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258 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:21:35 HM7Lgrds 220/584


―2012年/2月/29日/香川/ @ 3週目―――――――----

「…釣るって…でも、どうやって!?」


男姉「…そのことについて話す前に、あなたたちに約束してほしい事があるの。」

「…約束?」

男姉「そう、約束。…いや、約束というよりは『条件』と言った方が正しいかな?この『条件』を飲んでくれない限り私はあなたたちに手助けしてあげないからね。」

「…!?」

(…お姉さんの雰囲気が…急に変わった…)

「…何なの?その条件って?」

男姉「…その『条件』とは…あなた達が表の世界に無事に戻れたら、それ以降、『鏡の世界に付いて絶対に鏡の世界に関わらない事』。それと、『鏡の世界についてこれ以上調べない事』の二つよ。」

男・女「…!?」

259 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:22:05 HM7Lgrds 221/584


男姉「この『条件』を飲む事が出来るのであれば私はあなた達の手助けをするわ。」

「な、何で鏡の世界に関わったら駄目なんですか!?」

男姉「何でって、そりゃこれはあなたたちのためよ。」

「私たちの…ため?」

男姉「そう、あなたたちのため。…あなたたちも実体験してるから分かってると思うけど…鏡の世界ってロクでもない場所でしょ?」

「…!? …ええ、まあ。」

「…。」

男姉「でしょ? こんな世界、関わらない方が絶対に幸せなのよ。関わったらロクなことが起きない。だから、あなたたちを鏡の世界に今後関わらせないためにもこの条件を私は提示したのよ。」

女・男「…」

男姉「まあ、今すぐ答えを出しなさいとは言わないわ。でも悩む必要は無いと思うけどね、私は。表の世界に戻れて、尚かつ、鏡の世界に関わることも私によって禁止され、危険な目に遭わなくてすむようになるんだから。」

260 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:23:11 HM7Lgrds 222/584


(…お姉さんの言う通りだ。鏡の世界に関わることはすごく危険なことだと思うし…それに表の世界に戻るためにもお姉さんの手助けは絶対に欲しい。…だから私はお姉さんの条件を呑みたい…。)

(…でも、男はどうなんだろ…)チラッ

「…」

(…男は自分で鏡の世界に興味を持った上で調べてたりしてたわけだし、『調べるな』っていう条件がもしかしたらネックになっているかもしれない…だって、あんなに詳しく調べてたんだから最後まで突き詰めて調べたかっただろうし…)

(…どうしたら…。)



「…姉さん、その条件、呑ませてもらうよ。」

「…!?」

男姉「…いいのかい?」

261 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:23:49 HM7Lgrds 223/584


「ああ。姉さんももう気付いていると思うけど、俺は『あの紙』をもとに鏡の世界について色々調べていたし、これからももっと調べたいと考えていたよ。でも、そんな『情報』よりも表の世界に帰りたいという『願望』の方が圧倒的に強い。それに女とも約束したしな。表の世界に一緒に帰る…って。…な?女?」

「…男。」

「ごめんな、女。お前、俺に気を使って今も条件を呑むか悩んでたんだろ?もうそんなこと気にしなくていいから安心してくれ。」

「…男。…うん、分かった!」

男姉「…どうやら二人とも答えは決まったようね。」

「ああ、姉さん。俺と女は姉さんのその条件を呑むよ。…だから、表の世界に戻るための手助けを…頼む!」

「お願いします!」



男姉「…よ~し、了解した。…さあ!二人の気持ちが固まったところで、それじゃあ早速ホワイトデーの作戦について軽く説明しておこうか♪」

(…あ、また明るい感じのお姉さんに戻った…)

262 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:24:23 HM7Lgrds 224/584


「…でも姉さん。さっき姉さんはあの二人を『釣る』って言ってたけど、どうやって釣るんだい?こっちの裏々の世界じゃ体を動かせないんだぜ?」

男姉「そうね。確かにこっちじゃ体は動かせない。…けど、『動かすつもりもない』わ。動いてもらうのは『あっち』。」

「…? …『あっち』って『主』たちのことですか?」

男姉「そう。」

「…じゃ、じゃあどうやって『あっち』の体を動かすんですか!?」



男姉「…実は私には表の世界の『主』と連絡をとる『手段』があるの。」

「…!?」

「…表の『主』と?」

263 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:25:27 HM7Lgrds 225/584


男姉「そう。だから、私が練った『作戦』を表の世界の『主』に伝え、そしてその『作戦』をあっちで実行してもらって、あの二人を釣る…っていう流れになるって考えておいて。」

「…そうか。つまり、姉さんがさっき言ってた『こっちは動かず、あっちに動いてもらう』っていうのは、姉さんが考えた作戦を姉さんの『主』が実行して、それで俺たちの『主』を動かすってことか。」

男姉「そういうことよ。」

「なるほど…。 …でも、お姉さんはその『主』にどうやって連絡するんですか?『主』が鏡を通して鏡の世界の住人にメッセージを一方的に送るのは可能だと思いますが、鏡の住人から『主』に連絡をすることなんて…」

男姉「ふふ♪ それはねぇ」



男姉「…って言いたいところだけどそれは内緒♪」

「…!? な、何でですか?」

264 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:26:11 HM7Lgrds 226/584


男姉「まあ、あんたたちにその方法を教えたところで、それが役に立つとは思えないけどね。」

「…! …あ、確かに。」

「…? どういうことですか?」

男姉「知ったところで、あんたたちには何も有効な活用はないと思うよ。「どうか合わせ鏡をそっちにしてください」って頼んで効く相手ならまだしも、そうもいかなさそうでしょ?」

「…! あっ、そっか…。言われてみればそうです。…あっちと連絡とったところで…」

男姉「でしょ?しかも、もしその方法を教えて、私が考えた作戦を実行する際に、もしあんたたちのどっちかがむこうにそれを漏らしてしまったら元も子もないでしょ?」

「…! …そんなことは絶対にないですよ。」

男姉「物事には絶対は無いのよ、女ちゃん。そういう危険性もあるってことは間違いないんだから、出来るだけその危険を避けられる道を選ばなきゃ。そういった恐れもあるっていうことで教えられない。…分かってくれた?」

「…はい。」


男姉「男もその『連絡手段』について知りたいだろうと思うけど、さっきの『表の世界に戻ったら鏡の世界に関わらないという条件』を呑んでもらった以上、これ以上知ったところで無駄でしょ?…っていうわけだから教えない。いいわね?」

「…ああ。分かった。」

265 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:26:55 HM7Lgrds 227/584


男姉「さあ~ってと、それじゃ『作戦』の本題に…」

「わんわん!」

男姉「…っと、ごめんごめん、あんたのことすっかり忘れていたわ。お~よしよし♪ …あ、まずいな。多分、私の『主』はこのタイミングで帰ろうとすると思うから今日のお話はここまでね。」

「…え、でもこのままお姉さんとはぐれたらその作戦を聞けなく…」

男姉「安心して。必ずあなた達と会う機会を作ってみせるから。まあ、もし無理だとしても最悪、男に作戦を伝えておけば、2週間以内には女ちゃんには伝わるだろうから。」

「わ、わかりました。」

男姉「それと、女ちゃん。」

「…はい?」

男姉「あなたと男はこの私が絶対に表の世界に戻してあげるから安心しておいて。私に任せなさい。」

「お姉さん…」

266 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:27:30 HM7Lgrds 228/584


男姉「それじゃあ、男。私は先に帰ってるわよ~。」

「ああ。」

男姉「それじゃあね、女ちゃん」

「…お、お姉さん!!」

男姉「…ん?」

「…最後に…最後に聞いてもいいですか?」

男姉「…な~に?」

「…お姉さんは…」





「…今、ここにいるお姉さんは『どの世界』のお姉さん…なんですか?」

「…!?」

男姉「…」

267 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:28:12 HM7Lgrds 229/584


男姉「…それはね…」





男姉「内緒♪」

「…!!」



男姉「それじゃ~ね~♪」スタスタッ

男姉「じゃあ行くわよ~、犬~。」

「わんわん」

----―――――――――――――――――――――――

268 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:29:44 HM7Lgrds 230/584


―――――――――――――――――――――――----

「…行っちゃったね、お姉さん。…『主』との連絡手段…か…。男はその連絡手段とやらは知らないんだよね?」

「…ああ。俺もさっき知ったよ。…でも、これではっきりしたな。」

「…?」

「やっぱり鏡の世界にはまだ俺たちの知らない秘密があるってことに。」

「…! …そうだね。でも、これ以上調べることは…」

「…! …ああ。そうだな。」

「…男、もしかして後悔してるの?」

269 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:30:14 HM7Lgrds 231/584


「いや、そういうわけじゃないんだ。でも、もし、姉さんの作戦とやらが失敗したら…」

「…! …そうだね…もしホワイトデーに失敗したら、入れ替わりの最終日まで1週間しか無いもんね…。」

「まあ、まずは姉さんの作戦を聞いてみないとな。」

「…ん? でも、これからどうすればいいの? 14日までにお姉さんに会えることなんて本当にあるのかな?」

「まあ、そこらへんについては俺が家に帰って姉さんに聞いてみる。最悪、姉さんが言ってたように、俺が姉さんから全部話を聞いて女に伝えるよ。」

「分かった、お願いね。」

「おう。」

----―――――――――――――――――――――――

270 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:30:42 HM7Lgrds 232/584


―2012年/3月/14日/香川/ @ 4週目―――――――----

『行ってきま~す。』ガチャ

バタンッ

「ふぅ…」

スタスタッ

(…とうとう、この日が来た。)

カンカンッ

(…うまくいけば…)

(…こうやって階段で上り下りするのも…)

(…)

(…これで最後だっ!)

----―――――――――――――――――――――――

271 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:31:37 HM7Lgrds 233/584


―――――――――――――――――――――――----

スタスタッ

「…」スタスタッ

女母「女~」タッタッタ

「…!? …お、お母さん?」

女母「あれ?私の方が後から出たのにまだマンション前で会うってことは…あんた、もしかして階段で降りてきたの?」

「え…あ~…うん。ちょっとダイエットがてらに…ね?」

(まずいな~…よりによって家の外でお母さんと話をすることになるとは…自我を持たせないように気をつけないと…)

「…でも、お母さんどうしたの?出かける用事でもあるの?」

女母「何言ってるのあんた?さっき、朝食の時に『今日はPTAの用事でお母さんもちょっと遅れて学校に行くからね』って言ったでしょ?」

「あ…」

(…しまった。リビングは裏々女の置いた鏡があるし、自分で会話しなくていいからってことで、今朝はずっと『これからの事』を考えてしまっていたから、今朝のお母さんとの会話がほとんど頭に入ってない…)

女母「お母さんの方がちょっと遅れて行く予定だったけど、まあこうやってばったり会ったんだし一緒に学校に行きましょうか。」

「う、うん。」

----―――――――――――――――――――――――

272 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:32:21 HM7Lgrds 234/584


―――――――――――――――――――――――----

(…今、おそらく『表』では全く違う会話をしていたはず。会話の内容を修正していかないと…)

(…でも、今、『表』の二人はいったいどんな話をしてるんだろう…)

(…駄目、全く思いつかない…)

(どうすれば…このまま、もし変な事を言って『こっちのお母さん』に自我を持たせてしまったら…)

女母「…女?」

「…! …ご、ごめん。ちょっと考え事をしてて。」

女母「そうなの?何か悩み事でもあるの?」

「いや、別にそんなの無いよ!」

(…とっさに『無い』って答えたけど…)

273 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:33:22 HM7Lgrds 235/584


女母「…そう。それじゃあ、お母さんの悩みを聞いてもらおうかな!?」

「…お母さんの…悩み?」

女母「……お母さん、最近変なの。」

「…! …変?」

女母「…ええ。最近…よく耳鳴りがするの。」

「…!? …耳…鳴り?」

女母「…そうなの。それで、その耳鳴りが鳴った後は急に喋れなくなって…」

「!?」

(…まさか…)

(…まさか!?…)

(…お母さんも既に自我を…!?)

女母「…女?どうかしたの…?」

(…これは…もう話した方が…こんなふうに『こっち』のお母さんと話せる機会も、もうないだろうし…)

「…あのね、お母さん…」

----―――――――――――――――――――――――

274 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:34:11 HM7Lgrds 236/584


―――――――――――――――――――――――----

女母「なるほど…ここは鏡の世界で…それで、私は鏡の世界の住人ってことね。」

「…うん。」

女母「そして、あんたはここの世界の人間じゃない…っていことなんだよね?」

「…うん。あくまで簡単に説明しただけだけど…」

女母「はぁ、とてもじゃないけど、そんな話信じられないわ。」

「…だよね。」

女母「…でも、信じざるを得ないわね、この状況は。」

「…!」

女母「…で、あんたはいつからこっちに来たの?」

「…1ヶ月ぐらい前。」

女母「1ヶ月前…ああ、もしかしてバレンタインデーの次の日かい?」

「…!? 何で分かったの?」

女母「あの日のことや、その前日の事はよく覚えてるのよ。色々とあったから。」

「…いろ…いろ?」

275 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:36:13 HM7Lgrds 237/584


女母「バレンタインデーの日の夜にあんた、男くんと付き合ったっていう話を私としてたでしょ?」(>>10)

「…う、うん。」

女母「…で、『こっち』でも、その話を『あの子』としてたわけ。もちろんこっちもその時はすごく盛り上がったわ。」

「…そうなんだ。」

女母「それでね、ずっとその話をしてたら…急に女が携帯を持ちながら立ち上がって部屋に行ったの。」

「…え?」

女母「女はその時に『ちょっと電話しないといけないを思いついたから』と言ってたけど、あきらかにあれはおかしかったというか…」

(もしかして…表の世界の私たちの会話と違っていた…ってこと?)

276 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:37:54 HM7Lgrds 238/584


女母「で、その後、私の体も急にお父さんの書斎に向かったの。」

「…お父さんの書斎?」

女母「お父さんの書斎にはPCがあるでしょ?」

「…あっ!」

女母「で、お父さんの書斎には鏡もあるでしょ?だから、その書斎の鏡に映ったときに、『あっちの私とあんた』のその直前の会話が頭に流れ込んできたの。で、その時初めてあっちの私はあっちの女と水族館に行こうって話をしてたんだって気付いててね。」

「…」

(…そうか。お母さん達は水族館にデート変更っていう話の流れにならなかったんだ。(>>14) それで、表の世界の私が男に電話を掛けようと自分の部屋に移動した時に裏々の私とお母さんが違和感を感じたんだ…。)

277 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:39:16 HM7Lgrds 239/584


女母「でね、その時にもう一つ気付いたことがあったの。」

「…もう一つ?」

女母「『こっち』の女も、もしかしたら私とおなじような状況なんじゃないかってことに。」

「…!」

女母「普通、体が急に動き出したら驚くでしょ?でも、女はその時に『ちょっと電話をしないといけない用事を思い出したからって』って言ってその状況に対応してたわ。でも、その対応の仕方はどう見ても急場凌ぎのものだったし」

「…」

女母「で、鏡に私が映って『あっち』の会話が流れ込んできた後に、私は水族館までのアクセスをプリントアウトして女の部屋にもって行ったわ。(>>18) そして、私は電話が終わったと同時に女の部屋に入ったの。すると、あの子すごくビックリしててさ。」

「そういえばあの時は私もすごくビックリしてたね。」

女母「うん。あなたがビックリしてたのもあったと思うけど…『こっちのあの子』も相当驚いてたわ。だって私がいきなり水族館までのアクセスのプリントを持って現れたんだから。」

278 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:40:47 HM7Lgrds 240/584


「…その時はどんな会話をしたの?」

女母「私は、『今、水族館が盛況みたいだし、もし良ければ明日のデートの参考にして。』とだけ言って、あの子は…『ありがとう。』とだけ言ってたわ。」

「そうだったんだ…。」

女母「…で、これはもう女に話すしか無いなと思ってあんたがデートから帰ってきたら思い切って相談しようと思ってたの。でもあんた、あの日、帰ってきてすぐリビングや玄関に鏡を置き始めたでしょ?」(>>108)

「…それは、わたしじゃなく『あの子』がやったことだよ。」

女母「…やっぱりそうだったのね。どうりでおかしいと思ったのよ。そのおかげで、家であんたと話すことが出来なくなっちゃったから相談することが出来なかったのよ。じゃあ、やっぱりあの日のデートの時に入れ替わったのね、あんた達。」

279 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:41:22 HM7Lgrds 241/584


「…うん。 …でも、そもそも何で会話がそんなにずれちゃったんだろ…表の世界でも裏々の世界最初は同じ話題だったはずなのに…」

女母「…ん?何?こっちの世界のことを『裏々の世界』っていうの?」

「…え、うん。まあ…。」

女母「ふぅん。で、あんたさっきの説明のときに『あっち』の人と『こっち』の人の性格は全く同じって言ってたけど、どれくらい一緒なの?」

「…え?確か男が言うには99%って…」

女母「じゃあ完全に一緒ではないわけだ?」

「…?」

女母「99%同じでも、1%同じでないのならそれはもう『別人』よ。」

「……別人…。」

女母「そう、別人。確かにある程度の趣味趣向は同じかもしれないけど、それでも1%は違うわけなんだし、そこに絶対に異なった個性が存在するはずよ。」

「…違う個性…。」

280 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:42:14 HM7Lgrds 242/584


女母「例えば…ほら、『あっち』の私ってちょっとズボラじゃない?」

「…ぷっ! …ふふ、そうかなぁ?」

女母「絶対そうよ!…まあ、なんだか自分の悪口を言ってるようで嫌だけど…まあ、でも実際に会話にこうやってズレが生じている以上、あっちとこっちじゃ別人だってこと。別人だってことはあっちとこっちじゃ会話がずれるということ。そういうことなんじゃないの?」

「…うん。そうだね。私も『こっち』で会話を合わせるのにすごく苦労したし。他にも『心境』や『状況』が全く違うことで会話の内容にズレが生じてくるだろうし。」

女母「確かに。お母さんもそのバレンタインデーの日はまだかなり混乱していたからね。頻繁に起こる変な現象に。まあ、それが鏡の世界の影響だっていうことがこうやってあんたに教えてもらうことでわかったんだけど。…そんな心に余裕が無い状態だったから、『水族館を勧める』というあの子への配慮に至らなかったのかもしれないわ…。」

「…そっか。…ねえ、もしかして…お父さんも自我を持っていたりするの?」

女母「ん~、どうだろうね。多分持ってないと思うよ。」

「そ、そっか。…良かった。」ホッ

281 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:43:38 HM7Lgrds 243/584


女母「このことはお父さんには相談してないからね。あと、あんた、ここんとこお父さんとあんまり喋ってないでしょ?」

「…え。…そ、そうかな?」

女母「そうよ。お父さん寂しがってたわよ。まあ、お父さんとはあんまり喋らず、私とよく喋っていたからこそ私がその自我とやらを持つことになったんだろうけどね。」

「…!」

女母「『あの子』はいつ頃から自我を持っていたの?」

「…おそらく半年くらい前から。」

女母「そっか。半年前か。まあ、『あの子』とは毎日のように喋ってたんだから、半年もあれば、私にもその影響が来るわね。」

「…そうだね。」

(…お母さんの言う通りだ。半年もあれば、裏々女との会話のズレに違和感を感じてそこから自我が生まれるのも十分考えられること。)

(…そう考えるともしかしたら他にも…特に学校で私の身の回りにこの裏々の世界で自我を持ってしまった人が居るかもしれないな…大丈夫かな…)

282 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:44:22 HM7Lgrds 244/584


女母「…で、あんたはどうするんだい?」

「…え?どうするって?」

女母「このままこっちの世界にいるつもりなのかい?戻りたいんでしょ?あっちの世界に。」

「…!? …実はね…今日、わたし、表の世界に戻れる…かもしれないの。」

女母「…!? そうなの?」

「うん。男や男のお姉さんが協力してくれて。」

女母「…男くんのお姉さんって男姉ちゃんのこと?」

「うん。お兄ちゃんの同級生だった人。」

女母「へえ~、そうなんだ。でも良かったじゃない。あっちに戻れるんだから。」

「…うん。でもまだ、本当に戻れるかどうか分からないけどね…。」

女母「まあ、戻れなかったとしても大丈夫よ。私がいるんだから安心しなさい!」

「…ふふ。そうだね」

283 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:44:56 HM7Lgrds 245/584


女母「…あ、でも今のうちには鏡だらけだから会話出来ないのよね。というか、あれもあの子の仕業なのよね?」

「…うん。さっきも言ったけど、そうだよ。」

女母「ったく、あの子ったら…。」

「お母さん…でも、あれはね、裏々女がお母さんやお父さんが自我を持たないようにするために置いたの。鏡を置けば会話が表の世界とリンクするから自我を持たせるリスクを減らせるっていう理由で。」

女母「…! …そうだったんだ。…まあ、でも、あの時点で既に私は自我を持っていたから、あの子の取り越し苦労になっちゃったわけだけど。…でも、そっか。…あの子。」

「…お母さん。」

女母「…女。私、さっきあんたに『戻れなかったとして大丈夫よ』って言ったけどそれ撤回!」

「え?」

284 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:45:24 HM7Lgrds 246/584


女母「…絶対に…絶対にあっちの世界に戻りなさい!戻れなくてもお母さんがいるから大丈夫だとか、甘ったれた考えは捨てなさい!!」

「…え…ええ~」

女母「…それで。」

「…?」

女母「…それで、絶対にあの子をこっちに戻してちょうだい。あの子はやっぱり私の娘なんだし、私の娘だからこそ、あんたをこんな大事に巻き込んだことを叱ってやらないといけない。」

「…! …お母さん。」

女母「もちろん、あんたも私の娘よ。でも私はあんたの本当のお母さんじゃないし、あんたの本当のお母さんはあっちにいる。だから、あんたにはあっちの世界に戻ってもらわないと!『あっちの私』のためにも!」

「…うん!そうだね! …私、絶対に戻ってみせる!」

女母「ええ、その意気よ!」

285 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:46:02 HM7Lgrds 247/584


「…でも、お母さん。 お母さんは表の世界に行ってみたいとは思わないの?」

女母「…ん?私?」

「うん。普通は表の世界に行ってみたいと思うのが普通なんだと思うんだけど…。」

女母「…う~ん、どうだろうね。確かにあっちの世界にはちょっと興味あるけど。でも、私はこの世界に生まれてこの世界でここまで育ってきたんだから、これからも私はこの世界で生きて行くわ。」

「そっか…」

女母「でも、今のままじゃ楽しめないかもね。やっぱり『あの子』に帰って来てもらわないと。」

「…! …任せといてお母さん!私が必ずあの子をこっちの世界に戻してくるから!」

女母「ふふ、頼んだわよ、女。…ごめんね、さっきは『あなたは私の本当の娘じゃない』って言い方しちゃったけど、あなたも紛れもなく…私の娘よ。」

「…お母さん。」

女母「っと、もう学校に着いたわね。それじゃあ、私はこっちだから。頑張るのよ女。それとあの子のこと…お願いね。」

「うん!任せておいて!」


----―――――――――――――――――――――――

286 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:46:43 HM7Lgrds 248/584


―――――――――――――――――――――――----

キンコンカンコーン

(…よし、4時間目が終わった…)

(…予定通りなら…)

(…そろそろ…)

(…あのメールが…)



ブーン ブーン



(…! …来た!!)パカッ

287 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/02 23:47:33 HM7Lgrds 249/584


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

From:男
件名:Re;
本文:



10分後に旧校舎の音楽室まで来て。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






(…よし!予定通り!)



………
………………

----―――――――――――――――――――――――

291 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:01:51 B2S0wCzg 250/584


―【回想~1週間前~】――――――――――――----


男姉「あの後、男に詳しく聞いたわ。あんたたちの置かれた現状について。で、それに基づいて、作戦の内容を考えたわ。そして、今日、あんたたちが一緒に帰るってことを男から聞き、そしてそれを『表の私』に伝えてばったり遭遇するようにしてもらい、そして今に至るって感じね。」

「上手くいったね、姉さん。」

「でも、今日もこの前みたいに長話出来るとは限らないんじゃ…」

男姉「そこんとこは大丈夫。ちゃんとあっちでも話を長引かせるように『あっちの私』に言っておいたから。…とは言っても、何が起きるか分からないからさっさと説明を始めるわよ。」

女・男「はい」

男姉「まず、決行は予定通り3月14日のホワイトデー。ここに変更点はなし。」

男姉「ホワイトデーはバレンタインデーにチョコを貰った男の子が女の子にお返しをする日。そのイベントを利用するわ。」

男姉「先に『釣る』標的は『裏々女』ちゃん。女の子はこういうイベントにはすごく弱いもの。もしかしたら、何かすごいサプライズがあるんじゃないかって、期待に心を膨らませる日…それがホワイトデー。…だよね~?女ちゃん?」

「…え。…あ…は、はい。」

男姉「…そして、そんな期待とメルヘンチックな気持ちで充ち満ちた乙女心に大きな隙があるわ。…ってなわけで『裏々女』ちゃんを釣るための説明をしていくわよ。」

292 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:02:36 B2S0wCzg 251/584


男姉「まず最初に、女ちゃんに男から『プレゼントがあるから昼休みに会おう』というメールをホワイトデーの『前日』に送らせる。」

男姉「もちろん男にはプレゼントを準備させるわ。まあ、メールを送るようには促すけど、プレゼントの内容には『表の私』から干渉はしないつもり。」

「…え?何でですか?」

男姉「プレゼントの内容はこの作戦には無関係だしね。それに、女ちゃんも男がどんなプレゼントを用意するか楽しみでしょ?まあ、男は男でも『裏々男』なんだけど。」

「…まあ、そうですね。」

「…なんかごめんな、女。」

「…! 気にしないで男! …あ!じゃあ、もし表の世界に戻れたら改めて何かちょうだい!」

「…女。 …ああ、分かった!」

男姉「…お熱いとこ申し訳ないけど、話の続きをしてもいいかな?」

「…! ご、ごめんなさい。」

「続けてくれ、姉さん。」

293 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:03:05 B2S0wCzg 252/584


男姉「…よし。で、ホワイトデー当日の昼休みが終わる直前に『あっちの私』が動くわ」

「…動くって…もしかしてお姉さんも学校に来るんですか?」

男姉「もちろん。じゃないとこの作戦は不可能だからね。」

「でも、『昼休みが終わる直前』に『あっちのお姉さん』は何をするんですか?」

男姉「…その『昼休みが終わる直前』に『あっちの私』には…男の携帯を盗んでもらう。」

「…盗む? …盗むって、あっちのお姉さんが、裏々男から携帯を盗むってことですか?」

男姉「そう♪」

「でもどうやって…それに何のために…?」

294 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:03:32 B2S0wCzg 253/584


男姉「男、あんた14日、というか水曜日の4時間目は体育なのよね。」

「ああ。」

(あ、そういえば、この前の水曜の昼休み体操服を着てたな…)(>>144)

男姉「よしよし。…で、体育の時、教室の戸締まりはどうなっているんだっけ。そこんとこ改めて説明してくれる?」

「うちの高校では体育の時は男子と女子、別々の教室で着替えるんだけど、その日の日直が貴重品を袋に集めて、それを職員室に預けた上で教室の鍵を閉める。」

「…でも、そのルールはもう『男子』ではほとんど守られてないというか…みんな財布とかの貴重品は預けるんだけど、教室の鍵は閉めなくなってる。『財布以外盗まれるもんなんてないだろ』っていうふうに皆思っているから。」

男姉「まあ、男子ってそんなもんよね。私があの高校にいた時も男の子たちは結構適当だったわ。」

295 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:04:06 B2S0wCzg 254/584


男姉「よし、話を戻すわよ。…つまり、男のクラスが体育の時、男の教室には鍵はかかっていない。そして、携帯は学生服のズボンか鞄に入れたまんまってこと。あと、男の教室は中校舎の1階だったわよね?」

「うん。」

男姉「よしよし♪ これだけの条件が揃っていれば携帯一つ盗む事なんて簡単。そういえば、あんた、携帯にパスワードはつけてるの?」

「あ…一応。」

男姉「よし、後で教えなさい。」

「…!? …え、本当に教えないといけないの…?」

男姉「あたりまえじゃない。パスワードが分からなかったら携帯のロックを解除出来ないじゃないの。」

「いや…それは…まあ、そうなんだけど…」

男姉「……はは~ん、あんた、もしかして携帯に何か『やましい』ものでも入ってるんでしょ~?」

296 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:05:00 B2S0wCzg 255/584


「…!? …そ、そんなんじゃないよ!!」

男姉「ふふ、そんなに必死に否定するってことは図星ね~」

「……へぇ~…。」

「…! …だ、だって俺も一応男子高校生なんだし仕方ないだろっ!」

男姉「認めたわね~♪」

「…。」

「…あっ…。いやっ…その…。」

男姉「ふふ♪ まあ、仕方ないわよね、あんたも『男の子』なんだし♪ まあ、あんたのお姉ちゃんは『卑猥なもの』があったとしてもそれを口外するようなことはしないから安心しなさ~い♪」

「…いや…全く安心出来ないんだけど…」

男姉「…まあ、男をいじるのはここまでにしておいて…そういう手順で『あっちの私』が男の携帯を手に入れる。そしてその後に、裏々女ちゃんにメールを送らせるわ。」

「…! …メールにはどんな文章を?」

297 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:05:39 B2S0wCzg 256/584


男姉「メールの文章は『旧校舎3階の音楽室前に来て』っていう文章を送るつもりよ。」

「3階の音楽室?」

男姉「そう。旧校舎の『あの鏡』は旧校舎東側階段の2階と3階の間の踊り場にあるでしょ?『そこ』を通らすためには3階での待ち合わせにしないといけないからね。」

「…! …そうか、音楽室を待ち合わせ場所にするのは『あっちの私』を旧校舎の鏡に誘導するためなんですね。」

男姉「ええ。」

「…でも、姉さん。そのメールの内容だとちょっと危険じゃないか?そんな『旧校舎に来てくれ』とだけの文章だと『あっちの女』もかなり警戒してしまうんじゃないかな?『あっちの女』も旧校舎の鏡が入れ替わりの出来る鏡だということを『こっち』にいた時点で既に知っているわけだし。」

「それよりも『ホワイトデーのプレゼントを渡したいから旧校舎に来てくれ』っていうふうにもうちょっと柔らかい感じの文章にしたら、まだちょっとは誤摩化せるんじゃないかと思うけど…」

男姉「…はぁ。 …男。あんた、『乙女心』というものを何にも分かってないわね。」

「…ですね。」

「…へ?」

298 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:06:13 B2S0wCzg 257/584


男姉「前にも言ったでしょ?女の子は『サプライズ』といった類いが大好きなんだって。」

「はぁ…」

男姉「そんな、『プレゼントがあるから来てくれ~』…何て言われてわくわくする!?それよりもちょっと謎めいたメールの方が『え、何があるんだろう!?わくわくしちゃう!!』…ってなるでしょ?」

「…はぁ、そんなもんなんすかね…。」

「…でもお姉さん。男の言ってることもすごく分かります。絶対に『あっち』だって旧校舎に対して警戒しているだろうし、そう上手く旧校舎まで誘い出せるとは…」

男姉「…ふふ。大丈夫よ、あの子は絶対に来るわ。」

「…どうしてそう断言出来るんですか?」

男姉「…あなたたちにとって今回、『幸運』とも言えることが一つある。」

「…幸運?」

男姉「それは『あっち』のあんたたちがお互いに『元鏡の世界の住人』、つまり『オリジナルではない』ということに気付いていない事。」

女・男「…!」

299 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:06:52 B2S0wCzg 258/584


「…そういえば、反射物の前での会話とかを聞いてる限り、『あっち』では鏡の世界の話題を聞いたことがない…。」

「まあ、俺は女よりさきにこっちに来たけど、俺は裏々女に俺がオリジナルだということを伝えなかったからな。」

「…! そういえば、そんなこと言ってたね。」(>>89)

「だから、裏々女は『あっちの俺』がオリジナルだと思い込んでいる。裏々男の方ももちろん、裏々女が『自分も裏々の世界から来た』ってことを申告してない訳だから当然『あっちの女』をオリジナルだと思い込んでいる。…ってことだな。」

男姉「そういうことよ。『お互いに気付いていない』、そして『お互いに申告していない事によって鏡の世界の話もしていない』…この『状況』はかなり使えるわよ~。」

男姉「もし、『裏々女ちゃん』がそのメールを男から受け取って、『旧校舎』に対して疑問に思ったとしても、それを男にその疑問をぶつけることは絶対にない。」

男姉「もし、そんなことをしたら、『裏々男』は『何故女が旧校舎の鏡の危険性を知っているんだ?』ってなる。『裏々男』は『オリジナルの女ちゃん』がそのことを知っているはずがないと思い込んでるだろうからね。」

男姉「そして、『裏々女ちゃん』も、『あっちの男』がオリジナルだと思い込んでいるから、もしそんなことを聞いて男に自分が『オリジナルではないこと』がバレたら、あきらかに不利な状況になる。もし、『オリジナルの男』に知られたら、男が『オリジナルの女を返せ』と無理矢理合わせ鏡をしてくるかも知れないからね。」

男姉「だから、裏々女ちゃんはそのメールを受け取り、それを疑問に感じたとしてもその疑問を解消する術は無く、また、そのメールを無視して旧校舎に行かなかったら『男との関係が気まずくなってしまうのでは』という不安にかられ、そして最終的にあの子は必ず足を旧校舎に向ける。…これが私が『断言出来る』といった理由よ。」

300 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:07:44 B2S0wCzg 259/584


「…なるほど。」

男姉「それと、念のために保険を掛けておいたわ。」

「…保険?」

男姉「そう。実は今、『表の世界』では『あっちの私』から、『あっちのあんたたち』に『私が高校生のときは音楽室前でプレゼントの受け渡しをするのが流行だった』っていう話をしているはずよ。」

「…流行?」

男姉「そうよ。これは本当の話でね。旧校舎って来週から取り壊し工事が始まるから今はもう立ち入り禁止になっているらしいけど、私が高校生の時はまだ使われててね。…でも、旧校舎に立ち入る人自体少なくなっていたから、プレゼントの受け渡しだとか告白のスポットとして流行っていたの。」

「…へぇ。」

「…! 今のお姉さんの『立ち入り禁止』ってとこで気付いたんですけど、上手く裏々女を旧校舎に誘い出したとしても立ち入り禁止じゃ中に入れないんじゃないですか?」

男姉「それは大丈夫よ。…ね?男?」

「ああ。…実は旧校舎の東側の入り口近くの窓は壊れていて、そこから中に入れるんだ。」

「え?」

301 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:08:13 B2S0wCzg 260/584


「俺が入れ替わりを旧校舎でしたときもそこから旧校舎に侵入したんだ。しかも、そこの鍵が壊れていることを教師連中も知らない。」

「…そうだったんだ。 …! …でもその『壊れた窓』のことを裏々女は知らないんじゃ…」

「いや、あいつも知っているはずだ。裏々女と1度だけ旧校舎のことを話したことがあったんだが、その会話のときにあいつは『壊れた窓』のことも自分で口にしていたからな。おそらく俺が『こっち』に来る前に裏々男から教えてもらったんだろ。」

「…なるほど。」

男姉「まあ、男が言っている通り、旧校舎に入れるかどうかの問題は大丈夫なはずよ。まあ、もしものために『あっちの私』が当日の朝にその『壊れた窓』の確認をするわ。最悪の場合はもうドアの鍵を壊しておくから安心しなさい。」

「…姉さん、さすがにそれはやりすぎじゃ…」

男姉「どうせ来週には取り壊される建物なんだし今更大丈夫でしょ?」

「…まあ、それは…。」

302 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:08:47 B2S0wCzg 261/584


「…で、お姉さん。話は戻るんですけど、その『音楽室での流行』のことをあっちの私達に話すことが何で『保険』になるんですか?」

男姉「実はね、この話には続きがあって、そのプレゼントや告白が『男の子』側からのものなら、その日を境にそのカップルはずっと幸せになれるっていうメルヘンチックなお話があるの。」

「へぇ~…素敵ですね。」

男姉「その話を聞くのと聞かないのとでは、旧校舎に対する警戒心も大きく変わるでしょ?」

「…! …確かに。私、そういう話にすごく弱くて…私が弱いのであれば裏々女も弱いかも…」

男姉「あっちの私がこの話を今することによって裏々女ちゃんの旧校舎に対するイメージがそっちの方に大きく様変わりするはず。そして、ホワイトデーに男から旧校舎に来てというメールを受け取っても『旧校舎は危ない』っていう『警戒』ではなく、『男があのお姉さんの話を体現しようとしているのかもしれない』という『期待』に変わるはずよ。」

「なるほど。」

303 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:09:30 B2S0wCzg 262/584


男姉「まあ、そうやって、裏々女ちゃんを旧校舎に誘導し、音楽室に行くためには階段を上ってもらう。そして、裏々女ちゃんが音楽室までの道程にある『あの鏡の前を通るその瞬間』が入れ替わりのチャンスよ。」

女・男「…!」

「でも、どうやってそれを…」

男姉「『あっちの私』が事前にその踊り場の『例の鏡』の反対側にもう1枚鏡をセットしておくわ。」

女・男「…!」

男姉「そして、裏々女ちゃんがその踊り場を通れば…」

「入れ替わりが…起きると?」

男姉「そうよ。もちろん裏々女ちゃんがそこを通った瞬間に入れ替わりが起きるよう角度もちゃんと調整するわ。あとは、合わせ鏡になった瞬間に女ちゃんが入れ替われと念じさえすれば入れ替わり完了よ。」

女・男「…」

男姉「以上が第一段階の裏々女ちゃんを釣るための作戦。どう、簡単でしょ?」

304 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:10:06 B2S0wCzg 263/584


「…確かに、それなら入れ替わりは可能だと思います。…でも、繰り返しになっちゃうかもしれないんですけど、本当にそんな上手くんですかね…」

「…女の言う通りだ。もし裏々女にその『もう1枚の鏡』を見つけられたら…」

男姉「…まあ、あんたたちの言うことも分からんでもわ。」

男姉「でもまあ、私も繰り返しになるけど、この作戦で絶対に上手く行くから『安心しなさい』。」

女・男「はぁ…」

男姉「よし、それじゃあ、第二段階の裏々男を釣る話なんだけど………

----――――――――――――――――【回想終了】―

305 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:10:40 B2S0wCzg 264/584


―――――――――――――――――――――――----

………………
………




(とりえず、予定通りメールは来た)

(問題はここから。この子がこのメールの通り、旧校舎に行ってくれるかどうか…)

(一応、表の世界の方のお姉さんが『音楽室前でのプレゼントの受け渡し』の話をしてくれたはずだから…)

(…でも、この子は旧校舎で入れ替わりをしたわけではないけど、自我を持った際に裏々男から旧校舎の鏡のことを聞いたみたいだし、旧校舎自体に対してはかなりの警戒心は持っていることも間違いない…)



(さあ…どう動く!?)

306 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:11:31 B2S0wCzg 265/584


スタスタッ


(…動いた!?教室から出たぞ…)スタスタッ


(…ここは中校舎の3階…)スタスタッ


(…旧校舎に行くには東側の階段で降りて…)スタスタッ



スタスタッ


(この進路は…)スタスタッ


(ビンゴ!東側の階段に向かってる!!)スタスタッ



(…このまま…)スタスタッ


(このまま…!!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――

307 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:12:33 B2S0wCzg 266/584


―――――――――――――――――――――――----


スタスタッ


(よし、中校舎を出た。このまま北側の旧校舎へ…ん?…あれは?)


タッタッタッ


(…! 裏々女も気付いたみたいね。)タッタッタ


タッタッタ


「お母さん!お姉さん!」




女母「…あ、女じゃないの。」

男姉「あら、女ちゃん」

308 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:13:10 B2S0wCzg 267/584


「2人一緒でどうしたの?」

女母「いやね、実はさっきのPTAの会議で男姉ちゃんと偶然会ってね。それで会議が終わった後もこうやって外で話してるのよ。ほんと偶然すぎてビックリしたわ~。」

男姉「ふふ、私もビックリしましたよ。いきなり『実は私、自我を持っているんです。今日は娘のためにもよろしくお願いします』って仰られるんだから。」

「…え?」

女母「ふふ、今朝、女からあなたに協力してもらうってことは教えてもらってたからね。」

男姉「まあ、でも今の会議の時間を使って私からお母さんにはこの世界のことや女ちゃんの詳しい状況のことは説明しておいたからね。」

女母「ほんと助かったわ男姉ちゃん。これでもやもやしてたものが取れたというか。」

「そっか…ありがとうお姉さん。…でもいったい何の会議だったんですか?PTAの会議のはずなのに何でお姉さんが?」

309 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:13:50 B2S0wCzg 268/584


女母「今日は旧校舎取り壊し工事の最終確認のための会議だったの。私はもちろんPTA役員としてで。…で、男姉ちゃんは…」

男姉「私は代理として来てたのよ。」

「代理…ですか?」

男姉「そうよ。もともとこの学校はね、とある地主から土地を借りて、そしてその人の援助によって創られたの。で、その地主も今回の会議で出る予定だったんだけど、今日はどうしてもはずせない用事があるということで、その人の知り合いであるこの私が代理人として出席することになったの。」

「へぇ…でもお姉さん、地主とし知り合いとかすごいですね。」

男姉「ん~、まあちょっとね。でも偶然お母さんと席も隣だったから、会議そっちのけでお母さんにこの世界のことについて話してたから、参加してた意味は全くなかったけど。」

女母「ふふ、そうね。…女、聞いたわよ。今からが『勝負』なんでしょ?」

「…! …うん。」

女母「頑張りなさいよ!」

「うん!…まあ、でも私はただ状況が過ぎていくのを見ているしかできないんだけど…」

男姉「ふふ、確かにそうかもしれないわ、女ちゃん。でも、そんな弱気だったから勝てる試合も勝てないわよ?あなたもん部活しているんだからそれぐらい分かるでしょ?」

「…! …はい、そうですね。」

310 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:14:25 B2S0wCzg 269/584


男姉「旧校舎での『入れ替わりのシチュエーション』はあっちの私が今朝バッチシ準備しておいたから、大丈夫よ。だから、自信を持って『相手にのまれないように』入れ替わる『その時』をあなたは待っておきなさい。…ふふ、まあ『最初』はちょっと驚くかもしれないけどね。」

「…最初?」

男姉「…さて、ここで女ちゃんを長居させるわけにいかないってことを『あっちの私』も分かっているだろうから、そろそろお別れよ。…それじゃあ、頑張ってね女ちゃん。」

女母「…私は今朝あなたに伝えたいことは十分伝えたし、それ以上言うことも無いわ。でも、やっぱりお別れって寂しいわね。…短い間だったけど楽しかったわ。…頑張ってらっしゃい、女。」

「お姉さん…お母さん…」

スタスタッ

(…! 体が動き出した!)

「お姉さん!お母さん本当にありがとう!…さようなら!」


スタスタッ


----―――――――――――――――――――――――

311 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:15:14 B2S0wCzg 270/584


―――――――――――――――――――――――----


スタスタッ

ピタッ

(…よし、旧校舎前についた。)

(…あとは、あの『壊れた窓』に…)


スタスタッ


(よし!『壊れた窓』にまで来てくれた!)

ガラララッ

(窓に鍵は掛かってない!中に入るぞ!)

----―――――――――――――――――――――――

312 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:16:31 B2S0wCzg 271/584


―――――――――――――――――――――――----


スタンッ


(…よし、旧校舎の中に入れた…)

(…ここは1階のどこかの教室…かな?)


スタスタッ


(…どうやら廊下に出るみたいね。)


ガララッ


(よし、教室のドアの鍵は空いてるみたい!)


スタスタッ ピタッ


(いいぞいいぞ。それで、このまま東側の階段へ…)

313 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:17:15 B2S0wCzg 272/584


クルッ


(…ん? …待って…。 …何で西側を向くの?)


スタスタッ


(…!? …ちょ、ちょっと!東側の階段は反t…!?)スタスタッ



(…………しまった!この子もしかして…)スタスタッ




(…西側の階段に向かってる!?)スタスタッ

314 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:18:14 B2S0wCzg 273/584


(…あの鏡があるのは東側の階段…)スタスタッ

(…これじゃあ…入れ替わりが…)スタスタッ


(…どうすれば…)スタスタッ



(…どうすればいいの!?)スタスタッ


スタスタッ


ピタッ



(…!?)

315 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:20:25 B2S0wCzg 274/584


(…え!?何これ!?)

(…西側の階段が…)

(…たくさんの荷物で埋め尽くされている!?)

(…体育祭とかで使う大玉やイスや大道具が…)

(…こんな大きな荷物を女の子一人でどけるなんて不可能だわ。こっちからじゃ上にあげれそうにない。……!!)

(…もしかしてこれ、お姉さんが!?)

(…絶対にそうだ。さっきお姉さんが言ってた『最初は驚くかもしれないけど』ってのもこのことだったのか…)(>>310)

(…何はともあれ、こっちからじゃ上には上がれないよ裏々女!!)



(…さあ、どう動く!?)

316 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:21:03 B2S0wCzg 275/584


スタスタッ


(…!! …動き出した!!)スタスタッ


(…よし!東側へと向かってる!!)スタスタッ


(…『壊れた窓』のある教室を通り過ぎれば…)スタスタッ


(…よし、通り過ぎた!旧校舎から出る気配はない!このまま、このまま順調に行けば…っ!!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――

317 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:23:51 B2S0wCzg 276/584


―――――――――――――――――――――――----

(東側の階段に着いた…)

(…あとはこれを上っていって、そして2階と3階の間の踊り場にあるあの鏡の前まで行けば…)


ギィ ギィ


(…! …上り始めた!)ギィ ギィ


ギィ ギィ


(…それにしても、一段上がる度に階段の軋む音がすごい…私達が入学した頃にはもうここは立ち入り禁止になっていたし、やっぱり相当古いんだなこの校舎…)ギィ ギィ


ギィ ギィ


(…よし、まずは1階と2階の間の踊り場まで来たぞ。…それにしても階段の周辺やここの踊り場に色々と物が散乱してるけど、これは何なんだろ…)

318 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:24:37 B2S0wCzg 277/584


ギィ ギィ


ギィ ギィ


(もお、物が邪魔だな…)


ギィ ギィ


ギィ ギィ


(…2階まで来た…)


(…いよいよだ!)

319 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:25:38 B2S0wCzg 278/584


ギィ ギィ


ギィ ギィ


(よし、もうちょっと…)


ギィ ギィ


(…あ、踊り場が上に見えてきた!!)


ギィ ギィ


(…!? ここの踊り場にも物が散乱してる……。)

(…でも、『もう1枚の鏡』はいったいどこに………っ!!)

(…そうか。もしかしてさっきから物が散乱してるのもお姉さんの手回しなんじゃ…わざと東側の階段に色んなものを散乱させておいて肝心の『もう1枚の鏡』が見つからないようにカモフラージュしてるんだ…。)

(…!! …あの古びた段ボール…こっちからじゃ普通の段ボールに見えるけど、もしかしたらあの中に鏡があって、それで例の鏡の方向に穴が空いていてるのかもしれない。角度的にもあれの中に入ってる可能性が高い!)

320 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:26:34 B2S0wCzg 279/584


キィーーンッ


(…!! 耳鳴りだ!これで5秒後に『例の鏡』か『もう1枚の鏡』のどちらかに映ることは確定した!)

(あとは上手い具合に向かい側にあるこの2つの鏡が合わせ鏡の状態になれば…)


ギィ ギィ


(…よし、踊り場に着いた!『例の鏡』も目の前にある!あとはもう数歩進んでくれれば、あの段ボールの中の鏡と…!!)


スタッ


(…よし!)


スタッ


(…あと2歩前へ!!)

321 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/11/07 00:27:56 B2S0wCzg 280/584


スタッ


(…や、やった!!これで私達の…)














『「勝ち」…とでも思った?』ニヤッ


----―――――――――――――――――――――――

331 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:29:49 ojjwBoFY 281/584

―――――――――――――――――――――――----

(…!?)

『でも、ば~ればれ。あの段ボールの中に鏡が入っていることなんて。…私が気付かないとでも思った?その段ボールの中に鏡が入っていることに…』

(…そんな!?)

『まあ、あと一歩進んでたら危なかったかもしれないわね。まあ、とりあえずあの段ボールの中を確認してみましょうか。映らないように気をつけながら近づかないとね。』クルッ


スタスタッ

ヒョイッ

(…! …鏡が。)

『…ふふ、ほ~らね。段ボールを持ち上げてみたら鏡があった♪ これを被せてカモフラージュしたつもりだったんでしょうけど残念だったわね。』

『それじゃあ、申し訳ないけどこの鏡は伏せさせてもらうわよ。』パタッ

(…! …これじゃ合わせ鏡に…。)

『…やっぱり、東側の階段に散乱していたモノもこれに気付かれないようにしたものなんでしょうね。』

(…。)

332 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:30:40 ojjwBoFY 282/584


『ふふっ…でも、一体誰がこんなことをしたんだろうね。』

『…男かな? 男が私がオリジナルじゃないと気付いて…。 …いや、男ならこんな回りくどいことしなさそうだし…』

『…って考えると』

『…やっぱりお姉さんかな?』

(…!? お姉さんに協力してもらったってことに気付かれた!?)

『ここ2週間で、お姉さんとぐらいしか男以外とは綿密に絡んでないし。それにさっきもお姉さん学校にいたしね。』

(…。)

『旧校舎でのプレゼントの受け渡しとかの話とかをお姉さんに聞いたときからちょっと怪しいとは思ってたんだよね。いや~、でも危なかった危なかった。』

『ん~、でもお姉さんにどうやって協力してもらったのかしら?さっきの男からのメールもお姉さんの仕業なんでしょ?どうにも、そこんとこがよくわかんないのよね~…』

(…! …そうか、裏々女は『お姉さんが自我を持っていること』や『鏡の世界に詳しいこと』、そして『表の世界との連絡手段を持っているってこと』を知らないんだ。)

『…っと、これが噂の『旧校舎の鏡』かぁ。段ボールの方にばっか気を取られてたから気付くのが遅れたけど、ずいぶんと立派な鏡ね。』

(…確かに。…凄く立派な鏡…)

333 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:31:18 ojjwBoFY 283/584


『…ふふ。ちょっとおしゃべりしましょうか?』

(…!)

『あなたには色々と言いたいこともあったし、この際に…ね。まあ、おしゃべりと言っても私が一方的にこっちから話すだけなんだけどね。』

(…おしゃべり…か。…でも、この間に…)

『…この間にお姉さんが来てくれればまだチャンスはある!…とでも思ってるんでしょ?』

(…!)

『ふふ、もしお姉さんが来る気配がしたらそりゃもちろんすぐ退散させてもらうわ。』

『あなたもさっき気付いたと思うけどここの階段ってすごく古くて軋む音がすごかったでしょ?(>>317)だから、たとえ、どんだけ抜き足で下の階から上ってきたとしてもすぐ分かる。』

『もし、お姉さんが来たら力ずくで逃げさせてもらうわ。何たって私にはあなたがバスケで鍛え上げてくれたこの『脚』があるんだから。』

(…これじゃあどうしようも…)

『…ふふ。まあ、何はともあれ、あなたにはこれでもう入れ替わりのチャンスは無くなったわ。今日を以て、私がこの旧校舎に近づくことなんて絶対にない。当然マンションの鏡も現在進行形で近づくことはない。』

(…っ。)

334 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:32:07 ojjwBoFY 284/584


『…まあ、でも今日中にあなたが『オリジナルの特権』を使って、裏の世界に行き、そして来週の3月21日にもう1度特権を使えばこっちに戻って来れるわよね?でも、あなたは絶対にそれはしない。…でしょ?』

(…。)

『私も『半年前』まではあなただったから分かる。あなたは一見、図々しいように見えるけど『根』はとても優しい子。だから、裏女を裏々の世界に押し込んでしまうことになる特権での入れ替わりは絶対にしない。』

(…。)

『特権のことを聞いた時、あなたは不思議に思ったはずよ。『裏々女はどうしてこんなに余裕でいられるのか』…と。』

(…! …あの時のことか。)(>>130)

『ふふ…まあ、もし、あなたが自分のことばかり優先するような人間ならば、2週間で私は裏々の世界へと戻されてしまうわけだし、その2週間でめいいっぱい表の世界を楽しもうと思ってたわ。』

『…でも、あなたは『私が思った通りの子』だったわ。だから、余裕を持っていられたのよ。』

(…じゃあ、あなたも…根が優しいのではないの?)

『…「あなたも私と一緒で根が優しいのなら、何故自分のことを優先させるようなことをしてるの?」と思ってるでしょ?』

(…! …また見透かされた…)

『…確かにそうよね。おかしいわよね。…でもね、1ヶ月前、私があなたと入れ替わる前の時点で、あなたには無くて、私にしかないものが既に有ったの。』

(…私には無くて、裏々女には有ったもの?)

『…それは「嫉妬心」よ。』

(…!)

335 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:32:43 ojjwBoFY 285/584


『入れ替わった初日に窓越しで私からあなたに伝えたメッセージを覚えてる?「オリジナルのあなたには私の気持ちなんて理解出来ない」って言ったこと。』(>>114)

(…!?)

『…私は羨ましかった。…私と同じ性格の『もう一人の私』が鏡のむこうで楽しそうに自由に生きていることに対して。』

『…正直、自我を持ってからの『そっち』での生活は苦痛でしかなかったわ。それまで『自分の意志』で動かしてたと思っていた体が、ただの『思い込み』の上で動かしていたに過ぎなかった。』

『そんな不自由な私とは一方的に、表の世界で自由気ままに、そして幸せそうにあなたは生きていた。…だから私は『オリジナルのあなた』を羨み、そして…妬むようになったのよ。』

(…。)

『…あなたもこの1ヶ月間、そっちで暮らしてみて分かったでしょ?裏々の世界がどれだけ不自由で息苦しい世界か?そっちの男も自我を持っていると言っても、裏の世界のように自我を持っている人が他にもいるわけでもないし、孤独な世界に変わりはない。』

(…それは…)

『そして、そんな裏々の世界で過ごしたあなたにも生まれたはずよ。私に対する『嫉妬心』がね。』

(!?)

『この1ヶ月、私が羨ましかったでしょ?妬ましかったでしょ?憎かったでしょ? そんな嫉妬心以上の複雑でモヤモヤした気持ちがあなたを今の心の中を支配しているはずよ。私が1ヶ月前そうだったように。』

(違う! …そんなこと…)

『ふふ…確かにあなたは根は優しいわ。…でもね、あなたの「本性」はそんな嫉妬心に従順であり、自分が不利な状況になれば自分自身を優先させる…そんな人間なのよ。今回の「コレ」だって、自分が表の世界に戻り、自分を陥れたこの私を裏々の世界に押し込めたいがためにしたんでしょ?』

(…!! …そんな…そんなことない!! 私は…私は…!!)

336 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:33:25 ojjwBoFY 286/584


『…ねぇ、そういえば覚えてる?…3ヶ月前の「あの出来事」を。』(>>165)

(…!?)

『あなた…っていうか私達ってすごく明るいから相談とかされやすいもんね。そんなあなたの魅力に引かれて、その子もあなたに相談した訳だけど。』

『…「男くんが好きなんだけどどうしたらいい?」っていう相談をね。』

(…。)

『でも、あなたは、その子に相談される前の時点で、男と自分が両思いかもしれないということを友達伝いで知っていた。そして不幸なことにその子はそのことを知らなかった。』

(…)

『でも、あなたはその「両思いかもしれない」ことをその子に伝えなかった。まあ、それを伝えちゃ気まずくなるもんね。その子もまさか、相談相手が恋敵であることなんて思いもしないだろうし。』

『…そんな、気まずさからあなたはそのことをその子に伝えられなかった。そして、あなたはあの子に男のことを諦めさせたんだよね。『男には好きな人がいるらしいよ。』と伝える事によって。』

(…)

『まあ、あなたは別に嘘は言ってないわよね。男には本当に好きな人がいたんだから。ただ、その好きな人は『あなた』のことで、そのことまではあの子に教えなかったんだけど。』

(…)

337 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:34:11 ojjwBoFY 287/584


『まあ、そうやってあの子に、男に告白しても成功する見込みは薄いよということを分からせることによってあの子が告白するのを防いだ。まあ、いくらあなたと男が両思いだったとしても、この世の中何が起きるか分からないしね。男がもしかしたら心変わりをしてあの子の告白を受け入れたらどうしようと考えていたからこその行動だったのよね?』ニヤニヤ

(…そ、それは…!!)

『あと、あなた、私にも感謝してよね?』

(…感謝?)

『あなたと入れ替わった後すぐに、男と付き合っている事を周りにバレないように出来るだけ配慮してあげたんだから、この私がね。』(>>55)

(…!!)

『ふふ。男と付き合ったってのが彼女に知られたら流石にまずいもんね。だから、私が男と付き合っているのがバレないようにしてあげたのよ?まあ、あのまま私とあなたが入れ替わらなくてもあなた自身もそうしてたと思うけど。』

(…そんなことしないわよ私は!!)

『…まあ、つまりあなたは…いや、『私たち』は周りからは思った事をすぐに口にするタイプの元気な女の子だと思われているみたいだけど、『本性』は自分が一番可愛くて、自分が不利となるようなことだけは絶対にしない・口に出さない、『傲慢』で『自己中心的』で『陰険な女』なのよ。』

(ち、違う!! 私は…私は…)

338 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:34:48 ojjwBoFY 288/584


『ふふ、でも私、この性格嫌いじゃないわよ。だってすごく『便利』じゃない?今後も色んな状況で上手く立ち回っていけるような、そんな性格だと思うわ。』

(私は…私は…)

『まあ、そんな性格のまま、これからは私がこの表の世界で生きていくからね。あなたはそっちでただただ眺めていればいいわ、私の人生を。『勝ち組』の人生をね。』

(…っ。)

『ふふふ…あははははは!!』







マァ、ナガメルコトニ、ナルノハ、アナタノホウナンダケドネ

339 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:35:22 ojjwBoFY 289/584


『…っ!?』バッ

(…後ろから声が!? それにこの声って…!?)

『…な!? …な、何で後ろに…』

『…目の前に鏡が!?』

イマヨ!!

(…!! 鏡よ!!!)

『…し、しまっt』

(私を表の世界へ!!!)

フッ


………
………………
----―――――――――――――――――――――――

340 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:35:56 ojjwBoFY 290/584


―――――――――――――――――――――――----

裏々女「…あの声はおそらく…あ~あ、やっぱりお姉さんに協力してもらってたか~。とっととあそこから離れておけばよかったわね。」

裏々女「…ん?何で裏々の世界に戻らないの?入れ替わりが起きたのに…それにここって…」

……々女!

裏々女「…ん?この声って…」

「裏々女!」

裏々女「…!? あ、あなた、とっととあっちに行かないと危ないわよ。ここは表と裏々との狭間の空間みたいだからで何が起きるか分からないし。」

「…どうしてもあなたに言いたい事があって、今留まっているの。入れ替わる時にお互いにコミュニケーションは出来る(>>218)って知ってたから、もしかしたら私がこの空間に留まっていればあなも連動してここに留まるんじゃないかって思って。」

裏々女「!? …ふ~ん、そういうことか。で?私に言いたい事って何?」

「…まず…まず先に…。」

「……お母さんのことよ。」

裏々女「…お母さん?」

341 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:36:31 ojjwBoFY 291/584


「知ってる?…あなたのお母さん、自我を持っているのよ。それも1ヶ月以上も前から。」

裏々女「え…?」

「…あなたが表の世界に行く前からお母さんは自我をもう既に持っていたの!この半年間のあなたとの会話によってお母さんにも自我が生まれたのよ!!」

裏々女「そん…な。」

「無駄だったのよ、あなたが表の世界でやったお母さんたちに自我を持たせないためにやった対策(>>113)もね。むしろ、それによってあなたのお母さんは家の中で自由を奪われることになってしまったのよ。」

裏々女「…う…そ。…わたしの…せいで…」

「…でもね、あなたのお母さんはそれに関しては何も起こってなかったわよ!むしろ勝手に表の世界に行ったことに怒ってた!!『早く帰ってきなさい、馬鹿娘!あなたは私の娘なんだから!』って。」

裏々女「…そんな…わたし…わたし…」

裏々女「………お母さん…わたし…。」

「…。」

342 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:37:20 ojjwBoFY 292/584


裏々女「………はぁ…そっか。…そうだったんだ。…でも確かに入れ替わるあの前日におかしいと思ったんだよね。」(>>275)

「…。」

裏々女「…はぁ、なんかそれを聞いたら表の世界とかもうどうでも良くなってきちゃった。…はやく私、お母さんに謝りに行かなきゃ。」

「…裏々女。」

裏々女「この1ヶ月間で十分表の世界を楽しんだしね。…悪い事したね、女。…本当にゴメン。」

「…! …ううん、いいの。私も鏡の世界での生活を経験したからさっき裏々女が言ってた「嫉妬心」とかも全部分かる。」

裏々女「…そう。…で、他にはもう言う事無いの?無いのならもうあっちに行くけど。」

「…! …あのね、裏々女。私、さっき裏々女に色々言われてさ、すごく考えたの…これからどうすれば『あんなこと』を起こさずに済むのかと…それでね私…」

裏々女「…私?」

「…私…変わる。変わってみせる。」

裏々女「…変わる? 変わるって性格を変えるってこと?」

343 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:37:57 ojjwBoFY 293/584


「そうじゃない。性格は変えない。この性格こそ私の個性であり、強みなんだから。それを自ら壊すような事はしない。」

(…私の性格が変わったら裏女ちゃんの性格まで変わっちゃうもんね。)(>>198)

裏々女「…じゃあ、どう変わるって言うのよ?」

「変わるって言い方はおかしかったかな。…私はもっと強くなる。人間的にもっと成長する。」

裏々女「ふーん。…強く…ねえ。…じゃあ、もしこれから『あの出来事』みたいなことに…自分にとって不利な状況に陥ったときにはどうするのよ?その強さでなんとかなるの?むしろその強さが周りを傷つけることになるんじゃないの?」

「…そう。そんな状況に陥らないためにも、不利な場面に見舞われないようにするためにも強くなるの!」

裏々女「…?」

「恋愛も…勉強も…スポーツも、遊びも!仕事も!これからの人生すべてが自分にとって最高の道筋をなぞっていけるような…不利な状況になんか一度も見舞われないくらい強くなる!」

裏々女「…っぷ!あははははは!何よそれ!?スーパーマンにでもなるつもり?」

「ふふ、まあ…そんな感じかな? …そう、周りから見ても清々しいくらい自分勝手で…でもむしろそれが尊敬されるような…そんな魅力たっぷりの完璧な人間に私はなりたい!」

裏々女「…ふふ、いいよ。…いいよ!すごくいいよそれ!気に入った!!そうよね、私達みたいな性格の人間は『攻め』あるのみ!『前進』あるのみ!『能動的』であるのみ!むしろそれらを私たちから取ったら何も残らないしね。」

「でしょ?」

344 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:38:37 ojjwBoFY 294/584


裏々女「強くなりなさい!なってみせなさい女!周りから有無も言わせないくらいの強い女に!やりたいこと全てが上手くいくようなそんなサクセスストーリーを続けていきなさい!」

「ええ、言われずとも!」

裏々女「ふふ、面白くなってきたわね。…それじゃあ、そんなあなたが成長していく姿を私はあっちの世界で…いや、違うわね。」

「…違う?違うって何が?」

裏々女「…私も…私もあなたと一緒にそんあ人間に成長しないとね?」ニコッ

「…!! うん…うん!そうだね!一緒に…一緒に強くなろう!!」

裏々女「ふふふ。」

「あはは。…あ、でももう入れ替わりはこりごりだからね!?」

裏々女「う~ん、どうかな~?もしも隙やチャンスがあればやっちゃうかもよ~?」ニヤニヤ

「…!! もう駄目!!絶対に駄目だからね!!」

裏々女「ふふ、冗談よ冗談!」

「なら、いいんだけど。」

345 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:39:58 ojjwBoFY 295/584


裏々女「…ふう。さあ、そろそろ行きなさい。これ以上この空間にいたら危険よ。」

「…! …そうだね。」

裏々女「でも、まさかあなたとこんなに話が盛り上がるとは…仲が良くなるとは思ってもいなかったわ。」

「ふふ、私も。まあ、私たち『似た者同士』だもんね!」

裏々女「『似た者同士』か…。ふふ、間違いない。決して『全く同じ』ではないもんね。」

「そうよ!みんなそれぞれが『自我』を持っている以上、全く同じ人間なんているわけない!だから私とあなたは『似た者同士』!」

裏々女「ええ、その通りだわ。…私は『私の人生』をこれから裏々の世界で歩んでいく。お母さん達とともに。そしてあなたはあなたで表の世界であなたの人生を歩んでいってね。」ニコッ

「…ええ!…あっ、あと、あっちのお母さんによろしくね。」ニコッ

裏々女「…! ええ、絶対に伝えておく。お母さんのことも本当にありがとう。…あなたとこうやって会話出来るのはもうこれで最後だけど話せて本当に良かったわ。やっぱり話さないと分からないこともあるのね。」

「…私も裏々女と話せて本当に良かった!」

裏々女「…。」

「…。」

裏々女「…それじゃあ。」

女・裏々女「さようなら!」

----―――――――――――――――――――――――

346 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:40:41 ojjwBoFY 296/584


―2012年/3月/14日/香川/ @ 5週目―――――――----
………………
………


【表の世界】

「…あれ!?私…戻れてる!?」

「手も…足も…自分の意志で動かせる!!」ヒョイヒョイ

「…私…戻って来れたんだ!!」

ギィ ギィ

男姉「…ふ~、上手くいったわね。」ギィ ギィ

「…!! お、お姉さん!?」

男姉「やあ、女ちゃん。よかったね、こっちに戻って来れて。」

「あっ、はい!ありがとうございますお姉さん!…でもお姉さん、今のは一体何が起きたんですか? それに何で…」

「何で3階から今、『降りて』きたんですか!? というか…もしかしてずっと3階に『居た』んですか!?」

347 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:41:21 ojjwBoFY 297/584


男姉「ええ、そうよ。…まあ、色々と混乱していると思うけど…まず何から聞きたい?」ニコッ

「…! お姉さんの仰る通り今、『何が何だか』状態なんですが…じゃ、じゃあまずこれを教えて下さい!『一体何が起きたんですか!?』」

男姉「ふふ、了解。…ただ、まあ『何が起きた?』って言われても、『入れ替わりが起きた』っていうのが答えなんだけどね。」

「そ、それは分かっているんですけど、確かあの時、後ろから急にお姉さんの声がしたんです。で、振り返ってみると…そこにはお姉さんの姿は無くて…というかお姉さんがもし背後に居たら目の前あるこの『旧校舎の鏡』で丸わかりなんですけど。」

男姉「ふふ、でしょうね。ここは足音もすごくするからバレるでしょうしね。」

「…はい。…でも、お姉さんの代わりにあるものが目の前に浮いてたんです…『鏡』が。」

男姉「その鏡ってのはこれのこと?」ヒョイッ

「…! …それは…??」

男姉「ふふ、これって何だと思う?」

「…!? …それは…」

「…釣り…竿?」

348 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:42:15 ojjwBoFY 298/584


男姉「正か~い♪ まあ、これはこの旧校舎にあった体育祭の棒引き用の『棒』と音楽室にあった『ピアノ線』、そして女ちゃんが見たこの『手鏡』で繕った手作りバージョンの釣り竿だけどね。」ニコッ

「…棒と…ピアノ線?」

男姉「この釣り竿はね、この棒の先端にピアノ線を結びつけて、上からテープも貼ってほどけないようにしてあるの。更に、ピアノ線の棒に結びつけてない片方の先端側とこの『手鏡』をこれまた外れないようにテープで固定してあるの。」

男姉「ちなみにこの棒の先端から手鏡までのピアノ線の長さは約2,5メートル。ちょうど3階から女ちゃんの目線の高さまでの長さになっているわ。で、このピアノ線を棒の先端にこうやって…ぐるぐるまいたら準備完了。ふふ、それじゃあ、今からもう一度やってみせるね。ちょっと3階に上るわよ。女ちゃんはそこに居てね。」

「あ、はい。」

ギィ ギィ

ギィ ギィ

男姉「よし着いた。それじゃあ始めるね。まず、ここ3階から棒を私が女ちゃんの立ち位置まで伸ばした状態を維持したまま、こうやって棒をゆっくり回す。」クルクルッ

男姉「棒をまわすことによって棒に巻き付いていたピアノ線が伸びていき、同時にピアノ線の先端に取り付けていた鏡も下がっていく。」

男姉「…で、裏々女ちゃんに気付かれないぐらいのギリギリの場所まで下ろしておいて…」

男姉「…そしてタイミングを見計らって、いっきに鏡を下ろす!」パッ

349 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:43:03 ojjwBoFY 299/584


男姉「最後に一気に下ろしたのは裏々女ちゃんの背後に下ろすまで、いつまでもちょろちょろ下ろしてたら鏡を見ている裏々女に気付かれる可能性があるからよ。」

「…なるほど。…ん?でもそれじゃあお姉さんはやっぱりずっと3階に至って事ですよね?でもあの時の『声』は確かに背後から…」

男姉「ふふ、女ちゃん。その『手鏡』の裏を見てみなさい。」

「…裏?」ヒョイ

「…!! …スマートフォン!?っというかこれって確か…!?」

男姉「ええ、それは私が昼休みに盗んでおいた男の携帯よ。さっきの入れ替わりのために有効活用したの。」

「そうだったんですね…確かにあの時お姉さんの声はしたんですけど、『普通の声』とはちょっと違うとは思ってたんです…まさか電話越しの声だったとは。…ん?でも何でお姉さんはこんなことをしたんですか?携帯を鏡の裏に取り付けることに一体なんの意味が?」

男姉「だって私が3階から声を掛けたら、裏々女ちゃんは3階の方を見ちゃうじゃない?」

「…どういうことですか?」

男姉「裏々女ちゃんには『真後ろ』をみてもらう必要があったからね。」

「…真後ろ?何で真後ろを向く必要が…?」

男姉「ふふ、ごめんね。それは『教えられない』の。」

「…!? 教えられないってどういうことですか?」

350 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:43:40 ojjwBoFY 300/584


男姉「…察しなさい。」ニコッ

「察しろって………っ!!」

(…お姉さんが『教えられない』ということは、『鏡の世界』の秘密に関わる事に触れようとしている事か…あっちのお姉さんは『鏡の世界』に関わる事について追求しないことを条件に協力してくれたわけだし…)

(…ん? …『あっち』の…お姉さん? …っ!!)

「…すみません、お姉さん。今、気付いたんですけど…もしかして…今、私の目の前に居る『お姉さん』は…」

男姉「…ふふ、気付くのが遅かったわね。」

「…!!」

男姉「『久しぶり』ね、女ちゃん。私がこの『表の世界』の…『オリジナル』の男姉よ。」ニコッ

「…!? あなたがオリジナルの? それじゃあやっぱり、あっちの…裏々の世界にいたお姉さんは…」

男姉「ええ。あの子は裏々の世界の私よ。」

「そうだったんですか…え、でも何でそれを教えてくれるんですか?『あっち』のお姉さんは自分がどの世界出身かを教えてくれなかったのに…」

男姉「ふふ、別にあの子も悪気があったわけではないのよ。まあ、ちょっといたずらが過ぎたというか。だから、あなたがこっちに戻ってきたらこっちにいる私が『オリジナル』であっちが『裏々』だということをちゃんとカミングアウトするように裏々の私からも頼まれてたし。それに…」

「…それに?」

351 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:44:20 ojjwBoFY 301/584


男姉「私がオリジナルだということが分かった方が安心するでしょ?」

「…! …はい、確かにそうですね。もし、今目の前に居るのがオリジナルのお姉さんではなく他の鏡の世界のお姉さんだったとしたら…ちょっと複雑な気持ちになるというか…あっちのお姉さんも優しかったんですけど…何と言うか…すみません…上手く言い表せないんですけど…」

男姉「分かるわよ、その感覚。居るべき人がここに居ない。在るべきものがそこに無い、という状況は不安要素にしかならないからね。」

「でも、入れ替わる直前のあの電話越しのお姉さんの声って、どっちのお姉さんだったんですか?あ、でも鏡の世界では喋る事や電話での会話は可能だからあの声は『あっち』のお姉さんだったのかな?…もしそうだとしたらすごい連携プレーでしたね。」

男姉「ふふ、どうやら『あっち』の私も上手くやってくれたようね。この計画でも一番不安だったのがそこだったのよ。まあ、私がもう1枚鏡を持って自分自身を映した状態にすれば電話越しの声を連動させることも出来てタイミングを合わせることも簡単にはなったんだけど、もし『あっち』で不測の出来事が起きた場合に『あっち』の私に対応させる必要があったからそれはしなかったのよ。」

「…不測の出来事…ですか。まあ私にとって、この2~30分は不測の出来事しか起きていないんですけど…」

男姉「あははは、そうでしょうね。」

「…そうだ、不測の出来事といえば、お姉さんは何で3階に居たんですか!?西階段は大荷物で封鎖されていたし…というかあの大荷物はお姉さんが仕掛けたことですよね!?」

男姉「ええ、もちろん。西階段を裏々女ちゃんに使わせないために私が事前に仕掛けたものよ。」

「じゃあ、お姉さん西階段は使えないはずですよね?…でも、お姉さんは3階に居た…というか、私よりも先に3階に潜んでいたとまで言ってましたよね?」

男姉「ええ。」

「お姉さんは私が旧校舎に入る直前までお母さんと中校舎の前に居た。なのにどうやったら私よりも先に…」

男姉「…ふふ、あったじゃない?」

352 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:45:16 ojjwBoFY 302/584


「…『あった』って何がですか?」

男姉「あなたよりも先に3階に上がれるタイミングが。」

「…私よりも先に上がれるタイミング?」

「…タイミング……。」

「………………あっ!」

男姉「気付いた?」

「も、もしかして『私たち』が…西階段に向かっていた時に…!?」

男姉「ふふ、正解♪」

「じゃ、じゃああのタイミングでお姉さんは!?」

男姉「ええ。実は裏々女ちゃんと中校舎で別れた後に私もすぐに旧校舎に向かったのよ。で、裏々女ちゃんが旧校舎に入り、西階段に向かうのを確認して私は出来るだけ音を立てないように旧校舎に入り、そして東階段を上って3階で待機してたのよ。」

「今の言い方ですと、まるで裏々女ちゃんが西階段に行く事が最初から分かってたみたいですけど…」

男姉「ええ、もちろん。というか、あの子が3階の音楽室に行くために東階段ではなく西階段を経由しなければこの計画は成功しなかったんだけどね。それと、中校舎前にあなたのお母さんと居たのも『ワザト』なんだけどね。」

「…!? どういうことですか?」

353 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:46:04 ojjwBoFY 303/584


男姉「女ちゃんの教室は中校舎で、旧校舎に行くためには必ず私とあなたとお母さんが居た場所を必ず通るはずだから、私はあそこであなたのお母さんと一緒にいたのよ。まあ、その時『こっち』では世間話をしただけで特にたいした会話はしてないんだけどね。」

「…でもあそこにお姉さんが居たことに一体何の意味が…?」

男姉「それは裏々女ちゃんに油断させるため。そして心的優位に立たせるためよ。」

「…心的…優位?」

男姉「裏々女ちゃんはここ最近の私からのアプローチを受ける事を通じて少なからず私に対して警戒心を持っていたはず。…だから、あそこで私の姿を見せる必要があったの。」

「…でも、待って下さい。それだと逆効果じゃないですか?裏々女が旧校舎に行く前にお姉さんが姿を見せてしまったら、油断どころか逆に警戒心が高まるはずだったと思うんですけど…」

男姉「ふふ、その通りよ。当然裏々女ちゃんは私を見たことによって警戒を強めたはずよ。『もしかしたら、この人何か企んでるんじゃないのか』と。そして、警戒心マックスの状態であの子は西階段、そして東階段へと向かい、そして…」スタスタッ

男姉「これを見破った。」ヒョイ

「…! …それは…」

男姉「そう。このバッレバレの段ボールの箱を。これはもともと見破ってもらうようにこんな分かりやすい場所に置いておいたの。…女ちゃん、私はあのときには既に3階に潜んでて見えなかったんだけど、あの時の裏々女ちゃんの様子はどうだった?」

「…『どうだった』?」

男姉「すごい勝ち誇った顔をしてたんじゃないの?」

「…! …はい、確かに。」

354 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:46:57 ojjwBoFY 304/584


男姉「まあ、誰だってトラップを未然に防ぐ事が出来たら嬉しくなるわよね。さらに『あなたたち』の性格を考えたらその感情を表現せずにはいられない。そんな時に目の前に鏡がある。敵である『あなた』に対して勝利のメッセージを届けられる環境が整っている。そりゃあ、もう『あの子』は喋られずにはいられないわよね。」

「…! それがお姉さんがさっき言ってた『心的優位に立たせる』ってことですか?」

男姉「そういうこと。更に西階段は封鎖されていて、私は中校舎の前にいた。だから『3階にお姉さんがいるはずがない』…と思い込んだ。まあ、もし、下から私が来ても階段の上から逃げるのと階段の下から捕まえるのじゃあ、絶対に前者のほうが優勢だしね。そもそも私はろくに運動もしてない大学生だし、現役運動部の子を捕まえるのはなかなか厳しいしね。」

「…」

男姉「そういった状況があの子を油断させた。『まあ、ちょっとぐらい敗戦相手と喋ってもいいか』と。」

「それじゃあ中校舎前でのお姉さんたちとの遭遇も、西階段封鎖も、このトラップも全て…」

男姉「ええ。それら全ては、裏々女ちゃんを油断させ、心的優位にたたせる、『その状況を創りだすこと』…それが私の今回の目的だったのよ。そしてその隙に私がこの釣竿で釣る。…『あっち』で『あっちの私』が言ってたでしょ?『私が必ず釣ってみせる』って。」(>>244)

「…! あれってそういうことだったんですか…でも、何で事前に教えてくれなかったんですか!?」

男姉「こんなの事前に全部教えてたら時間がかかりすぎて怪しまれるでしょ?それに女ちゃんにもちょっとしたスリルを味わってもらいたくってね♪」ニコッ

355 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:47:25 ojjwBoFY 305/584


「スリルって…本当にどうなるかと思いましたよ… でも、今回の作戦の目的が裏々女を油断させる事ってのは分かったんですけど、さっきのこの段ボールに隠した鏡によるトラップにもし裏々女が気付かなかったら、普通に成功してましたよね?」

男姉「…それは、無理よ。」

「…無理?」

男姉「それじゃあ入れ替わりは『起きない』のよ。」

「…! それってどういう…」

男姉「…おっと、さすがに話すぎたわね。もう30分も経ってるじゃない。」

「え!? …うわ!ほんとだ!!昼休みあと15分しかないですよ!!」

男姉「それじゃあ、今から第二段階へと移る事にしましょうかね。」

「あ、でもお姉さん、その第二段階って…」

「…一体何をするんですか? 確か1週間前…」


………
………………

----―――――――――――――――――――――――

356 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:47:59 ojjwBoFY 306/584


―【回想~(>>304)の続き~】―――――――――----

男姉「よし、それじゃあ、第2段階の裏々男を釣る話なんだけど、それは第1段階が成功した後のお楽しみということで♪」

「…えっ!? な、何でだよ姉さん!?」

男姉「これ以上、『あっち』で『あっちの私』が話込みすぎたら怪しまれるだろうし、そろそろ時間切れなのよ。それと、この第2段階…というか第1段階についてもだけど、男に話したところで『何にもならない』のよ。だって、あなたはずっと見ていることしか出来ないからね。」

「…!? いや、それは何となく気付いてたけどさ…でも『心の準備』っていうもんが必要じゃないか?」

男姉「そんなもん必要ないわよ。あんたはただ入れ替わりのチャンスが来るのをただ待っていればいいのよ。」

「え~…」

「お、お姉さん、さすがに言い過ぎじゃ…というか本当に大丈夫なんですか?今の時点で第2段階の作戦を私達が知っておかなくて…」

男姉「大丈夫よ。第1段階が終わったら女ちゃんには電話、もしくは直接それを伝えるから、それまでは第1段階のことだけを考えていなさい。」

「は、はぁ。」

男姉「…ふふ、男。まあ、この私を信用しなさい。この私を誰だと思ってるの?」

「…ああ、そうだな姉さん。姉さんはいつも『有言実行』出来なかった事なんて無かったもんな。…俺はただひたすら『その時』を待っている。…それでいいんだな?」

男姉「そういうこと♪」

----――――――――――――――――【回想終了】―

357 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:49:26 ojjwBoFY 307/584


―――――――――――――――――――――――----
………………
………


「っていう感じで、第2段階についてはまだ私は聞いてないんですけど…」

男姉「らしいわね。『裏々の私』から第2段階について話してない事は聞いてるわ。…それじゃあ話すわね。」

「…お願いします。」

男姉「…実のところ第2段階については何にも考えていません♪」

「……え?」

男姉「だから、考えてないの♪」

「…えええええええ!? そ、それってどういうことですか!?」

男姉「ふふ♪ だから、自分の力でなんとかしてみなさい、女ちゃん♪」

「…! …自分の…力…?」

男姉「ええ、そう、自分の力。…だって、あなたたち『二人の力で戻ってみせる』って決めたんでしょ?」

「…! …はい。」

358 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:50:01 ojjwBoFY 308/584


男姉「でしょ? さっきまでは『何が何だか』な状態だったかもしれないけど、今からは『何が何でも』男を取り戻すことだけを考えて行動しなさい♪」

「…! …『何が何でも』…。…はい。そうですよね、最後くらい自分たちで!…それに最後までお姉さんに迷惑を掛けるわけにもいけませんし…」

男姉「ふふ、別に迷惑だなんて思ってないけどね。それにさっきはああ言ったけど最低限のサポートとアドバイスはしてあげるわよ。」

「サポートとアドバイス?」

男姉「ちょっと待っててね」ピッ ピッ ピッ

「?」

prrrrr prrrrr

男姉「…あ、もしもし。男姉です。ええ、こっちの方はもう済んだので旧校舎前に…そうですね5分後に来るように伝えてくれますか?…ふふ、本当にありがとうございました。…あ、はーい。ではでは。」ピッ

「…誰に電話してたんですか?」

男姉「ふふ、女ちゃんのお母さんによ。」

「…!? お、お母さんに!?でも何で??」

男姉「実は今、お母さんと男は一緒にいたのよ。」

359 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:50:30 ojjwBoFY 309/584


「…! でも何で男とお母さんが??」

男姉「だって男、今携帯持ってないでしょ??」

「…! …そういうことですか。」

男姉「男の携帯は今ここにあるからね。そして、男の携帯がここにあるということは『裏々男』との連絡もとれないということ。だから、『裏々男』との連絡手段として、そして『裏々男』が変な動きをしないよう監視してもらうためにもあなたのお母さんに協力してもらったの。もちろん『こっち』のあなたのお母さんには鏡の世界について等は話してないわよ。『私が女ちゃんとちょっとお話があるから、その間、男の相手をして下さい』っていう風な頼み方をしたわ。」

「なるほど…じゃあ、今の電話は?」

男姉「うん。こっちの話が終わったから男に旧校舎まで行くように誘導してほしいとお願いしたの。」

「そうだったんですか…」

男姉「さあ!準備は整ったわよ!男が旧校舎前に来る前までにちゃんと旧校舎から出ておかないとね!じゃないと怪しまれるかもしれないし。」

「…! …そ、そうですね!…でも、私一体どうしたら…」

男姉「大丈夫よ女ちゃん。…それじゃあ、さっき言ってたアドバイスをあげるわね。」

「アドバイス?」

360 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:51:36 ojjwBoFY 310/584


男姉「女ちゃん、『女の子』にとっての『最強の武器』って何だと思う?」

「…女の子の最強の武器??」

男姉「ふふ、それは『色気』よ♪」

「…! い、いいい色気!?」

男姉「ええ。あんな童貞野郎、女ちゃんがハニートラップを仕掛けてやったら一発よ♪そうやって隙を創りだしてその隙に力ずくで入れ替わりをしてやんなさい♪」

「そそ、そんなの無理ですよ!!/// 色気だなんて…///」

男姉「ふふ、何とかなるわよ!さあ、早く行きなさい!男先に来ちゃうわよ!…あと、これ持っていきなさい!」ヒョイ

「…!」パスッ

361 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:52:05 ojjwBoFY 311/584


「あ、これってさっきの釣り竿もどきの手鏡…?」

男姉「ええ。それが無いと合わせ鏡出来ないでしょ?」

「…あ、そうですよね。 そ、それじゃあ行ってきます!」

男姉「いってらっしゃい♪ …ちゃんと私との会話を反芻しながらシチュエーションを作るのよ。」

「…え?」

男姉「も~早く行きなさい!」

「あ、はい!」タッ

タッタッタッ

----―――――――――――――――――――――――

362 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:52:46 ojjwBoFY 312/584


―――――――――――――――――――――――----

タッタッタ

(よ、良かった。まだ、裏々男来てない。あの壊れた窓から出たところも見られてないよね。 でも、これからどうしたら…)

(お姉さんはああ言ってたけど…私に色気なんか…『そういう経験』も全くな、無いし…///)

(…そもそもどうやって『あの鏡』の前まで裏々男を連れて行けば…)

オーイ

(…! き、来た!)

「ごめんごめん」

「…や、やあ男!」

(…この子が…裏々男…。)

「てか、お前どこ行ってたんだよ。お前のお母さんと一緒に探してたんだぞ?」

「え!? あ、それはですね…」

(え、何?お母さんは、私がお姉さんと一緒にいること知ってたはずだから…あ、そういう設定になってるのか。)

「いや~、ちょっと…ね」

363 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:53:16 ojjwBoFY 313/584


「しかも姉さんと一緒にいたんだろ?何してたんだよ?」

「い、いや~、ちょっとガールズトークをですね、ははは。」

「ふ~ん。まあ、でも俺の方こそゴメンな。体育終わったら携帯が無くなっててさ…いったいどこにいったんだろ…」

「へ、へ~そうだったんだ…」

(お姉さんが携帯を盗んだなんてとても言えないわね…)

「…まあ、そんなことはいいとして、姉さんはどうしたの?」

「…! …お、お姉さんは…か、帰ったよ!何でも用事があるとか何とかで…」

「そっか。まあ、あの人いつも忙しそうだからな~。でも何でお前、旧校舎前に来てって言ったんだ?」

「…! …い、いや、それは…」

「…まあ、どうせこの前、姉さんが言ってた『ホワイトデーの旧校舎でプレゼントの受け渡し』の話を聞いて、それを俺にさせるためなんだろ?お前はプレゼントを貰う側なのに欲張りな奴だよな~まあ、女らしいけど!あはは!」

(……な、なんか傷つく…で、でもこれに乗じれば…)

364 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:53:42 ojjwBoFY 314/584


「そ、そうなの!どうせプレゼントを貰うのなら旧校舎がいいと思って!」

「はは、そっかそっか。まあ、俺ももともと旧校舎で渡すつもりだったしね。よし、それじゃあ中に入ろうか!」スタスタッ

「あ、うん。…あ、でも」スタスタッ

「『どうやって中に入るの?』だろ? はは、実はね旧校舎には壊れた窓が一つあってね、そこから入れるんだぜ。」スタスタッ

「へ、へぇ~、そうなんだ。」スタスタッ

「…お、やっぱりまだここは壊れたまんまだ。それじゃあ中に入ろうか。人に見られないうちに早くしないとな。」

「あ、うん。わかった。」

----―――――――――――――――――――――――

365 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:54:09 ojjwBoFY 315/584


―――――――――――――――――――――――----

スタッ

「…よっと。大丈夫、女?」

「うん。」スタッ

(まあ、入るのは2回目だしね)

「うわ、相変わらずホコリっぽいな中は…そんじゃ3階の音楽室の前まで行こうか。」スタスタッ

「…。」

----―――――――――――――――――――――――

366 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:54:43 ojjwBoFY 316/584


―――――――――――――――――――――――----

「よし、廊下には出れたし、3階に上がろうか。」

「うん。」

「それじゃあ、行こう。」スタスタッ

「…! 男、そっちの方は西階段だけど…」

「え?」

「…確か旧校舎の音楽室って東階段から上った方が早いらしいけど…」

「あ、いや、それは…」

「…き、旧校舎って来週には取り壊されるだろ?だから、せっかくだし、探索しながら3階にあがろうぜ!」

(…間違いない。この子、あきらかに東階段を避けようとしている…)

(…けど、ここは拒否反応せずにこの子の意見に従っておいた方がいいかも。まあ、西階段はどうせ封鎖されてることだし…)

「…そうね、せっかくだし遠回りしながら行きましょうか。」

----―――――――――――――――――――――――

367 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:55:43 ojjwBoFY 317/584


―――――――――――――――――――――――----

「…おいおい、何だよコレ。」

「…これじゃあ、階段上れないね…」

(…さあ、どうする!?)

「…なあ、女。…もうプレゼントここで渡してもいいんじゃね?」

「!? …ど、どうして!?」

「いや、だって…もしかしたら東側の階段もこうなってるかもしれないし…」

「そ、そんなのまだ分かんないじゃない!それに、せっかく来たんだし、3階まで行こうよ!!」

「…わ、分かったよ。」

「ほら!それじゃあ行くよ!」グイッ

「あ、ちょ、ちょっと女!そんなに引っ張るなって!」スタスタッ

(…なんとか『旧校舎から出る』という最悪の状況は切り抜けられた…)スタスタッ

(…あとは『あの鏡の前』で力ずくでもいいから合わせ鏡をしてやれば…!)スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――

368 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:56:14 ojjwBoFY 318/584


―――――――――――――――――――――――----

「…」ギィ ギィ

「こっち側の階段は色々とモノが散乱してるな…」ギィ ギィ

「…。」ギィ ギィ

「…女?」ギィ ギィ

「…! …ええ、そうね。…さあ、時間も無いんだし、早く行くよ!」グイッ

「だ、だからそんな引っ張るなって!」タタタッ

(もう今の時点で2階近くまで上ってきた…)ギィ ギィ

(もう少しで『あの鏡』がある踊り場に着く。)ギィ ギィ

(あの踊り場に着いてから…私はどうすればいいんだろ…)ギィ ギィ

(お姉さんは、は、ハニートラップを仕掛けろとか言ってたけど、そんなのどうやってやるのよぉ…)ギィ ギィ

(…ハニートラップ以外に何か…っ!)ギィ ギィ

(…そういえばお姉さん、最後に言ってたな…『私との会話を反芻しなさい』って…でも、結構長い時間話していたし…)ギィ ギィ

369 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:58:23 ojjwBoFY 319/584


(…ただ、お姉さんとのさっきの会話の中で未だに解消出来ていない疑問がいくつかある…)ギィ ギィ

(…お姉さんは『何で入れ替わりの際に私を後ろに向かせたのか』(>>349)、『何でそれの理由を教えられないのか』(>>349)、そして『何であらかじめ仕掛けておいたトラップでは入れ替わりは出来ないと言ったのか』(>>355)…)ギィ ギィ

(…!! もしかしてこの3つの疑問は全て繋がっている!?)ギィ ギィ

(…っ! そ、そうか…も、もしかしたら…! …いや、絶対にそうだ!!…だとしたら、『それ』を踏まえた上でやらなくちゃ …っ! 考えてたらもう踊り場に…!?)ギィ ギィ

ピタッ

(…ど、どうしよう…)

「…? …どうしたんだ女?急に立ち止まって?…って、ここは…」

(…ええーい!!なるようになれッ!!)クルッ

グイッ

「ちょ、ちょっと女!急に引っ張るなっt…」タタタッ

ガバッ

「…!? ど、どうしたんだよ女!き、急に抱きついてきて…///」

370 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:59:08 ojjwBoFY 320/584


「…ご、ごめんね… …でも、どうしても…こ、こうしたかったの…/// 男とは学校とかじゃあんまり会えてなかったし…それに…き、キスも最初のデート以来してなかったし…///」グッ

「お、女…///」

「…うん、そうだよな…何かゴメンな、そこんとこ気付いてやれなくて…」ギュッ

「…。」

「はは、ずっとこうしてたい気分だな…」

「…ええ。」

「…でも、まあすぐそこに音楽室があるんだし、とりあえず音楽室前まで行こうか。今、俺の真後ろに鏡があるだろ?それって実はあの噂の…」

「…男。」

「…ん?何だ?」

「………………………ごめんなさい。」ガサッ

371 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 16:59:54 ojjwBoFY 321/584


グイッ

「…!? …お、お前…何で手鏡なんか!?」

「今よ!!男!!」

「…ッ!?」


「………………ふぅ。上手くいったみたいだな。」

「ええ。予想以上に上手くいったわ。」

「意外とあっけないもんなんだな…。」

「まあ、いいんじゃない?こういうのも?」

「はは、そうだな。」

「ふふ…おかえり、男!」

「…ああ。」




「ただいま、女。」

372 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:00:32 ojjwBoFY 322/584


「ていうか、お前もちゃんと帰って来れたんだよな?」

「ええ。…まあ、お姉さんが1週間前に伝えてくれた計画とはかなり違った事になったけどね…。」

「…? そうなのか?まあ、戻って来れたんだし良かったじゃないか。」

「ふふ、まあそうなんだけどね。」

「ただ、結局俺はお前や姉さんにやってもらうことしか出来なかったな…何だか不甲斐ないや…」

「いいじゃない別にそんな事!…まあ、でも『感謝』はしてほしいわよね♪」

「はは、感謝してるよほんと。でも、お前が急に抱きついてくるんだからマジでビックリしたぜ。あれは裏々男を油断させるためだったんだろ?」

「自分でもビックリしてるわよ。まあ、油断させるためでもあったし、あと立ち位置の調整と入れ替わりの条件を満たすように手鏡の角度やその他諸々のためよ。」

「そっか…でも本当に助かったよ…ありがとうな女!」ギュッ

「ちょ/// お、男!?///」

「…も~、男ったら…///」ギュッ



男姉「ひゅーひゅー!熱いねー!青春してるねー!少年少女よ!」ギィ ギィ

373 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:01:12 ojjwBoFY 323/584


「…!? …って、おおおおお姉さん!?」バッ

「ね、姉さん何でここにいるんだよ!?」

男姉「え?何でって私ならずっと3階にいたわよ?」

「え?今回も3階に居たんですか??」

男姉「ええ。もし女ちゃんがしくじったときのために今回も3階でスタンバってたのよ。まあ、その必要はなかったみたいね。いや~、女ちゃん、なかなかの演技だったよ。そしてさすが童貞。『ただ抱きついただけ』なのにモノの見事に隙だらけになってくれて。」

「ま、まあ、俺なら引っかからなかったけどね。」

「ふふ、どうだか。」

男姉「そうよ、あんたもあいつと一緒なんだから引っかかるに決まっているじゃない。」

「そ、そんなわけないよ!」

男姉「ふふ、まあ何はともあれ無事戻って来れてよかったわね。女ちゃん、本当によくやったわね。」

「いや、私は別に大した事は…」

男姉「いいえ、あのことに『気付けた』ことは本当にファインプレーだったわよ。」

「…!?」

「…あのこと?」

374 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:02:02 ojjwBoFY 324/584


キンコンカンコーン

男姉「あら、昼休みが終わったみたいね。さあ、予鈴もなった事だしとっとと戻りなさいあなたたち。」

「あ…はい。」

「…あ、俺、っていうか裏々男のやつ、次の数学の宿題してなかったっけ!早く戻らないと!行こう女!」

「あ、うん!」

男姉「あ、ちょっとだけ待ちなさい、二人とも。」

男・女「?」

男姉「あなたたち、『私たち』との約束のこと忘れてないわよね?」

「…! …はい、もちろんです。」

「…ああ。」

男姉「第1段階でどういうことがあったのか…といったことについてはまあ、女ちゃんから男に話しても構わないわ。男も第1段階でどんなことがあったのかって気になってると思うしね…でも、話してもいいのはそれだけ。今後は鏡の世界について一切関わらないこと。そしてお互いにそのことについての話題も絶対にしない事。いいわね?」

女・男「はい。」

375 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:02:41 ojjwBoFY 325/584


男姉「よろしい。それじゃあ行きなさい♪さあ、5時間目遅刻しちゃうわよ!」

「あ、宿題!行こう女!それじゃあ姉さんまた!」タッ

「あ、待って!…お姉さん、本当にありがとうございました!」タッ

タッタッタ









男姉「…。」

----―――――――――――――――――――――――

376 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:03:20 ojjwBoFY 326/584


―――――――――――――――――――――――----

「やべ~、数学の先生、宿題のことについては厳しいからな~」タッタッタ

「ふふ、ドンマイ男」タッタッタ

「…あ、そう言えば…ねえ男!」タッタッタ

「んん~??」タッタッタ

「今、私へのプレゼント持ってるんじゃないの!?」タッタッタ

「プレゼント?…ああ、裏々男が用意したやつの事か?」ピタッ

「そうそうそれ! ねえ見してよ!」

「え、何で?『あっち』で言ったろ?俺が改めて用意して渡すって。」(>>292)

「いいじゃない!裏々男が私にどんなプレゼントを用意してくれたのか気になって!別にそれを頂戴って言ってるわけでもないし!」

「…ったく。こっちは数学のことで頭がいっぱいだっていうのに。」ガサゴソ

「やった~、見せて見せて~♪」

「ほい。」

377 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:03:46 ojjwBoFY 327/584


「…へ~、奇麗な箱だね。開けてもいい?」

「…好きにしろよ。まあ、俺は中身はもう知ってるけど。」

「それじゃあ開けま~す。」パカッ

「…これって…ネックレスだ…うわぁ~奇麗…」

「…ったく、俺がそれよりももっといいものをプレゼントしてあげるよ。」

「え、ほんと?…ふふ、楽しみにしてるね!…でも男もそうやって嫉妬することもあるんだね~?意外~」ニヤニヤ

「ばっ…/// 別に嫉妬なんかしてないって!もともとそういう約束だっただろ!?」

「ふふ、そうだったね。…はい、それじゃあこれは一応返しておくね。」ヒョイ

「おう。…さあ、早く行こう!」

----―――――――――――――――――――――――

378 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:04:22 ojjwBoFY 328/584


―――――――――――――――――――――――----

「それじゃあな、女。また放課後の部活が終わった後に!またその時に今日何があったのか教えてくれよ。」タッタッタ

「うん、わかった!またね!」ふりふり

「さてと…私も教室に戻るか」スタスタッ

(…ここ30分ぐらい激動の時間がずっと続いてたからあまり実感が無かったけど…)

(…こうやって一人になってから実感がわいてきた…)

(…私、本当に、自分の意志で今、体を動かせてるんだ…)



(…私、本当に、表の世界に戻って来れたんだ!!!!!)


----―――――――――――――――――――――――

379 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:04:51 ojjwBoFY 329/584


―――――――――――――――――――――――----

キンコンカンコーン

(…さあ、授業も終わった事だし、部活に行くか。)

(…でも、表の世界での…というか『自分の意志』で運動するのはちょうど1ヶ月振りだからちょっと不安だな~)

(…いや、違う。部活に行くのは『後』だ。それよりも先に私は会わないといけない人が『二人』いる。)

部員1「女ちゃん、部活行こ~」

「…! 部員1…」

部員1「…? どうしたの女ちゃん?固まっちゃって。」

「…っ」ガバッ

部員1「え、えええ!?お、おお女ちゃんどうしたの急に抱きついたりして!?/// み、みんな見てるよ!?///」

「しばらくこうさせて…」

部員1「…女ちゃん?」

380 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:05:16 ojjwBoFY 330/584


「…私ね、もう一人のあなたにすごく勇気をもらったのよ…」(>>210)

部員1「へ?もう一人の私???」

「本当にありがとう…」グスッ

部員1「…よ、よく分かんないけど、泣かないで女ちゃん。」

「…ふふ、ありがと。…あ、それでね、実は『もう一人のあなた』からあなた宛に伝言を預かってるの。」

部員1「…伝言?」

「…『もっとシャキっとしなさいよ!(>>214)』ってね!」ニコッ

部員1「…へ?」

「それじゃあ、私行かないと行けない場所があるからちょっと行ってくるね!だから部活は遅刻しちゃうかも!」タッタッタ

部員1「え、あ、わ、分かった。」

「また後でね!部員1!」タッタッタ

部員1「…行っちゃった、女ちゃん。」ふりふり

部員1「でも、一体何だったんだろ?」

----―――――――――――――――――――――――

381 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:05:51 ojjwBoFY 331/584


―――――――――――――――――――――――----

「はあはあはあ」タッタッタ

(…そうだ。表の世界での生活を始める前に、私には会わないと…謝らないといけない人がいる!)タッタッタ

(…私自身がこれから先に進むために…成長していくためにも…!!)タッタッタ

「はあはあはあ…っ!! 居た!!」タッタッタ

「待って!!!」



「女友!!」

女友「…あ、女ちゃん?」

382 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:06:12 ojjwBoFY 332/584


「はあはあ…よかった…まだ帰ってなくて…」

女友「…どうしたの?そんなに息を切らせて…」

「はあはあ…どうしてもあなたに言わないといけないことがあって…」

女友「…」スタスタッ

「…女友?」

女友「とりあえずこのベンチに座らない?」ニコッ

「…うん。」

スタスタ

----―――――――――――――――――――――――

383 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:06:52 ojjwBoFY 333/584


―――――――――――――――――――――――----

女友「こうやって女ちゃんと一緒に話すの久しぶりだね。」

「うん…。」

女友「…どうしたの?そんな暗い顔してる女ちゃん初めて見たよ?」

「…! …ご、ごめんね。」

女友「…ゆっくり。」

「…え?」


女友「ゆっくりでいいんだよ。」ニコッ

「…ゆっくり?」

女友「焦る必要なんて何も無いじゃない?女ちゃんが言いたい一つ一つの言葉をゆっくりと焦らず紡いでいって。紡ぎ終わるまで私、ずっと待っててあげるからね。」ニコッ

「…女友。」

女友「ふふ」ニコッ

「…ふぅ…ありがとう、女友。女友のおかげで大分落ち着けた。」

女友「そう?」

384 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:07:32 ojjwBoFY 334/584


「…ねえ、女友。」

女友「な~に?」

「…私、女友に謝らないといけない。」

女友「何で?」

「…私、男が好きなの。」

女友「…。」

「…ずっと前から好きだったの。女友に『男のことが好き』ってことを相談された時よりも前から好きだったの。」

女友「…。」

「…それで…実は男もその時点で私の事が好きで…それで私達、1ヶ月前から付き合ってるの。」

女友「…そうなんだ。」

「…そう、だから私、女友に最低な事を…ぐすっ…したの…。私も男のことを好きなのに安易に女友の相談に…乗っちゃって…ぐすっ…」ポロポロッ

女友「…。」

「…そ、それで男も私の事が好きだという事を知っていたにも…か、関わらず…ぐすっ…それを女友に伝えなかったり…」ポロポロッ

385 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:07:59 ojjwBoFY 335/584


女友「……………泣いたら…」

「…っ?」ポロポロッ

女友「…泣いたら許されるとでも思ってるの?」

「…っ!」

女友「…許さない…絶対に許さない…っ。」

「…! ……………女友…わたし…」








女友「…な~んてね」ニコッ

386 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:08:21 ojjwBoFY 336/584


「…へ?」

女友「どう?私の演技上手かった??」

「…え? え?」

女友「ふふ、私、女ちゃんが男くんのことを好きなのを知ってたよ。」

「…え!? い、いつから!?」

女友「女ちゃんに相談した一番最初の時。」

「…最初?」

女友「うん。私が女ちゃんに男くんが好きだってことを打ち明けた時、女ちゃんの様子が明らかにおかしかったんだもん。」

「!?」

女友「で、その時の反応から、『あ、女ちゃんも男くんのこと好きなんだな』…って気づいたの。」

「…。」

女友「…私ね、それまで誰かを好きになった事なんてあんまりなかったからよく分かんなかったの。」

「…何が分からなかったの?」

女友「好きになった人との接し方。」

「…接し方?」

387 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:08:51 ojjwBoFY 337/584


女友「うん。…私、男くんのことを好きなったのはいいけど、恥ずかしくて全然接することが出来なくて…でも、女ちゃんは私とは『逆』で沢山男くんと接してたでしょ?」

「う、うん。」

女友「私も本当にその時は無知でさ…女ちゃんも男くんのことが好きなら『私みたいに恥ずかしくなるはずだ』…って思ったの。でも、女ちゃんは当たり前のように男くんと絡んでたから…でも、本当に女ちゃんってすごいよね。好きなひと相手にあんなに…」

「…まあ、私からアグレッシブさを除いたら何も残らないしね…。…そっか、だから私に相談したんだね。」

女友「うん…でも、一番最初に相談した時の女ちゃんは明らかに動揺しててさ…その時に私、とんでもないことをしちゃったんじゃないのかって思って…」

「…」

女友「…だけど、私も言い出しちゃったもんだから、あとに引けなくなってしまって。女ちゃんも私の相談に全力で答えてあげようとその後振る舞ってくれたから断る事も出来なくて…」

「…そうだったんだ。」

女友「…だから、謝らないといけないほうは私なの。…本当にゴメンね…女ちゃん。」

388 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:09:23 ojjwBoFY 338/584


「…! な、何で女友が謝るのよ!謝らないといけないのは私なのに!」

女友「ううん。私が謝らないといけない。だって私、男くんが女ちゃんのことを好きなのも知ってたんだもん。」

「え?」

女友「私も男くんが好きだったからさ、男くんの方によく目が向いてしまっていたんだけど、男くんの目線の先にはいつも女ちゃんがいたの。…それで、男くんも女ちゃんのことが好きなんだな…ってわかって。」

「…。」

女友「それにね、その時にもう一つ気付いた事があったの。」

「…気付いた事?」

女友「私が好きな男くんはね、女ちゃんと楽しそうにしている男くんだってことに。」

「…!」

女友「私には女ちゃんの代わりになれないってことは十分に分かってたし、それに何よりもその男くんと女ちゃんの関係を壊したくなかった。…それぐらい女ちゃんと男くんが二人で居る様子は微笑ましかったの。」

「…。」

女友「それで、告白するのをやめたの。だからね、あきらめはすぐについてたんだよ!…でも、それをなかなか言い出す事が出来なくて…」

「そう…だったんだ…」

女友「…本当にゴメンね…ぐすっ…女ちゃん。もっと早く男くんに…ぐすっ…自分の想いを伝えたかったはずなのに…こんな…こんな私のせいで…」ポロポロッ

「そ、そんなことない!そんなことないよ女友!!」ジワッ

389 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:09:59 ojjwBoFY 339/584


女友「…でもね、私、さっき本当に…ぐすっ…ホッとしたんだ。女ちゃんと男くんが付き合ったって聞いて…本当に…本当に良かった…私が大好きな二人が結ばれたって分かって…」ポロポロッ

「…女友。」ポロポロッ

女友「………っ。」ゴシゴシッ

女友「…女ちゃん…男くんと幸せになってね!」ニコッ

「…! …女友。…うん!約束する!私、絶対に幸せになる!!でも女友も幸せにならなきゃ!」

女友「…ふふ、そうだね。まずは新しく好きな人を作らないとね♪」

「ふふ、男よりもいい奴なんてこの世の中にはいっぱい居るわよ!」

女友「はは、いいの?自分の彼氏のことをそんな風に言っちゃって?」

「いいのよあんな奴!」

女・女友「…っぷ。あははははは」

----―――――――――――――――――――――――

390 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:11:42 ojjwBoFY 340/584


―――――――――――――――――――――――----

ただいま~

女母「あら?おかえりなさい。…あら?目元赤いわよ?」

「…ちょとね♪」

女母「…? それにしても遅かったじゃない?」

「うん。ちょっと男と長話しててさ。」

女母「そうだったの?あ、私も今日、お昼に男くんと喋ったわよ。」

「みたいだね」

女母「何だかよく分かんなかったけど、男姉ちゃんに『女ちゃんと話さないといけないことがあるから、女ちゃんを捜すフリをしながら男を足止めしておいてもらえますか?』って言われたもんだから一応その通りしたけど…あんた男姉ちゃんと何話してたのよ?」

「…う~ん、まあ色々と…ね。」

女母「色々…ねえ。まあ、でもその間男くんと話してたわけだけど、あの子やっぱり良い子ね!今度うちに連れておいで。」

「ふふ、了解。男がそれを聞いたら喜ぶと思う。」

(…まあ、お母さんが今日話してたのは裏々男なんだけど。)

(…! …そうだ、やることやっておかないと。)

391 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:12:08 ojjwBoFY 341/584


スタスタッ

女母「…?どうしたの女?」

「お母さん、やっぱり玄関やリビングに置いてる鏡のけよう。」

女母「…? まあ、元はあなたが言い出しっぺだし、のけてくれても全然いいけど、急にどうたの?」

「…もう必要ないかな…って思って。」

女母「まあ、あんたがそう言うなら…さあ、とにかく荷物を自分の部屋に置いてきなさい。ご飯はもう出来てるんだから。」スタスタッ

(…もう必要ないよね? 裏々女。)

(…あなたはそっちの世界でそっちのお母さんと一緒にあなた達だけの人生を歩んでいくんだから。だから、鏡なんてもう要らないわよね。)

(…ねえ、裏々女。私、女友と仲直り出来たよ。むしろ前よりもすごく仲良くなれた気がする。裏々女が私にああやって言ってくれなかったら、私、女友に話しかけること出来なかったと思う…。これで私、またちょっと成長出来たかな?)

(…これからも、私もっともっと強くなる!そして幸せになってみせる!)

オンナー ナニシテンノー ハヤクオイデー

「…! はーい!今行くー!お母さーん!今日のご飯何ー!?」

タッタッタ


----―――――――――――――――――――――――

392 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:13:40 ojjwBoFY 342/584


―2012年/3月/20日/香川/ @ 5週目―――――――----

校長「ええ~、今年もあっという間に…」

「ふぁあ~…」

(…長くなりそうだな~、終業式の校長先生の話。…でも本当にあっという間だったな、今年は…)

校長「二年生は三年に、一年生は二年生にとなるわけですが、生徒の皆さんは…」

(…特にこの1ヶ月はほんと大変だった…色々と起きっぱなしで…)

校長「また、明後日から旧校舎の取り壊し工事が始まり…」

(…まあ、何はともあれこにて一件落着だよね。)

校長「それに伴い、校内に建材を運び込むためにトラックや作業員の方々が校内を行き来することに…」

「…でも何だろう…この違和感…」

校長「…ですので部活等で学校に来る生徒はケガのないように細心の注意を…」

「…何か」


「…何か…忘れているような…」

―――――――――――――――――――――――----

393 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:14:45 ojjwBoFY 343/584


―2012年/3月/21日/香川/ @ 最終週―――――――----

女母「女!いい加減起きなさい!今日は昼から部活でしょ!?」

「ん~…今何時~??」

女母「もう12時前よ!!」

「12時~? 部活は~確か12時半かr…あああああああ!!」ガバッ

女母「とっとと仕度しなさい!!」

「もお!お母さん何で起こしてくれないのよ!!」

女母「起こしたわよ!!何度も!!」

「嘘だー!!」アタフタ

女母「嘘じゃないわよ!一応部下行く前にご飯食べていきなさいよ!ご飯食べないと力でないでしょ?それじゃあお母さん台所で準備してるから。」スタスタッ

「は~い!やばいやばい!早く仕度しないと!!」

394 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:16:20 ojjwBoFY 344/584


prrrrr prrrrr

「…! もう何よこんな時に一体誰よ。」パカッ

「…ん? 見た事無い番号だけど誰だろう……?」ピッ

「もしもし?」

男姉『もしもし、女ちゃん?』

「…!? …お、お姉さんですか??」

男姉「ええ。1週間ぶりね。男から…というか男の携帯を盗んだときに女ちゃんの番号を控えておいてね。」

「は、はあ。…でも、どうしたんですか急に…?」

男姉「…女ちゃん、あなたが裏の世界で裏男から言われたこと覚えてる?」

「…! 裏男から言われたこと? ……っ!」

395 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:16:57 ojjwBoFY 345/584


―【回想(>>199)】――――――――――――――----
裏男「…『線路』だ。…『線路』がいるかもしれない。」
----―――――――――――――――――――――――


「…『線路』がどうとかって私が言われたことのやつですか?」

男姉「…ええ、そうよ。それをあなた『裏々の私』に『線路』について知ってるかってことを聞いたらしいわね?(>>239) だから、私も『裏々の私』からそのことは一応聞いてたの。」

「そうだったんですか…」

(…そうだ…ここ最近私の中でずっと引っかかってたのはそれだ。裏男からのその言葉の意味が分からないままだったことに違和感を感じてたんだ…でも…)

「…でも、お姉さん、何で急にそのことを?…それに、お姉さん約束させたじゃないですか私達に。もう鏡の世界には関わるな…って。」

男姉「あら、そうだったわね。まあ、今回に限ってそれは見逃してあげるということで♪」

「……どういうことですか?」

396 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:17:45 ojjwBoFY 346/584


男姉「その話は一度置いておきましょう…で、女ちゃん。もう一度聞くけど、裏男は『線路がいる』って言ったのよね?」

「え、はい。でも、線路が一体何に必要なんですか…」

男姉「…その前後に裏男は何か言ってなかった?」

「前後に?」

男姉「ええ。その時の会話を出来るだけ忠実に思い出してみなさい。」

「…ん~、確かあの時…」

―【回想(>>199)】――――――――――――――----

裏男「…これは裏の世界の僕から君への最後のメッセージだ。」

「…メッセージ?」

裏男「ああ。」



裏男「…『線路』だ。…『線路』がいるかもしれない。」

----―――――――――――――――――――――――

「…確か『線路』について言い出す前に『これは裏の世界の僕からのメッセージ』だとか言ってた気がします。」

397 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:18:34 ojjwBoFY 347/584


男姉「…それよ、女ちゃん。」

「…それって何がですが?」

男姉「よく考えなさい、その文章に込められた意味を。」

「…? 考えろって、何の意味も込められてないと思うんですけど。…も、もしかしてお姉さんには分かったんですか!?」

男姉「…大丈夫。あなたなら『気付ける』わ。それの本当の意味について。」

「本当の…意味…?」

男姉「…それじゃあね。…頑張りなさい。」ピッ

「…あ!お姉さん!? …駄目だ、切れちゃった…。」


(…『線路』…)

(…でも近所に線路なんて無いし…)

(…『これは裏の世界の僕からのメッセージ』には何の意味が…)

「…ん?待って。」

398 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:19:04 ojjwBoFY 348/584


(…何で裏男は『メッセージ』っていう言葉を選んだろう…もしもああいうう状況で何かを助言したいときは『メッセージ』じゃなくて『アドバイス』って言葉を使うんじゃ…)

(…つまり、『線路』っていうのは『助言』じゃなくて、私に対しての『伝言』的な何かだということ。)

(…っ! …それに裏男は『僕からのメッセージ』ではなく『裏の世界の僕からのメッセージ』と、わざわざ『裏の世界』という言葉を付け加えていた…。)

(裏の世界…裏の世界の特徴は『反転』、『逆』、『自我を持っいる』…)

「…っ!! 待って!!『線路』って確か!!」タタタッ

「ええ~っと、確かここに…」ガサゴソッ

「…! あったあった!ええ~っと…」ピラッピラッ

「…これだ! ………。」

「……っ!!」

「…そうか…そういうことだったんだ。」

「…でも」

「…でもこれって…」



「…どういうことなの!?」

----―――――――――――――――――――――――

400 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:19:34 ojjwBoFY 349/584


―――――――――――――――――――――――----

(…裏男の伝えたかったことは分かった。でもその『伝えたかった事自体』の意味が分からない…)タッタッタ

「…ってそんなこと考えてないで急がないと!このままじゃ間違いなく遅刻だぁ~!!」タッタッタ

オ~イ

「…ん?何だか聞き覚えのある声が…」ピタッ

オンナ~

「あっ…!あれは!!」

「お…」



「…お兄ちゃん!!」

401 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:20:37 ojjwBoFY 350/584


女兄「いや~、久しぶりだな~、女~」

ドゴォッ

女兄「かはっ!?な、なんで…いきなり腹パン?」ピクピクッ

「あ~、すっきりした~。あ、今のは今までのお兄ちゃんに対する恨みの分の腹パンだから。」(>>12)

女兄「い、いや…だとしても不意打ちはマジで勘弁…」

「そういえばお兄ちゃん同窓会か何かで帰ってくるんだったね。」(>>12)

女兄「う、うん。…ああ、まだ痛みが…」

「で、お兄ちゃんいつまでこっちいんの?」

女兄「ん~、俺?俺は今日の夕方から同窓会でそのままオールの予定。そんで明日の朝にそのまま家に帰らず神戸の下宿に帰るよ。」

「え!?何で!? 2、3日泊まっていかないの!?」

女兄「いや~それはだな~」

「お兄ちゃん春からは東京に引っ越すんでしょ!?だとしたらまた当分かえって来れないじゃない!?」(>>12)

女兄「…」



女兄「…嫌なんだ。」

402 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:21:20 ojjwBoFY 351/584


「…え?」

女兄「俺、この町にいるのが嫌なんだ…」

「お兄…ちゃん?」

女兄「…な~んてな!!実のところ、大学の友達と明日の昼から旅行の予定だからとっとと帰らりゃなならんのよ!だからすまんな妹よ!!あっはっは!!」

「…! …ったく、だろうと思ったわよ~、急にお兄ちゃんがシリアスなこと言い出してびっくりしたじゃない。」

女兄「あはは、演技上手いだろう俺って! あっ、そういえばさっき部活帰りの男に会ったぞ~」

「え?男に? というか何で男のこと知ってるの?」

女兄「まあ、あいつは少年野球やってたころに知り合ったけど、まさかあいつとお前が付き合う事になるとはな~。」

「へ~、お兄ちゃん。男のこと知ってたんだ。って何で私達が付き合ってる事知ってるのよ!?」

女兄「それもあいつから聞いた♪」ニヤッ

「ったく、男のやつぅ…」

403 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:21:47 ojjwBoFY 352/584


女兄「ははは!それだけじゃないぜ!お前たちが最初に水族館にデートに行った事やそこの公園でファーストキスをしたことも聞いたったぞ~」ニヤニヤッ

「…!? 男のやつ…よりにもよって何でお兄ちゃんに…」プルプルッ

女兄「あっはっは!いいじゃんかいいじゃんか!熱いね~!!」

「…お兄ちゃん、それ以上からかったらまた殴るよ?」

女兄「…ちょ!ご、ごめんって!…でも、女。ちょっと暴力的になったな…」

「ん~何か言った~お兄ちゃん?」ニコニコッ

女兄「いえ、何も!」

「ったく…」

女兄「…ん? それはそうと、お前部活だろ?早く行かなくていいのか?」

「…あっ! そ、そうだったんだ!もおおお!お兄ちゃんのせいで大遅刻じゃない!!」ドコォ!!

女兄「かはっ!? な、何でまた…腹…パン……」ガクッ

「それじゃあねお兄ちゃん!」タッタッタ

女兄「お、おう…またな~」ふりふり

----―――――――――――――――――――――――

404 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:22:18 ojjwBoFY 353/584


―――――――――――――――――――――――----

タッタッタ

「はあはあはあ」タッタッタ

(…お兄ちゃんったら…本当に相変わらずなんだから…おかげでさっきから全力するはめになったじゃない…)タッタッタ

(…そういえば、あの時も…最初に鏡の世界に行った日もこうやって走ってたな…)タッタッタ

(…そして公園で最初に男に…)タッタッタ

(…………っ!!)ピタッ

(…そうだ……)はあはあ

(…確か…)はあはあ


(…確かあの時…)はあはあ

----―――――――――――――――――――――――

405 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:23:18 ojjwBoFY 354/584


―――――――――――――――――――――――----

prrrrrr prrrrrr

『…もしもし?』

「ねえ男!?ごめんだけど今から会えないかな!?」

『今から? 俺はちょうど部活終わって今帰ってきたところだけど、今日女バスは昼から部活なんじゃ?』

「…分かったのよ!」

『…分かったって何が?』

「鏡の…鏡の世界の秘密が!」

『…!? 鏡の世界の秘密って…でもお前、俺たちはもうこれ以上鏡の世界には関わるなって姉さんと…』

「そんなこと言ってる場合じゃないの!とにかく今すぐ旧校舎前まで来て!」

『…!? …分かったよ。旧校舎前に行けばいいんだな!?』

「うん!私も今、向かってるから。」

『了解。すぐ行く。それじゃあまた後で。』

「うん、また後で。…よし。私も急がなきゃ!」タッタッタ

----―――――――――――――――――――――――

406 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:23:48 ojjwBoFY 355/584


―――――――――――――――――――――――----

「…。」

オ~イ

「…男!」

「ごめん!遅くなった!」タッタッタ

「ううん、私もさっき来たところだから。」

「はあはあ…そっか。…でも、本当なのか?鏡の世界の秘密が分かったって!?」

「…うん。そして、それを確認するためにも…入るわよ。」

「…? 入るってどこに?」

「旧校舎に決まってるじゃない。」

「!?」

「さあ、行くわよ、男。」スタスタッ

「ちょ!? 待てって女!」スタスタッ

----―――――――――――――――――――――――

407 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:25:07 ojjwBoFY 356/584


―――――――――――――――――――――――----

ギィ ギィ

「おい女。いい加減教えてくれよ。一体鏡の世界のどんな秘密を知ったんだよ?」ギィ ギィ

「…ああ、そんなこと言ってたわね。」ギィ ギィ

「…はい?」ギィ ギィ

「…ごめんなさい、さっきの秘密が分かったってのは…嘘なの。」ギィ ギィ

「…!? ちょっとお前何ふざけたこと言ってんだよ!?」ギィ ギィ

「…さあ、着いたわよ。…『あの鏡』のある踊り場に。」ピタッ

「おい女!どういうことなのか説明しろよ!!」

408 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:26:01 ojjwBoFY 357/584


「…嘘をついてたことには謝るわ。でも、あなたが『やってきたこと』に比べたらとっても小さな『嘘』じゃない?」

「…俺が『やってきたこと』?」

「…とぼけるのもいい加減にしなさいよ、男。」

「いや…」









「…………裏々男!!!!」

----――――――――――――――――――【鋪】――

409 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:26:26 ojjwBoFY 358/584


―【鏡の世界でのルール(No.1)】―――――――――----

● 体について
① 体の自由はほとんど効かない。表の世界にいる『主』が絶対的な存在であり、その『主』の行動が鏡の世界の住人にも反映される。(>>57)
② 表の世界で『行動権』を持つ者を『主』、表の世界で生まれ育った者を『オリジナル』という。(>>81)
③ 視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの五感は働く。(>>93)
④ 鏡の世界では『考えること』と『喋ること』が出来る。(>>58)
⑤ 鏡やガラスといった光を反射させるもの(反射物)に表の世界の『主』が映っている場合は鏡の世界の住人は『喋ること』が出来なくなる。『考えること』は可。(>>59)
⑥ 『主』が反射物に映っている時は『主』の『喋る』内容が鏡の住人にも反映される。(>>59)
⑦ 飲食時は反射物に映っていない時でも、表の世界の『主』の口の動きと同化する。(>>93)
⑧ 反射物に、自分の像が映し出されるその5秒前に、脳に合図が走り、『喋ること』ができなくなる。ただし、これは自我を持った人間のみに起きる現象である。(>>60)

● 自我について
① 鏡の世界の人間が自我を持つためには、鏡の世界の人間自身が『鏡の世界の人間』だと自覚する必要がある。(>>76)
② 自我を持つことによって鏡の世界の住人は『考えること』と『喋ること』が出来るようになる。(>>76)
③ 自我を持った鏡の住人は、反射物に自身の姿が映る度に表の世界の『主』の記憶が共有されるようになる。ただし、オリジナルには共有されない。(>>161)
④ 鏡の世界の住人が自我を持つためには『他に自我を持った人間から鏡の世界についてを教えてもらう』もしくは『表の世界のオリジナルが鏡の世界のことの存在を知る』必要がある。(>>80)

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410 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:26:48 ojjwBoFY 359/584


―【鏡の世界でのルール(No.2)】――――――――----

● 鏡の世界の特徴について
① 鏡の世界は半永久的に存在する。(>>53)
② 鏡の世界は、裏の世界、裏々の世界、裏々々の世界と、表の世界から遠ざかっていくにつれて、明度が小さくなっていく。(>>54)
③ 表の世界を『1』として、裏々、裏々々々といった奇数番目の世界は、『奇数世界』と定義される。(>>159)
④ 裏の世界を『2』として、裏々々、裏々々々々といった偶数番目の世界は、『偶数世界』と定義され、これらの世界では、全てのモノが反転している。(>>159)
⑤ 偶数世界では、ほとんどの者が自我を持っており、その『性格』はオリジナルのものとは反転したものになっている。(>>159)
⑥ 偶数世界の鏡の住人が『主』になることは出来ない。(>>227)

● 入れ替わりについて
① オリジナルが表の世界以外にいる場合、反射物に対して念じれば、表の世界に近い層へと移動できる。(『特権』による入れ替わり)(>>124)
② 2枚での合わせ鏡の状態を創り出した時、表の世界と裏々の世界の人間が入れ替わりを起こすことが出来る。(合わせ鏡による入れ替わり)(>>48)
③ 入れ替わるのは、あくまで『意識』のみであり、肉体はそのままである。(>>49)
④ 入れ替わる時に、一瞬だがお互いにコミュニケーションが取れる。(>>218)
⑤ 入れ替わりは連続して行うことが出来ず、1週間のブランクを必要とする。(>>96)
⑥ 入れ替わりにはどちらかにその『意志』があることが必要となる。(>>51)
⑦ 入れ替わりは閏年の一時期に行える。(2012年は3月21日まで)(>>50)
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411 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/23 17:27:08 ojjwBoFY 360/584


―【鏡の世界でのルール(No.3)】―――――――――――----






● ○○○○○○○○○○○○○○


③  
④  






○○ ○○○○○ ○○ ○○○○○○○ ○○○ ○○○…
----―――――――――――――――――――――――

415 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/24 03:28:59 V9Z82JEo 361/584

乙乙
てか、鋪って何ぞ?転ではないの?
あ、ネタバレに関わるならスルーで頼む

417 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/12/28 01:00:41 Elz9WoeI 362/584


>>415
鋪は「起承鋪叙結」という5段構成の内の「鋪」のことです。ちなみに、
起は「発端」
承は「葛藤」
鋪は「危機」
叙は「頂点」
結は「結末」
を表していると、どっかのサイトで見たのでそれを今回参考にしてます。

【叙】へ続く

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