織莉子「私は……」
織莉子「ある少女……鹿目さんが世界を滅ぼす魔女となることを予知で見た」
織莉子「故に、その魔女が生まれる前に鹿目さんを抹殺することばかりを考えていた」
織莉子「しかしある日突然、暁美さんが現れて『私の友達を殺させない』と言われた」
織莉子「私の目的を邪魔する人だったから、憎かった」
織莉子「最初から目的がバレていては撹乱する必要もない」
織莉子「当初予定していた魔法少女狩りを断念し、私はキリカと共に暗殺しようとした」
織莉子「しかし、既に共闘を結んでいた巴さんや佐倉さんに返り討ちにあった」
織莉子「でも、彼女達は私達を殺しはしなかった。理由はわからない」
元スレ
織莉子「暁美さんとの仲良しを成し遂げる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1358042841/
織莉子「敗者として私とキリカは、上辺だけでもと共闘関係を結ぶことにした」
織莉子「いざという時には鹿目さんを暗殺するために」
織莉子「しかしどうだろう。結果的には誰一人欠けることなく……」
織莉子「そして鹿目さんを契約させることなくワルプルギスの夜を越えた」
織莉子「暁美さんの普段の表情からの、歓喜の顔。そのギャップに感銘を受けた」
織莉子「私も、暮らしている街を守れたという実感と共に、涙が溢れた」
織莉子「同時に、恥ずかしくなった」
織莉子「鹿目さんを抹殺することが、あの時、私の正義だと思っていた」
織莉子「しかし、正義を超えた最も大切な概念を垣間見た気がする」
織莉子「暁美さんを悲しませようとしていた、その過去に自己嫌悪」
織莉子「暁美さんのおかげで今、こうして私とキリカは平和に暮らせている……」
織莉子「不登校児だったキリカも、巴さんを皮切りにクラスの人と打ち解けてきている」
織莉子「暁美さん達とも仲良くしてるらしい……」
織莉子「本当に……暁美さんには感謝してもし切れない」
織莉子「…………」
織莉子「鹿目さんは言わずもがなで、美樹さんは同じクラスだし、巴さんとは早い段階で共闘関係結んでる」
織莉子「佐倉さんとも仲がいい感じだし、ゆまちゃんにとても懐かれている」
織莉子「そしてキリカは同じ学校という繋がりがある」
織莉子「でも……」
織莉子「……私だけ」
織莉子「…………」
織莉子「……そりゃあ、自業自得だってのはわかってますとも」
織莉子「私は学校が違うし……友達を殺そうとしたもの。仕方ないわよ」
織莉子「だけど……だけども……」
織莉子「私だって暁美さんと仲良くなりたい!」
織莉子「巴さんの家でお茶会した時だって、暁美さんは鹿目さんとお話したりゆまちゃんと遊んでたりするし!」
織莉子「魔女と戦ってる時だって『あなたは十分強いし、キリカもいるから大丈夫でしょう』って構ってくれないし!」
織莉子「っていうか『キリカ』って呼んじゃってるし!私だけ未だに『美国織莉子』とフルネーム呼びだし!」
織莉子「ワルプルギスの夜祝勝会でもほとんど話してないし」
織莉子「皆で集まることはあれどやっぱり暁美さんとほとんど会話しないし」
織莉子「そもそも暁美さんのこと何も知らないから何話していいのかわからないし……」
織莉子「暁美さんがどんな音楽が好きなのかさえもわからないし……」
織莉子「…………」
織莉子「そうだ。キリカに相談しよう」
織莉子「ねぇ、キリカ」
キリカ「何だい?織莉子」
織莉子「最近学校はどう?」
キリカ「うん。ろくに学校行ってなかったから勉強が大変だよ」
キリカ「でも織莉子や恩人やほむらに教えてもらいながら……」
織莉子「え?」
キリカ「ん?」
織莉子「……暁美さんに?」
キリカ「うん」
織莉子「いやいやいや……だって、キリカ」
織莉子「学年が違うでしょう?」
キリカ「それがね、ほむらは長いループ中に勉強もしてたらしくてね」
キリカ「その気になれば高校スッ飛ばしてそこそこ有名な大学に入れるくらい頭良いんだよね」
キリカ「いつでも日常を取り戻せても大丈夫なようにって勉強してる内に自然とそうなってたみたいで……」
キリカ「いやぁ、あの勉強会は疲れ……」
織莉子「ストップ!ストップ!」
キリカ「?」
織莉子「え?何?キリカ。あなたいつの間に勉強会なんてしたの?」
キリカ「え、きょ、今日だよ?放課後ちょっと残って……」
織莉子「…………!」
織莉子(学校に残って……それで今日帰りが遅かったのね……)
織莉子(ず、ずるい……!)
キリカ「えっとぉ……どうしたの?織莉子?」
キリカ「も、もしかして帰りが遅かったの怒ってる?」
キリカ「……まぁ、その、何だ。とにかく、学校はいい感じだよ」
織莉子「そう……」
キリカ「え、えーと……」
キリカ「あ、そ、そうだ!」
キリカ「織莉子に作ってもらったお弁当なんだけどさ!」
織莉子「お弁当……?もしかして美味しくなかった?味付け変えてみたんだけど……」
キリカ「まさか!とっても美味しかった!織莉子の愛が十二分に伝わったよ!」
織莉子「そう?ふふ、それはよかっ――」
キリカ「ほむらの購買弁当とおかず交換したけど美味しいって……」
織莉子「おかず交換ですってェッ!?」
キリカ「うおうッ?!」
織莉子(な……何ということ……!)
織莉子(暁美さんとお弁当のおかずを……!)
織莉子(キ、キリカがまさかそこまで発展していただなんて!)
織莉子(このままではまずい!まずいわよこれは!)
織莉子(このままキリカが暁美さんとの交友を深められたら……)
織莉子(私、ますます孤立感を味わわされるんじゃあないの!?)
織莉子(もしかしたら学校でこんな会話が……)
ほむら『美国織莉子とどう付き合っていいのかわからないわ』
さやか『わかるわかるー!距離感がわかんないんだよねー!』
まどか『キリカさんがいないとダメなのかな?うぇひひ!』
キリカ『いつも私を子ども扱いするのに、そんな子どもみたいな……』
杏子『あーあれから全然会ってないなぁ。生きてたのか』
ゆま『えっと……誰だっけ?』
マミ『セリフが思い浮かばない』
織莉子(……なんてことに)
織莉子(そんなのは嫌!絶対に嫌!)
キリカ「あの……織莉子?」
織莉子(暁美さんに助けてもらっといて距離を置いてる嫌な人に見られてるんじゃあないの!?)
織莉子(そのまま時間が経つにつれて関係が疎遠になっちゃったらどうしましょう!)
織莉子(暁美さんのアドレス変更メールが私にだけ来なかったなんてしたら目も当てられない!)
織莉子(私一人だけ暁美さんの誕生日を知らなかったとかそんなの悲しすぎる!)
織莉子(ああ……ど、どうしよう)
織莉子(キリカとの距離が……)
織莉子(心なしかキリカが遠く感じてきたわ……)
織莉子(わぁ、遠近法でキリカが小さく見える。小さいキリカ可愛いー)
織莉子「ふ、ふふ……うふふ……」
キリカ「あ、あの……織莉子?大丈夫?」
織莉子「……はっ」
キリカ「ど、どうしたの織莉子?急に……」
織莉子「コ、コホン……」
織莉子「それでね、キリカ」
キリカ「うん」
織莉子「その……相談なのだけれど」
キリカ「何だい?織莉子の悩みなら何でも……」
織莉子「暁美さんと仲良くなりたいの」
キリカ「へ?」
織莉子「どうすればいいのかしら……?」
キリカ「…………」
織莉子「そ、その……恥ずかしいことだけど……」
織莉子「私……暁美さんのことを思うと……寂しくって」
キリカ「……ッ!?」
キリカ(何を……何を言ってるんだ?織莉子……)
キリカ(ほむらと仲良くなりたいっていうなら、まだいいよ……)
キリカ(でも、何で頬を赤らめているんだい……?)
織莉子(暁美さんと仲良くなれさえすれば、孤立感も薄まるだなんて……やっぱり変よね……)
織莉子(ほら、キリカったら『何を言ってるんだ』って顔してる……)
織莉子(うぅ……今更過ぎるわよね……あれから結構経ってるのに……)
キリカ(何で……そんな不安そうな顔をしているんだ……?)
キリカ(……そう言えば……勉強会をした時、食いついてきたな)
キリカ(ほむらとお弁当を交換した時、らしくない大きな声をあげた)
キリカ(まさか……なのか?)
キリカ(まさか織莉子……)
キリカ(……『好きになった』というのか?!)
キリカ(この私を差し置いてほむらのことが……!?)
キリカ(寂しいって、そういうことなのか……?!)
キリカ「…………」
キリカ「……どうしてなんだい?」
織莉子「へ?」
キリカ「ほむら仲良くなりたいだって……?ふーん……」
織莉子「え、えぇ……」
織莉子(え……ちょ、な、何?)
キリカ「それを私に相談するんだぁ……」
織莉子(ちょ……こ、怖い……キリカ怖い)
キリカ「私に、ほむらと仲良しになりたいって、相談するのぉ……?」
織莉子(め、目が笑ってない!微笑んでるけど目が怖い!)
織莉子(魔女を狩る時の目だ!使い魔を斬る時の目だ!怖い……!)
織莉子「…………っ」
キリカ「ねぇ……何で目を逸らすの?何か、やましいことでもあるのかい……?」
キリカ「『ほむらを思うと寂しい』ってどういう意味なんだい……?」
織莉子「い、いえ……えっと……その……」
織莉子(え……何、この圧力……もしかしてキリカ、怒ってる?)
キリカ「説明してよ……ねぇ、何で目を合わせてくれないの?」
織莉子「あの……その……」
キリカ「何で、よりによって私にそんなことを聞くの?」
織莉子(これは……これは世に言う『ヤンデレ』ッ!)
織莉子(『仲良くなりたい=だいっ好き!』という固定概念!ヤンデレ思考の一ッ!)
織莉子(何と言うこと!まさかキリカがそんなに融通効かない子だったなんて!)
キリカ(ほむらのことを思うと寂しいんだね……)
キリカ(胸が苦しくなんだね……織莉子……そうなんだね……?)
キリカ(恋しちゃってるんだよねぇっ?!)
織莉子(ま、まずい……!このままでは……!)
織莉子(何とかキリカのヤンデレ化を押さえなければ!)
織莉子(このままでは暁美さんの命が、私の貞操が危ないのでは?!)
織莉子(いや、何よりもキリカの魂が危ないッ!)
織莉子「う……」
キリカ「……う?」
織莉子「嘘よっ!」
キリカ「…………」
キリカ「……え?」
織莉子「じょ、冗談だってば!冗談!」
キリカ「……冗、談?」
織莉子「そ、そうっ!そうなのよ!」
キリカ「…………」
織莉子「ま、全くキリカったらヤキモチ妬きね!」
織莉子「ちょっとキリカを怒らせてみたくなっただけなんだから」
キリカ「……何、それ?」
織莉子「え、えっと、その……」
織莉子「き、キリカの怒った顔も、か、か、可愛かったわよ」
キリカ「!」
キリカ「か、可愛いだなんて……そんな……織莉子……」
キリカ「う、うぇへ、へへ」
キリカ「えへへへ……」
キリカ「『も』だって……えへぇ」
織莉子「ふ、ふふ」
織莉子(あー……怖かったわ)
織莉子(しかしこれじゃあキリカには相談できないわね)
織莉子(……思えば私は私でキリカに頼りっぱなしな部分がある)
織莉子(それなら、私一人の力で暁美さんと仲良くならなくちゃ)
織莉子(それもキリカに悟られないように行動する必要がある!)
織莉子(私が、暁美さんとの仲良しを成し遂げる!)
キリカ「……織莉子?どうかした?」
織莉子「え?いえ……ちょっと、考え事よ」
キリカ「ふぅん?」
織莉子(作戦を考えなくては)
織莉子(あまり夜中遅くまで考えてると朝起きられない……)
織莉子(自分とキリカのお弁当を作るために早起きも同時に達成せねばならない)
織莉子(キリカもよろこんでくれるし、苦痛というわけでは一切ないけど……)
織莉子(やはり、大変ね)
織莉子(……そうか。お弁当か)
次の日
――学校
織莉子(落ち着かないわ……)
織莉子(私の暁美さんと仲良し大作戦……上手くいくだろうか)
織莉子(学校が違うというハンディキャップ。結局キリカを利用してると言えなくもない)
織莉子(でも……仕方ないわよね)
織莉子(ああ……気になるわ)
織莉子(どういう反応をしてくれるのかしら)
織莉子(……でも)
織莉子(だからってこれはやりすぎた気がするわ)
――見滝原中学校 屋上
織莉子(学校に侵入するなんて!)
織莉子(我ながらなんてアクティブなことを……)
織莉子(バレたら大変なことになるわね)
織莉子(で、でも、佐倉さんもゆまちゃんもやってるらしい、予知能力で人の気配とかわかるし……)
織莉子(魔法を使えばなんてこともないわ!)
織莉子(さて、そろそろお昼になる)
織莉子(お昼には、キリカと巴さん。そして暁美さん達が屋上に集まってくる)
織莉子(お昼が勝負よ!)
織莉子(暁美さんと仲良くなる大作戦)
織莉子(作戦その1!手作りお弁当作戦!)
織莉子(キリカのおかず交換をヒントに思いついたわ)
織莉子(キリカの情報。暁美さんはいつも購買でお昼を済ましている)
織莉子(栄養機能食品と缶コーヒーだけということもしばしばとのこと……)
織莉子(私がキリカに作ってあげているお弁当……)
織莉子(それを暁美さん用にもう一つ作った。二人も三人もそんな変わらない)
織莉子(これで暁美さんに私の存在をアピールできる!)
さやか「いやー!お腹空いたなぁ!」
まどか「マミさんとキリカさんはもう来てるかな?」
ほむら「そのようね」
織莉子(……来た!)
織莉子(志筑さんって人はいないのね)
織莉子(あの三人の友達だと聞いてはいるけどあまり話題に挙がらないのよね)
織莉子(会ったことないけど私と似た臭いを感じるわ。蚊帳の外というか)
キリカ「やぁ、後輩諸君」
マミ「待たせちゃったかしら?」
織莉子(そして今揃った……よし。ちゃんとキリカ。お弁当二つ持ってるわね)
ほむら「キリカ。授業はついていけてる?」
キリカ「この前大丈夫だって言ったじゃんかよぉー国語の教師か、君はよぉー」
ほむら「ならいいのだけれど」
キリカ「織莉子にも教えてもらってるからね」
マミ「家庭教師と言ったところね」
まどか「……わたし、ほむらちゃんに家庭教師してほしいなって」
ほむら「えぇ。まどかが言うなら」
さやか「まどかはまだいい方でしょー?」
さやか「それよかあたしを助けてよほむらー」
ほむら「あなたはまず出された課題をちゃんとやりなさい」
さやか「た、たまたまだよぉ!たまたま今日宿題忘れて……」
キリカ「四日前も同じようなこと言ってたよね」
さやか「う……な、何にしたってまどかに家庭教師するってんならあたしゃ意地でもひっついてやるぞ……!」
まどか「……あ、あはは」
マミ「ふふ、暁美さん」
ほむら「もう教えること前提なの……?」
キリカ「ほむらはモテモテだなぁ」
織莉子(……楽しそう)
さやか「ほむらはモテますよー。才色兼備の塊ですから」
キリカ「本当は結構ヘタレなのにね」
織莉子(え?そうなの?)
ほむら「だ、誰がヘタレよ」
マミ「あの時のイメージと比べたら大分親しみやすくなったものね。そういう面も見れるでしょう」
まどか「ほむらちゃん、実は結構お茶目なんですよ」
織莉子(見たことない……)
まどか「わたしの前では特に……」
ほむら「ちょっ……!」
まどか「この前なんかは……」
ほむら「ま、まどかっ!」
マミ「何があったの?」
ほむら「な、何でもないわっ」
キリカ「またまたぁ」
さやか「じっくり教えてもらおうじゃあないの~」
マミ「それで、この前とやらの暁美さんはどうだったの?」
まどか「……えへへへ」
織莉子(気になる)
キリカ「……あ、そうだった。ほむら」
ほむら「何かしら」
キリカ「君、いつもコンビニ弁当とかばっかりだろう?」
キリカ「そのことを話したら織莉子が君の分のお弁当も用意したんだけれど……」
織莉子(ヨシキタだわ!)
マミ「あらまぁ」
キリカ「でも、その必要もなさそうだね」
織莉子「!?」
織莉子(ど、どういうこと……!?)
ほむら「えぇ。まどかが作ってきてくれたのよ」
織莉子(……!)
まどか「えへへ……」
まどか「ほ、ほとんどパパに手伝ってもらったんだけどね……」
さやか「お熱いのぉ」
マミ「微笑ましいわね」
織莉子(ああ……!)
織莉子(それは、そうなるわよね……)
織莉子(鹿目さんには敵わないわよね……)
ほむら「美国織莉子には悪いけど、遠慮させてもらうわ。よろしく言っておいて」
キリカ「うん」
織莉子(私がいなくてもフルネーム呼びなのね……)
さやか「織莉子さん優しいね。わざわざ作ってくれるなんて」
キリカ「織莉子は天使」
織莉子(私がいなくてもキリカはいつも通りなのね……ちょっと安心)
キリカ「でもこれ、どうしようかな……残すわけにもいかないし」
キリカ「私はいくら織莉子の手料理とは言え二つも食べきれないよ」
織莉子(せめて、せめてみんなで分け合って食べて。完食してっ)
織莉子(ちょっと張り切ってしまって量が多くなっちゃったけど……)
織莉子(せめて一口。暁美さん)
織莉子(せめて私が見ている前で美味しいと言って)
織莉子(じゃないとわざわざここまで来た理由が……)
「……何やってんのー?」
織莉子「ひゃいッ!?」
キリカ「ん?」
マミ「どうしたの?呉さん」
キリカ「いや、今織莉子の声がしたような……」
まどか「織莉子さんの?」
さやか「好きすぎて幻聴が聞こえたんですかぁ~?」
キリカ「好きだけど……幻聴は……?」
ほむら「……ゆまちゃんの声も聞こえたのだけど」
マミ「暁美さんはゆまちゃんが好きなの?」
まどか「えっ……」
さやか「ロリコンなの?」
ほむら「何でそうなるのよ」
杏子「何やってんだよ」
織莉子「シーッ!しー!静かに!」
ゆま「?」
杏子「いや、明らかにあんたの声に反応してたぞあいつら」
織莉子「あなた達何でここに?!」
杏子「それはこっちのセリフだよ」
織莉子「わ、私は……私はちょっと……その、えっと……」
杏子「何だよ」
織莉子「その、が、学校に用事?的な……感じで」
ゆま「織莉子お姉ちゃんもタカリにきたの?」
織莉子「へ?」
織莉子「……たかり?」
杏子「人聞きの悪いことを言うな。ゆま」
杏子「ただちょいと、奴らから昼飯のお恵みをいただこうって腹さ」
織莉子「ずいぶんとまぁ……意地汚いというか」
杏子「うるせぇ。ゆま、行くぞ。こいつも連れてこい」
織莉子「えっ!?ちょっ……!」
ゆま「織莉子お姉ちゃんも行こう?みんなで食べた方が美味しいよ」
織莉子「あ、あのっ……」
杏子「おーす」
さやか「あ、野良杏子だ」
杏子「人を野良猫みたいに言うな」
マミ「また侵入してきたのね」
ゆま「うん。ご飯ちょーだいっ」
ほむら「全く。あなたは子連れでそんなことを……」
杏子「うるせーやい」
まどか「ゆまちゃんの将来がちょっと心配だなと思ってしまうのでした」
キリカ「あ、そうだ。丁度いいや。この織莉子のお弁と……」
織莉子「…………」
織莉子「……ご、ご機嫌よう」
キリカ「あ、あぁ幻聴じゃなくて幻覚が……私疲れてるのかな」
さやか「あたしにも見えるんスけど……」
マミ「佐倉さんの幻影……ではないわよね」
まどか「えっと……」
ほむら「……何であなたがここにいるのよ」
ほむら「美国織莉子」
杏子「弁当丸々一個にありつけたぞゆま」
ゆま「やったー」
杏子「おお……これは上物だぞ……!」
ゆま「おいしそう……!」
織莉子「つまり……その、学校を休んだはいいけどやることがなくて佐倉さんの真似事をしちゃったの」
マミ「そ、そう……なの?そう……なんでしょうね。本人がそう言うなら……えぇ」
織莉子(嘘をついた……でもそれくらいの嘘なら許される)
さやか「織莉子さんって……そんなお茶目でアクティブな人だったっけ……?」
まどか「う、ううん」
キリカ「ビックリしけど、学校で会えるなんてそれはとっても嬉しいなって」
ほむら「…………」
ほむら「……美国織莉子。あなた、お昼は?」
織莉子「あ、持ってきました」
キリカ「じゃあ一緒に食べよう」
織莉子「え、えぇ……」
さやか「でも流石に三人も増えたら場所が……」
マミ「大丈夫……リボンをこうやって……」
まどか「わあ、リボンでテーブルとかも作れちゃうんですか?!」
マミ「ワルプルギスの夜を越えてパワーアップしたといったところかしら」
キリカ「私は織莉子の隣ぃー」
織莉子「えぇ」
マミ「それにしても美国さん。学校休んだだなんて……風邪でも引いたの?」
織莉子「わ、私だって一度くらいそういうこと……」
まどか「何ていうか……イメージじゃない」
ほむら「……何か裏があるんじゃないの?」
織莉子「そ、そんなつもりは……」
織莉子(でも、流石に苦しい言い訳か……あぁ、おサボりなんて私のキャラじゃないわ)
キリカ「織莉子っ織莉子っ」
織莉子「ん?何?キリカ」
キリカ「あ~ん」
織莉子「ちょ、ちょっと……キリカっ」
キリカ「ほら、あ~ん」
織莉子「さ、流石に皆の前でそれは……」
さやか「前でってことは……いつもやってるんですか?」
織莉子「……た、たまに」
マミ「ラブラブねぇ」
まどか「…………」
杏子「織莉弁うめぇ」
ゆま「おいしぃ」
キリカ「あ~ん」
織莉子「あ、あー……ん」
キリカ「美味しい?」
織莉子「作ったの私だから自画自賛してるみたいで素直に言いづらいわ」
キリカ「う、うわぁ……そのコメントはないよ」
織莉子「冗談よ。キリカの気持ちが込められていて美味しいわ」
キリカ「えへへ」
さやか「あー、アスパラのベーコン巻きが甘いなぁ」
まどか「…………」
まどか(ほむらちゃんにあーんってしたら……)
まどか(……どんな反応するかなぁ?)
ほむら「……どうかしたの?まどか」
まどか「……あっ、ううん。何でもないよっ」
ほむら「?」
杏子「卵焼き食うかい?」
ゆま「半分こしよう」
織莉子(皆でお弁当を食べれたというのはよかったけど……)
織莉子(結果的にはお弁当作戦は失敗だわ)
織莉子(でも!でもまだ策は残っている!)
織莉子「……キリカ」
キリカ「何?」
織莉子「実はお土産があるのよ」
さやか「お土産?」
杏子「お、食い物か?」
ゆま「キョーコ。まだお弁当残ってるでしょ」
織莉子(作戦その2!)
織莉子(その名も手作りお菓子作戦!)
織莉子(全くそんな様子は見たことがないけど、暁美さんは実は結構普通な女の子!)
織莉子(イコールお菓子が好き!あとコーヒーが好きらしい!)
織莉子(つまり、コーヒー味のお菓子が大好物ということ!多分!)
織莉子(そこでキリカが学校へ行ってから作りましたはコーヒークッキー)
織莉子(まず溶かしバターと砂糖を入れたボウルに卵を入れてよく混ぜる)
織莉子(そしてお湯で溶いたコーヒーを少しずつ入れながらゆっくり混ぜる)
織莉子(そこへ振るっておいた薄力粉を加えてゴムベラで斬るように混ぜ、一時間程冷蔵庫に寝かせる)
織莉子(そしてその生地を丁寧に整えて焼いた!)
織莉子(キリカご満悦間違いなしのこの一品!)
織莉子(これで暁美さんの好感度もあがるはず……!)
織莉子(そして『レシピを教えてくれるかしら』と言われて一緒に作るのよ)
織莉子(これで仲良しが成し遂げられるわ!)
キリカ「こ、これは……!織莉子の手作り……!?ヒュー!やったね!」
マミ「あら、クッキーね」
さやか「おぉ……美味しそう」
まどか「あ、この形かわいい」
織莉子「暁美さん、コーヒー好きでしょう?」
ほむら「え?……まぁまぁね」
織莉子「まぁまぁ?……何にしても、コーヒー通のあなたにと思って作ったのよ。食べてみてくれる?」
ほむら「構わないけど……別に通という程では……」
ほむら「取りあえず、そうね。それじゃあ、いただくわ」
織莉子「えぇ。食べて」
ほむら「……ぁむ」
織莉子「ど、どうかし――」
ほむら「ゴブゥッ!?」
織莉子「あれ?」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
さやか「わー!ほむらが吹き出した!」
杏子「騒がしいなぁ」
ゆま「ごちそーさまでした」
ほむら「ゴフッ、ほむっ、ゲホッ!」
マミ「だ、大丈夫!?暁美さん!」
キリカ「どうした?器官に入っちゃった?」
織莉子「……もしかして口に合わなかった?ちょっと皆さん食べてみて」
さやか「い、いただきます」
キリカ「わーい」
ゆま「ゆまコーヒー苦いから嫌い」
杏子「好き嫌いはいけないぞ」
まどか「あ……甘い……!もの凄く甘い……!」
さやか「コーヒー特有のほろ苦さが死んでる……」
マミ「ど、どれくらい砂糖を入れたの……?」
織莉子「そ、そんなに甘いかしら?」
織莉子「どれ一口」
ほむら「味見してなかったの……?」
織莉子「…………うわぁ」
キリカ「うん。デリシャス!織莉子のクッキーは無限で有限だよ!」
ゆま「甘くておいしい」
杏子「いくら何でも限度ってもんが……だが癖になる」
織莉子(しまった……)
織莉子(うっかりキリカ基準で砂糖増し増しに作ってしまっていたわ)
織莉子(お菓子作りと言えばキリカのためばっかりだったから……)
織莉子(人のために作るということに囚われていて自分の味覚を忘れていたから……)
織莉子(味見するのも忘れてたわ……焼き慣れていたから故の油断!)
織莉子(そして材料の買い物に行ったり途中で魔女と戦ったりして……)
織莉子(お昼休みに間に合わないかもしれないという焦燥!)
織莉子(だからしくじった!……という言い訳はさておいて)
織莉子(やっちゃったわね……これは)
キリカ「やっぱり織莉子のクッキーは最高だよ!」
織莉子「え?あ……うん……ありがとう。キリカ……」
織莉子(キリカの味覚に合わさっているからそれはそうよね)
キリカ「あれ?みんなもういいの?食べないの?」
ほむら「えぇ……結構よ」
まどか「……えっと、すみません」
さやか「ご、ご馳走様です」
マミ「コ、コーヒーの香りがとっても良かったわ……」
織莉子(わ~私のバカバカ!印象最悪よ~)
織莉子(このままじゃあ第三の作戦を使っても持ち直すことはできない)
織莉子(だったら、一旦退いて仕切り直した方がいいかも)
織莉子(ああ……私って、もしかしてドジッ子というやつなのかしら)
織莉子(私は諦めないわよ……暁美さん)
織莉子(絶対にあなたを振り向かせてみせるわ)
織莉子(しかし……暁美さんのことを良く知らないというのはやはりダメね)
織莉子(暁美さんが実は結構お茶目だなんて初めて聞いたし、コーヒー通というのは私の思い込みに過ぎなかった)
織莉子(まずは、暁美さんのことを知らなければならないわ)
キリカ「私はいつでも織莉子の料理やお菓子が食べれるからね。このクッキーを差し上げようではないか」
ゆま「わーい」
杏子「やったー」
織莉子(こういうことを相談できて、暁美さんと仲が良い人……)
織莉子(この中なら私以外……)
織莉子(私以外って……自分で思ってて悲しくなる)
織莉子(さて……鹿目さんは苦手だからなしとして)
織莉子(ゆまちゃんはまだ子どもだし、佐倉さんは何となくそこまで親身になってくれなさそう)
織莉子(キリカはヤンデレ怖いし……)
織莉子(そうなると巴さんか美樹さんか)
織莉子(放課後にでも聞いてみましょう)
織莉子(暁美さんの趣味とか好物とかを知れば活路になりうる……)
まどか(…………)
まどか(織莉子さん……何だかずっとほむらちゃんの方見てる……)
まどか(ほむらちゃんにお弁当を作ったり、クッキー作ったり……)
まどか(急にほむらちゃんにアクションを起こしてきたというか……)
まどか(……もしかして、織莉子さん)
まどか(……いやいやっ、考えすぎだよ……いくら何でも)
まどか(…………)
まどか(ほむらちゃんのことをじっと見られてると……)
まどか(……何だろ。ちょっともやもやする)
まどか(むむむ……)
――放課後
喫茶店
さやか「……それで、何だってあたしに聞くんですか?」
織莉子「……?」
さやか「いや、何を言ってるのって顔しないでくださいよ」
さやか「ほむらと仲良くなりたいだなんて……正直今更感……」
さやか「別にいいんじゃないですか?」
織莉子「あなたがよくても私はよくないのよ。下の名前で呼ばれたいもの」
織莉子「あなた、暁美さんと仲が良いでしょう?」
さやか「いえ、あたしどっちかと言うとほむらにウザがられてる節が……」
織莉子「それも仲良しの一つの形じゃない。いいなぁいいなぁ」
さやか「……織莉子さんってそんなキャラでしたっけ?」
さやか「学校に忍び込んだり砂糖クッキーテロ起こしたり……」
織莉子「…………」
さやか「あ、す、すみません」
さやか「と、取りあえず……ですね」
さやか「ほむらと仲良くしたいなら、まどかに聞いた方がいいかと」
さやか「ほむらと一番仲いいですからね」
織莉子「……それは無理よ」
さやか「え?何で」
織莉子「自分を殺そうとした人間が『あなたの友達と仲良くなりたいの』って相談してきたらどう思う?」
さやか「そ……それは……」
織莉子「鹿目さんにとっては魔女が手を差し伸べてシャルウィーダンス?って言ってるように見えてるはずよ……」
さやか「ま、まどかはそんな子じゃあないスよ……」
織莉子「もうぶっちゃけてしまうとたまに『あ、今なら暗殺できるなー』なんて思うことがあるのよね」
さやか「え゙……」
織莉子「もちろんそんな気はサラサラないわ。契約したらわからないけど……」
織莉子「何てことを考えちゃう背徳感というか罪悪感というか、あるのよ」
さやか「はぁ」
織莉子「そういう理由で私、鹿目さんがちょっと苦手で……」
さやか「ま、まどかが苦手って……織莉子さん、それは流石に……」
さやか(いや、まぁ……無理もないか)
織莉子「……と、とにかくっ」
織莉子「あ、暁美さんと仲良くするにはどうすればいいの?」
織莉子「私……暁美さんとお付き合いしたいのよ」
さやか「……え?」
さやか(お……お付き合い?)
さやか(この人めっちゃ頬を赤らめてるけど……え?)
織莉子(うぅ……呆れられた……鹿目さんが苦手だなんて……恥ずかしいわ)
さやか(……マジ?)
さやか(もしそうなら、今日のお昼学校侵入はほむらへの弁当とクッキーが直結してると言ってもいい)
さやか(まさか、織莉子さん……)
さやか(いや……それは……)
さやか(だが……でもだね……うーん……)
さやか(……『ラブ』、なんスかね……ほむらのことが)
さやか(こ、これは……もしかしてもしかするんじゃあないの!?)
さやか(こういうセリフは仁美あたりが言うのがお約束ってもんだけど……)
さやか(キマシタワーってヤツ?)
さやか(キリカさんといつも一緒だから『そっち』の気はあるんじゃないかとは思っていたけど……)
織莉子「暁美さんとお話したり、色々したいの」
さやか「……あ、あの、取りあえず……なんですが」
織莉子「何?何か良い案でも……」
さやか「マミさんに相談してみてくれませんか?」
織莉子「巴さんに?」
さやか「はい。マミさんなら何とかしてくれるような気がするんです」
織莉子「わかったわ。ありがとう。美樹さん」
織莉子「……(鹿目さんが苦手だということを)内緒にしてね」
さやか「(まさかほむらのことが好きだということを)誰にも言いません……」
――巴宅。
織莉子「と、いうわけなのだけれど……」
織莉子「何とかならないかしら?」
マミ(お、押しつけられた……)
織莉子「よく考えたら、あなたってそういうポジションよね」
織莉子「こう、みんなの相談役、みたいな」
マミ「どこ情報よそれ」
織莉子「さぁ」
マミ「……暁美さんと仲良くしたい、ねぇ」
マミ「暁美さんと仲良くしたいなら、やっぱり鹿目さんに聞いた方が捗ると思うわ。いつも一緒にいるし」
織莉子「だから、美樹さんにも言ったけどあなたは自分を殺そうとした人からそういう相談を受けてどう思う?」
マミ「…………」
マミ「でも、和解したから……」
織莉子「というかいつかの時間軸とやらで私が実際に鹿目さんを殺したらしいし……」
織莉子「とても気まずそうというか、余所余所しいというか……」
織莉子「鹿目さんは、私のことが苦手に違いない」
織莉子「そしてそういう理由で、私は鹿目さん苦手なのよ。わかって」
織莉子「ちなみにこの説明は二回目よ」
マミ「何かごめんなさい」
マミ「呉さんには相談した?」
織莉子「してないわ」
織莉子(というか出来なかったわ)
マミ「あら意外」
織莉子「キリカには話せないの……」
マミ「え……?」
織莉子「あの子……ヤン……ヤキモチ妬きだから、ちょっと……」
マミ(や、ヤキモチ……!?)
マミ(やっぱり……『そういうこと』なの……?)
マミ(飛躍しすぎだと心底では思っていたけど……)
マミ(それなら何だか納得がいってしまうこともある)
マミ(お弁当を用意したのも、コーヒークッキーを焼いてきたのも……)
マミ(そして、この落ち着きのない態度……もしそうなら、辻褄が合う……)
マミ(呉さんは美国さんを『そういう目』で見てるから……)
マミ(暁美さんが好きとなるとショックを受ける)
マミ(だから言うことができないと!)
織莉子(思えばあのヤンデレ顔は怖可愛いかったな……。コワカワ。これは流行る)
マミ「えっと……それで、美国さん」
織莉子「何かしら」
マミ「暁美さんのどの辺に惹かれたのかしら?」
織莉子「……引かれた?」
マミ「えぇ」
織莉子「……そんなこと、言うまでもないでしょう」
マミ「え?」
織莉子「あんなこと(鹿目さんの命を巡るてんやわんや)があったのよ?」
マミ(あ、あんなことって……?)
織莉子「(友達を殺そうとしたんだから)引かれるに決まっているじゃない」
マミ(何……だと)
織莉子「命がけで争った間柄、当然そうなって然るべきよ」
マミ「そ、そう……」
マミ(何が……何があったの!?あんなことって、色々って何!?)
織莉子「変なこと聞くのね」
マミ(当然の如くって顔をしている……)
マミ(よくわからないけど……すごいことになっちゃったのね)
マミ「……で、でも、お似合いだと思うわ……えぇ」
織莉子「お似合い?」
マミ「特に何がってこともないけど」
織莉子「?」
織莉子「それで、何かいい案はあるのかしら?」
マミ「えっと……ごめんなさい」
織莉子「……それは、つまり」
マミ「すぐには思いつかないわ……」
織莉子「そう……それもそうよね。急だし。私の方こそごめんなさい」
マミ「と、取りあえず、私は私で美樹さんと話し合ってみるわ」
織莉子「そう……なら、頼むわね」
マミ「もちろんよ」
織莉子「じゃあ……キリカが待ってるだろうから、帰るわ」
マミ「え、えぇ……」
織莉子「ではまた。巴さん」
マミ「えぇ……」
マミ「…………」
マミ「……マジ、なのね」
マミ「美樹さんからメールで簡単な事情は聞いていたけど……」
マミ「いつもの冗談と思ったら、本気で美国さん……」
マミ「呉さんが呉さんだから、美国さんの方も『そっち』の気があるんじゃないか」
マミ「何て風には思っていたけど……」
マミ「まさか、それが暁美さんだったなんて」
マミ「まずいわね……まさか性別を超越した恋愛相談を受けるなんて」
マミ「ん、電話……」
マミ「もしもし」
さやか『あ、マミさん。織莉子さんは来ましたか?』
マミ「今帰ったところよ」
さやか『そうですか。……すみません。マミさんに押しつけちゃって』
マミ「ううん。いいのよ」
さやか『……それで……マミさんはどう感じました?』
マミ「やっぱり……美国さんは……」
さやか『そうなりますよね……あの態度』
マミ「呉さんと相愛なものと勝手に思い込んでいたけど……」
さやか『どうしましょうか』
マミ「勿論、美国さんを応援するわ」
マミ「成就されようがされまいが、美国さんが選んだ道だもの」
さやか『そうですね……』
マミ「早速、仮のプラン――プレプランを考えようと思うの」
さやか『そうですね』
マミ「私に押しつけないでよね」
さやか『も、もちろんです』
――翌日
キリカ「おはよう。恩人」
マミ「あ……呉さん。おはよう」
キリカ「どうかしたかい?何か顔色悪そうに見えるけど……」
マミ「い、いえ。ちょっと……眠れなくて」
キリカ「そう?無理はしちゃダメだよ」
マミ「えぇ……」
マミ(ああ……呉さん。美国さんのことを知ったらどう思うだろうか)
マミ(呉さん、結構『ガチ』だから、下手したら魔女になったり……)
マミ(いくら呉さんでも流石にそれはないと思うけど……)
マミ「ところでいつまで私はあなたの恩人なの?」
キリカ「ん?あぁ、そうだね……」
キリカ「落とし物の一件から勉強やワルプルギス戦での治療や援護その他諸々の恩義を足すと……」
キリカ「…………」
キリカ「私が飽きるまでかな」
マミ「あ、飽きるって……」
キリカ「いいじゃないか。特に恩を返すために何かしてるってわけじゃないし」
マミ(それはそれでどうなの……?)
仁美「あ、マミさんとキリカさんですわ」
さやか「お、おはようございますー」
マミ「あ、あら、おはよう」
キリカ「モーニン」
マミ「……あれ、鹿目さんは?」
さやか「保険委員のお仕事で先に行ってます」
キリカ「ほむら元気?」
ほむら「え?えぇ、まぁ」
さやか「…………」
マミ「…………」
さやか「はぁ……」
マミ「はぁ……」
仁美「さやかさんは今朝からこの調子だけど、マミさんまで……」
ほむら「あなた達、何かあったの?」
マミ「お気遣いどうも……」
さやか(あんたのことで悩んでんだよ……)
仁美「あの……体調が悪いのでしたら無理をなさらず……」
さやか「ただの寝不足だよ……」
さやか(実質二時間しか寝てないわー。辛いなー……二時間しか寝てないわー。カーッ!)
マミ「私もよ……ほんと、色々あってね……」
マミ(昨晩美樹さんと会議してさぁ解散しようってところで魔女が現れておかげでほぼ徹夜よ)
ほむら「……本当に大丈夫?支障はない?」
マミ「大丈夫よ……これくらい」
キリカ「……無茶はしないに限るよ」
マミ「気遣ってくれてありがとね……」
さやか「……ねぇ。ところでほむら」
ほむら「何かしら?」
さやか「織莉子さんのこと、どう思う?」
仁美「織莉子さん?」
マミ「そういえば志筑さんは知らないわね」
キリカ「私の天使だよ」
仁美「キマシ」
さやか「仁美を刺激しないでください」
ほむら「で、美国織莉子をどうって……?」
マミ「ほら、美国さんって学校が違うし、佐倉さんやゆまちゃんと比べると会う機会が少ないじゃない」
マミ「その……色々あったから、暁美さん、美国さんをどう思ってるのかなーなんて……」
ほむら「だから、どうって何がどうなのよ」
さやか「いい人だとか、優しいだとか、知的だとか、上品だとか……」
マミ「スタイルがいいとか、実は結構可愛らしいところがあるとか、料理が上手だとか……」
ほむら「何よその美国織莉子推しは」
キリカ「わかってるねぇ」
仁美「会ったことないので話についていけませんですわ」
ほむら「料理……そうね」
ほむら「前にキリカから貰ったおかず。確かに美味しかったわ」
ほむら「そう言えば昨日、折角お弁当を作ってくれたけど結局食べてなかったのよね」
ほむら「一口くらいいただいておけばよかったかしら」
キリカ「私のはあげないよ!」
ほむら「何も言ってないわよ……」
仁美「織莉子さんという方に会ってみたいですわ」
マミ「そうね……機会があれば」
さやか「それでほむら……他には?」
ほむら「他にって……あなた何がしたいの?」
さやか「う……」
マミ(あまり食い下がると不審に思われそうね……)
マミ「ほら、暁美さんと美国さんって啀み合ってたから」
さやか「そ、そうそう」
マミ「今はどうなのかなーって」
キリカ「……悪いの?」
ほむら「……少なくとも良い印象はないわ」
ほむら「まぁ、確かに会話する機会はあまりないし……彼女のことよく知らない」
ほむら「苦手意識がないこともないのだけれど……仲悪く見えるのかしら?」
さやか「いや、そこまでは……」
ほむら「私も私で、彼女とは個人的に仲良くなりたいとは思っているのだけれど……」
仁美「まぁ……」
さやか「!」
マミ「!」
キリカ「そう言えば織莉子もほむらに苦手意識持ってるって冗談めいてたけど言ってっけかなぁ……」
ほむら「そ、そう」
マミ「じゃ、じゃあ、暁美さん。美国さんと仲良くなりたいって気はあるのね?」
ほむら「……ないこともないわね」
ほむら「彼女のおかげで今の私があると言っても間違いではないし……」
仁美「何があったのでしょうか……」
ほむら「ちゃんと、お礼も言いたいし……その……」
ほむら「な、仲良く……なりたい、わね……」
ほむら(あぁ、もう……照れくさい……)
さやか(顔が赤いぞ……)
マミ(もしや……脈有り!?)
仁美(ほむらさんは肌が白いからちょっと照れただけでもわかりやすいですわ)
キリカ「うん。よく言った」
キリカ「何だぁ。ほむらも可愛いところあるじゃあないか」
ほむら「あっ、ちょ、ちょっとっ」
キリカ「よしよし。織莉子教に入信するかい?するなら今から創るけど」
ほむら「しないわよ!あ、頭を撫でないでっ!」
仁美「キマシ」
キリカ「もしかして撫でられるのは嫌い?」
キリカ「私は織莉子にしてもらうとすごい嬉しいが」
仁美「キマシ」
ほむら「き、嫌いというか……と、とにかくやめなさいっ」
ほむら「私と美国織莉子はひとまずとして……まどかには秘密にしてくれる?」
仁美「まどかさんに……ですか?」
ほむら「えぇ。まどかと美国織莉子は色々あってね……」
ほむら「ぎこちない関係の中、美国織莉子と、な……仲良くなりたいだなんて言われてみなさい」
ほむら「まどか、きっと気を使っちゃうでしょうから」
さやか(流石に殺しそうになったとか言えないよねぇ)
マミ(友達が自分を殺そうとした人と仲良くしたいみたいだなんて言えないわよねぇ)
キリカ(致し方なし)
仁美(まどかさんと織莉子さん……一体何が……)
さやか「……それにしても、マミさん」
マミ「暁美さんがそっちかどうかはさておき、悪くはないわね」
さやか「っスね」
マミ「早速、後でプランをもう一度まとめましょう」
さやか「そうですね」
仁美「あの二人はひそひそと何を話しているのでしょうか」
ほむら「寝不足同士で話すことがあるんじゃないかしら」
マミ(織莉子さん……あなたの願い、叶えられるわよ)
さやか(見てらっしゃいますか?)
キリカ「あ、何か空を見上げ始めたよ」
――白百合女子中学校
織莉子「…………」
織莉子(うぅ……)
織莉子(お父様の一件からしばらく経ったけど……)
織莉子(相変わらず……だわ)
織莉子(みんな私から距離を置いてるわ……)
織莉子(キリカと出会った頃はこんな気持ちにならなかったのに)
織莉子(巴さん達と知り合いになってからこのもやもやした気分を覚えるようになった)
織莉子(……この感情は、寂しい、なのかしら)
織莉子(いえ……)
織莉子(べ、別にこの気持ちは寂しさなんかではないわっ)
織莉子(だって、私にはもっともっと絆が深まったキリカがいる)
織莉子(それにキリカだけじゃない。巴さん達もみんないる)
織莉子(……学校の外ではひとりぼっちじゃないから、寂しくなんかない)
織莉子(寂しくなんか……)
織莉子(……うぅ)
織莉子「…………」
織莉子「……あ、電話」
屋上
織莉子(えーっと、またキリカからかしら?)
織莉子(あ、違う……巴さんからだわ)
織莉子「……もしもし。巴さん?」
マミ『あ、美国さん。ごめんなさいね。急に電話して』
織莉子「いえ、こちらこそ着信気付かなくてごめんなさい」
織莉子「それで、どうかしたの?」
マミ『暁美さんのことなんだけどね』
織莉子「!え、えぇ。何かいい案が……」
マミ『えぇ』
マミ『前もって言っておくと、暁美さんはあなたと仲良くする気はあるみたい』
織莉子「ほ、本当!?」
マミ『えぇ。だから最初はそこまで気を張る必要はないわ』
マミ『徐々に接していって、相手を引き込んでいけばいい』
織莉子「なるほど……」
マミ『そこで、私と美樹さんでプランを用意したわ』
マミ『名付けて"Buon amico piano"……仲良し計画よ』
織莉子「え?はぁ、そうですか……」
マミ『キュゥべえをそちらへ派遣したわ』
マミ『キュゥべえから私と美樹さんのプランを受け取ってちょうだい』
織莉子(あ、普通にプランって言うのね)
織莉子「それで、あの……私は具体的に何をすれば?プランと言われても……」
マミ『紙媒体なのだけど、それに書いてあることをすればいいわ』
マミ『いいわ、と言っても……あくまで参考程度に、よ』
織莉子「……」
マミ『いい?これ以上私達は協力できない』
マミ『後は全て、あなたがやるの』
織莉子「……!」
織莉子(あくまでも自分の力で暁美さんと仲良しになれ、と……)
織莉子「ええ……!私、頑張るわ……!」
マミ『意気込んでいるわね』
織莉子「それで、そのプランには何が書いてあるの?」
マミ『私達が今まで暁美さんと触れ合った過程と創作物や経験談等から得た知識』
マミ『暁美さんが"されて喜ぶであろうこと"と"そういうのに無難なこと"を織り交ぜているわ』
織莉子(そういうの……スタンダードな友達の作り方といったところかしら)
織莉子(それはさておき、暁美さんが好きなことというのは実に興味深い)
織莉子「なるほど……それで暁美さんの好感度を……」
マミ『その通り』
マミ『名付けて、ほむほむが好きなことシート』
織莉子「え?ほむ……なんですって?」
マミ『それをヒントに、暁美さんに接触して、いつかその思いをぶつけるといいわ』
織莉子「あ、はい。そうする」
織莉子「それじゃ、今日。学校が終わったら、見滝原中学へ迎えに行くわ」
マミ『え?早速?』
織莉子「何か問題でも?」
マミ『……積極的ね』
織莉子「そうかしら?」
マミ『特に口だしはしないけど……それじゃあ、今日、私達が呉さん達をどうにかするわ』
織莉子「どうにかって?」
マミ『それはもちろん、暁美さんと二人きりになるようにするってことよ』
織莉子(なるほど……鹿目さんがいれば暁美さんは鹿目さんにつきっきり、キリカがいればキリカは私につきっきり……)
織莉子(暁美さんにとって皆の中で一番優先順位が低いのは私)
織莉子(二人きりにでもならないと暁美さんは私を相手にしてくれないかも……)
織莉子「えぇ……お願いするわ」
マミ『任せて。それじゃこれで……健闘を祈るわ』
織莉子「えぇ。本当に色々ありがとう。それじゃあまた」
織莉子「………………」
織莉子「いける……!」
織莉子「あの二人の協力があれば……うまくいく!」
織莉子「私が……いいえ、私達が仲良しを成し遂げる!」
――見滝原中学校
放課後
さやか「やっと終わったっちゃー!」
仁美「お疲れさまですわ」
ほむら「やっとも何も、ほとんどあなた寝てたじゃない」
さやか「うるへーやぁい」
まどか「あはは……」
仁美「……ん、何だか校門の方が騒がしいですね」
さやか「ん?本当だ」
まどか「……あれ?あの人……」
さやか「へ?」
ほむら「あれは……」
仁美「あの制服は……他校の方ですわね」
まどか「…………」
さやか「我々はあの少女を知っている!」
さやか「いや!あのサイドテールとあの顔立ちを知っている!」
仁美「知り合いですの?」
ほむら「……美国織莉子」
仁美「あの人が……!」
モブA「ねぇ……この制服、あのお嬢様学校の……」
モブB「どうしてここに……?」
モブC「ざわざわざわざ……」
織莉子「…………」
仁美「誰かを待っている様子ですが……」
さやか(予定通りといったとこだね)
まどか「でも……どうしてここに」
ほむら「キリカを待っているんでしょう」
ほむら「しかし彼女の方から現れるなんて珍しいわね」
織莉子(お、思いの外目立ってちょっと恥ずかしいけど、それはさておき)
織莉子(ほむほむが好きなことシート……)
織莉子(要点はある程度覚えた)
織莉子(後は暁美さんに実行するのみ!)
織莉子(私が暁美さんにする……その1)
織莉子(暁美さんは……)
織莉子(長いループの間、孤独を味わったことが多々あったという)
織莉子(だから、平凡な挨拶の大切さ、重みを痛感しているらしい)
織莉子(一緒に帰ろう、だとか何気ない言葉をかけてもられるが嬉しいらしい!)
織莉子(納得の理由ね)
織莉子「あ……」
ほむら「こっちに気付いたみたいね」
織莉子「ほ、ほむほむさーん!」
ほむら「なッ!?」
まどか「!?」
さやか「は……?」
仁美「ほ、ほむほむ……?」
モブA「ほむ……ほむ?」
モブB「暁美さんが……ほむほむ」
モブC「ごにょごにょそわそわ」
織莉子(ほむほむが好きなことシート……その2!)
織莉子(根から消極的な性格故、積極的にフレンドリーに接してもらえるのが割と好きだというわ)
織莉子(でも馴れ馴れしいのは嫌いだそうだ)
織莉子(フレンドリーと馴れ馴れしいの境界線は個人のよって違うため……塩梅が難しい)
織莉子(フレンドリーといえばニックネームよね)
織莉子(いただいた資料は『ほむほむ』が好きなことシート)
織莉子(それはつまりそういうことよね)
織莉子(学校では『ほむほむ』という愛称で親しまれているということに違いないわ!)
織莉子(それなら私がほむほむって呼ぶくらい問題ない大丈夫でしょう)
織莉子(私も暁美さんに『おりりん』だとか『みくみく』だとか呼ばれたくないということもなくもなくもない)
ほむら「み、美国……織莉子ぉ……!」
織莉子「お疲れさま。ほむほむさん」
織莉子(ほら、顔を真っ赤にさせて照れてる……大成功だわ!)
さやか(あのシートから……いただいちゃったんですね。織莉子さん)
さやか(あのシートを命名したの……あたしなんですが……)
さやか(ちょっとした悪ふざけのつもりで書いたのに……いただいちゃったんですね)
さやか(ごめんなさい……マジ、ごめんなさい)
まどか「……さやかちゃんでしょ。教えたの」
さやか「な、何のことかなぁ~?」
さやか(その……本当にすみません)
ほむら「…………」
織莉子(暁美さんは肌が白いから頬が赤くなるとものすごいわかりやすいわ)
織莉子(私にほむほむと愛称で呼ばれて、ビックリしてテレテレしてえへへに違いない!)
仁美「あ、あの……」
織莉子「あら?あなたは……」
仁美「は、初めまして。織莉子さん」
仁美「私は、ほむらさんの友達の志筑仁美といいます」
織莉子「ああ、あなたが志筑さんね。話には聞いていたわ」
織莉子(暁美さんの友達……羨ましいわ)
織莉子「よろしく。美国織莉子です」
仁美「はい。よろしくお願いしますですわ」
仁美「それで……あの、ほむほむ……?と、いうのは……」
織莉子「え?」
ほむら「……何様のつもりかしら?」
織莉子「へ?」
ほむら「私に恥をかかせて……何がしたいの……?」
織莉子(お、怒ってらっしゃるぅぅぅ!?)
織莉子(……なんで?なんで怒っているの?)
織莉子(……ハッ!)
織莉子「もしかして……ほむほむって、お嫌いだった?」
ほむら「ふざけないで」
織莉子「ご、ごめんなさい」
織莉子「……えっと、じょ、冗談のつもりだったのよ」
織莉子(巴さんの嘘つき……いえ、このノリは間違いなく美樹さんよね。美樹さんの嘘つきぃ!)
さやか(やっべぇー……)
まどか「さやかちゃんの方見てるけど……やっぱりほむほむって教えたのさやかちゃんでしょ」
さやか「は、はは……いやぁ、まさか本気にするとは……」
まどか「…………」
さやか「マジゴメン」
織莉子(う、うぅー……印象が悪いわ……)
織莉子(ここから持ち直せるかしら……)
ほむら「…………」
ほむら(さっきから落ち着きがないわね)
ほむら(…………そうか)
ほむら(美国織莉子……お互い、友好的になりたいというところなのね)
ほむら(ふざけるような性格でないのに、さやかみたいな真似を……そうなら辻褄が合う)
ほむら(差詰めさやかにそう呼ぶと友好が深まるだとか吹き込まれたのでしょう)
ほむら(思いの外単純……というか)
ほむら(純粋な人なのね……)
ほむら「まぁ……許すとしましょう」
ほむら(ほむほむとか変なあだ名が蔓延しないことを祈るとして……)
織莉子「あ、ありがとう……それとごめんなさい」
ほむら(これが彼女のやり方だと言うなら、汲み取ってあげなくてはね)
ほむら「それで……遠回りしてまでここに来た、ということは……」
織莉子「え、あ、えっと……」
織莉子「その……い、一緒に帰りましょう、なんて……」
さやか(よしきた!)
ほむら「……キリカはいいの?」
さやか「キリカさんはマミさんの個人授業受けてるよ」
ほむら「あ、そうなの。あとさやか。覚えてなさいよ」
さやか「げっ」
ほむら「と、いうことだけど……キリカを待つ?」
織莉子「……今日はやめておくわ。帰りましょ」
織莉子(ごめんねキリカ)
さやか「あ、そうだ。まどか」
まどか「……へ?」
さやか「今日、付き合ってくれない?」
まどか「きょ、今日?いきなり?」
まどか「えっと……い、今から?」
さやか「うん……まどかでないとダメな用事なんだ……!」
まどか「え、えっと……」
仁美「さやかさん!まどかさん!あの二人は、あの二人はどういう関係ですの?私、気になります!」
モブA「ねぇまどさやコンビ!あの人と知り合いなの!?」
モブB「お嬢様学校だよ!パネェ!」
モブC「どしたのわさわさ」
さやか「……まどか。頼む。あたし一人じゃ対処しきれない」
まどか「……う、うん」
さやか「これが終わったらCDでも見に行こうや」
さやか「ってことでお二方はお先に行ってちょうだい」
ほむら「私が残って説明した方が……あなた変なこと吹き込みそう」
さやか「……い、いや、折角織莉子さんが来てくれたんだ」
さやか「ほむらが付き合いんしゃい」
織莉子(美樹さん……)
織莉子(ありがとう……本当に……)
織莉子(暁美さんと二人きりに……これで、これでやりやすくなった!)
ほむら「…………」
ほむら(……なるほど。さやかは気を使っているんだわ)
ほむら(私が美国織莉子と仲良くしたいと言ったから……)
ほむら(まどかが一緒なら、私は美国織莉子に話題を振るとかしなさそうだものね……)
ほむら(それに美国織莉子が折角来てくれたのだから、これはチャンスというものね)
ほむら(妙にタイミングが良すぎる気はするけど……まぁいいでしょう)
ほむら(まどかには悪いけど……)
ほむら「……まどか。さやかが変なことを吹き込もうとしたら止めてやって」
まどか「……うん」
織莉子「それじゃ、よろしくね。美樹さん」
さやか「はい」
モブA「ねーどういう関係よー」
さやか「まず、この人はほむらの彼女」
仁美「キマシ」
ほむら「舌を引き抜くわよ」
さやか「さ、さぁせん……嘘です。ジョークです……」
織莉子「暁美さん。まだですか?」
ほむら「今行くわ……それじゃあね、まどか」
まどか「う、うん……またね……」
まどか「…………」
――教室
マミ「…………」
キリカ「ねぇー、恩人」
マミ「何?呉さん」
キリカ「窓の外なんぞ見て、こっから何か見えるの?」
マミ「別に?」
マミ「ほら、それよりも早く解きなさい」
キリカ「わかんないよぉ……」
マミ「解き方は教えたわよ」
キリカ「疲れた」
マミ「まだ始まったばかりよ」
キリカ「やれやれ……」
キリカ「何でつまらない学校に残ってまで……」
キリカ「こ~んなつまらない勉強しなくちゃいけないのさぁー」
マミ「補習を回避したいでしょ?」
キリカ「家でやるよぉー」
マミ「そう言って今日の宿題スッポかしたじゃない」
キリカ「ぐぬぬ……」
マミ「わからないことがあったら教えてあげるから、ほら解いて」
キリカ「あぁー……早く帰って織莉子に会いたい」
マミ「だったら早く解かないと」
キリカ「うむむ」
マミ(どうやら美樹さん。うまく暁美さんと美国さんを二人きりにできたようね)
マミ(後は美国さん次第……)
マミ(……頑張ってね)
キリカ「ねぇ恩人。これわかる?」
マミ「ん?どれどれ?」
キリカ「タテのカギで五文字で最初がデ」
マミ「何々……『デュラハン』かしら?」
キリカ「そうか!ありがとう!」
マミ「ってなんでクロスワードパズル解いてんのよ!」
キリカ「恩人は博識だなぁ」
――帰路
ほむら「……美国織莉子」
織莉子「何かしら?」
ほむら「一緒に帰ると言っても、私の家とあなたの家は方向が違うわよ」
織莉子「そうね」
織莉子「ね、ねぇ、あ……ほむらさん」
ほむら「誰がアホむらですって……?」
織莉子「へ?あっ、ご、ごめんなさい。悪気はないんです」
ほむら「わかってるわよ。でも、慣れないなら無理して下の名前呼ばないで」
織莉子(失敗した……)
ほむら「それで?寄り道でもしようとでも言うのでしょう?」
織莉子「え、えぇ……」
ほむら「いいのかしら?お嬢様学校の生徒が寄り道なんて」
織莉子「よその中学校まで来ておいて、もう遅いわよ」
ほむら「そう」
織莉子「仮にバレても自炊してるからそういう買い物だって言い訳もつくわ」
ほむら「学校に忍び込んだのもそうだけど……あなたって意外と不良なのね」
織莉子「銃刀法違反の武器泥棒さんには言われたくないわ」
ほむら「言ってくれるわね……」
ほむら「私としても殺人未遂犯に言われる筋合いはないわ」
織莉子「あなたは私達に対する過剰防衛を……」
織莉子「……なんて言ってもお互い様ね」
ほむら「そうね……ところで」
ほむら「あなた。どこか寄りたい所でもあるの?」
織莉子「ん?」
ほむら「ここまでわざわざ来て、何も決めてないのと……?」
織莉子「そ、そんなことはないわ」
ほむら「そう?それで、どこに行きたいの?」
織莉子(ほむほむが好きなことシートその3)
織莉子(放課後一緒に寄り道。仲良しの基本よね)
織莉子(買い物?喫茶店?公園?見滝原タワー?)
織莉子(どれも悪くないけど……)
織莉子(暁美さんは、佐倉さんとゲームセンターでよく会っていた)
織莉子(そういう話を聞いたわ)
織莉子(ということはつまり、暁美さんはゲームセンターが好きかもしれない)
織莉子(佐倉さんに会うためにゲームセンターに行っていたという可能性もあるけど……)
織莉子(暁美さん騒がしいのは苦手そう。だけど実は意外に好きそう!)
織莉子「ゲームセンターに行きたいわ」
ほむら「……ゲームセンター?あなたが?私と?」
織莉子「私、実は行ったことないのよね」
ほむら「…………」
織莉子「……ダ、ダメかしら」
織莉子「私……こう……一緒に遊ぶってどうすればいいのかわからないのよね」
織莉子「キリカとは学校が違うという理由で私の家でお茶飲んだりとかばかりだったし……」
織莉子「一緒に出かけるっていうのが……その、よくわからなくて」
ほむら「…………」
織莉子「やっぱり変よね。キャラじゃない。ごめんなさい変なこと言って」
ほむら「……いいわよ」
織莉子「……いいの?」
ほむら「私も昔は入院生活が長くて、友達と遊ぶという経験がなかった……」
ほむら「あの時のまどかに、色んな所に連れてってもらって、体験できたのよ」
ほむら「今度は、私が教える立場ってところね」
ほむら「私ができる範囲であなたをエスコートしてあげる。来なさい」
織莉子「暁美さん……」
織莉子(惚れてまうやろー!)
織莉子(……って叫ぶタレントが居たわね。一昔前に)
――ゲームセンター
織莉子「思ったよりうるさいとこなのね」
ほむら「え?」
織莉子「うるさいとこなのねっ」
ほむら「ごめんなさい。もう一度」
織莉子「うるさいとこねっ!」
ほむら「えぇ、そうね」
ほむら「だからあまり好きじゃないのよ」
織莉子(……あれ、もしかしてまたしくじった?)
織莉子(まぁいいか。これも良い体験よ)
織莉子(何だかよく分からないボタンがたくさんついてるゲーム)
織莉子(あ、これ知ってる。この上で踊るのよね。人前で踊るだなんて恥ずかしいことする人もいるものね)
織莉子(この大きな箱みたいなのは何かしら)
織莉子(ドーム状でゆっくり回るお菓子を熊手みたいなやつで掬うゲーム!初めてお目にかかる!)
ほむら(物珍しそうにキョロキョロして……昔の私を少し思い出すわ)
織莉子「あ、暁美さん。これ」
ほむら「UFOキャッチャーね」
織莉子「ぬいぐるみ以外にも入っているものなのね」
ほむら「えぇ。お菓子とかカップとか小物とか……熱帯魚とか生き物を商品にするものもあるそうよ」
織莉子「へー……生き物を……」
織莉子「ゲームセンターでアルバイトしたら生き物の世話もするのかしら」
ほむら「知らないわ」
ほむら「ところで、やってみたら?」
織莉子「ええ。挑戦するわ」
織莉子(ほむほむ……略称、ほむ好きシートその4)
織莉子(実は可愛いものが好き)
織莉子(ここであのぬいぐるみを取って暁美さんにプレゼントすれば……)
織莉子『ふっ、これくらい簡単ね』
ほむら『やるじゃない。初めてなのに。やるじゃない』
織莉子『ふふふ、五七五で誉めても何も出ないわよ』
ほむら『…………』
織莉子『あら、物欲しそうな顔しちゃって』
ほむら『べ、別にそんなことはないわよっ』
織莉子『よかったらどうぞ』
ほむら『えっ、いいの?やったぁ!嬉しい……大切にするね!』
ほむら『ありがとう!おりりん!大好き!』
織莉子『誰あなた!?』
織莉子(……おっと)
織莉子(背後にある変なゲームキャラのセリフと何か色々と混ざってしまったわ)
織莉子(ふふ……このぬいぐるみ……)
織莉子(ちょっと持ち上げれば簡単に落ちるじゃない)
織莉子(見えるわ……予知能力でなくてもヴィジョンが見える)
織莉子(暁美さんの腕に抱かれたクマちゃんが……)
ほむら「あら、残念ね」
織莉子「えぇー……」
織莉子「どうして?ねぇ、どうしてなの?今……」
ほむら「アームが弱いのよ。こういうのは持ち上げるというよりズラし落とすのがコツよ」
織莉子「『キャッチャー』じゃないじゃない……」
ほむら「そういうものなのよ」
織莉子「ちょっと押せば取れるのに……もう一回」
ほむら「よしなさい。そうやってもどかしさを誘って搾取するのがUFOキャッチャーの手法よ」
織莉子「うぅ……く、悔しいわ……」
ほむら「100円は勉強料だと思って諦めなさい」
織莉子「…………」
織莉子「水晶玉を中に入れてそこから押……」
ほむら「行くわよ」
織莉子「あぁん、待って。もう一回。もう一回だけよ」
ほむら「あなたのためを思って言っているのよ。こんなもの初心者にとっては巨大な貯金箱に過ぎないわ」
織莉子「誰だって最初は初心者よ」
織莉子「あ、じゃあ暁美さん。ちょっとお手本見せてくれる」
ほむら「無理」
「よし、じゃああたしが取ってやるよ」
織莉子「あ、あなたは!」
ほむら「あら、杏子、ゆまちゃん」
杏子「ちっす」
ゆま「ほむ姉ちゃんと織莉子お姉ちゃん!」
ゆま「ぎゅー」
ほむら「ほら、こんなところでしがみつかないの」
杏子「こんな目つき悪いのに猫とかゆまにやたら懐かれるよな。ほむらって」
ほむら「誰が目つき悪いよ」
織莉子「キリカも結構懐いてるわよね」
ほむら「どういう線引きされているのやら……」
ゆま「ほむ姉ちゃんー」
ほむら「それにしてもどうして私だけ『らお』を抜くのかしら」
織莉子「ら抜き言葉?」
ほむら「それだと『お』が……」
ゆま「ほむおねえちゃん?」
杏子「あ?ホモだぁ?」
ほむら「…………」
織莉子「間違っていないわね」
ほむら「伴性遺伝関係ない」
ゆま「あ、そうだ。織莉子お姉ちゃん。クッキーありがとう。美味しかったです」
織莉子「あらあら、わざわざご丁寧にどうも」
織莉子(あの失敗作を美味しくいただいて感謝の極み)
杏子「それにしても珍しい組み合わせだな」
ゆま「マミお姉ちゃん達は?」
織莉子「色々あって私と暁美さんの二人よ」
ほむら「それで、あなた達は見滝原に何か用?」
杏子「ん?別に。マミんちにたかろうと思ってな」
ゆま「泊まりにいくって約束したの」
織莉子(お泊まり……か)
織莉子(その作戦の終着点……)
織莉子(暁美さんとパジャマパーティと言ったところかしら)
杏子「まぁそれよりも……だ」
杏子「この人形。取ってやるよ」
織莉子「え?でも、暁美さんが取れないようになってるって……」
ほむら「そこまでは言ってないわよ……取れなきゃゲームにならない」
ゆま「キョーコはゲームの達人なんだよ」
織莉子「そうなの……じゃあお願いしようかしら。500円でいい?」
杏子「おう」
ゆま「織莉子お姉ちゃんクマさん好きなの?」
織莉子「へ?」
ほむら「そういえばそうね」
織莉子「えっと……その」
織莉子「まぁ、そこそこ……」
ほむら「正直意外だわ。まどかと趣味が似てるのね」
織莉子「そ、そう……?」
織莉子(思わぬ所で鹿目さんの趣味がわかったわね)
織莉子(後々に鹿目さんとも仲良くなりたいとは思っているけど……)
杏子「――取れたぜ」
織莉子「早っ!」
ほむら「流石ね」
杏子「ほらよ」
織莉子「あ、ありがとう……」
織莉子(嬉しいやら、悔しいやら)
ゆま「えっへん!」
ほむら「何でゆまちゃんが誇らしげなの……?」
織莉子(うーん。自分で取って暁美さんにと思って別に欲しかったってわけじゃなかったけど……)
織莉子(キリカにあげよ)
織莉子「ねぇ、あれは何?」
杏子「何だ?プリクラも知らないのか?」
織莉子「プリクラ?」
ゆま「写真のシールを作るんだよ」
織莉子「写真のシールって……証明写真?」
ほむら「絶対にそれとしては使っちゃダメなヤツよ」
ゆま「一緒に撮ろうよ!」
織莉子「えぇ。いいわね」
ほむら「私はいいから三人で……」
杏子「いいから来い」
杏子「おい、ゆま。画面届くか?」
ゆま「うん」
ほむら「…………」
織莉子「結構お金かかるのね」
ほむら「まずはそこなの?」
織莉子「ここは私が払うわ」
ほむら「なら私も半分……」
織莉子「いいからいいから」
杏子「好意は遠慮無くもらっとけ。あんたは遠慮しすぎなんだから」
ゆま「キョーコくらい欲望に忠実になるといいよ」
ほむら「そこまで堕ちたくないわ」
織莉子「暁美さんって意外と毒舌なのね」
ゆま「はーい笑ってー」
杏子「ほむらは特に笑えー」
ほむら「余計なお世話よ」
織莉子「……笑う」
織莉子(……あ、そういえばほむ好きシートに書いてあったっけ)
織莉子(ほむ好きシート。その……あぁ、色々あって忘れた。多分4くらい)
織莉子(くすぐるなら脇腹がツボ)
織莉子(……これってくすぐられるのが好きってこと?)
織莉子(ほむ。ボディタッチも兼ねられるわね)
織莉子「……えいっ!」
ほむら「ちょッ!?」
杏子「なんだ!?いきなり織莉子がほむらの脇腹に手を差しのばしただと!?」
ほむら「あ、あはっ、ちょ、ちょまっ……!」
ゆま「そしてくすぐったぁー!」
ほむら「あ、あはっ、あははははっ、み、みくっ!」
ほむら「やめ、やめっ、はははっ!やめ、なさっ!」
織莉子「はい、笑ってー」
杏子「織莉子ってこんな性格だったっけか?」
ゆま「はい!チーズ!」
織莉子「……悪ふざけが過ぎました……本当にごめんなさい」
ほむら「全く……!」
杏子「いいじゃねぇか。仏頂面よりはずっとマシだ」
ほむら「あなたね……」
織莉子「でも女の子にゲンコツは酷いんじゃないの?」
ほむら「当然の報いよ」
杏子「暴力を受けるのはさやかの立ち位置なのに。変なの」
ほむら「そうよ。美国織莉子。あなた本当に変よ」
織莉子「そうかしら」
杏子「新しい一面が垣間見れたねぇ」
ほむら「一生見せないでほしいくらいだわ」
杏子「まぁまぁいいじゃねーか」
織莉子「そういえばゆまちゃんは何をしてるの?」
杏子「あ、そうそう。撮った写真に書き込んだりできるんだが……」
ほむら「そういえばそんな機能もあったわね」
杏子「まだ参加できるが、やるか?」
織莉子「いえ、ゆまちゃんにお任せするわ」
ゆま「できたー!」
織莉子「まぁ、可愛い」
杏子「あぁ。いい感じだ」
ほむら「…………」
織莉子「暁美さんって笑うと可愛いのね」
ゆま「ギャップ萌えってヤツだよね?」
杏子「ゆまが最近ちょっとさやかに似てきた気がする……」
ほむら「……これは公開処刑なのかしら?」
織莉子「暁美さんハートまみれで可愛いわ」
ほむら「絶対にさやかだけには見せないでよ」
織莉子(面白いわね……今度キリカと一緒に行こう)
――学校
さやか「――と、こうして夕日の河原で殴り合いレベルの争いをして……」
さやか「あたし達と織莉子さんとキリカさんの間に友情が生まれたのであった」
モブA「イイハナシダナー」
仁美「波瀾万丈で紆余曲折の末に色々なことがあったんですのねぇ」
さやか「まぁね」
モブB「あれ?お花摘み行ってる間におりほむ劇場終わっちゃった?」
さやか「あ、おかえり」
さやか「そうだ。まどか見なかった?」
モブB「まどっち?」
さやか「さっきトイレに行ってまだ戻ってきてないんだけど」
モブB「あぁ、さっきすれ違ったよ」
さやか「そうなの?」
モブB「うん。もう帰るって」
さやか「…………」
さやか「何ですと!?」
仁美「ど、どうかしたんですの?」
さやか「あ、いや……何でもない……」
さやか(しまった……)
さやか(もしかしたらほむらと織莉子さんを追ってったんじゃ……)
さやか(幼なじみの勘でわかる……まどかはほむらを気にしている)
さやか(ふむ、折角二人きりにしたのに……)
さやか(どうなってるかわからないけど、下手したらまどかがものスゴイKYな子になってしまう……)
さやか(親友として、それだけは避けたいが……)
仁美「あの……さやかさん?」
「美樹さんッ!」
さやか「うぉう!?」
さやか「マミさん!?」
マミ「呉さん見なかった!?」
さやか「キリカさん?」
モブA「あ!黄金の右脚の巴先輩だ!」
モブB「是非呉先輩と刺し違えたという放課後の決闘の話をオナシャス!」
モブA「あと胸を大きくする方法を教えてください」
モブC「わいわいがやがや」
マミ「え?あの……え?」
さやか「…………」
マミ「美樹さん……あなた、何を話したの……?」
マミ(な、何にしてもマズイわ……)
マミ(もし、呉さんにあの二人を目撃されたら……)
マミ(きっと……ものすごい悲しむわ!)
マミ(呉さんは二言目には美国さんのことを話すような人だから……)
マミ(……下手な愛憎劇よりも過激なことになるんじゃ……)
マミ(追わなくては……!)
マミ「ごめんなさい!私、急いで行かなくちゃいけないから……!」
マミ「美樹さん!後はよろしく!」
さやか「え、ちょ……マミさん!置いてかないで下さいよぉ!」
仁美「それで、さやかさん。結局ほむらさんと織莉子さんは、どこまで行ってますの?A?B?」
さやか「仁美が暴走しよったー!」
さやか「ま、まぁまぁまぁまぁ、落ち着いて落ち着いて……」
さやか「その……ね。別にほむらと織莉子さんはそういう関係でなくてね……」
さやか「ただ、その……ケンカした仲だから、お互いに気まずくてね」
さやか「お互いに友達になりたいわけだよ……」
モブA「え?友達じゃないの?あの二人って」
さやか「お互いが納得いく友達の基準ってのがあるんだろうよ……多分」
杏子「そんじゃ、あたしらはマミんち行ってくらー」
ゆま「ばいばーい」
ほむら「ばいばい。ゆまちゃん」
織莉子「ぬいぐるみありがとう。佐倉さん」
杏子「いいってことよ。そんじゃあな」
織莉子「……ふぅ」
ほむら「結局色々貰ったわね」
織莉子「えぇ。お菓子がいっぱい。キリカへのお土産にするわ」
ほむら「どうだった?初ゲームセンター」
織莉子「面白かったわ。今度はみんなで行きたいわね」
ほむら「そうね」
織莉子(……あ、そうだ)
織莉子(ロッキーを……)
織莉子「暁美さん」
ほむら「うん?」
織莉子「あーん」
ほむら「……え?」
織莉子「ほら、あーん」
ほむら「…………」
織莉子(ほむ好きシート。多分その8とかそれくらい!)
織莉子(あーん、をしてみよう)
織莉子(いや、暁美さんが好きなのかは根拠はないそうだけど、チャンスがあればしておけという指示があった)
織莉子(キリカ以外にするのはちょっと恥ずかしいわね)
織莉子「あーん」
ほむら「い、いいわよ……そんなことしなくても」
織莉子「折角出したんだから、恥をかかせないで」
織莉子「食うかい?って言った方が食べやすいかしら?」
ほむら「そういうことじゃなくて……」
織莉子「ではアレンジを効かせて……」
織莉子「召します?」
ほむら「結構よ」
織莉子「あら残念」
ほむら(なんて恥ずかしい人なのかしら……全くもう……)
織莉子(ふふふ……照れてる照れてる……)
織莉子「ところで、プリクラってどこに貼る物なの?」
ほむら「取りあえずそれは人の目に触れないような場所に貼りなさい」
ほむら「むしろ貼らずに机の奥にしまいなさい」
織莉子「保管。そういうのもアリなのね」
ほむら「はぁ……何か疲れてきたわ」
織莉子「そう?」
ほむら「私は疲れたわ」
織莉子「今は……結構いい時間ね」
ほむら「そろそろ解散しましょうか」
織莉子「もう日も落ちるものね……」
ほむら「えぇ」
織莉子「…………」
織莉子(……まだちょっと物足りないわね)
織莉子「……ねぇ、暁美さん」
ほむら「何?」
織莉子「キリカから聞いたんだけれどね」
ほむら「えぇ」
織莉子「夕日がものすごく綺麗に見える場所があるらしいんだけど……わかるかしら?」
ほむら「夕日……そうね……」
ほむら「それなら、河原の方かしら」
織莉子「じゃあそこで。もう少しだけ付き合って?」
ほむら「……あなた。今日は随分と積極的ね」
織莉子「ふふ、今日の私はテンションがちょっとだけ高いわよ」
ほむら「さっさと行くわよ。……夕日見たらすぐに解散するから」
織莉子「わかっているわよ」
織莉子「…………」
織莉子(……今がチャンスかしら)
織莉子(ほむ好きシートその約9!)
織莉子「……えいっ」
ほむら「……え?」
織莉子「ふふ……繋いじゃった」
ほむら「なッ……!?」
織莉子(……手を繋ぐ)
織莉子(暁美さんが最初の時間軸とやらの話をした時……)
織莉子(魔法少女の鹿目さんに手を引っ張られていたらしいという聞いたわ)
織莉子(だから手を繋ぐのが好きなんじゃないかな、と)
織莉子「ね、連れてって」
ほむら「わ、わかってるから。でも手を繋がなくてもいいから」
織莉子「もしかして恥ずかしいの?」
ほむら「恥ずかしいわよ……」
織莉子「面白いから離さない」
ほむら「…………」
織莉子「痛い痛いたたたたた!」
織莉子「強い!握る力強いわ!やめてっ!」
ほむら「だったら離しなさい……!」
織莉子「は、離してくれなきゃ離せないわよっ!」
ほむら「あぁ、そうだったわ」
織莉子「手が!手が折れる!」
織莉子「いたた……暁美さんって握力いくつ?」
ほむら「魔法を使えば軽く50はいけるんじゃない?計ったことないからデタラメな数字だけど」
織莉子「もぉ~……」
まどか「…………」
――学校
キリカ「ねぇ、恩人……私……もうダメかもしれない」
マミ「ほら、頑張って。あと少しよ」
キリカ「疲労困憊。糖分が足りないから脳が腐って果てる」
マミ「酸素は行き届いているわよ」
キリカ「私はねぇ……織莉子にも勉強教えてもらってるし、それなりにできるんだから大丈夫なんだよ」
マミ「できるは宿題をやらないことの免罪符じゃないわよ」
マミ「ほら。居残りは嫌でしょ?居残りになったら尚更美国さんに会えないわよ」
キリカ「ぐぬぬぬ……」
キリカ「ねー……恩人」
マミ「何?」
キリカ「自販機でジュース買ってきてくれない?」
マミ「……恩人がただのニックネームになってるわよ」
キリカ「買ってきてよー。お金出すからさー」
マミ「もう……」
キリカ「甘いヤツね。あ、でも炭酸って気分じゃないから……」
キリカ「オレンジかリンゴかモモのジュースがいいな」
キリカ「いや、ココアも捨てがたい……」
キリカ「ここは恩人に任せよう」
マミ「…………」
キリカ「あ、これ甘そうだなって思えば大体いいからさ。コーラとかの炭酸はやめてね」
キリカ「あと甘いからと言って加糖コーヒーやミルクティーはご遠慮したい」
マミ「わかった。わかったわよ……しょうがないわね」
マミ「そろそろいい時間だし、戻ってくるまでに問三を解いててね。これ終わったら帰りましょう」
キリカ「っしゃぁぁッ!」
マミ「でも宿題が終わったわけじゃないから安心しちゃダメよ」
キリカ「わかってるよ」
マミ「それじゃ、行ってくるわ」
キリカ「うん。行ってらっしゃい」
キリカ「…………」
キリカ「……よし。行ったね」
キリカ「さぁ、帰ろう」
キリカ「恩人には悪いが、いい加減帰らないと」
キリカ「今頃織莉子が一人家で寂しがってるはずだ」
――河原
ほむら「ここがそうよ」
織莉子「……綺麗ね」
ほむら「ええ」
織莉子(とってもいいムードだわ)
織莉子「……日没してからの数十分」
織莉子「えっと、何だったかしら……ラッシュア」
ほむら「マジックアワー」
織莉子「そ、そう。それ……」
織莉子「このまま少し待って、見ましょうよ。マジックアワー」
ほむら「……いいけど」
織莉子「ありがとう」
ほむら「……あなたはいいの?帰らなくて……キリカを待たせているんじゃ?」
織莉子「一日くらい、遅くなってもいいでしょ。キリカだってこの間連絡もなしに居残りして私を待たせたもの」
織莉子「勉強会とか言っていたっけ?」
ほむら「何だか、子どもっぽい理屈ね」
織莉子「そうかしら」
ほむら「意地を張ってるって感じ」
織莉子「ふふ……そうかしら」
ほむら「…………」
織莉子「こうして見ると……この街」
織莉子「ワルプルギスの夜の傷跡、結構残っているわね」
ほむら「……えぇ」
織莉子「……タワーの上から見たらもっと見えるわね。この街の様子」
ほむら「……見てくる?」
織莉子「いいえ……心苦しくなるだけ」
織莉子「……あの戦いは、とても辛かったわ」
ほむら「そうね」
織莉子「何故だかあの激戦、もう遠い昔のことのように思えてきてた」
ほむら「私は昨日のことのように思い出せるけれどもね」
織莉子「それでも今……もう少し頑張っていたら、あの崩れたビルは大丈夫だったんじゃないか」
織莉子「もう少し早く倒せていれば、その分被害も少なくて済んだんじゃないか」
織莉子「……そう思えてしまう」
織莉子「背景が夕日だと……それをより感じられる気がする」
ほむら「…………」
織莉子「あなたも、もう少し頑張れていたら鹿目さん助けられたって時、あったんじゃない?」
ほむら「……当然よ。何度もあったわ」
ほむら「できなかったという結果しか残らないから」
ほむら「悔いていても仕方ないからって割り切ったけどもね」
織莉子「そう……」
織莉子「嫌な気分にさせちゃったかしら?」
ほむら「別に……」
織莉子「そう。それならいいわ」
織莉子「……それにしても」
織莉子「切ない気持ちになるけど……いいムードよね」
織莉子(そう……いいムード)
ほむら「……えぇ」
織莉子「座る?」
ほむら「立ったままでいいわ」
織莉子「そう……」
織莉子(…………)
織莉子「思い出すわね……あなた達と戦った時もこんな夕日だった」
ほむら「そうね……あまり思い出したくないけど」
織莉子「私もよ。惨めにも返り討ちに遭ったのだから」
ほむら「なら何で話題に出したのよ」
織莉子「……暁美さん。ちょっとこっち向いて」
ほむら「何?」
織莉子「体ごと向いて」
ほむら「何でよ」
織莉子「いいから」
ほむら「だから何――」
織莉子「……ぎゅっ」
ほむら「ッ!?」
ほむら(だ、抱きつい――)
ほむら「ちょ……!」
織莉子「……どう?」
ほむら「や、やめなさい!美国織莉子!」
織莉子「んー……」
ほむら「美国織莉子ッ!離しなさい!」
織莉子「…………わかったわ」
ほむら「な、何なのよ急に!?」
織莉子「ねぇ……ドキドキした?」
ほむら「ふ、ふざけないで!いきなり抱きつくなんて……頭おかしいんじゃないの!?」
織莉子「そ、そこまで言わなくても……」
織莉子「強いて言うならゆまちゃんの真似といったところかしら」
ほむら「あ、あなたねぇ……!」
織莉子「冗談よ。冗談」
織莉子(どかくさに紛れて織莉子って呼んでくれるかなとも思ったけど……)
織莉子「ドキドキはさておき、ビックリはしたでしょ?」
ほむら「…………」
織莉子(ほむ好きシートその……もういくつでもいいや)
織莉子(暁美さんは実は、抱きしめられるのが好き。もし怒ったら冗談ということにすればいい。とのこと)
織莉子(何でも魔法少女の鹿目さんによく抱きつかれていたとか何とか……)
織莉子(しかし……暁美さん。温かかったわ)
織莉子(抱き心地は……他の人で試したことないからわからないけど)
織莉子(正直、ものすごく恥ずかしいわ)
織莉子(だけど……何だか、ノリでできちゃったわ)
織莉子(……ちょっと癖になりそう。今夜にでもキリカに抱きしめさせてもらおう)
ほむら「もう……!」
織莉子「ごめんなさい。つい、ね」
織莉子「抱きしめられるのは嫌だった?」
ほむら「嫌というか……いきなりされても困るに決まってるじゃない!」
織莉子「嫌ではないのね?」
ほむら「じゃあ嫌よ!」
織莉子「ふふ、顔真っ赤にさせちゃって。説得力ない」
ほむら「こっ、これは夕日のせいよっ!」
織莉子「そういうことにしておこうかしら」
織莉子(……これは怒っているのかしら?)
織莉子(ただ大きな声を出して動揺を誤魔化してるだけのようにも見えなくもない……照れ隠し?)
織莉子(取りあえず成功で)
織莉子「私のこと嫌いになった?」
ほむら「べ、別に……嫌いという程では……」
ほむら(……な、何なのよ)
ほむら(一体なんだというのよ……もう……!)
ほむら(美国織莉子……本当に何考えてるのかわからないわ)
ほむら「…………」
ほむら(考えられるとすれば……)
ほむら(…………もしかして)
キリカ「…………」
織莉子「ふふふ……」
ほむら「…………」
ほむら「ねぇ。織莉子」
織莉子「えっ!?……い、今、な、名前で……!」
ほむら「は?」
織莉子「今!名前で呼んでくれたわよね!?」
織莉子「美国織莉子じゃなくて、織莉子って!」
ほむら「え、えぇ……」
織莉子「嬉しいわっ!ついに……ついに……暁美さん!」
ほむら「…………」
ほむら「話を聞きなさい」
織莉子「あ、はい」
ほむら「ずっと気になってはいたわ」
ほむら「まあ私もあなたとはいつまでもギスギスした関係はしていたくなかったし……」
ほむら「これがあなたなりのやり方なんだと思って、何も口出しはしなかった」
織莉子「えぇ」
ほむら「だけど、単刀直入に聞くわ」
ほむら「私の勘違いかもしれないから大きく考えることはない」
織莉子「?」
ほむら「その、織莉子は私のことが……好き、なの?」
織莉子「え?」
ほむら「…………」
織莉子「……好き、だけど。それが何か」
ほむら「それは、どういう意味で?」
織莉子「意味?意味って……」
ほむら「友情?愛情?」
織莉子「あ、愛情?」
織莉子「妙なことを聞くのね……友情よ?もちろん」
ほむら「…………だったら、おかしいと思わないの?」
織莉子「……?」
ほむら「本当に思っていないの?」
織莉子「何か、変かしら?」
ほむら「私は、これがあなたなりの友情の育み方なんだと本気でそう思っていた」
ほむら「だから振り回されつつも敢えて何も言わなかったけども」
織莉子「何が言いたいのよ」
ほむら「これ……誰がどう見たって……」
ほむら「放課後デートじゃない」
織莉子「…………」
ほむら「…………」
織莉子「で……」
織莉子「デートォッ!?」
ほむら「……どう見てもそれよ。同性だけど」
ほむら「ただの下校途中の寄り道ならまだしも、くすぐってきたり手を繋いだり抱きついたり……」
ほむら「奇妙すぎるわ」
織莉子「そ、そんな!わ、わた、私はただ友好を深めようとしただけで……」
織莉子「あの、そんなつもりは……ご、誤解させたなら……ごめんなさい」
ほむら「抱擁してまで自覚なかったの……?」
織莉子「その、気を使わせちゃったわね……ごめんなさい」
ほむら「……謝ることはないわ」
ほむら「お弁当やクッキーを差し出したりしたのはさておき……」
ほむら「デートもどきで色々したり、手を繋いだり抱きしめてきたり……」
ほむら「それらはどういう理屈でその行動に至ったのかしら?」
織莉子「……暁美さん、そういうのが好きなんでしょう?」
ほむら「……はぁ?」
織莉子「だから、手を繋いだり、ハグされるの好きなんでしょ?」
ほむら「……誰がよ」
織莉子「え?でも、巴さんと美樹さんからもらった情報なんだけど」
ほむら「…………」
織莉子「タイミングや方法は私の独断とは言え、ほむ好きシートをあの二人から……」
ほむら「やっぱりあの二人なのね……変だと思ったわ」
ほむら「って何よほむ好きシートって」
織莉子「あの二人が私にくれたの。書いてあることをすれば暁美さんを落とせるって」
ほむら「落とすってあなた……」
織莉子「落とす……物事の決まりを着ける。決着をつけること」
ほむら「いや、そういう意味もあるでしょうけど」
織莉子「私はあなたと仲良しを成し遂げることで自分自身の気持ちにも決着を……」
ほむら「いいからそのシートとやらを寄越しなさい」
織莉子「あ、はい」
ほむら「何々……これはさやかの字ね」
ほむら「……頭を撫でる。抱きしめる。ボディタッチ。耳に息を吹きあてる。積極的に話しかける」
ほむら「二人でお出かけ編、いきなり手を繋いでみよう。プレゼントをしよう。ちなみにほむらは結構カワイーものが好き」
ほむら「何かを食べる機会があるなら『あーん』をしてみよう。フライドポテトやロッキーとかがオススメ……」
ほむら「お泊まり編、一緒に入浴まで行き着ける、ムーディなふいんきでの夕食、ベッドに押し倒す、後は好きにヤっちゃって……!?」
ほむら「……何よこれェッ!」
織莉子「このリストにあることをすればほむらさんは私にメロメロになるとのことで」
織莉子「ちなみに五枚くらいセットになってて、あなたが持ってるのはそれらの内ページ4にあたるわ」
ほむら「聞いてないわよ」
織莉子「全く……デートと言われてみれば、確かにこれって変よね」
織莉子「一緒に入浴だなんて何かちょっとおかしいとは思ったのだけど……」
ほむら「メロメロという言葉が出てきた時点でおかしいと思いなさいよ!」
ほむら「あなた本当に美国織莉子?偽物じゃないでしょうね?」
ほむら「ワルプルギスの夜で頭を打って狂っちゃったんだじゃあないでしょうね!?」
織莉子「そ、そこまで言わなくても……」
織莉子「でも、デートと言われてやっと気付いたわ。私はあの二人に騙されていたのね」
ほむら「騙す意図があってかはさておき、もう遅いわよ」
織莉子「キリカといつも一緒で、そういうことの三割四割は日常だから感覚がズレてたのよ」
ほむら「……日常茶飯事なの?これが?」
織莉子「でも胸やお尻を触るとかはえっちなイタズラはしてないわよ」
織莉子「あとハグもしてない」
織莉子「ベッドに押し倒すの意味がよくわからないのだけど、プロレスごっこ好きなの?」
ほむら「抱擁はともかく、そんなのも書いてあったのね……」
織莉子「スルーされたわ」
ほむら「……あなた達って本当に仲がいいのね」
織莉子「あなたと鹿目さん程ではないわ」
ほむら「ベクトルが違うわよ」
織莉子「しかし、仲良くするという言葉に齟齬が発生していたなんて」
織莉子「早くに気付いてよかったわ」
ほむら「むしろ遅すぎる方だと思うのだけれど……」
織莉子「そう?」
ほむら「このままだとエスカレートしてキスをしろとか言われてたんじゃないかしら」
織莉子「えぇっ!?き、きき、キスぅ!?」
織莉子「そんなの嫌よっ!」
ほむら「……そう全力で否定されるとそれはそれで傷つくわ」
織莉子「あっ……ご、ごめんなさい」
ほむら「まあ私もあなたとしたくないけど」
織莉子「…………」
織莉子「……さらっと言われると……その」
織莉子「……傷つくわね」
ほむら「でしょう?」
織莉子「…………」
ほむら「…………」
織莉子「……ふふっ」
ほむら「……ふふ」
織莉子「何かしらね、このやりとり」
ほむら「えぇ、変なの」
織莉子「はぁ、可笑しい」
ほむら「…………」
ほむら「……あなたと」
ほむら「織莉子とこんな話ができる日が来るとは思わなかったわ」
織莉子「……私もよ」
ほむら「……ねぇ、織莉子」
織莉子「何?……ほむらさん」
ほむら「私、ね。正直なところ、あなたが憎かったわ」
織莉子「…………」
ほむら「もちろん、あなたがまどかを抹殺しようと考えなかった時間軸」
ほむら「そもそも契約しなかった時間軸も確かにあったけど……」
ほむら「その時の私はあなたに対して憎悪しか感じなかった」
ほむら「実際、あなたを契約前に暗殺した時間軸もいくつかあったわ」
織莉子「そう……」
ほむら「だけど、今回はそれをしなかった」
ほむら「正確にはできなかった」
ほむら「ワルプルギスの夜が必ず寸分違わず同じ時間に現れるとは限らないように……」
ほむら「暗殺しに行こうとした日にはあなたはもう契約していた」
ほむら「そしてまた……『また』と言ってもあなたはあなただけど、まどかを殺そうとしたわね」
織莉子「……えぇ。その時は、それが絶対だと考えていた」
織莉子「私の生きる理由は、救世……鹿目さんの抹殺しかないと思っていた」
織莉子「自分の信じた道が真実だと思い込んでいた……」
織莉子「脇道には目もくれずにただただ我武者羅に突き進んでいた」
織莉子「それを邪魔するあなたが憎かった」
織莉子「だけど……今にして思うと……」
織莉子「あなたが来てくれたから、魔法少女狩りを取りやめてキリカに人殺しをさせずに済んだわけだし……」
織莉子「あなたが半殺し程度にしておいてくれたから、私とキリカが今、こうして生きて、笑っていられる」
織莉子「ほむらさん。本当に、ありがとう」
織莉子「私達を生かしてくれて。私達に、道を示してくれて」
ほむら「……私の方こそ」
ほむら「あなた達のおかげでワルプルギスの夜を倒せたと言っても過言ではない」
ほむら「結果ありきのことだけど……」
ほむら「本当にありがとう……織莉子」
ほむら「あなたを殺さなくてよかった」
織莉子「あなたに止められてよかった」
ほむら「……握手でもする?」
織莉子「それはいい考えだわ」
織莉子「今度は強くしないでね」
ほむら「あなたが変なことを言わなければね」
織莉子「…………」
ほむら「…………」
織莉子「あなたの手。温かいわ」
ほむら「そういうあなたこそ」
織莉子「……ねぇ、ほむら」
ほむら「何かしら」
織莉子「本当に付き合っちゃいましょうか」
ほむら「……え?」
織莉子「これ以上エスカレートする前に」
ほむら「…………」
織莉子「あの二人に見せつけてしまいましょう」
ほむら「……そうね」
ほむら「勘違いとは言え、私達を振り回してくれた報復といきましょうか」
織莉子「えぇ。ふつつか者ですが、よろしく」
ほむら「……で?具体的な方法とかはあるの?」
ほむら「正直言うと、付き合うことになったとか言ってもその時点で相手の思うつぼじゃない?」
織莉子「その辺はこれから考えるわ」
織莉子「それよりも、私が下の名前で呼び捨てしたのにリアクションはないの?」
ほむら「別に?」
ほむら「照れて欲しかったの?織莉子」
織莉子「……いいえ?」
織莉子「……あっ」
ほむら「どうしたの?織莉子」
織莉子「ほら。見て。ほむら」
ほむら「……マジックアワーね」
織莉子「綺麗……」
ほむら「でも、数十分だけなのよね」
織莉子「短いから、特別綺麗に見えるのかしら」
ほむら「かもしれないわね」
織莉子「……あなたとのデートごっこも、短かったわね」
ほむら「えぇ。今にして思えば楽しかった」
ほむら「……また、二人で出かけてみる?」
織莉子「それも面白そうね」
織莉子「だけど……私はみんなでお茶会やお出かけをしたいわ」
ほむら「そうね。私もよ」
織莉子「楽しみね」
ほむら「えぇ……それじゃ、織莉子。そろそろ帰りましょうか」
織莉子「えぇ。ほむら」
――公園
まどか「…………」
まどか(そんな……)
まどか(なんとなく、もやもやしたからこっそりほむらちゃんを追いかけていったけど……)
まどか(織莉子さんと……手、繋いでた。ほむらちゃん……)
まどか「…………」
まどか(……織莉子さんがほむらちゃんのことが好きだったんだ)
まどか(そう言えば、ほむらちゃん、織莉子さんと仲良くなりたいって……)
まどか(…………)
まどか(それで、いいんだよね……)
まどか(わたしみたいなドジよりも……)
まどか(織莉子さんみたいな美人で頭がいい人の方の側の方が、そりゃいいよね……)
まどか(わたし何かじゃ相手にならないよ)
まどか(お似合いのカップルだよね……)
まどか「……はぁ」
まどか(……何で、そんなこと考えてるんだろう)
まどか(『戦っても無駄だ』なんて……そもそも戦うだなんてしないのに……)
まどか「でも……」
まどか(織莉子さんと手を繋いでるほむらちゃんを見て……)
まどか(わたし、何だか、悔しかった)
まどか(織莉子さんがすごい羨ましかった)
まどか(やっぱり……これって、ヤキモチなのかな)
まどか(いつだってわたしのことを気遣ってくれて……)
まどか(わたしを救ってくれるために辛い思いをして……)
まどか(何度もわたしを助けてくれて優しくしてくれた……)
まどか(わたし……そんなほむらちゃんのこと……好きなの?)
まどか(ほむらちゃんのことを考えると、ちょっと緊張するし、手が汗ばむ)
まどか(ほむらちゃん……)
まどか(……恋、なのかな)
まどか(キリカさんの影響かな……ほむらちゃんは女の子なのに)
まどか(女の子同士なのに……そんなのおかしいよね)
まどか(きっと、恋に恋してるとか、そういう感覚なんだろうけど……)
まどか(この気持ち……)
まどか(……わたしだって、ほむらちゃんと手を繋ぎたいし、二人きりでお話もしたい)
まどか(ほむらちゃんと二人きりで……)
まどか「…………」
「……隣、いいかな」
まどか「……キリカさん」
キリカ「…………」
まどか「……どうぞ」
キリカ「ありがと……」
キリカ「…………」
まどか「…………」
キリカ「ハァ……」
まどか「はぁ……」
キリカ「……織莉子がさ」
まどか「…………」
キリカ「織莉子が、ほむらをハグしてた」
まどか「……っ」
キリカ「私、織莉子に会いたくて帰ろうとしたんだ」
キリカ「そしたら、杏子とゆまに会ってね」
キリカ「ゲームセンターで織莉子とほむらに会ったって」
キリカ「私、思ったんだ」
キリカ「もしかしたら、いつだったか織莉子が見たいっていってた、夕日の場所かもって」
キリカ「そこに行ってみたらさ……」
キリカ「織莉子とほむらが一緒にいたんだ……」
まどか「…………」
キリカ「もしやと思って、少し見てたら……」
キリカ「…………」
キリカ「普段ならほむらに文句を言いにつっかかるとこなんだけど……」
キリカ「何か……つい、逃げてしまったよ」
キリカ「反発する磁石みたいに、近寄れなかったんだ……」
まどか「そう、ですか……」
キリカ「…………」
まどか「…………」
キリカ「…………」
まどか「……わたし」
まどか「ほむらちゃんに聞いてみようと思うんです」
キリカ「…………」
まどか「やっぱり迷惑かなとは思うんですけど……」
まどか「織莉子さんが好きなのかどうか、ハッキリさせたいんです」
まどか「どんな結果でも……受け入れたいと思うんです」
キリカ「……受け入れる」
まどか「同列に語るのは失礼とは思うんですけど……」
まどか「マミさん達が……魔法少女が魔女になるっていう残酷な事実を受け入れたみたいに……」
まどか「ほむらちゃんに確認して、事実を受け入れたいと思うんです」
まどか「ほむらちゃんの口から……」
まどか「織莉子さんが好きだって、付き合うことになったって」
まどか「……そう、言ってくれたら……」
まどか「わたしも、割り切れるというか……納得できると思うんです」
まどか「わたしが今、ほむらちゃんに抱いてる感情も……その、正直いって、ハッキリしていないから……」
キリカ「ハッキリしていない……?」
まどか「はい……」
まどか「わたし、ほむらちゃんのことが好きなのかもしれません」
まどか「でも……それがキリカさんみたいな、愛情なのか……よくわからないんです」
キリカ「……そっか」
まどか「どっちつかずの今、ちゃんと知ることができれば諦められるというか……」
キリカ「…………」
キリカ「……うん。そうするといいよ」
まどか「……はい」
キリカ「私は……織莉子に抱いている感情が愛情だって断言できる」
キリカ「だからとは言わないけど……織莉子からほむらが好きだって聞かされたら……」
キリカ「その……受け入れられるか、微妙なとこ」
キリカ「でも、私も……聞いてみるよ」
まどか「キリカさん……」
キリカ「ぐすっ……ホントは嫌だけどさ……私……」
キリカ「君が、君が聞くなら……私も聞かなきゃだから……」
キリカ「私は……君に、情けないとこ見せっ、見せられないからさぁ……!」
キリカ「怖いけどさ……うくっ、正直、とても怖いけどさぁ……!」
キリカ「うぅ、こ、怖いから……思わず逃げて……きたんだけどさぁ……えぐっ」
まどか「…………」
キリカ「う、うぅぅ……織莉子ぉ……!織莉子……!」
「……キリカ?」
キリカ「え……」
まどか「あ……」
キリカ「織莉子……」
まどか「ほむらちゃん……」
織莉子「どうしたの?キリカ……どうして泣いて……」
ほむら「……まどか。キリカに何かあったの?」
キリカ(織莉子とほむらが……二人で……)
まどか(二人一緒に……)
キリカ「う、うぅ……」
織莉子「キリカ?」
キリカ(私……まだ……)
キリカ(まだ覚悟できてない……!)
キリカ(聞きたくない……!今はまだ、勇気がないっ!)
キリカ「……できてない」
織莉子「え?」
キリカ「まだなんだよぉーッ!」
ほむら「き、キリカ!?」
織莉子「キリカァッ!?ど、どこに行くというのッ!?」
織莉子「待ってッ!待ちなさいッ!」
ほむら「あ、織莉子……!」
ほむら「い、行ってしまった……」
ほむら「……ねぇ、まどか」
まどか「…………」
ほむら「その……キリカに何かあったの……?」
まどか(ほむらちゃんが、織莉子さんのことを名前で……)
まどか(美国織莉子って……いつもフルネームで呼んでたのに)
ほむら「まどか……教えてちょうだい」
まどか「……ごめんね。ほむらちゃん」
ほむら「ど、どうしたの……?」
まどか「……お願いがあるの」
ほむら「な、なに?」
まどか「わたしの質問に、ハッキリと答えて」
ほむら「……質問?」
まどか「はぐらかしちゃダメだよ。絶対だよ」
ほむら「……?」
まどか「ほむらちゃんがハッキリと言ってくれれば……」
まどか「わたしの気持ちに踏ん切りがつく」
まどか「諦めがつく……」
まどか「わたしのためにもと思って、教えて」
ほむら「……まどか?あなた、何を言って……」
まどか「……ほむらちゃん」
まどか「織莉子さんと付き合ってるんでしょ?」
ほむら「え……」
まどか「……ねぇ、そうなんでしょ?」
ほむら「違うけど……」
まどか「…………」
まどか「……え?」
ほむら「?」
まどか「いやいやいや……へ、変なこと言わないでよ」
まどか「これ以上、わたしを惨めにしないで……」
まどか「ほむらちゃんは優しいから……気を使わなくていいの」
ほむら「あの……」
ほむら「お言葉だけど……まどか。変なことを言ってるのはあなたの方よ」
まどか「…………」
まどか「だ、だって……ほむらちゃん。織莉子さんと手を繋いで……」
ほむら「……み、見ていたの?」
まどか「それに、キリカさんが、ほむらちゃんを抱きしめてたって」
ほむら「あ、あれは……」
ほむら「まどか。落ち着いて聞いて。あれは違うのよ」
まどか「……何が違うの?」
ほむら「織莉子は、私と仲良くしたいからといって……」
ほむら「その……色々あったらしくて……」
ほむら「結論から言ってしまうと、織莉子はマミやさやかに振り回されたという話よ」
まどか「…………」
ほむら「それで、私も織莉子といつまでも気まずい関係でいたくなかったから……」
ほむら「それに付き合った。ということよ。お互いに友好を深めるためにもね」
まどか「…………そうなの?」
ほむら「えぇ。だから、あなたが想像しているような間柄じゃないの」
まどか「…………」
まどか「……どうして?」
ほむら「え?」
まどか「どうしてわたしに相談してくれなかったの?」
ほむら「まどか……」
まどか「織莉子さんと一緒に遊んで……デートみたいなことして……」
まどか「わたし……その、寂しかった」
まどか「織莉子さんと仲良くしたいなら……相談してくれればよかったのに」
まどか「さやかちゃんやマミさんにも秘密にさせてたんでしょう……?」
まどか「また……わたしに、秘密にして……」
ほむら「……ごめんなさい」
ほむら「織莉子に狙われたあなただから、どうにも言い出せなくて」
ほむら「それに、織莉子はあなたにそういった理由で苦手意識を抱いているの」
ほむら「私が、織莉子と仲良くなって、そしてあなた達二人の仲介になれればとも思ったのだけれど……」
ほむら「あなた、苦手意識を持っているって言うのも言われるのも戸惑う、そういう優しい性格だから」
ほむら「ごめんなさい。まどか……」
まどか「…………」
まどか「……許さないもん」
ほむら「……まどか」
まどか「ほむらちゃんはいつだってそうだよ」
まどか「ループしてる時だって、いつもいつも自分ばっかり悲しいことを背負い込んで……」
まどか「確かに仕方ないことだとは思うけどさ……何でもかんでもみんなに隠して、ずっと一人で……」
まどか「ほむらちゃんに隠し事されるの、わたし、一番辛いんだよ?」
まどか「わたし、ほむらちゃんに避けられてるんじゃないかって、怖かったんだよ?」
まどか「ほむらちゃんに嫌われちゃったんじゃないかって……」
ほむら「そ、そんなこと……」
ほむら「……本当にごめんなさい」
まどか「……今週の日曜日」
ほむら「え?」
まどか「予定ある?」
ほむら「……えぇ。あいてるわ」
まどか「じゃあ!わ、わたしと!」
ほむら「……まどか?」
まどか「わ、わたしとデ、デ……」
まどか「……出かけることッ!」
まどか「そ、それなら許してあげてもいいかなー……なんて」
まどか「えと……そ、その……」
ほむら「…………」
ほむら「……ふふっ」
まどか「わ、笑わないでよぉっ!」
ほむら「ごめんなさい。かわいいことを言うものだから、つい」
まどか(か、かわっ……!)
まどか「あ、あぅ……」
ほむら「それじゃ、今週の日曜日」
ほむら「楽しみにしているわ」
まどか「……うんっ」
ほむら「……ところでまどか」
まどか「なに?」
ほむら「もし、私が織莉子と付き合うことになったって言ったらどう思う?」
まどか「……へ?」
ほむら「言ってたらどう思っていたか、じゃなくて、言ってたらどう思うか、よ」
まどか「?」
ほむら「早い話、そういうネタで織莉子と一芝居打とうと思うの」
まどか「一芝居?そ、それって……」
ほむら「ドッキリってヤツね」
ほむら「勘違いかもしれないとは言え、私と織莉子はおろか、あなたとキリカも振り回してしまったからね」
ほむら「まどかも協力してくれる?」
まどか「……うん!」
ほむら(……織莉子と友達になれた)
ほむら(次は、あなたよ。まどか)
ほむら(今度はあなたが織莉子への苦手意識をなくすのよ)
ほむら(あなたと織莉子が仲良しになる番)
ほむら(あなたが望めば、私も協力するわ)
ほむら(織莉子が望めば、全力でサポートするまで)
ほむら(みんなが仲良し。それは、とっても嬉しいわね)
ほむら(……そう言えば、織莉子のクマ。荷物になるからと、盾に入れさせられてそのままだけど……)
ほむら(このクマをまどかに届けさせる、というのはどうかしら)
織莉子「キリカ!待ちなさい!」
織莉子「お願い……待ってッ!」
キリカ(聞きたくない……!聞きたくないよ……!)
キリカ(まだ……聞く勇気がないよ!)
キリカ(やだよ……嫌だよぉ……!)
織莉子「キリカァッ!」
織莉子「……あっ」
織莉子「キャッ!」
キリカ「ッ!」
織莉子「イタタ……!」
キリカ「お、織莉子っ!」
織莉子「ひ、膝を打って」
キリカ「大丈夫!?織莉……」
織莉子「……えい!」
キリカ「ッ!」
織莉子「ふふ……捕まえたっ」
織莉子「転んじゃったのは本当だけど……来てくれるって思ったわ」
織莉子「ねぇ……何があったの?何であなたは泣いているの?」
キリカ「…………」
織莉子「急に走って行っちゃうなんて、ただごとじゃないわよね……」
織莉子「それって、私に相談できないようなことなの?」
織莉子「あなたが苦しんでるのを、私が黙って見ていられると思う?」
キリカ「…………」
織莉子「お願い……話して。キリカ」
キリカ「やめてよッ!」
織莉子「ッ!?」
キリカ「優しくしないでよぉ……!」
織莉子「き、キリカ……?」
キリカ「聞きたくないんだ……!」
織莉子「き、キリカ……?」
キリカ「聞きたくないんだよぉ……!」
織莉子「何を……何を聞きたくないと言うのよ」
キリカ「織莉子は……」
キリカ「君は私よりもほむらが好きになっちゃったんでしょ……?」
織莉子「え……」
キリカ「私の気持ち、わかっていながら……そっちを選んだんでしょ?」
織莉子「…………」
キリカ「君はほむらと一緒に……夕日眺めてさ……」
織莉子「キリカ……まさか、あの時の……見ていたの……?」
キリカ「うん……」
キリカ「織莉子にハグされて……すごいほむらが羨ましかった。悔しかった」
織莉子「み、見ていたのね……!」
キリカ「それと同時に、怖くなって……逃げた」
キリカ「……正直、私。自分勝手だったと思うよ」
キリカ「自分で勝手に、君は私が好きで当然だって思って……」
キリカ「君が私以外の人を好くなんてあり得ないって思い込んでたに過ぎないんだから」
キリカ「でも、まどかの言葉を聞いて……決心したんだ」
キリカ「正確には……決心しようと思ったんだ……グスッ」
キリカ「うく……織莉子の気持ちを直接聞いて……ひぐっ」
キリカ「そして……うぇっ、おりっ、織莉子が幸せなら……それでいいんだって」
キリカ「君の……君の幸せが一番だよ……えぐっ。辛いけど……ぐす」
キリカ「苦しいけど……受け入れるよ」
織莉子「…………キリカ」
キリカ「……お願い。何も言わないで」
キリカ「今は……今は何も聞きたくない」
織莉子「…………」
織莉子(私のせいだわ……)
織莉子(私の態度のせいで……キリカを泣かせてしまった)
織莉子(……苦しい)
織莉子(……だけどね。キリカ)
織莉子(私は確かに、暁美さんのことも好きよ)
織莉子(だけど……だけどね、キリカ)
織莉子(私の……私の一番は……)
織莉子「…………」
織莉子「……キリカ。こっち向いて」
キリカ「…………」
織莉子「ねぇキリカったら」
織莉子「私を見なさい」
キリカ「…………」
織莉子「キリカ!」
キリカ「もう!何なん――」
織莉子「んっ……」
キリカ「――ッ!?」
キリカ(え……?今……織莉子……)
キリカ(私の……頬……に?)
織莉子「……しちゃった」
キリカ「え……!?え……」
織莉子「キリカの頬に……しちゃったわね」
キリカ「あ……あぅ……あ……」
キリカ「はわわわっ?へ?ほえっ?な……?」
織莉子「ねぇ、キリカ」
織莉子「私の気持ち、教えてあげる」
織莉子「私は、あなたが好きよ」
織莉子「あなたのことを愛してる」
キリカ「……!」
織莉子「あなたが私のこと好きだって、わかっていたわ」
織莉子「だから、暁美さんと仲良くしていたかったのを秘密にしてたのよ」
織莉子「あなたって、ヤキモチ妬きなんだもの」
キリカ「……で、で、で、でもっ、でも、お、織莉っ、織莉子はほむらと……」
織莉子「あれは違うのよ」
織莉子「色々……色々理由があってね」
織莉子「その埋め合わせは、いつかちゃんとする」
キリカ「……う、うぅ」
キリカ「織莉子ぉ……!」
キリカ「私……私……!」
織莉子「寂しい思いさせてごめんね」
キリカ「織莉子ぉ……!」
織莉子「ねぇ……立たせてくれない?」
織莉子「膝が痛くて……肩貸して?」
キリカ「う、うんっ……!」
織莉子「重くない?」
キリカ「大丈夫、だよ……」
織莉子「ねぇ、キリカ」
キリカ「……うん」
織莉子「あなたに嘘をついたりして……」
織莉子「私のこと……嫌いになった?」
キリカ「…………ううん」
キリカ「大っ好き!」
織莉子「私も大好きよ」
キリカ「……えへへ」
織莉子「やっぱりキリカは笑顔が一番かわいいわ」
キリカ「ありがと……でも、織莉子が一番かわいいよ」
織莉子「ふふ、ありがとう」
織莉子「……あ、そうだ。キリカも協力してくれる?」
キリカ「……へ?」
織莉子「みんなを驚かすのよ。私と暁美さんで」
キリカ「よくわからないけど……ドッキリ?」
織莉子「そうよ」
織莉子「私と暁美さんは恋人になるという設定だけど……怒らない?」
キリカ「ううん。だって、織莉子は私が好きなんだもんね」
キリカ「織莉子がそうするなら、私、協力するよ!」
織莉子「よろしい。流石キリカ。物わかりがいいわね」
織莉子(うーん……人前でほむらって言うのはちょっと抵抗があるわね)
織莉子(それは追々慣れるとして……)
織莉子(ほむらとも、これで友達になれた)
織莉子(……後は鹿目さんね)
織莉子(ほむらのおかげで自信ができたわ)
織莉子(……よし!)
織莉子(私は絶対に……)
織莉子(鹿目さんとの仲良しを成し遂げる!)
おしまい
続きは 【後編】 にて

