男「ほほう」
友「あんまし見るなよ、うぜえ」
男「なんだよ、中身は男か」
友「当り前だろうが」
男「まあどうでもいいや」
友「それはそれで悲しいな」
男「別に態度とか変えなくていいだろ?」
友「まあな」
元スレ
友「女になったんだ」
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1272898405/
男「それにしても、誰もお前を変に思わないんだな」
友「そ、そうだな…」
男「むう、俺だけが何故驚いてるのだろうか…」
友「そんなこといちいち気にしてんじゃねーよ」
男「お前も女になったんだからすこしは女らしい口調になれよ」
友「ふざけんなっ俺の心は男だ」
男「無理強いはよくないな。それにお前が女口調とかきもちわりぃし」
友「本当にお前はうぜーな」
男「…それにしても」
友「ん?」
男「いい胸してるな」
友「! ふ、ふざけんなっ! 変なところ見てんじゃねぇ!」
男「男なんだからそんなところ気にすんなよ」
友「それでもしていいことと悪いことがあるぜ?」
男「どっちなんだよ…」
女「男はいつも友ちゃんといるよねー」
男「ん、女か。なあ、女」
女「なに?」
男「友って男だったよな?」
女「は?」
友「…」
女「何言ってるの? 友ちゃんは女の子だよ?」
男「え…?」
友「…」
下校中
男「俺がおかしいのかねぇ」
友「あん?」
男「俺以外お前のことずっと女だって思ってるんだぜ?」
友「あ、ああ、そうだな」
男「おかしいだろ…」
友「んなこと気にしなくていいだろうが」
男「そうだな」
男「そういえば、今度観に行きたい映画あるんだが」
友「おう」
男「一人で行くわ」
友「はぁ!?」
男「な、なんだよ」
友「俺も行く!」
男「なんでだよ」
友「いつも悲しく男二人で観に行ってたじゃねぇか」
男「男の時はな」
男「でも、今のお前は女だ」
友「ふっざけんな!」
男「怒るなよ」
友「何が何でも俺は行くからな! どうせ暇だし!」
男「ほかの女とでも遊べよ」
友「お前、俺が女と遊べると思ってんのか?」
男「え?」
友「心は男なんだ。女とはあそべねーよ」
男「…はぁ…しかたねーな」
男「ただいまー」
妹「お、おかえりー」
男「お、もう風呂沸いてるのか?」
妹「うん」
男「じゃあ早速入るかな…」
妹「ねえ、お兄ちゃん」
男「ん?」
妹「友さんと、早く付き合っちゃいなよ」
男「はぁ?」
妹「いっつも二人きりで、なんで付き合ってないの?」
男(男同士で付き合えるか! …でも今は女か)
男「いやだよ」
妹「えー!」
男(男女になるとこう思われちまうのか…)
男「とにかく、俺は友とは付き合わない」
妹「…まあ、こんなに仲良いのに告白して振られでもしたらね…」
男「妹、あとで電気あんまな」
妹「ごめんなさい!」
男「無理だ。俺はお前を許さん」
妹「アレ本気で痛いからやめて!」
男「風呂についてくるなよ」
映画館当日
男「…なんだその服装は」
友「…こんなのしかなかったんだよ」
男「はぁ…」
友「ば、バリバリの男物着てきたほうがやばいっつーの!」
男「それでもそれは可愛すぎじゃねえか?」
友「可愛いとか言うな!」
男「まあ、とりあえず行くか。早く観てえ」
友「おう」
男「…」
友「お、おい、男…!」
男「ん?」
友「ちょっと歩くの早くねえか?」
男「いつもと同じだ、どうした?」
友「はええよ!」
男「お前が俺に合わせろよ」
友「ふっざけんなっ! もっと遅く歩けよ!」
男「…つか、お前」
友「ん?」
男「そんなに小さかったか?」
友「るっせー! 女になったんだから仕方ねえだろ!」
男「本当にお前友なのかよ?」
友「お前の唯一の親友でもある俺にそんなことをよく言えるな…」
男「じゃあ、確かめるために聞く」
友「おう」
男「お前が女を見るとき、どこからみる?」
友「…お…お…っぱ…」
男「え? なんだ、聞こえない」
友「お、おっぱ……い」
男「ああん? もっと大きくちゃんとした声で!」
友「お、おおおお、女をそんな目で見てんじゃねー!」
男「ぐふぅ! 殴るなよっ!」
友「うるせー! 黙ってろ!」
男「やれやれ…やっと映画館だ」
友「ふんっ」
男「…つか、お前俺が何観にいくかもわからずに来ちまったな」
友「お前が一人で観にいくとか行くからだ」
男「でもさ、アレだぞ?」
友「ん? …え…マジで…?」
男「マジだ」
友「こ、怖いもんは無理だ…他の観ようぜ!」
男「やだよ、俺が観たいのアレだし」
友「ふざけんな!」
男「だからイヤだったんだ!」
友「こ、今度にしようぜ、な? な? マジで無理だって!」
男「じゃあここでさよならだ。俺は観にいく」
友「…男ぉ…」
男「ふんっ」
友「俺だって観にいく!」
男「はぁ? やめとけよ」
友「うるせー! 行くったら行く!」
男「…」
友「…」ガクガク
男「お、おい、友…?」
友「ひゃ!? お、驚かすなよ!」
男「悪いことは言わん、今すぐ3Dメガネを外せ」
友「や、やだ!」
男「飛び出してくるぞ? めっちゃ怖いぞ?」
友「だ、大丈夫だから! 心配すんなよっ…」ブルブル
男「…はぁ」
男「…」
友「ひゃあ!! にゃあ!!」
男「…うるせえ」
友「ぎゃぁああああ!!! 来るなぁ!」
男「落ち着け! 3Dだ!」
友「怖い怖いっ!」
男「くっつくな!!」
友「な、なんでこんなに怖いんだよ…聞いてねーよ…」
男「はいはい、いいから俺のほうにすがらないでくれ」
友「…ぎゃあ!」
男「うるせぇって!」
友「ちょ、離れるなよ!」
男「落ち着いて観れないだろ!」
友「怖いから、離れないでくれぇ…」
男「…はぁ……」
男「…」
友「男…なんでこんな怖いやつ見れるんだ?」
男「好きだからな」
友「…うわああ!」
男「…そろそろ本当に怒るぞ?」
友「な、なんでだよ…」
男「観れねえだろ?」
友「お、俺のことなんかほっといて観ればいいだろっ」
男(観れないから言ってるんだろうが!)
男(…くそ…)
友「…はわ…また来るのか…?」
男(胸が当たってやがる…!!)
男(そうだ、飲み物を飲んで落ち着こう…)
友「…ゴクゴク」
男(!! それは俺のコーラ!!)
男「ああ、もうない!」ズズ
男(この野郎…!)
男(よし、こうなったら悪戯してやる!)
男「…」グリ
友(…ん?)
友(なんか、胸に違和感が…?)
男(ふふ…)
友(男の野郎…微妙に腕を…)
男(飲み物と映画の恨み!)
友(…え、映画に集中できな…)
友「きゃあ!!」
男「ぬおっ!」
友「い、いきなり出てきた…!」
男「あ、ああ…そうだな…」
男(やべえ、ちょっと揉んじまった…)
友「…あ、終わった…」
男「なに!」
友「…や、やっと開放されるー!」
男「…」
友「お、男? 何処行くんだよ?」
男「うるさい、もう帰る」
友「お、おい!」
友「男!」
男「…」
友「男ってば!」
男「…」
友「…」ギュッ
男「…なんだよ?」
友「ふう、やっとこっちを向いたか」
男「そりゃあ手を握られたからな」
友「なんで帰るんだよ」
男「うるせー機嫌損ねた」
友「はぁ? 何がだよ?」
男「映画もろくに観れなかったし、最悪だった」
友「…最悪?」
男「ああ、最悪最低だ」
友「そ、そんなこと言うなよ…」
男「うるさい」
友「…じゃ、じゃあ今度また観にいこうぜ! 俺が奢るからさ」
男「お前とはもう行きたくない」
友「…そ、そんな…」
男「最悪だよ、本当に」
友「…さ、最悪とか…言うなよ…」
友「なんでそんなに怒ってんだよ!?」
男「…」
友「なあ、こっち向けよ!」
男「うるせえ、甲高い声で叫ぶな!」
友「っ…」
男「もう、いい」
友「え…?」
男「もう、お前とはつるまん」
友「…は?」
男「…」
友「待てよ!」
男「…」
友「…なんで、こうなるんだよ…?」
友(せっかく…あいつの記憶だけは残してもらったのに…?)
友(なんで、こんなことに…)
友「…雨?」
友「…」
家
男「…メールか」
男「友からか。ふんっ」
男「…」
友『いつもの公園で待ってる』
男「…誰が行くかよ」
妹「雨ひどくなってきたねー」
男「…」(こんな雨だし、もうあいつも帰ってるだろ)
男「…ん、もう9時か」
男「…」
友『そ、そんなこと言うなよ…』
友『…さ、最悪とか…言うなよ…』
男(なんで友が出て来るんだよ…畜生)
男「…」
妹「そういえばお兄ちゃん、友さんとのデートはどうだったのー?」
男「お前は懲りないやつだな」
妹「えー、だって早く付き合ってほしいんだもーん」
男「うるさい」
妹「どうだったの? どうだったのぉ!?」
男「…振られたよ」
妹「え?」
男「だから、振られた」
妹「う、うそ…?」
男「ほんとだ。もうあいつと俺は親友でもなんでもない」
妹「…そ、そうなんだ…ほ、ほうほう…」
男(これでこいつも絡んでこないだろ)
妹「でも、ホントにホント?」
男「なんども言わせるな」
妹「だってあんなに仲良いのに?」
男「うるせー」
妹「むぅ…」
男「…」
妹「そろそろ10時だねーお風呂入ってこよっと」
男「…雨、まだ止まないか」
男「…」
男「すまん、妹」
妹「なに?」
男「ちょっと散歩してくる」
妹「散歩? 外雨だよ?」
男「雨に打たれたい」
妹「え…変態?」
男「後で浣腸な」
妹「や、やめて!」
男「…」
男(なんで俺、公園に行こうとしてんだろ…)
男(あいつは、いるわけないのに)
男「こんな雨だぜ?」
男(それに、あそこには遊具もろくなのないから、雨宿りもできない)
男「いるわけ…ないよな」
男「!」
男「おいおい…」
男「…はぁ」
友「…クシュン」
男「なんでいるんだよ?」
友「…! 男…」
男「風邪引くぞ」
友「…やっぱり、来てくれたんだな」
男「…うるせー」
友「…クシュン」
男「あーあー、くしゃみ出てんじゃねーか」
友「何時間も待ったからな…当たり前だ」
男「待ってんじゃねーよ何時間も」
友「…俺さ」
男「ん?」
友「お前のこと、好きかもしれねえ」
男「」
男「気持ち悪いこと言うなよ」
友「い、いや、これは本当だ」
男「や、やめろよ…」
友「…なんで、だよ…」
男「さすがにお前を女としては見れん」
友「女なのに?」
男「中身は男だろうが」
男「まさか、昔からそうだったのか!?」
友「違う! 女になってからだ!」
男「あ、ああ…よかったよかった」
友「男の時は、ただの親友だとしか思ってなかった」
男「そうかそうか」
友「でも、今は違う、お前が好きだ!」
男「…はぁ」
友「ダメか…?」
男「お前と付き合う? やなこった」
友「…」
男「…でもな、友」
友「…?」
男「俺はお前のずっと親友だ」
男「これからも、楽しくやっていこうぜ?」
友「…男…」
友「ふん、しかたねえな」
友「しかし、男!」
男「あ?」
友「俺は絶対お前を振り向かせる!」
友「振り向かせて、絶対俺と付き合ってもらうからな!」
男「懲りないやつだな…お前も」
友「へへへ…」ドサッ
男「お、おい、友!?」
友「あ、れ…体が重い…?」
男「だ、大丈夫か!? 友っ」
END
友「さぁて、寝るかー」
友「…」
?「…おい」
友「…」
?「おい、お前じゃお前」
友「…あ?」
?「そう、お前じゃ」
友「なんだよ、じじい」
?「ほほう、ワシをじじい扱いか…いい度胸をしておる」
友(宙に浮いてる?)「どうやって家に入った?」
?「そんなことは大したことではない」
友「えっと、携帯はっと…」
?「待て、警察を呼ぼうとするな」
友「なにもんだよ?」
?「わしは神じゃ」
友「…モンスターエン○ン?」
神「違う、本物じゃ、モノホンじゃ」
友「…で、神様が俺に何のようだよ?」
神「実はな、この前の神様会議で」
友「ああ」
神「お前を女にすることになった」
友「…は?」
神「お前の今の環境を考えての決定じゃ」
友「はぁ? だから、なんで俺なんだよ」
神「お前は人生中、女(家族含めず)と話した回数は1割もない、5厘だ」
友「そ、そんなに低いのかよ」
神「面はいいくせに、残念なやつじゃのう」
友「ほっとけ」
神「まあ、決まった運命には逆らえん」
友「ま、マジかよ…」
友「で、でもよ、いきなり俺が女になったらみんな驚くんじゃねえか?」
神「そこらへんは安心せい。ワシがちょちょいとリセットしといてやる」
友「え、リセット?」
神「うむ。関係をほぼ一定にする。つまり、全員ギリギリ友達ラインじゃ」
友「…それは困る」
神「む?」
友「男とは、親友でいたい」
神「…」
友「あいつがいねぇと、しっくりこねぇ」
神「…わかった。そいつにはリセットをかけないでおこう」
友「恩に切るぜ」
神「それじゃあ、行くぞ…」
男「おい、友」
友「…ん…?」
男「大丈夫か?」
友「え…?」(体重っ!)
男「ったく、やっぱり風邪引いてたんだなお前」
友「…ここは、どこだよ?」
男「俺の部屋。ったく、世話焼かせんなよ」
友(さっきのは…夢か)
友「こ、これ、お前のベッド?」
男「ん? そうだけど?」
友「…こんなに大きかったか?」
男「お前の体が小さくなったんだろ」
友「そ、そうか…」
男「ほれ、体温計」
友「おう、サンキュッ」
友「…これ、どうやってはかるんだ?」
男「口に咥えろ」
友「これ、お前も使ってるんだろ?」
男「ん? なんか問題あるか?」
友「べ、別に…ねーけど」
男「じゃあ使えよ」
友「お、おう…」
友(うう…意識しちまうなぁ…)
友(それに、部屋、男のにおいする…)
男「おかゆ作ろうか?」
友「あ? ああ、いいよ、迷惑だろ?」
男「別にそうはおもわねぇけど?」
友「いらねーよ。腹へってねーし」グルルル
男「…」
友「はいはい、空いてました! 悪かったね!」
男「素直に言えよ」
友「るっせー! 黙れー!」
男「へいへい、とりあえず待ってろ」
友「おう」
友「…」
友(やっぱり、まだここにエロ本隠してんのか…?)
友「…! あった」
友「…お、おお…」
友「こ、こんな過激だったのか…?」
友「やべえ、見れねえ…」
友「どうやら、もう男としての欲求がまったくないみたいだ…」
男「おまたせ…あ、この野郎!」
友「うわっ! お、男…」
男「何エロ本読んでんだよ馬鹿!」
友「こ、こんなの、よ、読むなよ!」
男「無茶言うな!」
友「こういうの見て楽しいのかよ!?」
男「ちょっと前まで最高だって言ってたお前に言われたくないわ!」
友「うっ…そ、そりゃあ前は男だったから…」
男「エロ本捨てたら俺は何で慰めればいいんだよ」
友「えっ…」
友「お…俺?」
男「ふざけんな!」
友「女になったんだから、俺を有効活用してもいいんだぜ?」
男「親友で慰めたくねぇよ!」
友「俺じゃあダメか?」
男「男のお前がチラついて堪ったもんじゃない!」
友「じゃあチラつかなかったらできるのか?」
男「…」
男「そりゃあ、可愛いからな」
友「か・わ・い・い・って・言・う・なー!」
男「どうすればいいんだよっ!」
友「可愛いって言われるのに、まだ耐性が無いんだよ!」
男「扱いずれーな」
友「ほっとけ」
男「ちょっと、汗かいてきたか?」
友「ん、そうだな」
男「替えの服取ってくるよ」
友「え、誰のだよ?」
男「お前の」
友「違う、その服は誰の服なんだ?」
男「俺のに決まってるだろ?」
友「…」
友(今のあいつの服着たら、絶対ブカブカじゃねーか)
男「…」
妹「お兄ちゃん」
男「…んだよ」
妹「友さんと、復縁したんだね」
男「るっせー」
妹「やっぱり好き合ってるのよ、お兄ちゃんと友さん」
男「お前あとで卍固めな」
妹「や、やめて!」
男「ほい、取って来たぜ」
友「おう」
友「…」
男「…」
友「…おい」
男「ん?」
友「着替えるから」
男「別にかまわないだろ」
友「着替えるから!!」
男「はいはい、わかったわかった」
友「す、好きな人の前で平気で着替えられるかよ…」
友「やっぱりブカブカ…」
男「あ、そうだ、友」ガチャ
友「! キャー!」
男「変な声出すなよ。へぶっ!」
友「出てけー!」
男「枕を投げるなっ!」
友「な、なんだよ…」
男「毛布にくるまったかよしよし」
友「は、恥ずかしいから早くしろよ!」
男「ん、パンツあるからな」
友「…そのトランクスを穿けと?」
男「おう」
友「ふ ざ け ん な !」
男「怒るなよ…」
友「お前もう少し考えろバカ!」
男「悪かった悪かった」
友「…思ってねーだろ?」
男「思ってるよ」
友「…ん」
男「?」
友「早く、出てけよ」
男「お、おう」
友「それと、トランクスなんて穿かないからな!」
男「じゃあ、妹のパンツでも持ってくる」
友「お前が持ってくるのかよ?」
男「わかった。妹を呼んでくる」
コンコン
妹「あ、あの~…」
友「おう、入れ入れ」
妹「失礼しまーす」ガチャ
妹「はう! お兄ちゃんの服ですかそれ!?」
友「お、おう」
妹「ブカブカじゃないですか! 私の着ますか?」
友「いいのか?」
妹「きっとピッタリなはずですからっ」
友(俺はあいつの妹と同じくらいの体格になったのか…)
友「って、それはねーよ! どう考えたってピッチピチだろ!」
妹「で、でもブカブカだと何かと不便ですよ?」
友「…そうかねぇ」
妹「それに、パンツも持ってきました」
友「あ、ありがとう」
妹「それより友さーん」
友「あん?」
妹「そろそろじゃないんですか?」
友「何が?」
妹「お兄ちゃんとお付き合いですよぉ」
友「! な、なな、何言ってんだよ!? そ、そんなこと…」
妹「顔真っ赤ですよ?」
友「う、うるせー! あ、あいつと俺はただの親友であって…」
妹「でも、私はお兄ちゃんには友さんが似合うと思うんですよ」
友「な、ななな…」
妹「じれったいなー」
男「おい、妹、変なこと言ってたら後で頭突きだからな」
妹「は、はーい、ごめんなさーい」
妹「とりあえず、これがパンツと服です」
友「お…おう」
妹「それと、ずっと毛布に包まってたら風邪引いちゃいますよ?」
友「! 今から着替えるから大丈夫だっ!」
妹「それでは~」ガチャ
男「まだ入っちゃダメか?」
妹「ダメに決まってるでしょ!」
男「入るぞー」
友「ま、まだ着てない!」
男「了解」
友「…よし、いいぜ」
ガチャ
男「ん、着替えたのか」
友「お、おう」
男「やっぱり女には女物の服が似合うんだな」
友「つか、お前の服が大きすぎるんだよ!」
男「お前が女だからだろ」
友「…何ジロジロ見てんだよ」
男「いや、その服だと、お前の胸…」
友「! エッチ、スケベ、バカっ! お前本当にバカ!」
男「友、これは仕方ないことだろ?」
友「えっ?」
男「俺は男で、お前は女なんだ」
友「…」
男「お前を見て、俺が欲情してしまうってのも、ありえないことじゃねぇだろ?」
友「…正直、そうであって欲しい」
男「でもな」
男「やっぱりまだチラつくんだよなぁ男のお前が」
友「…」
男「これだったら、俺もお前が最初から女だって思ってればなぁ」
友「…!」
男「こんな複雑な気持ちにならないのに」
友「いやだ」
男「え?」
友「…それは、いやだ」
男「…」
友「それは、俺とお前が一緒にいた時間が、消えちまうってことだろ?」
友「お前との楽しい時間が、全部消えちまうなんて…いやだ」
男「友…」
友「…」ポロポロ
男「な、泣くなよ」
友「…な、泣いてねーよ…」
男「…」
男「…はぁ」
友「…! お、おい、男…」
男「少しくらいなら、胸貸してやるよ」
友「き、気持ち悪いことすんなよ…」
男「…」
友「……」
男(満更でもないんじゃねぇか)
友「…男ってよ」
男「あん?」
友「俺が女になったらこんなに優しくなるのかよ」
男「さすがに男のお前に胸を貸すのは度胸がいるぜ?」
友「ちげーよ、俺が悩んだとき、お前はいつも冗談言って、まともに答えてくれなかったじゃねーか」
男「真面目に答えたら、お前とはやってけなかったからな」
友「…そうかもな」
男「そうだぜ」
友「って、今の俺とは真面目に答えてもやってけるってことか!?」
男「そんなことは言ってねーよ」
友「いや、そうとしか聞こえない! あーやっぱりお前は変態だ! 変態変態!」
男「お前、しまいにゃあ電気…」
友「あん? しまいにゃあ何するんだ? ええ?」
男「…うっぜー!」
友「ちょっ、何す…ひゃあああ!?」
友「ちょ…ちょっと待て…お前、な、何して…!」
男「うるせー! お前がうるさいからだろうがぁ!」
友「あ、ああぁぁぁ…」ガクガク
男(つか、本当に下、無くなってるんだな…)
ガチャ
妹「お兄ちゃーん、お二人のとこ悪いんだけど…」
男「!」
妹「あっ…えーっと…?」
妹「ご、ごゆっくりぃ~」
男「ち、違うんだ妹!!!」
妹「お兄ちゃんがついに一線をー! むぐーっ!」
男「大声で変なこと言うな!」
友「はぁはぁ…バカぁ…」
男「お前も変な声出すな!」
友「…さっきのはお前が悪い」
男「…す、すまん」
友「痛かったし、洒落にならないくらい痛かったし」
男「この通りだ。悪い」
友「…責任取れよ」
男「は?」
友「…」
男「いやいや、何を言ってるのかよくわからん」
友「責任を取ってもらうんだ」
男「なんの?」
友「俺を、こんなにした、責任」
男「こんなにしたって、何したんだ?」
友「パンツがちょいと濡れてるんだよ」
男「それはお前が漏らしたんじゃねぇのか?」
友「…」
男「悪いけど、俺はいやだぜ?」
友「なんで」
男「さっきみたいに妹来られてもイヤだし第一お前…」
友「?」
男「熱まだ残ってるだろ?」
友「…男としたら、治るかも」
男「治るかっ!」
男「お前おかしいって」
友「なんで?」
男「順序ってもんがある」
友「ちょっと換えただけだ」
男「ないないない!」
友「もう、デートは済ませたんだぞ?」
男「アレをデートに入れるな!」
友「…」
男「はぁ…」
友「なら実力行使!」
男「俺に敵うと思ってんのか?」
友「やってみなくちゃわかんねーだろ!」
男「ふんっ!」
友「あっ…い、痛いよぅ…」
男「へ、変な声出すなよっ!!」
友「うえぇ…自分で気持ち悪い声色使っちまった…」
男「…そうだ」
友「ん?」
男「『お願いします、男様。どうか私を汚してください』って色気のある声で言ったらやってやらんこともない」
友「はぁ!?」
男「さすがにそんなにプライドを曲げてまでやりたくないだろ?」
友「…お、お願いします…」
男(ちょ…!)
友「お、男様…」
男「…」
友「ど、どうか私を…」
男(ま、マジか…)ドキドキ
友「…私を…」
男「…」
友「だ、誰がお前なんかに汚されるか! バーカ!」
男「…」ガクッ
友「やっぱり変態じゃねえかバカ野郎!」
男「いや、逆に途中まで言うとは思わなかったんだが…」
友「え?」
男「最初から『んなこと言えるわけねーだろ!』とか言うのかと…」
友「…」
男「…」
友「し、仕方ないだろ…」
友「心が、女になりかけてるんだから…」
男「それでもさっきの発言はただの奴隷とかの宣言」ボコッ
男「いてえ!」
友「るっさい! とにかく黙れよっ」
男「熱出してるのに元気良いなお前」
友「…」
友(お前がいるからだろうが、バカ)
男「熱も大分下がったのかもな。ほれ」
友「…ん」
男「あ?」
友「体温計長い」
男「それじゃあわかんねえじゃねえか」
友「お前がはかってくれよ」
男「どうやって?」
友「額に手でも当ててさ」
男「…」(こいつ、ただのわがままなんじゃないか?)
男(妹のはかるときはよく額合わせてたけど…)
男「我慢しろ、はかれ」
友「やだ!」
男「わがまま言うなよ」
友「わがままじゃない、して欲しいんだ」
男(わがままだろ)
男「わかったよ…」
友「…」
男「どれどれ」ピタリ
友(! ちょ…か、顔近い…!!)
パシンッ
男「いてっ! 何しやがる!」
友「こ、心の準備ができてねーんだよっ!」
男「お前がやれって言ったんだろ!」
友「額を合わせるとは思ってねーよ!」
男「んだよ…ったく」
友「…」ドキドキ
男「…」ドキドキ
友「なあ、男」
男「ん?」
友「俺の胸がおかしい」
男「はあ?」
友「なんかドキドキしてる」
男「…俺の胸はオキドキ!してるけどな」
友「真面目に聞いてくれよ」
男「だからどうした?」
友「触ってみないか?」
男「」
男(こいつ…ちょっと前までの発言と大違いだな…)
男「イヤだ」
友「触ってよ」
男「イヤだって言ってるだろ?」
友「ご、ごめん…」
男(…しかし…なんだろうな)
友「…?」
男(俺もそろそろやばいな…)
友「どうした?」
男(こいつのこと、可愛く見えてきた…)
男「…」
友「男?」
男「あ、ん? な、なんだ?」
友(ははーん…)
男「ちょ、ちょっと、いきなりどうした…!?」
友「体が重いんだ…」
男「よりかかるな!」
友「苦しい…苦しいぃ…」
男(こいつ…遊んでやがるな…?)
友「うぅ~」ニヤニヤ
男「っ」
友「ひゃっ」
男「…お前、本当にいいかげんにしないと…」
友「ど、どうするんだよ?」
男「本当に、俺の理性が保てなくなる」
友「え…え?」
男「…今の俺は、すぐにでもお前を襲っちまいそうだ」
友「…きもちわりい」
男「まあそうだろうな」
友「…でも、悪くない」
男「俺がイヤだよ!」
友「…押し倒しといてなんだよそれ」
男「…お前がいつ男に戻るかもわかんねえし」
友「…」
男「肉体関係には、なりたくねぇんだよ」
友「…」
男「…わりぃ、ちょっとした気の迷いだ」
友(…どうしよう、胸の鼓動が…)ドクンドクン
男「…? 胸が苦しいのか?」
友「あ、いや、大丈夫だ」
男「胸押さえてるじゃねぇか」
友「だ、大丈夫だ!」
男「…というか、もうそろそろお前帰らないとな」
友「えっ」
男「…って、言ってももう11時か…」
友(ま、まさか…)
男「泊まっていくか?」
友「そ、そうだな…熱もあるしな」
男「明日は日曜だし、本当によかったぜ」
友「うん」
男「じゃあ、移動するぞ」
友「え?」
男「お前は妹の部屋で寝るんだよ」
友「だるい!」
男「無茶言うな」
友「めんどくさい!」
男「めんどくさがるな!」
友「じゃあおんぶしろ!」
男「わかったよ」
友「するのかよ!?」
男「するよ」
友「い、いや、やっぱりやだ」
男「なんなんだよ…」
友(なんとしても、男の部屋にいたい!)
男「はぁ…めんどくさいぞ、お前」
友「うるせー! とにかく動きたくねーんだ」
男「わかったよ…」
友「え?」
ガチャ
男「ちょっと布団取ってくる」
友「え?」
男「お前はベッドで寝ていいからな」
友「あ…うん」
友(よっしゃー!!)
男「よいしょっと」
妹「え!? 友さんお兄ちゃんの部屋で寝るの?」
男「わりいか?」
妹「わりくないけど、そっか~むふふふ…」
男「今度お前ベルトでひっぱたくなからな」
妹「それ半端なく痛いよ!?」
男「…よっし」
友「…」ドキドキ
男「なに顔赤くしてんだよ」
友「し、してねえよ!」
男「悪いけどな、変なことは考えるなよ」
友「か、考えてねぇよバカっ」
男「ふわぁ…じゃあ、おやすみ」
友「お、おう…おやすみ」
男「…」
友「…」
友(…ダメだ、寝れないっ)
神「おい」
友「のわっ!?」
神「そんなにビビるでない」
友「なんだよ…あんたか」
神「どうじゃ?」
友「何がだよ」
神「女になって」
友「…まあ、悪くは無いかな」
神「ふむ…こやつか」
友「?」
神「こいつのどこがいいんじゃ?」
友「な、何言って…!」
神「今のお前は美しい。こんな男以外にも、たくさんいい男はおるぞ?」
友「…」
友「神様よぉ、お前はわかってねぇな」
神「ほう?」
友「俺にはこいつしかいないし、こいつには俺しかいねぇよ」
神「ずいぶんと強気じゃな」
友「おうよ」
神「なら、ひとつ褒美をやろう」
友「え?」
神「こいつの中にあるお前の男の時のイメージを消してやろう」
神「もちろん、思い出はのこしてやる」
友「…いや、いいよ」
友「俺は俺の力でこいつを振り向かせる」
友「昔のイメージなんて無くなるくらいに」
神「ふむ…そうか」
神「わかった、それではワシはこれぐらいで退散…」
友「ちょ、ちょっと待ってくれ」
神「む?」
友「俺は、男に戻れるのか?」
神「戻りたいのか?」
友「え…いや…」
神「正直、戻れん」
友「えっ」
神「お前がどうしてもと言うのなら、戻せるが、どうする?」
友「…いい」
神「いいのか?」
友「おう、俺は、あいつのことが好きだし」
神「そうか」
友「というか、今俺が戻ったところで、俺はオンリーロンリーなんだろ?」
神「うむ。こやつは結婚するがな」
友「ま、マジかよ…」
神「しかし、お前が女になることで、運命はまだ変えられるみたいじゃよ」
友「そうか…なら、このままでいい」
神「了解じゃ」
神「じゃあの」
友「おう」
友「…」
男「…」
友「ふふ…男ぉ~」
男「…」
友「すっげえアホ面して寝てやがる…」
友「…そっと布団に入ってっと…」
友「ふふふ…」
男「なんで入ってきてんだお前」
友「にひゃ!?」
男「変なこと考えるなと言ったから変なことをしたわけか」
友「お、起きてるなら言えよ…」
男「だけどな、友」
友「な、なんだよ?」
男「すっごい嬉しいんだけどな」
友「…」
男「風邪が移ると困るんだ」
友「ふははははは!」
男「なんだいきなり!?」
友「移してやるー!」
男「ふざけるなバカっ!」
友「はははははー!」
男「やめろって!」
友「お前も明日俺と一緒に寝込めー」
男「バカ言うなっ!」
ドンドコ ガタン
妹「うわぁ…すっごい音…」
妹「やっぱり友さんとお兄ちゃん…キャッ」
妹「付き合ってなくても突き合ってるのね」
妹「あれ? 上手くない?」
妹「お兄ちゃん言ったら次は何されるだろ…」
次の日
友「…はっ」
友「知らぬ間に寝てたのか…」
友「む、体が軽い」
友「体温計体温計…」
友「…おお、平熱!」
友「って…男がいねぇ」
妹「ごめんなさーい! もう変なこと言いませんからぁ!!!」
友「妹ちゃんの声?」
男「うるさい、お前の人生もこれで終わりだ!」
友「な、何言ってんだ男…!?」
妹「さすがに言い過ぎました! ごめんなさいっ!」
男「これからはお兄様と呼べ。それで敬意を示せ」
妹「わかりました! お兄様っ!」
友(男…怖ぁ…)
男「ん、おお、友。おはよう」
友「お、おはよう」
男「具合はどうだ?」
友「おう、なんかいいみたい」
妹「おはよう、友さん!」
友「おはよう」
妹「昨日はお盛んでし…嘘です、そのはえたたきをしまってお兄様」
男「またなんか言ったら座薬をぶち込むからな」
妹「それは私のじゃなくてお父さんのだから!」
友「おいおい、さすがにやりすぎじゃないのか?」
男「仕方ないんだよ」
友「え?」
男「こいつは本物の変態だからな」
妹「ざ、座薬…かぁ」
友(うわぁ…)
男「じゃあ、もう大丈夫なんだな?」
友「おう、どこでもいけるぜ」
男「じゃあどっかブラブラするか」
友「うん」
男「とりあえずシャワー浴びてこいよ」
友「わかった」
男「妹、こいつに服を提供しろ」
妹「了解ですわっ」
友「…」
友「朝に浴びるシャワーは最高だー」
友「…そういえば、親に何も言ってなかったな」
友「とりあえず、後でメールしとくか」
友「っと、思ったら来てた」
母『男くんから連絡もらったわ。迷惑かけないようにね』
友「ったく、一人息子…娘が男の家にいったってのにこれだけかよ」
友(まあ、仲いいから仕方ねえよな)
友「さて、着替え着替え…」
友「…!!」
友「ブラジャーが…ない!」
友(やべっ、洗っちまった…?)
男「おーいまだかー?」
友「い、今行く!」
友(しかも妹ちゃんの服ちっせえ!)
友(ば、ばれませんように…)
友「おう、今行くー」
To Be Continued...
友「待たせたな」
男「…」
友(やば、ばれたか?)
男「その服…」
友「い、妹ちゃんのだちょっと小さいけど大丈夫だろ」
男(そのミニスカートは流石にやばいと思うけどな…)
男「んじゃあ、行くか」
友「おう」
男「…」
友「…」
男「友」
友「な、なんだ?」
男「買い物に付き合ってやるよ」
友「別に買うもんねーけど」
男「いいからいいから」(主に服を買え)
友「なんか気持ち悪いからイヤだっ」
男「まあ、お前が行きたくないなら、いいけどな」
友「んなことより、いつもみたいにブラつこうぜっ」
男「おう」
友「…♪」
男「…」
友「どうしたよ?」
男「いや、なんでもない」
友「あん? なんで顔背けんだ?」
友「あっ…」
男「? どうした?」
友(よく見たら、ノーブラですっげー短いスカート…)
男「…」
友「な、なんでもねえよ、き、気にすんなっ」
男「お、おう」
友「ほ、ほら、早く行こうぜっ」ポイン
男「…っ」
男(まずいぞ…)
男(なんか突起物が見える…)
男(んなわけねぇだろ! ブラつけてるんだぞ!?)
友「あ、歩くの早い…!」
男「す、すまん」
男(っ…! やっぱり突起物が…!)
男「おい、友!」
友「な、なんだよ」
男「ちょっと休ませてくれ…なんか俺、おかしい」
友「だ、大丈夫か?」
男「ちょっと休憩すれば大丈夫だと思う」
友「そ、それならいいけど…」
男「ベンチあるから、そこでちょっと休憩させてくれ」
友「おう」
男「…」
友「ん、なんで離れるんだよ?」
男「くっつくな」
友「男同士じゃねえんだからいいだろそれに、どっかり使うもんじゃねえし」
男「…わかったよ」
友(うう…これじゃただの痴女じゃねぇか…)
男「…」チラッ
友「…」ドキドキ
男「…」チラッ
友「…おい、何見てやがる」
男「み、見てない! 大きいとか思ってない!」
友「な・に・が・お・お・き・い・ん・だ?」
男「すまん…つい、見てしまった」
友「最低だな、お前!」
男「…さ、最低とか…言うなよ…」
友「なんだ? その演技染みた言い方は」
男「昨日のお前の真似」
友「!!」
男「涙目だったよな、あの時」
友「このやろう!!」
友「バカ!」
男「な、殴るなよ!」
友「うるさいうるさい! むかつくっ!」
男「や、やめ…」(胸が…!)
友「! お、お前また胸を…!」
男「し、仕方ないだろ!」
友「男のドスケベ!!」
友「…ったく」
男(にしても、危険だな…)
男(あんなに大きいとは…)
友(確かに、ノーブラだから、仕方ないけど…)
友(流石に見過ぎだ)
友(そんなとこ見ずに、俺自身を見てくれよ…)
男「友」
友「待て」
男「なんだ?」
友「話すときは俺の顔を見ろ」
男「ぐがっ…無理やり顔を向けるな…!」
友「うるさい! そうしないとお前は胸を見るだろ?」
男「こんなに顔近かったら見えねぇよ」
友「ならいいじゃねえか。ほら、何か言うつもりだったんだろ?」
男「服を買いに行こう」
友「なんで?」
男「その服じゃ不便だ」
友「この服が悪いのか?」
男「うむ」
友「なんだよ~まさか、俺の体に釘付けなのか?」
男「うるさい」
友「図星かよ?」
男「うるさいっ」
友「やっぱりお前もオトコだなー」
男「…」
友「安心しろ、俺の体はお前のもんだから」
男「な、何言ってんだお前」
友「…本気だぜ?」
男「…」
友「お、顔赤くなってるぞーどうした?」
男「と、とにかく、お前服買いに行くぞ!」
友「ほいほい」
男「…」
友「あんまり早く歩くなよっ」
男「るっせぇ」
友「歩くの疲れるんだよ」
男「さっきまで座ってただろ」
友「胸が重いんだよ…」
男「っ…」
友「肩いてー…」
男「持ってやろうか?」
友「変態」
男「冗談だバカ」
友「冗談に聞こえねーよバカ」
男「お前な…」
友「あん?」
男「胸が小さいやつに怒られるぞ」
友「しかたねえだろ。でかいんだから」
男「…」
友「あっ、また見てやがったな!!」
男「でかいやつの宿命だ」
友「むかつく…!」
男「ほら、行くぞ」
友「ふんっ」
男「おっ、なんかやってるみたいだぞ」
友「あん?」
男「どうやら、今日は出し物やってるみたいだな」
友「へえ、どんなの?」
男「お化け屋敷だな」
友「」
男「おい、友?」
友「」
男「立ったまま気絶!?」
友「な、ななななんあなんだああああ!?」
男「落ち着け」
友「も、もちついていられる状況か!!」
男「もちはつかねぇよ。古いネタ使うな」
男「入ろうぜ」ワクワク
友「む、無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!」
男「じゃあ一人で行く」
友「お、俺を一人にするつもりか!?」
男「あたりめーだろ」
友「じゃ、じゃあいく」
男「なんでだよ?」
友「一人だと…こ、怖いから」
男「まだ明るいぞ?」
友「も、もしかしたら、お前が食べられちゃうかもしれないだろ!?」
男「それはマジで言ってるのか?」
友「」コクコク
男(…)
男「わかった。でも、お化け役の人を殴ったりしたらダメだぞ?」
友「お化けは触れねーし!」
男「…そうだな」
男「大人二枚」
店員「はいよっ…。!!」
男(この店員、友の胸を…!)
友「」ガクガクブルブル
男(こいつはこいつで上の空か…)
友「ちゃ、ちゃっちゃと入ろうぜっ」
男「おう」
男「…」
友「ま、待てよ!」
男「あん?」
友「俺から離れるな」ギュッ
男(くおおお!)
友「行くぞ…」ガクガク
男(女の胸というのは、こんなに柔らかいものなのか!?)
友「お、おい…さ、さっさと進めよ…」
男「お、おう…」
友「…」ムニッムニッ
男(ぬぐぁあぁぁ!!)
友(あれ? 男も震えてる…?)
男「…」
友(なんだよ、男も怖いんじゃんか)
友「…」ギュッ
男「!!」
友「大丈夫、俺がいるから」
男(お前がいるからーーーーーーーーー!!!)
男「離れろ」
友「無理…こ、怖い」
男「いいからっ!」
友「っ…ご、ごめん」
男「ほ、ほら行くぞ…!」
友「ちょ、待っ…キャッ!!」
男「ぬおっ!」
ドサッ
友「いてて…わ、わりぃ…て、うわぁ!」
男「…この柔らかい感触は…天国か?」
友「んなわけあるか!」
「ヒョオォォォォォ…」
友「」
「タベチャウゾォ」
男「お、おい、友、早くどけっ」
友「」
男「おいっ!」
男(胸で視界が…!)
男「…友?」
友「きゅぅ」
男「!」
男「おい、友!?」
「あ、あの…その子、大丈夫?」
男「あ、だ、大丈夫です」
「そっか、ビックリしたよ…」
男「はは…」
男(友、俺はお化けの話をしたぞ)
男「よいしょっと…」
男(くそ、胸の感触が背中に…)
男「友…お前は本当に…世話が焼ける」
男(…軽いな)
男「そりゃそうか、女だもんな」
友「…」
「ヒョオオオ!」
男「おおっ!」
「ギャォォォオオオ!!」
男「うおっとっと…」
「ヒャナバタケー!」
男「おおおうおう!」
男「ふぅ、なんとか出れたな」
店員「ありがとうございましたー」
男「おい、友、起きろ」
友「…おびゃけ、怖い…」
男「もうお化けはいない。大丈夫だ」
友「…? いない?」
男「いない。安心しろ」
友「って、なんで俺をおぶってんだよ変態!」
男「お前が気絶したからだろうがっ!」
友「お、俺が?」
男「さしずめお化けにビビッたんだろ?」
友「び、ビビってねーしっ…」
男「ヒョオオオオ…」
友「ひゃひっ!」
男「やっぱりな、はははははっ」
友「…バカ…」
男「それじゃあ、そろそろ降りるか?」
友「…いい」
男「は?」
友「歩くのだるいし」
男「…それは困る」
友「は?」
男(周り見てみろよ…すっげえ不審な目で見られてるぞ…)
友「いいじゃねぇか胸当たってるんだし」
男「俺が胸大好きオトコだと思うな」
友「そうじゃねーの?」
男「…嫌いと言ったら嘘になる」
友「やっぱりなー」
男「…むかつく」
友「ほーれムニムニー」
男「やめろ! 動くな!」
友「変態~」
男「お前、女としての恥ずかしさは無いのかよ!?」
友「男以外にはこんなことしねーって」
男「…そ、そうか」
友「何納得してんだよっ!」
友「降ろせっ変態」
男「わーったよ」
友「…」
男「よし、大分落ち着いたし、服を買いに行こう」
友「おう」
男「お前財布忘れただろ?」
友「…うん」
男「…はぁ」
友「し、仕方ねぇだろ。財布もビチョビチョになっちまったんだから」
男「まだあの財布使ってんのか?」
友「? お前が誕生日にくれたやつか?」
男「おう」
友「使いやすくてずっと使わせてもらってるぜ」
男「今のお前には似合わないな。よし、新しいの買ってやるよ」
友「は!? いいよ、別に…」
男「あれは完全に男物だろ、お前には似合わん」
友「で、でも…せっかくお前がくれたもんだし」
男「いいからいいから」
友「…わかった」
男「おい、まだかよ」
友「試着くらい文句言わずに待てよっ」
男「わかったよ」
男「…」
シャー
男「やっと終わっ…」
友「ど、どうだ…?」
男「…」
友「あ、あんまりジロジロ見んな…バカ」
男(…まずいな)
友「…?」
男(似合ってやがる)
男「大したことねぇな」
友「むかつく!」
男「ふんっ」
友「…」シュン
男「…」
男「……似合ってるぞ」
友「えっ…」
男「ほら、次は財布だ」
友「…うんっ」
男「…結構、種類あるんだな」
友「そうだな」
男「好きなやつ選んで良いからな」
友「…男が選んでくれよ」
男「え?」
友「お前に選んでもらったやつがいい」
男「いいのか?」
友「前の誕生日のプレゼントだって、お前が選んで買ってくれただろ」
男「まぁな」
友「だから、さ」
男「わかった。そこまで言うなら」
友「おう」
男「それじゃあな…」
友「…」
男「これはどうだ?」
友「か、可愛すぎないか?」
男「そうか?」
友「お、俺には可愛すぎると思うぜ」
男「何言ってんだよ」
友「?」
男「友に合うと思って選んだんだぜ」
男「可愛すぎるなんてことねぇよ」
友「…くせぇこと言うな」
男「素直な意見だ」
友「…じゃあ、それでいい」
男「おう」
友「…」ニヤニヤ
男「なにニヤけてんだよ」
友「に、ニヤけてねーよ」
男「ほらよ」
友「おう、ありがとう」
男「大事にしろよ?」
友「当たり前だ」
友(…俺に合う……か)
男「ほら、いくぞ」
友「おうっ、わかっ…にゃっ」ドサッ
男「うおい、新品の服買ったのにこけるなよ」
友「すまんすまん、早く行こうぜっ」
友(あれ…何も無い所でこけちまった…?)
男「そろそろ昼飯時だな」
友「そうだな」
男「それじゃあ、どこかで食うかー」
友「お前、金大丈夫か?」
男「大丈夫だ。あとすこし残ってる」
友「今度返すな」
男「いいよ別に」
友「で、でも…」
男「ほら、行くぞ」
友「…うんっ…のわっ」
男「またこけた!」
男「前方不注意過ぎるぜ」
友「黙れ黙れっ、いいからメニュー選べよ」
男「じゃあこれとこれ」
友「俺はこれ」
男「金のことを気にしてたくせに…大層なもん選ぶな…」
友「純粋に食いたかったんだ」
男「お、来た来た」
友「上手そうだなぁ」
店員「ごゆっくり」
男「いただきまーす」
友「いただきまっす」
男「…? おい、どうした」
友「べ、別になんでもねえよ」
男「おかしいだろ、スプーン持ててないじゃねえか」
友「…力が入らん」
男「変な冗談はよせ」
友「本当なんだ」
男「…食べさせてやるよ」
友「わりぃな」
男「…ほれ」
友「あーん」
男(…くそ、可愛いとは思ってないぜ…思ってないからな!?)
男「美味そうに食うな、お前」
友「そりゃな、ここのコレは美味いし、それに」
男「それに?」
友「お前が食わせてくれるし」
男「…」
友「ちょっ! ほっぺたにご飯ついただろ!」
男「恥ずいこと言うからだろうが」
男「ふう、腹いっぱいだ」
友「ああ、俺も」
男「さて、出るか」
友「そうだなぁ」
男「外出といてくれ、会計済ますから」
友「了解」
男「? おい、友、そっちは出口じゃねぇぞ」
友「あれ? そうだったっけか?」
男(…なにか、おかしい)
男「おまたせ」
友「おせー!」
男「全然経ってねぇよ」
友「嘘だよ…そんなに怒ることないじゃんか」
男「…」
友「? …どうした?」
男「あっ、いや…なんでもない」
友「なんか悩んでるじゃねえか」
男「本当に大丈夫だから」
友「なら、いいけどさ」
友「それにしても、今日は冷えるな…」
男「…全然寒くないぞ? むしろ暑いくらいだぜ?」
友「ありゃ…風邪がぶり返したかな?」
男「…」ピトッ
友「…い、いきなりなんだよ」
男「熱なんて全然出てないぞ」
友「そ、そっか」
男「…」
友「な、なんだよその眼はぁ~」
男「…」
友「大してことないって、ぎゃふんっ」ドサッ
男「…大丈夫か?」
友「こけただけだ、心配される義理はねーよ」
男「…俺はそっちにいないぞ」
友「…あ…え…ちょ、ちょっと待て」
男「ん? どうした?」
友「男、どこにいるんだ?」
男「…は?」
友「…? ちょっと目がかすんで…」
男「俺はここにいる」ガシッ
友「のわっ…いきなり手ぇ握るなよっ」
男「友…どうしちまったんだ?」
友「どうもしてねぇよ気にするな」
男「気にする。お前、おかしいって」
友「おかしくねぇって…ゴホッゴホッ」
男「咳き込んでんじゃねえか」
友「いちいちうるせえよ!」
男「…なんだよ、心配してやってるのに」
友「余計なお世話だ」
男「…そうかよ」
友「…」
男「…とりあえず、歩こうぜ」
友「…」コク
男「…」
友「…」
男「とりあえず、ここのベンチに座るか」
友「ここってどこだよ」
男「…昨日の公園だ」
友「…」
男「ふう」
友「…」
男「…おい」
友「なんだよ」
男「いや…なんでもない」
友「…」ブルブル
男「…寒いのか?」
友「…だ、大丈夫だから」
男「…ほれ」
友「?」
男「俺の上着だ被っとけ」
友「…礼はいわねぇからな」
男「言わなくて結構だ」
男「何か飲みもんでも買ってきてやるよ」
友「…わりぃな」
男「いいさ。あついのでいいか?」
友「うん、じゃあ、コーヒーで」
男「ブラック?」
友「甘いの」
男「了解」
ピッ ガコン
男「…」
男(これ買ったら、すぐに帰ろう。なんだか、いやな予感がする)
男「おまたせ…」
男「! おい、友っ!」
友「…ハァハァ」
男「おい、大丈夫か!?」
神「…」
神「やはり、ダメだったか…」
男「おいっ! しっかりしろ!」
男「今救急車呼んでやるからな!」
神「…どうしたものかのぅ」
神「このまま死ぬのも、運命か」
友「…ん」
男「友!」
友「…?」
男「よかった、目、覚めたか」
友「…ここは?」
男「病院、よかった…本当によかった」
友(ああ、そっか…俺、倒れたんだ)
男「ほら、これ」
男「お前、担架で運ばれる時に、落としてたぞ」
友「…なんだそれ?」
男「ほら、俺が買った財布」
友「…そんなもん、買ってもらってねーけど?」
男「え?」
友「もしかして、渡すの恥ずかしいから、既に俺の物だっていう設定なのか~?」
男「な、なにいって…」
友「そんな可愛いの俺に似合わねぇよ」
男「…」
友「で、でもまぁ…くれるなら…もらうけどさ」
男「友!」
友「にゃっ…な、なんだよ?」
男「…どうしちまったんだ…?」
男「…」
友「ま、まさか、これ、お前の趣味なのか…?」
男「違う!」
友「む、ムキになるなよ…」
男「友、昨日、何したか覚えてるか?」
友「え? 昨日は…」
男「…」
友「悪い、よく覚えてないかなー…」
男「映画、観に行ったよな?」
友「え? 何観たっけ?」
男「…」
友「というか、本当に観に行ったのかぁ?」
男「な、何言ってんだよ…?」
友「え?」
男「観に行ったじゃねえか!? なんで覚えてないんだよ!」
友「お、男…痛い…って」
男「!」
友「」
男「…友?」
男「おい、友!!!」
神「すこし、時間を止めさせてもらったよ」
男「! だ、誰だ…?」
神「…よう、男よ」
男(な、なんで俺の名前を…)
神「ふむ…」
男「…?」
神「むぅ、やはり記憶が破壊されておるのう」
男「えっ…」
神「このままでは、脳が破壊されかねんな」
男「あ、あんたに何がわかるんだ!?」
神「わかるとも」
男「…!?」
神「しかし、これは参ったな」
神「体の半分が完全にやられておる」
男「どうして!?」
神「性別の変化、環境の変化、気持ちの変化…」
神「わりと上手くいったほうだと思ったんじゃがな…」
男「…」
神「言い忘れていた。ワシは神じゃ」
男「か、神…?」
神「そう。にわかに信じがたいじゃろうけどな」
神「こやつを女にした、張本人じゃ」
男「…」
神「性別の変化の副作用は、ないはずじゃ…」
神「環境の変化…お前との関係はかわっとらんから、問題はないと思うが…」
男「…」
神「やはり…気持ちの変化か」
男「気持ち?」
神「…お前と一緒にいることでな」
男「ど、どういうこと…ですか?」
神「あやつは女になって、お前を異性として見るようになった」
神「その変化は、ワシが思う以上のものじゃったよ」
男「…」
神「お前さんも相当困っていたじゃろう?」
神「そのまま付き合えればよかったのじゃがな…」
神(だからこそ、イメージを消してやろうと思ったんじゃがな…)
男「…どうすればいいんですか?」
神「…それは」
男「…」
神「ワシは残念ながら、答えることはできん」
男「…」
神「己の考える道を行くのじゃ、男よ」
男「…わかりました」
神「…ではな」
男「…」
神(ワシのできることはやった)
神(後は男、お前次第じゃ)
友「…すぅ…すぅ」
男「…いつの間にか、寝てやがる」
友「…むにゃ…」
男「…ごめんな、友」
友「…」
男(本当に、サヨナラだ)
男「あ…」
友母「あら、男くん」
男「どうも」
友母「ごめんねぇ、男くん」
男「いえ、俺も無理に連れまわしちゃって、悪かったです」
友母「うふふ、男くんならいいのよ」
男「…あの…」
友母「なに?」
男「さっき、喧嘩しちゃって、顔も見たくないって言われてですね」
友母「あらまぁ」
男「あ、あいつが悪いんじゃないです。だから、見舞い、行けそうにないです」
友母「そう…わかったわ」
男「あいつ疲れて寝ちゃってるみたいなんで、起こさないであげてください」
友母「うん」
男「あ、あと、このことは内密に!」
友母「了解よっ」
男(さすが友の母さん、ノリがいい)
男「ふう…」
男「…」
男(あいつのために、俺は二度とあいつとは会えない)
男「…」
男「帰るか」
男「ただいま」
妹「お兄様!」
男「うお、なんだその呼び方気持ち悪い」
妹「言えと言ったのはそっちです! それより、友さんが入院したって本当!?」
男「おう」
妹「なんでノコノコ帰ってきたのよ!?」
男「…いいだろ、別にずっと一緒にいなきゃいけねーわけでもねぇし」
男「それに、これから休みに入るんだ。いつでも行ける」
・
・
・
男「ん…」
友『病院来てくれー暇で死にそう』
男「…」
友『俺悪いことしちゃったか? したんなら謝る』
男「…あいつ」
友『なぁなぁ~頼むよ来てよ~』
友『母さんが林檎買ってきた。母さんむくの下手だなぁ』
友『メール無視すんなー!』
友『お前だって俺しか友達いないんだろ!』
友『ごめん、言い過ぎた』
友『おとこきて』
友『ごめんなさいもうゆるしてください』
男「…? なんで全文ひらがななんだ?」
友『おとこがこないとかなしいよきておねがい』
男「…」
友『きて』
男「…」
男「妹、出かけてくるわ」
妹「病院以外に行く所ないくせに出かけるって言うんだね」
男「帰ったら絶対に掃除機口に突っ込むからな」
妹「怖いよ…」
ガチャ
男「友!」
友「…」
男「友…」
男(よかった、体も痩せてないし、顔色もいい)
友「やっほー おと こ」
男「おう」
友「や っとき てくれた」
男「すまんな、全然返事返さなくて」
友「か なし かっ たぞ」
男「……そうか…」
友「…」
男「……どうして…」
男(俺のしたことは、失敗だったのか…?)
友「お とこ ど うした」
男(マシになるどころか、病状が悪化してんじゃねぇか…!)
友「…」
男「ごめんな…」
友「…?」
男「ごめん…ごめん…」
友「…?」
男「!」
神「…お前はよく頑張った」
男「…神様」
神「…正直、ワシもこうなるとは想像もしとらんかった」
男「…」
神「お前が選んだ選択は、間違いだったのか、それは違う」
神「お前が選んだ道なのじゃ、後悔はするな」
男「でも…でも、友は…!」
神「わかっておる」
神「ひとつ、方法を見つけた」
男「…本当ですか!?」
神「しかし…リスクを伴う」
男「そんなの、百も承知です」
神「お前の命を、友に授ける」
男「…」
神「つまり、お前はあいつのために死ぬことになる」
男「…そ、そんな…」
男「あいつを助けられるなら、俺が死ぬのは構わない、でも…でも…!?」
男「もう、あいつと会えないってことですか?」
神「…」コク
男「…そうですか」
神「…」
男「わかりました」
神「…本当に、いいのか?」
男「あいつを助けられるんなら、いいです」
神「…そうか」
男「あ、あと、一つお願いがあるんです」
神「む、なんじゃ?」
男「あいつの中にある、俺の記憶を、全部、消して欲しいんです」
神「…わかった」
男(これで助かるぞ、友)
・
・
・
友「ぬおっ!」
友「…ん?」
友「俺、一体何してたんだ…?」
友母「と、友!!」
友「母さん?」
友母「よかった…治ったのね…! まさに奇跡だわ…」
友「え? 母さん、俺…」
友母「あんた病気だったでしょう! 忘れたの?」
友(まったく記憶にござらん…)
友母「さっき男くん来てたでしょ?」
友「…? 誰だよ」
友母「いやだよ、この子は」バシッ
友「いって、何しやがる!」
友母「未来のお婿さんを忘れるなんてっ」
友「…はぁ?」
友(母さん、ついに頭おかしくなっちまったのか?)
友母「よーっし、治ったんだから、さっそく外に出かけましょう!」
友「いや、意味がわからんっ」
友「くそう…車椅子というもんはこんなにも怖いものなのか」
友母「どこ行こうかしらねぇ」
友「決め手ねぇのかよ」
友母「じゃあ、完治のお知らせを男くんの家にしに行きましょう~」
友「だから誰だよ!?」
妹「あー友さーん!」
友「?」
妹「治ったんですかーよかったぁ」
友「ど、どうも」
妹「さっき兄が行ったと思うんですけど…まさか、本当にでかけてったのかな? 最低っ」
友「…」
妹「そうでしたっ」
友「?」
妹「え~っと…ちょっと待っててください」タタッ
友母「妹ちゃんもいい子で、本当にあんた恵まれてるわねぇ」
友「…」
妹「えっと、これで合ってるかな?」
友母「あら、可愛いお財布」
妹「この前兄が持って帰ってきたものです。友さんのですよね?」
友「…?」
妹「はい、どうぞ」
友「あ、ありが―――――」
[今のお前には似合わないな。よし、新しいの買ってやるよ]
〔お、俺には可愛すぎると思うぜ〕
[何言ってんだよ]
[友に合うと思って選んだんだぜ]
[可愛すぎるなんてことねぇよ]
[大事にしろよ?]
〔当たり前だ〕
友「―――――!!!」
友「こ、ここは…?」
男「よう」
友「…男?」
男「なんだその顔は」
友「お、男っ!」
男「おいおい、いきなり抱きつくなよ」
友「男…」
男「…ごめんな」
友「…え?」
男「もう、お前とは会えねえんだ」
友「な、なんで?」
男「俺は、お前の親友でよかった」
男「今まで、ありがとよ」
友(俺を助けるために…?)
友(嘘だ…嘘だぁ...)
友「男ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
妹「キャッ」
友母「いきなりなんだいっ!」
友「…」ポロポロ
妹「友さん…?」
友「俺のせいだ…」
妹「え…?」
友(俺のせいで…男は…)
?「んだよ、うるせえな」
友「!!!」
?「人の家の前で叫ぶなっつーの」
友「え? …え?」
男「…ただいま」
妹「あ、おかえりー」
友「…」
男「…なんだよ」
友「男ぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
男「ぐはっ! ちょ、く、苦しいっ!」
友「もう二度と離さないからなぁ!! バカ、バカ!!」
男「し、死ぬ…!」
妹「もう…お兄ちゃん達ったら…」
友母「青春してるわねぇ…」
?「…」
?「これで、よかったのですね、前神様」
?(前神様の選択…私は正しいと思います)
「新神様、会議の時間です」
新神「ああ、すぐに行く」
新神(人間に命を賭ける…いつか私もそのような神になります!)
友「男ぉ~♪ 大好きだぁ~...」
男「い、いいからとりあえず離せ…い、息ができない…!!」
Fin
【中編】に続く