1 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:40:16 mEjuRZ5I 1/89

「え?じゃないわよ、マジで!」

「幼、何怒ってるの?」

「その髪、どうしたの?」

「あ、これ?昨日切ったんだー」

「夏休み最終日にイメチェン!と思って…」

「どう?似合ってるかな?」

元スレ
幼馴染「あんた、いい加減にしなさいよ?」 男の娘「え?」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1356007216/

2 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:40:47 mEjuRZ5I 2/89

「に…」

「に?」

(似合ってるわよーーーー!)

(似合いすぎでしょ!)

(これ、どこからどう見ても、女の子でしょ!)

「に、似合ってない…」

「そ、そっか…似合ってないか…」

3 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:41:08 mEjuRZ5I 3/89

「お姉ちゃんに連れられて、初めて行った美容室だったんだけど…」

「そっか…美容師さん、お世辞言ってたのかぁ…」

(あぁ…しょんぼりしてる…)

(ざ、罪悪感が半端無い)

「…ところで、そのヘアピンは何なの?」

「あぁ、これ?美容師さんがくれたんだー」

「前髪はこれで留めた方が絶対良いからーって」

4 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:41:30 mEjuRZ5I 4/89

「でも、似合ってないんじゃ、しょうがないよね」

「取っちゃおう」

「そ…」

「そ?」

「それは、そのままで良い…」

「そう?じゃ、そのままにしておくね」

「だけどその美容室にはもう行かない方が良い」

「え?どうして?」

5 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:42:06 mEjuRZ5I 5/89

「ぜ…」

「ぜ?」

(絶対女の子と勘違いされてるからだよ!)

(言いたい!めっちゃ言いたい!)

(でも、男は女の子に見られてる事に…)

(全く気付いてないもんなぁ)

(なのに、何でその髪型かなぁ…)

6 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:42:32 mEjuRZ5I 6/89

(髪留めも、おかしいって気付かないかなぁ…)

「幼?どうしたの?」

「な、何でもない…」

「僕が髪切っちゃったの、そんなに嫌?」

「う…」

(ぎゃぁぁぁぁ!目を潤ませながらこっち見んな!)

(私が悪い事してるみたいじゃない!)

7 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:43:00 mEjuRZ5I 7/89

「い、嫌じゃないし!」

「髪型も…その、本当は似合ってるわよ!」

「え?ホントに?」

「本当だから!ほら、学校行くよ!」

「えへへ、良かったー。イメチェン成功って事だよねっ?」

「確かにイメージは変わったわね」

(より女の子らしくなったって意味でね!)

8 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:43:24 mEjuRZ5I 8/89

「そうっ?えへへーありがとっ!」

(17歳男子の顔じゃないわよね、それ!)

(ハムスターか!)

(庇護欲満載の小動物か!)

「と、とにかく!学校行くわよ!」

9 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:43:46 mEjuRZ5I 9/89

生徒A「あ、あのー」

「はい?」

生徒A「と、突然すいませんっ」

生徒A「僕、一年のAと言います」

「は、はい」

生徒A「あの…一目惚れしました!」

生徒A「ぼ、僕とお付き合いして下さい!」

10 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:45:20 mEjuRZ5I 10/89

「…」

「あの…すみません」

「僕、好きな人が居るんで…ごめんなさい」

生徒A「そ、そうですか…突然すいませんでした…」

「…」

11 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:45:56 mEjuRZ5I 11/89

「良かったの?」

「え?」

「まぁ、僕は同性愛も、個人の自由だと思うよ?」

「あんた自身はどうなのよ?」

「男の子が好きなの?」

「まさか!普通に女の子が好きだよ」

「さっき言ってた好きな人って誰の事?」

「…言いたくない」

12 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:46:34 mEjuRZ5I 12/89

「良いでしょ!教えなさいよ!」

「えへへー。ひみつっ!」

(その笑顔と、動作が、どれだけ女の子らしいかを…)

(いい加減、解りなさいよっ!)

「さ、幼。学校行こ?」

「…そうね」

13 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:46:58 mEjuRZ5I 13/89



「あれ?下駄箱に手紙が…」

「えっ!?」

「差出人は…書いてないね」

「ど、どうするの?」

「なんの手紙かわかんないけど」

「後でちゃんと読んでみるよ」

14 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:47:39 mEjuRZ5I 14/89



「…」

(さっきの手紙、読んでる…)

「…」

(難しい顔してる…そんな顔も可愛いけど)

「…」
ガサガサ
ガタッ

15 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:48:25 mEjuRZ5I 15/89

「男、どこ行くの?」

「ちょっとね。朝の手紙の事でね」

「ラブレターだった?」

「うん、ラブレターではあったんだけどね」

「どうやら入れる靴箱を間違えてたみたいで」

「…」

16 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:48:55 mEjuRZ5I 16/89



「そんな訳で、これ、お返しします」

生徒B「そ、そうですか…」

生徒B「すみませんでした…」

「ちゃんと良いお返事貰えると良いですね!」

生徒B「は、はい…そうですね…」

生徒B「それじゃ、僕はこれで…」
しょぼん


(やっぱりあの人も、間違えたんじゃなくて…)

17 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:49:24 mEjuRZ5I 17/89



「え?今日、ウチに?」

「そ。お姉ちゃん、居るんでしょ?」

「うん、大学の夏休みってちょっと長いらしくて」

「ちょーっと話しがあるから」

「うん、解った。お姉ちゃんにメールしておくね」

「それじゃ今から…」

18 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:49:47 mEjuRZ5I 18/89

女生徒A「あ、あの、お話し中、すみません!」

「え?」

女生徒A「ち、ちょっと…あの…」

女生徒B「ほら、A!頑張って!」

女生徒A「い、今、ちょっと、お時間よろしいですか?」

男・幼「…」

19 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:50:11 mEjuRZ5I 19/89

女生徒A「あ、あの…?」

「え?私?」

女生徒A「そ、そうです!」

「な、何かな?えっと…一年生?」

女生徒A「はい!一年のAと言います!」

女生徒A「先輩、ちょっとこっち来てもらえますか?」

「こ、ここじゃ駄目なのかな?」

女生徒A「は、はい。他の人には聞かれたくない話しです!」

20 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:50:44 mEjuRZ5I 20/89

「幼、ちゃんと聞いてあげなよ」

「僕は先に行くね?」

「う、うん」

女生徒B「頑張って!A!」

女生徒A「う、うん!」

21 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:51:19 mEjuRZ5I 21/89



「で?何かな?」

女生徒A「あ、あの…私っ、先輩の事っ」

女生徒A「学校で先生のお手伝いしている姿を見かけて」

女生徒A「何か、良いなぁって…」

「…」

女生徒A「もしお付き合いしてる人が居ないなら」

女生徒A「私とお付き合いして貰えないでしょうか?」

22 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:52:02 mEjuRZ5I 22/89

「あ、あのね…えーっと…」

女生徒A「あの、Aって呼んで下さい!」

「それじゃ、Aちゃん」

女生徒A「は、はい!」

「基本的な事を聞くけどさ」

女生徒A「はい」

「Aちゃんには、私の事、どう見えてる?」

女生徒A「え?どうって…」

23 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:53:25 mEjuRZ5I 23/89

女生徒A「凛々しくて、カッコ良い先輩だと思ってます」

「凛々しい…カッコ良い…」

女生徒A「私の理想の男子像そのものですっ!」

「…あの…ごめんね、Aちゃん」

「お付き合いするのは無理」

女生徒A「や、やっぱり、さっき一緒に居た人が彼女さんなんですか?」

「色々、違うけど…」

女生徒A「それじゃ、どうして?」

24 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:53:50 mEjuRZ5I 24/89

「あの…私、こう見えても女なんだよね」

女生徒A「えっ!?」

「嘘だと思う?」

女生徒A「だ、だって…スカート…」

「ウチの高校、女子もスラックス登校オッケーって知ってた?」

女生徒A「そ、それは知ってます…けど!」

「じゃ、ちょっと」
スッ
ピトッ

25 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:54:46 mEjuRZ5I 25/89

女生徒A「あっ!」

「解ってもらえた?小さけど、一応胸あるでしょ?」

女生徒A「ご、ごめん…なさい…」

女生徒A「私…その…」

「いいよ。こっちこそ…ごめんね?」

女生徒A「私こそ…すみません」

「Aちゃん、可愛いから、きっと良い人が見つかるよ」

女生徒A「ありがとうございます。それじゃ、し、失礼します…」
しょぼん

「…はぁ」

26 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:55:13 mEjuRZ5I 26/89



ピンポーン
ガチャ

「幼、いらっしゃい」

「や。お姉ちゃん居る?」

「うん。自分の部屋に居るよー」

「さ、どうぞどうぞー」

「お邪魔しまーす」

27 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:55:53 mEjuRZ5I 27/89

コンコン
男の姉「あーい?」

「お姉ちゃん、ちょっとお邪魔しまーす」

「幼ちゃん、いらっしゃーい。待ってたよー」

「お姉ちゃんに聞きたい事があります!」

「何?さっき男からもちょっと言われたけど」

「何か用事?何の用事?」

28 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:56:53 mEjuRZ5I 28/89

「男を美容室に連れて行ったんですよね?」

「連れてったよー。私の行きつけの店なんだー」

「あ、幼ちゃんも行く?割引券あるよ?」

「あの…わざとですよね?アレ」

「へぇ?何が?何の事?」

「男の事を女子に見えるようにしてる事です!」

「髪を切ったのは私じゃないよ?」

29 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:57:31 mEjuRZ5I 29/89

「でもあれ、どう見ても女の子ですよね?」

「いやぁ。性別の事は特に言わなかったけど」

「美容師さんに『似合う髪型にして下さい』って言っただけだよー」

「男には普通の床屋さんで充分ですよ!」

「お姉ちゃん、わざとですよね?」

「何も言わなかったから、あんな…可愛い女の子みたいに…」

「似合ってるよねぇ、ふふふ」

30 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:58:23 mEjuRZ5I 30/89

「笑い事じゃないですよ!」

「今日も二人に告られてましたよ!」

「へぇー、あいつモテるじゃん」

「…男子にですよ?」

「へぇー、あいつモテるじゃん?」

「ニヤニヤしないで下さい!」

31 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:58:47 mEjuRZ5I 31/89

「男が、その…同性愛に目覚めたらどうするんですか?」

「その時は姉として、家族として、どーんと認めて上げるしか!」

「こんな時だけ、理解ある姉みたいな感じにならないで下さい!」

「男も男で、無自覚だから質悪いです!」

「いいじゃん、可愛いものが似合う人に、可愛い格好させる」

「別に悪くないじゃん?」

32 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 21:59:31 mEjuRZ5I 32/89

「いやいやいや。悪いでしょう!」

「男にはもっと男らしい格好をさせるべきですよ!」

「そんな事言ってもさー」

「凛々しい幼ちゃんと、可愛らしい男」

「お似合いじゃない?」

「…それ、褒めてるんですか?小馬鹿にしてるんですか?」

33 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:00:09 mEjuRZ5I 33/89

「ははは。どっちもに決まってるじゃん」

「可愛い妹分と、可愛い弟の事なんだからさ」

「もう告白とかした?あ、キスとかした?」

「何でちょっと言い直したんですか!」

「どっちもまだです!」

「でも幼ちゃん、男の事が好きなんでしょ?」

「ま、まぁ…そうですけど…」

34 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:00:45 mEjuRZ5I 34/89

「幼ちゃんさぁ、逆に髪伸ばしてみれば?」

「気にはしてるんですけど…」

「首筋に髪がかかるのが、気になっちゃって」

「スラックスも止めて、スカートにしなよ」

「…」

「今のままだと、ずっと男の子に見えるよ?」

35 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:01:40 mEjuRZ5I 35/89

「実は今日、下級生に告白されました…」

「…相手は男子?」

「いいえ…」

「だよねぇ。幼ちゃん、凛々しいもんねぇ」

「私がプロデュースしてあげようか?」

「い、いいえ…私は…」

「素材は良いんだからさー」

36 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:02:03 mEjuRZ5I 36/89

「私はこのままで良いです…」

「ま、気が向いたら相談に乗るからさ」

「その時は…お願いします」

「て、言うか!忘れる所だった!」

「これ以上、男の女子力を高めないで下さい!」

「あはは。それはあいつ次第だよー」

37 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:02:23 mEjuRZ5I 37/89



演劇部部長「幼ちゃん!ちょっとお話しがあるんだけど」

「何ですか、部長。久しぶりですね?」

演劇部部長「文化祭にね、演劇部はもちろん演劇をやるんだけども」

「そうでしょうね」

演劇部部長「幼ちゃんにお願いがあるのよ」

「何ですか?出来る事なら手伝いますよ?」

演劇部部長「良かった!幼ちゃんにしか出来ない事なのよ」

「はぁ…」

38 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:03:00 mEjuRZ5I 38/89



「部長、マジですか、これ?」

演劇部部長「マジよ!衣装ピッタリね!」

「…あの、やっぱり無理そうなんですけど」

演劇部部長「あなたなら出来る!て言うか、あなたしか居ない!」

「私、部員でもないのに、主役なんて…」

演劇部部長「あと一ヶ月ある!演劇部が全力でバックアップする!」

演劇部部長「だからお願いっ!」

「…はい」

39 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:03:23 mEjuRZ5I 39/89



演劇部部長「そうすれば、わたくしもこの場限りで」

演劇部部長「キャピュレットの名を捨ててみせますわ」

「…黙って、もっと聞いていようか、それとも声を掛けたものか?」

演劇部部長「わたくしにとって敵なのは、あなたの名前だけ」

演劇部部長「たとえモンタギュー家の人でいらっしゃらなくても、あなたはあなたのままよ」

「…」

40 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:03:48 mEjuRZ5I 40/89



「あの…部長」

演劇部部長「幼ちゃん、お疲れー。やっぱり私の目に狂いは無かった!」

演劇部部長「これなら、絶対本番に間に合うよ!」

「いや、あの…」

「これ、配役逆じゃ駄目ですか?」

演劇部部長「え?何言ってるの?」

41 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:04:32 mEjuRZ5I 41/89

「私、やるならジュリエットが良いんですけど…」

「何故ロミオ?」

演劇部部長「幼ちゃん。あなたが紛れもない女性だって事は」

演劇部部長「重々承知してるわよ?」

演劇部部長「でもね…」

演劇部部長「凛々しいロミオ役にぴったりなのは、幼ちゃんしか居ない!」

演劇部部長「演劇部で投票を行った結果なのよ」

42 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:05:01 mEjuRZ5I 42/89

「…でも」

演劇部部長「大丈夫!あなたなら出来る!」

「…解りました、頑張ります…」

(何で私が男役なのよ…)

(演劇部、男子部員も沢山居るのに!)

43 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:05:32 mEjuRZ5I 43/89



「ごめん、男。今日も一緒に帰れないんだ」

「そうなんだ…」

「実は僕も文化祭の準備で、ちょっと残るんだ」

「そ。じゃ、お互い頑張りましょう」

「そうだね。それじゃ、幼、頑張ってね!」

44 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:06:08 mEjuRZ5I 44/89



「君を…一人で死神の所へ行かせはしない!」

「この身が朽ち果てるとも、二度と君を離しはしない!」

「…」

演劇部部長「オッケー!バッチリよ、幼ちゃん!」

「はぁ…台詞は何とか覚えましたけど…」

「通し稽古、してませんよね?大丈夫なんですか?」

演劇部部長「大丈夫!あなたの事、信じてるから!」

(明日本番なのに…大丈夫なのかな…)

45 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:06:42 mEjuRZ5I 45/89



文化祭当日

幼友「幼、頑張ってね!ちゃんと見てるからね!」

「あ、あはは…頑張ってくるよ…」

「クラスの出し物、ほとんど手伝えなくてゴメンね」

幼友「全然気にしなくて良いよ」

幼友「こっちの喫茶店は…何て言うか、テキトーだからさ」

「あはは…そう言えば、男は?」

46 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:07:08 mEjuRZ5I 46/89

「ウェイトレスの格好でもさせられてるかと思ったけど…」

幼友「あ、男君も他の部活の出し物にスカウトされたらしいよ」

幼友「幼、聞いてないの?」

「え?マジで?全然聞いてないけど…」

「ここ2週間くらいは会話も無かったような気がする…」

47 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:07:33 mEjuRZ5I 47/89

幼友「まぁ、幼は劇の稽古忙しかったもんね」

幼友「でも別に喧嘩した訳じゃないんでしょ?」

「う、うん」

幼友「教室に来たら、ロミオとジュリエット観に行くように伝えておくよ」

「ありがと、幼友。それじゃ私そろそろ行くね!」

幼友「頑張ってー!」

48 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:07:59 mEjuRZ5I 48/89



「あれ?部長、着替えないんですか?」

演劇部部長「あ、あぁ…大丈夫大丈夫」

「でも、もう本番始まりますよ?」

演劇部部長「幼ちゃん、最後に一つだけ、アドバイス」

「はぁ…」

49 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:08:55 mEjuRZ5I 49/89

演劇部部長「もし本番中、頭が真っ白になったら」

演劇部部長「客席の最前列、右側を見なさい!」

「はぁ…」

演劇部部長「さぁ!皆、本番行くよ!」

演劇部員「おー!」

「お、おー!」

(あれ?ジュリエットは?)

50 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:09:15 mEjuRZ5I 50/89



「ジュリエット!君を…一人で死神の所へ行かせはしない!」

「この身が朽ち果てるとも、二度と君を離しはしない!」
ゴクッ
バタッ
「…」

51 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:09:36 mEjuRZ5I 51/89

「あぁ、ロミオ…何故私の分の毒を残しておいてくれなかったの…」

「待っていて…この剣が私をあなたの元へ連れて行ってくれる…」
サッ
バタッ
「…」



52 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:10:20 mEjuRZ5I 52/89



演劇部部長「いやぁ、私の見立てに間違いは無かったね!」

演劇部A「本当に!二人とも最高だったよ!」

演劇部B「スタンディングオベーションだったもんね!」

「あー。これは皆さんの頑張りがあったからだと…」

演劇部C「謙遜しなくても良いんだよ、幼?」

「あー、そうは言っても…」

53 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:10:48 mEjuRZ5I 53/89

演劇部部長「いいや!これは主演の二人の魅力による物だよ!」

演劇部部長「また来年もお願いしたいくらいだよ!」

演劇部部長「本当にありがとう、二人とも」

「部長…ちょっと聞きたいんですけど」

「何で、相手がこいつだって黙ってたんですか?」

演劇部部長「ナイスサプライズだったでしょ?」

54 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:11:11 mEjuRZ5I 54/89

「いやあ、まさか幼がロミオ役だったとはねー」

「びっくりして、一瞬台詞が全部飛んじゃったよ。えへへ」

「奇遇ね。私もよ」

「でも、部長さんの粋な計らいで、ちゃんとカンペもあったし」

「上手くいって良かったよねっ?」

(またそんな…満面の笑顔を…)

55 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:11:39 mEjuRZ5I 55/89

演劇部部長「さ、演劇部員は撤収作業!」

演劇部部長「二人は部室で着替えてきて」

演劇部部長「着替えたら、そのまま自分のクラスに戻って良いよ」

演劇部部長「すぐ後夜祭始まっちゃうだろうし」

演劇部部長「打ち上げは、後日盛大にやるからね!」

男・幼「はい」

56 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:12:00 mEjuRZ5I 56/89



「あんたさぁ、どこで練習してたの?」

「僕は部員の人たちと、3年の教室で練習してたんだけど」

「幼は?」

「私は演劇部の部室よ」

「そうだったんだー」

57 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:12:36 mEjuRZ5I 57/89

「あんたはその格好に抵抗とか無いの?」

「ん?」

(くっ…ムカつくくらい可愛いわねっ)

「最初はびっくりしたけど…」

「お世話になってる部長さんの頼みだからね」

「断れなかったよ。えへへ」

ザワザワ

58 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:13:02 mEjuRZ5I 58/89

「な、何か視線を感じるわね…」

「ぼ、僕たち見られてる…よね?」

「ちょっと急ぎましょうか」

「幼、転ばないようにね」

「そっちこそね」

「大丈夫だいじょ…」
グイッ
バタン

59 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:13:32 mEjuRZ5I 59/89

「ちょ、ちょっと!大丈夫?」
スッ

「あいててて…だ、大丈夫…」

「何、あれ?どこの出し物?」

「あの二人、さっきまで体育館でロミオとジュリエットやってた…」

「私も見たー。超良かったよねー」

「あのロミオ役の人、超凛々しい…」

「ジュリエット、超可愛い」

「ロミオがジュリエットを抱き起こしてるの、絵になるねー」
カシャッ

「何何?こんな所で、芝居?宣伝?」
カシャッ

60 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:14:23 mEjuRZ5I 60/89

「男、早く立って!」

「ちょ、ちょっと待って…足が…」

「ええい!もうっ!」
ガバッ

「きゃー!お姫様抱っこ!」
カシャッ

「あのロミオ役の人、演劇部の人かな?」

「超カッコ良い!」
カシャッ

「ジュリエットの人も、お姫様みたい…可愛い!」

「しっかり掴まってなさいよ!」

「えっ?」
ダダダダダッ

61 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:15:00 mEjuRZ5I 61/89



「ふぅ…」

「ご、ごめんね、幼」

「抱っこなんかさせちゃって」

「気にしないでよ」

「あのまま、あそこに居たら、どうなってたか…」

「それにしてもあんた軽いわね…」

62 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:15:30 mEjuRZ5I 62/89

「体重どれくらいなの?」

「今は…42キロくらい?」

「…」

「ん?」

「なんでもない!今の話しはもう終わり!」

「着替えて、クラスに戻ろう!」

「あ、うん。じゃ、僕こっちで着替えるね」
シャッ

63 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:15:52 mEjuRZ5I 63/89

「何か注目されちゃったね」

「そうね…悪い目立ち方しちゃったね」

「僕の事、女の子だと思ってる人も居たみたいねー」

「…」

「ねえ、男」

「なぁに?」

「あんた鏡で自分の顔、見た?」

64 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:16:21 mEjuRZ5I 64/89

「え?メイクしてもらってからは見てないけど…」

「ちょっとそこの姿見の前に立ちなさいよ」

「え?何で?」

「良いから!」

スッ

「わぁ…メイクの力って凄いねぇ」

「…」

65 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:17:01 mEjuRZ5I 65/89

「男の僕が、まるで女の子みたいに見えるんだもん」

「特殊メイクってやつ?ふふっ」

「…」

「幼もカッコ良いよね」

「あんたのメイクって、時間かかったの?」

「時間は大してかからなかったよ」

「さすが演劇部だよね。パッパっと済んじゃったよ」

「…」

66 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:17:31 mEjuRZ5I 66/89

「な、何?」

(それはほとんどメイクしてないからでしょうよ)

「…こうして鏡で見ると、よく解るわよね」

「私は身長が高くて、男子っぽい顔立ち」

「あんたは、身長低くて、女子っぽい顔立ち」

「そう思わない?」

67 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:18:20 mEjuRZ5I 67/89

「僕は女の子っぽくないよ?」

「これはメイクのお陰で…」
バシッ
「痛っ。何で叩くの?」

「…そう思ってるのはあんただけよ」

「全校生徒が、素のあんたの事、可愛いと思ってるわよ!」

「そ、それは無いよー」

「それに、幼の方が可愛いよ?」

68 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:18:41 mEjuRZ5I 68/89

「私は凛々しい男子生徒に見られてるわよ!」

「そんな事無いと思うけどなぁ」
バシッ
「い、痛いよ、幼」

「もういい加減認めなさいよ」

「自分が可愛いって事」

「…」

69 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:19:06 mEjuRZ5I 69/89

「私も認めるからさ」

「んー…そうかなぁ」

「あのさ、男」

「んー?」

「私、今から大事な事言うからね?」

「え?な、何?」

70 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:19:25 mEjuRZ5I 70/89

「私ね、男の事が好きなの」

「え?」

「もうね…」

「好きな男の子が、周囲に女の子として見られるのを」

「傍で見てるの、嫌なの!」

「いつか、男が同性愛に目覚めて」

「本当にどこか遠い所に行っちゃうんじゃないかって」

「幼…」

71 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:20:01 mEjuRZ5I 71/89

「男は…その…私の事、どう思ってるの?」

「僕も…僕も幼の事、好きだよ」

「他の人にどう見えようが、関係無くて…」

「幼の事、女の子として、好きだよ」

「本当に?」

「僕だって、健全な男子高校生として」

「彼女欲しいなぁって思ってて」

「それが幼だったら、凄く嬉しいなぁって」

「ずっと思ってたよ」

72 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:20:26 mEjuRZ5I 72/89

「お姉ちゃんが僕の事をからかって」

「女の子っぽい格好させたがってるのは解ってるんだけどね」

「僕、別に嫌じゃないんだ」

「自分が可愛いとは思わないけど」

「可愛い洋服は好きだしね」

「だからジュリエットの役も引き受けたんだー」

「でも、幼が嫌だって言うなら、もう止めるよ」

「男…」

73 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:20:48 mEjuRZ5I 73/89

「でも、良いの?こんなちんちくりんな男で」

「幼なら、他にもっとカッコ良い男の人と」

「お付き合い出来るんじゃない?」

「あのね、男」

「…私が何年あんたの幼馴染やってると思ってるの?」

「外見や仕草だけじゃない」

「私は…優しい男の事が好きなのよ!」

74 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:22:22 mEjuRZ5I 74/89

「僕も幼の事、大好きだよっ」

「男…嬉しいよ…」

男・幼「…」

「ね、キス…しようか?」

「…う、うん」

男・幼「…」



ガラッ

75 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:23:04 mEjuRZ5I 75/89

演劇部部長「あ、良かったー!」

演劇部部長「二人とも、着替える前で!」

演劇部部長「…ん?どうしたの二人とも」

演劇部部長「なんでそんな目で私を見るの?」

演劇部部長「あ、それは良いや」

演劇部部長「二人とも、そのまま!衣装もメイクもそのままで!」

演劇部部長「…だから、何でそんな目で見るの?」

76 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:23:26 mEjuRZ5I 76/89



後夜祭

司会「それでは、今回の文化祭のベストカップルを!」

司会「盛大な拍手で迎えて下さいっ!」

パチパチパチパチ

男・幼「…」

77 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:23:58 mEjuRZ5I 77/89

司会「えー、今回の来場者アンケートでぶっちぎりの一位」

司会「演劇部のロミオとジュリエットで主役を務めた、この二人!」

司会「全校生徒の投票でも、ダントツ一位でした!」

司会「それではお二人から、一言ずつ頂きたいと思います!」

「あ、あの…選んで貰って光栄です!あ、ありがとうございます!」
パチパチパチ

司会「可愛いですねっ!ジュリエット!」

78 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:24:22 mEjuRZ5I 78/89

司会「次にロミオさん、一言どうぞ!」

「…」

司会「あの…ロミオさん?」

「あー。丁度良い機会だから、ここでぶっちゃけちゃいますよー」
ザワザワザワ

司会「え?何をですか?」

79 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:25:09 mEjuRZ5I 79/89

「みなさーん!私は女子で、こっちの男は男子です!」
ザワザワザワ

「で!つい先ほど、私たち付き合う事になりました!」

ガシッ

「ふえっ?」

「男っ!覚悟は出来てるよね?返事は待たないよっ!」



チュッ

80 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:25:32 mEjuRZ5I 80/89



「…で?全校生徒の前でキスしたって?」

「そうです」

「幼ちゃんさぁ」

「何ですか?」

「そう言う所、男前だねぇ」

「ニヤニヤしないで下さい!」

81 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:25:56 mEjuRZ5I 81/89

「で?頼みたい事って何?」

「前に言ってたじゃないですか」

「私何言ったっけ?」

「その…女の子らしい格好をプロデュースしてくれるって」

「んー?言ったっけ?」

「…言いましたよ」

「思い出せないけど、ま、良いや」

82 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:26:31 mEjuRZ5I 82/89

「でも、何で突然そんな事を?」

「今度の日曜、男とデートする事にしたんですけど…」

「いつものジーンズじゃなくて…」

「女の子らしい格好で、行きたいなぁと思って…」

「フフフ。幼ちゃん、乙女の顔になってるね~」

「私、その…どう言う格好して良いのか解んなくて…」

「よし!解った!引き受けた!」

83 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:26:51 mEjuRZ5I 83/89

「あ、ありがとう、お姉ちゃん!」

「引き受ける代わりに条件が一つ!」

「な、何?」

「今回のデート…全て私にプロデュースさせて!」

「え?全て?」

「あんたらの服装から、行き先まで全部!」

「う…それは…」

84 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:27:25 mEjuRZ5I 84/89

「どうせ、あんたら、デートもノープランなんでしょ?」

「まぁ…そう言う事、経験無いもんで…」

「じゃあ、経験豊富な、私に全部任せなさい!」

「若干不安なんですけど…」

「男には私から話しておくからさ」

「この私に、全てお任せあれ!」

85 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:27:49 mEjuRZ5I 85/89



「あんた、いい加減にしなさいよ?」

「え?」

「その格好の説明を求めたいんだけど、どう?」

「幼がお姉ちゃんに頼んだんでしょ?」

「今日のこの格好、幼の了承済みって言われたんだけど…」

「お、幼、スカート似合ってるね」

「そ、そう?お姉ちゃんから借りたんだけど…」

男・幼「…」

86 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:28:10 mEjuRZ5I 86/89

「あそこの二人、すげー可愛いな」

「お前、声かけてこいよ」

「長身の方、モデルか何かかな?」

「小さい方もモデルじゃねーの?」

「すげー良いな!」

「だな!」

87 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:28:41 mEjuRZ5I 87/89

「違う!何か違う!」

「た、確かに…これはちょっと違うかな?」

「私がスカート履くのは解る!」

「でも、何で男までスカート履いてるの?」

「僕だって解んないよ…」

「ミニスカートって初めてだし…」

「スパッツも初めて履いたし…」

「…」

88 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:29:11 mEjuRZ5I 88/89

「丸出しじゃないか!」

「え?な、何が?僕、何か見えてる?」

「これじゃ、私が男子に見えないだけで…」

「姉妹感、丸出しじゃないか!」

「スール的な意味で!」

「しかも、なんなのよ、このデートプラン!」

「何で初デートで下着買いに行かなきゃなんないのよ!」

89 : ◆L0dG93FE2w[sa... - 2012/12/20 22:29:59 mEjuRZ5I 89/89

「え?幼がお姉ちゃんと相談して決めたんでしょ?」

「相談なんてしてないわよ!」

「100パーセント、お姉ちゃんプロデュースよ!」

「そ、そうなんだ?僕はてっきり…」

「もうっ!取り敢えず近くの服屋に入るわよ!」

「え?」

「まずは男を男の子らしい格好にする所から!」

「行くよっ!男っ!」

「う、うん!」




「フフフ…全て計画通り…さて、次の一手は…」




おわり

記事をツイートする 記事をはてブする