朝起きます。
まどか「ふぁ」
あくびが漏れます。
着替えます。
まどか「リボンどうしようかな?」
選びます。
色々あって迷います。
まどか「この色にしよう」
リボンを持って洗面所へ行きます。
洗顔してブラシで髪を整えて。
ツインテールを作ります。
タツヤ「グドン!」
弟が何かを叫んでいます。
喃語なのでなんなのかはわかりません。
きっと、その意味は子どもにしか理解出来ないのでしょう。
元スレ
まどか「何もない日々」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1322133820/
学校へ出発します。
まどか「さやかちゃん、ほむらちゃん」
最近とは仁美ちゃんとは疎遠気味です。
ちょっと寂しいです。
さやか「おはようまどか」
ほむら「おはよう」
わたしも挨拶を返します。
風でほむらちゃんの髪がふわりと揺れて、
とてもいい匂いがした気がしました。
ほむら「まどか」
匂いを嗅いでいるのがバレたでしょうか。
ほむら「風邪?」
鼻をすんすんと動かしているので鼻水をこらえているように見えたのでしょう。
本当のことはいえません。
心のなかで反省します。
さやか「まどかも風邪をひくんだねえ」
まどか「どういうこと?」
さやか「あたしと成績がほとんど変わんないのにさー」
つまりどういうことでしょう。
ほむら「まどかはそこまでバカじゃないわ」
さやか「おいおい、誰もバカだなんて言ってないだろう?」
二人は微笑みながら言い争いを続けます。
その姿を見てオタオタするわたしは、
どうしようもなくいつものことです。
ほむら「美樹さやか」
さやか「あんだよ」
ほむら「バカって十回言ってご覧なさい」
バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ
ほむら「美樹さやかは」
さやか「あたしって、ほんとバカって、おおい!」
最近このやりとりを何度もしています。
持ちネタにするつもりでしょうか。
学校につきます。
さやか「宿題とかなかったよね?」
どうだったでしょうか。
ほむらちゃんを見ます。
ほむら「ある、と言ったらどうする?」
さやか「教科を教えてもらう」
わたしも教えてもらいたいです。
ほむら「宿題のある教科はないわよ、ただ」
さやか「ただ?」
ほむら「日付で言うなら、まどかは注意をしていたほうがいいわね」
確かに出席番号の一の桁が、日付の一の桁と一緒です。
これは当てられる可能性が高いと言わざるをえません。
ほむら「(当たったらテレパシーで答えを教えてあげるわ)」
まどか「(いいの?)」
ほむら「(まどかのためだもの)」
教えてもらうなんて事のないように、予習をします。
アンチョコは出来ればしたくありません。
授業が始まります。
わたしは気合を入れます。
さやか「(そんなに当たりたいの?)」
まどか「(当たると思ってたほうがいいかなって思って)」
さやか「(そっか)」
さやかちゃんは後ろの席でもぞもぞしている気配があります。
もしかしたら寝るつもりかもしれません。
まどか「(わたしを当てるつもりなら、さやかちゃんも視界に入るよね……?)」
一人で考えます。
先生の考えることはよくわかりませんが、
わたしが先生なら間違いなくさやかちゃんを見ます。
授業を聞きます。
先生が何を聞いてくるかはわかりません。
ほむらちゃんくらい頭が良ければ、事前に予測できるのかな?
先生「じゃあ、鹿目、ここ答えて」
まどか「はい」
しっかりと答えます。
なんとか正答のようです。
先生「次はそこで寝ている美樹」
さやか「うえっ!」
わたしの考えは当たりましたが、次の問題は答えが分かりませんでした。
さやか「くっそー、日付ならあたしは当たらないはずなのに……」
授業が終わった後でさやかちゃんがそう言います。
ほむら「爆睡だったの?」
さやか「うとうとしてた」
ほむら「なら仕方ないわね」
仕方ないです。
さやか「さっきの問題まどかはわかった?」
まどか「さやかちゃんの問題は分からなかった」
さやか「だよねえー、ほむらも教えてくれたっていいじゃん!」
ほむら「何を言っているの、そんなアンチョコ許すわけがないでしょう?」
ほむらちゃんはさやかちゃんに厳しいです。
さやか「じゃあ、さっきまどかが当てられてたら?」
ほむら「すぐに答えをまどかに伝えるわ」
さやか「横暴だ! 差別だ!」
ほむら「ええ、差別よ」
胸を張ってほむらちゃんは言います。
差別はあんまりよくないんじゃないかな。
わたしはそう考えます。
お昼休みになりました。
さやか「マミさんのご飯楽しみだなー」
おひるには皆でランチを採ります。
屋上に集合です。
ちなみに別にマミさんが全員分のお弁当を作るわけではありません。
さやかちゃんはつまみぐいをするだけです。
ほむら「早いわね、巴マミ」
屋上にはもうマミさんの姿がありました。
シートも、お弁当も広げてあります。
マミ「私のほうが上の階にいるからよ」
わたしたちも急いできたと思うけれど、マミさんはそれ以上です。
きっと何か秘密があるのでしょう。
ほむら「楽しみで授業を抜けてるんじゃないでしょうね」
マミ「受験生なのよ?」
ほむら「どうだか」
ほむらちゃんはマミさんのことをよく知っている気がします。
知り合ったのは確か、私達のほうが先だった気がするのに。
パパの手で彩られたお弁当は、わたしのお腹を鳴らしました。
さやか「うまそうだなー」
わたしのお弁当を覗き込んで、感想を漏らします。
そして、さやかちゃんの箸が伸びて、
ほむら「させないわ」
ばちんとさやかちゃんの箸が天高く放り上がります。
ちょっとやりすぎです。
さやか「ちょ!」
マミ「大丈夫、任せて!」
一瞬のうちに変身したマミさんが、リボンで空中にあった箸を捕まえます。
そして何もなかったかのように元に戻って、さやかちゃんの箸も左手に。
ほむら「さすがね」
さやか「ほむらさんはこちらに一言あっていいと思うんですけどね」
ほむら「まどかのお弁当が守られてよかったわ」
にらみ合いが始まります。
マミ「鹿目さん、このおかず交換する?」
まどか「はい」
トレードはつつがなく終わりましたので、いただきます。
食べ終わりました。
さやか「はあ、食べた食べた」
マミ「お行儀悪いわよ?」
ほむら「美樹さやかはおっさんだから仕方ないわ」
ほむらちゃんは少し一言多いです。
さやか「誰がおっさんだー!」
ほむら「言われないと分からない?」
さやか「この美少女中学生を捕まえて!」
ほむら「美少女……? ああ、まどかがいたわね」
マミさんに袖を引かれます。
マミ「教室に戻りましょうか」
まどか「はい」
喧嘩をしている二人を背中に、屋上をそっと抜けます。
先に教室まで戻ろうとするわたしを、一つの声が止めました。
杏子「まどか」
まどか「杏子ちゃん、ここ学校だよ?」
杏子「いや、今日の魔女退治の待ち合わせ場所忘れちゃってさ」
杏子ちゃんは私服姿です。
他の人の視線がとても気になります。
それはわたしだけみたいですが。
まどか「今日は、駅ビルの近くだよ」
杏子「サンキュー!」
そう言うとすぐに窓に足をかけて、飛び降ります。
ここ二階……。
周りの人も驚いたようにわたしを見て、視線を返すと逸らしました。
先生とかに通報されないといいな……。
ほむら「まどか」
しばしボーッとしていると、ほむらちゃんに声をかけられます。
さやか「どったの?」
まどか「うん、杏子ちゃんがね」
さやか「ああ、何となく騒がしいのはアイツのせいか……」
納得してくれたみたいです。
とりあえずこの場から離れることにします。
ほむら「全くあの子ってば」
杏子ちゃんと知り合ったのは、確かほむらちゃんよりもさやかちゃんのほうが先のはずです。
それなのに、ほむらちゃんは古くから知ってるかのような表情で言葉を紡ぎます。
お昼の授業がすんだら、放課後。
マミさんと合流して駅ビルに向かいます。
マミ「佐倉さんってば、無茶をするのね」
お昼のことを言うと、マミさんは感想を漏らしました。
驚いた様子がないのは、きっと杏子ちゃんのことをマミさんがよく知ってるからでしょう。
まどか「先生とかに言われなくて助かりましたよー」
マミ「鹿目さんに注意しても仕方ないしね」
確かに。
そのまま魔法少女同士なんです、なんていえないし。
街の平和を守ってるんです、なんて笑われてします。
ほむら「杏子が待ってるわ」
駅ビルに背中を預けて、杏子ちゃんがぼんやりとしているのが見えました。
合流します。
杏子「待ちくたびれたよ」
さやか「それよりもなんで学校に来たのよ」
杏子「そっちのほうが早いと思って」
さやか「テレパシーがあんでしょ!」
杏子ちゃんはポンと手をたたきます。
杏子「そういやそんな方法もあったなあ」
わたしも今気が付きました。
ソウルジェムを掲げながら歩き回ります。
魔女退治をするようになってから新聞をよく見るようになりました。
事件がありそうな現場は警戒をしなければいけません。
マミ「反応はなさそうね……」
一つのチームで回っていても仕方が無いので、二人と三人に別れて魔女を探します。
きょうはマミさんとわたしです。
まどか「空振りでしょうかね?」
マミ「そっちのほうがいいんだけど、ね」
わたしもそう思います。
だけれども、私が見つけられなかった魔女や使い魔が危害を加えても怖いです。
まどか「まだもうちょっと探しましょう」
マミ「そうね」
マミさんと頷き合います。
気持ちは同じのようです。
結局魔女も使い魔も見つからず、待ち合わせの駅ビルに戻ります。
ほむらちゃんたちも空振りだったようで、
杏子「こうも見つからねえと、身体がなまってしょうがねえな」
さやか「だねー」
武闘派二人は不満タラタラです。
わたしとしては安心でいっぱいなんですけど。
ほむら「だったら二人でもう一回りしてくればいいじゃない」
杏子「ヤダよ面倒くさい」
さやか「うん」
マミ「あなた達……」
一周くらいならばいいということなんでしょうか。
もしかしたら、身体がなまけるというのが、軽口なのかもしれません。
マミ「帰りましょうか」
帰路につきます。
マミさんと杏子ちゃんと別れて、夕日が沈み始めた道を歩きます。
ほむら「まどか」
まどか「なあに?」
ほむら「巴マミとは何もなかったでしょうね?」
何も?
確かに使い魔はいなかったはずです。
まどか「うん、使い魔はいなかったよ」
ほむら「何事もなかったようね」
さやか「ほむらが心配する出来事がそう起こってたまるか!」
さやかちゃんはほむらちゃんの言いたいことが分かるようです。
二人が仲がいいからということでしょうか?
ほむら「それじゃあ、まどか、また明日」
まどか「うん、またあした」
今日はいろいろなことがありました。
お昼に杏子ちゃんが来たり、
魔女は見つからなかったので戦闘はなかったですが。
さやか「それじゃあ、まどか、またね」
まどか「うん、また」
さやかちゃんとも別れると一人になります。
念のためにソウルジェムを掲げながら歩きます。
閑静な住宅街で事件が起こるなんて聞いたこと無いけれど。
まどか「何もありませんように……」
家に帰るまで、わたしは桃色の光が輝くのを見つめました。
ベッドに入ります。
まどか「今日もつかれたなー」
お夕飯を食べて。
お風呂に入って。
そしたらキュゥべえがいて。
気がついたらキュゥべえがいなくなってて。
おかしいなと思ったまま湯船につかって。
窓に人影があったような気がするけど、自意識過剰だと思って。
まどか「ちゃんと確認したほうが良かったかなあ」
わたしはいいけど。
見られて困るような身体はしてないし。
まどか「……」
まあいっか。
電気を消したら目を閉じます。
おやすみなさい。
明日もまたいい日でありますように。
FIN