」

「それでは~」ガチャ

「まだ入っちゃダメか?」

「ダメに決まってるでしょ!」

163 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 16:30:52.42 UwG8BFI9P 66/213

「入るぞー」

「ま、まだ着てない!」

「了解」

「…よし、いいぜ」

ガチャ

「ん、着替えたのか」

「お、おう」

「やっぱり女には女物の服が似合うんだな」

「つか、お前の服が大きすぎるんだよ!」

「お前が女だからだろ」

「…何ジロジロ見てんだよ」

「いや、その服だと、お前の胸…」

「! エッチ、スケベ、バカっ! お前本当にバカ!」

195 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 19:34:49.76 UwG8BFI9P 67/213

「友、これは仕方ないことだろ?」

「えっ?」

「俺は男で、お前は女なんだ」

「…」

「お前を見て、俺が欲情してしまうってのも、ありえないことじゃねぇだろ?」

「…正直、そうであって欲しい」

「でもな」

「やっぱりまだチラつくんだよなぁ男のお前が」

196 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 19:39:09.87 UwG8BFI9P 68/213

「…」

「これだったら、俺もお前が最初から女だって思ってればなぁ」

「…!」

「こんな複雑な気持ちにならないのに」

「いやだ」

「え?」

「…それは、いやだ」

197 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 19:42:04.69 UwG8BFI9P 69/213

「…」

「それは、俺とお前が一緒にいた時間が、消えちまうってことだろ?」

「お前との楽しい時間が、全部消えちまうなんて…いやだ」

「友…」

「…」ポロポロ

「な、泣くなよ」

「…な、泣いてねーよ…」

「…」

199 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 19:52:55.66 UwG8BFI9P 70/213

「…はぁ」

「…! お、おい、男…」

「少しくらいなら、胸貸してやるよ」

「き、気持ち悪いことすんなよ…」

「…」

「……」

(満更でもないんじゃねぇか)

204 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:00:05.99 UwG8BFI9P 71/213

「…男ってよ」

「あん?」

「俺が女になったらこんなに優しくなるのかよ」

「さすがに男のお前に胸を貸すのは度胸がいるぜ?」

「ちげーよ、俺が悩んだとき、お前はいつも冗談言って、まともに答えてくれなかったじゃねーか」

「真面目に答えたら、お前とはやってけなかったからな」

「…そうかもな」

「そうだぜ」

206 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:05:09.30 UwG8BFI9P 72/213

「って、今の俺とは真面目に答えてもやってけるってことか!?」

「そんなことは言ってねーよ」

「いや、そうとしか聞こえない! あーやっぱりお前は変態だ! 変態変態!」

「お前、しまいにゃあ電気…」

「あん? しまいにゃあ何するんだ? ええ?」

「…うっぜー!」

「ちょっ、何す…ひゃあああ!?」

208 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:11:17.96 UwG8BFI9P 73/213

「ちょ…ちょっと待て…お前、な、何して…!」

「うるせー! お前がうるさいからだろうがぁ!」

「あ、ああぁぁぁ…」ガクガク

(つか、本当に下、無くなってるんだな…)

ガチャ

「お兄ちゃーん、お二人のとこ悪いんだけど…」

「!」

「あっ…えーっと…?」

「ご、ごゆっくりぃ~」

212 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:21:20.25 UwG8BFI9P 74/213

「ち、違うんだ妹!!!」

「お兄ちゃんがついに一線をー! むぐーっ!」

「大声で変なこと言うな!」

「はぁはぁ…バカぁ…」

「お前も変な声出すな!」


「…さっきのはお前が悪い」

「…す、すまん」

「痛かったし、洒落にならないくらい痛かったし」

「この通りだ。悪い」

「…責任取れよ」

「は?」

216 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:28:48.00 UwG8BFI9P 75/213

「…」

「いやいや、何を言ってるのかよくわからん」

「責任を取ってもらうんだ」

「なんの?」

「俺を、こんなにした、責任」

「こんなにしたって、何したんだ?」

「パンツがちょいと濡れてるんだよ」

「それはお前が漏らしたんじゃねぇのか?」

218 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:32:33.38 UwG8BFI9P 76/213

「…」

「悪いけど、俺はいやだぜ?」

「なんで」

「さっきみたいに妹来られてもイヤだし第一お前…」

「?」

「熱まだ残ってるだろ?」

「…男としたら、治るかも」

「治るかっ!」

221 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:44:10.90 UwG8BFI9P 77/213

「お前おかしいって」

「なんで?」

「順序ってもんがある」

「ちょっと換えただけだ」

「ないないない!」

「もう、デートは済ませたんだぞ?」

「アレをデートに入れるな!」

223 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 20:58:42.63 UwG8BFI9P 78/213

「…」

「はぁ…」

「なら実力行使!」

「俺に敵うと思ってんのか?」

「やってみなくちゃわかんねーだろ!」

「ふんっ!」

「あっ…い、痛いよぅ…」

「へ、変な声出すなよっ!!」

226 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 21:08:58.28 UwG8BFI9P 79/213

「うえぇ…自分で気持ち悪い声色使っちまった…」

「…そうだ」

「ん?」

「『お願いします、男様。どうか私を汚してください』って色気のある声で言ったらやってやらんこともない」

「はぁ!?」

「さすがにそんなにプライドを曲げてまでやりたくないだろ?」

「…お、お願いします…」

(ちょ…!)

230 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 21:13:37.88 UwG8BFI9P 80/213

「お、男様…」

「…」

「ど、どうか私を…」

(ま、マジか…)ドキドキ

「…私を…」

「…」

「だ、誰がお前なんかに汚されるか! バーカ!」

「…」ガクッ

「やっぱり変態じゃねえかバカ野郎!」

241 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 21:48:06.41 UwG8BFI9P 81/213

「いや、逆に途中まで言うとは思わなかったんだが…」

「え?」

「最初から『んなこと言えるわけねーだろ!』とか言うのかと…」

「…」

「…」

「し、仕方ないだろ…」

「心が、女になりかけてるんだから…」

244 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 21:54:50.71 UwG8BFI9P 82/213

「それでもさっきの発言はただの奴隷とかの宣言」ボコッ

「いてえ!」

「るっさい! とにかく黙れよっ」

「熱出してるのに元気良いなお前」

「…」

(お前がいるからだろうが、バカ)

246 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:00:58.26 UwG8BFI9P 83/213

「熱も大分下がったのかもな。ほれ」

「…ん」

「あ?」

「体温計長い」

「それじゃあわかんねえじゃねえか」

「お前がはかってくれよ」

「どうやって?」

「額に手でも当ててさ」

247 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:07:28.21 UwG8BFI9P 84/213

「…」(こいつ、ただのわがままなんじゃないか?)

(妹のはかるときはよく額合わせてたけど…)

「我慢しろ、はかれ」

「やだ!」

「わがまま言うなよ」

「わがままじゃない、して欲しいんだ」

(わがままだろ)

251 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:12:35.05 UwG8BFI9P 85/213

「わかったよ…」

「…」

「どれどれ」ピタリ

(! ちょ…か、顔近い…!!)

パシンッ

「いてっ! 何しやがる!」

「こ、心の準備ができてねーんだよっ!」

254 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:15:14.38 UwG8BFI9P 86/213

「お前がやれって言ったんだろ!」

「額を合わせるとは思ってねーよ!」

「んだよ…ったく」

「…」ドキドキ

「…」ドキドキ

「なあ、男」

「ん?」

255 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:18:38.33 UwG8BFI9P 87/213

「俺の胸がおかしい」

「はあ?」

「なんかドキドキしてる」

「…俺の胸はオキドキ!してるけどな」

「真面目に聞いてくれよ」

「だからどうした?」

「触ってみないか?」

「」

(こいつ…ちょっと前までの発言と大違いだな…)

262 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:29:53.86 UwG8BFI9P 88/213

「イヤだ」

「触ってよ」

「イヤだって言ってるだろ?」

「ご、ごめん…」

(…しかし…なんだろうな)

「…?」

(俺もそろそろやばいな…)

「どうした?」

(こいつのこと、可愛く見えてきた…)

269 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:38:08.31 UwG8BFI9P 89/213

「…」

「男?」

「あ、ん? な、なんだ?」

(ははーん…)

「ちょ、ちょっと、いきなりどうした…!?」

「体が重いんだ…」

「よりかかるな!」

「苦しい…苦しいぃ…」

272 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 22:51:40.70 UwG8BFI9P 90/213

(こいつ…遊んでやがるな…?)

「うぅ~」ニヤニヤ

「っ」

「ひゃっ」

「…お前、本当にいいかげんにしないと…」

「ど、どうするんだよ?」

「本当に、俺の理性が保てなくなる」

274 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:05:09.10 UwG8BFI9P 91/213

「え…え?」

「…今の俺は、すぐにでもお前を襲っちまいそうだ」

「…きもちわりい」

「まあそうだろうな」

「…でも、悪くない」

「俺がイヤだよ!」

281 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:20:04.22 UwG8BFI9P 92/213

「…押し倒しといてなんだよそれ」

「…お前がいつ男に戻るかもわかんねえし」

「…」

「肉体関係には、なりたくねぇんだよ」

「…」

「…わりぃ、ちょっとした気の迷いだ」

(…どうしよう、胸の鼓動が…)ドクンドクン

284 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:31:09.31 UwG8BFI9P 93/213

「…? 胸が苦しいのか?」

「あ、いや、大丈夫だ」

「胸押さえてるじゃねぇか」

「だ、大丈夫だ!」

「…というか、もうそろそろお前帰らないとな」

「えっ」

「…って、言ってももう11時か…」

(ま、まさか…)

「泊まっていくか?」

287 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:36:27.45 UwG8BFI9P 94/213

「そ、そうだな…熱もあるしな」

「明日は日曜だし、本当によかったぜ」

「うん」

「じゃあ、移動するぞ」

「え?」

「お前は妹の部屋で寝るんだよ」

288 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:40:40.14 UwG8BFI9P 95/213

「だるい!」

「無茶言うな」

「めんどくさい!」

「めんどくさがるな!」

「じゃあおんぶしろ!」

「わかったよ」

「するのかよ!?」

「するよ」

「い、いや、やっぱりやだ」

「なんなんだよ…」

290 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:47:01.18 UwG8BFI9P 96/213

(なんとしても、男の部屋にいたい!)

「はぁ…めんどくさいぞ、お前」

「うるせー! とにかく動きたくねーんだ」

「わかったよ…」

「え?」

ガチャ

「ちょっと布団取ってくる」

「え?」

「お前はベッドで寝ていいからな」

「あ…うん」

291 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:50:44.36 UwG8BFI9P 97/213

(よっしゃー!!)


「よいしょっと」

「え!? 友さんお兄ちゃんの部屋で寝るの?」

「わりいか?」

「わりくないけど、そっか~むふふふ…」

「今度お前ベルトでひっぱたくなからな」

「それ半端なく痛いよ!?」

294 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/04 23:59:51.20 UwG8BFI9P 98/213

「…よっし」

「…」ドキドキ

「なに顔赤くしてんだよ」

「し、してねえよ!」

「悪いけどな、変なことは考えるなよ」

「か、考えてねぇよバカっ」

296 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:03:34.46 9QnIYJRAP 99/213

「ふわぁ…じゃあ、おやすみ」

「お、おう…おやすみ」

「…」

「…」

(…ダメだ、寝れないっ)

297 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:13:47.24 9QnIYJRAP 100/213

「おい」

「のわっ!?」

「そんなにビビるでない」

「なんだよ…あんたか」

「どうじゃ?」

「何がだよ」

「女になって」

「…まあ、悪くは無いかな」

300 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:25:10.32 9QnIYJRAP 101/213

「ふむ…こやつか」

「?」

「こいつのどこがいいんじゃ?」

「な、何言って…!」

「今のお前は美しい。こんな男以外にも、たくさんいい男はおるぞ?」

「…」

304 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:30:23.66 9QnIYJRAP 102/213

「神様よぉ、お前はわかってねぇな」

「ほう?」

「俺にはこいつしかいないし、こいつには俺しかいねぇよ」

「ずいぶんと強気じゃな」

「おうよ」

「なら、ひとつ褒美をやろう」

「え?」

「こいつの中にあるお前の男の時のイメージを消してやろう」

「もちろん、思い出はのこしてやる」

「…いや、いいよ」

308 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:41:44.02 9QnIYJRAP 103/213

「俺は俺の力でこいつを振り向かせる」

「昔のイメージなんて無くなるくらいに」

「ふむ…そうか」

「わかった、それではワシはこれぐらいで退散…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ」

「む?」

「俺は、男に戻れるのか?」

「戻りたいのか?」

「え…いや…」

「正直、戻れん」

「えっ」

「お前がどうしてもと言うのなら、戻せるが、どうする?」

310 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:48:33.03 9QnIYJRAP 104/213

「…いい」

「いいのか?」

「おう、俺は、あいつのことが好きだし」

「そうか」

「というか、今俺が戻ったところで、俺はオンリーロンリーなんだろ?」

「うむ。こやつは結婚するがな」

「ま、マジかよ…」

「しかし、お前が女になることで、運命はまだ変えられるみたいじゃよ」

「そうか…なら、このままでいい」

「了解じゃ」

311 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:53:29.58 9QnIYJRAP 105/213

「じゃあの」

「おう」


「…」

「…」

「ふふ…男ぉ~」

「…」

「すっげえアホ面して寝てやがる…」

「…そっと布団に入ってっと…」

「ふふふ…」

315 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 00:59:55.51 9QnIYJRAP 106/213

「なんで入ってきてんだお前」

「にひゃ!?」

「変なこと考えるなと言ったから変なことをしたわけか」

「お、起きてるなら言えよ…」

「だけどな、友」

「な、なんだよ?」

「すっごい嬉しいんだけどな」

「…」

「風邪が移ると困るんだ」

317 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:04:03.95 9QnIYJRAP 107/213

「ふははははは!」

「なんだいきなり!?」

「移してやるー!」

「ふざけるなバカっ!」

「はははははー!」

「やめろって!」

「お前も明日俺と一緒に寝込めー」

「バカ言うなっ!」

318 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:08:08.36 9QnIYJRAP 108/213

ドンドコ ガタン

「うわぁ…すっごい音…」

「やっぱり友さんとお兄ちゃん…キャッ」

「付き合ってなくても突き合ってるのね」

「あれ? 上手くない?」

「お兄ちゃん言ったら次は何されるだろ…」

320 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:12:19.65 9QnIYJRAP 109/213

次の日

「…はっ」

「知らぬ間に寝てたのか…」

「む、体が軽い」

「体温計体温計…」

「…おお、平熱!」

「って…男がいねぇ」

322 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:16:41.38 9QnIYJRAP 110/213

「ごめんなさーい! もう変なこと言いませんからぁ!!!」

「妹ちゃんの声?」

「うるさい、お前の人生もこれで終わりだ!」

「な、何言ってんだ男…!?」

「さすがに言い過ぎました! ごめんなさいっ!」

「これからはお兄様と呼べ。それで敬意を示せ」

「わかりました! お兄様っ!」

(男…怖ぁ…)

323 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:20:15.24 9QnIYJRAP 111/213

「ん、おお、友。おはよう」

「お、おはよう」

「具合はどうだ?」

「おう、なんかいいみたい」

「おはよう、友さん!」

「おはよう」

「昨日はお盛んでし…嘘です、そのはえたたきをしまってお兄様」

325 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:27:18.72 9QnIYJRAP 112/213

「またなんか言ったら座薬をぶち込むからな」

「それは私のじゃなくてお父さんのだから!」

「おいおい、さすがにやりすぎじゃないのか?」

「仕方ないんだよ」

「え?」

「こいつは本物の変態だからな」

「ざ、座薬…かぁ」

(うわぁ…)

326 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:28:49.13 9QnIYJRAP 113/213

「じゃあ、もう大丈夫なんだな?」

「おう、どこでもいけるぜ」

「じゃあどっかブラブラするか」

「うん」

「とりあえずシャワー浴びてこいよ」

「わかった」

「妹、こいつに服を提供しろ」

「了解ですわっ」

327 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:31:45.67 9QnIYJRAP 114/213

「…」

「朝に浴びるシャワーは最高だー」

「…そういえば、親に何も言ってなかったな」

「とりあえず、後でメールしとくか」

328 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:33:50.17 9QnIYJRAP 115/213

「っと、思ったら来てた」

『男くんから連絡もらったわ。迷惑かけないようにね』

「ったく、一人息子…娘が男の家にいったってのにこれだけかよ」

(まあ、仲いいから仕方ねえよな)

「さて、着替え着替え…」

「…!!」

「ブラジャーが…ない!」

(やべっ、洗っちまった…?)

332 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 01:40:34.43 9QnIYJRAP 116/213

「おーいまだかー?」

「い、今行く!」

(しかも妹ちゃんの服ちっせえ!)

(ば、ばれませんように…)

「おう、今行くー」

To Be Continued...

426 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 18:54:42.70 9QnIYJRAP 117/213

「待たせたな」

「…」

(やば、ばれたか?)

「その服…」

「い、妹ちゃんのだちょっと小さいけど大丈夫だろ」

(そのミニスカートは流石にやばいと思うけどな…)

435 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 19:20:53.29 9QnIYJRAP 118/213

「んじゃあ、行くか」

「おう」


「…」

「…」

「友」

「な、なんだ?」

「買い物に付き合ってやるよ」

「別に買うもんねーけど」

「いいからいいから」(主に服を買え)

436 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 19:28:04.45 9QnIYJRAP 119/213

「なんか気持ち悪いからイヤだっ」

「まあ、お前が行きたくないなら、いいけどな」

「んなことより、いつもみたいにブラつこうぜっ」

「おう」

「…♪」

「…」

「どうしたよ?」

「いや、なんでもない」

「あん? なんで顔背けんだ?」

447 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 19:45:56.82 9QnIYJRAP 120/213

「あっ…」

「? どうした?」

(よく見たら、ノーブラですっげー短いスカート…)

「…」

「な、なんでもねえよ、き、気にすんなっ」

「お、おう」

「ほ、ほら、早く行こうぜっ」ポイン

「…っ」

449 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 19:54:33.67 9QnIYJRAP 121/213

(まずいぞ…)

(なんか突起物が見える…)

(んなわけねぇだろ! ブラつけてるんだぞ!?)

「あ、歩くの早い…!」

「す、すまん」

(っ…! やっぱり突起物が…!)

463 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:09:16.47 9QnIYJRAP 122/213

「おい、友!」

「な、なんだよ」

「ちょっと休ませてくれ…なんか俺、おかしい」

「だ、大丈夫か?」

「ちょっと休憩すれば大丈夫だと思う」

「そ、それならいいけど…」

468 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:14:05.89 9QnIYJRAP 123/213

「ベンチあるから、そこでちょっと休憩させてくれ」

「おう」

「…」

「ん、なんで離れるんだよ?」

「くっつくな」

「男同士じゃねえんだからいいだろそれに、どっかり使うもんじゃねえし」

「…わかったよ」

469 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:21:44.79 9QnIYJRAP 124/213

(うう…これじゃただの痴女じゃねぇか…)

「…」チラッ

「…」ドキドキ

「…」チラッ

「…おい、何見てやがる」

「み、見てない! 大きいとか思ってない!」

「な・に・が・お・お・き・い・ん・だ?」

472 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:27:09.51 9QnIYJRAP 125/213

「すまん…つい、見てしまった」

「最低だな、お前!」

「…さ、最低とか…言うなよ…」

「なんだ? その演技染みた言い方は」

「昨日のお前の真似」

「!!」

「涙目だったよな、あの時」

「このやろう!!」

473 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:31:28.27 9QnIYJRAP 126/213

「バカ!」

「な、殴るなよ!」

「うるさいうるさい! むかつくっ!」

「や、やめ…」(胸が…!)

「! お、お前また胸を…!」

「し、仕方ないだろ!」

「男のドスケベ!!」

474 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:33:49.28 9QnIYJRAP 127/213

「…ったく」

(にしても、危険だな…)

(あんなに大きいとは…)

(確かに、ノーブラだから、仕方ないけど…)

(流石に見過ぎだ)

(そんなとこ見ずに、俺自身を見てくれよ…)

476 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:45:04.68 9QnIYJRAP 128/213

「友」

「待て」

「なんだ?」

「話すときは俺の顔を見ろ」

「ぐがっ…無理やり顔を向けるな…!」

「うるさい! そうしないとお前は胸を見るだろ?」

「こんなに顔近かったら見えねぇよ」

「ならいいじゃねえか。ほら、何か言うつもりだったんだろ?」

477 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:47:39.86 9QnIYJRAP 129/213

「服を買いに行こう」

「なんで?」

「その服じゃ不便だ」

「この服が悪いのか?」

「うむ」

「なんだよ~まさか、俺の体に釘付けなのか?」

「うるさい」

「図星かよ?」

「うるさいっ」

480 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 20:56:20.66 9QnIYJRAP 130/213

「やっぱりお前もオトコだなー」

「…」

「安心しろ、俺の体はお前のもんだから」

「な、何言ってんだお前」

「…本気だぜ?」

「…」

「お、顔赤くなってるぞーどうした?」

485 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 21:06:12.99 9QnIYJRAP 131/213

「と、とにかく、お前服買いに行くぞ!」

「ほいほい」

「…」

「あんまり早く歩くなよっ」

「るっせぇ」

「歩くの疲れるんだよ」

「さっきまで座ってただろ」

「胸が重いんだよ…」

494 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 21:58:47.64 zkLGFEtbP 132/213

「っ…」

「肩いてー…」

「持ってやろうか?」

「変態」

「冗談だバカ」

「冗談に聞こえねーよバカ」

504 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/05 23:56:06.79 zkLGFEtbP 133/213

「お前な…」

「あん?」

「胸が小さいやつに怒られるぞ」

「しかたねえだろ。でかいんだから」

「…」

「あっ、また見てやがったな!!」

510 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 00:28:20.05 DQt7pESaP 134/213

「でかいやつの宿命だ」

「むかつく…!」

「ほら、行くぞ」

「ふんっ」

「おっ、なんかやってるみたいだぞ」

「あん?」

「どうやら、今日は出し物やってるみたいだな」

「へえ、どんなの?」

「お化け屋敷だな」

「」

511 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 00:36:38.68 DQt7pESaP 135/213

「おい、友?」

「」

「立ったまま気絶!?」

「な、ななななんあなんだああああ!?」

「落ち着け」

「も、もちついていられる状況か!!」

「もちはつかねぇよ。古いネタ使うな」

512 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 00:43:05.70 DQt7pESaP 136/213

「入ろうぜ」ワクワク

「む、無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」

「じゃあ一人で行く」

「お、俺を一人にするつもりか!?」

「あたりめーだろ」

「じゃ、じゃあいく」

「なんでだよ?」

「一人だと…こ、怖いから」

517 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 00:47:33.05 DQt7pESaP 137/213

「まだ明るいぞ?」

「も、もしかしたら、お前が食べられちゃうかもしれないだろ!?」

「それはマジで言ってるのか?」

「」コクコク

(…)

「わかった。でも、お化け役の人を殴ったりしたらダメだぞ?」

「お化けは触れねーし!」

「…そうだな」

521 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 00:54:29.24 DQt7pESaP 138/213

「大人二枚」

店員「はいよっ…。!!」

(この店員、友の胸を…!)

「」ガクガクブルブル

(こいつはこいつで上の空か…)

「ちゃ、ちゃっちゃと入ろうぜっ」

「おう」

523 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:04:09.10 DQt7pESaP 139/213

「…」

「ま、待てよ!」

「あん?」

「俺から離れるな」ギュッ

(くおおお!)

「行くぞ…」ガクガク

526 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:10:44.38 DQt7pESaP 140/213

(女の胸というのは、こんなに柔らかいものなのか!?)

「お、おい…さ、さっさと進めよ…」

「お、おう…」

「…」ムニッムニッ

(ぬぐぁあぁぁ!!)

(あれ? 男も震えてる…?)

528 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:18:55.71 DQt7pESaP 141/213

「…」

(なんだよ、男も怖いんじゃんか)

「…」ギュッ

「!!」

「大丈夫、俺がいるから」

(お前がいるからーーーーーーーーー!!!)

529 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:24:03.33 DQt7pESaP 142/213

「離れろ」

「無理…こ、怖い」

「いいからっ!」

「っ…ご、ごめん」

「ほ、ほら行くぞ…!」

「ちょ、待っ…キャッ!!」

「ぬおっ!」

ドサッ

「いてて…わ、わりぃ…て、うわぁ!」

「…この柔らかい感触は…天国か?」

「んなわけあるか!」

534 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:33:07.95 DQt7pESaP 143/213

「ヒョオォォォォォ…」

「」

「タベチャウゾォ」

「お、おい、友、早くどけっ」

「」

「おいっ!」

(胸で視界が…!)

536 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:38:30.04 DQt7pESaP 144/213

「…友?」

「きゅぅ」

「!」

「おい、友!?」

「あ、あの…その子、大丈夫?」

「あ、だ、大丈夫です」

「そっか、ビックリしたよ…」

「はは…」

(友、俺はお化けの話をしたぞ)

543 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:47:34.05 DQt7pESaP 145/213

「よいしょっと…」

(くそ、胸の感触が背中に…)

「友…お前は本当に…世話が焼ける」

(…軽いな)

「そりゃそうか、女だもんな」

「…」

544 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 01:53:46.22 DQt7pESaP 146/213

「ヒョオオオ!」

「おおっ!」

「ギャォォォオオオ!!」

「うおっとっと…」

「ヒャナバタケー!」

「おおおうおう!」

547 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 02:01:21.77 DQt7pESaP 147/213

「ふぅ、なんとか出れたな」

店員「ありがとうございましたー」

「おい、友、起きろ」

「…おびゃけ、怖い…」

「もうお化けはいない。大丈夫だ」

「…? いない?」

「いない。安心しろ」

548 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 02:07:00.34 DQt7pESaP 148/213

「って、なんで俺をおぶってんだよ変態!」

「お前が気絶したからだろうがっ!」

「お、俺が?」

「さしずめお化けにビビッたんだろ?」

「び、ビビってねーしっ…」

「ヒョオオオオ…」

「ひゃひっ!」

「やっぱりな、はははははっ」

「…バカ…」

552 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 02:09:33.03 DQt7pESaP 149/213

「それじゃあ、そろそろ降りるか?」

「…いい」

「は?」

「歩くのだるいし」

「…それは困る」

「は?」

(周り見てみろよ…すっげえ不審な目で見られてるぞ…)

553 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 02:13:53.88 DQt7pESaP 150/213

「いいじゃねぇか胸当たってるんだし」

「俺が胸大好きオトコだと思うな」

「そうじゃねーの?」

「…嫌いと言ったら嘘になる」

「やっぱりなー」

「…むかつく」

554 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 02:19:26.89 DQt7pESaP 151/213

「ほーれムニムニー」

「やめろ! 動くな!」

「変態~」

「お前、女としての恥ずかしさは無いのかよ!?」

「男以外にはこんなことしねーって」

「…そ、そうか」

「何納得してんだよっ!」

635 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:23:50.91 DQt7pESaP 152/213

「降ろせっ変態」

「わーったよ」

「…」

「よし、大分落ち着いたし、服を買いに行こう」

「おう」

「お前財布忘れただろ?」

「…うん」

636 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:27:43.79 DQt7pESaP 153/213

「…はぁ」

「し、仕方ねぇだろ。財布もビチョビチョになっちまったんだから」

「まだあの財布使ってんのか?」

「? お前が誕生日にくれたやつか?」

「おう」

「使いやすくてずっと使わせてもらってるぜ」

「今のお前には似合わないな。よし、新しいの買ってやるよ」

「は!? いいよ、別に…」

638 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:33:30.00 DQt7pESaP 154/213

「あれは完全に男物だろ、お前には似合わん」

「で、でも…せっかくお前がくれたもんだし」

「いいからいいから」

「…わかった」


「おい、まだかよ」

「試着くらい文句言わずに待てよっ」

「わかったよ」

641 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:38:31.16 DQt7pESaP 155/213

「…」

シャー

「やっと終わっ…」

「ど、どうだ…?」

「…」

「あ、あんまりジロジロ見んな…バカ」

(…まずいな)

「…?」

(似合ってやがる)

644 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:44:55.90 DQt7pESaP 156/213

「大したことねぇな」

「むかつく!」

「ふんっ」

「…」シュン

「…」

「……似合ってるぞ」

「えっ…」

「ほら、次は財布だ」

「…うんっ」

648 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 20:54:01.44 DQt7pESaP 157/213

「…結構、種類あるんだな」

「そうだな」

「好きなやつ選んで良いからな」

「…男が選んでくれよ」

「え?」

「お前に選んでもらったやつがいい」

「いいのか?」

「前の誕生日のプレゼントだって、お前が選んで買ってくれただろ」

「まぁな」

「だから、さ」

649 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:01:30.53 DQt7pESaP 158/213

「わかった。そこまで言うなら」

「おう」

「それじゃあな…」

「…」

「これはどうだ?」

「か、可愛すぎないか?」

「そうか?」

「お、俺には可愛すぎると思うぜ」

「何言ってんだよ」

「?」

「友に合うと思って選んだんだぜ」

「可愛すぎるなんてことねぇよ」

652 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:05:52.67 DQt7pESaP 159/213

「…くせぇこと言うな」

「素直な意見だ」

「…じゃあ、それでいい」

「おう」

「…」ニヤニヤ

「なにニヤけてんだよ」

「に、ニヤけてねーよ」

654 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:16:27.53 DQt7pESaP 160/213

「ほらよ」

「おう、ありがとう」

「大事にしろよ?」

「当たり前だ」

(…俺に合う……か)

「ほら、いくぞ」

「おうっ、わかっ…にゃっ」ドサッ

「うおい、新品の服買ったのにこけるなよ」

「すまんすまん、早く行こうぜっ」

(あれ…何も無い所でこけちまった…?)

658 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:24:37.67 DQt7pESaP 161/213

「そろそろ昼飯時だな」

「そうだな」

「それじゃあ、どこかで食うかー」

「お前、金大丈夫か?」

「大丈夫だ。あとすこし残ってる」

「今度返すな」

「いいよ別に」

「で、でも…」

「ほら、行くぞ」

「…うんっ…のわっ」

「またこけた!」

661 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:29:24.71 DQt7pESaP 162/213

「前方不注意過ぎるぜ」

「黙れ黙れっ、いいからメニュー選べよ」

「じゃあこれとこれ」

「俺はこれ」

「金のことを気にしてたくせに…大層なもん選ぶな…」

「純粋に食いたかったんだ」

667 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:35:08.05 DQt7pESaP 163/213

「お、来た来た」

「上手そうだなぁ」

店員「ごゆっくり」

「いただきまーす」

「いただきまっす」

「…? おい、どうした」

「べ、別になんでもねえよ」

「おかしいだろ、スプーン持ててないじゃねえか」

「…力が入らん」

669 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:37:58.23 DQt7pESaP 164/213

「変な冗談はよせ」

「本当なんだ」

「…食べさせてやるよ」

「わりぃな」

「…ほれ」

「あーん」

(…くそ、可愛いとは思ってないぜ…思ってないからな!?)

674 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:50:43.69 DQt7pESaP 165/213

「美味そうに食うな、お前」

「そりゃな、ここのコレは美味いし、それに」

「それに?」

「お前が食わせてくれるし」

「…」

「ちょっ! ほっぺたにご飯ついただろ!」

「恥ずいこと言うからだろうが」

676 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 21:54:00.90 DQt7pESaP 166/213

「ふう、腹いっぱいだ」

「ああ、俺も」

「さて、出るか」

「そうだなぁ」

「外出といてくれ、会計済ますから」

「了解」

「? おい、友、そっちは出口じゃねぇぞ」

「あれ? そうだったっけか?」

(…なにか、おかしい)

685 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:00:43.02 DQt7pESaP 167/213

「おまたせ」

「おせー!」

「全然経ってねぇよ」

「嘘だよ…そんなに怒ることないじゃんか」

「…」

「? …どうした?」

「あっ、いや…なんでもない」

「なんか悩んでるじゃねえか」

「本当に大丈夫だから」

「なら、いいけどさ」

689 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:04:21.59 DQt7pESaP 168/213

「それにしても、今日は冷えるな…」

「…全然寒くないぞ? むしろ暑いくらいだぜ?」

「ありゃ…風邪がぶり返したかな?」

「…」ピトッ

「…い、いきなりなんだよ」

「熱なんて全然出てないぞ」

「そ、そっか」

「…」

692 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:11:28.36 DQt7pESaP 169/213

「な、なんだよその眼はぁ~」

「…」

「大してことないって、ぎゃふんっ」ドサッ

「…大丈夫か?」

「こけただけだ、心配される義理はねーよ」

「…俺はそっちにいないぞ」

「…あ…え…ちょ、ちょっと待て」

「ん? どうした?」

「男、どこにいるんだ?」

704 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:16:27.09 DQt7pESaP 170/213

「…は?」

「…? ちょっと目がかすんで…」

「俺はここにいる」ガシッ

「のわっ…いきなり手ぇ握るなよっ」

「友…どうしちまったんだ?」

「どうもしてねぇよ気にするな」

「気にする。お前、おかしいって」

「おかしくねぇって…ゴホッゴホッ」

722 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:27:45.65 DQt7pESaP 171/213

「咳き込んでんじゃねえか」

「いちいちうるせえよ!」

「…なんだよ、心配してやってるのに」

「余計なお世話だ」

「…そうかよ」

「…」

「…とりあえず、歩こうぜ」

「…」コク

724 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:35:36.42 DQt7pESaP 172/213

「…」

「…」

「とりあえず、ここのベンチに座るか」

「ここってどこだよ」

「…昨日の公園だ」

「…」

「ふう」

「…」

「…おい」

「なんだよ」

「いや…なんでもない」

727 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:40:35.25 DQt7pESaP 173/213

「…」ブルブル

「…寒いのか?」

「…だ、大丈夫だから」

「…ほれ」

「?」

「俺の上着だ被っとけ」

「…礼はいわねぇからな」

「言わなくて結構だ」

733 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:47:35.18 DQt7pESaP 174/213

「何か飲みもんでも買ってきてやるよ」

「…わりぃな」

「いいさ。あついのでいいか?」

「うん、じゃあ、コーヒーで」

「ブラック?」

「甘いの」

「了解」

735 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:51:59.48 DQt7pESaP 175/213

ピッ ガコン

「…」

(これ買ったら、すぐに帰ろう。なんだか、いやな予感がする)

「おまたせ…」

「! おい、友っ!」

「…ハァハァ」

「おい、大丈夫か!?」

738 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 22:55:38.91 DQt7pESaP 176/213

「…」

「やはり、ダメだったか…」



「おいっ! しっかりしろ!」

「今救急車呼んでやるからな!」



「…どうしたものかのぅ」

「このまま死ぬのも、運命か」

750 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 23:06:09.45 DQt7pESaP 177/213





「…ん」

「友!」

「…?」

「よかった、目、覚めたか」

「…ここは?」

「病院、よかった…本当によかった」

(ああ、そっか…俺、倒れたんだ)

752 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 23:13:32.86 DQt7pESaP 178/213

「ほら、これ」

「お前、担架で運ばれる時に、落としてたぞ」

「…なんだそれ?」

「ほら、俺が買った財布」

「…そんなもん、買ってもらってねーけど?」

「え?」

764 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 23:22:44.41 DQt7pESaP 179/213

「もしかして、渡すの恥ずかしいから、既に俺の物だっていう設定なのか~?」

「な、なにいって…」

「そんな可愛いの俺に似合わねぇよ」

「…」

「で、でもまぁ…くれるなら…もらうけどさ」

「友!」

「にゃっ…な、なんだよ?」

「…どうしちまったんだ…?」

804 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/06 23:58:26.29 DQt7pESaP 180/213

「…」

「ま、まさか、これ、お前の趣味なのか…?」

「違う!」

「む、ムキになるなよ…」

「友、昨日、何したか覚えてるか?」

「え? 昨日は…」

「…」

「悪い、よく覚えてないかなー…」

「映画、観に行ったよな?」

「え? 何観たっけ?」

810 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:08:21.14 tw1rjTTeP 181/213

「…」

「というか、本当に観に行ったのかぁ?」

「な、何言ってんだよ…?」

「え?」

「観に行ったじゃねえか!? なんで覚えてないんだよ!」

「お、男…痛い…って」

814 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:16:42.02 tw1rjTTeP 182/213

「!」

「」

「…友?」

「おい、友!!!」


「すこし、時間を止めさせてもらったよ」

「! だ、誰だ…?」

「…よう、男よ」

(な、なんで俺の名前を…)

822 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:23:42.69 tw1rjTTeP 183/213

「ふむ…」

「…?」

「むぅ、やはり記憶が破壊されておるのう」

「えっ…」

「このままでは、脳が破壊されかねんな」

「あ、あんたに何がわかるんだ!?」

「わかるとも」

「…!?」

「しかし、これは参ったな」

825 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:26:39.28 tw1rjTTeP 184/213

「体の半分が完全にやられておる」

「どうして!?」

「性別の変化、環境の変化、気持ちの変化…」

「わりと上手くいったほうだと思ったんじゃがな…」

「…」

「言い忘れていた。ワシは神じゃ」

「か、神…?」

「そう。にわかに信じがたいじゃろうけどな」

828 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:29:34.44 tw1rjTTeP 185/213

「こやつを女にした、張本人じゃ」

「…」

「性別の変化の副作用は、ないはずじゃ…」

「環境の変化…お前との関係はかわっとらんから、問題はないと思うが…」

「…」

「やはり…気持ちの変化か」

839 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:37:48.28 tw1rjTTeP 186/213

「気持ち?」

「…お前と一緒にいることでな」

「ど、どういうこと…ですか?」

「あやつは女になって、お前を異性として見るようになった」

「その変化は、ワシが思う以上のものじゃったよ」

「…」

「お前さんも相当困っていたじゃろう?」

「そのまま付き合えればよかったのじゃがな…」

(だからこそ、イメージを消してやろうと思ったんじゃがな…)

845 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:42:28.08 tw1rjTTeP 187/213

「…どうすればいいんですか?」

「…それは」

「…」

「ワシは残念ながら、答えることはできん」

「…」

「己の考える道を行くのじゃ、男よ」

「…わかりました」

「…ではな」

「…」


(ワシのできることはやった)

(後は男、お前次第じゃ)

847 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:45:54.67 tw1rjTTeP 188/213

「…すぅ…すぅ」

「…いつの間にか、寝てやがる」

「…むにゃ…」

「…ごめんな、友」

「…」

(本当に、サヨナラだ)

852 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:51:24.59 tw1rjTTeP 189/213


「あ…」

友母「あら、男くん」

「どうも」

友母「ごめんねぇ、男くん」

「いえ、俺も無理に連れまわしちゃって、悪かったです」

友母「うふふ、男くんならいいのよ」

「…あの…」

友母「なに?」

「さっき、喧嘩しちゃって、顔も見たくないって言われてですね」

友母「あらまぁ」

「あ、あいつが悪いんじゃないです。だから、見舞い、行けそうにないです」

友母「そう…わかったわ」

853 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 00:57:12.45 tw1rjTTeP 190/213

「あいつ疲れて寝ちゃってるみたいなんで、起こさないであげてください」

友母「うん」

「あ、あと、このことは内密に!」

友母「了解よっ」


(さすが友の母さん、ノリがいい)

856 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:03:24.67 tw1rjTTeP 191/213

「ふう…」

「…」

(あいつのために、俺は二度とあいつとは会えない)

「…」

「帰るか」

859 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:07:25.08 tw1rjTTeP 192/213

「ただいま」

「お兄様!」

「うお、なんだその呼び方気持ち悪い」

「言えと言ったのはそっちです! それより、友さんが入院したって本当!?」

「おう」

「なんでノコノコ帰ってきたのよ!?」

「…いいだろ、別にずっと一緒にいなきゃいけねーわけでもねぇし」

「それに、これから休みに入るんだ。いつでも行ける」

861 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:10:43.50 tw1rjTTeP 193/213







「ん…」

『病院来てくれー暇で死にそう』

「…」

『俺悪いことしちゃったか? したんなら謝る』

「…あいつ」

863 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:16:14.41 tw1rjTTeP 194/213

『なぁなぁ~頼むよ来てよ~』

『母さんが林檎買ってきた。母さんむくの下手だなぁ』

『メール無視すんなー!』

『お前だって俺しか友達いないんだろ!』

『ごめん、言い過ぎた』

『おとこきて』

『ごめんなさいもうゆるしてください』

「…? なんで全文ひらがななんだ?」

『おとこがこないとかなしいよきておねがい』

870 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:23:11.10 tw1rjTTeP 195/213

「…」

『きて』

「…」

「妹、出かけてくるわ」

「病院以外に行く所ないくせに出かけるって言うんだね」

「帰ったら絶対に掃除機口に突っ込むからな」

「怖いよ…」

876 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:29:07.23 tw1rjTTeP 196/213

ガチャ

「友!」

「…」

「友…」

(よかった、体も痩せてないし、顔色もいい)

「やっほー おと こ」

「おう」

「や っとき てくれた」

「すまんな、全然返事返さなくて」

「か なし かっ たぞ」

879 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:32:28.28 tw1rjTTeP 197/213

「……そうか…」

「…」

「……どうして…」

(俺のしたことは、失敗だったのか…?)

「お とこ ど うした」

(マシになるどころか、病状が悪化してんじゃねぇか…!)

886 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:42:52.56 tw1rjTTeP 198/213

「…」

「ごめんな…」

「…?」

「ごめん…ごめん…」

「…?」


「!」

「…お前はよく頑張った」

「…神様」

891 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:48:47.42 tw1rjTTeP 199/213

「…正直、ワシもこうなるとは想像もしとらんかった」

「…」

「お前が選んだ選択は、間違いだったのか、それは違う」

「お前が選んだ道なのじゃ、後悔はするな」

「でも…でも、友は…!」

「わかっておる」

「ひとつ、方法を見つけた」

「…本当ですか!?」

896 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:53:22.51 tw1rjTTeP 200/213

「しかし…リスクを伴う」

「そんなの、百も承知です」

「お前の命を、友に授ける」

「…」

「つまり、お前はあいつのために死ぬことになる」

「…そ、そんな…」

「あいつを助けられるなら、俺が死ぬのは構わない、でも…でも…!?」

「もう、あいつと会えないってことですか?」

「…」コク

901 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:56:35.42 tw1rjTTeP 201/213

「…そうですか」

「…」

「わかりました」

「…本当に、いいのか?」

「あいつを助けられるんなら、いいです」

「…そうか」

「あ、あと、一つお願いがあるんです」

「む、なんじゃ?」

「あいつの中にある、俺の記憶を、全部、消して欲しいんです」

「…わかった」

(これで助かるぞ、友)

903 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 01:58:50.89 tw1rjTTeP 202/213







「ぬおっ!」

「…ん?」

「俺、一体何してたんだ…?」

友母「と、友!!」

「母さん?」

905 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:00:34.95 tw1rjTTeP 203/213

友母「よかった…治ったのね…! まさに奇跡だわ…」

「え? 母さん、俺…」

友母「あんた病気だったでしょう! 忘れたの?」

(まったく記憶にござらん…)

友母「さっき男くん来てたでしょ?」

「…? 誰だよ」

917 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:06:21.51 tw1rjTTeP 204/213

友母「いやだよ、この子は」バシッ

「いって、何しやがる!」

友母「未来のお婿さんを忘れるなんてっ」

「…はぁ?」

(母さん、ついに頭おかしくなっちまったのか?)

友母「よーっし、治ったんだから、さっそく外に出かけましょう!」

「いや、意味がわからんっ」

925 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:08:10.98 tw1rjTTeP 205/213

「くそう…車椅子というもんはこんなにも怖いものなのか」

友母「どこ行こうかしらねぇ」

「決め手ねぇのかよ」

友母「じゃあ、完治のお知らせを男くんの家にしに行きましょう~」

「だから誰だよ!?」

936 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:11:19.00 tw1rjTTeP 206/213

「あー友さーん!」

「?」

「治ったんですかーよかったぁ」

「ど、どうも」

「さっき兄が行ったと思うんですけど…まさか、本当にでかけてったのかな? 最低っ」

「…」

942 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:14:24.43 tw1rjTTeP 207/213

「そうでしたっ」

「?」

「え~っと…ちょっと待っててください」タタッ

友母「妹ちゃんもいい子で、本当にあんた恵まれてるわねぇ」

「…」

「えっと、これで合ってるかな?」

友母「あら、可愛いお財布」

「この前兄が持って帰ってきたものです。友さんのですよね?」

「…?」

943 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:18:30.14 tw1rjTTeP 208/213

「はい、どうぞ」

「あ、ありが―――――」

[今のお前には似合わないな。よし、新しいの買ってやるよ]

〔お、俺には可愛すぎると思うぜ〕

[何言ってんだよ]

[友に合うと思って選んだんだぜ]

[可愛すぎるなんてことねぇよ]

[大事にしろよ?]

〔当たり前だ〕

「―――――!!!」

944 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:21:18.79 tw1rjTTeP 209/213

「こ、ここは…?」

「よう」

「…男?」

「なんだその顔は」

「お、男っ!」

「おいおい、いきなり抱きつくなよ」

「男…」

「…ごめんな」

「…え?」

「もう、お前とは会えねえんだ」

「な、なんで?」

「俺は、お前の親友でよかった」

「今まで、ありがとよ」

946 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:23:01.54 tw1rjTTeP 210/213

(俺を助けるために…?)

(嘘だ…嘘だぁ...)

「男ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「キャッ」

友母「いきなりなんだいっ!」

「…」ポロポロ

「友さん…?」

949 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:24:25.04 tw1rjTTeP 211/213

「俺のせいだ…」

「え…?」

(俺のせいで…男は…)


「んだよ、うるせえな」


「!!!」


「人の家の前で叫ぶなっつーの」


「え? …え?」

954 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:31:33.75 tw1rjTTeP 212/213

「…ただいま」

「あ、おかえりー」

「…」

「…なんだよ」

「男ぉぉぉぉおおおおおお!!!!」

「ぐはっ! ちょ、く、苦しいっ!」

「もう二度と離さないからなぁ!! バカ、バカ!!」

「し、死ぬ…!」

「もう…お兄ちゃん達ったら…」

友母「青春してるわねぇ…」

960 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2010/05/07 02:34:34.27 tw1rjTTeP 213/213

「…」

「これで、よかったのですね、前神様」

(前神様の選択…私は正しいと思います)

「新神様、会議の時間です」

新神「ああ、すぐに行く」

新神(人間に命を賭ける…いつか私もそのような神になります!)


「男ぉ~♪ 大好きだぁ~...」

「い、いいからとりあえず離せ…い、息ができない…!!」


Fin

【中編】に続く

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