兄「いるぞー」
――入ってもいいー?
兄「ああ」
ガチャッ
妹「アニキ、英語の辞書ってそっちになかった?」
兄「ああ、昨日使ってた、使うのか?」
妹「これから勉強するから」
兄「そうか、頑張って兄より偉大になってくれ」
妹「そんなの無理だよ」ニコッ
兄「・・・・・・」
妹「じゃあ借りてくねー」
バタン
兄「謙遜も度が過ぎると嫌味になるんだぞ・・・って話題振ったのは俺か・・・」
元スレ
妹「アニキー、いるー?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359194847/
兄「(妹を一言で表すなら「完璧人間」だ)」
兄「(運動神経は抜群、あまりに抜群過ぎて対抗戦をやればほぼ確実に勝利してくるという。)」
兄「(彼女を自陣に引き入れんとした他の女子の言い合いだけで一時間分授業が潰れたなんてウソみたいな話があるほどだ)」
兄「(頭脳はどうかというとこれまた優秀、模試ではほぼ学年一桁という)」
兄「(容姿端麗なせいか街を歩けば必ず一人か二人には声をかけられる始末)」
兄「(おまけに週1~2回のペースで学校内外先輩後輩問わず告られる有様)」
兄「(完璧過ぎる妹だからこそ、レベルの高い男子でないと付き合いたくないんだろうなぁ)」
兄「(変な男にだけは引っかからないでほしいよ全く)」
兄「(そういえば・・・高校に上がる前後で)」
兄「(胸も大きくなったような気がするな・・・)」
兄「(・・・いかんいかん、意識すると息子が反応してしまう)」
兄「(彼女とメールでもして気を紛らわして――)」
兄「(・・・・・・そういえば先月別れたんだだった)」ガックシ
ピピピピピピ
兄「うん?ケータイ?」
――――――――――――――――――――――――――
妹「(アニキを一言で表すなら「普通」だ)」
妹「(運動神経は普通、通信簿もオール3がデフォルト)」
妹「(校内のマラソン大会とか、クラス対抗リレーとかも真ん中の成績を必ずとる)」
妹「(容姿のことはよくわからないけど、中学と高校で一人ずつ女の人と付き合ってた、高校の人も最近別れたって言ってたけど)」
妹「(でも、あたしはそんなアニキが大好きだ)」
妹「(アニキとは血が繋がっていないから、アニキの彼女になりたいという願望もあるけれど)」
妹「(アニキが本当に幸せになってくれることが何よりもあたしの夢)」
妹「(今は振られたことを紛らわせるために勉強に打ち込んでるけど、時間を置いたら二人で遊びにでも――)」
なんじゃこりゃあああああああああああああ!!!!!
妹「うわっ!」ドテッ
妹「あたた・・・椅子から転げ落ちたよとほほ」
妹「アニキ!どうしたの大声出して!?」ガチャ
兄「あ、え、えと、」シドロモドロ
兄「な、なんじゃこりゃー・・・な、なーんちゃって」
兄・妹「・・・・・・・・・」
兄「おほん」
兄「なんでもない」
妹「はぁ・・・」
妹「父さんと母さんが海外出張で当分いないからって叫んだりしたら近所迷惑なんだからね」
兄「お、おう」
妹「人騒がせなんだから全く」バタン
兄「わ、悪いな・・・ははは・・・は・・・」
兄「(思わず自分でも驚くほど大声をあげてしまった、何せ・・・元カノからこんなメールが・・・)」
タイトル「兄くん、お元気ですか」
本文「私はちょー元気ですwww今日も二穴ダブルファック美味しいれすwww」
本文「アヘ顔Wピースした時の画像を送りますので寂しいときはこれで慰めてくださいwww」
兄「・・・・・・」
兄「とんでもないビッチだった、好きだと思ってた自分を今すぐ締め殺したい」
時間が経って、夕食
兄「・・・・・・」モグモグ
妹「・・・・・・」モグモグ
妹「さっきの、彼女さんからのメール?」
兄「ングッ!グッ、エホッ!ゲホッ!」
妹「アニキ大丈夫!?水飲んで水!」
兄「ゴク・・・ゴク・・・ぶはっ、ふぅ・・・」
妹「ごめん、まさか図星だとは思わなかった」」
兄「いや、いいんだよ」
兄「彼女っていっても元カノだし、ってもうそれは知ってるか」
妹「うん、まぁ。ところで何のメールだったの?別れたあとにメールするのもしづらい気がするし」
妹「やり直そう、とか?」
兄「いや、近況報告だった」
妹「あー新しい彼氏さんのことか」
兄「それに近いかな」
妹「?」
兄「(まさか数人にマワされてる画像が来たなんて言えやしねぇ)
ピロピロリンピロピロリン
妹「あ、あたしの電話だ」
兄「食事中ぐらいマナーモードにするとか部屋に置いておくとかだなぁ」
妹「前向きに善処します(ピッ)もしもし先輩?こんな時間に何の用ですか?」
兄「(ああ・・・このパターンは・・・)」
妹「返事?えーっと・・・あ、体育館裏での、あれはそのときちゃんとお答えしましたよね?」
兄「(やっぱり)」
妹「残念ですが先輩とはお付き合いすることはできません。・・・・・・そんなこと言われても困ります、先輩イケメンですし、他の子を探してあげてください、それじゃあ(ピッ)」
兄「・・・まーたフッたのか」
妹「うん、それが?」キョトン
兄「(フることが当たり前過ぎて全然不思議な顔してねぇ)」
兄「しっかしなー」
妹「?」
兄「お前ももう高校生なんだし、いい加減彼氏の一人でも作ったらどうだ?」
妹「アニキこそちゃんと彼女捕まえてないから別れちゃうんだよ」
兄「お、お前なー!」
妹「先に変なこと言ったのはアニキですー!」
兄・妹「ぐむむむむむむむむむむ!」
兄・妹「・・・・・・」
兄「(はぁ)でもさ、いくらなんでもフりすぎなんじゃないのか?・・・まさか彼氏じゃなくて彼女が欲しいとか――」
妹「んなわけあるか!」
兄「うーん・・・あ、もしかして俺達の幼馴染で大学卒業してから絶賛板前修業中の男さんが好きとか?そういえば最近寿司屋に食べに行ってないなぁ」
妹「あの人は好きだけどどっちかって言うと家族愛だね」
兄「確かにそうかも」
男「ぶえっくしょい!」
親方「おい!寿司ネタにきたねー唾飛ばすんじゃねー!」
男「へ、へい!すいやせん親方!」
兄「ん~でもなぁ、兄はちょっと心配だぞ?お前もいつかは嫁に行くんだから、男の人を好きになるっていう感情がないと――」
妹「好きな人ならいるよ?」
兄「へっ?」
妹「でなきゃアニキの言う通り彼氏ぐらい作ってるって」
兄「へ、へぇー初耳だわそれわー」
妹「アニキ声が変」
兄「ちょ、ちょっと驚いただけだよ!」
妹「ふーん・・・ずずず・・・今日の味噌汁どう?あたし的には自身作なんだけど」
兄「うーんちょっと濃くないか?」
妹「そっか、次はもう少し薄くしよう」
兄「おう、薄味のほうが健康には優しいってそうじゃねーよ!」
妹「わっ、びっくりした」
兄「好きな奴って誰?俺の知ってる人?」
妹「うん」
兄「最近知り合ったとか?」
妹「結構昔、あたしが小学生ぐらいの頃かな」
兄「こっちきてすぐじゃないか、えーっと・・・あ、わかった!」
妹「え、わかっちゃったの?」
兄「親父だろ!そっかー親父のヒゲは渋い系のイケメンだからな、ああいうのが好み――ゲフン!」
兄「な・・・なんで足・・・踏むの?」
妹「諸事情により」
お風呂場にて
妹「(全く・・・アニキの鈍感ぶりは天然記念物ものだね)」
妹「(あたしが好きなのは・・・昔からずっとアニキだっていうのに)」
妹「・・・はぁ・・・」
妹「(でもなーアニキに告っても多分無駄なんだろうなー)」
妹「(昔冗談で言ったときなんか)」
兄『いくら血が繋がってなくても俺達は兄妹だろ?その感情は多分肉親の情だよ』
兄『それに俺なんかよりいい人はいくらでもいるんだからさ、その人らと付き合ったほうが妹のためだよ』
妹「(アニキよりいい人、か)」
妹「そんなのいるわけがないのに」ポソ
時間を遡って
先輩A「・・・くそ!くそ!!あのアマ!!!」
後輩A「あーあ、先輩がフラれちまうとはなー」
後輩B「俺達ブサメンが連続でフラれればそれに辟易したところでイケメン先輩が告ればうまくいくっていったのに」
後輩C「マジダセーwww」
先輩A「んだよてめーらぶっ殺すぞ!」
後輩ABC「ひえーおっかねー!」ゲラゲラゲラ
先輩A「ったく・・・」
先輩B「しかし妹の強情さは病気だな」
先輩C「ああ、このまんま社会に出られたらぜってぇ損な目にあうぜ?」
先輩A「となればやっぱり」
先輩ABC「社会勉強をしてやらねーとな」
翌日
友「さーて!明日から休みか!兄よ!これからナンパでもいかねー?」
兄「や、そういうのはいいよ」
友「あれれ、まーだ元カノのこと引きずっちゃってるわけー?いかんよ兄君、世界の半分は女なんだからさ!」
兄「はははは・・・」
友「ま、元気出せよ兄、俺は街へ繰り出すからなー」
兄「・・・・・・ったく、相変わらず軽い奴だ」ピピピピピ
兄「?妹からメールだ」
妹『今日カレーが食べたい!人参と玉葱がなかったから買って来てね!』
兄「・・・フフッ」
兄「よし、今日は特製カレーで妹の腰でも抜かしてやるぜ!」
後輩A「兄のやつー正門出て商店街向かいましたーどうぞー」
先輩B「オッケー、商店街の出口で待ち伏せる(ピッ)」
先輩A「ふっふっふっふっ、兄をふんづかまえて妹の前でボコボコにしてやる」
後輩B「それって腹いせなだけなんじゃ」
先輩A「うるせー!俺は妹を彼女に欲しいんだよ!ぶん殴ったり彼女にする前にヤるとかそういうことはできん!」
後輩C「(妙なところが潔癖症なんだから)」
兄「よし、人参と玉葱と」
兄「サラダも豪華なのを作るぞー!」
キキーーーッ!
兄「?目の前に黒いワゴン車が―――」
ガチャッ
妹「あ、友さん、こんにちは」
友「おー妹じゃんか!付き合ってください!」
妹「それ無理」
友「がっくし」
妹「こんなところで何してるんですか?」
友「ナンパだよナンパ、やっぱり一人身ってのは寂しいのよホント」
妹「ふーん」
友「妹ちゃんはいいよなー男をとっかえひっかえ、昨日遊んだ男は翌日のエキストラだもんなー」
妹「あたしそんな軽い女じゃないからね!?」
友「うん、ジョークだし」
妹「・・・・・・」
友「えーっと、アレだ」
友「兄はどう?家じゃ」
妹「彼女さんにフラれたっていう話?」
友「そうそう、ナンパに誘ってもなんか元気なかったしよー」
妹「それはどう考えても友さんが悪いんじゃ・・・」
友「え?」
妹「なんでも、普通に元気ですよ?でももう少し待ってあげてくださいよ」
友「あ、やっぱり?」
妹「あたしだって我慢してますし」
友「へっ?」
妹「なんでも―――」ピロピロリンピロピロリン
妹「メール?」
タイトル「親愛なる妹様へ」
本文「文武両道容姿端麗巨乳女子校生の妹様」
本文「あなたのお兄様は預かりました」
本文「添付の廃ビルでお待ちしておりますので振るってご参加下さい」
本文「あなたが来なかったり警察や学校関係者が同伴した場合」
本文「お兄様の大事なところを使えなくさせてしまいますのでご注意下さい」
本文「賢い選択を期待しています」
妹「・・・・・・」
友「ん?どうしたの難しい顔して」
妹「いや、ちょっと、アダルトメールが飛んできて」
友「うほっ!?」
友「おおおお女の子にもそそそそそういうのとどくんだだだだ」
妹「ちょっと友さん声変」
友「へへへへ変じゃないよないよ?よ?よ??そそそそかー妹ちゃんもやっぱりそのきょにゅーでふしだらなことを」
妹「友さん、あたし用事ができたのでこれで失礼します」ペコリ
友「お、おおおお!行ってらっしゃい!兄には黙っておいてあげるからねー!」
友「やべ、勃起してきた・・・帰ってヌこう」
兄「・・・・・・うっ・・・ん?・・・」
先輩A「お、気がついたみてーだな」
兄「なんだお前は・・・っ!!頭いてぇ・・・」
先輩C「っと、ちょっと力加減誤っちまったみてーだ、勘弁してくれよな」
先輩B「ったくてめーは物もたせっとすぐ興奮しやがって、やりすぎんなっつったろ」
先輩A「ちゅーわけだ兄、悪いがお前を拉致って拘束させてもらった」
兄「は・・・はぁ?何のため・・・だよ」
先輩A「俺らと窓際にいる後輩連中しめて6人、全員おまえんとこの妹にフラれたんだよ」
兄「・・・フラれた腹いせか?」
先輩A「腹いせ?俺はそんなちゃちいことは考えてねぇ、お前を餌に妹に」
兄「妹に?」
先輩A「・・・・・・恋人になってもらう」ポッ
兄「・・・・・・」
先輩A「なんか言えよ」ドカッ
兄「うぐっ!・・・うっ・・・」
先輩B「おいおいお前もやりすぎんなよ?」
先輩A「わーってるよ。・・・俺は紳士だから女に手をあげたりはしねぇ」
先輩A「代わりに妹が恋人になるって言うまでお前をいためつける」
先輩A「世の中意地だけじゃどうにもならねーことがあるって教えてやらねーといけないからな!」
先輩C「得すんのおめーだけじゃんよwww」
先輩A「心配すんなよ、飽きたらまわしてやるからよ」ゲラゲラゲラ
兄「(く・・・鎖で手を縛られて・・・うごけねぇ・・・)」
後輩A「きやしたぜー、ちゃんと一人みてーだ」
先輩A「よし、お前らは俺が言うまでちゃんと外を見張ってろよ」
兄「だめだ・・・来るな・・・」
妹「・・・・・・」
後輩ABC「へへへへへへへ・・・」
妹「・・・・・・」
先輩BC「・・・・・・」ニヤニヤニヤニヤ
妹「・・・約束通り、一人で来たわよ」
先輩A「おおこわっ、普段の猫かぶりとは大違いだ」
妹「そりゃあ先輩相手にタメ口きけるほど図太くないんで」
先輩A「ほっ、ちげぇねぇ」
妹「で、アニキはどこ?」
先輩A「俺の後ろだ」スッ
兄「い・・・妹・・・」
妹「アニキ!」ガシッ
先輩B「おっと、ダメだぜ妹ちゃん」
先輩C「俺らの条件飲むまでお触り禁止だしwww」
妹「・・・!条件って何よ!」
先輩A「簡単だ、俺の恋人になってもらう」
妹「ふざけないで!人の家族拉致しておいて何言ってるの!」
先輩A「・・・・・・」クルリ
兄「・・・・・・?」
先輩A「ふん!」ドカッ
兄「うあ!」
妹「アニキ!」
先輩A「俺はイケメンで紳士だからお前には手をあげない」
先輩A「そいつらもお前の動きを抑えること以外には手を出さない、誓って言おう」
先輩A「でも俺は男には容赦ねぇんだ、一回逆らうたびに兄をボコる、気分が悪ければ後輩連中を使って袋にする」
妹「・・・卑怯者!」
先輩A「卑怯者!だってよー?俺様ショックだわー・・・」ドゴッ
兄「がっ!」
妹「アニキ!」
先輩A「さーて、俺の決意はわかってくれたかな?わかってくれた上で聞こう」
先輩A「俺の彼女になってくれるよな?」
妹「そ・・・それは・・・」
先輩A「」ドゴッ
兄「げぶっ!」
妹「あ・・・ぁあ・・・」
先輩A「早く彼女になっちまえよ、俺は気がみじけーんだ」
妹「で・・・も・・・」
先輩A「」ボゴッ
兄「ぐあ!!」
妹「言う!言うから!アニキに痛いことしないで!」
先輩A「ほぉ・・・?」
妹「せ・・・先輩の・・・彼女に・・・なりま―――」
兄「だ・・・だめだ・・・妹」
妹「アニキ!?」
先輩A「てめぇにゃきいてねぇぞゴラ!!」ドゴッ
兄「がぁっ!・・・だめ・・・こんなやつの・・・言いなりに・・・なっちゃ・・・」
妹「アニキ!でも・・・あたし!」
兄「好きな奴・・・いるんだろ・・・俺はだいじょうぶ・・・だから・・・」
妹「アニキ・・・!」
先輩A「・・・ムナクソわりぃ、お前ら、手貸せや」
後輩ABC「へ~い」
後輩A「オラ!」バキッ
兄「ぐぁ!」
後輩B「観念しちゃいなよー!」ボカッ
兄「あぐっ!」
後輩C「早くしないとそれなりの顔がデカくなっちゃうよー?」ゴツッ
兄「う・・・ぐぅ・・・」
先輩A「ったく、しぶてーやろうだ、妹も妹なら兄も兄だな」
妹「あ・・・やだ・・・アニキ・・・!」
先輩BC「・・・・・・」
先輩A「んだよ、その目は」
先輩B「いや・・・別に」
先輩C「抵抗できない野郎をボコすのはあんま気分よくねーなって」
先輩A「なんだとてめー!もっぺん言ってみろ!」グイッ
先輩C「ばか!今胸倉掴んだら――」バッ
妹「アニキ!」ダッ
兄「・・・ぁ・・・う・・・」
先輩B「あーあ、お前のせいだ」
先輩A「うるせー!」
妹「あんたたち邪魔!どきなさい!!」
後輩ABC「へ、へ~い・・・」
妹「アニキ!アニキ!しっかりして!」
兄「・・・だい・・・じょ・・・ぶ」
妹「アニキ!」
兄「・・・・・・おにい・・・ちゃんが・・・い・・・る」
妹「アニキ?」
兄「まも・・・ずっと・・・」
妹「アニキ!アニキしっかりして!しっかりしてぇ!!」ボロボロ
先輩ABC「・・・・・・・・・」
後輩A「・・・な、なぁ」
後輩B「お、おう・・・」
後輩C「だよな・・・」
先輩A「・・・お前ら言いたいことがあるならはっきり言え」
後輩A「いや、その・・・もう頭から血だくだく出てるし」
後輩B「なんつうか意識もはっきりしなくなったし」
後輩C「これ以上は・・・」
先輩A「もういい」
後輩ABC「へっ?」
先輩A「てめぇらは帰れ」
後輩A「じゃ、じゃあ」
後輩B「俺らはこれで」
後輩C「へへへへ・・・」
先輩A「・・・胸糞わりぃ」
先輩B「もっと早く折れると思ったのにな」ジャラジャラ
先輩C「お前らの強情さは犬でもくわねーよ」
兄「うっ・・・」バタッ
妹「アニキ!アニキしっかり!!」
先輩A「負けたよ、もうお前に手出したりは――」スコーン!
先輩BC「ケータイが空飛んだぞ!?」
妹「そんなことより早く車回して!病院に連れてかないとアニキが死んじゃう!!」
先輩A「は・・・はぁ?何で俺らがそんなこと――」
妹「恋人にでも何でもなるから早くアニキを連れてって!!早く!早く!!!」
――――――――――――――――――――――――
兄「(気づいたときには、知らない天井があった)」
兄「(頭に包帯巻かれていて腕には管のようなものがついていた、その先を見て輸血であることを理解した)」
兄「(妹が・・・ベットに顔を乗せて眠っていた)」
妹「・・・すぅ・・・すぅ・・・」
兄「(時計を見ると夜中の3時だ)」
兄「(妹の頭を軽く撫でると、眠気が襲ってきて俺はそれに身をゆだねた)」
妹「・・・あにき・・・しなない・・・で・・・」
医者「しかしねぇ君、本当に階段から転げ落ちたのかい?」
兄「え・・・いや・・・あの・・・」
妹「階段から盛大に転げ落ちました」
妹「うちの階段は狭いので転げ落ちると身体のあっちこちをぶつけるんです」
医者「・・・まぁ、いいだろう」
医者「皮膚を切ったから出血は派手だったけど、もう2~3日養生すれば退院できるよ」
医者「私の仕事を増やさぬよう養生することだね」ガチャン
兄「あ、ありがとうございます」
妹「・・・・・・」
兄「うーん何が何やら・・・」
妹「あたしの彼氏を犯罪者にしたくないからしょうがなくウソついたのよ」
兄「え?」
先輩A「邪魔するぜ」ガチャ
兄「あ・・・あんたは・・・」
妹「アニキ、紹介するね、あたしの彼――」
先輩A「ただの学校の先輩だ、ついでに言うとあんたと同学年だ」
兄「そりゃ・・・三年だしな俺」
先輩A「ほれ、差し入れ」
兄「デザートの盛り合わせ・・・なんだか漫画でよく見る差し入れだなぁ」
妹「ちょ、どういうことですか先輩!あたし彼氏になるからって!」
先輩A「お前みたいなガサツで声のでけー女はいらねーんだよ」
先輩A「もっとよく見てから告るんだったぜクソッ」
妹「・・・へっ?」
兄「・・・・・・話が見えない・・・」
先輩A「・・・妹、ちょっと兄と話があるから外出ろ」
妹「・・・なんで――」
先輩A「・・・・・・・・・」
妹「わかりましたよ・・・乱暴しないでくださいね」ガチャ
先輩A・兄「・・・・・・・・・」
兄「あ・・・あの」
先輩A「悪かった」
兄「え?」
先輩A「悪かったっつうんだよ」
先輩A「俺もここまでボコるつもりはなかったんだ、ハッタリかまして、それでも強情決めてたら2~3発ぐらいで済ませるつもりだったんだ」
兄「(明らかにそれ以上に殴られた気がするけど)」
先輩A「病院送りにする気はなかった、許してほしい、この通り」
兄「・・・えっと・・・」
兄「顔あげてくれ」
先輩A「・・・・・・」
兄「妹が好きだっただけなんだろう?あんたも他の人も」
兄「その・・・兄の俺が言うのもなんだけど、妹はすげー美人だし、妹も結構そっけないところがあるから」
兄「こういうこともあるのかなって心のどこかでは思ってたよ」
先輩A「兄・・・」
兄「でも俺がさらわれてボコられるのは想定の範囲外」
先輩A「うぐっ」
兄「水に流す・・・ってのは無理だけど」
兄「もうこんなことはしないでほしい、妹だけじゃなくて、他の人とかにも」
先輩A「・・・ああ」
兄「それが聞ければ俺からはもう何もないよ」
先輩A「・・・俺が言うのもなんだけど」
兄「?」
先輩A「あんたらの強情さ、ちょっとうらやましいぜ」
先輩A「大事に想いあってるんだな」
兄「そ・・・そんなことは・・・あるかも・・・」
先輩A「邪魔したな、もう帰るよ」ガチャッ
兄「あ・・・」
妹「あ・・・先輩」
先輩A「兄のこと、大事にな」
妹「・・・・・・」
妹「アニキ、先輩なんて言ってたの?」
兄「何も」
妹「はぁ?」
兄「男同士の秘密ってね」
妹「・・・・・・こんなときに言う冗談じゃないと思う」
兄「・・・でもよかった、妹が無事で」
妹「どう考えてもアニキが無事なことのほうが喜ばしいから」
兄「心配かけてごめん」
妹「(ガバッ)ホントだよ!バカ!あんなやつらにまんまと捕まって!あたしがどれだけ心配したかわかってるの!?」
兄「い・・・妹・・・?」
妹「バカ!アニキのバカバカ!!バカァ!!うわああああああああ!!!」
兄「・・・ごめん・・・」
隣の部屋のおじいちゃん「さっきから隣が騒がしいのぉ」
兄「・・・落ち着いた?」
妹「・・・ん・・・」コクッ
兄「・・・さて、お前も疲れたろ?もう家に帰りな?」
妹「アニキが退院するまでこっちにいる」
兄「こらこら、お前学校はどうするんだ?」
妹「休む」
兄「我が儘言うんじゃありません」
妹「嫌」
兄「・・・こうと聞いたらテコでも動かないのは相変わらずだな」
妹「だってそりゃあ」
妹「あたしの好きな人が入院中なんだもん、気が気でないよ」
兄「・・・?お、おお、俺も好きだぞ?」
妹「違うよアニキ」
妹「あたしの好き、は愛しているの好き、だよ」
兄・妹「・・・・・・・・・」
兄「俺!?」
妹「うん」
兄「いやいやいやでも俺達兄妹だし」
妹「血繋がってないけどね」
兄「お前は俺なんかより優秀なんだからもっといい人をだな――」
妹「守る」
兄「え?」
妹「ずっと守る、って、言ってくれたよね」
兄「言った・・・かなぁ?」
妹「殴られて意識が朦朧としてるときもそうだったけど」
妹「出会ったばっかりの頃に言ってくれたんだよ」
ショタ時代の兄「おまえなーすぐ泣いちゃうのなー」
ロリ時代の妹「えぐっ・・・えぐっ・・・うえええええん!」
ショタ兄「よーし!泣き虫のお前は今日から俺のコブンだ!」
ロリ妹「こ・・・ぶん?」
ショタ兄「そうだ!んで俺はオヤブン!オヤブンはコブンをずーーーーーっと守らないといけないんだぞ!」
ロリ妹「オヤブン?コブン?」
ショタ兄「俺がずーーーーーーーーーーーーーーっと守ってやるから、簡単に泣くな」
ロリ妹「ずーーーーっと?」
ショタ兄「違う!ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとだ!」
ロリ妹「ずーーーーーーーーーーーーーーえふっ、げふ・・・」
ショタ兄「言えないでやんの、あははははは」
ロリ妹「もうおにいちゃんたら!あはははははは」
妹「ずっと、ずーーっと・・・ね」
兄「あ・・・ああ・・・そういえばそんなこと言ったっけなぁ・・・」
妹「あたしのせいでアニキが殴られちゃったけど・・・」
妹「アニキが大丈夫って言って、気を失っても守るって言ってくれて」
妹「嬉しかった・・・やっぱりこの人じゃないとダメだって思ったの」
兄「妹・・・」
妹「こんなあたしを、彼女にしてくれませんか?」
兄「・・・・・・」
兄「俺、何の取り柄もないただの男だけど」
兄「喜んで」
妹「!!」
妹「アニキ大好き!!(ガバッ)」
兄「いっ!!あ・・・頭は勘弁・・・」
妹「あ、ごめん」
兄「(そんなこんなで数日後)」
兄「(俺は無事に退院することができた)」
兄「(後遺症もなく、その翌日には学校へ向かった)」
兄「(階段から落ちました、って言ったらクラスのみんなは大笑いして)」
兄「(友と話をしたときは)」
友「その割にはいいことあったみたいだな、顔がにやけてる」
兄「(あいつは無駄なところで勘がいい)」
兄「(ちなみにもうナンパは無理って言ったら、凄い顔をしていた、事情を説明したときの顔を想像しただけでも笑い声を抑えるのが大変だった)」
ピピピピピ
兄「メール?(ピッ)」
妹「アニキ、お昼は屋上で食べよう?」
兄「・・・了解っと」
兄「(これからは恋人として、妹を守ってやらないとな・・・)」
終わり