3 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:10:25.12 0Af9p3Jh0 1/49

◆◇電車◆◇

「……」

幼馴染♀「……」

「……ごめんな」

「……なんで謝るの」

「……」

「……ばか」

「……にしても、よく知ってたな。俺が留学するってこと」

「……友くんから聞いた」

「あー……友か」

元スレ
男「付き合わせてください……?」 幼「……」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363010945/

4 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:11:51.58 0Af9p3Jh0 2/49

「なんで私には言ってくれなかったの?」

「や、最近、あまり仲良く話してなかったしさ。それに……幼ちゃんには言い出しにく

かったんだよ」

「……ばか。男くんのばか」

「はは。昔からそればっかりだよな」

「でも、どうして、空港まで付き合わせてって?」

「……ばか」

「あはは、またそれかよ」

「わ、私から、ずっと、離れないんじゃ、なかったの」

「……っ」

「……ばか」

5 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:12:52.14 0Af9p3Jh0 3/49

「にしても、ホームで急に幼ちゃんが大泣きしたのはびっくりしたな」

「……っ、だって……!」

「ん?」

「…………ばか」

「うん」

「……そろそろ落ち着いた? 勝手に手を握っちゃったけどさ、幼さ……幼ちゃん……やっぱり手を離した方がいい?」

「……や」

「えっ?」
パッ

「……はなしたぁ……」ジワッ

「……っ」ポロッ

「……また泣いて……」

「……」ぎゅっ

「……ばか」

「昔もこんなことあった」

6 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:13:55.88 0Af9p3Jh0 4/49

……
…………

『……』
タッタッタッ

『うえええんっ! ついてこないでっ』ポロポロ

『えええええ幼ちゃん待ってよおおおおお』

『うわああんっ! いやーっ』ポロポロ

『幼ちゃんーっ』
ぎゅっ

『もうっ』ポロポロ

『幼ちゃん好きぃー!』
ぎゅっ

『それ先生にもゆってたじゃん! はなして! うわあああんっ!』ポロポロ

『幼ちゃんの方が好きいいいい!!! 好きだからあああ!!!』
ぎゅっ

『……ばか』

『幼ちゃん好きだよー!』

7 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:14:59.63 0Af9p3Jh0 5/49

…………
……

「……ああ、そうだった」

「親から聞いたけど、幼稚園のとき、ずっと付きまとってたらしいよな、俺」

「えっ……『らしい』……って、もしかして覚えてないの?」

「いやぁ、うっすらとは覚えてるよ」

「あ、大阪だ」

「……ばか」

「あはは……」

「でも、小学生になっても付きまとってた」

「あはは、うん」

「からかわれてたよね」

「そうだったな、あはは」

8 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:16:02.08 0Af9p3Jh0 6/49

……
…………

『幼ちゃん! 今日も遊ぼー!』

『……うん、まあ、別にいいけど』

『おい、お前まぁた女子と遊ぶのかよー!』
『お前ら付き合ってんのかあ!? うへぇ、きんもちわるー!』

『……っ』

『つ、付き合ってないし!』

『……』

『幼ちゃんのこと大好きだけど、そうゆうのはまだだし!!』

『……っ!?』

『うへぇ、やっぱ、きんもちわるー! あいつらほっとこーぜ、いこ』
『おう』

『……さあて、幼ちゃん行こっか!』

『いいの? 男子たちほっといて』

『幼ちゃんがいればいい!』

『……ばか』

9 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:17:23.76 0Af9p3Jh0 7/49

…………
……

「あはは、そんなことあったなあ」

「うん」

「ちゃかしてたあいつ、中学になって幼ちゃんに告白したのは絶対に忘れない」

「えっ、知ってたの?」

「うん。幼ちゃん、中学に入ってから告白されまくりだったよな」

「や、それを言うなら男くんだって……!」

「えっ?」

「女さんとか、さ」

10 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:18:29.32 0Af9p3Jh0 8/49

「いや……それは違──」

「わない! 告白されてた」

「女に告白されたって……高校のときだし」

「……」

「……西九条」

「……ばか」

「でも、まあ、僕の初恋は中学のときに終わったんだけどな!」

「……っ」

「なーんて……あはは」

「……ば……か」

13 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:19:33.82 0Af9p3Jh0 9/49

……
…………

『幼ちゃんってモテモテだよね』
『羨ましい』

『えっ、そんなことないよ』

『前、告られてたの見たって子がいるけど?』

『あー……あはは』

『あ、でも、男くんがいるよね、幼ちゃん』
『あーっ、そっか、幼なじみなんだっけ~』

『う、うん』

『格好いいよねー、男くん』

『えっ、やっ、ふ、雰囲気だけだよ! 普段は情けないよ!』

14 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:21:24.53 0Af9p3Jh0 10/49

『ええっ、そうかなー?』
『私は良いと思うけどなぁ。優しそうだし』

『そっ、そんなことないよ、アイツなんて!』

『ええっ、とか言っていつも一緒にいるじゃん』

『……付きまとわれてるだけだよ! こ、こっちは迷惑してるの』

『べたべたくっつかれても、うっとおしいだけだし!』


『……』

15 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:22:38.06 0Af9p3Jh0 11/49

『おはよう、男! ……扉の前でどうしたんだ?』

ガラガラ
『……友。おはよう』


『……っ』

『おはよ』ニコ

『お、おはよ~』
『あー、あはは』
『き、聞かれてたかな?』
『どうだろ?』

『……っ』

17 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:23:42.75 0Af9p3Jh0 12/49

…………
……

「……あのときはごめんなさい」

「ん? 何のこと?」

「……とぼけてる。だって男くん、あの日から急に──」

「……えっと……」

「ごめんなさい……」

「……弁天町」

18 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:24:45.08 0Af9p3Jh0 13/49

……
…………

『……っ!』
タッタッタッ

『おー、男くん足が速いんだねー』
『この体育祭で惚れた人たくさんいるだろね』

『そ、そうかな? ……足速くてモテるのは小学生までだし……』

『わ、わたし、男くん格好いいなって』

『えっ、女さんも!?』
『も、ってことはあんたも!?』

『男くん……』

『…………ばか』

19 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:26:01.26 0Af9p3Jh0 14/49

『……ふぅ。なんとか陸上部の名誉を守れた』

『お、お疲れさまっ! 男くん!』

『あっ、女さん。ありがとう』

『男くんすごーく格好良かったよ!』

『あはは、そうかな』

『うんっ』


『……』ジーッ

『──ちゃん、幼ちゃん!』

『えっ? あ、ごめん、どうしたの?』

『どうしたのって、次は幼ちゃんの番だよ、ほら、女子200m』

『あ、うん、ごめん』

20 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:27:14.61 0Af9p3Jh0 15/49

……


『……っ』

『お疲れ! 幼ちゃん速いね!』

『や、そんなことは……。二位だったし』

『ううん、それでも前半はずっと一位で独走してたじゃん』

『あ、あはは……』

『…………』

『……あのさ』

『……あっ…………何……?』

21 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:28:18.00 0Af9p3Jh0 16/49

『ちょっとごめん』
さすっ

『ちょっ、男くん、急に』
『わっ』

『……っい、いたっ』

『…………歩ける?』

『……大丈夫。歩くどころか走れるし。次のリレーもいける』

『だめだ。幼さん、怪我してるだろ。保健室に行こ。肩かすから』

『…………うん』

22 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:29:33.67 0Af9p3Jh0 17/49


……

『……』

『やっぱり出られない、か』

『……ごめん』

『えっ?』

『幼ちゃ――幼さんがリレー出たいの知ってるけど……でも、幼さんの身体が心配で……』

『俺……怪我を無視できなかった……』

『……うん……』

『うらまれても構わない』

『……ばか』

『ごめん……』

『もう……ばーかっ』

23 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:30:42.10 0Af9p3Jh0 18/49

…………
……

「幼ちゃん、男女混合リレーのために頑張ってたよな」

「……うん」

「部活は200mなのに、100m用の練習ばっかりしてたのが印象に残ってる」

「えっ、見てたの?」

「そりゃ、まあ、同じ部活だし……」

「そっか」

「どうしてあんなに熱が入ってたんだ?」

「…………はぁ」

「ん?」

「……ばか」

「ええっ!? どうして?」

「新今宮」

24 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:31:53.66 0Af9p3Jh0 19/49

……
…………

『……あのさ』

『……』

『ちょっと、聞いてるの?』

『えっ、あ、俺?』

『幼さんに話しかけられるの久しぶりすぎて、自分だと思わなかった』

『…………ばか』

『はは。ごめん』

『で、どうしたんだ?』

『進路希望調査、出して』

25 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:33:02.67 0Af9p3Jh0 20/49

『えっ、あ、今日提出のやつ?』

『うん』

『何で……って、あ、そうか。幼さん、委員長だったもんな。それで先生に頼まれて?』

『そう。みんなのはもう回収し終わってるから。はやく』

『そっか。ちょっとまって……』

『はい』

ぱさ
『…………ん』

……


教師『じゃあ、進路希望調査提出してくれ』

ガタッ
『あの、先生、既に回収してます』

教師『ん、ああ、ありがとう。さすが委員長だな。手間が省けた』

教師『言われる前にやる、必要そうなことは率先してやる、これは社会人には必要なことだから、お前等覚えとけよ』

26 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:34:41.49 0Af9p3Jh0 21/49

…………
……

「そういえば、幼ちゃん、委員長の仕事しっかりやってたよな」

「まさにできる女性って感じだった」

「そ、そんなことない」

「おお、謙遜」

「謙遜じゃないし」

「んー? そうか?」

「……ばか」

「天王寺~」

27 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:36:25.37 0Af9p3Jh0 22/49

……
…………

『……っ!』

『もしかして…………っ』ドキドキ

『……はぁ』

『あ、またラブレター?』
『幼さん、モテるねー』

『そんなことないよ。卒業間近だし、皆ちょっと浮ついてるだけだと思う』

『いやぁ、それでも幼ちゃんばっかりこう告白されるってのはねぇ~?』

『……もうっ』

『あはは』

『でも、全部断ってるらしいね?』

『うん……』

『ふーん、どうして? イケメンくんにも告白されたらしいよね。あの人格好いいのにどうして?』

『タイプじゃない、から? それとも、既に好きな人が──』

『……っ!』カァッ

28 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:37:29.68 0Af9p3Jh0 23/49

『そうなんだー、ふふふっ。だれ?』

『お、教えられないよ。秘密っ』

『ええ~っ』


『あはは──』
『──なんだってさ』
『へぇ、そうなんだ!』

『……っ』
『あ、女さん男くんおはよー』
『二人仲良いねー? 一緒に学校来たの?』

『あ、うん。学校行く途中で会って』
『う、うん』

『ふふ、頑張れー、女さんっ』

29 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:39:10.49 0Af9p3Jh0 24/49

『ええっ!? ちょっ──』

『先、教室行くねー!』
タッタッタッ

『もうっ』

『……?』

『ほら、幼ちゃんも行こ!』
『う、うん……』

『……ばか』


『…………幼ちゃん……あの手に持ってるのって……手紙……?』
ボソッ

『……? 男くん?』

『う、ううん、なんでもない。俺たちも行こうか』

30 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:40:53.15 0Af9p3Jh0 25/49

…………
……

「うーん、やっぱり卒業前はすごくモテてたよな」

「……」
ぎゅっ

「いたたたたっ! ちょ、抓るのやめ!」

「……ふん」

「まあ、でも高校に入っても変わらなかったよな。そのモテっぷり」

「幼ちゃん可愛いし、何でもできるし、素敵女子だから男子たちの気持ちわかるけど」

「……っ」

31 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:42:14.60 0Af9p3Jh0 26/49

「いたたたたっ! ちょっ、だから抓るのやめっ!!」

「……ばか」

「堺市……」

「……」

「にしても、高校も一緒だったのは知らなかったからビックリしたな」

「うちの中学から入ったのは女と俺だけだと思ってたのに」

「私は……男と一緒だって知ってたけど」

「えっ!? そうだったのか? 教えてくれてもよかったのに」

「クラス名簿見たとき幼ちゃんの名前があって、こっちは声を出して驚いたっていうのに!」

「あはは、ばーか」

33 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:43:23.73 0Af9p3Jh0 27/49

……
…………

『えへへ、同じ高校に入れて嬉しいよ、男くんっ』

『あはは、俺も。同じ中学からの子っていないからな。知り合いがいたほうがたすかる』

『うう……そうゆうことじゃないよぅ……』

『それにしても、あれだな、女さん、その制服すごく似合ってる』

『っ!? うえっ!? ほ、本当!? 嬉しいな。えへへ』

『あ、新入生のクラス割だって。見にいこうか』

『え、う、うんっ!』


『……ばか』

34 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:45:19.17 0Af9p3Jh0 28/49

『えっと……俺は1年1組か』


『っ! 一組こい一組こい一組こい……っ!』

『あ、女さんも一組か』

『やったああああああああああ!!!』

『あはは、喜びすぎ、あはは』

『神社毎日毎日通ってよかったぁ、あはは……』


『えっと他のクラスメ――ええええっ!? 幼ちゃんっ!!!???』

『……ちゃん?』

『あ、ううん、なんでもない。すまん……ごほんごほん』


『ふふっ、ばーか』

35 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:46:43.01 0Af9p3Jh0 29/49

…………
……

「まあ、同じ陸上部だったし、ここに入るのは納得だけど」

「……ばか」

「えっ? 何で? 違った?」

「…………ばかっ」

「あー、あと、友ともこのとき会って仲良くなったんだよな」

「あ……友くん……」

「すげぇ良いやつだよな、アイツ。まあ、ちょっとチャラいけど、はは」

「ま、確かに」

「幼ちゃんも結構友と仲良かったよな」

「え、う、うん」

「三国ヶ丘」

36 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:47:47.10 0Af9p3Jh0 30/49

……
…………

『ふ、ふられたぁ~!』

『おお、大丈夫か。あまり気にするなよ。女性は星の数ほどいるんだから』

『くぅ~っ! でもあの星は掴みたかった~!! くそっ……!』

『……うーん……。傷は深そうだな。ちなみに相手は誰?』

『……幼さん……』

『ええっ、幼ちゃん!?』

『あ、ああ…………ってか何でお前、ちゃん付けなの!?』

『いやぁ。その……昔からの名残で……』

『失敗した……』

37 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:48:48.23 0Af9p3Jh0 31/49

『……あー、そうか、同じ中学らしいしな。幼なじみってやつか?』

『んー……幼なじみ、未満かな?』

『未満……?』

『幼さんと俺はそこまで仲良く話すわけじゃないし』

『まあ、確かにあまり話してるところ見たことはない──』
チラッ

『……!』

『目があった……もしかして、俺のこと……いや、それはないか。じゃあ、男のこと……見てた……?』ボソッ

『……友? どうしたんだ?』

『い、いや……なんでも』

『なるほど、そーゆーわけか……』

『……?』

38 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:50:45.74 0Af9p3Jh0 32/49

…………
……

「そういえば、友にも告白されたんだって?」

「えっ、そ、それも知ってたの?」

「うん、友に教えて貰った」

「そうなんだ」

「今はあんなに仲良いのにな」

「え、別に今もそんなに仲良いわけじゃないし。相談に乗ってもらってただけだよ。……それに友くんはそういうのじゃない」

「ばっさり切るなあ、あはははは」

「……そういえば、男くん、高校に入ってからだよね」

「ん?」

「女さんと付き合い始めたのって」

「……鳳」

40 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:52:09.76 0Af9p3Jh0 33/49

……
…………

『好きです。付き合ってください!』

『……っ』

『中学のころからずっとあこがれてて……その、好きでした!』

『最初はカッコいいなってだけだったんだけど、一緒に帰ったり、話してるうちに男くんの優しさとかいろいろ知っていくうちに……その……大好きになりました!』

『お、女さん……』

『……付き合ってくださいっ!』ガクガク

『ありがとう。……でも、えっと』

『……っ』ジワァ

『あ、や、泣かないで! えっと、その、ちょっと考える時間が欲しいんだ!! いきなりでちょっとまだ頭回らなくて!! ごめん!』

『う、うん……』
ゴシゴシ

『でも言えて本当に良かった』ニコッ

41 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:53:51.12 0Af9p3Jh0 34/49

…………
……

「――って告白されたんだ」

「ふぅん。そうなんだ。……まあ、見てたから……知ってるんだけど……」ボソ

「ん?」

「何でもない。……ばか」

「……こんなこと言っていいのかわからんけど……」

「何?」

「その……あのときから幼ちゃん凄く冷たかったよな」

「和泉府中……」

「うん……」

42 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:54:55.51 0Af9p3Jh0 35/49

……
…………

『今日の部活はこれで終わりにする。というわけで、一年生の今日担当の人は整備用具片付けといて』

『はい! わかりました!』
すたすた

『……よいしょっと』

『……』

『おつかれ』

『……』

『あはは、無視、か』

『……』

『最近、よく友と話してるんだって?』

『……友、いいなぁ』

43 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:56:29.71 0Af9p3Jh0 36/49

『……っ』
ぐっ

『ちょ、あっ、幼さん危な――』

『っ!?』

『……よかった。無事だった』

『……っ!』

『幼……さん……?』

『……はなして』

『あ……ごめん……』

『…………』
すたすた



『……はは、嫌われてるみたいだな』

45 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:57:53.87 0Af9p3Jh0 37/49

…………
……

「俺、幼ちゃんに嫌われてるからな」

「べ、別に嫌ってなんか……」

「……」

「あのとき――」

「あ、そういえば、ちょうどあの頃だったかな」

「女と付き合うようになったのって」

「……東岸和田」

46 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/11 23:58:58.09 0Af9p3Jh0 38/49

……
…………

『女さん』

『ごめんね、また急に呼び出して』

『ううん』

『えっとね……あのね……』

『……』

『男くん……ごめん、待てないよっ……』ポロ

『……っ』

『好き……男くんっ……大好きだよ……』ポロポロ
すたすた

『……っ!』

ぎゅーっ

ちゅっ
『――えへへ、私の初めて、男くんにあげちゃった』

48 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:00:04.22 fOa/bmsO0 39/49

『お、女さん……』

『私……もう、男くんのこと忘れるね……』ポロポロ

『最初が男くんでよかった……じゃあ――』

『女さん、待って! 俺は――』

『――』


『……っ』
タッタッタッタッ

『……っ』ポロポロ

『ばかぁ……ばか……ばかぁあ……』ポロポロ

『私の……ばか……』ポロポロ

『ばかぁ……っ!!』ポロポロ

49 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:01:09.56 fOa/bmsO0 40/49

…………
……

「……素敵だね」

「そ、そうかぁ?」

「……その顔……むかつく」

「あはは、ごめんごめん」

「……」
ぐりっ

「いっ、いたたたたっ」

「……ばか」

「熊取~」

51 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:03:06.17 fOa/bmsO0 41/49

……
…………

『――でねっ』
『あはは、うん』

『あ、着いたな』

『ふふ、映画楽しみだなあ』

『この前、このシリーズの前の作品を女と一緒に見て、俺もめちゃくちゃ興味あったんだ』

『えへへ、でしょでしょ? やっぱり、男くんなら好きになってくれると思ってたよ~!』

『じゃあ、いこっか』

『あ、ちょっと待って!』

『ん?』

ぎゅっ
『えへへ』

『あ……』

『手、繋いで、良いよね?』

『……もちろん!』

『えへへ』

52 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:05:35.32 0Af9p3Jh0 42/49

…………
……

「とかあったなあ」

「ふーん……」

「…………幼ちゃん?」

「あ、ううん、なんでもない」

「そう?」

「うん」

「……」

「でも、転校しちゃったんだよね……」

「……」

「……」

「……熊取~」

「残念。進んでるんだよ。日根野、だよ」

53 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:07:59.75 fOa/bmsO0 43/49

……
…………

『男くん……っ』

『どうしたんだ? こんなとこに呼び出して』

『……っ』

『……あはは、告白のときを思い出すな』

『……男くん』

『……女?』

『あ、あのね、男くん……私、転校することになったんだ……』

『えっ……? ホント、なのか』

『うん。だからね…………私たち、わかれよ?』

『っ!!? え、ちょっと待ってくれよ! ……い、いやだ!』

『……ご、ごめんね、私……もいやだよ……いっしょに……いたいよ……うぐっ……ふぇ……』ポロポロ

54 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:09:46.48 fOa/bmsO0 44/49

『遠距離じゃだめなのか……?』

『……すごく遠いから……私たち……会えないよ……?』ポロポロ

『そ、それでも!』

『……ううん』

『それに、男くんモテるし……私がそばにいなくなったら、きっと他の女子たちのところに行っちゃう』ポロポロ

『……それなら、いっそのこと、これでバイバイしたいなって……』ポロポロ

『……女は俺のこと好きなのか?』

『好きだよ……っ! ずっと好きだよ……っ!!』

『じゃあ――』

56 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:12:30.13 fOa/bmsO0 45/49

…………
……

「……」

「……」

「……」
ぎゅっ

「……」

「俺は……女が……好きなんだ……」

「……ばか」

「俺は女が好きなんだ」

「……ばか……っ」ポロポロ

57 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:14:17.54 fOa/bmsO0 46/49

……
…………

『で、アイツ、行くんだってよ、女さんを追って』

『……っ』

『ホントにこれでいいのか?』

『……う』

『好きだったんだろ?』

『好きだった……?』

『…………ううん、違うよ』

59 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:15:18.56 fOa/bmsO0 47/49

『えっ……?』

『私は男くんのことが好きなの』

『過去形じゃない』

『……あはは、そうかよ』

『じゃあさ、なおさら行った方がいいんじゃないか?』

『……』

『前に進むためにもさ、ずっと現在のままにするのか、過去のことにさせるのか、はっきりさせてこいよ』

『……っ』

61 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:16:28.73 fOa/bmsO0 48/49

…………
……

「……」

「……あ、あのね、男くんっ」

「……っ」

「私、ずっとずっと言いたいことがあったの!!」ポロ

「小さいころから、私……私……っ!!」ポロポロ

「……」

「私、男くんのことが」

「――幼ちゃん、手、放すね」
ぱさっ

「えっ……?」ポロポロ

「行ってきます――――幼さん」ニコッ

62 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2013/03/12 00:17:31.30 fOa/bmsO0 49/49

「……っ!!」

「男くんっ……男くん……うぐっ……うえ……っ」ポロポロポロ

「今までいろいろあったね」

「幼さん、ありがとう」


「俺は幼さんのことが好きだったよ」


「……っ」ポロポロ

「わ……私……も……」ポロポロ


「私も、男くんのことが好きだったよっ」ニコッ



おしまい

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