兄「それでなぜ俺を起こす」
妹「眠れなかったから」
兄「答えになってないな」
妹「だって眠れないんだもん」
兄「・・・」
元スレ
妹「眠れないんだけど」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357068247/
妹「でさ」
兄「なに」
妹「眠れないんだよね」
兄「それはわかった。で?」
妹「可愛い妹が眠れないって言ってるんだよ?兄として何かできることがあるでしょう?」
兄「おう、子守唄でも唄ってやろうか?」
妹「唄えって言ったら唄うのか?」
兄「・・・いや」
妹「じゃあどーすんの」
兄「いや、大人しく寝ろよ」
妹「寝れないからここに来ている」
兄「俺まで巻き込むなよ」
妹「連帯責任だ」
妹「向こう三軒両隣で」
兄「一つ屋根の下だけどな」
妹「なんかいい安眠法知らないの」
兄「アイマスク」
妹「しなくても部屋真っ暗だからいらない」
兄「ホットミルク」
妹「牛乳切らしてる」
兄「羊を数える」
妹「羊嫌い」
兄「じゃあアルパカ」
妹「変わんないし」
兄「そんなに眠れないなら不眠症かもな」
兄「そういえば、不眠症の大半は寝具を変えれば解決するらしいぞ」
妹「今から買いに行けと?」
兄「いや、枕だけでも変えてみるか?俺のと交換で」
妹「えっ・・・」
兄「普通に引くなよ」
妹「いや、そうじゃなくて・・・」
兄「?」
妹「お兄ちゃんの枕を私が使うなんて、
妹「考えただけでもドキドキしちゃって眠れない///」
兄「急にデレが入ってきたな」
妹「だってー、その枕にはお兄ちゃんの汗や髪の毛、それに温もりが残されてるわけでしょー?」
妹「そんなのもらったら、一晩中ほっぺたスリスリしてクンカクンカしちゃいましゅー///」
兄「気持ち悪いな」
妹「・・・すまない、やりすぎた」
妹「若気の至りだ」
兄「ただの深夜テンションだと思うけどな」
妹「でも、ドキドキしちゃうっていうのは割と本当だよ」ボソッ
兄「ん?なんか言ったか?」
妹「・・・何でもないっ!」
妹「お前は・・・お前はどうなんだ!」
妹「妹がついさっきまで使ってた枕で寝るなんて、胸が高鳴らないのか!」
兄「別に」
妹「・・・なるほど」
妹「普段私の下着でオ○ニーしているお前にしてみれば、枕などたいしたことではないということか」
兄「お前、なぜそれを」
妹「えっ、ほんとにしてるの」
兄「あっ」
兄「ととととととにかく寝ろよ」
妹「・・・」
兄「・・・」
妹「ごめん」
兄「なんでお前が謝るんだよ」
妹「私もお兄ちゃんのパンツでしたことあるから・・・」
兄「そっか・・・えっ」
妹「あっ」
妹「ととととととにかく寝ろよ」
兄「寝るのはお前だろ」
妹「いいから寝ろよ!」ガバッ
兄「ぐわっ!」
(ベッドの上の兄に妹が馬乗りになるの図)
妹「・・・」
兄「・・・」
妹「・・・ごめん」
兄「いや、俺こそ・・・ごめん」
妹「・・・」
兄「・・・」
妹「ねえ」
兄「・・・ん?」
妹「腕、疲れたんだけど」
兄「じゃあどけよ」
妹「・・・」
兄「なんで垂直に体下ろしてくるんだよ」
妹「・・・眠れないんだもん」
兄「久しぶりに聞いたなそれ」
兄「ってか顔近いし」
兄「くっつきそう」
妹「じゃあ・・・」
妹「くっつけちゃえばいいんじゃない?」
兄「?」
兄「ちょっ、お前・・・」
ちゅっ
妹「・・・」
妹「ねえ、お兄ちゃん」
妹「一つだけ聞かせて」
妹「私は、お兄ちゃんのことが好き」
妹「お兄ちゃんとして、っていうそれ以上に」
妹「だから・・・お兄ちゃんのパンツで、いけないことしちゃった」
妹「お兄ちゃんは?」
妹「私のこと好きなの?」
妹「それとも、性欲のはけ口として私の下着を使っただけ?」
兄「・・・好きだよ」
妹「・・・」
妹「それは、私と同じ意味での『好き』?それとも、兄妹としての『好き』?」
兄「・・・」
妹「・・・」
妹「お兄ちゃん」
妹「私はそれでも、お兄ちゃんのことが好きだよ・・・」
兄「・・・もう、寝ろよ」
妹「・・・」
妹「・・・うん」
妹「・・・おやすみ」
兄「・・・」
妹「・・・」
(扉、静かに閉まる)
~翌朝~
母「おはよう、妹」
妹「おはよう・・・」
兄「・・・」
母「どうしたの?妹は元気ないみたいだけど。兄も挨拶はいつもするくせに・・・」
兄&妹「・・・」
母(目を合わせようともしないで・・・ケンカかしら?ま、いっか)
~学校~
兄友「兄―!どうしたんだーい浮かない顔して~?」
兄「・・・別に」
兄友「Wow!いつもクールな兄くん、今日は一段とクールだねえ!」
兄友「いつものクールさを1綾波だとしたら、今日のクールさは1530綾波並みだぜ!」
兄「・・・」
兄友「おいおい、そこは『1綾波ってなんだよ』とか『綾波並みってだじゃれかよ』とかつっこむところだろ!」
兄友「・・・なんだよ、つれないやつだなー」
兄「・・・」
妹「雨で部活中止。早帰りかー」
女子1「あー最悪、今日傘忘れちゃった―」
女子2「うち持ってきたから、入ってく?」
女子1「やったー!女子1ちゃんと相合傘だー♪」
女子2「もー、照れるー///」
妹(相合傘、か)
妹(お兄ちゃんと、相合傘・・・)
妹(・・・!)
妹(何を考えているんだ、私は!)
妹「・・・そういえば、私も傘持ってきてないんだよな」
妹「かといって、傘に入れてもらうような友達もいないし・・・」
妹「はぁ、このまま帰るか・・・」
妹「雨に加えて風まで強くなってきたし・・・これじゃ台風じゃないか」
妹「こんなに濡れるとは思わなかった」
妹「まだ家まで15分くらい歩かないと・・・」
ガバッ
(妹、背後から抱きつかれる)
妹「きゃっ!」
妹(な、何?誰?)
妹(痴漢!?)
妹(しかも、ビニールシートで私をくるもうとしている!誘拐!レイプ!!)
妹(くそっ、こんなところでヴァージン・ロストするわけには・・・っ!!)
??「おい」
妹 「やめろ!離せっ!!」
??「俺だよ」
妹 ピタッ
妹「・・・お兄ちゃん?」
兄「風邪ひくぞ。入っていけ」
妹「・・・このレインコートに?」
兄「レインコートに」
妹「傘でしょ、普通」
兄「俺、レインコート派だから」
妹「相合レインコートなんて聞いたことない」
兄「まあ、二人羽織ってとこだろうな」
妹「レインコートに二人は無理だろ」
兄「背が頭一つ分違うんだから、入るだろ」
(兄、自分の前側に妹を入れてレインコートのボタンをかける)
兄「・・・ほら、行くぞ」
妹「窮屈なんだけど」
兄「我慢しろ」
妹「歩きにくい」
兄「お互い様だ」
妹「濡れてる私とくっついてたら、お前も濡れて風邪ひくぞ」
兄「俺はバカだから風邪ひかない」
妹(そうだよな、コイツはバカだよ)
妹(何が二人羽織だ、何がバカだから風邪ひかないだ)
妹(それに、コイツは私の下着で最低なことをしていたんだ)
妹(私に対して特別な感情があるわけでもないのに)
妹(痴漢どころじゃない、レイプ魔みたいなものじゃないか)
妹(それなのに、それなのに・・・)
コイツと――お兄ちゃんといると――
どうしてこんなにもあったかくて――
こんなにもドキドキするんだろう――
兄「着いたぞ」
妹「あれ、もう・・・?」
兄「何が『もう』だ。普段の1530倍並みに時間かかったぞ」
妹「1530倍?なにそれ・・・」
兄「とにかく、早く着替えて、体乾かさないとな」
妹「・・・」
兄「どうした?早く家入らないと、本当に風邪ひくぞ?」
妹「あのね、お兄ちゃん」
兄「?」
妹「昨日のことなんだけど」
兄「・・・!」
妹「いろいろ困らせるようなこと言ったり、勝手にキスしちゃったりして、ごめん」
妹「でも、私が昨日言ったことは全部本当だし」
妹「したことも全部、本当にしたいと思ってしたことなんだ」
妹「だけど、もしそれで、お兄ちゃんが私のこと嫌いになっちゃったとしたら・・・それは・・・仕方ない・・・と思う・・・」
ぽんっ
妹「・・・え?」
(兄、妹の頭に手を載せる)
兄「嫌いになってたら、こんなことしないだろ」
兄・妹「・・・・・・」
ガチャッ
兄・妹「!!」
(玄関のドア、オープン)
母「・・・」
母「あんたたち・・・何してんの?」
兄・妹「・・・」
兄「捨て猫ごっこ」
母・妹「!?」
兄「母さん、この子、道端の段ボール箱にうずくまってたんだ!」
兄「びしょ濡れになって、かわいそうで・・・」
兄「ねえ、うちで飼ってあげようよ!いいでしょ!」
兄「こんなにかわいいし、こんなに大人しいし、」
兄「それに、こんなにかわいらしい声で鳴くんだよ!ほら!」
妹「・・・えっ?」
兄「ほら!!」
妹「・・・」
妹「にゃ~ん」
母「とりあえず、中入りなさい?」
母「タオル持ってくるから、早く部屋行って着替えて、温かくしな?」
兄「で」
兄「なんでお前まで俺の部屋に来るんだ?」
妹「さっき言ってたろ」
兄「何を」
妹「私を飼うって」
妹「飼い主なら、責任持って世話をしろ」
兄「あれはただのごっこ遊びだ」
妹「じゃあ、さっき言ってたのは全部嘘か」
兄「当たり前だろ」
妹「かわいい、っていうのも?」
兄「それは・・・」
兄「とにかく、早く服脱げ」
妹「・・・」
妹「なあ」
兄「何だ」
妹「私たちは今こうして、裸でタオルにくるまり、並んでストーブに当たっている」
妹「興奮しないのか?」
兄「何の話だ」
妹「年頃のおなごが、全くの無防備と言っていい姿ですぐ隣にいるわけだ」
妹「そしてお前はいつでも戦闘可能な格好」
妹「さらに二人っきりときた」
妹「襲いかかりたくなって当然だろう?」
兄「戯言はほどほどにしろ」
妹「・・・」
妹「お前が来ないなら、私から!!」ガバッ
兄「・・・だめだっ!!」ガッ
妹「うわっ!!」バタッ
(兄、妹を振り払う)
妹「どうして・・・?」
妹「私じゃだめなの?」
妹「本当に・・・本当に好きなの! だからしてほしいの!!」
妹「それに、お兄ちゃんが私のこと何とも思ってくれてなくてもいい・・・」
妹「お兄ちゃんのためならなんだってする! ペットにでも奴隷にでもなる!」
妹「下着くらいいくらだって貸すし、体だって・・・」
兄「違う!」
兄「そんなのは・・・違う」
妹「どうして・・・」
妹「どうして・・・・・・」
ポタッ
(妹、うつむいて涙をこぼす)
兄「・・・拭けよ」
兄「せっかく乾いたのに、また濡れちゃうだろ」
兄「もう十分乾いたろ」
兄「自分の部屋行って服着てこい」
妹「・・・うん」
妹「・・・じゃあね」
(妹、扉を閉めようとする)
兄「なあ」
兄「さっきの質問に答える」
兄「あれだけは・・・本当だ」
さて、そろそろ収束に向かいます
妹の口調は、普段はぶっきらぼうに「お前」とか言うけど、
素直になったときは「お兄ちゃん」口調になるっていう感じで変えてる
脚本形式って描写難しい・・・どう書けばわかりやすいんだろう?
~兄の部屋~
兄「・・・」
兄「やっぱり、俺は・・・」
兄「・・・」
~妹の部屋~
妹「・・・」
(兄「あれだけは・・・本当だ」)
妹「でも、それなら・・・」
妹「どうして受け止めてくれないの・・・」
~翌朝~
兄「行ってきます」
妹「待て! 私も行く」
母「二人とも、行ってらっしゃい! 雨降ってるから、気をつけなさいね」
妹「あれ、今日は傘なのか」
兄「レインコート、まだ乾いてないから」
妹「・・・そうか」
(玄関を出た二人。兄は傘をさす)
妹「あれっ・・・」ガチャガチャ
兄「どうした」
妹「開かない・・・壊れてるみたいだ」
兄「困ったな。うち人数分しか傘ないし、母さんは後で買い物行くときに使うだろうし・・・」
妹「仕方ないな」
ひょいっ
兄「・・・こうするしかないのか」
妹「ああ。・・・相合傘だ」
妹「元とは言えば、お前のレインコートが乾かないのが悪いんだ。責任とれ」
兄「・・・仕方ないな」
サーッ…
兄「お前の傘、壊れてるなら置いてくればよかったな」
妹「そういうことはもっと早く言え」
兄「あれっ」
妹「どうした?」
兄「あの女の人・・・傘開かなくて困ってるみたいだ」
妹「・・・」
妹「あの! そこの方!」
女「えっ!? わ、私ですか?」
妹「傘、壊れちゃったんでしょ? これ使って」
女「えっ!? でも・・・」
妹「大丈夫。私たちは1本あればいいから」
女「・・・ありがとうございます!」
バッ
スタスタスタ―ッ…
兄「おい」
妹「・・・」
兄「壊れてたんじゃなかったのか」
妹「・・・ごめん」
妹「その・・・相合傘、したくて・・・嘘ついちゃった」
兄「・・・」
兄「ずっと・・・言えなかったことがあるんだ」
妹「えっ・・・?」
兄「俺も・・・」
兄「俺も、お前のこと、好きなんだ」
妹「・・・!!」
兄「兄妹なのに好きなんておかしい、って思ってたんだ。だから・・・」
兄「だからずっと、自分の気持ち、否定してた」
兄「でも、やっぱり・・・」
兄「俺は、お前のことが好きだ」
兄「今まで、つらい思いさせて・・・ごめん」
妹「ううん、いいの・・・」
妹「いいの・・・」グスン
兄「・・・泣くなよ」
兄「・・・ほら」
ぎゅっ
妹「・・・お兄ちゃん」
妹「お兄ちゃんも、つらかったんだね・・・」
兄「・・・」
妹「私、嬉しかったよ」
妹「昨日、雨の中で私を見つけてくれたとき」
妹「二人羽織で、一緒に家まで歩いてくれたとき」
妹「嫌いになんかなってないって教えてくれたとき」
妹「それに・・・」
妹「いま、こうしてお兄ちゃんと一緒にいられることが・・・」
妹「私、とっても嬉しいよ・・・」
兄「なあ、昨日さ、何でもするって言ったよな?」
妹「・・・え?」
兄「じゃあさ」
兄「目つぶって・・・じっとしてて」
妹「・・・うん」
そして、静かな雨の音に包まれて、二人は――
fin