1 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:24:07.73 zjOavo/50 1/35

「それでなぜ俺を起こす」

「眠れなかったから」

「答えになってないな」

「だって眠れないんだもん」

「・・・」

元スレ
妹「眠れないんだけど」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1357068247/

2 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:33:27.96 zjOavo/50 2/35

「でさ」

「なに」

「眠れないんだよね」

「それはわかった。で?」

「可愛い妹が眠れないって言ってるんだよ?兄として何かできることがあるでしょう?」

「おう、子守唄でも唄ってやろうか?」

「唄えって言ったら唄うのか?」

「・・・いや」





3 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:36:49.77 zjOavo/50 3/35

「じゃあどーすんの」

「いや、大人しく寝ろよ」

「寝れないからここに来ている」

「俺まで巻き込むなよ」

「連帯責任だ」

「向こう三軒両隣で」

「一つ屋根の下だけどな」


4 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:45:11.44 zjOavo/50 4/35

「なんかいい安眠法知らないの」

「アイマスク」

「しなくても部屋真っ暗だからいらない」

「ホットミルク」

「牛乳切らしてる」

「羊を数える」

「羊嫌い」

「じゃあアルパカ」

「変わんないし」

5 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:49:13.04 zjOavo/50 5/35

「そんなに眠れないなら不眠症かもな」

「そういえば、不眠症の大半は寝具を変えれば解決するらしいぞ」

「今から買いに行けと?」

「いや、枕だけでも変えてみるか?俺のと交換で」

「えっ・・・」

「普通に引くなよ」

「いや、そうじゃなくて・・・」

「?」

6 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 04:57:40.27 zjOavo/50 6/35

「お兄ちゃんの枕を私が使うなんて、

「考えただけでもドキドキしちゃって眠れない///」

「急にデレが入ってきたな」

「だってー、その枕にはお兄ちゃんの汗や髪の毛、それに温もりが残されてるわけでしょー?」

「そんなのもらったら、一晩中ほっぺたスリスリしてクンカクンカしちゃいましゅー///」

「気持ち悪いな」

「・・・すまない、やりすぎた」

「若気の至りだ」

「ただの深夜テンションだと思うけどな」


7 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:03:55.54 zjOavo/50 7/35

「でも、ドキドキしちゃうっていうのは割と本当だよ」ボソッ

「ん?なんか言ったか?」

「・・・何でもないっ!」

「お前は・・・お前はどうなんだ!」

「妹がついさっきまで使ってた枕で寝るなんて、胸が高鳴らないのか!」

「別に」

「・・・なるほど」

「普段私の下着でオ○ニーしているお前にしてみれば、枕などたいしたことではないということか」

「お前、なぜそれを」

「えっ、ほんとにしてるの」

「あっ」


8 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:08:59.26 zjOavo/50 8/35

「ととととととにかく寝ろよ」

「・・・」

「・・・」

「ごめん」

「なんでお前が謝るんだよ」

「私もお兄ちゃんのパンツでしたことあるから・・・」

「そっか・・・えっ」

「あっ」



9 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:14:13.92 zjOavo/50 9/35

「ととととととにかく寝ろよ」

「寝るのはお前だろ」

「いいから寝ろよ!」ガバッ

「ぐわっ!」

(ベッドの上の兄に妹が馬乗りになるの図)

「・・・」

「・・・」

「・・・ごめん」

「いや、俺こそ・・・ごめん」

「・・・」

「・・・」


10 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:18:03.10 zjOavo/50 10/35

「ねえ」

「・・・ん?」

「腕、疲れたんだけど」

「じゃあどけよ」

「・・・」

「なんで垂直に体下ろしてくるんだよ」

「・・・眠れないんだもん」

「久しぶりに聞いたなそれ」


11 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:23:12.30 zjOavo/50 11/35

「ってか顔近いし」

「くっつきそう」

「じゃあ・・・」

「くっつけちゃえばいいんじゃない?」

「?」

「ちょっ、お前・・・」

ちゅっ


12 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:28:10.92 zjOavo/50 12/35

「・・・」

「ねえ、お兄ちゃん」

「一つだけ聞かせて」

「私は、お兄ちゃんのことが好き」

「お兄ちゃんとして、っていうそれ以上に」

「だから・・・お兄ちゃんのパンツで、いけないことしちゃった」




「お兄ちゃんは?」

「私のこと好きなの?」

「それとも、性欲のはけ口として私の下着を使っただけ?」


13 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:35:50.56 zjOavo/50 13/35

「・・・好きだよ」

「・・・」

「それは、私と同じ意味での『好き』?それとも、兄妹としての『好き』?」

「・・・」

「・・・」



「お兄ちゃん」

「私はそれでも、お兄ちゃんのことが好きだよ・・・」


14 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/02 05:41:41.19 zjOavo/50 14/35

「・・・もう、寝ろよ」

「・・・」

「・・・うん」

「・・・おやすみ」

「・・・」

「・・・」

(扉、静かに閉まる)


23 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:01:06.72 hNr1ULlC0 15/35

~翌朝~

「おはよう、妹」

「おはよう・・・」

「・・・」

「どうしたの?妹は元気ないみたいだけど。兄も挨拶はいつもするくせに・・・」

兄&妹「・・・」

(目を合わせようともしないで・・・ケンカかしら?ま、いっか)


24 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:03:33.44 hNr1ULlC0 16/35

~学校~

兄友「兄―!どうしたんだーい浮かない顔して~?」

「・・・別に」

兄友「Wow!いつもクールな兄くん、今日は一段とクールだねえ!」

兄友「いつものクールさを1綾波だとしたら、今日のクールさは1530綾波並みだぜ!」

「・・・」

兄友「おいおい、そこは『1綾波ってなんだよ』とか『綾波並みってだじゃれかよ』とかつっこむところだろ!」

兄友「・・・なんだよ、つれないやつだなー」

「・・・」


25 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:10:09.44 hNr1ULlC0 17/35


「雨で部活中止。早帰りかー」


女子1「あー最悪、今日傘忘れちゃった―」

女子2「うち持ってきたから、入ってく?」

女子1「やったー!女子1ちゃんと相合傘だー♪」

女子2「もー、照れるー///」


(相合傘、か)

(お兄ちゃんと、相合傘・・・)

(・・・!)

(何を考えているんだ、私は!)


「・・・そういえば、私も傘持ってきてないんだよな」

「かといって、傘に入れてもらうような友達もいないし・・・」



「はぁ、このまま帰るか・・・」


26 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:15:09.00 hNr1ULlC0 18/35


「雨に加えて風まで強くなってきたし・・・これじゃ台風じゃないか」

「こんなに濡れるとは思わなかった」

「まだ家まで15分くらい歩かないと・・・」

ガバッ

(妹、背後から抱きつかれる)

「きゃっ!」

(な、何?誰?)

(痴漢!?)

(しかも、ビニールシートで私をくるもうとしている!誘拐!レイプ!!)

(くそっ、こんなところでヴァージン・ロストするわけには・・・っ!!)

??「おい」

妹 「やめろ!離せっ!!」

??「俺だよ」

妹 ピタッ



「・・・お兄ちゃん?」


27 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:22:27.90 hNr1ULlC0 19/35


「風邪ひくぞ。入っていけ」

「・・・このレインコートに?」

「レインコートに」

「傘でしょ、普通」

「俺、レインコート派だから」

「相合レインコートなんて聞いたことない」

「まあ、二人羽織ってとこだろうな」

「レインコートに二人は無理だろ」

「背が頭一つ分違うんだから、入るだろ」

(兄、自分の前側に妹を入れてレインコートのボタンをかける)


「・・・ほら、行くぞ」


28 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:34:47.36 hNr1ULlC0 20/35

「窮屈なんだけど」

「我慢しろ」

「歩きにくい」

「お互い様だ」

「濡れてる私とくっついてたら、お前も濡れて風邪ひくぞ」

「俺はバカだから風邪ひかない」



(そうだよな、コイツはバカだよ)

(何が二人羽織だ、何がバカだから風邪ひかないだ)

(それに、コイツは私の下着で最低なことをしていたんだ)

(私に対して特別な感情があるわけでもないのに)

(痴漢どころじゃない、レイプ魔みたいなものじゃないか)

(それなのに、それなのに・・・)



コイツと――お兄ちゃんといると――

どうしてこんなにもあったかくて――

こんなにもドキドキするんだろう――


29 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:43:26.82 hNr1ULlC0 21/35

「着いたぞ」

「あれ、もう・・・?」

「何が『もう』だ。普段の1530倍並みに時間かかったぞ」

「1530倍?なにそれ・・・」

「とにかく、早く着替えて、体乾かさないとな」

「・・・」

「どうした?早く家入らないと、本当に風邪ひくぞ?」

「あのね、お兄ちゃん」

「?」



「昨日のことなんだけど」


30 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 01:55:38.48 hNr1ULlC0 22/35

「・・・!」



「いろいろ困らせるようなこと言ったり、勝手にキスしちゃったりして、ごめん」

「でも、私が昨日言ったことは全部本当だし」

「したことも全部、本当にしたいと思ってしたことなんだ」

「だけど、もしそれで、お兄ちゃんが私のこと嫌いになっちゃったとしたら・・・それは・・・仕方ない・・・と思う・・・」


ぽんっ


「・・・え?」


(兄、妹の頭に手を載せる)


「嫌いになってたら、こんなことしないだろ」

31 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 02:06:29.89 hNr1ULlC0 23/35

兄・妹「・・・・・・」

ガチャッ

兄・妹「!!」

(玄関のドア、オープン)

「・・・」



「あんたたち・・・何してんの?」


32 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/03 02:13:50.47 hNr1ULlC0 24/35

兄・妹「・・・」

「捨て猫ごっこ」

母・妹「!?」

「母さん、この子、道端の段ボール箱にうずくまってたんだ!」

「びしょ濡れになって、かわいそうで・・・」

「ねえ、うちで飼ってあげようよ!いいでしょ!」

「こんなにかわいいし、こんなに大人しいし、」

「それに、こんなにかわいらしい声で鳴くんだよ!ほら!」

「・・・えっ?」

「ほら!!」

「・・・」



「にゃ~ん」

42 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 10:48:10.12 lCsZng440 25/35

「とりあえず、中入りなさい?」

「タオル持ってくるから、早く部屋行って着替えて、温かくしな?」



「で」

「なんでお前まで俺の部屋に来るんだ?」

「さっき言ってたろ」

「何を」

「私を飼うって」

「飼い主なら、責任持って世話をしろ」

「あれはただのごっこ遊びだ」

「じゃあ、さっき言ってたのは全部嘘か」

「当たり前だろ」

「かわいい、っていうのも?」

「それは・・・」



「とにかく、早く服脱げ」

「・・・」


43 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 10:56:37.73 lCsZng440 26/35

「なあ」

「何だ」

「私たちは今こうして、裸でタオルにくるまり、並んでストーブに当たっている」

「興奮しないのか?」

「何の話だ」

「年頃のおなごが、全くの無防備と言っていい姿ですぐ隣にいるわけだ」

「そしてお前はいつでも戦闘可能な格好」

「さらに二人っきりときた」

「襲いかかりたくなって当然だろう?」


「戯言はほどほどにしろ」

「・・・」


「お前が来ないなら、私から!!」ガバッ


44 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 11:03:59.76 lCsZng440 27/35

「・・・だめだっ!!」ガッ

「うわっ!!」バタッ


(兄、妹を振り払う)


「どうして・・・?」

「私じゃだめなの?」

「本当に・・・本当に好きなの! だからしてほしいの!!」

「それに、お兄ちゃんが私のこと何とも思ってくれてなくてもいい・・・」

「お兄ちゃんのためならなんだってする! ペットにでも奴隷にでもなる!」

「下着くらいいくらだって貸すし、体だって・・・」

「違う!」

「そんなのは・・・違う」


「どうして・・・」

「どうして・・・・・・」


ポタッ

(妹、うつむいて涙をこぼす)


「・・・拭けよ」


「せっかく乾いたのに、また濡れちゃうだろ」


45 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 11:17:51.74 lCsZng440 28/35

「もう十分乾いたろ」

「自分の部屋行って服着てこい」

「・・・うん」

「・・・じゃあね」

(妹、扉を閉めようとする)

「なあ」

「さっきの質問に答える」



「あれだけは・・・本当だ」

48 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 18:59:18.18 lCsZng440 29/35

さて、そろそろ収束に向かいます
妹の口調は、普段はぶっきらぼうに「お前」とか言うけど、
素直になったときは「お兄ちゃん」口調になるっていう感じで変えてる

脚本形式って描写難しい・・・どう書けばわかりやすいんだろう?


49 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 19:01:59.22 lCsZng440 30/35

~兄の部屋~



「・・・」



「やっぱり、俺は・・・」



「・・・」


50 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 19:03:28.44 lCsZng440 31/35

~妹の部屋~



「・・・」



(兄「あれだけは・・・本当だ」)



「でも、それなら・・・」



「どうして受け止めてくれないの・・・」


51 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 19:10:25.31 lCsZng440 32/35

~翌朝~

「行ってきます」

「待て! 私も行く」

「二人とも、行ってらっしゃい! 雨降ってるから、気をつけなさいね」


「あれ、今日は傘なのか」

「レインコート、まだ乾いてないから」

「・・・そうか」

(玄関を出た二人。兄は傘をさす)

「あれっ・・・」ガチャガチャ

「どうした」

「開かない・・・壊れてるみたいだ」

「困ったな。うち人数分しか傘ないし、母さんは後で買い物行くときに使うだろうし・・・」

「仕方ないな」


ひょいっ


「・・・こうするしかないのか」

「ああ。・・・相合傘だ」

「元とは言えば、お前のレインコートが乾かないのが悪いんだ。責任とれ」

「・・・仕方ないな」


52 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 19:22:25.88 lCsZng440 33/35

サーッ…


「お前の傘、壊れてるなら置いてくればよかったな」

「そういうことはもっと早く言え」


「あれっ」

「どうした?」

「あの女の人・・・傘開かなくて困ってるみたいだ」

「・・・」

「あの! そこの方!」

「えっ!? わ、私ですか?」

「傘、壊れちゃったんでしょ? これ使って」

「えっ!? でも・・・」

「大丈夫。私たちは1本あればいいから」

「・・・ありがとうございます!」

バッ

スタスタスタ―ッ…



「おい」

「・・・」

「壊れてたんじゃなかったのか」

「・・・ごめん」

「その・・・相合傘、したくて・・・嘘ついちゃった」

「・・・」



「ずっと・・・言えなかったことがあるんだ」

53 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 20:00:07.50 lCsZng440 34/35

「えっ・・・?」

「俺も・・・」

「俺も、お前のこと、好きなんだ」

「・・・!!」

「兄妹なのに好きなんておかしい、って思ってたんだ。だから・・・」

「だからずっと、自分の気持ち、否定してた」

「でも、やっぱり・・・」

「俺は、お前のことが好きだ」

「今まで、つらい思いさせて・・・ごめん」



「ううん、いいの・・・」

「いいの・・・」グスン

「・・・泣くなよ」

「・・・ほら」


ぎゅっ


「・・・お兄ちゃん」


54 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2013/01/04 20:15:06.25 lCsZng440 35/35

「お兄ちゃんも、つらかったんだね・・・」

「・・・」

「私、嬉しかったよ」

「昨日、雨の中で私を見つけてくれたとき」

「二人羽織で、一緒に家まで歩いてくれたとき」

「嫌いになんかなってないって教えてくれたとき」

「それに・・・」

「いま、こうしてお兄ちゃんと一緒にいられることが・・・」

「私、とっても嬉しいよ・・・」



「なあ、昨日さ、何でもするって言ったよな?」

「・・・え?」

「じゃあさ」

「目つぶって・・・じっとしてて」

「・・・うん」



そして、静かな雨の音に包まれて、二人は――


     fin


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